特許第6382216号(P6382216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382216
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】堅牢なタービンブレード
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/20 20060101AFI20180820BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20180820BHJP
   F01D 11/12 20060101ALI20180820BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20180820BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20180820BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   F01D5/20
   F01D5/28
   F01D11/12
   F01D9/04
   F02C7/28 A
   F02C7/28 E
   F02C7/00 C
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548047(P2015-548047)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-505102(P2016-505102A)
(43)【公表日】2016年2月18日
(86)【国際出願番号】US2013075477
(87)【国際公開番号】WO2014099814
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/738,118
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】クライナウ,チャッド・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ランゲンブルナー,ニスレン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー,マシュー・マーク
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0014060(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/085376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/20
F01D 5/28
F01D 9/04
F01D 11/12
F02C 7/00
F02C 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁と、後縁と、ブレード先端(10)と、対向する根元端部とを有するセラミックマトリクス複合材(CMC)のタービンブレードを備えた堅牢なタービンブレードであって、
前記セラミックタービンブレードが、前記前縁と前記後縁との間の少なくとも1つの寸法で湾曲しており、
前記ブレード先端が、単一の陥凹を有する陥凹先端及び単一の突出を有する突出先端の一方を有し、アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が、前記ブレード先端上に配置され且つ陥凹又は突出のうちの少なくとも一方である、
堅牢なタービンブレード。
【請求項2】
前記ブレード先端が陥凹であり、前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が陥凹である、請求項1に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項3】
前記陥凹のブレード先端が、隆起した縁部間に配置されたチャネル(28)を定める、請求項2に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項4】
前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が更に、前記ブレード先端の隆起縁部間に直線状のベース又は湾曲したベースの一方を含む、請求項3に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項5】
前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が更に、湾曲した隆起縁部又は直線状の隆起縁部の一方を含む、請求項4に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項6】
前記アブレイダブル層の隆起縁部が、先端摩擦力を低減する、請求項4または5に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項7】
前記ブレード先端の陥凹構成並びに前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が機械的保持部を形成して、前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方を保持し、摩擦事象中に前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方の完全遊離を防ぐようにする、請求項4から6のいずれかに記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項8】
前記CMCタービンブレード先端が突出層であり、前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方である、請求項1に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項9】
前記CMCタービンブレード先端が湾曲形状を有し、前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が湾曲形状を有する、請求項8に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項10】
前記ブレード先端並びに前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が各々、平坦な上部及び湾曲上部の少なくとも一方を有する、請求項9に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項11】
前記CMCタービンブレード先端と前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方との間に配置された環境障壁コーティングを更に備える、請求項1から10のいずれかに記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項12】
前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方がパターンを有する、請求項1から11のいずれかに記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項13】
前記パターンが、成形リッジ、平坦リッジ、丸みのあるリッジ、単点又は複数点先端、円錐状、及び局所的な隆起部のうちの1つである、請求項12に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項14】
堅牢なタービンブレードであって、
アブレイダブル又はアブレッシブ層のうちの一方を備えて機械的保持を増大させるような幾何形状にされたブレード先端を有するセラミックマトリクス複合材(CMC)のタービンブレードを備え、
前記ブレード先端並びに前記アブレイダブル又はアブレッシブ層の一方が共に、単一の突出した形状、又は単一の陥凹の形状のうちの1つである、
堅牢なタービンブレード。
【請求項15】
前記アブレイダブル又はアブレッシブ層のうちの一方が、環境コーティングで、又は該環境コーティングとは独立して形成される、請求項14に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項16】
前記ブレード先端が更に縁部を含む、請求項14に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項17】
前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が縁部を有する、請求項15に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項18】
前記縁部が湾曲又は平坦のうちの一方である、請求項16に記載の堅牢なタービンブレード。
【請求項19】
前記ブレード先端並びに前記アブレイダブル層及びアブレッシブ層の一方が、湾曲又は鋭利なコーナの一方を有する陥凹である、請求項17に記載の堅牢なタービンブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的にタービンに関する。より具体的には、本発明は、機械的完全性又は性能を損なうことなくブレード先端とシュラウドとの間の摩擦に耐える堅牢なタービンブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
タービン組立体は通常、燃料の燃焼によって生成される高温の加圧ガスを膨張させることにより回転シャフト出力を発生させる。ガスタービンバケット又はブレードは一般に、流路ガスの熱及び運動エネルギーをロータの機械的回転に転換するよう設計された翼形部形状を有する。
【0003】
タービンの性能及び効率は、回転ブレードの先端と固定シュラウドとの間のスペースを縮小して、他の場合にはブレードをバイパスすることになる空気流がブレードの上部を越えて又はその周囲から流れるのを制限することにより向上させることができる。例えば、ブレードは、エンジン作動中に先端がシュラウドに近接して一致するように構成することができる。
【0004】
タービンブレードは、ニッケル基超合金及びセラミックマトリクス複合材(CMC)を含む幾つかの材料から作ることができる。CMCは、温度性能が高く軽量であることに起因して、タービン用途においてニッケル基超合金に代わる魅力的な代替手段である。
【0005】
CMCタービンブレードを設計する際には、効率的な先端クリアランスを生成し維持することが極めて重要である。CMCは金属超合金と比べて本来的に破断歪みが小さく損傷許容性が低いことにより、タービンブレード先端の摩擦事象の際のブレードの耐久性に関する問題が生じる。ガス燃焼環境においてCMC減肉又はシリカ生成の揮発はまた、緊密な先端クリアランスを保持しようとする際の課題となる可能性がある。
【0006】
先端摩擦事象の際には、半径方向クリアランスが干渉状態になり、翼形部先端が固定シュラウドハードウェアに衝突し、ブレードに大きな接線方向の力をもたらす。この力は、翼形部及びシャンクに相当な曲げモーメントを誘起し、その結果、部品に過荷重を加え、恒久的な構造損傷を引き起こす可能性がある。エンジンの構造クリアランス及びシュラウドクリアランス制御システムの不確定要因に起因して、設計堅牢性の最良事例では、機械的完全性又は性能を損なうことなくブレード先端とシュラウドとの間の摩擦に耐えるタービンブレードが要求される。
【0007】
上記の課題を克服するCMCブレードが当該技術分野において望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011111211号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、先端摩擦事象中のタービンブレードに対する損傷を最小限にし、更なる先端減肉を抑制し、タービンブレードの弾性を改善する堅牢なタービンブレード設計を提供する。これは、陥凹先端又は突出先端などの種々のブレード先端設計によって達成することができる。また、アブレイダブル層又はアブレッシブ層を有する環境障壁コーティング(EBC)を備えたブレード先端又はシュラウド、或いは両方を設けることにより達成できる。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、ブレードは、陥凹又は突出構成を有する先端を含むことができる。
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、ブレードは、CMC製で且つEBCを含むことができる。シュラウドは、CMC製で且つEBCを含むことができ、或いは、金属製で熱障壁コーティング(TBC)又は他の同様のセラミックコーティングを含むことができる。本発明の種々の実施形態において、ブレード先端又はシュラウド、或いはブレード先端及びシュラウド両方のEBCは、アブレイダブル又はアブレッシブ層を含むことができる。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるブレード先端の図。
図2】本発明の1つの実施形態による、陥凹構成を有するブレード先端の斜視図。
図3】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図4】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図5】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図6】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図7】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図8】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図9】本発明の1つの実施形態による、突出構成を有するブレード先端の斜視図。
図10】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図11】本発明の1つの実施形態によるブレード先端の断面図。
図12】本発明の1つの実施形態による、陥凹構成及びパターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層を有するブレード先端の斜視図。
図13】本発明の1つの実施形態による、突出構成及びパターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層を有するブレード先端の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
可能な限り、図面全体を通じて同じ要素を示すために同じ参照符号が使用される。
【0015】
本発明は、先端摩擦事象の間のタービンブレードに対する損傷を最小限にし、更なる先端減肉を防いでタービンブレードの弾性を改善する堅牢なタービンブレードを提供する。これは、陥凹先端又は突出先端など、様々なブレード先端設計によって達成することができる。また、アブレイダブル又はアブレッシブ層を有するEBCを備えたブレード先端又はシュラウド、もしくはその両方を設けることにより達成することができる。
【0016】
ブレード先端は、CMC材料から作ることができ、アブレイダブル又はアブレッシブ層を有するEBCを含むことができる。陥凹及び突出先端を含む種々の先端幾何形状、及びアブレイダブル又はアブレッシブコーティングにより、先端摩擦事象中のブレードにおける接触荷重を低減し、シュラウドに対して摩擦する可能性がある先端区域を低減することにより、タービンブレードの他の重要区域に対しての可能性のある損傷を最小限にする一助となる。
【0017】
本発明によれば、前縁及び後縁、並びにブレード先端及び対向する根元端部を有するブレードは更に、例えば、陥凹先端又は突出先端を含むことができる。図1は、本発明によるブレード先端10の図である。ブレード先端10は、陥凹部又は突出部12を有することができる。
【0018】
ブレード先端が陥凹構成を有するときには、先端の側壁は先端に凹部を形成することができる。本発明の1つの実施形態によれば、凹部は、ブレード先端の長さに沿って開放チャネルを形成することができる。陥凹部は、何らかの半径又は深さを有することができる。例えば、陥凹部は、約0.018インチ〜約0.040インチの半径及び約0.040インチ〜約0.050インチの深さを有することができる。
【0019】
ブレード先端が突出構成を有するときには、先端の縁部は、厚み方向で先端中心に向かって隆起部を形成する。本発明の別の実施形態によれば、突出部は、ブレード先端の幅に沿ってリッジを形成することができる。突出部は、何らかの半径又は深さを有することができる。例えば、突出部は、約0.60インチ〜約0.80インチの半径及び約0.20インチ〜約0.60インチの深さを有することができる。
【0020】
図2は、本発明の実施形態による陥凹構成を有するブレード先端の斜視図である。ブレード先端20は、EBC22を含み、該EBC22は、アブレイダブル又はアブレッシブ層と、下にあるCMC基材24とを含むことができる。図2に示すように、EBC22及びCMC基材24の縁部26は、湾曲形状を有し、湾曲又は丸みのある陥凹部28を形成することができる。
【0021】
図3〜8は、本発明の種々の実施形態による陥凹先端部を有するブレード先端の断面図である。図3に示すように、EBC22及びCMC基材24の縁部26は、湾曲形状を有し、平坦なベースと湾曲又は丸みのある縁部とを有する陥凹部28を形成することができる。加えて、図4に示すように、EBC22及びCMC基材24の縁部26は、湾曲形状を有し、平坦なベースと直線状の縁部とを有する陥凹部28を形成することができる。図5に示すような本発明の別の実施形態によれば、EBC22及びCMC基材24の縁部26は、直線状の形状を有し、湾曲又は丸みのある陥凹部28を形成することができる。図6に示すような本発明の別の実施形態において、EBC22及びCMC基材24は、直線状の形状の1つの縁部26を有し、平坦なベースと湾曲縁部とを有する陥凹部28を形成することができる。図7に示すような本発明の別の実施形態において、EBC22及びCMC基材24の縁部26は、直線状の形状を有し、平坦なベース及び直線状の縁部を備えた陥凹部28を形成することができる。図8に示すような本発明の別の実施形態において、EBC22及びCMC基材24は、直線状の形状の1つの縁部26を有し、平坦なベース及び直線状の縁部を備えた陥凹部28を形成することができる。
【0022】
EBC接合に加えて、陥凹構成は、アブレイダブル材料の保持を助けて摩擦事象中にコーティングの完全遊離を防ぐ機械的保持部を形成することができる。加えて、陥凹部は、高い先端摩擦力を受けて変形又は部分的に破砕して、CMCブレードの高荷重を受けた残りの区域に対する衝撃を低減することができる。突出構成は、先端において狭面積を可能にし、結果として、ブレードに係る圧力生成を小さくすることにより先端摩擦力を低減することができ、また、より大きな半径に起因したより良好なEBC化学的接着を可能にすることができる。
【0023】
図9は、本発明の別の実施形態による突出構成を有するブレード先端の斜視図である。ブレード先端90は、EBC92を含み、該EBCは、アブレイダブル又はアブレッシブ層と、下にあるCMC基材94とを含むことができる。図9に示すように、EBC92及びCMC基材94の縁部96は、湾曲形状を有し、湾曲又は丸みのある縁部を有する突出部98を形成することができる。
【0024】
図10及び11は、本発明の種々の実施形態による突出先端を有するブレード先端の断面図である。図8に示すように、EBC92及びCMC基材94の縁部96は、湾曲形状を有し、平坦な上部を有する突出部98を形成することができる。図11に示すような本発明の別の実施形態において、EBC92及びCMC基材94の縁部96は、直線状の形状を有し、平坦な上部を有する突出部98を形成することができる。
【0025】
EBC及びCMC基材は、図2〜11に示すのと同様の断面輪郭を有することができ、或いは、異なる断面輪郭を有することができる。例えば、EBCは、湾曲形状を有し、平坦なベースと湾曲又は丸みのある縁部とを有する陥凹部を形成する縁部を有することができるが、CMC基材は、湾曲形状を有し且つ湾曲又は丸みのある陥凹部を有する縁部を有することができる。
【0026】
本発明の1つの実施形態によれば、ブレード先端は、パターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層を有するEBCでコーティングすることができる。例えば、パターンは、限定ではないが、平坦リッジ、丸みのあるリッジ、単点又は複数点先端など、シュラウド流路に従うリッジの形状にすることができるリッジを含むことができる。
【0027】
図12は、本発明の1つの実施形態による、陥凹構成及びパターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層21を有するブレード先端20の斜視図である。例えば、パターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層21は、EBC22の最上層とすることができる。図13は、本発明の1つの実施形態による、突出構成及びパターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層91を有するブレード先端90の斜視図である。例えば、パターン形成されたアブレイダブル又はアブレッシブ層91は、EBC92の最上層とすることができる。
【0028】
陥凹又は突出CMC先端を形成するために、コア翼形部構造SiCパイルは、超音波加工のような又はCMC成形プロセス中に実施される非従来的な機械加工法により定めることができる翼形部の先端を通って延びることができる。
【0029】
特定の先端構成は、他の構成に優る製造上の利点を提供することができる。例えば、湾曲形状を有し且つ湾曲又は丸みのある陥凹部を形成するEBC22及びCMC基材24の縁部26を備えた図2に示す陥凹先端構成は、図7又は8の陥凹部のような、直線状の縁部22を有する構成よりも製造をより簡素にすることができる。加えて、特定の構成は、機械的利点を提供する。例えば、図9に示す突出先端構成は、CMC基材94へのEBC92の良好なコーティング密着性を可能にすることができる。
【0030】
上記で検討したように、本発明の実施形態によれば、ブレードは、CMC製であり、EBCを含むことができる。ブレードを囲むシュラウドは、CMC製でEBCを含むことができ、或いは、金属製で熱障壁コーティング(TBC)又は他の同様のセラミックコーティングを含むことができる。
【0031】
種々のタイプのCMC材料を用いて、本発明のブレード又はシュラウドを形成することができる。例えば、シリコン含有マトリクス及び強化材料を有するCMC材料は、限定ではないが、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びこれらの混合物を含む。
【0032】
CMCにEBCコーティングを施工し、高温のエンジンセクションの過酷な環境から保護し、耐減肉性を向上させることができる。EBCは、高温燃焼環境において、シリコン含有CMC及びモノリシックセラミックスを急速に酸化させる可能性がある腐食性ガスに対する高密度気密シールを提供することができる。加えて、酸化ケイ素は、高温蒸気において安定ではないが、揮発性(ガス状)シリコン水酸化物化学種に転化される。従って、EBCは、このような酸化及び揮発プロセスに起因したセラミック構成要素の寸法変化の阻止を助けることができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態によれば、環境障壁コーティング材料は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び複合材料などのシリコン系高温基材に一般に使用されるものを含むことができる。これらの材料は、基材と一致又はほぼ一致した熱膨張係数を有する。典型的には、ボンドコート及び少なくとも1つの耐火性酸化層を含む基材へのEBC材料の接着を良好にするには複数の層が必要とされる。ボンドコートは、ガス状副生成物の発生無しで酸素を利用する、元素シリコン、シリコン合金、及び金属シリサイドなどの材料を含むことができる。バリウム・ストロンチウム・アルミノケイ酸塩(BSAS)、ムライト、希土類ジシリケート(例えば、イッテルビウムジシリケート)、希土類モノシリケート(例えば、イッテルビウムモノシリケート)、及びこれらの混合物を含む、当該技術分野において説明される典型的なEBC耐火酸化層は、長期にわたって基材に接着された状態のままとなる堅牢なブレード先端の1又はそれ以上の層を構成するのに最良の選択肢であろう。しかしながら、基材材料の熱膨張係数と一致又はほぼ一致した熱膨張係数を有する、他の何れかの酸化物、金属炭化物、金属ホウ化物、又は金属窒化物を用いることもできる。EBC材料の選択は、堅牢なブレード先端の設計に応じて変えることができる。
【0034】
本発明の種々の実施形態において、ブレード先端又はシュラウドのEBC、或いはブレード先端とシュラウドの両方のEBCは、先端摩擦事象中のブレード先端摩耗を低減するためにアブレイダブル又はアブレッシブ層を含むことができる。本発明の1つの実施形態によれば、アブレイダブル又はアブレッシブ層は、EBCの最上層とすることができる。
【0035】
アブレイダブル層は、より硬質、より高密度、又はより高重量の面に接して擦れたときに摩耗する。詳細には、アブレイダブル層は、柔軟な低剛性の材料を提供し、摩擦中にこれが降伏又は破砕されて、残りのブレード構造に加わる力が小さくなる。何らかの摩耗又は破砕されたアブレイダブル材料は、下にあるEBCコーティング及びCMC基材と置き換わり、更なる漏損又は先端減肉を阻止するようになる。対照的に、アブレッシブ層は、アブレイダブル層の摩耗を引き起こすより硬質、より高密度、又はより高重量のEBC材料を含むことができる。アブレッシブ層は、シュラウド材料が降伏するより高剛性の材料を提供し、これによりブレード先端に対する摩耗量を低減することができる。
【0036】
本発明の1つの実施形態によれば、ブレード先端は、アブレイダブル層を有するEBCを含むことができる。シュラウドは、ブレード先端のアブレイダブル層よりも硬質、高密度、又は高重量のアブレッシブ層を有するEBC又は金属コーティングを含むことができ、その結果、ブレード先端がエンジン作動中にシュラウドと擦れたときに、アブレイダブル層はブレード先端から摩滅し、これによりブレードに対する損傷を防ぐようにする。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、シュラウドは、アブレイダブル層を有するEBC又は金属コーティングを含むことができる。ブレード先端は、ブレード先端のアブレイダブル層よりも硬質、高密度、又は高重量のアブレッシブ層を有するEBCを含むことができ、その結果、ブレード先端がエンジン作動中にシュラウドと擦れたときに、アブレイダブル層はシュラウドから摩滅し、これによりブレードに対する損傷を防ぐようにする。
【0038】
EBC及びそのアブレイダブル又はアブレッシブ層は、様々な幾何形状で施工することができる。例えば、EBC及びアブレイダブル又はアブレッシブ層は、平坦、湾曲、リッジ状、円錐状、及び局所的な隆起部を有して、低先端摩擦力の効果を改善することができる。
【0039】
EBCは、限定ではないが、プラズマ溶射及び化学蒸着及び電子ビーム物理蒸着などの蒸着法を含む、標準的な工業コーティングプロセスを用いて施行することができる。加えて、EBCは、3Dプリンティングと同様にEBC粉体が層状に敷設されるレーザ付加プロセスにより施工することができる。この方法によって、アブレイダブル又はアブレッシブ層のEBC粉体及び/又は密度を変えることができる。
【0040】
本発明により、タービンブレードにCMCを使用できるようになり、これは、より高いタービン入口温度性能を可能にし、効率が高くなる。CMCタービンブレードはまた、エンジン重量の軽減を可能にする。
【0041】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ且つ本発明の要素を均等物で置き換えることができる点は理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物的事項を本発明の教示に適合するように多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、また本発明は、提出した請求項の技術的範囲内に属する全ての実施形態を包含することになるものとする。
【符号の説明】
【0042】
10 ブレード先端
12 突出部
20 ブレード先端
22 環境障壁コーティング(EBC)
24 CMC基材
26 縁部
28 陥凹先端
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