特許第6382687号(P6382687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382687
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】仮置き台用台座
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/40 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   E01B29/40
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-225970(P2014-225970)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-89504(P2016-89504A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】596095769
【氏名又は名称】株式会社山田精密製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 房夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕一
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167479(JP,A)
【文献】 米国特許第3965822(US,A)
【文献】 特開平11−343730(JP,A)
【文献】 特許第2731907(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用レールの仮置き台を、断面形状が台形状に構成された鉄道用の道床に設置するための仮置き台用台座であって、
前記仮置き台が載置可能な載置部であって、前記道床のうちレールが敷設された上面部に接触可能な第1接触部を有する載置部と、
前記道床の法面に接触可能な第2接触部を構成する傾斜部であって、一端側が前記載置部の一端側に固定され、当該一端側から他端側に向かうほど前記載置部から離間する傾斜部と、
前記載置部の他端側から前記傾斜部の他端側に延びるとともに、前記道床に打ち込み可能な第1杭を少なくとも1本有する道床固定部とを備え、
前記道床固定部は、前記載置部に作用する鉛直方向下方向きの荷重を受けるとともに、当該荷重を前記傾斜部に伝達して当該傾斜部を前記道床に押し付ける機能を発揮可能である
ことを特徴とする仮置き台用台座。
【請求項2】
前記載置部は板状に構成され、
前記第1杭は、前記傾斜部を貫通した状態で当該傾斜部に固定されており、
さらに、前記傾斜部のうち前記第1杭に固定されている部位は、前記載置部と平行な板状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の仮置き台用台座。
【請求項3】
前記第1接触部には、前記道床に打ち込み可能な第2杭が少なくとも1本設けられていることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の仮置き台用台座。
【請求項4】
前記載置部には、前記仮置き台が移動することを規制する移動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の仮置き台用台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール仮置き台が載置可能な仮置き台用台座に関する。
【背景技術】
【0002】
レール仮置き台とは、例えば、特許文献1に記載されているように、鉄道用レールの交換作業時にレールを仮置きするためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−167479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道用道床は略台形状に構成されている。このため、レールが敷設された上面部が狭い場合には、レール仮置き台を鉄道用道床の法面(のりめん)に設置せざるを得ない場合が発生する。そして、傾斜した法面にレール仮置き台を設置することは難しい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、略台形状の鉄道用道床にレール仮置き台を設置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、鉄道用レールの仮置き台(30)を、断面形状が略台形状に構成された鉄道用の道床に設置するための仮置き台用台座であって、仮置き台(30)が載置可能な載置部(3)であって、道床のうちレールが敷設された上面部(41)に接触可能な第1接触部(3A)を有する載置部(3)と、道床の法面(42)に接触可能な第2接触部(5A)を構成する傾斜部(5)であって、一端側が載置部(3)の一端側に固定され、当該一端側から他端側に向かうほど載置部(3)から離間する傾斜部(5)と、載置部(3)の他端側から傾斜部(5)の他端側に延びるとともに、道床に打ち込み可能な第1杭(7A)を少なくとも1本有する道床固定部(7)とを備え、道床固定部(7)は、載置部(3)に作用する鉛直方向下方向きの荷重を受けるとともに、当該荷重を傾斜部(5)に伝達して当該傾斜部(5)を道床に押し付ける機能を発揮可能である。
【0007】
これにより、作業員は載置部(3)に仮置き台(30)を載置することにより、容易にレール仮置き台を道床に設置でき得る。
本願に係る仮置き台用台座を道床に設置する際には、作業者は、第1接触部(3A)を道床の上面部(41)に接触可能な状態とし、かつ、第2接触部(5A)を道床の法面に接触可能な状態とした上で、道床固定部(7)の第1杭(7A)を道床に打ち込む。
【0008】
第1杭(7A)が道床に打ち込まれるときに第1杭(7A)を打ち込む際の殴打力は、当該第1杭(7A)を介して傾斜部(5)に伝達される。このため、当該殴打力によって傾斜部(5)が道床(法面)に押し付けられていく。
【0009】
そして、傾斜部(5)と道床(法面)との接触面圧が所定以上に上昇すると、それ以上に第1杭(7A)を打ち込むことが困難となる。つまり、仮置き台用台座が安定した状態となったときに第1杭(7A)を更に打ち込むことが困難となり、仮置き台用台座の設置が終了する。
【0010】
以上のように、本願に係る仮置き台用台座を用いれば、安定した状態で仮置き台用台座を鉄道用の道床に設置した上で容易に仮置き台を当該道床に設置でき得る。
なお、本願に係る仮置き台用台座は、以下のように構成してもよい。
【0011】
すなわち、載置部(3)は板状に構成され、第1杭(7A)は、傾斜部(5)を貫通した状態で当該傾斜部(5)に固定されており、さらに、傾斜部(5)のうち第1杭(7A)に固定されている部位を載置部(3)と平行な板状に構成する。
【0012】
これにより、杭打ち作業時に、傾斜部(5)と鉄道用道床(法面)とを確実に接触させながら、第1杭(7A)を鉄道用道床に打ち込むことができ得る。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る仮置き台用台座1の使用状態を示す図である。
図2】仮置き台30を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る仮置き台用台座1の斜視図である。
図4図4Aは本発明の実施形態に係る仮置き台用台座1の正面図である。図4B図4Aの左側面図である。図4C図4Aの右側面図である。図4D図4Aの上面図である。
図5図5A図5Cは、本発明の実施形態に係る仮置き台用台座1の設置手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0015】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。
【0016】
1.仮置き台用台座とは
仮置き台用台座1は、仮置き台30を鉄道用の道床40に設置する際に用いられる設置台である。仮置き台30とは、例えば図2に示されるものであって、レール交換作業時にレールを一時的に載置するためのレール台である。
【0017】
なお、図2に示す仮置き台30は、ローラ31、支持部材32及び複数の倒れ防止部33等を有して構成されている。ローラ31はレールが載置されるレール受部である。支持部材32はローラ31を回転可能に支持する。倒れ防止部33は、ローラ31に載置されたレールが倒れることを抑止する。
【0018】
図1に示すように、道床40はレールを敷設するためのものである。当該道床40は、一般的に、砂利や砕石にて構成された盛土であって、レールの長手方向と直交する断面形状が略台形状に盛土されている。そして、レールは、道床40の上面部41に敷設される。
【0019】
因みに、現実の在来線レール交換作業は、古い枕木を道床40に埋設し、その埋設された古い枕木にレールを一時的に載置していた。そして、レール交換作業が終了すると、埋設した枕木を回収し、他のレール交換作業現場に移設していた。
【0020】
すなわち、現実の在来線レール交換作業時においては、仮置き台30が使用されていなかったため、そもそも仮置き台用台座1それ自体も存在しなかった。
そして、発明者等は、レール交換作業の作業性を向上させるべく、(a)図2に示すような仮置き台30を新たに提案するとともに、(b)道床40の上面部41が狭く、仮置き台30を上面部41に設置することが困難な場合であっても仮置き台30を設置可能とすべく、仮置き台30に加えて更に、仮置き台用台座1を発明した。
【0021】
なお、上面部41が狭い場合には、仮置き台30が道床40の法面42(図1参照)に設置せざるを得なくなる。しかし、法面42は傾斜面であるので、仮置き台30を法面42に直接的に設置することはできない。
【0022】
2.仮置き台用台座の構造
仮置き台用台座1は、図3に示すように、載置部3、傾斜部5及び道床固定部7等を有して構成されている。載置部3は仮置き台30が載置可能な金属製の部材である。当該載置部3には、道床40の上面部41に接触可能な第1接触部3Aが設けられている。
【0023】
載置部3は板状に構成されている。そして、載置部3の上面に仮置き台30が載置され、かつ、載置部3の下面に第1接触部3Aが設けられている。載置部3には、少なくとも1つ(本実施形態は、2以上)の移動規制部3Bが設けられている。本実施形に係る移動規制部3Bは、仮置き台30に設けられた杭状の突部34(図2参照)が嵌込可能な貫通穴又は凹部(本実施形態では、貫通穴)により構成されている。
【0024】
傾斜部5は、道床40の法面42に接触可能な第2接触部5Aを構成する金属製の部材である。そして、傾斜部5は、その一端側(図3では左端側)が載置部3の一端側(図3では左端側)に固定され、かつ、当該一端側(図3では左端側)から他端側(図3では右端側)に向かうほど載置部3から離間する構成となっている。
【0025】
本実施形態に係る傾斜部5は板状に構成されている。このため、第2接触部5Aは面状の部位となる。傾斜部5の一端側(載置部3との固定側)は、溶接により載置部3に固定されている。なお、傾斜部5(第2接触部5A)と載置部3(第1接触部3A)とのなす角は、第2接触部5Aが法面42と接触したときに、載置部3が水平となる角度が望ましい。
【0026】
道床固定部7は、少なくとも1本(本実施形態では、3本)の第1杭7Aを有して構成されている。それら第1杭7Aは、載置部3の他端側(図3では右端側)から傾斜部5の他端側(図3では右端側)に延びるとともに、道床40に打ち込み可能なものである。
【0027】
複数の第1杭7Aは、傾斜部5を貫通した状態で当該傾斜部5に固定されている。そして、傾斜部5のうち複数の第1杭7Aに固定されている平面部5Bは、載置部3と平行な板状に構成されている。
【0028】
このため、道床固定部7、つまり複数の第1杭7Aは、載置部3に作用する鉛直方向下方向きの荷重を受けるとともに、当該荷重を傾斜部5に伝達して傾斜部5を道床40に押し付ける機能を発する。なお、各第1杭7Aは、金属製であって、載置部3及び傾斜部5に溶接固定されている。
【0029】
第1接触部3Aには、少なくとも1本(本実施形態では3本)の第2杭3Cが設けられている。それらの第2杭3Cは、道床40に打ち込み可能な金属製の杭である。なお、複数の第2杭3Cは、載置部3の一端側(図3では左端側)を貫通した状態で載置部3に溶接固定されている。
【0030】
3.仮置き台用台座の設置方法、及びその特徴
仮置き台用台座1を道床40に設置する際には、図5Aに示すように、作業者は、先ず、第1接触部3Aを道床の上面部41に接触可能な状態とし、かつ、第2接触部5Aを道床40の法面42に接触可能な状態に配置する。
【0031】
次に、作業者は、図5Bに示すように、第1杭7Aの頭部及び第2杭3Cの頭部をハンマー(図示せず。)にて殴打して第1杭7A及び第2杭3Cを道床40に打ち込む。この杭の打ち込み作業は、以下のように行う。
【0032】
すなわち、作業者は、第1接触部3Aが道床40の上面部41に接触し、第2接触部5A)が道床40の法面42に接触するまで第1杭7A及び第2杭3Cを道床40に打ち込む。そして、第1接触部3Aが上面部41に接触し、かつ、第2接触部5Aが法面42に接触した状態で、作業者が第1杭7A及び第2杭3Cを更に打ち込む。
【0033】
これにより、第1杭7Aが道床40に打ち込まれるときの殴打力は、第1杭7Aを介して傾斜部5に伝達される。このため、図5Cに示すように、当該殴打力によって傾斜部5が道床40の法面42に押し付けられていく。
【0034】
そして、傾斜部5と道床40(法面42)との接触面圧、及び載置部3と道床40(上面部41)との接触面圧が共に所定以上に上昇すると、それ以上に第1杭7A及び第2杭3Cを打ち込むことが困難となる。つまり、仮置き台用台座1が安定した状態となったときに第1杭7A及び第2杭3Cを更に打ち込むことが困難となり、仮置き台用台座1の設置が終了する。
【0035】
以上のように、本実施形態に係る仮置き台用台座1を用いれば、安定した状態で仮置き台用台座1を鉄道用の道床40に設置した上で容易に仮置き台1を道床40に設置でき得る。
【0036】
そして、仮置き台30を載置部3に載置する際には、仮置き台30に設けられた突部34(図2参照)を載置部3の移動規制部(貫通穴)3Bに嵌め込むように仮置き台30を載置すればよい。
【0037】
なお、本実施形態では、複数の移動規制部(貫通穴)3Bが設けられている。これは、様々のサイズの仮置き台30に対応するためである。しがって、本実施形態に係る仮置き台用台座1は、図2に示す仮置き台30以外の仮置き台にも載置可能である。
【0038】
本実施形態では、傾斜部5のうち第1杭7Aに固定されている平面部5Bは、載置部3と平行な板状に構成されている。これにより、第1杭7Aを打ち込む作業時に、傾斜部5と法面42とを確実に接触させながら、第1杭7Aを道床40に打ち込むことができ得る。
【0039】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、第2杭3Cが設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2杭3Cを廃止してもよい。
【0040】
上述の実施形態では、平面部5Bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、平面部5Bを廃止してもよい。
上述の実施形態に係る移動規制部3Bは穴状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ネジやクランプ等により移動規制部3Bを構成してもよい。
【0041】
上述の実施形態では、在来線の道床40を例に本発明に係る仮置き台用台座1の設置方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば新幹線用の道床40にも設置可能である。
【0042】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。なお、仮置き台30それ自体は、本願発明の必須の構成要件ではない。したがって、載置部3に載置可能な仮置き台は、図2に示された仮置き台30に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1… 台用台座 3… 載置部 3A… 第1接触部 3B… 移動規制部
3C… 第2杭 5… 傾斜部 5A… 第2接触部 5B… 平面部
7… 道床固定部 7A… 第1杭 30…仮置き台 31… ローラ
32… 支持部材 33… 防止部 34… 突部 40… 道床
41… 上面部 42… 法面
図1
図2
図3
図4
図5