【課題を解決するための手段】
【0019】
課題の問題の一部は、第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)に対応する画像符号化(LDR_CONT)を第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)出力画像(HDR_FIN)に復号する方法であって、画像符号化(LDR_CONT)は、ハイダイナミックレンジシーンのオリジナル画像(HDR_ORIG)の符号化画素であり、
所定のトーンマッピング戦略(FL2H)により、画像符号化(LDR_CONT)内の画素の少なくともルマを、第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)に対応する中間画像(HDR_PRED)内の画素のルマにトーンマッピングするステップと、
中間画像(HDR_PRED)の少なくとも一部の画素のルマに所定の乗算係数を掛けることにより当該ルマを変更し、出力画像(HDR_FIN)を得るステップと
を含む、方法によって処理される。
【0020】
符号化画素とは、当然ながら、(画素は、選択された表色系において定められる、特定のサンプリング位置のテキスチャカラーサンプリングなので)画素の情報、すなわちそれらが表す画像物体のテキスチャ、すなわち画素のカラー表現(例えばYCrCb又はRGB))を意味する。しかし、LDR_CONTはオリジナルHDR画像のカラー符号化における実際の表現を保持せず(3x8ビット画像として符号化される場合でも)、LDR_CONTは新しい色であるこれらの色の変換を保持するが、新しい色は依然としてオリジナル画像をレンダリングするために必要とされる空間−統計的カラー情報を保持する。したがって、画素は依然として同じ幾何学的画像物体構造を表すが、特定のディスプレイ上でレンダリングされる場合は入力オリジナルHDR画像とは異なる比色的見かけを有する(しかし、情報理論的に、比色的変換が何であれ、オリジナル画像内に存在したものと同じ情報、すなわちHDRシーン内の情報の良好な捕捉が、画像符号化LDR_CONT内に依然としてほぼ全て存在し、少なくとも追加メタデータ、特に本発明の実施形態に係るメタデータを用いることで再取得可能である)。画像に対応する又は関連付けられたダイナミックレンジとは、それが主に特定のダイナミックレンジのディスプレイ、又は類似するダイナミックレンジのディスプレイ上でのレンダリングを対象とすることを意味する(かかる態様での符号化の意味を定義するレンダリングダイナミックレンジと、線形符号化に関してのみ意味をなす、例えば8ビットルマ符号化等のダイナミックレンジとして人々が通常考えるものとの間の正確な違いは後述する)。トーンマッピングとは、例えば単純なグローバルトーンマッピング関数、又は、例えば画像符号化の画素カラーを出力画像の画素カラーに究極的に変化させる任意のアルゴリズムを意味する。
【0021】
後方互換性の直接使用可能なLDR信号によりそのようなシステムを実現するための非常に興味深い態様は、ハイダイナミックレンジ(入力又はマスター)画像又は映像信号の符号化をハイダイナミックレンジ出力画像又は映像信号に復号する方法であって、方法は、
−所定のトーンマッピング関数により、符号化内の画素の少なくともルマをハイダイナミックレンジ中間画像内のHDR画素のルマにトーンマッピングするステップと、
−中間画像の少なくとも一部のHDR画素のルマに所定の乗算係数を掛けることにより当該ルマを変更するステップとを含む。
【0022】
符号化とはシーンの画像の任意の表現を意味し、必ずしも圧縮されていないが、特にその表現にてHDRシーンの特性を賢明に使用する(例えば、あるルマサブレンジを平均グレイ物体に割り当て、他のサブレンジを光効果に割り当てる)。物体の明るさの値を規定することは視覚的品質のためにより重要な情報であり、そのまわりのカラーはいくらかより小さい影響力を持つので(例えば、ニュースキャスターのシャツの色はわからないので)、単純さのために、ルマに焦点を当てる。したがって、例えばガマット形状問題のために変形誤差が生じなければならない場合、色彩方向に生じさせる方が良い。当業者は、例えば規定されたルマのまわりのガマットマッピングされた彩度を指定することにより(例えば、何らかの色相及び飽和関数)、又はルマ−彩度色表現の代わりにRGB3軸上で作業等することにより、このルマ軸のまわりの色の色彩的側面も指定できることを知る。これは本発明の核心ではないので、これについては詳述しない。当業者は、ルマチャネル上で実行可能な作業(マッピング及び変更)は他のチャネル、例えば赤色チャネル上でも当然に実行可能なことを理解する。信号については、特に更なるメタデータが追加される場合、画像データが何らかの規格に従って如何にフォーマットされたかが理解され、一方、画像は、本明細書では生の画素カラーのアレイとして理解され得る(しかし、本発明はどちらの説明によっても容易に理解され得る)。
【0023】
基本的な方法を、HDRシーンを主に8ビットレガシー画像(「HDR_encoded_as_LDR」又は、HDRがLDRの枠組み内に入れられるため「LDRコンテナ」と呼ばれ得る)として符号化する(すなわち、例えばMPEG−AVC符号化によって符号化する)有用なアプリケーションに関して説明する(少なくとも変換関数が共符号化されるが、一部のHDR高輝度領域は補助的な態様で、例えばデコーダ側において空間的に局所的な画素のセットを与えるために、例えば局所的置換画像を用いて符号化され得る)。本例での符号化は、マスターハイダイナミックレンジ入力映像信号の情報、例えば16ビット線形を保持する例えばLDRMPEG又はJPEGである。そのような符号化が多くのシナリオにおいて機能し得る理由は理解され得るであろう。但し、細かいグラデーション又は微細な物体のテキスチャ上のバンディングを回避する最高の品質のためには、今日のディスプレイ輝度及びサイズにおいては8ビット以上さえ望ましい可能性がある。しかし、画像内で素早く動く複雑な物体のテキスチャについては、6ビット近似が既に適当であり得る。したがって、6ビット以上で大きなルマサブレンジを圧縮するマッピングはいずれも良好であり得る。レンジ全体については、LDRとHDR8ビットグレーディングとの間でのマッピングにより8から6ビットに落とすことで、既にファクタ4若しくは2絞り薄暗くなる線形ストレッチ又はガンマが可能になる。特に、バンド幅/メモリ又はビットレートがいくらか重要なアプリケーションでは、より多くのビットを必要とする最大可能品質ではなく、非常に適切な品質でHDR特徴のほとんどを既に許容する符号化を有することが賢明である可能性がある(また場合によっては、多くのいわゆる高品質アプリケーションでは、例えばDCT係数の量子化を不適切に又は致命的に調整すること等により大きなアーティファクトがいずれにせよ発生する)。
【0024】
LDRレンジ等の特定の輝度レンジのために(例えば、その信号を駆動信号として直接適用することにより使用可能なように)符号化された信号と、それが実際に保持する情報との間の本教示のための重要な違いを理解するよう注意深く考察すべきである(これは一般的に理解される洞察ではない)。符号化とレンダリングとを完全に切り離したため、これを行うことができる。これは、ルマサブレンジ内の情報を、特定のディスプレイ上で正しくレンダリングするために[0,1]又は[min_luma,max_luma]レンジ沿いの適切なレベルにシフトすることにのみ関する。例えば、符号化はLDRディスプレイ上に良好な見かけの画像を与えるよう構築(例えば、人間によってグレーディング)され得る(符号化に対応するレンジをルマではなく輝度で表すことにも留意されたい。輝度は最終的にレンダリングされるときに画像符号化が対応する線形出力結果であり、一方、ルマは実際の符号化であり、理論的には何でもよく、例えば輝度0.1ニットがルマ32によって符号化されてもよいし、輝度200ニットがルマ0によって符号化されてもよい)。これは、低ピーク輝度、例えば100ニットディスプレイ上で、例えばほとんど判別できない黒色で全てを視覚的に混乱させるようにではなく、依然として構造が十分視認できるよう暗い領域をグレーディングすることを意味する。しかし、この画像グレーディングはHDRレンダリングではそれほど有用ではない。例えば、暗い画像領域が正しいシーン雰囲気を伝達するためには明るすぎると考えられる可能性があるからである。しかし、このLDRグレーディングされた画像(正しい暗領域挙動等)は低オリジナルシーンレンジ若しくはサブレンジ又は高い輝度(サブ)レンジの情報(すなわち、画素ルマ空間的多様構造)の両方を含み得ることに留意されたい。例えば、眩しい屋外領域を最大白色(255)にクリップするが、依然として同じ暗い及び中領域ルマ値を有するLDR信号を単純なカメラを使用するだけで得ることができる。又は、眩しい屋外領域のオリジナル捕捉テキスチャの一部を含む知的ガマットマッピングアルゴリズムを使用することができる。これは、LDR画像のローダイナミックレンジ内のものをスクイーズし(通常、より少ないビットへのスクイーズが考えられるが、より重要な問題は、符号化に対応するテント形状のルマ、色相、飽和ガマットの部分領域を如何に割り当てるかということである)、そのようなシーンはLDRディスプレイシステム上で決して忠実にレンダリングされ得ないという点て、いくらかのエラーを引き起こす。しかし、それにも関わらず、丸めエラーとは別に、HDR情報が依然として存在する。すなわち、それはLDR符号化内に直接レンダリング可能な態様で存在する(より暗い室内の平均輝度と多かれ少なかれ同じ淡い屋外領域はどのみちクリッピングよりもはるかに良い)。しかし、HDR情報が符号化内に存在するので、HDRレンダリングのためにも使用可能であるが、この場合、当然ながら、正しい見かけの出力画像を得るための適切なトーンマッピングがまず要求される。しかし、HDRシーンをLDR使用可能信号(すなわち、LDRディスプレイ上に直接適用されたときに正しい見かけを有する)として符号化するこの非常に有用な後方互換性システムに代えて、本発明の同じ技術的教示を反対に使用することもできることに留意されたい。
【0025】
すなわち、同じように8ビット符号化であるが、今回は例えば3500ニットのHDRディスプレイ上で直接使用するためにグレーディングされる。すなわち、この信号は典型的には例えば暗い輝度領域でより小さいルマを有するよう、異なるようにグレーディングがされる。この場合、LDR信号からHDR信号を(すなわち、HDR輝度レンジレンダラーのために)復元する必要はなく、大部分で反転した特性を有するトーンマッピングを適用することにより(例えば、暗い領域を圧縮するのではなく伸長する)、8ビットHDRグレーディングから、レガシーディスプレイ用のLDR信号が導出される。トーンマッピング関数は同様にメタデータ内に共符号化されるが、大まかに反対の形状でされる(伸長ではなく圧縮)。その後、HDR予測ではなくLDR予測に我々の乗算変更が適用される。当然ながら、方法は、予測がほぼ十分であるが、主要な効果のための少しの追加ビットによるいくらかの補正が、少なくとも一部のシナリオにて、すなわち、一部の画像の一部の部分のために望まれる他のシステムでも機能し得る。例えば、レガシー8ビット符号化制約を落としても、HDRを例えば10ビットコンテナにトーンマッピングすることは依然として分別があり、その後伸長トーンマッピングにより任意の基準ディスプレイ(ピーク輝度)のためのHDRが再取得され、いくらかの乗算微調整が適用される。したがって、本方法が如何にして異なる第1及び第2の輝度レンジの符号化の間のトーンマッピングを有するシステムに対して非常に有用且つ有力な補正として機能するかが明らかになったであろう。
【0026】
画像信号が何を意味するか、すなわち、典型的には例えば画像アスペクト比等のデータの意味のための記述子等のメタデータ等、及び、画像を変更するため等の符号化画像に関連する有用な情報を保持する更なるメタデータ等を含む画像データをパックするための既存の又は同様の方法のうちの任意のものであることが理解されよう。
【0027】
最終的なHDR見かけに少ししか又は全く影響を与えない精度及び無駄なビットに高度に焦点を当てる、オリジナルと予測との残存する差(すなわち、依然として符号化されるべきもの)を論理的に符号化する改良方法とは対照的に、出願人は、好ましくは著しいHDR印象の向上を素早く与えるより重要なビットに好ましくは焦点を当てる。例えば、HDR_encoded_as_LDR符号化は、レンジのために精度を犠牲にすることができるので機能し得る。原理的には、さもなければバンディングが見られるリスクがあるため、特に高輝度ディスプレイ上でグレイ値を正確にレンダリングするためには8ビット以上が必要であると考えられるかもしれない。この問題の他の見方は、人間の視覚的体験にとって、そのような論理的誤差が実際にどれほど悪いのかを考察することである。高度にテキスチャリングされた領域では、これらの量子化エラーは通常あまり目立たず、特に動画では目立たない。一部のシーン、例えば背景グラデーションでそれらが発生したとしても、それらは邪魔に見えるかもしれないが、問題は当然ながら、そのようなアーティファクトが他のアーティファクトに対してどれだけ深刻であるかということである。例えば、低容量又はバンド幅媒体では、HDR見かけをレンダリング可能であることが最も重要な視覚的ファクタであり、もしDCTブロック歪み等のアーティファクトが既に存在するならば、いくらかの時々のバンディングは許容され得る。この場合、HDR符号化は精度より、シーン物体のルマ/明るさの正しい割り当て及び対応するトーンマッピング関数等の符号化技術に関連する。実際には、6ビット/チャネルが既にLDRのためには比較的良好な量のデータ精度であると言うことができ、それであれば8ビットはより高い輝度レンジを許容するであろう。実際には、2つの追加のビットは4つの追加のファクタを許容し、これらは精度ではなく追加のルマレンジとして使用され得る(例えば、「暗い影」、「平均グレイ/通常照光」、「明領域(例えば、屋外の日が差す領域)」、及び「非常に明るい」等の様々なシーン領域のために4つの異なるルマレンジを割り当て、様々な物体をそれらに符号化する)。
【0028】
しかし、より重要には、良好な制御を有することによりトーンマッピング関数を調整することができ、それにより必要な部分領域を最適に割り当てることができる。このようにすることで、全てが6ビット精度等価のサブレンジを有する必要はなく、一部の重要なサブレンジ(例えば、俳優が存在する主要(平均グレイ)レンジ)がより高い精度を必要とする場合、例えばシーン内でたいしたことが起こっていない他のレンジを代償にしてそれを得ることができる(例えば、明るい光を2〜3のコードだけで符号化してもよい)。
【0029】
これは、HDRグレーディングをLDRグレーディングと同一化する試みに高度な多様性を与える。本説明では、更に優れた機能を奏するシナリオ、すなわちそのHDRからLDRを導出するシナリオを仮定する。したがって、原則的には(完全に又は少なくともほぼ)可逆であるトーンマッピングにより、HDRルマがLDRルマにマッピングされる。そのようにして得られたLDRグレーディングがHDRグレーディングに類似して見えるようにする(LDRディスプレイの低輝度ガマットが許す限り)こと、及び空間的部分領域又は物体に対応する様々な(特に重要な場合)ルマサブレンジのための十分な精度を維持すること等のファクタがトレードオフされ得る。
【0030】
ここで、このマッピングは逆転することができるので、マスターHDRグレードからその例えばHDR_encoded_as_LDRグレーディングへのグレーディングの逆関数である所定のトーンマッピング関数でトーンマッピングすることにより、LDR符号化からHDR画像を再構築することができる(例えば、標準[0,1]小数点表現内の値を[0,255]LDRルマを得るために再割り当てするためにガンマ0.33関数を使用する場合、HDRを再構築するためにはガンマ3が使用される)。原則的には、HDR信号を完全に復元することができる。しかし、いくつかの問題が存在し得る。LDRグレーディングをレガシーLDRディスプレイ上で良好な見かけのレガシー映像信号として使用できることが望まれ、またそれがHDR信号(例えば、HDRを強調するために一部の領域では非常に高いコントラストを有する可能性があり、又は反対に、低輝度レンジへのマッピング後は、一部の他の領域で低すぎるコントラストを有する可能性がある)から計算されることを考慮すれば、LDRが所望の通りに見えない可能性がある。当然ながら、グレーダーはトレードオフをすることができる。グレーダーは、LDRが適切に見え、また再構築されたHDRが依然として十分な視覚的品質を有するようトーンマッピング関数を更に調整することを試み得る。しかし、グレーダーがこれから著しく外れ、異なるLDRグレードを作成することも考えられる。少なくとも一部の領域において、例えばグレーダーは、顔の画素を任意に再配色し始め得る。そのような場合、LDR信号からHDR信号に戻る予測はオリジナルのマスターHDRグレード(このHDR_encoded_as_LDRグレーディング内に符号化されるはずであった)に適切に近く見えないだけではなく(PSNR等の数学的基準によって決定されるにせよ、心理視覚的に決定されるにせよ)、より深刻には、著しく異なる、異なるHDR見かけを与える若しくはHDR効果を全く有さない、又はHDRレンダリング内に深刻な視覚的歪みが生じる等の可能性がある。したがって、そのような場合にはHDR再構築を更に変更しなければならない。本発明によれば、単に任意の変更を使用するのではなく、強い影響を及ぼし、特に多くの場合でHDR再構築がおそらくはPSNR値に基づいてではなく心理視覚的に既に所望なものに比較的近いことを考慮する変更を使用すべきことを主張する。
【0031】
補正は少なくとも2つの有用な種類に分類することができる。再構築されたHDR画像のルマが深刻に外れている、例えば、画素ルマがY_HDR_MASTR2048であるべきはずなのにY_HDR_RECONSTR1024である場合か、又は、例えば物体内にいくらか強いコントラスト又はテキスチャを導入するために小さな補正が実行されるべき場合である。小さな変更を加える他に、視覚的重要性の階層に従って変更を実行することができ、特に両方のシナリオを乗算補正によって取り扱うことができる。符号化されるオリジナルHDRのY_HDR_MASTRが2000だったとしても、HDR_encoded_as_LDR画素からトーンマッピングによって再構築されたHDR画素を係数2で乗算することができる。これは依然として48(又は2%)の誤差を含むが、元々の100%の誤差よりは遥かにましである。いずれにせよ、このような小さな誤差は心理視覚的にそれほど重要ではない可能性が高い(例えば光子ノイズ等のために常に画像ノイズが存在することを所与として)。LDR符号化において過度に低いコントラストがあり、これがHDRへのトーンマッピングによっても十分に復元されなかった場合、例えば1.5を掛けることによりそれを高くし、オリジナルと変更されたローカル平均との差(又は、乗算された画素と未変更の最初の画素との差)を補正し、画素450、452、449を675、678及び674に変更し、その後450、453、449に変更する。空間的に連続する又は一連の隣接する画素のための乗算補正を有する前例では、画素毎に乗算補正パターンを指定することもできる。そのシナリオでは、例えば低精度LDR色空間において丸めにより完全に失われたテキスチャを導入することさえ可能である。例えば、平均輝度を変更することなく、所定のルマ980を例えば2.3、4、3.8、1.2等により再び乗算してもよい。
【0032】
様々な実施形態が、要求される乗算補正を異なる賢明に最適化された態様で符号化する。例えば、精度の低い、最も重要なHDR効果の一見を取ることにより、1.222235等の任意の乗算係数は必要なく、よってこの追加データを符号化するのにわずかな追加ビットしか要さない。具体的には、このビット量はHDR_encoded_as_LDR符号化(既に非常に効率的である)を大きく越えて変更されるべきではない。多くの場合、いくらかの差があるにせよ、グレーダーが改良が必要ないと結論付ける可能性があるため、一部の画像(の部分)については変更は時々にしか必要ないと予測されるからである。しかし、この場合、符号化される部分は典型的には重要なHDR見かけ(例えば、金属物体をより輝くように又は高コントラスト見えるようにする等に)、HDR効果、邪魔であると考えられる符号化歪みの緩和等である。出願人は、乗算が例えばカラーチャネルRGBの変更を介して間接的にルマに作用するシナリオもカバーすることを意図するが、これらの特徴を請求項に加えると非常に読みづらくなる。
【0033】
本原理のいくつかの興味深い変形例は特に以下の通りである。
【0034】
所定の乗算係数は、画像符号化(LDR_CONT)に関連付けられたメタデータ内に保存され、復号方法は、メタデータにおいて、当該空間領域のためにメタデータ内に少なくとも1つの乗算係数が符号化されている画像符号化(LDR_CONT)の空間領域を定める情報を読み取るステップを含み、空間領域の幾何学形状がメタデータ内に符号化されている(503、504、505)、画像符号化を復号する方法。
【0035】
幾何学領域が多様に符号化可能であることが理解され、例えば、中心(x,y)及び2つの軸によって楕円を定めてもよく、第1のトーンマッピング戦略によって予測された中間画像の対応する領域が、例えば単一の乗算係数によって乗算変更されなければならず、又は、例えば10画素毎に異なる乗算係数が使用される部分領域からそれを構成してもよい。
【0036】
所定の乗算係数は、画素又は画素のグループ毎に乗算係数を備える乗算係数アレイ(506)内に含まれ、アレイは空間領域幾何学形状の符号化に対応して定められる、画像符号化を復号する方法。
【0037】
例えば、楕円内に含まれる走査線に対応する1Dアレイ内の画素毎に1つの乗算係数を指定してもよく、例えば、第1のラインでは2つの画素、次は6つ等である。しかし、例えば乗算係数が例えば幾何学領域内の2つの連続画素のために使用されるよう関係を定めてもよい。
【0038】
乗算係数アレイ(506)内の乗算係数は、定義テーブル(520)のインデックスとして符号化され、定義テーブルはインデックスに対する実際の乗算係数を保持する、画像符号化を復号する方法。
【0039】
これは、最も有用な実際の乗数係数を符号化するために少数のインデックスのみが使用されることを可能にする。このようにすることで、アレイ506は例えば乗算係数毎にわずか4ビットで符号化され得る。
【0040】
定義テーブル(520)は、定義テーブルと共に例えば特定の画像ショット等どのようなルマ変更の場合に定義テーブルが使用されるべきかを特徴付ける記述子(530)に関連付けられる、画像符号化を復号する方法。
【0041】
乗算係数に記述子を与えることは、それらが特定の所定のシナリオ時に使用又は再使用されることを可能にする。例えば、映画符号化の最初に、映画のどの時点で出現しようと、暗環境領域の特定のクラスに対して使用されるべき定義テーブル(520)を定めることができる。しかし、他のかかる暗環境領域クラスは異なるテーブルを使用してもよい。更に、それらを条件付きで決定してもよく、例えば、現在のショットでは選択されているテーブルが使用されるべきであるが、例えばHDR_PREDの画素ルマが値Lx未満の場合にのみであり(他の場合では、符号化されていたとしても乗数係数を無視してもよい)、又は、符号化インデックスの一部が無視されてもよく、これはテーブルの再使用を可能にし、この画像ショットの前に例えば「29〜31不使用」等と指定されてもよい。また、これは以前にグレーディング及び符号化された画像信号S_imをトランスコードすることを可能にする。
【0042】
復号は更にウィンドウタイプ(531)を読み取り、ウィンドウタイプ(531)は、そのウィンドウタイプ(531)に関連付けられた空間領域が、当該ウィンドウタイプ(531)に対応する記述子(530)に関連付けられた定義テーブルによって符号化された乗算係数を有することを示す、画像符号化を復号する方法。これは、定義テーブル又はその部分を画像の部分とより密にリンクするために使用することができる。
【0043】
中間画像(HDR_PRED)の少なくとも一部の画素のルマを変更するステップは、乗算を、出力画像(HDR_FIN)のローカル平均輝度が中間画像(HDR_PRED)のローカル平均輝度から所定の割合のずれ内に含まれる乗算戦略に制約する態様で実行される、画像符号化を復号する方法。これは、乗算変更戦略の方程式に平均輝度又は同様の値を導入することにより多様に実現され得る。
【0044】
乗算係数がそのような制約された乗算に関連して定められることを示すタイプ値508が読み取られる、画像符号化を復号する方法。複数の変更戦略のタイプをそのように符号化することができるが、そのうちの2つの興味深いものを説明のために述べる。
【0045】
乗算係数は、一連の1次元又は2次元位置座標にわたる乗算係数の関数的定義としてメタデータから読み取られる、画像符号化を復号する方法。特にそれらが一定の形状に従い、概してそれらがそれほど正確である必要がないことを前提として、乗算係数を関数的形態として符号化してもよい。例えば、係数1、4、9又は1、5、8を一連の位置にわたって2乗関数として符号化してもよい。しかし、一般的には、乗算係数の数値コード化が好ましい。
【0046】
ハイダイナミックレンジシーンのオリジナル画像(HDR_ORIG)を第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)に対応する画像符号化(LDR_CONT)として符号化する方法であって、
−所定のトーンマッピング戦略(FL2H)により、画像符号化(LDR_CONT)内の画素の少なくともルマを第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)に対応する中間画像(HDR_PRED、GRAD_1LDR)内の画素のルマにトーンマッピングするステップと、
−中間画像(HDR_PRED、GRAD_1LDR)内の画素カラーと指定された第2の画像(HDR_ORIG又はGRAD_FINLDR)の画素カラーとの間の差を分析することにより、中間画像(HDR_PRED、GRAD_1LDR)の少なくとも一部の画素のルマに掛けるための乗算係数を決定するステップと、
−画像信号(S_im)内に画像符号化(LDR_CONT)、トーンマッピング戦略(FL2H)を指定するデータ、及び乗算係数を指定するデータを符号化するステップと
を含む、方法。
【0047】
HDR信号S_imがHDRディスプレイに主に適合する場合、これは例えば低ダイナミックレンジ予測の変更を符号化することができる。このシナリオでは、システムは、HDR駆動画像8bit_HDR(又は任意のHDR符号化、例えば、線形輝度HDR表現に対して、何らかの定義トーンマッピング関数を備える10ビット)として使用可能な8ビットの輝度をダウンマッピングすることにより、接続されたLDRディスプレイ用のLDR画像を導出することができる。しかし、典型的には、エンコーダは当然ながらレガシーLDRシステム上で単純に使用可能なLDR_CONTを符号化することができ、その場合、HDR画像が中間として予測され、乗算係数がそれをHDR_ORIGに近づくよう変更する役割を果たす。すなわち、これは、第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)は、典型的には500ニット以下のレンジのピーク輝度に対応するローダイナミックレンジであり、第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)は、少なくとも750ニットのピーク輝度を有するハイダイナミックレンジである、ハイダイナミックレンジシーンのオリジナル画像(HDR_ORIG)を符号化する方法に対応するであろう。
【0048】
−第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)に対応する画像符号化(LDR_CONT)を取得するためのデコーダ(402)と、
−トーンマッピング戦略の指定を取得して、トーンマッピング戦略(FL2H)を画像符号化(LDR_CONT)に適用することにより、第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)に対応する中間画像(HDR_PRED)を生成するためのトーンマッパー(403)と、
−少なくとも1つの乗算係数を含む乗算係数データ(A_MUL)を取得して、少なくとも1つの乗算係数を中間画像(HDR_PRED)内の少なくとも1つの画素のルマと掛け合わせることにより、出力として出力画像(HDR_FIN)を生成する画素カラー変更部(404)と
を含む、HDR画像復号装置(401)。
【0049】
−ハイダイナミックレンジシーンのオリジナル符号化(HDR_ORIG)を取得するための入力部と、
−オリジナル符号化(HDR_ORIG)を第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)に対応する画像符号化(LDR_CONT)に変換するための、及び、画像符号化(LDR_CONT)をトーンマッピングデータ(FL2H)内に符号化されたトーンマッピング戦略を用いてトーンマッピングすることにより、第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)に対応する中間画像(HDR_PRED)を決定するためのグレーディングマネージャー(702)と、
−中間画像(HDR_PRED)を指定された第2の画像(HDR_ORIG又はGRAD_FINLDR)と比較し、両画像間の差に基づき、中間画像の少なくとも1つの画素のルマと掛け合せられると、中間画像(HDR_PRED)内の画素のカラーより第2の画像内の対応する画素のカラーに近い出力画像(HDR_FIN)の最終的画素カラーを生成する少なくとも1つの乗算係数を含む乗算係数データ(A_MUL)を導出するためのグレーディング差比較器(704)と、
−画像符号化(LDR_CONT)、トーンマッピングデータ(FL2H)、及び乗算係数データ(A_MUL)を出力画像信号(S_im)内に符号化するための符号化ユニット(710)と
を含む、HDR画像符号化装置(701)。
【0050】
人間のカラーグレーダーが少なくとも画像符号化(LDR_CONT)及びトーンマッピング戦略を決定することを可能にするためのユーザーインターフェイスユニット(703)を含む、HDR画像符号化装置(701)。
【0051】
当業者は、本発明の構成要素がソフトウェア、又は、
−第1の輝度ダイナミックレンジ(R_oLDR)に対応する画像符号化(LDR_CONT)と、
−画像符号化(LDR_CONT)を第2の輝度ダイナミックレンジ(R_oHDR)に対応する中間画像(HDR_PRED)にトーンマッピングするために使用されるトーンマッピングデータ(FL2H)と、
−中間画像(HDR_PRED)内の少なくとも1つの画素のルマと掛け合わせるために使用される少なくとも1つの乗算係数を含む乗算係数データ(A_MUL)と
を含む、HDR画像信号等、更に多様に具体例され得ることを認識するであろう。
【0052】
又は、そのようなHDR画像信号を含むデータを保存可能な、例えばBlu−ray(登録商標)ディスク等のポータブルデータデバイス。