(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382173
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ペット用玩具
(51)【国際特許分類】
A01K 15/02 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
A01K15/02
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-218755(P2015-218755)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-85942(P2017-85942A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111638
【氏名又は名称】ドギーマンハヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】木根 博文
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−245026(JP,A)
【文献】
米国特許第5045014(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
A01K 29/00
A63H 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台(3)内に略上下方向を向いた回転軸(19)が配置されると共に、回転軸(19)を軸心廻りに回転させる駆動装置が設けられ、回転軸(19)の上端部に可撓性線材(4)の基部が連結されて、可撓性線材(4)が支持台(3)の上部から上方に向けて突出され、可撓性線材(4)が下方に向けて湾曲するように可撓性線材(4)の先端部に誘惑体(5)が装着されたペット用玩具であって、
誘惑体(5)の回転軸(19)廻りの回転に伴って支持台(3)が逆方向に回転可能になると共に倒伏揺動可能になるように支持台(3)の底面(24)が球面状に形成され、支持台(3)は倒伏揺動しても起き上がるようにその重心が下部に設定されていることを特徴とするペット用玩具。
【請求項2】
前記回転軸(19)は支持台(3)の縦軸心(X)に対してずらされていることを特徴とする請求項1に記載のペット用玩具。
【請求項3】
支持台(3)は上下方向に長いダルマ形又は卵形に形成され、誘惑体(5)の回転軸(19)廻りの回転速度が1回転内で早くなったり遅くなったりするように、前記回転軸(19)のずれは支持台(3)の縦軸心(X)に対する傾斜によるずれであることを特徴とする請求項2に記載のペット用玩具。
【請求項4】
駆動装置がゼンマイバネを有するゼンマイ装置(21)により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペット用玩具。
【請求項5】
前記誘惑体(5)は、空気抵抗の大きい抵抗体(39)を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペット用玩具。
【請求項6】
前記支持台(3)内の下部に錘(22)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のペット用玩具。
【請求項7】
可撓性線材(4)の先端部に誘惑体(5)が連結部(47)を介して屈曲自在に連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のペット用玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫等のペットをじゃらして遊ばせるようにしたペット用玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の手を借りずに猫等のペットが勝手に遊ぶことができて、猫等のストレスや運動不足の解消になるようにしたペット用玩具には、支持台から上方向に突出した回転軸の上部に、回転腕を水平方向に突設し、回転腕の先端に紐を連結し、その紐の先端に誘惑体を装着し、モータで回転軸を回転させて、誘惑体を回転腕と共に回転軸廻りに回転させるようにしたものがある(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3000984号公報
【特許文献2】実開平6−41461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の場合、回転軸が回転しても支持台が固定されたままで動くことはなく、また、誘惑体乃至回転軸廻りの回転が略一定速度に保持されており、誘惑体の動きが非常に単調であり、猫等のペットが直ぐに飽きてしまい猫等を十分にじゃらすことができないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、回転軸の回転に伴って支持台が動くし、誘惑体の動きが複雑になるようにして、猫等のペットを直ぐに飽きることなく十分にじゃらすことができるペット用玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、支持台3内に略上下方向を向いた回転軸19が配置されると共に、回転軸19を軸心廻りに回転させる駆動装置が設けられ、回転軸19の上端部に可撓性線材4の基部が連結されて、可撓性線材4が支持台3の上部から上方に向けて突出され、可撓性線材4が下方に向けて湾曲するように可撓性線材4の先端部に誘惑体5が装着されたペット用玩具であって、
誘惑体5の回転軸19廻りの回転に伴って支持台3が逆方向に回転可能になると共に倒伏揺動可能になるように支持台3の底面24が球面状に形成され、支持台3は倒伏揺動しても起き上がるようにその重心が下部に設定されている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記回転軸19は支持台3の縦軸心Xに対してずらされている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、支持台3は上下方向に長いダルマ形又は卵形に形成され、誘惑体5の回転軸19廻りの回転速度が1回転内で早くなったり遅くなったりするように、前記回転軸19のずれは支持台3の縦軸心Xに対する傾斜によるずれである点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、駆動装置がゼンマイバネを有するゼンマイ装置21により構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記誘惑体5は、空気抵抗の大きい抵抗体39を有している点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記支持台3内の下部に錘22が設けられている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、可撓性線材4の先端部に誘惑体5が
連結部47を介して屈曲自在に連結されている点にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転軸の回転に伴って支持台が回転軸とは逆方向に回転できるし、倒
伏揺動しながら動き回ることができ、可撓性線材が可撓性によって揺動して誘導体が上下動するのと相俟って、誘惑体の動きが非常に複雑になり、支持台の動きと誘惑体の複雑な動きによって猫等のペットを直ぐに飽きることなく十分にじゃらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態を示すペット用玩具の分解図で、(a)は支持台の前構成体側の背面図、(b)は支持台の後構成体側の正面図である。
【
図2】同
図1のA−A線に相当するペット用玩具の断面図である。
【
図5】同動作説明用のペット用玩具の正面図である。
【
図6】第2実施形態を示すペット用玩具の背面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図4は本発明の第1実施形態を示している。
図1〜
図4において、ペット用玩具1は、支持台3と、支持台3の上部から突出された可撓性線材4と、可撓性線材4の先端部に装着された誘惑体5とを備える。
支持台3は、硬質な合成樹脂等により内部に空洞7を有する上下方向に長いダルマ形に形成されている。支持台3の外観形状が耳や尻尾や口部分を有する猫の形状とされ、外面には猫を表す色や模様が施されている。
【0012】
この支持台3は、半割球面状の前構成体9と後構成体10とを有し、これらの対向端部同士を嵌合固定してなり、前構成体9の後端部に環状の外嵌合凸部13と環状の内嵌合凹部14とが形成され、後構成体10の前端部に環状の内嵌合凸部15と環状の外嵌合凹部16とが形成されており、外嵌合凸部13と外嵌合凹部16とを嵌合すると共に内嵌合凹部14と内嵌合凸部15とを嵌合してねじ等で固定することにより、ダルマ形状に構成されている。
【0013】
支持台3内(空洞7)の上部の縦軸心Xの近傍に略上下方向を向いた回転軸19が配置され、支持台3内の中央部に回転軸19をその軸心Y廻りに回転させる駆動装置であるゼンマイ装置21が設けられている。支持台3内の下部に鉛や鉄により構成された錘22が設けられている。
支持台3はその底面が球面状に形成されており、支持台3を床等に載置した際にその載置面との接触面積が小さくて不安定な姿勢になるため、誘惑体5の回転軸19廻りの回転に伴ってその反作用で支持台3が逆方向に回転可能であると共に倒伏揺動可能になっている。また、錘22によって、支持台3の重心が下部に設定されており、支持台3が倒伏揺動しても元の状態に起き上がるようになっている。
【0014】
ゼンマイ装置21は、図示省略のゼンマイバネを収納したボックス体26と、ゼンマイバネを巻くための摘み27と、摘み27の連動軸28に外嵌固定した第1ギヤ31とこの第1ギヤ31に噛合した第2ギヤ32と、回転軸19を上方突出状に固定した回転体33とを備え、回転体33に第2ギヤ32が噛合されている。
摘み27は連動軸28を介してゼンマイバネの内端基部に連結されており、摘み27を矢印a方向に回転するとゼンマイバネが巻かれ、摘み27を放すと、ゼンマイバネの弾性力によって摘み27が矢印b方向に回転し、この回転力が第1ギヤ31及び第2ギヤ32を介して回転体33に伝達されて、回転軸19が矢印c方向に回転するように構成されている。例えば、摘み27を矢印a方向に5回転程度回転してゼンマイバネを巻くと、回転軸19が250回転程度回転するようになっている。
【0015】
連動軸28はボックス体26から後方に突出されて支持台3後部中央の挿通孔34を介して支持台3の後方に突出され、この突出端部に摘み27が外嵌固着されて、摘み27は支持台3の後部中央に外方突出されている。
回転軸19の上部は支持台3に上端部から挿通孔35を介して上方に突出されており、回転軸19の上部に連結具37が嵌合固定されている。
【0016】
回転軸19(の軸心Y)は支持台3の縦軸心Xに対し傾斜されてずらされている。これ
により、回転軸19は軸心Y廻りに回転するばかりではなく、支持台3の回転に伴って縦軸心X廻りにも回転するし、誘惑体5が空気抵抗を受けることとも相俟って、回転軸19が一定速度で回転しようとしても、その1回転内で誘惑体5の回転軸19廻りの回転速度が早くなったり遅くなったりするようになっている。
【0017】
可撓性線材4は可撓性を有すると共に塑性変形可能なステンレス線等によって構成されており、誘惑体5の重み等によって撓むことが可能であると共に、手の力で簡単に塑性変形により自在に曲げることができるようになっている。
可撓性線材4の基部が連結具37に内嵌固着されており、これにより、可撓性線材4の基部が回転軸19の上部に連結されて、可撓性線材4は支持台3の上部から上方に向けて突出されている。可撓性線材4の先端部に誘惑体5が連結され、可撓性線材4は支持台3の上部から上方に向けて突出された後に、誘惑体5の重みによって又は塑性変形によって下方に湾曲されており、全体として上方に向けて凸状又は逆U字状に湾曲されている。
【0018】
誘惑体5は、鳥や昆虫の形状をしていて空気抵抗の大きい羽根等の抵抗体39を有しており、可撓性線材4乃至誘惑体5が回転軸19廻りに回動する際の抵抗になっている。これにより、回転軸19の回転が遅くなり長期間にわたって回転するようになっている。例えば、ゼンマイバネを巻いてから2分〜7分間程度に亘って250回転程度回動し続けることができるようになっている。なお、誘惑体5は、鳥や昆虫の形状をしていて抵抗体39を有するものであってもよいし、単に単数又は複数の抵抗体39を有するものであってもよい。
【0019】
前記第1実施形態によれば、猫等のペットをじゃらす場合、摘み27を矢印a方向に2回転程度回転してゼンマイバネを巻き、支持台3を床等におくと、回転軸19が矢印c方向に回転し、可撓性線材4及び誘惑体5が回転軸19廻りにc方向に回転する。このとき、可撓性線材4が誘惑体5の重みにより上下に大きく揺動しながら回転して、誘惑体5が上下動する。誘惑体5は空気抵抗の大きい抵抗体39を有しているため、回転軸19の回転が遅くなり、回転軸19が250回転程度を2分〜7分間程度に亘って回転し続けることができる。
【0020】
このとき、支持台3を置いた床等が滑り易い場合は、支持台3はその底面24が球面状に形成されているため、誘惑体5の回転軸19廻りの回転に伴って、支持台3が逆方向(矢印d方向)に回転すると共に倒伏揺動しながら動き回る。しかも、回転軸19は支持台3の縦軸心Xに対し傾斜されているため、回転軸19が一定速度で回転しても、その1回転内で誘惑体5の回転軸19廻りの回転速度が早くなったり遅くなったりする。
【0021】
さらに、回転軸19の駆動装置がゼンマイ装置21であるため、回転軸19の回転速度が変動し易く、回転のはじめと終わりとでは回転速度が異なるため、回転軸19の回転速度の変動によっても、誘惑体5の動きに変動が生じて、猫等のペットに興味をそそらせることができる。
従って、回転軸19の回転に伴って支持台3が回転軸19とは逆方向に回転できるし、倒伏揺動しながら動き回ることができ、可撓性線材4が可撓性によって揺動して誘惑体5が上下動するのと相俟って、誘惑体5の動きが非常に複雑になり、支持台3の動きと誘惑体5の複雑な動きによって猫等のペットを直ぐに飽きることなく十分にじゃらすことができる。
【0022】
また、支持台3を置いた床等に絨毯や座布団が敷いてあって滑り難い場合には、滑り易い床等に設置した場合とは異なり、回転軸19の回転に伴って支持台3が回転したり倒伏揺動したりすることがなくなり、同一位置に停止した状態で、回転軸19の回転に伴って、可撓性線材4及び誘惑体5が回転軸19廻りの矢印c方向に回転する。このとき、可撓性線材4が誘惑体5の重みにより上下に大きく揺動しながら回転して、誘惑体5が上下動する。
【0023】
従って、支持台3を置いた場所が滑り易いか、滑り難いかによっても、誘惑体5の動きを変更させることができ、ペットを好みに応じて誘惑体5の動きに様々な変化を付けることができ、この点からも、猫等のペットを直ぐに飽きることなく十分にじゃらすことができる。
また、回転軸19の駆動装置がゼンマイ装置21であるため、回転軸19の回転の途中で猫等のペットが誘惑体5を捕まえて、回転軸19の回転の止まるようなことがあっても、その停止期間はゼンマイバネが巻き戻らないので、ペットが誘惑体5を放すと、回転軸19は再び回転を続け、その回転停止期間を除いた所望の回転期間までは回転を続けることとなる。従って、回転軸19が途中で回転停止してもそのまま回転軸19の回転が停止するようなことがなくなり、回転軸19の所望の回転期間を確保することができ、ペットを一定期間じゃらすことができる。
【0024】
図6は第2実施形態を示し、支持台3は、内部に空洞7を有する上下方向に長い卵形に形成されている。支持台3の外観形状が耳や尻尾や口部分を有するネズミの形状とされ、外面にはネズミを表す色や模様が施されている。
この支持台3は、半割球面状の下構成体43と上構成体44とを有し、これらの対向端部同士を嵌合固定してなり、下構成体43の上端部に環状の内嵌合凸部15と環状の外嵌合凹部16とが形成され、上構成体44の下端部に環状の外嵌合凸部13と環状の内嵌合凹部14とが形成されており、内嵌合凸部15と内嵌合凹部14とを嵌合すると共に外嵌合凹部16と外嵌合凸部13とを嵌合して接着剤等で接着固定することにより、卵形状に形成されている。
【0025】
また、可撓性線材4の先端部に誘惑体5が、球継手等により構成してなる又はリングを鎖状に連結してなる連結部47を介して屈曲自在に連結されており、誘惑体5は可撓性線材4の先端部に対して首振り揺動可能とされている。その他の点は前記第1実施形態の場合と同様の構成である。
従って、第2実施形態では、支持台3が逆方向に回転可能であると共に倒伏揺動可能であることに加えて、回転軸19の回転に伴って可撓性線材4に対して誘惑体5を首振り揺動させることができ、より一層誘惑体5の動きに変化を付けることができる。
【0026】
なお、前記実施形態では、支持台3内の下部に回転軸19を軸心廻りに回転させる駆動装置として、ゼンマイ装置21が設けられているが、これに代え、支持台3内の下部に回転軸19を軸心廻りに回転させる駆動装置として、モータと該モータの電力を供給する電池を設けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、支持台3の下部に錘22を設けているが、これに代え、錘22を省略し、支持台3の下部にゼンマイ装置21等の駆動装置を配置することによって、支持台3の重心を下部に設定するようにしてもよい。
【0027】
また、前記実施形態では、回転軸19は支持台3の縦軸心Xに対して傾斜によってずらされているが、これに代え、回転軸19を支持台3の縦軸心Xに対して平行移動させることによりずらすようにしてもよい。
また、前記実施形態では、支持台3は上下方向に長いダルマ形又は卵形に形成されているが、これに代え、支持台3は底面24が球面形状であればよく、底部よりも上側は円柱形状、角柱形状、瓢箪形状その他であってもよい。
【0028】
なお、前記実施形態では、摘み27を矢印a方向に回転するとゼンマイバネが巻かれ、回転軸19が矢印c方向に回転するように構成されているが、これに代え、摘み27を矢印a方向と逆方向に回転するとゼンマイバネが巻かれるようにしてもよいし、回転軸19が矢印c方向とは逆方向に回転するようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 ペット用玩具
2 支持台
4 可撓性線材
5 誘惑体
19 回転軸
21 ゼンマイ装置(駆動装置)
22 錘
24 底面
39 抵抗体