(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給電制御手段はブロック機能部を備え、このブロック機能部は、温度計測手段の複数の温度センサをブロック分けし、これらの各ブロックに優先度を設定すると共に、前記各ブロック内で前記温度センサを計測状態とする順番を決定して設定し、これらの優先度及び順番に基づいて、給電手段による前記温度センサのヒータへの給電を制御するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液面レベル計測システム。
前記給電制御手段はセンサ優先機能部を備え、このセンサ優先機能部は、温度計測手段の複数の温度センサに優先度を設定し、前記温度センサを計測状態とする順番を前記優先度に基づいて決定して設定し、給電手段による前記温度センサのヒータへの給電を制御するよう構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の液面レベル計測システム。
前記給電制御手段は予測機能部を備え、この予測機能部は、温度計測手段からの温度情報及び給電手段からのヒータへの給電情報に基づいて構造物内の液面レベルを予測し、この予測した液面レベルに基づいて、ブロック機能部とセンサ優先機能部の少なくとも一方が行う優先度及び順番の設定を変更するよう構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の液面レベル計測システム。
前記給電制御手段は監視機能部を備え、この監視機能部は、判定部による液面レベルの判定後に、温度計測手段の複数の温度センサのうち、判定された液面レベルに隣接する前記温度センサを含む複数の前記温度センサを1つのブロックとして設定し、このブロック内の前記温度センサを一方向から順番に計測状態に設定するよう構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液面レベル計測システム。
【背景技術】
【0002】
例えば原子力発電所では、地震及び津波の影響で設計基準事象を超える事象が発生する事態に備え、様々な水位計測システムが開発されている。そのなかでも、ヒートサーモ式の水位温度計測器は耐振動性及び耐放射性に優れ、蒸気などの外部環境に左右されないことから、原子力発電所の重要な水位計として採用されている。
【0003】
図21にヒートサーモ式の水位温度計測器111を用いた従来の水位計測システム110を示す。水位温度計測器111は、
図22にも示すように、熱電対の計測点付近にヒータを配設してなる温度センサ112が長手方向に複数配置されて構成される。この水位温度計測器111は、例えば原子力発電設備の使用済燃料貯蔵プール100のプール水102中に挿入されて、温度センサ111がプール水102中または空気101中で、ヒータの発熱時に温度を計測する。ここで、
図21中の符号104は、使用済燃料集合体を示す。
【0004】
この水位温度計測器111では、気体の方が液体よりも熱伝導率が格段に低いため、温度センサ112が気体(空気101)中にある場合の方が液体(プール水102)中にある場合よりも、ヒータの発熱に伴う熱電対の計測温度が高くなる。この原理を有して、水位計測システム110の判定部113は、水位温度計測器111の複数の温度センサ112からの計測温度を取り込んで、これらの温度センサ112が空気101中またはプール水102中のいずれに存在しているかを判断することで、使用済燃料貯蔵プール100におけるプール水102の水位103を判定して計測する。
【0005】
この計測したプール水102の水位103や、水位温度計測器111の温度センサ112が計測した温度などは、記録部114に記録されると共に、許容範囲を超えた場合に警報表示部115にその旨が表示される。
【0006】
水位温度計測器111の温度センサ112のヒータを発熱させるためにこのヒータへ供給される電力は、全てのヒータへ同時に供給されるのではなく、
図22に示すように、プール水102から最も遠い最上位置のNO10の温度センサ112からNO9の温度センサ112、NO8の温度センサ112…と、下方の温度センサ112へ向かって順次1個ずつ供給される。
【0007】
つまり、ヒータ制御スイッチ116がオペレータによりON操作されてヒータON/OFF回路117へ計測開始指令が送信されたとき、このヒータON/OFF回路117は、断続器118を動作させて、電源117からの電力をパルス電力として、水位温度計測器111の上方の温度センサ112から下方の温度センサ112のそれぞれのヒータへ個別に供給し発熱させる。
【0008】
ここで、
図23に示すように、ヒータON/OFF回路117は、ヒータ制御スイッチ116から計測開始指令を受信したとき、計測ステップ121とインターバルステップ122をひとつにしたサイクル120を、ヒータ制御スイッチ116から計測終了指令を受信するまで繰り返す。
【0009】
計測ステップ121は、ヒータON/OFF回路117による温度センサ112のヒータへの給電(ON)と、給電遮断(OFF)とを繰り返すステップであり、給電(ON)時間をTaで、給電遮断(OFF)時間をTbでそれぞれ示す。この計測ステップ121におけるヒータの給電(ON)、給電遮断(OFF)は、水位温度計測器111における複数の温度センサ112のそれぞれのヒータへの給電(ON)、給電遮断(OFF)と連動している。また、インターバルステップ122は、温度センサ112のヒータへの給電を継続して遮断状態として、温度センサ112を冷却するステップである。
【0010】
ところで、ヒートサーモ式の水位温度計測器を用いて水位(液面レベル)を判定し計測する技術が特許文献1〜4に開示されている。このうち、特許文献1及び2は温度センサの故障をも検出するものであり、特許文献3はアナログ処理にて液面レベルを判定するものであり、特許文献4は、温度センサが検出する温度変化量や温度変化率の極大値などに基づいて水位を判定し計測するものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(
図1〜
図7)
図1は、第1実施形態に係る液面レベル計測システムとしての水位計測システムを示すブロックである。また、
図2は、
図1のヒートサーモ式水位温度計測器を示す概略図である。
【0020】
図1には、原子力発電設備の原子炉建屋内に設けられる構造物としての使用済燃料貯蔵プール1が示されている。本第1実施形態における液面レベル計測システムとしての水位計測システム10は、使用済燃料貯蔵プール1に貯溜される液体としてのプール水2の水位3を液面レベルとして計測するものであり、温度計測手段としてのヒートサーモ式の水位温度計測器11、給電手段としてのヒータON/OFF回路12、給電制御手段としてのヒータ制御装置13、判定手段としての判定部14、その他にヒータ制御スイッチ15、記録部16及び警報表示部17を有して構成される。
【0021】
使用済燃料貯蔵プール1には、複数の使用済燃料集合体4を収納するラック5が複数体配置されている。プール水2は、崩壊後により温度上昇する使用済燃料集合体4を冷却する。尚、構造物としては使用済燃料貯蔵プール1に限らず、原子炉圧力容器や原子炉格納容器、または各種プラントの液槽であってもよい。
【0022】
ヒートサーモ式の水位温度計測器11は、
図1及び
図2に示すように、複数の温度センサ20が保護管21内で、この保護管21の長手方向に所定の等間隔で配置されて構成される。各温度センサ20は、測温体としての熱電対22と、この熱電対22の計測点22A付近に配設されたヒータ23とが、絶縁材24が充填された収容管25内に収容されて構成される。絶縁材24によって、熱電対22及びヒータ23が絶縁される。
【0023】
水位温度計測器11は、使用済燃料貯蔵プール1の水深方向(鉛直方向)においてプール水2中に挿入され、一部がプール水2中に、残りが空気6中に位置する。これにより、水位温度計測器11における温度センサ20は、ヒータ23が給電(ON)されて加熱された状態で、プール水2中の温度センサ20の熱電対22がプール水2中で温度を計測し、空気6中の温度センサ20の熱電対22が空気6中で温度を計測する。
【0024】
ここで、気体である空気6の方が液体であるプール水2よりも熱伝導率が格段に低いため、空気6中の温度センサ20では、加熱されたヒータ23の温度が空気6へリークし難く、従って、熱電対22の計測温度は、
図3の2点鎖線Xの如く上昇する。これに対し、プール水2中の温度センサ20では、加熱されたヒータ23の温度は、その大部分がプール水2へリークし、従って、熱電対22の計測温度が
図3の実線Yの如くほとんど上昇しない。温度センサ20の熱電対22が計測する上述の計測温度の差を利用して、水位温度計器11における複数の温度センサ20のそれぞれが空気6中またはプール水2中のいずれに存在するかが判断され、これにより、プール水2の水位3がいずれの温度センサ20間に位置しているかが判定される。
【0025】
ヒータON/OFF回路12は、断続器26に動作指令を送信することで、電源27からの電力を、ジャンクションボックス28を経て水位温度計測器11における複数の温度センサ20のヒータ23へ断続的に供給する。即ち、ヒータON/OFF回路12は、水位温度計測器11における複数の温度センサ20のヒータ23へ電源27から電力を供給(ON)し、このヒータ23を発熱させてこの温度センサ20を計測状態とし、または、複数の温度センサ20のヒータ23への給電を遮断(OFF)し、この温度センサ20を非計測状態とする。
【0026】
水位温度計測器11における複数の温度センサ20のヒータ23へヒータON/OFF回路12が行う上述の給電は、パルス状の電力の供給であり、更に、ヒータ制御装置13が行う後述の制御によって、複数の温度センサ20のうちの選択された温度センサ20のヒータ23に対して実行される。尚、電源27からの電力は、ヒータON/OFF回路12、ヒータ制御装置13、判定部14、ヒータ制御スイッチ15、記録部16及び警報表示部17に対しても常時供給されている。
【0027】
判定部14は、水位温度計測器11から温度情報Aを入力し、ヒータON/OFF回路12から温度センサ20のヒータ23への給電情報Bを入力し、ヒータ制御装置13からヒータON/OFF回路12への制御情報C(後述の制御指令信号Fの内容)を入力する。
【0028】
温度センサ20のヒータ23への給電情報Bは、水位温度計測器11のいずれの温度センサ20のヒータ23へ電力が供給(ON)されたか、または水位温度計測器11のいずれの温度センサ20のヒータ23へ電力の供給が遮断(OFF)されたかを表す情報である。ヒータ23への給電(ON)がなされた温度センサ20が計測状態になり、ヒータ23への給電が遮断(OFF)された温度センサ20が非計測状態になる。
【0029】
また、水位温度計測器11からの温度情報Aは、計測状態にある温度センサ20の熱電対22が計測した温度である。この温度は、温度センサ20が空気6中にあるときには高く(温度上昇大)になり、温度センサ20がプール水2中にあるときには低く(温度上昇小)になる。また、ヒータON/OFF回路12への制御情報Cは、ヒータ制御装置13が水位温度計測器11の複数の温度センサ20のうち、いずれの温度センサ20を選択して計測状態にしたか、つまり、いずれの温度センサ20のヒータ23へ給電させるようにヒータON/OFF回路12を制御したかについての制御情報である。この制御情報Cの内容である制御指令信号Fについては後に詳説する。
【0030】
判定部14は、上述の温度情報A、給電情報B及び制御情報Cに基づいて、計測状態にある隣接する温度センサ20が計測した計測温度に温度上昇の大小があるとき、これらの隣接する温度センサ20間にプール水2の水位3が存在していると判定する。
【0031】
この判定部14により判定された使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3は、水位温度計測器11の温度センサ20により計測された計測温度と共に、記録部16に記録される。使用済燃料貯蔵プール1のプール水の判定された水位3が許容範囲を逸脱していたり、水位温度計測器11の温度センサ20が計測した計測温度が許容範囲を越えている場合に、警報表示部17によりその旨の警報が表示される。
【0032】
ヒータ制御スイッチ15は、オペレータに操作される操作スイッチであり、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3の計測を水位計測システム10に開始させようとするとき、または水位計測システム10による計測を終了させようとするときに操作される。このヒータ制御スイッチ15の操作による計測開始指令信号D、計測終了指令信号Eはヒータ制御装置13へ送信される。
【0033】
ヒータ制御装置13は、ヒータ制御スイッチ15から計測開始指令信号Dを受信することで、水位温度計測器11の複数の温度センサ20を計測状態とする順番を決定して設定し、この順番に基づいて、水位温度計測器11の複数の温度センサ20におけるヒータ23へのヒータON/OFF回路12による給電(ON)及び給電遮断(OFF)を制御する。このヒータ制御装置13の制御は、ヒータ制御スイッチ15からの計測終了指令信号Eの受信により終了する。
【0034】
本第1実施形態のヒータ制御装置13は、水位温度計測器11の複数の温度センサ20におけるヒータ23へのヒータON/OFF回路12による給電(ON)及び給電遮断(OFF)に関してブロック機能部31を備える。このブロック機能部31は、水位温度計測器11の複数の温度センサ20をブロック分けし、これらの各ブロックに優先度を設定すると共に、各ブロック内で温度センサ20を計測状態とする順番を決定して設定し、これらの優先度及び順番に基づいて、水位温度計測器11の複数の温度センサ20におけるヒータ23へのヒータON/OFF回路12による給電(ON)及び給電遮断(OFF)を制御するよう構成されたものである。このブロック機能部31が行う複数の温度センサ20のブロック分けには、例えば、
図4に示す第1パターンと、
図6に示す第2パターンとがある。
【0035】
図4に示すブロック分けとして、ブロック機能部31は、NO10及びNO1の温度センサ20をブロック優先度1の第1ブロックとし、NO9及びNO8の温度センサ20をブロック優先度2の第2ブロックとし、NO2及びNO3の温度センサ20をブロック優先度3の第3ブロックとし、NO7及びNO6の温度センサ20をブロック優先度4の第4ブロックとし、NO5及びNO4の温度センサ20をブロック優先度5の第5ブロックとする。
【0036】
そして、この場合、ブロック機能部31は、
図5に示すように、ブロック優先度が高いブロック順に、同一ブロック内の温度センサ20のヒータ23へ同時に給電(ON)させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在する場合には、ヒータON/OFF回路12による1回目の給電(ON)動作で第1ブロックのNO9及びNO1の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させ、2回目の給電(ON)動作で第2ブロックのNO9及びNO8の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させ、以下同様に行う。
【0037】
ヒータON/OFF回路12による5回目の給電(ON)動作で第5ブロックのNO5及びNO4の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させたとき、これらの温度センサ20の熱電対22が計測する温度の温度上昇がそれぞれ大、小となることで、判定部14は、このNO5とNO4の温度センサ20間にプール水2の水位3が存在すると判定する。
【0038】
従来(
図21〜
図23)の如く、水位温度計測器11の複数の温度センサ20における上方から下方へ向かって順次、温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)、給電遮断(OFF)を実行して水位3を計測する場合には、7回目の給電(ON)動作でNO4の温度センサ20が温度を計測したときに、判定部14がNO5とNO4の温度センサ20間にプール水2の水位3が存在すると判定する。
【0039】
これに対し、上述の第1パターンのブロック分けによる温度センサ20のヒータ23への給電(ON)、給電遮断(OFF)制御の場合には、5回目の給電(ON)動作でプール水2の水位3を計測できるので、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在するときには、プール水2の水位3の計測時間を従来に比べ約5/7に短縮できる。
【0040】
また、
図6に示すブロック分けとして、ブロック機能部31は、NO10及びNO9の温度センサ20をブロック優先度1の第1ブロックとし、NO8、NO7及びNO6の温度センサ20をブロック優先度2の第2ブロックとし、NO5〜NO1の温度センサ20をブロック優先度3の第3ブロックとする。そして、この場合、ブロック機能部31は、
図7に示すように、ブロック優先度が高いブロック順に、各ブロックで上方位置の1個の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0041】
つまり、ブロック機能部31は、まず、ブロック優先度1の第1ブロックを選択し、この第1ブロックの最上位置にあるNO10の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させるように、ヒータON/OFF回路12を制御する。このとき、ブロック機能部31は、NO10の温度センサ20のヒータ23が給電されたことを記憶して、次に第1ブロックに給電の順番がきたとき、このNO10の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させないようにする。
【0042】
次に、ブロック機能部31は、ブロック優先度2の第2ブロックを選択し、この第2ブロックの最上位置にあるNO8の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させるように、ヒータON/OFF回路12を制御する。次に、ブロック機能部31は、ブロック優先度3の第3ブロックを選択し、この第3ブロックの最上位置にあるNO5の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させるように、ヒータON/OFF回路12を制御する。最終ブロック(第3ブロック)まで給電を実施した後、ブロック機能部31は、ブロック優先度1に戻り、このブロック優先度1の第1ブロックを選択し、未だ給電されていない温度センサ20のうち最上位置にあるNO9の温度センサ20のヒータ23へ給電するように、ヒータON/OFF回路12を制御する。以下、上述の制御を繰り返す。
【0043】
ヒータON/OFF回路12による6回目の給電(ON)動作で第3ブロックのNO4の温度センサ20のヒータ23を給電(ON)させたとき、このNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、3回目の給電動作によりNO5の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となることで、判定部14は、このNO5とNO4の温度センサ20間にプール水2の水位3が存在していると判定する。
【0044】
このように第2パターンのブロック分けによる温度センサ20のヒータ23への給電(ON)、給電遮断(OFF)制御の場合には、従来の如く、水位温度計測器11の複数の温度センサ20における上方から下方へ向かって順次、温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)、給電遮断(OFF)を実行して水位3を計測する場合に比べ、上述の如く6回目の給電(ON)動作でプール水2の水位3を計測できるので、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在するときに、このプール水2の水位3の計測時間を約6/7に短縮できる。
【0045】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)を奏する。
(1)水位温度計測器11における複数の温度センサ20のヒータ23へ給電してこの温度センサ20を計測状態とする順番を、ヒータ制御装置13が決定して設定し、更にこのヒータ制御手段13が、設定された順番に基づいて、ヒータON/OFF回路12による温度センサ20のヒータ23への給電を制御するので、水位温度計測器11の複数の温度センサ20が予め定められた順番で計測状態になる従来の場合に比べ、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を、その水位3の高低に拘らず短時間に計測できる。
【0046】
[B]第2実施形態(
図8〜
図10)
図8は、第2実施形態に係る液面レベル計測システムとしての水位計測システムを示すブロック図である。この第2実施形態において、第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0047】
本第2実施形態の液面レベル計測システムとしての水位計測システム40が第1実施形態と異なる点は、給電制御手段としてのヒータ制御装置41が、ブロック機能部31の他に予測機能部42を有する点である。
【0048】
この予測機能部42は、水位温度計測器11から温度情報Aを入力し、ヒータON/OFF回路12から温度センサ20のヒータ23への給電情報Bを入力し、これらの温度情報A及び給電情報Bに基づいて、使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3を予測する。更に予測機能部42は、この予測したプール水2の水位3に基づいてブロック機能部31が行うブロックの優先度の設定、及び温度センサ20を計測状態とする順番の設定を変更するよう構成される。
【0049】
このヒータ制御装置41では、
図9に示すように、ブロック機能部31は、NO10及びNO9の温度センサ20をブロック優先度1の第1ブロックとし、NO8、NO7及びNO6の温度センサ20をブロック優先度2の第2ブロックとし、NO5〜NO1の温度センサ20をブロック優先度3の第3ブロックとする。そして、この場合には、ブロック機能部31は、
図10に示すように、ブロック優先度が高いブロック順に、各ブロックで最上位置のみの温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0050】
予測機能部42は、このときの温度情報Aを水位温度計測器11から入力し、給電情報BをヒータON/OFF回路12から入力することで、どのブロック内にプール水2の水位3があるかを予測する。NO5とNO4の温度センサ20間に水位3が存在する場合には、NO10、NO8及びNO5の全ての温度センサ20の熱電対22が温度上昇大を計測するので、予測機能部42は、第3ブロック内に水位3があると予測する。
【0051】
予測機能部42は、上述の水位3の予測に基づいて、第3ブロック内で上方位置の温度センサ20から下方へ向かって1個ずつ、温度センサ20を計測状態とする順番を設定する。ブロック機能部31は、この順番に基づいて温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。このとき、第1ブロック及び第2ブロック内における温度センサ20のヒータ23へは給電が実行されない。
【0052】
ヒータON/OFF回路12による4回目の給電(ON)動作でNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、ヒータON/OFF回路12による3回目の給電(ON)動作によりNO5の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となることで、判定部14は、このNO5とNO4の温度センサ20間に、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3が存在していると判定する。
【0053】
この第2実施形態の場合には、上述の如く温度センサ20のヒータ23への4回目の給電(ON)動作で、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を計測できるので、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在するときには、プール水2の水位3の計測時間を従来に比べ約4/7に短縮でき、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)を奏する。
【0054】
(2)ヒータ制御装置41の予測機能部42が、水位温度計測器11からの温度情報A及びヒータON/OFF回路12からの温度センサ20のヒータ23への給電情報Bに基づいて、使用済燃料貯蔵プール1内のプール水2の水位3を予測し、この予測した水位3に基づいて、水位温度計測器11の温度センサ20のヒータ23への給電(ON)動作を変更するので、使用済燃料駆動プール1内のプール水2の水位3の高低に左右されることなく、プール水2の水位3をより短時間に計測できる。
【0055】
[C]第3実施形態(
図11〜
図13)
図11は、第3実施形態に係る液面レベル計測システムとしての水位計測システムを示すブロック図である。この第3実施形態において、第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0056】
本第3実施形態の液面レベル計測システムとしての水位計測システム45が第1実施形態と異なる点は、給電制御手段としてのヒータ制御装置46が、ブロック機能部31の他にセンサ優先機能部47を有する点である。
【0057】
このセンサ優先機能部47は、水位温度計測器11の複数の温度センサ20に優先度を設定し、この温度センサ20を計測状態とする順番を前記優先度に基づいて決定して設定し、水位温度計測器11の複数の温度センサ20におけるヒータ23へヒータON/OFF回路12が行う給電(ON)及び給電遮断(OFF)を制御するよう構成されたものである。
【0058】
このヒータ制御装置46では、
図12に示すように、ブロック機能部31は、NO10、NO9及びNO8の温度センサ20をブロック優先度1の第1ブロックとし、NO4〜NO1の温度センサ20をブロック優先度2の第2ブロックとし、NO7、NO6及びNO5の温度センサ20をブロック優先度3の第3ブロックとする。
【0059】
また、センサ優先機能部47は、各ブロックで温度センサ20に優先度を設定する。即ち、
図13に示すように、センサ優先機能部47は、第1ブロックにおいて、NO10の温度センサ20に最も高いセンサ優先度1を設定し、NO9の温度センサ20に次に高いセンサ優先度2を設定し、NO8の温度センサ20に最も低いセンサ優先度3を設定する。同様にして、センサ優先機能47は、第2ブロックにおいて、NO1の温度センサ20にセンサ優先度1を設定し、NO2/3の温度センサ20にセンサ優先度2を設定し、NO4の温度センサ20にセンサ優先度3を設定する。また、センサ優先機能部47は、第3ブロックにおいて、NO7の温度センサ20にセンサ優先度1を設定し、NO6の温度センサ20にセンサ優先度2を設定し、NO5の温度センサ20にセンサ優先度3を設定する。
【0060】
この場合には、ブロック機能部31が、ブロック優先度1の第1ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、第1ブロック内でセンサ優先度1のNO10の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。このとき、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47は、NO10の温度センサ20のヒータ23が給電されたことを記録し、次に第1ブロックの順番がきたときに、NO10の温度センサ20のヒータ23を給電させないようにする。
【0061】
次に、ブロック機能31が、ブロック優先度2の第2ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、第2ブロック内でセンサ優先度1のNO1の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。この2回目の給電動作により、NO1の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、1回目の給電動作によりNO10の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となることで、判定部14は、NO10とNO1の温度センサ20間にプール水2の水位3が存在していると、水位のおおまかな判定を実行する。
【0062】
次に、ブロック機能部31がブロック優先度3の第3ブロックを選択し、ブロック機能31またはセンサ優先機能部47が、この第3ブロック内でセンサ優先度1のNO7の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。最終の第3ブロックまで給電動作が実施された後に、ブロック機能部31が、最初のブロック優先度1の第1ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、この第1ブロックにおいてヒータ23が給電(ON)されていない温度センサ20のうち、センサ優先度2のNO9の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0063】
ブロック機能部31、センサ優先機能部47が上述の手順を繰り返す。ヒータON/OFF回路12による8回目の給電(ON)動作でNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、ヒータON/OFF回路12による9回目の給電動作によりNO5の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となるので、判定部14は、このNO4とNO5の温度センサ20間にプール水の水位3が存在していると判定する。従って、この第3実施形態は、次の効果(3)を奏する。
【0064】
(3)ヒータ制御装置46のブロック機能部31が水位温度計測器11における複数の温度センサ20をブロック分けし、センサ優先機能部47が各ブロック内で温度センサ20に優先度を設定している。このため、例えば、ヒータON/OFF回路12による1回目と2回目の給電動作で、判定部14が、NO10とNO1の温度センサ20間にプール水2の水位3が存在することをおおまかに水位判定できる。このように、複数の温度センサ20がブロック分けされた各ブロック内で、センサ優先機能部47により温度センサ20に優先度が設定されることで、所定高さ範囲(例えばNO10とNO1のセンサ20間)にプール水の水位3が存在することを早期に把握でき、この結果、使用済燃料貯蔵プール1の安全性を早期に確認できる。
【0065】
[D]第4実施形態(
図14〜
図16)
図14は、第4実施形態に係る液面レベル計測システムとしての水位計測システムを示すブロック図である。この第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0066】
本第4実施形態の液面レベル計測システムとしての水位計測システム50が第1実施形態と異なる点は、給電制御手段としてのヒータ制御装置51が、ブロック機能部31の他にセンサ優先機能部47、予測機能部42及び監視機能部52を有する点である。
【0067】
本第4実施形態の予測機能部42は、水位温度計測器11から温度情報Aを入力し、ヒータON/OFF回路12から温度センサ20のヒータ23への給電情報Bを入力し、これらの温度情報A及び給電情報Bに基づいて、使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3を予測する。更に予測機能部42は、この予測したプール水2の水位3に基づいて、ブロック機能部31が行うブロックの優先度の設定、並びにブロック機能部31及びセンサ優先機能部47が行う温度センサ20を計測状態とする順番の設定を変更するよう構成される。
【0068】
また、監視機能部52は、判定部14による使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3の判定後に、水位温度計測器11の複数の温度センサ20のうち、判定された水位3に隣接する温度センサ20を含む複数の温度センサ20を1つのブロックとして設定し、このブロック内の温度センサ20を一方向から順番に計測状態に設定するよう構成される。
【0069】
このヒータ制御装置51では、
図15に示すように、ブロック機能部31は、NO10、NO9及びNO8の温度センサ20をブロック優先度1の第1ブロックとし、NO4〜NO1の温度センサ20をブロック優先度2の第2ブロックとし、NO7、NO6及びNO5の温度センサ20をブロック優先度3の第3ブロックとする。
【0070】
また、ヒータ制御装置51では、センサ優先機能部47は、各ブロックで1個の温度センサ20に最も高いセンサ優先度1を設定する。即ち、センサ優先機能部47は、
図16に示すように、第1ブロックではNO10の温度センサ20にセンサ優先度1を設定し、第2ブロックではNO1の温度センサ20にセンサ優先度1を設定し、第3ブロックではNO7の温度センサ20にセンサ優先度1を設定する。このセンサ優先機能部47は、各ブロックにおいて他の温度センサ20についてはセンサ優先度を設定しない。
【0071】
この場合には、ブロック機能部31が、ブロック優先度1の第1ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、この第1ブロック内でセンサ優先度1のNO10の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。次に、ブロック機能部31が、ブロック優先度2の第2ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、この第2ブロック内でセンサ優先度1のNO1の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。その後、ブロック機能部31が、ブロック優先度3の第3ブロックを選択し、ブロック機能部31またはセンサ優先機能部47が、この第3ブロック内でセンサ優先度1のNO7の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0072】
このとき、予測機能部42は、ヒータON/OFF回路12による1回目の給電(NO10の温度センサ20のヒータ23への給電)と、ヒータON/OFF回路12による2回目の給電(NO1の温度センサ20のヒータ23への給電)と、3回目の給電(NO7の温度センサ20のヒータ23への給電)とにおけるそれぞれの温度情報Aを水位温度計測器11から入力し、それぞれの給電情報BをヒータON/OFF回路12から入力することで、使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3を予測する。例えば、NO5とNO4の温度センサ20間に水位3が存在する場合には、NO1の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、NO7の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となるので、予測機能部42は、NO7の温度センサ20を含む第3ブロックとNO1の温度センサ20を含む第2ブロックに、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3が存在すると予測する。
【0073】
そして、予測機能部42は、この予測したプール水2の水位3に基づいて、ブロック機能部31が行った温度センサ20のブロック分けを変更し、NO7〜NO2の温度センサ20をブロック優先度1の新たなブロック(第4ブロック)として設定する。更に予測機能部42は、この第4ブロック内でのセンサ優先度を、最上位置のNO7の温度センサ20をセンサ優先度1とし、この温度センサ20よりも下方にある温度センサ20の優先度を、下方へ向かって順次下げて設定する。尚、NO1の温度センサ20については、プール水2中に存在するので第4ブロックに含めない。
【0074】
ブロック機能部31は、第4ブロック内で予測機能部42が設定したセンサ優先度に従って、温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0075】
ヒータON/OFF回路12による5回目の給電(ON)動作でNO5の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、6回目の給電(ON)動作でNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ大、小となることで、判定部14は、このNO5とNO4の温度センサ20間に、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3が存在していると判定する。
【0076】
判定部14による水位3の判定後、監視機能部52は、判定されたプール水2の水位3に隣接するNO5及びNO4の温度センサ20を含む上下1個ずつの温度センサ20、即ちNO6、NO5、NO4及びNO3/2の温度センサ20を1つのブロック(第5ブロック)として設定する。更に監視機能部52は、この第5ブロック内でのセンサ優先度を、使用済燃料貯蔵プール1の安全性を迅速に確認するために、最下位置のNO3/2の温度センサ20をセンサ優先度1とし、この温度センサ20よりも上方にある温度センサ20のセンサ優先度を上方へ向かって順次下げて設定する。
【0077】
ブロック機能部31は、第5ブロック内で監視機能部52が設定したセンサ優先度に従って温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。第5ブロック内で温度センサ20が下方から上方へ向かって順次計測状態になる過程で、判定部14は、計測状態の温度センサ20の熱電対22が計測した温度情報Aから、使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3の変動を監視する。
【0078】
この第4実施形態の場合には、上述の如く温度センサ20のヒータ23への6回目の給電(ON)動作で、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を計測できるので、この使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在するときには、プール水2の水位3の計測時間を従来に比べて約6/7に短縮でき、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏する。更に、この第4実施形態では、ヒータ制御装置51が予測機能部42を有することで、第2実施形態の効果(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
【0079】
(4)ヒータ制御装置51が監視機能部52を有し、この監視機能部52が判定部14による使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3の判定後に、この判定された水位3に隣接する温度センサ20を含む新たなブロック(例えば第5ブロック)を設定し、このブロックにおいて温度センサ20を順次計測状態とするので、プール水2の水位3の判定後にこの水位3の変動を監視することができる。
【0080】
[E]第5実施形態(
図17〜
図20)
図17は、第5実施形態に係る液面レベル計測システムとしての水位計測システムを示すブロック図である。この第5実施形態において、第1〜第4実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0081】
本第5実施形態の液面レベル計測システムとしての水位計測システム55が第1実施形態と異なる点は、ヒータ制御手段としてのヒータ制御装置56が、ブロック機能部31の他にセンサ優先機能部47、予測機能部42及び監視機能部52を有して構成された点である。
【0082】
この第5実施形態の予測機能部42は、
図19に示すセンサ優先度マップ57を格納する。このセンサ優先度マップ57は、水位温度計測器11における計測状態の温度センサ20が気体中に存在するかまたは液体中に存在するかによって、次に計測状態とすべき温度センサ20の優先度を決定するものである。
【0083】
図19では、温度センサ20のNOを〇番号で表し、水位温度計測器11に温度センサ20が15個存在している例を示す。このセンサ優先度マップ57では、水位温度計測器11における長手方向中央位置のNO8の温度センサ20が気体中にあるときには、次に計測状態とすべき温度センサ20をNO4の温度センサ20として優先度を設定し、また、NO8の温度センサ20が液体中にあるときには、次に計測状態とすべき温度センサ20をNO12の温度センサ20(NO12の温度センサ20が存在しないときにはNO10の温度センサ20)として優先度を設定する。このセンサ優先度マップ57では、同様にして、NO4、NO12(NO10)の温度センサ20が気体中に存在するかまたは液体中に存在するかによって、次に計測状態とすべき温度センサ20を決定して、この温度センサ20に優先度を設定する。
【0084】
予測機能部42は、水位温度計測器11から温度情報Aを入力し、ヒータON/OFF回路12から温度センサ20のヒータ23への給電情報Bを入力し、これらの温度情報A及び給電情報Bとヒータ優先度マップ57とに基づいて、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を予測しつつ、水位温度計測器11における複数の温度センサ20を計測状態とする順番を設定するよう構成される。
【0085】
この第5実施形態では、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4との温度センサ20間に存在しているときを一例として説明する。センサ優先機能部47は、
図20に示すように、水位温度計測器11における長手方向中央位置のNO8の温度センサ20にセンサ優先度1を設定しており、この温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0086】
予測機能部42は、このNO8の温度センサ20の熱電対22が計測した温度の温度上昇が大となるので、この温度センサ20が空気6中にあると判断して、センサ優先度マップ57に基づき、次に計測状態とすべき温度センサ20をNO4の温度センサ20とし、このNO4の温度センサ20にセンサ優先度2を設定する。センサ優先機能部47は、このNO4の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0087】
次に、予測機能部42は、このNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度の温度上昇が小となるので、この温度センサ20がプール水2中にあると判断して、センサ優先度マップ57に基づき、次に計測状態とすべき温度センサ20をNO6の温度センサ20とし、このNO6の温度センサ20にセンサ優先度3を設定する。センサ優先機能部47は、このNO6の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0088】
次に、予測機能部42は、このNO6の温度センサ20の熱電対22が計測した温度の温度上昇が大となるので、この温度センサ20が空気6中にあると判断して、センサ優先度マップ57に基づき、次に計測状態とすべき温度センサ20をNO5の温度センサ20とし、このNO5の温度センサ20にセンサ優先度4を設定する。センサ優先機能部47は、このNO5の温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。
【0089】
ヒータON/OFF回路12による2回目の給電(ON)動作でNO4の温度センサ20の熱電対22が計測した温度と、ヒータON/OFF回路12による4回目の給電(ON)動作によりNO5の温度センサ20の熱電対22が計測した温度との温度上昇がそれぞれ小、大となることで、判定部14は、このNO5とNO4の温度センサ20間に、使用済燃料するプール1のプール水2の水位3が存在していると判定する。
【0090】
判定部14による水位3の判定後、監視機能部52は、判定されたプール水2の水位3に隣接するNO5及びNO4の温度センサ20を含む上下1個ずつの温度センサ20、即ちNO6、NO5、NO4及びNO3/2の温度センサ20を1つのブロック(第1ブロック)として設定する。更に監視機能部52は、この第1ブロック内でのセンサ優先度を、使用済燃料貯蔵プール1の安全性を迅速に確認するために、最下位置のNO3/2の温度センサ20をセンサ優先度1とし、この温度センサ20よりも上方にある温度センサ20のセンサ優先度を上方へ向かって順次下げて設定する。
【0091】
ブロック機能部31は、第1ブロック内で監視機能部52が設定したセンサ優先度に従って温度センサ20のヒータ23へ給電(ON)を実行させるように、ヒータON/OFF回路12へ制御指令信号Fを送信する。第1ブロック内で温度センサ20が下方から上方へ向かって順次計測状態になる過程で、判定部14は、計測状態の温度センサ20の熱電対22が計測した温度情報Aから、使用済燃料貯蔵プール1におけるプール水2の水位3の変動を監視する。
【0092】
この第5実施形態の場合には、上述の如く温度センサ20のヒータ23への4回目の給電(ON)動作で、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を計測できるので、この使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3がNO5とNO4の温度センサ20間に存在するときには、プール水2の水位3の計測時間を従来に比べて約4/7に短縮でき、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏する。更に、この第5実施形態では、ヒータ制御装置56が予測機能部42及び監視機能部52を有することで、第2実施形態の効果(2)及び第4実施形態の効果(4)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
【0093】
(5)ヒータ制御装置56の予測機能部42はセンサ優先度マップ57を格納し、このセンサ優先度マップ57に基づいて、水位温度計測器11における複数の温度センサ20のうちで次に計測状態とすべき温度センサ20の順番を決定して設定する。このため、例えば15個までの温度センサ20ならば、多くても4回の温度センサ20による計測回数で、使用済燃料貯蔵プール1のプール水2の水位3を計測できる。この結果、プール水2の水位3の高低に左右されることなく安定して、使用済燃料1のプール2の水位3を短時間に計測できる。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。