【実施例】
【0042】
次に、本実施形態に係る生産計画作成方法及び生産計画作成プログラム、並びに生産計画作成装置に係る実施例について、以下で説明する。
【0043】
本実施例について、
図2に示す本実施形態に係る生産計画作成方法の処理の手順に沿って説明する。本実施例では、生産計画の開始時刻を2014/1/1 00:00とする。また、生産計画の開始時刻において、各設備について何ら工程が割り付けられていないものとする。
【0044】
まず、生産計画を作成する対象となる複数のオーダの納期を、オーダ情報として、外部から入力されて記憶部に登録する(S1)。
本実施例において、登録されるオーダ情報を表1に示す。本実施例において、生産計画の対象とするオーダは、オーダ番号1〜5の5種類あるものとする。
【0045】
【表1】
【0046】
また、生産計画を作成する対象となる各オーダを生産するための複数の工程と、各工程を処理することができる設備と、各工程を処理するのに要する時間である各工程の処理時間とを、工程情報として、外部から入力されて記憶部に登録する(S2)。
本実施例における、登録される工程情報を表2に示す。本実施例において、生産計画の対象とするオーダの工程を処理することができる設備は、M1,M2,M3の3種類あるものとする。また、各設備M1〜M3の生産能力である生産することが可能な時間は、24時間(24Hr.)とする。
【0047】
【表2】
【0048】
次に、ステップS1で登録されたオーダ情報と、ステップS2で登録された工程情報とに基づいて、各工程について、設備に割り付ける順番である割付優先順を算出する(S3)。
本実施例では、最終工程から順に、各工程の処理時間を納期から差し引いた工程納期の早い順を割付優先度とする。
【0049】
例えば、オーダ番号1の各工程の工程納期は下記の通り計算される。
・第4工程の工程納期:オーダ納期「2014/1/6 13:00」
・第3工程の工程納期:第4工程の工程納期「2014/1/6 13:00」−第4工程の処理時間「24Hr」=「2014/1/5 13:00」
・第2工程の工程納期:第3工程の工程納期「2014/1/5 13:00」−第3工程の処理時間「24Hr」=「2014/1/4 13:00」
・第1工程の工程納期:第2工程の工程納期「2014/1/4 13:00」−第2工程の処理時間「36Hr」=「2014/1/3 01:00」
【0050】
本実施例における、設備M1〜M3の各設備で処理することができる工程の割付優先順、即ち、設備M1〜M3の各設備に割り付けられる工程の割付優先順を、表3〜表5に示す。尚、表3に、設備M1に割り付けられる工程の割付優先順を示す。また、表4に、設備M2に割り付けられる工程の割付優先順を示す。また、表5に、設備M3に割り付けられる工程の割付優先順を示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
そして、いずれの工程についても未割付工程であるため(S4:YES)、ステップS3で算出した割付優先順に、各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備における生産計画の開始から終了までの間の生産することが可能な時間軸上に、生産計画の過去から未来に向かって割り付けて、割付結果として記憶する(S5)。
本実施例では、割り付けられる時刻である割付可能時刻が最も早い設備を1つ選択し、選択した設備に割り付ける工程の内、未割付の工程でかつ、前工程が既に割付済みで、最も割付優先順が早い工程を割り付ける。具体的には、下記の手順に従って、割り付ける。
【0055】
1.割付可能時刻が最も早い設備を1つ選択
設備M1,M2,M3のうち、各設備とも生産計画の開始時刻である「2014/1/1 00:00」から割り付けることができる。そのため、初めは、割付可能時刻は全設備とも同じである。本実施例では、割付可能時刻が同一の場合は、設備名のアルファベット及び数字の早い順とする。ここでは、設備M1が選択される。
【0056】
2.選択した設備で処理することが可能な工程のうち、未割付の工程で、且つ、その前の工程が既に割り付けられている工程の中で、最も割付優先順が早い工程を選択
表3に示す通り、設備M1において、割付優先順が最も早い工程番号1−1の工程を選択する。尚、工程番号1−1の工程は、第1工程であるため、その前工程は割付済みと考える。
【0057】
3.選択した設備に、選択した工程の処理時間を割付
工程番号1−1の工程の処理時間を、設備M1の時間軸上において、割付可能時刻から未来方向に向かって割り付ける。その結果を、
図3のガントチャートに示す。
【0058】
次に、ステップS5で設備に割り付けた工程の終了時刻が、その工程の工程納期より遅いかどうか判断する(S6)。
本実施例において、工程番号1−1の終了時刻は、「2014/1/2 16:00」であり、工程納期「2014/1/3 01:00」よりも遅いと判断されないため(S6:NO)、ステップS4に戻る。
【0059】
そして、他にも未割付工程があるため(S4:YES)、ステップS3で算出した割付優先順に、各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備における生産計画の開始から終了までの間の生産することが可能な時間軸上に、生産計画の過去から未来に向かって割り付けて、割付結果として記憶する(S5)。
【0060】
まず、割付可能時刻が最も早い設備を1つ選択する。
図3のガントチャートに示すように、設備M1〜M3の各設備の割付可能時刻は下記の通りとなっている。
・設備M1:2014/1/2 16:00(工程番号1−1の終了時刻)
・設備M2:2014/1/1 00:00
・設備M3:2014/1/1 00:00
ここでは、設備M2とM3の割付可能時刻が同じであるため、設備名のアルファベット及び数字順で小さいM2を選択する。
【0061】
次に、選択した設備で処理することが可能な工程のうち、未割付の工程で、且つ、その前の工程が既に割り付けられている工程の中で、最も割付優先順が早い工程を選択する。表4に示す通り、設備M2の割付優先順が最も早い、工程番号2−1の工程を選択する。
【0062】
そして、工程番号2−1の工程の処理時間を、設備M2の時間軸上において、割付可能時刻から未来方向に向かって割り付ける。その結果を、
図4のガントチャートに示す。
【0063】
次に、ステップS5で設備に割り付けた工程の終了時刻が、その工程の工程納期より遅いかどうか判断する(S6)。
本実施例において、工程番号2−1の終了時刻は、「2014/1/1 20:00」であり、工程納期「2014/1/2 16:00」よりも遅いと判断されないため(S6:NO)、ステップS4に戻る。
【0064】
そして、他にも未割付工程があるため(S4:YES)、ステップS3で算出した割付優先順に、各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備における生産計画の開始から終了までの間の生産することが可能な時間軸上に、生産計画の過去から未来に向かって割り付けて、割付結果として記憶する(S5)。
【0065】
このように、割付優先順に、工程番号3−1,4−1,2−1,3−2,1−2,5−1の各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備の時間軸上に割り付けると(S4〜S6)、
図5のガントチャートのようになる。
【0066】
そして、他にも未割付工程があるため(S4:YES)、ステップS3で算出した割付優先順に、各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備における生産計画の開始から終了までの間の生産することが可能な時間軸上に、生産計画の過去から未来に向かって割り付けて、割付結果として記憶する(S5)。
【0067】
まず、割付可能時刻が最も早い設備を1つ選択する。
図5のガントチャートに示すように、設備M1〜M3の各設備の割付可能時刻は下記の通りとなっている。
・設備M1:2014/1/5 00:00(工程番号3−2の終了時刻)
・設備M2:2014/1/5 12:00(工程番号5−1の終了時刻)
・設備M3:2014/1/4 12:00(工程番号2−2の終了時刻)
ここでは、設備M3の割付可能時刻が早いため、設備M3を選択する。
【0068】
次に、選択した設備で処理することが可能な工程のうち、未割付の工程で、且つ、その前の工程が既に割り付けられている工程の中で、最も割付優先順が早い工程を選択する。表5に示す通り、設備M3の割付優先順が最も早い、工程番号4−2の工程を選択する。
【0069】
そして、工程番号4−2の工程の処理時間を、設備M3の時間軸上において、割付可能時刻から未来方向に向かって割り付ける。その結果を、
図6のガントチャートに示す。
【0070】
次に、ステップS5で設備に割り付けた工程の終了時刻が、その工程の工程納期より遅いかどうか判断する(S6)。
本実施例において、工程番号4−2の終了時刻は、「2014/1/5 08:00」であり、工程納期「2014/1/5 07:00」よりも遅いため(S6:YES)、工程番号4−2の工程を超過負荷工程として登録する。
【0071】
そして、超過負荷工程の処理時間を、超過負荷工程を処理することができる設備における時間軸上に、超過負荷工程の前の工程の終了時刻直後から既に割り付けられている他の工程と重複して割り付けて、割付結果21を更新する(S7)。
具体的には、工程番号4−2の工程の前の工程である工程番号4−1の終了時刻直後に割り付ける。本実施例では、設備M3において、工程番号4−2の工程の前の工程である工程番号4−1の終了時刻「2014/1/3 00:00」に割り付ける。この際、既に設備M3の時間軸上には、工程番号2−2の工程の処理時間が割り付けられているため、設備M3の時間軸上に工程番号4−2の工程の処理時間を重複して割り付ける。その結果を、
図7のガントチャートに示す。
【0072】
そして、ステップS4に戻る。他にも未割付工程があるため(S4:YES)、割付優先順に、工程番号1−3,1−4,4−3,5−2の各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備に割り付けると(S4〜S6)、
図8のガントチャートのようになる。
【0073】
そして、他にも未割付工程があるため(S4:YES)、ステップS3で算出した割付優先順に、各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備における生産計画の開始から終了までの間の生産することが可能な時間軸上に、生産計画の過去から未来に向かって割り付けて、割付結果として記憶する(S5)。
【0074】
まず、割付可能時刻が最も早い設備を1つ選択する。
図8のガントチャートに示すように、設備M1〜M3の各設備の割付可能時刻は下記の通りとなっている。
・設備M1:2014/1/6 00:00(工程番号1−4の終了時刻)
・設備M2:2014/1/6 04:00(工程番号4−3の終了時刻)
・設備M3:2014/1/6 04:00(工程番号5−2の終了時刻)
ここでは、設備M1の割付可能時刻が早い。しかしながら、設備M1で処理することが可能な工程のうち、未割付の工程で、且つ、その前の工程が既に割り付けられている工程がないため、設備M1の次に割付可能時間が早い設備M2を選択する。
【0075】
次に、選択した設備で処理することが可能な工程のうち、未割付の工程で、且つ、その前の工程が既に割り付けられている工程の中で、最も割付優先順が早い工程を選択する。表3に示す通り、設備M2の割付優先順が最も早い、工程番号2−3の工程を選択する。
【0076】
そして、工程番号2−3の工程の処理時間を、設備M2の時間軸上において、割付可能時刻から未来方向に向かって割り付ける。その結果を、
図9のガントチャートに示す。
【0077】
次に、ステップS5で設備に割り付けた工程の終了時刻が、その工程の工程納期より遅いかどうか判断する(S6)。
本実施例において、工程番号2−3の終了時刻は、「2014/1/6 24:00」であり、工程納期「2014/1/6 00:00」よりも遅いため(S6:YES)、工程番号2−3の工程を超過負荷工程として登録する。
【0078】
そして、超過負荷工程の処理時間を、超過負荷工程を処理することができる設備における時間軸上に、超過負荷工程の前の工程の終了時刻直後から既に割り付けられている他の工程と重複して割り付けて、割付結果21を更新する(S7)。
具体的には、工程番号2−3の工程の前の工程である工程番号2−2の終了時刻直後に割り付ける。本実施例では、設備M2において、工程番号2−3の工程の前の工程である工程番号2−2の終了時刻「2014/1/4 12:00」に割り付ける。この際、既に設備M2の時間軸上において、工程番号5−1の工程の処理時間が割り付けられているため、設備M2の時間軸上に工程番号2−3の工程の処理時間を重複して割り付ける。その結果を、
図10のガントチャートに示す。
【0079】
そして、ステップS4に戻る。他にも未割付工程があるため(S4:YES)、割付優先順に、工程番号2−4,5−3の各工程の処理時間を、各工程を処理することができる設備の時間軸上に割り付けると(S4〜S6)、
図11のガントチャートのようになる。
【0080】
そして、未割付工程がなくなると(S4:NO)、割付結果をガントチャートに出力して表示すると共に、ガントチャート上に、超過負荷工程の前の工程の終了時刻から超過負荷工程の次の工程の開始時刻までを生産能力超過期間として識別できるように表示する(S8)。
本実施例では、
図11に示すように、生産能力超過期間をガントチャート上に矢印で示している。
図11に示す通り、本実施例では、納期を遵守するためには、下記設備の2つの時期で能力向上対策をすれば良いことが分かる。
・設備M2:「2015/1/4 12:00」から「2015/1/6 00:00」
・設備M3:「2015/1/3 00:00」から「2015/1/5 12:00」
【0081】
このように、本実施例では、各オーダを生産するための各工程の処理時間は、第1工程から順に、その工程を処理することができる設備の時間軸上に、生産計画の開始時刻から、過去方向から未来方向に向かって、いわゆるフォーワードスケジューリングによって割り付ける。その際に、設備に割り付けた工程の終了時刻と、これ以上遅い時刻に工程を割り付けると必ず納期に遅れる時刻である工程納期とを比較する。そして、設備に割り付けた工程の終了時刻が、工程納期より遅い時刻に割付られた場合は、その工程を超過負荷工程として判定する。超過負荷工程について、その処理時間を、設備の生産能力を考慮せずに、設備の時間軸上において、既に割り付けられている他の工程と重複して、その前工程の直後から割り付け直される。従って、納期達成をした割付結果が得られる。また、その工程が超過負荷工程を判定されたとしても、超過負荷工程の処理時間を、設備の時間軸上に、他の工程と重複して割り付け直すのみであり、従来技術のように、負荷の移動を繰り返し行うことがないため、処理が容易である。以上から、この発明によると、設備の生産能力を超えたとしても、納期を遵守した生産計画を、容易に作成することができる。
【0082】
また、超過負荷工程は、設備の生産能力を無視して、同一設備に他の工程と重複して割り付けているため、この割付結果の通り、作業を実施することはできない。しかしながら、超過負荷工程の前工程の終了時刻から超過負荷工程の後工程の開始時刻までを生産能力超過期間として識別できるように、ガントチャート上で表示しているため、能力向上対策を実施すべき期間を、明確に把握することができる。そして、生産能力超過期間において、超過負荷工程を、残業対応や外注先で作業するなどして、設備の生産能力を向上させるような能力向上対策を実施することで、納期達成できることが分かる。即ち、能力向上対策を実施すべき時期を容易に把握できる。