特許第6382303号(P6382303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382303
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】表面粗さ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   G01B11/30 102Z
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-510793(P2016-510793)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公表番号】特表2016-517019(P2016-517019A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014035407
(87)【国際公開番号】WO2014176479
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年4月14日
(31)【優先権主張番号】201310150620.9
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】シエ,グアンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジア,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ザイ,ジロン
(72)【発明者】
【氏名】トラローリ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ケヴィン・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,グイジュ
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−143908(JP,A)
【文献】 実開平05−008524(JP,U)
【文献】 特開昭59−065708(JP,A)
【文献】 特開昭58−081023(JP,A)
【文献】 特開平07−071945(JP,A)
【文献】 米国特許第05007740(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01N 21/84−21/958
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主発光ファイバ(122)および複数の集光ファイバ(124)を含むファイバ束(12)と、
第1の補助発光ファイバ(13)と、
前記ファイバ束(12)および前記第1の補助発光ファイバ(13)を含み、対象物(20)の表面に光学的に接触するための開口(142)を画定する光学ハウジング(14)と、
前記主発光ファイバ(122)から発光した光を前記開口(142)の検出点へ反射し、前記対象物(20)によって反射された光を前記複数の集光ファイバ(124)へ反射するための、前記光学ハウジング(14)に配置された主反射鏡(15)と、
前記第1の補助発光ファイバ(13)から発光した光を前記開口(142)の前記検出点へ反射するための、前記光学ハウジング(14)に配置された第1の補助反射鏡(16)と、
前記主発光ファイバ(122)および前記第1の補助発光ファイバ(13)に対してレーザビームを生成し、前記複数の集光ファイバ(124)から前記反射光を集光し、前記集光した反射光に基づいて前記対象物(20)の表面粗さを算出するための外部回路と、
を含み、
前記対象物(20)の前記表面粗さは、前記表面粗さと、前記主発光ファイバ(122)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度と前記第1の補助発光ファイバ(13)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度との比率と、の間の所定の関係に基づいて算出され、
前記比率は、式R=(MI−AI)/(MI+AI)により算出され、
ここで、Rは前記比率であり、MIは前記主発光ファイバ(122)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度であり、AIは前記第1の補助発光ファイバ(13)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度である、
表面粗さ測定装置(10)。
【請求項2】
前記外部回路は、
前記レーザビームを生成するためのレーザ発生器(41)と、
前記複数の集光ファイバ(124)から集光した前記反射光を検出して、前記集光した光を電気信号に変換するための光検出器(43)と、
前記主発光ファイバ(122)からの前記反射光から変換された、および前記第1の補助発光ファイバ(13)からの前記反射光から変換された、前記変換された電気信号に基づいて、前記対象物(20)の前記表面粗さを算出するための少なくとも1つの信号処理部(44)と、
を含む、請求項1に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項3】
前記外部回路は、前記主発光ファイバ(122)および前記第1の補助発光ファイバ(13)に対して前記レーザビームを選択的に切り換えるためのビームスイッチ(42)をさらに含む、請求項2に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項4】
前記外部回路は、
電荷結合素子(CCD)(46)と、
前記複数の集光ファイバ(124)から集光した前記反射光を前記光検出器(43)および前記CCD(46)へそれぞれ分波するための光分波器(47)と、
をさらに含む、請求項2に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項5】
前記主発光ファイバ(122)は、前記ファイバ束(12)の前記複数の集光ファイバ(124)の中心の周りに配置される、請求項1から4のいずれかに記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項6】
前記光学ハウジング(14)は、一端において開口(141)を画定し、前記ファイバ束(12)の遠位端は、前記第1の補助発光ファイバ(13)と共に、前記開口(141)を通して前記光学ハウジング(14の少なくとも一部において保持される、請求項1から5のいずれかに記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項7】
前記主反射鏡(15)は、前記光学ハウジング(14)に配置され、かつ、前記ファイバ束(12)に対して45度に配置される、請求項6に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項8】
前記第1の補助反射鏡(16)は、前記光学ハウジング(14)に配置され、かつ、前記第1の補助発光ファイバ(13)に対して45度未満の傾斜角度で配置され、
前記第1の補助発光ファイバ(13)と前記第1の補助反射鏡(16)との間の距離は、前記ファイバ束(12)と前記主反射鏡(15)との間の距離より小さい、
請求項7に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項9】
前記外部回路は、
前記レーザビームを生成するためのレーザ発生器(41)と、
前記複数の集光ファイバ(124)から集光した前記反射光をそれぞれ検出して、前記集光した光を電気信号にそれぞれ変換するための、複数の光検出器(43)を含む光検出器アレイ(48)と、
前記変換電気信号に基づいて前記検出した反射光の強度分布画像をディスプレイ(45)を通して示すための信号処理部(44)と、
含む、請求項1に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項10】
前記光学ハウジング(14)に保持された第2の補助発光ファイバ(17)と、
前記第2の補助発光ファイバ(17)から発光した光を前記開口(142)の前記検出点へ反射するための、前記光学ハウジング(14)に配置された第2の補助反射鏡(18)と、
をさらに含み、
前記外部回路は、前記第2の補助発光ファイバ(17)に対して前記レーザビームをさらに提供する、
請求項1に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項11】
前記対象物(20)の前記表面粗さは、前記表面粗さと、前記主発光ファイバ(122)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度と前記第1の補助発光ファイバ(13)および前記第2の補助発光ファイバ(17)の一方から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度との比率と、の間の所定の関係に基づいて算出される、請求項10に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項12】
前記比率は、式R=(MI−AI)/(MI+AI)により算出され、
ここで、Rは前記比率であり、MIは前記主発光ファイバ(122)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度であり、AIは前記第1の補助発光ファイバ(13)または前記第2の補助発光ファイバ(17)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度である、
請求項11に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項13】
前記主反射鏡(15)の前記反射されたレーザビームおよび前記第1の補助発光ファイバ(13)の前記反射されたレーザビームによって形成される平面は、前記主反射鏡(15)の前記反射されたレーザビームおよび前記第2の補助発光ファイバ(17)の前記反射されたレーザビームによって形成される平面に垂直である、請求項10から12のいずれかに記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項14】
前記第2の補助発光ファイバ(17)は、前記第1の補助発光ファイバ(13)に対して90度の方向に配置される、請求項13に記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項15】
前記外部回路は、前記主発光ファイバ(122)、前記第1の補助発光ファイバ(13)、および前記第2の補助発光ファイバ(17)に対して前記レーザビームを選択的に切り換えるためのビームスイッチ(42)をさらに含む、請求項10から14のいずれかに記載の表面粗さ測定装置(10)。
【請求項16】
主発光ファイバ(122)および複数の集光ファイバ(124)を含むファイバ束(12)と、
複数の補助発光ファイバと、
前記ファイバ束(12)および前記複数の補助発光ファイバを含み、対象物(20)の表面に光学的に接触するための開口(142)を画定する光学ハウジング(14)と、
前記主発光ファイバ(122)から発光した光を前記開口(142)の検出点へ反射し、前記対象物(20)によって反射された光を前記複数の集光ファイバ(124)へ反射するための、前記光学ハウジング(14)に配置された主反射鏡(15)と、
前記複数の補助発光ファイバから発光した光を前記開口(142)の前記検出点へそれぞれ反射するための、前記光学ハウジング(14)に配置された複数の補助反射鏡と、
前記主発光ファイバ(122)および前記複数の補助発光ファイバに対してレーザビームを生成し、前記複数の集光ファイバ(124)から前記反射光を集光し、前記集光した反射光に基づいて前記対象物(20)の表面粗さを算出するための外部回路と、
を含み、
前記対象物(20)の前記表面粗さは、前記表面粗さと、前記主発光ファイバ(122)から発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度と前記複数の補助発光ファイバのうちの1つから発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度との比率と、の間の所定の関係に基づいて算出され、
前記比率は、式R=(MI−AI)/(MI+AI)により算出され、
ここで、Rは前記比率であり、MIは前記主発光ファイバから発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度であり、AIは前記複数の補助発光ファイバのうちの1つから発光した前記光に基づく前記検出した反射光の強度である、
表面粗さ測定装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的には、表面粗さ測定装置に関し、特に、困難なアクセス領域および過酷な環境で測定を行うことができる表面粗さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面品質および仕上げ状態は、機械、光学、および医療などの分野だけでなく、製造された製品や電子機器において重要な役割を果たす。粗さは構成部品の重要な特性であるから、通常、品質保証処理の対象となる。特定の例では、表面粗さの制御は、製造工程のタイプを決定し、構成部品の機能的性能にも影響を及ぼし得る。したがって、多くの表面粗さ測定方法が業界で開発されている。これらの方法は、一般に2つのカテゴリー、すなわち接触測定方法および非接触測定方法に分類することができる。典型的には、表面粗さ測定方法の多くは、外部表面についてのものであり、業界では多くの公知の方法がある。
【0003】
内部表面の粗さの測定値は、特に狭幅なスロットまたは開口を有するより小さなサイズの構成部品では、より困難になる傾向がある。内部表面測定に加えて、粗さ測定に適さない他の状況がある。例えば、構成部品は、表面測定が困難な非平面の表面を有する複雑な幾何学的形状である可能性がある。
【0004】
困難な表面粗さ測定のための従来の技術は、破壊的であるなどの欠点を有する傾向があり、製造環境においてコストが高くなり、時間がかかる。さらに、従来の粗さ測定技術は、通常、測定される対象物の加工マーク方向を容易に識別することができず、また従来の粗さ測定技術は、材料の反射率ばらつきや作業場の振動などのいくつかのパラメータ変動の影響を排除することができない。
【0005】
これらの理由および他の理由により、特に困難なアクセス領域の表面を測定し、正確な表面粗さ値を提供するための、表面粗さ測定装置を提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/042084号明細書
【発明の概要】
【0007】
本装置の一実施形態によれば、表面粗さ測定装置が提供される。一実施形態では、表面粗さ測定装置は、主発光ファイバおよび複数の集光ファイバを含むファイバ束と、補助発光ファイバと、光学ハウジングと、主反射鏡と、補助反射鏡と、外部回路と、を含む。光学ハウジングは、ファイバ束および補助発光ファイバを含み、対象物の表面に光学的に接触するための開口を画定する。主反射鏡は、光学ハウジングに配置され、主発光ファイバから発光した光を開口の検出点へ反射し、対象物によって反射された光を複数の集光ファイバへ反射するために用いられる。補助反射鏡は、光学ハウジングに配置され、補助発光ファイバから発光した光を開口の検出点へ反射するために用いられる。外部回路は、主発光ファイバおよび補助発光ファイバに対してレーザビームを生成し、複数の集光ファイバから反射光を集光し、集光した反射光に基づいて対象物の表面粗さを算出するために用いられる。
【0008】
別の実施形態によれば、表面粗さ測定装置が提供される。表面粗さ測定装置は、主発光ファイバおよび複数の集光ファイバを含むファイバ束と、複数の補助発光ファイバと、光学ハウジングと、主反射鏡と、複数の補助反射鏡と、外部回路と、を含む。光学ハウジングは、ファイバ束および補助発光ファイバを含み、対象物の表面に光学的に接触するための開口を画定する。主反射鏡は、光学ハウジングに配置され、主発光ファイバから発光した光を開口の検出点へ反射し、対象物によって反射された光を複数の集光ファイバへ反射するために用いられる。補助反射鏡は、光学ハウジングに配置され、補助発光ファイバから発光した光を開口の検出点へそれぞれ反射するために用いられる。外部回路は、主発光ファイバおよび補助発光ファイバに対してレーザビームを生成し、複数の集光ファイバから反射光を集光し、集光した反射光に基づいて対象物の表面粗さを算出するために用いられる。
【0009】
本発明のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による、表面粗さ測定装置の模式的な斜視図である。
図2図1の表面粗さ測定装置の模式的な部分図であり、測定する対象物と共に示してある。
図3】一実施形態による、図1の表面粗さ測定装置のファイバ束の断面図である。
図4a図1の表面粗さ測定装置のファイバ束の主発光ファイバからの反射光を説明するための模式図である。
図4b図1の表面粗さ測定装置の補助発光ファイバからの反射光を説明するための模式図である。
図5a】一実施形態による、図1の表面粗さ測定装置のブロック図である。
図5b】別の実施形態による、図1の表面粗さ測定装置のブロック図である。
図6a】対象物の2つの異なる材料の反射率について、対象物の粗さと主発光ファイバからの検出された反射光の強度との相関関係の比較を示す図である。
図6b】対象物の2つの異なる材料の反射率について、対象物の粗さと補助発光ファイバからの検出された反射光の強度との相関関係の比較を示す図である。
図6c】対象物の2つの異なる材料の反射率について、対象物の粗さと主発光ファイバおよび補助発光ファイバからの検出された反射光の強度により算出された比率との相関関係の比較を示す図である。
図7a】表面粗さ測定装置のスタンドオフ距離と主発光ファイバからの検出された反射光の強度に基づいて算出された電圧値との相関関係を示す図である。
図7b】表面粗さ測定装置のスタンドオフ距離と補助発光ファイバからの検出された反射光の強度に基づいて算出された電圧値との相関関係を示す図である。
図7c】表面粗さ測定装置のスタンドオフ距離と主発光ファイバおよび補助発光ファイバの両方からの検出された反射光の強度に基づいて算出された粗さとの相関関係を示す図である。
図8a】表面粗さ測定装置の3つの異なる測定位置を示す模式図である。
図8b図8aの表面粗さ測定装置の測定角度と表面粗さ測定装置によって検出された散乱強度との相関関係を示す図である。
図9a】さらに別の実施形態による、図1の表面粗さ測定装置のブロック図である。
図9b図9aの表面粗さ測定装置により算出された4つの表面粗さ値を表す4つの強度画像を示す図である。
図10】別の実施形態による、表面粗さ測定装置の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、例示のために実施可能な特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、当業者が実施形態を実施できるように十分詳細に記載されており、他の実施形態も利用することができること、ならびに論理的、機械的、電気的およびその他の変更を、実施形態の範囲から逸脱せずに行うことができることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈すべきではない。
【0012】
特に定義されない限り、本明細書で用いられる技術的および科学的用語は、本発明が属する技術的分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる「第1の」、「第2の」等の用語は、いかなる順序、量、または重要性も意味するものではなく、1つの要素と別の要素とを区別するために用いられる。また、単数形での記載は、量の限定を意味するものではなく、参照する項目が少なくとも1つ存在することを意味し、特に断らない限り、「前部」、「後部」、「底部」、および/または「最上部」等の用語は、単に、説明の便宜のために使用され、1つの位置または空間的方向に限定されるものではない。さらに、「結合される」および「接続される」という用語は、2つの部品の間の直接的または間接的な結合/接続を区別するものではない。むしろ、このような部品は、特に明記しない限り、直接的または間接的に結合/接続することができる。
【0013】
図1を参照すると、一実施形態による表面粗さ測定装置10の模式図が示されている。表面粗さ測定装置10は、ケーブルアダプタ11、ファイバ束12、補助発光ファイバ13、光学ハウジング14、主反射鏡15、および小型の補助反射鏡16を含む。図面中の光学ハウジング14に配置された要素の配置を容易に示すために、光学ハウジング14は、図1図2図4a、図4b、および図10では、透明なタイプとして示しているが、一実施形態では、光学ハウジング14は不透明である。例えば、一実施形態では、光学ハウジング14はステンレス鋼で作られている。
【0014】
いくつかの実施形態では、ケーブルアダプタ11はファイバ束12内のファイバと外部回路との間、および補助発光ファイバ13と外部回路(後の段落で説明する)との間の通信インターフェースを提供するために使用される。一実施形態では、ファイバ束12は、ファイバ束12の中心の周りに配置された主発光ファイバ122と、主発光ファイバ122の周囲に配置された複数の集光ファイバ124と、を含む。ファイバ束12の配置を説明するのを容易にするために、少しの集光ファイバ124だけを図1に示しているが、より多くの集光ファイバ124がファイバ束12内に配置されてもよい(図3を参照のこと)。集光ファイバ124の数は、設計要件および基準に従って変化させることができる。例えば、一実施形態では、ファイバ124の数を126とすることができる。この実施例では、ファイバ束12のファイバ122、124は、ファイバ位置を維持するのに役立つファイバ束ハウジング内に配置されている。
【0015】
補助発光ファイバ13は、ファイバ束12に近接して配置され、主発光ファイバ122と同じ出射方向を有する。一実施形態では、補助発光ファイバ13はファイバ束12に結合されているが、他の実施形態では、補助発光ファイバ13はファイバ束12内のファイバのうちの1つとしてファイバ束12に配置されている。困難なアクセス領域における対象物の表面粗さを測定するために、ファイバ束12の直径は、小さいサイズに設計されている。例えば、一実施形態では、ファイバ束12の直径は約2.1mmであり、ファイバ束12のファイバ122および124の合わせた数は127である。
【0016】
図1および図2を参照すると、図2は、図1の表面粗さ測定装置10の模式的な部分図であり、測定する対象物20と共に示してある。いくつかの実施形態では、光学ハウジング14は、ファイバ束12を係合するように構成され、その一端に開口141を画定するハウジングである。ファイバ束12の遠位端部は、補助発光ファイバ13と共に、開口141を通して光学ハウジング14の少なくとも一部において保持される。一実施形態では、光学ハウジング14の直径は約3.0mmである。主反射鏡15は、光学ハウジング14内に配置されて、ファイバ束12に光学的に結合され、一実施形態では、主反射鏡15は、ファイバ束12の主発光ファイバ122からの光が主反射鏡15に当たって、対象物20の上へ反射するように、ファイバ束12に対して位置決めされる。一実施例では、主反射鏡15は、ファイバ束12の主発光ファイバ122からの光に対して約45度に配向される。主反射鏡15の反射面積は、いくつかの実施形態では、ファイバ束12の断面積に等しいかまたはそれより大きく、それによって、集光ファイバ124が、後続のデータ処理で対象物20の粗さを算出するのに十分な反射光を主反射鏡15から集光できることを保証している。
【0017】
補助反射鏡16は、光学ハウジング14内に配置され、補助発光ファイバ13に対して位置決めされており、一実施例では、補助反射鏡は、補助発光ファイバ13に対して45度未満の傾斜角度、例えば25〜35度などに配向される。本図に示す実施例では、補助発光ファイバ13と補助反射鏡16との間の距離は、ファイバ束12と主反射鏡15との間の距離より小さい。
【0018】
光学ハウジング14は、主反射鏡15の反射面の下方に開口142を画定する。すなわち、レーザビーム「a」が主発光ファイバ122から主反射鏡15へ出射されると、主反射鏡15で反射された反射レーザビーム「a」は開口142に対してほぼ垂直に送信される。さらに、レーザビーム「b」が補助発光ファイバ13から補助反射鏡16へ出射された場合に、補助反射鏡16で反射された反射レーザビーム「b」が、開口142の同一検出点付近で主反射鏡15で反射された反射レーザビーム「a」と交差するように、補助反射鏡16の配置が配向される。
【0019】
すなわち、対象物20が開口142に近接している場合には、反射レーザビーム「a」および「b」は、対象物20の測定面の同一検出点にそれぞれ送信される。補助反射鏡16の傾斜角度は、光学ハウジング14内の補助反射鏡16の実際の配置位置に応じて変化させることができる。光学ハウジング14のサイズは、通常、小さい(例えばわずか3.0mm)ので、光学ハウジング14は、対象物20のいくつかの困難なアクセス領域、例えば内側孔および小溝などにアクセスすることができ、表面粗さを測定することができる。他の実施形態では、光学ハウジング14、ファイバ束12、主反射鏡15、および補助反射鏡16の形状設計は、様々な設計要件および基準に従って変化させることができる。
【0020】
再び図3を参照すると、ファイバ束ハウジング内に配置された複数の光ファイバがあり、図示するように、主発光ファイバ122は中央に位置し、主発光ファイバ122を取り囲む集光ファイバ124を有する。主発光ファイバ122は、1つまたは複数のフィバであってもよいことを理解されたい。ファイバ束12のファイバは、行および列の形式に配置されて示しているが、他の実施形態では、ファイバを他の形式に配置することができる。
【0021】
図4aを参照すると、主発光ファイバ122から出射して、主反射鏡15、対象物20、および主反射鏡15でそれぞれ反射された反射光「c」を示す模式図である。図4aは、反射光「c」の2つのビームのみを示している。典型的には、反射光「c」のビームの数は、通常、対象物20の粗さによって決定される。対象物20の粗さが高い場合には、反射光「c」のビーム数が多くなる。対照的に、対象物20の粗さが低い場合には、反射光「c」のビーム数は少なくなる。複数の集光ファイバ124は、後続のデータ処理のために反射光「c」を集光するために使用される。
【0022】
図4bを参照すると、補助発光ファイバ13から出射して、補助反射鏡16、対象物20、および主反射鏡15でそれぞれ反射された反射光「d」を示す模式図である。図4bは、反射光「d」の2つのビームのみを示している。典型的には、反射光「d」のビームの数は、対象物20の粗さによって決定される。対象物20の粗さが高い場合には、反射光「d」のビーム数が多くなる。対照的に、対象物20の粗さが低い場合には、反射光「d」のビーム数は少なくなる。複数の集光ファイバ124は、後続のデータ処理のために反射光「d」を集光するために使用される。
【0023】
図5aを参照すると、一実施形態による、図1の表面粗さ測定装置10の外部回路のブロック図が示されている。一実施例における外部回路は、レーザ発生器41、ビームスイッチ42、光検出器43、信号処理部44、および結果ディスプレイ45を含む。
【0024】
一実施形態によれば、レーザ発生器41は、信号処理部44からの駆動信号に従ってレーザビームを生成するために使用される。ビームスイッチ42は、レーザ発生器41からのレーザビームを集光し、信号処理部44からの切換信号に従って、主発光ファイバ122から出射されるレーザビーム「a」または補助発光ファイバ13から出射されるレーザビーム「b」となるように、レーザビームを切り換えるために用いられる。さらなる実施形態では、レーザ発生器41からの1つのレーザビームを用いて、2つ以上のレーザビームを得るために、光分波器を使用することができる。別の実施形態では、レーザビーム「a」およびレーザビーム「b」を生成するためにそれぞれ使用される2つのレーザ発生器41があってもよく、ビームスイッチ42はもはや必要とされない。
【0025】
光検出器43は、主反射鏡15で反射されて、複数の集光ファイバ124により集光された対象物20からの反射光「c」および「d」(鏡面反射光および散乱反射光を含む)を検出し、後続のデータ処理のために、検出された反射光「c」および「d」の強度を電圧信号などの対応する電気信号に変換するために用いられる。本実施例における光検出器43は、通常、単一の光検出器であるが、他の実施形態では、2つ以上の光検出器を、冗長性を提供するために、ならびに/または反射光信号「c」および「d」ごとに個別の光検出器を提供するために、使用することができる。
【0026】
信号処理部44はまた、光検出器43から変換された電気信号を集めて、検出された反射光「c」および「d」に基づいて生成された変換された電気信号に基づいて、対象物20の検出された位置の表面粗さを算出するために用いられる。信号処理部44は、1つまたは複数のプロセッサと、データならびにソフトウェアルーチンおよびアルゴリズムを記憶するための付随するメモリと、を含むことができる。データおよび結果は、対象物20の測定した表面粗さのデータベースを作成するために記憶することができる。
【0027】
結果ディスプレイ45は、対象物20の検出された位置の表面粗さの算出結果を表示するために使用される。本実施例では、結果を表示することを示しているが、後続の再検討のために、結果を別の場所に記憶または伝送することができる。さらなる実施形態では、表面粗さが対象物について許容可能であるかどうか判断するために、結果をいくつかの所定のしきい値と比較する。表面粗さが許容範囲内である場合には、対象物は許容可能である。しかし、表面粗さがしきい値を超える場合には、その対象物は拒否される。
【0028】
図5bを参照すると、別の実施形態による、図1の表面粗さ測定装置10のブロック図が示されている。図5aの実施形態と比較すると、図5bの表面粗さ測定装置10は、電荷結合素子(CCD)46および光分波器47をさらに含むことができる。光分波器47は、反射光「c」および「d」を2つの伝送チャネルに分波するために使用され、1つの伝送チャネルは、反射光「c」および「d」を光検出器43に伝送するために使用され、他の伝送チャネルは、反射光「c」および「d」をCCD46に伝送するために使用される。CCD46は、対象物20の表面粗さを決定することができる反射光「c」および「d」の光画像を直接示すために用いられる。いくつかの実施形態では、光検出器43および光分波器47は任意であり、CCD46のみが、対象物20の表面粗さを測定するために使用される。CCD46はまた、他のタイプの光撮像装置に置き換えることができる。
【0029】
図6aを参照すると、対象物20の2つの異なる材料の反射率について、対象物20の粗さと主発光ファイバ122からの検出された反射光「c」の強度との相関関係の比較を示す図が示されている。曲線61は、対象物20の第1の材料の反射率に対応し、曲線62は、対象物20の第2の材料の反射率に対応する。他の実施形態では、2つの曲線61および62は、異なる材料の反射率を有する2つの対象物20にそれぞれ対応する。2つの対象物20の材料の反射率が異なるので、2つの曲線61および62も異なる。換言すれば、異なる材料の反射率を有する多数の対象物20を測定する必要がある場合には、その粗さは検出した反射光「c」のみに基づく。曲線61および62のように、対応する数の曲線を前もって処理する必要がある。曲線61および62などのそれらの曲線は、適切なアルゴリズムにより処理することができる。
【0030】
図6bを参照すると、対象物20の2つの異なる材料の反射率について、対象物20の粗さと補助発光ファイバ13からの検出された反射光「d」の強度との相関関係の比較を示す図が示されている。曲線63は、対象物20の第1の材料の反射率に対応し、曲線64は、対象物20の第2の材料の反射率に対応する。他の実施形態では、2つの曲線63および64は、異なる材料の反射率を有する2つの対象物にそれぞれ対応する。2つの対象物20の材料の反射率が異なるので、2つの曲線63および64も異なる。換言すれば、異なる材料の反射率を有する多数の対象物20を測定する必要がある場合には、その粗さは検出した反射光「d」のみに基づく。曲線63および64のように、対応する数の曲線を前もって算出しておく必要がある。曲線63および64などのそれらの曲線は、適切なアルゴリズムにより算出することができる。
【0031】
図6cを参照すると、対象物20の2つの異なる材料の反射率について、対象物20の粗さと、主発光ファイバ122および補助発光ファイバ13からの検出された反射光「c」および「d」の強度により算出された比率と、の相関関係の比較を示す図が示されている。この比率は、対象物20の材料の反射率と検出された反射光「c」および「d」の強度とによって算出される。すなわち、比率曲線65は、曲線61および63により算出され、比率曲線66は、曲線62および64により算出される。一例としては、この比率は、以下の式により算出される。R=(kMI−kAI)/(kMI+kAI)=(MI−AI)/(MI+AI)。ここで、Rは比率であり、kは材料の反射率であり、MIは曲線61および63に対応するような検出された反射光「c」の強度であり、AIは曲線62および64に対応するような検出された反射光「d」の強度である。対象物20が第1の材料の反射率を有する場合には、対応する比率Rは上式に基づいて算出され、例えば、比率曲線65は上式を用いて曲線61および63に基づいて算出され、また比率曲線66は上式を用いて曲線62および64に基づいて算出される。
【0032】
上式R=(kMI−kAI)/(kMI+kAI)=(MI−AI)/(MI+AI)において、材料の反射率パラメータkが消去されているので、比率曲線65および66はほぼ同じである。したがって、材料の反射率がどのようなものであっても、対応する比率曲線は同一であり、対象物20の粗さを算出するためにただ1つの比率曲線(65または66)が決定されるが、これは表面粗さ測定装置10を較正することを簡単にし、それによって効率が向上する。例えば、比率曲線65を前もって決定しておき、表面粗さ測定装置10を用いて第1の対象物の粗さを測定した後に、主発光ファイバ122および補助発光ファイバ13からの検出された反射光「c」および「d」の強度がそれぞれ信号処理部44で算出され、それから決定された比率曲線65および上式に基づいて、第1の対象物の粗さを算出することができる。第2対象物が表面粗さ測定装置10によって測定されると、決定された比率曲線65および上式に基づいて、第2の対象物の粗さも算出することができる。すなわち、異なる材料の反射率を有する異なる対象物の粗さを算出するためには、ただ1つの決定された比率曲線65が必要となる。換言すれば、この表面粗さ測定装置10は、材料の反射率の変化の影響を補償することができる。
【0033】
図7aを参照すると、表面粗さ測定装置10のスタンドオフ距離と、主発光ファイバ122からの検出された反射光の強度に基づいて光検出器43により算出された電圧値と、の相関関係を示す図が示されている。スタンドオフ距離と電圧値との関係は、図7aの曲線71に示されている。明らかに、おそらく作業場の振動に起因するスタンドオフ距離の変動は、算出された電圧値に影響を与える。すなわち、主発光ファイバ122からの検出された反射光のみを用いる場合に、スタンドオフの変動は測定された粗さ結果に影響を与える。図7aでは、曲線71の変化率は約12%である。「スタンドオフ距離」という用語は、装置10の開口142から対象物20の関心領域までの距離を意味する。
【0034】
図7bを参照すると、表面粗さ測定装置10のスタンドオフ距離と、補助発光ファイバ13からの検出された反射光の強度に基づいて光検出器43により算出された電圧値と、の相関関係を示す図が示されている。スタンドオフ距離と電圧値との関係は、図7bの曲線72に示されている。明らかに、スタンドオフの変動は、算出された電圧値に影響を与える。すなわち、補助発光ファイバ13からの検出された反射光のみを用いる場合に、スタンドオフの変動は測定された粗さ結果に影響を与える。図7bでは、曲線72の変化率は約17%である。
【0035】
図7cを参照すると、表面粗さ測定装置10のスタンドオフ距離と、主発光ファイバ122および補助発光ファイバ13の両方からの検出された反射光の強度に基づいて算出された粗さと、の相関関係を示す図が示されている。スタンドオフ距離と算出された粗さとの関係は、図7cの曲線73に示されている。同様に、主発光ファイバ122および補助発光ファイバ13からの検出された反射光の両方を用いる場合にも、スタンドオフの変動は算出した粗さに影響を与える。しかし、主発光ファイバ122と補助発光ファイバ13とを組み合わせることにより、スタンドオフの変動の影響を低減することができる。図7cでは、曲線73の変化率は、12%および17%より小さく、わずか約5%である。したがって、表面粗さ測定装置10は、振動の状況による影響をほとんど受けない。
【0036】
図8aを参照すると、表面粗さ測定装置10の3つの異なる測定位置X、Y、Zを示す模式図が示されている。対象物20を測定する前に、通常、対象物20の加工マーク22の方向を前もって決定しておく必要がある。すなわち、例えば測定位置Yが適切な測定位置であるように、粗さ測定処理中には測定方向は加工マーク22に垂直でなければならない。
【0037】
図8bを参照すると、表面粗さ測定装置10の測定角度と、表面粗さ測定装置10により補助発光ファイバ13から検出された散乱強度と、の相関関係を示す図が示されている。補助発光ファイバ13からの散乱強度は、垂直な測定位置Yにおいて最も大きいことが理解される。表面粗さ測定装置10は、対象物20の表面上で回転され、結果ディスプレイ45は、散乱強度の曲線を同時に表示することができる。補助発光ファイバ13からの散乱強度が最も高い値に達した場合は、表面粗さ測定装置10の測定方向Yが加工マーク22に対して垂直になったことを意味し、この場合に、対象物20の表面粗さを測定位置Yにおいて算出することができ、正確な粗さ測定値を得ることができる。
【0038】
図9aを参照すると、さらに別の実施形態による、図1の表面粗さ測定装置10のブロック図が示されている。図5aの実施形態と比較すると、図9aの表面粗さ測定装置10は、光検出器43に代えて光検出器アレイ48を適用している。いくつかの実施形態では、光検出器アレイ48の光検出器の数は集光ファイバ124の数に等しく、集光ファイバ124からの反射光をそれぞれ検出して、後続のデータ処理のために、検出された反射光の強度を電圧信号などの対応する電気信号に変換するために使用される。
【0039】
本実施例では、信号処理部44は、光検出器アレイ48の光検出器から変換された電気信号を集めるためにさらに使用される。光検出器アレイ48からの検出信号は、変換された電気信号に基づいて強度画像を算出するために処理部44で処理することができ、強度画像は結果ディスプレイ45に表示することができる。例えば、図9bは、集光ファイバ124の強度分布を示す4つの強度画像91、92、93、94を示す。図示を容易にするために、強度画像91、92、93、94の各々は、集光ファイバ124の強度分布の一部分のみを示している。本実施例では、強度画像91、92、93、94の強度は徐々に減少する。すなわち、画像91、92、93、94に対応する対象物20の表面粗さ値は、徐々に増加する。異なる表面粗さ値に対応するいくつかの参照画像を予め決定することができる。それから、ユーザは算出した強度画像を所定の参照画像と比較することにより、対象物20の大まかな粗さを決定することができる。他の実施形態では、光検出器アレイ48は、表面粗さを算出する光検出器43として機能することもできる。
【0040】
別の実施形態では、対象物の表面粗さの履歴データを時間的に比較して、表面粗さの変化を示すことができる。ベースラインデータを後に続く表面粗さデータと比較することにより、診断および予知解析を実現することができる。
【0041】
図10を参照すると、別の実施形態による、表面粗さ測定装置10の模式的な斜視図が示されている。図1と比較すると、図10の粗さ測定装置10は、別の補助発光ファイバ17および別の小型の補助反射鏡18をさらに含む。これに対応して、ビームスイッチ42は、主発光ファイバ122、補助発光ファイバ13、および補助発光ファイバ17に対する3つのチャネル切換をそれぞれ提供する(図示せず)。
【0042】
補助発光ファイバ17は、ファイバ束12に近接して配置され、主発光ファイバ122と同じ出射方向を有する。補助反射鏡18は、光学ハウジング14内に配置される。補助発光ファイバ13と比較して、補助発光ファイバ17は90度方向に配置されており、それに対応して、補助反射鏡18は補助反射鏡16と比較して90度方向に配置されている。さらに、レーザビーム「e」が補助発光ファイバ17から補助反射鏡18へ出射された場合に、補助反射鏡18で反射された反射レーザビーム「e」が、開口142の同一検出点において主反射鏡15で反射された反射レーザビーム「a」と交差することを、補助反射鏡18の配置はまた満足しなければならない。すなわち、対象物20が開口142に近接している場合には、反射レーザビーム「a」および「e」は、対象物20の測定面の同一検出点にそれぞれ送信される。さらに、反射レーザビーム「e」および「a」によって形成される平面は、反射レーザビーム「b」および「a」によって形成される平面に対しておよそ直交している。補助反射鏡18の傾斜角度は、異なる実施形態では、光学ハウジング14内の補助反射鏡18の実際の配置位置に応じて変化させることができる。
【0043】
同様にして、反射レーザビーム「a」および「e」に基づいて、対象物20の表面粗さも、上述した算出方法によって算出することができる。表面粗さ測定装置10のサイズ要件および形状により、幅狭孔などのアクセスが困難な領域では回転できない場合がある。そのような状況では、表面粗さ測定装置10は、図8aおよび図8bで述べたように対象物20の加工マーク22の方向を測定することができない場合がある。このシナリオでは、対象物20の表面粗さは、反射レーザビーム「a」および「b」に基づいて算出され、さらに反射レーザビーム「a」および「e」にも基づいて算出される。対象物20の2つの表面粗さ値が算出された後に、2つ表面粗さ値の大きい方が実際の表面粗さとして決定され、これによって測定精度を向上させることができる。他の実施形態では、粗さ測定装置10は、複数の補助発光ファイバ17および補助反射鏡18を含むことができ、測定精度をさらに高めるために、3つ以上の表面粗さ値を算出することができる。
【0044】
本発明について例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、またその要素を等価物で置き換えることができることは、当業者には理解されるであろう。さらに、本発明の本質的な範囲を逸脱せずに特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付した特許請求の範囲に入る全ての実施形態を含むことが意図されている。
【0045】
任意の特定の実施形態に基づいて、上述した全てのこのような対象物または利点が必ずしも達成できるわけではないことを理解すべきである。したがって、例えば、当業者には明らかなように、本明細書に記載されたシステムおよび技術は、本明細書で教示または示唆されるように他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点もしくは1群の利点を達成または最適化する態様で具現化または実施してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 表面粗さ測定装置
11 ケーブルアダプタ
12 ファイバ束
13 補助発光ファイバ
14 光学ハウジング
15 主反射鏡
16 補助反射鏡
17 補助発光ファイバ
18 補助反射鏡
20 対象物
22 加工マーク
41 レーザ発生器
42 ビームスイッチ
43 光検出器
44 信号処理部
45 結果ディスプレイ
46 電荷結合素子(CCD)
47 光分波器
48 光検出器アレイ
61〜64 曲線
65、66 比率曲線
71〜73 曲線
91〜94 強度画像
122 主発光ファイバ
124 集光ファイバ
141 開口
142 開口
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10