特許第6382524号(P6382524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382524
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】車載用バッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180820BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20180820BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 M
   H01M2/20 A
   B60K1/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-22054(P2014-22054)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-149213(P2015-149213A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 功
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−004508(JP,A)
【文献】 特開2013−197049(JP,A)
【文献】 特開2010−225583(JP,A)
【文献】 特開2013−041706(JP,A)
【文献】 特開2014−007105(JP,A)
【文献】 特開2013−078215(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080567(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 1/04
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空洞部が形成された中空断面を有する収納ケースと、
電池セルを有し前記収納ケースに収納された電池モジュールと、
所定の各部間の電気的接続を行う接続体とを備え、
前記接続体は導電材料によって形成されたバスバーと絶縁材料によって形成され前記バスバーの接続方向における両端部を除く部分を覆うプロテクターとを有し、
前記収納ケースの内面側に配置用切欠が形成され、
前記配置用切欠に前記接続体の少なくとも一部が嵌合されて配置され
前記電池セルの端子と前記接続体が平板状の接続部材によって接続された
車載用バッテリー。
【請求項2】
前記電池モジュールが複数配置され、
前記収納ケースに前記電池モジュールが上下2段に収納され、
上段に位置された前記電池セルの電極と下段に位置された前記電池セルの電極とが前記バスバーによって接続された
請求項1に記載の車載用バッテリー。
【請求項3】
前記プロテクターの一端部が前記収納ケースに取り付けられる被取付部として設けられた
請求項1又は請求項2に記載の車載用バッテリー。
【請求項4】
前記収納ケースが上方に開口する箱状に形成された収納部と前記収納部の開口を閉塞する蓋部とを有し、
前記蓋部と前記被取付部が重ねられて前記収納部に取り付けられる
請求項3に記載の車載用バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載され収納ケースに電池モジュールが収納された車載用バッテリーについての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平11−176487号公報
【背景技術】
【0003】
自動車等の各種の車両にはモーターや各種の電装部品に電力を供給するための車載用バッテリーが搭載されている。
【0004】
近年、特に、EV(Electric Vehicle:電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:プラグインハイブリッド電気自動車)等の車両が普及されつつあり、これらの電気を動力とした車両においては高い蓄電機能を有する車載用バッテリーが搭載される。
【0005】
車載用バッテリーには収納ケースと収納ケースに収納された電池モジュールとが設けられ、電池モジュールは内部に、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の複数の電池セル(2次電池)が配列されて構成されている。また、電気自動車等に搭載される車載用バッテリーにあっては、高い蓄電機能を保持するために、複数の電池モジュールが収納ケースに配置され、これらの複数の電池モジュールの各電池セルが直列に接続されている。
【0006】
このような車載用バッテリーにおいては、所定の各部間の電気的接続を行う必要があり、これらの電気的接続が接続体によって行われる。
【0007】
車載用バッテリーには接続体として電線が用いられる場合があるが、電線は屈曲性が低いため、電線が用いられた場合には小さいスペースにおける配線が困難であると共に電線と他の各部とが干渉し易く、車載用バッテリーの小型化に支障を来すと共に配線作業における作業性が悪いと言う不都合がある。
【0008】
そこで、車載用バッテリーには接続体として板状の金属材料によって形成されたバスバーが用いられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載された車載用バッテリーにあっては、複数の電池セルの各端子を覆う端子カバーが設けられ、端子カバーにバスバーが設けられ、端子カバーが複数の電池セルに組み付けられるときにバスバーによって各端子が接続されるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1に記載された車載用バッテリーにあっては、バスバーが端子カバーに設けられており、端子カバーが、特に、耐衝撃性を考慮した構成にはされていないため、万が一、車両の衝突等が生じたときに端子カバーが破損したりバスバーによる端子間の接続が解除されてしまうおそれがある。
【0011】
また、端子カバーの位置は電池セルの向きによって定められるため、バスバーの配置位置にも自由度が低く、その分、設計の自由度が低下してスペース効率が低くなり、車載用バッテリーの小型化に支障を来すおそれもある。
【0012】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、耐衝撃性の向上及び小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1に、本発明に係る車載用バッテリーは、複数の空洞部が形成された中空断面を有する収納ケースと、電池セルを有し前記収納ケースに収納された電池モジュールと、所定の各部間の電気的接続を行う接続体とを備え、前記接続体は導電材料によって形成されたバスバーと絶縁材料によって形成され前記バスバーの接続方向における両端部を除く部分を覆うプロテクターとを有し、前記収納ケースの内面側に配置用切欠が形成され、前記配置用切欠に前記接続体の少なくとも一部が嵌合されて配置され、前記電池セルの端子と前記接続体が平板状の接続部材によって接続されたものである。
【0014】
これにより、接続体の少なくとも一部が収納ケースの内面に接した状態で配置用切欠に挿入されて配置される。
【0015】
第2に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記電池モジュールが複数配置され、前記収納ケースに前記電池モジュールが上下2段に収納され、上段に位置された前記電池セルの電極と下段に位置された前記電池セルの電極とが前記バスバーによって接続されることが望ましい。
【0016】
これにより、上段に位置された電池セルと下段に位置された電池セルとがバスバーによって接続され、接続体が収納ケースの内面に沿って位置される。
【0017】
第3に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記プロテクターの一端部が前記収納ケースに取り付けられる被取付部として設けられることが望ましい。
【0018】
これにより、接続体を収納ケースに取り付けるための専用の部分が不要になる。
【0019】
第4に、上記した本発明に係る車載用バッテリーにおいては、前記収納ケースが上方に開口する箱状に形成された収納部と前記収納部の開口を閉塞する蓋部とを有し、前記蓋部と前記被取付部が重ねられて前記収納部に取り付けられることが望ましい。
【0020】
これにより、蓋部と接続体が同時に収納部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接続体の少なくとも一部が収納ケースの内面に接した状態で配置用切欠に挿入されて配置されるため、耐衝撃性の向上及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図2乃至図14と共に本発明車載用バッテリーの実施の形態を示すものであり、本図は、車載用バッテリーの概略分解斜視図である。
図2】車載用バッテリーの斜視図である。
図3】車載用バッテリーの概略断面図である。
図4】配置用切欠に接続体が配置された状態を示す拡大断面図である。
図5】電池モジュールの斜視図である。
図6】電池モジュールが底面壁に配置された状態を示す断面図である。
図7】電池モジュールを天面部を取り外した状態でダクトとともに示す概念図である。
図8】接続体等を示す拡大分解斜視図である。
図9】接続体の変形例を示す拡大断面図である。
図10図11乃至図14と共に各接続形態を示すものであり、本図は、第2の接続形態を示す模式図である。
図11】第3の接続形態を示す模式図である。
図12】第4の接続形態を示す模式図である。
図13】第5の接続形態を示す模式図である。
図14】第6の接続形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明車載用バッテリーを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
車載用バッテリー1は収納ケース2と電池モジュール3、3、・・・を有している(図1及び図2参照)。車載用バッテリー1は、例えば、車両のリヤシートの後方において荷室等の車体フロアーの上方に配置される。
【0025】
収納ケース2は上方に開口された上側収納部4と上側収納部4の下方に位置された下側収納部5と上側収納部4の開口を上方から閉塞する平板状の蓋部6とを有している。
【0026】
上側収納部4は前後方向を向く上側前面壁7と上側前面壁7の後側に位置され前後方向を向く上側後面壁8と左右に離隔して位置された上側側面壁9、9と上下方向を向く中仕切壁10とを有している。上側前面壁7と上側後面壁8と上側側面壁9、9とは何れも、例えば、アルミニウム等の押出成形によって形成され、中空断面を有している。
【0027】
上側前面壁7には左右に延び上下に並ぶ空洞部7a、7a、7aが形成されている。上側前面壁7には左右方向における一端部にケーブル挿通孔7b、7bが形成されている。
【0028】
上側前面壁7には後方に開口され上下に貫通された上側切欠部11が形成されている(図3及び図4参照)。
【0029】
上側後面壁8には左右に延び上下に並ぶ空洞部8a、8a、8aが形成されている(図1乃至図3参照)。上側後面壁8には第1のダクト挿通孔8b、8bが左右に離隔して形成されている。上側後面壁8には第2のダクト挿通孔8cが第1のダクト挿通孔8b、8bの間に形成されている。上側後面壁8には第3のダクト挿通孔8d、8dがそれぞれ第1のダクト挿通孔8b、8bの外側に形成されている。
【0030】
上側側面壁9、9にはそれぞれ前後に延び上下に並ぶ空洞部9a、9a、・・・が形成されている。
【0031】
中仕切壁10は上下方向を向く略矩形の平板状に形成されている。中仕切壁10の上面側には前後に延びる仕切り突部10a、10a、・・・が左右に離隔して設けられている(図1参照)。仕切り突部10a、10a、・・・は上方に突出されている。
【0032】
中仕切壁10は上側ジョイント12、12、・・・を介して上側前面壁7と上側後面壁8と上側側面壁9、9に連結されている。上側ジョイント12、12、・・・は、例えば、アルミニウム等の押出成形によって形成されている。
【0033】
上側ジョイント12、12、・・・の上下方向における中間部にはそれぞれ内方に突出された受け突部12a、12a、・・・が設けられている。中仕切壁10は外周部が上側ジョイント12、12、・・・の受け突部12a、12a、・・・上に載置されて上側ジョイント12、12、・・・に結合されている。
【0034】
上側前面壁7に結合された上側ジョイント12には、上側切欠部11に連続した位置に後方に開口され上下に貫通された中側切欠部13が形成されている(図3及び図4参照)。
【0035】
下側収納部5は、図1乃至図3に示すように、前後方向を向く下側前面壁14と下側前面壁14の後側に位置され前後方向を向く下側後面壁15と左右に離隔して位置された下側側面壁16、16と上下方向を向く底面壁17とを有している。下側前面壁14と下側後面壁15と下側側面壁16、16とは何れも、例えば、アルミニウム等の押出成形によって形成され、中空断面を有している。
【0036】
下側前面壁14には左右に延び上下に並ぶ空洞部14a、14a、14aが形成されている。下側前面壁14には、上側ジョイント12の中側切欠部13に連続した位置に後方及び上方に開口された下側切欠部18が形成されている(図3及び図4参照)。
【0037】
下側後面壁15には左右に延び上下に並ぶ空洞部15a、15a、15aが形成されている。下側後面壁15には第1のダクト挿通孔15bが形成されている。下側後面壁15には第1のダクト挿通孔15bの左右両側にそれぞれ第2のダクト挿通孔15c、15cが形成されている。
【0038】
下側側面壁16、16は下方に行くに従って互いに近付く方向へ傾斜されている。下側側面壁16、16にはそれぞれ前後に延び上下に並ぶ空洞部16a、16a、・・・が形成されている。
【0039】
底面壁17は上下方向を向く略矩形の平板状に形成されている。底面壁17の上面側には前後に延びる仕切り突部17a、17a、17aが左右に離隔して設けられている(図1参照)。仕切り突部17a、17a、17aは上方に突出されている。
【0040】
下側収納部5は上側収納部4に上側ジョイント12、12、・・・によって連結されている(図2及び図3参照)。上側ジョイント12、12、・・・はそれぞれ上端部が上側収納部4の上側前面壁7と上側後面壁8と上側側面壁9、9に結合されると共にそれぞれ下端部が下側収納部5の下側前面壁14と下側後面壁15と下側側面壁16、16に結合されている。
【0041】
底面壁17は下側ジョイント19、19、・・・によって下側前面壁14と下側後面壁15と下側側面壁16、16に連結されている。下側ジョイント19、19、・・・は、例えば、アルミニウム等の押出成形によって形成され、中空断面を有している。
【0042】
下側ジョイント19、19、・・・の下端部にはそれぞれ内方に突出された受け突部19a、19a、・・・が設けられている。底面壁17は外周部が下側ジョイント19、19、・・・の受け突部19a、19a、・・・上に載置されて下側ジョイント19、19、・・・に結合されている。
【0043】
下側ジョイント19、19、・・・は上端部がそれぞれ下側前面壁14と下側後面壁15と下側側面壁16、16の各下端部に結合されている。
【0044】
上記のように、収納ケース2の上側前面壁7と上側ジョイント12と下側前面壁14にはそれぞれ上側切欠部11と中側切欠部13と下側切欠部18が形成され、上側切欠部11と中側切欠部13と下側切欠部18は上下方向において連続して形成されている(図4参照)。これらの上側切欠部11と中側切欠部13と下側切欠部18によって配置用切欠100が構成されており、配置用切欠100は後方を向く奥面100aと下端に位置され上方を向く底面100bと左右方向を向く側面100c、100cとによって形成され、奥面100aと底面100bと側面100c、100cは何れも平面状に形成されている。
【0045】
電池モジュール3、3、・・・は、例えば、四つが左右に並んで収納ケース2の上側収納部4に収納され、二つが左右に並んで収納ケース2の下側収納部5に収納されている(図1及び図2参照)。
【0046】
上側収納部4に収納され収納ケース2の内部において上段に位置された電池モジュール3、3、・・・は、それぞれ中仕切壁10に設けられた仕切り突部10a、10a、・・・に仕切られる位置において中仕切壁10の上面に載置された状態で配置されている。また、下側収納部5に収納され収納ケース2の内部において下段に位置された電池モジュール3、3は、それぞれ底面壁17に設けられた仕切り突部17a、17a、17aに仕切られる位置において底面壁17の上面に載置された状態で配置されている。
【0047】
電池モジュール3はカバー20とカバー20の内部において前後に並んで配列された複数の電池セル21、21、・・・とを有している(図3乃至図6参照)。
【0048】
カバー20は前後方向を向く前面部22と前面部22の後側に位置され前後方向を向く後面部23と左右に離隔して位置された側面部24、24と上下方向を向く天面部25と側面部24、24にそれぞれ取り付けられたチャンバー形成部26、26とを有している。
【0049】
側面部24、24は左右方向を向く取付面部27、27と取付面部27、27の上縁から左右方向において互いに近付く方向へ突出された上側突面部28、28と取付面部27、27の下縁から左右方向において互いに近付く方向へ突出された下側突面部29、29とを有している。取付面部27には外周部を除く部分に左右に貫通された開口部27aが形成されている。
【0050】
チャンバー形成部26は側方と前後の一方とに開口された箱状に形成され、左右方向における開口縁部が取付面部27の外周部に取り付けられている。取付面部27、27の外周部にそれぞれチャンバー形成部26、26が取り付けられることにより、カバー20の内部における左右両側にそれぞれ空間が形成され、これらの空間がチャンバー30、30として形成されている。チャンバー形成部26の前後の一方の開口は連結用開口26aとして形成されている。
【0051】
天面部25には上下に貫通された挿通孔25a、25aがそれぞれ前後両端部に形成されている。
【0052】
電池セル21、21、・・・は左右両端部がそれぞれ側面部24、24の下側突面部29、29に載置されてカバー20に保持され、前後に小さな隙間を有した状態で等間隔に並んで配列されている(図3及び図7参照)。電池セル21にはそれぞれ上方に突出された正極側端子21aと負極側端子21bが左右に離隔して設けられている。電池セル21、21、・・・は前後で隣接して位置された正極側端子21a、21a、・・・と負極側端子21b、21b、・・・がそれぞれ導電性を有する接続板31、31、・・・によって接続され、直列に接続されている。接続板31は正極側端子21aと負極側端子21bに、例えば、それぞれ図示しないナット等の締結部材が螺合されて電池セル21、21に固定される。
【0053】
電池セル21、21、・・・の上面には天面部25の下側において押さえ板32が取り付けられている(図6及び図7参照)。押さえ板32には前後に延びる配置孔32a、32a、・・・が前後左右に離隔して形成されている。配置孔32aには前後に隣接して位置された電池セル21、21の正極側端子21aと負極側端子21bと両者を接続する接続板31とが配置されている。
【0054】
上側収納部4に収納され上段に位置された電池モジュール3の一つの電池セル21と下側収納部5に収納され下段に位置された電池モジュール3の一つの電池セル21とは接続体33を介して接続されている(図3図4及び図8参照)。
【0055】
接続体33は導電材料によって形成されたバスバー34と絶縁材料によって形成されバスバー34の接続方向における両端部を除く部分を覆うプロテクター35とを有している。
【0056】
バスバー34は細長の平板状の金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、上下に延び前後方向を向く中間部36と中間部36に対して折り曲げられ中間部36の上端部から後方へ突出された上側結合部37と中間部36に対して折り曲げられ中間部36の下端部から後方へ突出された下側結合部38とから成る。
【0057】
上側結合部37には後端寄りの位置に上下に貫通された取付用挿通孔37aが形成されている。下側結合部38には後端寄りの位置に上下に貫通された取付用挿通孔38aが形成されている。上側結合部37は中間部36からの後方への突出量が下側結合部38の中間部36からの後方への突出量より小さくされている。
【0058】
プロテクター35はバスバー34を周囲から覆う形状に形成され、バスバー34の中間部36を覆う第1の覆い部35aとバスバー34の下側結合部38の先端部以外の部分を覆う第2の覆い部35bとから成る。
【0059】
接続体33は一部が配置用切欠100に嵌合されて配置されている(図3及び図4参照)。接続体33は、プロテクター35の第1の覆い部35aが奥面100aに接した状態にされ、プロテクター35における第2の覆い部35bの前端部が底面100bに接した状態にされている。
【0060】
接続体33が配置用切欠100に嵌合されて配置された状態においては、接続体33は収納ケース2の中仕切壁10の下側から前側に回り込むように位置されており、中仕切壁10に干渉しない状態にされている。
【0061】
バスバー34は下側結合部38の取付用挿通孔38aに下段の電池セル21に設けられた正極側端子21a又は負極側端子21bが下方から挿通されて下段の電池セル21に接続される。下側結合部38は正極側端子21a又は負極側端子21bに、例えば、図示しないナット等の締結部材が螺合されることにより電池セル21に固定される。
【0062】
バスバー34の上側結合部37には接続部材39が接続される。接続部材39はバスバー34と同じ導電性材料によって上下方向を向き前後方向に延びる平板状に形成されている。接続部材39には前端寄りの位置に前側挿通孔39aが形成され後端寄りの位置に後側挿通孔39bが形成されている。
【0063】
バスバー34の上側結合部37に形成された取付用挿通孔37aと接続部材39に形成された前側挿通孔39aにはボルト40が挿通され、ボルト40にナット41が螺合されることにより上側結合部37に接続部材39が接続される。
【0064】
接続部材39は後側挿通孔39bに上段の電池セル21に設けられた負極側端子21b又は正極側端子21aが下方から挿通されて上段の電池セル21に接続される。接続部材39は負極側端子21b又は正極側端子21aに、例えば、図示しないナット等の締結部材が螺合されることにより電池セル21に固定される。
【0065】
上記のようにして上段に位置された電池モジュール3の一つの電池セル21と下段に位置された電池モジュール3の一つの電池セル21とが接続体33と接続部材39によって接続される。
【0066】
上記した上段と下段の電池セル21、21の接続体33と接続部材39による接続作業は、収納ケース2の下側収納部5に下段の電池モジュール3、3が配置された状態において接続体33を配置用切欠100に挿入して嵌合し下側結合部38を下段の電池セル21に接続し、次に、収納ケース2に中仕切壁10を挿入して上側ジョイント12、12、・・・に結合し、次いで、収納ケース2の上側収納部4に上段の電池モジュール3、3、・・・を挿入して配置し、最後に、接続体33の上側結合部37と上段の電池セル21とに接続部材39を接続することにより行うことができる。
【0067】
従って、接続体33が上段の電池モジュール3、3、・・・の収納ケース2の内部への挿入作業に支障を来すことがなく、車載用バッテリー1の組立作業における作業性の向上を図ることができる。
【0068】
また、収納ケース2に配置用切欠100を形成して接続体33によって電池セル21、21を接続することにより、中仕切壁10に上段の電池セル21と下段の電池セル21を接続する配線を挿通するための孔や切欠を形成する必要がなく、車載用バッテリー1に設計の制約が生じず、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0069】
収納ケース2の上側収納部4には左右両端部にそれぞれプラグセンサーボックス42とジャンクションボックス43が収納されている(図1及び図2参照)。また、収納ケース2の下側収納部5の内部には車載用バッテリー1の全体の制御を司るバッテリーコントロールユニット44と充電のために必要な各種の部品が搭載された充電用ボックス45が配置されている。
【0070】
プラグセンサーボックス42には所定の接続プラグやセンサー等が配置されている。
【0071】
ジャンクションボックス43は縦長の形状に形成された筐体46と筐体46に配置され電流等の制御を行う制御部品47、47、・・・とを有している。制御部品47、47、・・・としては、例えば、リレーやヒューズやコネクター端子等が設けられている。ジャンクションボックス43には上側前面壁7のケーブル挿通孔7b、7bを挿通されたケーブル48、48の一端部が接続され、ジャンクションボックス43がケーブル48、48によって車両の床下に搭載された図示しない電源回路(インバーター)に接続されている。
【0072】
上側収納部4におけるプラグセンサーボックス42とジャンクションボックス43の間には上段の電池モジュール3、3、・・・が収納されている。また、下側収納部5におけるバッテリーコントロールユニット44と充電用ボックス45の間には下段の電池モジュール3、3が収納されている。
【0073】
上記のように電池モジュール3、3、・・・とプラグセンサーボックス42とジャンクションボックス43とバッテリーコントロールユニット44と充電用ボックス45が収納ケース2に収納された状態において、プラグセンサーボックス42に隣接して位置された電池モジュール3の電池セル21とプラグセンサーボックス42が第1の接続用バスバー49によって接続され、ジャンクションボックス43に隣接して位置された電池モジュール3の電池セル21とジャンクションボックス43が第2の接続用バスバー50によって接続される。第1の接続用バスバー49の一端部と第2の接続用バスバー50の一端部とはそれぞれ電池モジュール3、3の天面部25、25に形成された挿通孔25a、25aに挿通されて電池セル21、21の正極側端子21a又は負極側端子21bに接続される。
【0074】
また、隣接する電池モジュール3、3、・・・の電池セル21、21、・・・同士がそれぞれ直流接続用バスバー51、51、・・・によって接続される。直流接続用バスバー51、51、・・・は両端部がそれぞれ電池モジュール3、3の天面部25、25、・・・に形成された挿通孔25a、25a、・・・に挿通されて電池セル21、21、・・・の正極側端子21a、21a、・・・又は負極側端子21b、21b、・・・に接続される。
【0075】
尚、プラグセンサーボックス42とジャンクションボックス43と充電用ボックス45は電線やバスバーによってバッテリーコントロールユニット44等の所定の各部に接続される。
【0076】
電池モジュール3、3、・・・の後面側には第1の吸気用ダクト52、52が左右に並んで設けられている(図2参照)。第1の吸気用ダクト52は一端部に吸気用開口52aを有し、他端部が二股状に分岐された連結部52b、52bとして設けられている。第1の吸気用ダクト52、52はそれぞれ上側後面壁8に形成された第1のダクト挿通孔8b、8bを挿通され、連結部52b、52b、・・・がそれぞれ左右に並ぶ上段の電池モジュール3、3、・・・におけるチャンバー形成部26、26、・・・の後端部に連結されている。
【0077】
従って、第1の吸気用ダクト52、52とチャンバー形成部26、26、・・・の連結用開口26a、26a、・・・とがそれぞれ連通され、吸気用開口52a、52aからそれぞれ取り込まれる冷却風が第1の吸気用ダクト52、52を介して上段の電池モジュール3、3、・・・の内部に形成されたチャンバー30、30、・・・に送られる。チャンバー30、30、・・・に送られた冷却風は電池セル18、18、・・・間の隙間から反対側のチャンバー30、30、・・・へ向けて流動される。
【0078】
電池モジュール3、3、・・・の後面側には第2の吸気用ダクト53、53が左右に並んで設けられている。第2の吸気用ダクト53には一端部に吸気用開口53aが形成されている。第2の吸気用ダクト53、53はそれぞれ下側後面壁15に形成された第1のダクト挿通孔15bを挿通され、他端部がそれぞれ左右に並ぶ下段の電池モジュール3、3におけるチャンバー形成部26、26の後端部に連結されている。
【0079】
従って、第2の吸気用ダクト53、53とチャンバー形成部26、26、・・・の連結用開口26a、26aとがそれぞれ連通され、吸気用開口53a、53aからそれぞれ取り込まれる冷却風が第2の吸気用ダクト53、53を介して下段の電池モジュール3、3の内部に形成されたチャンバー30、30に送られる。チャンバー30、30に送られた冷却風は電池セル18、18、・・・間の隙間から反対側のチャンバー30、30へ向けて流動される。
【0080】
電池モジュール3、3、・・・の後面側には排気用ダクト54、54が左右に並んで設けられている。排気用ダクト54は外形が略円形状のファン配置部55とファン配置部55にそれぞれ一端部が連結された第1の流路部56、第2の流路部57及び第3の流路部58とファン配置部55から導出された排気部59とを有している。
【0081】
ファン配置部55の内部には冷却ファン60が回転自在に配置されている。冷却ファン60は回転されることにより冷却風を第1の流路部56、第2の流路部57及び第3の流路部58側から排気部59側へ流動させる機能を有している。
【0082】
排気部59の先端には排気用開口59aが形成されている。
【0083】
第1の流路部56、56は上側後面壁8に形成された第2のダクト挿通孔8cを挿通され、他端部がそれぞれ左右方向における中央側において左右に並ぶ上段の電池モジュール3、3におけるチャンバー形成部26、26の後端部に連結されている。
【0084】
第2の流路部57、57はそれぞれ上側後面壁8に形成された第3のダクト挿通孔8d、8dを挿通され、他端部が左右方向における外側に位置された上段の電池モジュール3、3におけるチャンバー形成部26、26の後端部に連結されている。
【0085】
第3の流路部58、58はそれぞれ下側後面壁15に形成された第2のダクト挿通孔15c、15cを挿通され、他端部がそれぞれ左右に並ぶ下段の電池モジュール3、3におけるチャンバー形成部26、26の後端部に連結されている。
【0086】
従って、排気用ダクト54、54とチャンバー形成部26、26、・・・の連結用開口26a、26a、・・・とがそれぞれ連通され、電池セル18、18、・・・を冷却した冷却風がチャンバー30、30、・・・から排気用ダクト54、54を介して排気部59、59の排気用開口59a、59aから排出される。
【0087】
上記した第1の吸気用ダクト52、52、第2の吸気用ダクト53、53、電池モジュール3、3、・・・及び排気用ダクト54、54における冷却風の流動は、冷却ファン60、60によって強制的に行われ、電池セル18、18、・・・が効率的に冷却される。
【0088】
以上に記載した通り、車載用バッテリー1にあっては、収納ケース2の内面側に配置用切欠100が形成され、配置用切欠100に接続体33の一部が嵌合されて配置されているため、接続体33の一部が収納ケース2の内面に接した状態で配置用切欠100に挿入されて配置され、車載用バッテリー1の耐衝撃性の向上及び小型化を図ることができる。
【0089】
また、接続体33の一部が配置用切欠100に嵌合されて配置されているため、接続体33の収納ケース2に対する位置にバラツキが生じ難く、接続体33の電池セル21、21に対する接続状態の安定化を図ることができる。
【0090】
さらに、接続体33の配置スペースとして収納ケース2の一部を切り欠いて形成した配置用切欠100が用いられているため、その部、収納ケース2の重量が小さくなり、車載用バッテリー1の軽量化を図ることができる。
【0091】
さらにまた、上段に位置された電池セル21と下段に位置された電池セル21とがバスバー34によって接続され、接続体33が収納ケース2の内面に沿って位置されており、上段の電池モジュール3、3、・・・の収納ケース2への挿入時に接続体33と電池モジュール3、3、・・・が干渉せず、収納ケース2に対する電池モジュール3、3、・・・の組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0092】
次に、接続体33の変形例に係る接続体33Aについて説明する(図9参照)。
【0093】
接続体33Aは接続体33に対し、第1の覆い部35aから上方に突出された延設部35cと延設部35cの上端部に対して直角に折り曲げられて形成された被取付部35dとが付加されたプロテクター35Aが設けられている。
【0094】
このような接続体33Aを用いた場合には、被取付部35dを収納ケース2の蓋部6と上側前面壁7によって上下から挟み込み、例えば、ネジ止め等によって蓋部6の上側収納部4に対する取付時に、同時に、接続体33Aを収納ケース2に取り付けることが可能になる。
【0095】
上記のように被取付部35dを有する接続体33Aを用いることにより、接続体33Aを収納ケース2に取り付けるための専用の部分が不要になり、部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0096】
また、蓋部6と被取付部35dが重ねられて上側収納部4に取り付けられることにより、蓋部6と接続体33Aが同時に上側収納部4に取り付けられ、取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0097】
上記には、接続体33又は接続体33Aと接続部材39が用いられて電池セル21、21が接続される接続形態(第1の接続形態)を例として示したが、車載用バッテリー1においては、以下のような各種の接続形態を用いることが可能である(図10乃至図14参照)。
【0098】
尚、以下の接続形態の説明においては、第1の接続形態における構成と異なる構成についてのみ詳細に説明し、第1の接続形態と同様の構成については第1の接続形態における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。また、参照する各図も模式的に示す。
【0099】
第2の接続形態は、接続体33(又は接続体33A(以下、同じ。))のバスバー34にヒューズボックス61を介在させている(図10参照)。
【0100】
このようにバスバー34にヒューズボックス61を介在させることにより、電気回路に定格以上の電流が流れたときに電気回路を保護することができ機能性の向上を図ることができる。
【0101】
第3の接続形態は、バスバー34の上側結合部37に複数の箇所、例えば、2箇所の結合部分を設けている(図11参照)。
【0102】
このようにバスバー34の上側結合部37に複数の箇所の結合部分を設けることにより、バスバー34を複数の部品に分岐して接続することが可能になり、車載用バッテリー1の設計の自由度の向上を図ることができると共に配線スペースを小さくして車載用バッテリー1の小型化を図ることができる。
【0103】
尚、車載用バッテリー1においては、バスバー34の上側結合部37に複数の箇所の結合部分を設ける代わりに、収納ケース2の内部に複数の接続体33、33、・・・を配置することも可能である。
【0104】
第4の接続形態は、バスバー34の一端部にコネクター62を接続すると共に接続線63を用いてバスバー34を電池セル21に接続している(図12参照)。接続線63には一端部にコネクター62に接続される第1の接続端子63aが設けられ他端部に電池セル21に接続される第2の接続端子63bが設けられている。
【0105】
このようにコネクター62と接続線63を用いてバスバー34の電池セル21に対する接続を行うことにより、バスバー34と電池セル21の接続を容易に行うことが可能になり、接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0106】
第5の接続形態は、バスバー34の両端部にそれぞれコネクター62、62を接続すると共に接続線63を用いてバスバー34を電池セル21、21に接続している(図13参照)。接続線63には一端部にコネクター62に接続される第1の接続端子63aが設けられ他端部に電池セル21に接続される第2の接続端子63bが設けられている。
【0107】
このようにコネクター62、62と接続線63を用いてバスバー34の電池セル21、21に対する接続を行うことにより、バスバー34と電池セル21、21の接続を容易に行うことが可能になり、接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0108】
第6の接続形態は、バスバー34の両端部にそれぞれコネクター62、62を接続すると共に接続線63、63を用いてバスバー34を所定の各部に接続している(図14参照)。接続線63、63にはそれぞれ一端部にコネクター62、62に接続される第1の接続端子63a、63aが設けられ他端部に所定の各部にそれぞれ接続される図示しない第2の接続端子が設けられている。所定の各部は、電池セル21、プラグセンサーボックス42、ジャンクションボックス43、バッテリーコントロールユニット44、充電用ボックス45等の電気的な接続を必要とする各部であり、接続線63、63は信号線であってもよい。
【0109】
このようにコネクター62、62と接続線63、63を用いてバスバー34の所定の各部に対する接続を行うことにより、バスバー34と所定の各部との接続を容易に行うことが可能になり、接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0110】
以上に示したように、車載用バッテリー1においては、上記のような第1の接続形態乃至第6の接続形態の任意の接続形態を用いることが可能であり、上記した各種の接続形態を用いることにより車載用バッテリー1の設計の自由度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0111】
1…車載用バッテリー、2…収納ケース、3…電池モジュール、4…上側収納部、14a…空洞部、15a…空洞部、16a…空洞部、21…電池セル、33…接続体、34…バスバー、35…プロテクター、33A…接続体、35A…プロテクター、35d…被取付部、100…配置用切欠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14