特許第6382885号(P6382885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382885
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   H02M7/12 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-102183(P2016-102183)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-212765(P2017-212765A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2017年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000185075
【氏名又は名称】小川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 基
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−293159(JP,A)
【文献】 特開平03−078469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力電圧を整流する整流部と、
スイッチング素子を有し、前記整流部で整流された入力電圧を受けて、前記スイッチング素子が継続してオンとされることで入力電圧を出力電圧とするとともに、前記スイッチング素子のスイッチング動作に応じて電圧変換された出力電圧を得る電圧変換部と、
前記出力電圧と設定出力電圧の比較信号を生成する電圧比較部と、
前記入力電圧が前記設定出力電圧未満に設定された発振開始電圧に達していない期間は、発振停止期間とされて前記スイッチング素子を継続してオン制御する制御信号を出力し、前記入力電圧が前記発振開始電圧以上となっている期間は、前記スイッチング素子をオン/オフ制御する発振期間と、前記スイッチング素子を継続してオフ制御する発振停止期間とが、前記電圧比較部による比較信号により制御されるとともに、発振期間のパルスデューティが前記入力電圧に応じて可変制御される制御信号を出力する発振器部と、を備えた
電源装置。
【請求項2】
前記電圧比較部は、前記出力電圧が前記設定出力電圧を越えた場合に、前記発振器部による制御信号を前記発振停止期間の状態にさせる前記比較信号を出力し、
該発振停止期間において前記スイッチング素子はオフに制御される
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記発振器部は、前記発振期間の制御信号として、発振時定数回路による発振信号と閾値とを比較して矩形波発振信号を出力するコンパレータを有する構成とされ、
前記比較信号は、前記出力電圧が前記設定出力電圧を越えた場合に、前記コンパレータの前記発振信号の入力端子を前記閾値の入力端子より低電位にする信号である
請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記発振器部は、前記発振期間の制御信号として、発振時定数回路による発振信号と閾値とを比較して矩形波発振信号を出力するコンパレータを有する構成とされ、
前記入力電圧によって前記閾値が変化されることで、前記制御信号の前記発振期間におけるパルスデューティが可変制御される
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAC/DCコンバータとして適用できる電源装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば小型エンジンを用いた発電においては、永久磁石を用いた発電機を使用し、交流の電気を発電しているものがある。この場合にエンジンの回転数により発電する電圧が高低するため、必要に応じてシャントレギュレータを併用している。しかしシャントレギュレータにより出力電圧を適正化する場合、常時余剰電力を熱エネルギーとして放出するものであり無駄が多い。これに対してAC/DCコンバータを使用することで、制御上の無駄をなくすことができる。
【0003】
下記特許文献1には交流入力に対して整流回路、平滑回路、及びDC/DCコンバータから成るAC/DCコンバータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−148072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここでレギュレートレクチファイヤとして使えるAC/DCコンバータを考える。具体的にはエンジン回転を利用する発電機で作られた交流を安定化した直流として出力するAC/DCコンバータである。
従来AC/DCコンバータをレギュレートレクチファイヤとして使うには以下の問題があった。
一般的にレギュレートレクチファイヤには、AC0VからAC100V以上の入力範囲が必要であるが、従来のPWM制御による電圧操作だけでは周辺素子への負担が大きくなる。このため、広い入力電圧範囲に適したAC/DCコンバータが望まれている。
また出力電圧の制御精度に難があり、より安定した出力電圧が望まれている。
本発明はこれらの要望に鑑み、広い入力電圧範囲に対応し、出力電圧精度の高いAC/DCコンバータとしての電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源装置は、交流入力電圧を整流する整流部と、スイッチング素子を有し、前記整流部で整流された入力電圧を受けて、前記スイッチング素子が継続してオンとされることで入力電圧を出力電圧とするとともに、前記スイッチング素子のスイッチング動作に応じて電圧変換された出力電圧を得る電圧変換部と、前記出力電圧と設定出力電圧の比較信号を生成する電圧比較部と、前記入力電圧が前記設定出力電圧未満に設定された発振開始電圧に達していない期間は、発振停止期間とされて前記スイッチング素子を継続してオン制御する制御信号を出力し、前記入力電圧が前記発振開始電圧以上となっている期間は、前記スイッチング素子をオン/オフ制御する発振期間と、前記スイッチング素子を継続してオフ制御する発振停止期間とが、前記電圧比較部による比較信号により制御されるとともに、発振期間のパルスデューティが前記入力電圧に応じて可変制御される制御信号を出力する発振器部とを備える。
即ちスイッチング素子の制御信号は、出力電圧に応じて発振期間が制御され、入力電圧に応じてパルスデューティが制御されるようにすることで、広範囲な入力電圧にも対応できるようにする。
【0007】
上記した電源装置においては、前記電圧比較部は、前記出力電圧が前記設定出力電圧を越えた場合に、前記発振器部による制御信号を前記発振停止期間の状態にさせる前記比較信号を出力し、該発振停止期間において前記スイッチング素子はオフに制御されるようにすることが考えられる。
これにより設定出力電圧への安定化を行う。
【0008】
上記した電源装置においては、前記発振器部は、前記発振期間の制御信号として、発振時定数回路による発振信号と閾値とを比較して矩形波発振信号を出力するコンパレータを有する構成とされ、前記比較信号は、前記出力電圧が前記設定出力電圧を越えた場合に、前記コンパレータの前記発振信号の入力端子を前記閾値の入力端子より低電位にする信号とすることが考えられる。
時定数回路の出力と閾値を比較するコンパレータで制御信号を出力する構成とする場合、発振信号の入力端子を閾値の入力端子より低電位とすることで発振出力を停止させる。
【0009】
上記した電源装置においては、前記発振器部は、前記発振期間の制御信号として、発振時定数回路による発振信号と閾値とを比較して矩形波発振信号を出力するコンパレータを有する構成とされ、前記入力電圧によって前記閾値が変化されることで、前記制御信号の前記発振期間におけるパルスデューティが可変制御されるようにする。
これにより入力電圧に応じたパルスデューティの制御を容易化する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、広い入力電圧範囲に対応し、かつ出力電圧精度の高いAC/DCコンバータとしての電源装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態のAC/DCコンバータを有する発電システムの説明図である。
図2】実施の形態のAC/DCコンバータのブロック図である。
図3】実施の形態のAC/DCコンバータの動作の波形図である。
図4】実施の形態のAC/DCコンバータの回路図である。
図5】実施の形態のAC/DCコンバータの一部を抽出した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の電源装置の実施の形態としてのAC/DCコンバータを説明する。
図1は実施の形態のAC/DCコンバータ1を含む発電システムの例を示している。
当該発電システムは、発電用エンジン2,発電機3,AC/DCコンバータ1によって、バッテリー5を充電する直流電圧を得るシステム例としている。
【0013】
発電用エンジン2による回転がベルト4によって発電機3の発電機軸に伝達される。発電機3は伝達された回転力を利用して例えば永久磁石式発電方式により発電を行う。
発電機3の出力は交流電圧で、単相、三相の出力を選ぶことができる。発電機3の出力は発電機軸の回転数に比例した電圧を出力する。従って発電用エンジン2の回転数に比例した電圧が出力される。本実施の形態では、R、S、Tとして示した3相交流電圧出力を行うものとして説明していく。
【0014】
AC/DCコンバータ1は発電機3の出力電気を使ってすべての動作を開始する。本実施の形態のAC/DCコンバータ1の入力電圧範囲は、0VからAC100V以上の高電圧にも対応するものとされる。
このAC/DCコンバータ1による出力電圧はバッテリー5の充電に用いられるが、これ以外にも各種電気機器の動作に利用できる。
【0015】
このような発電システムは、例えば無線操縦飛行体(無線操縦型の小型ヘリコプターその他の飛行体)や車両等に搭載することが想定される。
その場合、例えば発電用エンジン2は、飛行用回転翼の駆動用や車両走行のためのエンジンを用いることができる。AC/DCコンバータ1の出力や、バッテリー5からの出力電圧は、飛行体等に搭載する電装品、例えば無線受信器、カメラ、ジンバル(カメラの取り付け機構)のモータ等などの動作電圧として利用することもできる。
もちろん飛行用回転翼の駆動や車両走行のためのモータを、AC/DCコンバータ1の出力電圧や、バッテリー5からの出力電圧を電源として用いることも考えられる。
【0016】
AC/DCコンバータ1の構成を図2に示す。
AC/DCコンバータ1は、整流部11、電圧変換部(DC/DCコンバータ)12、出力フィルタ部13、発振器部14、電圧比較部15、電圧設定部16を有する。
【0017】
整流部11は発電機3から供給される3相交流電圧に対して3相整流及び平滑動作を行う。即ち整流部11は整流用ダイオードと平滑用コンデンサを備えており、交流電圧を全波整流してDC電圧に平滑化する。
整流部11でDC電力に変換された電圧(以下「入力電圧V1」という)は電圧変換部12に供給される。電圧変換部12は入力電圧V1を入力して電圧変換動作を行い、変換された電圧(以下「出力電圧V2」という)を得る。
【0018】
出力電圧V2は出力フィルタ部13を介して負荷50(バッテリー5等)に対して直流電圧として出力される。出力フィルタ部13は例えばチョークコイルとコンデンサとダイオードからなる簡易的なフィルタとされ、スイッチングノイズの低減、バッテリー5等を接続した場合の逆流防止、負荷50を並列接続可能にする等の目的で設けられている。
【0019】
電圧変換部12では電圧変換のためにスイッチング素子が用いられている。このスイッチング素子のオン/オフが発振器部14から出力される制御信号S1により制御される。
発振器部14は例えば図4図5で後述するようにコンパレータを使った矩形波発振回路である。発振器部14は入力電圧V1と電圧比較部15からの比較信号S2に応じて、スイッチング制御のための制御信号S1を出力する。具体的には、発振器部14は、入力電圧V1が或る発振開始電圧Vst(図4図5で後述)となると発振を開始する構成とされているが、比較信号S2によって発振が停止される期間が生じるようにされている。
【0020】
発振器部14ではこのような発振/発振停止の動作による制御信号S1を出力するが、その発振周期は一定で、入力電圧V1によりデューティが変化する。
デューティを変化させる目的は、入力電圧V1が大きく変わった時や出力電流が大きく変わった時の対応を容易とするためである。
電圧比較部15は、出力電圧V2と電圧設定部16の設定出力電圧Vtgを比較し、比較結果に応じた比較信号S2を発振器部14に出力する。設定出力電圧Vtgは、出力電圧V2の目標電圧である。
【0021】
図3を参照して動作を説明する。
図3Aは入力電圧V1であり、ここでは、入力電圧V1が0Vから徐々に高くなっている状態を例示している。
図3Bは出力電圧V2である。入力電圧V1が設定出力電圧Vtgに達するまでは、入力電圧V1がそのまま出力電圧V2となる。入力電圧V1が設定出力電圧Vtgを越えているときは、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgとなるように電圧変換部12が動作する。図では、出力電圧V2は設定出力電圧Vtgに安定化されている状態で示している。実際には入力電圧V1に変動があり、それが制御信号S1による電圧比較部15のスイッチング素子の制御により、図示のように安定化されるものである。
【0022】
図3Cは電圧比較部15から出力される比較信号S2である。電圧比較部は出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを越えることに応じてローレベル(=オン)となる比較信号S2を出力する。
図3Dは発振器部14の発振状態を示している。斜線部の区間は発振を停止している区間である。入力電圧V1が発振開始電圧Vstに至るまでの期間(時点t0〜時点t1)や、比較信号S2がローレベルの期間は、発振器部14は発振停止となる。
【0023】
図3Eは発振器部14から出力される制御信号S1を示している。この制御信号S1によって電圧変換部12が制御されるが、入力電圧V1が設定出力電圧Vtg未満である期間(時点t0〜時点t1)は、電圧変換部12は、入力電圧V1を降圧せずに出力電圧V2とする。
一方、入力電圧V1が設定出力電圧Vtg以上となる時点t2以降については、制御信号S1に応じて入力電圧V1を断接して出力電圧V2を設定出力電圧Vtgに安定化する。具体的には入力電圧V1が高くなるほど、スイッチング素子(FET)をオフする期間(累積的な期間)を長くする。
【0024】
以上の構成を備えるAC/DCコンバータ1の具体的な回路例を図4図5で説明する。なお、図4はAC/DCコンバータ1の全体の回路例であり、図5図4の回路のうちで主に発振器部14,電圧比較部15,電圧設定部16を抽出して示したものである。
【0025】
図4に示す端子41,42,43には、発電機3からの3相の交流電圧が供給される。この端子41,42,43からの入力が整流部11で整流される。整流部11は3相整流を行う3相ブリッジダイオードD1(D1a〜D1f)と平滑コンデンサC1を有する。この整流部11の出力として正極ライン50,負極ライン51間に入力電圧V1が得られる。負極ライン51はグランドラインとされている。
【0026】
正極ライン50と負極ライン51の間には、ツェナーダイオードD2,抵抗R1,R2が直列接続されている。これらは図5に示すように発振器部14の一部となり、抵抗R1,R2によって発振器部14が発振可能となる入力電圧V1の値を設定する。抵抗R1,R2で決められる電圧を発振開始電圧Vst’とする。
発振開始電圧Vst’は、発振器部14が上述した発振開始電圧Vstを検知するための回路上の設定値である。発振器部14の動作としてみれば、発振開始電圧Vst’は上述の発振開始電圧Vstと等価である。
【0027】
正極ライン50と負極ライン51の間の入力電圧V1は電圧変換部12に供給される。電圧変換部12は入力電圧V1を受けて出力電圧V2を出力する。
電圧変換部12は、スイッチング素子としてのFET(Field Effect Transistor)31、チョークコイルL1、ダイオードD3、抵抗R3、スイッチング制御用のフォトカプラPh1、出力側コンデンサC3を有した降圧型DC/DCコンバータとして構成されている。
【0028】
FET31はドレイン−ソースが正極ライン50に挿入されている。FET31のゲートは抵抗R3を介してゲート駆動用のフォトカプラPh1に接続される。
フォトカプラPh1はNチャネルMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-FET)であるFET47、48と発光ダイオードD10とフォトダイオードD11が一体化された素子とされている。
FET47のソースとFET48のドレインは接続され、これらが抵抗R3を介してFET31のゲートに接続される。
FET47のドレインとFET48のソースの間はコンデンサC2が挿入されている。
そしてFET47のドレインはDC/DCコンバータ34の正極出力端子に接続され、FET48のソースはDC/DCコンバータ34の負極出力端子に接続されている。
このFET47のドレインとFET48のソース間には、DC/DCコンバータ34から、スイッチング素子としてのFET31のスイッチング駆動用のゲートドライブ電圧V5が供給される。
FET48のゲートとFET47のゲートの間にはフォトダイオードD11が接続される。
このフォトカプラPh1では、発光ダイオードD10に電流が流れることでフォトダイオードD11に電流が流れ、FET47,48が制御され、それに応じてFET31のゲート電圧が変化する。この場合、発光ダイオードD10に電流が流れることで、FET31がオンになる構成とされている。
【0029】
スイッチング素子としてのFET31のソースにはチョークコイルL1が接続され、またFET31とチョークコイルL1の接点にダイオードD3のカソードが接続される。ダイオードD3のアノードは負極ライン51に接続されている。
またコンデンサC3はチョークコイルL1の出力端側と負極ライン51の間に接続されている。
このような電圧変換部12により、その出力側に出力電圧V2が得られる。
【0030】
コンデンサC3と並列に、電圧設定部16としての抵抗R4、可変抵抗VR1が接続されており、可変抵抗VR1のセンター端子から、出力電圧V2を分圧した設定出力電圧Vtg’が得られる。従って設定出力電圧Vtg’は可変抵抗VR1により設定変更可能である。この設定出力電圧Vtg’は電圧比較部15としての部位に供給される。この点は図5で後述する。
なお、先の図2のブロック図では、電圧比較部15が設定出力電圧Vtgと出力電圧V2を比較すると説明したが、この図4の回路例では、電圧比較部15(コンパレータ37)が、出力電圧V2を分圧して設定出力電圧Vtg’を得て、これを後述する固定の基準電圧Vrefと比較する構成としている。この設定出力電圧Vtg’と基準電圧Vrefの比較は、設定出力電圧Vtgと出力電圧V2の比較と等価である。
説明上、仮に設定出力電圧Vtg=12Vとし、電圧変換部12は出力電圧V2=12Vとなるように動作するものとする。
【0031】
電圧変換部12から出力される出力電圧V2は出力フィルタ部13に供給される。
出力フィルタ部13はコイルL2、コンデンサC4、ダイオードD6、D7から成るフィルタとされる。
出力電圧V2は出力フィルタ部13を介して出力端子44,45間に得られることになる。出力端子44,45は図2に示した負荷50の正極/負極に接続される。
【0032】
入力電圧V1が得られる正極ライン50には抵抗R14を介してNPN型バイポーラトランジスタであるトランジスタ32のコレクタが接続されている。トランジスタ32のコレクタ−ベース間には定電流ダイオードD4が接続され、またベースにはツェナーダイオードD5のカソードが接続されている。ツェナーダイオードD5のアノードは負極ライン51に接続されている。またトランジスタ32のベースと負極ライン51の間にはコンデンサC5が接続されている。
【0033】
トランジスタ32のエミッタと負極ライン51の間にはコンデンサC6が接続されているとともに、エミッタに現れる電圧V4がDC/DCコンバータ33に入力される構成となっている。
さらにトランジスタ32のエミッタには、ダイオードD8のカソードが接続される。ダイオードD8のアノードには電圧変換部12の出力である出力電圧V2が印加される。
DC/DCコンバータ33は、入力される電圧V4から、一定の動作電圧V3(例えばV3=5V)を生成して出力する。
【0034】
この構成の場合、出力電圧V2が例えば12Vに至るまでは、入力電圧V1に基づいた電圧V4がDC/DCコンバータ33に供給される。つまり入力電圧V1が低く、出力電圧V2が12Vに至っていない期間は、トランジスタ32がオンとなり、エミッタ側に現れる電圧V4がDC/DCコンバータ33の入力電圧となる。
出力電圧V2が12Vに達すると、ツェナー電圧が12Vに設定されたツェナーダイオードD5が導通する。それによってトランジスタ32はベースとエミッタが同電位になることでオフとなり、この状態では、出力電圧V2がダイオードD8を通じて供給され、DC/DCコンバータ33へ入力される電圧V4となる。
【0035】
DC/DCコンバータ33の出力側と負極ライン51の間にはコンデンサC7が接続されている。
DC/DCコンバータ33の出力である動作電圧V3は、コンパレータ36,37を形成する単電源デュアルタイプコンパレータであるIC35の動作電圧としてIC35の正電源端子に供給される。IC35の負電源端子は負極ライン51に接続される。
【0036】
また動作電圧V3は小型のDC/DCコンバータ34にも供給される。DC/DCコンバータ34は、動作電圧V3を変換してFET31のスイッチング駆動用のゲートドライブ電圧V5を生成する。
DC/DCコンバータ34はゲートドライブ電圧V5を早期に確保するために設けられており、例えば動作電圧V3がDC5Vに達すれば12Vのゲートドライブ電圧V5を発生する。このDC/DCコンバータ34のDC出力動作は動作電圧V3が3Vを超えた程度から開始する。
【0037】
また動作電圧V3のラインからは抵抗13を介してフォトカプラPh1の発光ダイオードD10のアノードが接続されている。発光ダイオードD10のカソードはコンパレータ36の出力端子に接続されている。
【0038】
抵抗R5,R6は動作電圧V3を分圧する。分圧された電圧は抵抗R8を介してコンパレータ37の+入力端子(非反転入力端子)に基準電圧Vrefとして供給される。なおコンデンサC8はノイズ除去目的で抵抗R5,R6の接続点と負極ライン51の間に接続されている。
またコンパレータ37の出力端子と+入力端子の間には抵抗R7が接続される。
コンパレータ37の−入力端子(反転入力端子)には、上述の設定出力電圧Vtg’が供給される。
コンパレータ37の出力が比較信号S2である。コンパレータ37の出力端子は抵抗R9を介してコンパレータ36の−入力端子に接続されている。
IC35の正電源端子、負電源端子間にはコンデンサC9が挿入されている。
【0039】
コンパレータ36の−入力端子と出力端子間には抵抗R10が接続され、また−入力端子と負極ライン51の間にはコンデンサC10が挿入されている。
コンパレータ36の+入力端子と出力端子間には抵抗R11が接続され、また上述した抵抗R1,R2の接続点と+入力端子間には抵抗R12が接続されている。
【0040】
以上の構成において発振器部14、電圧比較部15、電圧設定部16となる部分を抽出して示した図5を用い、図3を参照しながら動作を説明する。
【0041】
まず電圧比較部15のコンパレータ37は、−入力端子に設定出力電圧Vtg’が供給され、+入力端子に基準電圧Vrefが供給されて、これらの比較結果として比較信号S2を出力する。この場合、具体的には、出力電圧V2が、或る設定出力電圧Vtg(図3参照)を越えたときに、設定出力電圧Vtg’と基準電圧Vrefの関係がVtg’>Vrefとなるように設定されており、この場合、コンパレータ37からの比較信号S2はローレベル(オン)となる。出力電圧V2が設定出力電圧Vtgより低い場合、比較信号S2はハイレベル(オフ)となる。
【0042】
発振器部14のコンパレータ36については、−入力端子に接続された抵抗R10とコンデンサC10の値を時定数とした発振回路を構成する。コンパレータ36から出力される制御信号S1は、この発振回路の時定数によって決まる発振周波数を持った信号となる。
また抵抗R1,R2によって発振開始電圧Vst’が設定される。入力電圧V1が発振開始電圧Vstに至ると、発振器部14は発振を開始する。発振開始電圧Vst’は、例えば入力電圧V1が2V〜3V程度となると発振が開始されるように設定される。
また抵抗R11,R12によって閾値が設定される。例えば発振回路による三角波と比較する閾値が設定され、その比較結果として、矩形波の発振信号としての制御信号S1が出力される。
なお、一例として、R13=680Ω、R10=51kΩ、R11=51kΩ、R12=47kΩ、R9=10kΩである。
【0043】
まず図3の入力電圧V1が0Vの時点t0から入力電圧V1が徐々に上昇した時点t1の動作を説明する。つまり入力電圧V1が発振開始電圧Vstに達していない期間である。
なお入力電圧V1が出力設定電圧Vtgより低いときについては、動作は、動作電圧V3(例えばDC5V)の電源供給がされていることを前提に実行される。
電圧比較部15のコンパレータ37は、−入力端子の電圧(設定出力電圧Vtg’)が+入力端子の電圧(基準電圧Vref)より低くなるので、比較信号S2はオフ(オープン)を保つ。
また、この期間、発振器部14は発振を行っていない。
フォトカプラPh1の発光ダイオードD10のアノードには、動作電圧V3が印加されているため、発光ダイオードD10には電流が流れる。即ち、電流が動作電圧V3(DC5V電源)→抵抗R13→発光ダイオードD10と→抵抗R10→コンデンサC10の経路で流れる。発振器部14のコンパレータ36は、上記経路で電流が流れることにより、−入力端子の電圧が+端子の電圧より高くなるから、発振を停止したまま、ローレベル(ショート)を保つ。
これによりFET31が継続してオンとなるため、入力電圧V1はそのまま出力電圧V2として現れる。
【0044】
入力電圧V1がさらに上昇して発振開始電圧Vstに達した後の期間(時点t1〜時点t2)は、次のようになる。
発振器部14は出力電圧V2が設定出力電圧Vstより低い電圧でも、入力電圧V1が発振開始電圧Vstを超えれば発振を始める。
ただし、発振開始電圧Vstの設定(Vst’の設定)を設定出力電圧Vtgの設定(Vtg’の設定)に近づければ、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgとなるギリギリまで発振停止の状態を維持できるようにすることができる。図3ではそのような設計により発振が開始されない状態を示している。
従って発振器部14(コンパレータ36)の出力である制御信号S1は引き続きローレベル(オン)であり、発光ダイオードD10には電流が流れ、FET31が継続してオンとなっている。従って、入力電圧V1はそのまま出力電圧V2として現れる。
【0045】
出力電圧V2が設定出力電圧Vtgに達した時点t2以降は次のようになる。出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを超えると、電圧比較部15のコンパレータ37は、コンパレータ37の−入力端子の電圧(設定出力電圧Vtg’)が+入力端子の電圧(基準電圧Vref)より高くなるので、比較信号S2がローレベル(オン)になる。
ここでコンパレータ37の出力端子は、抵抗R9を介して発振器部14のコンパレータ36の−入力端子に接続されている。つまり比較信号S2がローレベルになると、コンパレータ36(≒発振回路)の−入力端子がローレベル(例えばグランドレベル)に引かれることとなり、発振器部14の発振が止まる。
つまり出力電圧V2が高くなって比較信号S2がオン(ローレベル)となると、発振器部14の発振が止まる。このときコンパレータ36の−入力端子の電圧が+入力端子の電圧より低くなるのでコンパレータ36の出力端子はオープンを保つ。
【0046】
この場合、フォトカプラPh1の発光ダイオードD10には電流が流れないので、FET31はオフとなる。
このとき、上述のように抵抗R13=680Ωに対して抵抗R10、R9の抵抗値は51kΩ、10kΩと高く設定することで、電圧比較部15のコンパレータ37がオン(ローレベル)している状態でも、発光ダイオードD10をオンするだけの電流が流れず、FETはオンしない。なぜならコンパレータ36の出力端子はオープンであり、また抵抗R10を介した電流経路を考えても、発光ダイオードD10の両端電圧はその閾値電圧以下となるためである。
FET31がオフとなることで出力電圧V2は低下する。
そして、出力電圧が出力設定電圧Vtgより低くなると、比較信号S2はオフ(ハイレベル)となり、発振器部14は発振を始め、FET31は発振器部14から出力される制御信号S1によって細かくオン/オフ制御される。
【0047】
ここで、コンパレータ36の+入力端子に与えられている閾値は、入力電圧V1に応じて変動する。
このため発振状態において、制御信号S1のハイレベル(オフ)/ローレベル(オン)のデューティが入力電圧V1に応じて変化することになる。
図3に示すように、入力電圧V1が設定出力電圧Vtgより若干高い状態では、制御信号S1のローレベル(オン)の期間が比較的長く、一方、時点t3以降として示すように、入力電圧V1が設定出力電圧Vtgよりかなり高くなると、制御信号S1のローレベル(オン)の期間が短くなっていくことになる。つまりFET31がオンとなる期間(単位期間内でのオン時間)が、入力電圧V1が高いほど短くなる。
つまり入力電圧V1が出力設定電圧Vtgよりもかなり高くなったときは、出力電圧V2の上昇に応じて発振を止めてFET31をオフさせつつ、さらに発振中のオフ期間の比率も長くして、出力電圧V2を設定出力電圧Vtgに安定化させやすくしている。
【0048】
以上の実施の形態のAC/DCコンバータ1は、交流入力電圧を整流する整流部11と、スイッチング素子(FET31)を有し、整流部11で整流された入力電圧V1を受けてFET31のスイッチング動作に応じて電圧変換された出力電圧V2を得る電圧変換部12を有する。また出力電圧V2と設定出力電圧Vtgの比較信号S2を生成する電圧比較部12と、発振器部14とを有する。発振器部14は、FET31のオン/オフを制御する制御信号として、発振期間と発振停止期間を有する制御信号S1を出力するとともに、制御信号S1の発振期間と発振停止期間が電圧比較部15による比較信号S2により制御され、また発振期間の制御信号S1のパルスデューティが入力電圧V1に応じて可変制御される。
即ちスイッチング素子(FET31)のオン/オフを制御する制御信号S1が、出力電圧V2に応じて発振期間が制御され、入力電圧V1に応じてパルスデューティが制御されるようにすることで、広範囲な入力電圧にも対応できるようにしている。
このAC/DCコンバータ1によれば、いわゆるレギュレートレクチファイヤとして使えるAC/DCコンバータを実現できる。
【0049】
AC/DCコンバータをレギュレートレクチファイヤとして使う場合、AC0VからAC100V以上の入力範囲が必要であることや、出力電圧の制御精度としてより安定した出力電圧が望まれていたが、本実施の形態によれば、これらの事情を克服することができる。
前述したように、広い入力電圧範囲に対応するAC/DCコンバータにおいては、DC/DCコンバータがスイッチング素子のPWM制御による電圧操作を行うだけでは周辺素子への負担が大きくなってしまう。
本実施の形態の場合、入力電圧V1に応じて電圧変換部12(DC/DCコンバータ)のFET駆動を停止する期間を変化させて出力電圧V2を制御することにより、周辺部品のパルス電流による負荷を減少させることができる。
また出力電圧V2の変動を検出し電圧変換部12のFET31の駆動にヒステリシス制御(パルスデューティの制御)を加え、2重に制御する事により、出力電圧制御の精度を上げている。
【0050】
また、特許文献1の例ではDC/DCコンバータの入力電圧を制御して広範囲な入力電圧範囲に対応するために複数のFETを用いているが、本実施の形態では、FET31の1つで対応できることになる。
出力電圧V2は、発電機3が発電を始めれば、小さな電圧から出力する事が出来る。これは入力電圧V1が設定出力電圧Vtg以下の場合は、整流部11の出力をそのまま出力電圧V2とすることができるためである。
【0051】
また実施の形態の電圧比較部15は、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを越えた場合に、発振器部14による制御信号S1を発振停止期間の状態にさせる比較信号S2を出力し、該発振停止期間においてFET31はオフに制御される。
これにより出力電圧V2が上昇したときに出力電圧V2を下げて設定出力電圧Vtgに安定化させる動作が実現される。
なお、実施の形態の場合、入力電圧V1が発振開始電圧Vstに達していない期間(時点t0〜時点t1)は発振停止期間となり、このときFET31はオンとなる。
一方、入力電圧V1が設定出力電圧Vtgを越えているときは、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを越えると、コンパレータ36の−入力端子が0V(グランド電位)とされ、発振停止期間となるが、この場合、FET31はオフになる。
つまり、発振停止中としてはFETがオンになる場合とオフになる場合がある。入力電圧V1が発振開始電圧Vstに達していない場合に、発振停止としてFET31を継続的にオンすることで、出力電圧V2を速やかに上昇させることに好適となる。そして、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを越えた場合に、発振停止としてFET31を継続的にオフにすることで、電圧上昇を有効に抑え、安定化に好適となる。
【0052】
また発振器部14は、発振期間の制御信号として、発振時定数回路(R10,C10)による発振信号と閾値とを比較して矩形波発振信号を出力するコンパレータを有する構成とされている。比較信号S2は、出力電圧V2が設定出力電圧Vtgを越えた場合に、コンパレータ36の発振信号の入力端子(−入力端子)を、閾値の入力端子(+入力端子)より低電位にする信号としている。
発振時定数回路の出力と閾値(R11,R12の接続点の電位)を比較するコンパレータ36で制御信号S1を出力する構成とする場合、発振信号が入力される−入力端子を、閾値が入力される+入力端子より低電位(例えばグランド電位)とすることで発振出力を停止させることができる。
またこの構成の場合、発振出力の停止、再開を迅速に行うことができ、出力電圧V2の安定化制御に好適である。
【0053】
また発振器部14は、入力電圧V1によって閾値(コンパレータ36の+入力端子電圧)が変化されることで、制御信号S1の発振期間におけるパルスデューティが可変制御されるようにしている。特に実施の形態の回路では、入力電圧V1を分圧して閾値を設定している。これにより入力電圧V1に応じたパルスデューティの制御を容易化できる。
【0054】
以上実施の形態のAC/DCコンバータ1について説明してきたが、図4図5の回路は一例であり、他の回路例が想定されることはいうまでもない。
また本発明の電源装置は、図1のような発電システム以外にも広く適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1…AC/DCコンバータ
11…整流部
12…電圧変換部
13…出力フィルタ部
14…発振器部
15…電圧比較部
16…電圧設定部
31…FET
36,37…コンパレータ
図1
図2
図3
図4
図5