(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382316
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】タービンブレード又はベーンの遮熱コーティング
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20180820BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20180820BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20180820BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20180820BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20180820BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20180820BHJP
C23C 4/10 20160101ALI20180820BHJP
【FI】
F01D5/18
F02C7/00 D
F02C7/00 C
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F01D5/28
F01D9/02 102
F02C7/18 A
C23C4/10
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-538567(P2016-538567)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2017-502196(P2017-502196A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014075965
(87)【国際公開番号】WO2015086344
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2016年11月7日
(31)【優先権主張番号】13197179.8
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ブルバウム
(72)【発明者】
【氏名】トーステン・ネッデマイヤー
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226463(JP,A)
【文献】
米国特許第06617003(US,B1)
【文献】
特許第4191427(JP,B2)
【文献】
特開平09−272987(JP,A)
【文献】
米国特許第5350599(US,A)
【文献】
特開昭55−096302(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0199661(US,A1)
【文献】
特開2006−193828(JP,A)
【文献】
特許第2834125(JP,B2)
【文献】
特表2006−524579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18、 5/28
F01D 9/02
F01D 25/00
F02C 7/00、 7/18
C23C 4/00−14/58
C23C 24/00−30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮熱コーティング(5)を有するタービンブレード又はタービンベーン(1)において、
前記遮熱コーティング(5)は、内側層(8)と、前記内側層(8)の上に直接的又は間接的に配置された外側層(18)と、を含んでおり、前記内側層(8)は、互いに流体的に接続された第1流動管(9)を含んでおり、前記第1流動管は第1冷却流体供給管(10)と接続されており、前記外側層(18)は、互いに流体的に接続された第2流動管(19)を含んでおり、前記第2流動管は第2冷却流体供給管(20)と接続されていることを特徴とするタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項2】
前記遮熱コーティング(5)がセラミックを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項3】
前記内側層(8)の少なくとも1つの第1流動管(9)が、前記外側層(18)の少なくとも1つの第2流動管(19)と流体的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項4】
前記タービンブレード又はタービンベーン(1)が、ニッケルベースの超合金を含んでいることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項5】
前記タービンブレード又はタービンベーン(1)が、外面(6)を有する本体を含んでおり、前記本体の前記外面(6)と前記内側層(8)との間には、接着層(7)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項6】
前記接着層(7)が、20μmから50μmの間の厚さを有していることを特徴とする、請求項5に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項7】
前記内側層(8)と前記外側層(18)との間には中間層(12)が配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項8】
前記タービンブレード又はタービンベーン(1)がメインブレード部分又はメインタービンベーン部分(4)を含んでおり、前記遮熱コーティング(5)が前記メインブレード部分又はメインタービンベーン部分(4)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)を複数含んでいるタービン(100)。
【請求項10】
タービンブレード又はタービンベーン(1)をコーティングするための方法であって、コーティングされるべき前記タービンブレード又はタービンベーン(1)の表面(6)の少なくとも1つの部分領域には、遮熱コーティング(5)が塗布される方法において、
選択的レーザー溶融を用いて、複数の互いに流体的に接続された第1流動管(9)を含む内側層(8)が塗布され、選択的レーザー溶融を用いて、複数の互いに流体的に接続された第2流動管(19)を含む外側層(18)が、間接的又は直接的に、前記内側層(8)に塗布されることを特徴とする方法。
【請求項11】
選択的レーザー溶融を用いて、中間層(12)が前記内側層(8)に塗布され、引き続いて、前記外側層(18)が前記中間層(12)に塗布されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
出口開口部(13、14)が、互いに隣接し合う層(8、12、18)の間に、選択的レーザー溶融を用いて形成され、かつ/又は、少なくとも1つの冷却流体供給管(10、20)が、選択的レーザー溶融を用いて形成されること、を特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
接着層(7)が、選択的レーザー溶融を用いて前記内側層(8)が塗布される前に、前記タービンブレード又はタービンベーン(1)の基材に塗布されることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
冷却流体が前記内側層(8)の前記第1流動管(9)に導入され、かつ/又は、冷却流体が前記外側層(18)の前記第2流動管(19)に導入されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のタービンブレード又はタービンベーン(1)を冷却するための方法。
【請求項15】
前記内側層(8)の前記第1流動管(9)には、前記外側層(18)の前記第2流動管(19)に導入される冷却流体とは、その温度及び/又は組成が異なる冷却流体が導入されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンブレード又はベーンと、タービンブレード又はベーンのコーティング方法と、タービンブレード又はベーンの冷却方法と、タービンと、に関する。その際、遮熱コーティングと、その形成と、その使用と、に焦点があてられる。
【背景技術】
【0002】
タービンの動作中に高温にさらされるタービンブレード又はベーンは、一般的には、遮熱コーティング(TBC)でコーティングされる。高温にさらされるタービンブレード又はベーン、例えばガスタービンブレード若しくはベーン又は蒸気タービンブレード若しくはベーンは、一般的には、ニッケルベースの超合金から製造される。
【0003】
タービンの動作中、異物の衝撃によって、遮熱コーティング(TBC)がニッケルベースの超合金から剥離することにつながる可能性がある。タービンブレード又はベーン上の遮熱コーティング(TBC)が損傷するか、又は、はがれた場合、極めて急速に、タービンブレード又はベーンの故障につながる。
【0004】
特許文献1は、冷却された遮熱コーティングシステムについて記載しており、当該遮熱コーティングシステムにおいては、微小管を用いて、遮熱コーティングシステムの能動冷却が行われる。
【0005】
特許文献2は、セラミック繊維複合材料(CMC、セラミック基複合材料)から成るタービンブレード又はベーンについて記載しており、当該タービンブレード又はベーンには、セラミックの遮熱コーティングが塗布されている。タービンブレード又はベーンを構成する繊維複合材料にも、セラミックの遮熱コーティングにも、冷却空気管を形成することができる。
【0006】
特許文献3は、タービンブレード又はベーンを製造するための方法について記載しており、当該方法においては、導管を有する本体が形成された後、当該導管が、本体にコーティング材料を塗布することによって覆われる。
【0007】
特許文献4は、冷却管を、金属基板に塗布されたセラミックコーティング内に形成するための方法について記載している。導管を形成するために、まず材料が、金属基板の表面に塗布され、当該材料は、コーティング材料を塗布した後、再び取り除かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6617003号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/100306号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/069941号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0209589号明細書
【特許文献5】欧州特許第1204776号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1306454号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1319729号明細書
【特許文献8】国際公開第99/67435号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/44949号パンフレット
【特許文献10】欧州特許第0486489号明細書
【特許文献11】欧州特許第0786017号明細書
【特許文献12】欧州特許第0412397号明細書
【特許文献13】米国特許第6024792号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第0892090号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、有利なタービンブレード又はベーンと、そのコーティング方法と、有利なタービンと、タービンブレード又はベーンの冷却方法と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前に挙げた目的は、請求項1に記載のタービンブレード又はベーンと、請求項9に記載のタービンと、請求項10に記載のタービンブレード又はベーンのコーティング方法と、請求項14に記載のタービンブレード又はベーンの冷却方法と、によって達成される。従属請求項は、本発明のさらなる有利な態様を含んでいる。
【0011】
本発明に係るタービンブレード又はベーンは、遮熱コーティングを含んでいる。当該遮熱コーティングは、内側層と外側層とを含んでいる。外側層は、直接的又は間接的に内側層の上に配置されている。内側層は、互いに流体的に接続された流動管を含んでいる。当該流動管は、冷却流体供給管と接続されている。外側層は、同様に互いに流体的に接続された流動管を含んでおり、当該流動管は、冷却流体供給管と接続されている。
【0012】
その際、外側層は、内側層上に直接的に配置され得る。その代わりに、内側層と外側層との間に、分離層を配置することも可能である。当該分離層は、内側層の冷却システムと外側層の冷却システムとを独立して動作させること、又は、内側層と外側層とを別個に冷却することが保証され、可能になるという利点を有している。
【0013】
さらに、タービンブレード又はベーンは、外面を有するブレード又はベーン本体を含むことが可能であり、内側層は、コーティングの領域内で、外面の表面法線の方向において、ブレード又はベーン本体の外面から、外側層よりも小さい距離にある。
【0014】
本発明に係るタービンブレード又はベーンは、2層の冷却システムを備えるという利点を有している。内側層と外側層とには、互いに独立して、別個に、冷却流体を供給することができる。外側層が衝撃によって損傷した場合、ブレード又はベーンの冷却システムは、内側層内の内側の第2のシステムによって維持される。このような方法で、ブレード又はベーンと、ブレード又はベーンを含むタービンと、の性能の向上が得られる。なぜなら、総じてより効果的に冷却が行われ、例えば異物の衝撃による機械的負荷は、比較的長い時間を経過した後で初めて、タービンブレード又はベーンの故障につながるからである。
【0015】
有利には、遮熱コーティングはセラミックを含んでいる。これに関して、内側層及び/又は外側層は、セラミックを含んでいるか、又は、セラミックから構成され得る。セラミックは、その優れた断熱特性ゆえに有利である。
【0016】
原則として、内側層の流動管は、外側層の流動管と流体的に接続され得る。そのために、好ましくは、内側層の少なくとも1つの流動管が、外側層の少なくとも1つの流動管と流体的に接続されている。内側層の流動管と外側層の流動管との流体接続によって、冷却流体、例えば冷却に用いられる空気の効果的な流出が可能になり、それによって、タービンブレード又はベーンの効果的な冷却が可能になる。
【0017】
原則として、タービンブレード又はベーンは、ニッケルベースの超合金を含み得る。これに関して、タービンブレード若しくはベーンの未加工材又はタービンブレード若しくはベーンの本体は、ニッケルベースの超合金から構成され得る。好ましくは、タービンブレード又はベーンは、外面を有する本体を含んでいる。本体の外面と遮熱コーティングの内側層との間には、有利には、接着層が配置されている。当該接着層は、遮熱コーティングが基材、例えばニッケルベースの超合金、に適切に接着することを可能にする。好ましくは、接着層は、20μmから50μmの間の厚さを有している。
【0018】
好ましくは、タービンブレード又はベーンはメインブレード部分又はメインベーン部分を含んでおり、遮熱コーティングは、当該メインブレード部分又はメインベーン部分上に配置されている。これは、通常、タービンブレード又はベーンで最も大きい熱的負荷にさらされる領域であるメインブレード部分又はメインベーン部分を特に効果的に冷却することができるという利点を有する。
【0019】
本発明に係るタービンは、前述したタービンブレード又はベーンを複数含んでおり、すなわち、前述したタービンブレード又はベーンの内少なくとも1つを含んでいる。これに関して、タービンは、例えばガスタービン又は蒸気タービンであり得る。原則として、本発明に係るタービンは、前述した本発明に係るタービンブレード又はベーンと同じ特性及び利点を有する。
【0020】
本発明に係るタービンブレード又はベーンのコーティング方法の進行中に、コーティングされるべきタービンブレード又はベーンの表面の少なくとも1つの部分領域に、遮熱コーティングが塗布される。そのために、選択的レーザー溶融(SLM)を用いて、内側層が形成又は塗布される。当該内側層は、複数の互いに流体的に接続された流動管を含んでいる。さらに、選択的レーザー溶融(SLM)を用いて、外側層が間接的又は直接的に、内側層に塗布される。当該外側層は、複数の互いに流体的に接続された流動管を含んでいる。
【0021】
好ましくは、選択的レーザー溶融(SLM)を用いて、中間層が内側層の上に形成又は塗布され、引き続いて、外側層が中間層に塗布される。
【0022】
記載された方法は、タービンブレード又はベーンの新規製造時、及び、タービンブレード又はベーンの改修又は再加工時に用いるのに適している。当該方法は特に、上述の、本発明に係るタービンブレード又はベーンを製造するのに適している。タービンブレード又はベーンは、例えばガスタービンブレード若しくはベーン又は蒸気タービンブレード若しくはベーンであり得る。つまり、記載されたコーティング方法中に、ガスタービンブレード若しくはベーン又は蒸気タービンブレード若しくはベーンがコーティングされ得る。
【0023】
記載された方法は、コーティングの形成プロセスを通じて、選択的レーザー溶融を用いて、2層の冷却システムが作り出されるという利点を有している。外側層が例えば衝撃によって損傷した場合、タービンブレード又はベーンの冷却システムは、内側の第2のシステムによって維持される。このような方法で、タービンブレード若しくはベーン又はタービン、例えばガスタービンの性能向上が得られる。なぜなら、本発明に従ってコーティングされたタービンブレード若しくはベーンは、従来のタービンブレード又はベーンよりも効果的に冷却され得るからである。特に、冷却に必要とする冷却流体、例えば空気、はより少ない。
【0024】
加えて、本発明に係る方法は、タービンブレード又はベーンを製造及びコーティングする際、又は、改修する際に、一般的に必要とされるレーザー穿孔が省略されるという利点を有している。
【0025】
好ましくは、タービンブレード又はベーンはメインブレード部分又はメインベーン部分を含んでおり、遮熱コーティングは、当該メインブレード部分又はメインベーン部分の表面に塗布される。
【0026】
有利には、遮熱コーティングはセラミックを含んでいる。例として、例えば内側層及び/又は中間層及び/又は外側層は、セラミックを含み得る。使用されるセラミック材料は、好ましくは、イットリウムで安定化させた酸化ジルコニウム(YSZ)又はイットリウム若しくは酸化イットリウムで少なくとも部分的に安定化させた酸化ジルコニウムである。
【0027】
原則として、互いに隣接し合う層の間には、選択的レーザー溶融を用いて、出口開口部が形成され得る。すなわち、例えば内側層及び外側層、又は、内側層及び中間層、又は、中間層及び外側層は、対応する出口開口部を通じて、流体的に互いに接続され得る。さらに、少なくとも1つの冷却流体供給管を、選択的レーザー溶融を用いて形成することが可能である。好ましくは、内側層及び外側層に関して、別個の冷却流体供給管が形成される。これによって、内側層と外側層とに、冷却流体を互いに独立して供給することが可能になる。このような方法で、遮熱コーティング及び基材内の温度勾配に的を絞って影響を与えることが可能であり、遮熱コーティング(TBC)内の応力ピークを回避することが可能である。
【0028】
有利には、タービンブレード又はベーンの基材には、選択的レーザー溶融によって内側層が塗布される前に、まず接着層が塗布され得る。接着層の塗布は、例えば溶射法を用いて行われ得る。好ましくは、20μmから50μmの間の層厚を有する接着層が、コーティングされるべきタービンブレード又はベーンに塗布される。接着層を用いて、さらなる遮熱コーティングの、タービンブレード又はベーンの基材への適切な接着が得られる。タービンブレード又はベーンの基材は、例えばニッケルベースの超合金である。
【0029】
本発明に係るタービンブレード又はベーンの冷却方法は、上述の本発明に係るタービンブレード又はベーンに関している。当該方法の進行中に、冷却流体は、内側層の流動管に導入される。加えて、冷却流体は、外側層の流動管に導入される。冷却流体は、例えば空気である。当該冷却方法は、例えば衝撃によるタービンブレード又はベーンの機械的負荷に対して柔軟かつ確実なブレード又はベーンの冷却を可能にする。例えば外側層が損傷した場合、内側層が引き続き、タービンブレード又はベーンの冷却を可能にする。このような方法で、タービンブレード又はベーンの稼働時間又は寿命が同時に延長される。
【0030】
例えば、冷却流体は、内側層とのみ流体的に接続された冷却流体供給管を通じて、内側層の流動管に導入され得る。付加的又は代替的に、冷却流体を、外側層とのみ流体的に接続された冷却流体供給管を通じて、外側層の流動管に導入することが可能である。それによって、タービンブレード又はベーンは、別個に互いに独立して、内側層を通じても外側層を通じても冷却される。
【0031】
加えて、内側層の流動管には、外側層の流動管に導入される冷却流体とは、その温度及び/又は組成において異なる冷却流体が導入され得る。これによって同様に、タービンブレード又はベーンを効果的かつ柔軟に冷却することが可能になる。
【0032】
総じて、本発明によって、例えば選択的レーザー溶融で作り出される2層の冷却システムが提供される。それによって、例えば互いに独立した空気流を設定することで、2段階の冷却が実現し得る。従って、遮熱コーティング及び基材内の温度勾配に的を絞って影響を与えることが可能であり、遮熱コーティング内の応力ピークを回避することが可能である。このような方法で、タービン又はタービンブレード若しくはベーンそれぞれの性能が、より効果的に冷却されるという可能性によって向上する。選択的レーザー溶融による遮熱コーティングの形成のさらなる利点は、冷却孔の穿孔を省略できることにある。
【0033】
原則として、タービンブレード又はベーンの基材には、上述の遮熱コーティングが塗布される前に、まずMCrAlXコーティングが塗布され得る。ここで、MCrAlX中のMは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)からなる群の少なくとも1つの元素を示し、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)及び/又はケイ素及び/又は少なくとも1つの希土類元素、若しくはハフニウム(Hf)を意味している。
【0034】
本発明に係るタービンブレード又はベーンは、付加的にMCrAlXコーティングを含んでいても良い。当該MCrAlXコーティングは、好ましくは、例えばニッケルベースの超合金の本体の表面と、上述した遮熱コーティングの内側層又は接着層と、の間に配置されている。
【0035】
本発明のさらなる特性、特徴及び利点は、以下で、例示的な実施例に基づいてより詳細に説明される。この関連において記載される特徴は、単独でも、互いとの任意の望ましい組み合わせにおいても、有利である。記載される例示的な実施形態は、本発明の対象を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】タービンブレード又はベーンを概略的に示した斜視図であり、コーティングの部分領域の断面を示した図である。
【
図3】タービンブレード又はベーンを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、タービンブレード又はベーンを概略的に示した斜視図であり、コーティングの部分領域の断面を示している。タービンブレード又はベーン1は、例えばガスタービン又は蒸気タービンのガイドベーン又はロータブレードであり得る。
【0038】
図1に示されたタービンブレード又はベーン1は、ブレード又はベーン根元部2と、プラットフォーム3と、メインブレード部分又はメインベーン部分4と、を含んでいる。プラットフォーム3は、ブレード又はベーン根元部2とメインブレード部分又はメインベーン部分4との間に配置されている。メインブレード部分又はメインベーン部分4は、セラミックの遮熱コーティング5でコーティングされている。コーティング5の部分領域の断面は、
図1に同じく示されている。
【0039】
タービンブレード又はベーンの基材は、好ましくはニッケルベースの超合金である。タービンブレード又はベーン1の表面6には、好ましくは、まず接着層7が溶射される。塗布された接着層7は、好ましくは20μmから50μmの間の層厚を有しており、それによって、基材への適切な接着が得られる。
【0040】
さらに、選択的レーザー溶融を用いて、内側層8が形成される。内側層8は、複数の互いに流体的に接続された流動管9を含んでいる。加えて、流動管9は、流体的に冷却流体供給開口部10と接続されている。供給開口部10は、内側層8の流動管9を冷却流体供給管11と接続する。冷却流体供給管11を通じて、例えば冷却空気が、内側層8又は内側層8の流動管9に導入され得る。
【0041】
内側層8には、外側層18が選択的レーザー溶融を用いて直接形成若しくは直接塗布されるか、又は、好ましくは、まず中間層12が選択的レーザー溶融を用いて内側層8に形成される。中間層12は、好ましくは複数の出口開口部13を含んでおり、出口開口部13は、内側層8の流動管9を、外側層18の流動管19と流体的に接続している。引き続いて、中間層12には、選択的レーザー溶融を用いて、外側層18が形成又は塗布される。外側層18は、複数の流体的に接続された流動管19を含んでいる。さらに、外側層18は、少なくとも1つの冷却流体供給開口部20を含んでいる。冷却流体供給開口部20は、供給管21と流体的に接続されている。供給管21を通じて、例えば冷却空気が、外側層18の流動管19に導入され得る。加えて、外側層18は、出口開口部14を含んでいて良く、出口開口部14は、外側層18の流動管19を、コーティングされたタービンブレード又はベーン1の外面と接続している。
【0042】
原則として、内側層8、中間層12及び外側層18は、選択的レーザー溶融を用いて、発生的に形成され得る。そのようにして得られた2段階の冷却システムによって、互いに独立した空気流が設定され得る。それによって、遮熱コーティング及び基材内の温度勾配に的を絞って影響を与えることが可能であり、遮熱コーティング内の応力ピークを回避することが可能である。
【0043】
図1に示された矢印は、選択的レーザー溶融の際の、タービンブレード又はベーン1の動きの方向を表している。選択的レーザー溶融の間のタービンブレード又はベーンの対応する動きの代わりに、原理上は、使用されるレーザー溶融装置を対応して動かしても良い。
【0044】
本発明に係るタービンブレード又はベーン1の冷却方法の進行中に、例えば異なる供給管11及び21に、異なる温度又は異なる組成を有する冷却流体、例えば空気、を供給することが可能である。それによって、効果的かつ柔軟な冷却が可能になる。
【0045】
図2は、ガスタービン100を、部分的な長手方向断面において例示的に示している。
【0046】
ガスタービン100は、内側に、回転軸102周りで回転するように取り付けられた、シャフト101を備えたロータ103を有しており、ロータ103は、タービンロータとも呼ばれている。
【0047】
ロータ103に沿って、吸気ハウジング104、圧縮機105、複数の同軸に配置されたバーナー107を有する例えばトロイダル状の燃焼室110、特に環状燃焼室、タービン108、及び、排気ハウジング109が続いている。
【0048】
環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス管111と連通している。ここでは、例えば4つの連続的なタービン段112がタービン108を形成している。
【0049】
タービン段112それぞれは、例えば2つのブレードリング又はベーンリングから形成されている。作動媒体113の流れる方向に見て、高温ガス管111内では、ロータブレード120から形成された列125が、ガイドベーン列115に続いている。
【0050】
このケースでは、ガイドベーン130は、ステータ143の内側ハウジング138に固定されているが、列125のロータブレード120は、例えばタービンディスク133を用いて、ロータ103に取り付けられている。
【0051】
ロータ103には、発電機(図示せず)が連結されている。
【0052】
ガスタービン100の動作中には、圧縮機105によって、吸気ハウジング104を通じて空気135が引き込まれ、圧縮される。圧縮機105のタービン側端部で供給される圧縮空気は、バーナー107に通過させられ、当該バーナーにおいて燃料と混合される。当該混合物は、その後、燃焼室110内で燃焼させられ、作動媒体113を形成する。当該燃焼室から、作動媒体113は、高温ガス管111に沿って、ガイドベーン130及びロータブレード120を通って流れる。ロータブレード120において、作動媒体113が膨張し、運動量を伝達するので、ロータブレード120はロータ103を駆動し、続いてロータ103はロータ103に連結された発電機を駆動する。
【0053】
高温の作動媒体113にさらされる構成要素は、ガスタービン100の動作中、熱的負荷を受ける。作動媒体113の流れる方向に見て第1のタービン段112のガイドベーン130及びロータブレード120は、環状燃焼室110を裏打ちする遮熱要素とともに、最大の熱的負荷を受ける。
【0054】
そこで広がる温度に耐えることを可能にするために、ガイドベーン130及びロータブレード120を冷却剤で冷却することができる。
【0055】
同様に、構成要素の基材は、方向性構造を有し得る。すなわち、当該基材は、単結晶形態(SX構造)であるか、又は、縦方向に方向づけられた粒子のみを有している(DS構造)。
【0056】
構成要素、特にタービンブレード又はベーン120、130のための材料、及び、燃焼室110の構成要素のための材料として、例えば鉄、ニッケル、又は、コバルトベースの超合金が用いられる。
【0057】
このような超合金は、例えば特許文献5、6、7、8又は9から知られている。
【0058】
同様に、ブレード又はベーン120、130は、耐食コーティングを有し得る(MCrAlX;Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群から選択された少なくとも1つの元素であり、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)及び/又はケイ素、スカンジウム(Sc)及び/又は少なくとも1つの希土類元素、若しくはハフニウムを意味している)。このような合金は、特許文献6、10、11又は12から知られている。
【0059】
MCrAlXの上には、さらに遮熱コーティングが存在していて良く、当該遮熱コーティングは、例えばZrO
2、Y
2O
3−ZrO
2から成り、すなわち、酸化イットリウム及び/又は酸化カルシウム及び/又は酸化マグネシウムによって安定化されていないか、部分的に安定化されているか、又は、完全に安定化されている。
【0060】
電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)等の適切なコーティングプロセスによって、遮熱コーティング内に柱状粒子が形成される。
【0061】
ガイドベーン130は、タービン108の内側ハウジング138に対向するガイドベーン根元部(図示せず)と、ガイドベーン根元部とは反対側のガイドベーン頭部と、を有している。当該ガイドベーン頭部は、ロータ103に対向しており、ステータ143の固定リング140に固定されている。
【0062】
図3は、長手軸121に沿って延在している、ターボ機械のロータブレード120又はガイドベーン130を斜視図で示している。
【0063】
ターボ機械は、航空機のガスタービン、若しくは、発電のための発電所のガスタービン、蒸気タービン、又は、コンプレッサであり得る。
【0064】
ブレード又はベーン120、130は、長手軸121に沿って連続して、固定領域400と、当該固定領域に隣接するブレード又はベーンプラットフォーム403と、メインブレード部分又はメインベーン部分406及びブレード又はベーン頂部415と、を有している。
【0065】
ガイドベーン130として、ベーン130は、そのベーン頂部415に、さらなるプラットフォーム(図示せず)を有し得る。
【0066】
固定領域400には、ブレード又はベーン根元部183が形成されており、ブレード又はベーン根元部183は、ロータブレード120、130をシャフト又はディスク(図示せず)に固定するために用いられる。
【0067】
ブレード又はベーン根元部183は、例えばハンマーヘッド形態として構成されている。その他の形態、例えばモミの木形の根元部又はダブテール形の根元部が可能である。
【0068】
ブレード又はベーン120、130は、メインブレード部分又はメインベーン部分406を通って流れる媒体のために、前縁409と後縁412とを有している。
【0069】
従来のブレード又はベーン120、130では、ブレード又はベーン120、130の全ての領域400、403、406に、例えば中実の金属材料、特に超合金が用いられている。
【0070】
このような超合金は、例えば特許文献5、6、7、8又は9から知られている。
【0071】
ここでは、ブレード又はベーン120、130は、鋳造プロセスによって、方向性凝固を用いて、鍛造プロセスによって、フライス加工プロセスによって、又は、それらの組み合わせによって製造され得る。
【0072】
単結晶構造を有するワークピースは、動作中に高い機械的、熱的及び/又は化学的負荷にさらされる機械の構成要素として用いられる。
【0073】
このような単結晶のワークピースの製造は、例えば溶融からの方向性凝固によって行われる。これは、液体の金属合金が、単結晶構造、すなわち単結晶ワークピースを形成するために凝固する、又は、方向性を有して凝固する鋳造プロセスを伴う。
【0074】
その際、樹枝状結晶が熱流の方向に沿って配列され、柱状結晶の粒子構造(すなわち、ワークピースの長さ全体に亘って延在し、ここでは、一般的な語法によれば、方向性を有して凝固している、と表現される粒子)か、又は、単結晶構造を形成している。すなわち、ワークピース全体が、唯一の結晶から構成されている。当該プロセスにおいては、球形(多結晶)凝固への移行を避けなければならない。なぜなら、方向性を有さない成長によって、必然的に、横方向及び縦方向の粒界が形成され、当該粒界は、方向性凝固した、又は、単結晶の構成要素の優れた特性を無に帰するからである。
【0075】
一般的に、方向性凝固した微細構造という場合、いかなる粒界も有さないか又はせいぜい小角粒界を有する程度の単結晶を意味するだけでなく、縦方向に延在する粒界は有しているがいかなる横方向の粒界も有していない柱状結晶構造も意味すると理解される。この2番目に挙げた結晶構造の形態は、方向性凝固した微細構造とも呼ばれる(方向性凝固した構造)。
【0076】
このようなプロセスは、特許文献13及び14から知られている。
【0077】
同様に、ブレード又はベーン120、130は、腐食又は酸化に対して保護するコーティング、例えば(MCrAlX;Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群から選択された少なくとも1つの元素であり、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)及び/又はケイ素及び/又は少なくとも1つの希土類元素、若しくはハフニウム(Hf)を意味している)を有し得る。このような合金は、特許文献6、10、11又は12から知られている。
【0078】
密度は、好ましくは理論密度の95%である。
【0079】
MCrAlX層(中間層として、又は、最外側の層として)上には、保護用の酸化アルミニウム層(TGO=熱成長酸化層)が形成されている。
【0080】
好ましくは、層の組成は、Co−30Ni−28Cr−8Al−0.6Y−0.7Si又はCo−28Ni−24Cr−10Al−0.6Yを有している。これらのコバルトベースの保護コーティングに加えて、好ましくは、Ni−10Cr−12Al−0.6Y−3Re又はNi−12Co−21Cr−11Al−0.4Y−2Re又はNi−25Co−17Cr−10Al−0.4Y−1.5Reのような、ニッケルベースの保護層も用いられる。
【0081】
MCrAlX上には、遮熱コーティングが存在することが可能であり、当該遮熱コーティングは、好ましくは最外側の層であり、例えばZrO
2、Y
2O
3−ZrO
2から成り、すなわち、酸化イットリウム及び/又は酸化カルシウム及び/又は酸化マグネシウムによって安定化されていないか、部分的に安定化されているか、又は、完全に安定化されている。当該遮熱コーティングは、MCrAlX層全体を覆っている。
【0082】
電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)等の適切なコーティングプロセスによって、遮熱コーティング内に柱状粒子が形成される。
【0083】
大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPS、又は、CVD等の、その他のコーティングプロセスも考えられる。遮熱コーティングは、より優れた耐熱衝撃性のために、多孔質、ミクロクラック又はマクロクラックを有する粒子を有し得る。従って、当該遮熱コーティングは、好ましくは、MCrAlX層よりも多孔質である。
【0084】
改修とは、保護層を使用した後、保護層が構成要素120又は130から取り除かなければならない(例えばサンドブラストによって)ということを意味している。その後で、腐食及び/又は酸化層若しくは生成物の除去が行われる。必要に応じて、構成要素120、130の亀裂も修復される。その後、構成要素120、130に再度コーティングが行われ、この後に、構成要素120、130が再び用いられる。
【0085】
ブレード又はベーン120、130は、中空又は中実に構成され得る。ブレード又はベーン120、130を、記載された本発明に従う冷却に加えてさらに冷却する必要がある場合、当該ブレード又はベーンは例えば中空であり、必要に応じて、さらにフィルム冷却孔418(破線で示されている)を有している。
【符号の説明】
【0086】
1 タービンブレード、ベーン
2 ブレード根元部、ベーン根元部
3 プラットフォーム
4 メインブレード部分、メインベーン部分
5 遮熱コーティング
6 表面
7 接着層
8 内側層
9 流動管
10 冷却流体供給開口部
11 冷却流体供給管
12 中間層
13 出口開口部
14 出口開口部
18 外側層
19 流動管
20 冷却流体供給開口部
21 供給管
100 タービン
101 シャフト
102 回転軸
103 ロータ
104 吸気ハウジング
105 圧縮機
107 バーナー
108 タービン
109 排気ハウジング
110 燃焼室
111 高温ガス管
112 タービン段
113 作動媒体
115 ガイドベーン列
120 ロータブレード
121 長手軸
125 列
130 ガイドベーン
133 タービンディスク
135 空気
138 内側ハウジング
140 固定リング
143 ステータ
183 ブレード根元部、ベーン根元部
400 固定領域
403 ブレードプラットフォーム、ベーンプラットフォーム
406 メインブレード部分、メインベーン部分
409 前縁
412 後縁
415 ブレード頂部、ベーン頂部
418 フィルム冷却孔