(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382835
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ストラップ一体型患者インタフェースクッション
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/06 C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-547202(P2015-547202)
(86)(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公表番号】特表2016-503673(P2016-503673A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】IB2013058790
(87)【国際公開番号】WO2014091322
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】61/736,702
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハイムス ケビン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ エリザベス
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/062510(WO,A1)
【文献】
特表2012−526592(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/027792(WO,A1)
【文献】
特表2011−509762(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/070929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸治療の療法を提供する患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムであって、当該システムは、
フレキシブルなポリマー材料でできた2つ以上のヘッドギアストラップであって、各ヘッドギアストラップは、近位端部及び遠位端部を有し、ヘッドギアストラップの各遠位端部は、ヘッドギアシステムに取り付ける又は係合することができる当該ヘッドギアストラップと、
フレキシブルなポリマー材料でできた、前記ヘッドギアストラップの各近位端部に連続一体的に形成されたクッションであって、前記クッションは、前記患者による前記患者インタフェース装置の装着に応じて前記患者の顔に接する第1側部と、前記第1側部に対向する第2側部とを有する、当該クッションと、
サーモプラスチック材料でできた、前記クッションの前記第2側部の開口部に位置付けられて前記クッションの前記第2側部によって囲まれた円形断面を持つ円筒状のハブであって、流体コネクタに接続される当該ハブと、を有し、
前記クッションは、前記患者の鼻孔に隣接して位置付けられる実質的に並行な突出部を有する、
システム。
【請求項2】
前記クッションは、前記患者の鼻と前記患者の上唇との間に位置付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クッションは、前記患者の上唇から前記患者の鼻梁まで延びる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記2つ以上のヘッドギアストラップは、4つのヘッドギアストラップを有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッドギアストラップ及び前記クッションはそれぞれ、約20shAから約85shAまでのデュロメータ硬度を持つ材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハブは、約70shAから約120ロックウェルRまでのデュロメータ硬度を持つ材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ヘッドギアストラップ及び前記クッションは、前記ハブの上にオーバーモールディングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ヘッドギアストラップ及び前記クッションは、接着剤又は他の化学的、機械的、若しくは熱的手段によって、前記ハブに結合される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[01] この特許出願は、米国特許法第119(e)条の下、2012年12月13日に出願された米国仮特許出願第61/736,702号の優先権の利益を主張し、その内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
[02] 本発明は、ユーザの気道に、及び/又は、ユーザの気道から、ガスを運ぶための患者インタフェース装置に関し、特に、ストラップ一体型クッションを有する患者インタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[03] 患者の気道に非侵襲的に、すなわち患者に挿管することなく又は患者らの食道内に気管チューブを外科的に挿入することなく、呼吸ガスのフローを送ることが必要である又は望ましい数多くの状況がある。例えば、非侵襲的換気として知られている技術を使用して、患者に換気を行うことが知られている。睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)又は鬱血性心不全等の医学的障害を処置するために、持続気道陽圧(CPAP)又は患者の呼吸サイクルと共に変動する可変の気道内圧を送ることも知られている。
【0004】
[04] 非侵襲的換気及び圧力補助療法は、患者の顔の上に、マスク部品を含む患者インタフェース装置の配置を含む。マスク部品は、例えば患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻孔内に受容される鼻プロングを有する鼻クッション、鼻及び口を覆う鼻/口マスク、又は患者の顔を覆うフルフェイスマスクを含む。患者インタフェース装置は、呼吸ガスのフローが圧力/フロー発生装置から患者の気道へと送られ得るように、ベンチレータ又は圧力補助装置と、患者の気道との間をつなぎ合わせる。患者の頭の上/周りに合うように適合された1つ以上のストラップを有するヘッドギアによって装着者の顔にこのような装置を維持することが知られている。
【0005】
[05] このような患者インタフェース装置に関して、重要な技術的挑戦は、患者の快適さとマスクの安定性とのバランスを取ることである。これは、このような患者インタフェースデバイスが一般に長時間装着されるOSAの治療の場合に特に重要である。患者は、夜の間を通じて眠っている位置を変更するので、マスクは、取り外されやすく、密閉が中断され得る。取り外されたマスクは、ストラップの力を増大させることによって安定化され得るが、増大されたストラップの力は、患者の快適さを低減する傾向にある。このデザイン上の衝突は、広範の様々な顔の形状によってさらに複雑化され、所定のマスクデザインは、適合する必要がある。顔の形状が大きく異なる一つのエリアは、(鼻唇角として知られている)鼻のつけ根の角度である。
【0006】
[06] 適合度及び快適さがしばしば懸念される別のエリアは、患者の鼻梁であり、これは、多くの患者インタフェース装置が、このエリアに圧力を付与するからである。この圧力が効果的に管理され得ない場合、適合不良若しくは患者の不快感のいずれか、又は両方が結果的に生じ、これによって装置の効果が制限される。
【0007】
[07] CPAP治療など圧力補助治療を提供するための患者インタフェース装置は、一般に、フレーム、クッション、ヘッドギアストラップ、スイベルハブ(swivel hub)に結合されるエルボコネクタ、及びエルボコネクタを圧力発生装置に結合する管で構成される。該フレームは、スイベルハブ、ストラップ、及びクッションが全て取り付けられ得る中心の構成部品として使用される。組み立ての容易性を促進するために、及び構成部品が良好に密閉することをより確実にするために、これらの構成部品の多くは、一般に、ストラップ材料よりも硬いプラスチック又はポリマー材料から製造される。
【0008】
[08] (カリフォルニア州サンディエゴのResMed社から入手可能な)SWIFT FX(登録商標)マスクは、フレームを作るのに硬質材料を使用しない点を除いては、典型的なマスク部品構造を利用するマスクの一例である。このデザインは、患者に改善された快適さを提供するが、このデザインは、組み立てるのがより難しいという点で、重大な不利な点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[09] 従って、従来の患者インタフェース装置の欠点を克服する、患者に呼吸治療を提供するための患者インタフェース装置を提供することが、本発明の目的である。この目的は、本発明の一実施形態によれば、クッション及びヘッドギアストラップが、エルボ又は他の流体コネクタに接続するためのハブの上に一つの部品としてオーバーモールディングされる患者インタフェース装置を提供することによって、達成される。これは、フレームの必要性を排除し、最大4個までの構成部品を有するアセンブリを、エンドユーザによって知覚されるように、一個の構成部品だけに減らす。
【0010】
[10] 加えて、スイベルエルボハブ周りのシリコンは、管及びエルボのトルクを、患者の顔に取り付けるマスクの特徴から隔離するという点において、衝撃吸収材として作用するようにデザインされ得る。
【0011】
[11] フレームに硬質材料の無いフェイスマスクを持たせることが、この発明の目的である。さらに、フレーム、クッション、スイベルハブ、エルボ、及びストラップを一つの連続する密閉部品に組み込むことが、この発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[12] 本発明によれば、患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムは、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合される。本システムは、フレキシブルなポリマー材料でできた2つ以上のヘッドギアストラップと、フレキシブルなポリマー材料でできたクッションと、サーモプラスチック材料でできた、クッションに位置付けられるハブであって、流体コネクタに接続されるように構成される当該ハブとを有する。各ヘッドギアストラップは、近位端部及び遠位端部を有し、ヘッドギアストラップの各遠位端部は、ヘッドギアシステムに取り付ける又は係合することができる。クッションは、ヘッドギアストラップの各近位端部に一体的に接続され、該ヘッドギアストラップ及び該クッションは、ハブにオーバーモールディングされるか又は別のやり方でハブに取り付けられる連続部品を形成する。
【0013】
[13] 本発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び特性だけでなく、構造の関連する構成要素の動作方法及び機能、並びに、部品と製造の経済性との組み合わせは、添付の図面を参照して、以下の説明及び添付の請求項を検討することで、より明らかとなり、これら全てがこの明細書の一部を形成する。ここで、同様の参照符号は、種々の図面において対応する部分を示す。しかしながら、図面は例示及び説明のためにのみ提供されるものであり、本発明の限定を規定するものとして意図されていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[14]
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図である。
【
図2】[15]
図2は、本発明の別の例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図である。
【
図3】[16]
図3は、
図1又は
図2の一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な側部断面図である。
【
図4】[17]
図4は、本発明の別の例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図である。
【
図5】[18]
図5は、
図4の一体型のクッション及びヘッドギアストラップの模式的な側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[19] 本明細書では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、そうでないことを文脈が明確に示さない限り、複数形も含む。本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される(coupled)」という用語は、連結が生じる限りは、部品が直接的に共に接合若しくは機能するか、又は間接的に、即ち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して、部品が共に接合若しくは機能することを意味する。本明細書では、「直接的に結合される(directly coupled)」は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書では、「固定的に結合される(fixedly coupled)」又は「固定される(fixed)」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら、一体となって動くように結合されることを意味する。
【0016】
[20] 本明細書では、単語「単一の(unitary)」は、構成要素が単一の部品又はユニットとして作られることを意味する。つまり、別個に作られ、その後、ユニットとして共に結合された部分を含む構成要素は、「単一の(unitary)」構成要素又は本体ではない。本明細書で使用される方向の表現、例えば及び限定されることなく、頂、底、左、右、上、下、前、後ろ及びこれらの派生語などは、図面に示される要素の配向に関するものであり、本明細書に明確に列挙されない限りは、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0017】
[21] 本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「係合する(engage)」という言明は、該部品が、直接的に、又は1つ以上の中間部品又は構成要素を介してのいずれかにおいて、互いに力を及ぼすことを意味する。本明細書では、「数(number)」なる用語は、1又は1よりも大きい整数(すなわち複数)を意味する。本明細書では、デュロメータ硬度は、デュロメータによって測定されるショア硬度を指す。
【0018】
[22] 本発明の一実施形態では、サーモプラスチック製スイベル気道エルボハブと組み合わせて、圧力の範囲の下で患者への密閉のために、マスク上のクッションに対して十分な引張力を持つようにフレキシブルなポリマー材料の材料特性を最適化するマスクを含む患者の気道に呼吸ガスのフローを運ぶための患者インタフェース装置が提供される。フレキシブルなポリマー材料の厚さは、引張方向及び引張力を最適化するために、デザインプロファイルにわたって変化させることができる。弾力性又はデュロメータ硬度を変化させる材料は、伸縮性を変化させ、ストラップ及びマスクのデザインを最適化するために使用され、サーモプラスチック材料は、適切な剛性のために選択される。種々異なる材料が、例えばオーバーモールディング、適切な接着剤、又は化学的、機械的、若しくは熱的な結合によって接合される。
【0019】
[23]
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図である。クッション及びヘッドギアストラップシステム2は、ヘッドギアストラップ4と、クレードル(cradle)クッション6とを有し、クレードルクッション6は、患者の鼻8と上唇12との間に位置付けられる。ストラップ4及びクレードルクッション6は、環状又は球状ハブ14の上に一つの連続部品としてオーバーモールディングされる。ハブ14は、クレードルクッション6を圧力発生装置(不図示)に結合するためのエルボ又は他の流体コネクタ(不図示)を受容し、且つ、これらに接続するように成形され、寸法決めされる。ストラップ4、クレードルクッション6、及びハブ14の製造に適する材料は、本明細書の他の部分で詳細に説明される。ストラップ4はそれぞれ、ヘッドギアストラップシステム(不図示)に取り付けられる又は係合されるように構成される遠位端部20を有する。
【0020】
[24]
図2は、本発明の別の例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図である。クッション及びヘッドギアストラップシステム28は、ヘッドギアストラップ30と、サドルクッション32とを有し、サドルクッション32は、実質的に並行な突出部34を有する。サドルクッション32は、患者の鼻36と上唇40との間に位置付けられ、突出部34は、鼻孔42にはめ込まれる又は鼻孔42に隣接して位置付けられる。ストラップ30及びサドルクッション32は、環状ハブ44の上に一つの連続部品としてオーバーモールディングされる。ハブ44は、サドルクッション32を圧力発生装置(不図示)に結合するためのエルボ又は他の流体コネクタ(不図示)を受容し、且つ、これらに接続するように成形され、寸法決めされる。ストラップ30、サドルクッション32、及びハブ44の製造に適する材料は、本明細書の他の部分で詳細に説明される。ストラップ30はそれぞれ、ヘッドストラップシステム(不図示)に取り付けられる又は係合されるように構成される遠位端部48を有する。
【0021】
[25]
図3は、
図1の一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステム2、あるいは
図2の一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステム28の模式的な側部断面図である。
図3に見られるように、及び本明細書の他の部分に説明されるように、クレードルクッション6又はサドルクッション32は、患者の鼻8、36の下及び患者の上唇12、40の上のスペースに位置付けられる。クッション6、32は、ハブ14、44が中に位置付けられている開口部52を有する。
【0022】
[26]
図4は、本発明の別の例示的な実施形態による、患者に呼吸治療の療法を提供するように適合された患者インタフェース装置のための一体型のクッション及びヘッドギアストラップシステムの模式的な正面図であり、
図5は、その模式的な側部断面図である。クッション及びヘッドストラップシステム56は、4つのヘッドギアストラップ58と、鼻クッション60とを有する。鼻クッション60は、患者の鼻62に適合し、患者の上唇66辺りから患者の鼻梁まで、つまり患者の眼70の高さにほぼ等しい点68又は患者の鼻62の長さの約80%から約100%の所まで延びる。ストラップ58及び鼻クッション60は、環状ハブ72の上に一つの連続部品としてオーバーモールディングされる。ハブ72は、鼻クッション60を圧力発生装置(不図示)に結合するためのエルボ又は他の流体コネクタ(不図示)を受容し、且つ、これらに接続するように成形され、寸法決めされる。ストラップ58、鼻クッション60、及びハブ72の製造適する材料は、本明細書の他の部分で詳細に説明される。ストラップ58はそれぞれ、ヘッドストラップシステム(不図示)に取り付けられる又は係合されるように構成される遠位端部76を有する。
【0023】
[27] ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60は、例示的な実施形態では、シリコンなどの材料を含むが、これに限定されない。例示的な実施形態では、ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60は、約20ショアAから約85ショアAまでのデュロメータ硬度及び/又は約50psiから約1000psiまでの100%モジュラス弾性率を持つ材料を含む。他方で、ハブ14、44、72はそれぞれ、高いデュロメータ及び低い弾性の材料、例えば約70ショアAから約120ロックウェルRまでのデュロメータ硬度及び/若しくは約500psiから約1,000,000psiまでの曲げ弾性率を持つポリマー又はサーモプラスチックを含む。
【0024】
[28] ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60の厚さは、伸長位置及び圧縮を制御するために変化する。厚い部分は、伸長又は圧縮させるのにより多くの力を必要とする。当業者は、厚さと長さのバリエーションが最適化を可能にすることを理解し得る。
【0025】
[29] ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60の断面の幅及び厚さは、所望の特性及びデザインの特徴によって可変である。例えば、ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60の厚さは、約0.5mmから約7mmまで、及びヘッドギアストラップ4、30、58の幅は、約7mmから約20mmまでであり得る。クッション6、32、60の幅は、約6cmから約10cmまでであり得る一方で、クッション6、32、60の高さは、約2cmから約20cmまで可変である。
【0026】
[30] 本明細書の他の部分に説明されるように、例示的な実施形態では、ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60は、ハブ14、44、72の上にオーバーモールディングされる連続一体型のシステムを形成する。代替的に、ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60を有する連続一体型のシステムは、接着剤によって、又は何か他の機械的、熱的、若しくは化学的なやり方でハブ14、44、72に取り付けられる又は結合される。
【0027】
[31] 本明細書で、ヘッドギアストラップ4、30、58及びクッション6、32、60を形成するのに有用な好ましいポリマー材料は、容易に入手可能なポリエチレン又はシリコンなどのサーモプラスチックエラストマである。このようなシリコンの例は、Wacker Chemie社(Munich, Germany)から入手可能なWacker(登録商標)3003/3009ファミリーのシリコン、Bluestar Silicone USA社(East Brunswick, NJ)から入手可能なBluestar(登録商標) 4310シリコン、及び信越化学工業株式会社(東京)から入手可能なShin Etsu(登録商標)2090ファミリーのシリコンを含む。
【0028】
[32] 上記説明では、特定の部分は、このような部分を共に接合するためにオーバーモールディングされ得ることが示されている。このプロセスは、通常、一つの材料(材料X)が最初に所望の形状に成形され、その後、材料Xが液体から固体に硬化し始めた時点で、次の材料(材料Y)が材料Xの上の特定のエリアに成形され得、架橋材料及び/又は化学的に結合された材料を作る。当業者は、化学的、機械的、又は熱的手段による結合を含むがこれらに限定されない、ポリマー部分を共に結合するための他の方法及び技術を使用することができることを理解し得る。機械的連結は、材料Xの構造(すなわち孔)にデザインされ得、材料Yが成形される時、硬化していない材料が材料Xの構造の中及び周りに流れ込み、機械的連結を作る。このプロセスは、サーモプラスチック製保持リングにオーバーモールディングされるComfort Gel Full Silicone FlapなどのPhilips Respironics社の最新のマスクに見られる。例えば、材料が化学的に結合される場合、限定されないが、LSR、UV硬化型接着剤、瞬間接着剤、RTV、RTV2などの接着剤が、材料Xを材料Yに結合させるために使用され得る。
【0029】
[33] 従って、本発明は、組み立てるのが容易で、患者の顔を快適に密閉する改良された患者インタフェース装置を提供することが理解され得る。
【0030】
[34] 特許請求の範囲では、括弧内に置かれる任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「有する(comprising)」又は「含む(including)」という単語は、特許請求の範囲に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を排除しない。幾つかの手段を列挙する装置の請求項においては、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化されてもよい。要素に先行する単語「a」又は「an」は、複数のこのような要素の存在を排除しない。幾つかの手段を列挙する任意の装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって具現化されてもよい。特定の要素が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの要素を組み合わせて使用することができないことを示すものではない。
【0031】
[35] 本発明は、現在、最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられているものに基づいて例示の目的で詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、本発明は開示された実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内の変更及び均等のアレンジメントを包含することを意図すると理解されるべきである。例えば、本発明は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ以上の特徴が、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられ得ることを企図すると理解されるべきである。