(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体内において、最下段の領域には前記凝縮水タンクが配置されるとともに、上段側の前記各棚板の間に形成される前記各領域内の流路が前記凝縮水タンクの上方の前記垂直流路に合流するように、前記各棚板が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
前記筐体は直方体状であり、前記筐体において直方体状の内部空間を前記筐体の底面に対して垂直方向と平行な仮想平面により半分に分けたときの一方の小空間に前記筐体吸気口が配設されるとともに、他方の小空間に前記筐体排気口が配設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
前記筐体吸気口及び前記筐体排気口のうちの少なくとも一つに、前記筐体内を換気するための送風手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の従来の燃料電池では、発電に必要ではない部材である放熱器やバイパス配管を設ける必要がある。この場合、放熱器やそれを接続する配管などの部材が増えてしまうため、部品コストが増加することに加え、システム設計の自由度やメンテナンス性の低下を招くといった問題が生じる。また、燃料電池にヒータを設ける場合でも、部品コストが増加するとともに、ヒータを駆動する際に電力が消費される。このため、エネルギー効率が低下するといった問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品コストの増加を抑えつつ、システム設計の自由度やメンテナンス性を確保した上での筐体内における凍結を防止することができる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、断熱容器内に収容され、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池と、前記断熱容器の外側に配置され、運転時に発熱する複数の発熱機器、及び発電後のオフガスに含まれる水蒸気を凝縮させた凝縮水を貯える凝縮水タンクと、天板、底板及び側板を有するとともに筐体吸気口及び筐体排気口を有し、前記固体酸化物形燃料電池、前記発熱機器及び前記凝縮水タンクを収容する筐体とを備えた燃料電池システムであって、前記筐体内において、前記筐体吸気口と前記凝縮水タンクとを繋ぐ流路であり、前記底板と平行な水平方向に延び
て前記筐体吸気口から導入された空気を水平方向に流すための流路を形成する整流板を備え、前記筐体吸気口と前記凝縮水タンクとの間に、前記発熱機器が配置されている
とともに、前記発熱機器によって暖められた空気が前記凝縮水タンクに吹き付けられることを特徴とする燃料電池システムがある。
【0010】
手段1に記載の発明によると、整流板によって筐体吸気口と凝縮水タンクとを繋ぐ水平流路が形成され、筐体吸気口と凝縮水タンクとの間に発熱機器が配置されている。この場合、筐体吸気口から筐体内に導入された空気は、換気用の水平流路を通過する際に各発熱機器によって暖められた後、確実に凝縮水タンクに吹き付けられる。そして、その空気によって、凝縮水タンクが温められるため、凝縮水の凍結が回避される。このように、本発明の燃料電池システムでは、運転時に発熱する発熱機器や凝縮水タンクの配置を工夫し、凝縮水タンクへ確実に温められた空気が運ばれるように水平流路を形成する整流板を設けることにより、発電に不要な部材や電力消費部材の追加が不要になる。従って、大幅な部品コストの増加を抑えつつ、余分な部材の取り回しの煩雑さを解消し、システム設計の自由度やメンテナンス性を確保した上での筐体内における凝縮水の凍結を防止することができる。
【0011】
整流板は筐体内の収容空間を複数の領域に仕切る複数の棚板であり、棚板は多段状に設けられていてもよい。このように棚板が多段状に設けられる場合、最上段の棚板上には固体酸化物形燃料電池が配置される。この場合、筐体内に発電に必要な部材を配置するための棚板が整流板となるため、余分な部材の追加が不要になる。よって、よりいっそう部品コストの増加を抑えつつ、余分な部材の取り回しの煩雑さを解消し、システム設計の自由度やメンテナンス性を確保した上での筐体内における凝縮水の凍結を防止することができる。
【0012】
また、本発明に用いられる固体酸化物形燃料電池は、運転時に高温(例えば、700℃〜1000℃の温度)になるため、断熱容器内に収容されている。この断熱容器には、反応ガス(燃料ガス及び酸化剤ガス)の供給やオフガスの排出を行うための配管等が設けられているが、それら配管等を通じて発電時の熱が断熱容器の周囲に逃げてしまう。このため、筐体内において、固体酸化物形燃料電池が収容される断熱容器の近傍が最も温度が高くなる。従って、固体酸化物形燃料電池(断熱容器)を最上段の棚板上に配置することで、その発熱を筐体排気口から効率よく排出することができる。このため、筐体内における過昇温を防ぐことができ、下段側の棚板に配置される機器の誤作動を防止することが可能となる。
【0013】
筐体内には、固体酸化物形燃料電池と凝縮水タンクとを繋ぐ水配管が備えられている。また、筐体内において凝縮水タンクの上方には、筐体排気口に繋がる流路であって筐体吸気口から導入された空気を排出する垂直流路が設けられており、その垂直流路内に水配管が配置されていてもよい。この場合、凝縮水タンクを温めた温風は、その凝縮水タンクの上方の垂直流路を通り、筐体の上側に設けた筐体排気口から効率よく排出される。また、温風が垂直流路を通過する際に水配管を温めることができるので、水配管での凝縮水の凍結を防止することができる。さらに、水配管の凝縮水を温めつつ燃料電池に供給することが可能となり、燃料電池の発電効率を高めることができる。
【0014】
筐体において、固体酸化物形燃料電池と水配管との接合部より上方に筐体排気口があることが好ましい。このようにすると、発熱機器により温められた空気が水配管全体を確実に温めることが可能となり、よりいっそう水配管での凝縮水の凍結を防止することができる。
【0015】
筐体において、棚板によって仕切られた各領域に対応して筐体吸気口がそれぞれ設けられ、最上領域以外の各領域にはそれぞれ発熱機器が配置されていてもよい。この場合、筐体内の空気の換気を迅速に行うことができる。また、各領域に配置された固体酸化物形燃料電池及び発熱機器からの熱によって、吸気口から取り込まれた空気による筐体内の温度低下を抑制することができる。従って、発電に必要な空気(詳しくは酸素)を筐体内に取り込みつつ、凝縮水タンク及び水配管内の凝縮水の凍結を防止することができる。また、最下段の領域には、凝縮水タンクが配置されるとともに、少なくとも最下段の領域においては、吸気口と凝縮水タンクとの間には、複数の発熱機器が配置され、発熱量の大きいものほど筐体吸気口側に近接し、発熱量の小さいものほど筐体吸気口側から離間するようにして配置されていてもよい。このようにすると、凝縮水タンクへ確実に暖められた空気が送られることとなり、冬場の低温時における凝縮水の凍結を確実に防止することができる。また、筐体吸気口を複数設けることで、各筐体吸気口から導入される空気の風量が増すため、筐体内の換気を迅速に行うことができる。この結果、冬場の低温時における凝縮水の凍結防止ばかりでなく、夏場の高温時における筐体内の温度上昇も抑制することができる。
【0016】
筐体内において、最下段の領域には凝縮水タンクが配置されるとともに、上段側の各棚板の間に形成される各領域内の流路が凝縮水タンクの上方の垂直流路に合流するように、各棚板が設けられていてもよい。つまり、凝縮水タンクの手前となる位置まで棚板が延設され、凝縮水タンクの直上には棚板が設けられておらず、凝縮水タンクの上方が吹き抜けになっている。このように各棚板を形成すると、凝縮水タンクの上方を効率よく温めることができるため、その上方に設けられた水配管における凝縮水の凍結をより確実に防止することができる。さらに、水配管の凝縮水を温めつつ燃料電池に供給することができるため、燃料電池の発電効率をより高めることができる。
【0017】
筐体内には、凝縮水を浄化するためのフィルタが収納され、発熱機器と凝縮水タンクとの間には、フィルタが設置されていてもよい。このようにすると、各発熱機器で暖められた温風によって、フィルタにおける凝縮水の凍結を防止することができる。
【0018】
筐体は直方体状であり、筐体において直方体状の内部空間を筐体の底面に対して垂直方向と平行な仮想平面により半分に分けたときの一方の小空間に筐体吸気口が配設されるとともに、他方の小空間に筐体排気口が配設されている。このように筐体吸気口及び筐体排気口を設けることで、筐体内における換気を効率よく確実に行うことができる。
【0019】
本発明の燃料電池システムにおいて、筐体内には、筐体吸気口及び筐体排気口を繋ぐ換気用の流路であり、水平流路と垂直流路とからなるL字状流路が設けられる。そして、そのL字状流路において水平流路と垂直流路との交差部分に凝縮水タンクが配置されるとともに、水平流路に複数の発熱機器が配置される。このように燃料電池システムを構成すると、筐体吸気口から筐体内に導入された空気は、水平流路を通過する際に複数の発熱機器によって暖められた後、凝縮水タンクに吹き付けられる。従って、凝縮水タンクは、各発熱機器で十分に暖められた空気の流れ(温風)を受けることができるため、凝縮水の凍結を回避することができる。また、凝縮水タンクに吹き付けられた温風は、凝縮水タンクの上方に設けられた垂直流路を通じて筐体排気口から効率よく排出される。
【0020】
筐体における筐体吸気口が設けられた側板に対向する別の側板の側に、凝縮水タンクが配置されていてもよい。このようにすると、筐体吸気口に対して十分な距離をとることができる。従って、凝縮水タンクと筐体吸気口との間により多くの発熱機器を配置することが可能となり、凝縮水タンクには、各発熱機器で十分に暖められた空気が吹き付けられる。この結果、筐体内における凝縮水の凍結を確実に防止することができる。
【0021】
筐体内には、固体酸化物形燃料電池から排出されるオフガスを熱交換して気液分離する排熱交換器が収納され、排熱交換器は、他の機器よりも筐体排気口側に近接して配置されていてもよい。燃料電池システムにおいて、排熱交換器には固体酸化物形燃料電池から高温のオフガスが供給されるため、排熱交換器からの放熱量が大きい。従って、排熱交換器を筐体排気口側に近接して配置することにより、排熱交換器からの放熱を筐体排気口を通じて筐体外部に効率よく逃がすことができるため、筐体内における過昇温を防ぐことができる。
【0022】
本発明の燃料電池システムでは、筐体内における凝縮水タンクの上方に排熱交換器が配置され、凝縮水を流す水配管を介して排熱交換器と凝縮水タンクとが接続されていてもよい。この場合、排熱交換器において水蒸気が冷やされて水滴となった凝縮水を下側の凝縮水タンクに効率よく集めることができる。さらに、凝縮水を流す水配管が、凝縮水タンクの上方、つまり温風の流れる垂直流路内に配置されるため、水配管内での凝縮水の凍結を確実に防止することができる。
【0023】
また、断熱容器の側面であって、排熱交換器と接続するための配管が設けられる配管の突き出し面が、筐体排気口と対向するよう設けられていることが好ましい。このようにすると、排熱交換器やそれと接続される配管からの放熱を筐体排気口を通じて筐体外部に効率よく逃がすことができるため、筐体内における過昇温を防ぐことができる。
【0024】
筐体において、対向配置される2つの側板のうちの一方の側板の下端部に筐体吸気口が設けられるとともに、他方の側板の上端部に筐体排気口が設けられていてもよい。また、筐体において、対向配置される2つの側板のうちの一方の側板に筐体吸気口が設けられるとともに、天板における他方の側板の側に筐体排気口が設けられていてもよい。このように筐体吸気口及び筐体排気口を設けることにより、凝縮水の凍結を防止しつつ、筐体内の換気を効率よく行うことができる。
【0025】
筐体において、複数の棚板によって仕切られた領域毎に、類似した発熱機器がそれぞれ配置されていてもよい。このようにすると、筐体内における各機器の設置を効率よく行うことができるため、製造工程での組み付け性が向上する。
【0026】
本発明の燃料電池システムは、筐体吸気口及び筐体排気口のうちの少なくとも一つに、筐体内を換気するための送風手段を備えていてもよい。このようにすると、筐体内に空気が強制的に取り込まれ、あるいは筐体内から空気が強制的に排出される。よって、筐体内の空気の換気をより効率よく迅速に行うことができる。
【0027】
筐体吸気口の数は限定されず1つであっても複数であってもよい。また、筐体排気口数は限定されず1つであっても複数であってもよい。ここで、筐体吸気口が複数存在する場合、送風手段は各々の筐体吸気口に備えられている必要はなく、一部の筐体吸気口に備えられていればよい。同様に、筐体排気口が複数存在する場合、送風手段は各々の筐体排気口に備えられている必要はなく、一部の筐体排気口に備えられていればよい。ちなみに、送風手段は、筐体吸気口自体や筐体排気口自体に直に設置されていてもよいが、筐体内または筐体外に送風手段を設置してそれをホース等の連結手段を用いて筐体吸気口や筐体排気口とつないでもよい。
【0028】
送風手段の種類としては特に限定されず、例えば回転翼を有するファンなどを用いることができる。このようなファンは、送風手段のなかでも比較的小型、安価かつ省電力なものであるため、筐体吸気口自体や筐体排気口自体に直に設置するのに適している。送風手段としては、回転翼のような回転運動をする部材を有していないものを選択することも可能である。
【0029】
送風手段が回転翼を有するファンである場合、本発明の燃料電池システムは、回転翼の回転数を検出する回転数検出部と、回転数検出部が回転数ゼロを検出したときに、燃料電池システムに異常が発生していると判断してその旨を通知する異常判断部とを備えていてもよい。この構成によると、システムにおける異常を迅速にかつ確実に通知することができる。
【0030】
また、送風手段が回転翼を有するファンである場合、本発明の燃料電池システムは、筐体の内部及び外部のうちの少なくとも一方の温度を検出する温度検出部と、温度検出部からの温度検出信号に基づき、回転翼の回転数を制御する回転制御部とを備えていてもよい。この構成によると、周囲の温度に応じて回転翼の回転数を適宜制御することができ、送風手段をより的確に駆動することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を燃料電池システムに具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0033】
図1に示されるように、燃料電池システム1は、断熱容器2内に収容される燃料電池3と、燃料電池3の発電に寄与する処理を行う複数の機器30〜39と、燃料電池3及び各機器30〜39を収容する筐体5とを備える。本実施の形態の燃料電池3は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell ;SOFC)である。燃料電池3は、燃料電池スタック8、気化器9、及び改質器10等を備え、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う。
【0034】
燃料電池スタック8は、単セル11を複数個(例えば20個)積層してなる。断熱容器2内において、燃料電池スタック8の下方に気化器9及び改質器10が配置される。気化器9は、改質水を気化して水蒸気を生成し、その水蒸気と燃料ガスを混合して改質器10に供給する。改質器10は、原燃料と水蒸気とを改質反応させて水素濃度の高い燃料ガスに改質し、その燃料ガスを燃料電池スタック8に供給する。
【0035】
燃料電池スタック8を構成する各単セル11は、空気極、燃料極及び固体電解質層を有し、反応ガス(燃料ガス及び酸化剤ガス)の発電反応により電力を発生する。具体的には、固体電解質層は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのセラミック材料(酸化物)によって略矩形板状に形成されている。固体電解質層は、酸素イオン伝導性固体電解質体として機能するようになっている。また、固体電解質層の上面には、燃料電池スタック8に供給された酸化剤ガスに接する空気極が貼付され、固体電解質層の下面には、同じく燃料電池スタック8に供給された燃料ガスに接する燃料極が貼付されている。即ち、空気極及び燃料極は、固体電解質層の両側に配置されている。単セル11において、空気極はカソード層として機能し、燃料極はアノード層として機能する。
【0036】
筐体5は、直方体状の容器であり、天板14、底板15、及び側板16a,16b,16c,16dを有するとともに、筐体吸気口18a,18b,18c,18d、及び筐体排気口19を有している。筐体5において、対向配置される2つの側板16a,16bのうちの一方の側板16aに複数の筐体吸気口18a〜18dが設けられ、他方の側板16bの上端部に筐体排気口19が設けられている。つまり、
図2に示されるように、筐体5において直方体状の内部空間S0を筐体5の底面に対して垂直方向と平行な仮想平面P1により半分に分けたときの一方の小空間S1に各筐体吸気口18a〜18dが配設されるとともに、他方の小空間S2に筐体排気口19が配置される。
【0037】
図1に示されるように、筐体排気口19は、燃料電池3と水配管42との接合部50よりも上側に配設されている。そして、筐体排気口19には、筐体5内の空気A1を排気するための送風手段として、回転翼20aを有するファン20が設けられている。本実施の形態では、筐体排気口19にファン20を設けたが、筐体吸気口18a〜18dのうちのいずれか1つ、2つもしくは3つ、または筐体吸気口18a〜18dの4つ全てにファン20を設けてもよい。つまり、送風手段であるファン20は、筐体吸気口18a〜18d及び筐体排気口19のうちの少なくとも一つに備えられていればよい。
【0038】
本実施の形態の筐体5内には、収容空間である内部空間S0を複数の領域R1,R2,R3,R4に仕切る複数の棚板21,22,23,24が多段状に設けられている。各段の棚板21〜24は、水平方向に平行となるよう所定の間隔をあけて配置され、垂直方向に延びる支持枠25により固定されている。そして、筐体5の側板16aには、複数の棚板21〜24によって仕切られた各領域R1〜R4に対応した位置に筐体吸気口18a〜18dがそれぞれ設けられている。各棚板21〜24は、燃料電池3や各機器31〜39を載置させるための機能に加えて、各筐体吸気口18a〜18dから導入された空気A1を水平方向に流すための流路を形成する整流板としても機能する。
【0039】
本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5内に収容される複数の機器として、排熱交換器30、凝縮水タンク31、水フィルタ32、エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36、電力変換器37、制御基板38,39等が挙げられる。より詳しくは、排熱交換器30は、断熱容器2内の燃料電池3から排出されるオフガスを熱交換して気液分離する機器であり、筐体排気口19の近傍に配置されている。発電後のオフガスは水蒸気を含み、排熱交換器30では、熱交換によって水蒸気が凝縮する結果、凝縮水とガスとに分離される。
【0040】
凝縮水タンク31及び水フィルタ32は、水処理装置を構成する機器である。具体的には、凝縮水タンク31は、水配管41を介して排熱交換器30に接続されており、その水配管41を通じて排熱交換器30から供給される凝縮水が凝縮水タンク31に一旦貯えられる。凝縮水タンク31の凝縮水は、水フィルタ32によって浄化される。この結果、原燃料から改質ガス(燃料ガス)を生成するために必要な改質水が精製される。この改質水は、改質水ポンプ36及び水配管42や図示しない流量センサ等からなる改質水供給部によって、燃料電池3(断熱容器2内の気化器9)に供給されるようになっている。
【0041】
エアポンプ33は、燃料電池3に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給部を構成する機器である。なお、酸化剤ガス供給部は、エアポンプ33に加えて図示しないエアフィルタ、流量センサ及び配管などからなる。また、燃料ポンプ35は、原燃料を供給するための燃料供給部を構成する機器である。燃料供給部は、燃料ポンプ35に加えて図示しない電磁弁や流量センサなどからなる。
【0042】
回収水ポンプ34は、熱交換用の液体(具体的には水)を排熱交換器30に供給するための熱交換水供給部を構成する機器である。熱交換水供給部は、回収水ポンプ34及び配管(図示略)によって構成されている。電力変換器37は、燃料電池3で発電した電力を変換してシステム外部に供給するための機器である。制御基板38,39は、各ポンプ33〜36や各センサ等を制御するための制御部(マイコンM1)を構成する機器である。制御基板38,39には、制御部を構成する複数の電子部品(ドライバなどの回路部品)が搭載されている。
【0043】
本実施の形態の筐体5において、最上段の棚板21上には、燃料電池3を収容した断熱容器2が配置されており、最上段の棚板21以外の棚板22〜24上には、複数の機器31〜39が配置されている。ここで、各機器31〜39の配置について詳述すると、上から2段目の棚板22には電力変換器37が配置され、上から3段目の棚板23には、複数の制御基板38,39が配置されている。さらに、上から4段目である最下段の棚板24には、エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36、水フィルタ32及び凝縮水タンク31が配置されている。
【0044】
より詳しくは、筐体5内において、最下段の棚板24は、筐体吸気口18a〜18dが設けられている側板16aからその側板16aと対向する別の側板16bまで延設されている。最下段の棚板24において、筐体吸気口18a〜18dの反対側となる別の側板16bの側に、凝縮水タンク31が配置されている。そして、凝縮水タンク31と筐体吸気口18dとの間に、エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36が配置されている。
【0045】
エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36は、運転時に発熱する発熱機器であり、最も発熱量が大きいエアポンプ33が最下段の棚板24上において筐体吸気口18d側に最も近接して配置されている。また、筐体吸気口18d側ほど発熱量が大きな機器となるように、エアポンプ33の下流側(
図1では右側)には回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36の順番に複数の発熱機器が配置されている。さらに、最下段の棚板24上において、改質水ポンプ36と凝縮水タンク31との間に水フィルタ32が配置されている。
【0046】
下から2段目の棚板23に配置される複数の制御基板38,39、及び3段目の棚板22に配置される電力変換器37も、運転時に発熱する発熱機器である。そして、2段目の棚板23上に配置される複数の制御基板38,39のうち、発熱量の大きな制御基板38が筐体吸気口18c側に近接して配置され、その下流側に発熱量の小さな制御基板39が配置されている。つまり、本実施の形態では、棚板22〜24で仕切られる各領域R3,R4において、複数の発熱機器は、発熱量の大きな機器ほど筐体吸気口18c,18d側に近接し、発熱量の小さいものほど筐体吸気口18c,18d側から離間するようにして配置されている。
【0047】
燃料電池システム1において、筐体5内には、筐体吸気口18d及び筐体排気口19を繋ぐ換気用の流路であり、底板15と平行な水平方向に延びる水平流路L1と側板16a〜16dのいずれかと平行な垂直方向に延びる垂直流路L2とからなるL字状流路L0が設けられている。L字状流路L0において、水平流路L1と垂直流路L2との交差部分に凝縮水タンク31が配置される。つまり、水平流路L1は、筐体吸気口18dと凝縮水タンク31とを繋ぐ流路であり、垂直流路L2は、凝縮水タンク31と筐体排気口19とを繋ぐ流路となっている。そして、水平流路L1における筐体吸気口18dと凝縮水タンク31との間に、エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36の複数の発熱機器が配置されている。
【0048】
ここで、筐体5内における流路構成について詳述する。筐体5において、上段側の各棚板21〜23は凝縮水タンク31の手前となる位置まで延設され、凝縮水タンク31の直上には棚板21〜23が設けられておらず、凝縮水タンク31の上方が吹き抜けになっている。そして、凝縮水タンク31の直上にある空間が、筐体排気口19に繋がる垂直流路L2、つまり、各筐体吸気口18a〜18dから導入された空気A1を排出する流路となる。なお、本実施の形態では、各棚板21〜24を固定する支持枠25及び側板16b〜16dが、垂直流路L2を構成する垂直流路用の整流板となっている。
【0049】
上段側の各棚板21〜23及び天板14の間には、各筐体吸気口18a〜18dから導入された空気A1が流れる水平方向の流路L3〜L5が形成されている。そして、各流路L3〜L5は、凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2に合流するようになっている。
【0050】
凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2内には、上述した排熱交換器30や水配管41,42が設けられている。排熱交換器30は、他の機器よりも筐体排気口19側に近接して配置されている。そして、断熱容器2の側面であって、排熱交換器30と接続する配管45が設けられる配管の突き出し面2aが、筐体排気口19と対向するように設けられている。この結果、断熱容器2と排熱交換器30との距離が短くなる。また、断熱容器2と排熱交換器30とを接続する配管45の表面、及び排熱交換器30の表面には、熱効率を高めるために、シート状の断熱材46,47が巻かれている。
【0051】
さらに、凝縮水タンク31、水フィルタ32、改質水ポンプ36及びそれら機器同士を繋ぐ水配管42において、凝縮水が通過する箇所の少なくとも一部が断熱材48,49で覆われている。具体的には、燃料電池システム1において、凝縮水タンク31の表面に断熱材48が設けられ、水フィルタ32の表面に断熱材49が設けられている。また、排熱交換器30における熱交換後の温水を流す配管(図示略)にも、断熱材が巻かれている。
【0052】
燃料電池システム1では、改質水ポンプ36から燃料電池3に供給する改質水の流速を速くする必要があるため、改質水を供給する水配管42としては、管径が細い配管が用いられる。このため、水配管42には断熱材を巻くことが困難であり、水配管42の表面が露出した状態となっている。水配管42は、水フィルタ32や改質水ポンプ36を介して凝縮水タンク31と燃料電池3とを接続しており、空気A1が流れるL字状流路L0(水平流路L1及び垂直流路L2)に沿って敷設されている。また、本実施の形態では、筐体5内において、水配管42と燃料電池3との接合部50や配管45と燃料電池3との接合部51よりも上方(天板14側)に筐体排気口19が設けられている。
【0053】
次に、上記のように構成した燃料電池システム1の動作について説明する。
【0054】
燃料電池システム1の運転時には、制御基板38,39によって、エアポンプ33、回収水ポンプ34、燃料ポンプ35、改質水ポンプ36、ファン20等の各機器が駆動される。このとき、改質水ポンプ36の駆動により、凝縮水タンク31の凝縮水は、水フィルタ32に送られて浄化された後、改質水として断熱容器2内の気化器9に送られる。また、燃料ポンプ35の駆動により、原燃料が断熱容器2内に送られる。そして、気化器9にて改質水が気化した水蒸気と原燃料とが混合された後、改質器10に送られる。この結果、発電に必要な改質ガス(燃料ガス)が生成され、その燃料ガスが燃料電池スタック8(各単セル11)に供給される。
【0055】
さらに、エアポンプ33の駆動により、酸化剤ガス(空気)が燃料電池スタック8(各単セル11)に供給される。そして、各単セル11において、燃料ガスの水素と酸化剤ガスの酸素とが反応することにより、空気極を正極、燃料極を負極とする直流の電力が発生する。この燃料電池3の電力は、電力変換器37で所定規格の電圧に変換された後、電力変換器37からシステム外部の装置に出力される。
【0056】
本実施の形態の燃料電池システム1では、運転時において燃料電池3が発熱するため断熱容器2内は700℃程度の高温となるが、断熱容器2にてその燃料電池3の熱が遮断される結果、断熱容器2の周囲は80℃程度の温度になる。この断熱容器2において発熱が最も大きくなる面は、反応ガスや改質水の供給やオフガスの排出を行うための配管42,45等が設けられている突き出し面2a(
図1では右側の側面)である。従って、断熱容器2において配管42,45等の突き出し面2aの近傍の空気A1が最も高温となる。配管42,45等の突き出し面2aは、筐体5における筐体排気口19に対向しているため、高温となった空気A1は、ファン20の駆動により筐体排気口19から外部に効率よく排気される。また、ファン20の駆動により、筐体吸気口18aから空気A1が導入され、その空気A1によって断熱容器2の周囲が冷却される。
【0057】
ファン20の駆動時には、断熱容器2に対応した筐体吸気口18aに加えてその下側に設けられている各筐体吸気口18b〜18dからも空気A1が導入される。そして、最下部にある筐体吸気口18dから導入された空気A1は、水平流路L1を流される際に、各ポンプ33〜36の排熱によって暖められた後、水フィルタ32及び凝縮水タンク31に吹き付けられる。さらに、その空気A1は、凝縮水タンク31の上方に設けられた垂直流路L2を流れた後、筐体排気口19から排出される。下から2番目の筐体吸気口18cから導入された空気A1は、流路L3を通過する際に各制御基板38,39の排熱によって暖められ、下から3番目の筐体吸気口18bから導入された空気A1は、流路L4を通過する際に電力変換器37の排熱によって暖められる。それら流路L3,L4を通過した空気A1は、凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2に合流して流れた後、筐体排気口19から排出される。
【0058】
次に、本実施の形態の燃料電池システム1における電気的な構成及びその動作について説明する。
【0059】
まず、同システム1が行うファン回転数制御動作について述べる。この燃料電池システム1では、ファン回転数制御を行うために、筐体5の内部及び外部のうちの少なくとも一方の温度を検出する温度検出部として、温度センサが設けられる。温度センサは例えば
図1に示すような位置SE1〜SE4に設置される。具体的には、SE1に示す位置、即ち筐体5の外面の位置に温度センサを設置し、筐体5の外部の気温を検出してもよい。あるいはSE4に示す位置、即ち最下段の棚板24と3段目の棚板23との間の領域R4に温度センサを設置し、筐体5の内部の気温を検出してもよい。あるいはSE2に示す位置、即ち凝縮水タンク48内に温度センサを設置し、凝縮水タンク48内の水温を検出してもよい。あるいはSE3に示す位置、即ち改質水ポンプ36から燃料電池3に水を供給する水配管42の途上に温度センサを設置し、水配管42中の水温を検出してもよい。本実施形態ではSE2に示す位置に温度センサが設置されている。その温度センサは、制御基板38または制御基板39におけるマイコンM1に電気的に接続され、かつマイコンM1に対して温度検出信号を出力している。なお、温度センサとしては、取り付けする箇所に適した従来公知の温度センサを使用することができる。例えば、熱電対、小型チップ形状の抵抗式温度センサ等を使うことが可能である。
【0060】
回転制御部としてのマイコンM1は、モータドライバ回路(図示略)を介してファン20の有するモータ(図示略)に電気的に接続されている。マイコンM1は、温度検出信号に基づき当該モータへの通電量を変化させることで、回転翼20aの回転数を制御する。具体的には、マイコンM1は
図3のフローチャートに示す手順で制御を行う。
【0061】
燃料電池システム1の運転時において回転翼20aが所定回転数で回転しているとき、まずマイコンM1は、筐体5内においてSE4に設置した温度センサからの温度検出信号に基づき、筐体内温度T(℃)とあらかじめ設定した筐体内温度の上限の閾値T1(本実施形態では例えば60℃)とを比較する。本実施形態では、筐体内温度の上限の閾値T1は、筐体内に組み込まれる補機類の許容動作温度や部材の耐熱温度を基に設定する。そして、マイコンM1は「T≧T1」であるか否かを判定する(ステップS100)。T≧T1の判定結果が「YES」である場合(即ち筐体内温度Tが60℃以上になった場合)には、回転制御部としてのマイコンM1は、ステップS110に移行し、回転翼20aの回転数を上げる制御を行う。この後、マイコンM1は、ステップS120に移行して再び筐体内温度Tと前記閾値T1とを比較し、「T<T1」であるか否かを判定する。T<T1の判定結果が「NO」である場合(即ち筐体内温度Tが60℃よりも低くなっていない場合)には、マイコンM1は、再びステップS100に移行し、回転翼20aの回転数をさらに上げる制御を行う。T<T1の判定結果が「YES」である場合(即ち筐体内温度Tが60℃よりも低くなった場合)には、マイコンM1は回転翼20aの回転数を維持する制御を行い(ステップS160)、一連の制御動作を終了する。
【0062】
また、ステップS100にてT≧T1の判定結果が「NO」である場合(即ち筐体内温度Tが60℃未満である場合)には、マイコンM1は、回転数を上げる制御を行うことなくステップS130に移行する。ステップS130において、マイコンM1は、筐体内温度Tとあらかじめ設定した筐体内温度の下限の閾値T2(本実施形態では例えば−5℃)とを比較する。本実施形態では、筐体内温度の下限の閾値T2は、凝縮水タンク31内に貯えられた水や配管42を流れる水が凍結する温度を基に設定する。そして、マイコンM1は「T≦T2」であるか否かを判定する。T≦T2の判定結果が「YES」である場合(即ち筐体内温度Tが−5℃以下の場合)には、回転制御部としてのマイコンM1は、ステップS140に移行し、回転翼20aの回転数を下げる制御を行う。この後、マイコンM1は、ステップS150に移行して再び筐体内温度Tと前記閾値T2とを比較し、「T>T2」であるか否かを判定する。T>T2の判定結果が「NO」である場合(即ち筐体内温度Tが−5℃よりも高くなっていない場合)には、マイコンM1は、再びステップS140に移行し、回転翼20aの回転数をさらに下げる制御を行う。T>T2の判定結果が「YES」である場合(即ち筐体内温度Tが−5℃よりも高くなった場合)には、マイコンM1は回転翼20aの回転数を維持する制御を行い(ステップS160)、一連の制御動作を終了する。同様に、ステップS130においてT≦T2の判定結果が「NO」である場合、マイコンM1は回転翼20aの回転数を維持する制御を行い(ステップS160)、一連の制御動作を終了する。
【0063】
以上のように本実施形態の燃料電池システム1の場合、筐体内温度Tが所定の設定温度範囲の上限の閾値T1以上のときには、回転翼20aの回転数を上げる制御が行われる。そのため、筐体5から外部に排出される空気の量が増え、筐体5からの排熱量が増加する結果、筐体内温度Tが低くなる。逆に、筐体内温度Tが所定の設定温度範囲の下限の閾値T2以下のときには、回転翼20aの回転数を下げる制御が行われる。そのため、筐体5から外部に排出される空気の量が減り、排熱量が減少する結果、筐体内温度Tが高くなる。つまり、この構成によると、筐体5の内部における温度に応じて回転翼20aの回転数を適宜制御することができ、ファン20をより的確に駆動することが可能となる。それゆえ、筐体内温度Tが常に所定の設定温度範囲内に維持され、筐体5内における過昇温や過冷却を未然にかつ確実に防ぐことができる。
【0064】
続いて、同システム1が行うシステム異常通知動作について述べる。この燃料電池システム1では、回転数検出部としてのマイコンM1は、ファン20が出力する回転検出信号を取り込み、そのときの回転翼20aの回転数を検出する。そして、異常判断部であるマイコンM1は、この検出結果に基づいて異常発生を判断し、通知する制御を行う。具体的には、マイコンM1は
図4のフローチャートに示す手順で制御を行う。
【0065】
燃料電池システム1の運転時において、まずマイコンM1は、ファン20からの回転検出信号に基づき、回転翼20aの回転数ゼロを検出したか否かを判定する(ステップS200)。回転数ゼロ検出の判定結果が「NO」である場合には、システム1に特に異常が発生していないことから、マイコンM1はシステム1の運転を継続する制御を行い(ステップS210)、一連の動作を終了する。これに対して、回転数ゼロ検出の判定結果が「YES」である場合には、マイコンM1は、ステップS220においてシステム1に何らかの異常が発生したと判断した後、ステップS230においてシステム1の異常を通知する。このときの通知の態様としては特に限定されないが、例えば、筐体5の外面に設けた図示しない操作用ディスプレイ上にて、文字や画像をもって異常発生を通知するようにしてもよい。なお、筐体5から離れた操作用ディスプレイを利用して異常発生通知を行うことも勿論許容される。あるいは、筐体5にブザー等の音声発生手段を設けておき、その音声をもって異常発生を通知するようにしてもよい。さらにこの後、マイコンM1は、ステップS240に移行し、システム1の運転を停止する制御を行い、一連の動作を終了する。
【0066】
以上のように本実施形態の燃料電池システム1の場合、システム1に異常が発生したと判断したときには、その異常が迅速にかつ確実に通知されるばかりでなく、直ちにシステム1が停止される。
【0067】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体吸気口18dと凝縮水タンク31とを繋ぐ換気用の水平流路L1が棚板23,24によって形成され、筐体吸気口18dと凝縮水タンク31との間に複数の発熱機器33〜36が配置されている。この場合、筐体吸気口18dから筐体5内に導入された空気A1は、換気用の水平流路L1を通過する際に複数の発熱機器33〜36によって暖められた後、凝縮水タンク31に吹き付けられる。本実施の形態では、凝縮水タンク31は、筐体吸気口18dが設けられた側板16aに対向する別の側板16bの側に配置されているため、筐体吸気口18dに対して十分な距離をとることができる。従って、凝縮水タンク31と筐体吸気口18dとの間により多くの発熱機器33〜36を配置することが可能となり、凝縮水タンク31は、各発熱機器33〜36で十分に暖められた空気A1の流れ(温風)を受けることができる。そして、その温風によって、凝縮水タンク31が温められるため、凝縮水の凍結が回避される。このように、本実施の形態の燃料電池システム1では、各発熱機器33〜36や凝縮水タンク31の配置を工夫することにより、各発熱機器33〜36の熱によって凝縮水タンク31を効率よく暖めることができる。この結果、大幅な部品コストの増加を抑えつつ、余分な部材の取り回しの煩雑さを解消し、システム設計の自由度やメンテナンス性を確保した上での筐体5内における凝縮水の凍結を防止することができる。
【0069】
(2)本実施の形態の燃料電池システム1において、筐体5内の収容空間S0を複数の領域R1〜R4に仕切る複数の棚板21〜24が多段状に設けられている。そして、最上段の棚板21上には燃料電池3が配置され、最上段の棚板21以外の棚板22〜24上に複数の機器31〜39が配置されている。このように、筐体5内に発電に必要な複数の機器31〜39を配置するための棚板21〜24が整流板となるため、余分な部材の追加が不要になる。よって、よりいっそう部品コストの増加を抑えつつ、余分な部材の取り回しの煩雑さを解消し、システム設計の自由度やメンテナンス性を確保した上での筐体5内における凝縮水の凍結を防止することができる。さらに、燃料電池3を最上段の棚板21上に配置することで、その発熱を筐体排気口19から効率よく排出することができる。このため、筐体5内における過昇温を防ぐことができ、下段側の棚板22〜24上に配置された各機器33〜39の誤作動を防止することが可能となる。
【0070】
(3)本実施の形態の燃料電池システム1では、燃料電池3と水配管42との接合部50よりも上側に筐体排気口19が配設されており、凝縮水タンク31の上方には、筐体吸気口18dから導入された空気A1を排出する垂直流路L2が設けられている。この場合、凝縮水タンク31を温めた温風は、その凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2を通り、筐体5の上側に設けた筐体排気口19から効率よく排出される。また、垂直流路L2には、燃料電池3と凝縮水タンク31とを繋ぐ水配管42が設けられている。この場合、凝縮水タンク31を温めた温風が垂直流路L2を通過する際に水配管42を温めることができるので、水配管42での凝縮水の凍結を防止することができる。さらに、水配管42の凝縮水を温めつつ燃料電池3に供給することが可能となり、燃料電池3の発電効率を高めることができる。
(4)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5において、複数の棚板21〜24によって仕切られた各領域R1〜R4に対応して筐体吸気口18a〜18dがそれぞれ設けられ、領域R1には、燃料電池3が配置され、領域R2〜R4には、それぞれ発熱機器33〜36,38,39が配置されている。このようにすると、筐体5内の空気A1の換気を迅速に行うことができる。また、領域R1に配置された燃料電池3、領域R2〜R4に配置された発熱機器33〜36,38,39からの熱によって、各吸気口18a〜18dから取り込まれた空気A1による筐体5内の温度低下を抑制することができる。従って、発電に必要な空気(詳しくは酸素)を筐体5内に取り込みつつ、凝縮水タンク31及び各水配管41,42内の凝縮水の凍結を防止することができる。また、少なくとも最下段の領域R4における複数の発熱機器33〜36は、発熱量の大きいものほど筐体吸気口18d側に近接し、発熱量の小さいものほど筐体吸気口18d側から離間するようにして配置されている。このようにすると、凝縮水タンク31へ確実に暖められた空気A1が送られることとなり、筐体5内の温度を効率よく高めることができ、冬場の低温時における凝縮水の凍結を確実に防止することができる。
【0071】
(5)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5において、最下段の領域R4(水平流路L1)には凝縮水タンク31が配置される。また、上段側の各棚板21〜23の間に形成される流路L3〜L5が凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2に合流するように、各棚板21〜23が設けられている。このように各棚板21〜23を形成すると、凝縮水タンク31の上方を効率よく温めることができるため、その上方に設けられた水配管41,42における凝縮水の凍結をより確実に防止することができる。さらに、垂直流路L2における水配管42内で温めた凝縮水を燃料電池3に供給することができるため、燃料電池3の発電効率をより高めることができる。
【0072】
(6)本実施の形態の燃料電池システム1では、最下段の領域R4において、発熱機器である改質水ポンプ36と凝縮水タンク31との間に、凝縮水を浄化するための水フィルタ32が配置されている。この場合、各発熱機器33〜36で暖められた温風によって、水フィルタ32における凝縮水の凍結を防止することができる。
【0073】
(7)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5において直方体状の内部空間S0を垂直方向と平行な仮想平面P1により半分に分けたときの一方の小空間S1に筐体吸気口18a〜18dが配設されるとともに、他方の小空間S2に筐体排気口19が配設されている(
図2参照)。このように筐体吸気口18a〜18d及び筐体排気口19を設けることで、筐体5内における換気を効率よく確実に行うことができる。
【0074】
(8)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5内において、排熱交換器30は、他の機器31〜39よりも筐体排気口19側に近接して配置されている。この場合、排熱交換器30には高温のオフガスが供給されるため、排熱交換器30からの放熱量が大きくなるが、その排熱交換器30からの放熱を筐体排気口19を通じて筐体外部に効率よく逃がすことができ、筐体5内における過昇温を防ぐことができる。
【0075】
(9)本実施の形態の燃料電池システム1では、凝縮水タンク31、水フィルタ32、改質水ポンプ36及びそれら機器同士を繋ぐ水配管42において、凝縮水が通過する箇所の少なくとも一部が、断熱材48,49で覆われている。このように断熱材48,49を設けることにより、凝縮水の凍結をより確実に防止することができる。
【0076】
(10)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5内における凝縮水タンク31の上方に排熱交換器30が配置され、凝縮水を流す水配管41を介して凝縮水タンク31と排熱交換器30とが接続されている。この場合、排熱交換器30において水蒸気が冷やされて水滴となった凝縮水を下側の凝縮水タンク31に効率よく集めることができる。
【0077】
(11)本実施の形態の燃料電池システム1では、断熱容器2の側面であって、排熱交換器30と接続するための配管45や水配管42が設けられる配管の突き出し面2aが、筐体排気口19と対向するよう設けられている。また、筐体5において、水配管42や配管45と燃料電池3との接合部50,51よりも上方に筐体排気口19が設けられている。このようにすると、燃料電池3に接続される水配管42や配管45からの放熱を筐体排気口19を通じて筐体外部に効率よく逃がすことができるため、筐体5内における過昇温を防ぐことができる。
【0078】
(12)本実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5において、複数の棚板22〜24によって仕切られた領域R3,R4毎に、類似した発熱機器33〜36,38,39がそれぞれ配置されている。このようにすると、筐体5内における各機器33〜36,38,39の設置を効率よく行うことができるため、製造工程での組み付け性が向上する。
【0079】
(13)本実施の形態の燃料電池システム1では、上述したように回転制御部であるマイコンM1が
図3のフローチャートに示す手順で所定の制御を行う。このため、周囲の温度に応じて回転翼20aの回転数を適宜制御することができ、ファン20をより的確に駆動することが可能となる。それゆえ、筐体内温度Tが常に所定の設定温度範囲内に維持され、筐体5内における過昇温や過冷却を未然にかつ確実に防ぐことができる。
【0080】
(14)本実施の形態の燃料電池システム1では、上述したように異常判断部であるマイコンM1が
図4のフローチャートに示す手順で所定の制御を行う。このため、システム1に異常が発生したと判断したときには、その異常を迅速にかつ確実に通知することができるばかりでなく、直ちにシステム1を停止することができる。
【0081】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0082】
・上記実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5において対向配置される2つの側板16a,16bのうちの一方の側板16aに筐体吸気口18a〜18dが設けられ、他方の側板16bの上端部に筐体排気口19が設けられるものであったが、これに限定されるものではない。
図5及び
図6に示される筐体5Aのように、対向配置される2つの側板16a,16bのうちの一方の側板16aに筐体吸気口18a〜18dが設けられるとともに、天板14における他方の側板16bの側に筐体排気口19が設けられていてもよい。この場合も、筐体5Aにおいて、直方体状の内部空間S0を垂直方向と平行な仮想平面P1により半分に分けたときの一方の小空間S1に各筐体吸気口18a〜18dが配設されるとともに、他方の小空間S2に筐体排気口19が配置される。また、筐体排気口19は筐体吸気口18a〜18dが設けられる側板16aと対向する側板16bに設けられる必要はなく、
図7に示される筐体5Bのように、筐体吸気口18a〜18dが設けられる側板16aと直交する側板16cに筐体排気口19を設けてもよい。
図7に示す筐体5Bの場合でも、直方体状の内部空間S0を垂直方向と平行な仮想平面P1により半分に分けたときの一方の小空間S1に各筐体吸気口18a〜18dが配設されるとともに、他方の小空間S2に筐体排気口19が配置されている。従って、この場合でも、筐体5B内における換気を効率よく確実に行うことができる。
【0083】
・上記実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5,5A,5Bに複数の筐体吸気口18a〜18dが設けられていたが、
図8に示される筐体5Cのように、1つの筐体吸気口18が設けられていてもよい。なおこの場合、対向配置される一方の側板16aの下端部に筐体吸気口18が設けられ、他方の側板16bの上端部に筐体排気口19が設けられる。このように筐体吸気口18及び筐体排気口19を設けることで、筐体5C内の換気を効率よく行うことができる。
【0084】
・上記実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5内において、複数の棚板21〜24によって仕切られた領域R3,R4毎に、類似した発熱機器33〜36,38,39がそれぞれ配置されていたが、これに限定されるものではなく、機能に応じた複数の機器を各領域に分けて配置してもよい。具体的には、例えばエアポンプ33とエアポンプ33を駆動する制御基板38とを同じ領域に配置し、改質水ポンプ36と改質水ポンプ36を駆動する制御基板39とを同じ領域に配置してもよい。このようにすると、各ポンプ33,36と制御基板38,39とを接続する電気配線を短くすることが可能となる。
【0085】
・上記実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5内において凝縮水タンク31をL字状流路L0のコーナ部(水平流路L1と垂直流路L2の交差部分)に配置し、水平流路L1において凝縮水タンク31の上流側に水フィルタ32を配置していたが、凝縮水タンク31と水フィルタ32との位置を変更してもよい。つまり、凝縮水タンク31及び水フィルタ32が発熱機器33〜36よりも下流側に配置されるものであればよく、L字状流路L0のコーナ部に水フィルタ32を配置し、水フィルタ32の上流側に凝縮水タンク31を配置してもよい。また、水配管等のスペースが確保される場合には、凝縮水タンク31の上方の垂直流路L2内に水フィルタ32を配置してもよい。
【0086】
・上記実施の形態の燃料電池システム1では、筐体5の内部においてSE4に示す位置に設置した温度センサの検出する筐体内温度Tの値に基づきファン20の回転数制御を実施していたが、筐体5の外面においてSE1に示す位置にある温度センサに基づいて実施してもよい。また、凝縮水タンク48内の位置(SE2)や、水配管42の途上の位置(SE3)にある水温を検出する温度センサ基づいて回転数制御を実施してもよい。
【0087】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0088】
(1)手段1において、前記筐体内には、前記筐体吸気口及び前記筐体排気口を繋ぐ換気用の流路であり、前記水平流路と垂直流路とからなるL字状流路が設けられ、前記L字状流路において前記水平流路と前記垂直流路との交差部分に前記凝縮水タンクが配置されるとともに、前記水平流路に前記複数の発熱機器が配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
【0089】
(2)手段1において、前記筐体における前記筐体吸気口が設けられた側板に対向する別の側板の側に、前記凝縮水タンクが配置されることを特徴とする燃料電池システム。
【0090】
(3)手段1において、前記筐体内には、前記固体酸化物形燃料電池から排出されるオフガスを熱交換して気液分離する排熱交換器が収納され、前記排熱交換器は、他の機器よりも前記筐体排気口側に近接して配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
【0091】
(4)技術的思想(3)において、前記筐体内における前記凝縮水タンクの上方に前記排熱交換器が配置され、前記凝縮水を流す水配管を介して前記排熱交換器と前記凝縮水タンクとが接続されていることを特徴とする燃料電池システム。
【0092】
(5)技術的思想(3)または(4)において、前記断熱容器の側面であって、前記排熱交換器と接続するための配管が設けられる前記配管の突き出し面が、前記筐体排気口と対向するよう設けられていることを特徴とする燃料電池システム。
【0093】
(6)手段1において、前記筐体において、対向配置される2つの側板のうちの一方の側板の下端部に前記筐体吸気口が設けられるとともに、他方の側板の上端部に前記筐体排気口が設けられることを特徴とする燃料電池システム。
【0094】
(7)手段1において、前記筐体において、対向配置される2つの側板のうちの一方の側板に前記筐体吸気口が設けられるとともに、前記天板における他方の側板の側に前記筐体排気口が設けられることを特徴とする燃料電池システム。
【0095】
(8)手段1において、前記整流板は前記筐体内の収容空間を複数の領域に仕切る複数の棚板であり、最下段の領域には、前記凝縮水タンクが配置されるとともに、発熱量の最も大きな前記発熱機器が前記筐体吸気口側に最も近接して配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
【0096】
(9)技術的思想(8)において、前記各領域における前記複数の発熱機器は、発熱量の大きいものほど前記筐体吸気口側に近接し、発熱量の小さいものほど前記筐体吸気口側から離間するようにして配置されていることを特徴とする燃料電池システム。
【0097】
(10)手段1において、前記筐体内において、複数の棚板によって仕切られた領域毎に、類似した前記発熱機器がそれぞれ配置されることを特徴とする燃料電池システム。
【0098】
(11)手段1において、前記発熱機器には、前記酸化剤ガスを供給するためのエアポンプが含まれることを特徴とする燃料電池システム。
【0099】
(12)手段1において、前記発熱機器には、前記固体酸化物形燃料電池で発電した電力を変換する電力変換器が含まれることを特徴とする燃料電池システム。
【0100】
(13)手段1において、前記発熱機器には、複数の電子部品を搭載した制御基板が含まれることを特徴とする燃料電池システム。