特許第6382892号(P6382892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000002
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000003
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000004
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000005
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000006
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000007
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000008
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000009
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000010
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000011
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000012
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000013
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000014
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000015
  • 特許6382892-運転情報分析装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382892
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】運転情報分析装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20180820BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20180820BHJP
【FI】
   G05B23/02 V
   G06Q50/04
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-146926(P2016-146926)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-18233(P2018-18233A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2018年6月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青田 浩美
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 潤也
(72)【発明者】
【氏名】ウェーヴィタ プラディーパ
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−243118(JP,A)
【文献】 特開平10−124221(JP,A)
【文献】 特開2003−271233(JP,A)
【文献】 特開2012−008782(JP,A)
【文献】 特開平05−135185(JP,A)
【文献】 特開平11−161318(JP,A)
【文献】 特開2010−49532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器を含む装置の運転中に発生したイベント情報および前記装置のプロセス量を収集する情報収集部と、
収集された前記イベント情報を整理して前記装置の運転状況の評価に用いる指標となるデータベースおよび前記イベント情報と前記イベント情報に関連する前記プロセス量の挙動とを対応させたデータを生成して蓄積する情報分析部と、
前記情報分析部に蓄積された前記データベースおよび前記データを利用者に提示する情報提示部と、
を備え、
前記イベント情報は、前記装置の警報に関する情報、前記機器の操作に関する情報、前記機器の運転状態に関する情報、及び自機の警報に関する情報を含み、
前記情報分析部は、前記装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに前記イベント情報の種類別に分類して前記データベースを生成し、
前記情報提示部は、前記装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに前記イベント情報の種類別に分類された前記データベースを前記利用者に提示し、
前記情報分析部は、前記情報収集部から取得した前記プロセス量のうち、前記イベントの発生時刻の前後の所定期間において挙動が変化しているものを、前記イベント情報に関連する前記プロセス量として設定することを特徴とする運転情報分析装置。
【請求項2】
前記情報分析部は、前記装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに、前記自機の警報に分類された前記データベースとして、前記自機の警報の発生頻度、時系列に沿った前記自機の警報の発生および復帰の順序、前記自機の警報の発生間隔、前記自機の警報の発生時間長のデータベースを生成することを特徴とする請求項1に記載の運転情報分析装置。
【請求項3】
前記運転状態の変化は、前記機器のいずれかの負荷の変化であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転情報分析装置。
【請求項4】
前記運転状態の変化は、前記機器のいずれかに使用される燃料の種類の変化であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の運転情報分析装置。
【請求項5】
前記情報分析部は、前記機器の種類別に分類して前記データベースを生成して蓄積し、
前記情報提示部は、前記機器の種類別に分類された前記データベースを前記利用者に提示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の運転情報分析装置。
【請求項6】
前記情報提示部は、前記利用者によって任意に区切られた期間ごとに前記データベースを提示することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の運転情報分析装置。
【請求項7】
前記情報分析部は、前記機器の更新または修繕が行われたときに、更新または修繕が行われた前記機器と関連する前記データベースの蓄積を一旦停止し、新たに前記データベースを生成して蓄積し、
前記更新または修繕が行われた前記機器と関連する前記データベースは、前記機器の更新または修繕が行われた前後において値が変化している前記データベースであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の運転情報分析装置。
【請求項8】
前記情報分析部は、前記機器の更新または修繕が行われたときに、更新または修繕が行われた前記機器と関連する前記データの蓄積を一旦停止し、新たに前記データを生成して蓄積し、
前記更新または修繕が行われた前記機器と関連する前記データは、前記機器の更新または修繕が行われた前後において値が変化している前記データであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の運転情報分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転情報分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置の運転に関する様々な情報を収集し、収集した情報を分析することで装置の運転状況を評価する技術が知られている。例えば、特許文献1には、分散型フィールド制御システムに接続された装置の運転状況を分析する運転状況分析システムであって、装置の制御状態または装置への操作に関する情報を収集し、当該情報に基づいて装置の活用度に関する指標値を算出し、当該指標値に基づいて複数の現場間における装置の活用度の比較分析を行うものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−44780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の運転状況分析システムは、例えば、1日ごとの制御値の設定値からのずれ量の積算値や、1日の中で特定の制御値が自動制御により制御されている合計時間等を指標値として用い、当該指標値を他の現場における同様の装置同士で比較することで、装置の活用度を比較分析している。しかしながら、例えば、装置に含まれる機器の運転負荷の変化や、機器に使用される燃料の種類の変化といった運転状態の変化が生じた場合、監視対象である装置のプロセス量やイベント情報の発生状況も変化する。このため、特許文献1の運転状況分析システムのように、1日ごと等、単位時間ごとに区切って指標値を分析するだけでは、装置の運転状況を正確に評価し得ない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の運転状況をより正確に評価することができる運転情報分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の機器を含む装置の運転中に発生したイベント情報を収集する情報収集部と、収集された前記イベント情報を整理して前記装置の運転状況の評価に用いる指標値を生成して蓄積する情報分析部と、前記情報分析部に蓄積された前記指標値を利用者に提示する情報提示部と、を備え、前記情報分析部は、前記装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに前記指標値を生成することを特徴とする。
【0007】
本発明の運転情報分析装置では、装置の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに、装置の運転中に発生したイベント情報を整理して当該装置の運転状況の評価に用いる指標値を生成して蓄積し、蓄積された指標値を利用者に提示する。これにより、装置の運転状態が変化するごとに区切られて生成及び提示された装置の指標値を利用者が確認することができる。従って、本発明の運転情報分析装置によれば、装置の運転状況をより正確に評価することができる。
【0008】
また、前記運転状態の変化は、前記機器のいずれかの負荷の変化であることが好ましい。これにより、機器のいずれかの負荷の変化に応じて、より正確に指標値を評価することができる。
【0009】
また、前記運転状態の変化は、前記機器のいずれかに使用される燃料の種類の変化であることが好ましい。これにより、機器のいずれかに使用される燃料の種類の変化に応じて、より正確に指標値を評価することができる。
【0010】
また、前記イベント情報は、前記装置の警報に関する情報、前記機器の操作に関する情報、前記機器の運転状態に関する情報、及び前記運転情報分析装置の警報に関する情報を含み、前記情報分析部は、前記イベント情報の種類別に分類して前記指標値を生成して蓄積し、前記情報提示部は、前記イベント情報の種類別に分類された前記指標値を前記利用者に提示することが好ましい。このように、警報や機器の操作、機器の運転状態といった装置に関するイベント情報ごとに指標値を分類して利用者に提示することで、利用者が装置の運転状況を容易に評価することができる。
【0011】
また、前記情報分析部は、前記機器の種類別に分類して前記指標値を生成して蓄積し、前記情報提示部は、前記機器の種類別に分類された前記指標値を前記利用者に提示することが好ましい。このように、装置に含まれる機器ごとに指標値を分類して利用者に提示することで、利用者が装置の運転状況を容易に評価することができる。
【0012】
また、前記情報提示部は、前記利用者によって任意に区切られた期間ごとに前記指標値を提示することが好ましい。これにより、利用者が確認したい期間における指標値だけを提示させることができるため、利用者が装置の運転状況を容易に評価することが可能となる。
【0013】
また、前記情報収集部は、前記装置のプロセス量を収集し、前記情報分析部は、前記イベント情報と、前記イベント情報に関連する前記プロセス量の挙動とを対応させたデータを生成して蓄積し、前記情報提示部は、前記情報分析部に蓄積された前記データを前記利用者に提示することが好ましい。これにより、例えば警報といったイベントが発生した際の関連するプロセス量の挙動を利用者が容易に把握することができる。この結果、イベントの発生原因をより効率的に分析することが可能となる。
【0014】
また、前記情報分析部は、前記機器の更新または修繕が行われたときに、更新または修繕が行われた前記機器と関連する指標値の蓄積を一旦停止し、新たに指標値を生成して蓄積することが好ましい。これにより、機器の更新または修繕によって、装置の運転状況にどのような影響を与えたかという効果の対比を容易に行い、機器の更新または修繕の前後における優劣を容易に評価することが可能となる。
【0015】
また、前記情報分析部は、前記機器の更新または修繕が行われたときに、更新または修繕が行われた前記機器と関連する前記データの蓄積を一旦停止し、新たに前記データを生成して蓄積することが好ましい。これにより、機器の更新または修繕が行われる前後で、イベントが発生した際の関連プロセス量の挙動の変化を対比することができる。従って、イベントの発生原因をさらに効率的に分析することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる運転情報分析装置は、装置の運転状況をより正確に評価することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態にかかる運転情報分析装置を示すブロック図である。
図2図2は、情報収集部が取得するイベント情報の一例を示す説明図である。
図3図3は、時間経過に従った発電機の負荷の変化を示す説明図である。
図4図4は、情報分析部において生成される指標値のデータベースの例を示す説明図である。
図5図5は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図6図6は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図7図7は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図8図8は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図9図9は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図10図10は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図11図11は、情報提示部により提示された分析結果の一例を示す説明図である。
図12図12は、第2実施形態にかかる運転情報分析装置を示すブロック図である。
図13図13は、イベント情報と、当該イベント情報に関連したプロセス量との対応関係の一例を示す説明図である。
図14図14は、イベント情報と関連プロセス量の挙動との分析結果の一例を示す説明図である。
図15図15は、第3実施形態にかかる運転情報分析装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる運転情報分析装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる運転情報分析装置を示すブロック図である。運転情報分析装置10は、例えば発電プラントといった装置20の運転状況を分析すると共に、分析した結果を利用者に提示するためのシステムである。利用者は、装置20の製造者、販売者、または装置20を実際に運用する運用者等である。装置20は、発電機21gを含む複数の機器21と、複数の機器21を制御する制御装置22とを備えている。複数の機器21は、発電機21gを駆動するための機器(例えばガスタービンや蒸気タービン等)、ポンプ、ファン、各種弁設備等である。制御装置22は、これらの機器21のプロセス量Pを制御する。また、制御装置22は、装置20の運転時に発生する各種イベント情報を記憶する記憶部としても機能する。
【0020】
運転情報分析装置10は、制御装置22と通信して装置20のイベント情報Xを収集する情報収集部11と、情報収集部11によって取集された装置20のイベント情報Xを整理して、装置20の運転状況の評価に用いる複数の指標値のデータベースYを生成・蓄積する情報分析部12と、情報分析部12で生成された複数の指標値のデータベースYを分析結果Zとして利用者に提示する情報提示部13とを備える。
【0021】
情報収集部11は、制御装置22とネットワークを介して通信可能であり、制御装置22から所定期間(例えば、毎時、毎日等)ごとに制御装置22から装置20のイベント情報Xを自動的に取得し、記憶する。ただし、情報収集部11は、制御装置22に記憶された装置20のイベント情報Xを例えばDVD−ROMといった記憶媒体を介して利用者の手動によって取得してもよい。
【0022】
装置20の運転中に発生するイベント情報Xは、装置20の各機器21で発生した警報に関する情報、各機器21の運転状態に関する情報、各機器21の操作に関する情報を含む(図3参照)。各機器21の操作に関する情報は、各機器21の運転操作に関する情報、及び各機器21の調整操作に関する情報を含む。また、イベント情報Xは、運転情報分析装置10で発生したシステム警報に関する情報も含む。
【0023】
各機器21で発生した警報に関する情報は、各機器21の故障や異常に関する警報、各機器21のプロセス量Pが制御上の管理値を超えた場合に発せられる警報等の情報を含む。本実施形態では、警報が発せられた場合を「発生」と定義し、警報が停止された場合を「復帰」と定義する。
【0024】
各機器21の運転状態に関する情報は、各機器21の発停動作の情報や、機器21が複数の運転モードを有する場合に、いかなる運転モードで運転されているかといった情報を含む。各機器21の発停動作とは、機器21が例えばポンプやファン、モータ等であれば、発動指示または停止指示が行われたことを意味し、機器21が弁設備であれば、弁の開指示または閉指示が行われたことを意味する。本実施形態では、機器21ごとに、発停動作(発動指示または停止指示、あるいは、開指示または閉指示)の一方がなされた場合を「オン」と定義し、他方がなされた場合を「オフ」と定義する。
【0025】
各機器21の運転操作に関する情報は、各機器21に対して行われた発停や運転モードの変更以外の何らかの操作指示に関する情報を含む。各機器21の運転操作は、例えば、各機器21について、運転目標とする流量や圧力、温度といったプロセス量Pに関する制御上の設定値を変更する操作を含む。各機器21の運転操作は、主として運転員(オペレータ)により行われる。各機器21の調整操作に関する情報は、各機器21の制御上のロジックに関わる操作指示に関する情報を含む。各機器21の調整操作は、例えば、制御において入力値や検出値に対する応答速度の設定値やゲインの設定値といった、各機器21の制御上のパラメータ値を変更する操作を含む。各機器21の調整操作は、主として保守員により行われる。
【0026】
運転情報分析装置10で発生したシステム警報に関する情報は、例えば制御装置22と情報収集部11との通信が遮断された場合や、運転情報分析装置10内において何らかの異常が発生した場合等に発せられる警報に関する情報を含む。
【0027】
図2は、情報収集部11が取得するイベント情報Xの一例を示す説明図である。図示するように、イベント情報Xとしては、当該イベントが発生した時刻の情報、当該イベントが発生した機器21の予め設定された種類コード、イベントの具体的内容としてのメッセージ、その他イベントに関する情報(例えば該当する機器21が属するプラント階層に関する情報等)が含まれる。なお、図2では、メッセージの一例として、機器21に発生した警報の具体的内容を示している。
【0028】
情報分析部12は、イベント情報Xを情報収集部11から取得し、装置20の運転状態に基づいて区切られる期間ごとに、複数の指標値のデータベースYを生成して蓄積する。ここで、本実施形態において、装置20の運転状態の変化とは、発電機21gの運転負荷の変化、及び発電機21gを駆動するための機器21(例えば、ガスタービンや蒸気タービン等)において使用される燃料の種類の変化である。
【0029】
発電機21gの運転負荷の変化は、発電機21gの起動過程、定格運転過程、部分負荷運転過程、最低負荷運転過程、停止過程、及び停止中といった発電機21gの状態ごとに変化する。起動過程は、例えば、発電機21gが定格負荷の35%以下の出力で、出力変動なしに所定時間を経過するまで運転されている過程である。定格運転過程は、例えば、発電機21gが定格負荷の90%以上の出力で運転されている過程である。部分負荷運転過程は、例えば、発電機21gが定格負荷の40%以上90%未満の出力で運転されている過程である。最低負荷運転過程は、例えば、発電機21gが定格負荷の40%未満の出力で運転されている過程である。停止過程は、発電機21gが定格負荷の5%以上35%未満の出力で運転されながら、発電機21gの運転が停止されるまでの過程である。停止中は、発電機21gの運転が停止されている状態である。
【0030】
図3は、時間経過に従った発電機21gの負荷の変化を示す説明図である。図3の横軸は、日付であり、縦軸は、発電機21gの負荷である。図3において破線で囲んだ範囲は、発電機21gの起動過程の期間であり、二点鎖線で囲んだ範囲は、発電機21gの通常運転過程(定格運転過程、部分負荷運転過程および最低負荷運転過程のいずれか)の期間である。図示するように、発電機21gの負荷は、各過程において異なるものであり、このような発電機21gの運転負荷の変化、あるいは発電機21gを駆動するための機器21において使用される燃料の種類に変化が生じると、装置20で発生する各種イベントの傾向も変化しやすい。そのため、発電機21gの運転負荷の変化や使用される燃料の種類の変化に応じて指標値のデータベースYを生成する期間を区切ることで、指標値に基づいて装置20の運転状況の評価をより正確に行うことができる。
【0031】
図4は、情報分析部12において生成される指標値のデータベースYの例を示す説明図である。指標値のデータベースYは、イベント情報Xの種類別に分類して生成される。イベント情報Xの種類とは、上述したように、装置20の各機器21で発生した警報に関する情報、各機器21の運転状態に関する情報、各機器21の運転操作に関する情報、各機器21の調整操作に関する情報、及び運転情報分析装置10で発生したシステム警報に関する情報である。なお、イベント情報Xの種類別による分類は、これに限られない。
【0032】
また、情報分析部12は、各機器21の種類別に分類して指標値のデータベースYを生成する。本実施形態では、各機器21の運転状態に関する情報について、各機器21の種類別に分類した指標値のデータベースYを生成する。情報分析部12は、例えば装置20に含まれるポンプやファン、弁設備等ごとに分類して、機器21の運転状態に関する情報についての指標値のデータベースYを生成する。なお、情報分析部12は、警報に関する情報、運転操作に関する情報、及び調整操作に関する情報についても、各機器21の種類別に分類して指標値のデータベースYを生成してもよい。
【0033】
次に、指標値の具体的な内容について説明する。情報分析部12は、機器21の警報に関する指標値として、警報の発生頻度(発生総数)、時系列に従った警報の発生および復帰の順序、各警報の発生間隔、各警報の発生時間長等のデータベースYを生成する。また、情報分析部12は、警報の発生頻度(発生総数)について、発生頻度が多い順に上位30種類の件数を抽出したデータベースYを生成する。
【0034】
情報分析部12は、機器21の運転状態に関する指標値として、各機器21の発停頻度(発停動作の総数)、時系列に従った各機器21の発停順序、各機器21の発停間隔、各機器21の運転状態(オン状態、オフ状態、または各運転モードでの運転状態)ごとの時間長等のデータベースYを生成する。また、情報分析部12は、各機器21の発停頻度(発停動作の総数)について、発停頻度が多い順に上位30種類の件数を抽出したデータベースYを生成する。
【0035】
情報分析部12は、機器21の運転操作に関する指標値として、機器21に対する運転操作頻度(運転操作指示の総数)、時系列に従った機器21に対する運転操作の順序、機器21のプロセス量Pに関する制御上の設定値変更回数、時系列に従った設定値変更順序、運転操作頻度の推移等のデータベースYを生成する。また、情報分析部12は、運転操作頻度(操作指示の総数)について、運転操作頻度が多い順に上位30種類の件数を抽出したデータベースYを生成する。
【0036】
情報分析部12は、機器21の調整操作に関する指標値として、機器21に対する調整操作頻度(操作指示の総数)、時系列に従った機器21に対する調整操作の順序、機器21の制御上のパラメータ変更回数、時系列に従ったパラメータ変更順序等のデータベースYを生成する。
【0037】
情報分析部12は、運転情報分析装置10で発生したシステム警報に関する指標値として、警報の発生頻度(発生総数)、時系列に従った警報の発生および復帰の順序、各警報の発生間隔、各警報の発生時間長等のデータベースYを生成する。
【0038】
情報提示部13は、情報分析部12から取得した指標値のデータベースYを図示しない外部接続のパーソナルコンピュータの表計算アプリケーション等で利用可能なデータに変換し、当該変換したデータを装置20の運転状況の分析結果Zとして当該パーソナルコンピュータに送信する。利用者は、当該パーソナルコンピュータを介して分析結果Zを閲覧することができる。なお、運転情報分析装置10は、分析結果Zを表示するためのモニタを有してもよく、情報提示部13は、当該モニタに分析結果Zを表示させるものであってもよい。
【0039】
本実施形態において、情報提示部13は、利用者によって任意に区切られた期間ごと、また、利用者によって任意に選択されたイベント情報Xの種類別や機器21の種類別に指標値のデータベースYを分析結果Zとして提示する。また、本実施形態において、情報提示部13は、指標値のデータベースYのうち、利用者からの要求に応じたものを分析結果Zとして提示する。以下、情報提示部13によって提示される分析結果Zの例について説明する。
【0040】
図5から図11は、情報提示部13により提示された分析結果Zの一例を示す説明図である。図5の分析結果Zの例は、利用者が任意に選択した機器21の種類別の時系列に従った発停順序を示す。“Time”の欄には、機器21の発停が行われた日時が表示されており、“Tag”の欄には、機器21の種類コードが表示されており、“Messege”の欄には、各機器21の名称と発停動作の具体的内容(発動指示または停止指示、弁設備の開指示または閉指示)とが示されている。これにより、機器21の種類別に、時系列に従って、各機器21がどのタイミングで、どの順序で発停したかを利用者が容易に把握することができる。
【0041】
図6の分析結果Zの例は、利用者が任意で区切った期間における機器21の発停頻度の上位30種類を示す。任意に区切られた期間は、例えば、毎時、毎日、毎週、毎月、半年、一年などから利用者が選択することができる。図6に示す例では、2016年5月7日を期間の対象としている。“Messege”の欄は、機器21の種類コードと、機器21の名称及び発停動作の具体的内容とを表示している。“データ個数1”の欄は、機器21ごとに定義される「オン」に該当する発停動作が行われた回数を表示し、“データ個数2”の欄は、機器21ごとに定義される「オフ」に該当する発停動作が行われた回数を表示し、“総計”の欄は、「オン」および「オフ」の総数を表示している。これにより、利用者が任意に指定した期間において、複数の機器21のいずれにおいて発停動作が多く行われたかを、利用者が容易に把握することができる。
【0042】
図7の分析結果Zの例は、利用者が任意で区切った期間(例えば2016年5月の1カ月間)、利用者が任意に選択した機器21ごとの発停頻度を示す。図7において、“Tag”の欄は、特定の機器21の種類コードを表示し、“Message”の欄は、当該機器21の名称および発停情報の内容を表示し、“データ個数1”の欄は、当該機器21ごとに定義される「オン」に該当する発停動作が行われた回数を表示し、“データ個数2”の欄は、当該機器21ごとに定義される「オフ」に該当する発停動作が行われた回数を表示し、“時刻”の欄は、機器21の発停が行われた時刻を示している。例えば、“時刻”の欄を「オン」に該当する発停動作と「オフ」に該当する発停動作とで異なる文字色で表示するものとすれば、利用者が任意で区切った期間、利用者が任意に選択した機器21について、全体の発停頻度を把握しながら、いかなるタイミングで発停が行われたかを利用者が容易に把握することができる。
【0043】
図8の分析結果Zの例も、図7と同様に、利用者が任意で区切った期間(例えば2016年5月の1カ月間)、利用者が任意に選択した機器21ごとの発停頻度を示す。図8において、“Tag”、“Message”、“データ個数1”、“データ個数2”の欄は、図7の各欄と同じである。図7において、“オン時間集計”の欄は、機器21ごとに定義される「オン」に該当する発停動作が行われていた総時間を表示する。これにより、利用者が任意で区切った期間、利用者が任意に選択した機器21について、全体の発停頻度を把握しながら、機器21の発停動作が行われていた総時間を利用者が容易に把握することができる。
【0044】
図6から図8の例では、利用者が任意で区切った期間における機器21の発停頻度に関する分析結果Zの例を示したが、期間は、装置20の運転状態の変化に応じて区切られるものであってもよい。例えば、図3において破線で囲んだ発電機21gの起動過程と、二点鎖線で囲んだ発電機21gの定格運転過程のそれぞれにおいて、図6から図8と同様に、機器21の発停頻度の上位30種類や、利用者が任意に選択した機器21ごとの発停頻度、発停動作の時刻、「オン」に該当する発停動作が行われていた総時間等を提示するものとすれば、各過程において発生した機器21の発停動作がいかなるものであったか、利用者が容易に把握することが可能となる。
【0045】
図9の分析結果Zの例は、装置20の運転状態の変化に基づいて区切られた期間、かつ利用者が任意で区切った期間ごとのイベント情報Xの種類別の発生頻度を示す。期間は、発電機21gの起動過程(5月1日から5月3日まで)、停止過程および起動過程(5月17日および5月18日)、通常運転過程(5月から8月まで一月ごと)に区切られている。イベント情報Xの種類は、機器21の警報の上位30種類の発生総数、機器21の発停動作の上位30種類の発生総数、機器21の上位30種類の運転操作総数、機器21の調整操作総数、運転情報分析装置10で発生したシステム警報の発生総数である。機器21の警報については、上位30種類の警報の発生総数と、上位30種類の復帰の発生総数、及び上位30種類以外の警報も含んだ発生総数が表示されている。機器21の発停動作については、上位30種類の「オン」に該当する発停動作の発生総数、上位30種類の「オフ」に該当する発停動作の発生総数、及び上位30種類以外の発停動作も含んだ発生総数が表示されている。機器21の運転操作については、上位30種類の運転操作総数、及び上位30種類以外の運転操作も含んだ発生総数が表示されている。運転情報分析装置10で発生したシステム警報については、警報の発生総数、及び復帰の発生総数が表示されている。また、“備考”の欄には、特に発生総数が多かった項目(図中の※印が付されている項目)について、その内訳の一部等を示している。これにより、装置20の運転状態(発電機21gの負荷)が変化するごとに、機器21の警報や発停動作、運転操作、調整操作、及び運転情報分析装置10で発生したシステム警報がどのような頻度で発生していたかを利用者が容易に把握することができる。
【0046】
また、情報提示部13による情報の提示は、これまでに示したような表によるものだけには限られない。図10の分析結果Zの例は、発電機21gの起動過程の期間(図3において破線で囲んだ期間)において、利用者が任意に選んだ機器21の発停頻度を円グラフにより示したものである。図11の分析結果Zの例は、発電機21gの通常運転過程の期間(図3において二点鎖線で囲んだ期間)において、利用者が任意に選んだ機器21の発停頻度を円グラフにより示したものである。このように、発電機21gの負荷が変化するごとに期間を区切り、各期間における機器21の発停頻度等の指標値を円グラフで提示すれば、各期間で発生したイベントの比率を利用者が容易に把握することができる。
【0047】
このように、本実施形態の運転情報分析装置10において、情報分析部12は、指標値のデータベースYを装置20の運転状態の変化に基づいて区切られた期間ごとに生成したり、装置20のイベント種類別に分類して生成したり、機器21の種類別に分類して生成する。これにより、情報提示部13は、様々な態様で当該指標値のデータベースYを分析結果Zとして利用者にわかりやすく提示することができる。この結果、利用者が装置20の運転状況や異常兆候を評価し、不要な運転操作、調整不良箇所等を短時間で効率的に発見することができるため、装置20の運用改善の検討や装置20の運用者への改善提案をより行いやすくすることが可能となる。
【0048】
以上説明したように、運転情報分析装置10では、装置20の運転状態の変化に基づいて区切られる期間ごとに、装置20の運転中に発生したイベント情報Xを整理して当該装置20の運転状況の評価に用いる指標値を生成して蓄積し、蓄積された指標値を利用者に提示する。これにより、装置20の運転状態が変化するごとに区切られて生成及び提示された装置20の指標値を利用者が確認することができる。従って、運転情報分析装置10によれば、装置20の運転状況をより正確に評価することができる。
【0049】
また、運転状態の変化は、発電機21gの負荷の変化である。これにより、発電機21gの負荷の変化に応じて、より正確に指標値を評価することができる。なお、運転状態の変化は、発電機21g以外の他の機器21のいずれかの負荷の変化であってもよい。
【0050】
また、運転状態の変化は、発電機21gを駆動するための機器21(例えば、ガスタービンや蒸気タービン等)において使用される燃料の種類の変化である。これにより、発電機21gを駆動するための機器21に使用される燃料の種類の変化に応じて、より正確に指標値を評価することができる。なお、運転状態の変化は、発電機21gを駆動するための機器21以外の機器21において使用される燃料の種類の変化であってもよい。
【0051】
また、イベント情報Xは、装置20の警報に関する情報、機器21の操作に関する情報、機器21の運転状態に関する情報、及び運転情報分析装置10で発生したシステム警報に関する情報を含み、情報分析部12は、イベント情報Xの種類別に分類して指標値を生成し、情報提示部13は、イベント情報Xの種類別に分類された指標値を利用者に提示する。このように、警報や機器21の操作、機器21の運転状態といった装置20に関するイベント情報Xごとに指標値を分類して利用者に提示することで、利用者が装置20の運転状況を容易に評価することができる。
【0052】
また、情報分析部12は、機器21の種類別に分類して指標値を生成し、情報提示部13は、機器21の種類別に分類された指標値を利用者に提示する。このように、装置20に含まれる機器21ごとに指標値を分類して利用者に提示することで、利用者が装置110の運転状況を容易に評価することができる。
【0053】
また、情報提示部13は、利用者によって任意に区切られた期間ごとに指標値を提示する。これにより、利用者が確認したい期間における指標値だけを提示させることができるため、利用者が装置20の運転状況を容易に評価することが可能となる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる運転情報分析装置10Bについて説明する。図12は、運転情報分析装置10Bを示すブロック図である。運転情報分析装置10Bは、第1実施形態の運転情報分析装置10の情報収集部11に代えて、情報収集部11Bを、運転情報分析装置10の情報分析部12に代えて、情報分析部12Bを、情報提示部13に代えて、情報提示部13Bを備える。なお、情報収集部11B、情報分析部12B、及び情報提示部13Bの機能は、以下に説明するものを除き、第1実施形態の情報収集部11、情報分析部12、及び情報提示部13と同様であるため、重複する機能についての説明は、省略する。
【0055】
情報収集部11Bは、第1実施形態の情報収集部11の機能に加えて、装置20の制御装置22から各機器21のプロセス量Pを取得し、情報分析部12Bへと送信する機能を有する。なお、情報収集部11Bのその他の機能は、第1実施形態の情報収集部11と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
情報分析部12Bは、第1実施形態の情報分析部12の機能に加えて、上記イベント情報Xと、当該イベント情報Xに関連したプロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2を生成して蓄積する機能を有する。なお、情報分析部12Bのその他の機能は、第1実施形態の情報分析部12と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
図13は、イベント情報Xと、当該イベント情報Xに関連したプロセス量Pとの対応関係の一例を示す説明図である。図13に示す例では、“イベント情報X”の欄に、機器21の種類コード、名称および発停動作の具体的内容を表示し、“関連プロセス量P”の欄に、当該機器21の発停動作に関連したプロセス量P(以下、「関連プロセス量P」という。)の具体的内容を表示している。ただし、イベント情報Xは、機器21の発停動作に関する情報に限られず、装置20の各機器21で発生した警報に関する情報、各機器21の発停動作以外の運転状態に関する情報(いかなる運転モードで運転されているかの情報)、各機器21の運転操作に関する情報、及び各機器21の調整操作に関する情報であってもよい。
【0058】
本実施形態において、図13に一例を示すイベント情報Xと関連プロセス量Pとの対応関係は、利用者が予め設定して情報分析部12Bに記憶させておく。ただし、当該対応関係は、予め設定されるものでなく、情報分析部12Bにおいて随時生成されるものであってもよい。この場合、情報分析部12Bは、情報収集部11Bから取得したプロセス量Pのうち、イベントの発生時刻の前後の所定期間において挙動が変化しているものを関連プロセス量Pとすればよい。情報分析部12Bは、図13に示す対応関係に従って、情報収集部11Bから取得したイベント情報Xの発生時刻の前後の所定期間において、関連プロセス量Pの値を時系列に並べたデータベースY2を生成して蓄積する。
【0059】
情報提示部13Bは、分析結果Zの提示と同様に、情報分析部20Bにより蓄積されたイベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2を分析結果Z2として利用者に提示する。なお、情報提示部13Bのその他の機能は、第1実施形態の情報提示部13と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
図14は、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動との分析結果Z2の一例を示す説明図である。図14に示す例は、装置20において所定のイベントが発生したタイミングの前後の所定期間における関連プロセス量Pの挙動を示す線グラフである。図14において、横軸は、時刻であり、縦軸は、関連プロセス量Pの値である。これにより、イベント発生前後におけるプロセス量Pの挙動を容易に把握することができる。この結果、利用者がイベントの発生原因をより効率的に分析することが可能となる。すなわち、利用者が装置20の運転状況や異常兆候をより的確かつ細やかに評価し、不要な運転操作、調整不良箇所等をさらに効率的に発見することができる。なお、分析結果Z2は、線グラフに限られず、プロセス量Pの値を時系列に並べた表や、他の形式のグラフであってもよい。
【0061】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかる運転情報分析装置10Cについて説明する。図15は、運転情報分析装置10Cを示すブロック図である。運転情報分析装置10Cは、第2実施形態の運転情報分析装置10Bの情報分析部12Bに代えて、情報分析部12Cを備える。なお、運転情報分析装置10Cのその他の構成は、運転情報分析装置10Bと同様であるため、説明を省略する。また、情報分析部12Cの機能は、以下に説明するものを除き、第2実施形態の情報分析部12Bと同様であるため、重複する機能についての説明は、省略する。
【0062】
情報分析部12Cは、機器21の更新または修繕(オーバーホール)が行われたときに、当該更新または修繕が行われた機器21と関連する指標値のデータベースYの蓄積を一旦停止し、新たに指標値のデータベースYを生成して蓄積する。また、情報分析部13Cは、機器21の更新または修繕が行われたときに、当該更新または修繕が行われた機器21と関連する、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2の蓄積を一旦停止し、新たに当該データベースY2を生成して蓄積する。
【0063】
本実施形態において、更新または修繕が行われた機器21と関連する指標値のデータベースY、並びに、更新または修繕が行われた機器21と関連するイベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2は、利用者が予め設定して情報分析部12Bに記憶させておく。ただし、更新または修繕が行われた機器21と関連する指標値のデータベースY、並びに、更新または修繕が行われた機器21と関連する上記データベースY2は、予め設定されるものでなく、情報分析部12Cにおいて随時生成されるものであってもよい。この場合、情報分析部12Cは、機器21の更新または修繕が行われた前後において値が突発的に変化している指標値のデータベースY、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2を、当該更新または修繕が行われた機器21と関連するデータベースY、データベースY2とすればよい。
【0064】
これにより、機器21の更新または修繕が行われるごとに、様々な態様で当該指標値のデータベースYを分析結果Zとして、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2を分析結果Z2として利用者にわかりやすく提示することができる。この結果、利用者が装置20の運転状況や異常兆候を評価し、不要な運転操作、調整不良箇所等を短時間で効率的に発見することができるため、装置20の運用改善の検討や装置20の運用者への改善提案をより行いやすくすることが可能となる。
【0065】
また、機器21の更新または修繕が行われる前後で、指標値の変化を対比することができる。従って、機器21の更新または修繕によって、装置20の運転状況にどのような影響を与えたかという効果の対比を容易に行い、機器21の更新または修繕の前後における優劣を容易に評価することが可能となる。また、機器21の更新または修繕が行われる前後で、イベントが発生した際の関連プロセス量Pの挙動の変化を対比することができる。従って、イベントの発生原因をさらに効率的に分析することが可能となる。なお、機器21の更新または修繕が行われる前後で、イベントの発生頻度を例えば図10に示すような円グラフで対比させて示す等すれば、機器21の更新または修繕が行われた前後の装置20の運転状況の変化を利用者によりわかりやすく提示することができる。
【0066】
なお、情報分析部12Cは、機器21の更新または修繕(オーバーホール)が行われたときに、当該更新または修繕が行われた機器21と関連する指標値のデータベースYの蓄積のみを一旦停止し、新たに指標値のデータベースYのみを生成して蓄積するものとしてもよい。この場合、情報収集部11Cは、装置20のプロセス量Pを収集する機能を有さなくてもよく、情報分析部12Cは、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2を生成して蓄積するものでなくてもよい。
【0067】
また、情報分析部12Cは、機器21の更新または修繕(オーバーホール)が行われたときに、当該更新または修繕が行われた機器21と関連する、イベント情報Xと関連プロセス量Pの挙動とを対応させたデータベースY2の蓄積のみを一旦停止し、新たに当該データベースY2のみを生成して蓄積するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10,10B,10C 運転情報分析装置
11,11B 情報収集部
12,12B,12C 情報分析部
13,13B 情報提示部
20 装置
21 機器
21g 発電機
22 制御装置
P プロセス量
X イベント情報
Y,Y2 データベース
Z,Z2 分析結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15