特許第6382234号(P6382234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382234双対ディテントスプリングを有する関節動作係止部を備える外科用器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382234
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】双対ディテントスプリングを有する関節動作係止部を備える外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20180820BHJP
   A61B 17/29 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61B17/072
   A61B17/29
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-560202(P2015-560202)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-508417(P2016-508417A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014016211
(87)【国際公開番号】WO2014133776
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年2月13日
(31)【優先権主張番号】13/780,162
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファネッリ・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ゲーゲル・ジェフリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ザークル・ジェイソン・イー
(72)【発明者】
【氏名】シムズ・ロバート・ジェイ
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516754(JP,A)
【文献】 特開2006−289110(JP,A)
【文献】 特開2006−051347(JP,A)
【文献】 特開2007−38003(JP,A)
【文献】 特開2011−224375(JP,A)
【文献】 特開2009−189820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
(a)長手方向軸線を有するシャフトと、
(b)エンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の位置から第2の位置へと枢動可能であり、該エンドエフェクタは、前記第1の位置において前記シャフトの前記長手方向軸線と整列し、該エンドエフェクタは、前記第2の位置において前記シャフトの前記長手方向軸線に対して角度が付けられている、エンドエフェクタと、
(c)前記シャフトを前記エンドエフェクタと連結する関節動作ジョイントであって、該関節動作ジョイントは、前記第1の位置から前記第2の位置へと前記エンドエフェクタを枢動させるように動作可能である、関節動作ジョイントと、
(d)前記関節動作ジョイントと連結されている係止機構であって、該係止機構は、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、該係止機構は、前記遠位位置において前記関節動作ジョイントを係止するように動作可能である、係止機構と、を備え
前記係止機構は、係止スレッドを備え、
前記係止スレッドは、前記係止スレッドの本体の中心部分から下方に延在する第1の突起を備え、
前記係止機構は、前記係止スレッドに連結されている少なくとも1つの弾性部材を更に備え、前記弾性部材は、前記弾性部材の屈曲を防止するために前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記係止スレッドの前記第1の突起に係合するように構成されている、機器。
【請求項2】
前記係止スレッドは、前記係止スレッドの前記本体の側部分から下方に延在する第2の突起を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記係止機構は、係止バーを更に備え、前記係止バーは、前記弾性部材と連結している、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記係止バーは、少なくとも1つのチャネルを備え、前記チャネルは、前記弾性部材の少なくとも一部分を収容するように構成されている、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記係止バーは、遠位位置から近位位置へと移動可能であり、前記係止バーは、該近位位置において前記弾性部材を圧縮するように動作可能であり、前記弾性部材は、前記係止バーを遠位に付勢するように構成されている、請求項3に記載の機器。
【請求項6】
前記係止スレッドは、前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記遠位位置において前記係止バーを係止するように動作可能である、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記係止バーは、遠位先端を備える、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記エンドエフェクタの近位部分は、歯車を備え、前記係止バーの前記遠位先端は、前記エンドエフェクタの前記歯車に係合するように構成されている、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記係止スレッドは、前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記エンドエフェクタの前記歯車を係止するように動作可能である、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記エンドエフェクタは、第1のつかみ具と、第2のつかみ具と、を備え、前記第1のつかみ具は、前記第2のつかみ具に対して枢動可能である、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
アクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記第1のつかみ具の枢動と前記係止機構の移動とを同時に行うように動作可能である、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記係止機構は、前記アクチュエータに固定的に据付けられている、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記エンドエフェクタは、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に位置付けられている組織をステープル留めするように動作可能である、請求項10に記載の機器。
【請求項14】
前記第2のつかみ具は、前記第2のつかみ具の近位部分上に歯車を備え、前記歯車は、前記係止機構と連結可能である、請求項10に記載の機器。
【請求項15】
前記エンドエフェクタは、前記エンドエフェクタの近位部分上に複数の歯を備え、
前記係止バーは、前記エンドエフェクタの前記複数の歯と連結されている、請求項3に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の状況では、内視鏡外科用器具は、より小さい切開が、手術後の回復時間及び合併症を低減し得るために、従来の開腹外科用装置よりも好ましい場合がある。したがって、いくつかの内視鏡外科用器具は、トロカールのカニューレを介して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを定置するのに適し得る。これらの遠位エンドエフェクタは、多くの方法で組織に係合し、診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラー、クリップ適用器具、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び超音波、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達装置)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含むことがある。かかるシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸線を中心とした回転を可能にすることができ、それにより患者内のエンドエフェクタの位置決めが容易になる。エンドエフェクタの位置決めは、シャフトの長手方向軸線に対してエンドエフェクタを選択的に関節動作ないしは別の方法で偏向することを可能にする1つ又は2つ以上の関節動作ジョイント又は機構を含めることによって、更に容易になる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラーが挙げられる。かかるステープラーのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通ってステープルを駆動することによって組織層の切断された端部の近くで切断された組織層を共に実質的に封着するように動作可能である。単なる例示の外科用ステープラーは、1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題される米国特許第4,805,823号、1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題される米国特許第5,415,334号、1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題される米国特許第5,465,895号、1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題される米国特許第5,597,107号、1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」と題される米国特許第5,632,432号、1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」と題される米国特許第5,673,840号、1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題される米国特許第5,704,534号、1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」と題される米国特許第5,814,055号、2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E−Beam Firing Mechanism」と題される米国特許第6,978,921号、2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題される米国特許第7,000,818号、2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題される米国特許第7,143,923号、2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi−Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題される米国特許第7,303,108号、2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題される米国特許第7,367,485号、2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題される米国特許第7,380,695号、2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two−Piece E−Beam Firing Mechanism」と題される米国特許第7,380,696号、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題される米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題される米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題される米国特許第7,721,930号、2010年10月21日公開の「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題される米国特許公開第2010/0264193号、及び2012年9月20日公開の「Motor−Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題される米国特許公開第2012/0239012号に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許公報のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
参考として上述した外科用ステープラーは、内視鏡手技において使用されるものとして記載されているが、かかる外科用ステープラーは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置においても使用することができることを理解されたい。単なる例示として、トロカールをステープラー用導管として使用しない胸部の外科的処置において、外科用ステープラーを、開胸を介して患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の器官に到達させてもよい。かかる処置では、肺につながる血管を切断及び閉塞するためにステープラーを使用してもよい。例えば、器官につながる血管は、胸腔から器官を切除する前に、ステープラーによって切断及び閉塞されてもよい。勿論、外科用ステープラーは、様々な他の状況及び処置において使用されてもよい。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連する構成部品が作製及び使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付された特許請求の範囲に記載されている本発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つものである。
図1】例示の関節動作外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2図1の器具の側面立面図である。
図3図1の器具の開放されたエンドエフェクタの斜視図である。
図4A】発射ビームが近位位置にある、図3の線4−4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図4B】発射ビームが遠位位置にある、図3の線4−4に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図5図3の線5−5に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端部断面図である。
図6図3のエンドエフェクタの分解斜視図である。
図7】組織に位置付けられ、かつ組織内で1回作動された後の、図3のエンドエフェクタの斜視図である。
図8図1の器具に使用するための例示の制御回路の概略図である。
図9】ハウジングが半分取り外された状態の、図1の器具のハンドル組立体の斜視図である。
図10図9のハンドル組立体からの駆動組立体の構成要素の斜視図である。
図11図10の駆動組立体からの細長部材の斜視図である。
図12図1の器具での使用のための、その他の例示のエンドエフェクタの斜視図である。
図13図12の関節動作ジョイントの分解組立図である。
図14図12の関節動作ジョイントの例示の係止バーの斜視図である。
図15図14の係止バーの底面図である。
図16図12の関節動作ジョイントの例示のスプリングの斜視図である。
図17図16のスプリングの上面図である。
図18図12の関節動作ジョイントの例示の係止スレッドの斜視図である。
図19図18の係止スレッドの正面図である。
図20図18の係止スレッドの底面図である。
図21A】外側シースが省略された、非関節動作及び係止解除位置における、図12の関節動作ジョイントの部分図である。
図21B】外側シースが省略された、係止解除位置において関節動作している、図12の関節動作ジョイントの部分図である。
図21C】外側シースが省略された、関節動作及び係止解除位置における、図12の関節動作ジョイントの部分図である。
図21D】外側シースが省略された、関節動作及び係止解除位置における、図12の関節動作ジョイントの部分図である。
図22A】係止解除位置における、図12の関節動作ジョイントの係止バー、スプリング、及び係止スレッドの底面図である。
図22B】係止位置における、図12の関節動作ジョイントの係止バー、スプリング、及び係止スレッドの底面図である。
【0006】
図面は、いかなる意味においても限定的なものではなく、図に必ずしも示されていないものを含め、本発明の様々な実施形態を様々な他の方法で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれその一部をなす添付の図面は、本発明のいくつかの態様を示すものであり、説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明は図に示される正確な配置に限定されない点が理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点が以下の説明から当業者には明らかとなろう。以下の説明は、実例として、本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである。明らかになるように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の様々な明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、制限的なものではなく、例示的な性質のものとしてみなすべきである。
【0008】
I.例示の外科用ステープラー
図1図7は、外科的処置を行うために、図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単なる例示として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本発明の例の器具(10)は、シャフト(22)に結合しているハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位である。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語を図面に対して使用する点も更に認識されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び姿勢で使用され、これらの用語は、制限的かつ絶対的でないことが意図されている。
【0009】
一部の形態においては、シャフト(22)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7181USNP.0599180]の少なくとも一部の教示に従って構築される。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0010】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、図1に幻影で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)から所望の角度(α)に偏向することができる。エンドエフェクタ(12)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達する又は組織に近付くことができる。一部の形態においては、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向することができる。その他の形態においては、関節動作ジョイント(11)は、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向することができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って構成されてもよい。あるいは、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、他の任意の好適な構成を有していてもよい。単なる例示として、関節動作制御部(13)は、シャフト(22)の長手方向軸線(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして代わりに構成されてもよい。
【0011】
一部の形態においては、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7174USNP.0599176]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7181USNP.0599180]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0012】
本発明の例のエンドエフェクタ(12)は、下部つかみ具(16)及び枢動可能アンビル(18)を含む。一部の形態においては、下部つかみ具(16)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7182USNP.0599227]の少なくとも一部の教示に従って構築される。アンビル(18)は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7176USNP.0599177]の少なくとも一部の教示、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7177USNP.0599225]の少なくとも一部の教示、及び/又は本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7180USNP.0599175]の少なくとも一部の教示に従って構築することができる。下部つかみ具(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0013】
ハンドル部分(20)は、ピストル把持部(24)及び閉鎖トリガー(26)を含む。閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部つかみ具(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する。閉鎖管(32)は、シャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は、関節動作ジョイント(11)より遠位に位置付けられる。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)までの長手方向の運動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0014】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガー(28)を含む。細長部材(136)(図11に図示)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガー(28)の作動に応じて、ハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射動作を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)が遠位に移動することにより、エンドエフェクタ(12)においてクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガー(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0015】
図3図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、他の好適な形態を有していてもよく、非Eビーム形態も含まれるが、これに限定されるものではない。図4A及び図4Bに最もわかりやすく示されるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上方ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上方ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置付けられ、長手方向アンビルスロット(42)内を移動可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部つかみ具(16)を通って形成された下部つかみ具スロット(45)(図4Bに図示)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部つかみ具(16)の下側表面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部つかみ具(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を肯定的に取る。
【0016】
一部の非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上方ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のかかる形態のいくつかは、閉鎖用リング(33)又はその他の機構に単に依存し、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間、閉鎖位置までアンビル(18)を枢動させ、閉鎖位置でアンビル(18)を留めておいてもよい。単なる例示として、発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト機構は、本件と同日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題される米国特許出願第号[代理人整理番号END7175USNP.0599231]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0017】
図3は、近位に位置付けられている本発明の例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動され、下部つかみ具(16)のチャネル内に、未使用のステープルカートリッジ(37)を着脱可能に装着できるようにするアンビル(18)と、を示す。図5及び図6に最もわかりやすく示されるように、この例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレー(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。図3に最もわかりやすく示されるように、垂直スロット(49)は、ステープルカートリッジ(37)の一部を通って形成されている。図3にまた最もわかりやすく示されるように、3列のステープル開口部(51)は、垂直スロット(49)の片側の上部デッキ(72)を通って形成され、垂直スロット(49)の他方の側の上部デッキ(72)を通って、他の1組の3列のステープル開口部(51)が形成される。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再度、図4A図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)は、カートリッジ本体(70)とトレー(74)との間に捕捉されており、楔形スレッド(41)は、ステープルドライバ(43)よりも近位に位置する。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内を長手方向に可動であり、一方、ステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内を垂直方向に可動である。ステープル(47)もまた、カートリッジ本体(70)内に、対応するステープルドライバ(43)の上に位置付けられる。特に、それぞれのステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内を垂直方向に駆動され、関連するステープル開口部(51)を通ってステープル(47)を外へと駆動する。図4A図4B、及び図6に最もわかりやすく示されるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるにつれてステープルドライバ(43)を上方に促す、傾斜したカム表面を提示する。
【0018】
一部の形態においては、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7176USNP.0599177]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第号[代理人整理番号END7182USNP.0599227]の少なくとも一部の教示に従って、構築され、動作可能である。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0019】
図4A及び図4Bに描写されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態で、発射ビーム(14)は、次いで、上方ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(図5に図示)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、かつ、発射トリガー(28)が作動した際、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進するにつれてプッシャブロック(80)が楔形スレッド(41)を遠位方向に押すように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。図4A及び図4Bに示すように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによって、ステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)をステープルドライバ(43)との上向きのカム接触へと駆動すると、ステープル(47)は、ステープル開口部(51)を通って外へと駆動され、アンビル(18)の内面のステープル成形ポケット(53)(図3に図示)との成形接触へと駆動される。図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後、遠位方向に完全に移動した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、図4A及び図4Bの図から意図的に省略されているが、図3に図示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0020】
図7は、組織(90)を貫通する1回のストロークを介して作動しているエンドエフェクタ(12)を示す。図示されるように、切断縁部(48)(図7では不明瞭)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側で、組織(90)を通ってステープル(47)の3本の交互の列を駆動している。この例では、全てのステープル(47)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置付けられてもよいことを理解されたい。本発明の例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから後退させ、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換し、その後に、エンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通って挿入して、ステープル留めする部位に到達し、更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(47)が提供されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通って挿入及び後退を可能にするためにアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を可能にするためにアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0021】
各作動ストローク中に、ステープル(47)が組織を通って駆動されるのとほぼ同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができることを理解されたい。本発明の例では、切断縁部(48)は、ステープル(47)の駆動にごくわずかに遅れて進むので、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通って駆動されるが、この順序を逆にすることができること、又は、切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接同期されてもよいことを理解されたい。図7は、2層(92、94)の組織(90)で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、単層の組織(90)を通って作動してもよく、又は2層(92、94)以上の組織を通って作動してもよいことを理解されたい。また、切断縁部(48)が作り出した切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置決めにより、切断線で組織を実質的に封着することができ、したがってその切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができることも理解されたい。また、図7は、ほぼ扁平で、付着された平面な2層(92、94)の組織で作動しているエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、血管、胃腸管の一部分などの筒状構造に交差して作動してもよいことを理解されたい。したがって、図7は、エンドエフェクタ(12)の企図される使用方法の制限について説明しているものとして考慮されるべきではない。器具(10)が使用され得る種々の好適な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0022】
器具(10)は、米国特許第4,805,823号、米国特許第5,415,334号、米国特許第5,465,895号、米国特許第5,597,107号、米国特許第5,632,432号、米国特許第5,673,840号、米国特許第5,704,534号、米国特許第5,814,055号、米国特許第6,978,921号、米国特許第7,000,818号、米国特許第7,143,923号、米国特許第7,303,108号、米国特許第7,367,485号、米国特許第7,380,695号、米国特許第7,380,696号、米国特許第7,404,508号、米国特許第7,434,715号、米国特許第7,721,930号、米国特許公開第2010/0264193号、及び/又は同第2012/0239012号のうちいずれかの教示に従って構成され、動作可能であることを理解されたい。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。器具(10)に提供することができる更なる例示の修正例は、以下により詳細に記載する。以下の教示が器具(10)に組み込むことができる種々の好適な方法は、当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる種々の好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示が、本明細書で引用される特許に教示された器具(10)又は装置に限定されないことも理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラーとして分類されない器具を含む様々な他の種類の器具に容易に適用することができる。以下の教示を適用することができる種々の他の好適な装置及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
II.例示の電動駆動機構
本発明の例では、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。図8図11は、発射ビーム(14)の電動制御を提供するために使用されてもよい、例示の構成要素を示す。特に、図8は、電池パック(104)(図1及び図2にも図示)からの電力を電動モーター(102)に供給するために使用されてもよい、例示の制御回路(100)を示す。以下で更に詳細に説明されるように、電動モーター(102)は、発射ビーム(14)を長手方向に移動させるように動作可能である。モーター(102)及び電池パック(104)を含む制御回路(100)全体を、ハンドル部分(20)内に収容することが可能であることを理解されたい。図8は、オープンスイッチとして発射トリガー(28)を示しているが、このスイッチは、発射トリガー(28)が作動しているときは閉じられていることを理解されたい。この例の回路(100)はまた、回路(100)を完了するために閉じられなければならない安全スイッチ(106)を含むが、安全スイッチ(106)は単なる任意選択的な構成要素であることを理解されたい。安全スイッチ(106)は、別装のボタン、スライダ、又はハンドル部分(20)の他の機構を作動することによって閉じることができる。
【0024】
本発明の例の回路(100)はまた、ロックアウトスイッチ(108)を含み、そのスイッチは、初期設定では閉じられているが、ロックアウト状態に応じて自動的に開くように構成されている。単なる例示として、ロックアウト状態は、下部つかみ具(16)にカートリッジ(37)がない状態、下部つかみ具(16)に使用済み(例えば、以前に発射された)カートリッジ(37)がある状態、アンビル(18)が十分に閉鎖されていない状態、器具(10)がすでに何度も発射されていると判断された状態、及び/又は任意の他の好適な状態のうち、1つ又は2つ以上の状態を含んでいてもよい。ロックアウト状態を検知するために使用されてもよい様々なセンサ、アルゴリズム、及び他の機構は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、本明細書の教示を鑑みれば、他の好適な種類のロックアウト状態も、当業者には明らかになるであろう。回路(100)が開いており、ロックアウトスイッチ(108)が開いている際は、モーター(102)は動作不可能であることを理解されたい。ロックアウト指示器(110)(例えば、LEDなど)は、ロックアウトスイッチ(108)の状態の視覚的指標を提供するように動作可能である。単なる例示として、ロックアウトスイッチ(108)、ロックアウト指示器(110)、及び関連する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題される米国特許第7,644,848号の少なくとも一部の教示に従って構成することができる。
【0025】
一旦発射ビーム(14)が最遠位位置(例えば、切断ストロークの終わり)に到達すると、ストローク終了スイッチ(112)は自動的に閉鎖位置に切り替わり、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させる。これにより、モーター(102)の回転方向は反転するが、操作者は動作のこの段階で、発射トリガー(28)を解放しているだろう点が理解されるべきである。この動作状態において、電流は、逆方向指示器(114)(例えば、LEDなど)を通って流れ、モーター(102)の回転が反転したことを操作者に伝える視覚的指標を提供する。発射ビーム(14)が最遠位位置に到達した際、ストローク終了スイッチ(112)が自動的に閉鎖位置に切り替わる種々の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、逆方向指示器(114)が取り得る種々の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0026】
本発明の例のハンドル部分(20)はまた、手動戻りスイッチ(116)を含んでおり、そのスイッチは、回路(100)内にも図示されている。手動戻りスイッチ(116)は、「緊急救済(bailout)」機能として動作するように構成されており、操作者は、発射ストローク中、発射ビーム(14)の近位方向への縮退を即座に開始することができる。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にしか遠位方向に前進していない場合、手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、ストローク終了スイッチ(112)と同様の機能性を提供し、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させ、それにより、モーター(102)の回転方向を反転させてもよい。この場合もまた、反転したことは、逆方向指示器(114)を通じて視覚的に表示される。
【0027】
一部の形態においては、1つ又は2つ以上のスイッチ(28、106、108、112、116)は、マイクロスイッチの形態をしている。他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。前述に加えて又は前述の代わりに、少なくとも回路(100)の一部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年7月3日発行の「Motor−Driven Surgical Instrument」と題される米国特許第8,210,411号の少なくとも一部の教示に従って構成することができる。
【0028】
図9図11は、発射ビーム(14)の電動移動を提供するために使用されてもよい種々の機械的構成要素を示す。特に、図9は、ハンドル部分(20)のピストル把持部(24)に収容されたモーター(102)を示す。電池パック(104)(図1及び図2に図示)は、ピストル把持部(24)(例えば、モーター(102)の下)及び/又はハンドル部分(20)内の他の場所に位置していてもよいことを理解されたい。モーター(102)は、歯車組立体(122)と連結されている駆動軸(120)を有する。歯車組立体(122)は、外部筐体(図示せず)を有しており、図10に示すように、上部歯車(126)を駆動するように動作可能である。上部歯車(126)は、ハンドル部分(20)に固定されたピン(129)に回転可能に支持されているピニオン(128)に噛合する。それゆえに、モーター(102)の起動により、最終的にハンドル部分(20)内でピニオン(128)が回転することを理解されたい。
【0029】
図9及び図10にも示すように、移動ラック(130)は、ピニオン(128)に噛合する歯(132)を含み、ラック(130)は、ピニオン(128)が回転する際、長手方向に移動する。図11に示すように、ラック(130)は、細長部材(136)に連結されており、細長部材(136)は、シャフト(22)を通って延在し、発射ビーム(14)の近位端に連結する遠位端(138)を含む。細長部材(136)は、シャフト(22)内を移動し、細長部材(136)は、ラック(130)の長手方向動作を発射ビーム(14)に伝達する。それゆえに、モーター(102)の起動により、最終的に発射ビーム(14)がエンドエフェクタ(12)内を移動することを理解されたい。特に、モーター(102)は、発射ビーム(14)を遠位方向に駆動し、組織(90)を切断、かつ組織(90)内にステープル(47)を駆動させてもよい。スイッチ作動アーム(134)は、ラック(130)から横方向に延在し、かつ、発射ビーム(14)が最遠位位置(例えば、組織(90)が切断され、ステープル(47)が組織(90)内に駆動された後)に到達した際、ストローク終了スイッチ(112)に係合するように位置付けられている。上述のように、このストローク終了スイッチ(112)の係合により、モーター(102)は自動的に反転して、発射ビーム(14)を最遠位位置から近位位置へと戻し、それにより、アンビル(18)は、下部つかみ具(16)から離れるように枢動され、組織(90)を解放する。
【0030】
「枢動する」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。一部の形態においては、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部つかみ具(16)に向かって動く際、細長スロット又はチャネルに沿ってスライドするピン(又は同様の機構)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる形態においては、枢軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って移動する一方で、アンビル(18)も同時にその枢軸を中心として枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿ってスライドし、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離をスライドした後、アンビル(18)が枢軸を中心として枢動してもよい。かかるスライドする/移動するという枢動運動は、「枢動する(pivot, pivots)」、「枢動の(pivotal)」、「枢動可能な(pivotable)」、「枢動している(pivoting)」などの用語に包含されていることを理解されたい。勿論、一部の形態は、固定かつスロット又はチャネル内を移動しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動運動を提供してもよい。
【0031】
前述に加えて又は前述の代わりに、発射ビーム(14)を駆動するように動作可能な機構は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第2012/0239012号の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又はその開示もまた参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公報第2012/0239012号の少なくとも一部の教示に従って、構成することができる。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。また、他の形態において、発射ビーム(14)のマニュアル駆動が提供され、モーターが省かれてもよいことも理解されたい。単なる例示として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用されるその他の特許/特許公報の参照の少なくとも一部の教示に従って作動することができる。
【0032】
III.例示の関節動作ジョイント係止機構
場合によっては、関節動作ジョイント(11)を係止し、エンドエフェクタ(12)を所望の関節動作位置で維持することが所望され得る。例えば、関節動作ジョイント(11)は、関節動作ジョイント(11)を作動した後に係止され、エンドエフェクタ(12)を所望の角度(α)に位置付けてもよい。これにより、エンドエフェクタ(12)を所望の角度(α)に位置付けた後のエンドエフェクタ(12)の不用意な運動を防止することができる。したがって、関節動作ジョイント係止機構は、関節動作ジョイント(11)を選択的に係止解除し、所望の角度(α)への調整を可能とするために、かつ関節動作ジョイント(11)を選択的に係止し、エンドエフェクタ(12)を所望の角度(α)で維持するために、提供されてもよい。以下の例は、外科用器具(10)に容易に導入することができる、関節動作ジョイント係止機構の単なる例示としてのいくつかの形態を含む。
【0033】
図12及び図13は、器具(10)に容易に組み込むことができる、例示のエンドエフェクタ(212)及び関節動作ジョイント係止機構を有する関節動作ジョイント(211)を示す。エンドエフェクタ(212)は、下部つかみ具(216)、枢動可能アンビル(218)、及び閉鎖用リング(233)を備える。エンドエフェクタ(212)は、図13に示すように、下部つかみ具(216)の近位端が関節動作歯車(280)を備えていることを除き、エンドエフェクタ(12)と類似している。関節動作歯車(280)は、関節動作ジョイント(211)と連結するように構成されている歯(282)を備える。関節動作歯車(280)は、関節動作ジョイント(211)に対して回転するように動作可能であり、エンドエフェクタ(212)は、シャフト(22)の長手方向軸線から所望の角度(α)へと偏向される。関節動作ジョイント(211)は、関節動作ジョイント(211)が係止バー(250)、一対のスプリング(260)、及び係止スレッド(270)を備えていることを除き、関節動作ジョイント(11)と類似している。図13は、関節動作歯車(280)の近位に位置付けられている係止バー(250)を示す。一対のスプリング(260)は、係止バー(250)内に部分的に収容され、スプリング(260)は、係止バー(250)から近位に延在する。係止スレッド(270)は、係止バー(250)から延在しているスプリング(260)の部分に渡って位置付けられる。
【0034】
図14及び図15は、係止バー(250)をより詳細に示す。係止バー(250)は、壁部(253)を有する遠位部分(252)と、壁部(253)から遠位に延在している先端(254)と、を備える。先端(254)は、関節動作歯車(280)の歯(282)に対応するように寸法決めされ、先端(254)は、歯(282)の間に嵌合する。係止バー(250)の近位部分(258)は、一対のチャネル(256)を備え、スプリング(260)を収容する。図15に示すように、チャネル(256)は、係止バー(250)の各側に沿って延在し、内側に曲がる。チャネル(256)の内側への曲がりは、スプリング(260)を係止バー(250)内に維持するように構成されている。
【0035】
各スプリング(260)は、遠位端(262)、遠位部分(264)、弓状部分(265)、近位部分(266)、及び近位端(268)を備える。図16及び図17に示すように、遠位部分(264)は、ほぼ扁平で、チャネル(256)の側部分内に部分的に在置するように構成されている。遠位端(262)は、遠位部分(264)から内側に延在し、チャネル(256)に対応する。弓状部分(265)は、遠位部分(264)より近位にあり、円形形状で内側に曲がる。近位部分(266)は、弓状部分(265)に隣接し、ほぼ扁平である。近位端(268)は、近位部分(266)から外側に延在する。近位端(268)は、関節動作ジョイントハウジング(232)の壁部(236)に係合するように構成され、ハウジング(232)は、近位端(268)の横方向位置を維持する。ハウジング(232)、係止バー(250)、壁部(236)、及びチャネル(256)は、協調し、反対方向を向いている2つのスプリング(260)を収容しており、各遠位端(262)は、関節動作ジョイント(211)内で内側に延在し、各近位端(268)は、関節動作ジョイント(211)内で外側に延在する。2つのスプリング(260)が示されているが、任意の他の数のスプリング(260)が使用されてもよい。各遠位端(262)が係止バー(250)内に維持され、各近位端(268)がハウジング(232)内に維持されているので、各スプリング(260)は、係止バー(250)が近位に移動する際、圧縮するように動作可能であり、スプリング(260)の各弓状部分(265)は、内側に屈曲することによって座屈する。
【0036】
図18図20は、本体(272)、中央突起(276)、及び側方突起(274)を備える係止スレッド(270)を示す。図18に示すように、本体(272)は、本体(272)を横断する方向に延在している凹部(271)を備える。凹部(271)は、関節動作ジョイント(211)より近位にある閉鎖管(32)の機構に係合してもよく、閉鎖管(32)の機構が閉鎖トリガー(26)によって遠位及び/又は近位に移動する際、係止スレッド(270)もまた、遠位及び/又は近位に移動する。したがって、閉鎖トリガー(26)がピストル把持部(24)に向かって作動され、エンドエフェクタ(212)を閉鎖する場合、閉鎖管(32)は、遠位に移動し、係止スレッド(270)を移動させてもよい。閉鎖トリガー(26)がピストル把持部(24)から解放され、エンドエフェクタ(212)を開放する場合、閉鎖管(32)は、近位に移動し、係止スレッド(270)を近位に移動させてもよい。係止スレッド(270)を移動させる他の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。係止スレッド(270)の中央突起(276)は、本体(272)のほぼ中心から下方に延在する。図20に示すように、中央突起(276)は、遠位壁部(277)及び2つの側壁部(279)を備える。壁部(277)は、本体(272)を横断する方向に延在し、側壁部(279)は、本体(272)の長さに沿って延在する。壁部(277)及び側壁部(279)は、面取りされた引込面(278)によって接合される。中央突起(276)は、一対のスプリング(260)の間を移動するように構成されている。係止スレッド(270)の側方突起(274)は、本体(272)の遠位部分の各側から下方に延在する。図20に示すように、各側方突起(274)は、遠位カム表面(273)及び近位カム表面(275)を備える。カム表面(273、275)は、スプリング(260)の弓状部分(265)に係合するように構成されている。
【0037】
例示の使用において、器具(10)は、つかみ具(216、218)が閉鎖された状態で、非関節動作状態で手術部位に挿入され得る。以下で更に詳細に示されるように、つかみ具(216、218)が閉鎖位置にある場合、関節動作ジョイント(211)は係止される。一旦、エンドエフェクタ(212)及び関節動作ジョイント(211)が患者内に挿入されると、つかみ具(216、218)は開放されてもよく、それにより、関節動作ジョイント(211)を係止解除し、エンドエフェクタ(212)を所望の角度(α)に位置付けることができる。図21Aは、非関節動作及び係止解除位置における関節動作ジョイント(211)を示す。係止バー(250)は、遠位位置にあり、先端(254)は、関節動作歯車(280)の歯(282)の間に位置付けられている。図22Aに示すように、スプリング(260)は、係止バー(250)から近位に延在し、係止バー(250)のチャネル(256)内に収容されている。係止バー(250)が遠位位置にあるため、スプリング(260)は、基準位置にある。スプリング(260)の近位端(268)は、ハウジング(232)の壁部(236)と連結し、スプリング(260)の横方向位置及び近位位置を維持する。スプリング(260)は、係止バー(250)を遠位位置へと弾性的に付勢し、先端(254)を関節動作歯車(280)の歯(282)と係合させる。係止スレッド(270)は、近位かつ係止解除位置において、スプリング(260)の上に位置付けられる。係止解除位置において、図22Aに示すように、近位カム表面(275)は、スプリング(260)の弓状部分(265)の近位部分に係合する。係止スレッド(270)の中央突起(276)は、スプリング(260)の間に位置付けられるが、スプリング(260)との係合は解除される。中央突起(276)がスプリング(260)と接触しておらず、かつスプリング(260)の座屈を妨げないため、スプリング(260)は、自由に内側に座屈し、係止バー(250)の近位側への運動を可能とすることで、ジョイント(211)の関節動作を可能とする。
【0038】
一旦、関節動作ジョイント(211)及びエンドエフェクタ(212)が患者内の所望の手術部位に挿入され、関節動作ジョイント(211)が係止解除されると、関節動作ジョイント(211)は、関節動作制御部(13)によって遠隔に操作され、関節動作することができ、エンドエフェクタ(12)を、所望の角度(α)に偏向することができる。あるいは、関節動作ジョイント(211)は、エンドエフェクタ(212)の遠位端を患者の解剖学的構造に対して押圧することによって関節動作され、エンドエフェクタ(212)を関節動作ジョイント(211)において枢動することができる。エンドエフェクタ(212)を関節動作ジョイント(211)において枢動させるために、その他の器具(例えば、把持具)が使用されてもよい。エンドエフェクタ(212)を関節動作ジョイント(211)において関節動作させるための好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。図21Bに示すように、関節動作制御部(13)が作動している場合、又はそうでなければエンドエフェクタ(212)が関節動作されている場合、下部つかみ具(216)の閉鎖用リング(233)及び関節動作歯車(280)は、関節動作ジョイント(211)でシャフト(22)に対して回転する。関節動作歯車(280)が回転する際、係止バー(250)の先端(254)は、関節動作歯車(280)の歯(282)に沿って歯止めされ、先端(254)は、歯(282)の間から歯(282)の先端へとスライドする。これにより、係止バー(250)は、近位位置へと押される。係止バー(250)が近位位置へと移動する際、係止バー(250)は、スプリング(260)を圧縮する。スプリング(260)が圧縮する際、スプリング(260)の遠位端(262)は、係止バー(250)と共に移動する。近位端(268)は、ハウジング(232)の壁部(236)に固定され、近位端(268)の横方向位置及び近位位置を維持する。これにより、スプリング(260)の弓状部分(265)は、内側に屈曲する。係止スレッド(270)が近位及び係止解除位置にあるため、スプリング(260)は、係止スレッド(270)によって内側に屈曲することができる。スプリング(260)の圧縮により、係止バー(250)に対して遠位方向に力が加えられ、係止バー(250)の先端(254)は、関節動作歯車(280)に断続的に係合する。
【0039】
関節動作歯車(280)が回転し続けるにつれて、スプリング(260)は、係止バー(250)を遠位へと押し、図21Cに示すように、関節動作歯車(280)を歯(282)の間に再度係合させる。係止バー(250)は、関節動作の間中、関節動作歯車(280)と接触し続ける。スプリング(260)は、基準位置へと戻る。係止スレッド(270)は、近位及び係止解除位置にあり続ける。一旦、エンドエフェクタ(212)が所望の角度(α)へと関節動作されると、閉鎖トリガー(26)は、次いで、ピストル把持部(24)に向かって作動され、アンビル(218)を下部つかみ具(216)に向かって閉鎖させることができる。かかるアンビルの閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(233)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(24)に対する閉鎖トリガー(26)の枢動に応じてハンドル部分(20)に対して長手方向に移動する。関節動作ジョイント(211)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(233)への長手方向の運動を伝達するように動作可能である。
【0040】
閉鎖管(32)が遠位に移動し、エンドエフェクタ(212)を閉鎖する際、閉鎖管(32)はまた、係止スレッド(270)を遠位へと移動させる。係止スレッド(270)が遠位位置へと移動する際、係止スレッド(270)は、図21Dに示すように、関節動作ジョイント(211)を係止する。関節動作ジョイント(211)が係止位置にある場合、係止バー(250)は、関節動作歯車(280)の歯(282)の間に係合される。スプリング(260)は、基準位置にある。係止スレッド(270)は、遠位位置にあり、スプリング(260)に係合する。図22Bに示すように、側方突起(274)の遠位カム表面(273)は、スプリング(260)の弓状部分(265)の遠位部分に係合する。中央突起(276)は、スプリング(260)の間に移動し、弓状部分(265)の内面に係合する。中央突起(276)の面取りされた引込面(278)によって、中央突起(276)は、スプリング(260)内を平滑に移動することができる。係止スレッド(270)の突起(274、276)は、スプリング(260)に係合し、スプリング(260)の圧縮及び内側への屈曲を防止する。これにより、係止バー(250)は、近位に移動せず、係止バー(250)の先端(254)は、関節動作歯車(280)の歯(282)の間に維持され、関節動作歯車(280)の回転を防止する。したがって、ステープル留めの間のエンドエフェクタ(212)の不用意な運動を防止するためにエンドエフェクタ(212)のつかみ具(216、218)が閉鎖されている場合、係止スレッド(270)は、エンドエフェクタ(212)の関節動作を防止する。あるいは、係止スレッド(270)の移動により、閉鎖トリガー(26)との連結が解除されてもよく、係止スレッド(270)は、つかみ具(216、218)に依存せずに移動し、関節動作ジョイント(211)を選択的に係止及び/又は係止解除してもよい。
【0041】
一旦、エンドエフェクタ(212)が閉鎖されると、アンビル(218)と下部つかみ具(216)との間に捕捉されている組織は、切断され、ステープル留めされ得る。エンドエフェクタ(212)を開放するために、閉鎖トリガー(26)は、ピストル把持部(24)から離れるように解放され、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(233)を近位に移動させ、アンビル(218)を枢動させることができる。閉鎖トリガー(26)が解放されると、閉鎖管(32)は、係止スレッド(270)と連結し、係止スレッド(270)を近位に移動させることができる。これにより、係止スレッド(270)は、図21Cに示される位置へと戻り、関節動作ジョイント(211)を係止解除することができる。あるいは、係止スレッド(270)の移動により、閉鎖トリガー(26)との連結が解除され、係止スレッド(270)は、つかみ具(216、218)に依存せずに移動し、関節動作ジョイント(211)を選択的に係止及び/又は係止解除することができる。次いで、エンドエフェクタ(212)は、図21Aに示すように、非関節動作位置へと戻され得る。したがって、つかみ具(216、218)は、閉鎖され、関節動作ジョイント(211)を再度係止し、次いで、器具(10)を手術部位から取り外すことができる。ステープルカートリッジ(37)は、新しいステープルカートリッジと交換することができ、エンドエフェクタ(212)は、更なる切断及びステープル留めのために手術部位に再度挿入することができる。
【0042】
IV.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。かかる修正及び変形は、特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0043】
理解されたいこととして、参照により本明細書に組み込まれると述べられた任意の特許、公報、又は他の開示資料は、部分的にあるいは全体的に、その組み込まれた資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に援用される任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込まれるものとされているが、既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾する全ての内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0044】
上述の装置の変形例は、医療専門家によって行われる従来の治療及び医療処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び医療処置での用途も有することができる。単なる例示として、本明細書の様々な教示は、ロボットによる外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、本明細書の様々な教示は、以下の様々な教示のいずれかと容易に組み合わせることができることが当業者には理解されるであろう。その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題される米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1998年10月6日発行の「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題される米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題される米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題される米国特許第6,231,565号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題される米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題される米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題される米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」と題される米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題される米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2013年1月10日公開の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題される米国特許公開第2013/0012957号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Force−Feedback Capabilities」と題される米国特許公開第2012/0199630号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年5月31日公開の「Shiftable Drive Interface for Robotically−Controlled Surgical Tool」と題される米国特許公開第2012/0132450号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Surgical Stapling Instruments with Cam−Driven Staple Deployment Arrangements」と題される米国特許公開第2012/0199633号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題される米国特許公開第2012/0199631号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題される米国特許公開第2012/0199632号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月9日公開の「Robotically−Controlled Surgical End Effector System」と題される米国特許公開第2012/0203247号、2012年8月23日公開の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題される米国特許公開第2012/0211546号、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年6月7日公開の「Robotically−Controlled Cable−Based Surgical End Effectors」と題される米国特許公開第2012/0138660号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年8月16日公開の「Robotically−Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題される米国特許公開第2012/0205421号。
【0045】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。諸変形例は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整されることは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部片を洗浄又は交換する工程、並びにその後に再組み立てする工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形例によっては分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、あるいは取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の変形例によっては、再調整用の施設で、又は処置の直前にユーザーによって、その後の使用のために再組み立てされてよい。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を使用できる点は理解されるであろう。かかる技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、すべて、本出願の範囲内にある。
【0046】
単なる例示として、本明細書で説明した形態は、処置の前及び/又は後に滅菌してもよい。1つの滅菌技術では、装置は、プラスチック又はTYVEKバッグなど、閉じて密閉された容器に入れられる。次いで、容器及び装置は、γ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を貫通することができる放射線場に設置されてよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次に、滅菌された装置は、後の使用のために、滅菌した容器内に保管されてもよい。装置はまた、限定されるものではないが、β若しくはγ放射線、エチレンオキシド、又は蒸気を含む、当該技術分野で既知の他の任意の手法を使用して滅菌されてもよい。
【0047】
本発明の様々な実施形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改変が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そのような考えられる修正のいくつかが述べられており、また、その他の修正が当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示及び説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されるべきである。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) 機器であって、
(a)長手方向軸線を有するシャフトと、
(b)エンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の位置から第2の位置へと枢動可能であり、該エンドエフェクタは、該第1の位置において該シャフトの該長手方向軸線と整列し、該エンドエフェクタは、該第2の位置において該シャフトの該長手方向軸線に対して角度が付けられている、エンドエフェクタと、
(c)該シャフトを該エンドエフェクタと連結する関節動作ジョイントであって、該関節動作ジョイントは、該第1の位置から該第2の位置へと該エンドエフェクタを枢動させるように動作可能である、関節動作ジョイントと、
(d)該関節動作ジョイントと連結されている係止機構であって、該係止機構は、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、該係止機構は、該遠位位置において該関節動作ジョイントを係止するように動作可能である、係止機構と、を備える、機器。
(2) 前記係止機構は、係止スレッドを備える、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記係止スレッドは、前記係止スレッドの本体の中心部分から下方に延在する第1の突起を備える、実施態様2に記載の機器。
(4) 前記係止スレッドは、前記係止スレッドの前記本体の側部分から下方に延在する第2の突起を備える、実施態様3に記載の機器。
(5) 前記係止機構は、前記係止スレッドに連結されている少なくとも1つの弾性部材を更に備え、該弾性部材は、該弾性部材の屈曲を防止するために前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記係止スレッドの前記第1の突起に係合するように構成されている、実施態様3に記載の機器。
【0049】
(6) 前記係止機構は、少なくとも1つの弾性部材を備える、実施態様5に記載の機器。
(7) 前記係止機構は、係止バーを更に備え、該係止バーは、前記弾性部材と連結している、実施態様5に記載の機器。
(8) 前記係止バーは、少なくとも1つのチャネルを備え、該チャネルは、前記弾性部材の少なくとも一部分を収容するように構成されている、実施態様7に記載の機器。
(9) 前記係止バーは、遠位位置から近位位置へと移動可能であり、前記係止バーは、該近位位置において前記弾性部材を圧縮するように動作可能であり、前記弾性部材は、前記係止バーを遠位に付勢するように構成されている、実施態様7に記載の機器。
(10) 前記係止スレッドは、前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記遠位位置において前記係止バーを係止するように動作可能である、実施態様9に記載の機器。
【0050】
(11) 前記係止バーは、遠位先端を備える、実施態様10に記載の機器。
(12) 前記エンドエフェクタの近位部分は、歯車を備え、前記係止バーの前記遠位先端は、前記エンドエフェクタの該歯車に係合するように構成されている、実施態様11に記載の機器。
(13) 前記係止スレッドは、前記係止スレッドが前記遠位位置にある際、前記エンドエフェクタの前記歯車を係止するように動作可能である、実施態様12に記載の機器。
(14) 前記エンドエフェクタは、第1のつかみ具と、第2のつかみ具と、を備え、該第1のつかみ具は、該第2のつかみ具に対して枢動可能である、実施態様1に記載の機器。
(15) アクチュエータを備え、該アクチュエータは、前記第1のつかみ具の枢動と前記係止機構の移動とを同時に行うように動作可能である、実施態様14に記載の機器。
【0051】
(16) 前記係止機構は、前記アクチュエータに固定的に据付けられている、実施態様15に記載の機器。
(17) 前記エンドエフェクタは、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に位置付けられている組織をステープル留めするように動作可能である、実施態様14に記載の機器。
(18) 前記第2のつかみ具は、前記第2のつかみ具の近位部分上に歯車を備え、該歯車は、前記係止機構と連結可能である、実施態様14に記載の機器。
(19) 機器であって、
(a)エンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該エンドエフェクタの近位部分上に複数の歯を備え、該エンドエフェクタは、第1の位置から第2の位置へと枢動可能である、エンドエフェクタと、
(b)該エンドエフェクタと連結されている関節動作ジョイントであって、該関節動作ジョイントは、該第1の位置から該第2の位置へと該エンドエフェクタを枢動させるように動作可能であり、該関節動作ジョイントは、
(i)該エンドエフェクタの該複数の歯と連結されている係止バーと、
(ii)該係止バーと連結されている少なくとも1つの弾性部材と、
(iii)係止部材であって、該係止部材は、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、該係止部材は、該遠位位置において該弾性部材に係合するように構成され、それにより、該エンドエフェクタを係止する、係止部材と、を備える、関節動作ジョイントと、を備える、機器。
(20) 機器であって、
(a)エンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、第1の位置から第2の位置へと枢動可能である、エンドエフェクタと、
(b)該エンドエフェクタと連結されている関節動作ジョイントであって、該関節動作ジョイントは、該第1の位置から該第2の位置へと該エンドエフェクタを枢動させるように動作可能である、関節動作ジョイントと、
(c)該関節動作ジョイントと連結されている係止機構であって、該係止機構は、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、該係止機構は、該係止機構が該遠位位置にある際、該関節動作ジョイントを係止するように動作可能である、係止機構と、を備える、機器。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B