【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1による多言語コミュニケーションシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。本実施例による多言語コミュニケーションシステム10は、ハードウェアとしては、一例としてサーバ16と複数の端末17を有している。
【0016】
多言語コミュニケーションシステム10は、端末17上でテキストによるリアルタイムのチャットを提供するシステムである。ユーザが1対1で対話する形態だけでなく、複数のユーザが対話することも可能である。
図1の例では3人のユーザ(AA、BB、CC)が対話している。また、多言語コミュニケーションシステム10は、テキストを翻訳して表示する機能を備えており、使用する言語の異なるユーザ間で情報をやりとりするコミュニケーションが可能である。
【0017】
図2、
図3、
図4は、実施例1による多言語コミュニケーションシステムの画面表示の一例を示す図である。
図2には、ユーザAAの端末17に表示される画面が示されている。
図3には、ユーザBBの端末17に表示される画面が示されている。
図4には、ユーザCCの端末17に表示される画面が示されている。ここではユーザAAは英語を使用し、ユーザBBは日本語を使用し、ユーザCCは仏語を使用しているものとする。
【0018】
チャット画面には、コミュニケーションに含まれる送信メッセージおよび受信メッセージが、書き込み日時の時系列で上から順に表示される。ここでは一例としてコミュニケーションはチャットであり、送受信するメッセージはテキストであるものとする。ただし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、メッセージに文書ファイルが含まれていてもよい。その場合、ファイルはそのまま転送することにしてもよいし、文書ファイルの内容を翻訳することにしてもよい。また、ここでは、一例として、自分が書き込んだ送信メッセージは右側に寄せて表示され、他のユーザが書き込んだ受信メッセージは左側に寄せて表示されている。
【0019】
図2に示すように、英語を使用するユーザAAのチャット画面には、ユーザAA自身が書き込んだ英語テキストT1aがユーザ名D1aおよび日時D2aと共に表示されている。日時D2aは2月3日の12:00を示している。次に、ユーザBBが書き込んだ日本語テキストT1bおよびその英訳テキストT2beがユーザ名D1bおよび日時D2bと共に表示されている。日時D2bは2月3日の12:05を示している。次に、ユーザCCが書き込んだ仏語テキストT1cおよびその英訳テキストT2ceがユーザ名D1cおよび日時D2cと共に表示されている。日時D2cは2月3日の12:12を示している。
【0020】
図3に示すように、日本語を使用するユーザBBのチャット画面には、ユーザAAが書き込んだ英語テキストT1aおよびその和訳テキストT2ajがユーザ名D1aおよび日時D2aと共に表示されている。日時D2aは2月3日の12:00を示している。次に、ユーザBB自身が書き込んだ日本語テキストT1bがユーザ名D1bおよび日時D2bと共に表示されている。日時D2bは2月3日の12:05を示している。次に、ユーザCCが書き込んだ仏語テキストT1cおよびその和訳テキストT2cjがユーザ名D1cおよび日時D2cと共に表示されている。日時D2cは2月3日の12:12を示している。
【0021】
図4に示すように、仏語を使用するユーザCCのチャット画面には、ユーザAAが書き込んだ英語テキストT1aおよびその仏訳テキストT2afがユーザ名D1aおよび日時D2aと共に表示されている。日時D2aは2月3日の12:00を示している。次に、ユーザBBが書き込んだ日本語テキストT1bおよびその仏訳テキストT2bfがユーザ名D1bおよび日時D2bと共に表示されている。日時D2bは2月3日の12:05を示している。次に、ユーザCCが書き込んだ仏語テキストT1cがユーザ名D1cおよび日時D2cと共に表示されている。日時D2cは2月3日の12:12を示している。
【0022】
このように、英語を使用するユーザAAと、日本語を使用するユーザBBと、仏語を使用するユーザCCは、それぞれ自身の言語で画面表示されたテキストを見て、自身の言語でテキストを書き込んで対話をすることができる。
【0023】
なお、
図2、
図3、
図4では、受信メッセージとして翻訳前のテキストと翻訳後のテキストの両者を表示する例を示したが、これに限定されることはない。他の例として、翻訳後のテキストのみを表示することにしもよいし、両者のうちいずれか一方を選択して切り換え可能に表示してもよい。
【0024】
図5は、実施例1における多言語コミュニケーションシステムの装置間のやりとりを示すシーケンス図である。ここでは2者によるチャットとして、ユーザAAの端末17aおよびユーザBBの端末17bがサーバ16に接続してチャットを開始する様子が示されている。
【0025】
ユーザAAが端末17a上でブラウザを用いてサーバ16への接続を要求すると(ステップ301)、端末17aは、ブラウザに設定された言語情報を取得し(ステップ302)、その言語情報をサーバ16に通知しつつサーバ16に接続する(ステップ303)。このとき、サーバ16は端末17aで使用されている言語を知得する(ステップ304)。
【0026】
また同様に、ユーザBBが端末17b上でブラウザを用いてサーバ16への接続を要求すると(ステップ305)、端末17bは、ブラウザに設定された言語情報を取得し(ステップ306)、その言語情報をサーバ16に通知しつつサーバ16に接続する(ステップ307)。このとき、サーバ16は端末17bで使用されている言語を知得する(ステップ308)。
【0027】
その状態でユーザAAが端末17aを用いて、ユーザBBとのチャットの開始を要求すると(ステップ309)、端末17aはサーバ16にチャットを要求する(ステップ310)。サーバ16は、端末17aについて、そのチャットに対して、端末17aからの送信メッセージおよび端末17aへの受信メッセージが時系列に表示可能に記載される端末メッセージボックスBox_Aを定義し、その端末メッセージボックスBox_Aに端末17aの使用言語(ここでは英語)を関連づける(ステップ311)。時系列に表示可能というのは、時系列の順に表示することが可能であれば、必ずしもメッセージが時系列順に記録されていなくてもよい。例えば、各メッセージに書き込み時刻の情報が付加されていれば、時系列に表示可能である。
【0028】
また、ユーザBBが端末17bを用いて、ユーザAAとのチャットの開始を要求すると(ステップ312)、端末17bはサーバ16にチャットを要求する(ステップ313)。サーバ16は、端末17bについて、そのチャットに対して、端末17bからの送信メッセージおよび端末17bへの受信メッセージが時系列に表示可能に記載される端末メッセージボックスBox_Bを定義し、その端末メッセージボックスBox_Bに端末17bの使用言語(ここでは日本語)を関連づける(ステップ314)。
【0029】
端末17a、17bの端末メッセージボックスBox_A、Box_Bが揃ったら、サーバ16は、端末メッセージボックスBox_Aと端末メッセージボックスBox_Bを結合する(ステップ315)。この結合は、端末メッセージボックス間でのテキストの翻訳における翻訳元言語と翻訳先言語を固定し、一方の端末メッセージボックスに書き込まれたテキストを即座に翻訳して他方の端末メッセージボックスに反映できる状態にすることである。結合は、一方の端末メッセージボックスから他方の端末メッセージボックスへの片方向のものであるが、通常は双方向分の2つの結合が同時に設定される。
【0030】
端末メッセージボックスBox_Aから端末メッセージボックスBox_Bへの結合が設定されると、サーバ16は、端末17aに定義された端末メッセージボックスBox_Aに書き込まれた送信メッセージのテキストを、端末メッセージボックスBox_Aの使用言語(英語)を翻訳元言語とし端末17bに定義された端末メッセージボックスBox_Bの使用言語(日本語)を翻訳先言語として翻訳し、端末メッセージボックスBox_Bに受信メッセージのテキストとして書き込むようになる。また、端末メッセージボックスBox_Bから端末メッセージボックスBox_Aへの結合が設定されると、サーバ16は、端末17bに定義された端末メッセージボックスBox_Bに書き込まれた送信メッセージのテキストを、端末メッセージボックスBox_Bの使用言語(日本語)を翻訳元言語とし端末17aに定義された端末メッセージボックスBox_Aの使用言語(英語)を翻訳先言語として翻訳し、端末メッセージボックスBox_Aに受信メッセージのテキストとして書き込むようになる。
【0031】
その後、ユーザAAがテキストを書き込むと(ステップ316)、そのテキストは端末17aからサーバ16へ送信メッセージとして伝達し(ステップ317)、サーバ16は、即座に、そのテキストについて英語から日本語への翻訳を行う(ステップ318)。同様に、ユーザBBがテキストを書き込むと(ステップ319)、そのテキストは端末17bからサーバ16へ送信メッセージとして伝達し(ステップ320)、サーバ16は、即座に、そのテキストについて日本語から英語への翻訳を行う(ステップ321)。一旦、結合を設定してしまえば、その結合を解除するまでは、翻訳元言語および翻訳先言語が変わることがないので、サーバ16は、書き込まれたテキストの翻訳を即座に開始することができる。
【0032】
図6は、実施例1による多言語コミュニケーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
図6には、多言語コミュニケーションシステム10の機能構成を示す機能ブロック図が示されている。多言語コミュニケーションシステム10の主な機能はサーバ16に配置されるが、例えば、ブラウザを介して一部機能が端末17に配置されてもよい。
【0033】
図6を参照すると、多言語コミュニケーションシステム10は、参加端末接続部11、ボックス結合設定部12、ボックス結合実行部13、メッセージ保存部14、および翻訳学習部15を有している。
【0034】
参加端末接続部11は、コミュニケーションに参加する複数の端末17と接続し、端末17のそれぞれに設定されている言語情報を取得してその言語情報から端末17で使用されている使用言語を知得する。さらに、参加端末接続部11は、端末17からの送信メッセージおよび端末17への受信メッセージが時系列に表示可能に記載される端末メッセージボックスをコミュニケーションに対して端末17毎に定義し、その端末メッセージボックスに端末17の使用言語を関連づける。
【0035】
ボックス結合設定部12は、端末17a(第1の端末)に定義された端末メッセージボックスBox_A(第1の端末メッセージボックス)に書き込まれた送信メッセージを、端末メッセージボックスBox_Aの使用言語を翻訳元言語とし端末17b(第2の端末)に定義された端末メッセージボックスBox_B(第2の端末メッセージボックス)の使用言語を翻訳先言語として翻訳し、端末メッセージボックスBox_Bに受信メッセージとして書き込むように、端末メッセージボックスBox_Aと端末メッセージボックスBox_Bの結合を設定する。
【0036】
ボックス結合実行部13は、端末17aから端末メッセージボックスBox_Aへ送信メッセージが書き込まれると、その結合に従って、送信メッセージを翻訳元言語(英語)から翻訳先言語(日本語)へ翻訳し、端末メッセージボックスBox_Bに受信メッセージとして書き込んで端末17bに表示する。
【0037】
このように、本実施例によれば、端末17が多言語コミュニケーションシステム10に接続し、ある相手とのコミュニケーションを設定するとき、端末17に設定されている言語情報を取得し、端末17毎の端末メッセージボックスを定義し、例えば端末17aからの書き込みを翻訳して端末17bに表示するように端末メッセージボックスを予め結合しておくので、端末17aからメッセージが書き込まれると即座に翻訳を実行し、翻訳されたメッセージを端末17bに表示することができる。
【0038】
その際、参加端末接続部11は、端末17が多言語コミュニケーションシステム10に接続するとき言語情報を取得し、多言語コミュニケーションシステム10に接続した端末17が、特定の相手とのコミュニケーションを設定するときに、端末17についての端末メッセージボックスを定義することにしてもよい。端末17が多言語コミュニケーションシステム10に接続するときに、端末17に設定されている言語情報を予め取得しておくので、端末17が特定の相手とのコミュニケーションを設定するとき、迅速に、端末メッセージボックスを定義し、端末メッセージボックス同士の間に翻訳の結合を設定することができる。
【0039】
また、参加端末接続部11は、端末17を多言語コミュニケーションシステム10に接続する毎に、端末17に設定されている言語情報を取得する。端末17を多言語コミュニケーションシステム10に接続する毎に言語情報を新たに取得するので、最新の状態でのユーザが使用する言語を自動的に選択することができる。
【0040】
図7は、実施例1による多言語コミュニケーションシステムによる翻訳準備処理のフローチャートである。まず、多言語コミュニケーションシステム10は、参加端末接続部11により、ユーザが端末17を用いて多言語コミュニケーションシステム10に対する接続を要求してくるのを待ちうける(ステップ101)。接続要求があると、多言語コミュニケーションシステム10は、参加端末接続部11により、端末17のブラウザから言語情報を取得するととともに(ステップ102)、端末17と接続する(ステップ103)。
【0041】
次に、多言語コミュニケーションシステム10は、参加端末接続部11により、端末17からコミュニケーションであるチャットへの参加の要求を待ち受ける(ステップ104)。参加要求があると、多言語コミュニケーションシステム10は、参加端末接続部11により、その端末17の端末メッセージボックスを定義する(ステップ105)。
【0042】
さらに、多言語コミュニケーションシステム10は、ボックス結合設定部12により、その端末17の端末メッセージボックスと、コミュニケーションを行う他の端末17の端末メッセージボックスとの結合を設定する(ステップ106)。
【0043】
次に、ステップ106に示した端末メッセージボックスを結合する処理について詳細について説明する。
図8は、実施例1によるボックス結合設定の詳細処理を示すフローチャートである。
【0044】
ボックス結合設定部12は、送信側の端末17の言語情報を参照し、翻訳元言語を判断する(ステップ201)。続いて、ボックス結合設定部12は、受信側の端末17の言語情報を参照し、翻訳先言語を判断する(ステップ202)。更に、ボックス結合設定部12は、翻訳元言語と翻訳先言語に基づいて、翻訳に用いる辞書を選択し(ステップ203)、送信側の端末17から書き込まれたテキストを受信側の端末17に表示するために翻訳を実行するものとして設定する(ステップ204)。
【0045】
なお、ボックス結合設定部12は、2つの端末17の間で双方向のコミュニケーションを行うためには2つの結合を設定する。
図9は、実施例1における双方向2つの結合を設定する様子を示す図である。
【0046】
端末17aの端末メッセージボックスBox_Aと端末17bの端末メッセージボックスBox_Bの間には、2つの結合C1、C2が設定されている。端末メッセージボックスBox_Aから端末メッセージボックスBox_Bへの結合では英語(E)から日本語(J)への翻訳が設定されている。端末メッセージボックスBox_Bから端末メッセージボックスBox_Aへの結合では日本語(J)から英語(E)への翻訳が設定されている。
【0047】
なお、ここまで2つの端末17a、17bが1対1で対話するコミュニケーションについて述べてきたが、
図1に示したように、3つ以上の端末17a、17b、17cが対話することも可能である。例えば、コミュニケーションは3人以上のユーザが参加可能なグループチャットであり、端末17aと端末17bで既に設定されているチャットに新たに第3の端末17cが参加するとき、参加端末接続部11は、チャットグループに対して端末17cの端末メッセージボックスを定義する。ボックス結合設定部12は、端末17cの端末メッセージボックスを送信側とし他の各端末17a、17bの端末メッセージボックスを受信側とする結合と、他の各端末17a、17bの端末メッセージボックスを送信側とし端末17cの端末メッセージボックスを受信側とする結合を設定する。グループチャットに新たなユーザ(端末17c)が参加するときに端末メッセージボックスおよびその結合を追加しておくので、実際に端末17cからの送信メッセージのテキストの書き込みの他の端末17a、17bへの提示、および他の端末17a、17bから端末17cへの翻訳文の提示おいて、翻訳を迅速に行うことが可能である。
【0048】
図10は、実施例1における端末の構成を示すブロック図である。
図10には、パーソナルコンピュータ(PC)により構成した端末17の概略ブロック図が示されている。端末17にはブラウザ21上で動作するソフトウェア23が存在している。ソフトウェア23は、PCにインストールされたソフトウェアでなく、サーバ16からブラウザ21を介して一時的に配置されたものであってもよい。ブラウザ21には言語情報22が設定されている。ソフトウェア23は言語情報22を取得し、サーバ16に通知することとなる。
【0049】
端末17では、ブラウザ21上でソフトウェア23が動作するようになっており、ソフトウェア23が実行されると、ソフトウェア23により少なくとも一部が実現される参加端末接続部11は、端末17のブラウザ21に設定されている言語情報22を取得し、端末17を多言語コミュニケーションシステム10に接続する。ソフトウェア23が端末17のブラウザ21から言語情報22を取得するので、ユーザが言語を指定する作業をしなくてもユーザが使用する言語を自動的に知得することができる。例えば、PCにて、ブラウザベースのソフトウェアを動作させることにより、異なる言語でのチャットが可能となる。
【0050】
図11は、実施例1における他の端末の構成を示すブロック図である。
図11には、スマートフォンにより構成した端末17の概略ブロック図が示されている。端末17には、オペレーティングシステム(OS)上で動作するアプリケーションソフトウェア33がインストールされている。スマートフォンのOSの例としてAndroid(登録商標)やiOS(登録商標)がある。
【0051】
ここで端末17にはOS31上で動作するアプリケーション33がインストールされている。端末17にてアプリケーション33が起動されると、アプリケーション33により少なくとも一部が実現される参加端末接続部11は、端末17のオペレーティングシステム31に設定されている言語情報32を取得し、端末17を多言語コミュニケーションシステム10に接続する。アプリケーションソフトウェアが端末17のOS31から言語情報32を取得するので、ユーザが言語を指定する作業をしなくても、またユーザがテキストを書き始める前に、ユーザの使用言語を自動的に知得することができる。例えば、スマートフォンにて、OS上のネイティブのアプリケーションをインストールしておくことにより、異なる言語でのチャットが可能となる。
【0052】
図12は、実施例1におけるデータ書き出し処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、メッセージ保存部14は、所定の書き出しタイミングとなるまで待機する(ステップ501)。書き出しタイミングは、端末メッセージボックスへのテキストの書き込みとは非同期のタイミングであり、その定め方は特に限定されない。例えば、一定時間間隔に書き出しタイミングを設けても良いし、蓄積したメッセージのデータ量が一定値に達したら書き出しタイミングが来たと判断することにしてもよい。書き出しタイミングであると判断したら、メッセージ保存部14は、端末メッセージボックスに書き込まれたテキスト、あるいは他の端末17からのテキストおよびそれを翻訳したテキスト、およびそれらのテキストに付加された各種情報を含むデータをデータベースに書き出す(ステップ502)。
【0054】
このようにメッセージ保存部14は、端末メッセージボックスに時系列に表示可能に記載されたメッセージのデータを、書き込みタイミングと非同期の所定のタイミングで、まとめて不図示のデータベースに記録する。端末17から書き込まれたメッセージを書き込みと非同期にまとめてデータベースに記録するので、ユーザがメッセージを書き込むときに翻訳などの処理が遅延して応答性が低下するのを低減することができる。
【0055】
また、例えば、端末17bに表示された端末メッセージボックスBox_B上の受信メッセージは、端末17bから修正可能である。
図13は、実施例1における翻訳文の修正の様子を示す図である。
図13の例では、受信メッセージである、ユーザBBが書き込んだ日本語テキストT1bの英訳テキストT2beが修正中である。メッセージ保存部14は、受信メッセージが修正されると、受信メッセージの翻訳前のメッセージと、修正前の受信メッセージと、修正後の受信メッセージと、を対応づけた翻訳修正データを不図示のデータベースに蓄積する。ここでいう辞書データには、両言語の単語同士を対応づけるデータだけでなく、広く翻訳方法を定めるデータを含んでもよい。ユーザにより翻訳が修正された場合にその修正内容をデータベースに蓄積するので、修正内容を分析して辞書等に反映させ、翻訳の精度を向上させることができる。
【0056】
翻訳学習部15は、ボックス結合実行部13がデータベースに蓄積したデータを分析し、ボックス結合実行部13が翻訳に用いる辞書データを更新する。ユーザによる翻訳文の修正を学習機能により辞書データにフィードバックし、翻訳の精度を向上させることができる。
【0057】
図14は、実施例1における翻訳学習処理を示すフローチャートである。翻訳学習部15は、データベースに蓄積された翻訳修正データを取り出し(ステップ601)、分析する(ステップ602)。そして、翻訳学習部15は、分析結果に基づいて辞書データを更新する(ステップ603)。
【0058】
なお、上述した端末メッセージボックスは、それぞれの記憶領域を分離することは必ずしも必要ない。例えば、メッセージのデータに、所属する端末メッセージボックスの識別を可能にする情報を付加することにより、分離可能に蓄積することにしてもよい。例えば、端末メッセージボックスは、ユーザが書き込んだメッセージに、そのメッセージを書き込んだユーザを示す書き込みユーザ情報かそのメッセージが書き込まれた端末を示す書き込み端末情報の少なくとも一方と、そのメッセージが書き込まれた日時を示す書き込み日時情報と、そのメッセージが翻訳されたものか否かを示す翻訳フラグと、そのメッセージが翻訳されたものであれば翻訳元言語および翻訳先言語の情報とを付加し、各端末メッセージボックスへの所属の有無と、時系列の順序とを判断可能に定義された仮想的なボックスであってもよい。データの蓄積場所であるボックスを仮想的に定義することにより、端末メッセージボックス毎に異なる処理を実行することを可能にすると共に、メッセージのデータを分散させずに効率よく蓄積することが可能となる。
【0059】
その場合、ボックス結合設定部12は、送信メッセージおよび受信メッセージに付加された端末情報、書き込み日時情報、および翻訳フラグに基づいて、送信メッセージおよび受信メッセージを時系列に表示する画面データを生成し、その画面データに基づく画面を端末17に表示することにしてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施例の基本的な構成および動作を示したが、本実施例は様々な変形が可能である。
【実施例3】
【0067】
実施例1では、端末17をサーバ16に接続するときに、端末17に設定されている言語情報を取得し、サーバ16に通知する例を示したが、本発明がこれに限定されることはない。実施例3では、接続済の端末17から他のいずれかの端末17とのコミュニケーションを開始する要求があったときに、端末17に設定されている言語情報を取得し、サーバ16に通知する例を示す。
【0068】
以下、主に実施例3における実施例1と相違する部分について説明する。
【0069】
図16は、実施例3における装置間のやりとりを示すシーケンス図である。ここではユーザAAおよびユーザBBがサーバ16に接続してチャットを開始する様子が示されている。
【0070】
ユーザAAが端末17aを用いてブラウザでサーバ16への接続を要求すると(ステップ401)、端末17aはサーバ16に接続する(ステップ402)。また同様に、ユーザBBが端末17bを用いてブラウザでサーバ16への接続を要求すると(ステップ403)、端末17bはサーバ16に接続する(ステップ404)。
【0071】
その状態でユーザAAが端末17aを用いて、ユーザBBとのチャットの開始を要求すると(ステップ405)、端末17aはブラウザに設定されている言語情報を取得し(ステップ406)、その言語情報をサーバ16に通知しつつチャットの開始を要求する(ステップ407)。
【0072】
このとき、サーバ16は、端末17aで使用されている言語を知得する(ステップ408)。さらに、サーバ16は、端末17aについて、そのチャットに対して、端末17aからの送信メッセージおよび端末17aへの受信メッセージが時系列に表示可能に記載される端末メッセージボックスBox_Aを定義し、その端末メッセージボックスBox_Aに端末17aの使用言語(ここでは英語)を関連づける(ステップ409)。
【0073】
また、ユーザBBが端末17bを用いて、ユーザAAとのチャットの開始を要求すると(ステップ410)、端末17bは、ブラウザに設定されている言語情報を取得する(ステップ411)。そして、端末17bは、その言語情報をサーバ16に通知しつつチャットの開始を要求する(ステップ412)。
【0074】
このとき、サーバ16は端末17bの使用言語を知得する(ステップ413)サーバ16は、端末17bについて、そのチャットに対して、端末17bからの送信メッセージおよび端末17bへの受信メッセージが時系列に表示可能に記載される端末メッセージボックスBox_Bを定義し、その端末メッセージボックスBox_Bに端末17bの使用言語(ここでは日本語)を関連づける(ステップ414)。
【0075】
端末17a、17bの端末メッセージボックスBox_A、Box_Bが揃ったら、サーバ16は、端末メッセージボックスBox_Aと端末メッセージボックスBox_Bを結合する(ステップ415)。
【0076】
端末メッセージボックスBox_Aと端末メッセージボックスBox_Bが結合されと、サーバ16は、端末17aに定義された端末メッセージボックスBox_Aに書き込まれた送信メッセージのテキストを、端末メッセージボックスBox_Aの使用言語(英語)を翻訳元言語とし端末17bに定義された端末メッセージボックスBox_Bの使用言語(日本語)を翻訳先言語として翻訳し、端末メッセージボックスBox_Bに受信メッセージのテキストとして書き込むようになる。また、サーバ16は、端末17bに定義された端末メッセージボックスBox_Bに書き込まれた送信メッセージのテキストを、端末メッセージボックスBox_Bの使用言語(日本語)を翻訳元言語とし端末17aに定義された端末メッセージボックスBox_Aの使用言語(英語)を翻訳先言語として翻訳し、端末メッセージボックスBox_Aに受信メッセージのテキストとして書き込むようになる。
【0077】
その後、ユーザAAがテキストを書き込むと(ステップ416)、そのテキストは端末17aからサーバ16へ送信メッセージとして伝達し(ステップ417)、サーバ16は、即座に、そのテキストについて英語から日本語への翻訳を行う(ステップ418)。同様に、ユーザBBがテキストを書き込むと(ステップ419)、そのテキストは端末17bからサーバ16へ送信メッセージとして伝達し(ステップ420)、サーバ16は、即座に、そのテキストについて日本語から英語への翻訳を行う(ステップ421)。一旦、結合を設定してしまえば、その結合を解除するまでは、翻訳元言語および翻訳先言語が変わることがないので、サーバ16は、書き込まれたテキストの翻訳を即座に開始することができる。
【0078】
その際、多言語コミュニケーションシステム10の参加端末接続部11は、端末17が多言語コミュニケーションシステム10に接続し、特定の相手とのコミュニケーションを設定するときに、言語情報を取得し、その端末17についての端末メッセージボックスを定義する。端末17がコミュニケーションを開始するときに端末17に設定されている言語情報を取得し、端末メッセージボックスを定義し、端末メッセージボックス同士の翻訳の結合するので、テキストが書き込まれると即座に翻訳を行うことができる。
【0079】
上述した本発明の実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。