【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、請求項1のパッケージによって達成される。パッケージの有利な実施形態は、他の請求項に記載されている。
【0015】
本発明の基本的な考え方は、SD集積化したパッケージを提供し、それにより高
品質及び低
品質の特定の成分を互いに分離する点にある。
【0016】
本発明に係るパッケージは、チューナブルフィルタの担体として機能する基板を有し、少なくとも第1の配線面を更に有する。基板上の第1のコンポーネント面には半導体部品が実装され、第1の配線面と電気的に接続されている。半導体部品は、フィルタを周波数可変にする高
品質可変チューナブル受動部品を有する。
【0017】
第1のコンポーネント面には、更に制御装置が配置されている。制御装置は、チューナブル部品を制御し、所望のカットオフ周波数又は所望の周波数帯域において特徴的なスイッチング
状態を
作り出すよう設計されている。
【0018】
第1のコンポーネント面の上には、誘電体層が配置されている。誘電体層は、好ましくは、少なくともほぼ平坦化された表面を有している。
【0019】
誘電体層の上には第2のコンポーネント面が配置されており、半導体部品と相互接続されたディスクリート受動部品が配置されている。
【0020】
チューナブル受動部品、ディスクリート受動部品及び必要に応じて設けられた他の部品により
、カットオフ周波数又は周波数帯域が
可変なフィルタが実現され
た。このようなフィルタは、バンドパスフィルタとして設計されていてもよい。しかし、フィルタを、ローパスフィルタ又はハイパスフィルタとして動作させてもよい。チューナブルフィルタとして、バンドストップフィルタを実装してもよい。
【0021】
半導体部品内のチューナブル受動部品は集積部品として製造されていてもよく、集積化され相互接続されていてもよい。半導体部品において、これらの部品は、半導体部品の表面にわたって配置されていてもよい。
【0022】
第2のコンポーネント面、すなわち半導体部品上に高
品質ディスクリート受動部品を配置すると、回路ノード又は直接半導体部品の接触面上に最短距離で配置することができ、半導体部品の回路ノードとディスクリート受動部品の電気配線を可能な限り短くすることが可能になる。電気配線を短くすると、寄生表面容量(parasitaren Belag)をより小さくでき、配線とディスクリート受動部品及び半導体部品のそれぞれ又はこれらの部品の接点間のカップリングをわずかにすることができる。カップリングを低減することにより、フィルタが高い周波数精度、高いエッジの急峻性を有し、電気的損失を低減できるという利点が生じる。
【0023】
他の利点としては、フィルタの部品又はパッケージ自体を3次元に集積化することにより、設置面積を減少できる点がある。長い配線が低減できるという事実により、本発明に係るパッケージは、従来のチューナブルフィルタよりもパッケージの体積が小さい。
【0024】
高
品質部品、すなわちディスクリート部品及び高
品質チューナブル部品として、
品質(Gute)が100以上のものを選択した場合、チューニングファクター(Abstimmfaktor)4:1
までのフィルタが得られる。これは、周波数換算で、
上限と下限に設定されるカットオフ周波数又は周波数帯域の比率が2であることに相当する。
【0025】
ある実施形態によると、チューナブル受動部品は可変容量高
品質コンデンサとして設計されてい
る。このような高
品質可変容量コンデンサは、バラクタ又はスイッチャブルコンデンサであってもよく、半導体部品内に集積化されていてもよい。それに対し、本実施形態において、ディスクリート受動部品は、高
品質インダクタとして設計されてい
る。
【0026】
バラクタは静電容量が電圧依存性を有する半導体部品である。すなわち、その静電容量を制御電圧により調節することができる。したがって、バラクタは、100%半導体素子として構築できる。バラクタは種々の技術を用いて実装できる。シリコンを用いたバラクタ及び、具体的にはヒ化ガリウム等の化合物半導体を用いたバラクタが存在する。高
品質バラクタは、例えば、L. K. Nanver他著、「Improved RF Devices for Future Adaptive Wireless Systems Using Two Sided Contacting and A1N Cooling」、IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS、第44巻、第9号、2009年9月、p.2322−2338に記載されている。しかし、スイッチャブルコンデンサを薄膜コンデンサ(MIMコンデンサ=金属/絶縁体/金属)として形成し、例えば、トランジスタ又はダイオード等の半導体スイッチを介して、回路に接続又は回路から切断させることもできる。所望の静電容量は、複数のスイッチャブル薄膜コンデンサを並列接続することにより設定できる。更に、可変容量キャパシタ内のスイッチャブルコンデンサの数及びサイズ分布により、高精度で周波数を設定することができる。
【0027】
高
品質ディスクリートインダクタは、通常コイルとして形成される。これらはプリントコイルであってもよい。3次元の折り線又は巻き線コイルを用いることもできる。更に,複数の高
品質インダクタを集積化して1つの部品にしてもよい。
【0028】
チューナブルフィルタとして得られるディスクリートフィルタ回路は、少なくとも4つの回路ノードを有するシリアル信号線を有している。各回路ノードにはアースへの並列分岐が接続され、それぞれに、高
品質可変リアクタンス素子が配置されている。可変リアクタンス素子は、その種類に応じて、第1又は第2のコンポーネント面に配置することができる。
【0029】
チューナブルフィルタ回路のシリアル信号線において、隣接する2つの回路ノード間のそれぞれに、結合キャパシタ又は結合インダクタが配置されている。これは、フィルタの挙動に殆ど影響を与えないため、高
品質である必要はない。結合キャパシタ又は結合インダクタは、集積化部品として実装されていてもよい。半導体部品は、集積化に好適である。しかし、結合キャパシタ又は結合インダクタは基板内に集積化してもよく、この場合、結合キャパシタ又は結合インダクタは、他のローパス受動部品と共に多層基板内に実装される。寄生カップリングを介して、すなわちキャパシタを回路内で結合させることなく、リアクタンス素子を受動的に接続させることもでき、これは、具体的には、素子を空間的に近接して配置させることにより実現できる。
【0030】
シリアル信号線の両端には、末端インピーダンス及び入力インピーダンスを調節するためのコンデンサが配置されている。入力及び出力インピーダンスは、通常一定であるが、可変容量コンデンサを用いて可変にしてもよい。実施形態の一例において、入力インピーダンスは、例えば、入力側の静電容量を可変にすることにより、50Ωから5Ωの範囲で変化させることができる。
【0031】
シリアル信号線の末端を外部回路に結合するために、他のキャパシタが用いられ、高周波電気信号は、これらの末端カップリングキャパシタを介して、両方の末端からシリアル信号線に供給することができる。これらの入力側及び出力側のカップリングコンデンサも、可変容量であってもよい。
【0032】
信号線の両端に配置された回路ノードは、シリアル信号線に並列にブリッジインダクタ又はブリッジキャパシタに接続されている。このブリッジインダクタ又はブリッジキャパシタは、低インピーダンス部品として設計されていてもよく、例えば、半導体部品内、基板内又は他の配線面に実装されていてもよい。
【0033】
各並列分岐に配置されたリアクタンス素子は、並列共振回路であってもよく、それぞれ、高
品質可変容量コンデンサと高
品質インダクタの並列回路を有している。本実施形態において、フィルタ回路はバンドパスフィルタとして作用する。
【0034】
更に、並列分岐内のリアクタンス素子は直列インダクタであってもよい。これも同様に高
品質部品で実装され、ディスクリート受動部品として第2のコンポーネント面に配置されている。対応するフィルタ回路は、ハイパスフィルタとして作用する。
【0035】
他の実施形態において、リアクタンス素子は、高
品質可変容量キャパシタであ
る。このようなフィルタは、ローパスフィルタとして作用する。
【0036】
他の実施形態において、リアクタンス素子は、可変高
品質キャパシタ及び可変高
品質インダクタからなる直列回路として設計されている。このようなフィルタ回路は、バンドストップフィルタとして作用する。バンドストップフィルタは、狭帯域ノッチ周波数から、
例えば、50%相対半値幅等の広いブロック帯域にわたるブロック帯域により特徴付けられる。
【0037】
インダクタ部品は、空間を超えて作用するため比較的到達距離が長い誘導カップリングを有する場合がある。第2のコンポーネント面に配置された高
品質ディスクリート受動インダクタにおけるカップリングを最小限にするために、インダクタは、
一実施形態によって表面実装部品(SMD)として実装され、隣接する位置に配置された2つの磁芯のそれぞれが、互いに約90°捻れるよう、直線状に配置されている。最大の誘導カップリングは、磁芯が平行に配置されている場合にのみ起こるため、平行配置から外れた配置を取ると、いかなる場合においてもカップリングは減少し、角度が90°の場合にはゼロになる。同様の高
品質ディスクリートインダクタを、直線状の部品の配置内で隣り合う部品が、その前のものに対し、互いに同一の回転方向に90°回転した配置をとることが有用である。このようにして、カップリングを大幅に低減できる4つの異なる部品毎の配置が可能である。
【0038】
本発明に係るパッケージにおいて、制御装置及びフィルタ回路に必要な全ての部品は、技術、所望の品質及び特に組み合わせの可能性に応じて組み合わせることができる。例えば、制御装置を、チューナブル受動部品と共に半導体装置内に集積化することができる。また、制御装置を、チューナブル受動部品と別個の半導体装置内に配置することもできる。
【0039】
更に、高
品質部品以外に、フィルタ回路の低
品質受動部品を半導体部品内に実装してもよい。
【0040】
他の実施形態において、全ての低
品質受動部品、すなわち低
品質コンデンサ及びインダクタを、同様に、第1のコンポーネント面に配置され、直接基板に取り付けられ電気的に接続された他の半導体部品内に実装することができる。
【0041】
第2のコンポーネント面の部品は、誘電体層を貫通する貫通接続を介して、第1のコンポーネント面の半導体装置と直接接続されていてもよい。しかし、第1のコンポーネント面と第2のコンポーネント面とを接続する他の配線面を設けてもよく、それは、2つの誘電体の部分層の間に設けられてもよい。このような配線面により、特に、第2のコンポーネント面の個々のディスクリート受動部品を、電気的接続の対象となる回路ノードの真上に配置できない場合に、より複雑な接続が可能になる。
【0042】
本発明の他の実施形態において、チューナブル高
品質部品、制御装置及び低
品質受動部品は、全て単一の半導体部品内に実装されている。
【0043】
低
品質受動部品は、集積化受動素子、いわゆるIPD(集積化受動素子)として実装されていてもよく、第1又は第2のコンポーネント面に配置されていてもよい。
【0044】
受動部品の基板への集積化は
、後者が、例えば、LTCC(低温同時焼成セラミックス)若しくはHTCC(高温同時焼成セラミックス)又は多層積層構造等の多層構造を有する場合に達成できる。
【0045】
本発明に係るパッケージは、下面、すなわちコンポーネント面の反対側に面している基板の面上に外部端子を有し、チューナブルフィルタ又はチューナブルフィルタ回路は、それを介して、外部回路に電気的に接続され、又は接続することができる。外部端子は、第1のコンポーネント面の部品と、基板の内部又は基板上に形成された配線面を介して、又は貫通接続により直接接続されている。基板内に配線面が形成されている場合、これも、貫通接続により第1のコンポーネント面の部品と接続されている。配線面が、第1のコンポーネント面より下側の基板の上面に配置されている場合、第1のコンポーネント面の部品は、例えば、ハンダ付け又はバンプを介して直接配線面に接続することができる。
【0046】
本発明に係るパッケージの他の実施形態において、より大規模で複雑な回路を実現するために、チューナブルフィルタに接続されていてもよい他の部品がパッケージ内に集積化されている。そのような他の部品は、パワーアンプ、LNA、音響フィルタ、デュプレクサ、ダイプレクサ及び一般的な高周波半導体から選択することができる。パッケージにおいて、2以上のチューナブルフィルタを実装し、それらを相互接続させ、ダイプレクサ、デュプレクサ又はマルチプレクサ全般を形成させてもよい。マルチプレクサに必要な、多重化出力を分離するための他の受動部品をパッケージ内に集積化させてもよい。複数のチューナブルフィルタが存在する場合に、それらを互いに独立して動作させるフィルタバンクがパッケージに実装されていてもよい。
【0047】
パッケージにおいて、チューナブルフィルタは固定周波数の音響フィルタに接続されていてもよく、これにより、デュプレクスギャップの異なるデュプレクサが実現できる。高周波半導体部品は、フィルタによって
フィルタリングされた高周波シグナルを更に処理するためのトランシーバ回路を含んでいてもよい。
【0048】
他の実施形態において、チューナブルコンデンサは、スイッチャブルMEMS(微小電気機械システム)コンデンサ又はスイッチャブルMIM(
=層順金属/絶縁体/金属層)コンデンサのアレイとして設計されている。MEMSコンデンサは、半導体基板内に微細加工によって形成されていてもよく
、半導体回路と
同基板に配置され
てもよい。MIMコンデンサは、例えば、半導体基板の表面に金属層及び絶縁体層を交互に堆積し、所定の形状に加工することにより半導体部品内に集積化されていてもよい。更に、半導体メモリと同様に、例えば、基板内に、金属が充填され、或いは金属で被覆された穴又は孔としてコンデンサを形成してもよい。
【0049】
ある実施形態において、所望の静電容量値を得るために、所定の選択及び数のコンデンサが並列に接続されたスイッチャブルコンデンサのアレイは、制御装置に接続されている。共振回路、具体的には直列又は並列共振回路の共振周波数は、静電容量の設定値により設定され、フィルタは所望の所定の周波数又は所望の周波数帯域にチューニングされる。
【0050】
以下の例示的な実施形態及び対応する図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0051】
図面は、専ら本発明の理解を助けるためのものであるため、単なる概略図であり、必ずしも縮尺は正確でない。図面から相対値及び絶対値のいずれも読み取ることはできない。同一の又は等価な部位には同一の符号が付されている。