特許第6382142号(P6382142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6382142-エア工具 図000002
  • 特許6382142-エア工具 図000003
  • 特許6382142-エア工具 図000004
  • 特許6382142-エア工具 図000005
  • 特許6382142-エア工具 図000006
  • 特許6382142-エア工具 図000007
  • 特許6382142-エア工具 図000008
  • 特許6382142-エア工具 図000009
  • 特許6382142-エア工具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382142
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】エア工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   B25F5/00 B
   B25F5/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-66952(P2015-66952)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185583(P2016-185583A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保全
(72)【発明者】
【氏名】藤森 崇太
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−255236(JP,A)
【文献】 特開平9−290377(JP,A)
【文献】 実開平3−68788(JP,U)
【文献】 特開昭56−157975(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0248061(US,A1)
【文献】 米国特許第3858781(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25C 1/04
B25B 21/00
H01H 9/20
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアモータと、
該エアモータを収容し、該エアモータに圧縮空気を供給するための給気路を有する工具本体部と、
該給気路を開閉するバルブと、
該工具本体部に変位可能に取り付けられた、該バルブの開閉を操作するための操作レバーであって、該バルブを閉止状態とする停止位置と、該バルブを開放状態とする駆動位置との間で変位可能とされ、該停止位置から該駆動位置に向かう方向に突出した2つの係止突起を有する操作レバーと、
該工具本体部に変位可能に取り付けられた、該操作レバーの変位を制限するための制限部材であって、該操作レバーの該係止突起に対向するように該係止突起に対して反対向きに突出する2つの制限突起を有し、該操作レバーが該停止位置から該駆動位置に変位しようとするときに各制限突起が対応する該係止突起に当接するようにして該操作レバーが該駆動位置にまで変位することを阻止する制限位置と、該操作レバーが該停止位置から該駆動位置に変位する際に該2つの制限突起と該2つの係止突起とが当接しないようにして該操作レバーが該駆動位置にまで変位することを許容する解除位置との間で変位可能とされた制限部材と、
を備え、
該2つの係止突起と該2つの制限突起とが、それぞれ、該制限部材の変位方向で間隔をあけて配置されている、エア工具。
【請求項2】
該操作レバーが、該停止位置と該駆動位置との間で枢動して変位するように該工具本体部に取り付けられており、
該制限部材が、該操作レバーが枢動する平面に対して直交する方向で該制限位置と該解除位置との間で変位するように該工具本体部に取り付けられている、請求項1に記載のエア工具。
【請求項3】
該操作レバーが、2つの側壁と該2つの側壁を連結する底壁とからなる断面コの字状のレバー本体部を有し、該2つの側壁の少なくとも一部によって該2つの係止突起が構成されている、請求項1又は2に記載のエア工具。
【請求項4】
該制限部材が、2つの側壁と該2つの側壁を連結する頂壁とからなる断面コの字状の制限部材本体部を有し、該2つの側壁の少なくとも一部によって該2つの制限突起が構成され、該制限部材の2つの側壁間の間隔が該操作レバーの2つの側壁間の間隔と同一である、請求項3に記載のエア工具。
【請求項5】
該工具本体部が、該給気路を構成する給気管と、該給気管を収容するハウジングとを備え、
該制限部材が該給気管と該操作レバーとの間に配置され、
該給気管が該制限部材を摺動可能に支持するようにされたガイド面を有し、該ガイド面が該操作レバーの該係止突起に面する向きに形成されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載のエア工具。
【請求項6】
該制限部材を該制限位置に向かって付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1乃至5の何れか一項に記載のエア工具。
【請求項7】
該工具本体部が、該給気路を構成する給気管と、該給気管を収容するハウジングとを備え、
該制限部材が該給気管と該操作レバーとの間に配置され、該操作レバーが、該ハウジング内で枢動可能に取り付けられた一端と自由端とを有するレバー本体と、該レバー本体の自由端に取り付けられて一部が該ハウジングの外側に突出している操作部とを有し、該操作部を押して該操作レバーを該停止位置から該駆動位置に向けて枢動して変位することができるようにされている請求項5に記載のエア工具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア工具に関し、より詳細には操作レバーの操作を制限する機構を備えたエア工具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気を駆動源として動作する空気式のベルト式研磨機やトルクレンチなどのエア工具は、通常、エアモータと、エアモータを収容するとともにエアモータに圧縮空気を供給するための給気路を有する工具本体部と、給気路を開閉するためのバルブと、工具本体部の外側に取り付けられた操作レバーとを備え、操作レバーを操作することによりバルブを開閉させてエアモータの駆動を操作するようになっている。
【0003】
このようなエア工具の中には、操作レバーが不用意に操作されないようにするための安全機構を備えたものがある。例えば、特許文献1に示すエア工具においては、操作レバーの先端部分にストッパが係合することによって操作レバーの操作を制限するようにしている。この操作レバーにはその一方の側面に溝が形成されていて、ストッパがその溝に係合することによって操作レバーの変位が制限されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2517035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような安全機構を備えたエア工具においては、ストッパ等の制限部材が操作レバーの操作を制限する位置にあるにもかかわらず操作レバーが操作されてエア工具が起動してしまうことがないように、ストッパによる操作レバーの変位制限は安定して強固になされる必要がある。しかしながら、上述のような従来のエア工具においては、操作レバーとストッパとが通常一カ所のみでやや不安定な状態で係合している場合が多く、係合状態の安定性が必ずしも十分ではなかった。
【0006】
本発明は上記従来技術の課題に鑑み、操作レバーの変位を制限する制限部材がより安定した状態で操作レバーと係合するようにしたエア工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
エアモータと、
該エアモータを収容し、該エアモータに圧縮空気を供給するための給気路を有する工具本体部と、
該給気路を開閉するバルブと、
該工具本体部に変位可能に取り付けられた、該バルブの開閉を操作するための操作レバーであって、該バルブを閉止状態とする停止位置と、該バルブを開放状態とする駆動位置との間で変位可能とされ、該停止位置から該駆動位置に向かう方向に突出した2つの係止突起を有する操作レバーと、
該工具本体部に変位可能に取り付けられた、該操作レバーの変位を制限するための制限部材であって、該操作レバーの該係止突起に対向するように該係止突起に対して反対向きに突出する2つの制限突起を有し、該操作レバーが該停止位置から該駆動位置に変位しようとするときに各制限突起が対応する該係止突起に当接するようにして該操作レバーが該駆動位置にまで変位することを阻止する制限位置と、該操作レバーが該停止位置から該駆動位置に変位する際に該2つの制限突起と該2つの係止突起とが当接しないようにして該操作レバーが該駆動位置にまで変位することを許容する解除位置との間で変位可能とされた制限部材と、
を備え、
該2つの係止突起と該2つの制限突起とが、それぞれ、該制限部材の変位方向で間隔をあけて配置されている、エア工具を提供する。
【0008】
当該エア工具においては、操作レバーの2つの係止突起が制限部材の2つの制限突起にそれぞれ係合し且つこれら係止突起同士および制限突起同士が互いに間隔をあけて配置されているため、従来の一カ所で係合するものに比べてより安定した状態で制限部材が操作レバーと当接するようになる。
【0009】
好ましくは、
該操作レバーが、該停止位置と該駆動位置との間で枢動して変位するように該工具本体部に取り付けられており、
該制限部材が、該操作レバーが枢動する平面に対して直交する方向で該制限位置と該解除位置との間で変位するように該工具本体部に取り付けられているようにすることができる。
【0010】
さらに好ましくは、該操作レバーが、2つの側壁と該2つの側壁を連結する底壁とからなる断面コの字状のレバー本体部を有し、該2つの側壁の少なくとも一部によって該2つの係止突起が構成されているようにすることができる。
【0011】
さらに好ましくは、該制限部材が、2つの側壁と該2つの側壁を連結する頂壁とからなる断面コの字状の制限部材本体部を有し、該2つの側壁の少なくとも一部によって該2つの制限突起が構成され、該制限部材の2つの側壁間の間隔が該操作レバーの2つの側壁間の間隔と同一であるようにすることができる。
【0012】
操作レバー及び制限部材をこのような断面コの字状とすることで、これら部材を板金加工により容易に製作することが可能となる。
【0013】
好ましくは、
該工具本体部が、該給気路を構成する給気管と、該給気管を収容するハウジングとを備え、
該制限部材が該給気管と該操作レバーとの間に配置され、
該給気管が該制限部材を摺動可能に支持するようにされたガイド面を有し、該ガイド面が該操作レバーの該係止突起に面する向きに形成されているようにすることができる。
【0014】
このような構成により、制限部材が制限位置にある状態で操作レバーが操作されて、制限部材が操作レバーによって押圧されたときに、制限部材は給気管のガイド面によって支持されるため、安定した状態で操作レバーからの力を受けることが可能となる。
【0015】
好ましくは、該制限部材を該制限位置に向かって付勢する付勢部材をさらに備えるようにすることができる。
【0016】
また、該工具本体部が、該給気路を構成する給気管と、該給気管を収容するハウジングとを備え
該制限部材が該給気管と該操作レバーとの間に配置され、
該操作レバーが、該ハウジング内で枢動可能に取り付けられた一端と自由端とを有するレバー本体と、該レバー本体の自由端に取り付けられて一部が該ハウジングの外側に突出している操作部とを有し、該操作部を押して該操作レバーを該停止位置から該駆動位置に向けて枢動するようにすることができる
【0017】
この形態では、操作レバーの操作部のみがハウジングの外部に突出するようになっているため、例えば当該エア工具を落下させるなどした場合でも、操作レバー34が破損する可能性を大幅に低減させることが可能となる。
【0018】
以下、本発明に係るエア工具の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るエア工具の側面図である。
図2図1のエア工具の上面図である。
図3図1のエア工具のハウジングの内部を示す側面図である。
図4図2のIV-IV線における断面図である。
図5】操作レバーと制限部材と示す側面図である。
図6図5の操作レバーと制限部材の上面図である。
図7図5のVII-VII線における断面図であって、制限部材が制限位置にあるときの図である。
図8図5のVII-VII線における断面図であって、制限部材が解除位置にあるときの図である。
図9図5のVII-VII線における断面図であって、操作レバーが駆動位置にあるときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係るエア工具10は、図1及び図2に示すように、工具本体部12とベルト駆動部14を備え、工具本体部12の中に収容されたエアモータ16(図3図4)によって回転駆動されるドライブプーリ(図示しない)とプーリ支持部材18によって回転自在に支持されたアイドルプーリ20との間に掛け回された無端研削ベルト22を回転駆動させた状態で被削材に押し当てることで該被削材の研削を行うようにしたベルト式研削工具10である。
【0021】
図3及び図4に示すように、工具本体部12は、エアモータ16を収容するハウジング24と、ハウジング24内に配置された別体の給排気管26とからなる。給排気管26には、エアモータ16に圧縮空気を供給するための給気路28とエアモータ16からの圧縮空気を排気するための排気路30とが形成されている。また給排気管26には、給気路28を開閉するためのバルブ32と、バルブ32の開閉を操作するための操作レバー34と、操作レバー34の変位を制限するための制限部材36とが取り付けられている。
【0022】
バルブ32は、給気路28内に設けられた弁座部38に密封係合するようにされた弁体40と、弁体40を弁座部38に押しつけるように付勢するスプリング42と、弁体40に接続され給排気管26の外部にまで延在するバルブ操作軸44と、からなっている。このバルブ操作軸44を給気路28内に向かって押し込むと弁体40が傾いて弁体40と弁座部38との間に隙間が形成され、給気路28が開放した状態となる。バルブ操作軸44を押し込む力を解除すると、弁体40はスプリング42の付勢力により再び弁座部38に密封係合して給気路28を閉止した状態となり、これに伴いバルブ操作軸44は給気路28の外側に向かって押し戻される。
【0023】
操作レバー34は、ハウジング24内に収容されているレバー本体部46と、ハウジング24の外側にその一部が突出している操作部48を有する。レバー本体部46は、図5及び図6に示すように、2つの側壁50a、50bとこれら側壁50a、50bを連結する底壁52とからなり、図7に示すように、その断面がコの字状となっている。また、2つの側壁50a、50bには、それぞれ給排気管26とハウジング24との間に延びるレバー取り付け部54a、54bが連接されており、これら2つのレバー取り付け部54a、54bによって給排気管26を側方から挟み込むようになっている。操作レバー34は、レバー取り付け部54a、54bにおいて枢軸56によって給排気管26に対して枢動可能に取り付けられている。図3及び図4の状態においては、バルブ32が給気路28を閉止している閉止状態にあり、操作レバー34は閉止状態にあるバルブ32のバルブ操作軸44によって図で見て下方に向かって押圧され、停止位置に保持されている。操作レバー34の操作部48をハウジング24内に向かって押して、操作レバー34をバルブ32のスプリング42の付勢力に抗して枢動させると、レバー本体部46の底壁52に係合しているバルブ操作軸44が給気路28内に押し込まれて、バルブ32が給気路28を開放している開放状態となる。このように、操作レバー34はバルブ32を閉止状態とする停止位置と、バルブ32を開放状態とする駆動位置との間で枢軸56を中心にして枢動可能となっており、操作レバー34を停止位置から駆動位置に変位させることでバルブ32が開放状態となってエアモータ16に圧縮空気が供給されて、当該エア工具10の駆動が開始されるようになっている。なお、レバー本体部46とレバー取り付け部54a、54bとは、板金加工により製作された一体の部材として構成されている。
【0024】
制限部材36は、図5及び図6に示すように、2つの側壁58a、58b、及びこれら側壁58a、58bを連結する頂壁60からなる断面コの字状の制限部材本体部62と、制限部材本体部62の頂壁60に固定された操作部64とからなっている。制限部材36は、その頂壁60が給排気管26の下面に形成されたガイド面66と摺動係合するようにして、給排気管26に取り付けられており、操作レバー34が枢動する平面(図3及び図4の紙面を構成する面)に対して直交する方向で変位可能となっている。制限部材36とハウジング24との間にはスプリング67が設定されており、制限部材36はこのスプリング67によって側方(図6で見て下方)付勢されている。断面コの字状の制限部材本体部62は、板金加工により製作されている。
【0025】
操作レバー34の2つの側壁50a、50bは、操作レバー34が停止位置から駆動位置に向かう方向、すなわち上方に向かって突出し、その一部が係止突起68a、68bを構成している。一方で、制限部材36の2つの側壁58a、58bは、操作レバー34の係止突起68a、68bに対して反対向き、すなわち下方に向かって突出する制限突起70a、70bを構成している。操作レバー34の係止突起68a、68bと制限部材36の制限突起70a、70bとは、ともに、制限部材36の変位方向で間隔をあけて配置され、また操作レバー34が枢動する平面に対して平行に延びている。操作レバー34の側壁50a、50b間の間隔と制限部材36の側壁58a、58b間の間隔とは同一にされており、したがって、2つの係止突起68a、68b間の制限部材36の変位方向での間隔と2つの制限突起70a、70b間の同方向での間隔も同一となっている。
【0026】
制限部材36がスプリング67によって付勢されて図7の制限位置にあるときには、各係止突起68a、68bとそれに対応する制限突起70a、70bとの位置が整合して互いに対向した状態となる。したがって、制限部材36が制限位置にある状態で操作レバー34を停止位置から駆動位置に向かって枢動させようとしても、各係止突起68a、68bが対応する制限突起70a、70bに当接して、駆動位置にまで変位することが阻止される。このとき、操作レバー34と制限部材36とは2カ所で当接するため偏った応力を受けることがなく安定した状態となる。また、制限部材36は、係止突起68a、68bに面する向きで給排気管26に形成されているガイド面66に取り付けられているため、操作レバー34によって押される制限部材36はガイド面66によって支持されて安定した姿勢を維持することができる。制限部材36が制限位置にあるときには、制限部材36の操作部64は、図2に示すように、工具本体部12のハウジング24の外側に突出した状態となる。
【0027】
制限部材36の操作部64をハウジング24内に向かってスプリング67の付勢力に抗して押し込むと、制限部材36は、図8に示す解除位置にまで図で見て左方に変位する。制限部材36が解除位置となると、制限部材36の制限突起70a、70bは、操作レバー34の係止突起68a、68bに対して、操作レバー34の変位方向(図で見て上下方向)で真正面からは対向しない状態となる。したがって、操作部64を押して操作レバー34を停止位置から駆動位置に向かって変位させるときに各制限突起70a、70bと係止突起68a、68bとが当接しない状態となるので、操作レバー34を図9に示す駆動位置にまで変位させることができるようになる。操作レバー34を駆動位置にまで変位させると、上述のようにバルブ32が開放状態となって、エアモータ16に圧縮空気が供給され、当該エア工具10が駆動状態となる。操作レバー34が駆動位置にあるとき、操作レバー34の係止突起68a、68bと制限部材36の制限突起70a、70bとは互いに入れ子状になり、制限部材36の側壁58a、58bは操作レバー34の側壁50a、50bと側面方向で係合した状態となるため、制限部材36は解除位置に保持された状態となる。
【0028】
駆動位置にある操作レバー34の操作部48を押している力を緩めると、操作レバー34は、バルブ32のスプリング42の付勢力および弁体40が圧縮空気から受ける圧力によって、バルブ操作軸44を介して下方に押されて停止位置にまで枢動する。操作レバー34が停止位置に戻るのに伴って、制限部材36もスプリング67によって制限位置にまで戻される。
【0029】
当該エア工具10においては、制限部材36を制限位置から解除位置に変位させるのに必要な変位量は、各側壁58a、58b、50a、50bの厚さ分だけで良いため、操作レバー34と制限部材36とが当接する位置の間隔、すなわち係止突起68a、68b間および制限突起70a、70b間の間隔に比べて、制限部材36の変位量を小さくすることができる。制限部材36の変位量を小さくすることにより、エア工具10全体の小型化が可能になる。
【0030】
上記実施形態においては、操作レバー34と制限部材36の大半の部分がハウジング24内に収容されており、操作レバー34と制限部材36の各操作部48、64のみがハウジング24の外部に突出するようになっている。そのため、例えば当該エア工具10を落下させるなどした場合にも、操作レバー34や制限部材36に直接衝撃が加わることがあまりなく、操作レバー34や制限部材36が破損する可能性を大幅に低減させることが可能となる。
【0031】
上記実施形態においては、本発明のエア工具10の一実施形態としてベルト式研削工具を示しているが、研磨機やトルクレンチなどの他の工具とすることもできる。また、操作レバー34の係止突起68a、68bと制限部材36の制限突起70a、70bとをそれぞれ2つずつ備えているが、さらに追加の係止突起及び制限突起を備えるようにしてもよい。さらには、給気路28及び排気路30をハウジング24とは別体の給排気管26により構成するようになっているが、給気路28を構成する給気管と排気路30を構成する排気管とを別の部材としてもよいし、給気路28と排気路30の両方または一方をハウジング24に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
エア工具(ベルト式研削工具)10;工具本体部12;ベルト駆動部14;エアモータ16;プーリ支持部材18;アイドルプーリ20;無端研削ベルト22;ハウジング24;給排気管26;給気路28;排気路30;バルブ32;操作レバー34;制限部材36;弁座部38;弁体40;スプリング42;バルブ操作軸44;レバー本体部46;操作部48;側壁50a、50b;底壁52;レバー取り付け部54a、54b;枢軸56;側壁58a、58b;頂壁60;制限部材本体部62;操作部64;ガイド面66;スプリング67;係止突起68a、68b;制限突起70a、70b
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9