特許第6382549号(P6382549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382549
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   C09J133/06
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-70219(P2014-70219)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-189940(P2015-189940A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】元木 亮太
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/112856(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/132940(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/075271(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0065416(US,A1)
【文献】 特開2012−117041(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0123046(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0289210(US,A1)
【文献】 特開2014−012787(JP,A)
【文献】 特開2013−122036(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0123450(US,A1)
【文献】 特開2013−071947(JP,A)
【文献】 特開2013−047296(JP,A)
【文献】 特開2011−099078(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0112249(US,A1)
【文献】 特開2012−117016(JP,A)
【文献】 特開2011−052151(JP,A)
【文献】 特開2014−047254(JP,A)
【文献】 特開2014−012808(JP,A)
【文献】 特開2011−074308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数が8〜24である非環状アルキル置換基を有する(メタ)アクリル系単量体20〜99重量%、脂環構造を有する置換基を有する(メタ)アクリル系単量体1〜50重量%およびアミド基含有(メタ)アクリル系単量体1〜重量%を含有し、さらにカルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体および環状エーテル基含有単量体から選ばれる官能基含有単量体を含有する単量体を重合することによって得られる、アクリルポリマーを含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
光学部材に用いられることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤組成物に関するものであり、より詳しくは湿熱条件下においても粘着層が白化しにくく視認性を維持でき、さらにガスバリア性にも優れる粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイにおいて、薄型化、軽量化、フレキシブル化などを目的として、従来のガラスに代えて透明プラスチックフィルムが使用されつつある。
【0003】
一方、一般にプラスチックフィルムはガラスに比べて水蒸気や酸素などのガスを透過させやすいため、ディスプレイ内部の電気素子が劣化し易いという問題があった。
そこで、プラスチックフィルム等の貼り合わせに使用される粘着剤に対して、様々な環境下においても透明性を維持して視認性を損なわないことだけでなく、ガスバリア性を有することによってディスプレイ内部の電気素子を保護できることが求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1には、光学部材用粘着剤が開示されているが、ガスバリア性については検討されていない。
【特許文献1】特開2012-246477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、湿熱条件下においても粘着層が白化しにくく視認性を維持でき、さらにガスバリア性にも優れる粘着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は炭素数が8〜24である非環状アルキル置換基を有する(メタ)アクリル系単量体20〜99重量%、脂環構造を有する置換基を有する(メタ)アクリル系単量体1〜50重量%およびアミド基含有(メタ)アクリル系単量体1〜重量%を含有し、さらにカルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体および環状エーテル基含有単量体から選ばれる官能基含有単量体を含有する単量体を重合することによって得られる、アクリルポリマーを含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粘着剤組成物は耐湿熱白化性に優れるため、ディスプレイに使用しても透明性を維持でき外観に優れる。また、ガスバリア性に優れるためガスを透過させにくく、ディスプレイ内部の電気素子を保護でき、プラスチックフィルムを用いたディスプレイの組立てに使用される粘着剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の粘着剤組成物は、炭素数が8〜24である非環状アルキル置換基を有する(メタ)アクリル系単量体20〜99重量%、脂環構造を有する置換基を有する(メタ)アクリル系単量体1〜50重量%およびアミド基含有(メタ)アクリル系単量体1〜重量%を含有し、さらにカルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体および環状エーテル基含有単量体から選ばれる官能基含有単量体を含有する単量体を重合することによって得られる、アクリルポリマーを含有する。
【0009】
炭素数が8〜24である非環状アルキル置換基を有する(メタ)アクリル系単量体として、直鎖アルキル基を有する単量体、分岐アルキル基を有する単量体などが挙げられる。
【0010】
直鎖アルキル基を有する単量体としては、n−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0011】
分岐アルキル基を有する単量体としては、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0012】
アクリルポリマーを構成する単量体全体に対して、これら炭素数が8〜24である非環状アルキル置換基を有する(メタ)アクリル系単量体を20〜99重量%用いることが好ましく、40〜99重量%用いることがより好ましい。この範囲で用いることにより、ガスバリア性や耐湿熱白化性などが顕著に向上する。
【0013】
環状構造を有する置換基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリルポリマーを構成する単量体全体に対して、環状構造を有する置換基を有する(メタ)アクリル系単量体を1〜50重量%用いることが好ましく、さらに5〜35重量%用いることがより好ましい。この範囲で用いることにより、ガスバリア性などが顕著に向上する。
【0014】
アミド基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
アミド基含有単量体は単量体全体に対して0.1〜7重量%用いることが好ましい。この範囲で用いることにより、耐湿熱白化性などが顕著に向上する。
【0015】
アクリルポリマーを構成する単量体として、架橋反応の点から、さらにカルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体および環状エーテル基含有単量体から選ばれる官能基含有単量体を含有することが好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0016】
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0017】
環状エーテル基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの官能基含有単量体を単量体全体に対して0.1〜10重量%用いることが好ましい。
【0018】
アクリルポリマーを構成する単量体として、その他、公知の(メタ)アクリル系単量体や(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な単量体を用いることができる。また、これらを組み合わせてアクリルポリマーのTg(ガラス転移温度)を−10℃以下にすることが好ましい。Tgが−10℃以上になると粘着剤層が硬くなり粘着力、段差追従性が低下する。
【0019】
炭素数が7以下である置換基を有する(メタ)アクリル系単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルコキシエステルとしては、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシプロピル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシブチル、メタクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル酸アルキレングリコールとしては、アクリル酸エチレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸プロピレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸プロピレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリル酸アリールとしては、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェニルなどが挙げられる。
【0023】
さらに、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどの飽和脂肪酸ビニル系単量体、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン系単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートなどの多官能単量体が挙げられる。
【0024】
前記アクリル系単量体を例えば溶媒中で重合開始剤とともに加熱することによってアクリルポリマーを合成できる。なお、本願発明における重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミネーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値を言う。サンプルは、試料をテトラヒドロフランに溶解して0.1重量%の溶液とし、水を加えた超音波洗浄装置に10分間放置した後、0.20μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
分析装置:SHIMADZU社製、LC20AD
カラム:SHIMADZU社製 GPC−80M ×2
カラムサイズ:各8.0mmφ×300mm 計600mm
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
入口圧:10kgf
検出器:示差屈折計(RI)
カラム温度:40℃
注入量:50μl
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計
標準試料:ポリスチレン
【0025】
アクリルポリマー合成時に用いる溶媒としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネートなど有機溶剤が挙げられる。ただし、これら以外の溶媒を使用しても何ら差し支えなく、また、2種以上の溶媒を併用してもよい。
【0026】
なお、本願発明の粘着剤組成物は水への溶解度が10g/100mL(20℃)以下の溶剤を含有することが低誘電率化の点から好ましく、アクリルポリマー合成時にこのような溶剤を用いた場合はそのまま粘着剤として使用できる。なお、アクリルポリマー合成時には水への溶解度が10g/100mL(20℃)を超える溶剤を用いて、合成後に水への溶解度が10g/100mL(20℃)以下の溶剤に置換してもよいが、工程が煩雑となる。
水への溶解度が10g/100mL(20℃)以下の溶剤としては、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。
【0027】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メトキシプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、[1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)]、などのアゾ系化合物、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、エチルメチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド等の有機化酸化物系化合物等を使用することができる。
また、過酸化物系化合物はN,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン等の還元剤を併用することによりレドックス重合を行うことも可能である。
重合開始剤は、通常アクリル系単量体100重量部に対して0.05〜3重量部使用される。重合開始剤の使用量を増加させれば得られるポリマーの分子量を小さくなり、重合開始剤の使用量を減少させれば得られるポリマーの分子量は大きくなる傾向にある。
【0028】
本発明の粘着剤組成物は、JIS Z0208カップ法により測定される水蒸気透過率が300g以下であることが好ましい。水蒸気透過率の測定方法としては、約100μの粘着剤層(粘着シートからシリコーン処理を施したPETフィルムを剥離したもの)を形成し、当該粘着剤層を、以下の方法により水蒸気透過率を測定した。測定は3サンプルの測定値の平均を水蒸気透過率とした。
測定方法:JIS Z0208準拠
(1)吸湿剤として塩化カルシウム1号を使用して5g秤量した後に粘着剤層を試験カップにとりつけ、周縁部を封ろう剤で完全密閉する
(2)40℃90%に調整した恒温高湿槽に入れ、24時間養生する
(3)養生後23℃50%の恒温高湿内で秤量し、下式から透過度を算出する
WVTR(g/m/day)=240×M/T・S
S:透湿面積(cm
T:試験時間(=24hr)
M:試験時の増加質量(mg)
【0029】
本発明の粘着剤組成物には、さらに架橋剤を加えることができる。架橋剤としては、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート系、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート系、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の上記芳香族ジイソシアネートの水添物などが挙げられる。また、これらのアダクト型、イソシアヌレート型、ビウレット型など多官能化したポリイソシアネート構造物や、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート等の反応生成物であってもよい。
【0030】
エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙がられる。
【0031】
その他、金属錯体化合物を加えてもよい。金属錯体化合物は、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。具体例としては、アルミニウムにアセチルアセトンが配位したナーセムアルミ(日本化学産業社製、商品名)が挙げられる。
【0032】
本発明の粘着剤組成物には、紫外線吸収剤、近赤外吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤及び濡れ性調製剤等の各種添加剤が含まれていても良い。
【0033】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1
撹拌機、還流冷却機を備えたセパラブルフラスコに単量体として2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)78重量部、イソボルニルアクリレート(IBXA)20重量部、アクリルアミド(AAm)1重量部及び4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.23重量部、溶剤として酢酸エチル100重量部を添加して30分以上窒素ガスを導入し、重合系内の酸素を除去した。70℃まで1℃/1minの速度で昇温し、70±1℃に保ったまま4時間攪拌後、反応温度を80℃に昇温し3時間80±1℃を保ち熟成した。反応終了後、酢酸エチルにて反応液を希釈し、淡黄色透明の粘性液体である実施例1のポリマー溶液を得た。粘度は6000mPa・s、固形分は50%、重量平均分子量は500,000であった。
【0035】
実施例1のポリマー溶液の固形分100重量部に対し、架橋剤として多官能イソシアネート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン工業社製、商品名)0.3重量部を加え、さらに酢酸エチルを加えて固形分45%に調製し、実施例1の粘着剤組成物を調製した。
【0036】
実施例2〜7、比較例1〜6
実施例1で用いた材料の他、単量体としてLMA(ラウリルメタクリレート)、ISTA(iso-ステアリルアクリレート)、VMA(ベヘニルメタクリレート)、CHMA(シクロヘキシルメタクリレート)、CHA(シクロヘキシルアクリレート、DCPA(ジシクロペンタニルアクリレート、DAAM(ジアセトンアクリルアミド)、DMAA(ジメチルアクリルアミド)、2−HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、AA(アクリル酸)、GMA(グリシジルメタクリレート)、BA(ブチルアクリレート)、MMA(メチルメタクリレート)、t−BMA(t−ブチルメタクリレート)を用い架橋剤として多官能イソシアネート化合物であるコロネートL、コロネートHL(ともに日本ポリウレタン工業社製、商品名)及び多官能エポキシ化合物であるTETRAD−C(三菱ガス化学社製、商品名)を用いて表1記載の配合にてポリマーの重合および配合を行った他は実施例1と同様に行い、固形分45%である実施例2〜7、比較例1〜6の各粘着剤組成物を調製した。
【0037】
粘着シートの作製
各粘着剤組成物を離型フィルム上に乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布し、90℃で20分間加熱乾燥後、離型フィルム(シリコーン処理を施したPETフィルム)と貼り合わせ、さらに23℃で7日間エージングを行い、基材レスの粘着シートを作成した。
【0038】
耐湿熱白化性
各粘着シートをPETフィルム(東洋紡績社製、商品名A4100、厚さ50μm)に貼り合わせ、幅25mm、長さ100mmのフィルム片を作成した。フィルム片の離型フィルムを剥がし、23℃、50%RH雰囲気にてガラス上に、ラミネーターを用いて貼着した。これを60℃、95%RH環境下で500時間放置し、23℃、50%RHにて1時間冷却した後のヘーズを測定した。なお、ヘーズは東洋精機製作所(株)製HAZE−GARDIIを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
○:ヘーズが1.5未満(ほとんど白化が確認されず、耐湿熱白化性良好)
×:ヘーズが1.5以上(白化性不良で使用できない)
【0039】
水蒸気透過率
JIS Z0208カップ法に準拠して実施。100μmの粘着層を作成した後、塩化カルシウムを5g秤量した試験カップに粘着剤層を設置後、周辺をロウで密封する。密封した試験体の重量を秤量した後に40℃、90%RH環境下にて24時間放置した後、再び試験体の重量を秤量し重量増加分により水蒸気透過率を算出する。水蒸気透過率が300g/m・24hr以下であればガスバリア性良好と評価する。
【0040】
粘着力測定
各粘着シートを50μmPETフィルム(東洋紡績社製、商品名A4100)に貼り合わせることにより評価用サンプルを作製した。当該評価用サンプルを25mm×長さ約100mmに裁断し、シリコーン処理を施したPETフィルムをはく離し、厚さ0.2mmの青ガラス板に貼り付け、23℃、50%RH環境下で24時間静置後、剥離角度180度、剥離速度300mm/分で剥離接着力を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例の各粘着剤組成物はガスバリア性及び耐湿熱白化性が共に良好であった。一方、比較例の各粘着剤組成物においては、ガスバリア性及び耐湿熱白化性のいずれか又はいずれも十分ではなかった。