【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、取入能力、流体分散特性、および漏れ防護性において改善された吸収性物品が提供される。
【0010】
本発明による吸収性物品は、縦方向および横方向を有し、側縁が縦方向に延在し、端縁が横方向に延在しており、流体浸透性の表面層と、流体非浸透性の背面層と、表面層と背面層との間に封じ込められるとともにそれを通して延在する開口を有する第1の吸収層を具備する吸収コアとを備える。流体流れ制御構造が第1の吸収層と背面層との間に配置され、その流体流れ制御構造は、無孔性繊維質高分子層と、50g/m
2から150g/m
2の基本重量、好ましくは60g/m
2から100g/m
2の基本重量を有する第1の有孔性高分子層とを備える積層構造である。
【0011】
流体流れ制御構造は、吸収性物品に高い取入能力(intake capacity)をもたらす。
【0012】
さらに、本発明の吸収性物品は、流体を一時的に保管するための大きな空所容積(voidvolume)をもたらす。空所容積は、吸収層の開口に形成された中空の空間または窪みと、多孔質の流体流れ制御構造の内部に形成された中空の空間または窪みとの両方によって作り出される。流体が流体流れ制御構造内に入るとすぐに、流体は無孔性の層の開口細孔構造へと流れ込むことができ、吸収性物品の最初に湿潤した領域から遠ざかるように分散され得る。流体流れ制御構造は、最初に湿潤した領域から流体が遠ざかる移動を促進するだけでなく、吸収性物品の長さ方向および厚さ方向の両方で、吸収コア全体での流体の分散を促進する。流体流れ制御構造の幅は第1の吸収層の幅よりも小さくてもよく、それによって、流体の分散速度(fluid dispersion rate)は流体流れ制御構造の縁において変化する。流体流れ制御構造は、好ましくは、第1の吸収層よりも流体の流れに対する抵抗が小さい非常に多孔質な構造である。これは、流体が流体流れ制御構造内を自在に動き続けられるという意味を含んでいる。したがって、流体流れ制御構造の縁は、吸収性物品の側縁への流体の横方向への分散(distribution)に対する障壁として作用でき、側方での不具合の危険性を減らすことができる。
【0013】
第1の吸収層を通る開口は、好ましくは、吸収性物品の湿潤する領域に配置される。吸収性物品の湿潤する領域は、吸収性物品のうち、吸収性物品が着用されているときに放たれた流体によって最初に湿潤するように設計され、かつ、吸収性物品の股あての領域に配置されている部分である。湿潤する領域において第1の吸収層に開口を配置することで、放たれた流体は、開口へと直接流れることができ、吸収性物品の開口および隣接する層によって区画される空間に集められ一時的に収容することができる。
【0014】
本発明の吸収性物品の第1の吸収層は、1つまたは複数の開口を有してもよい。1つまたは複数の開口は、円形、楕円形、長方形、正方形、星形、花形、ハート形、H字形、T字形、I字形などの任意の適切な形状または形状の組み合わせのものであってもよい。したがって、1つまたは複数の開口の位置、形状および大きさは、本発明の範囲内において変更することができる。
【0015】
基本重量が大きいため、および、有孔性層と無孔性層との組み合わせのため、流体流れ制御構造は、好ましくは、比較的大きな曲げ剛性を有する。大きな曲げ剛性は、吸収性物品の着用者の大腿部同士の間での横方向の圧縮に抗する能力の改善を吸収性物品にもたらし、第1の吸収層の開口が吸収性物品の使用中に常に流体を受け入れるために開いたままとされるように、着用中の吸収性物品の好ましくない変形を打ち消す。流体流れ制御構造における積層材料の曲げ剛性または屈曲抵抗は、修正されたASTM D 4032−82 円形曲げ手順(modified ASTM D 4032-82 CIRCULAR BEND PROCEDURE)により測定されるときに、0.5〜5N、好ましくは1〜4Nであってもよい。流体流れ制御構造の横方向外側に延在する吸収性物品のあらゆる部分の曲げ剛性は、流体流れ制御構造よりも小さい曲げ剛性であることが望ましいと考えられ、それによって、吸収性物品のうちのこのようなより硬くない横方向の部分は、流体流れ制御構造と着用者の脚との間で緩衝手段として作用できる。
【0016】
本発明による吸収性物品は、流体流れ制御構造と背面層との間に配置される第2の吸収層を備えてもよい。
【0017】
第1の有孔性高分子層は、不織(nonwoven)、膜(film)、または膜/不織(film/nonwoven)の積層体であってもよい。好ましくは、第1の有孔性高分子層は不織の材料である。第1の有孔性高分子層用の適切な高分子化合物は、ポリプロピレンが好ましく、また、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ならびに、このような高分子化合物の
ブレンドおよび
組合せであってもよい。不織の材料は、梳毛樹脂接着材料、梳毛スルーエアー接着材料、スパンボンド−メルトボンド−スパンボンド(SMS)材料、梳毛水流交絡材料、または梳毛熱接着材料であってもよい。
【0018】
第1の有孔性高分子層は、貫通している開口部を備える三次元に形成された層であってもよく、その開口部は、層の第1の表面から層の第2の表面に向かって延在し、第2の表面において突起部を形成し、好ましくは、漏斗形とされている。本明細書で用いられるような漏斗形の開口部には、開口部に沿って移動するときに開口部の断面積が小さくなるように開口部の延在する方向において先細りとなる形状を有する開口部の意味が含まれる。
【0019】
第1の有孔性高分子層には、無孔性繊維質高分子層の方を向く第2の表面が配置されてもよいし、もしくは、無孔性繊維質高分子層から離れる方を向く第2の表面が配置されてもよい。
【0020】
第1の有孔性高分子層は、流体流れ制御構造の第1の層として、つまり、構造のうち表面層の最も近くに配置される層として配置されてもよい。
【0021】
第1の有孔性高分子層の開口部は、開口部の最小直径で測定されたときに、0.5〜5mmの平均寸法を有してもよい。
【0022】
第1の有孔性高分子層の開口面積は5〜30%、好ましくは10〜25%であってもよい。
【0023】
無孔性繊維質高分子層は、20〜120gsm、好ましくは60〜100gsmの高ロフト材料であってもよい。無孔性繊維質高分子層用の高分子化合物はポリエステルであってもよい。
【0024】
流体流れ制御構造は、無孔性繊維質高分子層と、第1の有孔性高分子層と、第2の有孔性高分子層とから成る三層構造であってもよく、その無孔性繊維質高分子層は第1の有孔性高分子層と第2の有孔性高分子層との間に挟まれてもよい。
【0025】
第2の有孔性高分子層は、三次元に形成された層であってもよく、その層は、ウェブの第1の表面からウェブの第2の表面に向かって延在するとともに第2の表面において突起部を形成する開口部を備えてもよい。
【0026】
流体流れ制御構造における層同士は、接着手段によって互いに付着されてもよい。しかしながら、熱エンボス加工による熱接合または超音波接合など、層同士を結合する他の手段が用いられてもよいし、同様に、いずれの接合手段も用いずに層同士が結合されてもよい。本発明の流体流れ制御構造は、全体としては平面の形状を有している。具体的には、無孔性繊維質高分子層は、好ましくは、均一な厚さおよび均一な細孔構造を備えるべきである。層同士の間の接合は、好ましくは、無孔性繊維質高分子層の形状および細孔構造への影響が最小となるように実施されるべきである。
【0027】
流体流れ制御構造の高分子化合物材料は、材料自体ではいずれの流体も保持しない非吸収性材料であってもよい。流体流れ制御構造の機能は、吸収性物品に一時的に流体を保つ能力をもたらすこと、および、流体を吸収性物品で分散させることである。流体流れ制御構造における高分子化合物材料は、疎水性であってもよく、また、水性の流体と接触したときに全くまたはほとんど湿潤しないことを意味する90°または略90°の濡れ角(θ)を有してもよいため、流体流れ制御構造の構成部は、濡れ角を小さくしてそれらを親水性とするように、つまり、体液によって湿潤するように処理された場合に有利であってもよい。完全に湿潤可能な材料は、0°の濡れ角(θ)を有している。界面活性剤を用いた処理、プラズマ処理、またはコロナ処理など、疎水性材料を親水性にするための一般的に既知の任意の方法が用いられてもよい。
【0028】
例示の実施形態の一態様は、三層の流体流れ制御構造に関し、第1の有孔性高分子層および第2の有孔性高分子層が三次元に形成された層であってもよく、それらの層は、貫通し、好ましくは漏斗形とされ、層の第1の表面から層の第2の表面に向かって延在し、かつ、第2の表面において突起部を形成する開口部を備えてもよい。両方の有孔性高分子層には、それら有孔性高分子層同士の間に配置された無孔性繊維質高分子層の方を向く第2の表面が設けられてもよい。
【0029】
第1の有孔性高分子層内の開口部と第2の有孔性高分子層内の開口部とは互いにずらされてもよい。第1の有孔性高分子層の開口部と第2の有孔性高分子層の開口部とが互いにずらされる(out of register)とき、それらの層の一方に衝突した流体は、流体流れ制御構造の厚みを直接通過することができず、流体流れ制御構造を通過するより曲がりくねった経路を取るように強制される。さらに、吸収性物品の表面層の方を向くように配置された第1の有孔性高分子層を通じて流体が流体流れ制御構造に入るとき、流体の少なくとも一部は背面層に向かって降下していく。流体が孔のない位置で第2の有孔性高分子層に到達すると、流体は、第2の有孔性高分子層に沿って流れ、最終的に第2の有孔性高分子層の開口部を通って流れ出ることができるまで、流体流れ制御構造の内部で分散されることになる。第2の有孔性高分子層は、流体流れ制御構造の無孔性繊維質高分子層の方を向いている第2の有孔性高分子層のうちの一方の側に突起部を形成する開口部を備えた三次元形状の材料であってもよい。このような場合、相互に接続された流路のネットワークが、突起部同士の間に形成され、そのネットワークにおいて、流体が、流体流れ制御構造を出て行く前に、捉えられて、最初に湿潤した領域から遠い距離まで遠ざかるように流れることができる。
【0030】
三次元形状の第1の有孔性高分子層および第2の有孔性高分子層は、開口部の頂部すなわち突起部が、無孔性繊維質高分子層の方に向けられて、または、無孔性繊維質高分子層から離れる方に向けられて配向される。三次元形状の第1の有孔性高分子層および第2の有孔性高分子層と、高ロフトの無孔性繊維質高分子層とはともに、流体流れ制御構造の空所容積、流体流れ制御構造の流体を収容する能力、および、流体流れ制御構造の流体がその構造を通過する能力に寄与する。
【0031】
流体流れ制御構造が、第1の有孔性高分子層と第2の有孔性高分子層との間に挟まれる無孔性繊維質高分子層から成る三層構造であるとき、第2の有孔性高分子層は、化学組成、物理組成、三次元性、開口面積、開口部の寸法などに関して第1の有孔性高分子層と異なっていてもよい。あるいは、第2の有孔性高分子層は第1の有孔性高分子層と同一であってもよい。したがって、第2の有孔性高分子層は、第1の有孔性高分子層と一致する基本重量、開口面積、および開口部の寸法を有してもよい。
【0032】
第1の有孔性高分子層および第2の有孔性高分子層の両方は、本明細書で開示されるような三次元に形成された層であってもよい。各層は、層の第1の表面を起点として層の第2の表面に向かって延在する貫通している開口部を、その開口部の頂部が層の第2の表面で突起部を形成する状態で備えてもよい。開口部は、管状の構造であってもよく、好ましくは、有孔性層の第1の表面から第2の表面への方向に移動するときに断面積が小さくなる漏斗形である。
【0033】
あるいは、有孔性高分子層の一方または両方は、二次元の層であってもよい。有孔性高分子層の少なくとも一方が三次元に形成された層であるとき、その三次元に形成された有孔性層は、無孔性高分子層から離れる方を向く第1の表面が配置されてもよいし、もしくは、無孔性高分子層の方を向く第1の表面が配置されてもよい。本発明による吸収性物品では、突起部が吸収性物品の表面層の方を向く状態で配向されている三次元に形成された有孔性高分子層は、吸収性物品のZ方向すなわち厚さ方向における流体の移動を一般的に促進することになる、突起部が吸収性物品の背面層の方を向く状態で配向されている三次元に形成された有孔性高分子層よりも、吸収性物品のx−Y平面すなわち縦方向および横方向における流体の分散を、より高い度合いまで一般的に促進することになる。
【0034】
第1の有孔性高分子層および第2の有孔性高分子層は、自身に流体を通過させることができるが、粒子や繊維が流体流れ制御構造に入ったり流体流れ制御構造内で流体の移動に干渉したりするのを妨げる防御障壁として作用することもできる。粒子や繊維は、一般的に「超吸収体」として知られる吸収性高分子粒子、セルロース軟毛パルプ繊維などからの吸収性材料であり得る。
【0035】
流体流れ制御構造は、本明細書で開示される圧縮試験で測定されるように、圧縮に対して大きな抵抗を有してもよい。したがって、5kPaにおける流れ制御構造の厚さは、ここで開示される圧縮試験に従って行われる第1、第2、第3の圧縮において、0.5kPaにおける厚さの60〜80%であり得る。
【0036】
本発明による吸収性物品では、第1の吸収層はそれを通して延在する2つ以上の開口を有してもよい。開口は、吸収性物品の股あて部など、吸収性物品の同じ通常の領域に配置されてもよいし、もしくは、2つ以上の股あて部および端部など、吸収性物品の異なる部分に配置されてもよい。本明細書で用いられるように、股あて部は、吸収性物品のうち、着用者の股あてに配置されるとともに着用者の陰部と接触するように設計される部分である。股あて部は、吸収性物品の湿潤する領域を含み、吸収性物品の縦方向において非対称的に配置されてもよい。端部は、吸収性物品の縦方向における股あて部の両側に配置される。吸収性物品は、着用者の前方または後方に向かって配置されるように具体的に適合される端部を伴って設計されてもよく、したがって、使用者がアンダーウェアの内部で正しい方法で吸収性物品を適用できるように、大きさ、形状などにおいて異なってもよい。
【0037】
本発明の吸収性物品には、通常のアンダーウェアまたは他の補助パンツ衣類において吸収性物品を留め付けるための手段が設けられてもよい。留付手段は、当該技術分野において既知の接着留付具、摩擦留付具、面ファスナのフック部などの機械留付具、または異なる種類の留付具の組み合わせであってもよい。
【0038】
吸収性物品は、着用者の胴体下部の周囲に、テープファスナ、ベルト、もしくは同様のものによって留め付けられる開放式のおむつであってもよいし、または、非開放式のパンツ形のおむつであってもよい。あるいは、吸収性物品は、サポーティングパンティ(supporting panty)の中に着用される種類のもの、または、生理用ナプキン、パンティライナー、もしくは失禁防具などの保持具とともに着用される種類のものであってもよい。好ましくは、吸収性物品は失禁防具である。
【0039】
本発明による吸収性物品は、失禁防具のうち失禁防具の着用者の方に向かうように意図される表面に配置される流体浸透性の表面層と、失禁防具のうち着用者の下着の方に向かうように意図される表面に配置される背面層と、それら表面層と背面層との間に封じ込められる吸収コアとを備えてもよい。
【0040】
被覆(covering)は、失禁防具の表面層および背面層が吸収コアの周囲全体に沿って吸収コアの横方向外側へとともに延在する種類のものであってもよく、吸収コアの外周部の周りで縁接合部において互いに連結される。縁接合部は、接着、超音波接合、熱接合、縫合などを用いることなど、当該技術分野において既知の任意適切な方法で形成されてもよい。あるいは、包装による被覆など、被覆の構成も、本発明の範囲内で考え得るものである。
【0041】
表面層は、目的に適合する任意の材料から構成することができる。一般的に見出されている表面層材料の例は、不織の材料、有孔性プラスチック膜、プラスチックまたは布地の網、および流体浸透性発泡層である。2つ以上の表面層材料から構成される積層体も、流体浸透性の着用者の方を向く表面の異なる部位の内部において異なる材料から構成される表面層として、一般的に採用されている。表面層は、好ましくは無孔性の不織のウェブである。
【0042】
背面層は好ましくは流体非浸透性である。しかしながら、流体の浸透に対して抵抗があるだけの背面層材料は、特に比較的少ない量の尿が失禁防具によって取り込まれると考えられる例において、用いることができる。背面層は、薄くて柔軟性がある流体非浸透性のプラスチック膜(film)でもよいが、流体非浸透性の不織の材料、流体非浸透性の発泡体、流体非浸透性の積層体も本発明の範囲内で考慮される。背面層は、空気および蒸気が背面層を通過できるという意味を含めて、通気性であってもよい。さらに、背面層は、不織などの布地材料の外側の衣類の方に向かう表面を有してもよい。
【0043】
吸収コアは、1つまたは複数の層の、セルロース軟毛パルプ、発泡体、繊維詰め物など、当該技術分野において既知の1つまたは複数の任意適切な吸収体または流体取り込み材料から製作することができる。吸収コアは、ヒドロゲルの形成によって大量の流体を吸収および保持する能力がある材料である超吸収体として一般的に知られる吸収性の高い高分子化合物材料の繊維または粒子を含んでもよい。超吸収体は、セルロース軟毛パルプと混合されてもよく、および/または、吸収コアにおいてポケットもしくは層に配置されてもよい。さらに、吸収コアは、吸収コアの特性を改善するための構成部を組み込んでもよい。このような構成部のいくつかの例は、当該技術分野において既知のバインダー繊維、流体分散材料、流体取得材料(fluid acquisition material)などである。
【0044】
吸収性物品は2つ以上の吸収コアを備えてもよい。吸収コアは、上方のより大きなコアと、下方のより小さいコアとであってもよい。
【0045】
吸収性物品は、弾性要素といった構成部をさらに備えてもよい。弾性要素は、吸収性物品の側縁に沿って配置されてもよい。吸収性物品の側縁に沿って配置された弾性要素は、着用者の股あての湾曲に合わせて吸収性物品の縦方向での屈曲を誘導することで、吸収性物品の解剖学的な密着の度合いを改善する。
【0046】
吸収コアが第1の吸収層と第2の吸収層とを備えるとき、流体流れ制御構造は、第1の吸収層と第2の吸収層との間に配置されてもよい。第1の吸収層は、表面層の下で表面層に直接的に接して配置されてもよい。あるいは、第1の吸収層は、組織層、取得層、またはさらに吸収層などの1つまたは複数の介在構成部を介して、表面層と間接的に接して配置されてもよい。同様に、第2の吸収層は、流体流れ制御構造および背面層の直接下に配置されてもよいし、あるいは、介在構成部によって、それらの構成部の一方または両方と間接的に接していてもよい。
【0047】
吸収コアの吸収層は、一様な構造であってもよいし、あるいは、同一または異なる材料の吸収積層体など、それ自体において積層された構造であってもよい。吸収層は、一定の厚さを有してもよいし、あるいは、層の異なる部位で厚さが変化してもよい。同様に、基本重量および組成は、吸収層内で異なってもよい。例として、吸収層は、吸収性繊維および/または非吸収性繊維と超吸収性材料との混合体であって、繊維に対する超吸収性材料の割合が層によって異なる可能性のある混合体を備えてもよい。
【0048】
流体流れ制御構造は、長方形のものであってもよく、また、吸収コアの一部によって縦方向および横方向において包囲されてもよい。流体流れ制御構造のための他の形状および他の構成を用いることもできるが、流体流れ制御構造が、吸収コアと同じかより狭い幅を有しており、また、吸収コアと同じかより短い長さを有している場合は、概して有利である。流体流れ制御構造は、従来の吸収性材料よりも流体の流れに対する抵抗が小さい非常に多孔質な内部構造を有している。これは、流体の分散速度が流体流れ制御構造の縁で変化し、その結果、縁に到達する流体は、コア材料によって吸収される前に、流れの抵抗が小さい流体流れ制御構造において主として移動し続けることになることを意味する。このようにして、流体流れ制御構造の縁は、吸収性物品の側縁への流体の横方向への分散に対する障壁として作用し、それによって側方での不具合の危険性を減らせる。セルロース軟毛パルプなどの従来の吸収性材料および超吸収体は、流体流れ制御構造よりも比較的小さな毛細管を有している。細かい毛細管を備えた繊維質構造は、流体取り込み容量が小さいが、流体が構造に入ってしまえば大きな流体保持能力を有している。超吸収性材料は、主に浸透圧によって行われる流体の取り込みのため、繊維質吸収構造よりもさらにより小さな取り込み速度とより大きな保持能力とを有している。
【0049】
吸収性物品の構成部は、構造用接着剤、熱接合、超音波接合などの従来の手段によって互いに連結することができる。吸収性物品の内部の構成部を特別な接合手段によって互いに接合することは必要ないかもしれない。したがって、このような構成部が摩擦力によって一体に保持されることも十分であり得る。
【0050】
試験方法
修正されたASTM D 4032−82 円形曲げ手順
装置:
装置は、修正された円形曲げ剛性試験機であり、以下の部品を備えている:
− 18.75ミリメートルの直径のオリフィスを備えた102.0×102.0×6.35ミリメートルの滑らかに磨かれた鋼板土台(platform)。オリフィスの周囲の縁は、4.75ミリメートルの深さに対して45度の角度である必要がある。
− 72.2ミリメートルの全長と、6.25ミリメートルの直径と、2.97ミリメートルの半径のボールノーズと、0.33ミリメートルの基部直径で0.5ミリメートル未満の先端半径で0.88ミリメートル延在するニードル先端部とを有するプランジャであって、オリフィスと同心に備え付けられ、すべての側方において隙間が等しいプランジャ。ニードル先端部は試験中に試験用試料の横方向の動きを単に防止するためのものであることに留意されたい。そのため、ニードル先端部は試験用試料に重大な悪影響を与える場合(例えば、膨らませることができる構造体に刺さってしまう場合)、ニードル先端部は使用すべきではない。プランジャの底部は、オリフィス板の上部の上方に具合よく設けられるべきである。この位置から、ボールノーズの下方への行程は、板オリフィスの底部へと正確に達する。
− 力測定ゲージ、より詳細にはInstronの反転された圧縮ロードセル。ロードセルは0.0〜10Nの荷重範囲を有している。
− アクチュエータ、より詳細には、反転された圧縮ロードセルを備えるInstron(商標)の試験機。Instron(商標)の試験機は、Instron Engineering Corporation、Canton、Massachusettsによって製作される。
【0051】
試料の個数および準備:
この試験の手順を実施するために、試験される積層材料から、37.5×37.5ミリメートルの試験用試料が10個切り取られる。
【0052】
手順:
円形曲げ手順のための手順は次のとおりである。試料を21±1℃および50±2%の相対湿度である室内で2時間の間放置することで、試料の条件設定が行われる。試験プレートが水平にされる。プランジャ速度が、全行程長さを通じて、1分間あたり50.0センチメートルに設定される。試料が、それの身体側の表面がプランジャの方を向き、衣類側の表面が土台の方を向くように、プランジャの下方でオリフィス土台の中心に置かれる。ゼロが指し示されていることを確認し、必要に応じて調整する。プランジャが作動される。試験中に試料に触ることはやめるべきである。最も近いグラムを読み取れる最大力が記録される。上記の工程は、5つの同一の試料が試験されるまで繰り返される。
【0053】
圧縮性
手順:
この方法の原理は、材料に金属ロッドを5Nの力までゆっくりと押し付けつつ、材料の厚さを連続的に測定することである。結果は、力と伸長のデータ点から構成される。力は、ロッドの接触面積により圧力へと変換される。金属ロッドは、円筒形であり、平らな基部を備えた10mmの直径のものである。ロッドは、Instronの試験装置の上方固定具で10Nのロードセルに備え付けられる。平らな板材が、底側固定具に備え付けられ、ロッドの下で中心に置かれて、標本を板材の上面に置くことができ、板材を移動させることなく標本を圧縮できる。ロッドの移動速度は1分間あたり5mmである。これらの設定は、「New Mecano 5 N」と呼ばれるInstron Bluehillプログラムにあらかじめプログラムされているが、試験を実施する前に、そのプログラム設定は、すべての限界がそれらの適切な値に設定されるのを確実とするために、確認されるべきである。修正されたバージョンでの実施は、機器、特に、敏感なロードセルを損傷させてしまう可能性がある。
【0054】
試験実施:
最初の実施は、標本のない空実施である。この実施は、鋼板がロッドを停止させる位置であるゼロ厚さ位置を見出すために用いられる。空実施は、ロッドが停止する前の最大限界設定値よりも大きな力を典型的には発生するが、これは、ロッドが金属に当たったときに発生し、装置が十分に素早く補正することのできない力の急激な増加のためである。ロードセルが、損傷されることなく、衝撃に耐えることが確実にできるように注意を払う必要がある。特別な設定を、限界最大力およびロッドの速度を下げるために、空実施に対して用いることができる。
【0055】
ロッドが停止すると、Instronの機器は使用者の入力待ちとなる。そして、伸長が手動でゼロにリセットされる。これにより、伸長が、ロッドが基台に接触する正確な位置においてゼロに設定され、底板に対して測定されることを確保する。その後、ロッドは手動によって上方に移動され、それによって標本を低い位置の板材に置くことができる。
【0056】
標本を試験するために、ロッドは標本の表面の上方に位置するように手作業で動かされ、そしてプログラムが開始される。ロッドは、限界力に達するまで、1分間あたり5mmの速度で下方に移動する。
【0057】
標本:
標本は、試験材料から切り取られた一辺が50ミリメートルの正方形である。材料が異なる厚さを有している場合、標本は材料のうちの最も厚い部分から取られる。ロッドは標本の中心部に押し付けられ、各標本は、実施ごとの間に動かされることなく3回試験される。各試験材料の10個の標本が用いられ、全部で30回の測定を行う。
【0058】
結果:
結果は、伸長に対する力のデータ点の完全集合である。力は、典型的には、ロッドの底部面積によって除算された測定された力を用いて圧力に計算し直される。その結果は、描画されて報告されてもよく、または、結果が所与の圧力に対する厚さとなるように、具体的な圧力が選択されて厚さが示されてもよい。
【0059】
開口面積および孔径測定
以下の方法が、開口部のある材料に対して、開口面積および孔径を確定するために用いられてもよい:
【0060】
装置:
− ニコンの顕微鏡
− パーソナルコンピュータ
− ソフトウェアNIS-Elements BR 3.10
【0061】
手順:
− 開口部のある材料の標本を集める
− 顕微鏡の読取面の上に標本を置く
− ソフトウェアを起動する
− 標本の代表の画像を撮る
− 孔によって占められる面積の強調(highlighting)を含む比較技術(contrast technique)によって、特性の分析を行う
【0062】
ソフトウェアは、強調された孔の直径を、孔に内接されたひし形の長い方の対角線および短い方の対角線として計算する。直径同士の比率が、円形の形状に孔を実際に平均して一致させるときの決定に用いられ、そこでは1の比率は完全な円形を意味する。
【0063】
ソフトウェアを用いて得られた平均孔面積値は、開口面積の百分率を計算するために用いられる。
【0064】
手作業による方法や、走査電子顕微鏡法に基づいた方法など、開口面積および孔径を決定するための別の方法が用いられてもよい。
【0065】
本発明は、添付の図面に示された図を参照しつつ、以下により詳細に説明される。