【文献】
Familial Cancer,2013年 2月 9日,Vol.12,p.449-458,DOI:10.1007/s10689-013-9607-1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーター低メチル化により特徴づけられる多形性膠芽腫を治療するための医薬組成物であって、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体を含む、前記医薬組成物。
前記1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体が、約0.5mg/日〜約45mg/日の量で投与される、請求項1記載の医薬組成物。
MGMTのタンパク質発現又はプロモーター低メチル化により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者における、完全奏効、部分奏効又は病状安定の多形性膠芽腫に関する神経-腫瘍学作業グループの奏効評価(RANO)を達成するための医薬組成物であって、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体を含む、前記医薬組成物。
MGMTのタンパク質発現又はプロモーター低メチル化により特徴づけられる多形性膠芽腫(GBM)を有する患者におけるS6RP、4E-BP1及び/又はAKTのリン酸化を阻害するための医薬組成物であって、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体を含む、前記医薬組成物。
MGMTのタンパク質発現又はプロモーター低メチル化により特徴づけられる多形性膠芽腫(GBM)を有する患者におけるDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性を阻害するための医薬組成物であって、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体を含む、前記医薬組成物。
前記多形性膠芽腫が、ERBB2変異、PTEN変異又は喪失、NF1変異又は喪失、PIK3Ca変異、EGFR変異又は過剰発現、Met増幅、PDGFRa活性化又は増幅、AKT増幅、或いはそれらの組合せに起因して、PI3K/mTOR経路が活性化されているものである、請求項6記載の医薬組成物。
化合物、及び該化合物の投与に対する患者奏効をモニタリングするための手段を備えるキットであって、ここで該患者は、MGMTのタンパク質発現又はプロモーター低メチル化により特徴づけられる多形性膠芽腫(GBM)を有し、ここで該化合物が、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその医薬として許容し得る塩、立体異性体、若しくは互変異性体である、前記キット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(5. 詳細な説明)
(5.1 定義)
「アルキル」基は、1〜10の炭素原子、典型的には、1〜8の炭素、又は一部の実施態様においては、1〜6、1〜4若しくは2〜6の炭素原子を有する、飽和した、部分的に飽和した又は不飽和の、直鎖若しくは分枝の非環式炭化水素である。代表的なアルキル基を挙げると、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル及び-n-ヘキシルがあり;一方、飽和分枝アルキルを挙げると、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどがある。不飽和アルキル基の例を挙げると、特に、ビニル、アリル、-CH=CH(CH
3)、-CH=C(CH
3)
2、-C(CH
3)=CH
2、-C(CH
3)=CH(CH
3)、-C(CH
2CH
3)=CH
2、-C≡CH、-C≡C(CH
3)、-C≡C(CH
2CH
3)、-CH
2C≡CH、-CH
2C≡C(CH
3)及び-CH
2C≡C(CH
2CH
3)があるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されるか又は非置換であることができる。特定の実施態様において、本明細書記載のアルキル基が「置換されている」と称される場合、これらは、本明細書記載の例証的化合物及び実施態様において認められるもののような任意の一又は複数の置換基、加えてハロゲン(塩素、ヨウ素、臭素又はフッ素);ヒドロキシル;アルコキシ;アルコキシアルキル;アミノ;アルキルアミノ;カルボキシ;ニトロ;シアノ;チオール;チオエーテル;イミン;イミド;アミジン;グアニジン;エナミン;アミノカルボニル;アシルアミノ;ホスホナト;ホスフィン;チオカルボニル;スルホニル;スルホン;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;尿素;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;イソシアナート;イソチオシアナート;シアナート;チオシアナート;B(OH)
2、又はO(アルキル)アミノカルボニルにより、置換されてよい。
【0019】
「アルケニル」基は、2〜10の炭素原子、典型的には2〜8の炭素原子を有し、且つ少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分枝の非環式炭化水素である。代表的直鎖及び分枝の(C
2-C
8)アルケニルを挙げると、-ビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、-1-ヘキセニル、-2-ヘキセニル、-3-ヘキセニル、-1-ヘプテニル、-2-ヘプテニル、-3-ヘプテニル、-1-オクテニル、-2-オクテニル、-3-オクテニルなどがある。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基と共役されないか又は共役されることができる。アルケニル基は、非置換又は置換であることができる。
【0020】
「シクロアルキル」基は、任意に1〜3のアルキル基で置換され得る単一の環又は複数の縮合環若しくは架橋環を有する、炭素原子3〜10の飽和又は部分的に飽和の環状アルキル基である。一部の実施態様において、シクロアルキル基は、3〜8環員を有するのに対し、他の実施態様においては、環炭素原子の数は、3〜5、3〜6、又は3〜7の範囲である。そのようなシクロアルキル基を例として挙げると、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどの単環構造、又は例えば、アダマンチルなどの、複数の若しくは架橋した環構造がある。不飽和シクロアルキル基の例を挙げると、特に、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルなどがある。シクロアルキル基は、置換又は非置換であることができる。そのような置換シクロアルキル基を例として挙げると、シクロヘキサノンなどがある。
【0021】
「アリール」基は、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合環(例えば、ナフチル又はアントリル)を有する、炭素原子6〜14の芳香族炭素環基である。一部の実施態様において、アリール基は、炭素6〜14を含み、他においては、基の環部分に6〜12又は6〜10の炭素原子を含む。特定のアリールを挙げると、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどがある。アリール基は、置換又は非置換であることができる。また語句「アリール基」には、縮合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの縮合環を含む基も含まれる。
【0022】
「ヘテロアリール」基は、複素芳香族環系の環原子として、1〜4のヘテロ原子を有し、残りの原子は炭素原子である、アリール環系である。一部の実施態様において、ヘテロアリール基は、環原子5〜6を含み、他においては、基の環部分に6〜9又は6〜10もの原子を含む。適当なヘテロ原子を挙げると、酸素、硫黄及び窒素がある。特定の実施態様において、ヘテロアリール環系は、単環式又は二環式である。非限定的例を挙げると、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル(例えば、イソベンゾフラン-1,3-ジイミン)、インドリル、アザインドリル(例えば、ピロロピリジル又は1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d]イミダゾリル)、イミダゾピリジル(例えば、アザベンズイミダゾリル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル又は1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル)、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソオキサゾロピリジル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル及びキナゾリニル基などの基があるが、これらに限定されない。
【0023】
「ヘテロシクリル」は、1〜4の環炭素原子が独立して、O、S及びNからなる群のヘテロ原子と置き換えられている、芳香族(ヘテロアリールとも呼ばれる。)又は非芳香族シクロアルキルである。一部の実施態様において、ヘテロシクリル基は、3〜10環員を含むのに対し、他のそのような基は、3〜5、3〜6又は3〜8環員を有する。またヘテロシクリルは、任意の環原子(すなわち、ヘテロシクリル環の任意の炭素原子又はヘテロ原子)で他の基に結合され得る。ヘテロシクロアルキル基は、置換又は非置換であることができる。ヘテロシクリル基は、不飽和の、部分的に飽和した及び飽和した環系、例えば、イミダゾリル、イミダゾリニル及びイミダゾリジニル基などを包含する。語句ヘテロシクリルには、縮合芳香族及び非芳香族基、例えば、ベンゾトリアゾリル、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、及びベンゾ[1,3]ジオキソリルなどを含むものを含む、縮合環種がある。この語句には、限定はされないが、キヌクリジルなど、ヘテロ原子を含む架橋多環式環系も含まれる。ヘテロシクリル基の代表的な例を挙げると、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル(例えば、テトラヒドロ-2H-ピラニル)、テトラヒドロチオピラニル、オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロジチイニル、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌクリジル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチイニル、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル(アザベンズイミダゾリル;例えば、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル又は1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オニル)、トリアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チアナフタレニル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリジル、及びテトラヒドロキノリニル基があるが、これらに限定されない。代表的な置換ヘテロシクリル基は、限定はされないが、例えば、下記に記載されるものなどの様々な置換基で、2-、3-、4-、5-若しくは6-位置換された又は二置換されたピリジル又はモルホリニル基など、一置換又は複数置換されていてよい。
【0024】
「シクロアルキルアルキル」基は、式:-アルキル-シクロアルキルのラジカル(radical)であり、式中、アルキル及びシクロアルキルは、上に規定されたものである。置換シクロアルキルアルキル基は、基のアルキル部、シクロアルキル部、又はアルキルとシクロアルキル部の両方で置換されてもよい。代表的なシクロアルキルアルキル基を挙げると、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、及びシクロヘキシルプロピルがあるが、これらに限定されない。代表的な置換シクロアルキルアルキル基は、一置換又は複数置換されていてよい。
【0025】
「アラルキル」基は、式:-アルキル-アリールのラジカルであり、式中、アルキル及びアリールは、上に規定されたものである。置換アラルキル基は、基のアルキル部、アリール部、又はアルキルとアリール部の両方で置換されていてよい。代表的なアラルキル基を挙げると、ベンジル及びフェネチル基、並びに4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基があるが、これらに限定されない。
【0026】
「ヘテロシクリルアルキル」基は、式:-アルキル-ヘテロシクリルのラジカルであり、式中、アルキル及びヘテロシクリルは、上に規定されたものである。置換ヘテロシクリルアルキル基は、基のアルキル部、ヘテロシクリル部、又はアルキルとヘテロシクリル部の両方で置換されていてよい。代表的なヘテロシクリルアルキル基を挙げると、4-エチル-モルホリニル、4-プロピルモルホリニル、フラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピルジン-3-イルメチル、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル、テトラヒドロフラン-2-イルメチル、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、及びインドール-2-イルプロピルがあるが、これらに限定されない。
【0027】
「ハロゲン」は、クロロ、ヨード、ブロモ又はフルオロである。
【0028】
「ヒドロキシアルキル」基は、1以上のヒドロキシ基で置換された上記のアルキル基である。
【0029】
「アルコキシ」基は、-O-(アルキル)であり、式中、アルキルは、上に規定されたものである。
【0030】
「アルコキシアルキル」基は、-(アルキル)-O-(アルキル)であり、式中、アルキルは、上に規定されたものである。
【0031】
「アミン」基は、式:-NH
2のラジカルである。
【0032】
「ヒドロキシルアミン」基は、式:-N(R
#)OH又は-NHOHのラジカルであり、式中、R
#は、本明細書中に規定されている、置換又は非置換のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキル基である。
【0033】
「アルコキシアミン」基は、式:-N(R
#)O-アルキル又は-NHO-アルキルのラジカルであり、式中、R
#は上に規定されたものである。
【0034】
「アラルコキシアミン」基は、式:-N(R
#)O-アリール又は-NHO-アリールのラジカルであり、式中、R
#は上に規定されたものである。
【0035】
「アルキルアミン」基は、式:-NH-アルキル又は-N(アルキル)
2のラジカルであり、式中、各アルキルは独立して、上に規定されたものである。
【0036】
「アミノカルボニル」基は、式:-C(=O)N(R
#)
2、-C(=O)NH(R
#)又は-C(=O)NH
2のラジカルであり、式中、各R
#は上に規定されたものである。
【0037】
「アシルアミノ」基は、式:-NHC(=O)(R
#)又は-N(アルキル)C(=O)(R
#)のラジカルであり、式中、各アルキル及びR
#は独立して、上に規定されたものである。
【0038】
「O(アルキル)アミノカルボニル」基は、式:-O(アルキル)C(=O)N(R
#)
2、-O(アルキル)C(=O)NH(R
#)、又は-O(アルキル)C(=O)NH
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0039】
「N-オキシド」基は、式:-N
+-O
-のラジカルである。
【0040】
「カルボキシ」基は、式:-C(=O)OHのラジカルである。
【0041】
「ケトン」基は、式:-C(=O)(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は上に規定されたものである。
【0042】
「アルデヒド」基は、式:-CH(=O)のラジカルである。
【0043】
「エステル」基は、式:-C(=O)O(R
#)、又は-OC(=O)(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は上に規定されたものである。
【0044】
「尿素」基は、式:-N(アルキル)C(=O)N(R
#)
2、-N(アルキル)C(=O)NH(R
#)、-N(アルキル)C(=O)NH
2、-NHC(=O)N(R
#)
2、-NHC(=O)NH(R
#)、又は-NHC(=O)NH
2#のラジカルであり、式中、各アルキル及びR
#は独立して、上に規定されたものである。
【0045】
「イミン」基は、式:-N=C(R
#)
2、又は-C(R
#)=N(R
#)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0046】
「イミド」基は、式:-C(=O)N(R
#)C(=O)(R
#)、又は-N((C=O)(R
#))
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0047】
「ウレタン」基は、式:-OC(=O)N(R
#)
2、-OC(=O)NH(R
#)、-N(R
#)C(=O)O(R
#)、又は-NHC(=O)O(R
#)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0048】
「アミジン」基は、式:-C(=N(R
#))N(R
#)
2、-C(=N(R
#))NH(R
#)、-C(=N(R
#))NH
2、-C(=NH)N(R
#)
2、-C(=NH)NH(R
#)、-C(=NH)NH
2、-N=C(R
#)N(R
#)
2、-N=C(R
#)NH(R
#)、-N=C(R
#)NH
2、-N(R
#)C(R
#)=N(R
#)、-NHC(R
#)=N(R
#)、-N(R
#)C(R
#)=NH、又は-NHC(R
#)=NHのラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0049】
「グアニジン」基は、式:-N(R
#)C(=N(R
#))N(R
#)
2、-NHC(=N(R
#))N(R
#)
2、-N(R
#)C(=NH)N(R
#)
2、-N(R
#)C(=N(R
#))NH(R
#)、-N(R
#)C(=N(R
#))NH
2、-NHC(=NH)N(R
#)
2、-NHC(=N(R
#))NH(R
#)、-NHC(=N(R
#))NH
2、-NHC(=NH)NH(R
#)、-NHC(=NH)NH
2、-N=C(N(R
#)
2)
2、-N=C(NH(R
#))
2、又は-N=C(NH
2)
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0050】
「エナミン」基は、式:-N(R
#)C(R
#)=C(R
#)
2、-NHC(R
#)=C(R
#)
2、-C(N(R
#)
2)=C(R
#)
2、-C(NH(R
#))=C(R
#)
2、-C(NH
2)=C(R
#)
2、-C(R
#)=C(R
#)(N(R
#)
2)、-C(R
#)=C(R
#)(NH(R
#))、又は-C(R
#)=C(R
#)(NH
2)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0051】
「オキシム」基は、式:-C(=NO(R
#))(R
#)、-C(=NOH)(R
#)、-CH(=NO(R
#))、又は-CH(=NOH)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0052】
「ヒドラジド」基は、式:-C(=O)N(R
#)N(R
#)
2、-C(=O)NHN(R
#)
2、-C(=O)N(R
#)NH(R
#)、-C(=O)N(R
#)NH
2、-C(=O)NHNH(R
#)
2、又は-C(=O)NHNH
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0053】
「ヒドラジン」基は、式:-N(R
#)N(R
#)
2、-NHN(R
#)
2、-N(R
#)NH(R
#)、-N(R
#)NH
2、-NHNH(R
#)
2、又は-NHNH
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0054】
「ヒドラゾン」基は、式:-C(=N-N(R
#)
2)(R
#)
2、-C(=N-NH(R
#))(R
#)
2、-C(=N-NH
2)(R
#)
2、-N(R
#)(N=C(R
#)
2)、又は-NH(N=C(R
#)
2)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0055】
「アジド」基は、式:-N
3のラジカルである。
【0056】
「イソシアナート」基は、式:-N=C=Oのラジカルである。
【0057】
「イソチオシアナート」基は、式:-N=C=Sのラジカルである。
【0058】
「シアナート」基は、式:-OCNのラジカルである。
【0059】
「チオシアナート」基は、式:-SCNのラジカルである。
【0060】
「チオエーテル」基は、式:-S(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は、上に規定されたものである。
【0061】
「チオカルボニル」基は、式:-C(=S)(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は、上に規定されたものである。
【0062】
「スルフィニル」基は、式:-S(=O)(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は、上に規定されたものである。
【0063】
「スルホン」基は、式:-S(=O)
2(R
#)のラジカルであり、式中、R
#は、上に規定されたものである。
【0064】
「スルホニルアミノ」基は、式:-NHSO
2(R
#)、又は-N(アルキル)SO
2(R
#)のラジカルであり、式中、各アルキル及びR
#は、上に規定されたものである。
【0065】
「スルホンアミド」基は、式:-S(=O)
2N(R
#)
2、又は-S(=O)
2NH(R
#)、又は-S(=O)
2NH
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0066】
「ホスホナート」基は、式:-P(=O)(O(R
#))
2、-P(=O)(OH)
2、-OP(=O)(O(R
#))(R
#)、又は-OP(=O)(OH)(R
#)のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0067】
「ホスフィン」基は、式:-P(R
#)
2のラジカルであり、式中、各R
#は独立して、上に規定されたものである。
【0068】
アルキル基を例外として、本明細書中に記載の基が、「置換された」と記載される場合、それらは、任意の適切な一又は複数の置換基で置換され得る。置換基の実例は、本明細書中に開示される例示的化合物及び実施態様に見られるもの、並びにハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ又はフルオロ);アルキル;ヒドロキシル;アルコキシ;アルコキシアルキル;アミノ;アルキルアミノ;カルボキシ;ニトロ;シアノ;チオール;チオエーテル;イミン;イミド;アミジン;グアニジン;エナミン;アミノカルボニル;アシルアミノ;ホスホナート;ホスフィン;チオカルボニル;スルフィニル;スルホン;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;尿素;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;イソシアナート;イソチオシアナート;シアナート;チオシアナート;酸素(=O);B(OH)
2、O(アルキル)アミノカルボニル;シクロアルキル(これは、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル)であってよい。)、又はヘテロシクリル(これは、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式(例えば、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル又はチアジニル)であってよい。);単環式又は縮合若しくは非縮合多環式アリール又はヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル又はベンゾフラニル)アリールオキシ;アラルキルオキシ;ヘテロシクリルオキシ;及びヘテロシクリルアルコキシである。
【0069】
本明細書中に使用される用語「医薬として許容し得る塩」とは、無機酸及び無機塩基、並びに有機酸及び有機塩基を含む、医薬として許容し得る無毒性の酸又は塩基から製造される塩を指す。ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の適当な医薬として許容し得る塩基付加塩を挙げると、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から製造される金属塩、又はリジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから製造される有機塩があるが、これらに限定されない。適当な無毒性酸を挙げると、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸があるが、これらに限定されない。具体的無毒性酸を挙げると、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸がある。従って、具体的塩の例には、塩酸塩及びメシル酸塩が含まれる。他のものも当該分野で周知であり、例えば「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990)又はRemingtonの文献:「調剤の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」第19版、Mack Publishing, Easton PA (1995)を参照されたい。
【0070】
別に示さない限り、本明細書中に使用される用語「包接体」とは、その中に捕捉されたゲスト分子(例えば、溶媒又は水)を有する空間(例えば、チャネル)を含む結晶格子、又はジヒドロピラジノ-ピラジン化合物がゲスト分子である結晶格子の形態のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物又はその塩を意味する。
【0071】
別に示さない限り、本明細書中に使用される用語「溶媒和物」とは、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論的な又は非化学量論的な量の溶媒を更に含むジヒドロピラジノ-ピラジン化合物又はその塩を意味する。一実施態様において、溶媒和物は水和物である。
【0072】
別に示さない限り、本明細書中に使用される用語「水和物」とは、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論的な又は非化学量論的な量の水を更に含むジヒドロピラジノ-ピラジン化合物又はその塩を意味する。
【0073】
別に示さない限り、本明細書中に使用される用語「プロドラッグ」とは、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で、加水分解、酸化又はその他の方法で反応して、活性化合物、特に、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を提供することができるジヒドロピラジノ-ピラジン化合物誘導体を意味する。プロドラッグの例を挙げると、例えば、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバメート、生体加水分解性カルボナート、生体加水分解性ウレイド及び生体加水分解性ホスファート類似体などの、生体加水分解性部位を含むジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の誘導体及び代謝物があるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。該カルボン酸エステルは、分子上に存在するいずれかのカルボン酸部位をエステル化することによって都合よく形成される。典型的に、プロドラッグは周知の方法、例えば、「バーガーの医薬品化学と新薬の発見(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」第6版、(Donald J. Abraham編集、2001, Wiley)、及び「プロドラッグの設計と応用(Design and Application of Prodrugs)」(H. Bundgaard編集、1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載されるものを使用して製造することができる。
【0074】
別に示さない限り、本明細書中に使用される用語「立体異性体」又は「立体異性体として純粋な」とは、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の一立体異性体を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、該化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まないことになる。2つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性体として純粋な化合物は、約80重量%より多い該化合物の一立体異性体及び約20重量%より少ない該化合物の他の立体異性体、約90重量%より多い該化合物の一立体異性体及び約10重量%より少ない該化合物の他の立体異性体、約95重量%より多い該化合物の一立体異性体及び約5重量%より少ない該化合物の他の立体異性体、又は約97重量%より多い該化合物の一立体異性体及び約3重量%より少ない該化合物の他の立体異性体を含む。ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物はキラル中心を有することができ、且つラセミ化合物、個別の鏡像異性体又はジアステレオマー、及びそれらの混合物として生じ得る。そのような全ての異性体形態は、それらの混合物を含む本明細書中に開示される実施態様内に含まれる。そのようなジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の立体異性体として純粋な形態の使用、並びにこうした形態の混合物の使用は、本明細書中に開示される実施態様によって包含される。例えば、等量又は非等量の特定のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の鏡像異性体を含む混合物を、本明細書中に開示される方法及び組成物に使用することができる。これらの異性体は、不斉合成されるか、又はキラルカラム若しくはキラル分割剤などの標準的な技術を使用して分割され得る。例えば、Jacques, J.らの文献、「鏡像異性体、ラセミ体及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley-Interscience, New York, 1981);Wilen, S. H.らの文献、Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, E. L.の文献、「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw-Hill, NY, 1962);及びWilen, S. H.の文献、「分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」p.268(E.L. Eliel編集、Univ.of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0075】
また、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、E及びZ異性体又はそれらの混合物、並びにシス及びトランス異性体又はそれらの混合物を含み得ることに留意すべきである。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、シス又はトランス異性体のいずれかとして単離される。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、シス及びトランス異性体の混合物である。
【0076】
「互変異性体」は、互いに平衡にある化合物の異性体形態を指す。該異性体形態の濃度は、化合物が見出される環境によって決定し、例えば、該化合物が固体であるか、又は有機溶液若しくは水溶液中にあるのかどうかに応じて異なり得る。例えば、水溶液において、ピラゾールは下記の異性体形態を示し、これらは、互いに互変異性体と呼ばれる:
【化1】
。
【0077】
当業者には容易に理解されるように、多種多様な官能基及び他の構造が、互変異性を示すことができ、且つジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内にある。
【0078】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、1以上の原子で非天然の比率の原子の同位体を含むことができることに留意すべきである。例えば、該化合物は、放射性同位元素、例えば、トリチウム(
3H)、ヨウ素-125(
125I)、硫黄-35(
35S)又は炭素-14(
14C)などで放射標識することができるか、又は重水素(
2H)、炭素-13(
13C)又は窒素-15(
15N)などによって同位体的に濃縮することができる。本明細書中に使用される「アイソトポログ(isotopologue)」は、同位体的に濃縮された化合物である。用語「同位体的に濃縮された」とは、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体的に濃縮された」とはまた、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つの原子を含んでいる化合物を指す。用語「同位体組成」とは、所与の原子に存在する各同位体の量を指す。放射標識され、同位体的に濃縮された化合物は、治療薬(例えば、癌及び炎症の治療薬)、研究用試薬(例えば、結合アッセイ試薬)、及び診断薬(例えば、インビボ用造影剤)として有用である。本明細書中に記載されるジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の全ての同位体変種は、放射性であるか否かにかかわらず、本明細書中に提供される実施態様の範囲内に包含されることを意図する。一部の実施態様においては、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物のアイソトポログを提供し、例えば、該アイソトポログは、重水素、炭素-13又は窒素-15濃縮されたジヒドロピラジノ-ピラジン化合物である。
【0079】
描かれた構造とその構造の名称の間に齟齬が存在する場合は、描かれた構造により重きをおくべきであることは、留意すべきである。
【0080】
O
6-アルキル-グアニンは、変異原のアルキル化により誘導されたDNAにおける主要な発癌性病変である。このDNA付加物は、MGMT遺伝子によりコードされた、修復タンパク質であるO
6-メチルグアニン-DNAメチル基転移酵素(MGMT)により除去される。このタンパク質は、化学量論的反応で病変からアルキル基を受け容れ、且つこの活性酵素は、それがアルキル化された後には再生されないので、これは真の酵素ではない。このタンパク質内のメチル-アクセプター残基は、システインである(Kaina B、Christmann M、Naumann S、Roos WPの文献、(2007年8月)、DNA Repair(Amst.) 6(8): 1079-99)。MGMT遺伝子のプロモーター領域のCpG部位のメチル化のために減少したMGMTタンパク質発現は、アルキルグアニンDNAの蓄積を可能にし、これはチミンとの誤った塩基対を形成した後、DNA損傷シグナル伝達及び細胞死の引き金を引く。MGMTプロモーターメチル化は、MGMT遺伝子サイレンシングの重要な機序である。
【0081】
本明細書において使用される「MGMTタンパク質発現状態」とは、MGMTのタンパク質発現をいう。一実施態様において、MGMTタンパク質は発現される。一実施態様において、MGMTタンパク質発現は、例えば、免疫組織化学又はウェスタンブロットにより決定される。
【0082】
本明細書において使用される「MGMTプロモーターメチル化状態」とは、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化をいう。一実施態様において、このプロモーターは、低メチル化される。一実施態様において、MGMTプロモーターメチル化状態は、例えば、メチル化-特異的PCR(MSP)及び24の隣接CpG部位のバイサルファイトシーケシング(BiSEQ)により決定される。
【0083】
本明細書中に使用される「治療すること」は、MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM、又はそれらの症状の全部若しくは一部の軽減、又はMGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM又はそれらの症状の更なる進行若しくは悪化の遅延若しくは停止を意味する。一実施態様において、MGMTプロモーターは、低メチル化される。別の実施態様において、MGMTタンパク質は、発現される。
【0084】
本明細書において使用される「予防」は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM、又はそれらの症状の全体又は一部の開始、再発は伝播の予防を意味する。一実施態様において、MGMTプロモーターは、低メチル化される。別の実施態様において、MGMTタンパク質は、発現される。
【0085】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物に結びつけた用語「有効量」とは、MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMに関連する症状の全部若しくは一部の軽減、又はそれらの症状の更なる進行若しくは増悪の遅延若しくは停止、或いはMGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMの治療又は予防を可能にする量を意味する。例えば、医薬組成物中のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量は、所望の効果を発揮するであろうレベルとすることができ;例えば、経口及び非経口投与の両方についての単位用量において、対象の体重1kg当りの約0.005mg〜患者の体重1kg当り約100mgとすることができる。当業者には明らかであるように、本明細書中に記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量は、治療されている適応症の重症度によって変化し得ることが予想される。
【0086】
一実施態様において、患者は、MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有するヒトである。一実施態様において、MGMTプロモーターは、低メチル化される。別の実施態様において、MGMTタンパク質は、発現される。
【0087】
本明細書において使用される用語「患者」及び「対象」とは、限定はされないが、動物、例えば、雌ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットなどを含む動物、一実施態様においては、哺乳動物、別の実施態様においては、ヒトを含む。一実施態様において、「患者」又は「対象」は、MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有するヒトである。一実施態様において、患者は、標準の癌治療時に進行している(又は忍容することができない)対象、又は標準の癌治療が存在しない対象を含む、MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる組織学的又は細胞学的に確認されたGBMを有するヒトである。一つのそのような実施態様において、標準癌治療は、テモゾロミドである。
【0088】
MGMTの発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMの状況において、治療は、特に疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性及び/若しくは続発性腫瘍(複数可)の減少、腫瘍-関連症状の緩和、生活の質の向上、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の出現の遅延、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の発達の緩徐化、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の発生の減少、疾患の副次的作用の緩徐化又は重症度の低下、腫瘍成長の停止及び/又は腫瘍退縮により評価することができる。特定の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMの治療は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物による治療前、治療時及び/又は治療後の、循環血及び/若しくは腫瘍の細胞並びに/又は皮膚生検標本若しくは腫瘍生検標本/吸引液中の、S6RP、4E-BP1及び/又はAKTのリン酸化の阻害により評価することができる。他の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMの治療は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物による治療前、治療時及び/又は治療後の、DNA損傷経路のバイオマーカーとしてのpDNA-PK S2056の量の評価によるなどの、皮膚試料及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害により評価することができる。一実施態様において、皮膚試料は、UV光により照射される。極端には、完全な阻害は、予防又は化学的予防として本明細書において言及される。この文脈において、用語「予防」は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる臨床上明白なGBMの一緒の開始を予防すること、又はMGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM癌腫の前臨床的に明白な段階の開始を予防することのいずれかを含む。この定義により、悪性細胞への悪性転換の予防、或いは前悪性細胞の悪性細胞への進行の停止若しくは逆行が包含されることも意図される。これは、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMの発症のリスクのある患者の発症予防的治療を含む。
【0089】
以下に記載の手順、慣習、及び定義は、高度悪性神経膠腫の奏効判定基準に関する神経-腫瘍学の奏効評価(RANO)に関する作業グループからの推奨を実行するための指針を提供する(Wen P.、Macdonald, DR.、Reardon, DA.らの文献、「最新版高度悪性神経膠腫奏効評価基準:神経-腫瘍学作業グループの奏効評価(Updated response assessment criteria for highgrade gliomas: Response assessment in neuro-oncology working group)」、J Clin Oncol 2010; 28: 1963-1972)。時点奏効(TPR)に関する判定基準に関するRANO判定基準の主な改変は、客観的な放射線学的評価に焦点をあてるために、糖質コルチコイド用量の変化の規定、及び対象の臨床上劣化した成分の除去のために、追加の操作上の慣習を含むことができる。ベースラインMRI走査は、化合物治療の再開前、手術後休薬期間の最後に行われる評価として規定される。ベースラインMRIは、完全奏効(CR)及び部分奏効(PR)を評価するための参考として、使用される。その一方、ベースライン時又は後続の評価時のいずれかで得られた最小SPD(生成物の垂直直径の合計)は、最下点評価を指定し、且つ進行の決定の参考として利用されるであろう。なんらかのプロトコール-規定されたMRI走査に先立つ5日間、対象は、糖質コルチコイドを受け取らないか、又は安定用量の糖質コルチコイドを受け取るかのいずれかである。安定用量とは、MRI走査に先行して5日間連続した、同じ日用量と定義される。処方された糖質コルチコイド用量が、ベースライン走査前5日間に変更されるならば、前記判定基準に合致する糖質コルチコイド使用による、新たなベースライン走査が必要である。以下の定義が使用される。
【0090】
測定可能な病変:測定可能な病変とは、二次元的に測定され得るコントラスト強調している病変である。測定は、最大強調腫瘍直径(最長直径としても知られる、LD)で行う。最も大きい垂直直径を、同じ画像で測定する。二次元測定の十字線(cross hair)は、交差させ、且つこれらの直径の積を算出する。
【0091】
最小直径:切片が、1mm飛ばしでの5mmである、T1-重み付き画像。測定可能な病変の最小LDは、5mm×5mmに設定する。標的病変として包含及び/又は指定するためには、より大きい直径が必要とされる。ベースライン後、測定のための最小必要要件よりも小さくなるか又はもはや二次元測定に適さなくなってきている標的病変は、5mm以下の各直径についてデフォルト値5mmと記録する。消失した病変は、0mm×0mmと記録する。
【0092】
多中心性病変:多中心性である(連続性に対して)と考えられる病変は、2つの(又はそれよりも多い)病変の間に正常介在性脳組織が存在する病変である。強調されている離散病巣(discrete foci)である多中心性病変についてのアプローチは、参加基準に合致する各強調病変を個別に測定する。2つの(又はそれよりも多い)病変の間に正常脳組織が存在しない場合、これらは同一病変と考えられる。
【0093】
測定不可能な病変:先に定義されたような測定可能な疾患の判定基準に合致しない全ての病変は、測定不可能な病変、並びに全て強調せず且つ他に真に測定不可能な病変と考えられる。測定不可能な病変は、特定された最小直径未満である(すなわち、5mm×5mm未満)で強調された病巣、強調しない病変(例えば、コントラスト後T1-重み付き画像、T2-重み付き画像、又は液体減衰反転回復[FLAIR]画像において認められるもの)、出血性又は主に膿疱性若しくは壊死性病変、並びに軟髄膜腫を含む。出血性病変は、腫瘍の強調として誤って解釈されることがある固有のT1-重み付き超強度を有することが多く、このため、ベースライン又は区間の亜急性出血を除外するために、コントラスト前T1-重み付き画像を検証することができる。
【0094】
ベースライン時に、病変は、以下のように分類される:標的病変:対象の疾患の代表として、各測定で少なくとも10mm×5mmを有し、最大5個の測定可能な病変が、標的病変として選択され得る;非-標的病変:測定不可能な病変全て(マスエフェクト及びT2/FLAIR知見を含む)、並びに標的病変として選択されない測定可能な病変を含む、全ての他の病変。ベースライン時に、標的病変は、測定可能な病変の定義において説明したように測定し、全ての標的病変のSPDを決定する。全ての他の病変の存在を、記載する。全ての処置後評価時に、標的病変及び非標的病変としての病変のベースライン分類を維持し、且つ病変を、経時的に一貫した様式で記載し説明する(例えば、元の文書及びeCRFに同じ順番で記録)。全ての測定可能な病変及び測定不可能な病変は、変化の解釈の困難さを減少するために、試験期間中、ベースライン時と同じ技術を用いて評価しなければならない(例えば、対象は、同じMRIスキャナー上で又は少なくとも同じ磁気強度で、造影されなければならない)。各評価時に、標的病変を測定し、且つSPDを計算する。非標的病変は、定性的に評価し、且つ新規病変がもしあれば、これは個別に記載する。各評価時に、時点奏効を、標的病変、非標的病変、及び新規病変について決定する。病変のサブセットのみが評価された場合であっても、腫瘍進行を確立することができる。しかし、進行が認められないならば、全ての病変を評価する際に、客観的状態(病状安定、PR又はCR)のみを決定する。
【0095】
CR及びPRの全般的時点奏効についての確定評価を、次に予定された評価時に行うが、走査の間隔が28日未満である場合は、確定は行わない。確定の必要要件を組み入れる最良奏効は、一連の時点から誘導する。
【0096】
特定の実施態様において、癌の治療は、TORキナーゼ阻害剤、例えばジヒドロピラジノ-ピラジン化合物による治療前、治療時及び/又は治療後の、循環血及び/若しくは腫瘍の細胞、並びに/又は皮膚生検標本若しくは腫瘍生検標本/吸引液中の、S6RP、4E-BP1、AKT及び/又はDNA-PKのリン酸化の阻害により評価することができる。例えば、S6RP、4E-BP1、AKT及び/又はDNA-PKのリン酸化の阻害は、B-細胞、T-細胞及び/又は単球において評価される。
【0097】
他の実施態様において、癌の治療は、DNA損傷経路のバイオマーカーとしてのpDNA-PK S2056の量の評価によるなど、TORキナーゼ阻害剤、例えばジヒドロピラジノ-ピラジン化合物による治療前、治療時及び/又は治療後の、皮膚試料及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害により評価することができる。一実施態様において、皮膚試料は、UV光により照射される。
【0098】
極端には、完全な阻害は、予防又は化学的予防として本明細書において言及される。この文脈において、用語「予防」は、MGMTメチル化により特徴づけられる臨床上明白なGBMの一緒の開始を予防すること、又はMGMTメチル化により特徴づけられるGBMの前臨床的に明白な段階の開始を予防することのいずれかを含む。この定義により、悪性細胞への悪性転換の予防、或いは前悪性細胞の悪性細胞への進行の停止若しくは逆行が包含されることも意図される。これは、MGMTメチル化により特徴づけられるGBMの発症のリスクのある患者の発症予防的治療を含む。
【0099】
(5.2 ジヒドロピラジノ-ピラジン)
本明細書に提供する化合物は、一般に「ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物」と称される、TORキナーゼ阻害剤である。一態様において、TORキナーゼ阻害剤は、ラパマイシン又はラパマイシン類似体(ラパログ)を含まない。
【0100】
一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、下記式(I)を有する化合物、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、包接体、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、代謝物及びアイソトポログを含み:
【化2】
(式中:
R
1は、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル、又は置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキルであり;
R
2は、H、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のアラルキル、又は置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキルであり;
R
3は、H、又は置換若しくは非置換のC
1-8アルキルである。)、
ここで特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、以下に描かれた7-(4-ヒドロキシフェニル)-1-(3-メトキシベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンを含まない:
【化3】
。
【0101】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、R
1は、置換若しくは非置換のアリール又は置換若しくは非置換のヘテロアリールである。例えば、R
1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンズイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、インドリル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オンイル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、又はピラゾリルである。一部の実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル(例えばメチル)、置換又は非置換のヘテロシクリル(例えば置換又は非置換のトリアゾリル又はピラゾリル)、アミノカルボニル、ハロゲン(例えばフッ素)、シアノ、ヒドロキシアルキル及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたフェニルである。他の実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル(例えばメチル)、置換又は非置換のヘテロシクリル(例えば置換又は非置換のトリアゾリル)、ハロゲン、アミノカルボニル、シアノ、ヒドロキシアルキル(例えばヒドロキシプロピル)、-OR、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたピリジルであり、ここで各Rは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。一部の実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により任意に置換された1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル又はベンズイミダゾリルであり、ここでRは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。
【0102】
一部の実施態様において、R
1は
【化4】
であり、ここで、Rは、各出現において、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキル(例えばメチル)であり;R’は、各出現において、独立して置換若しくは非置換のC
1-4アルキル(例えばメチル)、ハロゲン(例えばフルオロ)、シアノ、-OR、若しくは-NR
2であり;mは、0-3であり;並びに、nは、0-3である。当業者により、置換基R’のいずれかは、縮合環系の任意の環の任意の好適な原子に結合され得ることは、理解されるであろう。
【0103】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、R
1は
【化5】
であり、ここで、Rは、各出現において、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルであり;R’は、各出現において、独立して置換若しくは非置換のC
1-4アルキル、ハロゲン、シアノ、-OR、又は-NR
2であり;mは、0-3であり;並びに、nは、0-3である。
【0104】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、R
2は、H、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル、置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-ヘテロシクリル、置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-アリール、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-シクロアルキルである。例えば、R
2は、各々任意に置換された、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、(C
1-4アルキル)-フェニル、(C
1-4アルキル)-シクロプロピル、(C
1-4アルキル)-シクロブチル、(C
1-4アルキル)-シクロペンチル、(C
1-4アルキル)-シクロヘキシル、(C
1-4アルキル)-ピロリジル、(C
1-4アルキル)-ピペリジル、(C
1-4アルキル)-ピペラジニル、(C
1-4アルキル)-モルホリニル、(C
1-4アルキル)-テトラヒドロフラニル、又は(C
1-4アルキル)-テトラヒドロピラニルである。
【0105】
他の実施態様において、R
2は、H、C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)(OR)、
【化6】
であり、ここでRは、各出現において、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキル(例えばメチル)であり;R’は、各出現において、独立してH、又は-OR、シアノ、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキル(例えばメチル)であり;並びに、pは、0-3である。
【0106】
式(I)の化合物の他の実施態様において、R
2は、H、C
1-4アルキル、(C
1-4アルキル)(OR)、
【化7】
であり、ここでRは、各出現において、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-2アルキルであり;R’は、各出現において、独立してH、-OR、シアノ、又は置換若しくは非置換のC
1-2アルキルであり;並びに、pは、0-1である。
【0107】
式(I)の化合物の他の実施態様において、R
3はHである。
【0108】
一部の本明細書記載のそのような実施態様において、R
1は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールである。例えば、R
1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンズイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、インドリル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン、ピリジル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オンイル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、又はピラゾリルである。一部の実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、アミノカルボニル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたフェニルである。別に、R
1は、C
1-8アルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、ハロゲン、アミノカルボニル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-OR、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたピリジルであり、ここで各Rは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。更に別に、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により任意に置換された1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル又はベンズイミダゾリルであり、ここでRは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。
【0109】
式(I)の化合物の一実施態様において、R
1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンズイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、又はインドリルである。一部のそのような実施態様において、R
1は、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル(例えば置換若しくは非置換のトリアゾリル)、又はハロゲンからなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたフェニルである。一部の他のそのような実施態様において、R
1は、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル(例えば置換若しくは非置換のトリアゾリル)、ハロゲン、アミノカルボニル、ヒドロキシアルキル、-OR、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたピリジルであり、ここで各Rは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。一部の他のそのような実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により任意に置換された1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル又はベンズイミダゾリルであり、ここでRは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。
【0110】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、R
2は、H、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-ヘテロシクリル、置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-アリール、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキル-シクロアルキルである。一部のそのような実施態様において、R
2は、各々任意に置換された、H、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、(C
1-4アルキル)-フェニル、(C
1-4アルキル)-シクロヘキシル、又は(C
1-4アルキル)-テトラヒドロピラニルである。
【0111】
R
2の一部のそのような実施態様において、R
1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンズイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、又はインドリルである。例えば、R
1は、置換若しくは非置換のC
1-8アルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクリル(例えば置換若しくは非置換のトリアゾリル)、又はハロゲンからなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたフェニルである。一部の他のそのような実施態様において、R
1は、置換又は非置換のC
1-8アルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル(例えば置換又は非置換のトリアゾリル)、ハロゲン、アミノカルボニル、ヒドロキシアルキル、-OR、及び-NR
2からなる群から独立して選択される1以上の置換基により置換されたピリジルであり、ここで各Rは、独立してH、又は置換若しくは非置換のC
1-4アルキルである。
【0112】
特定の実施態様において、式(I)の化合物は、本明細書に記載のR
1基及び本明細書に記載のR
2基を有する。
【0113】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、該化合物は、TORキナーゼを阻害する。式(I)の化合物の他の実施態様において、該化合物は、DNA-PKを阻害する。式(I)の化合物の特定の実施態様において、該化合物は、TORキナーゼ及びDNA-PKの両方を阻害する。
【0114】
式(I)の化合物の一部の実施態様において、該化合物は、濃度10μMで、TORキナーゼ、DNA-PK、PI3K、又はそれらの組合せを、少なくとも約50%阻害する。式(I)の化合物は、任意の好適なアッセイ系において、前記キナーゼの阻害剤であることを示すことができる。
【0115】
式(I)の代表的ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、以下を含む:
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(シス-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((シス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((シス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-エチル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-イソプロピル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-ヒドロキシピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-イソプロピル-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
5-(8-イソプロピル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
7-(1H-インダゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノピリミジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(1H-ピラゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-4-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-6-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリミジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-インダゾール-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-メチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-(8-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ピリジン 1-オキシド;
4-メチル-5-(7-オキソ-8-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ピコリンアミド;
5-(8-((シス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
7-(1H-ピラゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
3-((7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-1(2H)-イル)メチル)ベンゾニトリル;
1-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
3-(7-オキソ-8-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ベンズアミド;
5-(8-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
3-((7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-1(2H)-イル)メチル)ベンゾニトリル;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1S,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1S,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-モルホリノエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-モルホリノエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-イソプロピル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((シス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
4-(7-オキソ-8-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ベンズアミド;
7-(1H-インダゾール-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1S,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1R,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1R,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1S,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((シス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(4-メチル-2-(メチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-ベンジル-7-(2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(トランス-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(シクロペンチルメチル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(S)-7-(6-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(R)-7-(6-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(3-メトキシプロピル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-メチル-2-(メチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノ-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(R)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(S)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,3-ジメチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノ-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;及び
1-(2-ヒドロキシエチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン
並びに、それらの医薬として許容し得る塩、包接体、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、代謝物及びアイソトポログ。
【0116】
(5.3 ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の製造方法)
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、標準の周知の合成方法により、入手することができ、例えばMarch, J.の文献、「最新有機化学:反応機構及び構造(Advanced Organic Chemistry;Reactions Mechanisms, and Structure)」、第4版、1992年を参照されたい。従って式(I)の化合物及び中間体の調製に有用な出発材料は、市販されているか、又は公知の合成方法及び試薬を使用し、市販の材料から調製することができる。
【0117】
式(I)の化合物を調製する特定の方法は、2012年2月7日に発行された米国特許第8,110,578号、及び2013年10月29日に発行された米国特許第8,569,494号に開示されており、各特許はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0118】
(5.4 使用方法)
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者に投与することを含む、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫(GBM)を治療又は予防する方法を、本明細書に提供する。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、治癒的外科的切除を受けることができない、局所的に進行した、再発性又は転移性の、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者に投与される。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、少なくとも1回先に一連の化学療法、例えばテモゾロミドを受け取った、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者に投与される。一部の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有し且つDNA-PK過剰発現を示す患者に投与される。
【0119】
特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者に投与される。
【0120】
一部のそのような実施態様において、MGMTプロモーターは、低メチル化される。別に、MGMTタンパク質は、発現される。
【0121】
特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者に投与することを含む、該患者における完全奏効、部分奏効又は病状安定の、多形性膠芽腫に関する神経-腫瘍学作業グループの奏効評価(RANO)を達成する方法を、本明細書に提供する。
【0122】
一実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者へジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を投与することを含む、該患者において、S6RP、4E-BP1及び/又はAKTのリン酸化を阻害する方法を、本明細書に提供する。一部のそのような実施態様において、リン酸化の阻害は、循環血及び/又は腫瘍の細胞、皮膚生検標本及び/又は腫瘍生検標本若しくは吸引液などの、患者の生体試料中で測定される。そのような実施態様において、リン酸化の阻害の量は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前及び投与後のホスホ-S6RP、4E-BP1及び/又はAKTの量の比較により評価される。特定の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者へジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を投与すること、該患者においてリン酸化されたS6RP、4E BP1及び/又はAKTの量を測定すること、並びに該リン酸化されたS6RP、4E BP1及び/又はAKTの量を、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量の投与前の該患者の量と比較することを含む、該患者におけるS6RP、4E-BP1又はAKTのリン酸化の阻害を測定する方法を、本明細書に提供する。
【0123】
特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量をMGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者に投与すること、該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前及び投与後に得られた患者の生体試料中のリン酸化されたS6RP、4E-BP1及び/又はAKTの量を比較することを含む、該患者の生体試料中のS6RP、4E-BP1又はAKTのリン酸化を阻害する方法を、本明細書に提供し、ここで該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前に得られた該生体試料中のリン酸化されたS6RP、4E-BP1及び/又はAKTの量と比べ、該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与後に得られた該生体試料中のより少ないリン酸化されたS6RP、4E-BP1及び/又はAKTは、阻害を示す。
【0124】
一実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者にジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を投与することを含む、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者におけるDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性を阻害する方法を、本明細書に提供する。一部の実施態様において、DNA-PK阻害は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者の皮膚、一例において、該患者のUV光-照射された皮膚試料において評価される。別の実施態様において、DNA-PK阻害は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者の腫瘍生検標本又は吸引液において、評価される。一実施態様において、阻害は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前及び投与後のリン酸化されたDNA-PK S2056(pDNA-PK S2056としても公知)の量を測定することにより評価される。特定の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者へジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を投与すること、皮膚試料中に存在するリン酸化されたDNA-PK S2056の量を測定すること、並びに該リン酸化されたDNA-PK S2056の量を、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量の投与前の該患者由来の皮膚試料中の量と比較することを含む、該患者の皮膚試料中のDNA-PK S2056のリン酸化の阻害を測定する方法を、本明細書に提供する。一実施態様において、皮膚試料は、UV光により照射されている。
【0125】
特定の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する患者へジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量を投与すること、並びに該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前及び投与後に得られた患者の生体試料中のリン酸化されたDNA-PKの量を比較することを含む、該患者の皮膚試料中のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性を阻害する方法を、本明細書に提供し、ここで該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前に得られた該生体試料中のリン酸化されたDNA-PKの量と比べ、該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与後に得られた該生体試料中のより少ないリン酸化されたDNA-PKは、阻害を示す。
【0126】
一部の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、本明細書記載の化合物である。一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、化合物1(分子式C
16H
16N
8Oを有する本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物)である。一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、化合物2(分子式C
21H
27N
5O
3を有する本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物)である。一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、化合物3(分子式C
20H
25N
5O
3を有する本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物)である。一実施態様において、化合物1は、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はそれらの互変異性体、例えば、1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、若しくは1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンである。一実施態様において、化合物2は、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ-[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、或いは7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((トランス)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、若しくは7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R*,4R*)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンと称されるものである。別の実施態様において、化合物3は、1-((トランス)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、或いは1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンと称されるものである。一実施態様において、化合物3は、化合物2の代謝物である。
【0127】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、放射線治療又は手術と組合せることができる。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、放射線治療を受けている患者、先に放射線治療を受けた患者、又は放射線治療を受けるであろう患者に投与される。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、GBM除去手術を受けた患者に投与される。
【0128】
更に、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫について先に治療されたが、標準療法に、例えばテモゾロミドに反応しなかった患者、並びに先に治療されていない患者を治療する方法を、本明細書に提供する。更に、問題の状態を治療する試みで手術を受けた患者、並びに受けていない患者を治療する方法を、本明細書に提供する。MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を伴う患者は、均一でない臨床徴候及び一様でない臨床転帰を有し得るので、患者にもたらされる治療は、その患者の予後に応じて変動し得る。熟練した臨床医は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を伴う個々の患者を治療するために効果的に使用することができる具体的な二次薬物、手術の種類、及び薬物ベースでない標準療法の種類を、過度な実験を行わずに容易に決定することができるであろう。一部の実施態様において、本明細書記載の方法は追加的に、テモゾロミドの投与を含む。一部のそのような実施態様において、多形性膠芽腫は、テモゾロミド抵抗性である。
【0129】
一実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫は、PI3K/mTOR経路が活性化されているものである。特定の実施態様において、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫は、ERBB2変異、PTEN変異又は喪失、NF1変異又は喪失、PIK3Ca変異、EGFR変異又は過剰発現、Met増幅、PDGFRa活性化又は増幅、AKT増幅、或いはそれらの組合せに起因した、PI3K/mTOR経路が活性化されているものである。一実施態様において、EGFR変異は、EGFRviii変異である。
【0130】
(5.5 医薬組成物及び投与経路)
有効量のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を含む組成物、並びに有効量のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物及び医薬として許容し得る担体又はビヒクルを含む組成物を本明細書中に提供する。一部の実施態様において、本明細書中に記載の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、粘膜投与、経皮投与又は局所投与に適している。
【0131】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、製剤の従来形態、例えば、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤及びシロップ剤で、経口又は非経口的に患者へ投与することができる。適当な製剤は、従来の有機又は無機添加物、例えば、賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、又は炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、又はデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、又はラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、又はオレンジパウダー)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、又はプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又は酢酸)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン(polyvinyl pyrroliclone)、又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及び基剤ワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリン、又はポリエチレングリコール)を使用して、通常用いられる方法によって製造することができる。医薬組成物中のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の有効量は、所望の作用を発揮するであろうレベル;例えば、経口及び非経口投与の両方の単位用量において、患者の体重1kg当り約0.005mg〜患者の体重1kg当り約10mgとすることができる。
【0132】
患者に投与されるジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の用量は、幾分広範に変化しやすく、且つ医療関係者の判断に従い得る。概して、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、患者の体重1kg当り約0.005mg〜患者の体重1kg当り約10mgの用量で、1日に1〜4回、投与することができるが、上記用量は、患者の年齢、体重、及び医学的状態、並びに投与の形式に応じて適正に変化し得る。一実施態様において、該用量は、患者の体重1kg当り約0.01mg〜患者の体重1kg当り約5mg、患者の体重1kg当り約0.05mg〜患者の体重1kg当り約1mg、患者の体重1kg当り約0.1mg〜患者の体重1kg当り約0.75mg、患者の体重1kg当り約0.25mg〜患者の体重1kg当り約0.5mg、又は患者の体重1kg当り約0.007mg〜患者の体重1kg当り約1.7mgである。一実施態様において、1日あたり1用量が投与される。別の実施態様において、1日あたり2用量が投与される。いずれの所与の場合においても、投与されるジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の量は、活性成分の溶解度、使用される製剤、及び投与経路などの因子によって決まるであろう。
【0133】
別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の約0.375mg/日〜約750mg/日、約0.75mg/日〜約375mg/日、約3.75mg/日〜約75mg/日、約7.5mg/日〜約55mg/日、約18mg/日〜約37mg/日、約0.5mg/日〜約60mg/日、又は約0.5mg/日〜約128mg/日を、それを必要とする患者へ投与することを含む、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫の治療又は予防方法を、本明細書に提供する。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の約0.5mg/日〜約1200mg/日、約10mg/日〜約1200mg/日、約100mg/日〜約1200mg/日、約400mg/日〜約1200mg/日、約600mg/日〜約1200mg/日、約400mg/日〜約800mg/日、又は約600mg/日〜約800mg/日を、それを必要とする患者へ投与することを含む、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫の治療又は予防方法を、本明細書に提供する。特別な実施態様において、本明細書中に開示される方法は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の0.5mg/日、1mg/日、2mg/日、4mg/日、8mg/日、10mg/日、15mg/日、16mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、45mg/日、60mg/日、90mg/日、120mg/日又は128mg/日を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0134】
別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物約0.1mg〜約2000mg、約1mg〜200mg、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、又は約500mg〜約1000mgを含有する単位用量製剤を、本明細書に提供する。
【0135】
特別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物約0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、45mg、50mg、60mg、70mg、75mg、100mg、125mg、140mg、150mg、175mg、200mg、250mg、280mg、300mg、350mg、400mg、500mg、560mg、600mg、700mg、750mg、800mg、1000mg又は1400mgを含有する単位用量製剤を、本明細書に提供する。特別な実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物2.5mg、5mg、7.5mg、8mg、10mg、15mg、20mg、30mg、45mg、50mg、60mg又は100mgを含有する単位用量製剤を、本明細書に提供する。特別な実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物5mg、7.5mg又は10mgを含有する単位用量製剤を、本明細書に提供する。
【0136】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、1日に1、2、3、4回又はそれ以上、投与することができる。
【0137】
特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、サイクルで患者へ投与される。サイクル療法は、ある期間の活性物質の投与、それに続くある期間の休薬、及びこの順次投与の繰り返しに関与している。サイクル療法は、耐性の発生を低下し、副作用を回避若しくは減少し、及び/又は治療の有効性を向上することができる。
【0138】
一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、約3日間、約5日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間(例えば28日間)、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約10週間、約15週間、又は約20週間単回又は分割用量で、毎日投与され、それに約1日〜約10週間の休薬期間が続く。一実施態様において、本明細書に提供する方法は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、約10週間、約15週間、又は約20週間のサイクル治療を意図している。一部の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、約3日間、約5日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間(例えば28日間)、約5週間、約6週間単回又は分割用量で投与され、それに約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、29、又は30日の休薬期間を伴う。一部の実施態様において、休薬期間は、1日である。一部の実施態様において、休薬期間は、3日である。一部の実施態様において、休薬期間は、7日である。一部の実施態様において、休薬期間は、14日である。一部の実施態様において、休薬期間は、28日である。投薬サイクルの頻度、回数及び長さは、増加又は減少することができる。
【0139】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、便宜のために経口投与することができる。一実施態様において、経口投与される場合、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、食事及び水とともに投与される。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、水又はジュース(例えば、リンゴジュース又はオレンジジュース)中に分散され、懸濁液として経口投与される。別の実施態様において、経口投与される場合、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、絶食状態で投与される。
【0140】
またジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、経皮的に、静脈内に、皮下に、鼻腔内に、硬膜外に、舌下に、脳内に、腟内に、経真皮的に、直腸に、粘膜に、吸入により、又は耳、鼻、眼若しくは皮膚に局所的に投与することができる。投与様式は、医療関係者の裁量に任され、一部、疾患の部位によって決まる。
【0141】
一実施態様において、追加的な担体、賦形剤又はビヒクルを含まない、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を含むカプセル剤を本明細書中に提供する。
【0142】
別の実施態様において、有効量のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及び医薬として許容し得る担体又はビヒクルを含む、組成物を本明細書中に提供し、ここで、医薬として許容し得る担体又はビヒクルは、賦形剤、希釈剤、又はそれらの混合物を含むことができる。一実施態様において、該組成物は医薬組成物である。
【0143】
該組成物は、錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、液剤、非経口液剤、トローチ剤、坐剤、及び懸濁剤などの形態とすることができる。組成物は投与単位において、日用量又は日用量の適宜の画分を含むように製剤することができ、該投与単位は、単一の錠剤若しくはカプセル剤、又は適宜量の液剤であってよい。一実施態様において、液剤は、塩酸塩などの水溶性塩から製造される。一般に、組成物の全てが、製薬化学で公知の方法に従って製造される。カプセル剤は、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を適当な担体又は希釈剤と混合すること、及び適切な量の混合物をカプセルに充填することによって製造することができる。通常の担体及び希釈剤を挙げると、不活性粉末状物質、例えば、多くの異なる種類のデンプン、粉末状セルロース、特に結晶性及び微結晶性セルロース、糖類、例えば、フルクトース、マンニトール及びスクロース、穀粉、及び同様の食用粉末があるが、これらに限定されない。
【0144】
錠剤は、直接圧縮、湿式造粒、又は乾式造粒によって製造することができる。それらの製剤は、通常、希釈剤、結合剤、滑沢剤及び崩壊剤、並びに化合物を混和している。典型的な希釈剤を挙げると、例えば、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩、及び粉砂糖がある。粉末セルロース誘導体も有用である。一実施態様において、医薬組成物はラクトースを含まない。典型的な錠剤結合剤は、例えば、デンプン、ゼラチン、及びラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖類などの物質である。天然及び合成ゴムも都合がよく、アラビアゴム、アルギナート、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどを含む。ポリエチレングリコール、エチルセルロース及びワックスも結合剤として作用することができる。
【0145】
滑沢剤は、錠剤及びパンチが型に付着するのを防止するために、錠剤製剤に必要となり得る。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸などの滑りやすい固形物、並びに硬化植物油から選択することができる。錠剤崩壊剤は、湿潤した場合に膨潤して錠剤を崩壊させ、化合物を放出する物質である。それらを挙げると、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、及びガムがある。より具体的には、例えば、トウモロコシ及びジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末状天然スポンジ(powdered natural sponge)、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ及びカルボキシメチルセルロースを、ラウリル硫酸ナトリウム同様使用することができる。錠剤は、香料及びシーラントである糖でコーティングするか、又はフィルム形成保護剤でコーティングして、錠剤の溶解特性を変更することができる。また該組成物は、例えば、製剤にマンニトールなどの物質を使用することによって、咀嚼錠として製剤することができる。
【0146】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を坐剤として投与することが望ましい場合、典型的な基剤が使用され得る。カカオバターは、従来の坐剤の基剤であり、ワックスの追加により改良され、その融点をわずかに上昇させることができる。特に様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性の坐剤の基剤が、広く使用されている。
【0147】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の効果は、適切な製剤によって遅延させるか、又は延長させることができる。例えば、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の緩徐溶解性ペレットを製造し、錠剤若しくはカプセル剤に組み込むか、又は徐放性埋め込み型デバイスとして組み込むことができる。また該技術は、いくつかの異なった溶解速度のペレットを製造すること、及び該ペレットの混合物をカプセルに充填することを含む。錠剤又はカプセル剤は、予測可能な期間、溶解に耐えるフィルムでコーティングすることができる。非経口製剤でも、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を、血清に徐々に分散させることができる油性又は乳化されたビヒクルに溶解又は懸濁することによって、長時間作用させることができる。
【0148】
特定の実施態様において、化合物2は、その全体が本明細書中に組み込まれている、2013年6月6日に公開された米国特許出願公開第2013-0142873号に記された製剤において、投与される(特に段落[0323]から段落[0424]、及び段落[0636]から段落[0655]を参照されたい)。他の実施態様において、化合物2は、その全体が本明細書中に組み込まれている、2013年5月29日に出願された米国特許仮出願第61/828,506号に記された製剤において、投与される(特に段落[0246]から段落[0403]、及び段落[0571]から段落[0586]を参照されたい)。
【0149】
特定の実施態様において、化合物1は、その全体が本明細書中に組み込まれている、2013年4月17日に出願された米国特許仮出願第61/813,064号に記された製剤において、投与される(特に段落[0168]から段落[0189]、及び段落[0262]から段落[0294]を参照されたい)。他の実施態様において、化合物1は、その全体が本明細書中に組み込まれている、2013年12月3日に出願された米国特許仮出願第61/911,201号に記された製剤において、投与される(特に段落[0170]から段落[0190]、及び段落[0264]から段落[0296]を参照されたい)。
【0150】
(5.6 キット)
特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を含むキットを、本明細書に提供する。
【0151】
他の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及び該ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与に対する患者奏効をモニタリングする手段を含むキットを、本明細書において提供する。特定の実施態様において、患者は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する。特別な実施態様において、測定される患者奏効は、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性及び/若しくは続発性腫瘍(複数可)の減少、腫瘍-関連症状の緩和、生活の質の向上、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の出現の遅延、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の発達の緩徐化、原発性及び/若しくは続発性腫瘍の発生の減少、疾患の副次的作用の緩徐化又は重症度の低下、腫瘍成長の停止又は腫瘍退縮である。
【0152】
他の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及び患者におけるS6RP、4E-BP1及び/又はAKTのリン酸化の阻害の量を測定する手段を含むキットを、本明細書に提供する。特定の実施態様において、キットは、患者の循環血若しくは腫瘍の細胞及び/又は皮膚生検標本若しくは腫瘍生検標本/吸引液の中のS6RP、4E-BP1及び/又はAKTのリン酸化の阻害を測定する手段を含む。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、並びにジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前、投与時及び/又は投与後のホスホ-S6RP、4E-BP1及び/又はAKTの量の比較により評価する、リン酸化の阻害の量を測定する手段を含むキットを、本明細書に提供する。特定の実施態様において、患者は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する。
【0153】
他の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及び患者におけるDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害の量を測定する手段を含むキットを、本明細書に提供する。特定の実施態様において、キットは、患者の皮膚試料及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害の量を測定する手段を含む。一実施態様において、キットは、患者の皮膚試料及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中のpDNA-PK S2056の量を測定する手段を含む。一実施態様において、皮膚試料は、UV光により照射されている。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及びジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前、投与時及び/又は投与後のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害の量を測定する手段を含むキットを、本明細書に提供する。特定の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物、及びジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与前、投与時及び/又は投与後のリン酸化されたDNA-PK S2056の量を測定する手段を含むキットを、本明細書に提供する。特定の実施態様において、患者は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を有する。
【0154】
特定の実施態様において、本明細書に提供するキットは、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫を治療又は予防するのに有効な量のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供するキットは、化合物1を含む。
【0155】
特定の実施態様において、本明細書に提供するキットは、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与及び/又はジヒドロピラジノ-ピラジン化合物の投与に対する患者奏効のモニタリングなどに関する、使用説明書を更に含む。
【実施例】
【0156】
(6. 実施例)
(6.1 化合物製剤)
本明細書に提供する方法において有用な化合物1の例証的製剤を、下記表1に示す。
【0157】
表1:例証的錠剤製剤
【表1】
【0158】
本明細書に提供する方法において有用な化合物2の例証的製剤を、下記表2〜表5に示す。
【0159】
表2
【表2】
【0160】
表3
【表3】
【0161】
表4
【表4】
【0162】
表5
【表5】
【0163】
(6.2 生物学的実施例)
(6.2.1 生化学アッセイ)
(mTOR HTR-FRETアッセイ) 以下は、試験化合物のTORキナーゼ阻害活性を測定するのに使用することができる、アッセイの実施例である。ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、DMSO中に溶解し、10mMのストック液として調製し、実験用に適宜希釈した。試薬は、以下のように調製した:
【0164】
「簡易TOR緩衝液」(高グリセロールTOR画分を希釈するのに使用):10mMトリス(pH7.4)、100mM NaCl、0.1%Tween-20、1mM DTT。Invitrogen社mTOR(カタログ番号PV4753)を、アッセイ濃度0.200μg/mLとなるよう、この緩衝液に希釈した。
【0165】
ATP/基質溶液: 0.075mM ATP、12.5mM MnCl
2、50mM Hepes(pH7.4)、50mMβ-GOP、250nM Microcystin LR、0.25mM EDTA、5mM DTT、及び3.5μg/mL GST-p70S6。
【0166】
検出試薬溶液:50mM HEPES(pH7.4)、0.01% Triton X-100、0.01% BSA、0.1mM EDTA、12.7μg/mL Cy5-αGST Amersham社(カタログ番号PA92002V)、9ng/mLα-ホスホp70S6 (Thr389)(Cell Signaling Mouse Monoclonal#9206L)、627ng/mLα-マウスLance Eu (Perkin Elmer社カタログ番号AD0077)。
【0167】
簡易TOR緩衝液20μLへ、DMSO中の試験化合物0.5μLを添加した。反応を開始するために、ATP/基質溶液5μLを、簡易TOR緩衝液(対照)及び先に調製した化合物溶液の20μLに添加した。60分後、60mM EDTA溶液5μLの添加により、アッセイを停止し;その後検出試薬溶液10μLを添加し、この混合物を、少なくとも2時間静置させた後、Perkin-Elmer社Envisionマイクロプレートリーダーセットで読み取り、LANCE Eu TR-FRET(励起320nm、及び発光495/520nm)を検出した。
【0168】
ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を、mTOR HTR-FRETアッセイにおいて試験し、そこで活性を有することがわかり、特定の化合物はこのアッセイにおいてIC
50 10μM以下を有し、一部の化合物はIC
50 0.005nM〜250nMを有し、他のものはIC
50 250nM〜500nMを有し、他のものはIC
50 500nM〜1μMを有し、及び他のものはIC
50 1μM〜10μMを有した。
【0169】
(DNA-PKアッセイ)DNA-PKアッセイは、Promega社DNA-PKアッセイキット(カタログ番号V7870)において供給される手順を用い行われる。DNA-PK酵素は、Promega社から購入できる(Promega社カタログ番号V5811)。
【0170】
選択された本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、このアッセイにおいて10μM以下のIC
50を有するか、又は有すると予想され、一部の本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、IC
50 1μM以下を有し、及び他のものはIC
50 0.10μM以下を有した。
【0171】
(6.2.2 細胞ベースのアッセイ)
(MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる多形性膠芽腫(GBM)の成長阻害アッセイ) 化合物を、以下のように試験することができる:試験化合物(本明細書記載のジヒドロピラジノ-ピラジン化合物)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、10mMストック溶液を調製する。連続滴定を行い、作業濃度範囲1.5μM〜10mMを作製する。最終濃度1.5nM〜10μMを生じるためのアリコートを、空の384-ウェルプレートへ、音響液体分注器(EDC ATS-100)によりスポットする。試験化合物を、このプレート内に、2つ組で、10-点連続希釈様式(3-倍希釈)でスポットする。DMSO濃度は、最終アッセイ濃度0.1%DMSOで一定に保つ。プレートを、異なるGBM細胞(例えば、GBM細胞株又は患者由来の試料)及び試験期間で使用するために再現する。化合物プレートを再現した後、全てのプレートを密封し(Agilent ThermoLoc)、-20℃で最大1ヶ月貯蔵する。試験準備ができたら、プレートをフリーザーから取り出し、解凍し、試験細胞の添加直前に封を剥がす。試験前に、細胞を、培養フラスコ内で成長拡大させ、十分な量の出発材料を作製する。その後細胞を、適当な密度に希釈し、試験化合物をスポットした384-ウェルプレートへ直接添加する。細胞を、37℃/5%CO
2で72時間成長させる。試験化合物が添加される時点で(t
0)、生存細胞において存在するATPにより生成されたルミネセンスのレベルを定量することによる、生存度アッセイ(Cell Titer-Glo)により、最初の細胞数を評価する。72時間後、試験化合物で処理した細胞の細胞生存度を、Cell Titer-Glo及びルミネセンス測定により評価する。細胞株は、少なくとも3回の独立した試験において、試験化合物による成長阻害についてアッセイする。対照細胞株を、各アッセイに含む。この対照細胞株に対する試験化合物の反応は、アッセイ期間を通じて生じたデータの比較が可能であるように、密にモニタリングする。全てのデータは正規化し、DMSO-処理した細胞の割合として表す。その後結果を、GI
50値として表す。GI
50値は、ゼロ時点での細胞数について補正する。MGMTプロモーターメチル化状態は、例えば、メチル化-特異的PCR(MSP)及び24隣接CpG部位のバイサルファイトシーケシング(BiSEQ)により決定される。加えて、MGMTタンパク質発現は、例えば免疫組織化学又はウェスタンブロットにより決定することができる。
【0172】
一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTプロモーターの低メチル化により特徴づけられるGBM細胞の成長阻害を示す。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTタンパク質発現により特徴づけられるGBM細胞の成長阻害を示す。
【0173】
(MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM細胞のアポトーシスアッセイ) 試験前に、GBM細胞を、培養フラスコ内で成長拡大させ、十分な量の出発材料を作製する。その後、細胞を、それらの所望の密度に希釈し、試験化合物をスポットした384-ウェルプレートに直接添加する。細胞を、5%CO
2中37℃で24時間インキュベーションする。アポトーシス反応を、24-時間の時点で、処理した細胞及び対照細胞において、カスパーゼ3及びカスパーゼ7の活性(カスパーゼ3/7-Glo)を定量することにより評価する。全てのデータを正規化し、DMSO-処理した細胞に対する値として表す。その後結果を、それらの処理期間中にカスパーゼ3/7のレベルをDMSO-処理した細胞のレベルに対し2倍にするのに必要な最小試験化合物濃度であるCalXとして表す。
【0174】
MGMTプロモーターメチル化状態は、例えば、メチル化-特異的PCR(MSP)及び24隣接CpG部位のバイサルファイトシーケシング(BiSEQ)により決定される。加えて、MGMTタンパク質発現は、例えば免疫組織化学又はウェスタンブロットにより決定することができる。
【0175】
一実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTプロモーターの低メチル化により特徴づけられるGBM細胞のアポトーシスを示す。別の実施態様において、ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物は、MGMTタンパク質発現により特徴づけられるGBM細胞のアポトーシスを示す。
【0176】
(グリオーマスフェア細胞数アッセイ) 原発性患者-由来のGBM腫瘍試料を、解離し、且つグリオーマスフェアを生じる培養条件(すなわち、B27、20ng/mL bFGF、50ng/mL EGF、ペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミン及び5ug/mLヘパリンを補充した、DMEM/F12培地)下でプレーティングした。細胞を、密度5000個細胞/ウェルでプレーティングし、37℃で一晩馴化させた。ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を、2日目に、この培養物へ添加し、9日目まで培養物中で細胞を維持した。9日目に、細胞を、PFA/メタノールで固定し、翌日、例えば、SYTO-9蛍光DNA色素を用い、細胞数を評価した。プレートを、48時間後、レーザー走査イメージャーで読み取った。化合物1の結果を、表6に示す。IC
50値は、DMSO対照と比べて50%の細胞数を表す。表6に認めることができるように、化合物1は、MGMTタンパク質発現を有するGBM細胞及び低メチル化されたMGMTプロモーターを有するGBM細胞に対し活性を示した。
表6:細胞数に対する化合物1及び化合物2の治療の効果
【表6】
【0177】
(グリオーマスフェア形成アッセイ) 原発性患者-由来のGBM腫瘍試料を、解離し、且つグリオーマスフェアを生じる培養条件(すなわち、B27、20ng/mL bFGF、50ng/mL EGF、ペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミン及び5ug/mLヘパリンを補充した、DMEM/F12培地)下でプレーティングした。細胞を、密度1ウェルにつき50個細胞でプレーティングし、37℃で一晩馴化させた。ジヒドロピラジノ-ピラジン化合物を、2日目に、この培養物へ添加し、7日毎に補充した。EGF及びFGFも、7日毎に補充した。最小スフェアが60μmよりも大きくなった時点で、典型的には3〜5週間で、細胞をPFA/メタノールで固定した。細胞をPFA/メタノールで固定し、翌日、例えば、SYTO-9蛍光DNA色素を用い、細胞数を評価した。プレートを、48時間後、レーザー走査イメージャーで読み取った。IC
50値は、DMSO対照と比べて、50%のスフェア形成を表す。表7に認めることができるように、化合物1は、MGMTタンパク質発現を有するGBM細胞に対し活性を示した。
【0178】
表7:化合物1及び化合物2の存在下でのスフェア形成能
【表7】
【0179】
(スフェア-再形成アッセイ) 腫瘍スフェア培養条件下で培養した、患者-由来のGBM細胞株は、スフェア-始原細胞(sphere-initiating cell)、並びに限定された増殖能を持つより拘束された前駆細胞の両方を含む、細胞の高度に不均質な集団を維持する。化合物1はスフェア-始原細胞集団を特異的に標的化するかどうかを決定するために、本発明者らは、化合物1で予備処理後、スフェア再形成アッセイを行った。500,000個細胞/腫瘍スフェア培地10mLを、指定された用量の化合物1で7日間処理した。7日間処理で生存した細胞を、化合物1非含有液で洗浄し、単独の細胞へ解離し、化合物1を含まないスフェア形成アッセイのために、クローン密度でプレーティングした。
図1は、患者-由来のGBM細胞株206、217、254、及び282について、様々な用量の化合物1の前処理で生存した細胞により形成されたスフェアの数は、対照未処理細胞により形成されたスフェアの数と、有意に異ならないことを明らかにしており、このことは、患者-由来のGBM細胞株の総細胞集団中のスフェア-始原細胞の割合は、化合物1処理により変更されないことを示唆している。化合物1は、スフェア-始原細胞、並びにより拘束された前駆細胞の両方を標的化することができ、従って培養物中のスフェア-始原細胞の割合は、化合物1処理後に一定であり続ける。細胞株254が500nMの化合物1で処理された後には、腫瘍スフェアは再形成されず、このことは、500nMの化合物1は、細胞株254のスフェア-始原細胞に対し細胞毒性であることを示唆している。細胞株282は、濃度100nM又は500nMの化合物1では試験しなかった。
【0180】
(テメゾロミド(TMZ)抵抗性及びTMZ感受性患者-由来のGBM細胞株に対する化合物1及びTMZの併用効果) TMZは、DNAのプリン塩基(O
6-グアニン;N
7-グアニン及びN
3-アデニン)へメチル基を送達するアルキル化剤である。TMZにより引き起こされた細胞毒性病変であるO
6-メチルグアニン(O
6-MeG)は、メチルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)により直接修復を介して直接除去することができ、且つミスマッチ修復の機序(MMR)を活性化することもできる。MMRの無駄なサイクルは、二本鎖DNA切断の形成及び二本鎖切断修復のDNA-PK媒介型機序の活性化につながる。化合物1は、PI3キナーゼシグナル伝達経路の成分であるmTORC1及びmTORC2、並びに二本鎖DNA修復のNHEJ経路を媒介する酵素であるDNA-PKを阻害するので、化合物1とTMZの併用処理を、患者-由来のGBM細胞株の増強されたTMZ死滅について試験した。
【0181】
腫瘍スフェア培養条件下で成長させた腫瘍スフェアを、収集し、単独の細胞へ解離させ、96-ウェルプレートに5,000個細胞/ウェルでプレーティングした。TMZと化合物1を同時に投与し、1用量組合せにつき12ウェルで、7日間処理し、その後細胞を計測した。実際の阻害率(%)を、総和を基に計算した阻害率(%)で除算した値の列は、>1=相乗効果、〜1=相加効果、<1=拮抗効果である。
【0182】
表7:患者-由来のGBM細胞株206に対するTMZ及び化合物1の同時併用に関する分数積(fractional product)の計算
【表8】
【0183】
MGMTの高いmRNAレベルを発現する細胞株206は、TMZの50、100、及び200μMの細胞生存に対する最小阻害効果により証明されるように、TMZ抵抗性である(表8)。TMZの25μM又は50μMと、低用量の化合物1、例えば50nMとの同時処理は、GBM細胞生存を相乗的に阻害した。より高い用量の化合物1で、化合物1とTMZの同時処理は、相加効果を生じた(表8)。この結果は、TMZと併用した化合物1は、TMZ抵抗性GBMに対し相乗効果を有し、これは用量依存性であり得ることを示唆している。
【0184】
表8:患者-由来のGBM細胞株217に対するTMZ及び化合物1の同時処理に関する分数積の計算
【表9】
【0185】
化合物1とTMZの併用処理の効果を、TMZ感受性細胞株217についても試験した。TMZの25、50、及び100μMでの処理は、各々、69%、73%、及び77%細胞生存を阻害し(表9)、これは細胞株217はTMZ感受性株であることを明らかにしている。細胞株217に関して、化合物1とTMZの異なる用量の組合せによる同時処理は、相加効果を生じ(表9)、これは化合物1は、TMZ感受性細胞株において、TMZが誘導した細胞死滅を増強も拮抗もしないことを示唆している。
【0186】
(6.2.3 インビボアッセイ)
MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態及び/又は発現状態により特徴づけられるGBMを伴い、並びに腫瘍-保有するマウスで、異種移植試験を行う。SCIDマウス又はヌードマウスに、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態及び発現状態により特徴づけられるGBM細胞を、右後肢上の側方領域に皮下接種する。動物の接種後、腫瘍を、約150〜200mm
3まで成長させ、その後無作為化する。試験化合物は、水中の0.5%CMC及び0.25%Tween 80中に製剤する(懸濁剤として)。動物に、ビヒクル(CMC-Tween)又は試験化合物を1日1回(QD)、26〜40日間経口投与する。試験化合物の投与量は、1〜5mg/kgの範囲であることができる。腫瘍は、キャリパーを用い週2回測定し、腫瘍容積を、式:W
2 ×L/2 (式中、「W」は腫瘍幅であり、「L」は腫瘍長さである)を用い算出する。
【0187】
(患者-由来の膠芽細胞腫のニューロスフェア及び異種移植片腫瘍における化合物1及び化合物2の有効性試験) 免疫不全状態のマウス(ヌードマウスNCRNU-M、TACONIC)に、新鮮な外科的標本から誘導されたGBMニューロスフェア株を移植した。この細胞株は、以下を特徴とした:
【表10】
【0188】
患者由来の異種移植片(PDX)処理は、最初の動物が症候性となり始めると予想される4週間前に開始した。化合物1又は化合物2を、各々用量5mg/kg及び10mg/kgで、月曜日から金曜日まで1日1回の強制経口投与により、投与した。対照動物には、ビヒクルのみを投与した。標的ヒットコホートを、各化合物の1回用量で処理し、2及び24時間後に屠殺した(n=3匹/群)。必要ならば、液体及び補充食を、体重減少を改善するために投与した。
【0189】
(結果) 化合物1単剤療法は、HF2354 PDXの生存を有意に増大した。生存の効果は、化合物2については認められなかった(
図2参照)。
【0190】
(6.2.4 臨床試験)
(1B相、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する対象へ経口投与された化合物1の、安全性、忍容性、薬物動態及び予備的有効性を評価するための、多施設オープンラベル用量設定試験)
【0191】
(試験目的)
【0192】
本試験の主要目的は、以下を決定することである:化合物1が、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者へ経口投与された場合の、(1)化合物1の安全性及び忍容性;(2)化合物1の非耐量(NTD);(3)化合物1の最大耐量(MTD);並びに、(4)化合物1の薬物動態(PK)。
【0193】
本試験の副次的目的は、以下である:(1)化合物1による治療前及び治療時に得られた、血液、皮膚及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中の、mTORC1活性に関するS6RP及び/又は4E-BP1並びにmTORC2活性に関するAKT及び/又は他の関連バイオマーカーのリン酸化の阻害の程度を評価すること;(2)化合物1の治療前及び治療時に、pDNA-PK S2056及び/又はDNA損傷経路に関する他の関連バイオマーカーを使用し、UV光照射した皮膚試料、及び/又は腫瘍生検標本/吸引液中のDNA-依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性の阻害を評価すること;並びに、(3)化合物1の有効性を評価すること。
【0194】
本試験の探索的目的は、以下である:(1)化合物1治療時のグルコースホメオスタシスを評価すること;(2)血液及び腫瘍の化合物1曝露と、反応(mTOR及びDNA-PKバイオマーカーの阻害)の間の相関関係を調べること;(3)血液及び腫瘍の化合物1曝露と臨床転帰及び有害事象(AE)の間の相関関係を調べること;(4)入手可能な場合、治療前及び治療時の腫瘍生検標本中の、アポトーシス及び/又は増殖の阻害を含むバイオマーカーに対する化合物1の効果を調べること;(5)化合物1に対する反応は、非限定的にPI3K/AKT/mTOR経路、DNA損傷反応経路、及び遺伝子のp53ファミリーの成分を調べることを含む、タンパク質発現又は遺伝子変動の差異により説明されるかどうかを調べること;(6)血漿及び尿中の化合物1の主要な代謝物を同定すること;並びに、(7)mTOR及びDNA-PKバイオマーカーの分子異常及び変化について回収されたCTCを分析すること。
【0195】
(試験デザイン)
【0196】
この試験において、化合物1は、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを有する患者へ経口投与される。
【0197】
対象は、化合物1の10mg BIDで開始する。対象は、治療の2/3サイクル毎に、安全性及び抗腫瘍活性について評価される。
【0198】
(試験集団)
【0199】
MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを伴う18歳以上の男性及び女性であり、標準癌治療時に進行した(又は治療に忍容性がない)対象、又は他の承認された治療が存在しない対象を含む。
【0200】
(参加基準)
【0201】
参加基準は、以下である:(1)何らかの試験に関連する査定/手順が行われる以前に、インフォームドコンセント文書を理解し、これに自主的に署名したもの;(2)組織学的又は細胞学的に確認されたMGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBMを伴う18歳以上の男性及び女性;(3)腫瘍生検標本をスクリーニングすることに同意するもの;(4)ECOG PSが0又は1;(5)下記の臨床検査値:(i)絶対好中球数(ANC)≧1.5×10
9/L;(ii)ヘモグロビン(Hgb)≧9g/dl;(iii)血小板(plt)≧100×10
9/L;(iv)正常範囲内の、又は補充物により補正可能なカリウム;(v)AST/SGOT及びALT/SGPT≦2.5×正常値上限(ULN)又は、肝腫瘍が存在する場合は≦5.0×ULN;(vi)血清総ビリルビン≦1.5×ULN;(vii)血清クレアチニン≦1.5×ULN、又は24時間クリアランス≧50mL/分;並びに、(viii)妊娠可能な女性の場合、試験治療開始の72時間前以内の血清又は尿妊娠試験で陰性;(6)試験来院スケジュール及び他のプロトコール要件の順守が可能なもの;(7)腫瘍ブロック又は切片化された/搭載された標本のいずれかの、ホルマリン-固定しパラフィン-包埋された(FFPE)保管用腫瘍組織を検索することに同意する対象;(8)組織学的に確認された、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられるGBM;(9)放射線療法及び/又は化学療法を含む先行する治療を受けたことがあるものであり、放射線療法は第1日目の12週間前より以前に完了していること;(10)腫瘍組織≧300mgを得ることが予想される、第15±7日目の救済手術による腫瘍切除の計画。スクリーニングのための腫瘍生検は必要ではない;(11)評価及び計画された切除領域が、先に移植された領域の外側である限りは、過去の又は予定されたギリアデル(登録商標)ウエハー留置がないこと;(12)評価及び計画された切除領域が、先に治療された領域の外側である限りは、過去に小腸の密封小線源治療又は定位固定の放射線手術を受けていないこと;(13)第1日目の14日前以内に、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、又はプリミドンなどの、酵素-誘導性抗てんかん薬(EIAED)を使用していないもの;(14)反復した磁気共鳴画像(MRI)走査を受けることができるもの。コホートは、DNA-PK過剰発現した腫瘍を伴う最低5名の対象の登録に拡大されてよい。
【0202】
(試験の期間)
【0203】
対象は、化合物1の10mg BIDで開始し、28-日サイクルで毎日治療を受ける。化合物1は、腫瘍進行の証拠が存在する場合には中断してよいが、治験責任医師が対象は恩恵を得ていると判断する限りは、対象は治験薬の受け取りを継続することができる。治療は、容認し難い毒性が存在する場合、又は対象が治験からの離脱を決断した場合には、中断される。
【0204】
登録は、完了するまで約30ヶ月間を要するとみこまれる。奏効する対象に関する治療の延長及び経過観察は、更に3〜6ヶ月間続けることができる。
【0205】
(試験治療)
【0206】
化合物1は、経口投与のためのカプセル剤として、又は利用可能な場合は胃内/空腸補給チューブを介して提供される。ほとんどの対象は、化合物1を、10mg BIDで開始する。
【0207】
(有効性評価の概要)
【0208】
全ての治療した対象は、有効性分析に含まれる。主要な有効性変数は、GBMに関する神経-腫瘍学作業グループの奏効評価(RANO)を使用し、治験責任医師の評価を基にした、腫瘍奏効である。補助的有効性変数(例えば、CTC定量)も、試験される。
【0209】
(安全性評価の概要)
【0210】
本試験に関する主要及び探索的安全性変数は、AE、臨床検査変数の包括的パネル(血液学、化学、免疫学及び甲状腺機能、並びにグルコースホメオスタシスを評価する被検体を含む)、中央で分析した12-誘導3回連続心電図(ECG)、左室駆出量(LVEF)評価、理学的検査、ECOG全身状態(ECOG PS)並びにバイタルサインを含む。
【0211】
安全性検証委員会(SRC)は、適量、用量、又はスケジュールを決定する。SRCは、安全性データを定期的に検証し続け、且つ適宜、試験継続について助言を行う。
【0212】
(薬物動態評価の概要)
【0213】
化合物1、及び検出された任意の主要代謝物のPKプロファイルを、入手可能ならば腫瘍組織を含む、一連の血液及び尿の採取物から決定し、且つ可能であるならば、PD結果と相関させる。
【0214】
(薬力学評価の概要)
【0215】
探索的評価項目は、循環血細胞中、及び入手可能ならば他の腫瘍細胞及び/又は組織及び吸引液中の、mTOR及びDNA-PKバイオマーカー阻害、皮膚中のUV-刺激したDNA-PK活性、組織病理学的反応及び薬理遺伝学的知見との相関を含む。対のある(治療前及び治療時)腫瘍生検は、生検に適していると治験責任医師により決定された、腫瘍病変のあるほとんどの対象において行う。分析は、血液、皮膚、及び/又は入手可能ならば腫瘍試料中の、アポトーシス及び増殖のバイオマーカーも含む。
【0216】
(予測的バイオマーカーの概要)
【0217】
非限定的にPI3K/mTOR、DNA損傷修復及びp53経路を含む、関連経路の成分の変異及び/又はタンパク質レベルを、可能性のある予測的バイオマーカーの同定のために調べる。
【0218】
特定の実施態様において、本明細書に提供する臨床プロトコールを受けているGBM患者は、腫瘍成長の阻害又は腫瘍サイズの減少などの、陽性の腫瘍反応を示す。特定の実施態様において、本明細書に提供する臨床プロトコールを受けている患者は、神経-腫瘍学作業グループの奏効評価(RANO)の改善を示す。一部のそのような実施態様において、患者のGBMは、MGMTのタンパク質発現及び/又はプロモーターメチル化状態により特徴づけられる。そのような実施態様の一つにおいて、MGMT プロモーターは、低メチル化される。別の実施態様において、MGMTタンパク質は、発現される。
【0219】
多数の参考文献が収載されており、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書中に組み込まれている。本明細書中に開示される実施態様は、開示の実施態様のいくつかの態様の実例として意図される実施例に開示された特定の実施態様によって、範囲を限定されるものでなく、機能的に等価であるいかなる実施態様も本開示に包含される。実際、本明細書中に開示される実施態様の様々な変更が、本明細書中に示され、且つ記載されたものに加え、当業者には明らかとなるであろうが、添付の請求項の範囲内にあることを意図する。