(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382128
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】カード類のパッケージとパッケージ方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20180820BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20180820BHJP
B65B 51/02 20060101ALI20180820BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
B65D75/62 B
B42D15/00 341D
B65B51/02 A
B65D85/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-30123(P2015-30123)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-150778(P2016-150778A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年9月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509273053
【氏名又は名称】山口証券印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】福岡 敬司
【審査官】
佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−285845(JP,A)
【文献】
実開昭48−013417(JP,U)
【文献】
実公昭39−006073(JP,Y1)
【文献】
実開昭49−096026(JP,U)
【文献】
特開平11−171282(JP,A)
【文献】
実開昭55−024253(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3022561(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0103830(US,A1)
【文献】
米国特許第05613779(US,A)
【文献】
実開昭59−51740(JP,U)
【文献】
特開2004−238079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B42D 15/00
B65B 51/02
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間の折目(3)を介して折畳み可能な少なくとも一対の板状又はシート状の左右のカバー部(2a,2b)を有し、
該カバー部(2a,2b)の重ね合わせ面の定位置にカード(7)を挟み込んだ状態で上記重ね合わせ面のカード(7)の外周ののり付部(6)を接着して上記カバー部(2a,2b)内にカード(7)を封入したカード類のパッケージにおいて、
上記のり付部(6)の内周縁からカード(7)の外周縁に至る位置にカード(7)の外周に沿ったミシン目(9,11)を入れ、
該ミシン目(9,11)に沿ってカバー部の外周縁を切離すことにより、封入されたカードを取出す構造とし、
前記のり付部(6)を、折畳み前の一対のカバー部(2a,2b)の上下左右の周縁部と、中間の折目(3)を含み且つ該折目(3)に沿う帯状の領域とに設け、
前記ミシン目(9,11)を、折畳み状態のカバー部(2)の上下端側と、左右の折目(3)と反対側の端である開閉端側とに形成した
カード類のパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のカード類のパッケージ(1)を製造するに当り、折畳み状態のカバー部(2)の一対の相対する2辺ののり付部(6)を一対のローラー(28)で転圧してドライ圧着した後、カバー部(2)に対する転圧方向を90°回転させて他方の相対する2辺ののり付部(6)を一対のローラー(28)で転圧してドライ圧着する
カード類のパッケージ方法。
【請求項3】
パッケージ(1)を搬送ライン(41)上で搬送する過程でカバー部(2)の2組の相対する辺の転圧を2回に分けて行う方法であって、
搬送ライン(41)の搬入側で一対のローラー(28)で転圧し、搬送下流の搬出側で他の一対のローラー(28)で転圧してカバー部(2)の四辺のドライ圧着を行う
請求項2に記載のカード類のパッケージ方法。
【請求項4】
請求項3に記載のパッケージ方法の実施に使用する装置であって、
搬送ライン(41)の搬入側と搬出側に第1圧着部(42)と第2圧着部(43)を設け、該第1圧着部(42)と第2圧着部(43)のそれぞれに搬送方向に沿って回転する一対の転圧用のローラー(28)を設け、
上記第1圧着部(42)と第2圧着部(43)の間にカバー部(2)の向き又は搬送方向を第2圧着部(43)の転圧方向に適合させるように変更する方向転換部(44)を設けてなる
カード類のパッケージ装置。
【請求項5】
請求項2又は3のいずれかに記載のカード類のパッケージ方法に使用する装置であって、
一対のローラー(28)が回転軸(26)に外装して軸支され、
上記ローラー(28)の回転軸(26)上の間隔を折畳み状態のカバー部(2)の相対向し合うのり付部(6)の間隔に合わせて調節する調節装置(31)を設けてなる
カード類のパッケージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は各種のデータや情報を記憶させたカード,メッセージその他の情報を表示したカード等の各種のカード類をカード発行者側から末端のユーザー又は名宛人等に届けるためのカード類のパッケージとパッケージ方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来プリペイドカードをはじめとする各種情報を記憶させ又は表示したカード類を末端ユーザーや贈り先等の名宛人に届けるためのパッケージとしては、特許文献1,2に示すものが知られている。
このうち特許文献1に示すものは、プリペイドカード3を背面材13と覆い15とで挟んでその外周の重ね合わせ面を剥離可能にのり付したものである。
また特許文献2に示すものは、2つ折りされたカバー部(左部分20,中央部分30)内にプリペイドカード60を挟み込んでカバー部の重ね合わせ面を接着する(
図1〜5,段落0016参照)技術が示され、カード60と重なり合う左部分20の上下には切断(開封)用のミシン目52が左右方向に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5777305号明細書
【特許文献2】特表2008−529864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1の発明は、カードを挟み込んだカバー(台紙)の周縁を剥離可能に簡易的に接着しているので、最終受取人の手元に届く過程で誤って剥離する場合がある。
また特許文献2の発明では、上下2箇所のみの接着であるために折畳むカバー部(左部分20,中央部分30)の他に、一方の開閉端側に右部分40を折畳み可能に設ける必要があり、材料取りや接着加工時の工数も増し、全体としてコスト高になる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係るカード類のパッケージは、中間の折目3を介して折畳み可能な少なくとも一対の板状又はシート状の左右のカバー部2a,2bを有し、該カバー部2a,2bの重ね合わせ面の定位置にカード7を挟み込んだ状態で上記重ね合わせ面のカード7の外周ののり付部6を接着して上記カバー部2a,2b内にカード7を封入したカード類のパッケージにおいて、上記のり付部6の内周縁からカード7の外周縁に至る位置にカード7の外周に沿ったミシン目9,11を入れ、該ミシン目9,11に沿ってカバー部の外周縁を切離すことにより、封入されたカードを取出す構造と
し、前記のり付部6を、折畳み前の一対のカバー部2a,2bの上下左右の周縁部と、中間の折目3を含み且つ該折目3に沿う帯状の領域とに設け、前記ミシン目9,11を、折畳み状態のカバー部2の上下端側と、左右の折目3と反対側の端である開閉端側とに形成したことを特徴としている。
【0006】
本発明に係るカード類のパッケージ方法は、前記に記載のカード類のパッケージ1を製造するに当り、折畳み状態のカバー部2の一対の相対する2辺ののり付部6を一対のローラー28で転圧してドライ圧着した後、カバー部2に対する転圧方向を90°回転させて他方の相対する2辺ののり付部6を一対のローラー28で転圧してドライ圧着することを特徴としている。
【0007】
また、パッケージ1を搬送ライン41上で搬送する過程でカバー部2の2組の相対する辺の転圧を2回に分けて行う方法であって、搬送ライン41の搬入側で一対のローラー28で転圧し、搬送下流の搬出側で他の一対のローラー28で転圧してカバー部2の四辺のドライ圧着を行うものとしてもよい。
【0008】
本発明に係るカード類のパッケージ装置は、前記に記載のパッケージ方法の実施に使用する装置であって、搬送ライン41の搬入側と搬出側に第1圧着部42と第2圧着部43を設け、該第1圧着部42と第2圧着部43のそれぞれに搬送方向に沿って回転する一対の転圧用のローラー28を設け、上記第1圧着部42と第2圧着部43の間にカバー部2の向き又は搬送方向を第2圧着部43の転圧方向に適合させるように変更する方向転換部44を設けてなることを特徴としている。
【0009】
また、前記に記載のカード類のパッケージ方法に使用する装置であって、一対のローラー28が回転軸26に外装して軸支され、上記ローラー28の回転軸26上の間隔を折畳み状態のカバー部2の相対向し合うのり付部6の間隔に合わせて調節する調節装置31を設けてなるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成される本発明は
、折畳み状態のカバー部の周縁部に形成されたのり付部の枠状の内側にミシン目を設けているので、ミシン目を切離すことによりのり付部が切離して除去され、その内側のカバー部内のカードを簡単に取出すことができ、のり付部は剥離する必要がないので強力な接着をすることができる利点があり、パッケージ自体の取扱い中のカード情報の保護(機密保持)も十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のカードパッケージの表面側の展開図である。
【
図2】本発明のカードパッケージの内面側の展開図である。
【
図3】本発明のパッケージの圧着作業に用いる転圧装置である。
【
図5】本発明のパッケージ装置の搬送(圧着)ラインへの配置図である。
【
図6】(A),(B)はパッケージの圧着時の転圧方向の直進時と平面視90°回転させた転圧方向を示す平面図である。
【
図7】パッケージ完了後のパッケージの拡大中央横断面図である。
【
図8】本発明のパッケージ装置の圧着装置の他の実施形態を模視的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図示する本発明に係るパッケージとそのパッケージ方法及び装置の実施形態につき詳述する。
図1,
図2は本発明に係るカード類のパッケージの貼り合わせ前の表面側と図面側の展開図を示し、パッケージ1の外側は一定の剛性を備えた紙製又はプラスチック製の長方形又は正方形の板状又はシート状のカバー部2の中間に、上下方向の折目3を備えた左右対称で折畳み可能な左右のカバー部2a,2bからなっている。左右のカバー部2a,2bの上縁中央の対称位置には吊下げ孔4が形成されている。
【0013】
図2に示すように左右のカバー部2a,2bの折畳み側内面(重ね合わせ面)の外周縁と折目3の左右両側には、帯状で且つ枠状にのり付されたのり付部6が左右対称形に形成されており、折目3を介して左右のカバー部2a,2bを内側に折畳んだ状態で、後述するようにドライ圧着することにより表裏一体に接着される。のり付部6に塗布されるのりとしては、加熱が不要で且つ加圧により接着力が増す(生じる)感圧のり(感圧接着剤)が使用され、これによってドライ圧着が行われる。
【0014】
感圧のりは、加熱せずに、圧力を作用させるのみによって、活性化し、接合部同士を接着させるものであり、その組成は、従来公知であるため、詳細は割愛するが、例えば、天然ゴム、合成ゴム等の従来一般に使用されている非剥離性接着剤を基剤とし、この基剤に対して非親和性を示す微粒状充填剤を、該基剤に配合してなる剥離可能な感圧接着剤を用いてもよい。
【0015】
上記のり付部6によって囲まれた左右のカバー部2a,2bの略中央位置には、左カバー部2a側に後述するカード7が剥離可能な公知の不乾のり等によって位置決め固定されており、右カバー部2b側にはカード7の最終ユーザー等にカードに関する説明書又は何らかのメッセージ等が記載された説明書8がカード7と同様に位置決め固定されている。
【0016】
上記カード7及び説明書8の外周縁と展開状態でののり付部6の上下左右の内周位置又は内周縁との間には、カバー部2の周縁と平行な切断用のミシン目9,11が形成され、のり付部6の圧着によって密閉されたカード7及び説明書8を開封する際に、のり付部6がミシン目9,11で切離される構造になっている。カード7及び説明書8の密封状態は
図7に示される。
【0017】
ちなみに、折目3にも、ミシン目が形成され、これによって折畳みが容易になる他、切離しが可能になる。
【0018】
また、この実施形態では、右側カバー部2bの内面中央には、ここに収納固定される説明書8を囲む長方形の枠を形成するようにエンボス加工(エンボス加工部)12が形成され、このエンボス加工部12は、説明書8及び左カバー2a側のカード7のサイズより大きいサイズに形成することにより、一定範囲内で説明書8の厚みやカード7の厚み及び枚数の制約を受けることなく収容できる利点があるほか、パッケージ1の表紙(左カバー2aの表面)の装飾を兼ねることができる。
【0019】
図示する例ではカード7は左カバー部2aの表面上端に金額類の内容表示部13に示されるようにプリペイドカードである。そしてパッケージ1の裏面には(プリペイド)カード7を特定するバーコードからなる識別情報(表示)部14が表示され、この識別情報部14と関連付けられた番号その他の表示からなる関連表示部16がカード7側に表示されている。
【0020】
また右カバー部2bには、上記カード7の関連表示部16がパッケージ状態で透視できる透視孔17が形成されている。上記識別情報部14はバーコードに限らず磁気記憶部,情報記憶チップ等でもよく、識別表示部16とは別に店頭等換金又は支払時に情報読み取り対象となる情報(表示)部(図示しない)を設けてもよい。
【0021】
このカード7の使用方法等について説明すると、識別情報部14に記載された情報と、関連表示部16に記載された情報とは、両者を印刷する時点で、関連付けされており、購入時等に、識別情報部14の情報(具体的にはバーコード)を利用して、関連表示部16に記載された情報(具体的には、コード情報)を利用可能とするアクティベーション処理を実行され、このアクティベーションの情報が、該コード情報と共に、情報処理サーバに記憶される。ちなみに、情報処理サーバは、コード情報を、利用可能な金額(図示する例では、20,000円)と関連付けして、記憶装置に、記憶している。
【0022】
アクティベーション処理されたコード情報と関連付けされた金額情報は、リアル店舗やウェブサイト上で、関連表示部16の符号やナンバー等を入力することにより通常のお金と同様に使用できる仮想マネーであり、その仮想マネーを使用して買い物を行うと、情報処理サーバの記憶装置において、上記コード情報等と共に記憶している現残高から、購入金額が減算され、新たな残高として、記憶される。
【0023】
なお、コード情報と、残高情報とを常に関連付けして、情報処理サーバの記憶装置等に記憶させる必要はなく、利用者毎に、仮想マネーを入金しておく仮想口座の情報を記憶しておく記憶領域を、情報処理サーバの記憶装置等に確保し、上記コード情報に対応した金額を、仮想口座に入金するようにしてもよい。
【0024】
ちなみに、前記カバー部2は、プレス加工等によって、展開時の形状に型抜きされるが、この型抜きされる前の紙製又は合成樹脂製等のシート状又は板状の基材における対応箇所に、感圧のりが塗布されるとともに、印刷が施される。この他、型抜きの時に、併せて、ミシン目3,9,11の形成も行われる。
【0025】
次に本発明のパッケージの圧着方法と圧着するための装置につき
図3〜5に基いて説明する。
図3,
図4はパッケージ装置の要部である圧着装置の正面図及び側断面図を示し、左右のフレーム21,22の間には大径のローラー軸23を中間部に備え、両端に支持軸24を備えた回転軸26が軸受部29を介して回転自在に軸支されており、支持軸24の一端にはスプロケット又はギヤー等からなる回転入力部27が軸装されている。
【0026】
そして上記ローラー軸23の外周には一対のリング状の転圧ローラー28がローラー軸23と一体回転するように嵌合されており、該転圧ローラー28の少なくとも一方は左右にスライド調節され、ローラー間隔を調節できる機構となっている。この例では左右の転圧ローラー28は同時にスライド移動可能に構成されており、ローラー軸23はスプライン又はキー(いずれも図示しない)等によって転圧ローラー28は軸方向移動可能に且つ一体回転できる機構となっている。
【0027】
また上記一対の転圧ローラー28の間隔調節装置31は、前記ローラー軸23と平行にフレーム21,22間に軸支される左右逆ねじのスクリュー軸32と、その中央に軸装され左右のスクリュー軸32を手動又は動力駆動により一体回転させる回転入力部33(図示する例は手動ハンドル)と、左右のスクリュー軸32にねじ込み軸装されてスクリュー軸32の回転によって互いに反対方向に軸方向移動させられるスライダー34と、各スライダー34に取付けられ、左右の転圧ローラー28を左右両側から摺動可能に把持して位置決めする把持孔36とを備えている。把持孔36は転圧ローラー28の側面に摺接するので、ローラー28の回転を妨げることはない。
【0028】
上記転圧ローラー28の下側には、パッケージ1を、転圧ローラー28による送り方向と同一の方向に搬送する搬送コンベア37が設置されている。該パッケージ1は、転圧ローラー28(ローラー軸23)と、搬送コンベア37の搬送ベルト37aとの間に弾力的に挟み込まれ、自身ののり付部6が圧着された状態で、送り出される。このため、転圧ローラー28による送り速度と、搬送コンベア37による送り速度とは、同一又は略同速度に設定されている。
【0029】
ちなみに、転圧ローラー28からの下方圧力を受止めるため、搬送ベルト37aを内側から支持する遊転ローラー(支持ローラー)37bを、転圧ローラー28の直下に配置してもよく、この遊転ローラー37bによって、転圧ローラー28からの荷重が受止められる。
【0030】
なお、搬送コンベア37の代りに転圧ローラー28と平行な受けローラー(図示しない)をフレーム21,22間に軸支して、受けローラー周面と転圧ローラー28とによって転圧を行う機構であってもよい。
【0031】
尚、上記装置では、転圧ローラー28を搬送コンベア37側に弾力的に押接するために、左右のフレーム21,22には支持軸24を下向きに且つ弾力的に押圧するエアシリンダ又はスプリング等からなる押圧装置30を設けている。その結果、搬送コンベア37上のパッケージ1はドライ圧着時には、ローラー軸26及び転圧ローラー28の自重を超えた押圧力を得ることができ、この場合支持軸23は一定範囲で上下移動調節可能に支持する必要がある。
【0032】
図5は本発明のパッケージ装置の搬送(圧着)ラインへの配置図を示し、この例ではパッケージ1を搬送ライン41上で搬送する過程でカバー部2の2組の相対する2辺の転圧を2回に分けて行い、搬送ライン41の搬入側(カバー部2の供給側)に第1圧着部42を設け、搬出側(カバー部2の排出側)に第2圧着部43を設けており、両圧着部42,43の中間(搬送ライン41の中間)には、折畳み状態のカバー部2の向き又は搬送方向を転換する方向転換部44が設けられている。上記第1,第2の圧着部42,43にはそれぞれ前述した圧着装置が配置され、各位置でのり付部6の圧着が行われる。
【0033】
方向転換部44の前後には前後の搬送ライン41a,41bが設けられており、第1,第2の圧着部42,43にはカバー部2の前後、左右の各のり付部6の幅に対応した幅の一対のローラー28を備えた
図3,
図4の圧着装置が圧着方向(搬送方向)に即してそれぞれ配置されている。図示する例では方向転換部44には最初の圧着部42で圧着されたカバー部2を搬送ライン41中で平面視で90°転回させるように互に逆方向回転する転回ローラー44a,44bが配置されている。
【0034】
また、この例では前後の搬送ライン41a,41bは方向転換部44を介して直線的に並設されており、各ライン41a,41bの左側にはそれぞれ直線状の搬送ガイド46が配置され、その右側には先端が搬送ガイド46に向って交差する方向に傾斜させて搬送ベルト等からなる搬送帯47が配置されている。上記構成により、パッケージ1は前後の各ライン41a,41bにおいても常に搬送ガイド46に沿った姿勢を保って搬送され、且つパッケージ1は方向転換部44の前後を通じて左右及び上下の各辺ののり付部6において確実に圧着加工される。
【0035】
尚、上記方向転換部44の転回角度は前後の搬送ライン41,41bの接続角度によって異なり、例えば両ラインが90°に交差している場合は、第2圧着部43のローラー28の向きに合わせて搬送方向のみを90°転回すれば足りる。またパッケージ1の転回は転回ローラー44a,44bの代りに例えばパッケージ1を転回しながら姿勢変換するターンテーブル(図示しない)等によることもできる。
【0036】
図6(A),(B)は、上記転圧ローラー28によってパッケージ1の左右辺と上下辺を転圧する状態をそれぞれ示す平面図で、
図6(A)の左右辺ののり付部6を転圧する場合の調整は転圧ローラー28の幅を左右辺ののり付部6の幅(間隔)に合わせて調節装置31によって調整して行う。
【0037】
他方、パッケージ1の上下辺ののり付部6を転圧する場合は、転圧ローラー28の間隔を上下辺ののり付部6の間隔に合わせて調節した後に転圧して圧着する。
図6(B)の転圧を行う場合は、パッケージ1に対する転圧角度を平面視で90°回転させることによって、パッケージ1の上下左右の各辺ののり付部6の圧着を行う。単一の圧着装置で、パッケージ1の上下辺及び左右辺ののり付部6を行う場合は、それぞれの辺ののり付部6の間隔に応じた調整をして圧着作業を行うことになる。
【0038】
尚、上記説明及び特許請求の範囲の記載中の上下,左右等の表現は図面中の便宜上使用したもので、技術的にこれらに限られるものではない。
【0039】
また、間隔調整装置31は、上記のような構造に限定されるものではなく、転圧ローラー28,28の少なくとも一方(好ましくは、両方)を、ボルト等の図示しない取付具によって、ローラー軸23に、着脱自在に取付ける構造を採用し、ローラー軸23におけるボルト孔等の被取付部を、複数設け、転圧ローラー28の取付位置を変更することにより、一対の転圧ローラー28,28の間隔を変更させてもよい。
【0040】
さらに、このパッケージに収容されるカード7は、様々な用途のカードが想定され、本実施例で記載した用途のカードに限定されるものではない。
【0041】
図8は本発明のパッケージ装置の圧着装置の他の実施形態を模視的に示すもので、この例では左右のフレーム21,22に対して上下に2本のローラー軸24と同48を左右方向に平行に支持し、上方のローラー軸23に対して一対の転圧用のローラー28を軸装し、下方のローラー軸48に対して一対の受けローラー49を軸装して下方のローラー軸48を外部から回転駆動入力される駆動軸とし、その軸端にはギヤー等からなる回転入力部27が設けられている。そしてこの例では下方の受けローラー軸48はフレーム21,22に回転自在に定位置に軸支されている。
【0042】
これに対し上方の転圧ローラー軸24は、フレーム21,22の上端側に内向きに突設されたアーム部51に吊下げ状態でリング状の軸受部29によってフリー回転自在に軸支されている。53は上記軸受部29をアーム部51に高さ調節可能に吊下げる高さ調節用のボルトで、これを回動することにより、軸受部29を介して転圧ローラー軸24を受けローラー軸48に対し(即ち転圧用のローラー28を受ローラー49に対して)高さ調節可能な機構となっている。
【0043】
またこの例では転圧用のローラー28,受けローラー49共に軸23,48に対して左右スライド調節可能に軸装されており、各ローラー28,49のボス部には軸上の左右の調節位置をセットするためのセットボルト54が設けられている。したがって各ローラー軸23,48はスプライン軸又はキー等によってローラー28,49を軸と一体回転させ且つ左右スライド調節可能に嵌合している。尚この装置では受けローラー49は必ずしも左右2個である必要はなく、左右方向に長寸の一体型ローラーであってもよく、その場合は受けローラー49の間隔調整は不要となる。
【0044】
上記のように構成される圧着装置では、回転駆動される受けローラー49を転圧用のローラー28との間にパッケージ1の両端ののり付部6を挟み込ませるように供給することによって、受けローラー49の回転に転圧ローラー28が連れ回り回転しながら、パッケージ1を転圧圧着することが可能であり、高さ調節用のボルト53により、ローラー28,49間の間隙を調節することにより、のり付部6の押圧力も調節することができる。この例の圧着装置は
図5の圧着部42,43に設置することにより、前述した搬送ライン41中に組み込んで使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 パッケージ
2 カバー部
2a,2b 左右のカバー部(一対のカバー部)
3 折目
9,11 ミシン目
12 エンボス加工(部)
26 回転軸
28 転圧用のローラー
31 調節装置
41 搬送ライン
42 第1圧着部
43 第2圧着部
44 方向転換部
46 搬送ガイド
47 搬送帯(ベルト)