特許第6382655号(P6382655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382655
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   B60C13/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-185310(P2014-185310)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-55812(P2016-55812A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 聡太郎
【審査官】 河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052585(JP,A)
【文献】 特開平10−147114(JP,A)
【文献】 特開2009−090950(JP,A)
【文献】 特開2001−191745(JP,A)
【文献】 特開2012−006531(JP,A)
【文献】 特開平11−291722(JP,A)
【文献】 特開平07−164831(JP,A)
【文献】 特開平09−164820(JP,A)
【文献】 特開2003−191719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部の外表面に、複数の凹部と該凹部の間に区画される陸部とからなり、タイヤ周方向に延びる装飾帯が形成され、
前記凹部内に複数のリッジが設けられ、
前記複数のリッジのうちの少なくとも一部は、屈曲点を有し、
前記空気入りタイヤの側面視において、前記屈曲点は、前記凹部と前記陸部との境界線に沿って配列されてなることを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記空気入りタイヤの側面視において、前記屈曲点は、前記凹部内の一方向における該凹部の一端から他端まで配列されてなる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記屈曲点は、前記凹部のタイヤ径方向中心位置より、前記境界線側に沿って配列されてなる、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記陸部の幅は、該陸部の延在方向における一端から他端に向かって広くなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への配慮等の観点から、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の低燃費性を向上させるため、サイドウォール部の薄肉化等によるタイヤの軽量化が図られている。
【0003】
ところが、サイドウォール部を薄肉化すると、サイドウォール部の外表面において、部材端に対応する位置等で発生する凹凸が目立つ場合があった。
【0004】
これに対し、タイヤのサイドウォール部にリッジを設けて、サイドウォール部の外表面に発生した凹凸を目立たなくさせる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このような技術においては、リッジを設けた場合のサイドウォール部の視認性等の外観性を向上させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−126335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせるとともに、サイドウォール部の外観性を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の空気入りタイヤは、サイドウォール部の外表面に、複数の凹部と該凹部の間に区画される陸部とからなり、タイヤ周方向に延びる装飾帯が形成され、
前記凹部内に複数のリッジが設けられ、
前記複数のリッジのうちの少なくとも一部は、屈曲点を有することを特徴とするものである。
本発明の空気入りタイヤによれば、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせるとともに、サイドウォール部の外観性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の空気入りタイヤにあっては、前記空気入りタイヤの側面視において、前記屈曲点は、前記凹部内の一方向における該凹部の一端から他端まで配列されてなることが好ましい。
この構成によれば、凹部の当該一方向の全域にわたって、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせるとともに外観性を向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明の空気入りタイヤでは、前記空気入りタイヤの側面視において、前記屈曲点は、前記凹部と前記陸部との境界線に沿って配列されてなることが好ましい。
この構成によれば、上記屈曲点により上記陸部が略一定の高さを有するように見せて立体的な視覚効果を得ることができる。
【0010】
ここで、本発明の空気入りタイヤにあっては、前記屈曲点は、前記凹部のタイヤ径方向中心位置より、前記境界線側に沿って配列されてなる、ことが好ましい。
この構成によれば、上記陸部をより急峻な側壁を有する陸部であるように見せる視覚効果を得ることができる。
なお、「凹部のタイヤ径方向中心位置」とは、凹部のタイヤ径方向に沿った幅の中点を結んでなす線の位置をいうものとする。
【0011】
また、本発明の空気入りタイヤにおいては、前記空気入りタイヤの側面視において、前記屈曲点は、前記凹部と前記陸部との境界線と交差する方向に沿って配列されてなることが好ましい。
この構成によれば、二重構造のような立体感を得ることができる。
なお、「交差する方向に延びる」とは、上記仮想線が上記境界線と実際に交わる場合の他、互いに捩れの位置にある場合も含まれる。
【0012】
さらにまた、本発明の空気入りタイヤにあっては、前記陸部の幅は、該陸部の延在方向における一端から他端に向かって広くなることが好ましい。
この構成によれば、陸部の幅が大きい箇所ほど手前に位置しているように見せて、より一層立体感を与えることができる。
なお、「陸部の幅」とは、タイヤの側面視で、該陸部の延在方向に直交する方向の幅をいうものとする。
また、「陸部の延在方向」とは、陸部を区画する2つの凹部と該陸部との2つの境界線のうち、隣接する一端同士の中点と隣接する他端同士の中点とを結んだ直線がなす方向をいうものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サイドウォール部の凹凸を目立たなくさせるとともに、サイドウォール部の外観性を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部の部分側面図である。
図2図1の凹部2bの一部及びその付近を拡大して示す斜視図である。
図3】本発明の第二の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部の部分側面図である。
図4】本発明の第三の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。なお、本発明のタイヤは、トレッド部の両側部のそれぞれに連続してタイヤ半径方向内側へ延びる一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なる一対のビード部とを備えたものであり、タイヤの内部構造のさらなる詳細については、従来のそれと同様であるため説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部1の部分側面図である。図1に示すように、このタイヤは、サイドウォール部1の外表面に、この外表面に対してタイヤ内側に凹む複数の凹部2と、該凹部の間に区画される陸部3とからなり、タイヤ周方向に延びる、略矩形状の装飾帯4が1つ以上(図示の範囲では1つ)形成されている。
【0017】
図1に示す例では、装飾帯4は、4つの凹部2a〜2dを有している。図示例では、凹部2a〜2dは、タイヤ径方向内側且つタイヤ周方向一方側の領域を共通して始点とし、そこからタイヤ径方向外側且つタイヤ周方向他方側に向かって延びている。図示例では、凹部2a、凹部2b、凹部2c、凹部2dの順に、よりタイヤ周方向に沿った形状となっている。
【0018】
ここで、図1に示すように、凹部2a〜2dは、この平面視で略多角形状の形状をなしている。また、図1に示す例では、この平面視で、凹部2aの面積が最も小さく、凹部2b、2c、2dの順に面積が大きくなっていく。
【0019】
また、図1に示す例では、装飾帯4は、それぞれ隣接する凹部2間に区画された、3つの陸部3を有している。図示例では、陸部3a〜3cは、タイヤ径方向内側且つタイヤ周方向一方側の領域を共通して始点とし、そこからタイヤ径方向外側且つタイヤ周方向他方側に向かって延びている。図示例では、陸部3a、陸部3b、陸部3cの順に、よりタイヤ周方向に沿った形状となっている。
【0020】
さらに、図1に示すように、陸部3a〜3cは、この平面視で略矩形状の形状をなしており、陸部3a〜3cの延在方向の一端から他端に向かうにつれて、陸部3a〜3cの幅が大きくなっている。ここで、この例では、陸部3a〜3cの延在方向とは、当該陸部3を区画する2つの凹部2と該陸部3との2つの境界線のうち、隣接する一端同士の中点と隣接する他端同士の中点とを結んだ直線がなす方向をいうものとする。
【0021】
さて、図2は、図1の凹部2bの一部及びその付近を拡大して示す斜視図である。図1に示す実施形態のタイヤでは、凹部2内に複数のリッジ5(凹部2の底部から隆起する隆起部)が設けられており、図2に示すように、リッジ5は、この例では、凹部2により区画される底部及び2つの側壁に接続されている。図1に示す例では、これらのリッジ5は、凹部2内のみに設けられており、タイヤ径方向外側端から内側端まで略等間隔で配置されている。なお、図1に示す例では、全ての凹部2a〜2dに複数のリッジ5が設けられている。
【0022】
ここで、凹部2aにおいては、リッジ5は全て直線状に形成されており、各リッジ5は屈曲点を有しない。一方で、図1図2に示すように、凹部2bにおいては、0個〜2個の屈曲点5a、5bを有するリッジ5が複数配置されている。すなわち、凹部2bにおいては、陸部3aと凹部2bとの境界線に沿って、陸部3aに隣接した位置に設けられてなる、2つの屈曲点5a、5bを有するリッジ5による配列を基本としつつ、陸部3aに隣接しないタイヤ周方向他方側の領域には、屈曲点を有しない直線状のリッジ5を配置している。そして、それらの間の領域に1つの屈曲点5bを有するリッジ5を配置することにより、滑らかなリッジ5の配列としている。なお、図示例では、最もタイヤ周方向一方側に位置するリッジ5についても、この部分では凹部2bの幅が狭いため、1つのみの屈曲点5bを有しているか、若しくは、屈曲点を有していない。
なお、図1に示す例では、2つの屈曲点5a、5bを有するリッジ5は、この平面視で、2つの略平行な直線が、屈曲点5a、5bを結んだ直線により結ばれた形状をなしている。また、1つの屈曲点5bのみを有するリッジ5は、この平面視で、タイヤ径方向に対する傾斜角度の異なる2つの直線が該屈曲点5bにより結ばれた形状をなしている。
【0023】
また、図1に示すように、凹部2c内のリッジ5も、凹部2b内のリッジ5と同様の配列となっており、陸部3bに隣接して設けられてなる2つの屈曲点5a、5bを有するリッジ5による配列を基本としつつ、陸部3bに隣接しないタイヤ周方向他方側の領域には、屈曲点を有しない直線状のリッジ5を配置している。そして、それらの間の領域に1つの屈曲点5bを有するリッジ5が配置されている。なお、図示例では、タイヤ周方向一方側の端部付近に位置するリッジ5も、この部分では凹部2cの幅が狭いため、1つのみの屈曲点5bを有しているか、若しくは、屈曲点を有していない。さらに、凹部2d内のリッジ5については、タイヤ周方向他方側のリッジ5は、陸部3cに隣接し、2つの屈曲点5a、5bを有しており、タイヤ周方向一方側のリッジ5は、この部分では凹部2dの幅が狭いため、1つのみの屈曲点5bを有しているか、若しくは、屈曲点を有していない。
さらに、図1に示す例では、凹部2bについて、各リッジの屈曲点5a同士を滑らかに結んだ仮想線(図示せず)は、陸部3aと凹部2bとの境界線に沿って、陸部3aに隣接して円弧状に延びている。同様に、各リッジの屈曲点5b同士を結んだ仮想線(図示せず)も、陸部3aと凹部2bとの境界線に沿って、陸部3aに隣接して円弧状に延びている。凹部2c、凹部2d内に形成されたリッジ5の屈曲点についても同様である。また、図1に示すように、凹部2a〜2d内のリッジ5について、屈曲点は、該凹部2a〜2d内の一方向における該凹部2a〜2dの一端から他端まで配列されている。
【0024】
以上のように、本実施形態のタイヤは、サイドウォール部1の外表面に、複数の凹部2と該凹部2の間に区画される陸部3とからなり、タイヤ周方向に延びる装飾帯4が形成され、凹部2内に複数のリッジ5が設けられ、複数のリッジ5のうちの少なくとも一部が、屈曲点を有することを特徴とするものである。
以下、第一の実施形態のタイヤの作用効果について説明する。
【0025】
本実施形態のタイヤによれば、まず、装飾帯4が凹部2及び陸部3を有する立体的形状であることから、不所望の凹凸の存在を紛れさせることができる。特に、本実施形態では、凹部2に配置されたリッジ5の一部が屈曲点を有するため、該屈曲点が陸部3の高さを表すような視覚効果を与え、陸部3の形状をより立体的に見せることで、サイドウォール部1の視認性等の外観性を向上させつつも、サイドウォール部の不所望の凹凸を目立たないようにすることができる。
【0026】
ここで、本発明にあっては、図1に示す上記の実施形態のように、屈曲点が、凹部2内の一方向における凹部2の一端から他端まで(例えば、図1の凹部2dでは、タイヤ周方向一方側の端部から他方側の端部まで)配列されてなることが好ましい。凹部2の当該一方向(例えば、図1の凹部2dでは、タイヤ周方向)の全域にわたって、サイドウォール部1の外観性を向上させつつ、凹凸を目立たなくさせることができるからである。
【0027】
また、本発明では、図1に示す上記の実施形態のように、屈曲点が、陸部3と凹部2との境界線に沿って配列されてなることが好ましい。上記屈曲点により上記陸部3が略一定の高さを有するように見せて立体的な視覚効果を得ることができるからである。また、本発明では、図1に示す上記の実施形態のように、屈曲点が凹部2のタイヤ径方向中心位置より、凹部2と陸部3との境界線側(例えば、凹部2b内のリッジ5の屈曲点に関しては、凹部2bと陸部3aとの境界線側)に沿って配列されてなることが好ましい。これによって、上記陸部3aをより急峻な側壁を有する陸部3であるように見せる視覚効果を得ることができるからである。
【0028】
さらに、本発明では、図1に示す上記の実施形態のように、陸部3の幅は、該陸部3の延在方向における一端から他端に向かって広くなることが好ましい。陸部3の幅が大きい箇所ほど手前に位置しているように見せて、より一層立体感を与えることができるからである。
【0029】
また、図1に示す第1の実施形態では、凹部2a〜2dがタイヤ径方向内側且つタイヤ周方向一方側の領域を共通して始点とし、そこからタイヤ径方向外側且つタイヤ周方向他方側に向かって延びているため、斜視的な外観を与えて、陸部3をより立体的に表現している。
【0030】
次に、図3は、本発明の第二の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部1の部分側面図である。図3に示すように、まず、第二の実施形態のタイヤは、装飾帯4の凹部2及び陸部3の形状が、図1に示す第一の実施形態にかかるタイヤの凹部2及び陸部3の形状と、タイヤ周方向に互いに逆向きの関係になっている点で異なっている。また、図3に示す第二の実施形態にかかるタイヤは、主にリッジ5の構成において、図1に示す第一の実施形態にかかるタイヤと異なるものである。
【0031】
図3に示すように、第二の実施形態においても、各凹部2a〜2dに複数のリッジ5が配置されている。図示例で、各リッジ5は0個〜6個の屈曲点を有している。図3に示すように、例えば凹部2aにおいて、リッジ5が有する屈曲点をタイヤ径方向外側から内側に向かって、順に、屈曲点5a、5b、5c、5d、5e、5fとすると、屈曲点5a同士〜5f同士を滑らかに結んでなる仮想線La〜Lfは、それぞれ、凹部2aと該凹部2aに隣接する陸部3aとの境界線と交差する方向に延びている。なお、図3に示すように、屈曲点5aと5b、5cと5d、5eと5fは、それぞれ隣接して配置されているため、仮想線LaとLb、LcとLd、LeとLfは、それぞれ隣接して延びている。
【0032】
また、凹部2b内の屈曲点5a〜5fの配置も、凹部2aの場合と同様であるが、仮想線La、Lbは、凹部2bと凹部2bに隣接する陸部3a及びサイドウォール部1との境界線と交差する方向に延びている。また、図3に示すように、凹部2aにおけるリッジ5の屈曲点5aと凹部2bにおけるリッジ5の屈曲点5aとは、共通の上記仮想線Laを滑らかに描けるように(1つの円弧状の曲線を描けるように)配置されており、屈曲点5b〜5fについても同様である。また、凹部2cにおけるリッジ5の屈曲点5c〜5fと、凹部2a、2bにおけるリッジ5の屈曲点5c〜5fと、も、共通の上記仮想線Lc〜Lfを滑らかに描けるように配置されている。同様に、凹部2dにおけるリッジ5の屈曲点5e、5fと、凹部2a〜2cにおけるリッジ5の屈曲点5e、5fも、共通の上記仮想線Le、Lfを滑らかに描けるように配置されている。なお、図3に示すように、この平面視において、上記仮想線La〜Lfは、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lfの順にタイヤ周方向に沿った線となっていく。
【0033】
第二の実施形態のタイヤによれば、まず、第一の実施形態と同様に、装飾帯4が凹部2及び陸部3を有する立体的形状であることから、不所望の凹凸の存在を紛れさせることができ、また、凹部2に配置されたリッジ5の一部が屈曲点を有するため、該屈曲点が陸部3の高さを表すような視覚効果を与え、陸部3の形状をより立体的に見せることで、サイドウォール部1の視認性等の外観性を向上させつつも、サイドウォール部の不所望の凹凸を目立たないようにすることができる。さらに、第二の実施形態のタイヤでは、屈曲点が、凹部2と陸部3との境界線と交差する方向に沿って配列されているため、凹部2に階段状の視覚効果を持たせて、立体感を与えることができ、また、凹部2による図形と陸部3による図形との二重構造のような立体感を表現することもできる。
【0034】
次に、図4は、本発明の第三の実施形態にかかる空気入りタイヤのサイドウォール部1の部分側面図である。図4に示すように、装飾帯4は、3つの凹部2a〜2cを有している。図示例では、凹部2a、2cは、この平面視で略三角形状の形状をなしており、凹部2bは、この平面視で略平行四辺形状の形状をなしている。
【0035】
また、図4に示すように、陸部3a、3bは、この平面視で略矩形状の形状をなしており、陸部3aについては、該陸部3aの延在方向の一端から他端に向かって、陸部3aの幅が漸増しており、同様に、陸部3bについても、該陸部3bの延在方向の一端から他端に向かって、陸部3bの幅が漸増している。ここで、この例では、陸部3a、3bの延在方向とは、当該陸部3を区画する2つの凹部2と該陸部3との2つの境界線のうち、隣接する一端同士の中点と隣接する他端同士の中点とを結んだ直線がなす方向をいうものとする。
【0036】
そして、図4に示すように、各凹部2a〜2cには、複数のリッジ5が配列されており、各リッジ5は、この例で、0個〜2個の屈曲点を有している。ここで、陸部3aから見ると、該陸部3aを区画する2つの凹部2a、2bにおいて、屈曲点5a〜5dは、凹部2a、2bと該陸部3aとの境界線に沿って配列されており、陸部3aは、これらの屈曲点5a同士〜5d同士を滑らかに結んだ仮想線をタイヤ周方向両側に有する構成となっている。陸部3bについても同様であり、該陸部3bを区画する凹部2b、2cにおいて、屈曲点5c〜5fは、凹部2b、2cと該陸部3bとの境界線に沿って配置されており、陸部3bは、これらの屈曲点5c同士〜5f同士を滑らかに結んだ仮想線をタイヤ周方向両側に有する構成となっている。なお、図示例では、陸部3aと陸部3bとは、屈曲点5c同士、5d同士を滑らかに結んでなる仮想線を、それぞれのタイヤ周方向片側に共有する構成となっている。
【0037】
第三の実施形態によれば、まず、第一及び第二の実施形態と同様に、装飾帯4が凹部2及び陸部3を有する立体的形状であることから、不所望の凹凸の存在を紛れさせることができ、また、凹部2に配置されたリッジ5の一部が屈曲点を有するため、該屈曲点が陸部3の高さを表すような視覚効果を与え、陸部3の形状をより立体的に見せることで、サイドウォール部1の視認性等の外観性を向上させつつも、サイドウォール部の不所望の凹凸を目立たないようにすることができる。さらに、第三の実施形態では、陸部3a、3bの幅が該陸部3a、3bそれぞれの延在方向に向かって漸増しているため、陸部3a、3bの幅が大きくなるにつれて観察者の手前側に位置するような立体感を得ることができる。また、陸部3a及び陸部3bの各々のタイヤ周方向両側に屈曲点が配置されているため、より一層陸部3a及び3bの立体感を出すことができる。
【0038】
ここで、本発明においては、リッジ5の高さは、サイドウォール部1の高さと同じとすることも、異ならせることもできる。リッジ5の高さをサイドウォール部1の高さと異ならせた場合には、より一層立体的な外観性をもたせることができる。一方で、タイヤ回転時の空気の抵抗を低減するために、サイドウォール部1と同じ高さとすることもできる。
【0039】
また、上述の実施形態では、屈曲点は2つの直線状のリッジ5の部分を接続しているが、本発明では、リッジ5の屈曲点付近を湾曲形状にすることもできる。さらに、上述の実施形態では、いずれかの凹部2において、屈曲点の個数が2個以上のリッジ5を設けているが、いずれかの凹部2において、屈曲点の個数が1個のみ有するリッジ5のみを配置しても良い。
【実施例】
【0040】
本発明の効果を確かめるため、サイドウォール部の装飾帯の構成が異なる、発明例1〜3にかかるタイヤと、比較例1、2にかかるタイヤとを試作して、サイドウォール部の凹凸の目立ちにくさ、及び、サイドウォール部の視認性(目立ちやすさ)を評価する試験を行った。各タイヤの諸元を以下の表1に示しており、内部構造等その他の諸元は、各タイヤで共通している。なお、各タイヤは、略同じ大きさの不所望の凹凸を有している。
【0041】
上記の各タイヤに関し、以下の試験を行った。
<凹凸の目立ちにくさ>
観察者により、上記の凹凸の目立ちにくさについて、フィーリングによる評価を行った。評価は1〜5の5段階で数値が大きい方の凹凸が目立ちにくいことを示す。
<装飾帯の視認性>
観察者により、装飾帯の視認性について、フィーリングによる評価を行った。評価は1〜5の5段階で数値が大きい方が視認性に優れていることを示す。
以下の表1に評価結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、発明例1〜3にかかるタイヤは、比較例1、2にかかるタイヤと比べて、サイドウォール部の凹凸が目立ちにくく、且つ、サイドウォール部の視認性に優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0044】
1 サイドウォール部
2、2a、2b、2c、2d 凹部
3、3a、3b、3c 陸部
4 装飾帯
5 リッジ
5a、5b、5c、5d、5e、5f 屈曲点
図1
図2
図3
図4