(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0027】
以下では、本発明の一実施形態に係る屋根用架台40の取付方法及び屋根用架台40の取付構造について説明する。
【0028】
まず、
図1及び
図2を参照して、屋根用架台40が取り付けられる屋根1の構成について簡単に説明する。
【0029】
屋根1は、一戸建ての住宅に設けられる切妻屋根(山形の屋根)である。屋根1は、その前後中央部から前方向及び後方向に向かうにつれて下方向に延びるように形成される。
図2に示すように、屋根1は、野地板2、防水シート3及び屋根材4等を具備する。
【0030】
野地板2は、住宅の垂木(不図示)上に設けられる板状部材である。野地板2は、屋根1の傾斜方向に沿った姿勢で前記垂木に支持される。野地板2は、屋根1の前側斜面及び後側斜面にそれぞれ設けられる。なお、本実施形態の屋根1の傾斜角度は緩やかであるため、当該屋根1の傾斜方向は概ね前後方向とみなすことができる。よって以下では便宜上、屋根1の傾斜方向を前後方向と称する。
【0031】
防水シート3は、雨水等が野地板2に侵入することを防止するためのものである。防水シート3は、野地板2の上側面の全面に敷設される。防水シート3は、例えば、アスファルトルーフィング等によって構成される。
【0032】
屋根材4は、防水シート3の上側面に敷き詰められる板状部材である。屋根材4は、左右方向に並べて配置される(
図7(a)参照)。また、屋根材4は、一部が平面視で重複するように前後方向(傾斜方向)に並べて配置される。
【0033】
図1及び
図2に示すように、屋根1の前側斜面及び後側斜面には、屋根用架台40を介して複数の太陽電池パネルPV(設置物)が前後方向及び左右方向に並べて設置される。
【0034】
次に、
図1から
図5までを参照して、屋根用架台40の取付構造について詳細に説明する。
【0035】
屋根用架台40の取付構造は、屋根用架台40を屋根1に取り付けるためのものである。屋根用架台40の取付構造は、太陽電池パネルPVが設置される面(屋根1の前側斜面及び後側斜面)に適用される。なお、以下においては、屋根1の後側斜面を例に挙げて説明する。
図1及び
図2に示すように、屋根用架台40の取付構造は、板金10、ビス20・50・90、第一の防水シート30、屋根用架台40、第二の防水シート60、化粧板70及び取付板80を具備する。
【0036】
板金10は、屋根1の後側斜面の外縁部に設けられる板状部材である。板金10は、ビス20によって屋根1に固定される。
【0037】
第一の防水シート30は、雨水が屋根1に侵入することを防止するためのものである。第一の防水シート30は、その左右方向幅及び前後方向幅が屋根1の後側斜面の左右方向幅及び前後方向幅と略同一の幅となるように形成される。第一の防水シート30は、防水性を有する材料、本実施形態ではポリ塩化ビニルによって構成される。第一の防水シート30は、屋根1の後側斜面の全面を覆うように板金10及び屋根材4に載置される。第一の防水シート30は、その外縁部が板金10に溶着される。
【0038】
屋根用架台40は、太陽電池パネルPVを支持するための板状部材である。
図3及び
図4に示すように、屋根用架台40は、固定部41及び受け部42を具備する。
【0039】
固定部41は、平板状の部分である。固定部41は、平面視略台形状に形成され、屋根用架台40の左前部及び右前部にそれぞれ形成される。左側の固定部41は、左後方向に延びるように形成される。右側の固定部41は、右後方向に延びるように形成される。左右の固定部41は、ビス孔41aを具備する。
【0040】
ビス孔41aは、平面視略円状の孔である。ビス孔41aは、固定部41の板面を貫通する。ビス孔41aは、固定部41の前側及び後側にそれぞれ形成される。
【0041】
受け部42は、太陽電池パネルPVを受けるための略箱状の部分である。受け部42は、連結部42a、ビス孔42b、傾斜部42c、水平部42d、排水孔42e及び延出部42fを具備する。
【0042】
連結部42aは、受け部42の上側面である。連結部42aは、平面視においてホームベース状に形成される。より詳細には、連結部42aは、左右に隣り合う二つの直角の角部A1と、当該直角の角部A1と前後に隣り合う二つの鈍角の角部A2と、当該二つの鈍角の角部A2を成す辺によって形成される一つの角部A3とを有する平面視略五角形状に形成される。連結部42aは、一つの角部A3を前方に向けて配置され、後述する傾斜部42cの左右方向幅内に収まる(直角の角部A1及び鈍角の角部A2が傾斜部42cよりも左右方向外側に配置されない)ように形成されている。
【0043】
ビス孔42bは、連結部42aに形成される平面視略円状の孔である。ビス孔42bは、連結部42aの板面を貫通する。ビス孔42bは、連結部42aの前部に形成される。ビス孔42bは、固定部41の前側のビス孔41aよりも後方に配置される。また、ビス孔42bは、固定部41の後側のビス孔41aよりも前方に配置される。ビス孔42bは、連結部42aの左部及び右部にそれぞれ形成される。
【0044】
傾斜部42cは、受け部42の前側面である。傾斜部42cは、連結部42aの前端部の形状に沿うような形状、より詳細には、後方向に向かうにつれて左右方向に広がるような形状に形成される。傾斜部42cは、受け部42の左端部から右端部に亘って形成される。傾斜部42cは、連結部42aの前端部から下方に延びるように形成され、当該延びた端部(下端部)が固定部41と一体的に形成されている。言い換えれば、傾斜部42cは、固定部41から立ち上がるように形成されている。
【0045】
水平部42dは、受け部42の後側面である。水平部42dは、左右方向に沿って延びるように形成される。
【0046】
排水孔42eは、水平部42dに形成される背面視略矩形状の孔である。排水孔42eは、水平部42dの左右中央部に形成され、水平部42dの板面を貫通する。
【0047】
延出部42fは、受け部42の下側面である。延出部42fは、その前後方向幅が直角の角部A1から鈍角の角部A2まで前後方向に沿った長さよりも狭くなるように形成される。延出部42fは、水平部42dから前方向に延びるように形成される。
【0048】
このように構成された受け部42は、その左部及び右部のうち、直角の角部A1から鈍角の角部A2までが開口する。また、受け部42は、その下部のうち、延出部42fが形成されていない部分(略全面)が開口する。
【0049】
屋根用架台40は、金属材料によって構成される平板状の部材を適宜折り曲げると共に、当該折り曲げた部材の表面に防水性を有する材料をコーティングすることによって製造される。本実施形態に係る屋根用架台40の表面には、第一の防水シート30と同一の材料(ポリ塩化ビニル)がコーティングされている。屋根用架台40は、平板状の部材を折り曲げる都合上、傾斜部42cの左部と右部とが一体的に形成されておらず、傾斜部42cの左右中央部に僅かに隙間が形成されている。
【0050】
図2に示すように、屋根用架台40は、固定部41及び受け部42の延出部42fが第一の防水シート30に載置される。屋根用架台40は、左右方向及び前後方向に整列した状態で屋根1に取り付けられる(
図10(a)参照)。屋根用架台40の連結部42aには、後述する取付板80を介して太陽電池パネルPVが連結される。
【0051】
ビス50は、屋根用架台40を屋根1に固定するものである。また、ビス50は、第一の防水シート30を屋根1に固定するものである。ビス50は、固定部41のビス孔41aにそれぞれ取り付けられる。ビス50の軸部は、固定部41のビス孔41a、第一の防水シート30及び屋根1を貫通する。
【0052】
図3及び
図5に示すように、第二の防水シート60は、第一の防水シート30と屋根用架台40との間や屋根用架台40とビス50との間から雨水が侵入することを防止するためのものである。第二の防水シート60は、その前端部から左後方向及び右後方向に延びるような平面視略V字状に形成される。第二の防水シート60は、その左右中央部における後端部が略上方向に突出するように形成される。当該突出部分は、受け部42の前端部の形状に沿うような形状に形成される。第二の防水シート60は、防水性を有する材料、本実施形態では第一の防水シート30と同一の材料(ポリ塩化ビニル)によって構成される。また、第二の防水シート60は、予め(屋根1に敷設される前に)前記突出部分が形成されている。
【0053】
第二の防水シート60は、ビス50、左右の固定部41の全面、受け部42(傾斜部42c及び連結部42a)の前端部を覆うように配置される。これにより、第二の防水シート60は、第一の防水シート30と固定部41の前端部(
図5に示す左右方向に延びる部分B1、左後方向に延びる部分B2及び右後方向に延びる部分B3)との間を覆っている。また、第二の防水シート60は、第一の防水シート30と受け部42(傾斜部42c)の前端部との間や傾斜部42cの左右中央部の隙間を覆っている。第二の防水シート60は、第一の防水シート30、固定部41及び受け部42と溶着される。第二の防水シート60は、一つの屋根用架台40に対して一枚ずつ溶着される。
【0054】
図2に示す化粧板70は、後端部(最も後の列)に配置される屋根用架台40と太陽電池パネルPVとの間に配置される部材である。化粧板70は、板面を略上方向に向けた部分と板面を略後方向に向けた部分とを有する。化粧板70は、例えば、平板状の部材を適宜折り曲げることによって形成される。化粧板70は、左右方向に延びるように形成される(
図10(b)参照)。化粧板70は、屋根1の左端部から右端部までに亘って形成される。化粧板70は、前記板面を略上方向に向けた部分が受け部42に載置される。化粧板70には、受け部42のビス孔42bと平面視で重なる位置にビス孔(不図示)が形成される。
【0055】
図2及び
図3に示す取付板80は、太陽電池パネルPVが取り付けられる部材である。取付板80は、その左右方向幅及び前後方向幅が屋根用架台40の左右方向幅及び前後方向幅よりも狭くなるように形成される。取付板80は、例えば、平板状の部材を適宜折り曲げることによって形成される。取付板80は、一つの屋根用架台40に対して一つずつ固定される。取付板80は、連結部81及び係合部82を具備する。
【0056】
連結部81は、その板面を略上下方向に向けた平板状の部分である。連結部81は、受け部42(最も後の列に配置される取付板80の連結部81は化粧板70)に載置される(
図10(b)参照)。連結部81には、受け部42のビス孔42bと平面視で重なる位置にビス孔81aが形成される。ビス孔81aは、平面視略トラック状に形成される。
【0057】
係合部82は、太陽電池パネルPVと係合される部分である。係合部82は、連結部81の後上方に配置され、側面視略J字状に形成される。係合部82は、その上下方向幅(傾斜方向に対して上下に直交する方向の幅)が太陽電池パネルPVの上下方向幅と略同一の幅となるように形成される。係合部82には、太陽電池パネルPVが前側及び後側(最も後の列に配置される取付板80の係合部82には前側)から嵌め合わされる。
【0058】
ビス90は、化粧板70及び取付板80を屋根用架台40に固定するものである。ビス90は、連結部81のビス孔81aにそれぞれ取り付けられる。ビス90の軸部は、取付板80のビス孔81a及び受け部42のビス孔42b(最も後の列に配置される屋根用架台40を固定するビス90は取付板80のビス孔81a、化粧板70のビス孔及び受け部42のビス孔42b)を貫通する。
【0059】
次に、
図2、
図6から
図11までを参照して、屋根用架台40の取付方法の手順について詳細に説明する。
【0060】
まず、
図6に示すように、屋根用架台40の取付方法においては、第一の敷設工程が行われる(ステップS10)。第一の敷設工程は、第一の防水シート30を屋根1に敷設する工程である。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第一の敷設工程において、まず、屋根1の後側斜面の外縁部に板金10が固定される。
【0061】
板金10が固定された後で、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、屋根1の後側斜面の全面に第一の防水シート30が敷設される。具体的には、前後方向幅が屋根1の後側斜面よりも狭いロール状のシート部材(ポリ塩化ビニル製のシート部材)を、屋根1の左端部から右端部までに亘って繰り出して切断する。そして、当該切断したシート部材と板金10とを熱で溶着する。このようなシート部材の切断及び溶着を、屋根1の後端部から前側に向けて順に行って屋根1の後側斜面の全面を覆う。このとき、シート部材の端部同士も熱で溶着する。これによって、溶着された複数のシート部材が一枚の第一の防水シート30として屋根1に敷設される。
【0062】
図6及び
図8に示すように、第一の敷設工程を行った後で、取付工程が行われる(ステップS20)。取付工程は、屋根1に屋根用架台40を取り付ける工程である。取付工程において、屋根用架台40を第一の防水シート30に載置し、固定部41のビス孔41aにビス50を取り付ける。これにより、屋根用架台40を屋根1に固定する。このとき、ビス50によって屋根1に貫通孔Hが空けられることとなる。なおこの際、ビス50は、屋根用架台40と共に、第一の防水シート30を屋根1に固定する。このように、ビス50は、屋根用架台40を固定する役割だけでなく、第一の防水シート30を固定する役割を有する。
【0063】
図6及び
図9に示すように、取付工程を行った後で、第二の敷設工程が行われる(ステップS30)。第二の敷設工程は、第二の防水シート60を敷設する工程である。第二の敷設工程において、まず、第一の防水シート30及び屋根用架台40に第二の防水シート60を載置する。このとき、左右の固定部41の全面、受け部42の前端部を覆うように第二の防水シート60を載置する。そして、第一の防水シート30、固定部41及び受け部42と第二の防水シート60とを熱で溶着する。
【0064】
図10(a)に示すように、このような取付工程及び第二の敷設工程を繰り返し行うことで、屋根用架台40を左右方向及び前後方向に整列した状態で屋根1に取り付ける。また、第二の防水シート60を全ての屋根用架台40に溶着する。
【0065】
図6に示すように、第二の敷設工程を行った後で、設置工程が行われる(ステップS40)。設置工程は、太陽電池パネルPVを設置する工程である。
図2及び
図10(b)に示すように、設置工程において、まず、後端部に配置される屋根用架台40の連結部42aに化粧板70及び取付板80を載置する。そして、当該化粧板70及び取付板80をビス90によって屋根用架台40に固定する。そして、
図2及び
図11に示すように、左右に隣接する二枚の取付板80の係合部82に一枚の太陽電池パネルPVを嵌め合わせる。その後、後端部に配置される屋根用架台40の前方に配置される屋根用架台40に取付板80を載置し、ビス90によって固定する。これにより、一枚の太陽電池パネルPVを四枚の取付板80で挟み込み、一枚の太陽電池パネルPVを設置する。
【0066】
設置工程においては、他の太陽電池パネルPVに関してもこれと略同様の手順にて四枚の取付板80で挟み込み、屋根1に全ての太陽電池パネルPVを設置する。
【0067】
本実施形態に係る屋根用架台40の取付方法によれば、第二の防水シート60によって、ビス50及びその周辺を覆うことができるため、ビス50と固定部41のビス孔41aとの間から雨水が浸入することを防止できる。これにより、屋根用架台40の取付箇所(貫通孔H)から雨漏りが発生することを防止しつつ屋根用架台40を取り付けることができる。
【0068】
また、本実施形態においては、屋根1の後側斜面の全面に第一の防水シート30を敷設している。これによれば、屋根1に雨水が触れることを防止できる。このため、屋根材4の隙間に雨水が侵入することを防止でき、当該隙間を伝って貫通孔Hに雨水が浸入することを防止できる。また、既存の屋根1に屋根用架台40を取り付ける場合においては、屋根材4等の損傷箇所に雨水が侵入することを防止できる。これにより、当該損傷箇所で発生していた雨漏り(屋根用架台40の取付前から発生していた雨漏り)を直すことができる。
【0069】
また、第一の防水シート30を板金10に溶着することで、第一の防水シート30と板金10との間を塞ぐことができる。このため、第一の防水シート30と板金10との間から屋根材4に雨水が浸入することを防止できる。
【0070】
また、受け部42は、その左部及び右部の一部が開口しているため、風で左右方向に流された雨水が当該開口箇所から内側に浸入する場合がある。このような場合でも、受け部42は、その内側に侵入した雨水を排水孔42eから排出することができる。これによって、受け部42の内側に雨水が溜まることを抑制できる。
【0071】
前述の如く、受け部42のビス孔42bは、固定部41の前側のビス孔41aよりも後方、かつ後側のビス孔41aよりも前方に配置される。これによれば、ビス50によって、太陽電池パネルPVをバランスよく支持することができる。このため、屋根用架台40で重量物を確実に支持することができる。
【0072】
また、取付構造は、化粧板70を具備している。これによれば、屋根用架台40と太陽電池パネルPVとの間を見え難くすることができるため、美観を向上させることができる。
【0073】
以上の如く、本実施形態に係る屋根用架台40の取付方法は、屋根1(傾斜屋根)のうち、太陽電池パネルPV(設置物)が設けられる面の全面に第一の防水シート30(第一の防水部材)を敷設する第一の敷設工程と、前記太陽電池パネルPVを支持するための屋根用架台40を前記第一の防水シート30上に配置して、ビス50(固定部材)によって前記屋根用架台40を前記屋根1に固定する取付工程と、前記ビス50を覆うように第二の防水シート60(第二の防水部材)を敷設する第二の敷設工程と、を具備するものである。
【0074】
このように構成することにより、雨漏りの発生を防止しつつ、屋根用架台40を屋根1に固定することができる。
【0075】
また、前記屋根用架台40は、前記第一の防水シート30上に配置され、前記ビス50が取り付けられる固定部41と、前記太陽電池パネルPVを受ける受け部42と、を具備し、前記第二の敷設工程は、前記固定部41及び前記受け部42を覆うように前記第二の部材を敷設するものである。
【0076】
このように構成することにより、固定部41及び受け部42と第一の防水シート30との間に雨水が浸入することを防止できる。これによって、第一の防水シート30と固定部41との間から貫通孔Hに雨水が浸入することを防止できる。また、第一の防水シート30と受け部42との間から受け部42の内側に雨水が浸入することを防止できる。これにより、屋根用架台40の腐食を抑制できる。
【0077】
また、前記第二の敷設工程は、前記屋根用架台40のうち、前端部(前記屋根1の傾斜方向の上端部)を覆うように前記第二の防水シート60を敷設するものである。
【0078】
このように構成することにより、屋根用架台40の前端部、すなわち雨水が浸入し易い部分を塞ぐことができる。具体的には、第一の防水シート30と固定部41の前端部(
図5に示す左右方向に延びる部分B1、左後方向に延びる部分B2及び右後方向に延びる部分B3)との間を塞ぐことができ、当該箇所から雨水が浸入することを防止できる。また、第一の防水シート30と受け部42(傾斜部42c)の前端部との間や傾斜部42cの左右中央部の隙間を塞ぐことができ、当該箇所から雨水が浸入することを防止できる。
【0079】
また、前記第二の敷設工程は、前記第一の防水シート30、前記固定部41及び前記受け部42と、前記第二の防水シート60とを溶着するものである。
【0080】
このように構成することにより、第一の防水シート30、固定部41及び受け部42と第二の防水シート60との間から雨水が浸入することを防止できる。
【0081】
なお、本実施形態においては、第一の防水シート30と、屋根用架台40のコーティング部分(固定部41及び受け部42の表面部分)と、第二の防水シート60と、が互いに同一の材料(ポリ塩化ビニル)によって形成されている。これにより、これらの部材がそれぞれ強固に接着し、一体的に密着することとなる。すなわち、第一の防水シート30と、固定部41及び受け部42と、第二の防水シート60との間からの雨水の侵入をより確実に防止することができる。
【0082】
また、前記取付工程は、ビス50(前記固定部材)によって前記屋根用架台40を屋根1(前記傾斜屋根)に固定すると共に、第一の防水シート30(前記第一の防水部材)を屋根1(前記傾斜屋根)に固定するものである。
【0083】
ここで、従来、屋根の防水を目的とするため、防水シート(ポリ塩化ビニル等)を屋根に敷設する技術が公知となっている。この技術においては、防水シートを敷設する前に事前に固定具(例えば、樹脂シート付き固定ディスク)を屋根に取り付ける。そして、屋根に取り付けられた固定具を上方から覆うように防水シートを配置し、当該防水シートと固定具とを電磁誘導加熱装置を用いて溶融させる。このように、従来、防水シートを屋根に敷設するためには、事前に屋根に固定具を取り付ける第一の工程と、固定具を上方から覆うように防水シートを配置する第二の工程と、防水シートと固定具とを電磁誘導加熱装置を用いて溶融させる第三の工程という、3つの工程を行う必要があった。
【0084】
しかしながら、本実施形態においては、ビス50によって屋根用架台40を屋根1に固定する際に、当該屋根用架台40と共に第一の防水シート30を屋根1に固定する。すなわち、従来の技術(前記3つの工程)のうち、第二の工程に相当する工程(第一の防水シート30を配置する工程)だけ行っていれば、第一及び第三の工程を行うことなく第一の防水シート30を屋根1に固定することができる。このように、本実施形態において、第一の防水シート30を屋根1に固定する方法は、従来の技術と異なっている。
【0085】
こうして、本実施形態における屋根用架台40の取付方法においては、第一の防水シート30と屋根1との固定に関して、従来の技術と異なる方法が用いられている。これによって、第一の防水シート30と屋根1との固定に関して施工方法の簡略化を図ることができ、コストの削減を図ることができる。また、屋根用架台40を屋根1に固定するためのビス50が用いられて、第一の防水シート30と屋根1との固定に関する専用の固定具(前記固定ディスク)を準備する必要がないため、コストの削減を図ることができる。
【0086】
このように、上述の如く構成することにより、同一のビス50(固定部材)によって屋根用架台40と共に第一の防水シート30(第一の防水部材)を屋根1(傾斜屋根)に固定するため、コストの削減を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る屋根用架台40の取付構造は、屋根1のうち、太陽電池パネルPVが設けられる面の全面に敷設された第一の防水シート30と、前記第一の防水シート30上に配置され、前記太陽電池パネルPVを支持するための屋根用架台40と、前記屋根用架台40を前記屋根1に固定するビス50と、前記ビス50を覆うように敷設された第二の防水シート60と、を具備するものである。
【0088】
このように構成することにより、雨漏りの発生を防止することができる。
【0089】
また、前記屋根用架台40は、前記第一の防水シート30上に配置され、前記ビス50が取り付けられる固定部41と、前記太陽電池パネルPVを受ける受け部42と、を具備し、前記受け部42は、前記固定部41から立ち上がるように形成されると共に、前端部(前記屋根1の傾斜方向の上端部)から後方(下方)に向かうにつれて広がるように形成される傾斜部42cを有するものである。
【0090】
このように構成することにより、屋根用架台40まで流れた雨水を、傾斜部42cによって落とすことができる。これによって、受け部42の前側面に雨水が溜まることを防止できる。
また、本実施形態に係る傾斜部42cは、受け部42の右端部から左端部までに亘って形成されている。これによれば、受け部42の前側面に水が溜まることを確実に防止できる。
【0091】
また、ビス50(前記固定部材)は、前記屋根用架台40を屋根1(前記傾斜屋根)に固定すると共に、第一の防水シート30(前記第一の防水部材)を屋根1(前記傾斜屋根)に固定しているものである。
【0092】
このように構成することにより、同一のビス50(固定部材)によって屋根用架台40と共に第一の防水シート30(第一の防水部材)を屋根1(傾斜屋根)に固定しているため、コストの削減を図ることができる。
【0093】
なお、本実施形態に係る屋根1は、本発明に係る傾斜屋根の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る太陽電池パネルPVは、本発明に係る設置物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るビス50は、本発明に係る固定部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一の防水シート30は、本発明に係る第一の防水部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二の防水シート60は、本発明に係る第二の防水部材の実施の一形態である。
【0094】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0095】
例えば、屋根1は、一戸建ての住宅の屋根であるものとしたが、これに限定されるものではなく、工場の屋根等であってもよい。
【0096】
また、傾斜屋根の種類は、本実施形態のような切妻屋根に限定されるものではなく、例えば、片流れ屋根や方形屋根等であってもよい。また、屋根用架台40の取付方法は、陸屋根のような傾斜していない屋根にも適用することができる。
【0097】
また、屋根用架台40は、太陽電池パネルPVを支持するものとしたが、これに限定されるものではなく、太陽電池パネルPV以外のものを支持することが可能である。具体的には、雪止め用の板等を支持することができる。
【0098】
また、屋根材4の構成は、スレートに限定されるものではなく、例えば、瓦等であってもよい。
【0099】
また、第二の防水シート60は、必ずしも固定部41の全面を覆う必要はなく、固定部41の少なくとも一部を覆うものであればよい。
【0100】
また、第二の防水シート60は、必ずしも受け部42の前端部だけを覆う必要はなく、例えば、受け部42の全面を覆うものであってもよい。また、受け部42の形状等に応じて適宜の部分だけを覆うものであってもよい。以上の如く、第二の防水シート60は、受け部42の少なくとも一部を覆うものであればよい。
【0101】
また、第一の敷設工程及び第二の敷設工程は、第一の防水シート30及び第二の防水シート60を熱で溶着するものとしたが、溶着の手法はこれに限定されるものではなく、例えば、溶剤によって溶着するものであってもよい。また、熱及び溶剤によって溶着するものであってもよい。
【0102】
また、第一の防水シート30及び第二の防水シート60の材料、並びに屋根用架台40にコーティングする材料は、ポリ塩化ビニルに限定されるものではなく、防水性を有する材料であればよい。なお、雨水の侵入をより確実に防止する観点から、これらの材料は互いに同一(同質)であることが望ましい。
【0103】
また、第一の防水シート30及び第二の防水シート60の材料、並びに屋根用架台40にコーティングする材料は、互いに同一の材料であるものとしたが、これに限定されるものではない。第一の防水シート30及び第二の防水シート60の材料、並びに屋根用架台40にコーティングする材料は、例えば、互いに異なる材料であってもよい。また、第一の防水シート30及び第二の防水シート60の材料が互いに同一の材料であると共に、屋根用架台40にコーティングする材料が第一の防水シート30の材料とは異なる材料であってもよい。
【0104】
また、屋根用架台40は、表面に防水性を有する材料をコーティングするものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、コーティングを施さないものであってもよい。
【0105】
また、屋根用架台40は、金属材料によって構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、樹脂材料等によって構成されるものであってもよい。
【0106】
また、第一の敷設工程及び第二の敷設工程は、第一の防水シート30及び第二の防水シート60(シート状の部材)を敷設するものとしたが、これに限定されるものではなく、ある程度の厚みを有する板状部材を前後方向及び左右方向に敷き詰めるものであってもよい。
【0107】
また、屋根用架台40の取付方法においては、第一の防水シート30を屋根1の後側斜面の全面に敷設してから屋根用架台40を固定するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、以下のような手順を採用することができる。
屋根1の後側斜面の後半分にシート部材を溶着した後で、当該溶着した部分に屋根用架台40を固定する。そして、屋根1の後側斜面の前半分(残りの部分)にシート部材を溶着し、当該溶着した部分に屋根用架台40を固定する。
【0108】
また、屋根用架台40の受け部42の形状は、平面視略五角形状であるものとしたが、これに限定されるものではなく、平面視略台形状や平面視略矩形状等であってもよい。
【0109】
また、屋根用架台40を屋根1に取り付けるための部材は、ビス50であるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ボルト及びナット等であってもよい。
【0110】
また、屋根用架台40の取付構造は、化粧板70の有無を問わない。すなわち、屋根用架台40の取付構造は、化粧板70を具備しないものであってもよい。