(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の状態では前記電源の全てを前記モータに、そして第2の状態では前記電源の部分集合を前記モータに接続するための、前記電源に接続された電源選択スイッチを更に備える、請求項5に記載の手術用器具。
前記モータ制御回路が、前記電源から前記モータに供給される電流を変化させるための、前記電源に接続された電流制御回路を更に備え、これにより前記モータが、少なくとも、
前記切断器具の切断ストローク周期の第1部分のための第1の低電力動作モードと、
前記切断器具の前記切断ストローク周期の第2部分のための第2の高電力動作モードと、を有する、請求項1または2に記載の手術用器具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2は、本発明の様々な実施形態による手術用切断及び締結器具10を表わす。図に示した実施形態は内視鏡用器具であり、概して、本願で述べる器具10の実施形態は内視鏡用の手術用切断及び締結器具である。しかしながら、本発明の他の実施形態により、この器具は、非内視鏡的手術用切断及び締結器具、例えば、腹腔鏡用器具であってもよいことに留意すべきである。
【0012】
図1及び2に示される手術用器具10は、ハンドル6、シャフト8、及び関節運動軸14においてシャフト8に旋回可能に接続された関節運動式エンドエフェクタ12を備える。関節運動制御部16がハンドル6に隣接して設けられることにより、関節運動軸14を中心としたエンドエフェクタ12の回転運動が可能となっている。図示された実施形態では、エンドエフェクタ12は組織を締め付け、切断し、ステープル留めするためのエンドカッターとして機能するように構成されているが、他の実施形態では、捕捉器具、カッター、ステープラー、クリップアプライヤー、アクセス装置、薬物/遺伝子治療用装置、超音波、RF又はレーザー装置などの、他の種類の手術用装置のエンドエフェクタなどの、様々な種類のエンドエフェクタが使用され得る。RF装置についてのさらなる詳細は、′312特許で見ることができる。
【0013】
器具10のハンドル6は、エンドエフェクタ12を作動させるための閉鎖トリガー18及び発射トリガー20を有し得る。異なる外科的作業を行うことを目的としたエンドエフェクタを有する器具は、エンドエフェクタ12を動作させるための異なる数又は種類のトリガー又は他の適切な制御機器を有し得る点は理解されるであろう。このエンドエフェクタ12は、好ましくは細長いシャフト8によってハンドル6から分離されて示されている。一実施形態では、臨床医又は器具10の操作者は、関節運動制御装置16を利用することによって、エンドエフェクタ12をシャフト8に対して関節運動させることができ、これは、公開済み米国特許出願公開第2007/0158385 A1号(発明の名称「Surgical Instrument Having An Articulating End Effector」、Geoffrey C.Hueilら)により詳細に説明されており、当該出願は、参照により本明細書に援用される。
【0014】
この例では、エンドエフェクタ12は、エンドエフェクタ12内に締め付けられた組織を効果的にステープル留め及び切断するのを確実にする間隔に維持される、ステープル溝22、及びアンビル24のような旋回可能に並進可能なクランプ部材を特に有している。ハンドル6はピストル把持部26を有し、臨床医がピストル把持部26の方向に閉鎖トリガー18を旋回させて引き寄せてアンビル24をエンドエフェクタ12のステープル溝22の方向に締め付ける又は閉じることによって、アンビル24と溝22との間に位置付けられた組織を締め付ける。発射トリガー20は、閉鎖トリガー18の更に外側に設けられている。下記に更に述べるように、閉鎖トリガー18が閉鎖位置にロックされると、発射トリガー20はピストル把持部26に向かってわずかに回転することができ、操作者が片手で発射トリガー20に達することができるようになる。次いで操作者が発射トリガー20をピストル把持部12の方向に旋回させて引き寄せることによって、エンドエフェクタ12内に締め付けられた組織をステープル留め及び切断することができる。他の実施形態では、アンビル24以外に、例えば対向するジョーなどの異なる種類の締め付け部材を使用することができる。
【0015】
「近位の」及び「遠位の」という用語は、本願では器具10のハンドル6を把持する臨床医に関して用いられる点は認識されるであろう。したがって、エンドエフェクタ12は、より近位のハンドル6に対して遠位となる。便宜上、また説明を明確にするため、本願では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語を図面に対して使用する点も更に認識されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び位置で使用され、これらの用語は、限定的及び絶対的であることを意図していない。
【0016】
閉鎖トリガー18を最初に作動させることができる。臨床医がエンドエフェクタ12の位置決めに満足したら、臨床医は、閉鎖トリガー18を、ピストル把持部26に近接した、完全に閉じたロック位置まで引き戻すことができる。次に、発射トリガー20を作動させることができる。下記により完全に述べるように、発射トリガー20は、臨床医が圧力を除くと開放位置(
図1及び2に示される)に戻る。ハンドル6の解除ボタンは、押し込まれると、ロックされた閉鎖トリガー18を解放することができる。解放ボタンは、様々な形態で、例えば
図7で示されるスライド解放ボタン160又は公開済み米国特許出願第2007/01755955 A1号で説明される機構のいずれかとして実装されることができ、当該出願は、参照により本明細書に援用される。
【0017】
図3は、異なる実施形態によるエンドエフェクタ12の分解図である。例示された実施形態に示されるように、エンドエフェクタ12は、既に言及された溝22及びアンビル24に加えて、切断器具32、橇状部材33、溝22内に取り外し可能に位置するステープルカートリッジ34、及び螺旋状のねじシャフト36を含み得る。切断器具32は、例えばナイフであり得る。アンビル24は、溝22の近位端部に接続された旋回点25において旋回可能に開閉することができる。アンビル24は、アンビル24を開閉するために機械的閉鎖システム(下記に詳述する)の要素に挿入されるタブ27を、最近端に更に有してもよい。閉鎖トリガー18が作動される、すなわち器具10の使用者によって引き込まれると、アンビル24は、締め付けられた又は閉じた位置へと旋回点25を中心として旋回し得る。エンドエフェクタ12の締め付けが充分である場合、操作者が発射トリガー20を作動させることができ、これにより、下記により詳細に説明するように、ナイフ32及び橇状部材33が溝22に沿って長手方向に移動してエンドエフェクタ12内に締め付けられた組織を切断する。橇状部材33が溝22に沿って動くことにより、ステープルカートリッジ34のステープルが切断された組織を通じて閉じたアンビル24に対して打ちこまれ、アンビル24がステープルを折り曲げて切断組織を締結する。異なる実施形態において、橇状部材33はカートリッジ34と一体の構成要素であってもよい。参照によりその内容が本願に援用される、米国特許第6,978,921号、発明の名称「Surgical Stapling Instrument Incorporating An E−Beam Firing Mechanism」は、かかる2ストロークの切断及び締結器具についてより詳細に記載している。ナイフ32が切断動作後に後退する際に橇状部材33が後退しないよう、橇状部材33はカートリッジ34の一部分とすることができる。
【0018】
本明細書に記載される器具10の実施形態は、切断された組織をステープル留めするエンドエフェクタ12を使用しているが、他の実施形態では、切断された組織を締結又は密閉するための異なる技術が用いられ得ることに注意されたい。例えば、切断された組織を締結するためにRFエネルギー又は接着剤を使用するエンドエフェクタを使用することも可能である。参照により本明細書に援用される、Yatesらの「Electrosurgical Hemostatic Device」と題された米国特許第5,709,680号、及びYatesらの「Electrosurgical Hemostatic Device with Recessed and/or Offset Electrodes」と題された米国特許第5,688,270号は、切断された組織を密閉するためにRFエネルギーを用いる内視鏡用切断器具を開示する。公開済み米国特許出願公開第2007/0102453 A1号(Jerome R.Morganら)及び公開済み米国特許出願公開第2007/0102452 A1号(Frederick E.Shelton,IVら)は、切断された組織を締結するために接着剤を使用する、内視鏡用切断器具を開示し、当該出願も、参照により本明細書に援用される。したがって、本願の説明文は下記に述べるような切断/ステープル留め動作などに関するものであるが、これは例示的な実施形態であって限定を目的としたものではないことを認識されたい。他の組織締結技術を用いることもできる。
【0019】
図4及び5は、様々な実施形態によるエンドエフェクタ12及びシャフト8の分解図であり、
図6は側面図である。図の実施形態に示されるように、シャフト8は、旋回連結要素44によって旋回可能に連結された近位閉鎖管40及び遠位閉鎖管42を有し得る。遠位閉鎖管42は開口部45を有しており、下記に詳述するように開口部45内にアンビル24のタブ27が挿入されることでアンビル24が開閉される。閉鎖管40、42の内部には近位側脊柱管46が配置され得る。近位側脊柱管46の内部には、ベベルギアアセンブリ52を介して第2の(又は近位側)駆動シャフト50と連動した主回転(又は近位側)駆動シャフト48が配置され得る。第2の駆動シャフト50は、螺旋状ねじシャフト36の近位側駆動ギア56と噛み合う駆動ギア54に接続されている。垂直ベベルギア52bは近位側脊柱管46の遠位端の開口部57内に位置し、開口部57内で旋回し得る。遠位スパイン管58は、第2の駆動シャフト50及び駆動ギア54、56を収容するために用いられてもよい。主駆動シャフト48、第2の駆動シャフト50、及び関節アセンブリ(例えば、ベベルギアアセンブリ52a〜c)は本願ではまとめて「主駆動シャフトアセンブリ」と呼ぶ場合がある。
【0020】
ステープル溝22の遠位端に配置されたベアリング38が螺旋状駆動ねじ36を受容することにより、螺旋状駆動ねじ36は溝22に対して自由に回転することが可能である。螺旋状ねじシャフト36がナイフ32の螺着開口部(図に示されていない)と干渉することにより、シャフト36の回転によってナイフ32がステープル溝22内で遠位方向又は近位方向に(回転方向に応じて)並進運動する。したがって、発射トリガー20の作動によって主駆動シャフト48が(下記により詳しく説明するように)回転させられると、ベベルギアアセンブリ52a〜cが第2の駆動シャフト50を回転させ、これにより、駆動ギア54、56の係合により螺旋状ねじシャフト36が回転し、これによりナイフ駆動部材32が溝22に沿って長手方向に移動してエンドエフェクタ内に締め付けられた任意の組織を切断する。橇状部材33は例えばプラスチックで形成されてもよく、傾斜した遠位面を有し得る。橇状部材33が溝22を通って動く際、傾斜した前面がステープルカートリッジ内のステープルを、締め付けられた組織を貫通してアンビル24に対して押し上げる、すなわち打ち込むことができる。アンビル24がステープルを折り曲げることによって、切断された組織をステープル留めする。ナイフ32が後退すると、ナイフ32と橇状部材33とが係合解除し、これにより橇状部材33は溝22の遠位端に残される。
【0021】
図7〜10は、モータ駆動エンドカッターの例示的な実施形態を図示する。図示された実施形態は、エンドエフェクタ内における切断器具の配置及び負荷力に関するユーザーフィードバックを提供する。更に、本実施形態は、発射トリガー20を後退させる際に使用者により与えられる力を利用することで装置に電力を供給することができる(いわゆる「パワーアシスト」モード)。図示された実施形態に示されるように、ハンドル6は、互いに嵌合して、通常はハンドル6の外面を形成する外部下方側面部材59、60及び外部上方側面部材61、62を有する。リチウムイオン電池などの電池64をハンドル6のピストル把持部26に配することができる。電池64は、ハンドル6のピストル把持部26の上方部分に配置されている電動モータ65に電力を供給する。様々な実施形態によると、直列に接続された、いくつかの電池セルが、モータ65に電力供給するために使用される場合がある。
【0022】
モータ65は、負荷なしで、およそ25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付き駆動モータであってよい。他の実施形態では、モータ65は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパーモータ、又は任意の他の好適な電動モータを含んでよい。モータ64は、第1ベベルギア68及び第2ベベルギア70を含む90°ベベルギアアセンブリ66を駆動することができる。ベベルギアアセンブリ66は、遊星ギアアセンブリ72を駆動することができる。遊星ギアアセンブリ72は、駆動シャフト76に接続されたピニオンギア74を含み得る。ピニオンギア74は、駆動シャフト82を介して螺旋状ギアドラム80を駆動する、嵌合するリングギア78を駆動することができる。リング84を螺旋状ギアドラム80上に螺着することができる。したがって、モータ65が回転するとき、リング84が、挿置されたベベルギアアセンブリ66、遊星ギアアセンブリ72、及びリングギア78によって、螺旋状ギアドラム80に沿って移動される。
【0023】
ハンドル6は、操作者によってハンドル6のピストル把持部26の方向に発射トリガー20が引き込まれた(又は「閉じられた」)ことを検知することによってエンドエフェクタ12による切断/ステープル留め動作を作動させる、発射トリガー20と連絡している運行モータセンサー110を更に有してもよい。センサー110は、例えば、加減抵抗器又は可変抵抗器などの、比例センサーであってよい。発射トリガー20が引かれると、センサー110がこの運動を検出し、モータ65に供給される電圧(又は電力)を示す電気信号を送る。センサー110が可変抵抗器又はそれに類するものである場合には、モータ65の回転は発射トリガー20の運動量に概ね比例したものとなり得る。すなわち、操作者がわずかに発射トリガー20を引く、又は閉じるだけでは、モータ65の回転は比較的低い。発射トリガー20が完全に引き込まれる(又は完全に閉鎖した位置となる)場合には、モータ65の回転は最大となる。別の言い方をすれば、使用者が発射トリガー20を強く引くほど、モータ65に加えられる電圧が大きくなり、回転速度が大きくなる。
【0024】
ハンドル6は発射トリガー20の上方部分に隣接して中間ハンドル部材104を有し得る。ハンドル6は、中間ハンドル部材104の支柱と発射トリガー20との間に接続された付勢バネ112を更に有し得る。付勢バネ112は発射トリガー20を完全に開いた位置に付勢することができる。これにより、操作者が発射トリガー20を解放すると付勢バネ112が発射トリガー20を開いた位置へと引っ張り、これによりセンサー110の作動が解除され、モータ65の回転が停止する。更に、付勢バネ112により、使用者は発射トリガー20を閉じるたびに閉鎖動作に対する抵抗を感じるため、モータ65によって与えられる回転量に関するフィードバックが使用者に与えられる。更に、操作者は、発射トリガー20の後退を停止することによりセンサー100から力を取り除き、これによりモータ65を停止させることができる。このようにして、使用者はエンドエフェクタ12の展開を停止することが可能であり、これにより切断/締結動作の制御手段が操作者に与えられる。
【0025】
螺旋状ギアドラム80の遠位端は、ピニオンギア124と嵌合するリングギア122を駆動する遠位駆動シャフト120を含む。ピニオンギア124は主駆動シャフトアセンブリの主駆動シャフト48に接続されている。これにより、上記に述べたようにモータ65の回転が主駆動シャフトアセンブリを回転させることでエンドエフェクタ12が作動する。
【0026】
螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84は、スロット付きアーム90のスロット88内に配置された支柱86を有し得る。スロット付きアーム90は、ハンドルの外部側面部材59、60の間に接続される旋回ピン96を受容する開口部92を反対側の端部94に有する。旋回ピン96はまた、発射トリガー20の開口部100及び中間ハンドル部材104の開口部102に通して配置される。
【0027】
更に、ハンドル6は、逆動モータ(又はストローク終端センサー)130及び停止モータ(又はストローク開始)センサー142を有し得る。様々な実施形態では、逆動モータセンサー130は、螺旋状ギアドラム80の遠位端に位置するリミットスイッチであってよく、これにより螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84が螺旋状ギアドラム80の遠位端に達すると、リング84が逆動モータセンサー130と接触してこれを作動させる。逆動モータセンサー130は、起動されると、モータ65に信号を送り、その回転方向を逆にし、これによりエンドエフェクタ12のナイフ32が切断動作後に引っ込められる。停止モータセンサー142は、例えば、常時閉路式リミットスイッチであってよい。様々な実施形態では、停止モータセンサー142を螺旋状ギアドラム80の近位端に位置してもよく、リング84は、螺旋状ギアドラム80の近位端に達すると、スイッチ142を作動させる。
【0028】
動作時には、器具10の操作者が発射トリガー20を引き戻すと、センサー110は、発射トリガー20が配置されたことを検出してモータ65に信号を送ることにより、例えば、操作者が発射トリガー20を引き戻す強さに比例した速度で、モータ65を順方向に回転させる。モータ65の順方向の回転により、遊星ギアアセンブリ72の遠位端のリングギア78が回転し、これにより螺旋状ギアドラム80が回転し、螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84が螺旋状ギアドラム80に沿って遠位に動く。螺旋状ギアドラム80の回転により、上記に述べたように主駆動シャフトアセンブリも駆動され、これによりエンドエフェクタ12のナイフ32が展開される。すなわち、ナイフ32及び橇状部材33が長手方向に溝22を通って移動することにより、エンドエフェクタ12内に締め付けられた組織を切断する。更に、ステープラー型のエンドエフェクタが用いられる実施形態では、エンドエフェクタ12のステープル留め動作が引き起こされる。
【0029】
エンドエフェクタ12の切断/ステープル留め動作が完了するまでには、螺旋状ギアドラム80上のリング84は螺旋状ギアドラム80の遠位端に達し、これにより逆動モータセンサー130が作動してモータ65に信号を送ることによりモータ65の回転を逆転させる。これによりナイフ32が後退するとともに、螺旋状ギアドラム80上のリング84が螺旋状ギアドラム80の近位端へと戻る。
【0030】
中間ハンドル部材104は、
図8及び9に最も分かりやすく示されるようにスロット付きアーム90と係合する後方肩部106を有している。中間ハンドル部材104は更に、発射トリガー20と係合する前方運動停止部107を有している。スロット付きアーム90の運動は、上記に説明したようにモータ65の回転によって制御される。リング84が螺旋状ギアドラム80の近位端から遠位端に移動するにしたがってスロット付きアーム90が反時計回りに回転すると、中間ハンドル部材104は反時計回りに自由に回転できるようになる。これにより、使用者が発射トリガー20を引くと、発射トリガー20は中間ハンドル部材104の前方運動停止部107と係合し、中間ハンドル部材104を反時計回りに回転させる。しかしながら後方肩部106がスロット付きアーム90と係合するため、中間ハンドル部材104はスロット付きアーム90によって許容される範囲内で反時計回りに回転できるだけである。これにより、何らかの理由によってモータ65の回転が停止した場合、スロット付きアーム90は回転を停止し、スロット付きアーム90のために中間ハンドル部材104が反時計回りに自由に回転できなくなるため、使用者は発射トリガー20を更に引くことができなくなる。
【0031】
閉鎖トリガー18を後退させることによってエンドエフェクタ12のアンビル24を閉じる(又は締め付ける)ための代表的な閉鎖システムの要素が、更に
図7〜10に示されている。例示された実施形態では、クロージャシステムは、ピン251によりクロージャトリガー18に接続されたヨーク250を含み、ピン251は、クロージャトリガー18及びヨーク250両方の位置合わせされた開口部を通して挿入される。旋回ピン252は、これを中心として閉鎖トリガー18が旋回するものであり、閉鎖トリガー18にピン251が挿通される位置とはオフセットして閉鎖トリガー18に設けられた別の開口部に挿通されている。したがって、閉鎖トリガー18が後退させられると、ピン251を介してヨーク250が取り付けられた閉鎖トリガー18の上側部分が反時計回りに回転する。ヨーク250の遠位端はピン254を介して第1の閉鎖ブラケット256に接続されている。第1の閉鎖ブラケット256は第2の閉鎖ブラケット258に接続される。閉鎖ブラケット256、258は、閉鎖ブラケット256、258の長手方向の運動が近位閉鎖管40(
図4を参照)による長手方向の運動を生じさせるように近位閉鎖管40の近位端が内部に配置、保持される開口部を共に形成する。器具10は更に、近位閉鎖管40の内部に配置される閉鎖ロッド260を有している。閉鎖ロッド260は、図示された実施形態の外部下方側面部材59のようなハンドル外部部材の1つの支柱263が内部に配置されることにより閉鎖ロッド260をハンドル6に固定的に接続する窓261を含み得る。これにより、近位閉鎖管40は閉鎖ロッド260に対して長手方向に動くことが可能となっている。閉鎖ロッド260は、近位側脊柱管46内のキャビティー269に嵌合してキャップ271によりキャビティー269内に保持される遠位側カラー267を更に有し得る(
図4を参照)。
【0032】
動作時には、閉鎖トリガー18が後退させられることによりヨーク250が回転すると、閉鎖ブラケット256、258によって近位閉鎖管40が遠位(すなわち、器具10のハンドル端部から離れる方向)に動き、これにより遠位閉鎖管42が遠位方向に動くと、アンビル24が旋回点25を中心として締め付け位置、すなわち閉鎖位置へと回転する。閉鎖トリガー18がロック位置から解除されると、近位閉鎖管40が近位にスライドし、これにより遠位閉鎖管42が近位にスライドし、遠位閉鎖管42の窓45にタブ27が挿入されていることによってアンビル24が旋回点25を中心として開いた位置、すなわち非締め付け位置へと回転する。これにより、操作者は、閉鎖トリガー18を後退させかつロックすることによってアンビル24と溝22との間で組織を締め付け、切断/ステープル留め動作後にはロック位置から閉鎖トリガー20を解除することによって組織を解放することができる。
【0033】
モータ付き手術用器具の追加の構成は、公開済み米国出願公開第2007/0175962 A1号(発明の名称「Motor−driven surgical cutting and fastening instrument with tactile position feedback」)に開示されており、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0034】
図11は、本発明の様々な実施形態によるモータ制御回路の概略図である。様々な実施形態では、モータ制御回路は、例えば、プロセッサ、メモリ、マイクロコントローラ、時間回路等などの1つ以上の集積回路(IC)を有する。他の実施形態では、モータ制御回路は、いずれのICを備えなくてもよい。ICを含む手術用器具を滅菌することは困難であり、複雑であり、かつ費用がかかることが多いため、このような非ICモータ制御回路は、好都合であり得る。
【0035】
閉鎖トリガー18をロックした後に、操作者が最初に発射トリガー20を引き入れると、センサー110が起動され(又はセンサー110がスイッチである場合、閉じられ)、電流がセンサー110を通して流れることが可能となる。常時開路式逆モータセンサースイッチ130が開いている(つまりエンドエフェクタのストロークの終端に達していない)場合、電流は、単極双投リレー132に流れる。逆モータセンサースイッチ130が閉じていない場合、リレー132のコイル134には電圧が印加されず、したがって、リレー132は、その電圧が印加されていない状態にある。
【0036】
また、
図11に示されるように、回路は、リレー132と直列に接続された並列の素子と並列に接続された抵抗素子144及びスイッチ146を含んでよい。抵抗素子144及びスイッチ146はまた、電源64にも接続されている。スイッチ146は、切断器具位置センサー150に応答する制御回路148によって制御され得る。様々な実施形態によると、切断器具32が、(i)そのストロークの開始に非常に近い場合、及び(ii)そのストロークの終端に非常に近い場合に、制御回路148は、スイッチ146を開くことができる。例えば、切断器具位置センサー150により判断されたときに、切断器具32が(i)そのストロークの開始点から0.003cm(0.001インチ)、及び(ii)そのストロークの終端から0.003cm(0.001インチ)にあるとき、制御回路はスイッチを開くことができる。スイッチ146が開くことで、電流が抵抗素子144を通じて流れ、次いでリレー132、リレー138、運行モータセンサースイッチ110を通じ、モータ65まで流れる。抵抗素子144を通じ流れる電流は、モータ65に供給される電流の大きさを減らし、これによってモータ65により供給される電力を低減する。したがって、切断器具32が、(i)そのストロークの開始に非常に近い場合、又は(ii)そのストロークの終端に非常に近い場合に、モータ65から供給される電力が低減される。逆に、一旦切断器具32がストロークの開始点又は終端点から十分に遠くに移動すると、制御回路148がスイッチ146を閉じて、これによって抵抗素子144を短絡させ、これによってモータ65への電流を増加させ、したがって、モータによって供給される電力を増加させる。
【0037】
様々な実施形態によると、電気回路は、電源を断たれたときに、モータ65の電気的動作が開始されるようにリレー132からの電流がそこを通過するインターロック回路137を集合的に形成するロックアウトセンサースイッチ136a〜dを更に含む。それぞれのロックアウトセンサースイッチ136a〜dは、それぞれの対応する状態の有無に応答して、開かれた(すなわち、非導電性)スイッチ状態又は閉じられた(すなわち、導電性)スイッチ状態を維持するよう構成され得る。器具10が発射されたときに存在する場合、対応する状態のいずれも、不十分な切断及びステープル留め動作及び/又は器具10への損傷をもたらし得る。ロックアウトセンサースイッチ136a〜dが応答し得る状態としては、例えば(a)溝22内にステープルカートリッジ34がない状態、(b)消耗された(例えば、先に発射された)ステープルカートリッジ34が溝22内に存在する状態、及び(c)溝22に対してアンビル24が開かれた(ないしは別の方法で不十分に閉じられた)位置にある状態、が挙げられる。構成部材の摩耗などのロックアウトセンサースイッチ136a〜dが応答し得る他の状態は、器具10によって生じる発射動作の積算回数に基づいて推定され得る。結果的に、様々な実施形態では、これら状態のいずれかが存在する場合、対応するロックアウトセンサースイッチ136a〜dがスイッチ開状態を維持し、したがって、モータ65の動作を開始するために必要とされる電流の通過を防止する。様々な実施形態では、全ての状態が修復された後にのみ、ロックアウトセンサー136a〜dによる電流の通過が可能となる。上述の状態は、単に例として提示されたものであり、器具10の動作に悪影響を及ぼす他の状態に応答するための追加的ロックアウトセンサースイッチが提供されてもよいことが認識されるであろう。1つ以上の上述の状態が存在しないか又は無関係であるような実施形態については、ロックアウトセンサースイッチの数が、描かれているものより少ない場合もあることも同様に理解されたい。
【0038】
図11に示されるように、ロックアウトセンサースイッチ136aは、ステープルカートリッジ34が溝22によってその適切な受け入れに対応する位置にあるとき、スイッチ閉状態が維持されるように、常時開路式スイッチ構成を用いて実装され得る。ステープルカートリッジ34が溝22内に据え付けられていないか、又は不適切に据え付けられた(例えば、誤って配置された)とき、ロックアウトセンサースイッチ136aは、スイッチ開状態を維持する。ロックアウトセンサースイッチ136bが常時開路式スイッチ構成を用いて実装され得ることで、消耗されていないステープルカートリッジ34(すなわち、非発射位置の橇状部材33を有するステープルカートリッジ34)が溝22内に存在する場合のみ、スイッチ閉状態が維持される。溝22内の消耗したステープルカートリッジ34の存在が、ロックアウトセンサースイッチ136bにスイッチ開状態を維持させる。ロックアウトセンサースイッチ136cが、常時開路式スイッチ構成を用いて実装され得ることで、アンビル24が溝22に対して閉位置にある場合に、スイッチ閉状態が維持される。ロックアウトセンサースイッチ136cは、遅延特性により制御され得、ここにおいてスイッチ閉状態は、アンビル24が所定の時間閉位置にあった後だけ、維持される。
【0039】
ロックアウトセンサースイッチ136dが、常時閉路式スイッチ構成を用いて実装され得ることで、器具10によって生じる発射の積算回数が所定の回数未満である場合だけ、スイッチ閉状態が維持される。ロックアウトセンサースイッチ136dは、器具10により実行される発射動作の積算回数の計数表示を維持し、所定の回数に対して計数を比較し、かつこの比較に基づいて、ロックアウトセンサースイッチ136dのスイッチ状態を制御するように構成された計数器139に連通し得る。
図11で別個に示されているが、一般的な装置を形成するために、計数器139は、ロックアウトセンサースイッチ136dと一体化されてもよいことが理解されよう。好ましくは、計数器139は電子素子として実装され、この電子素子は、それにもたらされた別個の電気信号の移行に基づいて維持された計数を増加するための入力を有する。機械的な入力(例えば、発射トリガー20の後退)に基づいて計数を維持するために構成される機械的な計数器が代わりに用いられてもよいことを理解されたい。電子素子として実装される場合、それぞれの発射動作について1回切り替わる電気回路内に存在する任意の別個の信号が、計数器139入力に使用され得る。
図11に示されるように、例えば、ストローク終端センサー130の作動からもたらされる別個の電気信号が利用されてもよい。計数器139は、維持された計数が計数器139内に保存された所定の回数未満である場合にスイッチ閉状態が維持されるように、ロックアウトセンサースイッチ136dのスイッチ状態を制御し得る。維持された計数が所定の回数と等しい場合に、計数器139は、ロックアウトセンサースイッチ136dをスイッチ開状態に維持させて、これによって、そこを通る電流の通過を防止する。計数器139によって保存される所定の回数は、要求に応じて選択的に調節され得ることを理解されたい。様々な実施形態によると、計数器304は、LCDディスプレイなどの外部のディスプレイ(図示せず)と連通し得、これは器具10と一体となって、維持された計数又は所定の回数と維持された計数との差のいずれかを使用者に示すためのものである。
【0040】
様々な実施形態によると、インターロック回路137は、ロックアウトセンサースイッチ136a〜dの少なくとも1つの状態を表示するための、器具10の使用者が視認できる1つ以上の指示器を備えてもよい。このような指示器についてのさらなる詳細は、公開済み米国特許出願公開第2007/0175956号(発明の名称「Electronic lockouts and surgical instrument including same」)に見出すことができ、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。本願はまた、ロックアウトセンサースイッチ136a〜dに関する装着配置及び構成の例を包含する。
【0041】
図示した実施形態では、ロックアウトセンサースイッチ136a〜dが集合的にスイッチ閉状態を維持する場合、単極単投リレー138が励磁される。リレー138が励磁されると、電流がリレー138を通じ、運行モータスイッチセンサー110を通じ、かつ双極双投リレー140を介してモータ65に流れ、これによりモータ65に電力が供給されてモータ65は順方向に回転する。様々な実施形態によると、一旦励磁されると、リレー132が励磁されるまで、リレー138の出力がリレー138を励磁された状態で維持するために、たとえ1つ以上のインターロックセンサースイッチ136a〜dがスイッチ開状態を継続的に維持しようと、インターロック回路137は、一旦始動したモータ165の動作を防止するよう機能しない。しかしながら、他の実施形態では、一旦始動したモータ165の動作を持続させるために、1つ以上のロックアウトセンサースイッチ136a〜dがスイッチ閉状態を維持せねばならぬように、インターロック回路137とリレー138を接続することが必要であるか、さもなくば望ましい場合がある。
【0042】
順方向のモータの回転は、リング84を遠位に移動させるので、これによって、様々な実施形態では、停止モータセンサースイッチ142を非作動状態にする。スイッチ142は通常は閉じられているために、スイッチ142に接続されたソレノイド141が励磁され得る。ソレノイド141は、従来のプッシュタイプのソレノイドであり得、励磁されると、プランジャ(図示せず)を軸方向に伸ばす。プランジャの伸張は、閉鎖トリガー18を後退した位置に保持するよう動作することが可能であり、故に、発射動作が進行すると同時に(すなわち、スイッチ142が作動されていない間に)アンビル24が開くことを防止する。ソレノイド141が遮断された際に、プランジャが後退されることで、閉鎖トリガー18の手動での解放が可能である。
【0043】
エンドエフェクタ12がストロークの終端に達すると、逆動モータセンサー130が起動することによってスイッチ130が閉じてリレー132が励磁される。これによりリレー132は励磁状態(
図11には示されていない)となり、電流はインターロック回路137及び運行モータセンサースイッチ110を迂回し、代わりに常時閉路式双極双投リレー140及び戻ってモータ65の双方に流れるが、この場合はリレー140を介してモータ65の回転方向を逆転させるように流れる。停止モータセンサースイッチ142は常時閉路式であるため、電流はリレー132に戻ってスイッチ142が開くまでリレー132を励磁状態に保つ。ナイフ32が完全に後退すると、停止モータセンサースイッチ142が起動され、スイッチ142を開かせることによって、モータ65の電力を取り去り、かつソレノイド141の電源を切る。
【0044】
他の実施形態では、他の代替策を、切断ストローク周期中のある特定の期間中にモータ65に供給される電流を制限するために使用することができる。他の実施形態は、米国特許出願第12/235,782号に記載され、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0045】
いくつかの場合、出力トルクを増大させるためにモータ65に電流の一時的な増大を提供することは有益であり得る。
図19Aは、様々な実施形態による、モータ65に一時的な増大を提供するための回路の実施形態を示す。
図19Aの回路が、電源64に接続された電荷蓄積装置1000を追加として含むことを除いては、この回路は、
図11で示される回路と同様である。電荷蓄積装置1000は、キャパシタなどの、充電を保存することができる任意の装置であってよい。例えば、電荷蓄積装置1000は、ウルトラキャパシタ(スーパーキャパシタと呼ばれることもある)を含んでよい。スイッチ110が発射トリガー20の後退のために閉じられたときなどの、モータ65が最初にオンにされたとき、スイッチS1は閉じられる場合があり、これにより電池64は、上記に説明されるようにモータ65に電力供給することができる。加えて、また、スイッチS3は、抵抗器Rを介して電荷蓄積装置1000を充電するために短期間(「充電期間」)だけ閉じられてもよい。例えば、様々な実施形態によると、スイッチS3は、1〜10RC時定数の間、閉じられる場合があり、ここでRは抵抗器Rの抵抗であり、Cは電荷蓄積装置1000の静電容量である。
【0046】
電荷蓄積装置1000の充電は、正常動作状態中は使用されないままであってよいが、臨床医がモータ65からの追加の出力トルクを必要とする処置の時がおとずれた場合、電荷蓄積装置1000は電池64と直列に置かれ得る。これは、例えばスイッチS1を開き、スイッチS2を閉じること(S3は充電期間後に開いたまま)により行うことができる。スイッチS2が閉じられると、電荷蓄積装置1000は、電池64と直列に接続され、これによりモータ65に追加の電流を供給する。
【0047】
電荷蓄積装置1000を必要とする状態は、多くの方法で検出することができる。例えば、発射トリガー20に接続された可変抵抗器又はバネが存在していてよい。発射トリガーが、ある特定の点を超えて又は閾値レベルを超える力で後退されたとき、電荷蓄積装置1000は、電池64に直列に接続され得る。加えて又は代替として、ハンドル6は、電荷蓄積装置1000を電池64と直列に接続するために、臨床医が起動させることができる外部スイッチ(示されていない)を備えてよい。
【0048】
電荷蓄積装置1000は、
図11に関連して上記に説明される電流制限装置と共に、又は電流制限装置なしで使用することができる。
【0049】
図19Bは、様々な実施形態による、モータ65に電流の一時的な増大を提供するための、
図19Aで示される回路の代替の回路の実施形態を示す。この回路のいくつかの配置では、電池64単独で、モータ65に電力供給することができる。例えば、スイッチSbが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64のみからモータ65へ電力を提供することができる。残りのスイッチSa、Sc、Sd、及びSeは、開いたままであり得る。別の例としては、スイッチSd及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64のみからモータ65へ電力を提供することができる。残りのスイッチSa、Sc、及びSbは、開いたままであり得る。更に別の例としては、スイッチSb、Sd、及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64のみからモータ65へ電力を提供することができる。残りのスイッチSa及びScは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64は、モータ65に電力供給することなく、電荷蓄積装置1000を充電することができる。例えば、スイッチSc及びSdが閉じられると、モータ65に電力供給することなく、電荷蓄積装置1000を充電することができる。残りのスイッチSa、Sb、及びSeは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64は、モータ65への電力供給と、電荷蓄積装置1000の充電とを同時に行うことができる。例えば、スイッチSc、Sd、及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電荷蓄積装置1000の充電と、モータ65への電力供給とを同時に行うことができる。残りのスイッチSa及びSbは、開いたままであり得る。別の例としては、スイッチSb、Sc、及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電荷蓄積装置1000の充電と、モータ65への電力供給とを同時に行うことができる。残りのスイッチSa及びSdは、開いたままであり得る。別の例としては、スイッチSb、Sc、Sd、及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電荷蓄積装置1000の充電と、モータ65への電力供給とを同時に行うことができる。残りのスイッチSaは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64及び充電された電荷蓄積装置1000は、直列に連結されて、モータ65に電力供給することができる。例えば、スイッチSa及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64及び電荷蓄積装置1000をモータ65と直列に連結することができる。残りのスイッチSb、Sc、及びSdは、開いたままであり得る。
【0050】
図19Cは、様々な実施形態による、モータ65に電流の一時的な増大を提供するための、
図19A及び19Bで示される回路の代替の回路の実施形態を示す。この回路のいくつかの配置では、電池64単独で、モータ65に電力供給することができる。例えば、スイッチSd及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64のみからモータ65へ電力を提供することができる。残りのスイッチSa及びScは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64は、モータ65に電力供給することなく、電荷蓄積装置1000を充電することができる。例えば、スイッチSc及びSdが閉じられると、モータ65に電力供給することなく、電荷蓄積装置1000を充電することができる。残りのスイッチSa及びSeは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64は、モータ65への電力供給と、電荷蓄積装置1000の充電とを同時に行うことができる。例えば、スイッチSc、Sd、及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電荷蓄積装置1000の充電と、モータ65への電力供給とを同時に行うことができる。残りのスイッチSaは、開いたままであり得る。この回路のいくつかの配置では、電池64及び充電された電荷蓄積装置1000は、直列に連結されて、モータ65に電力供給することができる。例えば、スイッチSa及びSeが閉じられると、スイッチ110が閉じられていることと組み合わせて、電池64及び電荷蓄積装置1000をモータ65と直列に連結することができる。残りのスイッチSc及びSdは、開いたままであり得る。
【0051】
器具10の使用中のある時点に、モータ65を高速であるが比較的低いトルク出力で運転することが有利である場合がある。別の時点では、モータ65を高いトルク出力であるが低速にさせることが望ましい場合がある。様々な実施形態によると、この機能性は、
図20で示されるように、多数の(例えば、2つ以上の)巻線を有するモータ65で達成することができる。図示される実施形態では、モータは、2つの巻線を有する。第1の巻線1200は、巻線半体(又は部分)1201及び1202を有してよい。第2の巻線1204は、巻線半体(又は部分)1206及び1208を有してよい。この例のモータ65は、双極駆動回路1210を有する6又は8本のリード線モータであってよい(例えば
図11及び12を参照のこと)。高速低トルクモードが所望されるとき、2組の巻線は直列に接続される場合がある。このモードでは、
図20で示されるように、スイッチS1及びS4が閉じられ、スイッチS2、S3、S5、及びS6が開かれる。低速高トルクモードが所望されるとき、2組の巻線は並列に接続される場合がある。このモードでは、スイッチS1及びS4が開かれ、スイッチS2、S3、S5、及びS6が閉じられる。2つのモード間で移行する能力は、追加の可動部品を伴わずに、2速度伝送を効果的に引き起こす。このことは、同じモータが、同時にではないが、高速及び高トルク出力の両方を生成することも可能にする。この構成の利点は、複数のモータの使用が回避されることである。加えて、モータ65は、並列モードでは余分のトルクを、直列モードでは余分の速度を生成することができるため、いくつかの歯車装置を省略することが可能である場合がある。加えて、より多数の動作モードが実現され得るように、追加の巻線を使用することができる。例えば、直列及び並列巻線接続の複数の組み合わせのための巻線があってよい。また、いくつかの巻線は、モータの状態などを感知するために使用することができる。
【0052】
様々な実施形態によると、
図21に示されるように、ハンドル6は、外部モータモード選択スイッチ1220を備える場合がある。スイッチ1220を用いることにより、器具10の操作者は、モータ65が高速低トルクモードであるか、又は低速高トルクモードであるかを選択することができる。また、センサー入力に基づいてモータモードを自動的に切り換えるスイッチング回路などの、他のスイッチング回路は、動作モード間でモータ65をトグルで切り換えるために使用することができる。
【0053】
上記に説明されるモータ付き内視鏡用器具のうちの1つなどのモータ付き手術用器具では、又はモータ付き円形カッター器具では、モータは、直列に接続されたいくつかの電池セルにより電力供給され得る。更に、ある特定の状況では、電池セルの総数のうちの一部でモータに電力供給することが望ましい場合がある。例えば、
図12に示されるように、モータ65は、直列に接続された6個の電池セル310を備えるパワーパック299により電力供給される場合がある。電池セル310は、例えば、3ボルトのリチウム電池セル、例えばCR 123A電池セルであってよいが、他の実施形態では、異なる種類の電池セル(異なる電圧レベル及び/又は異なる化学的性質の電池セルを含む)を使用することができる。6個の3ボルト電池セル310が直列に接続されてモータ65に電力供給する場合、モータ65に電力供給するために使用可能な合計電圧は、18ボルトであり得る。電池セル310は、再充電可能な又は再充電可能でない電池セルを含んでよい。
【0054】
このような実施形態では、最も重い負荷下で、モータ65への入力電圧が、約9〜10ボルトまで下がる場合がある。この動作状態では、パワーパック299は、モータ65に最大電力を送達している。したがって、
図12に示されるように、回路は、モータ65が、(1)全ての電池セル310、又は(2)電池セル310のうちの一部、のいずれかにより電力供給されることを選択的に可能にするスイッチ312を含んでよい。
図12に示されるように、適切な選択により、スイッチ312は、モータ65が6個全ての電池セル又はこれらの電池セルのうちの4個により電力供給されるのを可能にすることができる。このように、スイッチ312は、18ボルト(6個全ての電池セル310を用いるとき)又は12ボルト(第2の電池セルのうちの4個を使用するなど)のいずれかで、モータ65に電力供給するために使用することができる。様々な実施形態では、モータ65に電力供給するために使用される一部の電池セルに関する、電池セルの数の設計選択は、モータ65が最も重い負荷について最大出力で動作するときに必要とする電圧に基づいてよい。
【0055】
スイッチ312は、例えば電気機械スイッチ、例えばマイクロスイッチであってよい。他の実施形態では、スイッチ312は、固体状態スイッチ、例えばトランジスタで実装することができる。プッシュボタンスイッチなどの、第2のスイッチ314は、電力がモータ65に全て適用されるかどうかを制御するために使用することができる。また、正/逆スイッチ316は、モータ65が順方向又は逆方向に回転するかどうかを制御するために使用することができる。正/逆スイッチ316は、双極双投スイッチ、例えば
図11に示されるリレー140で実装することができる。
【0056】
動作中、器具10の使用者は、スイッチ312の位置を制御するある種のスイッチ制御、例えば、トグルスイッチ、機械てこスイッチ、又はカムなどの位置依存スイッチ(示されていない)などを用いることにより、所望の電力レベルを選択することができる。次いで、使用者は、第2のスイッチ314を起動させて、選択された電池セル310をモータ65に接続することができる。加えて、
図12に示される回路は、他の種類のモータ付き手術用器具、例えば円形カッター及び/又は腹腔鏡用器具のモータに電力供給するために使用することができる。円形カッターについてのさらなる詳細は、公開済み米国特許出願公開第2006/0047307 A1号及び同第2007/0262116 A1号に見出すことができ、当該出願は参照により本明細書に援用される。
【0057】
他の実施形態では、
図13に示されるように、一次電源340、例えば電池セル、例えばCR2又はCR123A電池セルは、いくつかの二次蓄積装置342を充電するために使用することができる。一次電源340は、1つ又はいくつかの直列に接続された電池セルを備えてよく、これらは好ましくは図示される実施形態では取替可能である。二次蓄積装置342は、例えば、再充電可能な電池セル、及び/又はスーパーキャパシタ(「ウルトラキャパシタ」又は「電気化学二重層キャパシタ(EDLC)」としても知られる)を備えてよい。スーパーキャパシタは、通常の電解コンデンサと比べると非常に高いエネルギー密度(典型的には大容量電解コンデンサのおよそ数千倍)を有する電気化学キャパシタである。
【0058】
一次電源340は、二次蓄積装置342を充電することができる。一旦十分に充電されると、一次電源340は、除去することができ、二次蓄積装置342を、処置又は手術中にモータ65に電力供給するために使用することができる。蓄積装置342は、様々な状況で、充電するために約15〜30分間かかる場合がある。スーパーキャパシタは、従来の電池と比較して非常に速く充電及び放電することができる特性を有する。加えて、電池は、限られた数の充電/放電周期についてのみ良好であるが、スーパーキャパシタは、多くの場合、ときには数千万周期にわたって、繰り返して充電/放電することができる。スーパーキャパシタを二次蓄積装置342として使用する実施形態については、スーパーキャパシタは、炭素ナノチューブ、導電性ポリマー(例えば、ポリアセン)、又は炭素エーロゲルを含む場合がある。
【0059】
図14に示されるように、充電管理回路344は、いつ二次蓄積装置342が十分に充電されたかを決定するために使用することができる。充電管理回路344は、指示器、例えば1つ以上のLED、LCDディスプレイなどを含んでよく、この指示器は、二次蓄積装置342が十分に充電されたとき、器具10の使用者に警告するように起動される。
【0060】
一次電源340、二次蓄積装置342、及び充電管理回路344は、器具10のハンドル6のピストル把持部26の、又は器具10の別の部品の、パワーパックの部品であってよい。パワーパックは、ピストル把持部26から取り外し可能であってよく、この場合、器具10が手術に使用される予定であるとき、パワーパックは、例えば手術を支援する外回り看護師により、ピストル把持部26(又は他の実施形態による器具の他の位置)に無菌的に挿入されてよい。パワーパックの挿入後、看護師は、器具10の使用前のある特定の期間、例えば30分間、取替可能な一次電源340をパワーパック内に置いて、二次蓄積装置342を充電することができる。二次蓄積装置342が充電されると、充電管理回路344は、パワーパックが使用の準備ができている状態であることを示すことができる。この時点で、取替可能な一次電源340は、除去してよい。手術中、器具10の使用者は、次いで、例えばスイッチ314を起動することにより、モータ65を起動することができ、これにより二次蓄積装置342が、モータ65に電力供給する。したがって、モータ65に電力供給するためにいくつかの使い捨て電池を有する代わりに、1つの使い捨て電池(一次電源340として)を、このような実施形態で使用することができ、二次蓄積装置342は再利用可能であり得る。しかしながら、代替の実施形態では、二次蓄積装置342は、再充電可能ではない及び/又は再利用可能ではない場合があることに留意すべきである。二次蓄積装置342は、
図12と関連して上記に説明されるセル選択スイッチ312と共に使用することができる。
【0061】
また、充電管理回路344は、二次蓄積装置342にどのくらい充電が残っているかを示す、指示器(例えば、LED又はLCDディスプレイ)を含んでよい。このように、外科医(又は器具10の他の使用者)は、器具10に関連する処置の過程を通してどのくらい充電が残っているかを確認することができる。
【0062】
充電管理回路344は、
図15に示されるように、二次蓄積装置342にわたり電荷を測定するための電荷メータ345を備える場合がある。また、充電管理回路344は、不揮発性メモリ346、例えばフラッシュ又はROMメモリ、及び1つ以上のプロセッサ348を備える場合がある。プロセッサ(複数可)348は、メモリ346を制御するためにメモリに接続することができる。加えて、プロセッサ(複数可)348は、電荷メータ345の読取り値を読み取り、ないしは電荷メータ345を制御するために、電荷メータ345に接続されることができる。加えて、プロセッサ(複数可)348は、充電管理回路344のLED又は他の出力装置を制御することができる。プロセッサ(複数可)348は、メモリ346に器具10のパラメータを保存することができる。パラメータは、器具10に据え付けられ又は使用され得る様々なセンサーにより感知される器具の動作パラメータ、例えば発射の数、関連する力のレベル、エンドエフェクタ12の対向するジョー間の圧縮間隙の距離、関節運動量などを含んでよい。加えて、メモリ346に保存されるパラメータは、充電管理回路344が読み取り、保存し得る、器具10の様々な構成要素のID値を含んでよい。このようなIDを有する構成要素は、取替可能な構成要素、例えばステープルカートリッジ34であってよい。IDは、例えば充電管理回路344がRFIDトランスポンダ350を介して読み取るRFIDであってよい。RFIDトランスポンダ350は、RFIDタグを含む、器具の構成要素、例えばステープルカートリッジ34からRFIDを読み取ることができる。ID値を、読み取り、メモリ346に保存し、プロセッサ348によりメモリ346又は充電管理回路と関連付けられた別の記憶装置に保存されている容認できるID値のリストと比較して、例えば、読み取りID値と関連付けられる取り外し可能/取替可能な構成要素が信頼できるか及び/又は適切であるかどうかを決定することができる。様々な実施形態によると、プロセッサ348が、読み取りID値と関連付けられた取り外し可能/取替可能な構成要素が信頼できないと決定した場合、充電管理回路344は、例えばパワーパックからの電力がモータ65に送達されることを防ぐスイッチ(示されていない)を開くことにより、器具10によるパワーパックの使用を防ぐことができる。様々な実施形態によると、構成要素が信頼できる及び/又は適切であるかどうかを決定するためにプロセッサ348が評価し得る様々なパラメータには、データコード、構成要素モデル/タイプ、製造業者、地域情報、及び以前の誤差コードが含まれる。
【0063】
また、充電管理回路344は、上記に示されるものなどの、別の装置と通信するためのi/oインターフェース352を備えてよい。このように、メモリ346に保存されたパラメータは、別の装置にダウンロードされ得る。i/oインターフェース352は、例えば、有線又は無線インターフェースであってよい。
【0064】
前述のように、パワーパックは、二次蓄積装置342、充電管理回路344、及び/又はf/rスイッチ316を備える場合がある。様々な実施形態によると、
図16に示されるように、パワーパック299は、とりわけパワーパックの二次蓄積装置342を充電し得る充電器基部362に接続されることができる。充電器基部362は、充電器基部362をパワーパック299に無菌的に接続することによりパワーパック299に接続することができ、一方でパワーパックは、器具10に据え付けられる。パワーパックが取り外し可能である他の実施形態では、充電器基部362は、器具10からパワーパック299を取り除き、それを充電器基部362に接続することにより、パワーパック299に接続することができる。このような実施形態について、充電器基部362が、二次蓄積装置342を十分に充電した後、パワーパック299は、器具10内に無菌的に据え付けられることができる。
【0065】
図16に示されるように、充電器基部362は、二次蓄積装置342を充電するための電源364を備える場合がある。充電器基部362の電源364は、例えば、電池(若しくはいくつかの直列に接続された電池)、又は例えば電力主要部からの交流電力を直流に変換する交流直流変換回路、あるいは二次蓄積装置342を充電するための任意の他の好適な電源であってよい。また、充電器基部362は、二次蓄積装置342の充電状態を示すための指示器装置、例えばLED、LCDディスプレイなどを備える場合がある。
【0066】
加えて、
図16に示されるように、充電器基部362は、1つ以上のプロセッサ366、1つ以上のメモリユニット368、及びi/oインターフェース370、372を備える場合がある。第1のi/oインターフェース370を通して、充電器基部362は、(パワーパックのi/oインターフェース352を介して)パワーパック299と通信することができる。このように、例えば、パワーパック299のメモリ346に保存されたデータは、充電器基部362のメモリ368にダウンロードされ得る。このようにして、プロセッサ366は、充電管理回路344からダウンロードされた、取り外し可能/取替可能な構成要素についてのID値を評価して、構成要素の信頼性及び適合性を決定することができる。また、充電管理回路344からダウンロードされた動作パラメータは、メモリ368に保存され、次いで、その後、例えば器具10が関連する手術が行われる病院システム、外科医院、器具の販売者、器具の製造業者等が評価及び分析するために、第2のi/oインターフェース372を介して別のコンピュータ装置にダウンロードすることができる。
【0067】
また、充電器基部362は、二次蓄積装置342にわたり電荷を測定するための電荷メータ374を備える場合がある。電荷メータ374は、プロセッサ(複数可)366と通信する場合があり、そのためプロセッサ(複数可)366は、高性能を確実にするために使用するパワーパック299の適合性をリアルタイムで決定することができる。
【0068】
別の実施形態では、
図17に示されるように、電池回路は、電力節約器310によりモータ65に供給される電力を制御するための電力調節器320を備える場合がある。また、電力調節器320は、パワーパック299の部品であってよく、又は別個の構成要素であってもよい。上述のように、モータ65は、ブラシ付きモータであってよい。ブラシ付きモータのスピードは、概して、適用された入力電圧に比例する。電力調節器320は、モータ65に高度に調節された出力電圧を提供することができ、そのためモータ65は、一定(又は実質的に一定)スピードで動作するであろう。様々な実施形態によると、電力調節器320は、
図17の例で示されるように、スイッチモード電力変換装置、例えば昇降圧コンバータを備える場合がある。このような昇降圧コンバータ320は、電力スイッチ322、例えばFET、整流器32、誘導子326、及びキャパシタ328を備える場合がある。電力スイッチ322がオンであるとき、入力電圧源(例えば、電源310)は、この状態でエネルギーを保存する誘導子326に直接的に接続される。この状態で、キャパシタ328は、出力負荷(例えば、モータ65)にエネルギーを供給する。電力スイッチ320がオフ状態であるとき、誘導子326は、出力負荷(例えば、モータ65)及びキャパシタ328に接続され、そのためエネルギーは誘導子326からキャパシタ328及び負荷65に移される。制御回路330は、電力スイッチ322を制御することができる。制御回路330は、デジタル及び/又はアナログ制御ループを使用することができる。加えて、他の実施形態では、制御回路330は、主制御装置(示されていない)から通信リンク、例えば直列又は並列デジタルデータバスを介して制御情報を受信することができる。電力調節器320の出力の電圧設定点は、例えば、開回路電圧の2分の1に設定することができ、この点で供給源から入手可能な最大電力が使用可能となる。
【0069】
他の実施形態では、線形又はスイッチモード電力変換装置を含む、様々な電力変換装置トポロジーを使用することができる。使用され得る他のスイッチモードトポロジーは、フライバック、順方向、降圧、昇圧、及びSEPICを含む。電力調節器320の設定点電圧は、電池セルのうちのいくつがモータ65に電力供給するために使用されているかにより変化し得る。加えて、電力調節器320は、
図13に示される二次蓄積装置342と共に使用することができる。更に、正逆スイッチ316は、
図17では別個に示されているが、電力調節器320に組み込むことができる。
【0070】
電池は典型的に、理想的な電圧源及びソース抵抗としてモデル化することができる。理想的なモデルについて、供給源及び負荷抵抗が適合したとき、最大電力が負荷装置に運ばれる。
図18は、電池の典型的な電力曲線を示す。電池回路が開かれたとき、電池の両端電圧は(その開回路値で)高く、電池から引き出される電流は0である。電池から送達される電力も0である。より多くの電流が電池から引き出されると、電池の両端電圧は減少する。電池により送達される電力は、電流と電圧との積である。電力は、開回路電圧未満の電圧レベルの周囲でそのピークに達する。
図18に示されるように、ほとんどの電池化学で、その化学的性質若しくは正の温度係数(PTC)のために、又は電池保護装置のために、より高い電流での電圧/電力の急激な下降がある。
【0071】
特に、処置中にモータ65に電力供給するために電池(又は複数の電池)を用いる実施形態について、制御回路330は、出力電圧をモニターし、電池が電力曲線の「左」又は電力増大側で動作するように調節器320の設定点を制御することができる。電池がピーク電力レベルに達した場合、制御回路330は、より少ない合計電力が電池から要求されるように、調節器の設定点を変える(例えば、下げる)ことができる。次いで、モータ65は、減速することになる。このようにして、パワーパックからの需要は、ピークの利用可能な電力をめったに超えず、処置中の電力欠乏状態を避けることができる。
【0072】
加えて、他の実施形態によると、電池から引き出される電力は、電池セル内の化学反応が回復する時間を有し得るように最適化され、これにより電池から使用可能な電流及び電力を最適化することができる。パルス負荷では、電池は典型的に、パルスの終端に向かうパルスの始めに、より多くの電力を提供する。これは、いくつかの要因、例えば(1)PTCがパルス中にその抵抗を変化させつつあってよいこと、(2)電池の温度が変化しつつあってよいこと、及び(3)電気化学反応速度が、陰極の電解質の枯渇のために変化しつつあり、新しい電解質の拡散速度は反応速度を制限すること、によるものである。様々な実施形態によると、制御回路330は、変換装置320を、それが電池からより低い電流を引き出して、それが再びパルス駆動される前に電池が回復することを可能にするように、制御することができる。
【0073】
上述のように、様々な実施形態によると、電池パック299は、多数の電池セル310を備える場合がある。
図22は、6個の電池セル310を伴う実施形態を示す。電池セル310は、例えばリチウム一次電池であってよい。様々な実施形態によると、電池パック299は、内部で接続された電池セルの一部のみを有する場合がある。例えば、
図22に示されるように、セル310aはセル310bに接続され、セル310cはセル310dに接続され、セル310eはセル310fに接続される。しかしながら、セル310bはセル310cに電池パック内で内部接続されず、セル310dはセル310eに電池パック内で内部接続されない。このような実施形態では、器具10のハンドル6は、電池パック299が器具10に物理的に挿入されたときにのみセル310を直列に接続する電池セル接続子1300を備える場合がある。例えば、接続子1300は、正の出力端子1302、セル310bをセル310cに直列に接続する接続子1304、セル310dをセル310eに接続する接続子1306、及び負の出力端子1308を備えてよい。
【0074】
図23は、取替可能で取り外し可能な電池パック299が器具10のハンドル6内に据え付けられている、器具10の実施形態を示す。
図23に示されるように、電池セル接続子1300は、電池パック299がハンドル6に挿入されたときに電池セル接続子1300が必要な電池セル接続を行うように、ハンドル6内に統合することができる。
【0075】
もちろん、他の実施形態では、異なる数の内部セル及び異なる数の内部接続されたセルを有する電池パックを使用することができる。例えば、
図24は、6個のセル310a〜fを有し、2組の3個のセル(セル310a〜c及びセル310d〜f)が共に接続されている実施形態を示す。
【0076】
本明細書において開示される装置は、1回の使用の後に処分されるような設計とするか、又は複数回使用されるような設計とすることができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整され得る。再調整には、装置の分解工程、その後の洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせが含まれ得る。具体的には、装置は、分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部材を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外しをすることができる。個々の部材の洗浄及び/又は交換に際し、装置は、その後の使用のために、再調整施設において、あるいは、手術処置の直前に手術チームによって、再度組み立てることができる。当業者は、装置の再調整に、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための種々の技術を使用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0077】
好ましくは、本明細書に記載された発明の様々な実施形態は、手術の前に処理される。初めに、新しい又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄する。次に、器具を消毒することができる。1つの滅菌技術では、器具は、TYVEKシートで覆われた熱成形プラスチックシェルなど、閉じられ密閉された容器に入れられる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を貫入することができる放射線野の中に置く。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。消毒された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密閉容器は、医療施設において開封されるまで器具を無菌状態に保つ。
【0078】
装置を滅菌することが好ましい。これは、β線又はγ線照射、エチレンオキシド、蒸気及び他の方法などの、当業者に既知のあらゆる方法により行うことができる。
【0079】
幾つかの実施形態の記載により本発明が説明され、例示的な実施形態がかなり詳細に記載されているが、出願人は、添付された請求範囲をそのような詳細に制限するか、又は何らかの方法で限定する意図はない。当業者には、更なる利点及び修正が容易に明らかとなるであろう。本発明の様々な実施形態は、異なる形成された(最終)高さを有するステープルを得るために単一のカートリッジ内で異なる寸法のステープルを使用する必要がある従来のステープル留め方法に対する大幅な改善を示している。
【0080】
したがって、本発明は内視鏡処置及び装置に関して説明されてきた。しかしながら、本願における「内視鏡」などの用語の使用は、内視鏡チューブ(すなわち、トロカール)との組み合わせにおいてのみ使用される手術用ステープラー及び切断器具に、本発明を限定するものとして解釈されてはならない。それどころか、本発明は、限定はされないが開腹処置とともに腹腔鏡的処置などの、アクセスが制限される任意の処置においてその用途を見出すと考えられている。更に、本発明の様々なステープルカートリッジの実施形態の特有かつ新規な態様は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の形態のステープラー装置と組み合わせて使用される場合にその有用性を見出し得るものである。
【0081】
〔実施の態様〕
(1) 手術用器具であって、
可動性発射部材を備えるエンドエフェクタと、
前記発射部材を作動させるための電動モータと、
前記モータを制御するためのモータ制御回路と、を備え、前記モータ制御回路が、
前記モータに電力供給するための、前記モータに接続された電源と、
電荷蓄積装置と、
前記電源及び前記電荷蓄積装置に接続されたスイッチング回路と、を備え、前記スイッチング回路が、
前記電荷蓄積装置を充電するために、前記電荷蓄積装置を直列ではなく前記電源に一時的に接続するための第1のスイッチと、
前記電荷蓄積装置を前記電源と直列に選択的に接続して前記モータに追加の電力を提供するための第2のスイッチであって、前記第1のスイッチが前記電荷蓄積装置を前記電源に一時的に接続しているときに、前記第2のスイッチが前記電荷蓄積装置を前記電源と直列に選択的に接続しない、第2のスイッチと、を備える、手術用器具。
(2) 前記電荷蓄積装置が、キャパシタを含む、実施態様1に記載の手術用器具。
(3) 前記電荷蓄積装置が、ウルトラキャパシタを含む、実施態様2に記載の手術用器具。
(4) 前記電源が、複数の直列に接続された電池セルを備える、実施態様1に記載の手術用器具。
(5) 第1の状態では前記電源の全てを前記モータに、そして第2の状態では前記電源の部分集合を前記モータに接続するための、前記電源に接続された電源選択スイッチを更に備える、実施態様4に記載の手術用器具。
【0082】
(6) 前記エンドエフェクタが、円形切断エンドエフェクタを含む、実施態様1に記載の手術用切断及び締結器具。
(7) 前記エンドエフェクタが、線状切断エンドエフェクタを含む、実施態様1に記載の手術用切断及び締結器具。
(8) 前記モータ制御回路が、前記電源から前記モータに供給される電流を変化させるための、前記電源に接続された電流制御回路を更に備え、これにより前記モータが、少なくとも、
前記切断器具の切断ストローク周期の第1部分のための第1の低電力動作モードと、
前記切断器具の前記切断ストローク周期の第2部分のための第2の高電力動作モードと、を有する、実施態様1に記載の手術用器具。
(9) 前記モータが、少なくとも2つの巻線を備え、
前記モータ制御回路が、前記少なくとも2つの巻線を直列又は並列に選択的に接続するためのものである、実施態様1に記載の手術用器具。
(10) 前記可動性発射部材が、切断器具及びステープルドライバのうちの少なくとも1つを備える、実施態様1に記載の手術用器具。
【0083】
(11) 手術用器具であって、
可動性発射部材を備えるエンドエフェクタと、
前記発射部材を作動させるための電動モータと、
前記モータを制御するためのモータ制御回路と、を備え、前記モータ制御回路が、
陰端子及び陽端子を備える電源と、
電荷蓄積装置第1の端子及び第2の端子であって、前記電荷蓄積装置が、前記第1及び第2の端子を介して電圧電位で充電可能であるように構成される、電荷蓄積装置第1の端子及び第2の端子と、
前記電源及び前記電荷蓄積装置に接続されたスイッチング回路と、を備え、前記スイッチング回路が、
閉じられたときに、前記電源の前記陽端子から前記モータへの電流路を提供する、第1のスイッチと、
閉じられたときに、前記電池の前記陽端子から前記電荷蓄積装置の前記第1の端子への電流路を提供する、第2のスイッチと、
閉じられたときに、前記電源の前記陰端子から前記電荷蓄積装置の前記第2の端子への電流路を提供する、第3のスイッチと、を備える、手術用器具。
(12) 前記第1のスイッチが閉じられ、前記第2のスイッチが開かれ、前記第3のスイッチが開かれたときに、前記スイッチング回路が、前記電源で前記モータに電力供給する、実施態様11に記載の手術用器具。
(13) 前記第1のスイッチが閉じられ、前記第2のスイッチが開かれ、前記第3のスイッチが閉じられたときに、前記スイッチング回路が、前記電源で前記モータに電力供給し、同時に前記電圧電位まで前記電荷蓄積装置を充電する、実施態様11に記載の手術用器具。
(14) 前記第1のスイッチが開かれ、前記第2のスイッチが閉じられ、前記第3のスイッチが開かれたときに、前記スイッチング回路が、前記電荷蓄積装置を前記電源に直列に接続し、前記モータに前記電源及び前記電荷蓄積装置で電力供給する、実施態様11に記載の手術用器具。
(15) 前記電荷蓄積装置が、キャパシタを含む、実施態様11に記載の手術用器具。
【0084】
(16) 前記電荷蓄積装置が、ウルトラキャパシタを含む、実施態様15に記載の手術用器具。
(17) 前記可動性発射部材が、切断器具及びステープルドライバのうちの少なくとも1つを備える、実施態様11に記載の手術用器具。
(18) 手術用器具であって、
可動性発射部材を備えるエンドエフェクタと、
前記発射部材を作動させるための電動モータと、
前記モータを制御するためのモータ制御回路と、を備え、前記モータ制御回路が、
電源と、
電荷蓄積装置と、
制御手段であって、
第1の場合、前記電源で前記モータに電力供給するために前記電動モータを前記電源に接続し、
第2の場合、前記電源で前記モータに電力供給するために前記電動モータを前記電源に接続し、同時に前記電荷蓄積装置を充電するために前記電荷蓄積装置を前記電源に前記モータと直列ではなく接続し、
第3の場合、前記電源及び前記電荷蓄積装置で前記電動モータに電力供給するために前記電荷蓄積装置を前記電源に直列に接続するための、制御手段と、を備える、手術用器具。
(19) 前記可動性発射部材が、切断器具及びステープルドライバのうちの少なくとも1つを備える、実施態様18に記載の手術用器具。
(20) 前記電荷蓄積装置が、キャパシタ及びウルトラキャパシタのうちの少なくとも1つを含む、実施態様18に記載の手術用器具。