(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1におけるアクチュエータの構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるアクチュエータの製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例2におけるアクチュエータの構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2におけるアクチュエータの製造方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例3におけるアクチュエータの構造を示す図である。
【
図6】本発明の実施例3におけるアクチュエータの製造方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例4におけるアクチュエータの構造を示す図である。
【
図8】本発明の実施例4におけるアクチュエータの製造方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例5におけるアクチュエータの構造を示す図である。
【
図10】本発明の実施例6におけるアクチュエータの応用システムの構造を示す図である。
【
図11】本発明の実施例6におけるアクチュエータの応用システムの製造方法のフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例6におけるアクチュエータの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図13】本発明の実施例6におけるアクチュエータの局部のSEM写真である。
【
図14】本発明の実施例6におけるアクチュエータの透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図15】本発明の実施例6におけるアクチュエータのEDX(EDX)(Energy Dispersive X−ray)スペクトルである。
【
図16】本発明の実施例6におけるアクチュエータのラマン散乱スペクトルである。
【
図17】本発明の実施例7におけるアクチュエータの応用システムの構造を示す図である。
【
図18】本発明の実施例8におけるアクチュエータの応用システムの構造を示す図である。
【
図19】本発明の実施例8におけるアクチュエータの局部のSEM写真である。
【
図20】本発明の実施例8におけるアクチュエータのEDSスペクトルである。
【
図21】本発明の実施例8における32℃から46℃まで加熱する際の湾曲のアクチュエータの光学写真である。
【
図22】温度は常温26℃及び50℃である際、実施例8におけるアクチュエータのラマン散乱スペクトルである。
【
図23】本発明の実施例9におけるアクチュエータシステムの構造を示す図である。
【
図24】本発明の実施例10における温度検出システムの構造を示す図である。
【
図25】本発明の実施例11における温度検出システムの構造を示す図である。
【
図26】本発明の実施例11におけるアクチュエータのSEM写真である。
【
図27】本発明の実施例11における温度検出システム20Aを採用して、人体温度をテストする結果を示す図である。
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図28】本発明の実施例12におけるロボットの構造を示す図である。
【
図29】本発明の実施例12におけるバイオニックアームの光学写真である。
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図30】本発明の実施例12におけるバイオニックアームによって紙を移動する光学写真である。
【
図31】本発明の実施例13におけるバイオニック昆虫の構造を示す図である。
【
図32】本発明の実施例13におけるバイオニック昆虫の光学写真である。
【
図33】本発明の実施例13におけるバイオニック昆虫がウイングを振動する光学写真である。
【
図34】本発明の実施例13におけるバイオニック蝶の光学写真である。
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0012】
図1を参照すると、実施例1はアクチュエータ11を提供する。アクチュエータ11は、カーボンナノチューブ構造体110と、二酸化バナジウム構造体111と、を含む。カーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111は積層して設置される。カーボンナノチューブ構造体110は発熱或いは熱を吸収することによって、二酸化バナジウム構造体111に熱を伝達して、二酸化バナジウム構造体111を二酸化バナジウム構造体111の表面と平行する方向(二酸化バナジウム構造体111の厚さと垂直する方向)に沿って収縮させ、アクチュエータ11を湾曲させる。カーボンナノチューブ構造体110は二酸化バナジウム構造体111をサポートして、且つ加熱することに用いる。カーボンナノチューブ構造体110が高い光熱変換効率、高い電熱変換効率及び小さな熱容量を有するので、アクチュエータ11に速い反応速度を有することができる。
【0013】
二酸化バナジウム構造体111の厚さ及び形状は制限されず、必要に応じて選択できる。二酸化バナジウム構造体111の厚さは100nm〜500μmであってもよい。好ましくは、二酸化バナジウム構造体111の厚さは1μm〜10μmである。二酸化バナジウム構造体111の厚さが150nmである際、二酸化バナジウム構造体111の光透過率は40%である。二酸化バナジウム構造体111の相転移温度は68℃である。二酸化バナジウム構造体111の温度が二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より小さい際、例えば、室温で二酸化バナジウム構造体111は絶縁相を呈する。この際、二酸化バナジウム構造体111は絶縁体である。二酸化バナジウム構造体111の温度が二酸化バナジウム構造体111の相転移温度に達した後、二酸化バナジウム構造体111は絶縁相から金属相に変化し、且つ金属相のc軸方向に沿って体積を収縮する。相転移前後の二酸化バナジウム構造体111の体積収縮率は1%〜2%である。金属相に変化した後の二酸化バナジウム構造体111の体積仕事密度(volumetric work density)は7J/cm
3〜28J/cm
3であり、その弾性率は140Gpaである。カーボンナノチューブ構造体110の体積が変化しないので、アクチュエータ11を二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲させる。二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より小さい温度に下がる際、二酸化バナジウム構造体111は金属相から絶縁相に変化して、アクチュエータ11の形状は初期の形状に戻る。二酸化バナジウム構造体111は絶縁相から金属相に変化した後、二酸化バナジウム構造体111及びカーボンナノチューブ構造体110からなる複合構造体の抵抗値は11%を減少する。
【0014】
アクチュエータ11の初期の形状は平面状或いは曲面状であってもよい。アクチュエータ11の初期の形状が平面状である際、アクチュエータ11は二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲して、アクチュエータ11の形状を曲面状に変える。アクチュエータ11の初期の形状が曲面状である際、アクチュエータ11は二酸化バナジウム構造体111の側に向かってさらに湾曲して、初期の曲面の曲率半径を大きくさせる。
【0015】
二酸化バナジウム構造体111は元素がドープされた二酸化バナジウム構造体であってもよい。元素がドープされることによって、二酸化バナジウム構造体111の相転移温度を変えることができる。ドープされる元素は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、リン、ニオブ、タリウム、フッ素の中のいずれか一種である。ドープされる元素の重量比は0.5%〜5%である。原子の寸法が大きい元素(例えば、タングステン、モリブデン)がドープされる際、二酸化バナジウム構造体111の相転移温度を下げることができる。原子の寸法が小さい元素(例えば、アルミニウム、リン)がドープされる際、二酸化バナジウム構造体111の相転移温度を上げることができる。一つの例において、重量比が1.5%であるタングステンがドープされる際、二酸化バナジウム構造体111の相転移温度は34℃である。タングステンがドープされる二酸化バナジウム構造体111は絶縁相から金属相に変えた後、二酸化バナジウム構造体111及びカーボンナノチューブ構造体110からなる複合構造体の抵抗値は6.8%を減少する。
【0016】
カーボンナノチューブ構造体110の厚さ及び形状は制限されず、必要に応じて選択できる。カーボンナノチューブ構造体110は複数のカーボンナノチューブを含む連続な構造体である。好ましくは、カーボンナノチューブ構造体110は複数のカーボンナノチューブからなる構造体である。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ構造体110の表面に平行している。カーボンナノチューブ構造体110には、複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。複数のカーボンナノチューブの配列方法により、カーボンナノチューブ構造体110は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体に分類される。非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。カーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブであってもよい。カーボンナノチューブの長さ及び直径は制限されず、必要に応じて選択できる。カーボンナノチューブ構造体110の厚さは100nm〜100μm
である。好ましくは、カーボンナノチューブ構造体110の厚さは1μm〜10μmである。
【0017】
カーボンナノチューブ構造体110はカーボンナノチューブフィルム或いはカーボンナノチューブワイヤを含んでもよい。カーボンナノチューブ構造体110は一枚のカーボンナノチューブフィルムを含んでもよく、或いは積層された複数のカーボンナノチューブフィルムを含んでもよい。カーボンナノチューブ構造体110は相互に平行する複数のカーボンナノチューブワイヤを含んでもよく、或いは、交差して設置される複数のカーボンナノチューブワイヤを含んでもよい。カーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム、綿毛構造カーボンナノチューブフィルム或いはプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムであってもよい。本実施例において、カーボンナノチューブ構造体110は50層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む。
【0018】
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブが形成する自立構造である。複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。多数のカーボンナノチューブの延伸する方向はカーボンナノチューブフィルムの表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。具体的には、多数のカーボンナノチューブにおける各カーボンナノチューブは、延伸する方向における隣接するカーボンナノチューブと、分子間力で端と端とが接続されている。カーボンナノチューブフィルムには、少数のランダムなカーボンナノチューブ含まれているが、これは、多数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されていることに影響しない。
【0019】
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは自立構造である。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブフィルムを独立して利用することができる形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブフィルムを対向する両側から支持して、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの構造を変化させずに、カーボンナノチューブフィルムを懸架させることができることを意味する。
【0020】
具体的には、カーボンナノチューブフィルムにおける多数のカーボンナノチューブは、絶対的に直線状ではなく少し湾曲している。または、延伸する方向に完全に配列せず、少しずれている場合もある。従って、同じ方向に沿って配列されている多数のカーボンナノチューブの中において、隣同士のカーボンナノチューブが部分接触する可能性がある。
【0021】
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブセグメントを含む。複数のカーボンナノチューブセグメントは、長さ方向に沿って分子間力で端と端とが接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメントは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。単一のカーボンナノチューブセグメントにおいて、複数のカーボンナノチューブの長さは同じである。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。カーボンナノチューブアレイの一部を引き出して、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを得ることができる。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの厚さは、1nm〜500μmである。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの幅は、カーボンナノチューブアレイのサイズに関係する。好ましくは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの厚さは100nm〜10μmである。カーボンナノチューブ構造体110において、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムが積層された場合、隣接する二つのカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。好ましくは、隣接するカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、90°の角度で交差している。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0022】
カーボンナノチューブ構造体110は複数のカーボンナノチューブ及び添加材料を含む複合構造体であってもよい。添加材料はグラファイト、グラフェン、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、アモルファスカーボン、金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物の中いずれか一種または多種である。添加材料はカーボンナノチューブ構造体110の少なくとも一部の表面を被覆する。好ましくは、添加材料はカーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブの表面を被覆する。
【0023】
図2を参照すると、アクチュエータ11の製造方法を提供する。
S11、カーボンナノチューブ構造体110を提供する。
S12、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、バナジウム酸化物層112を沈積する。
S13、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
【0024】
S12において、カーボンナノチューブ構造体110の表面にバナジウム酸化物層112を沈積する方法は制限されず、例えば、化学気相成長法或いはマグネトロンスパッタリング法であってもよい。S13において、空気或いは酸素でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
【0025】
本実施例において、S11において、50層のドローン構造カーボンナノチューブフィルムを交差して設置して、カーボンナノチューブ構造体110を形成する。S12において、直流マグネトロンスパッタリング法によって、カーボンナノチューブ構造体110の表面にバナジウム酸化物層112を沈積する。S12において、スパッタターゲットは高純度バナジウム金属であり、スパッタリング電力は60Wであり、スパッタリング温度は室温であり、作動ガスは49.7sccmのアルゴン及び0.3sccmの酸素からなる混合ガスであり、作動圧力は0.55Paであり、スパッタリング時間は30分間である。バナジウム酸化物層112の成分はVO
Xである。S13において、アニールの圧力は3×10
−2mbarであり、アニールの温度は450℃であり、アニールの時間は10分間である。バナジウム酸化物層112をアニールして、バナジウム酸化物層112を結晶させて、二酸化バナジウム構造体111を形成する。バナジウム酸化物層112が沈積されたカーボンナノチューブ構造体110を加熱炉に入れて加熱して、バナジウム酸化物層112をアニールすることができる。または、電流がカーボンナノチューブ構造体110に流れて、カーボンナノチューブ構造体110を加熱することによって、バナジウム酸化物層112をアニールすることができる。好ましくは、アニールの温度が500℃より高い際、カーボンナノチューブ構造体110を完全に酸化しないため、アニールの雰囲気は真空に微量の酸素を導入する雰囲気である。本実施例において、酸素の流量は2sccmより小さい。アニールの温度が450℃より低い際、空気でバナジウム酸化物層112をアニールして、カーボンナノチューブ構造体110を完全に酸化させない。
【0026】
バナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する工程において、カーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111の界面に格子がミスマッチである。二酸化バナジウム構造体111の格子定数が小さい側は収縮応力を生じ、カーボンナノチューブ構造体110の格子定数が大きい側は抵抗収縮応力を生じる。二酸化バナジウム構造体111の収縮応力がカーボンナノチューブ構造体110の抵抗収縮応力より大きい際、二酸化バナジウム構造体111及びカーボンナノチューブ構造体110からなる複合構造体は二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲して、曲面状のアクチュエータ11を形成する。収縮応力及び抵抗収縮応力はそれぞれ二酸化バナジウム構造体111の厚さ及びカーボンナノチューブ構造体110の厚さによって決められる。カーボンナノチューブ構造体110の厚さが小さい際、曲面状のアクチュエータ11を形成できる。カーボンナノチューブ構造体110の厚さが大きい際、平面状のアクチュエータ11を形成できる。
【0027】
タングステンがドープされる二酸化バナジウム構造体111を形成する際、S12において、スパッタターゲットはタングステンがドープされるバナジウムであり、スパッタリング電力は60Wであり、スパッタリング温度は室温であり、作動ガスは49.5sccmのアルゴン及び0.5sccmの酸素からなる混合ガスであり、作動圧力は0.6Paであり、スパッタリング時間は30分間である。バナジウム酸化物層112の成分はW−VO
Xである。S13において、アニールの圧力は4.5×10
−2mbarであり、アニールの温度は450℃であり、アニールの時間は10分間である。バナジウム酸化物層112をアニールすることによって、バナジウム酸化物層112を結晶させて、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
【0028】
図3を参照すると、実施例2はアクチュエータ11Aを提供する。アクチュエータ11Aは、カーボンナノチューブ構造体110と、二酸化バナジウム構造体111と、を含む。カーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111は積層して設置される。
【0029】
実施例2におけるアクチュエータ11Aの構造は、実施例1におけるアクチュエータ11の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。アクチュエータ11Aは少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム113を含む。少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム113は二酸化バナジウム構造体111の内部に設置され、且つカーボンナノチューブ構造体110と間隔をあけて設置される。少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム113と二酸化バナジウム構造体111とは複合構造体を形成する。アクチュエータ11Aは複数のカーボンナノチューブフィルム113を含む際、複数のカーボンナノチューブフィルム113は相互に間隔をあけて設置される。
【0030】
レーザーがカーボンナノチューブ構造体110の側を照射する際、カーボンナノチューブフィルム113はカーボンナノチューブ構造体110から透過したレーザーを吸収して、熱を生じ、且つ熱を二酸化バナジウム構造体111に均一に伝導できる。カーボンナノチューブフィルム113の厚さは小さいので、二酸化バナジウム構造体111の収縮に伴って収縮でき、二酸化バナジウム構造体111の変形に影響を与えない。好ましくは、カーボンナノチューブフィルム113はドローン構造カーボンナノチューブフィルムであり、その厚さは30nmであり、隣接する二つのカーボンナノチューブフィルム113の距離は30nmより大きい。
【0031】
図4を参照すると、アクチュエータ11Aの製造方法を提供する。
S21、複数のカーボンナノチューブフィルム113を提供する。
S22、各カーボンナノチューブフィルム113の表面にバナジウム酸化物層112を堆積する。
S23、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、バナジウム酸化物層112が堆積された複数のカーボンナノチューブフィルム113を積層して設置する。
S24、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
【0032】
アクチュエータ11Aの製造方法におけるバナジウム酸化物層112の堆積方法及びアニール方法はアクチュエータ11の製造方法におけるバナジウム酸化物層112の堆積方法及びアニール方法と基本的に同じである。S22において、バナジウム酸化物層112はカーボンナノチューブフィルム113の表面に堆積するだけでなく、カーボンナノチューブフィルム113の微孔を充填する。好ましくは、バナジウム酸化物層112はカーボンナノチューブフィルム113の対向する二つの表面に堆積して、且つカーボンナノチューブフィルム113の微孔を充填する。これにより、複数のバナジウム酸化物層112をアニールした後、完全な二酸化バナジウム構造体111を形成できる。この際、複数のカーボンナノチューブフィルム113は二酸化バナジウム構造体111に被覆される。
【0033】
図5を参照すると、実施例3はアクチュエータ11Bを提供する。アクチュエータ11Bは、カーボンナノチューブ構造体110と、二酸化バナジウム構造体111と、複数のカーボンナノチューブフィルム113と、を含む。複数のカーボンナノチューブフィルム113は二酸化バナジウム構造体111の内部に設置される。これにより、複数のカーボンナノチューブフィルム113と二酸化バナジウム構造体111とは複合構造体を形成する。カーボンナノチューブ構造体110は複合構造体と積層して設置される。
【0034】
実施例3におけるアクチュエータ11Bの構造は実施例2におけるアクチュエータ11Aの構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。複数のカーボンナノチューブフィルム113の寸法は二酸化バナジウム構造体111の寸法より大きい。これにより、複数のカーボンナノチューブフィルム113の一部は二酸化バナジウム構造体111の外部に延伸する。すなわち、複数のカーボンナノチューブフィルム113の辺縁一部は二酸化バナジウム構造体111に被覆されない。
【0035】
好ましくは、二酸化バナジウム構造体111に被覆されない複数のカーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分は積層して設置される。積層して設置される複数のカーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分には電極を設置して、電源に接続できる。これにより、複数のカーボンナノチューブフィルム113に電流を入力して、二酸化バナジウム構造体111を加熱できる。
【0036】
さらに好ましくは、二酸化バナジウム構造体111に被覆されない複数のカーボンナノチューブフィルム113の部分はカーボンナノチューブ構造体110と接触して、且つ電気的に接続される。カーボンナノチューブフィルム113及びカーボンナノチューブ構造体110には共に電極を設置し、且つ電源に接続できる。カーボンナノチューブ構造体110は光エネルギーを吸収して熱に変える際、カーボンナノチューブフィルム113に熱を直接に伝導でき、さらに、二酸化バナジウム構造体111に伝導できる。一つの例において、二酸化バナジウム構造体111に被覆されない複数のカーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分はカーボンナノチューブ構造体110と接触して且つ電気的に接続され、または、間隔をあけて設置される二つの電極とそれぞれ接触して且つ電気的に接続される。
【0037】
本実施例において、カーボンナノチューブ構造体110の寸法は二酸化バナジウム構造体111の寸法より大きい。二酸化バナジウム構造体111に被覆されないカーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分は二酸化バナジウム構造体111に被覆されないカーボンナノチューブ構造体110の部分と積層して設置される。カーボンナノチューブ構造体110の寸法及び形状が二酸化バナジウム構造体111の寸法及び形状と同じである際、二酸化バナジウム構造体111に被覆されないカーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分は湾曲して、カーボンナノチューブ構造体110と二酸化バナジウム構造体111と間に設置され、或いは、二酸化バナジウム構造体111と離れるカーボンナノチューブ構造体110の表面に設置される。
【0038】
図6を参照すると、アクチュエータ11Bの製造方法を提供する。
S31、複数のカーボンナノチューブフィルム113を提供する。
S32、各カーボンナノチューブフィルム113の表面の一部にバナジウム酸化物層112を堆積する。
S33、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、バナジウム酸化物層112が堆積された複数のカーボンナノチューブフィルム113を積層して設置する。
S34、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成し、各カーボンナノチューブフィルム113の一部は二酸化バナジウム構造体111の外部に延伸する。
【0039】
アクチュエータ11Bの製造方法はアクチュエータ11Aの製造方法と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。S32において、バナジウム酸化物層112はカーボンナノチューブフィルム113の中部に堆積する。これにより、カーボンナノチューブフィルム113の辺縁部分はバナジウム酸化物層112に被覆されない。さらに、二酸化バナジウム構造体111に被覆されない複数のカーボンナノチューブフィルム113の部分は積層して設置し、且つカーボンナノチューブ構造体110と接触するステップを含む。例えば、揮発性有機溶剤の処理或いは圧力によって、二酸化バナジウム構造体111に被覆されない複数のカーボンナノチューブフィルム113の部分は積層して設置される。
【0040】
図7を参照すると、実施例4はアクチュエータ11Cを提供する。アクチュエータ11Cは、カーボンナノチューブ構造体110と、二酸化バナジウム構造体111と、カーボンナノチューブアレイ114と、を含む。カーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111は積層して設置される。
【0041】
実施例4におけるアクチュエータ11Cの構造は実施例1におけるアクチュエータ11の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。アクチュエータ11Cはカーボンナノチューブアレイ114を含む。カーボンナノチューブアレイ114は複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブは二酸化バナジウム構造体111に相互に平行して間隔をあけて設置される。これにより、カーボンナノチューブアレイ114と二酸化バナジウム構造体111とは複合構造体を形成する。
【0042】
カーボンナノチューブアレイ114におけるカーボンナノチューブはカーボンナノチューブ構造体110と垂直して設置される。カーボンナノチューブの軸方向に、カーボンナノチューブは対向する第一端部及び第二端部を有する。第一端部はカーボンナノチューブ構造体110と接触して設置される。第二端部はカーボンナノチューブ構造体110と離れる。二酸化バナジウム構造体111は相互に平行して間隔をあけるカーボンナノチューブの間に設置される。
【0043】
カーボンナノチューブの径方向における熱伝導性よりカーボンナノチューブの軸方向における熱伝導性が優れているので、カーボンナノチューブ構造体110と垂直するカーボンナノチューブはカーボンナノチューブ構造体110の熱を完全の二酸化バナジウム構造体111に伝導することに有利である。
【0044】
カーボンナノチューブアレイ114におけるカーボンナノチューブは二酸化バナジウム構造体111と垂直して設置されるので、二酸化バナジウム構造体111はその厚さ方向に収縮する際、カーボンナノチューブアレイ114におけるカーボンナノチューブは収縮方法に沿って移動でき、二酸化バナジウム構造体111の厚さ方向における収縮に影響を与えない。
【0045】
図8を参照すると、アクチュエータ11Cの製造方法を提供する。アクチュエータ11Cの製造方法は下記のステップを含む。
S41、カーボンナノチューブアレイ114を提供し、カーボンナノチューブアレイ114は相互に平行して間隔をあけて設置される複数のカーボンナノチューブを含む。
S42、カーボンナノチューブの軸方向と垂直する方向に沿って、カーボンナノチューブアレイ114を引き伸ばして、隣接する二本のカーボンナノチューブの距離を増加する。
S43、隣接する二本のカーボンナノチューブの間にバナジウム酸化物層112を堆積して、カーボンナノチューブ構造体110の表面に、バナジウム酸化物層112が堆積されたカーボンナノチューブアレイ114を積層して設置する。
S44、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
【0046】
S41において、カーボンナノチューブアレイ114は化学気相成長法によって、基板の表面に成長する。この際、カーボンナノチューブアレイ114において、隣接する二本のカーボンナノチューブの距離は小さいので、隣接する二本のカーボンナノチューブの間にバナジウム酸化物層112を堆積し難しい。S42において、伸縮性テープ116によって、カーボンナノチューブアレイ114を基板から伸縮性テープ116に転移する。伸縮性テープ116を引き伸ばすことによって、カーボンナノチューブアレイ114における隣接する二本のカーボンナノチューブの距離を増加する。S43において、伸縮性テープ116を引き伸ばす状態を維持して、隣接する二本のカーボンナノチューブの大きい距離を保証する。これにより、隣接する二本のカーボンナノチューブの間にバナジウム酸化物層112を堆積しやすい。
【0047】
図9を参照すると、実施例5はアクチュエータ11Dを提供する。アクチュエータ11Dは、カーボンナノチューブ構造体110と、二酸化バナジウム構造体111と、保護層115と、を含む。カーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111は積層して設置される。カーボンナノチューブ構造体110或いは二酸化バナジウム構造体111の少なくとも一部は保護層115に被覆される。
【0048】
実施例5におけるアクチュエータ11Dの構造は実施例1におけるアクチュエータ11の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。アクチュエータ11Dは、保護層115を含む。カーボンナノチューブ構造体110或いは二酸化バナジウム構造体111の少なくとも一部は保護層115に被覆される。
【0049】
カーボンナノチューブ構造体110は二酸化バナジウム構造体111から脱しやすく、或いは不純物を吸着しやすい。二酸化バナジウム構造体111は腐蝕されやすい。保護層115を設置することによって、アクチュエータ11Dを保護でき、アクチュエータ11Dを異なる環境に正常に作動させる。保護層115の材料は可撓性材料であり、例えば、ポリマー或いはシリコーンゴムである。好ましくは、保護層115の厚さは小さく、且つ保護層115は弾力を有する。これにより、二酸化バナジウム構造体111が収縮する際、保護層115も収縮する。本実施例において、保護層115はシリコーンゴムからなり、且つカーボンナノチューブ構造体110及び二酸化バナジウム構造体111を完全に被覆する。
【0050】
アクチュエータ11Dの製造方法はアクチュエータ11の製造方法と基本的に同じであるが、異なるのは、アクチュエータ11Dの製造方法が保護層115を設置するステップを含む点である。
【0051】
図10を参照すると、実施例6はアクチュエータの応用システム10を提供する。アクチュエータの応用システム10はアクチュエータ11と、固定装置12と、励起装置13と、を含む。アクチュエータ11は実施例1〜5のアクチュエータであってもよい。
【0052】
アクチュエータ11は、カーボンナノチューブ構造体110と、カーボンナノチューブ構造体110と積層される二酸化バナジウム構造体111と、を含む。アクチュエータ11は湾曲のストリップ状である。アクチュエータ11の両端は固定装置12に設置され、ほかの部分は懸架される。アクチュエータ11の一端部のみは固定装置12に設置され、ほかの一端部は懸架されてもよい。好ましくは、励起装置13はカーボンナノチューブ構造体110と近接する側に設置される。励起装置13は無線によりアクチュエータ11に刺激を与える。励起装置13は光源である。本実施例において、アクチュエータ11の湾曲部の先は尖っている。励起装置13はレーザーである。好ましくは、励起装置13はパルスレーザー信号を提供する。
【0053】
励起装置13はアクチュエータ11にレーザーを出射する際、カーボンナノチューブ構造体110はレーザーを吸収して熱を転化する。二酸化バナジウム構造体111を相転移温度に加熱した後、相変化して収縮を発生し、懸架されるアクチュエータ11の部分は二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲する。励起装置13はレーザーを出射しない際、懸架されるアクチュエータ11の部分は元の形状に戻る。
【0054】
図11を参照すると、アクチュエータの応用システム10の製造方法を提供する。アクチュエータの応用システム10の製造方法は、下記のステップを含む。
S61、複数の凹槽141を有する基板14を提供し、基板14に複数の凹槽141を被覆するカーボンナノチューブ層状構造体117を設置する。
S62、カーボンナノチューブ層状構造体117を切り、複数のストリップ状のカーボンナノチューブ構造体110を形成し、ストリップ状のカーボンナノチューブ構造体110の両端は基板14に固定し、カーボンナノチューブ構造体110の中間部分は凹槽141によって懸架する。
S63、ストリップ状の各カーボンナノチューブ構造体110の表面にバナジウム酸化物層112を堆積して、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成する。
S64、基板14を切り、複数の固定装置12を形成し、且つ各固定装置12にアクチュエータ11を設置する。
【0055】
本実施例において、基板14はSi
3N
4からなる。基板14は複数の平行して間隔をあけるストリップ状の凹槽141を有する。凹槽141は貫通孔である。レーザーによってカーボンナノチューブ層状構造体117を切る。
【0056】
実施例6におけるアクチュエータ11を特徴付ける。
図12は、アクチュエータ11の走査型電子顕微鏡写真である。
図13は、アクチュエータ11の局部の走査型電子顕微鏡写真である。
図13を参照すると、カーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブは交差して且つ垂直して設置され、二酸化バナジウム構造体111はカーボンナノチューブ構造体110に均一に分布される。
図14を参照すると、カーボンナノチューブ構造体110の一部のカーボンナノチューブの表面は二酸化バナジウム構造体111に被覆される。
図15は、実施例6におけるアクチュエータ11のEDXスペクトルである。
図16は、実施例6におけるアクチュエータ11のラマン散乱スペクトルである。
図16を参照すると、二酸化バナジウム構造体111はカーボンナノチューブ構造体110の表面に均一に分布する。二酸化バナジウム構造体111は絶縁相である。アクチュエータの応用システム10に対してテストする。励起装置13はパルスレーザーを出射してアクチュエータ11を照射する。パルスレーザーのパワー密度は800mW/cm
2〜1600mW/cm
2である。アクチュエータ11の反応時間は12.5ミリ秒間である。曲げ振動の周波数は80Hzである。曲げ振動の周波数をテストする際、アクチュエータ11の周囲温度は43℃である。
【0057】
図17を参照すると、実施例7はアクチュエータの応用システム10Aを提供する。アクチュエータの応用システム10Aはアクチュエータ11と、固定装置12と、励起装置13と、を含む。アクチュエータ11は実施例1〜5のアクチュエータであってもよい。
【0058】
実施例7におけるアクチュエータの応用システム10Aの構造は実施例6におけるアクチュエータの応用システム10の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。アクチュエータ11の両端にはそれぞれ第三電極118が設置される。励起装置13は電源であり、二つの第三電極118と電気的に設置される。電源は交流電源或いは直流電源であってもよい。好ましくは、電源はアクチュエータ11にパルス電流を入力する。第三電極118は金属片であり、導電バインダーによってカーボンナノチューブ構造体110の表面に直接に固定される。カーボンナノチューブ構造体110は電源が出力する電気エネルギーを熱に転化して、二酸化バナジウム構造体111を加熱して変形させる。これにより、アクチュエータ11を湾曲させる。アクチュエータ11を加熱しない際、アクチュエータ11は元の形状に戻る。
【0059】
図18を参照すると、実施例8はアクチュエータの応用システム10Bを提供する。アクチュエータの応用システム10Bはアクチュエータ11と、固定装置12と、励起装置13と、を含む。アクチュエータ11はほかの実施例のアクチュエータであってもよい。
【0060】
実施例8におけるアクチュエータの応用システム10Bの構造は実施例6におけるアクチュエータの応用システム10の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。アクチュエータ11の一端のみは固定装置12に固定され、その他の一端は懸架されて方もちが形成される。二酸化バナジウム構造体111にはタングステンがドープされる。タングステンの重量比が0.5%である。
【0061】
実施例8におけるアクチュエータ11を特徴付ける。
図19は、アクチュエータ11の局部の走査型電子顕微鏡写真である。
図20は、実施例8におけるアクチュエータ11のEDSスペクトルである。
図20を参照すると、二酸化バナジウム構造体111にはタングステンが有効にドープされる。
【0062】
実施例8におけるアクチュエータの応用システム10Bをテストする。
図21は32℃から46℃まで加熱する際の湾曲のアクチュエータ11の光学写真である。
図21を参照すると、32℃でアクチュエータ11が湾曲して、46℃でアクチュエータ11がさらに湾曲する。46℃でアクチュエータ11の変形は32℃でアクチュエータ11の変形より大きい。
図22は、温度は常温の26℃及び50℃である際、実施例8におけるアクチュエータ11のラマン散乱スペクトルである。
図22を参照すると、温度は常温の26℃である際、二酸化バナジウム構造体111は絶縁相である。温度は50℃である際、二酸化バナジウム構造体111は金属相である。励起装置13はパルスレーザーを出射してアクチュエータ11を照射する。パルスレーザーのパワー密度は250mW/cm
2〜800mW/cm
2である。アクチュエータ11の反応時間は28.5ミリ秒間である。曲げ振動の周波数は35Hzである。曲げ振動の周波数をテストする際、アクチュエータ11の周囲温度は9℃である。
【0063】
図23を参照すると、実施例9はアクチュエータの応用システム10Cを提供する。アクチュエータの応用システム10Cはアクチュエータ11と、励起装置13と、を含む。アクチュエータ11は実施例1〜5のアクチュエータであってもよい。
【0064】
実施例9におけるアクチュエータの応用システム10Cの構造は実施例6におけるアクチュエータの応用システム10の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。励起装置13は熱源である。励起装置13はアクチュエータ11と平行して且つ間隔をあける加熱体132を含む。
【0065】
具体的に、励起装置13は絶縁基板130と、二つの第四電極131と、加熱体132と、第一電源133と、を含む。二つの第四電極131は絶縁基板130に間隔をあけて設置される。加熱体132は二つの第四電極131とそれぞれ電気的に接続される。第一電源133は二つの第四電極131とそれぞれ電気的に接続される。加熱体132はカーボンナノチューブ構造体110の一側に設置され、且つカーボンナノチューブ構造体110と間隔をあけて設置される。真空中でアクチュエータの応用システム10Cは作動する際、加熱体132は高温まで加熱できる。これにより、加熱体132とカーボンナノチューブ構造体110との距離は大きくてもよい。低温で加熱体132はアクチュエータ11を加熱する際、加熱体132とカーボンナノチューブ構造体110との距離は小さい。
【0066】
好ましくは、絶縁基板130は凹槽を有する。二つの第四電極131は対向して、凹槽の両側にそれぞれ設置される。二つの第四電極131の中心部は凹槽によって懸架される。これにより、加熱体132と絶縁基板130との熱伝導を減少する。アクチュエータ11の一端は第四電極131の表面に設置され、その他の一端は加熱体132の上に懸架される。加熱体132は金属抵抗線或いはカーボンナノチューブフィルムである。好ましくは、加熱体132はカーボンナノチューブフィルムである。凹槽の底部には熱反射層或いは光反射層を設置してもよい。これにより、カーボンナノチューブ構造体110は加熱体132が出射する熱或いは光を有効に吸収できる。
【0067】
図24を参照すると、実施例10は温度検出システム20を提供する。温度検出システム20は第二電源21と、電流計22と、第一電極23と、第二電極24と、アクチュエータ11と、を含む。アクチュエータ11は実施例1〜5のアクチュエータであってもよい。
【0068】
第二電源21は第一電極23及び第二電極24とそれぞれ電気的に接続される。アクチュエータ11は対向する第一端部及び第二端部を有する。第一端部は第一電極23に固定され、且つカーボンナノチューブ構造体110と電気的に接続される。第二端部は第二電極24に固定され、且つカーボンナノチューブ構造体110と電気的に接続される。これにより、第二電源21、第一電極23、第二電極24及びアクチュエータ11は回路を形成する。電流計22は回路に直列に接続し、電流の大きさを表示する。温度検出システム20を使用する際、アクチュエータ11を検出環境に設置する。例えば、カーボンナノチューブ構造体110を検出物に接触させる。回路の電流は小さいので、カーボンナノチューブ構造体110が生じる熱量は二酸化バナジウム構造体111の相転移温度に加熱できない。検出物の温度は二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より大きい際、アクチュエータ11は二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲して、アクチュエータ11の第二端部は第二電極24と離れる。これにより、回路は切断され、電流計22は電流の大きさを表示しない。
【0069】
温度検出システム20における部品の接続関係は限定されず、必要に応じて選択できる。例えば、平常にアクチュエータ11の第二端部は第二電極24と離れ、回路を形成しない。アクチュエータ11は検出物に相転移温度に加熱されると、アクチュエータ11は湾曲し且つ第二電極24と接触して、回路を形成する。電流計22は電流に敏感な他の電子装置でもよい。例えば、電流計22を電圧計に変換できる。アクチュエータ11が湾曲した後、電流に敏感な電子装置に流れる電流は変わることを保証できれば、電流に敏感な電子装置はアクチュエータ11と並列に接続してもよい。電流に敏感な電子装置に流れる電流は変わる際、表示或いは音によって、ユーザーに提示できる。
【0070】
図25を参照すると、実施例11は温度検出システム20Aを提供する。温度検出システム20Aは第二電源21と、電流計22と、第一電極23と、第二電極24と、熱伝導基板25と、アクチュエータ11と、を含む。アクチュエータ11は実施例1〜5のアクチュエータであってもよい。
【0071】
実施例11における温度検出システム20Aの構造は実施例10における温度検出システム20の構造と基本的に同じであるが、以下の点は異なる。温度検出システム20Aは熱伝導基板25を含む。アクチュエータ11は対向する第一端部及び第二端部を有する。第一端部は第一電極23によって熱伝導基板25に固定される。第二端部は湾曲した後に、湾曲した第二端部は第二電極24と接触され、且つ第二電極24に係止される。これにより、アクチュエータ11は湾曲状を維持する。熱伝導基板25は熱伝導性がよい材料からなる。本実施例において、熱伝導基板25は絶縁セラミックスからなる。二酸化バナジウム構造体111はタングステンがドープされる。二酸化バナジウム構造体111の相転移温度は37℃である。アクチュエータ11の弾力を高めるために、二酸化バナジウム構造体111と離れるカーボンナノチューブ構造体110の表面に柔軟な保護層115が設置される。保護層115はポリマーからなる。
【0072】
温度検出システム20Aを使用する際、アクチュエータ11を検出環境に設置し、熱伝導基板25は検知物と接触する。第二電源21、第一電極23、第二電極24及びアクチュエータ11は回路を形成する。電流計22は電流の大きさを表示する。検出物の温度は二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より大きい際、アクチュエータ11は二酸化バナジウム構造体111の側に向かって湾曲して、アクチュエータ11の第二端部は第二電極24と離れる。これにより、回路は切断され、電流計22は電流の大きさを表示しない。検出物の温度は二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より小さい際、弾力によって、アクチュエータ11は元の形状に戻る。この際、アクチュエータ11は第二電極24と接触する湾曲状に戻る。検出物の温度は二酸化バナジウム構造体111の相転移温度より小さい際、柔軟な保護層115はアクチュエータ11を元の形状に戻させ、第二電極24に接触させる。これにより、アクチュエータ11の感度を改善できる。
【0073】
図26は、温度検出システム20Aにおけるアクチュエータ11の走査型電子顕微鏡写真である。
図26を参照すると、第二電極24はアクチュエータ11を押さえることで、アクチュエータ11は湾曲状を維持する。
図27は、温度検出システム20Aを採用して、人体温度をテストする結果を示す図である。
図27を参照すると、人体温度は37℃である際、回路は切断され、突然に電流計22は電流の大きさを表示しなくなる。
【0074】
図28を参照すると、実施例12はアクチュエータ11を採用するロボットを提供する。ロボットは本体31と、本体31に設置される操作システム32と、を含む。本体31はバイオニックアーム33と、レーザー35と、を含む。バイオニックアーム33はアクチュエータ11で製造されるバイオニックパーム34を含む。バイオニックパーム34の構造は制限されず、必要に応じて設定できる。バイオニックパーム34は一つの指或いは複数の指を含んでもよい。本実施例において、バイオニックパーム34は相互に間隔をあける四つの指を含む。各指は一つの長いストリップ状のアクチュエータ11からなる。レーザー35はバイオニックパーム34を加熱することに用いる。レーザー35が出射するレーザーはバイオニックパーム34を照射することを保証できれば、レーザー35の設置位置は制限されない。
【0075】
図29はバイオニックアーム33の光学写真である。
図29(a)を参照すると、バイオニックパーム34は元の形状が湾曲状であるアクチュエータ11を採用して製造される。レーザー35を作動しない際、バイオニックパーム34における指は湾曲状を呈する。
図29(b)を参照すると、レーザー35を作動して、バイオニックパーム34を照射する際、バイオニックパーム34における指はさらに湾曲する。
図30は、バイオニックアーム33によって紙を移動する光学写真である。
【0076】
図31を参照すると、実施例13はアクチュエータ11を採用するバイオニック昆虫40を提供する。バイオニック昆虫40はボディ41と、少なくとも二つのウイング42と、を含む。少なくとも二つのウイング42はボディ41に接続して設置される。バイオニック昆虫40の寸法は数ミリメートルから数センチメートルである。
【0077】
バイオニック昆虫40の形状はトンボ、蝶、蚊、ハエ或いは蛾の形状であってもよい。
図32及び
図34を参照すると、ボディ41及びウイング42は一体構造体である。すなわち、ボディ41及びウイング42は共に層状のアクチュエータ11で製造される。層状のアクチュエータ11をバイオニック昆虫40の形状によって直接に切ることによって、バイオニック昆虫40を形成できる。また、
図11に示す方法のように、まず、カーボンナノチューブ層状構造体117を切り、バイオニック昆虫40の形状を形成する。そして、カーボンナノチューブ構造体110の表面にバナジウム酸化物層112を堆積して、酸素の雰囲気でバナジウム酸化物層112をアニールして、二酸化バナジウム構造体111を形成して、バイオニック昆虫40を形成できる。
図34を参照すると、
図11に示す方法によって、複数のバイオニック蝶を一度に形成する。
【0078】
図33を参照すると、バイオニック昆虫40のボディ41が固定される。10Hzの方形波パルスレーザーによってバイオニック昆虫40を照射する際、バイオニック昆虫40のウイング42は上下に振動する。ウイング42の振動の周波数は80Hzに達することができる。
【0079】
バイオニック昆虫40のボディ41はほかの材料からなることができる。例えば、ボディ41はポリマーからなる。この際、まず、層状のアクチュエータ11によってウイング42を形成する。そして、ウイング42の一端はボディ41に固定する。バイオニック昆虫40のボディ41にはさまざまのセンサを設置してもよい。例えば、センサはカメラであってもよい。カメラによって信号を収集できる。バイオニック昆虫40を使用する際、励起装置によってウイング42を刺激して振動させることができる。また、外部環境の温度変化によって、ウイング42を振動させることができる。バイオニック昆虫40は軍事分野に応用することができる。