特許第6382381号(P6382381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382381手術進捗管理システムおよび手術進捗管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6382381
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】手術進捗管理システムおよび手術進捗管理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/00 20160101AFI20180820BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20180820BHJP
   A61G 13/00 20060101ALI20180820BHJP
   B25J 9/06 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   A61B34/00
   A61B90/00
   A61G13/00 B
   !B25J9/06 B
【請求項の数】20
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-48742(P2017-48742)
(22)【出願日】2017年3月14日
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】62/464,730
(32)【優先日】2017年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】高地 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】レイラ バレーニアン
(72)【発明者】
【氏名】テリー チャン
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰之
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−184126(JP,A)
【文献】 特開2007−122174(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0012793(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1985237(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00−34/10
A61B 34/30
A61B 90/00
A61G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を載置するためのテーブルと、前記テーブルを支持する多関節ロボットアームとを含むロボット手術台と、
手術の進捗管理を行うための手術進捗管理装置と、を備え、
前記手術進捗管理装置は、
前記ロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して前記ロボット手術台から前記テーブルの位置情報を取得、取得した前記位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部と、を含む、手術進捗管理システム。
【請求項2】
記位置情報は、前記患者をストレッチャーと前記テーブルとの間で移乗させるための移乗位置に前記テーブルが配置されたことを示す移乗位置情報を含む、請求項1に記載の手術進捗管理システム。
【請求項3】
記位置情報は、麻酔を行うための麻酔位置に前記テーブルが配置されたことを示す麻酔位置情報、X線撮像装置または磁気共鳴イメージング装置による撮像を行うための撮像位置に前記テーブルが配置されたことを示す撮像位置情報、および、手術を行うための手術位置に前記テーブルが配置されたことを示す手術位置情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の手術進捗管理システム。
【請求項4】
前記移乗位置情報は、前記患者を前記テーブルから前記ストレッチャーに移乗させる時の前記テーブルの位置情報を含み、
前記情報処理部は、前記移乗位置情報に基づいて、前記進捗情報として、手術の終了が近いことを示す情報を生成するように構成されている、請求項2に記載の手術進捗管理システム。
【請求項5】
前記ロボット手術台は、前記テーブルの位置をプリセット位置として登録することが可能なように構成されている、請求項〜4のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項6】
前記ロボット手術台は、前記麻酔位置、前記撮像位置、および、前記手術位置のうちの少なくとも1つをプリセット位置として登録することが可能なように構成されている、請求項3に記載の手術進捗管理システム。
【請求項7】
前記ロボット手術台は、予め所定の位置に前記テーブルを配置した状態で、登録指示を行うことにより前記所定の位置を前記プリセット位置として登録するように構成されている、請求項5または6に記載の手術進捗管理システム。
【請求項8】
前記多関節ロボットアームは、複数の関節を有し、
前記多関節ロボットアームの前記複数の関節の各々は、モータと、前記モータの回転量を計測するエンコーダとを含み、
前記ロボット手術台は、前記エンコーダの計測結果に基づいて、前記位置情報を生成するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項9】
前記ロボット手術台は、前記多関節ロボットアームの前記複数の関節の各々の前記モータの電流値を取得するとともに、前記モータの電流値の取得結果に基づいて、前記テーブルから前記多関節ロボットアームが受ける負荷に関する負荷情報を生成するように構成されており、
前記情報処理部は、前記通信部を介して前記ロボット手術台から前記負荷情報を取得、前記位置情報前記負荷情報に基づいて、前記進捗情報を生成するように構成されている、請求項8に記載の手術進捗管理システム。
【請求項10】
前記ロボット手術台は、前記テーブルが受ける荷重を検出するための荷重センサを含み、
前記情報処理部は、前記通信部を介して前記ロボット手術台から前記荷重センサの検出結果を取得、前記位置情報前記荷重センサの検出結果に基づいて、前記進捗情報を生成するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項11】
前記情報処理部は、前記通信部を介して手術室の扉の開閉を検出する扉センサの検出結果を取得、前記位置情報前記扉センサの検出結果に基づいて、前記進捗情報を生成するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項12】
記進捗情報に基づく情報を表示する表示部を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項13】
前記手術進捗管理装置は、前記進捗情報を、前記通信部を介して外部装置からの要求に応じて提供するように構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項14】
前記手術進捗管理装置は、前記通信部を介してホストコンピュータに通信可能に接続されており、前記ホストコンピュータから患者情報を取得可能に構成されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項15】
前記ロボット手術台は、前記患者に取り付けられた識別情報を取得するための識別情報取得装置を含み、
前記情報処理部は、前記識別情報と、前記ホストコンピュータから取得した前記患者情報とを比較、前記識別情報と前記患者情報とが一致しない場合には、警告情報を生成するように構成されている、請求項14に記載の手術進捗管理システム。
【請求項16】
前記識別情報は、患者識別バンドに付されたバーコードまたは患者識別バンドに付されたRFIDタグに格納されており、
前記識別情報取得装置は、バーコードリーダまたはRFIDリーダである、請求項15に記載の手術進捗管理システム。
【請求項17】
前記情報処理部は、手術開始予定時刻または手術終了予定時刻を前記ホストコンピュータから取得するように構成されている、請求項14〜16のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項18】
前記多関節ロボットアームは、一方端が床に固定されたベースに支持されるとともに、他方端が前記テーブルを支持するように構成されており、
前記多関節ロボットアームの一方端は、前記ベースに鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成されており、
前記多関節ロボットアームの他方端は、前記テーブルの長手方向において、前記テーブルの一方端の近傍を支持するように構成されており、
前記多関節ロボットアームは、少なくとも6の自由度で前記テーブルを移動させるように構成されている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項19】
前記テーブルは、X線透過部と、前記テーブルの長手方向において前記テーブルの一方端の近傍に配置され、前記X線透過部を支持する支持部とを有し、
前記多関節ロボットアームは、前記支持部を支持するように構成されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の手術進捗管理システム。
【請求項20】
患者を載置するためのテーブルと、前記テーブルを支持する多関節ロボットアームとを備えるロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して前記ロボット手術台から前記テーブルの位置情報を取得、取得した前記位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部と、を備える、手術進捗管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術進捗管理システムおよび手術進捗管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術の進捗を管理する手術進捗管理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、手術に用いられる複数の機械のそれぞれを用いて、手術の進捗を管理する手術進捗告知装置が開示されている。この手術進捗告知装置では、時計と、エコー装置と、無影灯と、電気メスと、バイポーラ(血液を凝固させる機械)と、心電図モニタと、凝固切開装置と、Aラインモニタと、洗浄・吸引装置と、血圧モニタと、ガーゼカウンタと、輸液ポンプと、レントゲン装置と、輸液・輸血加温装置と、空気圧迫装置と、酸素飽和度測定モニタと、膀胱温モニタと、マット制御部と、加温装置と、麻酔装置と、敷き布型のマットと、掛け布型の体温保持器とが備えられた手術室において、これら複数の機械の電源のスイッチのオン・オフが検出されるとともに、検出された情報に基づいて手術の進捗が把握されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−184126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された複数の機械は、いずれも、手術の進捗に合わせて状態を変化させながら、手術の初めから終わりまで一貫して使用されるような機械ではない。このため、上記特許文献1に記載された複数の機械の電源のスイッチのオン・オフを検出するだけでは、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することが困難である。この場合、たとえば、手術室の清掃を行う要員が清掃に備えて待機するタイミングを適切に把握することが困難である。
【0006】
この発明は、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することが可能な手術進捗管理システムおよび手術進捗管理装置に向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による手術進捗管理システムは、患者を載置するためのテーブルと、テーブルを支持する多関節ロボットアームとを含むロボット手術台と、手術の進捗管理を行うための手術進捗管理装置と、を備え、手術進捗管理装置は、ロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、通信部を介してロボット手術台からテーブルの位置情報を取得、取得した位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部と、を含む。なお、本明細書では、「手術」とは、単に患者の体を切って治療的処置を施すことを意味するだけでなく、患者が手術室に入室してから退室するまでの一連の過程をも意味する。
【0008】
この発明の第1の局面による手術進捗管理システムでは、上記のように、手術進捗管理装置に、ロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、通信部を介してロボット手術台からテーブルの位置情報を取得、取得した位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部とを設ける。これにより、手術の進捗に合わせて状態を変化させながら、手術の初めから終わりまで一貫して使用されるロボット手術台のテーブルの位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成することができるので、生成された手術の進捗情報に基づいて、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができる。また、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができるので、たとえば、手術室の清掃を行う要員が清掃に備えて待機するタイミングを適切に把握することができる。
【0009】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、置情報は、患者をストレッチャーとテーブルとの間で移乗させるための移乗位置にテーブルが配置されたことを示す移乗位置情報を含む。このように構成すれば、患者がストレッチャーからテーブルに移乗されることを把握することができるので、手術の進捗状況が初期段階であることをリアルタイムにかつ正確に把握することができる。また、患者がテーブルからストレッチャーに移乗されることを把握することができるので、手術の進捗状況が終期段階であることをリアルタイムにかつ正確に把握することができる。
【0010】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、置情報は、麻酔を行うための麻酔位置にテーブルが配置されたことを示す麻酔位置情報、X線撮像装置または磁気共鳴イメージング装置による撮像を行うための撮像位置にテーブルが配置されたことを示す撮像位置情報、および、手術を行うための手術位置にテーブルが配置されたことを示す手術位置情報のうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、テーブルの位置情報が麻酔位置情報である場合には、これから麻酔が行われること、または、麻酔が行われていることを把握することができる。また、テーブルの位置情報が撮像位置情報である場合には、これから撮像が行われること、または、撮像が行われていることを把握することができる。また、テーブルの位置情報が手術位置情報である場合には、これから手術が行われること、または、手術が行われていることを把握することができる。
【0011】
上記テーブルの位置情報が移乗位置情報を含む構成において、好ましくは、移乗位置情報は、患者をテーブルからストレッチャーに移乗させる時のテーブルの位置情報を含み、情報処理部は、移乗位置情報に基づいて、捗情報として、手術の終了が近いことを示す情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、手術の終了が近いことを示す情報に基づいて、たとえば、手術室の清掃を行う要員が清掃に備えて待機するタイミングを容易かつ適切に把握することができる。
【0012】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、テーブルの位置をプリセット位置として登録することが可能なように構成されている
【0013】
上記テーブルの位置情報が麻酔位置情報、撮像位置情報および手術位置情報のうちの少なくとも1つを含む構成において、好ましくは、ロボット手術台は、麻酔位置、撮像位置、および、手術位置のうちの少なくとも1つをプリセット位置として登録することが可能なように構成されている。このように構成すれば、簡単な操作によりロボット手術台のテーブルを麻酔位置、撮像位置、および、手術位置のうちの少なくともいずれか1つに配置することができる。また、手術において撮像位置と手術位置との間で何度もテーブルを移動させる必要がある場合に、簡単な操作によりテーブルを撮像装置および手術位置に配置することができることは、特に有効である。
【0014】
上記ロボット手術台にプリセット位置を登録することが可能な構成において、好ましくは、ロボット手術台は、予め所定の位置にテーブルを配置した状態で、登録指示を行うことにより所定の位置をプリセット位置として登録するように構成されている。このように構成すれば、簡単かつ直感的な操作により、ユーザが所望する所定の位置をプリセット位置として登録することができる。
【0015】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、多関節ロボットアームは、複数の関節を有し、多関節ロボットアームの複数の関節の各々は、モータと、モータの回転量を計測するエンコーダとを含み、ロボット手術台は、エンコーダの計測結果に基づいて、置情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、モータの回転量を計測するエンコーダを利用して、テーブルの位置情報を生成することができるので、テーブルの位置情報を生成するために構成が複雑化することを抑制することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、ロボット手術台は、多関節ロボットアームの複数の関節の各々のモータの電流値を取得するとともに、モータの電流値の取得結果に基づいて、テーブルから多関節ロボットアームが受ける負荷に関する負荷情報を生成するように構成されており、情報処理部は、通信部を介してロボット手術台から負荷情報を取得置情報負荷情報に基づいて、捗情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、負荷情報に基づいて、患者がテーブルに載置されているか否かを判断することができる。その結果、テーブルの位置情報だけでなく、負荷情報にも基づいて、手術の進捗情報を生成することにより、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0017】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、ロボット手術台は、テーブルが受ける荷重を検出するための荷重センサを含み、情報処理部は、通信部を介してロボット手術台から荷重センサの検出結果を取得置情報荷重センサの検出結果に基づいて、捗情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、荷重センサの検出結果に基づいて、患者がテーブルに載置されているか否かを判断することができる。その結果、テーブルの位置情報だけでなく、荷重センサの検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成することにより、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0018】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、情報処理部は、通信部を介して手術室の扉の開閉を検出する扉センサの検出結果を取得置情報扉センサの検出結果に基づいて、捗情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、テーブルの位置情報と、扉センサの検出結果とに基づいて、患者が手術室に入室したこと、または、患者が手術室から退室したことを正確に把握することができる。その結果、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0019】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、捗情報に基づく情報を表示する表示部を備える。このように構成すれば、表示部に表示された情報に基づいて、手術の進捗を容易に把握することができる。
【0020】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、手術進捗管理装置は、捗情報を、通信部を介して外部装置からの要求に応じて提供するように構成されている。このように構成すれば、手術進捗管理システム外の外部装置においても、手術の進捗を把握することができる。この効果は、手術の進捗を把握することを要する要員(たとえば、清掃要員)が、自己が有する端末などを用いて手術の進捗を把握する場合に、特に有効である。
【0021】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、手術進捗管理装置は、通信部を介してホストコンピュータに通信可能に接続されており、ホストコンピュータから患者情報を取得可能に構成されている。このように構成すれば、手術進捗管理装置に患者情報を手動で入力する必要が無いので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0022】
この場合、好ましくは、ロボット手術台は、患者に取り付けられた識別情報を取得するための識別情報取得装置を含み、情報処理部は識別情報と、ホストコンピュータから取得した患者情報とを比較、識別情報と患者情報とが一致しない場合には、警告情報を生成するように構成されている。このように構成すれば、患者の取り違えが生じることを防止することができる。
【0023】
上記ロボット手術台が識別情報取得装置を含む構成において、好ましくは、識別情報は、患者識別バンドに付されたバーコードまたは患者識別バンドに付されたRFIDタグに格納されており、識別情報取得装置は、バーコードリーダまたはRFIDリーダである。このように構成すれば、バーコードまたはRFIDタグにより、患者の取り違えを容易に防止することができる。
【0024】
上記手術進捗管理装置がホストコンピュータに通信可能に接続されている構成において、好ましくは、情報処理部は、手術開始予定時刻または手術終了予定時刻をホストコンピュータから取得するように構成されている。このように構成すれば、手術進捗管理装置に手術開始予定時刻または手術終了予定時刻を手動で入力する必要が無いので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0025】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、多関節ロボットアームは、一方端が床に固定されたベースに支持されるとともに、他方端がテーブルを支持するように構成されており、多関節ロボットアームの一方端は、ベースに鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成されており、多関節ロボットアームの他方端は、テーブルの長手方向において、テーブルの一方端の近傍を支持するように構成されており、多関節ロボットアームは、少なくとも6の自由度でテーブルを移動させるように構成されている。このように構成すれば、多関節ロボットアームによりテーブルを所望の位置に容易に移動させることができる。
【0026】
上記第1の局面による手術進捗管理システムにおいて、好ましくは、テーブルは、X線透過部と、テーブルの長手方向においてテーブルの一方端の近傍に配置され、X線透過部を支持する支持部とを有し、多関節ロボットアームは、支持部を支持するように構成されている。このように構成すれば、多関節ロボットアームがX線透過部の周りに極力配置されないようにすることができるので、X線透過部の周りにX線撮像装置を配置するのに十分な空間を確保することができる。
【0027】
この発明の第2の局面による手術進捗管理装置は、患者を載置するためのテーブルと、テーブルを支持する多関節ロボットアームとを備えるロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、通信部を介してロボット手術台からテーブルの位置情報を取得、取得した置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部と、を備える。
【0028】
この発明の第2の局面による手術進捗管理装置では、上記のように、ロボット手術台と情報の通信を行うための通信部と、通信部を介してロボット手術台からテーブルの位置情報を取得、取得した位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部と、を設ける。これにより、上記第1の局面による手術進捗管理システムと同様に、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1および第2実施形態による手術進捗管理システムを示した図である。
図2】第1および第2実施形態によるロボット手術台を示した斜視図である。
図3】第1および第2実施形態によるロボット手術台を示したブロック図である。
図4】第1および第2実施形態によるロボット手術台のテーブルのプリセット位置を説明するための図(A)〜(E)である。
図5】第1および第2実施形態による手術進捗管理装置における進捗情報の生成を説明するための図である。
図6】第1実施形態による手術進捗管理装置の進捗情報生成処理を説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態による手術進捗管理装置における手術終了予定時刻の更新を説明するための図である。
図8】第2実施形態による手術進捗管理装置の手術情報生成処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第2実施形態による手術進捗管理装置の終了予定時刻更新処理を説明するためのフローチャートである。
図10】第2実施形態による手術進捗管理装置の作業指示通知処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
[第1実施形態]
(手術進捗管理システムの構成)
図1図5を参照して、本実施形態による手術進捗管理システム1の構成について説明する。
【0033】
図1に示すように、手術進捗管理システム1は、手術室2において患者3に対して行われる手術の進捗を管理するシステムである。手術進捗管理システム1は、手術室2が設けられた病院内に配置されている。
【0034】
手術進捗管理システム1は、ロボット手術台100と、手術進捗管理装置200と、表示部300とを備えている。ロボット手術台100は、手術室2内に配置されている。手術進捗管理装置200と表示部300とは、手術室2外に配置されている。また、表示部300は、手術進捗管理装置200が配置された部屋とは異なる部屋に配置されている。たとえば、手術進捗管理装置200が手術室2に隣接したコントロールルームに配置され、表示部300がナースステーションに配置される。
【0035】
手術進捗管理システム1では、ロボット手術台100と、手術進捗管理装置200と、表示部300とは、手術室2が設けられた病院内のLAN(Local Area Network)400に接続されている。LAN400は、病院外の外部ネットワークに接続可能に構成されている。また、LAN400には、ホストコンピュータ500、扉センサ600、外部装置700が接続されている。ロボット手術台100と、手術進捗管理装置200と、表示部300と、ホストコンピュータ500と、扉センサ600と、外部装置700とは、LAN400を介して、互いに通信することが可能なように接続されている。
【0036】
なお、ホストコンピュータ500は、病院内のシステムを管理するコンピュータであって、たとえば、手術情報や患者情報などを管理するように構成されている。扉センサ600は、手術室2において患者3が入退室する扉の開閉を検出するためのセンサである。外部装置700は、手術後に手術室2において作業を行う要員(たとえば、清掃要員)が所有する携帯型の端末であって、少なくとも情報の表示機能を有している。なお、図1では、表示部300と、外部装置700とを、それぞれ1つずつ図示しているが、表示部300と、外部装置700とは、それぞれ、複数ずつ設けられていてもよい。
【0037】
〈ロボット手術台の構成〉
ロボット手術台100は、たとえば、外科や内科などにおいて、手術を行うための手術台として用いられる。ロボット手術台100は、手術室2に設けられている。手術室2には、患者3のX線投影画像を取得するためのX線撮像装置4が設けられている。手術室2は、ハイブリッド手術室である。
【0038】
図2に示すように、ロボット手術台100は、患者3を載置するためのテーブル10と、多関節ロボットアーム20と、制御部30とを含んでいる。
【0039】
テーブル10は、略矩形形状の平板状に形成されている。また、テーブル10の上面は、略平坦に形成されている。なお、テーブル10は、鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りに回転可能であるが、図2では、テーブル10の長手方向に沿った水平方向をX方向とし、テーブル10の短手方向に沿った水平方向をY方向としている。つまり、X方向およびY方向は、テーブル10を基準とした方向を示している。
【0040】
テーブル10は、X線透過部11と、X線透過部11を支持する支持部12とを有している。
【0041】
テーブル10のX線透過部11には、患者3が載置される。X線透過部11は、テーブル10において、X1方向側に配置されている。X線透過部11は、略矩形形状に形成されている。X線透過部11は、X線を透過しやすい材料により形成されている。X線透過部11は、たとえば、カーボン材料(グラファイト)により形成されている。X線透過部11は、たとえば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。これにより、X線透過部11に患者3を載置した状態で、X線を用いて患者3を撮像することが可能である。
【0042】
テーブル10の支持部12は、多関節ロボットアーム20に接続されている。支持部12は、テーブル10において、X2方向側に配置されている。支持部12は、略矩形形状に形成されている。支持部12は、X線透過部11を支持している。支持部12は、X線透過部11を形成する材料よりもX線の透過率が小さい材料により形成されている。支持部12は、たとえば、金属により形成されている。支持部12は、たとえば、鉄材やアルミニウム材により形成されている。
【0043】
テーブル10は、多関節ロボットアーム20により、移動されるように構成されている。具体的には、テーブル10は、水平方向のX方向、X方向と直交する水平方向のY方向、および、X方向およびY方向に直交し、鉛直方向であるZ方向に移動可能に構成されている。また、テーブル10は、X方向に延びる回動軸線回りに回動(ロール)可能に構成されている。また、テーブル10は、Y方向に延びる回動軸線回りに回動(ピッチ)可能に構成されている。また、テーブル10は、Z方向に延びる回動軸線回りに回転(ヨー)可能に構成されている。
【0044】
多関節ロボットアーム20は、テーブル10を移動させるように構成されている。多関節ロボットアーム20は、一方端が床に固定されたベース21に支持されるとともに、他方端がテーブル10を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム20の一方端は、鉛直方向(Z方向)に延びるベース回動軸線(回動軸線A1)回りに回動可能にベース21に支持されるように構成されている。ベース21は、床に埋設されて固定された基礎である。ベース21は、平面視(Z方向に見て)において、テーブル10の移動範囲の略中央近傍に設けられている。また、多関節ロボットアーム20の他方端は、テーブル10の長手方向(X方向)において、テーブル10の一方端の近傍を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム20の他方端は、テーブル10の長手方向においてテーブル10の一方端の近傍に配置された支持部12を支持するように構成されている。
【0045】
多関節ロボットアーム20は、水平多関節アセンブリ22と、垂直多関節アセンブリ23と、ピッチ回動機構24とを有している。水平多関節アセンブリ22は、水平関節221、222および223を含んでいる。垂直多関節アセンブリ23は、垂直関節231、232および233を含んでいる。なお、水平関節221〜223および垂直関節231〜233は、特許請求の範囲の「関節」の一例である。
【0046】
多関節ロボットアーム20は、7の自由度でテーブル10を移動させるように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム20は、水平多関節アセンブリ22により、鉛直方向(Z方向)に延びる回動軸線A1回りの回動、鉛直方向に延びる回動軸線A2回りの回動、および、鉛直方向に延びる回動軸線A3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム20は、垂直多関節アセンブリ23により、水平方向に延びる回動軸線B1回りの回動、水平方向に延びる回動軸線B2回りの回動、および、水平方向に延びる回動軸線B3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム20は、ピッチ回動機構24により、テーブル10をテーブル10の短手方向(Y方向)に延びる回動軸線回りにピッチ回動させる1の自由度を有している。
【0047】
水平多関節アセンブリ22は、一方端がベース21に支持されるように構成されている。また、水平多関節アセンブリ22は、他方端が垂直多関節アセンブリ23の一方端を支持するように構成されている。水平多関節アセンブリ22の水平関節221は、テーブル10を、鉛直方向(Z方向)に延びる回動軸線A1回りに回動させるように構成されている。水平多関節アセンブリ22の水平関節222は、テーブル10を、鉛直方向に延びる回動軸線A2回りに回動させるように構成されている。水平多関節アセンブリ22の水平関節223は、テーブル10を、鉛直方向に延びる回動軸線A3回りに回転させるように構成されている。
【0048】
垂直多関節アセンブリ23は、一方端が水平多関節アセンブリ22に支持されるように構成されている。また、垂直多関節アセンブリ23は、他方端がピッチ回動機構24を支持するように構成されている。垂直多関節アセンブリ23の垂直関節231は、テーブル10を、X方向に延びる回動軸線B1回りに回動させるように構成されている。垂直多関節アセンブリ23の垂直関節232は、テーブル10を、X方向に延びる回動軸線B2回りに回動させるように構成されている。垂直多関節アセンブリ23の垂直関節233は、テーブル10を、X方向に延びる回動軸線B3回りに回動させるように構成されている。
【0049】
隣接する関節同士の間隔は、それぞれ、テーブル10の短手方向(Y方向)におけるテーブル10の長さよりも小さい。つまり、回動軸線A1および回動軸線A2の間隔と、回動軸線A2および回動軸線A3の間隔と、回動軸線A3および回動軸線B1の間隔と、回動軸線B1および回動軸線B2の間隔と、回動軸線B2および回動軸線B3の間隔とは、それぞれ、テーブル10の短手方向におけるテーブル10の長さよりも小さい。
【0050】
ピッチ回動機構24は、一方端が垂直多関節アセンブリ23に支持されるように構成されている。また、ピッチ回動機構24は、他方端がテーブル10の支持部12を支持するように構成されている。また、ピッチ回動機構24は、テーブル10の短手方向(Y方向)において、テーブル10の片方側の近傍に配置されている。具体的には、ピッチ回動機構24は、テーブル10のY1方向側の端部の近傍に配置されている。
【0051】
制御部30は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)30aと、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶装置30bとを含む制御回路である。制御部30は、ベース21内に配置され、多関節ロボットアーム20によるテーブル10の移動を制御するように構成されている。具体的には、制御部30は、医療従事者(操作者)による操作に基づいて、多関節ロボットアーム20の駆動を制御して、テーブル10を移動させるように構成されている。記憶装置30bには、医療従事者が後述する操作部80を用いて入力した情報に基づいてテーブル10を移動させるために多関節ロボットアーム20に対して動作命令を送信するためのアプリケーションプログラムや、受信した動作命令に従って多関節ロボットアーム20を動作させるためのソフトウェアなどが記憶されている。また、記憶装置30bには、後述するように、操作部80を用いて登録されたプリセット位置情報などが記憶される。
【0052】
図3に示すように、多関節ロボットアーム20の各関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)は、それぞれ、モータ25と、エンコーダ26と、電磁ブレーキ27とを含んでいる。モータ25は、各関節により、テーブル10を回動させるための駆動源である。モータ25は、サーボモータを含んでいる。エンコーダ26は、モータ25の回転量を計測するように構成されている。また、ロボット手術台100は、エンコーダ26の計測結果に基づいて、テーブル10の位置情報を生成するように構成されている。電磁ブレーキ27は、モータ25による回転を制動するための無励磁作動型の電磁ブレーキである。つまり、電磁ブレーキ27は、モータ25の通電がオンされた場合に、モータ25の制動を解除し、モータ25の通電がオフされた場合に、モータ25を制動するように構成されている。
【0053】
また、ロボット手術台100は、電流センサ40と、荷重センサ50と、通信部60と、識別情報取得装置70と、操作部80とを含んでいる。
【0054】
電流センサ40は、多関節ロボットアーム20の各関節に対応して複数設けられ、各関節のモータ25の電流値を取得するためのセンサである。ロボット手術台100は、電流センサ40により、多関節ロボットアーム20の各関節のモータ25の電流値を取得するように構成されている。また、ロボット手術台100は、モータ25の電流値の取得結果に基づいて、テーブル10から多関節ロボットアーム20が受ける負荷に関する負荷情報を生成するように構成されている。
【0055】
荷重センサ50は、テーブル10が受ける荷重を検出するためのセンサである。つまり、荷重センサ50は、テーブル10への患者3の載置の有無を検出するためのセンサである。
【0056】
通信部60は、手術進捗管理装置200と情報の通信を行うように構成されている。ロボット手術台100は、通信部60を介して、テーブル10の位置情報や、負荷情報、荷重センサ50の検出結果などを手術進捗管理装置200に送信するように構成されている。ロボット手術台100は、通信部60を介して、LAN400に接続されている。
【0057】
識別情報取得装置70は、患者3に取り付けられた識別情報を取得するための装置である。識別情報取得装置70は、たとえば、テーブル10に取り付けられている。識別情報取得装置70は、テーブル10の近傍において、患者3に取り付けられた患者識別バンド3a(図2参照)から、識別情報を取得することが可能なように構成されている。なお、識別情報は、患者識別バンド3aに付されたバーコードであるかまたは患者識別バンド3aに付されたRFIDタグに格納されている。識別情報取得装置70は、識別情報がバーコードである場合には、バーコードリーダ70aである。識別情報取得装置70は、識別情報がRFIDタグに格納されている場合には、RFIDリーダ70bである。
【0058】
操作部80は、医療従事者(操作者)によるテーブル10の移動操作を受け付ける装置である。制御部30は、図4に示すように、医療従事者による操作部80の操作結果に基づいて、多関節ロボットアーム20により、テーブル10をホーム位置P1、移乗位置P2、麻酔位置P3、撮像位置P4、手術位置P5などに移動させるように構成されている。なお、ホーム位置P1は、テーブル10のホームとなる位置である。移乗位置P2は、患者3をストレッチャー3bとテーブル10との間で移乗させるための位置である。つまり、移乗位置P2は、患者3をストレッチャー3bからテーブル10に移乗させるための位置、または、患者3をテーブル10からストレッチャー3bに移乗させるための位置である。また、麻酔位置P3は、麻酔を行うための位置である。また、撮像位置P4は、X線撮像装置4による撮像を行うための位置である。また、手術位置P5は、手術を行うための位置である。
【0059】
ロボット手術台100は、ホーム位置P1、移乗位置P2、麻酔位置P3、撮像位置P4、手術位置P5などの位置をプリセット位置として登録することが可能なように構成されている。具体的には、ロボット手術台100は、予め所定の位置にテーブル10を配置した状態で、操作部80により登録指示を行うことにより所定の位置をプリセット位置として登録するように構成されている。この際、ロボット手術台100は、制御部30の記憶装置30bに、プリセット位置として、テーブル10の位置情報と多関節ロボットアーム20の姿勢情報とを記憶させるように構成されている。第1実施形態のロボット手術台100では、ホーム位置P1、移乗位置P2、麻酔位置P3、撮像位置P4および手術位置P5がプリセット位置として登録されている。なお、ロボット手術台100では、操作部80を用いて医療従事者が移動操作を行っている間だけ、モータ25の通電がオンされ、電磁ブレーキ27によるモータ25の制動が解除されて、多関節ロボットアーム20によりテーブル10が移動される。また、ロボット手術台100では、テーブル10がプリセット位置に配置された場合には、モータ25の通電がオフされ、電磁ブレーキ27によりモータ25が制動されて、多関節ロボットアーム20が停止する。
【0060】
〈手術進捗管理装置の構成〉
図1に示すように、手術進捗管理装置200は、手術の進捗管理を行うための装置である。手術進捗管理装置200は、通信部91と、情報処理部92と、表示部93とを含んでいる。
【0061】
通信部91は、ロボット手術台100と情報の通信を行うように構成されている。手術進捗管理装置200は、通信部91を介して、LAN400に接続されている。
【0062】
ここで、第1実施形態では、情報処理部92は、通信部91を介してロボット手術台100からテーブル10の位置情報を取得するとともに、取得したテーブル10の位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成されている。テーブル10の位置情報は、ホーム位置P1にテーブル10が配置されたこを示すホーム位置情報、移乗位置P2にテーブル10が配置されたことを示す移乗位置情報、麻酔位置P3にテーブル10が配置されたことを示す麻酔位置情報、撮像位置P4にテーブル10が配置されたことを示す撮像位置情報、および、手術位置P5にテーブル10が配置されたことを示す手術位置情報を含んでいる。
【0063】
図5に示すように、情報処理部92は、たとえば、ホーム位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の進捗が入室過程であることを示す情報、または、手術の進捗が退室過程であることを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、移乗位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の進捗が手術前の移乗過程であることを示す情報、または、手術の進捗が手術後の移乗過程であることを示す情報を生成するように構成されている。つまり、情報処理部92は、移乗位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の開始が近いことを示す情報、または、手術の終了が近いことを示す情報を生成するように構成されている。
【0064】
また、情報処理部92は、たとえば、麻酔位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の進捗が麻酔過程であることを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、撮像位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の進捗が撮像過程であることを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、手術位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の進捗が手術過程であることを示す情報を生成するように構成されている。
【0065】
また、第1実施形態では、情報処理部92は、通信部91を介してロボット手術台100から負荷情報を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、取得した負荷情報にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成されている。情報処理部92は、たとえば、患者3がテーブル10に載置されたことを示す負荷情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術前の患者3の移乗が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、患者3がテーブル10に載置されていないことを示す負荷情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術後の患者3の移乗が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。
【0066】
また、情報処理部92は、通信部91を介してロボット手術台100から荷重センサ50の検出結果を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、取得した荷重センサ50の検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成されている。情報処理部92は、たとえば、患者3がテーブル10に載置されたことを示す荷重センサ50の検出結果に基づいて、手術の進捗情報として、手術前の患者3の移乗が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、患者3がテーブル10に載置されていないことを示す荷重センサ50の検出結果に基づいて、手術の進捗情報として、手術後の患者3の移乗が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。
【0067】
また、情報処理部92は、通信部91を介してロボット手術台100から扉センサ600の検出結果を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、取得した扉センサ600の検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成されている。情報処理部92は、たとえば、手術前に扉が開かれたことを示す扉センサ600の検出結果に基づいて、手術の進捗情報として、手術室2への患者3の入室が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、たとえば、手術後に扉が開かれたことを示す扉センサ600の検出結果に基づいて、手術の進捗情報として、手術室2からの患者3の退室が完了したことを示す情報を生成するように構成されている。
【0068】
また、第1実施形態では、情報処理部92は、生成した手術の進捗情報に基づく情報を表示部93に表示する制御を行うように構成されている。これにより、手術進捗管理装置200が配置された部屋において、手術の進捗を把握することが可能である。また、情報処理部92は、生成した手術の進捗情報を、通信部91を介して表示部300および外部装置700に送信するように構成されている。表示部300および外部装置700は、受信した手術の進捗情報に基づく情報を表示するように構成されている。これにより、表示部300が配置された部屋において、手術の進捗を把握することが可能であるとともに、外部装置700により、外部装置700を所有する要員が手術の進捗を把握することが可能である。また、手術進捗管理装置200は、生成した手術の進捗情報を、通信部91を介して外部装置700からの要求に応じて提供するように構成されている。
【0069】
また、第1実施形態では、手術進捗管理装置200は、患者3の識別を行うための患者識別装置として機能するように構成されている。手術進捗管理装置200は、通信部91を介して、ホストコンピュータ500から患者情報を取得するとともに、ロボット手術台100から患者3の識別情報を取得するように構成されている。
【0070】
手術進捗管理装置200の情報処理部92は、ロボット手術台100から取得した識別情報と、ホストコンピュータ500から取得した患者情報とを比較するように構成されている。また、情報処理部92は、識別情報と患者情報とが一致しない場合には、警告情報を生成するように構成されている。また、情報処理部92は、生成した警告情報をロボット手術台100に送信するように構成されている。ロボット手術台100では、警告情報に基づいて、たとえば、光、音、メッセージなどにより警告が報知される。
【0071】
(進捗情報生成処理)
次に、図6を参照して、第1実施形態の手術進捗管理装置200による進捗情報生成処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、情報処理部92により行われる。
【0072】
図6に示すように、まず、ステップS1では、通信部91を介して、テーブル10の位置情報、負荷情報、荷重センサ50の検出結果および扉センサ600の検出結果が取得される。
【0073】
次に、ステップS2では、テーブル10の位置情報のみ、または、テーブル10の位置情報と、負荷情報、荷重センサ50の検出結果および扉センサ600の検出結果とのうちの少なくとも1つに基づいて、手術の進捗情報が生成される。
【0074】
次に、ステップS3では、生成された手術の進捗情報が予め定められた送信先(たとえば、表示部93、表示部300および外部装置700)に送信される。この結果、送信先では、手術の進捗情報に基づく情報が表示される。
【0075】
次に、ステップS4では、手術が終了したか否かが判断される。手術が終了していないと判断される場合には、ステップS1に戻る。そして、ステップS1〜S3の処理を繰り返す。また、手術が終了したと判断される場合には、進捗情報生成処理が終了される。
【0076】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、手術進捗管理装置200に、ロボット手術台100と情報の通信を行うための通信部91と、通信部91を介してロボット手術台100からテーブル10の位置情報を取得するとともに、取得したテーブル10の位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部92とを設ける。これにより、手術の進捗に合わせて状態を変化させながら、手術の初めから終わりまで一貫して使用されるロボット手術台100のテーブル10の位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成することができるので、生成された手術の進捗情報に基づいて、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができる。また、リアルタイムに手術の進捗を正確に把握することができるので、たとえば、手術室2の清掃を行う要員が清掃に備えて待機するタイミングを適切に把握することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、テーブル10の位置情報は、患者3をストレッチャー3bとテーブル10との間で移乗させるための移乗位置P2にテーブル10が配置されたことを示す移乗位置情報を含む。これにより、患者3がストレッチャー3bからテーブル10に移乗されることを把握することができるので、手術の進捗状況が初期段階であることをリアルタイムにかつ正確に把握することができる。また、患者3がテーブル10からストレッチャー3bに移乗されることを把握することができるので、手術の進捗状況が終期段階であることをリアルタイムにかつ正確に把握することができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、テーブル10の位置情報は、麻酔を行うための麻酔位置P3にテーブル10が配置されたことを示す麻酔位置情報、X線撮像装置4による撮像を行うための撮像位置P4にテーブル10が配置されたことを示す撮像位置情報、および、手術を行うための手術位置P5にテーブル10が配置されたことを示す手術位置情報を含む。これにより、テーブル10の位置情報が麻酔位置情報である場合には、これから麻酔が行われること、または、麻酔が行われていることを把握することができる。また、テーブル10の位置情報が撮像位置情報である場合には、これから撮像が行われること、または、撮像が行われていることを把握することができる。また、テーブル10の位置情報が手術位置情報である場合には、これから手術が行われること、または、手術が行われていることを把握することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、情報処理部92を、移乗位置情報に基づいて、手術の進捗情報として、手術の終了が近いことを示す情報を生成するように構成する。これにより、手術の終了が近いことを示す情報に基づいて、たとえば、手術室2の清掃を行う要員が清掃に備えて待機するタイミングを正確かつ適切に把握することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100を、移乗位置P2をプリセット位置として登録することが可能なように構成する。これにより、簡単な操作によりロボット手術台100のテーブル10を移乗位置P2に配置することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100を、麻酔位置P3、撮像位置P4、および、手術位置P5をプリセット位置として登録することが可能なように構成する。これにより、簡単な操作によりロボット手術台100のテーブル10を麻酔位置P3、撮像位置P4、および、手術位置P5に配置することができる。また、手術において撮像位置P4と手術位置P5との間で何度もテーブル10を移動させる必要がある場合に、簡単な操作によりテーブル10を撮像位置P4および手術位置P5に配置することができることは、特に有効である。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100を、予め所定の位置にテーブル10を配置した状態で、登録指示を行うことにより所定の位置をプリセット位置として登録するように構成する。これにより、簡単かつ直感的な操作により、ユーザが所望する所定の位置をプリセット位置として登録することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、多関節ロボットアーム20は、複数の関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)を有する。そして、多関節ロボットアーム20の複数の関節の各々は、モータ25と、モータ25の回転量を計測するエンコーダ26とを含む。そして、ロボット手術台100を、エンコーダ26の計測結果に基づいて、テーブル10の位置情報を生成するように構成する。これにより、モータ25の回転量を計測するエンコーダ26を利用して、テーブル10の位置情報を生成することができるので、テーブル10の位置情報を生成するために構成が複雑化することを抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100を、多関節ロボットアーム20の複数の関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)の各々のモータ25の電流値を取得するとともに、モータ25の電流値の取得結果に基づいて、テーブル10から多関節ロボットアームが受ける負荷に関する負荷情報を生成するように構成する。そして、情報処理部92を、通信部91を介してロボット手術台100から負荷情報を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、取得した負荷情報にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成する。これにより、負荷情報に基づいて、患者3がテーブル10に載置されているか否かを判断することができる。その結果、テーブル10の位置情報だけでなく、負荷情報にも基づいて、手術の進捗情報を生成することにより、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100は、テーブル10が受ける荷重を検出するための荷重センサ50を含む。そして、情報処理部92を、通信部91を介してロボット手術台100から荷重センサ50の検出結果を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、取得した荷重センサ50の検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成する。これにより、荷重センサ50の検出結果に基づいて、患者3がテーブル10に載置されているか否かを判断することができる。その結果、テーブル10の位置情報だけでなく、荷重センサ50の検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成することにより、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、情報処理部92を、通信部91を介して手術室2の扉の開閉を検出する扉センサ600の検出結果を取得するとともに、テーブル10の位置情報に加えて、扉センサ600の検出結果にも基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成する。これにより、テーブル10の位置情報と、扉センサ600の検出結果とに基づいて、患者3が手術室2に入室したこと、または、患者3が手術室2から退室したことを正確に把握することができる。その結果、手術の進捗をより正確に把握することができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、手術進捗管理システム1は、手術の進捗情報に基づく情報を表示する表示部300(93)を備える。これにより、表示部300(93)に表示された情報に基づいて、手術の進捗を容易に把握することができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、手術進捗管理装置200を、手術の進捗情報を、通信部91を介して外部装置700からの要求に応じて提供するように構成する。これにより、手術進捗管理システム外の外部装置700においても、手術の進捗を把握することができる。この効果は、手術の進捗を把握することを要する要員(たとえば、清掃要員)が、自己が有する端末などを用いて手術の進捗を把握する場合に、特に有効である。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、手術進捗管理装置200を、通信部91を介してホストコンピュータ500に通信可能に接続する。そして、手術進捗管理装置200を、ホストコンピュータ500から患者情報を取得可能に構成する。これにより、手術進捗管理装置200に患者情報を手動で入力する必要が無いので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット手術台100は、患者3に取り付けられた識別情報を取得するための識別情報取得装置70を含む。そして、情報処理部92を、ロボット手術台100から取得した識別情報と、ホストコンピュータ500から取得した患者情報とを比較するとともに、識別情報と患者情報とが一致しない場合には、警告情報を生成するように構成する。これにより、患者3の取り違えが生じることを防止することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、識別情報は、患者識別バンド3aに付されたバーコードであるかまたは患者識別バンド3aに付されたRFIDタグに格納されている。そして、識別情報取得装置70は、バーコードリーダ70aまたはRFIDリーダ70bである。これにより、バーコードまたはRFIDタグにより、患者3の取り違えを容易に防止することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、多関節ロボットアーム20を、一方端が床に固定されたベース21に支持されるとともに、他方端がテーブル10を支持するように構成する。そして、多関節ロボットアーム20の一方端を、ベース21に鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成する。そして、多関節ロボットアーム20の他方端を、テーブル10の長手方向において、テーブル10の一方端の近傍を支持するように構成する。そして、多関節ロボットアーム20を、7の自由度でテーブル10を移動させるように構成する。これにより、多関節ロボットアームによりテーブル10を所望の位置に容易に移動させることができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、テーブル10は、X線透過部11と、テーブル10の長手方向においてテーブル10の一方端の近傍に配置され、X線透過部11を支持する支持部12とを有する。そして、多関節ロボットアーム20の他方端を、支持部12を支持するように構成する。これにより、多関節ロボットアーム20がX線透過部11の周りに極力配置されないようにすることができるので、X線透過部11の周りにX線撮像装置4を配置するのに十分な空間を確保することができる。
【0095】
[第2実施形態]
次に、図1および図7図10を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態に加えて、手術終了予定時刻を更新する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0096】
(手術進捗管理システムの構成)
本発明の第2実施形態による手術進捗管理システム801は、図1に示すように、手術進捗管理装置900を備える点で、上記第1実施形態の手術進捗管理システム1と相違する。また、手術進捗管理装置900は、情報処理部992を含む点で、上記第1実施形態の手術進捗管理装置200と相違する。
【0097】
手術進捗管理装置900の情報処理部992は、上記第1実施形態と同様に、少なくともテーブル10の位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成するように構成されている。また、第2実施形態では、情報処理部992は、図7に示すように、生成した手術の進捗情報に基づいて、手術終了予定時刻を順次更新するように構成されている。
【0098】
具体的には、情報処理部992は、生成した手術の進捗情報に基づいて、手術の各過程の実所要時間を取得するように構成されている。また、情報処理部992は、通信部91を介して、手術開始予定時刻、手術の各過程の所要時間(当初所要時間)をホストコンピュータ500から取得するとともに、手術開始予定時刻および手術の各過程の所要時間に基づいて、手術終了予定時刻を取得するように構成されている。また、情報処理部992は、取得した手術の各過程の実所要時間と、取得した手術の各過程の当初所要時間とを比較するとともに、実所要時間と当初所要時間との比較結果に基づいて、手術終了予定時刻を順次更新するように構成されている。なお、手術の各過程とは、たとえば、入室過程、手術前の移乗過程、麻酔過程、手術過程、撮像過程、手術後の移乗過程および退室過程などである。手術の各過程は、術式によって異なる。
【0099】
また、情報処理部992は、更新した手術終了予定時刻を表示部93に表示する制御を行うように構成されている。これにより、手術進捗管理装置900が配置された部屋において、実際の進捗が反映された手術終了予定時刻を把握することが可能である。また、情報処理部992は、更新した手術終了予定時刻を、通信部91を介して表示部300および外部装置700に送信するように構成されている。表示部300および外部装置700は、受信した手術終了予定時刻を表示するように構成されている。これにより、表示部300が配置された部屋において、実際の進捗が反映された手術終了予定時刻を把握することが可能であるとともに、外部装置700により、外部装置700を所有する要員が実際の進捗が反映された手術終了予定時刻を把握することが可能である。また、手術進捗管理装置900は、更新した手術終了予定時刻を、通信部91を介して外部装置700からの要求に応じて提供するように構成されている。
【0100】
なお、手術終了予定時刻を表示する際には、図7に示すように、たとえば、時系列のグラフ上に、現在時刻と、既に行われた手術の各過程の開始時刻および終了時刻と、これから行われる手術の各過程の開始予定時刻および終了予定時刻と、手術終了予定時刻を表示してもよい。
【0101】
また、第2実施形態では、情報処理部992は、通信部91を介して、更新した手術終了予定時刻を含む作業指示を予め定められた通知先(たとえば、清掃要員が所有する外部装置700)に送信するように構成されている。作業指示は、たとえば、手術室2における清掃や整備などの作業指示である。具体的には、情報処理部992は、現在時刻から手術終了予定時間までの残り時間が、予め定められたリードタイム以下である場合に、更新した終了予定時刻を含む作業指示を予め定められた通知先に送信するように構成されている。
【0102】
また、第2実施形態では、情報処理部992は、通信部91を介して、手術室2の利用可能予定時刻を予め定められた通知先(たとえば、次の手術を行う医療従事者が所有する外部装置700)に送信するように構成されている。手術室2の利用可能予定時刻は、手術終了予定時刻に、清掃や整備などの手術後の作業に要する時間を加算した時刻である。
【0103】
なお、利用可能予定時刻を表示する際には、図7に示すように、たとえば、上記した時系列のグラフ上に、清掃や整備などの手術後の作業に要する時間と、利用可能予定時刻とをさらに表示してもよい。
【0104】
(手術情報生成処理)
次に、図8を参照して、第2実施形態の手術進捗管理装置900による手術情報生成処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、情報処理部992により行われる。
【0105】
図8に示すように、まず、ステップS11では、通信部91を介して、手術の術式がホストコンピュータ500から取得される。
【0106】
次に、ステップS12では、通信部91を介して、手術開始予定時刻がホストコンピュータ500から取得される。
【0107】
次に、ステップS13では、通信部91を介して、ステップS1において取得された手術の術式に基づいて、手術の各過程がホストコンピュータ500から取得されるとともに、取得された手術の各過程の所要時間(当初所要時間)がホストコンピュータ500から取得される。
【0108】
次に、ステップS14では、手術の各過程の所要時間が加算される。
【0109】
次に、ステップS15では、手術の各過程の開始予定時刻が取得される。
【0110】
次に、ステップS16では、手術の各過程の終了予定時刻および手術終了予定時刻が取得される。そして、手術情報生成処理が終了される。
【0111】
(終了予定時刻更新処理)
次に、図9を参照して、第2実施形態の手術進捗管理装置900による終了予定時刻更新処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、情報処理部992により行われる。
【0112】
図9に示すように、まず、ステップS21では、現在時刻が取得される。
【0113】
次に、ステップS22では、テーブル10の位置情報などに基づいて、現在の手術の過程が取得される。
【0114】
次に、ステップS23では、これまでの手術の各過程の実所要時間と、当初所要時間との差異が取得される。
【0115】
次に、ステップS24では、手術の各過程の所要時間の差異を、補正式に代入し、以降の手術の各過程の所要時間の差異が予測される。
【0116】
次に、ステップS25では、現在時刻に、以降の手術の各過程の当初所要時間と、予測された所要時間の差異とが加算され、以降の手術の各過程の開始予定時刻と終了予定時刻と、手術終了予定時刻とが取得される。
【0117】
次に、ステップS26では、手術の各過程の開始予定時刻と終了予定時刻と、手術終了予定時刻とが更新される。そして、終了予定時刻更新処理が終了される。
【0118】
(作業指示通知処理)
次に、図10を参照して、第2実施形態の手術進捗管理装置900による作業指示通知処理をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、情報処理部992により行われる。
【0119】
図10に示すように、まず、ステップS31では、現在時刻が取得される。
【0120】
次に、ステップS32では、手術終了予定時刻が取得される。
【0121】
次に、ステップS33では、予め定められたリードタイムが取得される。
【0122】
次に、ステップS34では、現在時刻から手術終了予定時刻までの残り時間が、リードタイム以下であるか否かが判断される。残り時間がリードタイムよりも大きいと判断される場合には、未だ作業指示を行う必要が無いと判断されるため、作業指示通知処理が終了される。また、残り時間がリードタイム以下であると判断される場合には、ステップS35に進む。
【0123】
次に、ステップS35では、作業指示済みであるか否かが判断される。作業指示済みであると判断される場合には、作業指示通知処理が終了される。また、作業指示済みではないと判断される場合には、ステップS36に進む。
【0124】
次に、ステップS36では、手術終了予定時刻を含む作業指示が通知先に送信される。この結果、通知先では、手術終了予定時刻を含む作業指示が表示される。そして、作業指示通知処理が終了される。
【0125】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0126】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0127】
第2実施形態では、上記のように、情報処理部992を、生成した手術の進捗情報に基づいて、手術終了予定時刻を順次更新するように構成する。これにより、順次更新される手術終了予定時刻に基づいて、たとえば、手術室2の清掃を行う要員は、清掃に備えて待機するタイミングを適切かつ正確に把握することができる。
【0128】
また、第2実施形態では、上記のように、情報処理部992を、通信部91を介して、更新した手術終了予定時刻を含む作業指示を予め定められた通知先に送信するように構成する。これにより、たとえば、手術室2の清掃を行う要員は、手間をかけることなく、清掃に備えて待機するタイミングをより一層適切に把握することができる。
【0129】
また、第2実施形態では、上記のように、情報処理部992を、通信部91を介して、手術室2の利用可能予定時刻を予め定められた通知先に送信するように構成する。これにより、たとえば、次の手術を行う要員は、手間をかけることなく、次の手術に備えて待機するタイミングを適切に把握することができる。
【0130】
また、第2実施形態では、上記のように、情報処理部992を、手術開始予定時刻をホストコンピュータ500から取得するように構成する。これにより、手術進捗管理装置900に手術開始予定時刻を手動で入力する必要が無いので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0131】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0132】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0133】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、ハイブリッド手術室に、X線撮像装置が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ハイブリッド手術室に、患者の磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴イメージング装置が設けられていてもよい。また、ハイブリッド手術室に、X線撮像装置および磁気共鳴イメージング装置の両方が設けられていてもよい。
【0134】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット手術台をハイブリッド手術室に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット手術台をハイブリッド手術室以外の手術室に設けてもよい。
【0135】
また、上記第1および第2実施形態では、手術進捗管理装置の情報処理部が、テーブルの位置情報に加えて、負荷情報、荷重センサの検出結果および扉センサの検出結果に基づいて、手術の進捗情報を生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術の進捗情報を生成可能であれば、負荷情報、荷重センサの検出結果および扉センサの検出結果を用いなくてもよい。
【0136】
また、上記第1および第2実施形態では、テーブルの位置情報が、ホーム位置情報、移乗位置情報、麻酔位置情報、撮像位置情報、および、手術位置情報を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テーブルの位置情報が、ホーム位置情報、移乗位置情報、麻酔位置情報、撮像位置情報、および、手術位置情報の全部を含んでいなくてもよいし、これら以外のテーブルの位置情報を含んでいてもよい。
【0137】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット手術台に、ホーム位置、移乗位置、麻酔位置、撮像位置、手術位置がプリセット位置として登録されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、清掃を行うための清掃位置が、プリセット位置として登録されていてもよい。この場合、たとえば、ホーム位置においてテーブルを最も高く上昇させた姿勢で多関節ロボットアームが配置された際のテーブルの位置情報と多関節ロボットアーム20の姿勢情報とを、清掃位置として登録してもよい。また、本発明では、ロボット手術台に、プリセット位置が登録されていなくてもよい。
【0138】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット手術台と、手術進捗管理装置と、表示部と、ホストコンピュータと、扉センサと、外部装置とが、LANを介して、互いに通信することが可能なように接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット手術台と、手術進捗管理装置と、表示部と、ホストコンピュータと、扉センサと、外部装置とが、LANを介することなく、互いに通信することが可能なように接続されていてもよい。
【0139】
また、上記第1および第2実施形態では、手術進捗管理システムが表示部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術進捗管理システムが表示部を備えていなくてもよい。
【0140】
また、上記第1および第2実施形態では、手術進捗管理装置の情報処理部が手術開始予定時刻をホストコンピュータから取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、情報処理部が、手術終了予定時刻をホストコンピュータから取得してもよい。また、情報処理部が、手術開始予定時刻および終了予定時刻の両方をホストコンピュータから取得してもよい。
【0141】
また、上記第1および第2実施形態では、水平多関節アセンブリが3つの水平関節を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水平多関節アセンブリが2つの水平関節を有していてもよいし、4つ以上の水平関節を有していてもよい。
【0142】
また、上記第1および第2実施形態では、垂直多関節アセンブリが3つの垂直関節を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、垂直多関節アセンブリが2つの垂直関節を有していてもよいし、4つ以上の垂直関節を有していてもよい。
【0143】
また、上記第1および第2実施形態では、多関節ロボットアームが7の自由度を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、多関節ロボットアームが6以下の自由度を有していてもよいし、8以上の自由度を有していてもよいが、6以上の自由度を有していることが好ましい。
【0144】
また、上記第1および第2実施形態では、ベースが床に埋設されて固定されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ベースが床の上に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1、801:手術進捗管理システム、3:患者、3a:患者識別バンド、3b:ストレッチャー、10:テーブル、11:X線透過部、12:支持部、20:多関節ロボットアーム、21:ベース、25:モータ、26:エンコーダ、50:荷重センサ、70:識別情報取得装置、70a:バーコードリーダ、70b:RFIDリーダ、91:通信部、92、992:情報処理部、93:表示部、100:ロボット手術台、200、900:手術進捗管理装置、221、222、223:水平関節(関節)、231、232、233:垂直関節(関節)、300:表示部、500:ホストコンピュータ、600:扉センサ、700:外部装置、P2:移乗位置、P3:麻酔位置、P4:撮像位置、P5:手術位置
【要約】
【課題】リアルタイムに手術の進捗を正確に把握すること。
【解決手段】この手術進捗管理システム1は、患者3を載置するためのテーブル10と、テーブル10を支持する多関節ロボットアーム20とを含むロボット手術台100と、手術の進捗管理を行うための手術進捗管理装置200と、を備える。そして、手術進捗管理装置200は、ロボット手術台100と情報の通信を行うための通信部91と、通信部91を介してロボット手術台100からテーブル10の位置情報を取得するとともに、取得したテーブル10の位置情報に基づいて、手術の進捗情報を生成する情報処理部92と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10