(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一アラーム判定部及び前記第二アラーム判定部は、前記プロセス値を前記プロセス値の種類に応じて変換し、変換後の前記プロセス値と前記種類に対応した異常状態の判定基準とを比較して、異常状態が発生しているか否かを判定する請求項1又は請求項2に記載の監視制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の監視制御システム
及びコントローラを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の監視制御システムの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すように監視制御システムは、プラント機器1と、コントローラ2と、監視装置3と、監視端末4とを備える。同図においては、プラント機器1を1つのみ示しているが、現実には複数のプラント機器1がコントローラ2と接続される。また、同図においては、コントローラ2と監視端末4をそれぞれ1台のみ示しているが、それぞれ複数台が監視装置3に接続され得る。監視装置3と、コントローラ2及び監視端末4とは、例えば、IP(Internet Protocol)を用いた通信ネットワークにより接続される。
【0010】
プラント機器1は、監視制御対象のプラントを構成する各種機器である。プラント機器1は、例えば、ポンプ、ブロア、各種センサ(温度計、水位計、電力計、電圧計など)であるが、これらに限定されない。プラント機器1は、プロセス値を表す信号をコントローラ2へ送信する。プロセス値は、監視対象のプラント機器1における状況を表す値である。例えば、プロセス値は、温度、水位、流入水量、流出水量、特定の物質の濃度、電力、電圧などの計測値や、プラント機器1の稼働状態(on/off状態、回転数、送風量など)等を表す値であるが、これらに限定されない。なお、プラント機器1には、プロセス値を送信するが、コントローラ2による制御対象ではない機器や、プロセス値を送信しないがコントローラ2の制御対象である機器も含まれ得る。
【0011】
コントローラ2は、プラント機器1を制御する機器制御装置である。コントローラ2は、プロセス値送信部21と、アラーム判定部22(第一アラーム判定部)と、アラーム情報記憶部23(第一アラーム情報記憶部)と、アラーム情報送信部24と、制御処理部25とを備える。
【0012】
プロセス値送信部21は、プラント機器1から受信したプロセス値がコントローラ2における異常状態判定(アラーム判定)対象外の種類のプロセス値である場合、受信したプロセス値を監視装置3に送信する。プロセス値送信部21は、監視装置3に送信するプロセス値に、プロセス値の種類の情報を付加する。プロセス値の種類は、プロセス値の通知元のプラント機器1に対応してもよく、プロセス値の通知元のプラント機器1と、どのような意味を持つプロセス値であるかの種別との組み合わせに対応してもよい。種別には、例えば、温度、水位、流入水量、流出水量、特定の物質の濃度、電力、電圧、on/off状態、回転数、送風量などを用いることができるが、これらに限定されない。プロセス値の種類が、プロセス値の通知元のプラント機器1と、プロセス値の種別との組み合わせに対応している場合、例えば、あるプラント機器1の水位の情報は異常状態判定対象とし、他のプラント機器1の水位の情報は異常状態判定対象外とすることができる。また、例えば、同一のプラント機器1が送信元であっても、on/off状態の情報は異常状態判定対象とし、回転数の情報は異常状態判定対象外とすることもできる。
【0013】
アラーム判定部22は、判定基準記憶部221と、変換部222と、判定部223と、アラーム情報生成部224とを備える。
判定基準記憶部221は、コントローラ2における異常状態判定対象のプロセス値の種類ごとに、正常状態と判定すべきプロセス値の条件又は異常状態と判定すべきプロセス値の条件を示す判定基準情報を記憶する。
変換部222は、プラント機器1から受信したプロセス値がコントローラ2における異常状態判定対象の種類のプロセス値である場合、受信したプロセス値を工学的な意味も持つ値(工学値)のプロセス値、すなわち、物理量により表したプロセス値に変換する。例えば、変換部222は、プラント機器1から受信したプロセス値がカウント値や電圧値で表されている場合、そのプロセス値を、メートルを単位とした水位の値などに変換する。なお、プラント機器1から受信したプロセス値が工学値である場合、変換部222は変換を行わない。
判定部223は、変換部222による変換後のプロセス値と、判定基準記憶部221に記憶されているそのプロセス値の種類に対応した判定基準情報とを比較し、異常状態が発生しているか否かを判定する。
アラーム情報生成部224は、判定部223により異常状態が発生していると判定された場合、アラーム情報を生成してアラーム情報記憶部23に書き込む。例えば、アラーム情報は、プロセス値の異常状態が判定された時刻の情報と、プロセス値の送信元のプラント機器1を特定する情報と、プロセス値の種別を示す情報と、変換後のプロセス値を示す情報と、どのような異常状態であるかの情報とを含む。
【0014】
アラーム情報記憶部23は、例えば、制御処理部25からダイレクトメモリアクセスが可能なメモリであり、アラーム判定部22が生成したアラーム情報を蓄積する。
アラーム情報送信部24は、アラーム情報記憶部23に書き込まれたアラーム情報を監視装置3に送信する。
制御処理部25は、監視装置3から受信した制御指示信号に従って、制御対象のプラント機器1を制御する。プラント機器1の制御のために、制御処理部25は、プラント機器1から受信したプロセス値、アラーム情報記憶部23に記憶されているアラーム情報が示すプラント機器1の異常状態、判定基準記憶部221に記憶されている判定基準情報を利用する。
【0015】
監視装置3は、1台以上のコンピュータサーバにより実現される。監視装置3は、プロセス値受信部31と、アラーム判定部32(第二アラーム判定部)と、アラーム情報受信部33と、アラームインタフェース部(アラームI/F)34と、アラーム管理部35と、制御指示部36とを備える。監視装置3がネットワークにより接続される複数台のコンピュータサーバにより実現される場合、いずれの機能部をいずれのコンピュータ装置により実現するかは任意とすることができる。
【0016】
プロセス値受信部31は、コントローラ2からプロセス値を受信する。
アラーム判定部32は、判定基準記憶部321と、変換部322と、判定部323と、アラーム情報生成部324とを備える。
判定基準記憶部321は、監視装置3における異常状態判定対象のプロセス値の種類ごとに、正常状態と判定すべきプロセス値の条件又は異常状態と判定すべきプロセス値の条件を示す判定基準情報を記憶する。
変換部322は、コントローラ2から受信したプロセス値を、そのプロセス値に付加されている種類の情報に応じて工学的な意味も持つ値(工学値)に変換する。なお、コントローラ2から受信したプロセス値が工学値である場合、変換部322は変換を行わない。
判定部323は、変換部322による変換後のプロセス値と、判定基準記憶部321に記憶されているそのプロセス値の種類に対応した判定基準情報とを比較し、異常状態が発生しているか否かを判定する。
アラーム情報生成部324は、判定部323により異常状態が発生していると判定された場合、監視用のアラーム情報を生成し、アラームインタフェース部34に出力する。監視用のアラーム情報は、例えば、プロセス値の異常状態が判定された時刻の情報と、そのプロセス値の送信元のプラント機器1を特定する情報と、プロセス値の種別を示す情報と、変換後のプロセス値を示す情報と、どのような異常状態であるかの情報とを含む。
【0017】
アラーム情報受信部33は、コントローラ2からアラーム情報を受信し、アラームインタフェース部34に出力する。なお、プロセス値受信部31によるプロセス値の受信と、アラーム情報受信部33によるアラーム情報の受信とに、異なるソケット(ポート番号)を用いることができる。
【0018】
アラームインタフェース部34は、アラーム判定部32が生成したアラーム情報をアラーム管理部35が備えるアラーム情報記憶部351(第二アラーム情報記憶部)に書き込む。また、アラームインタフェース部34は、コントローラ2から受信したアラーム情報のデータフォーマットを、アラーム情報記憶部351に記憶されるアラーム情報が使用するデータフォーマットに変換した後、アラーム情報記憶部351に書き込む。
アラーム管理部35は、監視端末4から指示されたアラーム情報をアラーム情報記憶部351から読み出して監視端末4に出力する。
制御指示部36は、監視端末4からプラント機器1に対する制御指示を受信する。制御指示部36は、監視端末4から受信した制御指示に従ってプラント機器1を制御するよう指示する制御指示信号を、制御対象のプラント機器1を制御するコントローラ2に送信する。
【0019】
監視端末4は、例えば、ワークステーションなどのコンピュータ端末により実現される。監視端末4は、監視員による操作に従って、プラント機器1に対する制御指示を監視装置3に送信する。また、監視端末4は、監視員が表示を指示したアラーム情報を監視装置3に要求し、要求に応じて監視装置3から受信したアラーム情報を画面に表示する。
【0020】
次に、
図1に示す監視制御システムの動作を説明する。
コントローラ2がプラント機器1から収集したプロセス値は、以下に示す2つのルートにて処理される。
1つめのルートの場合、コントローラ2は、収集したプロセス値をプロセス値送信部21に出力する。
2つめのルートの場合、コントローラ2は、収集したプロセス値をアラーム判定部22に出力する。
いずれのルートに出力されるかは、プロセス値の種類によって予め決められている。例えば、コントローラ2は、各プラント機器1との間で電気信号を送受信するため、それぞれ異なる信号線により接続される。従って、いずれの種類のプロセス値であるかは、そのプロセス値を示す信号を受信した信号線や物理ポートにより識別することができる。また、プロセス値を電気信号以外の信号により送受信する場合、コントローラ2は、プロセス値を示す信号に付加されている他の情報(例えば、IP信号のアドレスの情報やペイロードに設定されている種別の情報)を用いてプロセス値の種類を識別してもよい。
【0021】
図2は、コントローラ2が、コントローラ2による異常状態判定対象外の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作を示すフロー図である。
上述した1つめのルートの場合、コントローラ2は、プラント機器1からコントローラ2による異常状態判定対象外の種類のプロセス値を例えば電気信号により受信する(ステップS105)。プロセス値送信部21は、プラント機器1から受信した電気信号のプロセス値を示す情報と、プロセス値の種類を示す情報とをプロセス値通知信号に設定し、通信ネットワークを介して監視装置3に送信する(ステップS110)。
【0022】
監視装置3のプロセス値受信部31は、プロセス値通知信号を、通信ネットワークを介してコントローラ2から受信し、アラーム判定部32に出力する(ステップS205)。アラーム判定部32の変換部322は、受信したプロセス値通知信号に設定されているプロセス値を、プロセス値の種類に応じて工学値に変換する(ステップS210)。判定部323は、変換後のプロセス値と、判定基準記憶部321に記憶されているそのプロセス値の種類に応じた判定基準情報とを比較し(ステップS215)、異常状態が発生しているか否かを判定する(ステップS220)。
【0023】
判定部323により異常状態が発生していないと判定された場合(ステップS220:NO)、アラーム判定部32は、処理を終了する。一方、判定部323により異常状態が発生していると判定された場合(ステップS220:YES)、アラーム情報生成部324は、関連するアラーム情報を生成し、アラームインタフェース部34に出力する(ステップS225)。アラームインタフェース部34は、アラーム判定部32から受信したアラーム情報を、アラーム管理部35に出力する。アラーム管理部35は、アラームインタフェース部34から受信したアラーム情報を、アラーム情報記憶部351に書き込んで保持する(ステップS230)。
【0024】
図3は、コントローラ2が、コントローラ2による異常状態判定対象の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作を示すフロー図である。
上述した2つめのルートの場合、コントローラ2は、プラント機器1からコントローラ2による異常状態判定対象の種類のプロセス値を受信する(ステップS305)。コントローラ2が受信したプロセス値は、アラーム判定部22に出力される。
【0025】
アラーム判定部22の変換部222は、プラント機器1から受信したプロセス値を、そのプロセス値の種類に応じて工学値に変換する(ステップS310)。判定部223は、変換後のプロセス値と、判定基準記憶部221に記憶されているそのプロセス値の種類に応じた判定基準情報とを比較し(ステップS315)、異常状態が発生しているか否かを判定する(ステップS320)。例えば、判定部223は、プロセス値に対して、上限異常や下限異常等の異常状態の判定処理を行う。
【0026】
判定部223により異常状態が発生していないと判定された場合(ステップS320:NO)、アラーム判定部22は、処理を終了する。一方、判定部223により異常状態が発生していると判定された場合(ステップS320:YES)、アラーム情報生成部224は、関連するアラーム情報を生成する(ステップS325)。アラーム情報生成部224は、生成したアラーム情報をアラーム情報記憶部23に書き込んで保持する(ステップS330)。アラーム情報送信部24は、ステップS330においてアラーム情報記憶部23に書き込まれたアラーム情報を、通信ネットワークを介して監視装置3に送信する(ステップS335)。
【0027】
監視装置3のアラーム情報受信部33は、コントローラ2から送信されたアラーム情報を、通信ネットワークを介して受信する(ステップS405)。アラーム情報受信部33は、受信したアラーム情報をアラームインタフェース部34に出力する。アラームインタフェース部34は、アラーム情報受信部33から受信したアラーム情報を、監視装置3が管理するアラーム情報に用いられるデータフォーマットに成型し、アラーム管理部35に出力する(ステップS410)。アラーム管理部35は、アラームインタフェース部34から受信したアラーム情報を、監視装置3において異常状態を判定して生成したアラーム情報と同様のデータとしてアラーム情報記憶部351に書き込み、保持する(ステップS415)。
【0028】
上述したように、コントローラ2のアラーム判定部22は、コントローラ2における異常状態判定対象の種類のプロセス値に対して異常状態の判定処理を行う。アラーム判定部22は、対象のプロセス値が異常状態となっていると判定した場合には、関連するアラーム情報を生成してメモリ上(アラーム情報記憶部23)に保持する。そして、監視装置3の制御指示部36は、監視端末4からプラント機器1に対する制御指示を受信すると、受信した制御指示に従ってプラント機器1を制御するよう指示する制御指示信号を、制御対象のプラント機器1を制御するコントローラ2に送信する。コントローラ2の制御処理部25は、監視装置3から受信した制御指示信号に従って、制御対象のプラント機器1を制御する。制御処理部25は、プラント機器1の制御処理において、プラント機器1から受信したプロセス値や、アラーム情報、判定基準情報などを利用する。制御処理においてアラーム情報を利用する場合、制御処理部25は、アラーム情報記憶部23に保持されているアラーム情報を参照する。アラーム情報が、制御処理部25が設けられているコントローラ2内にあることから、制御処理部25から容易にアラーム情報にアクセス可能である。
【0029】
また、監視端末4は、監視員が表示を指示したアラーム情報を監視装置3に要求する。監視装置3のアラーム管理部35は、要求された種別のアラーム情報をアラーム情報記憶部351から読み出して返送する。監視端末4は、監視装置3から受信したアラーム情報を画面に表示する。
【0030】
上述実施形態によれば、監視端末4のように、アラーム情報全体を利用する端末・機能において、監視装置3が保持するアラーム情報を、そのアラーム情報が監視装置3により生成されたのか、コントローラ2により生成されたのかの別なく扱うことが可能となる。
また、上述した2つ目のルートにより、コントローラ2において異常判定処理(アラーム判定処理)を実施するプロセス値の種類を、コントローラ2の制御処理部25がプラント機器1の制御のために利用するアラーム情報に関するプロセス値に限定している。これにより、性能が劣るコントローラ2の処理量を抑えながらも、コントローラ2の性能の制約を大きく受けることなく、複雑かつ多量のプロセス値を監視制御システム全体で扱うことが可能となる。
【0031】
コントローラ2が生成したアラーム情報を監視装置3に送信せず、コントローラ2における異常状態判定対象の種類のプロセス値を監視装置3に送信し、監視装置3において異常状態判定対象を行い、アラーム情報を生成する構成も考えられる。しかし、この構成の場合、コントローラ2と監視装置3との間で、プロセス値の種類毎に、プロセス値を工学値へ変換する規則やアラーム判定に用いる判定基準情報を常に同期させなくてはならない。上記実施形態によれば、コントローラ2と監視装置3との間で、工学値への変換規則や判定基準情報を同期させる必要がなく、これらの同期がとれていないことにより生じ得るトラブルを避けることもできる。
【0032】
(第2の実施形態)
コントローラは、例えば、数百ミリ秒などの制御周期でプラント機器を制御するが、制御周期が比較的長い(例えば、数秒単位以上)プラント機器があり得る。第2の実施形態では、そのようなプラント機器の制御に用いるアラーム情報については、監視装置において生成し、コントローラに送信する。コントローラは、受信したアラーム情報を用いてプラント機器を制御する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0033】
図4は、第2の実施形態の監視制御システムの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、
図1に示す第1の実施形態による監視制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように監視制御システムは、プラント機器1と、コントローラ2aと、監視装置3aと、監視端末4とを備える。
【0034】
コントローラ2aは、プロセス値送信部21と、アラーム判定部22と、アラーム情報記憶部23と、アラーム情報送信部24と、制御処理部25と、アラーム情報受信部61とを備える。アラーム情報受信部61は、監視装置3aから受信したアラーム情報をアラーム情報記憶部23に書き込む。
【0035】
監視装置3aは、プロセス値受信部31と、アラーム判定部32と、アラーム情報受信部33と、アラームインタフェース部34と、アラーム管理部35aと、制御指示部36と、フォーマット変換部51と、アラーム情報送信部52とを備える。
アラーム管理部35aは、第1の実施形態のアラーム管理部35と同様の機能を有する。さらに、アラーム管理部35aは、アラーム判定部32が生成したアラーム情報のうち、コントローラ2aへ通知する対象のアラーム情報をフォーマット変換部51に出力する。フォーマット変換部51は、アラーム管理部35aから受信したアラーム情報を、コントローラ2aが使用するアラーム情報のデータフォーマットに変換する。アラーム情報送信部52は、データフォーマットが変換されたアラーム情報をコントローラ2aへ送信する。
【0036】
次に、本の実施形態の監視制御システムの動作を説明する。
コントローラ2aが、コントローラ2aによる異常状態判定対象外の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作は、
図2に示す第1の実施形態と同様である。また、コントローラ2aが、コントローラ2aによる異常状態判定対象の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作は、
図3に示す第1の実施形態と同様である。
【0037】
図5は、監視装置3aからコントローラ2aへアラーム情報を通知するときの監視制御システムの動作を示すフロー図である。同図に示す動作は、
図2のステップS230において監視装置3aのアラーム管理部35aが、コントローラ2aへ通知する対象のアラーム情報をアラーム情報記憶部351に書き込んだ後に実行される。
【0038】
監視装置3aのアラーム管理部35aは、コントローラ2aへ通知する対象のアラーム情報をアラーム情報記憶部351に書き込むと、そのアラーム情報をアラーム情報記憶部351から読み出してフォーマット変換部51に出力する(ステップS505)。フォーマット変換部51は、アラーム管理部35aから受信したアラーム情報を、コントローラ2aが使用するアラーム情報のデータフォーマットに変換してアラーム情報送信部52へ出力する(ステップS510)。アラーム情報送信部52は、フォーマット変換部51によりデータフォーマットが変換されたアラーム情報を、通信ネットワークを介してコントローラ2aへ送信する(ステップS515)。
【0039】
コントローラ2aのアラーム情報受信部61は、監視装置3aから通信ネットワークを介して、アラーム情報を受信する(ステップS605)。アラーム情報受信部61は、受信したアラーム情報をアラーム情報記憶部23に書き込む(ステップS610)。
これにより、コントローラ2aの制御処理部25は、プラント機器1の制御処理においてアラーム情報を利用する場合には、アラーム情報記憶部23に保持されているアラーム情報を、コントローラ2aにより生成されたか、監視装置3aにより生成されたかの区別なく参照する。
【0040】
なお、監視装置3aのアラーム情報記憶部351から読み出されたアラーム情報のデータフォーマットの変換をコントローラ2aにおいて行ってもよいが、サーバ機能を有し、処理能力が高い監視装置3aにおいて行うことが望ましい。
【0041】
本実施形態によれば、プラント機器1の制御のためにコントローラ2aが参照するアラーム情報であっても、制御周期が長い場合には監視装置3aにおいてアラーム情報を生成する。従って、コントローラ2aの処理能力を極力低下させないようにすることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
本実施形態では、監視装置においてプロセス値を管理する。以下では、第1の実施形態との差分を中心に説明するが、第2の実施形態に適用することもできる。
【0043】
図6は、第3の実施形態の監視制御システムの構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図において、
図1に示す第1の実施形態による監視制御システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように監視制御システムは、プラント機器1と、コントローラ2bと、監視装置3bと、監視端末4とを備える。
【0044】
コントローラ2bは、プロセス値送信部21と、アラーム判定部22と、アラーム情報記憶部23と、アラーム情報送信部24と、制御処理部25と、変換プロセス値送信部81とを備える。変換プロセス値送信部81は、アラーム判定部22の変換部222により変換されたプロセス値を監視装置3bに送信する。
【0045】
監視装置3bは、プロセス値受信部31と、アラーム判定部32と、アラーム情報受信部33と、アラームインタフェース部34と、アラーム管理部35と、制御指示部36と、プロセス情報生成部71と、プロセス管理部72と、変換プロセス値受信部73とを備える。プロセス情報生成部71は、工学値に変換されたプロセス値の情報と、プロセス値の種類の情報に基づいてプロセス情報を生成し、プロセス管理部72が備えるプロセス情報記憶部721に書き込む。プロセス管理部72は、監視端末4から要求されたプロセス情報をプロセス情報記憶部721から読み出して監視端末4に出力する。変換プロセス値受信部73は、工学値に変換されたプロセス値の情報と、プロセス値の種類の情報とをコントローラ2bから受信し、プロセス情報生成部71に出力する。
【0046】
図7は、コントローラ2bが、コントローラ2bによる異常状態判定対象外の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作を示すフロー図である。同図において、
図2に示す第1の実施形態と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
コントローラ2bの動作は、
図2に示す第1の実施形態のコントローラ2の動作と同様である。また、監視装置3bのステップS205からステップS210の動作は、
図2に示す第1の実施形態の監視装置3の動作と同様である。
【0047】
監視装置3bの変換部322は、工学値への変換後のプロセス値と、プロセス値通知信号から読み出したプロセス値の種類を示す情報を、プロセス情報生成部71に出力する。プロセス情報生成部71は、プロセス値の受信時刻の情報と、変換部322から受信したプロセス値及びプロセス値の種類を示す情報とを設定したプロセス情報を生成し、プロセス管理部72に出力する(ステップS705)。プロセス管理部72は、プロセス情報生成部71から受信したプロセス情報をプロセス情報記憶部721に書き込む(ステップS710)。
【0048】
ステップS215以降の監視装置3bの処理は、第1の実施形態と同様である。なお、監視装置3bは、ステップS705及びステップS710の処理を、ステップS215以降に行ってもよい。
【0049】
図8は、コントローラ2bが、コントローラ2bによる異常状態判定対象の種類のプロセス値を受信した場合の監視制御システムの動作を示すフロー図である。同図において、
図2に示す第1の実施形態と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、監視装置3bは、
図3のステップS405〜ステップS415の処理を行うが、図示を省略している。
【0050】
コントローラ2bのステップS305〜ステップS335の動作は、
図2に示す第1の実施形態のコントローラ2と同様である。コントローラ2bの変換プロセス値送信部81は、ステップS310において変換部222により変換された工学値のプロセス値と、プロセス値の種別の情報を設定した変換プロセス値通知信号を、通信ネットワークを介して監視装置3bに送信する(ステップS805)。
【0051】
監視装置3bの変換プロセス値受信部73は、通信ネットワークを介して変換プロセス値通知信号をコントローラ2bから受信する(ステップS905)。変換プロセス値受信部73は、受信した変換プロセス値通知信号をプロセス情報生成部71に出力する(ステップS910)。プロセス情報生成部71は、プロセス値の受信時刻の情報と、変換プロセス値通知信号から読み出したプロセス値及びプロセス値の種類を示す情報とを設定したプロセス情報を生成し、プロセス管理部72に出力する(ステップS910)。プロセス管理部72は、プロセス情報生成部71から受信したプロセス情報をプロセス情報記憶部721に書き込む(ステップS915)。
【0052】
監視端末4は、監視員が表示を指示したプロセス情報を監視装置3bに要求する。監視装置3bのプロセス管理部72は、要求されたプロセス情報をプロセス情報記憶部721から読み出して返送する。監視端末4は、監視装置3bから受信したプロセス情報を画面に表示する。
【0053】
本実施形態によれば、コントローラ2bにおける異常状態判定対象の種類のプロセス値に基づくプロセス状態についても、監視装置3bにおいて管理することができる。
また、仮に、コントローラ2bにおいて異常状態判定対象の種類のプロセス値を監視装置3bに通知し、監視装置3bにおいてプロセス値を工学値に変換した場合、コントローラ2bと監視装置3bとの間で、プロセス値の種類に応じた変換規則を常に同期させなくてはならない。上記実施形態によれば、コントローラ2bにおいて工学値に変換したプロセス値については、変換後の値を監視装置3bに通知するため、そのような同期が不要となる。
【0054】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、コントローラがアラーム判定部及びプロセス値送信部を持つことにより、異常状態判定処理の実装場所を基本的には監視装置としながら、コントローラにおいてアラーム情報を利用する特定のプロセス値については異常状態判定処理をコントローラにおいて行うことができる。これにより、監視制御システムにおける処理点数を極力落とさずに、アラーム情報をコントローラにおいて利用しやすくすることができる。
【0055】
また、以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、監視装置がアラームインタフェース部を持つことにより、監視装置が生成したアラーム情報とコントローラが生成したアラーム情報をシームレスに処理・管理することができる。
【0056】
上述した実施形態におけるコントローラ2、2a、2b及び監視装置3、3a、3bの一部または全ての機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、コントローラ2、2a、2b及び監視装置3、3a、3bの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。