【文献】
Nomayr A et al,MRI appearance of radiation-induced changes of normal cervical tissues,EUROPEAN RADIOLOGY,米国,2001年 1月18日,vol.11, no.9,1807-1817
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較の後に、前記浮腫の変化が前記期待値を超えるか或いは前記期待値より小さいかの少なくとも一方に基づいて、ユーザ・インターフェースに警告を生成させることを更に含む、請求項1に記載のシステム。
前記比較の後に、前記浮腫の変化が前記期待値を超えるか或いは前記期待値より小さいかの少なくとも一方に基づいて、ユーザ・インターフェースに警告を生成させることを更に含む、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
前記基準MRIスキャンは、1つのフラクションの前に捕捉され、前記後続のMRIスキャンは、前記フラクション中に捕捉される、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
前記オペレーションは、表示部に、前記患者の組織における細胞死の量の評価の視覚的描写を生成することを更に含む、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【背景技術】
【0003】
放射線療法は、癌治療(手術、化学療法、及び放射線療法)の3つの主要な形態の中で特有且つ確立された役割を保持している。手術は、身体から癌を含む組織を取り除き、それらを破壊する。化学療法は、全身にわたって微細な疾患を滅菌する。放射線療法のみが、癌組織を破壊することと、微細な疾患を滅菌することの両方を同時にできる。経験的な切除癌治療技術(例えば、超音波、温熱療法、及び凍結外科手術)のみが外科手術のように組織を破壊でき、新型の化学療法の薬剤では固形腫瘍を効果的に破壊できない。放射線療法は、癌治療及び切除治療の最適な治療として、その重要な役割を維持するとともに拡大する。
【0004】
放射線療法の臨床的な目的は、腫瘍及び標的に対して最適化された電離放射線量の分布を、周囲の正常な組織への放射線量を抑えながら、正確に提供することにある。電離放射線の提供において、臨床医は、疾患が根絶される可能性と、周囲の健康な又は機能的な組織への放射線照射によって致命的な又は衰弱させる副作用が生じる可能性とのトレードオフを試みる。
【0005】
組織を除去するか、滅菌するか否かに関わらず、電離放射線は、細胞内のDNA又は他の重要な分子の化学的結合を破壊することによって細胞を死滅させる。放射線療法は、癌細胞を急速に分割するターゲッティングによって機能し、放射線は、細胞内のDNA又は他の重要な分子を損傷させる反応を引き起こし、細胞分裂時に細胞死を引き起こす。癌細胞は、通常の細胞とは異なり、急速に分裂し且つ容易には修復することができず、放射線による遺伝子損傷の結果として、健康な細胞よりも簡単に死滅する。時間をかけて治療するとともに放射線量を分割(fractions)して照射することは、腫瘍細胞を優先的に排除しながら、健康な細胞を修復することを可能にする。より大きな位置調整及び固定精度が定位固定法によって達成される場合には、健康な細胞のより少ない修復が受け入れられてもよい。
【0006】
癌を治療又は除去するための電離放射線療法の使用は、DNA又は癌性或いは標的とされる細胞の他の重要な分子を損傷させることによって作用する。このDNAの損傷は、イオン化荷電粒子がDNA鎖又は他の重要な細胞分子を作り出す直接的又は間接的な原子のイオン化を発生させたときに、引き起こされる。直接的なイオン化は、衝突する放射線によってDNA又は他の重要な細胞分子の原子が直接生成されたときに発生する。間接的なイオン化は、DNA又は他の重要な細胞分子を損傷させるフリーラジカルを形成する含水細胞成分のイオン化の結果として発生する。細胞は、一本鎖DNAの損傷を修復するためのメカニズムを有し、二本鎖DNAの破壊は、細胞死を引き起こす最も重要なメカニズムである。癌細胞は、一般的に未分化で幹細胞状であり、最も健康な分化した細胞よりも多く再生され、且つ、亜致死損傷を修復する能力を低下させるものである。一本鎖DNAの損傷は、その後、細胞分裂及び損傷を通じて癌細胞のDNAに伝えられ、死滅又はよりゆっくりとした再生を引き起こす。
【0007】
放射線感受性は、電離放射線の有害な影響に対する細胞、組織、器官、又は生物の相対的感受性である。一般に4R:再酸素化、細胞周期の再分類、亜致死損傷の修復、及び再増殖と呼ばれる放射線感受性の四大修飾因子(modifiers)がある。
【0008】
腫瘍は、癌細胞が放射線に対して耐性があると考えられている低酸素(低水性酸素濃度)の領域を含んでいる。分割放射線療法の間、これらの領域は、腫瘍内の圧力の減少及び血管系の正常化を含む様々なメカニズムによって再酸素化される。放射線フラクション(分割)の間の再酸素化は、あらかじめ低酸素腫瘍領域の放射線増感作用をもたらし、放射線療法の効率を増加させると考えられている。
【0009】
哺乳動物の細胞は、細胞周期の進行中に異なる耐放射線性レベルを示す。一般的に、放射線は、より大きな増殖能を有する細胞に対してより大きな効果を有する。S期後期の細胞は特に耐性があり、G2期及びM期の細胞は電離放射線に対して最も敏感である。分割放射線療法中、G2M期の細胞は優先的に死滅される。二つのフラクション間の時間は、細胞周期のS期からの耐性細胞を、細胞がより放射線感受性を有する段階で再分配することを可能にする。
【0010】
電離放射線による細胞死は、DNA二本鎖の破壊(DSBs)又は他の重要な分子の損傷を伴う修復不可能な障害の生産に基づいている。しかしながら、ほとんどの放射線誘発のDNA損傷は亜致死である。この損傷は、一般的に低放射線量で修復されるが、高放射線量での亜致死損傷の蓄積も致死性に貢献する。クリティカルな正常組織及び腫瘍は、しばしば放射線損傷を修復する能力に差があるので、放射線フラクションの間の亜致死損傷の修復が、放射線療法に利用されている。
【0011】
正常及び悪性の幹細胞は、娘幹細胞及び委任前駆細胞を生じる非対称の細胞分裂を行う能力を有している。これに対して、幹細胞は、対称的な細胞分裂で2つの委任前駆細胞又は2つの娘幹細胞に分割する。もし後者が幹細胞分裂の1%だけ発生した場合、20細胞倍加後の幹細胞の数は、委任前駆細胞の数の2倍になる。このように、幹細胞分裂における小さな変化は、組織又は腫瘍の構成に大きな効力を持つことができ、再増殖の加速のメカニズムであると考えられている。
【0012】
急速に分割する腫瘍細胞及び腫瘍幹細胞は、一般的に(常にではないが)、体細胞の大部分よりも敏感である。前述した4Rは、例えば、低酸素でありX線に敏感ではない腫瘍及び健康な細胞の両方の放射線感受性に大きな効力を持つことができ、X線は酸素をイオン化することによって生成されたフリーラジカルを通じてそれらの効果のほとんどを成立させる。
【0013】
最も敏感な細胞は、未分化で、栄養状態が良く、迅速に分割し、代謝的に高活性である。体細胞の中で、最も敏感なものは、精原細胞と赤芽細胞、表皮幹細胞と胃腸幹細胞である。あまり敏感でないものは、神経細胞と筋線維である。卵母細胞とリンパ球は、静止細胞であり、上述した基準を満たしていないが、それらも非常に敏感な細胞に含まれる。
【0014】
細胞の損傷は、致死的(細胞が死滅する)又は亜致死的(細胞がそれ自身で修復できる)である。細胞への効力は、確定論的及び/又は確率論的であってもよい。
【0015】
確定論的効力は、それらが出現せず且つX線照射の必然的な結果であるX線照射の閾値を有する。確定論的効力による損傷は、一般的に放射線量に依存する。そのような効力は、通常、約0.25〜2Sv(シーベルト)の放射線量の範囲では亜致死的(例えば、それらは、あまりはっきりしない疾病の形態を提供する)あり、約2〜5Svの放射線量の範囲では致死的(例えば、人口の一定の割合が60日以内に死亡する)である。約5Svを超える放射線量は、大半の人間を60日以内で死亡させ、6〜7Svを超える放射線量は、全ての人間を死亡させる。もちろん、任意の一人への特定の効力は、他の要因、例えば、年齢、性別、健康などにも依存する。
【0016】
確率論的又はランダム的な効力は、身体的効力又は遺伝子的効力のいずれかに分類することができ、偶発的に発生し、避けることができない。また、そのような効力は、閾値を持たない。身体的効力の中では、二次癌が最も重要である。放射線が直接的且つ間接的にDNA変異の原因になるため、二次癌が通常発達する。直接的な効力は、粒子及び光線自体をイオン化することによって引き起こされる一方、間接的な効力は、特に水の放射線分解及び酸素の放射線分解を生じさせるフリーラジカルによって引き起こされるものである。遺伝子的効力は、子孫に癌の素因を与える。
【0017】
放射線に対するある種の癌細胞の反応を、その放射線感受性によって述べる。放射線感受性が高い癌細胞は、少量の放射線量によって死滅される。そのような癌細胞には、白血病、大半のリンパ腫、及び胚細胞腫瘍が含まれる。上皮癌の大部分は、少しの放射線感受性を有し、根治するためには、例えば、約60〜70Gy(グレイ)の非常に高い放射線量を必要とする。いくつかのタイプの癌は、顕著な放射線耐性を有する、すなわち、臨床治療を安全にするよりも、根治させるためにはより高い放射線量が必要である。腎細胞癌及び黒色腫は、一般的に放射線耐性があると考えられている。
【0018】
放射線療法に対する腫瘍の反応は、腫瘍のサイズにも関係する。複雑な理由で、非常に大きな腫瘍は、小さな腫瘍又は微小な疾患よりも、放射線に対してあまり反応しない。この効力を克服するために様々な戦略を用いることができる。最も一般的な技術は、放射線療法より前の外科的切除である。このアプローチは、広範囲局所切除又は乳房切除に続いて補助的放射線療法を行う乳癌の治療において最も一般的に見られる。もう一つの方法は、根治的放射線療法の前に腫瘍免疫賦活薬化学療法で腫瘍を縮小することを必要とする。第3の技術は、放射線療法の間、特定の薬を投与することによって癌の放射線感受性を強化することを含む。放射線増感剤の例としては、シスプラチンに限定されず、ニモラゾール、セツキシマブなどが含まれる。
【0019】
放射線療法は、患者への痛みがない。多くの低放射線量の対症療法(例えば、骨転移に対する放射線療法)は、治療領域の神経を圧迫する浮腫のために治療後の数日間、短期間の痛みの再発が経験されるが、最小限の副作用しかない又は全く副作用がない。高い放射線量は、治療後の数ヶ月又は数年間(長期間の副作用)、或いは再治療後(累積的な副作用)において、治療の間の副作用(ひどい副作用)を変化させることができる。副作用の性質、重症度、寿命などは、放射線を受ける器官の放射線感受性、治療法自体(放射線のタイプ、放射線量、分割放射線療法(fractionation)、同時化学療法)、及び患者に依存する。放射線からの副作用は、通常、治療下にある患者の身体の領域に限定されている。
【0020】
放射線療法の現在の技術で観察される主な副作用は、疲労及び皮膚炎である。疲労は、治療の途中でセットされ、治療終了後数週間続くことが多い。炎症を起こした皮膚は治癒するが、以前と同じような弾性を有さない場合がある。また、多くの急性の副作用も観察されている。
【0021】
急性の副作用は、放射線照射開始後直ちに又はすぐに引き起こされる。そのような効力は、腫張(浮腫とも呼ばれる)、嘔気嘔吐、上皮表面の損傷、口内及び咽喉頭の痛み、腸の不快感、不妊などを含み得る。晩期障害は、治療後数ヶ月から数年発生し、一般的に治療された領域に限定される。それらは、血管及び結合組織細胞の損傷によって引き起こされることが多い。晩期障害の重症度は、より小さな部分への分割治療によって低減することができる。器官内で損傷され死滅した細胞は、以下に記載されている急性の作用の多くの根本的な原因である電離放射線に対する炎症反応を示すとともに生成する。
【0022】
細胞の放射線損傷から発生する一般的な炎症の一部として、軟組織の腫張は、放射線療法中に問題を引き起こし得る。この急性の作用は、特に、既存の頭蓋内圧の上昇が存在する場合、又は腫瘍が内腔(例えば、気管、主要気管支)のほぼ完全な閉塞の原因となっている場合に、脳腫瘍及び脳転移の治療中の関心事になり得る。放射線での治療の前に外科的介入を考慮することができる。もし、手術が不要又は不適切と判断された場合、患者は、腫張を軽減するために、放射線療法中にステロイドを受けてもよい。
【0023】
嘔気嘔吐は、一般的には、胃又は腹部の治療(一般的に治療後数時間反応する)、又は、特定の頭頸部腫瘍、最も一般的には内耳の前庭の治療中における頭部内の特定の吐き気生成構造に対する放射線療法と関連付けられる。どんな苦痛な治療もそうであるように、一部の患者は、放射線治療中すぐに、又はそれを見越していた場合であっても嘔吐するが、このことは心理的反応と考えられる。何らかの理由による吐き気は、制吐薬で治療することができる。
【0024】
上皮表面は、放射線療法による損傷を維持することがある。治療される領域に依存し、これは、皮膚、口腔粘膜、咽頭、腸粘膜、尿管などを含み得る。損傷及び当該損傷からの回復の速度は、上皮細胞の代謝回転速度に依存する。一般的に、皮膚は、ピンク色になり、数週間痛くなる。この反応は、治療中及び放射線療法の終了後約1週間にわたって激しくなり、皮膚が破壊することがある。この湿気のある落屑は不快であるが、回復は通常速い。皮膚の反応は、例えば、女性の乳房の下、耳の後ろ、及び鼠径部のような皮膚の自然なひだが存在する領域で悪化する傾向がある。
【0025】
頭頸部が治療される場合、一般的に口や喉に一時的な痛みや潰瘍が発生することが有り得る。激しい場合、これらの作用は嚥下に影響を与える可能性があり、患者が鎮痛剤や栄養補給/食品サプリメントを必要とする場合がある。直接治療する場合は食道も痛くなるか、或いは、よく発生する場合には、肺癌の治療中に副次放射線の線量を受ける。
【0026】
下方の腸は、放射線(直腸又は肛門癌の治療)で直接治療してもよいし、他の骨盤構造(前立腺、膀胱、女性生殖管)に対する放射線療法にさらされる。典型的な症状は、痛み、下痢、吐き気を含む。
【0027】
生殖腺(卵巣及び睾丸)は放射線に対して非常に敏感である。それらは、放射線の最もノーマルな治療放射線量に直接さらされた後、配偶子を生成することができないことが有り得る。身体の全ての部位に対する治療計画は、それらが治療の最重要部位ではなく、生殖腺に対する放射線量を完全に排除できない場合、最小限に抑えるように設計される。不妊症は、少なくとも1つの生殖腺を放射線から免れさせることによって効率的に回避することができる。
【0028】
長期にわたって、細胞死及び組織を変性又は損傷させる放射線による他の形態学的変化が、例えば、繊維症、脱毛、乾燥、リンパ浮腫、癌、心臓病、認知機能の低下、放射線直腸炎などの遅発性の副作用として現れる。
【0029】
線維症は、びまん性瘢痕化プロセスのために、時間とともに伸縮しなくなる傾向がある放射線を浴びた組織をいう。脱毛(抜け毛)は、1Gyを超える放射線量で如何なる髪を支える皮膚にも発生し得る。それは、放射線場のみで発生する。抜け毛は、10Gyの単一の放射線量で永続的になり得るが、放射線量が永続的に分割される場合、抜け毛は、45Gyを超える放射線量まで発生しないことが有り得る。
【0030】
唾液腺や涙腺は、2Gyのフラクション(最も根本的な頭頚部癌の治療を超える放射線量)で約30Gyの放射線耐性を有している。口渇(口内乾燥症)及びドライアイ(眼球乾燥症)は、刺激性のある長期的な問題になり得るとともに、患者の生活の質を激しく低減させ得る。同様に、治療された皮膚の汗腺(例えば、脇の下など)は、機能を停止する傾向があり、本質的に湿気のある膣粘膜は、骨盤照射後に乾燥することがよくある。
【0031】
リンパ浮腫(局所的な体液貯留及び組織の腫張の状態)は、放射線療法中に持続するリンパ系への損傷から生じ得る。それは、腋窩リンパ節を取り除く手術後に補助的に腋窩の放射線療法を受ける乳房の放射線療法の患者において最も一般的に報告される合併症である。
【0032】
放射線は、癌を治療するために使用される間、同時に、癌の潜在的な原因となり、二次的悪性腫瘍が、通常1/1000よりも少ない極少数の患者に見られる。いくつかの血液学的悪性疾患は、5〜10年以内に発達することが有り得るが、放射線治療から生じる癌は、治療後、通常20〜30年で発生する。ほとんどの場合、このリスクは、原発性癌を治療することによって付与されるリスクの低下の方が大幅に上回る。放射線治療に起因する新たな癌は、一般的には、患者の治療された領域内で発生する。
【0033】
放射線は、いくつかの過去の乳癌のRTレジメン後に見られる心臓病による死亡の潜在的な余分のリスクを有している。
【0034】
頭部に放射線が適用される場合、放射線療法は、認知機能の低下を引き起こす可能性がある。認知機能の低下は、特に、5〜11歳の間の、幼い子供に現れる。例えば、5歳の子供のIQがいくつかのIQのポイントによる治療後に毎年減少したことが研究で分かった。
【0035】
放射線直腸炎は、出血、下痢、尿意切迫の1以上を含む直腸での長期的な作用を引き起こし、一般的に骨盤内器官への放射線療法と関連する。骨盤の放射線療法は、膀胱が影響を受けているときに放射線膀胱炎を引き起こし得る。
【発明を実施するための形態】
【0044】
電離放射線により組織に生じる物理的変化は、解剖学的形態及び信号強度の変化のように磁気共鳴画像法(MRI)で検知可能な変化を生成する。従来のMRIの診断技術において、これらの変化は、一般的に、更なる診断及び経過観察の障害になることが考えられ、MRI診断検討の誤解を避けるために記載される。一例として、「正常な頸部組織の放射線誘発変化のMRI外観」 ノーマイヤ・A・レル、M・スウィーニー、R・バウツ、W・ルーカス、P・エウル・ラディオル 2001;11(9):1807−1817年参照。
【0045】
これに対して、これらの変化を扱う本主題の実施例は、適切な放射線学的な診断に対する単なる阻害要因ではなく、むしろ放射線治療技術の評価及び改善に有用なツールである。
【0046】
現在利用可能な手法において、放射線治療中の疾患が放射線療法又は副作用を生じる放射線療法によって根絶される可能性の評価は、患者の治療計画から導出される放射線量の情報を評価することを通常含む。患者の幾何学的及び解剖学的な変化は、照射線量を、計画線量と異ならせることができる。共同所有の米国特許7,907、987に記載されているように、放射線治療の改善は、例えば、放射線照射プロセス中にリアルタイムで同時的な磁気共鳴画像法(MRI)を組み込むことによって、放射線治療照射レジーム(regime)の間に患者の動き及び変化の存在を説明することを含んでもよい。また、腫瘍の微小環境及び放射線を浴びた健康な組織は、上述した4Rの影響を受け得る。しかしながら、放射線治療に対するそのような物理的反応の体内評価の効果的且つ実用的な方法は、従来存在しない。
【0047】
本主題は、放射線治療中に疾患が根絶される可能性又は放射線療法を受けている患者に副作用が生じる可能性を評価する臨床医の能力を向上させるために、放射線治療中に得られる付加的なMRIデータを取得し、評価し、組み込むための手法を含む。前記評価は、照射された放射線に対応する患者の組織中の物理学的且つ形態学的変化の測定の少なくとも一部に基づく。この情報は、治療効果を向上させ且つ副作用を軽減するために、患者の医学的管理及び治療に組み込まれてもよい。
【0048】
光子放射線療法に使用される放射線量は、グレイ(GY)で測定され、治療される癌のタイプ及び段階に応じて変化する。治療例として、固形上皮腫瘍に対する一般的な放射線量は60〜80Gyである一方、リンパ腫は20〜40Gyで治療される。予防的(補助的)放射線量は、一般的に(例えば、胸部、頭部、頸部癌に対する)1.8〜2.0Gyのフラクションで約45〜60Gyである。放射線量を選択するとき、放射線腫瘍医は、患者が化学療法を受けているか否か、患者の併存疾患、放射線療法が手術前又は手術後に施されているか否か、及び手術の成功の度合いを含む他の要因を考慮する。
【0049】
処方された放射線量の照射パラメータは、(例えば、線量測定分析又は他のプロセスの一部として)治療計画中に決定される。治療計画は、一般的に、特別な治療計画ソフトウェアを使用して専用のコンピュータ上で実行される。放射線照射方法に応じて、いくつかの角度又は光源が必要な総放射線量を合計するために使用されてもよい。治療計画者は、一般的に、腫瘍に均一な処方の放射線量を照射し、周囲の健康な組織に照射される放射線量を最小化する計画を設計しようとする。疾患を制御又は治療する可能性及び副作用の可能性は、臨床経験及び臨床試験によって確立された放射線量及び線量体積基準を評価することによって決定される。
【0050】
放射線療法のコースで照射された総放射線量は、1回の放射線量で照射されるか、又は分割されて照射(時間と共に広がる)されてもよい。分割放射線療法は、正常な細胞が修復する時間を許容するが、腫瘍細胞は、一般的に、フラクション間の修復の効率が良くない。また、分割放射線療法は、1回の治療フラクション中において細胞周期の放射線耐性を持つ段階にある腫瘍細胞が、次の治療フラクションが照射される前の細胞周期の敏感な段階へ循環することを許容する。同様に、慢性的又は急性的に低酸素である(それにより、より放射線耐性を持つ)腫瘍細胞は、腫瘍細胞の死滅を改善するためにフラクション間に再酸化されてもよい。分割放射線療法の治療計画は、異なる放射線療法センター間で個別に行われても、個々の医師間で個別に行われてもよい。大人に対する一般的な分割放射線療法のスケジュールは、1日あたり1.8〜2Gyで週5日である。いくつかの癌のタイプにおいて、長すぎるフラクション・スケジュールの延長は、腫瘍が再増殖を開始することを許容することができ、頭頸部及び子宮頸部の扁平上皮細胞癌を含むいくつかの腫瘍タイプに対して、放射線治療は、一定の時間内に終了することが好ましい。子供に対する一般的なフラクション線量は、1日あたり約1.5〜1.8Gyであり、より小さなフラクション線量は、正常な組織における発生率の減少及び遅発効果の程度と関連する。
【0051】
いくつかのケースにおいて、1日あたり2つのフラクションが、治療コースの終了付近で使用されている。このスケジュールは、同時追加治療計画(concomitant boost regimen)又は寡分割照射(hyperfractionation)として知られ、それらがより小さいときに、より迅速に再生する腫瘍に使用される。特に、頭頸部の腫瘍は、この性質を明示する。
【0052】
近年、少分割照射(hypofractionation)がより一般的になっている。これは、放射線の総線量が大線量に分割された放射線治療であり、この治療は、一日に一回よりも少なく与えられる。一般的な放射線量は、1フラクションあたり約3Gyから1フラクションあたり約20Gyまで、癌の種類によって大きく異なる。少分割照射アプローチは、一般的に、細胞が再生するのに十分な時間を与えないことによって癌の可能性を低くする。単一線量の照射又は少分割照射に対して、余分なケアが、局所的に取り入れられ、定位固定の方法で患者を固定することも多い。
【0053】
小線源療法(branchytherapy)によれば、移植片は、連続的に数分又は数時間かけて分割されてもよく、或いは、それらが不活性になるまで連続的にゆっくりと放射線を照射される永続的な種であってもよい。
【0054】
磁気共鳴画像は、人間の組織及び腫瘍の炎症及び他の反応を評価するために使用することができ、物理的な線量分布よりも細胞の損傷及び組織の反応のよりよい指標を提供する。腫瘍又は器官の微小環境に、或いは患者から患者へ遺伝学的に存在し得る放射線感受性の違いは、そのような方法で説明される。
【0055】
多くのタイプのMRIスキャンは、炎症反応及び電離放射線によって引き起こされる形態学的変化を評価することができる。MRIスキャンの例としては、基本的なMRIスキャン(例えば、T
1強調MRI、T
2強調MRI、T
*2強調MRI、スピン密度強調MRIなど)及び特殊なMRIスキャン(例えば、拡散MRI、磁化移動MRI、T
1ρMRI、フレアー法、磁気共鳴血管造影法、磁気共鳴ゲート型頭蓋内CSFダイナミクス、磁気共鳴分光法、磁気共鳴分光画像法、機能MRIなど)が含まれる。
【0056】
T
1強調スキャンは、身体内の様々な組織のスピン格子(又はT
1)緩和時間の差を表現するスタンダードなスキャンの一式をいう。T
1強調画像は、スピンエコー法又はグラジェントエコー法のいずれかのシーケンスを使用して取得することができる。T
1強調コントラストは、反転回復RFパルスの印加に伴って増加されてもよい。T
1強調コントラストに基づくグラジェントエコー法は、短い中間パルス繰り返し時間(TR)を使用する能力のために、非常に迅速に取得することができる。T
1強調シーケンスは、T
1短縮MRI造影剤の注入の前後によく収集される。脳において、T
1強調スキャンは、灰白質と白質との間で明らかなコントラストを提供する。身体において、T
1強調スキャンは、脂肪を水と区別するのによく機能し、水はより黒く見え、脂肪はより輝いて見える。
【0057】
T
2強調スキャンは、身体内の様々な組織のスピン−スピン(又はT
2)緩和時間の違いを示す標準スキャンの一式をいう。T
1強調スキャンのように、脂肪は、水と区別される。しかしながら、T
2強調スキャンにおいて、脂肪はより暗く表示され、水はより明るく表示される。例えば、脳及び脊髄の研究の場合、T
2強調画像では、CSF(脳脊髄液)は、より明るくなる。それゆえ、これらのスキャンは、長いエコー時間(TE)と長いTRで浮腫を画像化することが特によく適している。スピンエコー法のシーケンスは、磁界の不均一性に対して敏感ではないので、これらの画像は長く臨床の主力であった。
【0058】
T
*2(「T2スター」と発音される)強調スキャンは、長いTE及び長いTRでグラジェントエコー(GRE)のシーケンスを使用する。使用されるGREのシーケンスは、スピンエコー法に使用される余分な再焦点パルスを持たないので、正常なT
2減衰(T
2’という)を超える付加的な損失を科せられる。これらの付加的な損失は、空気−組織の境界で、より感受性が損失しやすいT
2を作り出す傾向があるが、静脈血などの組織の特定のタイプに対してコントラストを増加させることができる。
【0059】
また、スピン密度(プロトン密度ともいう)強調スキャンは、一般的に、T
2減衰又はT
1減衰のいずれからもコントラストを有さず、利用可能なスピン(水の水素原子核)の量の違いから来る単一の変化のみ有する傾向にある。このアプローチは、短いTEで及び長いTRで、スピンエコー法、又は時々グラジェントエコー法で使用する。
【0060】
特殊なMRIスキャンのタイプである拡散MRIは、生体組織内の水分子の拡散を測定する。臨床的に、拡散MRIは、病気(例えば、脳卒中)又は神経疾患(例えば、多発性硬化症)の診断に有用であり、中枢神経系の白質の軸索の接続性の理解を向上させることができる。等方性の媒質(例えば、コップ1杯の水の内部)中において、水分子は、本質的に乱流及びブラウン運動に応じてランダムに移動する。しかしながら、生体組織において、レイノルズ数は、流れが層流になるように十分に低く、前記拡散は、異方性であってもよい。例えば、神経細胞の軸索の内部の分子は、ミエリン膜を通過する確率が低い。それゆえ、分子は、主に神経繊維の軸に沿って移動する。特定のボクセル中の分子が主に一方向に拡散することが分かっている場合、この領域における繊維の大部分がその方向に平行に進んでいると仮定することができる。
【0061】
拡散テンソル画像(DTI)の最近の開発は、拡散を複数の方向で測定することを可能にするとともに、各方向の異方性度を各ボクセルに対して推定することを可能にする。この開発は、(トラクトグラフィーを用いて)脳における異なる領域の接続性を調べるために、或いは、多発性硬化症などの疾患における神経変性と脱髄の領域を調べるために、研究者が繊維方向の脳地図を作ることを可能にする。
【0062】
拡散MRIの別の用途は、拡散強調画像(DWI)である。虚血性脳卒中の後、DWIは、病変で生じる変化に対して非常に敏感である。水拡散に対する制限の増加(障壁)は、細胞傷害性浮腫(細胞腫脹)の結果として、DWIスキャンにおけるシグナルの増加の原因になり得ると推測される。DWIの増大は、(4〜6時間にわたる急性梗塞の変化を検出しないことが多いコンピュータ断層撮影と比較して)脳卒中の症状の発症の5〜10分以内に表示され、2週間にわたって残存する。脳灌流の画像化と相まって、研究者は、再灌流療法によって救済可能な領域を示す「灌流/拡散の不一致」の領域を強調することができる。
【0063】
この技術は、他の多くの特殊なアプリケーションと同様に、通常、エコープラナー撮像シーケンスなどの高速画像取得シーケンスに加えられる。
【0064】
磁化移動(MT)は、NMR及びMRIにおいて、自由水のプロトンから水和水のプロトンへの縦磁化の移動をいう。タンパク質溶液などの分子性溶液の磁気共鳴画像において、自由(バルク)及び水和(結合)の2種類の水分子が発見される。自由水のプロトンは、より速い平均回転数を有し、局所的な磁界の不均一性の原因となる固定された水分子が少ない。この均一性のため、ほとんどの自由水のプロトンは、(1.5テスラで)63MHzの正常なプロトン共鳴周波数付近にある共振周波数を有する。また、このことは、より遅い横磁化の位相ずれをもたらし、それにより長いT
2をもたらす。逆に、水和水分子は、溶質分子との相互作用によって減速され、それにより広い共振周波数スペクトルをもたらす磁界の不均一性を生じる。
【0065】
自由液体において、小さな磁気双極子として古くから見られるプロトンは、並進運動及び回転運動を示す。これらの移動双極子は周囲の磁界を乱す一方で、十分長い時間スケール(ナノ秒であってもよい)において、プロトンの動きによって生じる平均磁界はゼロである。この効果は、「運動の平均化」又は狭窄として知られており、液相中で自由に移動するプロトンの特徴である。一方、タンパク質などの巨大分子に結合するプロトンは、一定の方向性を持つ傾向があるので、このような構造体に近接する平均磁界はゼロに平均化しない。その結果は、磁界を経験するプロトンに対して余剰の双極子結合(歳差運動周波数の範囲)を生じる磁界の空間的パターンである。幅広い頻度分布は、数kHzの幅広いスペクトルとして表示される。これらのプロトンからのネット信号(net signal)は、スピンのコヒーレンスの喪失、すなわちT
2緩和により、幅に反比例して、非常に迅速に消滅する。スピン移動又はプロトン化学交換などの交換機構により、巨大分子に結合される(インコヒーレント)スピンは、バルク媒体における(コヒーレント)スピンと頻繁に交代し、動的平衡を確立する。
【0066】
一般的に、結合スピンからの測定可能な信号、又はバルク媒体に交換する結合スピンは無いが、それらの縦磁化が維持され、T
1緩和の比較的遅いプロセスを通じてのみ一般的に回復することができる。単に結合スピンの縦磁化を変更することができる場合、交換プロセスにより、バルク媒体のスピンで、その効果を測定できる。バルク水の細いスペクトル線に対する共鳴から離れているが、未だkHzのオーダーのスペクトル線の幅を有する結合プロトンと共鳴する周波数で、磁化移動シーケンスが高周波(RF)飽和状態を適用する。RF適用は、バルク水に交換する結合スピンの飽和状態を引き起こし、縦磁化の損失及びバルク水中の信号減少をもたらし、それにより、組織の高分子の含有量の間接的測定を提供する。磁化移動の実施は、RF照射の比吸収率の安全限界内において、結合スピンを十分に強く供給するために、好適な周波数オフセット及びパルス形状を選択することを含む。
【0067】
T
1ρMRIは、一般的に、分子が、温度の関数であり、並進及び回転運動として示され、且つ分子間の衝突によって運動エネルギーを有するという事実に依存する。移動双極子は、磁場を乱すが、長い時間スケールにわたる平均効果がゼロになるように非常に迅速である。しかしながら、時間スケールによって、双極子間の相互作用は、必ずしも平均化しない。最も遅い極限において、相互作用時間は、実質的に無限であり、大きな定常磁場の乱れ(例えば、金属インプラント)が存在する場所で発生する。このケースでは、コヒーレンスの損失が「静的ディフェージング」として記載されている。T
*2は、(静的ディフェージングを含む)全ての相互作用を含むスピンのアンサンブルにおけるコヒーレンスの損失の尺度である。T
2は、双極子の相互作用の最も遅いタイプを反転するRFパルスを用いて、静的ディフェージングを除外するコヒーレンスの損失の尺度である。所与の生体試料における相互作用時間スケールの連続体及びリフォーカスRFパルスの特性が、単なる静的ディフェージングのみではなく再焦点化のために調整され得るという事実がある。一般に、スピンのアンサンブルの減衰率は、相互作用時間及びRFパルスのパワーの関数である。RFの影響を受けて発生した回転フレームにおけるスピン格子緩和時間の大きさは、T
1ρとして知られている。それはT
2減衰に類似しているが、いくつかの遅い双極子の相互作用も静的な相互作用も有し、そのため、T
1ρ>T
2である。
【0068】
フレアー法(FLAIR)は、流体からの信号をゼロにするために使用される反転回復パルスシーケンスである。それは、例えば、多発性硬化症(MS)のプラークなどの脳室周囲の高強度の病変を取り出すことができるように、脳脊髄液(CSF)を抑制するために脳画像で使用することができる。反転時間TI(反転及び励起パルス間の時間)を注意深く選択することによって、特定の組織からの信号を抑制することができる。
【0069】
磁気共鳴血管造影法(MRA)は、動脈の画像を生成し、狭窄症(異常な狭小化)又は動脈瘤(破裂のリスクがある血管壁の拡張)に対してそれらを評価する。MRAは、首及び脳の動脈、胸部及び腹部の大動脈、腎動脈、及びレッグス(ランオフと呼ばれる)を評価するのによく使用される。画像を生成するために、例えば、常磁性造影剤(ガドリニウム)の投与や、画像の信号の大部分がその平面内に最近移動された血液に起因する「血流による増強効果」(例えば、2D及び3Dタイム・オブ・フライト法のシーケンス)として知られる技術の使用など、種々の技術を使用することができる。ファスト・ロー・アングル・ショット(FLASH)MRIは、関連技術である。また、(位相コントラスト血管造影法とも呼ばれる)位相蓄積を伴う技術が、より容易に且つ正確に流速マップを生成するために使用することができる。磁気共鳴静脈造影法(MRV)は、画像の静脈に使用される類似の手順である。この方法では、組織が下位に励起され、信号が励起平面のすぐ上位の平面に集められ、励起平面から最近移動した静脈血を画像化する。
【0070】
磁気共鳴ゲート型頭蓋内脳脊髄液(CSF)又はリカー・ダイナミックス(MR−GILD)技術は、脳室、小胞体腔(cisterns)、シルビウス水道、及び頭蓋内全体のCFS経路におけるCFS拍動流を示すために使用されるバイポーラ・グラジェント・パルスに基づくMRシーケンスである。それは、正常圧水頭症などのCFS閉塞性病変を有する患者におけるCFS循環系の動態を解析するための方法である。また、それは、造影剤を使用せずに血管内に動脈及び静脈の両方の拍動血流の可視化を可能にする。
【0071】
磁気共鳴分光法(MRS)は、身体組織内の異なる代謝物のレベルを測定することができる。MR信号は、「励起」された同位体の異なる分子配列に対応する共鳴のスペクトルを生成する。このシグネチャは、特に脳に影響を与える特定の代謝異常を診断するため、及び腫瘍代謝に関する情報を提供するために使用することができる。磁気共鳴分光画像法イメージング(MRSI)は、サンプル又は患者内から空間的に局所的なスペクトルを生成するために、分光及び画像化の両方の方法を組み合わせる。空間分解能は、かなり低い(利用可能なSNRによって限定される)が、各ボクセルにおけるスペクトルは、多くの代謝物に関する情報を含んでいる。利用可能な信号は、空間的情報及び分光情報を符号化するために使用されるので、MRSIは、より高い電界強度(3T以上)でのみ達成可能な高いSNRを必要とする。
【0072】
機能的MRI(fMRI)は、神経活動の変化に起因する脳内の信号変化を測定する。脳は、低解像度であるが急速に(一般的には2〜3秒に1回)スキャンされる。神経活動の増加は、T
*2変化を経てMR信号に変化する。このメカニズムは、血中酸素濃度依存(BOLD)効果と呼ばれる。神経活動の増加は酸素の需要増加を引き起こし、このために、血管系は実質的に過補償し、脱酸素化ヘモグロビンに比べて酸化ヘモグロビンの量を増加させる。脱酸素化ヘモグロビンはMR信号を減衰させるので、血管反応が神経活動に関連する信号の増加をもたらす。神経活動とBOLD信号との関係の正確な性質は、最近の研究の主題である。また、BOLD効果は、神経組織内の静脈血管系の高解像度3Dマップの生成を可能にする。
【0073】
BOLD信号は、被験者における神経科学研究のために採用される最も一般的な方法であるが、MR画像化のフレキシブルな性質は、血液供給の他の側面に信号の感度を高める手段を提供する。別の技術は、動脈スピンラベリング(ASL)を採用するか、或いは、脳血流(CBF)及び脳血液量(CBF)によってMRI信号を重み付けする。CBV法は、現在、人間での臨床試験におけるMRI造影剤群の注入を必要とする。この方法は、前臨床試験におけるBOLD技術よりはるかに敏感であることが示されているので、臨床応用でのfMRIの役割を拡張する可能性がある。CBF法は、検出感度の大きな損失ではあるが、BOLD信号よりも定量的な情報を提供する。
【0074】
電離放射線に対する人間の組織の急性及び遅発性の反応は、照射された電離放射線に対する組織及び腫瘍の実際の放射線感受性の修正反応を評価する治療中において、MRI技術で画像化することができる。例えば、上皮表面は、放射線療法による損傷を受けてもよく、内部表面は、T
1,T
2,T
*2、又はスピン密度画像を検知し測定できる厚さにしてもよい。他の例では、画像化は、びまん性瘢痕プロセスに起因して時間と共に弾性が小さくなる傾向がある照射組織を検知することができる。繊維化反応は、リンパ浮腫と同様に、放射線療法の間に受けるリンパ系への損傷から生じる局所的な体液貯留の状態及び組織の腫脹を画像化することができる。リンパ浮腫は、腋窩リンパ節を除去するための手術後の補助的な腋窩放射線療法を受ける乳癌放射線治療患者の中で最も一般的に報告される合併症である。
【0075】
浮腫は、以下で更に説明するように、細胞の放射線損傷から生じる一般的な炎症の一部であり、浮腫として表される炎症反応を経由する放射線損傷の追跡と関連する技術、方法、システム、装置、製品などを含む本主題の実施例と対応するT
1及びT
2強調MRIで直接的に測定することができる。炎症反応の定量的な測定は、MRIラジオグラフィで患者の組織の内部の急性炎症による腫張を測定することによってもたらされる。
【0076】
炎症は、電離放射線などの有害な刺激に対する血管組織の複雑な生物学的反応の一部である。また、例えば、癌性腫瘍の浸潤、病原体、損傷した細胞、又は刺激物などの他の刺激は、炎症を引き起こす可能性があるが、基準値の測定及び評価は、放射線誘発炎症の電離から分離することができる。炎症は、有害な刺激、死滅した細胞又は物質を除去し、治療プロセスを開始するための、生物による保護の試みである。炎症は、先天性免疫又はそれを引き起こす刺激に対する感受性のメカニズムと考えられる。また、それは、傷や感染症の治癒のための重要なメカニズムである。しかしながら、慢性炎症は、例えば、花粉症、歯周炎、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、さらには癌(例えば、胆嚢癌)などの多くの疾患につながる可能性がある。それゆえ、炎症は、身体によって厳密に調節されている。
【0077】
炎症は、急性又は慢性のいずれかに分類することができる。急性炎症は、有害な刺激に対する身体の初期反応であり、損傷組織への血液からの血漿及び白血球(特に、顆粒白血球)の動きの増加によって達成される。生化学的事象のカスケードは、損傷した組織内の局所血管系、免疫系、及び種々の細胞が関与する炎症反応を伝播し成長させる。慢性炎症として知られる長期間の炎症は、炎症部位に存在する細胞の種類の進行性の変化をもたらし、炎症プロセスからの同時的な組織の破壊及び治癒によって特徴付けられる。
【0078】
標準的な兆候や急性炎症の症状は、充血、腫脹、熱、痛み、及び組織機能の喪失である。いくつかの兆候は、特定の場合に観察され得るが、単一の兆候は、当然のことながら、存在しない。典型的な炎症は、医療従事者による外部の検査によって視覚的且つ質的に観察される。標準的な兆候は、急性炎症が身体の表面に発生したときに出現する一方、内蔵器官の急性炎症は、前記フルセットをもたらさないことが有り得る。適切な感覚神経終末が炎症領域内に存在する場合だけ、一般的に痛みが生じる。例えば、炎症が痛みを感じる神経終末を有する壁側胸膜を含む場合を除き、肺の急性炎症(肺炎)は痛みを生じない。
【0079】
急性炎症は、通常、数分又は数時間以内に出現し、有害な刺激を除去により止まる短期的なプロセスである。充血及び熱は、炎症部位に対する中核体温での血流の増加に起因し、腫脹は、体液の蓄積によって引き起こされ、痛みは、神経終末を刺激する化学物質の放出に起因する。機能の喪失は、複数の理由がある。
【0080】
細胞は、例えば、在住マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、肥満細胞などの典型的に急性炎症のプロセスを開始する全ての組織の中に存在する。これらの細胞は、病原体によって広く共有されるがホスト分子とは区別される分子(病原体関連分子パターン(PAMPs)と総称される)を認識するパターン認識受容体(PRRs)と名付けられた特定の受容体の表面に存在する。感染症、火傷、又は他の傷害の発症時において、これらの細胞は、活性化(例えば、PAMPを認識するPRRsの1つ)し、炎症の臨床兆候の原因となる炎症性メディエータを放出する。血管拡張及びそれによる血流の増加は、充血(発赤)及び熱の上昇(熱:calor)を引き起こす。血管の透過性の増加は、腫脹(腫瘍)として現れる組織(浮腫)内への血漿タンパク質及び体液の滲出(漏れ)を生じさせる。ブラジキニンなどの放出されたメディエータのいくつかは、痛み(痛覚過敏、疼痛)に対する感受性を増加させる。また、メディエータ分子は、組織内への血管の外側の白血球(主に好中球)の移動(溢出)を可能にするように血管を変える。好中球は、損傷部位に到達するためにローカル細胞によって生成された走化性勾配に沿って移動する。機能の喪失(機能喪失:functio laesa)は、おそらく痛みに応じた神経学的反射の結果である。
【0081】
細胞由来のメディエータに加えて、あらかじめ形成された血漿タンパク質で構成されるいくつかの無細胞生化学的カスケードシステムが、炎症反応を開始し伝播するために同時に作用する。これらは、細菌によって活性化された補体システム、及び壊死によって活性化された凝固及び線維素溶解システム、例えば、火傷や外傷を含む。
【0082】
急性炎症の反応は、一定の刺激が持続されていることを要求する。炎症性メディエータは、短い半減期を有し、組織内で迅速に分解される。従って、急性炎症は、一般的に、刺激が除去されると、止まり、減少する。
【0083】
滲出成分は、炎症組織内に、フィブリン及び免疫グロブリン(抗体)などの重要なタンパク質を含む血漿液の移動を伴う。この移動は、化学的に誘発された血管の膨張及び血漿の正味の損失を生じさせる血管の透過性の増加を通じて達成される。組織内への体液の収集量の増加は、それを膨張(浮腫)させる。この溢出液は、局部的なリンパ節へのリンパ管に送り込まれ、適応免疫系の認識及び攻撃フェーズを開始するために細菌を追い出す。
【0084】
急性炎症は、顕著な血管の変化を特徴とするが、必ずしも、種々の炎症性メディエータの作用によって誘発される血管拡張、透過性の増加、及び血流の増加に限定されない。血管拡張は、まず、細動脈のレベルで生じ、毛細血管のレベルに進み、炎症の充血及び熱を次々に引き起こす可能性がある血液量の正味の増加をもたらす。血管の透過性の増加は、血液中の細胞の濃度の増加による鬱血の原因となる組織内への血漿の移動を引き起こす。細胞で混み合った拡大された血管は、一般的にこの状態を特徴付ける。鬱血は、白血球を内皮に沿って縁へ移動(移動:move)させ、組織内へのそれらの補充のための重要なプロセスである。正常に流れる血液はこれを阻害し、血管の周囲に沿う剪断力が血液中の細胞を血管の中央部に移動させる。
【0085】
炎症は、増殖、生存、及び移動に寄与し得る腫瘍の周囲の微小環境を編成する。癌細胞は、浸潤、移動、転移などのためにセレクチン、ケモカイン、及びそれらの受容体を利用する。一方、免疫系の多くの細胞は、癌を抑制する癌免疫学に寄与する。細胞の発達に重大な影響を及ぼすステロイドホルモンの受容体と、NF−KBなどの炎症において重要な役割を演じる転写因子との間の分子の交点は、癌細胞に対して炎症性刺激の最も重要な効果の一部分を媒介し得る。この細胞中のステロイドホルモンの作用に影響を与える炎症性メディエータの能力は、いくつかの例では発癌性に影響を与える可能性が非常に高い。一方、多くのステロイドホルモンの受容体のモジュール特性に起因して、この相互作用は、例えば、特定の細胞のタイプにおける特定のタンパク質領域の標的化を通じて、癌の進行を妨げる方法を提供することができる。このようなアプローチは、対象の腫瘍とは無関係である副作用を限定することができ、生物において極めて重要な恒常性機能及び発達プロセスを維持するに役立つ。
【0086】
特定の環境下における治療効果は、傷害が発生した組織及びそれを引き起こしている有害なエージェントによって決定される。炎症に対して考えられる治療効果は、解決(resolution)、線維症、膿瘍形成、慢性炎症、腫脹などを含む。
【0087】
解決は、正常な状態に戻す炎症組織の完全な回復である。血管拡張、化学生産、及び白血球の浸潤などの炎症量が止まり、損傷した実質細胞が再生する。限られた又は一時的な炎症が発生している状況において、このことは通常の治療効果である。
【0088】
大量の組織破壊又は再生することができない組織の損傷は、身体によって完全には再生できない場合がある。線維症は、コラーゲンを主成分とする傷跡を形成するように、損傷領域で発生する繊維状の瘢痕をいう。傷跡は、実質細胞などの特定の構造を含まない。従って、機能障害が発生し得る。
【0089】
膿瘍形成は、破壊された細胞からの通常の残骸とともに死滅した白血球及び細菌を含有する不透明な液体である膿を含有するキャビティの形成を含む。
【0090】
急性炎症を引き起こす有害なエージェントが存続する場合、慢性炎症が引き続いて起こる。このプロセスは、数日、数ヶ月、又は数年持続する炎症によって特徴付けられ、慢性的な傷の形成をもたらし得る。慢性炎症は、損傷した組織におけるマクロファージの支配的な存在を特徴とする。これらの細胞は、身体の強力な防御的な病原体であるが、それらが放出する毒素(活性酸素種を含む)は、生物自身の組織に侵入するエージェントと同様に有害である。したがって、慢性炎症は、大抵、組織の破壊を伴う。
【0091】
医療用語において、腫張(swelling)、膨満(turgescence)、又は腫大(tumefaction)は、細胞の増殖を引き起こさない身体の部分又は領域の一時的な異常肥大である。それは、組織内の体液の蓄積によって引き起こされる。それは、身体全体(全身)で発生する可能性があり、或いは、特定の部分又は器官が(局所的に)影響を受ける可能性がある。腫脹は、痛み、熱、充血、及び機能喪失と共に、炎症の5つの特徴の1つと考えられている。身体の一部は、傷害、感染、又は疾患に反応して膨れることがある。腫張は、身体がうまく体液を循環しない場合に発生し得る。
【0092】
全身性の腫張又は広範な浮腫(全身浮腫とも呼ばれる)は、重病人に共通のサインである。軽度の浮腫は、特に過体重の人においては、素人目に検知することは困難かもしれないが、広範な浮腫は、一般的に非常に明瞭である。以前は水腫又は水症として知られている浮腫(Edema:アメリカ英語)又は浮腫(oedema:イギリス英語)は、腫張を生成する皮膚の下又は身体の1つ以上のキャビティ内の異常な体液の蓄積である。一般的に、間質液の量は、体液の恒常性のバランスによって決定され、間質内への体液の分泌の増加、又はこの体液の障害の除去が浮腫の原因となり得る。
【0093】
皮膚の浮腫は、小さい領域に圧力が加えられた後、窪みが圧力の解放後のしばらくの間持続するとき、「圧痕(pitting)」と呼ばれている。末梢圧痕浮腫は、水分貯留から生じる一般的なタイプであり、系統的疾患、一部の女性における妊娠、心不全又はその結果として、或いは、静脈瘤、血栓性静脈炎、虫刺され、皮膚炎などの局所的状態によって引き起こされることがあり得る。窪みが持続しないとき、非陥凹性浮腫が観察される。それは、リンパ浮腫、脂肪性浮腫、及び粘液水腫などの状態に関連付けられる。
【0094】
全身に普及された浮腫の原因は、多器官及びその周辺で浮腫を引き起こすことがある。例えば、重症の心不全は、肺水腫、胸膜滲出、腹水症、及びや末梢浮腫を引き起こすことがある。
【0095】
血漿浸透圧の低下は、ネフローゼ症候群の浮腫に対して広く引用されているが、ほとんどの医師は、浮腫が、尿(タンパク尿)にかなりのタンパク質が存在するか、或いは血漿タンパク質レベルの減少の前に発生し得ることに気付いている。幸いなことに利用可能な別の解釈がある。ネフローゼ症候群のほとんどの形態は、腎臓糸球体の毛細血管の基底膜における生化学的及び構造的変化に起因し、これらの変化は、より程度が小さい場合、身体の他のほとんどの組織の血管内で起こる。それゆえ、他の全ての血管がより透過性を有する場合、結果として生じる尿中のタンパク質をもたらす透過性の増加は、浮腫を説明することができる。
【0096】
前述した状態と同様に、浮腫は、一部の女性における妊娠の後期の段階中に発生することが多い。このことは、関節炎がその特定の女性に既に存在している場合に激しくなる呼吸器系疾患又は血行不良の病歴のものと共通している。既に関節炎の問題を抱えている女性は、ほとんどの場合、過剰反応性の腫張から生じる痛みのための医療の助けを求める。妊娠中に生じる浮腫は、通常、ふくらはぎの下から脚の下部に見られる。
【0097】
浮腫は、例えば、炎症、腱炎、又は膵炎の一部として、特定の器官に発生し得る。特定の器官は、組織の特異的なメカニズムを通じて浮腫を発達させる。例えば、脳浮腫は、脳内の細胞外液の蓄積である。それは、高高度の全身性ループス又は酸素の減少など、毒性又は異常な代謝状態及び条件で発生し得る。それは、眠気や意識の消失の原因となる。肺水腫は、肺静脈を通じて血液を除去する障害物のために肺の血管内の圧力が上昇するときに発生する。このことは、通常、心臓の左心室の障害に起因する。また、それは、高山病や有毒化学物質の吸入で発生することもある。肺水腫は、体液が胸腔内で蓄積されるときにも生じ得る。また、浮腫は、緑内障、重度の結膜炎、又は角膜炎、或いは手術後に眼球の角膜内に見つけることもできる。このような浮腫は、明るい光の周りの虹輪を見ている患者に生じることがある。目の周囲の浮腫は、眼窩周囲浮腫又は目のむくみ(eye puffiness)と呼ばれている。眼窩周囲組織は、おそらく横向き姿勢における体液の重力の再分配の結果として、起床後すぐに最も著しく膨張する。
【0098】
皮膚の浮腫の一般的な出現は、蚊刺され、クモ刺され、ハチ刺され(膨疹及び炎症)、及び、ポイズン・アイビーやウエスタン・ポイズン・オークなどの特定の植物に接触した皮膚で観察され、後者は接触性皮膚炎と呼ばれている。皮膚浮腫の別の形態は、結合組織の沈着の増加によって引き起こされる粘液水腫である。粘液水腫(及び他の様々なレアな状態)において、浮腫は、その細胞外の空間内に水分を保持する組織の増加傾向によって引き起こされる。粘液水腫において、これは、組織の基質中に堆積された親水性の炭水化物に富む分子(おそらく大部分がヒアルロン酸)の増加のためである。(自宅や飛行機で椅子に座っている)高齢者に従属する領域でより容易に浮腫が形成され、このことはよく理解されていない。エストロゲンは、組織の含水量の変化によってある程度体重を変化させる。組織の基質からリンパ管への水分の移動が、組織の親水性の変化又は末端のリンパ毛細管の「ウィッキング」機能の不全のために損なわれるという、十分に解明されていない様々な状況がある。
【0099】
リンパ浮腫においては、リンパ系の障害によって間質液の異常な除去が引き起こされる。これは、例えば、癌又は腫大したリンパ節からの圧力、放射線療法によるリンパ管の破壊、又は感染症(例えば、象皮病など)によるリンパ管の浸潤などからの障害に起因する。それは、不動による筋肉のポンプ作用の障害が最も一般的に起因しており、多発性硬化症、又は麻痺などの状態で最も顕著である。また、リンパ液の還流は、リンパ心臓として知られる構造のポンプ作用に依存している。これは、例えば、イブプロフェン又はインドメタシンなどのアスピリン類似のシクロオキシゲナーゼ阻害剤の使用後に、一部の人に起こる浮腫がリンパ心臓の作用の阻害に起因することが示唆されている。
【0100】
浮腫の形成に貢献し得る要因には、静水圧の増加、血管内の膠質浸透圧の減少、組織の膠質浸透圧の増加、血管壁の透過性(例えば、炎症)の増加、リンパ系を介する流体の隙間の閉塞、及び組織自体の保水特性の変化が含まれる。静水圧の上昇は、腎臓による水及びナトリウムの保持を反映することが多い。
【0101】
間質液の生成は、次のとおり、コンパートメントJ
ν間の正味の流体移動によって表すことができるスターリングの式によって規定される:
【0103】
Kfは濾過係数(比例定数)であり、正味の運動力F
Dは以下のように表すことができる。
【0105】
P
Cは毛細血管の静水圧であり、P
iは間質の静水圧であり、π
cは毛細血管の膠質浸透圧であり、π
iは間質の膠質浸透圧であり、σは反射係数である。
【0106】
血管内の静水圧は、組織内へ濾過されるように水分を生じさせる傾向がある。このことは、血漿と組織との間のタンパク質濃度の違いをもたらす。その結果、血漿中のタンパク質の高レベルの浸透圧が、組織から血管内へ戻る水分を引き寄せる傾向がある。スターリングの式は、体液の漏水率が2つの力の差によって、及び、所与の力の不均一性に対して流量を決定する水分に対する血管壁の透過性によっても決定されると述べている。ほとんどの水漏れは、水分がタンパク質よりも自由に通過することを許容する半透膜の壁を有する毛細血管や後毛細管細静脈で発生する。タンパク質は反射されると言われており、その反射効率は、1以下の反射定数によって与えられる。血管壁の細胞間の隙間が広くなると、まず水分に対する透過性が増加するが、隙間の大きさが増加すると、タンパク質に対する透過性も反射係数の低下に伴って増加する。
【0107】
スターリングの式中の変数の値の変更は、血管内の静水圧の増加、血管内の膠質浸透圧の減少、又は血管壁の透過性の増加のいずれかによって、浮腫の形成に寄与し得る。後者は、2つの効果を有する。それは、水分がより自由に流れることを可能にすることと、タンパク質がより容易に血管に残るようにすることによって膠質浸透圧の差を低減することである。
【0108】
線量体積ヒストグラム(DVH)は、放射線治療計画で使用される概念を用いる。DVHは、「ビームス・アイ・ビュー」、「デジタル的に再構成されたラジオグラフィ」、並びに、プランニング及びポジショニングの不確実性/エラーなどの放射線療法の概念を導入するマイケル・ゴイテインによって、及び、シプリー(Shipley)らによる出版物における1979年のバーヘイ(Verhey)によって紹介されている。DVHは、3D線量分布をグラフィカル2D形式でまとめたものである。現代の放射線療法において、3D線量分布は、一般的に、CT又はMRスキャンの3D再構築に基づいて、コンピュータ化された治療計画システム内に作成されている。DVH分析でいう「体積」とは、放射線治療の対象物、対象物付近の健康な器官、又は任意の構造であってもよい。
【0109】
DVHは、差動DVH又は累積DVHの2つの方法のいずれかで可視化することができる。DVHは、ヒストグラムの線量ビン(bin)の大きさを最初に決定することにより作成される。ビンは、0〜1Gy、1.001〜2Gy、2.001〜3Gyなど任意のサイズであってもよい。作動DVHにおいて、バー又は柱の高さは、ビンによって与えられた放射線量を受ける構造体の体積を表す。ビン線量は横軸に沿っており、構造体積(パーセント又は絶対容量のいずれか)は垂直線上にある。
【0110】
差動DVHは、典型的なヒストグラムの外観を取る。累積DVHは、同様に、横軸に沿ってビン線量でプロットされる。しかしながら、第1のビン(例えば、0〜1Gy)の柱の高さは、その線量以上を受け入れられる構造体の体積を表す。第二のビン(例えば、1.001〜2Gy)の柱の高さは、その線量以上を受け入れられる構造体の体積を表す。蓄積DVHは、非常に細かい(小さい)ビンのサイズを有し、滑らかな線グラフの外観を取る。線は、常に左上から右下へ傾斜し始める。非常に均一な線量を受ける構造体、例えば、正確に10Gyを受ける100%の体積に対して、蓄積DVHは、グラフの上部に水平線として表され、垂直方向にプロットしたときに100%の体積で、横軸に10Gyの標高差を有する。
【0111】
累積DVHは、差動DVHよりも圧倒的に使用され、好まれている。DVHは、放射線腫瘍学の医療専門のユビキタスである。臨床的に使用されるDVHは、放射線治療計画における全ての構造体及び関心のある対象物を含み、異なる色でプロットされた各線は、異なる構造体を示す。縦軸は、同様に、ほとんどの場合、(絶対容量というよりむしろ)体積%としてプロットされる。臨床研究は、一般的に、患者の毒性(toxicities)及び治療効果と相関するためDVHメトリックを採用する。
【0112】
DVH方法の欠点は、それが空間情報を提供しないことである。言い換えれば、DVH線量は、構造体内において、線量が受けられることを示さない。また、初期の放射線治療計画からのDVHは、放射線治療の開始時に構造体と関連する線量を表す。治療が進行し、時間が経過すると、変化がある場合(例えば、患者の体重が減った場合、腫瘍が縮小した場合、器官の形状等が変化した場合)、元のDVHは、例えば、提示されるデータに固有の1以上の推定に対する分母の変化に起因して、妥当性を失う。線量分布の空間的特性は、線量分布と直交する画像をスクロールすることによって視覚化することができる。
【0113】
放射線腫瘍学の現在のプラクティスは、腫瘍を制御又は治療する可能性と、線量体積ヒストグラムで生成されたデータ、及び、放射線療法の治療計画からコンピュータ化されたポイント、平面、或いは体積又は線量分布を有する健康的又は機能的な器官において致死的又は衰弱させる副作用を誘発する可能性とが相互に関連がある。
【0114】
電離放射線の線量は、患者又は対象物に照射された電離放射線の単位質量当たりのエネルギーである。それは、DNA、或いは、癌又は対象細胞の他の重要な分子、及び照射を避けられない健康的又は機能的な細胞への放射線によって引き起こされる損傷量の定量的尺度であることが意図されている。しかしながら、遺伝的、形態学的、及び病理学的な理由により異なる個体に変化することが知られている放射線生物学の4R‘sは、DNA、或いは、癌又は対象細胞の他の重要な分子、及び照射を避けられない健康的又は機能的な細胞への放射線によって引き起こされる実際の損傷に大きな影響を与える可能性がある。
【0115】
細胞は、電離放射線が照射され、電離放射線によって損傷又は死滅されたとき、この刺激は、照射された組織における炎症反応を誘発する。この反応は、細胞及び組織への実際の損傷によってもたらされるので、それは、照射される物理的な電離放射線量よりも実際の損傷及び細胞死の、より直接的な尺度となる。
【0116】
炎症反応は、放射線照射中又は後に生成される急性浮腫として測定することができる。電離放射線の適用の前後の組織のMR画像化信号の変化は、同じ患者における同じアナトミーのT
1強調MRスキャンの減少及びT
2(又はT
*2)強調MRスキャンの対応する増加として見られる、体液の増加の直接的な定量的尺度である。このT
1の減少、T
2の増加、又はその両方は、炎症の直接的な定量的尺度である。また、刺激の供給からの時間及びスキャンの長さは、誘発された浮腫の増大又は減衰を許容するための尺度を構成してもよい。この信号強度は、照射された細胞の損傷の評価のために線量分布に取って代わる炎症分布として表すことができる。同様に、炎症体積ヒストグラムが生成され、患者の治療効果及び毒性と相関させることができる。そのようなツールは、誘発された浮腫で測定される炎症が電離放射線の刺激に対して直接的な反応であるとき、腫瘍の制御又は回復の確率、及び、正常又は健康な組織の毒性の確率の、良い予測因子を提供する。
【0117】
本主題の更なる実施例において、電離放射線から損傷を受けることを意図した領域の外側の炎症の観察は、電離放射線の意図的でない又は偶発的な照射に対して臨床利用者に警告する安全機能として使用することができる。
【0118】
炎症反応は、放射線の損傷を受けた組織の体液含有量を変更する。この体液の増加は、有効原子番号が異なるようにビーム経路内の物質を変更し、異なるタイプの放射線が吸収される位置も変化し得る。例えば、体液の量の増加は、ビーム経路内に、より少ない「脂肪類似」物質(例えば、CH
2)及び「水類似」物質をもたらし得る。それにより、陽子線治療や重イオン治療において、照射されたビームの成分に対する阻止能は、局所レベルで変化し、ブラッグ曲線の範囲を変化させ、照射線量分布を変化させることができる。同様に、水素含有量の増加は、中性子ビームの線量を変化させることができる。それゆえ、MRIスキャンによる浮腫の定量的評価は、陽子、重イオン、中性子治療などのために線量を測る能力を改善するのに使用することができる。
【0119】
本主題の実施例は、1以上の放射線ビームの照射と少なくともある程度の同時性を有して、患者の少なくとも一部のMRI画像を捕捉可能なシステム又は他の装置を用いて実現することができる。言い換えれば、1以上のMRI画像は、放射線療法の線量の一部の照射中に捕捉することができる。また、この技術は、「イントラ・フラクション」MRIとも呼ばれる。本主題の他の実施例において、MRIは、治療の経過中の患者における浮腫の変化を特徴付ける収集された差次的データに対して、定期的に使用されてもよいが、オプション的に必ずしも放射線フラクション内で使用されなくてもよい。例えば、基準スキャンは、治療される領域で行われることができ、その後、1以上の付加的なスキャンが、治療された組織及び治療された組織の周囲の組織における浮腫の変化を定量化するために治療経過中に収集されても良いし、或いは、別の方法で1以上の放射ビームの影響を受けてもよい。1以上の付加的なスキャンは、少なくとも1つのフラクション中に行われる1以上のスキャン、一連のフラクション中の2つ以上のフラクション間で行われるスキャン、(固定された又は変化しやすい)いくつかの他のインターバルで行われるスキャンなどの1以上のスキャンをオプション的に含んでもよい。
【0120】
イントラ・フラクションMRIの画像化が可能なシステムの非限定的な例は、共同所有の米国特許7,907,987号に記載され、その記載は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1〜
図5は、そのようなシステムに含まれることができる特徴の例をそれぞれ図示する視点100、200、300、400、500を示している。MRI装置の主磁石ヘルムホルツコイル対115は、寝台130が磁石の中央部の円筒穴を通ることができるとともに、放射線源120(例えば、1以上の放射線同位体ビーム、陽子ビーム、中性子ビーム、X線などを照射可能な線形加速器、放射性同位体など)が2つのソレノイドセクション115間の隙間の下で、寝台130上の患者135に向けられるように、分割ソレノイドとして設計されている。分割ソレノイドMRI磁石115は、マルチリーフコリメータ強度変調放射線治療(IMRT)を含む放射線源120が構台125上で寝台の軸回りに回転されるとき、静止したままであってもよい。複数の放射線源120が、有利に採用されてもよい。患者135は、同時(或いは、少なくともほぼ同時(concurrent)又は少なくともほぼ同時(simultaneous))に画像化及び治療するために、寝台130上に位置決めされる。
【0121】
図5に示すように、マルチリーフコリメータを有する放射線源120は、固定された一次コリメータ520、二次二重分岐マルチリーフコリメータ525、及び二次マルチリーフコリメータ525からのインターリーフの漏出をブロックするための三次マルチリーフコリメータ530でオプション的にコリメートされる放射線源515(又は他の放射線源)を含んでもよい。当然のことながら、フラクション中又はフラクションと実質的に同時(例えば、前後の短い期間内)のいずれかでMRI画像を生成可能な他のシステムも、本主題の実施例に有用である。また、イントラ・フラクションMRIスキャンが使用される本主題の実施例において、同時的放射線照射を組み込んでない従来のMRIシステムが使用されてもよい。
【0122】
図6及び
図7は、接近した時間で撮った対象患者の同じ部分の2つのMRIスキャン画像600,700を示している。
図6のスキャン画像600は、より多くの遊離した水素を含む領域(例えば、高い含水率を有する組織)がより多くの定着した水素を含む領域(例えば、脂肪組織)よりも暗く表現されたT
1強調スキャンを示している。
図7のスキャン画像700は、より多くの定着した水素を含む領域(例えば、脂肪組織)がより多くの遊離した水素を含む領域(例えば、高い含水率を有する組織)よりも暗く表現されたT
2強調スキャンを示している。スキャン画像600,700は、対象患者の腹部を通る断面を示し、数ある特徴の中で肝臓602、腎臓604、及び脊柱606を示している。肝臓602は、脂肪組織を多量に含んでいるので、T
2強調スキャン結果を示すスキャン画像607よりもT
1強調スキャン結果を示すスキャン画像600の方が暗くない。同様に、脊柱は、
図7よりも
図6の方が明るい一方、含水率が大きい腎臓は、
図7よりも
図6の方が暗い。また、
図6及び
図7には、放射線治療が患者に実行される放射線経路610が描かれている。
図6及び
図7の両方に見られるように、スキャン画像600、700は、
図6のT
1強調スキャンでは明るい肝臓602内に暗いラインとして表示されるとともに、
図7のT2強調スキャンでは暗い肝臓内に明るいラインとして表示される放射線経路610に沿う体液の増加を示している。この体液の増加は、放射線治療の影響を受けた組織における細胞の損傷によって生じる浮腫の結果である。
【0123】
本開示の前に、そのような浮腫の観察に対する従来のアプローチは、一般的に放射線治療を必要とする基礎となる病理学上の分析に対する障害と考えられるこの「アーティファクト(artifact)」を無視するか、或いは修正を試みるものであった。これに対して、本主題は、標的の構造(例えば、腫瘍又は他の疾患組織)及び周辺組織の両方において少なくとも放射線治療の線量の作用を評価するために、患者の治療された領域の1以上のMRIスキャンに基づく浮腫の定量化を利用する。このようにして定量化される浮腫は、一般的に、ビームが通過した組織の細胞死から生じる急性、一過性の浮腫であると考えられる。
【0124】
実際には、本主題の実施例は、患者の組織内の空間的位置の関数として遊離水素率を決定又は少なくとも評価するために、T
1強調スキャン及びT
2強調スキャンの比率の定量化を含んでもよい。評価された遊離水素の比率の増加は、患者の組織における浮腫の増加の指標と解釈することができる。このようにして、浮腫の変化は、患者の所与の組織領域内に発生している細胞の損傷又は細胞死の量を評価するためのプロキシ(代理:proxy)として使用されてもよい。上述したように、放射線で誘発された(同様にその他の)外傷によって損傷又は破壊された細胞は、炎症の臨床的兆候の原因となる炎症性メディエータを放出するイニシエータ細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、肥満細胞等)をもたらし、浮腫(組織内への血漿タンパク質及び体液の滲出)に限定されない。この体液の滲出は、組織中の遊離水素の含有量の変化を検知するためにMRIスキャンを用いて、本主題の実施例と対応する少なくとも差次的基準で検知されてもよい。そのような変化は、上述した1以上のスキャンを用いて特徴付けることができる。他の例では、2以上のスキャンが、組織と空間的位置との関数として患者の組織中の遊離水素の含有量を表すレシオメトリックを作成するために組み合わせられてもよい。
【0125】
本主題の1以上の実施例と対応する、
図8の工程フローチャート800に図示された方法は、次の特徴を含んでもよい。802において、放射線治療のコースの少なくとも一部の間又は後に行われる後続の浮腫分析(例えば、後続のMRIを基礎とする浮腫分析)が、放射線治療のコースで生じる患者の組織における浮腫の変化を評価するために、後続の浮腫分析の前に行われる基準浮腫分析(例えば、基準MRIを基礎とする浮腫分析)と比較される。本主題のいくつかの実施例において、後続の浮腫分析及び基準浮腫分析は、細胞中の体液含有量の評価を提供可能なMRIスキャンであってもよい。
【0126】
上述したように、例えば、基準浮腫分析及び後続の浮腫分析は、それぞれ、1以上のMRIスキャンを含んでもよい。本主題のいくつかの実施例において、1以上のMRIスキャンは、T
1強調スキャン及びT
2強調スキャンの両方を含んでもよく、それらのスキャンの結果の比率が、基準及び後続のスキャンのそれぞれに対して準備されてもよい。浮腫の変化は、放射線治療のコースで発生する変化を決定するために、後続のスキャン及び基準スキャンの差次的分析に基づいて導出され(例えば、評価され、推定され、決定され)てもよい。いくつかの例において、遊離水素の量は、基準スキャンに関連して後続のスキャンで定量化されてもよく、遊離水素の相対量の変化は、患者の組織内の浮腫の変化のプロキシとして使用されてもよい。
【0127】
基準スキャンは、放射線治療のコースで患者に照射された少なくとも1つの放射線フラクションの間又は後に撮られる1以上の後続MRIスキャンとの比較のための基準として作用することができる。言い換えれば、基準スキャンは、既存の浮腫、例えば、元の病変、その他の外傷などから生じる浮腫の存在を説明するものである。少なくとも1つの後続のMRIスキャンが、治療のコース(例えば、1以上のイントラ・フラクション又はイントラ・フラクションMRIスキャン)中に撮られ、基準スキャンと後続のスキャンとの間で患者の組織に生じた変化が定量化されてもよい。いくつかの例において、この定量化は、患者の組織からのMRI信号の強度の変化を示す差次的画像化アプローチを通じて達成することができる。
【0128】
単一タイプのMRIスキャンは、基準スキャン及び少なくとも1つの後続のスキャンのために使用されてもよく、このタイプのスキャンのMRI反応の変化は、基準スキャン及び後続のスキャンの間で定量化されてもよい。また、上述したように、各スキャンは、例えば、T
1強調スキャン及びT
2強調スキャンなどの2以上のタイプのスキャンの比率を含んでもよい。浮腫は、一般的に、正常な細胞の損傷又は細胞死のときに体液の増加を生じるので、回復メカニズムは、高い含水(それゆえ、高い遊離水素)量を有する体液を通じた死滅又は損傷した細胞物質の洗浄を含む。いくつかの変形例において、基準スキャンは、任意の治療の前に撮られてもよく、その後、患者に照射された放射線量フラクション中又は間で撮られる後続のスキャンとの比較で使用されてもよい。他の変形例において、一連のスキャンが使用されてもよく、差次的分析が2以上の一連のスキャン間に適用されてもよく、基準スキャンのように放射線治療のコースの開始前に収集されたスキャンを必ずしも用いなくてもよい。
【0129】
804において、浮腫の照射線量相関は、放射線治療のコース中に放射線の照射線量と相関する患者の組織における浮腫の変化に基づいて導出される。言い換えれば、物理的な線量照射の推定又はモデルの1以上が、患者の組織に実際に照射された放射線量、患者の組織に照射される放射線の期待量などの1以上の量を導出するため(例えば、評価、推定、決定などするため)に適用されてもよい。実際に照射された又は照射されることを期待される放射線の照射量は、オプション的に1以上の入力に基づいてもよい。いくつかの変形例において、事前の放射線治療計画が、それらのデータを提供してもよい。他の変形例において、MRI及び放射線照射アプローチ(例えば、共同所有の米国特許第7,907,987に記載されたアプローチ)の組合せが、患者、患者の器官などのイントラ・フラクション動作に基づく疾患細胞及び他の細胞の構造体へ放射線の受信線量の、より正確な測定を推定するのに使用されてもよい。
【0130】
照射線量(又は期待される照射線量)と患者の組織における浮腫の変化との関連付けは、浮腫の変化が、期待値(例えば、照射された放射線量に対する組織の期待される反応)と比較して疾患組織及び周囲組織の期待される治療結果にどの程度対応するかを定量化することを含んでもよい。期待値は、1以上の理論モデル等の適用を通じて、或いは1以上のそのようなアプローチの組合せを通じて、実験的に、経験的に推定することができる。
【0131】
806において、1以上の臨床行動が浮腫の照射線量相関に基づいて行われる。臨床行動は、1以上の様々な行動を含んでもよい。例えば、患者が経験する浮腫、特に標的となる疾患組織以外の組織構造の浮腫が、閾値以上で期待値を超えた場合、治療のコースを更なる分析のために停止し、放射線照射システムが任意の動作不良部品を確認するために放射線照射システムを検査し、ユーザ・インターフェース又は他の何らかの自動化された方法によって臨床医に警告し、後続のフラクションで照射される放射線量を低減するなどしてもよい。他の例において、患者が経験する浮腫、特に標的となる疾患組織における浮腫が、閾値以上で期待値よりも小さい場合、同様に、治療のコースを更なる分析のために停止し、任意の動作不良部品を確認するために放射線照射システムを検査し、ユーザ・インターフェース又は他の何らかの自動化された方法によって臨床医に警告し、後続のフラクションで照射される放射線量を増加する(例えば、標的となる疾患組織以外の組織構造において患者が経験した浮腫が許容限界内であると想定すること)などしてもよい。
【0132】
上述したように、放射線治療線量の少なくとも1回の照射を含む相当の期間にわたって差次的に分析されたMRIスキャンデータは、少なくともスキャンされた組織に生じた細胞死又は損傷量の評価を導出するために使用される。そのようなデータは、患者の組織内の位置の関数として強度を表す視覚的な描写、数式などに限定されるものではなく、様々な方法で表現されてもよい。例えば、スキャンされた組織中の遊離水素の含有量のプロキシとして使用されるT
1強調スキャン及びT
2強調スキャンの比率の場合、これらの2つのスキャンの比率の差次的変化は、位置の関数として表現されてもよい。このプレゼンテーションは、治療のコースにわたって生じる細胞死又は損傷の視覚的描写のために標的となる疾患組織の近傍において患者の組織の一部の二次元マップ又は他の画像上のボクセルの使用を含んでもよい。
【0133】
遊離水素の比率の増加は、吸収されたアクティブな放射線量のための仮想的、相対的な線量計として臨床的に有用である、所与の位置で損傷を受けた組織の量を増加させるプロキシとして使用してもよい。このように、尺度は、放射線療法が標的となる疾患組織に与えてきた治療の衝撃の程度、及び他の周囲の組織がどれほど激しく衝撃を受けたかなどを提供してもよい。従って、本主題の実施例は、放射線治療を受けている患者を医学的に管理するのを助けることができる。浮腫の実際の観測された変化と線量測定計画の「期待された」治療効果との比較は、特定の患者が放射線治療の特定のコースにどのように反応しているかを、臨床医に、より良く評価させることができる。
【0134】
図9は、本主題の実装例に共通の1以上の特徴を有するシステム900の概略図を示している。コンピューティング・システム902は、MRIシステム904及びオプション的に放射線照射システム906と通信してもよい。ユーザ・インターフェースは、オプション的に、表示部、ユーザ入力装置等と同様に、臨床医又は他のユーザに情報を伝達するため及び/又は情報の入力を受信するために後述する他の例を備えてもよい。コンピューティング・システム902は、オプション的に、MRIシステム904及び/又は放射線照射システムに統合された一部又は他の部分であってもよい。
図1〜
図5において、コンピューティング・システム902、MRIシステム904、放射線照射システム906は、すべて一体化されてもよい。いくつかの例において、放射線照射システム906は、例えば、線量計画ソフトウェアを実行する線量計画システムなどの独自のコンピューティング・システムを備えてもよい。システム900の様々な構成要素間のデータの通信は、任意のデータ転送コネクション(ネットワーク、コンピュータバス等)を介して達成されてもよい。コンピューティング・システム902は、オプション的に、上述した1以上の特徴を実施する1以上のソフトウェア・モジュールを実行するプログラマブル・プロセッサを備えてもよい。
【0135】
本明細書に記載された主題の1以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はその組合せで実現されてもよい。これらの様々な態様又は特徴は、少なくとも1つのプログラマブル・プロセッサを含むプログラマブル・システムで実行可能及び/又は解釈可能である1以上のコンピュータプログラムにおける実施例を含んでもよく、プログラマブル・プロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置にデータ及び情報を伝達するように、並びに、データ及び情報を受信するように接続された特別又は汎用品であってもよい。
【0136】
また、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードと呼ばれるこれらのコンピュータプログラムは、プログラマブル・プロセッサ用の機械語命令を含み、高レベルの手続き型言語、オブジェクト指向のプログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実行されてもよい。本明細書で用いる場合、「機械可読媒体」の用語は、例えば、機械可読信号として機械語命令を受信する機械可読媒体を備えるプログラマブル・プロセッサに、機械語命令及び/又はデータを提供するように用いられる磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、及びプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD製品)などの任意のコンピュータプログラム、装置及び/又はデバイスをいう。「機械可読信号」の用語は、プログラマブル・プロセッサに機械語指令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号をいう。機械可読媒体は、例えば、非一過性固体状メモリ、磁気ハードドライブ、又は任意の等価記憶媒体などとして非一過性の前記機械語命令を記憶してもよい。機械可読媒体は、例えば、1以上の物理的プロセッサ・コアに関連するプロセッサ・キャッシュ又は他のランダム・アクセス・メモリとして、一過性の態様で前記機械語命令を代替的又は付加的に記憶してもよい。
【0137】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書に記載された主題の1以上の態様又は特徴は、例えば、ユーザに対して情報を表示するブラウン管(CRT)、液晶表示装置(LCD)、又は発光ダイオード(LED)モニタなどの表示装置、キーボード、及びユーザがコンピュータに入力するマウスやトラックボールなどのポインティングデバイスを有するコンピュータで実行されてもよい。他の種類の装置が、同様に、ユーザとインタラクションを提供するように使用されてもよい。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバックなどの感覚的フィードバックの任意の形式であってもよく、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力に限定されるものではなく、任意の形式で受信されてもよい。他の可能な入力装置は、限定されるものではないが、単点又は多点抵抗性又は容量性トラックパッドなどのタッチスクリーンや他のタッチセンサ式装置、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタル画像捕捉装置、及び関連する他の解釈ソフトウェアなどを備えてもよい。分析器から離れたコンピュータは、分析器とリモートコンピュータとの間でのデータ交換(例えば、校正データ、動作パラメータ、ソフトウェアのアップグレード又はアップデートなどの、分析器からリモートコンピュータでデータを受信すること及び情報を伝達すること)、分析器の遠隔制御、診断などを可能にする有線又は無線ネットワークを通じて分析器とリンクされてもよい。
【0138】
本明細書に記載された主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品で具体化されてもよい。前述の説明に記載された実施例は、本明細書に記載された主題と一致する全ての実施例を表すものではない。むしろ、それらは、記載された主題に関連する態様と対応する単なるいくつかの例示である。いくつかの変形例を詳しく上述したが、他の変更や追加が可能である。具体的には、更なる特徴及び/又は変形例が、本明細書に記載されているものに加えて提供されてもよい。例えば、上述した実施例は、開示された特徴の様々な組合せ及びサブコンビネーション、及び/又は上述したいくつかの更なる特徴の組合せ及びサブコンビネーションを対象としてもよい。また、添付の図面に示された及び/又は本明細書に記載された論理の流れは、所望の結果を達成するために、示された特定の順番又は順序を必ずしも必要としない。他の実施例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。