特許第6382595号(P6382595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6382595-主アンカーの移動検知方法および装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382595
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】主アンカーの移動検知方法および装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   E02D17/20
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-131000(P2014-131000)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-8462(P2016-8462A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040073
【氏名又は名称】岡本 俊仁
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊仁
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−185032(JP,A)
【文献】 特開2005−308721(JP,A)
【文献】 米国特許第03889819(US,A)
【文献】 特開2003−003510(JP,A)
【文献】 稲荷川中流崩壊地対策工事における安全対策,平成25年度 日光砂防事務所「工事安全施工研究発表会」課題論文,日本,国土交通省 関東地方整備局 日光砂防事務所,2014年 1月 9日,第2−3頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E02F 3/06
E21D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面で作業を行う作業車のウインチのワイヤーを主アンカーに固定するワイヤー固定工程と、該ワイヤー固定工程にてワイヤーが固定された主アンカーに移動検知センサを配置する移動検知センサ配置工程と、主アンカーが前記作業車の荷重により移動した場合は、前記移動検知センサ配置工程で配置された移動検知センサが主アンカーの移動を検知し、移動検知センサと接続された送信機より警告信号を送信する警告送信工程と、該警告送信工程で送信された警告信号を受信し、主アンカーが移動したことを作業員にリアルタイムで報知する報知工程とより構成される主アンカーの移動検知方法。
【請求項2】
斜面で作業を行う作業車のウインチのワイヤーを固定する主アンカーと、該主アンカーが前記作業車の荷重により移動した場合に、その移動を検知する移動検知センサと、該移動検知センサと接続され、移動検知センサが主アンカーの移動を検知した場合に、前記作業車の作業員に警告信号を送信する送信機と、前記該送信機より送信された警告信号を受信し作業員にリアルタイムで報知する報知手段とより構成される主アンカーの移動検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は急傾斜面等で作業する作業車のウインチのワイヤーを固定する主アンカーの変形、移動、破損等を検知し、該主アンカーが作業車の荷重に負けて変形、移動、破損等した場合には作業車の作業員に警告を行う主アンカーの移動検知方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
法面(主に急斜面)で作業車(重機)を用いて作業を行う場合、作業車に備えられたウインチのワイヤーを斜面上部の主アンカー(立木、ロックボルト、より大型の重機等)に固定し、ワイヤーをウインチで伸縮させることで作業車を所定の位置に移動させ、削孔等の作業が行われる。また、このワイヤーは作業車の移動だけでなく、法面が崩れたりした場合に落下を防止する命綱としても用いられるものであり、主アンカーが頑丈であるか否かは、安全に作業を行う上で非常に重要である。
【0003】
従来、法面で作業を行う際には、作業前に主アンカーに対して、作業開始時にかかる負荷に安全率を乗じた荷重をかける試験を行い、安全性を確認した後に、作業車のワイヤーを固定し作業を行っているが、作業中に主アンカーが負荷に負けて動いてしまったり、変形してしまってもそれを検知する手段がなく、危険な状態で作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、作業中も主アンカーの移動や変形を感知し、作業員に報知することにより安全に作業を行える主アンカーの移動検知方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は 斜面で作業を行う作業車のウインチのワイヤーを主アンカーに固定するワイヤー固定工程と、該ワイヤー固定工程にてワイヤーが固定された主アンカーに移動検知センサを配置する移動検知センサ配置工程と、主アンカーが前記作業車の荷重により移動した場合は、前記移動検知センサ配置工程で配置された移動検知センサが主アンカーの移動を検知し、移動検知センサと接続された送信機より警告信号を送信する警告送信工程と、該警告送信工程で送信された警告信号を受信し、主アンカーが移動したことを作業員にリアルタイムで報知する報知工程とで主アンカーの移動検知方法を構成している。
【0007】
また、本発明は斜面で作業を行う作業車のウインチのワイヤーを固定する主アンカーと、該主アンカーが前記作業車の荷重により移動した場合に、その移動を検知する移動検知センサと、該移動検知センサと接続され、移動検知センサが主アンカーの移動を検知した場合に、前記作業車の作業員に警告信号を送信する送信機と、前記該送信機より送信された警告信号を受信し作業員にリアルタイムで報知する報知手段とで主アンカーの移動検知装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1の発明では、主アンカーが作業車の重みに負けて、移動・変形等してしまっても、その動きを移動検知センサで検知し、リアルタイムで作業員に報知することができる。
したがって、安全に作業を行うことができる。
(2)主アンカーに対して、移動検知センサを配置し、センサの信号を送受信できる機器を用いるだけなので、様々な現場で容易に用いることができる。
(3)請求項2の発明も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の概略説明図。
図3】本発明を実施するための第1の形態の警告送信工程の説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の報知工程の説明図。
図5】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
図6】本発明を実施するための第2の形態の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図4に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は主アンカーの移動検知装置2を用いて行われる主アンカーの移動検知方法で、この主アンカーの移動検知方法1は斜面で作業を行う作業車3(削孔装置、ショベルカー等の重機)のウインチ4のワイヤー5を主アンカー6に固定するワイヤー固定工程7と、該ワイヤー固定工程7にてワイヤー5が固定された主アンカー6に移動検知センサ8を配置する移動検知センサ配置工程9と、主アンカー6が前記作業車の荷重により移動(変形、破損等も含む)した場合は、前記移動検知センサ配置工程9で配置された移動検知センサ8が主アンカー6の移動を検知し、移動検知センサ8と接続された送信機10より警告信号を送信する警告送信工程11と、該警告送信工程11で送信された警告信号を受信し、主アンカー6が移動したことを報知手段12により作業員に報知する報知工程13とより構成されている。
【0012】
また、前記主アンカーの移動検知装置2は、斜面で作業を行う作業車3のウインチ4のワイヤー5を固定する主アンカー6と、該主アンカー6が移動した場合に、その移動を検知する移動検知センサ8と、該移動検知センサ8と接続され、移動検知センサ8が主アンカー6の移動を検知した場合に、前記作業車4の作業員に警告信号を送信する送信機10と、前記該送信機より送信された警告信号を受信し作業員に報知する報知手段12とより構成されている。
【0013】
前記ワイヤー固定工程7は、削孔装置やブレーカー、ショベルカー等の法面で作業を行う作業車3のウインチ4のワイヤー5を引き出し、主アンカー6に該ワイヤー5を固定する工程である。主アンカー6には、法面の上方にある立木、ロックボルト、作業車より大型の重機等が用いられる。なお、ワイヤー固定工程7では、従来同様主アンカー6の引張試験も行われる。
【0014】
前記移動検知センサ配置工程9は、前記主アンカー6に移動検知センサ8を配置し、主アンカー6が移動や変形した場合には、その異常を検知し、警告信号を送信機10に発信するように設定する工程である。本実施の形態においては、移動検知センサ8としてワイヤーセンサー14を用い、主アンカー6にワイヤーセンサー14を固定し、該ワイヤーセンサー14に警告信号を送信する送信機10が接続する。
前記警告送信工程11では、図3に示すように主アンカー6が移動、変形等した場合に、移動検知センサ8がその動きを検知し、警告信号を出力する。警告信号が出力されると、移動検知センサ8に接続された送信機10がその警告信号を無線で送信する。本実施の形態のようにワイヤーセンサー14を用いた場合、主アンカー6が移動するとワイヤーセンサー14のワイヤーが移動・破断等され、それをワイヤーセンサー14が検知して警告信号を出力し、当該警告信号を送信機10が送信する。
【0015】
前記報知工程13は、図4に示すように報知手段12により前記送信機が送信した警告信号を受信し、警告音声、ブザー、視覚効果等で作業員に危険を報知する。報知手段12の具体的な例としては、警告信号を受信する受信機15と、受信機15で警告信号を受信した場合に作業員に危険を報知するスピーカー16および回転灯17で構成されるものが考えられる。このような報知手段12は作業員が作業車3に乗車して作業する場合には、作業車内に取り付けられ、作業員が事務所等から無線で無人の作業車3を操作している場合には、事務所に設置される。
【0016】
なお、報知手段12は前記信号を受信でき、作業員に危険を報知できれば良く、前記構成には限定されない。例えば、スマートフォンやタブレット、パソコン等の端末で前記警告信号を受信してディスプレイとスピーカーで報知するものでも良いし、ウェアラブル端末を作業員に装着させ、このウェアラブル端末で警告信号を受信し、音声、画像等で報知するものであってもよい。
【0017】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図5および図6に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
図5および図6に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、赤外線距離測定器等の無線で目標物との距離を測定できる距離測定センサ18を移動検知センサ8Aとして用い、主アンカー6に対して所定の距離隔てて移動検知センサ8Aを設置し、主アンカー6とのが一定以上に拡大した場合には警告信号を送信機10によって送信できるようにした移動検知センサ配置工程9Aとした点で、このような主アンカーの移動検知方法1Aおよび主アンカーの移動検知装置2Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、容易に移動検知センサを配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は重機を主アンカーに固定して、法面で作業を行う産業で利用される。
【符号の説明】
【0020】
1、1A:主アンカーの移動検知方法、
2、2A:主アンカーの移動検知装置、
3:作業車、 4:ウインチ、
5:ワイヤー、 6:主アンカー、
7:ワイヤー固定工程、 8、8A:移動検知センサ、
9、9A:移動検知センサ配置工程、
10:送信機、 11:警告送信工程、
12:報知手段、 13:報知工程、
14:ワイヤーセンサー、 15:受信機、
16:スピーカー、 17:回転灯、
18:距離測定センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6