【実施例1】
【0025】
図1〜
図3に示す本発明の第1実施例は、ハゼ組み式の折板屋根30上に太陽電池パネルを敷設した外装構造に、取付材1を固定し、該取付材1の取付受部12に外設部材2として雪止め具を取り付けた雪止め構造である。
【0026】
この第1実施例の取付材1は、
図1(d)に示すように下地(支持金具)への固定部11と、外設部材2を取り付けるための取付受部12とを有し、固定部11と取付受部12との間には縦片状の持出部13が設けられ、該持出部13の上端から外方へ略平坦状に延在する押さえ部14が設けられている。
前記固定部11は、逆L字状であって、その略水平状の横片には孔111が設けられている。
前記取付受部12は、内側(水上側)上方へ突出する縦片状であって、前記押さえ部14を挟むように左右の端縁にそれぞれ設けられている。
【0027】
なお、前述のように前記取付材1は、押さえ部14を備えるため、対向状に隣接して配される太陽電池パネル6,6のうちの水下側(軒側)の太陽電池パネル6を固定する固定部材を兼ねる部材である。これに対し、水上側(棟側)の太陽電池パネル6を固定する部材(固定部材)10は、前記取付受部12を備えない以外はこの取付材1と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
前記外設部材(雪止め具)2は、
図1(d),(e)に示すように略S字状に成形された起立状部21を備える起立材であり、その水上面側に下方が開放する溝状の取付部22が設けられている。なお、図中、23は取付ビスである。
【0029】
また、前記折板屋根30は、山部と谷部とを構成する外装材3Aと、図示しない下地材に固定されて前記外装材3を保持する保持部材3Bとからなる。この折板屋根30を構成する外装材3Aは、
図1(b)、
図2(a)、及び
図3に示すように略平坦状の平板部31の左右に傾斜状に立ち上がる立ち上がり部32,32を有し、各立ち上がり部32の外側へ載置部33が形成され、該載置部33の外側を略鉛直状に起立させて起立部34としたものであり、隣接する外装材3,3の当該部分を重合させてカシメてハゼ部としたものであり、外側に位置する重合部35と内側に位置する被重合部35'とした構成である。
【0030】
前記折板屋根30には、
図2(f)に示す左右分割型の(支持金具の)本体4Aと略ハット型の連結枠体4Bと上向きの縦ボルト4Cとを一体化してなる支持金具4が取り付けられ、さらにその上面には、
図2(g)に示す断面略低ハット状の受け金具5が取り付けられている。
【0031】
前記支持金具4を構成する本体4Aは、上端に略平坦状の受けフランジ41が設けられ、その下方に通孔を有する縦片部分を介して外方へ膨出状の包持部42が設けられ、さらにその他方に着座部43が設けられている。
そして、この本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとは、係合状に組み合わされ、その着座部43を折板屋根30の載置部33上に受支させると共に、その包持部42がハゼ部35,35'を覆うように配置した状態で前記縦片部分に設けた通孔に連結具44を締着することにより一体化され、折板屋根構造上に太陽電池パネルを敷設するための基準面を構成する。
このような構成を有する支持金具4は、各種の外装構造に適用できるものであって、各構成部材の作成も、その取付施工も極めて容易である。
【0032】
前記受け金具5は、前後の端縁が前記支持金具4の受けフランジ41に沿わせる受支部51,51であり、その間に隆状に形成された固定受部52が形成され、該固定受部52の略中央には、前記支持金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔521が形成され、その前方及び後方には、上方へ延在するボルト材53,53が一体的に立設されている。
この受け金具5は、後述する太陽電池パネル6の敷設を容易にするものであって、受支部51.51と固定受部52との間の段差が、太陽電池パネル6,6の端縁を係止する位置規制作用を果たす。
【0033】
前記太陽電池パネル6は、太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化し、周縁に枠体(フレーム)61を配して敷設したものである。このフレーム61は、上端に略コ字状の保持部分を有し、該保持部分から下方へ沿在する縦片部分を有し、下端には前記受け金具5の受支部51上に沿わせる着地部分が形成され、この下端(着地部分)が前記受け金具5の受支部51上に支持される状態で敷設されている。
【0034】
これらの各部材からなる外装構造(雪止め構造)の施工手順を
図2(a)〜(e)に基づいて以下に説明する。
まず、
図2(a)に示すようにハゼ組み式の折板屋根30上に、前記構成の支持金具4を一体状に取り付ける。この支持金具4の取付は、予め本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとを一体状に組んだ状態で、前記折板屋根30に形成されたハゼ部35,35'の左右から本体4Aを組み付けることで半ば自動的に一体化され、縦ボルト4Cが支持金具4に立設されるものとなる。
次に、
図2(b)に示すように取り付けた支持金具4の縦ボルト4Cに、前記構成の受け金具5を挿通させてナット4Dで固定する。
【0035】
続いて、
図2(c)に示すように取り付けた受け金具5の受支部51,51に、前記構成の太陽電池パネル6,6の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
なお、前述のように受け金具5は、受支部51.51と固定受部52との間に段差があるので、該段差(位置規制部)に太陽電池パネル6の端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる。
【0036】
次に、
図2(d)に示すように前記構成の取付材1を、その固定部11に設けた孔111に、取り付けた受け金具5のボルト材53に挿着させ、ナット54を締着すると共に、その押さえ部14を敷設した太陽電池パネル6の棟端(上面)に沿在するように保持させて固定する。なお、同図では省略しているが、ボルト材53には
図1(c)に示すように筒状のスペーサ7を装着し、固定部11の形状、寸法に応じた高さ調整を行っており、逆L字状に形成された固定部11の横片がスペーサ7上に、その縦片の下端が受け金具5の固定受部52に着地する状態で固定されている。
【0037】
その後、
図2(e)に示すように固定した取付材1の取付受部12に、前記構成の外設部材(雪止め具)2の取付部22を係合させるように配設すると共に、取付ビス23にて固定する。
【0038】
なお、この
図2には、図示していないが、棟側に隣り合う太陽電池パネル6の軒端を保持する前記固定部材10を配設した状態を
図1及び
図3には示している。
そして、この固定部材10の取付手順についても、前述のように取付受部12を備えない以外は前記取付材1と全く同様の構成であるため、前記施工手順とほぼ同様に容易に取り付けることができる。
【0039】
図1(a)〜(c)及び
図3は、このような施工手順にて施工された外装構造(雪止め構造)を示し、外設部材(雪止め具)2を取り付けるための取付材1は、下地(=受け金具5)に取り付けるものであるから、従来のように太陽電池パネル6のフレーム61には全く影響を与えないので、各種の太陽電池パネルに対して適用でき、既設の太陽電池パネルを用いた外装構造にも容易に適用することができ、実用的価値が高いものである。
【0040】
また、この第1実施例の取付材1は、隣り合う太陽電池パネル6,6のうちの棟側に位置する太陽電池パネル6の棟端上に沿在する押さえ部14を有するので、この取付材1は固定部材を兼ねるものであり、使用材料(部品点数)の低減を果たすことができる。
【0041】
さらに、この第1実施例では、外設部材2が起立状部21を備える起立材であるため、雪止め具として、さらに隣り合う太陽電池パネル6,6間から裏面空間62へ落とすこともできる。そのため、雪の堰き止めが生ずることがなく、該堰き止め(にて遮光されること)による効率低下を防ぐこともできる。
さらに、前記起立状部21は、太陽電池パネル6の裏面空間62内の空気を排出する作用も果たすので、太陽電池パネル6の裏面空間62内の排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制することができる。
なお、この裏面空間62とは、
図1(b),(c)に示すように太陽電池パネル6と下地(折板屋根30)との間の空間を指す。
【0042】
なお、この第1実施例には、スペーサ7等の高さ調整具を用いているが、各種の高さ寸法の異なる太陽電池パネルに対しては、それに応じた高さの取付材を準備しておくようにしてもよいし、或いは高さ寸法の異なる高さ調整具を複数種類準備しておくようにしてもよい。
【0043】
また、この第1実施例では、
図3に示すように流れ方向に太陽電池パネル6,6が一定間隔で離間状に配設されているので、取付材1及び外設部材2をその間隔にそれぞれ設けることができ、雪を間隔へ落とす効果を各間隔毎に果たすことができる。
さらに、この第1実施例では、
図3に示すように外設部材2が、左右方向(=桁行き方向)に隣り合う2つの取付材1,1に架設状に取り付けられているので、外設部材2の取付強度が大きくなり、この外設部材2に強風や豪雨、豪雪などが作用しても耐久性が高いものとなっている。
【0044】
図4に示す本発明の第2実施例は、取付材1"が隣り合う両方の太陽電池パネル6,6の固定部材を兼ねるものであって、
図4(d)に示すように前後にそれぞれ押さえ部14を有し、固定部11"が略平坦状である以外は、前記第1実施例の取付材1とほぼ同様であるから、図面の同一符号を付して説明を省略する。なお、この第2実施例は、隣り合う太陽電池パネル6,6の間隔が短い場合に好適である。
また、この第2実施例では、受け金具5を用いない代わりに支持金具4を構成する連結枠体4Bの前端及び後端が太陽電池パネル6,6の端縁を押し当てる部分(位置規制部)として機能し、支持金具4の受けフランジ41及び縦ボルト4Cが取付材1"を固定する固定受部として機能し、更にはスペーサ7も縦ボルト4Cに装着させて高さ調整を可能としているので、この第2実施例も前記第1実施例と殆ど同様の機能を果たす。
【0045】
この第2実施例では、前述のように取付材1"が隣り合う両方の太陽電池パネル6,6の固定部材を兼ねるため、使用材料(部品点数)の低減、及び施工工程の低減が果たされる。
【0046】
図5に示す本発明の第3実施例は、外設部材2"の起立状部21"が曲面ではなく段状の平面にて形成されている以外は、前記第2実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図6に示す本発明の第4実施例は、取付材1が一方の太陽電池パネル6のみを保持する固定部材を兼ね、他方の太陽電池パネル6は別の固定部材10にて保持する点で前記第1実施例と同様であり、受け金具5を用いない点、起立状部21"が段状の平面にて形成されている外設部材2"を用いる点では、前記第3実施例と同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、この第4実施例における支持金具4"は、流れ方向の幅が長い一つの本体4A"にそれぞれ二つの連結枠材4B及び縦ボルト4Cを一体化させている構成であり、各縦ボルト4Cにはスペーサ7がそれぞれ装着されて高さ調整を可能としている。
【0048】
図7に示す本発明の第5実施例は、スペーサ7を用いない構成であって、取付材1'の固定部11'が逆L字状でなく横片状(縦片がない)であり、縦片状の持出部13'が縦長である以外は、前記第4実施例とほぼ同様であり、図面に同一符号を付して説明を省略する。
このように必ずしもスペーサ7を用いなくても取付材1'の持出部13'の長さを調整するなどして高さ調整して取付受部12の高さ、並びに太陽電池パネル6の高さ幅に調整することができる。
【0049】
図8及び
図9に示す本発明の第6実施例は、取付材1#が
図8(f)に示すように隣り合う両方の太陽電池パネル6,6の固定部材を兼ねる点では前記第2実施例の取付材1"と同様であるが、隣り合う太陽電池パネル6,6間の隔たり間隔に応じて平板状の固定部11#が流れ方向に幅広であり、該固定部11#には、その左右端縁を下方へ折り下げた係止部112,112が設けられている。また、この取付材1#に設けられた取付受部12#は、前記固定部11#から内側(水上側)上方へ突出する縦片状であり、前記第1実施例の取付材1の取付受部12より縦長に形成されている。
さらに、この第6実施例の外設部材2#は、
図8(g)に示すように略S字状に成形された起立状部21を備える起立材である点では前記第1実施例の外設部材2と同様であるが、その水上面側に設けられる溝状の取付部22#が前記取付材1#の取付受部12#に応じて高い位置に形成されている。
また、この第6実施例には、
図8(h)に示す受け金具5#が用いられ、前記第1実施例の受け金具5に概略構成は近似し、略中央に孔521が形成されている点では共通するが、その受支部51#,51#及び固定受部52#は左右方向に幅広で、ボルト材53,53が立設されず、固定受部52#の流れ方向の端縁に、左右端縁を下方へ屈曲した係止部522,522が設けられた構成である。
【0050】
これらの各部材からなる外装構造(雪止め構造)の施工手順を
図8(a)〜(e)に基づいて以下に説明する。
まず、
図8(a)に示すようにハゼ組み式の折板屋根30上に、前記構成の支持金具4を一体状に取り付ける手順は、前記第1実施例の
図2(a)と全く同様である。
次に、
図8(b)に示すように取り付けた支持金具4の縦ボルト4Cに、前記構成の受け金具5#を挿通させるが、この時点ではナット4Dを止着しない。
続いて、
図8(c)に示すように取り付けた受け金具5#の受支部51#,51#に、太陽電池パネル6,6の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
なお、前述のように受け金具5#には、固定受部52#の流れ方向の端縁に、左右端縁を下方へ屈曲した係止部522,522を設けたので、該係止部511、511に太陽電池パネル6の端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる。
【0051】
次に、
図8(d)に示すように前記構成の取付材1#を、その固定部11#に設けた孔111に、取り付けた受け金具5#を貫通して上方に延在する支持金具4の縦ボルト4Cに挿着させると共に、固定部11#の左右に設けた係止部112,112を、受け金具5#の固定受部52の左右端縁に上方から係止させる。さらに、その押さえ部14,14を、敷設した太陽電池パネル6,6の棟端(上面)及び軒端(上面)に沿在するように上方から臨ませて押さえ保持させる。この状態で縦ボルト4Cにナット4Dを締着して固定金具4、受け金具5#、太陽電池パネル6,及び取付材1#を一体的に固定する。