特許第6382671号(P6382671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382671
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】アルミ側構体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/00 20060101AFI20180820BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 9/173 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 9/23 20060101ALI20180820BHJP
   B61D 17/08 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B61D17/00 C
   B23K20/12 366
   B23K9/00 501C
   B23K9/173 A
   B23K9/23 F
   B61D17/08
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-203213(P2014-203213)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-68898(P2016-68898A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 俊之
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−064634(JP,A)
【文献】 特開2005−263084(JP,A)
【文献】 特開2007−045304(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/054137(WO,A1)
【文献】 特開2008−007115(JP,A)
【文献】 特開昭60−213564(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第02520652(GB,A)
【文献】 特開平06−080076(JP,A)
【文献】 特開2006−051546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/00
B23K 9/00
B23K 9/173
B23K 9/23
B23K 20/12
B61D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、
接合したブロックを複数の側窓ブロックに切断する切断工程と、
入り口を備える入口ブロックを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、
前記側窓ブロックと前記入口ブロックとを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、
を有すること、
前記切断工程は、前記摩擦撹拌接合工程によって形成した前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の切断部を形成すること、
前記総組工程において、前記入口ブロックの両端部に、前記台形形状又は三角形状の切断部が接合されることで、アルミ側構体にキャンバが形成されること、
を特徴とするアルミ側構体製造方法。
【請求項2】
押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、
接合したブロックを複数の側窓ブロックに切断する切断工程と、
入り口を備える入口ブロックを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、
前記側窓ブロックと前記入口ブロックとを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、
を有すること、
前記切断工程は、前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで第1切断部を形成する第1次切断工程と、
前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の第2切断部を形成する第2次切断工程と、を有すること、
前記総組工程において、前記入口ブロックの両端部に、前記台形形状又は三角形状の第2切断部が接合されることで、アルミ側構体にキャンバが形成されること、
を特徴とするアルミ側構体製造方法。
【請求項3】
押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、
接合したブロックを複数の側窓ブロックに切断する切断工程と、
入り口を備える入口ブロックを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、
前記側窓ブロックと前記入口ブロックとを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、
を有すること、
前記側窓ブロックと、前記入口ブロック製造工程により製造された前記入口ブロックの台枠側端部にキャンバを付与するための凹部を切削加工すること、
前記切削加工された側窓ブロック、入口ブロックを用いて総組立工程を行うこと、
を特徴とするアルミ側構体製造方法。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載するアルミ側構体製造方法において、
前記総組工程は、前記入口ブロックの入口柱に対して前記側窓ブロックを互いに傾きを持つように組み立てること、それにより下部敷居側よりも上部鴨居側の切断幅が広くなること、
を特徴とするアルミ側構体製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載するアルミ側構体製造方法において、
前記入口ブロックのうち前記側窓ブロックと接合される端部が下部敷居側よりも上部鴨居側が広くなるように切削加工されること、
を特徴とするアルミ側構体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と接合したパネルを各側窓ブロックに切断する切断工程とを有するアルミ側構体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、押出成形により製造された長尺で幅300〜500mm程度の中空アルミ形材を6〜8種程度互いに並べて、その幅方向端部同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と接合したパネルを各ブロックに切断する切断工程と、を有するアルミ側構体製造方法が色々な形で行われている。
従来の製造方法について、6本の中空アルミ形材を用いた窓開口が4つ、入口開口が3つの通勤型の車両の側構体を例に説明する。
従来の第1の製造方法について、図6に一例を示す。(a)は、摩擦撹拌接合(FSW)による先組工程を示す。(b)は、大型の加工機による加工工程を示す。(c)は、総組工程を示す。
図6(a)に示すように、幕帯101については、押出成形により製造された長尺のダブルスキン構造の中空アルミ形材を15〜25mの車両の長さに切断して、キャンバを付与して配置されたアルミ形材の幅方向端面同士をFSWにより接合している。側窓及び入口が形成される吹寄材102は、吹寄105の合計長さ分のアルミ形材同士がFSWにより接合される。入口が形成される腰板材103は、腰板106の合計長さ分のアルミ形材同士がFSWにより接合される。このように、第1の製造方法の(a)では、接合線数は、1つのアルミ側構体当たり3本である。
【0003】
そして、(b)に示すように、幕帯104は、行先表示器取付部等の開口108が大型加工機により加工される。吹寄105は、吹寄材102を切断して形成される。腰板106は、腰板材103を大型加工機により加工される。側の下端部を構成する場所には、入口開口109の一部が形成される。
そして、(c)に示すように、幕帯104、吹寄105、腰板106がFSWにより接合される。また、中空アルミ形材の端部を塞ぐとともに開口周辺の剛性を高めるために入口柱がFSWまたはMIG溶接により入口開口109に取り付けられるほか、その他各種小部品が溶接取付けされる。これが、総組工程である。総組工程では、接合線数は、1つのアルミ側構体当たり16本である。
アルミ側構体100には、3つの入口開口109、2つの側窓121、及び行先表示部等の開口108が形成されている。
【0004】
次に、第2の製造方法について、図7に一例を示す。(a)は、摩擦撹拌接合(FSW)による先組工程を示す。(b)は、大型加工機による加工工程を示す。(c)は、総組工程を示す。
(a)に示すように、押出成形により製造された長尺のダブルスキン構造の中空アルミ形材を15〜25mの車両の長さに切断して、キャンバを付与して配置されたアルミ形材の幅方向端面同士を長手方向にFSWにより接合して、側パネル110を形成する。これにより、車両の長さ分の側パネル110が製造される。このように、第2の製造方法の(a)では、接合線数は、1つのアルミ側構体当たり5本である。
そして、(b)では車両の長さの側パネル110に対して、大型の加工機により、4つの窓開口115、3つの入口開口116、行先表示器取付部等の開口114等を加工している。
そして(c)では中空アルミ形材の端部を塞ぐとともに開口周辺の剛性を高めるために入口柱がFSWまたはMIG溶接により入口開口116に取り付けられるほか、その他各種小部品が溶接取付される。これが、総組工程である。
【0005】
一方、鉄道車両には、大きな重量の床下機器が取り付けられるため、車両構体がその重量により変形する。その変形を少なくするために、床下機器を搭載する前の段階において、車両構体に所定のキャンバ(逆反り)を付与することが行われている。
そのため、例えば、上記先組工程において、FSWを行う場合には、アルミ形材にキャンバを付与した状態でFSWを行っている。
キャンバについては、特許文献1の図7及び段落(0046)に、ハニカムパネルの側面をトリミング加工した後、拘束した状態で溶接することにより、キャンバをつけることが記載されている。また、特許文献2の段落(0043)には、台枠にキャンバを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06-080076号公報
【特許文献2】特開2006-051546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のアルミ側構体製造方法には、次のような問題があった。
(1)従来の第1の製造方法、及び第2の製造方法では、車両全長分の中空アルミ形材の加工を行うために、幅2.5〜3.5m、長さ15〜30mもの大型の加工機を用いる必要があるため、加工工場を大きくしなければならず、専用機自体のコストを含めて、コストアップする問題があった。また、剛性の高い中空アルミ形材に無理矢理キャンバを付与した状態でFSWにより接合するため、面外変形するなどにより接合部に間隙や目違いを生じる原因となり、接合欠陥を発生させ、不良品や手直しのためのコストがかかっていた。
また、第1の製造方法では、接合接線が第2の製造方法に比べ多くなるため、工数がかさむ問題があった。
また、第2の製造方法では、加工により削り取り廃棄する部分が第1の製造方法に比べ多いため、材料が無駄となり、コストアップする問題があった。
【0008】
(2)特許文献1の技術では、ハニカムパネルの周囲端部を台形や扇型の一部を成すようにトリミング加工し、これを複数結合して作られた腰板及び幕板と、吹寄材及び出入口部をキャンバを成すように専用の組み合わせ治具で組み立てる方法が示されている。
しかし、比較的小型のパネルを予めトリミング加工してから複数溶接接合した腰板及び幕板を、さらに吹寄材で溶接接合して大型パネルを製作することから、複数かつ大面積の入口開口や窓開口を有する通勤型の車両の場合、接合線数も多くなり、コストアップする問題がある。また、側構体全体のキャンバや窓開口寸法及び全長寸法を精度よく管理するには大型の専用組み合わせ治具が必要であった。
また、特許文献2では、台枠に予めキャンバを設け、キャンバに従って上下動するエンドミル等の切削具によって台枠及び側の接合端部を切削する方法が示されているが、台枠は車両の長さ方向分の長さがあるため、大型の加工機を必要とするため、加工工場を大きくしなければならず、加工機自体のコストを含めて、コストアップする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のアルミ構体製造方法は、次のような構成を有している。
(1)押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、接合したブロックを複数の側窓ブロックに切断する切断工程と、入り口を備える入口ブロックを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、前記入口ブロック以外の側構体の側窓ブロックと前記入口ブロックとを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
(2)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記切断工程は、前記摩擦撹拌接合工程によって形成した前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の切断部を形成すること、を特徴とする。
【0011】
(3)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記切断工程は、前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで第1切断部を形成する第1次切断工程と、前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の第2切断部を形成する第2次切断工程と、を有すること、を特徴とする。
【0012】
(4)(2)又は(3)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記総組工程は、前記入口ブロックの入口柱に対して前記側窓ブロックを互いに傾きを持つように組み立てること、それにより下部敷居側よりも上部鴨居側の開口が広くなること、を特徴とする。
【0013】
(5)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記入口ブロックのうち前記側窓ブロックと接合される端部が下部敷居側よりも上部鴨居側が広くなるように切削加工されること、を特徴とする。
【0014】
(6)(1)乃至(5)に記載するいずれか一つのアルミ側構体製造方法において、アルミ側構体にキャンバが形成されていること、を特徴とする。
【0015】
(7)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記側窓ブロックと、前記入口ブロック製造工程により製造された前記入口ブロックの台枠側端部にキャンバを付与するための凹部を切削加工すること、前記切削加工された側窓ブロック、入口ブロックを用いて総組立工程を行うこと、を特徴とする。
【0016】
本発明は、上記課題を解決して、押出成形された中空アルミ形材を用いて、大型の加工機を使用しないで、アルミ側構体を製造できるアルミ側構体製造方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアルミ側構体製造方法は、次のような作用、効果を奏する。
(1)押出成形により製造された長尺の中空アルミ形材の幅方向端部同士を長手方向に摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合工程と、接合したブロックを複数の側窓ブロックに切断する切断工程と、入り口を備える入口ブロックを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、前記入口ブロック以外の側窓構体の側窓ブロックと前記入口ブロックとを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、を有することを特徴とするので、入口ブロック、側窓ブロックの切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。
【0018】
(2)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記切断工程は、前記摩擦撹拌接合工程によって形成した前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の切断部を形成すること、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。また、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
【0019】
(3)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記切断工程は、前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで第1切断部を形成する第1次切断工程と、前記側窓ブロックの車両接合方向と垂直を成す方向に端から端まで台形形状又は三角形状の第2切断部を形成する第2次切断工程と、を有すること、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。また、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
【0020】
(4)(2)又は(3)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記総組工程は、前記入口ブロックの入口柱に対して前記側窓ブロックを互いに傾きを持つように組み立てること、それにより下部敷居側よりも上部鴨居側の開口が広くなること、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。また、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
【0021】
(5)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記入口ブロックのうち前記側窓ブロックと接合される端部が下部敷居側よりも上部鴨居側が広くなるように切削加工されること、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。キャンバを形成する切削工程をなくすことができる
【0022】
(6)(1)乃至(5)に記載するいずれか一つのアルミ側構体製造方法において、アルミ側構体にキャンバが形成されていること、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。
【0023】
(7)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、前記側窓ブロックと、前記入口ブロック製造工程により製造された前記入口ブロックの台枠側端部にキャンバを付与するための凹部を切削加工すること、前記切削加工された側窓ブロック、入口ブロックを用いて総組立工程を行うこと、を特徴とするので入口ブロック、側窓ブロックに対してキャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のアルミ側構体製造方法で製造されたアルミ側構体10を示す図である。
図2】アルミ側構体のキャンバを示す拡大図である。
図3】アルミ側構体の総組工程前の状態を示す図である。
図4】側窓11の製造工程を示す図である。
図5】キャンバの付与工程を示す図である。
図6】従来の第1製造方法を示す図である。
図7】従来の第2製造方法を示す図である。
図8】アルミ側構体の切断工程(1)を示す図である。
図9】アルミ側構体の切断工程(2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のアルミ側構体の製造方法の一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1に、本発明のアルミ側構体製造方法で製造されたアルミ側構体10を示す。図3に総組前のアルミ側構体の構成を示す。
通常の通勤電車のアルミ側構体10であり、3つの入口ブロック12A、12B、12Cと、4つの側窓ブロック11A、11B、11C、11Dが交互に配置されている。
3つの入口ブロック12A、12B、12Cは、図1に示すように、各々3つの入口柱21A、21B、21Cと敷居22A,22B、22C及び鴨居23A、23B、23Cが摩擦撹拌接合またはMIG溶接により組み立てられ入口開口20A,20B、20Cが形成されている。ここで敷居22A,22B、22C及び鴨居23A、23B、23Cは側窓パネルの最下部及び最上部に配置される中空パネルの一部と同一断面のアルミ形材より切削加工された部材でもよい。
4つの側窓ブロック11A、11B、11C、11Dは、押出成形により製造されたアルミ形材が6本、長手方向にFSWにより接合され、中央付近に窓13A、13B、13C、13Dが開口されている。
【0026】
図2に、キャンバ16が形成されているアルミ側構体10を縦方向のみ拡大して示す。
キャンバ16は、側窓ブロック11Aに形成されたキャンバ161、入口ブロック12Aに形成されたキャンバ162、側窓ブロック11Bに形成されたキャンバ163、入口ブロック12Bに形成されたキャンバ164、側窓ブロック11Cに形成されたキャンバ165、入口ブロック12Cに形成されたキャンバ166、側窓ブロック11Dに形成されたキャンバ167の集合体である。
【0027】
次に、図1、3に示すアルミ側構体10の製造方法を説明する。始めに、入口ブロック12A、12B、12Cの製造方法について説明する。
敷居22A,22B、22C及び鴨居23A、23B、23Cの3個分の長さの各中空アルミ形材を所定の長さに切断し、別にアルミ形材又は圧延材より製作した入口柱21A、21B、21Cと摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する。ここで敷居22A,22B、22C及び鴨居23A、23B、23Cは側窓パネルの最下部及び最上部に配置される中空パネルの一部と同一断面のアルミ形材より切断加工された部材でもよい。
【0028】
次に、側窓ブロック11の製造方法について説明する。図4に側窓ブロック11A、11B、11C、11Dの製造方法を示す。
(a)に示すように、押出成形されたダブルスキン構造で、所定の長さに切断された6本の中空アルミ形材32A、32B、32C、32D、32E、32Fを、FSWにより長手方向で接合する。ここで、本実施の形態における所定の長さとは、側窓ブロック11の4つ分の合計長さである。そして、3カ所で切断して、側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを製造する。次に、汎用の5面加工機による切削加工により、各々の側窓ブロック11A、11B、11C、11Dに、窓13A、13B、13C、13Dを開口する。この工程では、接合線数は、5本である。
【0029】
次いで、側窓ブロック11を図8に示す製造方法で製作する。
図8の(a)に示すように、押出成形されたダブルスキン構造で、所定の長さに切断された6本の中空アルミ形材32A、32B、32C、32D、32E、32Fを、FSWにより長手方向で接合する。ここで、本実施の形態における所定の長さとは、側窓ブロック11の4つ分の合計長さである。そして、(b)に示すように3カ所で端から端まで切断して、切断部71A、切断部71B、切断部71Cを形成する。図8(b)に示す切断部71A、切断部71B、切断部71Cは、三角形形状であるが台形形状とすることもできる。切断部71A、切断部71B、切断部71Cを形成することで、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを製造する。次に、汎用の5面加工機による切削加工により、各々の側窓ブロック11A、11B、11C、11Dに、窓13A、13B、13C、13Dを開口する。この工程では、接合線数は、6本である。
【0030】
あるいは、側窓ブロック11は図9に示す製造方法で製作してもよい。
図9の(a)に示すように、押出成形されたダブルスキン構造で、所定の長さに切断された6本の中空アルミ形材32A、32B、32C、32D、32E、32Fを、FSWにより長手方向で接合する。ここで、本実施の形態における所定の長さとは、側窓ブロック11の4つ分の合計長さである。そして、(b)に示すように3カ所で端から端まで切断して、第1次切断部72A、第1次切断部72B、第1次切断部72Cを形成する。これを第1次切断工程とする。
次いで(c)に示すように第1次切断部72A、第1次切断部72B、第1次切断部72Cを山形形状の第2次切断部73A、第2次切断部73B、第2次切断部73Cに形成する。これを第2次切断工程とする。図9(c)に示す第2次切断部73A、第2次切断部73B、第2次切断部73Cは、三角形形状であるが台形形状とすることもできる。第2次切断部73A、第2次切断部73B、第2次切断部73Cを形成することで、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを製造する。次に、汎用の5面加工機による切削加工により、各々の側窓ブロック11A、11B、11C、11Dに、窓13A、13B、13C、13Dを開口する。この工程では、接合線数は、5本である。
【0031】
また、例えば、入口ブロック12A、入口ブロック12B、入口ブロック12Cの製造方法は以下に示す形でもよい。
入口ブロック12A、入口ブロック12B、入口ブロック12Cの側窓ブロック11A、11B、11C、11Dと接合される端部を下部敷居側よりも上部鴨居側が広くなるように切削加工することもできる。入口ブロック12A、入口ブロック12B、入口ブロック12Cを切削加工した場合にも、側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを切削加工した場合と同様の効果を得ることができキャンバを形成する切削工程をしないで、キャンバを形成することができる。
【0032】
次に、キャンバ16の加工2方法について説明する。キャンバ16は、図2に示すように、アルミ側構体10が完成したときに、全体として、アルミ側構体の下面に付与される曲面である。
本実施の形態では、図2に示すように、予め計算されたキャンバ16について、各ブロック毎にブロックの状態のときに、キャンバ16を切削加工している。ここで、キャンバ16は、その最大値が数ミリから数十ミリ程度である。このキャンバ16の切削代を予め考慮して、アルミ形材32の該当部分の厚みを増加させておいても良い。
【0033】
すなわち、側窓ブロック11Aには、キャンバ161を切削加工し、入口ブロック12Aには、キャンバ162を切削加工し、側窓ブロック11Bには、キャンバ163を切削加工し、入口ブロック12Bには、キャンバ164を切削加工し、側窓ブロック11Cには、キャンバ165を切削加工し、入口ブロック12Cには、キャンバ166を切削加工し、側窓ブロック11Dは、キャンバ167を切削加工している。これらの切削加工は、汎用の5面加工機により行われる。
一例として図5に、側窓ブロック11Bに、キャンバ163を切削加工する場合を示す。点線に示すキャンバ163の曲面は、図2に対応したものである。汎用の5面加工機により、キャンバ163の曲面を切削加工する。
【0034】
次に、図1に示すように、3つの入口ブロック12A、12B、12Cと、4つの側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを交互に配置し固定する。そして、固定した状態で、FSWまたはMIG溶接により、各々の当接箇所を接合する。これが、総組工程である。
このとき、各キャンバ161、162、163、164、165、166、167が滑らかに接続されていることは、当然である。
【0035】
例えば、図8及び図9に示した切断工程を経た場合には、入口ブロック12A、12B、12Cに対して、4つの側窓ブロック11A、11B、11C、11Dを互いに傾きを持つように組み立てる総組工程を行うことができる。それにより、下部敷居側よりも上部鴨居側の開口が広くなるため、キャンバが形成される。キャンバを形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。また、キャンバを形成する切削工程をなくすことができる。
また、入口ブロック12A、入口ブロック12B、入口ブロック12Cに対して切削部を設けた場合には、入口ブロック12A、入口ブロック12B、入口ブロック12Cが側窓ブロック11A、11B、11C、11Dに対して傾きを持つように組み立てる工程となる。
【0036】
以上詳細に説明したように、本実施の形態のアルミ側構体製造方法によれば、(1)押出成形により製造された長尺のアルミ形材同士を長手方向に摩擦撹拌接合(FSW)する摩擦撹拌接合工程と、接合したブロックを複数の側窓ブロック11に切断する切断工程と、入口17を備える入口ブロック12を摩擦撹拌接合またはMIG溶接により製造する入口ブロック製造工程と、前記入口ブロック12以外の側窓構体の側窓ブロック11と入口ブロック12とを摩擦撹拌接合またはMIG溶接により接合する総組工程と、を有することを特徴とするので、入口ブロック12、側窓ブロック11の切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体10の製造コストを低減することができる。
近年、押出成形により製造されたアルミ形材をFSW接合して、比較的小型の窓開口及び車両の端部に1〜2個設けられた入口開口を有する高速車両や特急型車両に使用されることが増えている。しかし、通勤型の車両のように複数かつ大面積の入口開口や窓開口を有し、これらの開口の側構体全体に占める割合の大きい構造の場合、形材を車両全長にわたって使用すると接合作業性や材料の無駄が多い。
【0037】
(2)(1)に記載するアルミ側構体製造方法において、摩擦撹拌接合工程によって形成した側窓ブロック11と、入口ブロック製造工程により製造された入口ブロック12の台枠側端部にキャンバ16を付与するための凹部を切削加工すること、切削加工された側窓ブロック11、入口ブロック12を用いて総組立工程を行うこと、を特徴とするので、入口ブロック12、側窓ブロック11に対してキャンバ16(161、162、163、164、165、166、167)を形成する切削加工を、大型の加工機を使用せずに、汎用の加工機で行うことができるため、アルミ側構体の製造コストを低減することができる。
【0038】
本発明のアルミ側構体製造方法については、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、車両の両端に位置する側窓ブロック11A、11Eも、他の側窓ブロック11B、11C、11Dと同じ形状としているが、別な形状としても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 アルミ側構体
11 側窓ブロック
12 入口ブロック
13 窓
16 キャンバ
17 入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9