(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の保護膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、前記第2の保護膜の前記下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合にほぼ等しいかそれよりも小さく、前記第2の保護膜の前記下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、前記第2の保護膜の前記上層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも小さい請求項2に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
前記第1の膜を成膜するステップにおいては、前記第1の膜を、前記第1の保護膜のエッチング速度にほぼ等しいかそれよりも大きいエッチング速度を有するように成膜する請求項5に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
前記第1の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合を、第2の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも大きくする請求項4に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、薄膜トランジスタアレイ基板に二つの電場生成電極を形成し、コンタクト孔の幅が大きくなることを防ぐことのできる薄膜トランジスタアレイ基板及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、コンタクト孔の断面を正テーパ構造を有するように形成して、コンタクト孔内における電場生成電極の断線を防ぐことのできる薄膜トランジスタアレイ基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板は、基板と、基板の上に配設され、ゲートパッド部を備えるゲート線と、ゲート線の上に配設されるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に配設されてソース電極とデータパッド部とを備えるデータ線及びゲート絶縁膜の上に配設されるドレイン電極と、データ線及びドレイン電極の上に配設される第1の保護膜と、第1の保護膜の上に配設される第1の電場生成電極と、第1の電場生成電極の上に配設される第2の保護膜と、第2の保護膜の上に配設される第2の電場生成電極と、を備え、第1の保護膜及び第2の保護膜は無機物であり、ゲート絶縁膜と、第1の保護膜及び第2の保護膜は、ゲートパッド部の一部を露出させる第1のコンタクト孔を有し、第1の保護膜及び第2の保護膜は、データパッド部の一部を露出させる第2のコンタクト孔を有し、第1のコンタクト孔及び第2のコンタクト孔のうちの一方以上は、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有する。
【0009】
ゲート絶縁膜と、第1の保護膜及び第2の保護膜のうちの少なくとも一つは、下層及び下層の上に配設される上層を備え、上層のコンタクト孔の断面積が下層のコンタクト孔の断面積よりも大きくてもよい。
【0010】
第1の保護膜は、単一膜であってもよい。
【0011】
第2の保護膜は、下層と下層の上に配設される上層とを備える二重膜であってもよい。
【0012】
第1の保護膜のエッチング速度は、第2の保護膜の下層のエッチング速度に等しいかそれよりも小さく、第2の保護膜の下層のエッチング速度は、第2の保護膜の上層のエッチング速度よりも小さくてもよい。
【0013】
ゲート絶縁膜のエッチング速度は、第1の保護膜のエッチング速度よりも小さくてもよい。
【0014】
第1の保護膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、第2の保護膜の下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合にほぼ等しいかそれよりも小さく、第2の保護膜の下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、第2の保護膜の上層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも小さくてもよい。
【0015】
薄膜トランジスタアレイ基板は、第1の保護膜と第1の電場生成電極との間に配設される有機膜をさらに備え、有機膜は、ゲートパッド部及びデータパッド部に対応する領域には配設されなくてもよい。
【0016】
第1の保護膜及び第2の保護膜は、ドレイン電極の一部を露出させるドレイン電極コンタクト孔を有し、第2の電場生成電極は、ドレイン電極コンタクト孔を介してドレイン電極と接続され、ドレイン電極コンタクト孔は、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有していてもよい。
【0017】
有機膜は、ドレイン電極コンタクト孔を囲繞する開口部を有していてもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板は、基板と、基板の上に配設され、ゲートパッド部を備えるゲート線と、ゲート線の上に配設されるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上に配設されてソース電極とデータパッド部とを備えるデータ線及びゲート絶縁膜の上に配設されるドレイン電極と、データ線及びドレイン電極の上に配設される第1の保護膜と、第1の保護膜の上に配設される第1の電場生成電極と、第1の電場生成電極の上に配設される第2の保護膜と、第2の保護膜の上に配設される第2の電場生成電極と、を備え、第1の保護膜及び第2の保護膜は無機物であり、第1の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、第2の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも大きい。
【0019】
第2の保護膜は、下層と下層の上に配設される上層とを備える二重膜であり、第1の保護膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、第2の保護膜の下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合にほぼ等しいかそれよりも小さく、第2の保護膜の下層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合は、第2の保護膜の上層のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも小さくてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、基板の上にゲートパッド部を備えるゲート線を形成するステップと、ゲート線の上にゲート絶縁膜を成膜するステップと、ゲート絶縁膜の上に半導体を形成するステップと、半導体の上に、ソース電極とデータパッド部とを備えるデータ線と、ドレイン電極と、を形成するステップと、データ線及びドレイン電極の上に第1の保護膜を成膜するステップと、第1の保護膜の上に第1の電場生成電極を形成するステップと、第1の電場生成電極の上に第2の保護膜を成膜するステップと、第2の保護膜の上に第2の電場生成電極を形成するステップと、を含み、第1の保護膜のエッチング速度は、第2の保護膜のエッチング速度よりも小さい。
【0021】
第2の保護膜を成膜するステップは、第1の保護膜の上に第1の膜を成膜するステップと、第1の膜の上に第2の膜を成膜するステップと、を含み、第2の膜のエッチング速度は、第1の膜のエッチング速度よりも速くてもよい。
【0022】
第1の膜を成膜するステップにおいては、第1の膜を、第1の保護膜のエッチング速度にほぼ等しいかそれよりも大きいエッチング速度を有するように成膜してもよい。
【0023】
ゲート絶縁膜を成膜するステップにおいては、ゲート絶縁膜を、第1の保護膜のエッチング速度よりも小さいエッチング速度を有するように成膜してもよい。
【0024】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、第2の保護膜及び第3の保護膜をエッチングしてコンタクト孔を形成するステップをさらに含み、コンタクト孔を形成するステップにおいては、コンタクト孔を、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成してもよい。
【0025】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に有機絶縁膜を成膜するステップをさらに含み、有機絶縁膜を成膜するステップにおいては、コンタクト孔の周りには有機絶縁膜を成膜しなくてもよい。
【0026】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、第1の保護膜と第2の保護膜との間に有機絶縁膜を成膜するステップをさらに含み、有機絶縁膜は、ゲートパッド部及びデータパッド部に対応する領域には成膜しなくてもよい。
【0027】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、ゲート絶縁膜と、第1の保護膜及び第2の保護膜にゲートパッド部の一部を露出させる第1のコンタクト孔を形成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0028】
第1のコンタクト孔を形成するステップにおいては、第1のコンタクト孔を、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成してもよい。
【0029】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、第1の保護膜及び第2の保護膜にデータパッド部の一部を露出させる第2のコンタクト孔を形成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0030】
第2のコンタクト孔を形成するステップにおいては、第2のコンタクト孔を、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成してもよい。
【0031】
第1の保護膜は、第2の保護膜よりも高温で成膜されてもよい。
【0032】
第2の保護膜を成膜するステップは、第1の保護膜の上に第1の膜を成膜するステップと、第1の膜の上に第2の膜を成膜するステップと、を含み、第1の膜は、第2の膜よりも高温で成膜されてもよい。
【0033】
ゲート絶縁膜は、第1の保護膜にほぼ等しいかそれよりも高い温度で成膜されてもよい。
【0034】
薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法においては、第1の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合を、第2の保護膜内のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも大きくしてもよい。
【0035】
第2の保護膜を成膜するステップは、第1の保護膜の上に第1の膜を成膜するステップと、第1の膜の上に第2の膜を成膜するステップと、を含み、第1の保護膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合を、第2の保護膜の第1の膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合にほぼ等しいかそれよりも小さくし、第2の保護膜の第1の膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合を、第2の保護膜の第2の膜のケイ素と水素との結合濃度に対する窒素と水素との結合濃度の割合よりも小さくしてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板は、コンタクト孔が形成される領域のゲート絶縁膜から、第1の保護膜と、第2の保護膜の下層及び第2の保護膜の上層に向かうに従ってドライエッチング速度が速くなることから、コンタクト孔が形成される絶縁膜の膜厚が厚くならず、これにより、コンタクト孔の幅が大きくなることを防ぐことができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板は、コンタクト孔の断面を正テーパ構造を有するように形成することから、コンタクト孔内における電場生成電極の断線を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板のレイアウト図である。
【
図2】
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をII-II’線に沿って切り取った断面図である。
【
図3】
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をIII-III’線に沿って切り取った断面図である。
【
図4】
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をIV-IV’線に沿って切り取った断面図である。
【
図5】
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をV-V’線に沿って切り取った断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の一部を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【
図31】本発明の一実施例による保護膜のエッチング速度を示すグラフである。
【
図32】本発明の一実施例によるコンタクト孔の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図33】本発明の一実施例によるコンタクト孔の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態につき、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者が容易に実施できる程度に詳しく説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0040】
図中、複数の層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って類似する部分に対しては同じ図面符号を付する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとしたとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0041】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
先ず、
図1から
図6に基づいて、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板のレイアウト図であり、
図2は、
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をII-II’線に沿って切り取った断面図であり、
図3は、
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をIII-III’線に沿って切り取った断面図であり、
図4は、
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をIV-IV’線に沿って切り取った断面図であり、
図5は、
図1の薄膜トランジスタアレイ基板をV-V’線に沿って切り取った断面図であり、そして
図6は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の一部を示す断面図である。
【0042】
図1から
図6を参照すると、絶縁基板110の上に複数本のゲート線121が形成されている。
【0043】
各ゲート線121は、下方に突き出た複数のゲート電極124と、他の層または外部駆動回路との接続のための大面積のゲートパッド部129と、を備える。ゲート信号を生成するゲート駆動回路(図示せず)は、基板110の上に取り付けられるフレキシブルプリント回路膜(図示せず)の上に取り付けられてもよく、基板110の上に直接的に取り付けられてもよい。
【0044】
ゲート線121は単一膜であってもよく、2以上の導電膜を備える多重膜であってもよい。
【0045】
ゲート線121の上には、ゲート絶縁膜140が成膜されている。ゲート絶縁膜140は、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの無機絶縁物などから形成されてもよい。
【0046】
ゲート絶縁膜140の上には、複数の半導体151が形成されている。半導体151は、ゲート電極124に向かって拡張されている突出部154を備える。半導体151は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、酸化物半導体などであってもよい。本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置においては、半導体151は、ゲート電極124の上にだけ配設されてもよい。
【0047】
半導体151は、データパッド部179の下に配設される端部159を備える。
【0048】
半導体151の上には、複数の抵抗性接触部材161、163、165、169が形成されている。抵抗性接触部材163、165は、ゲート電極124を中心として相対向し、且つ、対をなして半導体151の突出部154の上に配設されている。抵抗性接触部材169は、後述するデータパッド部179の下に配設される。
【0049】
抵抗性接触部材161、163、165、169は、リンなどのn型不純物が高濃度でドープされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質から形成されてもよく、シリサイドから形成されてもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置においては、抵抗性接触部材161、163、165、169は省略されてもよい。例えば、半導体151が酸化物半導体においては、抵抗性接触部材161、163、165、169は省略されてもよい。
【0050】
抵抗性接触部材161、163、165、169の上には、複数本のデータ線171と複数のドレイン電極175とを備えるデータ導電体が形成されている。
【0051】
データ線171はデータ信号を送信し、主として縦方向に延びてゲート線121と交差する。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延びた複数のソース電極173と、他の層または外部駆動回路との接続のための大面積のデータパッド部179と、を備える。データ信号を生成するデータ駆動回路(図示せず)は、基板110の上に取り付けられるフレキシブルプリント回路膜(図示せず)の上に取り付けられてもよく、基板110の上に直接的に取り付けられてもよい。
【0052】
データ線171は周期的に折れ曲がっており、ゲート線121の延在方向と斜角をなす。データ線171がゲート線121の延在方向となす斜角は、45度以上であってもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、データ線171は一直線状に延びていてもよい。
【0053】
ドレイン電極175は、ゲート電極124を中心としてソース電極173と向かい合う棒状端部と、大面積の他方の端部と、を備える。
【0054】
データ導電体171、175は単一膜であってもよく、2以上の導電膜を備える多重膜であってもよい。
【0055】
ゲート電極124と、ソース電極173及びドレイン電極175は、半導体151の突出部154とともにスイッチング素子である薄膜トランジスタ(thin-film-transistor;TFT)をなす。半導体151は、薄膜トランジスタが配設される半導体151の突出部154を除くと、データ線171、ドレイン電極175,その下部の抵抗性接触部材161及び165とほぼ同じ平面上に形成されてもよい。
【0056】
データ線171と、ドレイン電極175及び露出された半導体151の突出部154の上には、第1の保護膜180xが成膜されている。第1の保護膜180xは、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの無機絶縁物などから形成されてもよい。
【0057】
第1の保護膜180xは、ゲート絶縁膜140よりも低温で成膜する。また、第1の保護膜180xのエッチング速度は、ゲート絶縁膜140のエッチング速度よりも大きい。
【0058】
第1の保護膜180xの一部の上には、有機絶縁膜80が配設される。有機絶縁膜80の表面は、略平らであってもよい。
【0059】
有機絶縁膜80は、第1の開口部185aを有する。
【0060】
有機絶縁膜80は、ゲートパッド部129及びデータパッド部179に対応する領域から除去されている。このため、有機絶縁膜80は、ゲートパッド部129及びデータパッド部179を露出させる第1のコンタクト孔181及び第2のコンタクト孔182が形成される領域には配設されない。
【0061】
また、有機絶縁膜80の第1の開口部185aは、ドレイン電極175と後述する画素電極191との物理的・電気的な接続のための第3のコンタクト孔185bが形成される領域を露出させるように形成される。このため、有機絶縁膜80は、第3のコンタクト孔185bが形成される領域には配設されない。
【0062】
このように、コンタクト孔181、182、185bが形成される領域には有機絶縁膜80が配設されないため、膜厚の厚い有機絶縁膜にはコンタクト孔が形成されない。このため、コンタクト孔181、182、185bが形成される絶縁膜の膜厚を減らしてエッチング時間を短縮することができ、コンタクト孔181、182、185bの幅が大きくなることを防ぐことができる。
【0063】
図示はしないが、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、有機絶縁膜80はカラーフィルタであってもよく、この場合、有機絶縁膜80の上に配設されている膜をさらに備えていてもよい。例えば、カラーフィルタの上に配設されてカラーフィルタの顔料が液晶層に流入することを防ぐためのキャッピング膜をさらに備えていてもよく、キャッピング膜は、窒化ケイ素(SiNx)などの絶縁物質から成膜されてもよい。
【0064】
有機絶縁膜80の上には、第1の電場生成電極131が形成されている。第1の電場生成電極131は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明な導電物質から形成されてもよい。本実施形態において、第1の電場生成電極131は、板状を呈していてもよい。
【0065】
第1の電場生成電極131は、
図6に基づいて後述する複数の第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bを介して表示領域の周辺領域に配設される共通電圧線125と接続されてそこに共通電圧が印加される。この詳細については、
図6に基づいて後述する。
【0066】
第1の電場生成電極131は、ドレイン電極175に対応する領域に形成されている第2の開口部138を有する。
【0067】
第1の電場生成電極131及び第1の保護膜180xの一部の上には、第2の保護膜180yが成膜されている。第2の保護膜180yは、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの無機絶縁物などから形成されてもよい。第2の保護膜180yは、第1の膜180ypと、第1の膜180ypの上に配設される第2の膜180yqと、を備える。第2の保護膜180yの第2の膜180yqのエッチング速度は、第2の保護膜180yの第1の膜180ypのエッチング速度よりも大きい。第2の保護膜180yの第1の膜180ypは、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも低い温度で成膜されてもよい。また、第1の保護膜180x内の窒素の割合よりも、第2の保護膜180y内の窒素の割合の方がさらに高い。より具体的に、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yが窒化ケイ素を含むときに、第1の保護膜180x内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値よりも、第2の保護膜180y内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値の方がさらに大きい。ここで、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180y内の[N-H]/[Si-H]の値は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR spectrometer)により分析して得ることができる。なお、第2の保護膜180yの第1の膜180yp内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値は、第1の保護膜180x内の[N-H]/[Si-H]の値にほぼ等しいかそれよりも大きくてもよく、第2の保護膜180yの第2の膜180yq内の[N-H]/[Si-H]の値は、第2の保護膜180yの第1の膜180yp内の[N-H]/[Si-H]の値よりも大きくてもよい。
第2の保護膜180yの上に、第2の電場生成電極191が形成されている。第2の電場生成電極191は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明な導電物質から形成されてもよい。
【0068】
第2の電場生成電極191は、互いにほぼ平行に延び、且つ、互いに離れている複数の枝状電極193と、枝状電極193の上端及び下端を継ぎ合わせる上部及び下部の横部192と、を備える。第2の電場生成電極191の枝状電極193は、データ線171に沿って折れ曲がっていてもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、データ線171及び第2の電場生成電極191の枝状電極193は一直線状に延びていてもよい。
【0069】
第1の保護膜180xと、第2の保護膜180y及びゲート絶縁膜140には、ゲートパッド部129の一部を露出させる第1のコンタクト孔181が形成されている。第1のコンタクト孔181は、少なくとも1以上であってもよく、その平面は、四角形など多角形であってもよく、円形であってもよく、楕円形であってもよい。第1のコンタクト孔181には、第1の接続部材81が形成されている。第1の接続部材81は、第2の電場生成電極191と同じ層に形成される。
【0070】
上述したように、ゲートパッド部129が配設される領域には有機絶縁膜80が配設されない。このため、ゲートパッド部129を露出させる第1のコンタクト孔181は相対的に膜厚の厚い有機絶縁膜80には形成されず、相対的に膜厚の薄いゲート絶縁膜140と、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに形成される。このため、第1のコンタクト孔181を形成するとき、エッチング時間を短縮することができ、エッチング時間が長くなるに従って第1のコンタクト孔181の断面積が大きくなることを防ぐことができる。
【0071】
上述したように、ゲート絶縁膜140は第1の保護膜180xよりも高温で成膜され、第1の保護膜180xよりも小さいエッチング速度を有する。また、第2の保護膜180yの第1の膜180ypは、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも低い温度で成膜され、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも大きいエッチング速度を有する。なお、第2の保護膜180yの第2の膜180yqは、第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりも低温で成膜され、大きいエッチング速度を有する。
【0072】
すなわち、ゲート絶縁膜140から、第1の保護膜180xと、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqに向かうに従ってエッチング速度が速くなる。換言すると、第1のコンタクト孔181が形成されるゲート絶縁膜140と、第1の保護膜180xと、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqは、上方に向かうに従ってエッチング速度が速くなる。このため、第1のコンタクト孔181は、ゲートパッド部129と接触する下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成される。
【0073】
また、第1の保護膜180xと、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqは、上方に向かうに従って[N-H]/[Si-H]の値が大きくなる。
【0074】
第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yには、データパッド部179の一部を露出させる第2のコンタクト孔182が形成されている。第2のコンタクト孔182は、少なくとも1以上であってもよく、その平面は、四角形など多角形であってもよく、円形であってもよく、楕円形であってもよい。第2のコンタクト孔182には、第2の接続部材82が形成されている。第2の接続部材82は、第2の電場生成電極191と同じ層に形成される。
【0075】
さらに、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yには、ドレイン電極175の一部を露出させる第3のコンタクト孔185bが形成されている。第3のコンタクト孔185bは、有機絶縁膜80の第1の開口部185a及び第1の電場生成電極131の第2の開口部138により囲繞されている領域内に形成される。
【0076】
上述したように、データパッド部179が配設される領域には、有機絶縁膜80が配設されない。このため、データパッド部179を露出させる第2のコンタクト孔182は相対的に膜厚の厚い有機絶縁膜80には形成されず、相対的に膜厚の薄い第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに形成される。このため、第2のコンタクト孔182を形成するときに、エッチング時間を短縮することができて、エッチング時間が長くなるに従って第2のコンタクト孔182の断面積が大きくなることを防ぐことができる。
【0077】
これと同様に、ドレイン電極175を露出させる第3のコンタクト孔185bは、有機絶縁膜80の第1の開口部185aにより囲繞される領域に形成される。このため、ドレイン電極175を露出させる第3のコンタクト孔185bは、相対的に膜厚の厚い有機絶縁膜80には形成されず、相対的に膜厚の薄い第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに形成される。このため、第2のコンタクト孔182を形成するとき、エッチング時間を短縮することができ、エッチング時間が長くなるに従って第2のコンタクト孔182の断面積が大きくなることを防ぐことができる。
【0078】
上述したように、第2の保護膜180yの第1の膜180ypは、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも低い温度で成膜され、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも大きいエッチング速度を有する。また、第2の保護膜180yの第2の膜180yqは、第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりも低温で成膜され、大きいエッチング速度を有する。なお、第1の保護膜180xは、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜される。
【0079】
すなわち、第1の保護膜180xから、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqに向かうに従ってエッチング速度が速くなる。換言すると、第2のコンタクト孔182及び第3のコンタクト孔185bが形成される第1の保護膜180xと、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqは、上方に向かうに従ってエッチング速度が速くなる。このため、第2のコンタクト孔182は、データパッド部179と接触する下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成され、第3のコンタクト孔185bも同様に、ドレイン電極175と接触する下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成される。
【0080】
このように、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板は、コンタクト孔181、182、185bが形成される複数の絶縁膜を、下層から上層に向かうに従ってエッチング速度が速くなるように成膜することにより、コンタクト孔181、182、185bを正テーパ構造を有するように形成することができる。このため、コンタクト孔181、182、185bを覆うように形成される接続部材81、82または第2の電場生成電極191がコンタクト孔181、182、185b内において断線されることを防ぐことができる。コンタクト孔181、182、185bが逆テーパ構造を有するように形成される場合には、接続部材81、82または第2の電場生成電極191が断面積の狭いコンタクト孔181、182、185bの側壁の上側部にしか形成されず、断面積の大きいコンタクト孔181、182、185bの側壁の下側部には形成されなくなる。このため、コンタクト孔181、182、185bを覆うように形成される接続部材81、82または第2の電場生成電極191がコンタクト孔181、182、185b内において断線される虞がある。
【0081】
また、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間において発生しうる問題、すなわち、コンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができる。第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有するように成膜する場合には、第1の保護膜180xの下層をエッチングする間に第1の保護膜180xの上層がオーバエッチングされる虞があり、第1の保護膜180xの上層に形成されるコンタクト孔の断面積が第2の保護膜180yの第1の膜180ypに形成されるコンタクト孔の断面積よりも大きくなる虞がある。この場合には、コンタクト孔を覆うように形成する導電層が断線される虞があり、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に配設される第1の電場生成電極131が露出される虞もある。
【0082】
しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、第1の保護膜180xが、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜されているので、このような導電層の断線や第1の電場生成電極131の露出を防ぐことができる。
【0083】
図6を参照すると、絶縁基板110の上に共通電圧線125が形成されている。共通電圧線125は、複数の画素が存在する表示領域DAの周辺領域RAに配設される。共通電圧線125は、共通電圧Vcomなど所定の電圧を送信し、周辺領域RAの少なくとも一部に配設されてもよい。周辺領域RAには有機絶縁膜80が配設されない。
【0084】
周辺領域RAに形成されている第1の電場生成電極131の端部132は、第2の保護膜180yに形成されている第4のコンタクト孔186aによって露出され、共通電圧線125は、ゲート絶縁膜140と、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに形成されている第5のコンタクト孔186bによって露出される。第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bによって露出されている第1の電場生成電極131の端部132及び共通電圧線125の一部の上には、第3の接続部材86が形成されている。このため、第1の電場生成電極131は、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bを介して表示領域の周辺領域に配設される共通電圧線125と接続されてそこに共通電圧が印加される。
【0085】
このように、第1の電場生成電極131は、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bを介して共通電圧線125に接続されてそこに共通電圧が印加され、第2の電場生成電極191は、第3のコンタクト孔185bを介してドレイン電極175と接続されてそこにデータ電圧が印加される。
【0086】
共通電圧及びデータ電圧が印加された第1の電場生成電極131及び第2の電場生成電極191は、液晶層(図示せず)に電場を生成する。
【0087】
本実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、第2の保護膜180yの下に板状の第1の電場生成電極131が配設され、第2の保護膜180yの上に枝部を有する第2の電場生成電極191が配設されるが、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板においては、第2の保護膜180yの下に枝部を有する第2の電場生成電極191が配設され、第2の保護膜180yの上に板状の第1の電場生成電極131が配設される。また、第1の電場生成電極131及び第2の電場生成電極191のうちのいずれか一方は枝状電極を備えていてもよく、もう一方は板状を呈していてもよい。なお、第1の電場生成電極131及び第2の電場生成電極191のうちのいずれか一方には共通電圧が印加され、もう一方にはデータ電圧が印加される。
【0088】
すなわち、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の特徴は、薄膜トランジスタアレイ基板の上に二つの電場生成電極である共通電極及び画素電極が両方とも配設されるあらゆる場合に適用可能な点である。
【0089】
以下、
図7から
図30に基づいて、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法について説明する。
図7から
図30は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【0090】
まず、
図7から
図10に示すように、絶縁基板110の上にゲート電極124及びゲートパッド部129を備えるゲート線121を形成する。このとき、周辺領域に配設されている共通電圧線を共に形成してもよい。次いで、ゲート線121及び共通電圧線の上にゲート絶縁膜140を積層した後に、半導体151を積層し、抵抗性接触部材をなす層を形成する。次いで、ソース電極173とデータパッド部179とを備えるデータ線171と、ドレイン電極175と、を有するデータ導電体を形成する。次いで、データ導電体をマスクとして、抵抗性接触部材をなす層をエッチングして、抵抗性接触部材161、163、165、169を完成し、半導体151の突出部154の一部を露出させる。ゲート絶縁膜140は、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの無機絶縁物などから形成されてもよい。
【0091】
次いで、
図11から
図14を参照すると、データ導電体171、175の上に第1の保護膜180xを積層する。第1の保護膜180xは、窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)などの無機絶縁物などから形成されてもよい。第1の保護膜180xは、ゲート絶縁膜140よりも低温で成膜される。なお、第1の保護膜180xのエッチング速度は、ゲート絶縁膜140のエッチング速度よりも大きい。
【0092】
次いで、
図15から
図18に示すように、第1の保護膜180xの一部の上に、ドレイン電極175に対応する個所に形成されている第1の開口部185aを有する有機絶縁膜80を成膜する。有機絶縁膜80は有機物質を含み、有機絶縁膜80の表面は略平らであってもよい。有機絶縁膜80は、ゲートパッド部129及びデータパッド部179に対応する領域には配設されない。有機絶縁膜80は、カラーフィルタであってもよく、この場合、有機絶縁膜80の上にキャッピング膜をさらに成膜してもよい。
【0093】
次いで、
図19から
図22を参照すると、有機絶縁膜80の上に、ドレイン電極175に対応する個所に形成されている第2の開口部138を有する第1の電場生成電極131を形成する。
【0094】
次いで、
図23から
図26を参照すると、第1の電場生成電極131及び第1の保護膜180xの一部の上に、第1の膜180ypと第1の膜180ypの上に配設される第2の膜180yqとを備える第2の保護膜180yを成膜する。第2の保護膜180yの第1の膜180ypは、第2の保護膜180yの第2の膜180yqよりも高温で成膜される。第2の保護膜180yの第2の膜180yqのエッチング速度は、第2の保護膜180yの第1の膜180ypのエッチング速度よりも大きい。第2の保護膜180yの第1の膜180ypは、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも低い温度で成膜される。第2の保護膜180yの第1の膜180ypのエッチング速度は、第1の保護膜180xのエッチング速度よりも大きい。なお、第1の保護膜180xは、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜される。このように、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に発生しうる問題、すなわち、コンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができる。第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有するように成膜する場合には、第1の保護膜180xの下層をエッチングする間に第1の保護膜180xの上層がオーバエッチングされる虞があり、第1の保護膜180xの上層に形成されるコンタクト孔の断面積が第2の保護膜180yの第1の膜180ypに形成されるコンタクト孔の断面積よりも大きくなる虞がある。この場合、コンタクト孔を覆うように形成する導電層が断線される虞があり、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に配設される第1の電場生成電極131が露出される虞もある。
【0095】
しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法によれば、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、このような導電層の断線や第1の電場生成電極131の露出を防ぐことができる。
【0096】
また、第1の保護膜180x内の窒素の割合よりも第2の保護膜180y内の窒素の割合の方をさらに高くする。より具体的に、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yが窒化ケイ素を含むときに、第1の保護膜180x内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値よりも、第2の保護膜180y内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値の方をさらに大きくする。さらに、第2の保護膜180yの第1の膜180yp内のケイ素と水素との結合数([Si-H])に対する窒素と水素との結合数([N-H])の割合である[N-H]/[Si-H]の値を、第1の保護膜180x内の[N-H]/[Si-H]の値にほぼ等しいかそれよりも大きくし、第2の保護膜180yの第2の膜180yq内の[N-H]/[Si-H]の値を、第2の保護膜180yの第1の膜180yp内の[N-H]/[Si-H]の値よりも大きくする。
【0097】
次いで、
図27から
図30に示すように、第2の保護膜180yの第2の膜180yqと、第2の保護膜180yの第1の膜180yqと、第1の保護膜180x及びゲート絶縁膜140をこの順にエッチングして、ゲートパッド部129の一部を露出させる第1のコンタクト孔181と、データパッド部179の一部を露出させる第2のコンタクト孔182及びドレイン電極175の一部を露出させる第3のコンタクト孔185bを形成する。このとき、
図6に示すように、第2の保護膜180yに周辺領域RAに形成されている第1の電場生成電極131の端部132を露出させる第4のコンタクト孔186aを形成し、ゲート絶縁膜140と、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに共通電圧線125の一部を露出させる第5のコンタクト孔186bを形成する。
【0098】
このように、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法においては、ゲート絶縁膜140を、第1の保護膜180xよりも高温で、第1の保護膜180xよりも小さいエッチング速度を有するように成膜する。また、第2の保護膜180yの第1の膜180ypを、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも低い温度で、第1の保護膜180xにほぼ等しいかそれよりも大きいエッチング速度を有するように成膜する。さらに、第2の保護膜180yの第2の膜180yqを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりも低温で、大きいエッチング速度を有するように成膜する。
【0099】
すなわち、ゲート絶縁膜140から、第1の保護膜180x、第2の保護膜180yの第1の膜180yp及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqに向かうに従ってエッチング速度が速くなるように成膜する。このため、第1のコンタクト孔181と、第2のコンタクト孔182と、第3のコンタクト孔185bと、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bは、下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するように形成される。
【0100】
また、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法においては、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜する。このように、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に発生しうる問題、すなわち、コンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができる。第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有するように成膜する場合には、第1の保護膜180xの下層をエッチングする間に第1の保護膜180xの上層がオーバエッチングされる虞があり、第1の保護膜180xの上層に形成されるコンタクト孔の断面積が第2の保護膜180yの第1の膜180ypに形成されるコンタクト孔の断面積よりも大きくなる虞がある。この場合、コンタクト孔を覆うように形成する導電層が断線される虞があり、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に配設される第1の電場生成電極131が露出される虞もある。しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法によれば、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、このような導電層の断線や第1の電場生成電極131の露出を防ぐことができる。
【0101】
さらに、第1のコンタクト孔181と、第2のコンタクト孔182と、第3のコンタクト孔185bと、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bが形成される領域には、有機絶縁膜80を成膜しない。このため、第1のコンタクト孔181と、第2のコンタクト孔182と、第3のコンタクト孔185bと、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bは相対的に膜厚の厚い有機絶縁膜80には形成されず、相対的に膜厚の薄いゲート絶縁膜140と、第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yに形成される。このため、第1のコンタクト孔181と、第2のコンタクト孔182と、第3のコンタクト孔185bと、第4のコンタクト孔186a及び第5のコンタクト孔186bを形成するとき、エッチング時間を短縮することができて、エッチング時間が長くなるに従ってコンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができる。
【0102】
さらにまた、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に発生しうる問題、すなわち、コンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができる。
【0103】
最後に、
図1から
図6に示すように、第2の保護膜180yの上に第2の電場生成電極191と、第1の接続部材81と、第2の接続部材82及び第3の接続部材86を形成する。
【0104】
第1の接続部材81は、第1のコンタクト孔181によって露出されているゲートパッド部129を覆い、第2の接続部材82は、第2のコンタクト孔182によって露出されているデータパッド部179を覆う。
【0105】
第2の電場生成電極191は、第3のコンタクト孔185bによって露出されているドレイン電極175を覆って、ドレイン電極175と物理的・電気的に接続される。
【0106】
第3の接続部材86は、第4のコンタクト孔186aによって露出されている第1の電場生成電極131の端部132及び第5のコンタクト孔186bによって露出されている共通電圧線125を覆って、第1の電場生成電極131と共通電圧線125とを電気的に接続する。
【0107】
以下、表1を参照して本発明の一実施例について説明する。本実施例においては、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板と同様に、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yよりも高温で、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜している。なお、第2の保護膜180yの第2の膜180yqは第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりも大きいエッチング速度を有するように成膜している。
【0108】
下記表1は、第1の保護膜180xをなす第1の層の成膜条件と、第2の保護膜180yの第1の膜180ypをなす第2の層の成膜条件と、第2の保護膜180yの第2の膜180yqをなす第3の層の成膜条件及び各層を同じ条件でドライエッチングする場合のエッチング速度を示す。
【0109】
【表1】
表1を参照すると、第1の保護膜180xをなす第1の層の成膜条件と、第2の保護膜180yの第1の膜180ypをなす第2の層の成膜条件及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqをなす第3の層の成膜条件を調節することにより、第1の保護膜180xをなす第1の層から、保護膜180zの第1の膜180ypをなす第2の層及び第2の保護膜180yの第2の膜180yqをなす第3の層に向かうに従ってエッチング速度が速くなるということが分かる。
【0110】
次いで、
図31から
図33に基づいて、本発明の他の実施例について説明する。
図31は、本発明の他の実施例による保護膜のエッチング速度を示すグラフであり、
図32及び
図33は、本発明の他の実施例によるコンタクト孔の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【0111】
本実施例においては、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有する二重膜として成膜した後、各層のエッチング速度を測定して
図31に示す。
【0112】
また、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有する二重膜として成膜した場合Aと、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板と同様に、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりもエッチング速度の小さい単一膜として成膜した場合Bについて、実際に形成されたコンタクト孔の断面を観察し、その結果を
図32及び
図33に示す。
図32は、場合A及び場合Bについて、ゲート導電体を露出させるコンタクト孔を示す。
図32の(a)は場合Aを示し、
図32の(b)は場合Bを示す。
図33は、場合A及び場合Bについてデータ導電体を露出させるコンタクト孔を示す。
図33の(a)は場合Aを示し、
図33の(b)は場合Bを示す。
【0113】
まず、
図31を参照すると、各保護膜を、エッチング速度の大きい下層とエッチング速度の小さい上層とを有するように成膜した場合に、すなわち、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有する二重膜として成膜した場合に、第1の保護膜180xの下層x1のエッチング速度は、第1の保護膜180xの上層x2のエッチング速度よりも遅かった。また、第2の保護膜180yの下層y1のエッチング速度は、第2の保護膜180yの上層y2のエッチング速度よりも遅かった。さらに、第1の保護膜180xの上層x2のエッチング速度は、第2の保護膜180yの下層y1のエッチングの速度よりも速かった。
【0114】
このため、コンタクト孔が形成される第1の保護膜180x及び第2の保護膜180yの下から上に向かうに従ってエッチング速度が次第に速くなるのではなく、第1の保護膜180xの下層x1と第2の保護膜180yの下層y1との間にエッチング速度の大きい第1の保護膜180xの上層x2が存在して、第1の保護膜180xの上層x2においてオーバエッチングされるということが分かる。
【0115】
図32及び
図33の(a)を参照すると、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yと同様に、エッチング速度の小さい下層とエッチング速度の大きい上層とを有する二重膜として成膜した場合Aに、
図32及び
図33の(a)にそれぞれAにて示すように、オーバエッチングされてコンタクト孔の断面積が大きくなった部分が観察された。
【0116】
しかしながら、
図32及び
図33の(b)を参照すると、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板と同様に、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypよりもエッチング速度の小さい単一膜として成膜した場合Bに比べて、実際に形成されたコンタクト孔は下方から上方に向かうに従って断面積が大きくなる正テーパ構造を有するということが分かる。
【0117】
このように、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法によれば、第1の保護膜180xを、第2の保護膜180yの第1の膜180ypにほぼ等しいかそれよりも小さいエッチング速度を有する単一膜として成膜することにより、第1の保護膜180xと第2の保護膜180yとの間に発生しうる問題、すなわち、コンタクト孔の断面積が大きくなることを防ぐことができるということが分かる。
【0118】
本実施形態に係る薄膜トランジスタアレイ基板において、重なり合う二つの電場生成電極のうちのいずれか一方は板状を呈し、もう一方は枝部を有すると説明したが、本発明は、1枚の表示板に二つの電場生成電極を有する他のあらゆるタイプの薄膜トランジスタアレイ基板に適用可能である。
【0119】
以上、本発明の好適な実施例について詳述したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、次の特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。