特許第6382833号(P6382833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382833
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】高圧の治療用および画像化用カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20180820BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20180820BHJP
   A61F 2/958 20130101ALI20180820BHJP
   A61F 2/844 20130101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61B8/12
   A61M25/10
   A61F2/958
   A61F2/844
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-545816(P2015-545816)
(86)(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公表番号】特表2016-504076(P2016-504076A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】US2013073095
(87)【国際公開番号】WO2014089195
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/734,825
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・スティゴール
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−532447(JP,A)
【文献】 特開2002−320617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
A61F 2/844
A61F 2/958
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積された治療用および画像化用カテーテルであって、
ガイドワイヤルーメンを定義する内部部材と、
バルーンアセンブリと、
前記バルーンアセンブリの周囲に搭載された処置デバイスと、
前記バルーンアセンブリに対して遠位に配置され、および接続メディアと接続する画像化デバイスとを備え、
前記バルーンアセンブリは、前記内部部材および前記接続メディアを囲む内部スリーブおよび前記内部スリーブを囲む外部スリーブを備え、前記接続メディアは前記内部スリーブおよび前記内部部材の間に配置され、前記内部スリーブは前記バルーンアセンブリが膨張するときに前記接続メディアを保護するように構成されることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記画像化デバイスは、血管内超音波トランスデューサおよび光学コヒーレンストモグラフィデバイスの少なくとも一つを備える、請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記接続メディアが、前記内部部材および前記内部スリーブの間の空間を自由に移動することが可能である、請求項1記載のカテーテル。
【請求項4】
内側が前記内部スリーブに接合する近位シャフトおよび前記近位シャフトの外側に接合するバルーン近位レッグを含む近位接合部を備える、請求項1記載のカテーテル。
【請求項5】
前記近位シャフトが軸状のデュアルルーメンシャフトを備える、請求項4記載のカテーテル。
【請求項6】
前記内部スリーブが、前記デュアルルーメンシャフトの外部ルーメンおよび前記デュアルルーメンシャフトの内部ルーメンの間に配置される、請求項5記載のカテーテル。
【請求項7】
さらに、前記近位シャフトとは独立した中央シャフトを備え、前記内部スリーブが当該中央シャフトの内側に接合し、および当該中央シャフトが前記バルーンアセンブリおよび前記画像化デバイスに接合する、請求項1記載のカテーテル。
【請求項8】
前記バルーンアセンブリが規格非準拠である、請求項1記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内部スリーブが、前記バルーンアセンブリが20ATMよりも高い圧力で膨張するときに、前記接続メディアを保護するように構成される、請求項1記載のカテーテル。
【請求項10】
前記接続メディアが電気伝導性ワイヤ又は光ファイバの一つを備える、請求項1記載のカテーテル。
【請求項11】
前記接続メディアが前記画像化デバイスにより生成されたデータを運ぶ、請求項10記載のカテーテル。
【請求項12】
前記接続メディアが前記画像化デバイスに電力を提供する、請求項10記載のカテーテル。
【請求項13】
前記接続メディアが、前記バルーンの遠位端で画像化デバイスを回転させるように構成されたドライブシャフトを備える、請求項1記載のカテーテル。
【請求項14】
前記処置デバイスが、前記外部部材を囲み、および前記バルーンアセンブリが膨張するときに展開するよう構成された展開可能なステントである、請求項1記載のカテーテル。
【請求項15】
前記内部スリーブが高操作圧下において内部で弾性的に変形するように構成されている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項16】
前記内部スリーブが、前記高操作圧が継続しなくなったとき、弾性的にオリジナルの形状へ再形成するよう構成される、請求項15記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、医療デバイスの分野に関し、および、より詳しくは、集積された治療用、画像化用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内画像化システムが、インターベンショナル心臓学において、人体内での罹患した血管、例えば動脈、の診断ツールとして広く用いられている。様々なセンサをカテーテルに設け、体内に配置することができる。画像化システムのあるタイプは、血管内超音波(IVUS)システムである。ある具体例において、位相アレイIVUSデバイスは、血管内に送られ、かつ、画像化されるエリアにガイドされる多くのトランスデューサを有する。トランスデューサは、着目する血管の画像を創造するために超音波を放つ。超音波は、部分的に、組織構造(例えば血管壁の様々な層など)、から生じる不連続点赤血球、および着目する他の特徴により反射される。反射した波からのエコーが、トランスデューサにより受信され、IVUS画像化システムに伝えられる。画像化システムは、受信した超音波エコーを処理し、デバイスが置かれたところの血管の断面画像を創り出す。
【0003】
血管内画像化システムは、バルーンカテーテルの使用を通じて緩和させることができる動脈閉塞を検出するために、たびたび用いられる。バルーンカテーテルは、先端部の近くにバルーンを有するカテーテルの一つである。バルーンカテーテルは、患者の動脈に挿入し、および血管内画像化システムの使用を通じて検出された閉塞があるところに配置するべく設計されている。検出された閉塞に到達するとすぐに、バルーンを膨張させて閉塞を緩和する。いくつかの例では、バルーンカテーテルはステントを有し、バルーンの膨張物がステントを展開し、血管内に配備する。
【0004】
血管内画像化システムは、バルーンカテーテルの遠位端に集積してもよい。このような集積により、血管内画像化システムは、バルーンが閉塞を緩和するために用いられる前に、患者の動脈から最初に取り除かれる必要がなくなる。むしろ、閉塞の検出に際して、カテーテルを患者内に押し進めることができ、これによりバルーンは閉塞に位置合わせされる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、別々の画像化および処置デバイス間での交換を必要とせずに、血管内の損傷を画像化しおよび処置するためのデバイス、システムおよび方法を提供する。結果として、患者の外科プロセスおよび処置が、手当に関して要求される時間を低減し、これにより患者が麻酔にかけられるために必要な時間を低減することにより改善され、集積化画像を通じて処置の適切な適用の容易でかつ簡便な同意を可能にし、これにより患者の転帰の改善につながる。
【0006】
ある実施形態において、本開示は、集積化された治療用および画像化用カテーテルを説明する。ある態様において、このカテーテルは、内部部材、バルーンアセンブリ、および画像化デバイスを備える。別の態様において、このカテーテルは、バルーンアセンブリ、処置デバイス、および画像化デバイスを備える。いくつかの実施形態では、前記内部部材はガイドワイヤルーメンを定義する。いくつかの実施形態では、バルーンアセンブリは、前記内部部材および接続メディアを囲む内部スリーブを備え、この内部スリーブは、バルーンアセンブリが膨張したときに前記接続メディアを保護するよう構成されることを特徴としている。ある態様において、この接続メディアは、前記バルーン内部スリーブおよび前記内部部材の間に配置される。いくつかの実施形態では、前記バルーンアセンブリは、前記内部スリーブを囲む外部スリーブをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記処置デバイスは、バルーンアセンブリと関連し、またいくつかの実施形態では、前記処置デバイスはバルーンアセンブリの周囲に搭載される。また、いくつかの実施形態では、前記画像化デバイスは、バルーンアセンブリに対して遠位に配置され、前記接続メディアと結合する。
【0007】
他の実施形態では、本開示は、カテーテルを説明する。ある態様において、カテーテルはバルーンアセンブリ、接続メディア、および画像化デバイスを備える。他の実施形態では、カテーテルは、バルーンアセンブリ、画像化デバイス、処置デバイス、および接続メディアを備える。また、いくつかの実施形態では、バルーンアセンブリは内部部材を囲む内部バルーンスリーブを備える。ある態様において、この内部バルーンスリーブは、その間に流体密封の空間を定義する。いくつかの実施形態では、画像化デバイスは、前記内部バルーンスリーブの遠位で、かつ、カテーテルの遠位端に隣接して配置される。また、いくつかの実施形態では、前記処置デバイスは、バルーンアセンブリを囲んでいる。また、いくつかの実施形態では、前記接続メディアは、前記内部部材および前記内部バルーンスリーブの間の空間内に展開する。ある態様において、前記接続メディアは、前記画像化デバイスを前記カテーテルの近位端に接続させる。いくつかの実施形態では、前記内部バルーンスリーブは、前記バルーンアセンブリが膨張するときに、前記接続メディアを収納し、および保護するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、カテーテルを患者の血管内で用いるための方法を説明する。ある態様において、この方法は、バルーンアセンブリ、接続メディア、および画像化デバイスを有するカテーテルを血管へ挿入することを含む。いくつかの例において、このバルーンアセンブリは、画像化デバイスから第一の距離だけ離され、およびバルーンアセンブリは前記接続メディアを囲んでいる。この方法は、カテーテルを血管の中を通して進めながら、画像化デバイスを用いて血管内腔を画像化すること、および画像化デバイスを用いてこの血管内腔内の損傷を同定しおよび画像化すること、をさらに含む。いくつかの例において、この方法は、前記画像化デバイスを当該損傷を通して進めながら、損傷の長さを測定すること、および前記カテーテルを当該損傷の長さに基づく第二の距離および前記第一の距離だけ進めて、前記バルーンアセンブリを当該損傷の近くに配置させること、をさらに含む。いくつかの例において、この方法は、前記損傷内で前記バルーンアセンブリを配置すること、およびこのバルーンアセンブリをこの損傷内で高圧を用いて膨張させて、前記接続メディアの邪魔をしないでこの損傷を血管内腔に対して圧迫すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、ここで記載された原理に係る検出用カテーテルを模式的に示すダイアグラムである。
図1B図1Bは、ここで記載された原理に係る検出用カテーテルを模式的に示すダイアグラムである。
図2A図2Aは、ここで記載された原理の一具体例に係るバルーンカテーテルの近位接合部の、図1Aのライン2A−2Aに沿って取り出した断面を模式的に示すダイアグラムである。
図2B図2Bは、ここで記載された原理の一具体例に係るバルーンカテーテルの近位接合部の、図1Bのライン2B−2Bに沿って取り出した断面を模式的に示すダイアグラムである。
図3A図3Aは、ここで記載された原理の一具体例に係る、図1Aのライン3A−3Aに沿って取り出したバルーンの断面を模式的に示すダイアグラムである。
図3B図3Bは、ここで記載された原理の一具体例に係る、図1Bのライン3B−3Bに沿って取り出したバルーンの断面を模式的に示すダイアグラムである。
図4A図4Aは、ここで記載された原理の一具体例に係る、図1Aのライン4A−4Aに沿って取り出したバルーンカテーテルの遠位接合部の断面を模式的に示すダイアグラムである。
図4B図4Bは、ここで記載された原理の一具体例に係る、図1Bのライン4B−4Bに沿って取り出したバルーンカテーテルの遠位接合部の断面を模式的に示すダイアグラムである。
図5A図5Aは、ここで記載された原理の一具体例に係る、バルーンカテーテルの患者への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図5B図5Bは、ここで記載された原理の一具体例に係る、バルーンカテーテルの患者への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図5C図5Cは、ここで記載された原理の一具体例に係る、バルーンカテーテルの患者への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図6図6は、ここで記載された原理の一具体例に係る、治療用検出用カテーテルの患者の中での使用方法を説明するフローチャートである。
図7図7は、ここで記載された原理の一具体例に係る、検出用バルーンカテーテルの製造方法を示すフローチャートである。
図8A図8Aは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図8B図8Bは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図8C図8Cは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図8D図8Dは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図8E図8Eは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
図8F図8Fは、ここで記載された原理の一具体例に係る、集積カテーテルの患者の動脈への挿入を模式的に示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、図にて例示された実施形態への言及を行い、および特定の言語を同図の説明のために用いる。したがって、本開示の範囲を限定する意図がないことを理解されるべきである。記載されたデバイス、装置、方法およびここで記載された開示の原理の更なる適用における、いかなる変更、および更なる修飾も、本開示が関連する技術分野において精通する者にとって通常生じることのように予期される。特に、ある実施形態について記載された特徴、構成要素、および/または工程は、本開示の他の実施形態について記載された特徴、構成要素、および/または工程と組み合わせてもよいことは十分に予期される。
【0011】
本開示により記載された実施形態は、患者内で罹患した血管および/または他の管状構造物に正確にアクセスし、評価し、および処置する、画像化システムを備えた規格非準拠の治療用デバイスを組み込むコンビネーションカテーテルに関する。例えば、本開示の実施形態は、ステントの配置および展開を最適化するように構成される。ここに開示された実施形態には、検出用のモダリティ、例えばIVUS、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)、光音響検査および分光学などを実施のための操作が可能な画像化デバイス、例えば非限定的な具体例によれば、トランスデューサや光学デバイスを組み込むバルーンステントカテーテルを包含する。いくつかの実施形態では、画像化素子は一般に側視画像化用のデバイスの軸とは垂直に配置してもよく、一方で他の実施形態では、バルーンアセンブリよりも前の前方視画像化を提供する軸方向に配置した画像化センサを採用してもよい。さらに、ここで開示された実施形態は、画像化の間、規格非準拠の治療用デバイスを備える高圧システムの利用を可能にする低プロファイルおよび柔軟なデバイスを提供する。したがって、ここで開示された実施形態は、医療専門家が動脈損傷を含む管内の損傷に、従来技術のいくつかのカテーテルによりなされるよりも、楽に、低抵抗で、より高い可視性をもってアクセスし、評価し、および処置することを可能にする。
【0012】
図1A、および図1Bは、本開示の特定の実施形態に係るバルーンカテーテル100を模式的に示すダイアグラムである。図1Aは、電気的に作動する検出器116を有するバルーン検出用カテーテルを示し、一方で図1Bは、ドライブシャフトで回転する検出器117を有するバルーン検出用カテーテルを示す。これらシステムの構成要素は、多くの共通する要素を備え、本開示を通じて、これらは同じ参照番号にて言及される。特定の例示的な具体例によると、カテーテル100は、外部スリーブ120および内部スリーブ108を備えたバルーンアセンブリ110を含む。バルーンアセンブリ110は、近位接合部106を通って近位シャフト104に接合する。さらに、バルーンアセンブリ110は、遠位接合部112を通って中央シャフト114に接合する。この例示的な具体例において、中央シャフト114は、バルーンアセンブリ110および検出用デバイス116の間に広がる。ガイドワイヤルーメン103を定義する内部部材102は、カテーテルの先端部118から近位シャフト104、バルーンアセンブリ110および中央シャフト114の内側を通って、少なくともバルーンアセンブリ110の近位端まで伸びる。
【0013】
近位シャフト104は、バルーンアセンブリ110を加圧式の流体システムへ接続させる一方で、前記近位シャフト内で伸びる接続メディア208、例えば電気伝導体または光ファイバなどが検出用デバイス116をカテーテル100の近位端にて処理システム(不図示)へ接続させる。ある態様において、この検出用デバイス116は、3.5Fの最大外径(maximum outer diameter)を有する超音波トランスデューサアレイであり、および接続メディア208は、7つの絶縁された電気伝導体で編組外面を有する微細ケーブルである。別の態様において、この接続メディアはファイバオプティックスを備える。いくつかの実施形態では、接続メディア208は、バルーンアセンブリ110の全長部分を通り抜けるほど伸び、および検出用デバイス116と接合する。前記処理システムは、典型的には、患者の外側に留まる。この処理システムは、検出用デバイス116から受信するデータを使用する。検出用デバイス116が画像化システムの一部分であるとき、データは画像を創り出すのに用いることができる。カテーテルが患者の動脈を通って動きながら、この画像をリアルタイムで医療専門家に見せることができる。これは、医療専門家が、患者の動脈の至る所で存在するかもしれない様々な閉塞または他の不整を発見することを可能にする。同じように、検出用デバイス116は、圧力または流量センサであり、処理システムは検出されたデータに基づいて血流予備量比値を決定することができる。
【0014】
近位シャフト104は、プラスチック、ポリマー、金属または他の柔軟な材料から構成される。ある態様において、この近位シャフトは、より固い金属からより柔軟なポリマー管まで管の固さを遷移させるための継手に近接して、遠位ポリマー管にはめ込まれた金属ワイヤにてこのポリマー管に接合する金属近位部分を含んでいてもよい。近位シャフト104は、患者の動脈を傷つけずに当該動脈を効率よく通過することができるように柔軟性を有するように設計される。また、近位シャフト104は、デュアルルーメンのシャフトであってもよい。このデュアルルーメンの近位シャフト104は、内部ルーメンおよび外部ルーメンを備えた軸状のデュアルルーメンのシャフトであってもよい。
【0015】
近位シャフト104は、2〜4フレンチ(French)(すなわち、0.67〜1.33mm)の範囲内の径を有していてもよい。近位シャフト104の長さは十分に長く、バルーン110および検出用デバイス116が患者の動脈の十分に深い領域に到達することを可能にする。例えば、近位シャフト104は、およそ150cmmの長さを有してもいてもよい。収納状態において、バルーンアセンブリの最大外径は、およそ0.040インチである。
【0016】
内部部材102は、ガイドワイヤを受ける大きさに形成されるガイドワイヤルーメン103を定義する(図5A)。ある実施形態では、このガイドワイヤルーメンが0.017インチの径を有することで、0.014インチ径のガイドワイヤを受けることができる。典型的には、ガイドワイヤは、まず、患者の動脈に挿入される。カテーテルをガイドワイヤの上に配置することで、内部部材102がガイドワイヤを覆う。いくつかの具体例では、内部部材102は、カテーテル100の全長、先端部118から近位シャフト104の近位端まで伸びることができる。このようなカテーテルは、オーバーザワイヤカテーテルと称される。また、いくつかの具体例では、内部部材102は、短い距離に沿って伸びて、およびバルーン110の近位端に近い、出口ポートにてカテーテルから抜け出すようにしてもよい。このようなカテーテルは、迅速交換式カテーテルと称される。
【0017】
内部部材の長さは十分に長く、カテーテルをガイドワイヤ上で開始する地点(典型的には、先端部)からガイドワイヤがカテーテルから抜け出す地点まで伸びる。したがって、この長さは、迅速交換式カテーテルの場合を想定して比較的短くしてもよく、およびオーバーザワイヤカテーテルの場合を想定して、比較的長くしてもよい。
【0018】
中央シャフト114は、バルーン110の遠位端と検出用デバイス116との間を接続させる。中央シャフト114は、ポリマー、プラスチックまたは他の柔軟な材料からなる。中央シャフト114は、柔軟であるため、患者の動脈を傷つけることなく、動脈を効率よく通過することができる。内部部材102は、中央シャフト114の内部を通って伸びる。さらに、接続メディアは、中央シャフト114を通って、検出用デバイス116からバルーン110に向かって伸びる。
【0019】
図2Aは、本開示の一実施形態に係るバルーンカテーテル100の近位接合部106の断面を模式的に示すダイアグラムである。この近位接合部106は、前記バルーンの近位端を前記近位シャフト(例えば図1Aの104)に接続させる。特定の例示的な具体例によると、この近位シャフトは、内部ルーメン204および外部ルーメン202を含むデュアルルーメンのシャフトである。また、近位接合部106は、内部部材102、内部バルーンスリーブ108、および接続メディア208が伸びるところの空間をも含む。さらに、近位接合部106は、バルーン近位レッグ206を含む。ある態様において、このバルーン近位レッグ206は、バルーン外部スリーブ120を構成する材料の延長上である。
【0020】
図2Bは、図1Bの実施形態の断面図を示す。図2Bの実施形態では、ロータリードライブケーブルアセンブリとして形成された、別の接続メディア208’が含まれる。このケーブルは、内部ドライブケーブル252および一連の電気伝導体または光ファイバ254を囲む外部鞘250を含む。
【0021】
近位シャフト104の外部ルーメン202は、近位シャフト104の外部構造を提供する。内部ルーメン204は、外部ルーメン202よりも径が小さく、外部ルーメン202内を軸方向に伸びる。内部ルーメン204の大きさは、外部ルーメンの中に内部部材102、内部バルーンスリーブ108および接続メディア208のための十分な空間ができる程度である。
【0022】
内部ルーメン204は、バルーンに膨張流体(inflation fluid)を圧送するために用いることができる。したがって、近位接合部106内の内部ルーメン204の端部は、膨張流体が内部ルーメン204からバルーンへ出される膨張用ポートとして機能する。この膨張流体がバルーン内部スリーブ108およびバルーン外部スリーブの間の空間に出されると、バルーンが膨張する。
【0023】
バルーン内部スリーブ108は、膨張流体と、カテーテルの内側部分を通って伸びる他のいかなる構造体、具体的には接続メディア208および内部部材102との間の障壁として作用する。バルーン内部スリーブ108は、近位シャフト104の外部ルーメン202の内側に接合される。さらに、バルーン内部スリーブ108は、内部部材102を覆っている。図3Aおよび図3Bに示したように、バルーン内部スリーブ108は、スリーブ108および内部部材102の間で十分な空間212ができる大きさであり、これにより接続メディア208あるいは208’がそこにフィットすることを可能にする。この空間212は、接続メディア208またはドライブケーブル208’が、バルーンの完全な状態にダメージを与えることなく、自由に浮遊することを可能にする。しかしながら、接合材料213が、近位接合部106および遠位接合部112の空間を満たし、バルーン120の下側の内部スリーブ108内の流体密封空間212を定義する。
【0024】
ある態様において、内部スリーブ108は、20気圧(ATM)より高圧な操作に好適な多層構造で形成される。いくつかの実施形態では、内部スリーブ108は、圧力を行き届かせる、例えば15〜25ATMの範囲による操作に好適になるように構成される。ある態様において、この範囲は、17〜22ATMであってもよい。別の態様において、この範囲は、19〜21ATMであってもよい。他の範囲も予期される。内部スリーブ108の材料特性および構造は、たとえ高圧の適用下であったとしても、バルーンアセンブリの長軸に沿って十分に伸長しない場合、高圧下で自身が変形することを可能にする。いくつかの実施形態では、内部スリーブ108を構成する材料は、高圧の適用下であったとしても、軸方向の圧縮および伸長がほとんど起こらないことを許容する。
【0025】
ある実施形態では、内部スリーブが、マレイン酸修飾されたポリエチレン(PE)の外部層に接合されたポリエチレン(PE)の内部層により形成される。マレイン酸修飾されたPEの外部層は、システムの他の構成要素、例えば近位シャフト104および中央シャフト114などに加熱処置接合に一層好適であり、PBAXを形成することができる。近位シャフト104、中央シャフト114および内部部材102が高操作圧下でも変形しないように形成される一方で、内部スリーブ108が、バルーンシステムの高操作圧下において内部で意図的に弾性的に変形するように設計されることは理解されるであろう。内部スリーブ108は、ダメージなく、あるいは内部スリーブを通って伸びる接続メディアまたはドライブケーブルの操作を邪魔しないで、接続メディア208またはドライブケーブル208’の周りで収納されるように成形され、構成される。そして、内部スリーブ108は、高圧状態が除かれるとき、オリジナルの形状へ弾性的に戻る。内部スリーブのそのオリジナル形状への戻りは、空間212内の圧ガスにより助けを得てもよい。
【0026】
接続メディアの様々なタイプが、内部部材102およびバルーン内部スリーブ108の間の空間212を通って伸びる。例えば、検出用デバイスが電気的シグナルを生産し、外部システムにより処理される場合、この接続メディアは、これら電気的シグナルを運ぶための伝導性ワイヤを含んでいてもよい。あるいは、接続メディアは、これらのシグナルを光の形態で伝搬するための光ファイバケーブルを含んでもよい。ワイヤまたはケーブルの数は、検出用デバイスや、データを検出用デバイスから外部処理システムに伝達する方法に依存する。伝導性ワイヤもまた電力を検出用デバイスに供給するために用いることができる。
【0027】
検出用デバイスが回転可能である場合、接続メディア208はドライブシャフトルーメンを含むことができる。ある態様において、このドライブシャフトルーメンは、液体潤滑剤で満たされたプラスチック鞘を含んでいてもよい。この潤滑剤は、プラスチック鞘を通って伸びるドライブシャフトが、プラスチック鞘の内部に対して最低限の抵抗量でもってスピンすることを可能にする。
【0028】
バルーン近位レッグ206は、バルーン外部スリーブの一部である(例えば図1Aの120)。バルーン近位レッグ206は、近位シャフト104の外部の周囲でしっかりとフィットするよう設計される。バルーン近位レッグ206は、様々な接合方法を通じて、この近位シャフトの外部に接合することができる。これら接合方法としては、これらに限定されないが、熱接合およびレーザ接合が挙げられる。
【0029】
図3Aは、図1Aのライン3−3に沿って切り取ったバルーンアセンブリ110の断面を模式的に示すダイアグラムである。特定の例示的な具体例によると、この断面には、バルーン外部スリーブ120、バルーン内部スリーブ108、接続メディア208および内部部材102が含まれる。バルーンの径は、近位接合部を通じてバルーンに圧送された膨張流体302の量に依存する。非膨張性のバルーン材料については、バルーン径を特定の径に固定する。ある実施形態では、規格非準拠のバルーンは、およそ15mmの作業長があり、および2.0〜4.0mmまでの範囲にて0.5mm刻みで径を展開することができる。ある実施形態では、収納状態でのバルーンアセンブリの外径は、およそ0.040インチである。
【0030】
バルーンの近位端での近位シャフト104と、バルーンの遠位端での中央シャフト114とは、独立したシャフトである。特定の例示的な具体例によると、バルーンの内部から伸びる継続したシャフトは存在しない。むしろ、バルーンの内部には、接続メディア208および内部部材102のみが含まれる。これにより、バルーン内に追加の柔軟性が付与される。さらに、これにより、接続メディア208が、バルーン内部スリーブ108および内部部材102の間の空間212内で自由に浮遊することを可能にしている。この例示的な具体例では、バルーン内部スリーブ108の両端部は、それぞれ近位および遠位のカテーテル構成要素にシールされ、微細ケーブル208および内部部材102を囲む流体密封空間212を形成する。空間212は、空気または他のガスで満たされてもよい場合もあり、一方で空間212は液体で満たされてもよい場合もある。
【0031】
上述のように、膨張流体は、動脈閉塞の緩和などの様々な医療タスクを実施するために適切に位置合わせされたときに、バルーンを膨張させるのに用いられる。したがって、バルーン外部スリーブ120の径は、バルーンの膨張状態に基づいて変わる。バルーンが規格非準拠のため、径はほんの幾分かだけ拡がる。バルーンのこの規格非準拠な性質が、患者の動脈の中で拡がり過ぎることを回避する。バルーン内部スリーブ108は、バルーンが膨張するときに、バルーン内部スリーブ108が接続メディア208に過大な圧力を与えないように、完全な状態で設計される。
【0032】
図4Aは、本開示の実施形態に係る、バルーンカテーテル100の遠位接合部112の断面を模式的に示すダイアグラムである。特定の例示的な具体例によると、遠位接合部112は、前記バルーンを中央シャフト114に対して当該バルーンの遠位端にて接続させる。遠位接合部112は、内部部材102、内部バルーンスリーブ108、および接続メディア208が通って伸びていく空間212を含む。さらに、遠位接合部112は、遠位レッグ402を含む。図4Bは、ロータリードライブシャフトアセンブリ208を含む同様の特徴を説明する。
【0033】
中央シャフト114は、その近位端に隣接して前記バルーンの遠位端に接続され、およびその遠位端に隣接して検出用デバイス116に接続された独立したシャフトである。この中央シャフト114は、カテーテルを患者の動脈に効率よく通すことを可能にするために、柔軟性を有するように設定されている。また、中央シャフト114は、2.5〜4フレンチ(French)(すなわち、0.83〜1.33mm)の範囲の径であってもよい。
【0034】
中央シャフト114の長さは、前記バルーンの遠位端と前記検出用デバイスとの間に所望される距離に依存する。この長さは、前記検出用デバイスが、カテーテルがより急なカーブを通る際に、前記遠位接合部の邪魔をしない程度に十分に長くてもよい。また、中央シャフトの長さは、動脈閉塞を緩和するためにバルーンを用いる際に、前記検出用デバイスを患者の動脈に一層深く押し進められ過ぎない程度に短くてもよい。ある具体例において、この中央シャフトの長さは、3〜15mmの範囲内の長さ、模範的には5〜10mm長の範囲内であってもよい。
【0035】
バルーン内部スリーブ108は、中央シャフト114の内側に接合される。さらに、中央シャフト114の外側は、バルーンの遠位レッグ402に接合される。このバルーンの遠位レッグ402は、バルーン外部スリーブの一部であり、および中央シャフト114の周囲に完全にフィットするよう設計されている。この中央シャフトが近位シャフトから独立したものであるため、集積カテーテルは全体としてより大きな柔軟性を持つ。さらに、接続メディア208は、バルーンの完全性を損なうことなくバルーンの中心を通って自由に浮遊することが許容される。ある態様において、接続メディア208は、7つの個別に絶縁された電気伝導体を有する編組微細ケーブルを備える。図3Aの例示的な実施形態では、この外部編組材料は、内部スリーブ108内で定義される空間212内で、各伝導体が独立して浮遊できるように除去されている。これは、接合プロセス中に、個々の伝導体が、伝導体が曲がりくねった血管経路に従うように湾曲させることができ、および高圧バルーン膨張下で互いの上に移行できるように、遠位および近位接合領域の間にいくつかのたるみを有することが理解されるであろう。バルーンアセンブリ内の伝導体の比較的自由な動きが、20ATMを超える高圧能力を有する液密膨張システムを提供しながら、伝導体の破損を抑制し、低プロファイルおよび非常に柔軟なアセンブリを提供する。
【0036】
上述したように、バルーンアセンブリ110は、様々なタイプの動脈閉塞を緩和するために用いることができる。バルーンアセンブリ110が適切に患者の動脈内に配置されると、バルーン外部スリーブ120は、膨張して閉塞部に圧力をかける。バルーン外部スリーブ120は、典型的には膨張流体で膨張する。膨張流体は、動脈内に漏れた場合に、このような流体が患者に無害であるようにするため、典型的には、生理食塩液である。膨張流体は、近位シャフト104の内部ルーメンを通って、15〜20気圧の範囲になるまで、またはバルーンの材料特性に応じてさらに高くなるまで、バルーン内に圧送することができる。
【0037】
特定の例示的な具体例によれば、バルーン外部スリーブ120は、規格非準拠のバルーンである。規格非準拠のバルーンは、特定の径まで膨張させて、その径を越えて伸びないように設計されたものである。これにより、バルーン外部スリーブ120を膨張させ過ぎないようにする。これは、過剰の膨張が患者の動脈にダメージを与え得るため、重要である。また、バルーン外部スリーブ120は、規格非準拠のバルーン外部スリーブ120が必要以上に膨張することを可能にする、過度の軸方向の圧縮に耐えるように設計してもよい。さらに、バルーン外部スリーブ120は、バルーン外部スリーブ120が所望の径まで膨張しないようにする可能性がある、過度の軸方向の伸縮に耐えられるように設計してもよい。いくつかの実施形態では、図8A図8Fにおいて示したように、ステントは、狭窄部位への送達のために、バルーンの周囲に圧縮された状態で配置されている。バルーンが膨張してステントを塑性的に展開させて血管を開くことができ、およびバルーンが収縮された後、ステントは、支持位置に留まることができる。
【0038】
上述のように、検出用デバイス116は、患者の動脈の内部を画像化するために使用することができる。様々なタイプの検出用デバイスを用いることができる。検出用デバイス116の一つの具体例は、OCTデバイスである。別の形態においては、検出器が分光学のまたは光音響画像化のための情報を収集する。検出用デバイス116は、軸から動脈壁に向かう外方方向というよりもむしろ動脈に向かって前方方向に走査する前方視デバイスであってもよい。
【0039】
検出用デバイス116は、IVUSデバイスであってもよい。使用可能なIVUSデバイスには二つのタイプがある。最初のタイプは、ソリッドステートデバイスであり、フェーズドアレイとしても知られている。ソリッドステートIVUSデバイスは、デバイスの周囲に分散される超音波トランスデューサのアレイを含むトランスデューサ複合体を運ぶ。このトランスデューサは、一連のトランスデューサコントローラに接続される。このトランスデューサコントローラは、超音波パルスを送信するため、およびエコーシグナルを受信するために、個々のトランスデューサを選択する。送受信ペアのシーケンスを通じて段階づけることにより、ソリッドステートIVUSシステムは、部品を動かさずに、機械的に走査したトランスデューサ素子の効果を合成することができる。回転する機械的素子がないため、トランスデューサアレイは、最小限の血管損傷リスクにて、血液および血管組織との直接接触に配置することができる。さらに、回転素子がないため、インタフェースが単純化される。ソリッドステートスキャナは、単純な電気ケーブルおよび標準的な着脱可能な電気コネクタを用いて、画像化システムに直接ワイヤ接続することができる。
【0040】
検出用デバイスとしてのトランスデューサアレイの具体例では、カテーテルシャフトを通って伸びる接続メディアは、トランスデューサアレイと外部処理システムとの間のデータのやり取りをする電気ケーブルを含む。接続メディアを備えるワイヤおよびケーブルの数は、トランスデューサアレイのタイプに依存する。例えば、64ビットアレイは、32ビットアレイよりも多くのケーブルを使用するだろう。さらに、様々な多重化機能を、カテーテルシャフトを通って伸びるワイヤの数を低減するために用いることができる。
【0041】
IVUSデバイスの第二の一般的なタイプは、回転デバイスである。典型的な回転IVUSデバイスは、柔軟なドライブシャフトの先端部に位置する単一の超音波トランスデューサ素子を含む。トランスデューサは、伝統的な線形PZTタイプのトランスデューサであってもよいし、あるいはトランスデューサは集束音響トモグラフィ(FACT)を可能にするPMUTタイプのデバイスなどの集束トランスデューサであってもよい。ある態様において、トランスデューサは、バルーンの遠位に配置され、一方で他の実施形態ではトランスデューサはバルーンアセンブリ内の内部スリーブ108内に配置される。トライブシャフトは、着目する血管に挿入されたプラスチック鞘の中で回転する。トランスデューサ素子は、超音波ビームが一般にデバイスの軸に対して垂直な方向に伝搬するように配向される。流体充填された鞘は、超音波シグナルをトランスデューサから組織に伝搬させたり戻したりすることを可能にしながら、血管組織をトランスデューサおよびドライブシャフトの回転から保護する。ドライブシャフトが回転すると、トランスデューサが、高電圧パルスで周期的に励起され、超音波を一気に放出する。そして同じトランスデューサは、様々な組織構造から反射される戻りエコーを待つ。IVUS画像化システムは、トランスデューサの一回転の間の一連のパルス/アクイジションサイクルからの血管断面の二次元表示を組み立てる。
【0042】
検出用デバイス116としての回転アレイの具体例では、カテーテルシャフトを通って伸びる接続メディアが、当該回転アレイの駆動に用いられるドライブシャフト252を囲むプラスチック鞘250を備えるドライブシャフトルーメンを含む。さらに、接続メディアは、トランスデューサアレイと外部処理システムとの間のデータをやり取りする電気ケーブル254を含む。
【0043】
図5A図5Cは、バルーンカテーテルの患者への挿入を模式的に示すダイアグラムである。本発明は、体内の様々なルーメン、血管または通路、例えば、これらに限定されないが、動脈、例えば冠状動脈、頸動脈および末梢動脈、および静脈、心臓構造、消化器系、器官および脳などの中で用いることができる。特定の例示的な具体例によれば、ガイドワイヤ506が、患者の動脈504に供給される。ある態様において、およそ0.014インチ径のガイドワイヤを使用することができる。カテーテルは、そのガイドワイヤ506に沿って、患者の動脈504に、より深く移動することができる。
【0044】
図5Aは、患者の動脈504へ押し進められた集積カテーテルを示すダイアグラム500である。カテーテル502の先端部は、このような侵入を容易とするように設計することができる。図示しないが、いくつかの適用において、最小内径がおよそ6フレンチ(french)(すなわち、0.066インチまたは2mm)のガイドカテーテルは、検出用バルーンカテーテルの配置を容易にするために使用することができる。この点においては、このバルーンは膨張させない。カテーテルは、バルーンの遠位接合点が動脈504に入るまで動脈504へと押し進められる。カテーテル502は、近位接合点が動脈504に入るまでさらに押し進められる。その後、カテーテル502は、動脈504の外側および患者の外側まで伸びる近位シャフト512にて、動脈にさらに押し進められる。
【0045】
図5Bは、患者の動脈を通って移動するカテーテル502を示すダイアグラム510である。特定の例示的な具体例によると、カテーテル502は、医師が検出用デバイスにより取得したデータを見ながら、動脈504を通る。このデータは、医師に、動脈閉塞508のいくつかのタイプが存在するかどうかについて情報を知らせる。このような閉塞508を見つけた際には、カテーテル502は、バルーンを閉塞508に位置合わせされるように既知の距離だけ、患者にさらに押し進められる。
【0046】
図5Cは、動脈閉塞を緩和するために膨張させた集積バルーンカテーテル502を示すダイアグラム520である。特定の例示的な具体例によれば、バルーンを適切に位置合わせした際に、閉塞を緩和するために膨張させる。上述のように、これは、膨張流体を近位シャフト512の内部ルーメンから圧送することにより行われる。近位シャフト512は柔軟であるため、ダメージを与えることなく、動脈504に入れて、通すように適切に曲がる。
【0047】
図6は、バルーンカテーテルを患者に挿入するための例示的な方法600を示すフローチャートである。特定の例示的な具体例によれば、この方法は、カテーテルの先端部を患者に挿入すること602を含み、このカテーテルはガイドワイヤの後を追うように、また先端部は検出用デバイスを備えるように設計される。この方法は、さらに、バルーンの遠位端が患者に入るようにカテーテルをガイドワイヤに沿って患者に挿入し続けること604を含み、前記遠位端での接合部は内部部材、前記内部部材を内包し、かつ、中央シャフトの内側に接合するバルーン内部スリーブ、および前記中央シャフトの外側に接合するバルーン遠位レッグを備える。この方法は、さらにバルーンの近位端が患者に入るようにカテーテルをガイドワイヤに沿って患者に挿入し続けること606を含み、前記近位端での接合部は内側が前記バルーン内部スリーブに接合する近位シャフト、および前記近位シャフトの外側に接合するバルーン近位レッグを含み、および接続メディアは前記バルーン内部スリーブ、および前記内部部材の間に配置される。
【0048】
図7は、バルーンカテーテルを製造するための例示的な方法を示すフローチャートである。特定の例示的な具体例によると、この方法は、バルーン内部スリーブの遠位端を、中央シャフトの内側に接合すること702を含み、このバルーン内部スリーブは内部部材を内包する。この方法は、さらに、バルーン内部スリーブの近位端を近位シャフトに接合すること704、および接続メディアを前記バルーン内部スリーブおよび前記内部部材の間の空間を通すこと706を含む。
【0049】
図8A図8Eは、集積された治療用および画像化用のカテーテルまたは集積カテーテル800の患者への挿入を説明する。集積カテーテル800はバルーンアセンブリ802および画像化デバイス803を含み、これらはここで述べる差異以外は、前記バルーンアセンブリ110および前記検出用デバイス116とそれぞれ実質的に同じである。集積カテーテル800の内部スリーブ804は、ここで述べる差異以外は、前記内部スリーブ108と実質的に同じである。前記内部スリーブ108について上述したように、いくつかの実施形態では、内部スリーブ804は20ATMを超える高圧能力を有し、これによりバルーンアセンブリ802を規格非準拠のポスト拡張に好適なものにしている。本開示の実施形態によれば、例えば、図8A図8Eは、血管損傷806にアクセスし、この血管損傷を評価し、およびこの血管損傷を処置デバイス、例えば拡張可能なステント808を用いて処置するための集積カテーテル800の用途について説明する。
【0050】
図示した実施形態において、処置デバイスは、拡張可能なステント808を備える。他の実施形態では、処置デバイスは、管内損傷、例えば血管損傷の処置のためにバルーンアセンブリ802で運ぶように形成され、および構成される様々な拡張可能なデバイスのいかなるものを備えてもよい。例えば、処置デバイスは、足場デバイス、バルブデバイス、フィルタデバイス、ステントグラフト、検出用デバイス、アブレーションデバイス、薬物送達または溶出デバイスを備えてもよい。いくつかの例において、処置デバイスは、吸収性デバイス、例えば、これらに限定されないが、吸収性ステントなどを備えてもよい。また、いくつかの例において、処置デバイスは、カテーテル800を外した後、無期限に血管に留まるよう設計してもよい。他の例に置いて、処置デバイスは、カテーテル800と一緒に、またはその後で除去されるように設計してもよい。
【0051】
図8Aは、患者の動脈810に進む集積カテーテル800を説明する。最初に、ガイドワイヤ812が動脈810に供給される。ある態様において、およそ0.014インチ径のガイドワイヤを用いることができる。それからカテーテルはガイドワイヤ802に沿って患者の血管504に、より深く移動することができる。カテーテル800を血管810に挿入している間、バルーンアセンブリ802は膨張させず、非拡張状態にて低プロファイルを維持する。カテーテル800の遠位端814は、動脈810へ入りやすく、および進みやすくするように設計することができる。例えば、遠位端814をテーパ状とすることができる。
【0052】
図8Aに示したように、カテーテル800は、画像化デバイス803およびバルーンアセンブリ802の遠位接合部816が動脈810に入るまで、動脈810に押し進められる。それから、カテーテル800は、バルーンアセンブリ802の近位接合部818が動脈810に入るまで、動脈810にさらに押し進められる。その後、カテーテル800は、動脈810の外側で、および患者の外側に伸びる近位シャフト820で動脈810にさらに押し進められる。
【0053】
図8Bは、患者の動脈810内の損傷806を通って移動するカテーテル800を説明する。画像化デバイス803は、損傷806を検出し、評価するために用いることができる。損傷806としては、近位端825および遠位端830、ならびに近位端825から遠位端830までの長さL1を含む。カテーテル502が動脈810を通ると、医療専門家は画像化デバイス803により得られたデータを見て、血管の健康状態を評価することができる。画像化データは、医師に血管の損傷または傷害のいくつかのタイプ、例えば非限定的な具体例によれば、損傷806などが存在するかどうかを知らせることができる。画像化データは、他の血管の特徴、例えば非限定的な具体例であるが、動脈810の通路やねじれ、動脈810内の血管壁の規則性や非規則性、および動脈810内の血流についての様々な特徴を中継して伝えることができる。この損傷806の視覚化に際して、カテーテル800はバルーンアセンブリ802が閉塞806に位置合わせをするまで動脈810へさらに進められる。画像化デバイス803は、カテーテル800の遠位端814が損傷806を通って移動する際に、血管を画像化し続けることができ、これにより医療専門家にバルーンアセンブリ802の位置の正確な評価を提供することができる。特に、画像化デバイス803を、バルーンアセンブリ802から既知の距離D1のところに位置させて、これにより医療専門家がカテーテル800をこの既知の距離を進めたり戻したりして、画像化デバイス803が所定時間だけ画像化する血管内のどの位置にも、バルーンアセンブリ802を位置決めすることが可能になる。
【0054】
画像化デバイス803は、バルーンアセンブリ802を損傷806の近くに配置させることを容易にするために用いることができる。例示的な具体例では、この損傷806は、処置として縮小やステントを要求する血管内閉塞である。図8Bおよび図8Cに示したように、画像化デバイス803がこの損傷を通って移動する際に、画像化デバイス803により中継された画像データは、医療専門家に、動脈810内の様々な解剖学上の特徴、例えば非限定的な具体例によれば、損傷806の長さL1、損傷806の管腔輪郭(例えば、動脈810の損傷806に対して近位の、隣接した、あるいは遠位の管内径など)、および損傷806を通る血流の特徴などを知らせる。この画像データを用いることにより、医療専門家は、カテーテル800を適切な距離だけ前に進めて、展開していないバルーンアセンブリ802およびオーバーレイステント808を損傷806内で正確に位置させることができる。このステント808は、近位ステント端835から遠位ステント端840までの長さL2を含む。医療専門家は、このステントの長さL2が損傷806を処置するのに適切であるかどうか、すなわち長さL1であるかどうかを評価することができる。さらに、医療専門家は、ステントの径が損傷806の処置に適切であることを確かめることができる。ステント808が、損傷806の適切に処置するのに比較的短すぎる場合、長すぎる場合、幅広すぎる場合または細長すぎる場合、カテーテル800を外し、正しいサイズのステントを運ぶカテーテルで再配置することができ、これにより不適切なサイズのステントの移植を伴うことがある潜在的なステントの破壊または崩壊を回避することができる。
【0055】
図8Cは、患者の動脈810内の損傷806内でのバルーンアセンブリ802およびステント808の展開を説明する。医療専門家がバルーンアセンブリ820およびステント808(非展開状態で)損傷806内に適切に進めた後、医療専門家はバルーンアセンブリ802を膨張させて、損傷806により引き起こされた閉塞を緩和し、およびステント808を展開させて、損傷806の位置での動脈810の新たな開存性を維持することができる。上述のように、これは、膨張流体をカテーテル800の近位シャフト820の内部ルーメンを通して圧送することにより行うことができる。このバルーンアセンブリ802が高圧下、典型的には15−25ATMで膨張した際に、ステント808は展開された状態を取り、損傷806を動脈810の内壁に向けて押し付けて平坦化する。
【0056】
図8Dは、損傷806内でのステント808の初期配備後のバルーンアセンブリ802の損傷806からの離脱を説明する。医療専門家は、バルーンアセンブリ802を収縮させ、画像化デバイス803がステント808の近位に位置するまでカテーテル800を戻す。また、医療専門家は、今度は損傷806およびステント808の近位に位置する画像化デバイス803により受信した画像データを用いて、ステント808の拡張および配備を評価することができる。特に、この画像データは、医療専門家に適切な、ステントの損傷806に対する並置および動脈810内の展開を確かめさせることを可能にする。時折、図8Dに示したように、ステント808の展開が、損傷806を適切に処置するのには不十分となる。例えば、図示した実施形態では、ステント808が損傷806を動脈810の管腔内壁845に圧迫するには十分に展開されていなかった。それよりも、損傷806は部分的に完全なまま留まり、動脈810を通る流れを少なくとも部分的に閉塞する能力を維持している。画像化デバイス803は、画像データを通じて医療専門家にこの情報を伝達することができる。
【0057】
図8Eは、損傷806内でのバルーンアセンブリ802の再挿入および再拡張を説明する。ステント配備を評価した後で、医療専門家がステント808の展開を拡大させて、さらに損傷のプロファイルを減少させることを所望するならば、医療専門家はカテーテル800を再度進めて、バルーンアセンブリをステント808および損傷806内に再配置してもよい。図8Eに示したように、バルーンアセンブリ802は高圧で再度膨張させて、さらにステント808を展開してもよく、これによりステントの並置および/または動脈810の管腔内壁845に対する展開を進歩させることができる。
【0058】
例えば、初期の膨張圧力が17ATMである場合、後続の膨張圧力は20ATMであろう。別の具体例では、初期の膨張圧力が20ATMである場合、後続の膨張圧力は25ATMであろう。初期および後続の圧力間での圧力の変更は予期される。いくつかの実施形態では、前記後続の圧力が、前記初期の圧力よりも所定の割合だけ大きくてもよい。例えば、ある例において、この後続の圧力が、初期の膨張圧力よりも少なくとも25%大きくてもよい。他の所定の割合の増大は予期される。いくつかの実施形態では、医療サービス提供者が初期圧力と後続圧力との間の変化または差分を、処置デバイスのさらなる拡張の所望される程度に応じて、選択することができる。
【0059】
図8Fは、損傷806内でのステント808の第二の展開後の損傷806からのバルーンアセンブリ802の離脱を説明する。医療専門家は、もう一度、バルーンアセンブリ802を収縮させ、およびカテーテル800を画像化デバイス803がステント808の近位に位置するまで戻してもよい。医療専門家は、画像化デバイス803により受信された画像データを用いて、ステント808の展開および配備を評価することができる。特に、画像データは、医療専門家に、適切な、ステントの損傷806に対する並置および動脈810内の拡張を確かめることを可能にする。画像データがステント808の適切な配備(すなわち、適切な位置、展開および並置)を示すものであるならば、医療専門家は、カテーテル800を動脈810(および患者の体)から離脱させてもよい。
【0060】
別の実施形態では、カテーテルは、バルーンアセンブリ、画像化デバイスおよびアブレーションデバイスを備えてもよい。他の実施形態では、カテーテルは、バルーンアセンブリ、画像化デバイス、および電気刺激デバイスを備えてもよい。いくつかの実施形態では、これら処置デバイスは、標的組織を除神経するために用いることができる。図8A図8Fに言及して上述したように、医療専門家は、イメージングと組み合わせて、圧力を増大させながらバルーンアセンブリを膨張させてこれら処置デバイスの正確な位置、再配置、およびリアルタイムでの使用を確認することができる。
【0061】
例示的な実施形態を示し説明したが、広い範囲の修飾、変更、および置換は、前述の開示において予期されるところであり、およびいくつかの例において、本開示のいくつかの特徴は、他の特徴の使用に対応していなくても採用することができる。また、このような変形は本開示の範囲を逸脱しない限り前述においてなし得るものであることは理解される。したがって、添付のクレームが広く、そして本開示の範囲に適合した方法で解釈されることは適切である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F