特許第6382949号(P6382949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382949癌を治療するためのTORキナーゼ阻害剤及び5−置換キナゾリノン化合物を含む組合せ療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382949
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】癌を治療するためのTORキナーゼ阻害剤及び5−置換キナゾリノン化合物を含む組合せ療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/517 20060101AFI20180820BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61K31/517
   A61K31/4985
   A61K31/495
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61K39/395 D
   A61K39/395 N
【請求項の数】19
【全頁数】107
(21)【出願番号】特願2016-509059(P2016-509059)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-516821(P2016-516821A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014034321
(87)【国際公開番号】WO2014172436
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/813,089
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/908,408
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504135550
【氏名又は名称】シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】クリステン マエ ヘゲ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー ライモン
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/097333(WO,A1)
【文献】 特表2012−506875(JP,A)
【文献】 特表2013−508456(JP,A)
【文献】 特表2010−506934(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/125459(WO,A1)
【文献】 特表2012−508775(JP,A)
【文献】 特表2014−530861(JP,A)
【文献】 特表2015−500236(JP,A)
【文献】 特表2013−535684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/517
A61K 31/495
A61K 31/4985
A61K 39/395
A61P 35/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TORキナーゼ阻害剤を含む、癌を治療するための医薬組成物であって、該TORキナーゼ阻害剤が、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与されるように用いられることを特徴とし、ここで、該TORキナーゼ阻害剤が、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((trans)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ-[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン又はその医薬として許容し得る塩若しくは互変異性体、あるいは、1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン又はその医薬として許容し得る塩若しくは互変異性体であり、かつ、該5-置換キナゾリノン化合物が、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩である、前記医薬組成物
【請求項2】
前記癌が血行性癌である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記血行性癌が、リンパ腫、白血病、又は多発性骨髄腫である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又はALK+未分化大細胞リンパ腫である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記リンパ腫がB細胞リンパ腫である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記B細胞リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞性B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、及びリンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症から選択されるB細胞非ホジキンリンパ腫である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記B細胞非ホジキンリンパ腫が、不応性B細胞非ホジキンリンパ腫である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記B細胞非ホジキンリンパ腫が、再発性B細胞非ホジキンリンパ腫である、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記B細胞リンパ腫が、慢性リンパ球性白血病又は小リンパ球性リンパ腫である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記リンパ腫がT細胞リンパ腫である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記癌が、頭部、頸部、眼、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、睾丸又は他の生殖器官、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、及び脳又は中枢神経系の癌である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記癌が、mTOR、PI3K、又はAktキナーゼ、及びそれらの突然変異体又はアイソフォームが関係する経路と関連する癌である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記5-置換キナゾリノン化合物が、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項16】
抗CD20抗体がさらに投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記TORキナーゼ阻害剤が、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン又はその医薬として許容し得る塩若しくは互変異性体である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記TORキナーゼ阻害剤が、1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン又はその医薬として許容し得る塩若しくは互変異性体である、請求項1記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が引用により本明細書中に組み込まれる、2013年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/813,089号、及び2013年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/908,408号の利益を主張する。
【0002】
(1.分野)
本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤及び有効量の5-置換キナゾリノン化合物を、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
異常なタンパク質リン酸化と疾患の原因又は結果との関係は、20年以上にわたって知られている。したがって、タンパク質キナーゼは、非常に重要な薬物標的群となっている。Cohenの文献、Nature, 1:309-315(2002)を参照されたい。様々なタンパク質キナーゼ阻害剤が、癌並びに糖尿病及び脳卒中を含む慢性炎症性疾患などの多種多様な疾患の治療において臨床的に使用されている。Cohenの文献、Eur. J. Biochem., 268:5001-5010(2001)、疾患治療用のタンパク質キナーゼ阻害剤:有望性及び問題点(Protein Kinase Inhibitors for the Treatment of Disease: The Promise and the Problems)、実験薬理学の手引き(Handbook of Experimental Pharmacology)、Springer Berlin Heidelberg, 167(2005)を参照されたい。
【0004】
タンパク質キナーゼは、タンパク質リン酸化を触媒し、細胞シグナル伝達において重要な役割を果たす広くかつ多様な酵素ファミリーである。タンパク質キナーゼは、その標的タンパク質に応じて、正又は負の調節効果を及ぼし得る。タンパク質キナーゼは、限定されないが、代謝、細胞周期進行、細胞接着、血管機能、アポトーシス、及び血管新生などの細胞機能を調節する特定のシグナル伝達経路に関与する。細胞シグナル伝達の機能不全は多くの疾患と関連しており、そのうちの最も特徴付けられているものには、癌及び糖尿病が含まれる。サイトカインによるシグナル伝達の調節、並びにシグナル分子と癌原遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子との関連は、十分に立証されている。同様に、糖尿病及び関連状態と脱調節されたタンパク質キナーゼレベルとの関連も実証されている。例えば、Sridharらの文献、Pharmaceutical Research, 17(11):1345-1353(2000)を参照されたい。ウイルス感染及びそれに関連する状態もまた、タンパク質キナーゼの調節と関連付けられている。Parkらの文献、Cell 101(7):777-787(2000)。
【0005】
タンパク質キナーゼは、代謝、細胞増殖、細胞分化、及び細胞生存を含むほとんど全ての細胞プロセスを調節するので、これらは、様々な疾患状態に対する治療的介入の魅力的な標的である。例えば、タンパク質キナーゼが中心的役割を果たす細胞周期制御及び血管新生は、限定されないが、癌、炎症性疾患、異常血管新生及びそれに関連する疾患、アテローム性動脈硬化症、黄斑変性症、糖尿病、肥満、並びに疼痛などの数多くの疾患状態と関連する細胞プロセスである。
【0006】
タンパク質キナーゼは、癌治療の魅力的な標的となっている。Fabbroらの文献、Pharmacology & Therapeutics 93:79-98(2002)。ヒト悪性腫瘍の発生におけるタンパク質キナーゼの関与は、以下のものによって生じ得ることが提唱されている:(1)ゲノム再配列(例えば、慢性骨髄性白血病におけるBCR-ABL)、(2)構成的に活性のあるキナーゼ活性を生じさせる突然変異、例えば、急性骨髄性白血病及び消化管腫瘍、(3)例えば、癌遺伝子RASを有する癌で見られるような、癌遺伝子の活性化又は腫瘍抑制機能の喪失によるキナーゼ活性の脱調節、(4)EGFRの場合に見られるような、過剰発現によるキナーゼ活性の脱調節、並びに(5)新生物表現型の発生及び維持の一因となり得る成長因子の異所発現。Fabbroらの文献、Pharmacology & Therapeutics 93:79-98(2002)。
【0007】
タンパク質キナーゼ経路の複雑さ、並びに様々なタンパク質キナーゼ及びキナーゼ経路の中での及びそれらの間の関係及び相互作用の複雑性の解明により、複数のキナーゼ又は複数のキナーゼ経路に対する有益な活性を有する、タンパク質キナーゼ修飾因子、調節因子、又は阻害因子として作用することができる医薬品を開発することの重要性が強調されている。したがって、新規のキナーゼ修飾因子に対する必要性が依然として存在している。
【0008】
mTOR(哺乳動物のラパマイシン標的)と命名されたタンパク質は、FRAP、RAFTI、又はRAPT1とも呼ばれ、これは、2549アミノ酸のSer/Thrタンパク質キナーゼであり、細胞の成長及び増殖を調節するmTOR/PI3K/Akt経路において最も重要なタンパク質の1つであることが示されている。Georgakis及びYounesの文献、Expert Rev. Anticancer Ther. 6(1):131-140(2006)。mTORは、mTORC1及びmTORC2という2つの複合体の中に存在する。mTORC1は、ラパマイシン類似体(例えば、テムシロリムス又はエベロリムス)に感受性があるが、mTORC2は、ほとんどラパマイシン非感受性である。留意すべきことに、ラパマイシンは、TORキナーゼ阻害剤ではない。いくつかのmTOR阻害剤は、癌治療の臨床試験で評価されたことがあるか又は評価されているところである。テムシロリムスは、2007年に、腎細胞癌での使用が承認され、シロリムスは、1999年に、腎移植片拒絶反応の予防のために承認された。エベロリムスは、2009年に、血管内皮成長因子受容体阻害剤で進行した腎細胞癌患者に対して、2010年に、治療を必要とするが、外科的切除の候補ではない患者における結節硬化症(TS)を伴う上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)に対して、及び2011年に、切除不能な局所進行性又は転移性疾患を有する患者における膵臓起源の進行性神経内分泌腫瘍(PNET)に対して承認された。mTORC1複合体とmTORC2複合体の両方を阻害するTORキナーゼ阻害剤に対する必要性が依然として存在している。
【0009】
DNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA-PK)は、DNA二本鎖切断(DSB)の修復に関与するセリン/トレオニンキナーゼである。DSBは、最も致命的なDNA損傷と考えられており、内因性に又は電離放射線及び化学療法に応答して起こる(総説については、Jackson, S. P., Bartek, J.の文献、ヒト生物学及び疾患におけるDNA損傷応答(The DNA-damage response in human biology and disease.)、Nature Rev 2009; 461:1071-1078を参照されたい)。修復しないまま放置すると、DSBは、細胞周期停止及び/又は細胞死をもたらす(Hoeijmakers, J. H. J.の文献、癌を予防するためのゲノム維持機構(Genome maintenance mechanisms for preventing cancer.)、Nature 2001; 411: 366-374; van Gent, D. C., Hoeijmakers, J. H., Kanaar, R.の文献、染色体安定性とDNA二本鎖切断との関係(Chromosomal stability and the DNA double-stranded break connection.)、Nat Rev Genet 2001; 2: 196-206)。損傷に応答して、細胞は、そのような切断を修復するための複雑な機構を発達させてきたが、これらの機構は、治療抵抗性の基盤を形成する場合がある。非相同的末端結合(NHEJ)及び相同組換え(HR)という、DSBを修復するために使用される2つの主要な経路がある。NHEJは、DNAの切断末端を結び付け、第二の鋳型に関係なく、これらを再結合させる(Collis, S. J., DeWeese, T. L., Jeggo P. A., Parker, A.R.の文献、DNA-PKの生と死(The life and death of DNA-PK.)、Oncogene 2005; 24: 949-961)。対照的に、HRは、忠実な修復を媒介するための鋳型を提供する娘染色分体の近接性に依存する(Takata, M., Sasaki, M. S., Sonoda, E., Morrison, C., Hashimoto, M., Utsumi, H.らの文献、DNA二本鎖切断修復の相同組換え経路及び非相同末端結合経路は、脊椎動物細胞での染色体完全性の維持において重複する役割を有する(Homologous recombination and non-homologous end-joining pathways of DNA double-strand break repair have overlapping roles in the maintenance of chromosomal integrity in vertebrate cells.)、EMBO J 1998; 17: 5497-5508; Haber, J. E.の文献、二本鎖切断を修復するパートナー及び経路(Partners and pathways repairing a double-strand break.)、Trends Genet 2000; 16: 259-264)。NHEJは、DSBの大部分を修復する。NHEJにおいて、DSBは、DNA-PKの触媒サブユニットに結合し、その後、それを活性化するKuタンパク質によって認識される。これは、末端処理酵素であるポリメラーゼ及びDNAリガーゼIVの動員及び活性化をもたらす(Collis, S. J., DeWeese, T. L., Jeggo P. A., Parker, A.R.の文献、DNA-PKの生と死(The life and death of DNA-PK.)、Oncogene 2005; 24: 949-961)。NHEJは、DNA-PKによって主に制御されており、したがって、DNA-PKの阻害は、外因性に誘導されるDSBに対する修復応答を調節するための魅力的な手法である。NHEJ経路の構成要素が欠損している細胞は、DSB修復に欠陥があり、電離放射線及びトポイソメラーゼ毒物に対して感受性が高い(Smith, G. C. M., Jackson, S.P.による概説、DNA依存性タンパク質キナーゼ(The DNA-dependent protein kinase.)、Genes Dev 1999; 13: 916-934; Jeggo, P.A., Caldecott, K., Pidsley, S., Banks, G.R.の文献、DNA二本鎖切断修復に欠陥があるチャイニーズハムスター卵巣突然変異体のトポイソメラーゼII阻害剤に対する感受性(Sensitivity of Chinese hamster ovary mutants defective in DNA double strand break repair to topoisomerase II inhibitors.)、Cancer Res 1989; 49: 7057-7063)。DNA-PK阻害剤は、癌細胞を治療的に誘導されるDSBに対して敏感にするという同じ効果を有することが報告されている(Smith, G. C. M., Jackson, S.P.の文献、DNA依存性タンパク質キナーゼ(The DNA-dependent protein kinase.)、Genes Dev 1999; 13: 916-934)。
【0010】
種々の化学療法剤が利用可能であるにもかかわらず、化学療法には多くの欠点がある。Stockdaleの文献、Medicine, 第3巻, Rubenstein及びFederman編, 第12章, 第10節, 1998。ほぼ全ての化学療法剤が毒性を有し、化学療法は、重度の嘔吐、骨髄抑制、及び免疫抑制を含む、重大で、かつしばしば危険な副作用を引き起こす。さらに、化学療法剤の組合せを投与しても、多くの腫瘍細胞は、化学療法剤に抵抗性があるか、又はそれに対する抵抗性を発達させる。実際、治療プロトコルで使用される特定の化学療法剤に抵抗性がある細胞は、該特定の化学療法剤が、具体的な治療で使用される他の薬物の機序とは異なる機序によって作用する場合であっても、該他の薬物に抵抗性があることが判明することが多い。この現象は、多剤抵抗性と呼ばれる。薬物抵抗性のために、多くの癌は、標準的な化学療法治療プロトコルに不応性であることが判明する。
【0011】
癌、特に、外科手術、放射線療法、化学療法、及びホルモン療法などの標準治療に不応性である癌及び他の疾患を治療、予防、及び管理すると同時に、従来の療法と関連する毒性及び/又は副作用を軽減又は回避する、安全かつ有効な方法が大いに必要とされている。
【0012】
タンパク質セレブロン(CRBN)は、植物からヒトまで保存されている442アミノ酸のタンパク質である。ヒトでは、CRBN遺伝子は、常染色体劣性非症候群性精神遅滞(ARNSMR)の候補遺伝子として同定されている。Higgins, J.J.らの文献、Neurology, 2004, 63:1927-1931を参照されたい。CRBNは、当初は、ラット脳のカルシウム活性化カリウムチャネルタンパク質(SLO1)と相互作用するRGS含有新規タンパク質として特徴付けられ、後に、AMPK7及びDDB1とともに網膜の電位依存性クロライドチャネル(CIC-2)と相互作用することが示された。Jo, S.らの文献、J. Neurochem, 2005, 94:1212-1224; Hohberger B.らの文献、FEBS Lett, 2009, 583:633-637; Angers S.らの文献、Nature, 2006, 443:590-593を参照されたい。DDB1は、最初、損傷DNA結合タンパク質2(DDB2)と会合するヌクレオチド除去修復タンパク質として同定された。その活性欠損は、色素性乾皮症相補群E(XPE)を有する患者において修復欠損を引き起こす。DDB1は、標的タンパク質のユビキチン化及びその後のプロテアソーム分解を媒介する数多くの異なるDCX(DDB1-CUL4-X-ボックス)E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ複合体の構成要素として機能するようにも見える。CRBNはまた、大脳皮質の疾患に対する治療剤の開発の標的として同定されている。WO 2010/137547 A1号を参照されたい。
【0013】
セレブロンは、出生異常を引き起こすサリドマイドに結合する重要な分子標的として最近同定された。Ito, T.らの文献、Science, 2010, 327:1345-1350を参照されたい。DDB1は、CRBNと相互作用することが分かり、それにより、サリドマイドと間接的に関連付けられた。さらに、サリドマイドは、CRBNの自己ユビキチン化をインビトロで阻害することができ、サリドマイドがE3ユビキチン-リガーゼ阻害剤であることが示唆された。重要なことに、この活性は、サリドマイドによって、野生型細胞では阻害されたが、サリドマイド結合を妨げる突然変異したCRBN結合部位を有する細胞では阻害されなかった。サリドマイド結合部位は、CRBN中の高度に保存されたC末端の104アミノ酸の領域に位置付けられた。CRBN中の個々の点突然変異であるY384A及びW386Aはどちらも、サリドマイド結合を欠損しており、二重点突然変異は、最も低いサリドマイド結合活性を有する。CRBNとサリドマイドの催奇形効果との関連は、ゼブラフィッシュ及びニワトリ胚の動物モデルにおいて確認された。サリドマイド及び他の薬物標的を理解することによって、有効性及び/又は毒性の分子機構の定義が可能になり、改善された有効性及び毒性プロファイルを有する薬物がもたらされ得る。
【0014】
最近、多面的な免疫調節効果、抗血管新生効果、及び他の抗腫瘍効果を有する、特定の新規のキナゾリノン化合物が同定された。これらの化合物は、非常に優れたセレブロン結合活性を有することが示されている。
【0015】
本出願の第2節におけるどの参考文献の引用及び特定も、該参考文献が本出願の先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0016】
(3.概要)
本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤及び有効量の5-置換キナゾリノン化合物を、本明細書に記載の癌、例えば、血液癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0017】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、慢性リンパ球性白血病を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の慢性リンパ球性白血病の国際ワークショップ(IWCLL)応答定義を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、白血病を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の米国立癌研究所主催慢性リンパ球性白血病ワーキンググループ(NCI-WG CLL)応答定義を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、非ホジキンリンパ腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の非ホジキンリンパ腫の国際ワークショップ基準(IWC)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、多発性骨髄腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の多発性骨髄腫の国際統一応答基準(IURC)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、固形腫瘍を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の固形腫瘍の応答評価基準(例えば、RECIST 1.1)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、前立腺癌を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の前立腺癌ワーキンググループ2(PCWG2)基準を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、多形性膠芽腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の多形性膠芽腫の神経腫瘍学応答評価(RANO)ワーキンググループを達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。
【0018】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を有する患者の生存を癌の進行なしに増加させる方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。
【0019】
ある実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、本明細書に記載の化合物である。ある実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、本明細書に記載の化合物である。
【0020】
本実施態様は、非限定的な実施態様を例示することが意図される詳細な説明及び実施例を参照することにより、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(4.図面の簡単な説明)
図1】HepG2コロニー形成に対する化合物1の効果を示している。HepG2細胞を寒天中にプレーティングし、化合物1とともに8日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データは、DMSOのみで処理した細胞=100%対照と比べた対照のパーセンテージとして計算した。各データ点は、n=3回の3連での実験の平均を表す。一元配置ANOVA、次いで、ダネットの事後検定により、DMSO対照と比べて、***p<0.001。
【0022】
図2】SK-Hep-1コロニー形成に対する化合物1の効果を示している。SK-HEP-1細胞を寒天中にプレーティングし、化合物1とともに8〜10日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データは、DMSOのみで処理した細胞=100%対照と比べた対照のパーセンテージとして計算した。各データ点は、n=3回の3連での実験の平均を表す。一元配置ANOVA、次いで、ダネットの事後検定により、DMSO対照と比べて、***p<0.001。
【0023】
図3】HepG2コロニー形成に対する化合物1+化合物Aの効果を示している。HepG2細胞を寒天中にプレーティングし、化合物とともに8日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データは、DMSOのみで処理した細胞=100%対照と比べた対照のパーセンテージとして計算した。各データ点は、n=3回の3連での実験の平均を表す。対応のないt検定により、理論上の相加性と比べて、***p<0.001、**p<0.01。
【0024】
図4】SK-Hep-1コロニー形成に対する化合物1+化合物Aの効果を示している。SK-Hep-1細胞を寒天中にプレーティングし、化合物とともに8日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データは、DMSOのみで処理した細胞=100%対照と比べた対照のパーセンテージとして計算した。各データ点は、n=3回の3連での実験の平均を表す。対応のないt検定により、理論上の相加性と比べて、**p<0.01、*p<0.05。
【0025】
図5】WSU-DLBCL2異種移植モデルにおける化合物1の抗腫瘍活性を示している。腫瘍阻害は、各々の治療群についての変化率として示され、35日目の化合物1処置マウスとビヒクル処置マウスの平均腫瘍体積の差を表す。全ての化合物1処置群の平均腫瘍体積は、35日目に、ビヒクル処置対照マウスよりも有意に小さかった。35日目の研究の終了時に、約51%、28%、及び22%の腫瘍体積減少(TVR)が、それぞれ、10、3、及び1mg/kgの用量レベルで観察された。有意な体重減少は、化合物1で処置したマウスでは観察されなかった。
【0026】
図6】WSU-DLCL2異種移植モデルにおける化合物Aと組み合わせた化合物1の抗腫瘍活性を示している。腫瘍阻害は、各々の治療群についての変化率として示され、34日目の化合物1及び化合物A処置マウスとビヒクル処置マウスの平均腫瘍体積の差を表す。10mg/kgの化合物1は、単剤治療として、統計的に有意な(p<0.001)29%の腫瘍体積減少をもたらした。30mg/kgの化合物Aは、34日目に、単剤治療として、統計的に有意な(p<0.001)30%の腫瘍体積減少をもたらした。腫瘍体積はさらに、化合物Aと組み合わせた化合物1によって64%にまで減少した(p<0.001)。部分積法(fractional product method)を用いて、化合物Aと組み合わせた化合物1は、腫瘍体積を減少させるのに相乗的であると決定された。ボンフェローニ事後検定を用いる2元配置ANOVA解析において、化合物A(30mg/kg)と組み合わせた化合物1(10mg/kg)で処置した動物の腫瘍体積は、どちらかの薬剤単独で処置した動物の腫瘍と比較したとき、有意に(p<0.001)小さかった。有意な体重減少は、単剤としての又は組み合わせた化合物1又は化合物Aで処置したマウスでは観察されなかった。
【0027】
図7】WSU-DLCL2異種移植モデルにおける化合物AAと組み合わせた化合物1の抗腫瘍活性を示している。腫瘍阻害は、各々の治療群についての変化率として示され、34日目の化合物1及び化合物AA処置マウスとビヒクル処置マウスの平均腫瘍体積の差を表す。10mg/kgの化合物1は、単剤治療として、統計的に有意な(p<0.001)29%の腫瘍体積減少をもたらした。50mg/kg(BID)の化合物AAの有意な抗腫瘍活性は観察されなかった。ビヒクル対照群と比較したとき、化合物AAと組み合わせた化合物1(同時投与)で処置した動物で39%の腫瘍体積減少が見られた。ボンフェローニ事後検定を用いる2元配置ANOVA解析において、化合物1(10mg/kg)の単剤活性と比較したときの、この化合物1と化合物AAの組合せ効果には、有意な差がなかった。有意な体重減少は、単剤としての又は組み合わせた化合物1又は化合物AAで処置したマウスでは観察されなかった。
【0028】
図8】IHCによって決定したときの、腫瘍のAiolosレベル(図8A)及びIkarosレベル(図8B)に対する個々の及び組み合わせた化合物1及び化合物Aの活性を示している。単剤としての化合物Aは、腫瘍のAiolos(6時間で94%)及びIkaros(6時間で69%)を阻害した。単剤としての化合物1は、腫瘍のAiolosにもIkarosにも効果がなかった。組み合わせた化合物Aと化合物1は、腫瘍のAiolos(24時間に至るまで95%阻害)及びIkaros(24時間に至るまで81%阻害)に対する持続的な相乗効果を示した。
【0029】
図9】OCI-Ly10 DLBCL異種移植モデルにおける化合物Aと組み合わせた化合物1の抗腫瘍活性を示している。生存率が各々の処置群について示されている。化合物A(30mg/kg qd×28)は、考えられる最大限の28.6日のTGD、7人の生存者、及び2例のPRをもたらし;化合物A(10mg/kg qd×28/4/21)は、8.9日のTGD及び3人の生存者をもたらし;化合物1(3mg/kg qd×28/4/21)は、23.8日のTGD、5人の生存者、及び1例のPRをもたらした。28日の30mg/kg化合物A/化合物1療法は、9人の生存者及び2例のPRをもたらした。10mg/kg化合物A/化合物1療法の延長は、7人の生存者をもたらした。1及び3mg/kgでのリツキシマブ単独療法は各々、10例のTFSをもたらし;腫瘍退行の開始は、より高い用量で多少早かった。処置は全て、OCI-Ly10ヒトリンパ腫SCIDマウス異種移植モデルで忍容性が良好であった。
【0030】
図10】単一の生きた腫瘍における多重化された化合物有効性研究のためのCIVO(商標)アレイ化微量注射プラットフォームを用いた結果を示している。注射部位からの距離の関数としてプロットされるアポトーシスマーカーの切断型カスパーゼ3(CC3)の測定によって、アポトーシスを評価した。図10に示すように、DLBCL SUDHL4異種移植モデルにおける化合物Aの全身投与によって、化合物2の局所処置により誘導される細胞死が増強された。
【0031】
図11】親RAMOS細胞及びドキソルビシン抵抗性RAMOS細胞の異種移植モデルにおけるビンクリスチン、化合物2、又は化合物1の局所注射の効果を示している。局所注射部位からの距離の関数としての切断型カスパーゼ活性3によって測定したとき、ドキソルビシン抵抗性Ramos細胞は、別の化学療法であるビンクリスチンにも抵抗性であった。対照的に、ドキソルビシン抵抗性Ramos細胞は、化合物2に対する感受性の増大を示した。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(5.詳細な説明)
(5.1 定義)
「アルキル」基は、1〜10個の炭素原子、典型的には、1〜8個の炭素、又はいくつかの実施態様においては、1〜6個、1〜4個、もしくは2〜6個の炭素原子を有する、飽和した、部分的に飽和した、又は不飽和の直鎖又は分岐状非環式炭化水素である。代表的なアルキル基としては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、及び-n-ヘキシルが挙げられ;一方、飽和分岐アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられる。不飽和アルキル基の例としては、特に、ビニル、アリル、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、-C≡CH、-C≡C(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、及び-CH2C≡C(CH2CH3)が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。ある実施態様において、本明細書に記載のアルキル基が「置換されている」と言われるとき、それらは、本明細書に開示される例示的な化合物及び実施態様に見られるもの、並びにハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、もしくはフルオロ);ヒドロキシル;アルコキシ;アルコキシアルキル;アミノ;アルキルアミノ;カルボキシ;ニトロ;シアノ;チオール;チオエーテル;イミン;イミド;アミジン;グアニジン;エナミン;アミノカルボニル;アシルアミノ;ホスホナト;ホスフィン;チオカルボニル;スルホニル;スルホン;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;ウレア;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;B(OH)2、又はO(アルキル)アミノカルボニルのような、任意の置換基(単数)又は置換基(複数)で置換されていてもよい。
【0033】
「アルケニル」基は、2〜10個の炭素原子、典型的には、2〜8個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐状非環式炭化水素である。代表的な直鎖及び分岐状(C2-C8)アルケニルとしては、-ビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、-1-ヘキセニル、-2-ヘキセニル、-3-ヘキセニル、-1-ヘプテニル、-2-ヘプテニル、-3-ヘプテニル、-1-オクテニル、-2-オクテニル、-3-オクテニルなどが挙げられる。アルケニル基の二重結合は、共役していなくても、別の不飽和基と共役していてもよい。アルケニル基は、置換されていなくても、置換されていてもよい。
【0034】
「シクロアルキル」基は、任意に1〜3個のアルキル基で置換され得る単一の環式環又は複数の縮合もしくは架橋環を有する、炭素原子3〜10個の飽和又は部分飽和環状アルキル基である。いくつかの実施態様において、シクロアルキル基が3〜8個の環員を有するのに対し、他の実施態様においては、環炭素原子の数は、3〜5個、3〜6個、又は3〜7個の範囲である。そのようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどの単環構造、又はアダマンチルなどの複数のもしくは架橋された環構造が含まれる。不飽和シクロアルキル基の例としては、特に、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルが挙げられる。シクロアルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。そのような置換シクロアルキル基には、例として、シクロヘキサノンなどが含まれる。
【0035】
「アリール」基は、単一の環を有する炭素原子6〜14個の芳香族炭素環基(例えば、フェニル)又は複数の縮合環を有する炭素原子6〜14個の芳香族炭素環基(例えば、ナフチルもしくはアントリル)である。いくつかの実施態様において、アリール基は、該基の環部分に6〜14個の炭素を含有し、他の実施態様においては、6〜12個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を含有する。特定のアリールとしては、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。「アリール基」という語句は、縮合芳香族-脂肪族環系などの縮合環を含有する基(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)も含む。
【0036】
「ヘテロアリール」基は、1〜4個のヘテロ原子をヘテロ芳香族環系の環原子として有し、該原子の残りが炭素原子であるアリール環系である。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、該基の環部分に5〜6個の環原子を含有し、他の実施態様においては、6〜9個の原子又は6〜10個の原子を含有する。好適なヘテロ原子としては、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられる。ある実施態様において、ヘテロアリール環系は、単環式又は二環式である。非限定的な例としては、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピロリル(pyrolyl)、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル(例えば、イソベンゾフラン-1,3-ジイミン)、インドリル、アザインドリル(例えば、ピロロピリジル又は1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d]イミダゾリル)、イミダゾピリジル(例えば、アザベンゾイミダゾリル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、又は1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル)、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソオキサゾロピリジル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニル基などの基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「ヘテロシクリル」は、1〜4個の環炭素原子が独立に、O、S、及びNからなる群のヘテロ原子と置換されている、芳香族シクロアルキル(ヘテロアリールとも呼ばれる)又は非芳香族シクロアルキルである。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリル基が、3〜10個の環員を含有するのに対し、他のそのような基は、3〜5個、3〜6個、又は3〜8個の環員を有する。ヘテロシクリルはまた、任意の環原子(すなわち、ヘテロ環式環の任意の炭素原子又はヘテロ原子)において他の基に結合されていてもよい。ヘテロシクリルアルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。ヘテロシクリル基は、例えば、イミダゾリル、イミダゾリニル、及びイミダゾリジニル基などの、不飽和、部分飽和、及び飽和環系を包含する。ヘテロシクリルという語句は、縮合環種を含み、これには、例えば、ベンゾトリアゾリル、2,3-ジヒドロベンゾ[l,4]ジオキシニル、及びベンゾ[l,3]ジオキソリルなどの縮合芳香族及び非芳香族基を含むものが含まれる。この語句は、限定されないが、キヌクリジルなどの、ヘテロ原子を含有する架橋多環式環系も含む。ヘテロシクリル基の代表的な例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル(例えば、テトラヒドロ-2H-ピラニル)、テトラヒドロチオピラニル、オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロジチイニル、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌクリジル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル(benzthiazolyl)、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチイニル、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル(アザベンゾイミダゾリル;例えば、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル又は1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オニル)、トリアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チアナフタレニル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリジル、及びテトラヒドロキノリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換ヘテロシクリル基は、一置換されたものであっても、複数回置換されたものであってもよく、例えば、限定されないが、ピリジル又はモルホリニル基があり、これらは、様々な置換基、例えば、以下に記載されているもので、2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換されているか、又は二置換されている。
【0038】
「シクロアルキルアルキル」基は、式:-アルキル-シクロアルキルの基であり、式中、アルキル及びシクロアルキルは、上で定義されている。置換シクロアルキルアルキル基は、該基のアルキル部分、シクロアルキル部分、又はアルキル部分とシクロアルキル部分の両方で置換されていてもよい。代表的なシクロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、及びシクロヘキシルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換シクロアルキルアルキル基は、一置換されたものであっても、複数回置換されたものであってもよい。
【0039】
「アラルキル」基は、式:-アルキル-アリールの基であり、式中、アルキル及びアリールは、上で定義されている。置換アラルキル基は、該基のアルキル部分、アリール部分、又はアルキル部分とアリール部分の両方で置換されていてもよい。代表的なアラルキル基としては、ベンジル及びフェネチル基、並びに縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基、例えば、4-エチル-インダニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「ヘテロシクリルアルキル」基は、式:-アルキル-ヘテロシクリルの基であり、式中、アルキル及びヘテロシクリルは、上で定義されている。置換ヘテロシクリルアルキル基は、該基のアルキル部分、ヘテロシクリル部分、又はアルキル部分とヘテロシクリル部分の両方で置換されていてもよい。代表的なヘテロシクリル(heterocylyl)アルキル基としては、4-エチル-モルホリニル、4-プロピルモルホリニル、フラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピリジン(pyrdine)-3-イルメチル、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル、テトラヒドロフラン-2-イルメチル、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、及びインドール-2-イルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「ハロゲン」は、クロロ、ヨード、ブロモ、又はフルオロである。
【0042】
「ヒドロキシアルキル」基は、1以上のヒドロキシ基で置換された上記のアルキル基である。
【0043】
「アルコキシ」基は、-O-(アルキル)であり、ここで、アルキルは、上で定義されている。
【0044】
「アルコキシアルキル」基は、-(アルキル)-O-(アルキル)であり、ここで、アルキルは、上で定義されている。
【0045】
「アミン」基は、式:-NH2の基である。
【0046】
「ヒドロキシルアミン」基は、式:-N(R#)OH又は-NHOHの基であり、式中、R#は、本明細書で定義されているような、置換又は非置換アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル基である。
【0047】
「アルコキシアミン」基は、式:-N(R#)O-アルキル又は-NHO-アルキルの基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0048】
「アラルコキシアミン」基は、式:-N(R#)O-アリール又は-NHO-アリールの基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0049】
「アルキルアミン」基は、式:-NH-アルキル又は-N(アルキル)2の基であり、式中、各々のアルキルは、独立に、上で定義されている通りである。
【0050】
「アミノカルボニル」基は、式:-C(=O)N(R#)2、-C(=O)NH(R#)、又は-C(=O)NH2の基であり、式中、各々のR#は、上で定義されている通りである。
【0051】
「アシルアミノ」基は、式:-NHC(=O)(R#)又は-N(アルキル)C(=O)(R#)の基であり、式中、各々のアルキル及びR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0052】
「O(アルキル)アミノカルボニル」基は、式:-O(アルキル)C(=O)N(R#)2、-O(アルキル)C(=O)NH(R#)、又は-O(アルキル)C(=O)NH2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0053】
「N-オキシド」基は、式:-N+-O-の基である。
【0054】
「カルボキシ」基は、式:-C(=O)OHの基である。
【0055】
「ケトン」基は、式:-C(=O)(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0056】
「アルデヒド」基は、式:-CH(=O)の基である。
【0057】
「エステル」基は、式:-C(=O)O(R#)又は-OC(=O)(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0058】
「ウレア」基は、式:-N(アルキル)C(=O)N(R#)2、-N(アルキル)C(=O)NH(R#)、-N(アルキル)C(=O)NH2、-NHC(=O)N(R#)2、-NHC(=O)NH(R#)、又は-NHC(=O)NH2#の基であり、式中、各々のアルキル及びR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0059】
「イミン」基は、式:-N=C(R#)2又は-C(R#)=N(R#)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0060】
「イミド」基は、式:-C(=O)N(R#)C(=O)(R#)又は-N((C=O)(R#))2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0061】
「ウレタン」基は、式:-OC(=O)N(R#)2、-OC(=O)NH(R#)、-N(R#)C(=O)O(R#)、又は-NHC(=O)O(R#)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0062】
「アミジン」基は、式:-C(=N(R#))N(R#)2、-C(=N(R#))NH(R#)、-C(=N(R#))NH2、-C(=NH)N(R#)2、-C(=NH)NH(R#)、-C(=NH)NH2、-N=C(R#)N(R#)2、-N=C(R#)NH(R#)、-N=C(R#)NH2、-N(R#)C(R#)=N(R#)、-NHC(R#)=N(R#)、-N(R#)C(R#)=NH、又は-NHC(R#)=NHの基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0063】
「グアニジン」基は、式:-N(R#)C(=N(R#))N(R#)2、-NHC(=N(R#))N(R#)2、-N(R#)C(=NH)N(R#)2、-N(R#)C(=N(R#))NH(R#)、-N(R#)C(=N(R#))NH2、-NHC(=NH)N(R#)2、-NHC(=N(R#))NH(R#)、-NHC(=N(R#))NH2、-NHC(=NH)NH(R#)、-NHC(=NH)NH2、-N=C(N(R#)2)2、-N=C(NH(R#))2、又は-N=C(NH2)2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0064】
「エナミン」基は、式:-N(R#)C(R#)=C(R#)2、-NHC(R#)=C(R#)2、-C(N(R#)2)=C(R#)2、-C(NH(R#))=C(R#)2、-C(NH2)=C(R#)2、-C(R#)=C(R#)(N(R#)2)、-C(R#)=C(R#)(NH(R#))、又は-C(R#)=C(R#)(NH2)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0065】
「オキシム」基は、式:-C(=NO(R#))(R#)、-C(=NOH)(R#)、-CH(=NO(R#))、又は-CH(=NOH)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0066】
「ヒドラジド」基は、式:-C(=O)N(R#)N(R#)2、-C(=O)NHN(R#)2、-C(=O)N(R#)NH(R#)、-C(=O)N(R#)NH2、-C(=O)NHNH(R#)2、又は-C(=O)NHNH2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0067】
「ヒドラジン」基は、式:-N(R#)N(R#)2、-NHN(R#)2、-N(R#)NH(R#)、-N(R#)NH2、-NHNH(R#)2、又は-NHNH2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0068】
「ヒドラゾン」基は、式:-C(=N-N(R#)2)(R#)2、-C(=N-NH(R#))(R#)2、-C(=N-NH2)(R#)2、-N(R#)(N=C(R#)2)、又は-NH(N=C(R#)2)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0069】
「アジド」基は、式:-N3の基である。
【0070】
「イソシアネート」基は、式:-N=C=Oの基である。
【0071】
「イソチオシアネート」基は、式:-N=C=Sの基である。
【0072】
「シアネート」基は、式:-OCNの基である。
【0073】
「チオシアネート」基は、式:-SCNの基である。
【0074】
「チオエーテル」基は、式;-S(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0075】
「チオカルボニル」基は、式:-C(=S)(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0076】
「スルフィニル」基は、式:-S(=O)(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0077】
「スルホン」基は、式:-S(=O)2(R#)の基であり、式中、R#は、上で定義されている通りである。
【0078】
「スルホニルアミノ」基は、式:-NHSO2(R#)又は-N(アルキル)SO2(R#)の基であり、式中、各々のアルキル及びR#は、上で定義されている。
【0079】
「スルホンアミド」基は、式:-S(=O)2N(R#)2、又は-S(=O)2NH(R#)、又は-S(=O)2NH2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0080】
「ホスホネート」基は、式:-P(=O)(O(R#))2、-P(=O)(OH)2、-OP(=O)(O(R#))(R#)、又は-OP(=O)(OH)(R#)の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0081】
「ホスフィン」基は、式:-P(R#)2の基であり、式中、各々のR#は、独立に、上で定義されている通りである。
【0082】
アルキル基を除く本明細書に記載の基が「置換されている」と言われるとき、それらは、任意の適切な置換基(単数)又は置換基(複数)で置換されていてもよい。実例となる置換基の例は、本明細書に開示される例示的な化合物及び実施態様に見られるもの、並びにハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、又はフルオロ);アルキル;ヒドロキシル;アルコキシ;アルコキシアルキル;アミノ;アルキルアミノ;カルボキシ;ニトロ;シアノ;チオール;チオエーテル;イミン;イミド;アミジン;グアニジン;エナミン;アミノカルボニル;アシルアミノ;ホスホネート;ホスフィン;チオカルボニル;スルフィニル;スルホン;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;ウレア;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン; N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;酸素(=O); B(OH)2、O(アルキル)アミノカルボニル;単環式又は縮合もしくは非縮合多環式であり得るシクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)、或いは単環式又は縮合もしくは非縮合多環式であり得るヘテロシクリル(例えば、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチアジニル);単環式又は縮合もしくは非縮合多環式アリール又はヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、又はベンゾフラニル) アリールオキシ;アラルキルオキシ;ヘテロシクリルオキシ;及びヘテロシクリルアルコキシである。
【0083】
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る塩」という用語は、無機酸及び無機塩基並びに有機酸及び有機塩基を含む医薬として許容し得る無毒な酸又は塩基から製造される塩を指す。好適な医薬として許容し得る塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から製造される金属塩、又はリジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、及びプロカインから製造される有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な無毒な酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。特定の無毒な酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。したがって、特定の塩の例としては、塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。他のものも当技術分野で周知である。例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990)、又はレミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第19版、Mack Publishing, Easton PA(1995)を参照されたい。
【0084】
本明細書で使用されるように、及び別途示されない限り、「包摂化合物」という用語は、ゲスト分子(例えば、溶媒もしくは水)が内部に捕捉されている空間(例えば、チャネル)を含む結晶格子又はTORキナーゼ阻害剤もしくは5-置換キナゾリノン化合物がゲスト分子である結晶格子の形態の、TORキナーゼ阻害剤もしくは5-置換キナゾリノン化合物、又はそれらの塩を意味する。
【0085】
本明細書で使用されるように、及び別途示されない限り、「溶媒和物」という用語は、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む、TORキナーゼ阻害剤もしくは5-置換キナゾリノン化合物、又はそれらの塩を意味する。一実施態様において、該溶媒和物は、水和物である。
【0086】
本明細書で使用されるように、及び別途示されない限り、「水和物」という用語は、非共有結合性分子間力によって結合した化学量論的又は非化学量論的量の水をさらに含む、TORキナーゼ阻害剤もしくは5-置換キナゾリノン化合物、又はそれらの塩を意味する。
【0087】
本明細書で使用されるように、及び別途示されない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で、加水分解し、酸化し、又は別の形で反応して、活性化合物、特に、TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物を提供することができる、TORキナーゼ阻害剤誘導体又は5-置換キナゾリノン化合物誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カルボネート、生物加水分解性ウレイド、及び生物加水分解性ホスフェート類似体などの生物加水分解性部分を含む、TORキナーゼ阻害剤の誘導体及び代謝物が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。該カルボン酸エステルは、分子上に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって好都合に形成される。プロドラッグは、通常、周知の方法、例えば、「バーガーの医薬品化学と創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」、第6版(Donald J. Abraham編、2001, Wiley)、及び「プロドラッグの設計と応用(Design and Application of Prodrugs)」(H. Bundgaard編、1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載されている方法を用いて製造することができる。
【0088】
本明細書で使用されるように、及び別途示されない限り、「立体異性体」又は「ステレオマーとして純粋な」という用語は、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まないTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物の1つの立体異性体を意味する。例えば、1つのキラル中心を有するステレオマーとして純粋な化合物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有するステレオマーとして純粋な化合物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的なステレオマーとして純粋な化合物は、約80重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約20重量%未満の該化合物の他の立体異性体、約90重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約10重量%未満の該化合物の他の立体異性体、約95重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約5重量%未満の該化合物の他の立体異性体、又は約97重量%超の該化合物の1つの立体異性体及び約3重量%未満の該化合物の他の立体異性体を含む。TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物は、キラル中心を有することができ、かつラセミ化合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、及びこれらの混合物として生じることができる。全てのそのような異性体形態は、その混合物を含む、本明細書に開示される実施態様に含まれる。そのようなTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物のステレオマーとして純粋な形態の使用、及びそれらの形態の混合物の使用は、本明細書に開示される実施態様によって包含される。例えば、特定のTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物の等量又は不等量のエナンチオマーを含む混合物を、本明細書に開示される方法及び組成物で使用することができる。これらの異性体は、不斉合成するか、又はキラルカラムもしくはキラル分割剤などの標準的な技術を用いて分割することができる。例えば、Jacques, J.らの文献、エナンチオマー、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)(Wiley-Interscience, New York, 1981); Wilen, S. H.らの文献、Tetrahedron 33:2725(1977); Eliel, E. L.の文献、炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)(McGraw-Hill, NY, 1962);及びWilen, S. H.の文献、分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)、p. 268(E.L. Eliel編、Univ.of Notre Dame Press, Notre Dame, 1972年)を参照されたい。
【0089】
TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物は、E及びZ異性体又はこれらの混合物、並びにシス及びトランス異性体又はこれらの混合物を含むことができることにも留意すべきである。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物は、シス又はトランス異性体として単離される。他の実施態様において、TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物は、シス異性体とトランス異性体の混合物である。
【0090】
「互変異性体」は、互いに平衡状態にある化合物の異性体形態を指す。該異性体形態の濃度は、化合物が見出される環境によって決まり、例えば、該化合物が固体であるのか、それとも、有機溶液もしくは水溶液中にあるのかによって異なり得る。例えば、水溶液中では、ピラゾールは、以下の異性体形態を示すことができ、これらは、互いの互変異性体と呼ばれる:
【化1】
【0091】
当業者によって容易に理解されるように、多種多様な官能基及び他の構造が互変異性を示すことができ、TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物の全ての互変異性体が本発明の範囲内にある。
【0092】
TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物は、非天然の割合の原子同位体を1以上の該原子において含有することができることにも留意すべきである。例えば、該化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、硫黄-35(35S)、もしくは炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されていてもよく、又は例えば、重水素(2H)、炭素-13(13C)、もしくは窒素-15(15N)で同位体濃縮されていてもよい。本明細書で使用されるように、「アイソトポログ」は、同位体濃縮された化合物である。「同位体濃縮された」という用語は、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体濃縮された」とは、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つの原子を含有する化合物を指すこともできる。「同位体組成」という用語は、所与の原子についての各々の同位体の存在量を指す。放射性標識された及び同位体濃縮された化合物は、治療剤、例えば、癌及び炎症治療剤、研究用試薬、例えば、結合アッセイ試薬、並びに診断剤、例えば、インビボイメージング剤として有用である。本明細書に記載のTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物の全ての同位体変種は、放射性であるかどうかにかかわらず、本明細書に提供される実施態様の範囲内に包含されることが意図される。いくつかの実施態様において、TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物のアイソトポログが提供され、例えば、該アイソトポログは、重水素、炭素-13、又は窒素-15濃縮されたTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物である。
【0093】
図示された構造とその構造の名前との間に矛盾がある場合、図示された構造がより重視されることになることに留意すべきである。
【0094】
本明細書で使用される「治療する」とは、癌もしくは癌と関連する症状の全体的もしくは部分的な緩和、又はそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化の抑制もしくは停止を意味する。
【0095】
本明細書で使用される「予防する」とは、癌又はその症状の発生、再発、又は拡大の全体的又は部分的な予防を意味する。
【0096】
TORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物に関連する「有効量」という用語は、癌と関連する症状を全体的にもしくは部分的に緩和するか、又はそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化を抑制しもしくは停止させるか、又は癌を有しもしくは癌を有するリスクのある対象の癌を治療もしくは予防することができる、単独の又は組み合わせた量を意味する。例えば、医薬組成物中のTORキナーゼ阻害剤又は5-置換キナゾリノン化合物の有効量は、所望の効果を発揮するであろうレベルとすることができ;例えば、経口投与と非経口投与の両方についての単位投薬量で対象の体重1kg当たり約0.005mgから患者の体重1kg当たり約100mgである。
【0097】
「癌」という用語は、限定されないが、血液学的又は血行性腫瘍及び固形腫瘍を含む。血行性腫瘍としては、リンパ腫、白血病、及び骨髄腫が挙げられる。リンパ腫及び白血病は、白血球の中で生じる悪性腫瘍である。「癌」という用語は、周囲の組織に浸潤し、新しい身体部位に転移することができる細胞の増殖を特徴とする様々な悪性新生物のいずれかをも指す。良性腫瘍と悪性腫瘍はどちらも、それらが発見される組織の種類に従って分類される。例えば、線維腫は、線維性結合組織の新生物であり、メラノーマは、色素(メラニン)細胞の異常増殖物である。例えば、皮膚、気管支、及び胃の上皮組織に由来する悪性腫瘍は、上皮性悪性腫瘍(carcinoma)と呼ばれる。乳房、前立腺、及び結腸に見られるような腺上皮組織の悪性腫瘍は、腺癌として知られる。結合組織、例えば、筋肉、軟骨、リンパ組織、及び骨の悪性増殖物は、肉腫と呼ばれる。転移のプロセスを通じて、身体の他の部位への腫瘍細胞の移動は、当初の出現部位から離れた部位に新生物を定着させる。骨組織は、全癌症例の約30%で生じる悪性腫瘍の転移の最好発部位の1つである。悪性腫瘍の中で、肺癌、乳癌、前立腺癌などは、骨に転移する可能性が高いことが特に知られている。
【0098】
新生物、癌、腫瘍成長、又は腫瘍細胞成長との関連において、阻害は、特に、原発性もしくは二次性腫瘍の出現の遅延、原発性もしくは二次性腫瘍の発達の抑制、原発性もしくは二次性腫瘍の発生の低下、疾患の二次的影響の重症度の抑制又は低下、腫瘍成長の停止、及び腫瘍の退行によって評価することができる。極端な場合、完全阻害は、本明細書において、予防又は化学予防と呼ばれる。これに関連して、「予防」という用語は、臨床的に明らかな新生物形成の開始を完全に予防すること、又はリスクのある個体において前臨床的に明らかなステージの新生物形成の開始を予防することのどちらかを含む。また、この定義によって包含されることが意図されるのは、悪性細胞への形質転換の予防、又は前悪性細胞から悪性細胞への進行の停止もしくは逆行である。これは、新生物形成を発症するリスクのある者の予防的治療を含む。
【0099】
本明細書で使用される「不応性B細胞非ホジキンリンパ腫」という用語は、抗CD-20抗体を含むレジメン、例えば、リツキシマブを含むレジメンで治療され、(i)療法に対する少なくとも部分応答を達成しなかったか、又は(ii)治療の6カ月以内に進行したB細胞非ホジキンリンパ腫と定義される。
【0100】
本明細書で使用される「再発性B細胞非ホジキンリンパ腫」という用語は、療法に対する部分応答又は完全応答を達成した後、抗CD-20抗体を含むレジメン、例えば、リツキシマブを含むレジメンによる治療後6カ月以上経ってから進行したB細胞非ホジキンリンパ腫と定義される。
【0101】
当業者は、「B細胞リンパ腫」として特徴付けられる疾患が一連の疾患又は障害として存在することを理解するであろう。該一連のB細胞リンパ腫は、「侵攻性」B細胞リンパ腫又は「無痛性」B細胞リンパ腫に関して論じられることもあるが、当業者は、無痛性と特徴付けられたB細胞リンパ腫が進行して、侵攻性B細胞リンパ腫になり得ることを理解するであろう。逆に、侵攻形態のB細胞リンパ腫は、無痛又は安定形態のB細胞リンパ腫へと悪性度が低下し得る。当業者によって一般に理解される無痛性及び侵攻性B細胞リンパ腫に対する言及は、そのような特徴付けが本質的に動的であり、個体の特定の状況によって左右されるという認識をもって行われる。
【0102】
本明細書で使用されるように、及び別途明記しない限り、「と組み合わせて」という用語は、2以上の治療剤を、同時に、並行して、又は別途示されない限り、不特定の時間制限内に順次投与することを含む。一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、化合物Aと組み合わせて、及びさらに抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標), Biogen Idec/Genentech、又はMabThera(登録商標), Hoffmann-La Roche)と組み合わせて投与される。一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、化合物Aと組み合わせて、及びさらに化合物AAと組み合わせて投与される。一実施態様において、該薬剤は、細胞内もしくは対象の体内に同時に存在するか、又はその生物学的もしくは治療的効果を同時に発揮する。一実施態様において、該治療剤は、同じ組成物又は単位剤形中にある。他の実施態様において、該治療剤は、別々の組成物又は単位剤形中にある。ある実施態様において、第一の薬剤を、第二の治療剤の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に)、該投与と本質的に同時に、又は該投与の後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に)、或いはそれらの任意の組合せで投与することができる。例えば、一実施態様において、該第一の薬剤を、該第二の治療剤の前に、例えば、1週間投与することができる。別の実施態様において、該第一の薬剤を、該第二の治療剤の前に(例えば、1日前に)、及びその後、該第二の治療剤と同時に投与することができる。
【0103】
本明細書で使用される「患者」及び「対象」という用語は、動物を含み、これには、限定されないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットなどの動物、一実施態様において、哺乳動物、別の実施態様において、ヒトが含まれる。一実施態様において、「患者」又は「対象」は、癌を有するヒトである。
【0104】
癌との関連において、阻害は、特に、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症状の緩和、腫瘍分泌因子(腫瘍分泌ホルモン、例えば、カルチノイド症候群の一因となるものを含む)の阻害、原発性又は二次性腫瘍の出現の遅延、原発性又は二次性腫瘍の発達の抑制、原発性又は二次性腫瘍の発生の低下、疾患の二次的影響の重症度の抑制又は低下、腫瘍成長の停止、及び腫瘍の退行、無進行期間(TTP)の増加、無進行生存(PFS)の増加、全生存(OS)の増加によって評価することができる。本明細書で使用されるOSは、無作為化から何らかの原因による死亡までの時間を意味し、包括解析集団(intent-to-treat population)において測定される。本明細書で使用されるTTPは、無作為化から客観的な腫瘍進行までの時間を意味し; TTPは、死亡を含まない。本明細書で使用されるように、PFSは、無作為化から客観的な腫瘍進行又は死亡までの時間を意味する。一実施態様において、PFS率は、カプラン-マイヤー推定値を用いて計算される。極端な場合、完全阻害は、本明細書において、予防又は化学予防と呼ばれる。これに関連して、「予防」という用語は、臨床的に明らかな進行癌の発生を完全に予防すること、又は前臨床的に明らかなステージの癌の発生を予防することのどちらかを含む。また、この定義によって包含されることが意図されるのは、悪性細胞への形質転換の予防、又は前悪性細胞から悪性細胞への進行の停止もしくは逆行である。これは、癌を発症するリスクのある者の予防的治療を含む。
【0105】
ある実施態様において、リンパ腫の治療は、以下に示す応答及びエンドポイントの定義を用いて、非ホジキンリンパ腫(NHL)の国際ワークショップ基準(IWC)(Cheson BD, Pfistner B, Juweid, MEらの文献、悪性リンパ腫の改訂された応答基準(Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma.)、J. Clin. Oncol: 2007:(25) 579-586を参照)によって評価することができる:
【表1】
【0106】
略語: CR、完全寛解; FDG、[18F]フルオロデオキシグルコース; PET、陽電子放出断層撮影法; CT、コンピュータ断層撮影法; PR、部分寛解; SPD、直径の積の合計; SD、安定疾患; PD、進行疾患。
【表2】
略語: CR:完全寛解; PR:部分寛解。
【0107】
一実施態様において、リンパ腫のエンドポイントは、臨床的利益の証拠となるものである。臨床的利益は、生活の質の改善、又は患者症状、輸血の必要性、頻発する感染、もしくは他のパラメータの低下を反映し得る。リンパ腫関連症状の再発又は進行までの時間もまた、このエンドポイントで使用することができる。
【0108】
ある実施態様において、CLLの治療は、本明細書に特に示す応答及びエンドポイントの定義を用いて、CLLの国際ワークショップガイドライン(Hallek M, Cheson BD, Catovsky Dらの文献、慢性リンパ球性白血病の診断及び治療のガイドライン:米国立癌研究所ワーキンググループ1996年ガイドラインの改訂となる慢性リンパ球性白血病に関する国際ワークショップの報告(Guidelines for the diagnosis and treatment of chronic lymphocytic leukemia: a report from the International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia updating the National Cancer Institute-Working Group 1996 guidelines.)、Blood, 2008;(111) 12: 5446-5456を参照)によって評価することができる:
【表3】
【0109】
A群の基準は、腫瘍量を定義するものであり; B群の基準は、造血系(又は骨髄)の機能を定義するものでる。CR(完全寛解):これらの基準の全てが満たされなければならず、患者は、疾患関連全身症状を欠いていなければならない; PR(部分寛解): A群の基準のうちの少なくとも2つ+B群の基準のうちの1つが満たされなければならない; SDは、進行疾患(PD)の欠如及び少なくともPRの不達成; PD:上記のA群又はB群の基準のうちの少なくとも1つが満たされなければならない。複数のリンパ節の積の合計(臨床試験におけるCTスキャンによるか、又は一般診療における身体検査によって評価される)。これらのパラメータは、いくつかの応答カテゴリーに無関係である。
【0110】
ある実施態様において、多発性骨髄腫の治療は、以下に示す応答及びエンドポイントの定義を用いて、多発性骨髄腫の国際統一応答規準(IURC)(Durie BGM, Harousseau J-L, Miguel JSらの文献、多発性骨髄腫の国際統一応答規準(International uniform response criteria for multiple myeloma.)、Leukemia, 2006;(10) 10: 1-7を参照)によって評価することができる:
【表4】
【0111】
略語: CR、完全応答;FLC、遊離軽鎖; PR、部分応答; SD、安定疾患; sCR、厳密な完全応答; VGPR、極めて良好な部分応答;a全ての応答カテゴリーは、何らかの新しい療法を開始する前にはいつでも行われる2回の連続する評価を必要とする;放射線学的検査が行われた場合、全てのカテゴリーはまた、進行性又は新しい骨病変の公知の兆候を必要としない。放射線学的検査は、これらの応答要件を満たすためには必要とされない;b反復骨髄生検による確認は必要とされない;cクローン性細胞の有無は、κ/λ比に基づく。免疫組織化学及び/又は免疫蛍光検査による異常なκ/λ比は、解析に最低100個の形質細胞を必要とする。異常なクローンの存在を反映する異常な比は、>4:1又は<1:2のκ/λである。d測定可能な疾患は、以下の測定値のうちの少なくとも1つによって定義される:骨髄形質細胞≧30%;血清M-タンパク質≧1g/dl(≧10gm/l)[10g/l];尿M-タンパク質≧200mg/24時間;血清FLCアッセイ:関連FLCレベル≧10mg/dl(≧100mg/l);提示される血清FLC比が異常。
【0112】
ある実施態様において、癌の治療は、固形腫瘍の応答評価基準(RECIST 1.1)によって評価することができる(Thereasse P.らの文献、固形腫瘍の治療に対する応答を評価するための新しいガイドライン(New Guidelines to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumors.)、J. of the National Cancer Institute; 2000;(92) 205-216及びEisenhauer E.A., Therasse P., Bogaerts J.らの文献、固形腫瘍の新たな応答評価基準:改訂されたRECISTガイドライン(バージョン1.1)(New response evaluation criteria in solid tumours: Revised RECIST guideline(version 1.1))、European J. Cancer; 2009;(45) 228-247を参照されたい)。新たな病変の出現を伴う又は伴わない標的及び非標的病変における腫瘍応答の全ての可能な組合せについての全体的な応答は、次の通りである:
【表5】

CR=完全応答; PR=完全応答; SD=安定疾患;及びPD=進行疾患。
【0113】
標的病変の評価に関して、完全応答(CR)は全ての標的病変の消失であり、部分応答(PR)は、ベースライン合計最大直径を基準とした、標的病変の最大直径の合計の少なくとも30%の減少であり、進行疾患(PD)は、治療開始以降の記録されている最小合計最大直径を基準とした、標的病変の最大直径の合計の少なくとも約20%の増加であるか、又は1以上の新たな病変の出現であり、安定疾患(SD)は、治療開始以降の最小合計最大直径を基準とした、部分応答に適するほど十分な縮小でもなく、進行疾患に適するほど十分な増加でもない。
【0114】
非標的病変の評価に関して、完全応答(CR)は、全ての非標的病変の消失及び腫瘍マーカーレベルの正常化であり;不完全応答/安定疾患(SD)は、1以上の非標的病変の持続及び/又は正常限度を上回る腫瘍マーカーレベルの維持であり、進行疾患(PD)は、1以上の新たな病変の出現及び/又は既存の非標的病変の明確な進行である。
【0115】
下記の手順、慣行、及び定義は、高悪性度神経膠腫の応答基準に関する神経腫瘍学の応答評価(RANO)ワーキンググループの勧告を履行するための手引きを提供する(Wen P., Macdonald, DR., Reardon, DA.らの文献、高悪性度神経膠腫の改訂された応答評価基準:神経腫瘍学の応答評価ワーキンググループ(Updated response assessment criteria for highgrade gliomas: Response assessment in neuro-oncology working group.)、J Clin Oncol 2010; 28: 1963-1972)。タイムポイント応答(TPR)の基準についてのRANO基準に対する主な変更としては、グルココルチコイド用量の変化を規定するための手術上の慣行の追加、及び客観的な放射線学的評価に焦点を当てるための患者の臨床的悪化要素の除去を挙げることができる。ベースラインMRIスキャンは、化合物治療の再開に先立ち、手術後休止期間の終了時に実施される評価として定義される。ベースラインMRIは、完全応答(CR)及び部分応答(PR)を評価するための基準として使用される。一方、ベースライン時又は後の評価時に得られる最小SPD(垂直直径の積の合計)は、最下点評価(nadir assessment)と命名され、進行を決定するための基準として使用される。任意のプロトコル規定MRIスキャン前の5日間、患者は、グルココルチコイドを全く受容しないか、又は安定用量のグルココルチコイドを服用する。安定用量は、MRIスキャン前の連続5日間の同一の日用量として定義される。処方されたグルココルチコイド用量がベースラインスキャン前の5日間のうちに変更される場合、上記の基準を満たすグルココルチコイドの使用を伴う、新たなベースラインスキャンが必要となる。以下の定義が使用される。
【0116】
測定可能病変:測定可能病変は、二次元的に測定することができるコントラスト増強病変である。測定は、最大増強腫瘍直径(最大直径LDとしても知られる)について行われる。最大垂直直径が同じ画像上で測定される。二次元測定の十字線は交差するはずであり、これらの直径の積が計算される。
【0117】
最小直径:切片が1mm間隔で5mmであるT1強調画像。測定可能病変の最小LDは5mm×5mmに設定される。より長い直径が、標的病変としての包含及び/又は指定に必要となる場合がある。ベースライン後、測定のために最低限必要なサイズよりも小さくなったか又はもはや二次元測定に適さなくなった標的病変は、5mm未満の各々の直径について5mmのデフォルト値で記録される。消失している病変は0mm×0mmとして記録される。
【0118】
多中心性病変:(連続的ではなく)多中心性とみなされる病変は、2つ(又はそれより多く)の病変間に正常な脳組織が介在する病変である。離散した増強病巣である多中心性病変については、包含基準を満たす各々の増強病変を別々に測定するアプローチが取られる。2つ(又はそれより多く)の病変間に正常な脳組織が存在しない場合、これらは同じ病変とみなされる。
【0119】
測定不能病変:上に定義されている測定可能な疾患の基準を満たさない全ての病変は、全ての非増強病変及び他の本当に測定不可能な病変と同様に、測定不能病変であるとみなされる。測定不能病変には、規定の最小直径未満である(すなわち、5mm×5mm未満である)増強病巣、非増強病変(例えば、T1強調コントラスト後画像、T2強調画像、又は流体減衰反転回復(FLAIR)画像上に見られるもの)、出血性病変又は支配的嚢胞性病変又は壊死性病変、及び軟髄膜腫瘍が含まれる。出血性病変は、増強腫瘍と誤解され得る内因性T1強調超強度を有することが多く、この理由のため、プレコントラストT1強調画像を検討して、ベースライン又は間欠的亜急性出血を除外することができる。
【0120】
ベースライン時に、病変は、次のように分類される:標的病変:最大5つの測定可能病変を、対象の疾患を代表する、各々少なくとも10mm×5mmの大きさの標的病変として選択することができる;非標的病変:測定不可能な全ての病変(質量効果及びT2/FLAIR所見を含む)及び標的病変として選択されない任意の測定可能病変を含む他の全ての病変。ベースライン時に、標的病変は、測定可能病変の定義に記載されている通りに測定されることになり、全ての標的病変のSPDが決定されることになる。他の全ての病変の存在が記録されることになる。全ての治療後評価時に、標的病変及び非標的病変としての病変のベースライン分類が維持され、病変が、一貫した様式で経時的に記録及び記載される(例えば、ソース文書及びeCRFに同じ順序で記録される)。全ての測定可能病変及び測定不能病変は、変化を解釈する際の困難を軽減するために、研究期間にわたって、ベースライン時と同じ技術を用いて評価されなければならない(例えば、対象は、同じMRIスキャナで又は少なくとも同じ磁気強度でイメージングされるべきである)。各々の評価時に、標的病変が測定され、SPDが計算される。非標的病変は定性的に評価され、新たな病変が、存在するならば、別々に記録される。各々の評価時に、タイムポイント応答が、標的病変、非標的病変、及び新たな病変について決定される。腫瘍進行は、一部の病変しか評価されない場合であっても確定することができる。しかしながら、進行が観察されない場合、客観的な状態(安定疾患、PR、又はCR)は、全ての病変が評価されたときに初めて決定することができる。
【0121】
CR及びPRの全体的なタイムポイント応答の確認評価は、次に予定されている評価時に行われるが、確認は、スキャンが28日よりも短い間隔を有する場合、行われなくてもよい。確認要件を組み入れた最も良好な応答は、一連のタイムポイントから得られる。
【0122】
ある実施態様において、癌の治療は、TORキナーゼ阻害剤による治療の前、その間、及び/又はその後の、循環血液及び/もしくは腫瘍細胞、並びに/又は皮膚生検もしくは腫瘍生検/吸引物におけるS6RP、4E-BP1、AKT、及び/又はDNA-PKのリン酸化の阻害によって評価することができる。例えば、S6RP、4E-BP1、AKT、及び/又はDNA-PKのリン酸化の阻害は、B細胞、T細胞、及び/又は単球で評価される。他の実施態様において、癌の治療は、例えば、TORキナーゼ阻害剤治療の前、その間、及び/又はその後の、DNA損傷経路のバイオマーカーとしてのpDNA-PK S2056量の評価による、皮膚試料及び/又は腫瘍生検/吸引物におけるDNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA-PK)活性の阻害によって評価することができる。一実施態様において、該皮膚試料は、UV光によって照射される。
【0123】
極端な場合、完全阻害は、本明細書において、予防又は化学予防と呼ばれる。これに関連して、「予防」という用語は、臨床的に明らかな癌の発症を完全に予防すること、又は前臨床的に明らかなステージの癌の発症を予防することのどちらかを含む。また、この定義によって包含されることが意図されるのは、悪性細胞への形質転換の予防、又は前悪性細胞から悪性細胞への進行の停止もしくは逆行である。これは、癌を発症するリスクのある者の予防的治療を含む。
【0124】
生物学的マーカー又は「バイオマーカー」は、その検出が、例えば、癌の存在などの、特定の生物学的状態を示す物質である。いくつかの実施態様において、バイオマーカーを個別に決定することができるか、又はいくつかのバイオマーカーを同時に測定することができる。
【0125】
いくつかの実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行、又は疾患の所与の治療に対する感受性と相関し得るmRNA発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、バイオマーカーは、mRNA又はcDNAなどの核酸である。
【0126】
さらなる実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスク、治療に対する感受性、又は進行と相関し得る、ポリペプチド又はタンパク質発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質、又はこれらの断片であることができる。特定のタンパク質の相対的レベルは、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。例えば、抗体ベースの方法、例えば、免疫ブロット、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、又は他の方法を使用することができる。
【0127】
「セレブロン」又は「CRBN」という用語及び類似の用語は、任意のCRBN、例えば、ヒトCRBNタンパク質(例えば、ヒトCRBNアイソフォーム1、GenBank受託番号NP_057386;又はヒトCRBNアイソフォーム2、GenBank受託番号NP_001166953、これらは各々、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)のアミノ酸配列を含むポリペプチド(「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される)、並びにそのSNP変異体を含む関連ポリペプチドを指す。関連CRBNポリペプチドには、アレル変異体(例えば、SNP変異体);スプライス変異体;断片;誘導体;置換、欠失、及び挿入変異体;融合ポリペプチド;並びにある実施態様においては、CRBN活性を保持し、及び/又は抗CRBN免疫応答を生成させるのに十分である種間ホモログが含まれる。
【0128】
本明細書で使用されるように、「セレブロン関連タンパク質」又は「CRBN関連タンパク質」という用語は、直接的に又は間接的にCRBNと相互作用し又はCRBNに結合するタンパク質を指す。例えば、この用語は、セレブロンに直接結合する任意のタンパク質、及びセレブロン経路の間接的な下流因子である任意のタンパク質を指す。ある実施態様において、「セレブロン関連タンパク質」又は「CRBN関連タンパク質」は、CRBNの基質、例えば、CRBNを含むE3ユビキチンリガーゼ複合体のタンパク質基質、又はその下流の基質である。一実施態様において、本明細書に提供されるCRBN関連タンパク質は、CRBNの基質、例えば、「Aiolos」としても知られるIKZF3、及び/又は「Ikaros」としても知られるIKZF1である。ある実施態様において、「セレブロン関連タンパク質」又は「CRBN関連タンパク質」は、CRBNの結合タンパク質である。
【0129】
「CRBN抗原」という用語は、抗体が免疫特異的に結合するCRBNポリペプチドの部分を指す。CRBN抗原は、抗体が免疫特異的に結合するCRBNポリペプチド又はその断片の類似体又は誘導体も指す。免疫応答を誘発することができるCRBN抗原の表面の局所的な領域は、CRBN「エピトープ」である。エピトープに寄与するCRBNポリペプチドの領域は、該ポリペプチドの連続するアミノ酸であってもよく、又はエピトープは、該ポリペプチドの2以上の不連続な領域が一体となったものであってもよい。エピトープは、抗原の3次元表面特徴であっても、そうでなくてもよい。
【0130】
本明細書で使用されるように、「抗体(antibody)」又はその文法的変化形(すなわち、抗体(antibodies))という用語は、エピトープに結合することができるポリペプチド(複数可)を指す。いくつかの実施態様において、抗体は、全長抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、全長未満(すなわち、抗体断片)であるが、少なくとも1つの結合部位を含む。いくつかのそのような実施態様において、該抗体部位は、抗体可変領域の構造を有する少なくとも1つの、好ましくは、少なくとも2つの配列を含む。いくつかの実施態様において、「抗体」という用語は、免疫グロブリン結合ドメインと相同又は大部分相同な結合ドメインを有する任意のタンパク質を包含する。特定の実施態様において、「抗体」という用語は、免疫グロブリン結合ドメインとの少なくとも99%の同一性を示す結合ドメインを有するポリペプチドを包含する。いくつかの実施態様において、該抗体は、免疫グロブリン結合ドメインとの少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の同一性を示す結合ドメインを有する任意のタンパク質である。本発明による抗体ポリペプチドは、例えば、天然源又は抗体ライブラリーからの単離、宿主システム内でのもしくは宿主システムによる組換え産生、化学合成など、又はこれらの組合せを含む、任意の利用可能な手段によって調製することができる。いくつかの実施態様において、抗体は、モノクローナル又はポリクローナルである。いくつかの実施態様において、抗体は、ヒトのクラスIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEのいずれかを含む、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであることができる。ある実施態様において、抗体は、IgG免疫グロブリンクラスのメンバーである。いくつかの実施態様において、「抗体」という用語は、対象となるエピトープに結合する能力を保有する抗体の任意の誘導体を指す。いくつかの実施態様において、抗体断片は、例えば、ジスルフィド結合によって結合している複数の鎖を含む。いくつかの実施態様において、抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体には、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又は抗体断片(Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、もしくは抗体の他の抗原結合サブ配列)が含まれる。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、マウス、ラット、又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基に置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。特定の実施態様において、本発明で使用される抗体は、CD20の特定のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体が結合するCD20のエピトープとしては、例えば、170ANPS173(Binderらの文献、Blood 2006, 108(6): 1975-1978)、FMC7(Deansらの文献、Blood 2008, 111(4): 2492)、Rp5-L及びRp15-C(CD20のミモトープ)(Perosaらの文献、J. Immunol. 2009, 182:416-423)、182YCYSI185(Binderらの文献、Blood 2006, 108(6): 1975-1978)、並びにWEWTI(182YCYSI185の模倣物)(Binderらの文献、Blood 2006, 108(6): 1975-1978)が挙げられる。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、CD20のエピトープに対する12nM未満、11nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、又は1nM未満の結合親和性(Kd)を有する。
【0131】
「CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体」、「CRBNエピトープに免疫特異的に結合する抗体」、「CRBN抗体」、「抗CRBN抗体」という用語、及び類似の用語も本明細書において互換的に使用され、CRBNポリペプチド、例えば、CRBN抗原又はエピトープ(例えば、ヒトCRBNのペプチド65〜76)に特異的に結合する抗体及びその断片を指す。CRBNポリペプチドに特異的に結合する、修飾抗体(すなわち、修飾IgG(例えば、IgG1)定常ドメインを含む抗体)と未修飾抗体(すなわち、修飾IgG(例えば、IgG1)定常ドメインを含まない抗体)の両方を含む、抗体。CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、関連抗原と交差反応性であり得る。ある実施態様において、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、他の抗原と交差反応しない。CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、例えば、免疫アッセイ、BIAcore、又は当業者に公知の他の技術によって同定することができる。抗体又はその断片は、放射免疫アッセイ(RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの実験技術を用いて決定したとき、それが任意の交差反応性抗原よりも高い親和性でCRBN抗原に結合する場合、CRBN抗原に特異的に結合する。典型的には、特異的又は選択的反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、より典型的には、バックグラウンドの10倍超である。抗体特異性に関する考察については、例えば、Paul編(1989年)、基礎免疫学第2版(Fundamental Immunology Second Edition)、Raven Press, New York、332〜336頁を参照されたい。
【0132】
本明細書で使用されるように、(例えば、承認された参照品/生物製剤、例えば、タンパク質治療薬、抗体などの)「バイオシミラー」という用語は、(a)生物製剤が、臨床的に不活性な成分におけるわずかな違いにもかかわらず、参照品と極めて類似していることを示す分析的研究;(b)動物研究(毒性の評価を含む);並びに/又は(c)それに対して参照品が使用されるよう承認及び意図され、かつそれに対して承認が求められる1以上の適切な使用条件での安全性、純度、及び効力(例えば、製品の安全性、純度、及び効力に関して、生物製剤と参照品との間に臨床的に意味のある違いがないこと)を示すのに十分である1つもしくは複数の臨床試験(免疫原性及び薬物動態もしくは薬力学の評価を含む)から得られるデータに基づいて、参照品と類似している生物製剤を指す。
【0133】
いくつかの実施態様において、バイオシミラー生物製剤及び参照品は、提示されたラベルに規定され、推奨され、又は提案された使用条件(単数又は複数)に対して、同じ作用機序(単数又は複数)を利用しているが、これは、参照品について知られている作用機序(単数又は複数)の範囲に限られる。いくつかの実施態様において、生物製剤について提示されたラベルに規定され、推奨され、又は提案された使用条件(単数又は複数)は、参照品に対して過去に承認されたものである。いくつかの実施態様において、生物製剤の投与経路、剤形、及び/又は強度は、参照品のものと同じである。いくつかの実施態様において、該生物製剤が製造され、加工され、包装され、又は収容される施設は、該生物製剤が、安全で、純粋で、かつ効力があり続けることを保証するよう設計された基準を満たす。参照品は、米国、欧州、又は日本のうちの少なくとも1カ国で承認されることができる。バイオシミラーは、例えば、市販の抗体と同じ一次アミノ酸配列を有する現在公知の抗体であることができるが、異なる細胞型で、又は異なる製造、精製、もしくは製剤化方法によって作製されたものであってもよい。
【0134】
(5.2 TORキナーゼ阻害剤)
本明細書に提供される化合物は、「TORキナーゼ阻害剤」と総称される。一態様において、該TORキナーゼ阻害剤には、ラパマイシンも、ラパマイシン類似体(ラパログ)も含まれない。
【0135】
一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤には、以下の式(I)を有する化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、包摂化合物、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、代謝物、アイソトポログ、及びプロドラッグが含まれ:
【化2】
式中:
R1は、置換もしくは非置換C1-8アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、又は置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキルであり;
R2は、H、置換もしくは非置換C1-8アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換ヘテロシクリルアルキル、置換もしくは非置換アラルキル、又は置換もしくは非置換シクロアルキルアルキルであり;
R3は、H、又は置換もしくは非置換C1-8アルキルであり、
ここで、ある実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤には、以下に示される7-(4-ヒドロキシフェニル)-1-(3-メトキシベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンが含まれない:
【化3】
【0136】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R1は、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールである。例えば、R1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、インドリル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オニル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、又はピラゾリルである。いくつかの実施態様において、R1は、置換又は非置換C1-8アルキル(例えば、メチル)、置換又は非置換ヘテロシクリル(例えば、置換又は非置換トリアゾリル又はピラゾリル)、アミノカルボニル、ハロゲン(例えば、フッ素)、シアノ、ヒドロキシアルキル、及びヒドロキシからなる群から独立に選択される1以上の置換基で置換されたフェニルである。他の実施態様において、R1は、置換又は非置換C1-8アルキル(例えば、メチル)、置換又は非置換ヘテロシクリル(例えば、置換又は非置換トリアゾリル)、ハロゲン、アミノカルボニル、シアノ、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシプロピル)、-OR、及び-NR2(ここで、各々のRは、独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキルである)からなる群から独立に選択される1以上の置換基で置換されたピリジルである。いくつかの実施態様において、R1は、置換又は非置換C1-8アルキル、及び-NR2(ここで、Rは、独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキルである)からなる群から独立に選択される1以上の置換基で任意に置換された、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル又はベンゾイミダゾリルである。
【0137】
いくつかの実施態様において、R1は、下記のものであり;
【化4】
ここで、Rは、出現毎に独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキル(例えば、メチル)であり; R'は、出現毎に独立に、置換もしくは非置換C1-4アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、フッ素)、シアノ、-OR、又は-NR2であり; mは、0〜3であり;かつnは、0〜3である。どの置換基R'も、縮合環系の環のいずれかの任意の好適な原子に結合し得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0138】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R1は、下記のものであり;
【化5】
ここで、Rは、出現毎に独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキルであり; R'は、出現毎に独立に、置換もしくは非置換C1-4アルキル、ハロゲン、シアノ、-OR、又は-NR2であり; mは、0〜3であり;かつnは、0〜3である。
【0139】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R2は、H、置換もしくは非置換C1-8アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換C1-4アルキル-ヘテロシクリル、置換もしくは非置換C1-4アルキル-アリール、又は置換もしくは非置換C1-4アルキル-シクロアルキルである。例えば、R2は、各々任意に置換された、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、(C1-4アルキル)-フェニル、(C1-4アルキル)-シクロプロピル、(C1-4アルキル)-シクロブチル、(C1-4アルキル)-シクロペンチル、(C1-4アルキル)-シクロヘキシル、(C1-4アルキル)-ピロリジル、(C1-4アルキル)-ピペリジル、(C1-4アルキル)-ピペラジニル、(C1-4アルキル)-モルホリニル、(C1-4アルキル)-テトラヒドロフラニル、又は(C1-4アルキル)-テトラヒドロピラニルである。
【0140】
他の実施態様において、R2は、H、C1-4アルキル、(C1-4アルキル)(OR)、
【化6】
であり;
ここで、Rは、出現毎に独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキル(例えば、メチル)であり; R'は、出現毎に独立に、H、-OR、シアノ、又は置換もしくは非置換C1-4アルキル(例えば、メチル)であり;かつpは、0〜3である。
【0141】
式(I)の化合物の他の実施態様において、R2は、H、C1-4アルキル、(C1-4アルキル)(OR)、
【化7】
であり;
ここで、Rは、出現毎に独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-2アルキルであり; R'は、出現毎に独立に、H、-OR、シアノ、又は置換もしくは非置換C1-2アルキルであり;かつpは、0〜1である。
【0142】
式(I)の化合物の他の実施態様において、R3はHである。
【0143】
本明細書に記載のいくつかのそのような実施態様において、R1は、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールである。例えば、R1は、各々任意に置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾイミダゾリル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル、インダゾリル、インドリル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン、ピリジル、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2(3H)-オニル、3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジル、又はピラゾリルである。いくつかの実施態様において、R1は、置換又は非置換C1-8アルキル、置換又は非置換ヘテロシクリル、アミノカルボニル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシアルキル、及びヒドロキシからなる群から独立に選択される1以上の置換基で置換されたフェニルである。他の実施態様において、R1は、C1-8アルキル、置換又は非置換ヘテロシクリル、ハロゲン、アミノカルボニル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-OR、及び-NR2(ここで、各々のRは、独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキルである)からなる群から独立に選択される1以上の置換基で置換されたピリジルである。さらに他の実施態様において、R1は、置換又は非置換C1-8アルキル、及び-NR2(ここで、各々のRは、独立に、H、又は置換もしくは非置換C1-4アルキルである)からなる群から独立に選択される1以上の置換基で任意に置換された、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジル又はベンゾイミダゾリルである。
【0144】
ある実施態様において、式(I)の化合物は、本明細書に示されるR1基及び本明細書に示されるR2基を有する。
【0145】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、該化合物は、TORキナーゼを阻害する。式(I)の化合物の他の実施態様において、該化合物は、DNA-PKを阻害する。式(I)の化合物のある実施態様において、該化合物は、TORキナーゼとDNA-PKの両方を阻害する。
【0146】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、10μMの濃度の該化合物は、TORキナーゼ、DNA-PK、PI3K、又はこれらの組合せを、少なくとも約50%阻害する。式(I)の化合物は、任意の好適なアッセイ系で、上記のキナーゼの阻害剤であることが示され得る。
【0147】
式(I)の代表的なTORキナーゼ阻害剤としては、表Aの化合物が挙げられる。
【0148】
表A.
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(cis-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((cis-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((cis-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-エチル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-((trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-イソプロピル-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-ヒドロキシピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-イソプロピル-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
5-(8-イソプロピル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
7-(1H-インダゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノピリミジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(1H-ピラゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-4-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-6-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリミジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-メトキシピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(1H-インダゾール-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(ピリジン-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-アミノピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-メチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-5-(8-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ピリジン 1-オキシド;
4-メチル-5-(7-オキソ-8-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ピコリンアミド;
5-(8-((cis-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
7-(1H-ピラゾール-4-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
3-((7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-1(2H)-イル)メチル)ベンゾニトリル;
1-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
3-(7-オキソ-8-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ベンズアミド;
5-(8-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)-4-メチルピコリンアミド;
3-((7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-2-オキソ-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-1(2H)-イル)メチル)ベンゾニトリル;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1S,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1S,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インダゾール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-モルホリノエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-モルホリノエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-イソプロピル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((cis-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(trans-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
4-(7-オキソ-8-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2-イル)ベンズアミド;
7-(1H-インダゾール-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1S,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1R,3R)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1R,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((1S,3S)-3-メトキシシクロペンチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-5-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(1H-インドール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((cis-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(4-メチル-2-(メチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-ベンジル-7-(2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(trans-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(5-フルオロ-2-メチル-4-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(3-フルオロ-2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(2-メトキシエチル)-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((trans-4-メトキシシクロヘキシル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(シクロペンチルメチル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(S)-7-(6-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(R)-7-(6-(1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(3-メトキシプロピル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-メトキシエチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-メチル-2-(メチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノ-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(R)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
(S)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,3-ジメチル-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-アミノ-4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(2-メチル-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
7-(4-(1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)フェニル)-1-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)エチル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;
1-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン;及び
1-(2-ヒドロキシエチル)-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、
並びにこれらの医薬として許容し得る塩、包摂化合物、溶媒和物、立体異性体、互変異性体、代謝物、アイソトポログ、及びプロドラッグ。
【0149】
(5.3 TORキナーゼ阻害剤を製造する方法)
TORキナーゼ阻害剤は、標準的な周知の合成法によって得ることができる。例えば、March. Jの文献、先端有機化学;反応、機序、及び構造(Advanced Organic Chemistry; Reactions Mechanisms, and Structure)、第4版、1992を参照されたい。したがって、式(III)の化合物及び中間体を製造するのに有用な出発材料は市販されているか、又は公知の合成法及び試薬を用いて市販の材料から製造することができる。
【0150】
式(I)の化合物を製造するための特定の方法は、各々引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2012年2月7日に発行された米国特許第8,110,578号、及び2013年10月29日に発行された米国特許第8,569,494号に開示されている。
【0151】
(5.4 5-置換キナゾリノン化合物)
本明細書に提供される方法及び組成物においてTORキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用されることになる化合物は、本明細書において、「5-置換キナゾリノン化合物」と総称される。本明細書に提供される具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,635,700号及び2012年9月13日に公開された米国特許公開第2012/0230983号に記載されているものなどの化合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(I)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化8】
式中:
R1は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRaであり、ここで、Raは:水素; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;-(CH2)n-(6〜10員アリール);-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);-C(O)-(CH2)n-NRbRc(ここで、Rb及びRcは、各々独立に:水素; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は:ハロ;1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリールである);-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)であり;
R2は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R3は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0152】
一実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(II)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化9】
式中:
R4は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり;
R5は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R6は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0153】
一実施態様において、R4は、水素である。別の実施態様において、R4は、ハロである。別の実施態様において、R4は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R4は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R4は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0154】
一実施態様において、R5は、水素である。別の実施態様において、R5は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R5は、フェニルである。別の実施態様において、R5は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R5は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0155】
一実施態様において、R6は、水素である。別の実施態様において、R6は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0156】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0157】
本明細書に提供される化合物は、上記のR4、R5、R6、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0158】
具体的な一実施態様において、R4は、メチルである。別の実施態様において、R4は、メトキシである。別の実施態様において、R4は、-CF3である。別の実施態様において、R4は、F又はClである。
【0159】
別の具体的な実施態様において、R5は、メチルである。別の実施態様において、R5は、-CF3である。
【0160】
5-置換キナゾリノン化合物の具体的な例としては、表Bのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0161】
表B
【化10】
【0162】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(III)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化11】
式中:
Rdは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NReRf(ここで、Re及びRfは、各々独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ
である);又は
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル
であり、
R7は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R8は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルだり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0163】
一実施態様において、Rdは、水素である。別の実施態様において、Rdは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(C1-C8)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-NReRfであり、ここで、Re及びRfは、上記の通りである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(C1-C6)アルキルである。
【0164】
一実施態様において、R7は、水素である。別の実施態様において、R7は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R7は、フェニルである。別の実施態様において、R7は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R7は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0165】
一実施態様において、R8は、水素である。別の実施態様において、R8は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0166】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0167】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のRd、R7、R8、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0168】
具体的な一実施態様において、R7は、メチルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、NH2である。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-CH2-O-(C1-C6)アルキルである。
【0169】
5-置換キナゾリノン化合物の具体的な例としては、表Cのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0170】
表C
【化12】
【0171】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化13】
【0172】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
【0173】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化14】
【0174】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化15】
【0175】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化16】
【0176】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(IV)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化17】
式中:
Rgは:
-(CH2)n-(6〜10員アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-NHRh(ここで、Rhは:
ハロ;
1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは
1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシ
のうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリールである);又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)
であり;
R9は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R10は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0177】
一実施態様において、Rgは、-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記の通りに任意に置換されている。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-NHRhであり、ここで、Rhは、上記の通りに任意に置換された6〜10員アリールである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。
【0178】
一実施態様において、R9は、水素である。別の実施態様において、R9は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R9は、フェニルである。別の実施態様において、R9は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R9は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0179】
一実施態様において、R10は、水素である。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0180】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0181】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のRg、R9、R10、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0182】
具体的な一実施態様において、R9は、メチルである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-フェニル又は-C(O)-CH2-フェニルであり、ここで、該フェニルは、メチル、-CF3、及び/又はハロで任意に置換されている。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-NH-フェニルであり、ここで、該フェニルは、メチル、-CF3、及び/又はハロで任意に置換されている。
【0183】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、表Dのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0184】
表D
【化18】
【0185】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化19】
【0186】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化20】
【0187】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化21】
【0188】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化22】
【0189】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化23】
【0190】
本明細書に提供される具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、6-、7-、又は8-置換キナゾリノン化合物、例えば、米国特許出願公開US 2009/0093504号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(V)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化24】
式中:
R1は、水素であり;
R2、R3、及びR4の各々は独立に:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRaであり、ここで、Raは:水素; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;-(CH2)n-(6〜10員アリール);-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3;(C1-C6)アルキル(該アルキルは、1以上のハロでそれ自体任意に置換されている);もしくは(C1-C6)アルコキシ(該アルコキシは、1以上のハロでそれ自体任意に置換されている)のうちの1つ又は複数で任意に置換されている);-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);-C(O)-(CH2)n-NRbRc(ここで、Rb及びRcは、各々独立に:水素; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は:ハロ;1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリールである);-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)であるか;或いはR1〜R4のうちの2つは一緒に:ハロ; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つ又は複数で任意に置換された5又は6員環を形成することができ;
R5は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R6は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0191】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(VI)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化25】
式中:
R7は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRdであり、ここで、Rdは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員 ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3;1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);
-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NReRf(ここで、Re及びRfは、各々独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
以下のもの:ハロ; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリール
である);
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)
であり;
R8は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R9は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0192】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(VII)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化26】
式中:
R10は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり;
R11は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R12は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0193】
一実施態様において、R10は、水素である。別の実施態様において、R10は、ハロである。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R10は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0194】
一実施態様において、R11は、水素である。別の実施態様において、R11は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R11は、フェニルである。別の実施態様において、R11は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R11は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0195】
一実施態様において、R12は、水素である。別の実施態様において、R12は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0196】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0197】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のR10、R11、R12、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0198】
具体的な一実施態様において、R10は、ハロである。別の実施態様において、R10は、ヒドロキシルである。別の実施態様において、R10は、メチルである。
【0199】
別の具体的な実施態様において、R11は、水素である。別の実施態様において、R11は、メチルである。
【0200】
別の具体的な実施態様において、R12は、水素である。別の実施態様において、R12は、メチルである。
【0201】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、表Eのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0202】
表E
【化27】
【0203】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(VIII)の5-置換キナゾリノン化合物、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化28】
式中:
Rgは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員 ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);
-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRhRi(ここで、Rh及びRiは、各々独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
ハロ; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリール
である);
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)
であり;
R13は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R14は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0204】
一実施態様において、Rgは、水素である。別の実施態様において、Rgは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記の通りに任意に置換されている。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-NRhRiであり、ここで、Rh及びRiは、上記の通りである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。
【0205】
一実施態様において、R13は、水素である。別の実施態様において、R13は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R13は、フェニルである。別の実施態様において、R13は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R13は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0206】
一実施態様において、R14は、水素である。別の実施態様において、R14は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0207】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0208】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のRg、R13、R14、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0209】
具体的な一実施態様において、Rgは、水素であり、かつnは、0又は1である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、1以上のメチル、ハロ、及び/又は(C1-C6)アルコキシで任意に置換された-C(O)-フェニルである。
【0210】
別の具体的な実施態様において、R13は、メチルである。別の実施態様において、R14は、水素である。
【0211】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、表Fのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0212】
表F
【化29】
【0213】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化30】
【0214】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化31】
【0215】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(IX)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化32】
式中:
R15は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRjであり、ここで、Rjは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);
-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRkRl(ここで、Rk及びRlは、各々独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
以下のもの:ハロ; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリール
である);
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)
であり;
R16は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R17は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0216】
一実施態様において、R15は、水素である。別の実施態様において、R15は、ハロである。別の実施態様において、R15は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R15は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R15は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0217】
一実施態様において、R15は、-(CH2)nNHRjである。R15が-(CH2)nNHRjである一実施態様において、Rjは、水素である。別の実施態様において、Rjは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rjは、-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記の通りに任意に置換されている。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-NRkRlであり、ここで、Rk及びRlは、上記の通りである。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。
【0218】
一実施態様において、R16は、水素である。別の実施態様において、R16は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R16は、フェニルである。別の実施態様において、R16は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R16は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0219】
一実施態様において、R17は、水素である。別の実施態様において、R17は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0220】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0221】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のR15、R16、R17、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0222】
具体的な一実施態様において、R15は、メチルである。別の実施態様において、R15は、ハロである。別の実施態様において、R15は、-CF3である。別の実施態様において、R15は、-(CH2)nNHRjである。
【0223】
R15が-(CH2)nNHRjである具体的な一実施態様において、Rjは、水素であり、かつnは、0又は1である。R15が-(CH2)nNHRjである別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(O)-(C1-C6)アルキルである。
【0224】
具体的な一実施態様において、R16は、水素である。別の実施態様において、R16は、メチルである。別の具体的な実施態様において、R17は、水素又はメチルである。
【0225】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、表Gのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0226】
表G
【化33】
【0227】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化34】
【0228】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化35】
【0229】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(X)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化36】
式中:
R18は:水素;ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRmであり、ここで、Rmは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)もしくは-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)(ここで、該アリールもしくはヘテロアリールは:ハロ;-SCF3; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換されている);
-C(O)-(C1-C8)アルキル(ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている);
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRnRo(ここで、Rn及びRoは、各々独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
ハロ; 1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルキル;もしくは1以上のハロでそれ自体任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つもしくは複数で任意に置換された6〜10員アリール
である);
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;或いは
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)
であり;
R19は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R20は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0230】
一実施態様において、R18は、水素である。別の実施態様において、R18は、ハロである。別の実施態様において、R18は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R18は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R18は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0231】
一実施態様において、R18は、-(CH2)nNHRmである。R28が-(CH2)nNHRsである一実施態様において、Rsは、水素である。別の実施態様において、Rmは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rmは、-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員ヘテロアリール)であり、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記の通りに任意に置換されている。別の実施態様において、Rsは、-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで、該アルキルは、1以上のハロで任意に置換されている。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-NRnRoであり、ここで、Rn及びRoは、上記の通りである。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員アリール)である。
【0232】
一実施態様において、R19は、水素である。別の実施態様において、R19は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R19は、フェニルである。別の実施態様において、R19は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R19は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0233】
一実施態様において、R20は、水素である。別の実施態様において、R20は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0234】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0235】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のR18、R19、R20、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0236】
具体的な一実施態様において、R18は、メチルである。別の実施態様において、R18は、ハロである。別の実施態様において、R18は、ヒドロキシルである。別の実施態様において、R18は、-CF3である。
【0237】
具体的な一実施態様において、R19は、水素である。別の実施態様において、R19は、メチルである。別の具体的な実施態様において、R20は、水素である。
【0238】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、表Hのものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0239】
表H
【化37】
【0240】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化38】
【0241】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化39】
【0242】
別の実施態様において、代表的な5-置換キナゾリノン化合物は、式(XI)のもの、並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体であり:
【化40】
式中:
R21は、水素であり;
R22、R23、及びR24は、各々独立に:ハロ;-(CH2)nOH; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであるか;又は
R21〜R24のうちの2つは一緒に:ハロ; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つ又は複数で任意に置換された5〜6員環を形成し;
R25は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R26は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;かつ
nは、0、1、又は2である。
【0243】
一実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、ハロである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0244】
別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つはハロであり、かつR22〜R24のうちのもう1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つはハロであり、かつR22〜R24のうちのもう1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり、かつR22〜R24のうちのもう1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0245】
別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは一緒に、5〜6員環を形成する。具体的な一実施態様において、R22及びR23は一緒に、5〜6員環を形成する。具体的な一実施態様において、R22及びR23は一緒に、フェニル環を形成する。別の実施態様において、R22及びR23によって形成される環は:ハロ; 1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシのうちの1つ又は複数で任意に置換されている。
【0246】
一実施態様において、R25は、水素である。別の実施態様において、R25は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R25は、フェニルである。別の実施態様において、R25は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R25は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0247】
一実施態様において、R26は、水素である。別の実施態様において、R26は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0248】
一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0249】
本明細書に提供される5-置換キナゾリノン化合物は、上記のR21、R22、R23、R24、R25、R26、及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0250】
具体的な5-置換キナゾリノン化合物としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:
【化41】
【0251】
一実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、下記のもの、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは立体異性体である:
【化42】
【0252】
記載されている5-置換キナゾリノン化合物は全て、市販で購入するか、又は本明細書に開示される特許もしくは特許公報に記載の方法に従って製造することができる。さらに、光学的に純粋な5-置換キナゾリノン化合物は、不斉合成するか、又は既知の分割剤もしくはキラルカラム及び他の標準的な合成有機化学技術を用いて分割することができる。
【0253】
図示された構造とその構造に与えられた名前との間に矛盾がある場合、図示された構造により重きが置かれることになることに留意すべきである。さらに、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されていない場合、該構造又は該構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈すべきである。
【0254】
(5.5 化合物AA)
N-(3-(5-フルオロ-2-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イルアミノ)フェニル)アクリルアミド:
【化43】
及びその医薬として許容し得る塩は、本明細書では「化合物AA」と総称される。一実施態様において、化合物AAのベシル酸塩は、本明細書に提供される組成物及び方法で使用される。一実施態様において、化合物AAの遊離塩基は、本明細書に提供される組成物及び方法で使用される。
【0255】
2010年2月4日に公開された米国公開特許出願US 2010/0029610号(その全体が引用により本明細書中に組み込まれる「‘610号公開」)には、化合物AAが記載されており、これは、‘610号公開では化合物番号I-182と表記されている。化合物AAは、TECキナーゼのメンバーであるBTKを含む、1以上のタンパク質キナーゼを共有結合的かつ不可逆的に阻害する。化合物AAの合成は、‘610号公開の実施例20で詳細に記載されている。化合物AAは、種々のアッセイ及び治療モデルで活性があり、BTKの共有結合的で、不可逆的な阻害を(酵素及び細胞アッセイで)示す。留意すべきことに、化合物AAは、B細胞の増殖及び活性化を阻害することが分かった強力で、選択的で、経口利用可能な小分子である。
【0256】
(5.6 抗CD20抗体)
モノクローナル抗体トシツモマブによって定義された最初のB細胞特異的抗原であるCD20は、B細胞発生において重要な役割を果たしている。ヒトCD20は、染色体11q12.2に位置する遺伝子MS4A1によってコードされる4つの膜貫通ドメインを有する297アミノ酸(30〜35kDa)のホスホタンパク質である。CD20は、B細胞発生において重要な役割を果たしており、B細胞由来疾患を標的とする免疫療法のバイオマーカーである。CD20は、分化の初期段階のBリンパ球によって、及び大部分のB細胞リンパ腫によって発現されるが、分化した形質細胞によっては発現されない膜内在性タンパク質である。CD20は、抗体結合による解離又は内在化がなければ、B細胞の膜上にあり続ける。CD20は、Srcファミリーのチロシンキナーゼ、例えば、Lyn、Fyn、及びLckへの結合を介して機能し、細胞内タンパク質のリン酸化カスケードに結果として関与すると考えられている。抗CD20抗体は、タイプI及びタイプIIの抗体に広く分類される。両方のタイプの抗CD20抗体は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び貪食などのFc-FcγR相互作用を活性化する際に同等の能力を示す。タイプIの抗CD20抗体は、CD20を膜脂質ラフトに再分布させ、補体依存性細胞傷害性(CDC)を強力に活性化する。タイプIIの抗CD20抗体は、CDCを弱く活性化するが、直接的なプログラム細胞死をより強力に誘導する。
【0257】
当業者は、本発明において有用なさらなる抗CD20抗体を容易に特定し、選択することができる。例えば、いくつかの実施態様において、そのような抗体は、例えば、米国特許第8,153,125号、第8,147,832号、第8,101,179号、第8,084,582号、第8,057,793、号及び第7,879,984号、並びに米国特許出願第2011/0129412号、第2012/0183545号、第2012/0134990号、及び第2012/0034185に記載されている。
【0258】
いくつかの実施態様において、本発明で使用される抗CD20抗体は、タイプI抗体である。いくつかの実施態様において、本発明で使用される抗CD20抗体は、タイプII抗体である。
【0259】
いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、170ANPS173及び182YCYSI185から選択されるCD20エピトープに結合する抗体である。
【0260】
いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、CD20のエピトープに対する12nM未満、11nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、又は1nM未満の結合親和性(Kd)を有する。
【0261】
リツキシマブは、抗CD20抗体の一例にすぎない。いくつかの実施態様において、本発明で使用される抗CD20抗体としては、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))、Gazyva(登録商標)(すなわち、オビヌツズマブ)、及びArzerra(登録商標)(オファツムマブ)が挙げられる。参照しやすいように、本明細書に詳述されている、提供された方法及びレジメンは、例示的な抗CD20抗体(すなわち、リツキシマブ)に言及しているが;そのような言及は、本発明を単一の抗CD20抗体に限定することを意図するものではない。実際、リツキシマブ、又はそのバイオシミラーに対する全ての言及は、当業者によって、抗CD20抗体のクラスを包含するように読み取られるべきである。例えば、抗CD20抗体オファツムマブ(Arzerra(登録商標))又はオビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))を、CD20抗体又はリツキシマブに対する言及がなされている各々の場合において、代わりに投与することができることが理解されるであろう。いくつかのそのような実施態様において、オファツムマブは、以下のスケジュールに従って、12用量で投与される: 300mgの初回用量、1週間後、毎週2000mgの用量で7用量、4週間後、4週間毎に2000mgで4用量。いくつかのそのような実施態様において、オビヌツズマブは、次のような6回の28日サイクルで投与される:サイクル1の1日目に100mg;サイクル1の2日目に900mg;サイクル1の8日目及び15日目に1000mg;及びサイクル2〜サイクル6の1日目に1000mg。したがって、いくつかの実施態様において、「リツキシマブ」という用語は、米国、欧州、及び日本からなる国の群から選択される国又は地域における同一製品又はバイオシミラー製品としての販売許可を取得するのに必要な要件を満たす全ての対応する抗CD20抗体を包含する。
【0262】
いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブ、又はそのバイオシミラーと同一又は同様の活性を有する。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブ又はその断片と同一又は同様の領域又はエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、CD20へのリツキシマブ又はその断片の結合と競合する。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブ又はその断片と生物学的に同等である。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブ又はその断片のバイオシミラーである。いくつかの実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブの変異体又は誘導体であり、これには、機能的断片、誘導体、又は抗体コンジュゲートが含まれる。
【0263】
リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))は、正常Bリンパ球及びB細胞CLL並びに大部分の形態の非ホジキンB細胞リンパ腫に存在するCD20細胞表面分子に対する遺伝子改変された細胞溶解性、キメラマウス/ヒトモノクローナルIgG1κ抗体である。リツキシマブは、CD20抗原に対する約8.0nMの結合親和性を有する。リツキシマブは、補体依存性細胞傷害性(CDC)及び抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を誘導し、リンパ腫細胞に対するその臨床活性をもたらすことができる。リツキシマブは、CD20に結合すると、B細胞のアポトーシスをもたらし、それにより、細胞成長の直接的な阻害をもたらすこともできる。
【0264】
リツキシマブは、抗生物質ゲンタマイシンを含む栄養培地中で哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣)懸濁培養物によって産生される。ゲンタマイシンは、最終生成物中では検出されない。リツキシマブは、防腐剤を含まない滅菌無色透明の静脈内投与用液体濃縮物である。リツキシマブは、100mg/10mL又は500mg/50mLのどちらかの使い捨てバイアルに10mg/mLの濃度で供給される。リツキシマブは、ポリソルベート80(0.7mg/mL)、クエン酸ナトリウム二水和物(7.35mg/mL)、塩化ナトリウム(9mg/mL)、及び注射用水中に処方される。Rituxan(登録商標)(又はMabThera(登録商標))のpHは、6.5である。
【0265】
リツキシマブは、臨床研究で検討され、フルダラビン及びシクロホスファミドとの組合せでCLL患者の治療に、並びにメトトレキセートとの組合せで関節リウマチ患者の治療に承認されている。リツキシマブは、非ホジキンリンパ腫、ウェゲナー肉芽腫症、及び顕微鏡的多発性血管炎の治療にも承認されている。
【0266】
(5.7 使用方法)
本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤及び有効量の5-置換キナゾリノン化合物を、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0267】
さらに本明細書に提供されるのは、5-置換キナゾリノン化合物治療に抵抗性の癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を(例えば、単独で又は5-置換キナゾリノン化合物の非存在下で)、5-置換キナゾリノン化合物治療に抵抗性の癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0268】
ある実施態様において、該癌は、血行性腫瘍である。
【0269】
ある実施態様において、該癌は、リンパ腫、白血病、又は多発性骨髄腫である。
【0270】
ある実施態様において、該癌は、非ホジキンリンパ腫である。ある実施態様において、該非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、又はALK+未分化大細胞リンパ腫である。一実施態様において、該非ホジキンリンパ腫は、進行固形非ホジキンリンパ腫である。一実施態様において、該非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0271】
ある実施態様において、該癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの実施態様において、該DLBCLは、ABC-DLBCLである。他の実施態様において、該DLBCLは、GCB-DLBCLである。
【0272】
ある実施態様において、該癌は、B細胞リンパ腫である。
【0273】
ある実施態様において、該B細胞リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞性B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯B細胞リンパ腫及び節性辺縁帯B細胞リンパ腫を含む)、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症から選択されるB細胞非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施態様において、該B細胞リンパ腫は、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)である。一実施態様において、該B細胞リンパ腫は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0274】
一実施態様において、該B細胞非ホジキンリンパ腫は、不応性B細胞非ホジキンリンパ腫である。一実施態様において、該B細胞非ホジキンリンパ腫は、再発性B細胞非ホジキンリンパ腫である。
【0275】
ある実施態様において、該癌は、T細胞リンパ腫である。
【0276】
B細胞障害である慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)は、血液/骨髄転移(CLL)対リンパ節転移(SLL)の度合いが異なる多様な同じ疾患過程の両極端を表す。
【0277】
他の実施態様において、該癌は、多発性骨髄腫である。
【0278】
ある実施態様において、該癌は、頭部、頸部、眼、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、睾丸又は他の生殖器官、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、及び脳又は中枢神経系の癌である。
【0279】
他の実施態様において、該癌は、固形腫瘍である。ある実施態様において、該固形腫瘍は、再発性又は不応性固形腫瘍である。
【0280】
一実施態様において、該固形腫瘍は、神経内分泌腫瘍である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、消化管起源の神経内分泌腫瘍である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、非膵臓起源である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、非膵臓消化管起源である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、原発不明である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、症候性の内分泌産生腫瘍又は非機能性腫瘍である。ある実施態様において、該神経内分泌腫瘍は、局所切除不能、軽度転移性、高分化型、低悪性度(グレード1)、又は中悪性度(グレード2)である。
【0281】
一実施態様において、該固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0282】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、多形性膠芽腫(GBM)である。
【0283】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、肝細胞癌(HCC)である。
【0284】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、乳癌である。一実施態様において、該乳癌は、ホルモン受容体陽性である。一実施態様において、該乳癌は、エストロゲン受容体陽性(ER+、ER+/Her2、又はER+/Her2+)である。一実施態様において、該乳癌は、エストロゲン受容体陰性(ER-/Her2+)である。一実施態様において、該乳癌は、トリプルネガティブ(TN)(エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)に対応する遺伝子及び/又はタンパク質を発現せず、かつHer2/neuタンパク質を過剰発現しない乳癌)である。
【0285】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、結腸直腸癌(CRC)である。
【0286】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、唾液腺癌である。
【0287】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、膵癌である。
【0288】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、腺様嚢胞癌である。
【0289】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、副腎癌である。
【0290】
別の実施態様において、該固形腫瘍は、食道癌、腎臓癌、平滑筋肉腫、又は傍神経節腫である。
【0291】
一実施態様において、該固形腫瘍は、進行性固形腫瘍である。
【0292】
別の実施態様において、該癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌である。
【0293】
別の実施態様において、該癌は、E-トゥエンティシックス(ETS)を過剰発現する去勢抵抗性前立腺癌である。
【0294】
別の実施態様において、該癌は、E-トゥエンティシックス(ETS)を過剰発現するユーイング肉腫である。
【0295】
ある実施態様において、該癌は、進行悪性腫瘍、アミロイド症、神経芽腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形膠芽腫、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫(recurrent malignant giolma)、未分化星細胞腫、未分化希突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC及びD結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性メラノーマ、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、漿液性乳頭状癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増加症、平滑筋肉腫、進行性骨化性異形成症、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除された高リスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン不応性前立腺癌、化学療法不応性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、又は平滑筋腫である。
【0296】
他の実施態様において、該癌は、mTOR、PI3K、又はAktキナーゼ、及びこれらの突然変異体又はアイソフォームが関係する経路と関連する癌である。本明細書に提供される方法の範囲内の他の癌には、以下のキナーゼ: PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、KDR、GSK3α、GSK3β、ATM、ATX、ATR、cFMS、及び/又はDNA-PKキナーゼ、並びにこれらの突然変異体又はアイソフォームの経路と関連するものが含まれる。いくつかの実施態様において、mTOR/PI3K/Akt経路と関連する癌には、固形腫瘍及び血行性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病;並びに固形腫瘍、例えば、乳癌、肺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、子宮頸癌、及び前立腺癌;膠芽腫;腎臓癌;肝細胞癌;結腸癌;神経内分泌腫瘍;頭頸部腫瘍;並びに肉腫、例えば、ユーイング肉腫が含まれる。
【0297】
本明細書に提供されるのは、Ikaros、Aiolosを、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せの予測又は予後因子として用いる癌の治療又は管理方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、Ikaros、Aiolosを、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せの予測又は予後因子として用いる治療のために、本明細書に記載の癌患者(例えば、多発性骨髄腫、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、及び/又はMDS患者)をスクリーニング又は特定する方法である。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される組合せによる癌治療に対する患者応答を予測する方法であって、生物学的材料を患者から得ること、及びIkaros又はAiolosの有無を測定することを含む、方法である。一実施態様において、mRNA又はタンパク質を腫瘍から精製し、バイオマーカーの有無を遺伝子又はタンパク質発現解析によって測定する。ある実施態様において、バイオマーカーの有無を、定量的リアルタイムPCR(QRT-PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリー、又は免疫蛍光によって測定する。他の実施態様において、バイオマーカーの有無を、酵素結合免疫吸着アッセイベースの方法(ELISA)又は当技術分野で公知の他の同様の方法によって測定する。非ホジキンリンパ腫と関連するバイオマーカーは、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国特許出願第2011/0223157号に記載されている。ある実施態様において、該バイオマーカーは、Aiolosである。別の実施態様において、該バイオマーカーは、Ikarosである。ある実施態様において、該バイオマーカーは、IkarosとAiolosの両方である。ある実施態様において、該バイオマーカーは、本明細書に提供されるバイオマーカーの組合せである。ある実施態様において、該バイオマーカー(複数可)は、CRBNをさらに含む。具体的な実施態様において、該癌は、DLBCLである。
【0298】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌患者の治療に対する患者応答を予測する方法であって、癌細胞を該患者から得ること、該細胞をTORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せの存在下又は非存在下で培養すること、タンパク質又はRNAを該培養細胞から精製すること、及びバイオマーカーの有無を、例えば、タンパク質又は遺伝子発現解析によって測定することを含む、方法である。モニタリングされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であることができる。一実施態様において、該癌患者は、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、MDS、又はメラノーマ患者である。ある実施態様において、該バイオマーカーは、Aiolosである。別の実施態様において、該バイオマーカーは、Ikarosである。ある実施態様において、該バイオマーカーは、IkarosとAiolosの両方である。ある実施態様において、該バイオマーカー(複数可)は、CRBNをさらに含む。具体的な実施態様において、該癌は、DLBCLである。
【0299】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌患者のTORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せ治療に対する腫瘍応答をモニタリングする方法である。該方法は、生体試料を該患者から得ること、該生体試料におけるバイオマーカーの発現を測定すること、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せを該患者に投与すること、その後、第二の生体試料を該患者から得ること、該第二の生体試料におけるバイオマーカー発現を測定すること、及び発現のレベルの比較することを含み、ここで、治療後のバイオマーカー発現のレベルの増加は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。ある実施態様において、該バイオマーカーは、Aiolosである。別の実施態様において、該バイオマーカーは、Ikarosである。ある実施態様において、該バイオマーカーは、IkarosとAiolosの両方である。ある実施態様において、該バイオマーカー(複数可)は、CRBNをさらに含む。具体的な実施態様において、該癌は、DLBCLである。
【0300】
ある実施態様において、CRBNタンパク質レベルは、下方調節されることも、減少することもないが、Ikarosタンパク質レベル及び/又はAiolosタンパク質レベルは、下方調節されるか、又は減少する。いくつかの実施態様において、そのような表現型は、患者が、該化合物に対する獲得された抵抗性を有するか、又は該抵抗性を発症し得ることを示す。ある実施態様において、該バイオマーカーは、c-Mycである。ある実施態様において、c-Mycレベルが減少している。他の実施態様において、該バイオマーカーは、CD44である。ある実施態様において、CD44レベルが増加している。いくつかの実施態様において、そのような表現型は、患者が、該化合物に対する獲得された抵抗性を有するか、又は該抵抗性を発症し得ることを示す。他の実施態様において、Ikaros及び/又はAiolosタンパク質レベルのレベルの減少は、該化合物による効果的な治療を示す。
【0301】
一実施態様において、治療後のバイオマーカー発現のレベルの減少は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。モニタリングされるバイオマーカー発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であることができる。ある実施態様において、該バイオマーカーは、Aiolosである。別の実施態様において、該バイオマーカーは、Ikarosである。ある実施態様において、該バイオマーカーは、IkarosとAiolosの両方である。具体的な実施態様において、該腫瘍は、DLBCLである。
【0302】
一実施態様において、治療後のバイオマーカー発現のレベルの増加は、効果的な腫瘍応答の可能性を示す。モニタリングされるバイオマーカー発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であることができる。具体的な実施態様において、該腫瘍は、DLBCLである。
【0303】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、癌の治療におけるTORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せの有効性を評価する方法であって:(a)該組合せを癌を有する患者に投与すること;(b)第一の試料を該患者から得ること;(c)該第一の試料におけるCRBN関連タンパク質のレベルを決定すること;及び(d)工程(c)のCRBN関連タンパク質レベルを参照試料から得られた同じタンパク質のレベルと比較することを含む、方法であり、ここで、該参照と比較したレベルの変化は、癌の治療における該組合せの有効性を示すものである。ある実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、Ikarosである。他の実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、Aiolosである。いくつかの実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、Ikaros及びAiolosである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌の治療におけるTORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せの有効性を評価する方法であって:(a)該組合せを癌を有する患者に投与すること;(b)第一の試料を該患者から得ること;(c)該第一の試料におけるIkaros及び/又はAiolosタンパク質のレベルを決定すること;並びに(d)工程(c)のIkaros及び/又はAiolosのレベルを参照試料から得られた同じタンパク質のレベルと比較することを含む、方法であり、ここで、該参照と比較したIkaros及び/又はAiolosタンパク質レベルの減少は、癌の治療における該組合せの有効性を示すものである。
【0304】
いくつかの実施態様において、該試料は、腫瘍生検、節生検、又は骨髄、脾臓、肝臓、脳、もしくは乳房由来の生検から得られる。
【0305】
ある実施態様において、工程(c)は:(i)工程(b)の第一の試料中のタンパク質をCRBN関連タンパク質に免疫特異的に結合する第一の抗体と接触させること;(ii)該第一の抗体に結合したタンパク質を、検出可能な標識を有する第二の抗体と接触させること(ここで、該第二の抗体は、該CRBN関連タンパク質に免疫特異的に結合し、かつ該第二の抗体は、第一の抗体とは異なる該CRBN関連タンパク質上のエピトープに免疫特異的に結合する);(iii)該タンパク質に結合した第二の抗体の存在を検出すること;及び(iv)該第二の抗体中の検出可能な標識の量に基づいて該CRBN関連タンパク質の量を決定することを含む。
【0306】
ある実施態様において、工程(c)は:(i)第一の試料中のRNAを、該RNAに特異的に結合する配列を含むプライマーと接触させて、該RNAに相補的な配列を有する第一のDNA分子を生成させること;(ii)該CRBN関連タンパク質をコードする遺伝子の部分に対応するDNAを増幅すること;及び(iii)増幅したDNAの量に基づいて該CRBN関連タンパク質のRNAレベルを決定することを含む。
【0307】
ある実施態様において、該組合せは、参照と比較したときの該CRBN関連タンパク質のレベル(例えば、タンパク質又はRNAレベル)が減少する場合、癌の治療において有効である可能性が高い。ある実施態様において、該組合せは、参照と比較したときの該CRBN関連タンパク質のレベル(例えば、タンパク質又はRNAレベル)が増加する場合、癌の治療において有効である可能性が高い。一実施態様において、該参照は、対象への該組合せの投与の前に患者から得られる第二の試料を使用することにより調製され;ここで、該第二の試料は、第一の試料と同じ源に由来するものである。別の実施態様において、該参照は、癌を有しない健常対象から得られる第二の試料を使用することにより調製され;ここで、該第二の試料は、第一の試料と同じ源に由来するものである。ある実施態様において、該CRBN関連タンパク質はIkarosであり、Ikarosタンパク質のレベルが参照と比較して減少する。他の実施態様において、該CRBN関連タンパク質はAiolosであり、Aiolosタンパク質のレベルが参照と比較して減少する。いくつかの実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、Ikaros及びAiolosであり、Ikarosタンパク質とAiolosタンパク質の両方のレベルが参照と比較して減少する。
【0308】
本明細書に提供される方法の一実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、58kDaの分子量を有するIKZF3(Aiolos)である。本明細書に提供される方法の別の実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、42kDa分子量を有するIKZF3(Aiolos)である。別の実施態様において、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せは、Aiolos発現(例えば、タンパク質又は遺伝子発現)を下方調節する。具体的な実施態様において、Aiolosタンパク質レベルが減少する。
【0309】
本明細書に提供される方法の様々な実施態様において、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せは、Ikaros発現(例えば、タンパク質又は遺伝子発現)を下方調節する。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せは、Ikarosタンパク質レベルを減少させる。いくつかの実施態様において、Aiolosタンパク質レベルが減少し、Ikarosタンパク質レベルが減少する。
【0310】
CRBN又はCRBN関連タンパク質(例えば、Ikaros、Aiolos、又はこれらの組合せ)をバイオマーカーとして用いて、TORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せによる疾患治療の有効性又は前進を示すことができる。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象の疾患又は障害(例えば、癌、例えば、DLBCL)を、該対象がTORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノンによる治療を受ける前に、該治療を受けている間に、又は該治療を受けた後に特徴付けるのに有用である。
【0311】
ある実施態様において、DLBCL又はDLBCLを有する患者のTORキナーゼ阻害剤と5-置換キナゾリノン化合物の組合せによる治療に対する感受性は、Aiolos及び/又はIkarosのレベルに関連する。
【0312】
本明細書に提供される方法の様々な実施態様において、該CRBN関連タンパク質は、Ikaros、Aiolos、又はこれらの組合せである。いくつかの実施態様において、これらのCRBN関連タンパク質は、本明細書に提供される他のCRBN関連タンパク質、例えば、Ikaros、Aiolosと組み合わせて評価される。ある実施態様において、Ikaros及びAiolosが評価される。他の実施態様において、Ikaros、Aiolos、及びCRBN、又はこれらの任意の組合せが評価される。
【0313】
Aiolos(IKZF3)は、Ikarosファミリーのジンク-フィンガータンパク質のメンバーである。IKZF3は、リンパ球発生(例えば、Bリンパ球増殖及び分化)の調節に関与する造血特異的転写因子である。IKZF3のDNA結合ドメインは、GGGAというコアモチーフを認識する。IKZF3は、クロマチン再構築に関与し、Bclファミリーメンバーを調節し、T細胞でHDAC、mSin3、Mi-2に結合し、かつ転写リプレッサーとして作用することが示された。Aiolos-Foxp3相互作用は、ヒトT細胞でIL-2発現をサイレンシングすることが示されている。
【0314】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、慢性リンパ球性白血病を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の慢性リンパ球性白血病の国際ワークショップ(IWCLL)応答定義を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、固形腫瘍を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の固形腫瘍の応答評価基準(例えば、RECIST 1.1)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、白血病を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の米国立癌研究所主催慢性リンパ球性白血病ワーキンググループ(NCI-WG CLL)応答定義を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、前立腺癌を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の前立腺癌ワーキンググループ2(PCWG2)基準を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、非ホジキンリンパ腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の非ホジキンリンパ腫の国際ワークショップ基準(IWC)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、多発性骨髄腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の多発性骨髄腫の国際統一応答基準(IURC)を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、多形性膠芽腫を有する患者における完全応答、部分応答、又は安定疾患の多形性膠芽腫の神経腫瘍学応答評価(RANO)ワーキンググループを達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。
【0315】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を有する患者の腫瘍進行のない生存を増加させる方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む、方法である。
【0316】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者における進行疾患の固形腫瘍応答評価基準(例えば、RECIST 1.1)を予防し又は遅延させる方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。一実施態様において、進行疾患の予防又は遅延は、治療前と比較した、例えば、−30%〜+20%の、標的病変のサイズ全体の変化によって特徴付けられ、又は達成される。別の実施態様において、標的病変のサイズの変化は、治療前と比較した、サイズ全体の30%を超える低下、例えば、標的病変サイズの50%を超える低下である。別の実施態様において、該予防は、治療前と比較した、非標的病変のサイズの低下、又は非標的病変の進行の遅延によって特徴付けられ、又は達成される。一実施態様において、該予防は、治療前と比較した、標的病変の数の低下によって達成され、又は特徴付けられる。別の実施態様において、該予防は、治療前と比較した、非標的病変の数又は質の低下によって達成され、又は特徴付けられる。一実施態様において、該予防は、治療前と比較した、標的病変の不在又は消失によって達成され、又は特徴付けられる。別の実施態様において、該予防は、治療前と比較した、非標的病変の不在又は消失によって達成され、又は特徴付けられる。別の実施態様において、該予防は、治療前と比較した、新たな病変の予防によって達成され、又は特徴付けられる。また別の実施態様において、該予防は、治療前と比較した、疾患進行の臨床的兆候又は症状、例えば、癌関連悪液質又は疼痛増大の予防によって達成され、又は特徴付けられる。
【0317】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療前と比較した患者における標的病変のサイズを減少させる方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0318】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療前と比較した患者における非標的病変のサイズを減少させる方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0319】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療前と比較した患者における標的病変の数の低下を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0320】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療前と比較した患者における非標的病変の数の低下を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0321】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者における全ての標的病変の不在を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0322】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者における全ての非標的病変の不在を達成する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。
【0323】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法であり、ここで、該治療は、固形腫瘍の応答評価基準(例えば、RECIST 1.1)によって決定される、完全応答、部分応答、又は安定疾患をもたらす。
【0324】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法であり、ここで、該治療は、治療前と比較した、標的病変サイズの低下、非標的病変サイズの低下、並びに/又は新たな標的及び/もしくは非標的病変の不在をもたらす。
【0325】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法であり、ここで、該治療は、臨床的進行、例えば、癌関連悪液質又は疼痛増大の予防又は遅延をもたらす。
【0326】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤を、有効量の5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、癌を有する患者に投与することを含む、方法であり、ここで、該治療は、特に、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の減少、腫瘍関連症状の緩和、腫瘍分泌因子(腫瘍分泌ホルモン、例えば、カルチノイド症候群の一因となるものを含む)の阻害、原発性又は二次性腫瘍の出現の遅延、原発性又は二次性腫瘍の発生の抑制、原発性又は二次性腫瘍の発生の減少、疾患の二次的影響の重症度の抑制又は低下、腫瘍成長の停止、並びに腫瘍の退行、無進行期間(TTP)の増加、無進行生存(PFS)の増加、及び/又は全生存(OS)の増加のうちの1つ又は複数をもたらす。
【0327】
いくつかの実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、本明細書に記載の化合物である。一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、式(I)の化合物である。一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、表Aの化合物である。一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、化合物1(分子式C21H27N5O3を有する本明細書に示されるTORキナーゼ阻害剤)である。一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、化合物2(分子式C16H16N8Oを有する本明細書に示されるTORキナーゼ阻害剤)である。一実施態様において、該TORキナーゼ阻害剤は、化合物3(分子式C20H25N5O3を有する本明細書に示されるTORキナーゼ阻害剤)である。一実施態様において、化合物1は、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1r,4r)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ-[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、別名、7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((trans)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又は7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-1-((1R*,4R*)-4-メトキシシクロヘキシル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンである。別の実施態様において、化合物2は、1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、又はその互変異性体、例えば、1-エチル-7-(2-メチル-6-(4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンもしくは1-エチル-7-(2-メチル-6-(1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンである。別の実施態様において、化合物3は、1-((trans)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オン、別名、1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-7-(6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3,4-ジヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン-2(1H)-オンである。一実施態様において、化合物3は、化合物1の代謝物である。
【0328】
いくつかの実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、本明細書に記載の化合物である。別の実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物A」)である。別の実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
【0329】
5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与されるTORキナーゼ阻害剤はさらに、放射線療法又は手術と組み合わせることができる。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、放射線療法を受けているか、放射線療法を以前に受けたことがあるか、又は放射線療法を受ける予定である患者に、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、腫瘍摘出手術などの手術を受けたことがある患者に、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。
【0330】
さらに本明細書に提供されるのは、癌の治療を以前に受けたことがある患者、及び治療を以前に受けたことがない患者を治療する方法である。さらに本明細書に提供されるのは、癌を治療するために手術を受けたことがある患者、及び手術を受けたことがない患者を治療する方法である。癌患者は、不均一な臨床症状及び様々な臨床転帰を有するので、患者に施される治療は、その人の予後に応じて異なり得る。熟練した臨床医は、過度の実験をすることなく、個々の癌患者を治療するために効果的に使用することができる具体的な第二の薬剤、手術のタイプ、及び非薬物ベースの標準療法のタイプを容易に決定することができるであろう。
【0331】
一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、化合物A及び化合物AAと組み合わせて投与される。したがって、本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤、有効量の5-置換キナゾリノン化合物、及び有効量の化合物AAを、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。また本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤、有効量の化合物A、及び有効量の化合物AAを、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、化合物1は、化合物A及び化合物AAと組み合わせて投与される。特定の実施態様において、化合物1と化合物Aと化合物AAの組合せで治療される癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0332】
一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、化合物A及び抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))と組み合わせて投与される。したがって、本明細書に提供されるのは、癌を治療又は予防する方法であって、有効量のTORキナーゼ阻害剤、有効量の化合物A、及び有効量の抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))を、癌を有する患者に投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、化合物1は、化合物A及び抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))と組み合わせて投与される。特定の実施態様において、TORキナーゼ阻害剤と化合物Aと抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の組合せで治療される癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0333】
ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、患者に周期的に投与される。周期的療法は、一定期間の活性剤の投与、その後の一定期間の休止、及びこの連続的投与の反復を含む。周期的療法は、抵抗性の発生を低下させ、副作用を回避もしくは軽減し、及び/又は治療の有効性を向上させることができる。TORキナーゼ阻害剤、化合物A、及び抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の組合せ投与を、そのような周期で実行することもできる。
【0334】
いくつかの実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、1日に1回、すなわち、QDで投与され、化合物Aは、1日に1回、すなわち、QDで投与され、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))は、毎月投与される。その代わりに及び/又はそれに加えて、1回以上の28日サイクルで、TORキナーゼ阻害剤は、1日に1回投与されてもよく、化合物Aは、1日に1回投与されてもよく、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))は、1回投与されてもよい。
【0335】
一実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、毎日、単一又は分割用量で、約3日間、約5日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間(例えば、28日間)、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約10週間、約15週間、又は約20週間投与され、その後、約1日〜約10週間休止される。一実施態様において、本明細書に提供される方法は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、約10週間、約15週間、又は約20週間の周期的治療を企図している。いくつかの実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、単一又は分割用量で、約3日間、約5日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間(例えば、28日間)、約5週間、又は約6週間投与され、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、29、又は30日の休止期間が設けられる。いくつかの実施態様において、該休止期間は、1日である。いくつかの実施態様において、該休止期間は、3日である。いくつかの実施態様において、該休止期間は、7日である。いくつかの実施態様において、該休止期間は、14日である。いくつかの実施態様において、該休止期間は、28日である。投与サイクルの頻度、回数、及び長さは、増加又は減少させることができる。
【0336】
一実施態様において、本明細書に提供される方法は:i)対象に、第一の日用量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与すること;ii) 5-置換キナゾリノン化合物が該対象に投与されない場合、任意に、少なくとも1日間休止すること;iii)第二の用量のTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて該対象に投与すること;及びiv)工程ii)〜iii)を複数回繰り返すことを含む。
【0337】
一実施態様において、本明細書に提供される方法は、1日目に、対象に、ある用量の5-置換キナゾリノン化合物を投与し、その後、2日目及び後日、該対象に、TORキナーゼ阻害剤を、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与することを含む。
【0338】
ある実施態様において、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、約1週間〜約52週間連続的に投与される。ある実施態様において、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12カ月間連続的に投与される。ある実施態様において、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、約7、約14、約21、約28、約35、約42、約84、又は約112日間連続的に投与される。
【0339】
ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される場合、TORキナーゼ阻害剤は28日間連続的に投与され、一方、5-置換キナゾリノン化合物は21日間連続的に投与され、その後、7日間、5-置換キナゾリノン化合物は投与されない。一実施態様において、28日サイクルで、5-置換キナゾリノン化合物が1日目に単独で投与され、5-置換キナゾリノン化合物及びTORキナーゼ阻害剤が2〜21日目に組み合わせて投与され、TORキナーゼ阻害剤が22〜28日目に単独で投与される。いくつかのそのような実施態様において、サイクル2から、5-置換キナゾリノン化合物とTORキナーゼ阻害剤の両方が1日目に投与され、5-置換キナゾリノン化合物が21日目まで継続され、一方、TORキナーゼ阻害剤が28日目まで継続される。上記のような28日サイクルは、必要な限り、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月、又はそれより長い間継続することができる。
【0340】
ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて28日サイクルで投与される場合、5-置換キナゾリノン化合物は1〜7日目に単独で投与され、TORキナーゼ阻害剤は8〜28日目に単独で投与される。そのような28日サイクルは、必要な限り、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月、又はそれより長い間継続することができる。
【0341】
ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される場合、TORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約2.5mg〜約50mg(例えば、1日当たり約2.5mg、約10mg、約15mg、約16mg、約20mg、約30mg、又は約45mg)の量で投与され、5-置換キナゾリノン化合物は、1日当たり約0.005mg〜約1,000mg(例えば、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mg)の量で投与される。ある実施態様において、1日当たり約2.5mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約10mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約15mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約16mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約20mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約30mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約45mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、又は約150mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物は、各々独立に、1日に1回(QD)、1日に2回(BD)、又は1日に3回(TID)投与することができる。ある実施態様において、1日当たり約20mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約2mg又は約3mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。ある実施態様において、1日当たり約30mgのTORキナーゼ阻害剤は、1日当たり約2mg又は約3mgの5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される。特定の実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、化合物Aである。
【0342】
ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される場合、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比は、約1:1〜約1:10である。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される場合、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比は、約1:1未満、約1:3未満、又は約1:10未満である。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて投与される場合、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比は、約1:1、約1:3、又は約1:10である。
【0343】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせた、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の投与をさらに含み、ここで、投与される抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の量は、28日に1回、約250mg/m2〜約500mg/m2であり、投与されるTORキナーゼ阻害剤の量は、毎日約10mg〜約40mgであり、投与される5-置換キナゾリノン化合物の量は、毎日約0.5mg〜約5mgである。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせた、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の投与をさらに含み、ここで、投与される抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))の量は、28日に1回、約375mg/m2又は約500mg/m2であり、投与されるTORキナーゼ阻害剤の量は、毎日約20mg又は約30mgであり、投与される5-置換キナゾリノン化合物の量は、毎日約2mg又は約3mgである。特定の実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、化合物Aである。
【0344】
いくつかの実施態様において、提供される方法は、それを必要としている患者に、リツキシマブを含む医薬組成物を投与することを含み、ここで、リツキシマブは、注入液として50mg/時の速度で投与される。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、30分毎に50mg/時で、最大400mg/時まで増加させられる。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、30分毎に100mg/時で、最大400mg/時まで増加させられる。したがって、いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、100mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、150mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、200mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、250mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、300mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、350mg/時である。いくつかの実施態様において、リツキシマブの注入速度は、400mg/時である。
【0345】
いくつかの実施態様において、375mg/m2のリツキシマブがサイクル1の2日目に投与され、500mg/m2のリツキシマブがサイクル2の1日目に投与される。いくつかの実施態様において、375mg/m2のリツキシマブがサイクル1の2日目に投与され、500mg/m2のリツキシマブが、サイクル2の1日目及びサイクル3の1日目の各々に投与される。いくつかの実施態様において、375mg/m2のリツキシマブがサイクル1の2日目に投与され、500mg/m2のリツキシマブが、サイクル2の1日目、サイクル3の1日目、及びサイクル4の1日目の各々に投与される。いくつかの実施態様において、375mg/m2のリツキシマブがサイクル1の2日目に投与され、500mg/m2のリツキシマブが、サイクル2の1日目、サイクル3の1日目、サイクル4の1日目、及びサイクル5の1日目の各々に投与される。いくつかの実施態様において、375mg/m2のリツキシマブがサイクル1の2日目に投与され、500mg/m2のリツキシマブが、サイクル2の1日目、サイクル3の1日目、サイクル4の1日目、サイクル5の1日目、及びサイクル6の1日目の各々に投与される。
【0346】
以下の実施態様は、TORキナーゼ阻害剤(及び任意に、デキサメタゾン、プレドニゾン、又は抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)もしくはMabThera(登録商標)))と組み合わせて投与される場合の、投与される化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)の量に関する。ある実施態様において、化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)がTORキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される場合、1日当たり約0.5mg〜約5mg(例えば、1日当たり約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、又は約3.5mg)の化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)が投与される。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)と組み合わせて28日サイクルで投与される場合、約3mgの化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)がTORキナーゼ阻害剤と組み合わせて1〜28日目にQDで投与される。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)と組み合わせて28日サイクルで投与される場合、約3mgの化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)が該TORキナーゼ阻害剤と組み合わせて1〜21日目にQDで投与される。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)及びデキサメタゾンと組み合わせて28日サイクルで投与される場合、1日当たり約0.5mg〜約5mg(例えば、1日当たり約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、又は約3.5mg)の化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)がTORキナーゼ阻害剤と組み合わせて1〜28日目又は1〜21日目に投与され、1日当たり約40mgのデキサメタゾンが、1〜4日目、9〜12日目、及び17〜20日目に併用される(又は4回目の28日サイクルの後、1日当たり約40mgのデキサメタゾンが1〜4日目に投与される)。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤がポマリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせて28日サイクルで投与される場合、1日当たり約0.5mg〜約5mg(例えば、1日当たり約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、又は約3.5mg)の化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)がTORキナーゼ阻害剤と組み合わせて1〜28日目又は1〜21日目に投与され、週に1回、1日当たり約40mgのデキサメタゾン(又は70歳を超える患者については1週間当たり20mgのデキサメタゾン)が併用される。ある実施態様において、TORキナーゼ阻害剤が化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)と組み合わせて投与される場合、3日毎、2日毎、又は24時間毎に約0.5mg〜約5mgの化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)が投与される。TORキナーゼ阻害剤が化合物A又はその医薬として許容し得る塩(例えば、HCl塩)と組み合わせて28日サイクルで投与される場合、TORキナーゼ阻害剤は、28日サイクルの1日以上投与することができる。具体的な実施態様において、TORキナーゼ阻害剤は、28日サイクルの毎日投与される。特定の実施態様において、該5-置換キナゾリノン化合物は、化合物Aである。理論によって制限されるものではないが、患者に投与される活性剤の量は、化合物Aの遊離塩基が投与されるのか、それとも化合物AのHCl塩が投与されるのかによって調整することができる(ここで、化合物Aの遊離塩基の分子量は286.25g/molであり、化合物AのHCl塩の分子量は322.75g/molである)。投与強度は、遊離塩基の存在量に基づいて報告されることが多いので、化合物AのHCl塩の存在量が、遊離塩基及びHCl塩の相対的な分子量に基づいて、実際には、より多い場合がある。
【0347】
以下の実施態様は、TORキナーゼ阻害剤及び化合物A(及び任意に、デキサメタゾン、プレドニゾン、又は抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)もしくはMabThera(登録商標)))と組み合わせて投与される場合の、投与される化合物AA又はその医薬として許容し得る塩(例えば、遊離塩基もしくはベシル酸塩)の量に関する。ある実施態様において、化合物AA又はその医薬として許容し得る塩がTORキナーゼ阻害剤及び化合物Aと組み合わせて投与される場合、化合物AAは、1日当たり約25mg〜約1250mg(例えば、1日当たり約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約375mg、約500mg、約750mg、約1000mg、又は約1250mg)の量で投与される。TORキナーゼ阻害剤、化合物A、及び化合物AAは、各々独立に、1日に1回(QD)、1日に2回(BD)、又は1日に3回(TID)投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、それを必要としている患者に、治療有効量のTORキナーゼ阻害剤を、化合物A及び化合物AAと組み合わせて投与することを含み、ここで、化合物AAの治療有効量は、1日当たり約250mg〜約1250mgである。いくつかの実施態様において、化合物AAの治療有効量は、1以上の控えめな用量として投与される。例えば、いくつかの実施態様において、化合物AAの治療有効量は、1日当たり250mgであり、ここで、該治療有効量は、125mgとして、1日に2回(BID)投与される。いくつかの実施態様において、化合物AAの治療有効量は、1日当たり500mgであり、ここで、該治療有効量は、250mgとして、1日に2回(BID)投与される。いくつかの実施態様において、化合物AAの治療有効量は、1日当たり750mgであり、ここで、該治療有効量は、375mgとして、1日に2回(BID)投与される。いくつかの実施態様において、化合物AAの治療有効量は、1日当たり1000mgであり、ここで、該治療有効量は、500mgとして、1日に2回(BID)投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、それを必要としている患者に、化合物AA及び化合物Aと組み合わせた治療有効量のTORキナーゼ阻害剤を投与することを含み、ここで、化合物AAの治療有効量は、1日当たり約125mg〜約1250mg、又は1日当たり約125mg〜約1125mg、又は1日当たり約125mg〜約1000mg、又は1日当たり約125mg〜約875mg、又は1日当たり約125mg〜約750mg、又は1日当たり約125mg〜約625mg、又は1日当たり約125mg〜約500mg、又は1日当たり約125mg〜約375mg、又は1日当たり約125mg〜約250mg、又は1日当たり約250mg〜約1250mg、又は1日当たり約250mg〜約1125mg、又は1日当たり約250mg〜約1000mg、又は1日当たり約250mg〜約875mg、又は1日当たり約250mg〜約750mg、又は1日当たり約250mg〜約625mg、又は1日当たり約250mg〜約500mg、又は1日当たり約250mg〜約375mg、又は1日当たり約375mg〜約1250mg、又は1日当たり約375mg〜約1125mg、又は1日当たり約375mg〜約1000mg、又は1日当たり約375mg〜約875mg、又は1日当たり約375mg〜約750mg、又は1日当たり約375mg〜約625mg、又は1日当たり約375mg〜約500mg、又は1日当たり約500mg〜約1250mg、又は1日当たり約500mg〜約1125mg、又は1日当たり約500mg〜約1000mg、又は1日当たり約500mg〜約875mg、又は1日当たり約500mg〜約750mg、又は1日当たり約500mg〜約625mg、又は1日当たり約625mg〜約1250mg、又は1日当たり約625mg〜約1125mg、又は1日当たり約625mg〜約1000mg、又は1日当たり約625mg〜約875mg、又は1日当たり約625mg〜約750mg、又は1日当たり約750mg〜約1250mg、又は1日当たり約750mg〜約1125mg、又は1日当たり約750mg〜約1000mg、又は1日当たり約875mg〜約1250mg、又は1日当たり約875mg〜約1125mg、又は1日当たり約875mg〜約1000mgである。
【0348】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法の各々は、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせた、有効量のデキサメタゾンの投与をさらに含む。いくつかのそのような実施態様において、デキサメタゾンは、約10mg〜約50mg、例えば、約40mgの用量で投与される。
【0349】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法の各々は、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせた、有効量のプレドニゾン(predinisone)の投与をさらに含む。いくつかのそのような実施態様において、プレドニゾンは、約10mg〜約50mg、例えば、約30mgの用量で投与される。
【0350】
(5.8 医薬組成物及び投与経路)
本明細書に提供されるのは、有効量のTORキナーゼ阻害剤及び有効量の5-置換キナゾリノン化合物を含む組成物、並びに有効量のTORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物及び医薬として許容し得る担体又はビヒクルを含む組成物である。
【0351】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、粘膜投与、経皮投与、又は局所投与に好適である。
【0352】
該組成物は、患者に、経口又は非経口的に、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤、及びシロップ剤などの従来の製剤形態で投与することができる。好適な製剤は、従来の有機又は無機添加物、例えば、賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、又は炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、又はデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、又はラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、又はオレンジパウダー)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、又はプロピルパラベン)、安定化剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又は酢酸)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン(polyvinyl pyrroliclone)、又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及びベースワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリン、又はポリエチレングリコール)を用いて、一般に利用される方法によって製造することができる。医薬組成物中のTORキナーゼ阻害剤の有効量は、所望の効果を発揮するであろうレベル;例えば、経口投与と非経口投与の両方についての単位投薬量で患者の体重1kg当たり約0.005mgから患者の体重1kg当たり約10mgであることができる。
【0353】
患者に投与されるべきTORキナーゼ阻害剤の用量及び5-置換キナゾリノン化合物の用量は、いくぶん広範に変動し、医療関係者の判断に従い得る。一般に、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物は、1日に1〜4回、患者の体重1kg当たり約0.005mgから患者の体重1kg当たり約10mgの用量で患者に投与することができるが、上記の投薬量は、患者の年齢、体重、及び身体疾患、並びに投与のタイプに応じて適切に変化させることができる。一実施態様において、用量は、患者の体重1kg当たり約0.01mgから患者の体重1kg当たり約5mg、患者の体重1kg当たり約0.05mgから患者の体重1kg当たり約1mg、患者の体重1kg当たり約0.1mgから患者の体重1kg当たり約0.75mg、又は患者の体重1kg当たり約0.25mgから患者の体重1kg当たり約0.5mgである。一実施態様において、1日当たり1用量が投与される。いずれの所与の場合においても、投与されるTORキナーゼ阻害剤の量は、活性成分の溶解度、使用される製剤、及び投与経路のような因子によって決まる。
【0354】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、約1mg〜約2000mg、約1mg〜約200mg、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、約500mg〜約1000mg、約1mg〜約30mg、約1mg〜約25mg、又は約2.5mg〜約20mgのTORキナーゼ阻害剤を、単独で又は5-置換キナゾリノン化合物との組合せで含む単位投薬製剤である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、1mg、2.5mg、5mg、8mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、45mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg、又は1400mgのTORキナーゼ阻害剤を、単独で又は5-置換キナゾリノン化合物との組合せで含む単位投薬製剤である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、約2.5mg、約8mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、又は約45mgのTORキナーゼ阻害剤を、単独で又は5-置換キナゾリノン化合物との組合せで含む単位投薬製剤である。
【0355】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、約10mg、約15mg、約30mg、約45mg、約50mg、約75mg、約100mg、又は約400mgのTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物との組合せで含む単位投薬製剤である。特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、約5mg、約7.5mg、又は約10mgのTORキナーゼ阻害剤を5-置換キナゾリノン化合物との組合せで含む単位投薬製剤である。
【0356】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、0.1mg、約1mg、約2mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約12.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、又は約200mgの5-置換キナゾリノン化合物をTORキナーゼ阻害剤との組合せで含む単位投薬製剤である。
【0357】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、又は約250mgの化合物AAを、単独で又はTORキナーゼ阻害剤及び化合物Aとの組合せで含む単位投薬製剤である。
【0358】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比が、約1:1〜約1:10である単位投薬製剤である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比が、約1:1未満、約1:3未満、又は約1:10未満である単位投薬製剤である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、TORキナーゼ阻害剤:5-置換キナゾリノン化合物比が、約1:1、約1:3、又は約1:10である単位投薬製剤である。
【0359】
TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、1日に1回、2回、3回、4回、又はそれより多くの回数投与することができる。
【0360】
TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、便宜のために経口投与することができる。一実施態様において、経口投与される場合、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、食事及び水とともに投与される。別の実施態様において、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、水又はジュース(例えば、リンゴジュースもしくはオレンジジュース)に分散させられ、懸濁剤として経口投与される。別の実施態様において、経口投与される場合、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤は、絶食状態で投与される。
【0361】
TORキナーゼ阻害剤は、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせて、静脈内投与(例えば、静脈内注入)、又は皮下投与(例えば、皮下注射)することもできる。投与様式は、医療関係者の裁量に任され、一部、身体疾患の部位によって決まり得る。
【0362】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤を含み、追加の担体、賦形剤、又はビヒクルを含まないカプセル剤である。
【0363】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、有効量のTORキナーゼ阻害剤、有効量の5-置換キナゾリノン化合物、及び医薬として許容し得る担体又はビヒクルを含む組成物であり、ここで、医薬として許容し得る担体又はビヒクルは、賦形剤、希釈剤、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施態様において、該組成物は、医薬組成物である。
【0364】
該組成物は、錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、液剤、非経口液剤、トローチ剤、坐剤、及び懸濁剤などの形態とすることができる。組成物は、投薬単位中に、日用量又は日用量の好都合な分画を含むように製剤化することができ、該投薬単位は、単一の錠剤もしくはカプセル剤、又は好都合な容量の液体であることができる。一実施態様において、液剤は、塩酸塩などの水溶性塩から製造される。一般に、該組成物は全て、医薬品化学の公知の方法に従って製造される。カプセル剤は、TORキナーゼ阻害剤及び/又は5-置換キナゾリノン化合物を好適な担体又は希釈剤と混合すること、及び適量の混合物をカプセルに充填することにより製造することができる。通常の担体及び希釈剤としては、不活性粉末状物質、例えば、多くの異なる種類のデンプン、粉末状セルロース、特に、結晶性及び微結晶性セルロース、糖類、例えば、フルクトース、マンニトール、及びスクロース、穀粉、並びに同様の食用粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0365】
錠剤は、直接圧縮によるか、湿式造粒によるか、又は乾式造粒によって製造することができる。それらの製剤は、通常、希釈剤、結合剤、滑沢剤、及び崩壊剤、並びに該化合物を包含する。典型的な希釈剤としては、例えば、様々な種類のデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩、及び粉砂糖が挙げられる。粉末状セルロース誘導体も有用である。一実施態様において、該医薬組成物は、ラクトースを含まない。典型的な錠剤結合剤は、デンプン、ゼラチン、及びラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖類などの物質である。天然及び合成ゴムも好都合であり、これには、アラビアゴム、アルギネート、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどが含まれる。ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及びワックスも結合剤としての役割を果たすことができる。化合物1を含む例示的な錠剤製剤が本明細書に提供される。
【0366】
滑沢剤は、錠剤及びパンチが型に付着するのを防止するために、錠剤製剤に必要となり得る。滑沢剤は、タルクのような滑りやすい固形物、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、並びに硬化植物油から選択することができる。錠剤崩壊剤は、湿潤したときに膨潤して錠剤を崩壊させ、化合物を放出する物質である。これらには、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、及びガムが含まれる。より具体的には、例えば、トウモロコシ及びジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末状天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、及びカルボキシメチルセルロースを、ラウリル硫酸ナトリウムと同様に使用することができる。錠剤を、香料及びシーラントとしての糖で、又は錠剤の溶解特性を修飾するための膜形成保護剤でコーティングすることができる。該組成物は、例えば、マンニトールなどの物質を製剤中で使用することにより、咀嚼錠として製剤化することもできる。
【0367】
5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤を坐剤として投与することが望ましい場合、典型的な基剤を使用することができる。カカオバターは、従来的な坐剤基剤であり、ワックスの追加によって、その融点をわずかに上昇させるように修飾することができる。特に様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性の坐剤基剤が広く使用されている。
【0368】
5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤の効果は、適切な製剤化によって遅延又は持続させることができる。例えば、5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤の徐溶性ペレットを製造し、錠剤もしくはカプセル剤中に、又は徐放性埋め込み型デバイスとして組み込むことができる。この技術は、いくつかの異なる溶解速度のペレットを作製すること、及びカプセルに該ペレットの混合物を充填することを含む。錠剤又はカプセル剤は、予測可能な期間溶解に耐える膜でコーティングすることができる。5-置換キナゾリノン化合物と組み合わせたTORキナーゼ阻害剤を、該TORキナーゼ阻害剤を血清中に徐々に分散させる油性又は乳化ビヒクルに溶解又は懸濁させることにより、非経口製剤でさえも長時間作用性にすることができる。
【0369】
いくつかの実施態様において、化合物AAを含む医薬として許容し得る組成物は、該組成物の全重量に基づいて、約5%〜約60%の化合物AA又はその医薬として許容し得る塩を含む。いくつかの実施態様において、化合物AAを含む医薬として許容し得る組成物は、該組成物の全重量に基づいて、約5%〜約15%又は約7%〜約15%又は約7%〜約10%又は約9%〜約12%の化合物AAを含む。いくつかの実施態様において、提供される方法は、それを必要としている患者に、該製剤の全重量に基づいて、約25%〜約75%又は約30%〜約60%又は約40%〜約50%又は約40%〜約45%の化合物AAを含む医薬として許容し得る組成物を投与することを含む。ある実施態様において、提供されるレジメンは、それを必要としている患者に、所与の組成物又は製剤の全重量に基づいて、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約20%、約30%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約50%、約60%、約70%、又は約75%の化合物AAを含む医薬として許容し得る組成物を投与することを含む。
【0370】
ある実施態様において、化合物1は、その全体が本明細書中に組み込まれる、2013年6月6日に公開された米国特許出願公開2013-0142873号(特に、段落[0323]〜段落[0424]及び段落[0636]〜段落[0655]を参照)に示された製剤に入れて投与される。他の実施態様において、化合物1は、その全体が本明細書中に組み込まれる、2013年5月29日に出願された米国仮特許出願第61/828,506号(特に、段落[0246]〜段落[0403]及び段落[0571]〜段落[0586]を参照)に示された製剤に入れて投与される。
【0371】
ある実施態様において、化合物2は、その全体が本明細書中に組み込まれる、2013年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/813,064号(特に、段落[0168]〜段落[0189]及び段落[0262]〜段落[0294]を参照)に示された製剤に入れて投与される。他の実施態様において、化合物2は、その全体が本明細書中に組み込まれる、2013年12月3日に出願された米国仮特許出願第61/911,201号(特に、段落[0170]〜段落[0190]及び段落[0264]〜段落[0296]を参照)に示された製剤に入れて投与される。
【0372】
(5.9 キット)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物を含むキットである。
【0373】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、TORキナーゼ阻害剤の1以上の単位剤形、例えば、本明細書に記載されているもの、及び5-置換キナゾリノン化合物の1以上の単位剤形、例えば、本明細書に記載されているものを含むキットである。
【0374】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキットは、化合物AAをさらに含む。
【0375】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のキットは、抗CD-20抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)又はMabThera(登録商標))をさらに含む。他の実施態様において、該キットは、デキサメタゾン又はプレドニゾンをさらに含む。
【0376】
ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、例えば、TORキナーゼ阻害剤及び5-置換キナゾリノン化合物を投与するための使用説明書をさらに含む。
【実施例】
【0377】
(6.実施例)
(6.1 生化学アッセイ)
(mTOR HTR-FRETアッセイ)
以下は、試験化合物のTORキナーゼ阻害活性を決定するために使用することができるアッセイの一例である。TORキナーゼ阻害剤を、DMSOに溶解させ、10mMストックとして調製し、実験に合わせて適宜希釈した。試薬は、次のように調製した:
【0378】
「単純TORバッファー」(高グリセロールTOR画分を希釈するために使用): 10mM Tris pH 7.4、100mM NaCl、0.1%Tween-20、1mM DTT。Invitrogen mTOR(cat#PV4753)をこのバッファーに希釈して、0.200μg/mLのアッセイ濃度にした。
【0379】
ATP/基質溶液: 0.075mM ATP、12.5mM MnCl2、50mM Hepes、pH 7.4、50mM β-GOP、250nM Microcystin LR、0.25mM EDTA、5mM DTT、及び3.5μg/mL GST-p70S6。
【0380】
検出試薬溶液: 50mM HEPES、pH 7.4、0.01% Triton X-100、0.01% BSA、0.1mM EDTA、12.7μg/mL Cy5-αGST Amersham(Cat#PA92002V)、9ng/mL α-ホスホp70S6(Thr389)(Cell Signalingマウスモノクローナル#9206L)、627ng/mL α-マウスLance Eu(Perkin Elmer Cat#AD0077)。
【0381】
20μLの単純TORバッファーに、DMSO中の0.5μLの試験化合物を添加する。反応を開始させるために、5μLのATP/基質溶液を、20μLの単純TORバッファー溶液(対照)及び上で調製された化合物溶液に添加した。アッセイを、60分後に、5μLの60mM EDTA溶液を添加することにより停止させ;その後、10μLの検出試薬溶液を添加し、混合物を少なくとも2時間静置した後、LANCE Eu TR-FRETを検出するように設定された(320nmでの励起及び495/520nmでの放出)、Perkin-Elmer Envisionマイクロプレートリーダーで読み取った。
【0382】
TORキナーゼ阻害剤をTOR HTR-FRETアッセイで試験すると、その中に活性を有することが分かり、ある化合物は、このアッセイで10μM未満のIC50を有し、ある化合物は、0.005nM〜250nMのIC50を有し、あるものは、250nM及び500nMのIC50を有し、あるものは、500nM〜1μMのIC50を有し、また、あるものは、1μM〜10μMのIC50を有していた。
【0383】
(DNA-PKアッセイ)
DNA-PKアッセイは、Promega DNA-PKアッセイキット(カタログ# V7870)に供給されている手順を用いて実施される。DNA-PK酵素は、Promega(Promega cat#V5811)から購入することができる。
【0384】
本明細書に記載の選択されたTORキナーゼ阻害剤は、このアッセイで10μM未満のIC50を有するか、又は該IC50を有することが予想され、本明細書に記載の、あるTORキナーゼ阻害剤は、1μM未満のIC50を有し、また、あるものは、0.10μM未満のIC50を有する。
【0385】
(6.2 細胞ベースのアッセイ)
(ヒト肝細胞癌足場非依存性成長アッセイにおける化合物1の化合物Aとの組合せ効果)
【0386】
(概要)
足場非依存性成長(AIG)に対する化合物1の効果を、2つのヒト肝細胞癌細胞株HepG2及びSK-Hep-1におけるコロニー形成アッセイによって評価した。化合物1は、0.1〜100μMの濃度で、両方の細胞株における用量依存的かつ有意な抗コロニー形成活性を示した。化合物1は、両方の細胞株におけるコロニー形成を化合物Aとともに相乗的に阻害した。
【0387】
(研究目的)
本研究の目的は、2つのヒト肝細胞癌細胞株における腫瘍細胞足場非依存性成長に対する化合物1及び化合物1と化合物Aとの組合せの直接的な効果を評価することであった。この評価は、コロニー形成アッセイで行われた。
【0388】
(材料及び方法)
(研究材料)
細胞株/細胞。ヒト細胞株HepG2及びSK-Hep-1細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC; Manassas, VA)から入手した。細胞を、10%Premium FBS(Lonza, Walkersville, MD)を含むDMEM(ダルベッコの改変イーグル培地)(Mediatech; Mannasas, VA)中で培養した。
【0389】
(実験手順)
(1)単剤コロニー形成アッセイ。ノーベル寒天(1.2グラム; BD; Franklin Lakes, NJ)を100-mL滅菌ボトル中に入れた。滅菌水(100mL)を添加し、寒天が沸騰するまでマイクロ波照射した。等量の寒天及び2×RPMI培地(ECE Scientific; Doylestown, PA)を混合し、300μLを24ウェル平底プレート(BD; Franklin Lakes, NJ)の各々のウェルに移した。寒天が固化するまで、プレートを4℃で保持した。HepG2細胞及びSK-Hep-1細胞の培養物を回収し、培養培地に3.6×103細胞/mLで再懸濁させた。等量の寒天、2×RPMI、及び細胞懸濁物(1:1:1)を滅菌チューブ中で混合し、500μL/ウェルをすぐに24ウェルプレートに移した。寒天が固化するまで、プレートを4℃で保持した。化合物又はDMSOを含む培養培地(500μL)を各々のウェルに添加した(各々の処理についての最終DMSO濃度を0.2%とした)。化合物1を、0.1、0.3、1、3、10、及び30μMの最終濃度で試験した。細胞の処理は、3連で設定した。細胞を、37℃、5%CO2雰囲気で、8〜10日間インキュベートした。各々のウェルの写真(倍率2倍)を、Nikon DXM1200デジタルカメラ及びNikon ACT1ソフトウェアを用いて撮影し、TIFFファイルとして保存した。ImageQuant TL(GE Healthcare; Piscataway, NJ)コロニーカウントソフトウェアを用いて、コロニーを計数した。(2)組合せ研究コロニー形成アッセイ。ノーベル寒天(1.2グラム; BD; Franklin Lakes, NJ)を100-mL滅菌ボトル中に入れた。滅菌水(100mL)を添加し、寒天が沸騰するまでマイクロ波照射した。等量の寒天及び2×RPMI培地(ECE Scientific; Doylestown, PA)を混合し、300μLを24ウェル平底プレート(BD; Franklin Lakes, NJ)の各々のウェルに移した。寒天が固化するまで、プレートを4℃で保持した。HepG2細胞及びSK-Hep-1細胞の培養物を回収し、培養培地に3.6×103細胞/mLで再懸濁させた。等量の寒天、2×RPMI、及び細胞懸濁物(1:1:1)を滅菌チューブ中で混合し、500μL/ウェルをすぐに24ウェルプレートに移した。寒天が固化するまで、プレートを4℃で保持した。化合物又はDMSOを含む培養培地(500μL)を各々のウェルに添加した(各々の処理についての最終DMSO濃度を0.2%とした)。細胞を、次の通りに、単一の処理で処理した:化合物1を、0.1及び0.3μMの最終濃度で試験した。細胞の処理は、3連で設定した。細胞を、37℃、5%CO2雰囲気で、8〜10日間インキュベートした。各々のウェルの写真(倍率2倍)を、Nikon DXM1200デジタルカメラ及びNikon ACT1ソフトウェアを用いて撮影し、TIFFファイルとして保存した。ImageQuant TL(GE Healthcare; Piscataway, NJ)コロニーカウントソフトウェアを用いて、コロニーを計数した。
【0390】
(データ解析)
コロニー形成の阻害率を、DMSO対照(100%対照)に対して標準化することにより計算した。DMSO対照に対する有意性を、一元配置ANOVA及びダネットの事後検定又は対応のないt検定を用いて、GraphPad Prism v5.01を用いて計算した。組合せ効果を評価するために、組合せ応答を該2剤の理論上の相加応答と比較することにより、3回の独立した実験のデータを解析した。2剤の予想される相加効果(A及びB)を、部分積法(Webb):(fu)A,B=(fu)A×(fu)B(式中、fu=処理によって影響されない部分)を用いて計算した。組合せの相乗効果は、組合せで影響を受けない観察された部分が(fu)A,Bよりも有意に小さい場合に決定されるが、相加効果は、組合せで影響を受けない観察された部分が(fu)A,Bと等しい場合に決定される。部分的相加効果は、影響を受けない観察された部分が(fu)A,Bよりも有意に大きい場合に生じる。
【0391】
(結果)
HepG2細胞での単剤処理によるコロニー形成アッセイの結果を図1に示す。0.1、0.3、1、3、10、及び30μMの化合物1で処理されたHepG2細胞は、それぞれ、対照の74、57、33、24、16、及び11%でのコロニー形成の有意な阻害を示した(p値<0.001)。
【0392】
SK-Hep-1細胞での単剤処理によるコロニー形成アッセイの結果を図2に示す。0.3〜30μMの化合物1で処理した後、コロニー形成の有意な阻害(対照の0〜45%)がSK-Hep-1細胞で観察された(p値<0.001)。3μM以上の化合物1による処理は、コロニー形成の100%阻害をもたらした。
【0393】
HepG2細胞での化合物1組合せコロニー形成アッセイの結果を図3及び表1に示す。図3は、HepG2細胞において、0.3μMの化合物1と50μMの化合物Aとの組合せでのみコロニー形成の有意な変化があったことを示している。化合物1と化合物Aとの他の全ての組合せは相加的であった。
【0394】
SK-Hep-1細胞での化合物1組合せコロニー形成アッセイの結果を図4及び表2に示す。図4は、0.1μMの化合物1+10μMの化合物Aが相加効果を有していた一方、化合物1と化合物Aとの他の全ての組合せが相乗的に作用して、SK-Hep-1細胞におけるコロニー形成を有意に阻害した(p値<0.05)ことを示している。
【0395】
(結論)
足場非依存性成長に対する化合物Aと組み合わせた化合物1の効果を、HepG2及びSK-Hep-1細胞におけるコロニー形成アッセイによって評価した。化合物1は、0.1〜100μMの濃度で、両方の細胞株における用量依存的かつ有意な抗コロニー形成を示した。
【0396】
HepG2細胞において、化合物Aと組み合わせた化合物1は、相加的〜相乗的な効果を有していた。
【0397】
SK-Hep-1細胞において、化合物Aと組み合わせた化合物1は、相乗効果を有していた。
表1.化合物1のHepG2コロニー形成アッセイの結果
【表6】
【0398】
HepG2細胞を寒天中にプレーティングし、化合物とともに8日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データを、DMSOのみで処理した細胞=0%阻害と比べた阻害率として計算した。結果は、n=3回の3連の実験の平均を表す。部分積法を用いて、化合物組合せの組合せ効果を計算した。対応のないt検定により、理論上の相加性と比べて、***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05。ns=有意ではない。
【0399】
表2.化合物1のSK-Hep-1コロニー形成アッセイの結果
【表7】
【0400】
SK-Hep-1細胞を寒天中にプレーティングし、化合物とともに8日間インキュベートした後、コロニーをカウントした。データを、DMSOのみで処理した細胞=0%阻害と比べた阻害率として計算した。結果は、n=3回の3連の実験の平均を表す。部分積法を用いて、化合物組合せの組合せ効果を計算した。対応のないt検定により、理論上の相加性と比べて、***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05。ns=有意ではない。
【0401】
(hPMBCにおけるTNFα阻害アッセイ)
正常ドナー由来のヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を、Ficoll Hypaque(Pharmacia, Piscataway, N.J., USA)密度遠心分離によって得る。細胞を、10%AB+ヒト血清(Gemini Bio-products, Woodland, Calif., USA)、2mM L-グルタミン、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシン(Life Technologies)が補充されたRPMI 1640(Life Technologies, Grand Island, N.Y., USA)中で培養する。
【0402】
PBMC(2.105個の細胞)を、96ウェル平底Costar組織培養プレート(Corning, N.Y., USA)に、3連でプレーティングする。細胞を、化合物の非存在下又は存在下、1ng/mLの最終濃度のLPS(サルモネラ・アボルトゥス・エクイ(Salmonella abortus equi)由来のもの、Sigmaカタログ番号L-1887, St. Louis, MO., USA)で刺激する。本明細書に提供される化合物をDMSO(Sigma)に溶解させ、使用直前に培養培地にさらに希釈する。全てのアッセイにおける最終DMSO濃度を約0.25%とすることができる。LPS刺激の1時間前に、化合物を細胞に添加する。その後、細胞を、37℃、5%CO2で18〜20時間インキュベートし、その後、上清を回収し、培養培地で希釈し、TNFαレベルについて、ELISA(Endogen, Boston, Mass., USA)によりアッセイする。最高値を100%に制限し、最低値を0%に制限し、可変勾配を許容する、非線形回帰シグモイド用量応答(GraphPad Prism v3.02)を用いて、IC50を計算する。
【0403】
(DLBCL細胞増殖アッセイにおける化合物1と化合物Aとの組合せ効果)
DLBCL細胞増殖を3H-チミジン取込みアッセイによって評価した。簡潔に述べると、細胞を、化合物1、化合物A、又はその両方の存在下又は非存在下、96ウェル細胞培養プレート中で培養した。各々のウェルは、6000細胞/80μL細胞培養培地(ロズウェルパーク記念研究所(RPMI)-1640+10〜20%胎仔ウシ血清(FBS)、1%pen/strep/1%L-グルタミン)を含んでいた。化合物希釈液を10×所要最終濃度で作製し、10μLの各々の化合物を細胞に3連で添加した。細胞を、全ての試料について、最終濃度0.2%のジメチルスルホキシド(DMSO)中の薬物で処理した。細胞を、試験化合物の存在下、加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で、72時間成長させた。1マイクロキュリーの3H-チミジン(GE Healthcare, Fairfield, CT)を、各々のウェルに、培養の最後の6時間添加した。細胞を、細胞回収器具(Tomtec, Hamden, CT)を用いて、UniFilter-96 GF/Cフィルタープレート(PerkinElmer, Waltham, MA)に回収し、該プレートを一晩乾燥させておいた。合計25μL/ウェルのMicroscint(商標)-20(PerkinElmer)を添加し、プレートをTopCount NXT (PerkinElmer)で解析した。各々のウェルを1分間カウントした。3連全てを平均化し、DMSO対照(0%阻害)に対して標準化することにより、細胞増殖の阻害率を計算した。最高値を100%に制限し、最低値を0%に制限し、可変勾配を許容する、非線形回帰シグモイド用量応答を用いて、GraphPad Prismバージョン5.01を用いて、最終的な累積半最大阻害濃度(IC50)を計算した。SEM(平均の標準誤差)を各々の複製物の個々のIC50から計算した。
【0404】
(細胞株)
単独の又は化合物Aと組み合わせた化合物1の細胞増殖に対する効果を、GCB DLBCL細胞株(SUDHL6、SUDHL10、HT、Farage、Pfeifer)、ABC DLBCL細胞株(OCI-Ly10、U2932、OCI-Ly3)、DHIT(ダブルヒット、すなわち、cMyc及びBcl-2突然変異体)GCB DLBCL細胞株(Karpas 422、WSU-DLBCL2)、化合物A抵抗性細胞株(WSU-DLBCL2-化合物A res)、並びにレナリドミド抵抗性細胞株(WSU-DLBCL2-Len res)で評価した。
【0405】
(データ解析)
理論上の相加性を、部分積法を用いて計算し、別々の曲線としてプロットした。観察された組合せ効果が2以上の濃度で理論上の相加性よりも大きく、かつ理論上の相加性曲線と組合せ曲線との間のエラーバーが重なり合わない場合、相乗効果を割り当てた。データは全て、n=3で作成した。
【0406】
(結果:)
相乗効果は、化合物1と化合物Aの組合せで処理したときに、以下のDLBCL細胞株: HT及びFarage(GCB DLBCL)、Karpas 422及びWSU-DLBCL2(DHIT GCB DLBCL)、並びにWSU-DLBCL2-Len res(レナリドミド抵抗性DLBCL)で観察された。
【0407】
(6.3 インビボアッセイ)
(DLBCL異種移植モデル)
重症複合免疫不全(SCID)マウスの側腹にヒトDLBCL細胞株(WSU-DLCL2)を移植した。化合物の処置は、細胞接種後、11日目〜14日目に開始された。無作為に割り付けたマウスの群(n=9〜10匹/群)を単剤(化合物1、化合物A、もしくは化合物AA)又は化合物1/化合物A、化合物A/化合物AA、もしくは化合物1/化合物AAの組合せで処置した。化合物を、1日に1回(化合物1及び化合物A)又は1日に2回(C)のスケジュールで、21日間経口投与した。陽性対照は、CHOP療法(シクロホスファミドとドキソルビシンとビンクリスチンとプレドニゾンの組合せ)からなっていた。化合物1及び化合物AをCMC-Tween(カルボキシメチルセルロース/Tween 80/脱イオン水)に入れて製剤化した。化合物AAをDSP(ジメチルスルホキシド/ソルトール/リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁させた。
【0408】
初期の研究は、化合物1の抗腫瘍活性を決定するために及び組合せ研究用の用量レベルを特定するために実施された。WSU-DLCL2異種移植モデルにおいて、化合物1は、腫瘍成長を用量依存的な様式で阻害した。ビヒクル対照と比較したとき、3週間の投与期間の最後までに、51%、28%、及び22%の腫瘍体積減少(TVR)が、それぞれ、10、3、及び1mg/kgの化合物1で処置した動物で観察された(図5)。その後の組合せ研究において、化合物1を10mg/kgで1日に1回(QD)投与した。化合物A及び化合物AAを、それぞれ、30mg/kg(QD)及び50mg/kg(BID)で投与した。この組合せ研究において、化合物1及び化合物Aが、それぞれ、29%及び30%のTVRで、単剤としての有意な抗腫瘍活性を示したのに対し、化合物AAは、このモデルにおいて不活性であった(図6〜7)。化合物1と化合物Aの組合せは、WSU-DLCL2異種移植モデルにおいて、腫瘍成長の極めて有意な(p<0.001)、相乗的阻害(64%)をもたらした(図6)。化合物1と化合物AAの組合せの抗腫瘍活性は、単剤としての化合物1の抗腫瘍活性と有意差がなかった(図7)。同様に、化合物Aと化合物AAの組合せの抗腫瘍活性は、WSU-DLCL2異種移植モデルにおいて、単剤としての化合物Aの抗腫瘍活性と有意差がなかった。
【0409】
(DLBCL異種移植モデルにおけるIHCによるCRBN関連タンパク質バイオマーカーの測定)
免疫組織化学検査(IHC)をLeica Bond-Max自動染色装置で行った。上記の異種移植モデル由来の腫瘍当たり1つの切片を、抗Aiolos又は抗Ikaros抗体のどちらかを用いて染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。染色されたスライドをAperio ScanScope XTスライドスキャナーでスキャンした。対象となる領域を、サンプル全体を含むようにAperio ImageScopeを用いて線引きした。核同定アルゴリズムを対象となる領域で実行し、ヘマトキシリン染色された核を見出した。各々の同定された核を0〜3の染色強度に基づいてスコアリングした(0は染色なし、3は最大強度を有する)。3又は2のスコアを有する核を合計し、対象となるマーカー(すなわち、Aiolos又はIkaros)について陽性とカウントした。陽性の核/全体の核の比を各々の群についてのパーセントとして報告した。図8に見られるように、単剤としての化合物Aは、腫瘍のAiolos及びIkarosに対して効果がなかったが、化合物Aは、腫瘍のAiolos及びIkarosを阻害した。しかしながら、化合物1と化合物Aの組合せは、腫瘍のAiolos及びIkarosに対して持続的な相乗効果を示した。
【0410】
(OCI-Ly10 DLBCL異種移植モデル)
OCI-Ly10細胞は、非ホジキンリンパ腫の一種である、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に由来する。重症複合T及びB細胞免疫不全を特徴とする雌のSCIDマウス(Fox Chase SCID(登録商標)、CB17/Icr-Prkdcscid, Charles River)は、本研究の1日目に、10週齢であり、体重が15.4〜24.2gの範囲であった。簡潔に述べると、雌のCB.17 SCIDマウスに5×106個のOCI-Ly10細胞を皮下接種し、腫瘍を約100〜150mm3にまで成長させた後、処置前に同程度のサイズの腫瘍を有する群が得られるよう、処置群に階層化した。有効性処置群に加えて、一部のマウスを短期処置群に階層化し、生理食塩水、30mg/kgもしくは10mg/kgの化合物A、又は3mg/kgの化合物1を、27日目から、1日に1回、7日間受容する群での最後の投与から4時間後に、その腫瘍を回収した。凍結され、固定されたパラフィン包埋試料を解析した。本研究の有効性群において、投与は、1日目(D1)に、皮下腫瘍(平均体積、120〜129mm3)が樹立された12のマウス群(n=10匹/群)で開始された。化合物A(2つの用量レベル)及び化合物1(1つの用量レベル)を、各々、1日に1回、28日間(qd×28)投与した。対照マウスは、ビヒクル、5%DMSO/15%Solutol(登録商標) HS15/80%PBSを、p.o.、b.i.d.、×28で受容した。D29に、33日目から53日目までの21日間の投与延長を対照群及び5つの試験群で履行し、これらの群について、b.i.d.×28/4/21又はqd×28/4/21スケジュールが得られた。2つの陽性参照群は、1及び3mg/kgの腹腔内(i.p.)リツキシマブ単独療法を、週に2回、5週間(biwk×5)受けた。
【0411】
データを図9に示す。腫瘍を週に2回カリパスで測定し、有効性研究における各々のマウスを、その腫瘍が1000mm3の体積エンドポイントに達したときか、又は61日目かのどちらか先に来た方で安楽死させた。有効性は、ビヒクル処理(C)マウスと比べた薬物処置(T)マウスでのエンドポイントまでの時間(TTE)の中央値の増加として定義される腫瘍成長遅延(TGD)から、及び生存延長の有意性から決定された。対照腫瘍は、TTE範囲が狭くかつTTE中央値が32.4日であるエンドポイントに達し、本研究における考えられる最大限の28.6日のTGD(88%)を可能にした。4つの試験療法は、最大限のTGDを達成したが、その61日目の生存及び/又は退行速度に関して異なっていた。qd×28の30mg/kg(26.6mg/kgの活性化合物)の化合物Aのみは、考えられる最大限の28.6日のTGD(88%)、有意な生存延長(P<0.001)、7人の生存者、及び2例のPRをもたらし; qd×28/4/21の10mg/kgの用量(8.87mg/kgの活性化合物)は、8.9日のTGD(27%)、3人の生存者、及び退行なしをもたらした。qd×28/4/21の3mg/kgの化合物1のみは、23.8日のTGD(73%)、有意な生存延長(P<0.001)、5人の生存者、及び1例のPRをもたらした。28日間のqdスケジュールでの30mg/kgの化合物Aと化合物1との組合せは、最大限のTGD、9人の生存者、及び2例のPRをもたらした。この組合せは、qd×28の30mg/kgの化合物A単独療法とqd×28/4/21の化合物1単独療法の両方を改善した。延長されたqdスケジュールでの10mg/kgの化合物Aと化合物1との組合せは、最大限のTGD、7人の生存者、及び退行なしをもたらし;かつ各々の対応する単独療法を改善した。療法の延長は退行をもたらさず、同じ用量(複数可)の単独療法又は二重療法が28日スケジュールと延長されたスケジュールの両方で試験されていないため、その潜在的な生存利益を評価することができなかった。59日生存者のうちの3人を除く全員で最終腫瘍体積が変化していないか又は減少しており; 50%以上が生存している群では、腫瘍体積中央値が50日目以降プラトーに達し、59日目に、550〜787mm3の範囲であった。腫瘍の静止状態が処置に対する応答であるのか、それとも腫瘍成長の特徴であるのかを決定することはできなかった。1及び3mg/kg、i.p.、biwk×5でのリツキシマブ単独療法は、各々、10人の無腫瘍生存者(TFS)をもたらし;高用量は、いくぶんより急速な腫瘍減少をもたらした。同程度の進行群の平均体重減少が対照群及び試験群で生じ、処置関連の副作用は観察されなかった。
【0412】
結論として、個別的に、化合物A(30mg/kg qd×28)は、考えられる最大限の28.6日のTGD、7人の生存者、及び2例のPRをもたらし;化合物A(10mg/kg qd×28/4/21)は、8.9日のTGD及び3人の生存者をもたらし;化合物1(3mg/kg qd×28/4/21)は、23.8日のTGD、5人の生存者、及び1例のPRをもたらした。28日の30mg/kg化合物A/化合物1療法は、9人の生存者及び2例のPRをもたらした。10mg/kg化合物A/化合物1療法の延長は、7人の生存者をもたらした。1及び3mg/kgでのリツキシマブ単独療法は各々、10例のTFSをもたらし;腫瘍退行の開始は、より高い用量でいくぶん早かった。処置は全て、OCI-Ly10ヒトリンパ腫SCIDマウス異種移植モデルで忍容性が良好であった。
【0413】
まとめると、これらの結果は、化合物1と化合物Aの組合せが活性化B細胞表現型(ABC)のヒトDLBCL株で改善された活性を有することを示している。
【0414】
(単一の生きた腫瘍における多重化された化合物有効性研究のためのCIVO(商標)アレイ化微量注射プラットフォーム)
異種移植腫瘍を有する麻酔したNu/Nuマウスに、複数の個々の化合物又は化合物組合せを、各々、異なる腫瘍部位に同時に注射した。正確で制御された化合物の送達を、腫瘍微量注射部位周辺の空間的に規定された細胞変化について、DLBCLの異種移植モデルにわたって評価した。腫瘍を切除し、注射の質を、同時注射した近赤外トラッキング色素のIVISイメージングによって評価した。腫瘍のz軸方向からの代表的な領域の切片を経路阻害及び腫瘍応答のバイオマーカーによる染色用に調製した。その後、試料をCaliper Pannoramicスライドスキャナーで一括スキャンし、Presage製のCIVO(商標)解析装置カスタム画像解析プラットフォームによる1細胞解析及びその後のデータ定量と適合する高解像度画像を得た(技術の説明については、R. Klinghofferらの文献、AACR, 2014及びPresagebio.comを参照されたい)。
【0415】
(SUDHL4異種移植片における化合物A/デキサメタゾン全身投与)
DLBCLモデルSUDHL4における化合物Aと他の化合物との組合せ効果を評価するために、ビヒクル又は化合物A(30mpk QD×8)−/+デキサメタゾン(5mpk QD×8)を全身投与した。7回目の全身投与から4時間後、腫瘍に、ビヒクル(4μL)又は化合物2(3つ別々の腫瘍部位で注射される4μL中、13μg)を局所注射した。アポトーシスを、注射部位からの距離の関数としてプロットされるアポトーシスマーカーの切断型カスパーゼ活性3(CC3)の測定によって評価した。図10に示すように、化合物Aの全身投与は、化合物2による局所処置によって誘導される細胞死を増強した。
【0416】
(結論:)
化合物A−/+デキサメタゾンによる全身処置は、SUDHL4(DLBCL)異種移植片での化合物2によるアポトーシスの誘導を増強した。
【0417】
(OCILy10異種移植片における化合物A/化合物1全身投与)
化合物1、化合物A、及び化合物AAによる組合せ処置を評価するために、OCILy10異種移植片を有するマウスを、化合物A 30mpk QD×4、次いで、化合物A 30mpk及び化合物1 10mpk QD×3で全身処置した。7回目の全身投与から3時間後、化合物AA(注射される4μL中、15.4μg)を3つの部位に局所注射した。2本のさらなる針を用いて、ビヒクル(4μL)又はCHOPのどちらかを陰性対照又は陽性対照として別々の部位に注射した。腫瘍を、7回目の全身投与から9時間後、直接注射から6時間後に回収した。表3に見られるように、化合物A及び化合物1による全身処置の組合せは、CC3陽性部位によって測定したとき、26カ所中15カ所の化合物AA注射部位で細胞死をもたらしたが、化合物Aによる全身処置は、どの化合物AA注射部位でも細胞死をもたらさなかった(TORキナーゼ阻害剤である化合物1は、このモデルにおいて、化合物AAの活性を増強するものとは考えられなかった)。
【0418】
表3. OCILy10異種移植片における化合物A/化合物1の全身投与及び化合物AAの局所注射の効果
【表8】
【0419】
(結論:)
化合物A及び化合物1による全身処置は、化合物AAの局所注射部位でのアポトーシス(切断型カスパーゼ活性3)を誘導した。
【0420】
(親RAMOS細胞及びドキソルビシン抵抗性RAMOS細胞の異種移植モデルにおける化合物2又は化合物1の局所注射)
親Ramos細胞又はドキソルビシン抵抗性Ramos細胞の異種移植片を有するマウスに、ビヒクル(4μL)、化合物2(注射される4μL中、13μg)、化合物1(注射される4μL中、39μg)、又はビンクリスチン(注射される4μL(400μM)中、1.47μg)を局所注射した。注射から24時間後、腫瘍を回収した。図11に見られるように、局所注射部位からの距離の関数としての切断型カスパーゼ活性3によって測定したとき、ドキソルビシン抵抗性Ramos細胞は、別の化学療法であるビンクリスチンにも抵抗性であった。対照的に、ドキソルビシン抵抗性Ramos細胞は、化合物2に対する感受性の増大を示した。
【0421】
(結論:)
ドキソルビシン抵抗性Ramos細胞は、親Ramos細胞よりも化合物2に対して感受性がある。
【0422】
(6.4 臨床プロトコル)
(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における新規の組合せ及びリツキシマブの第1B相多施設非盲検研究)
本研究は、組み合わせて、及びリツキシマブと組み合わせて投与したときの、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する対象における、TORキナーゼ阻害剤の化合物1、化合物A(3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び化合物AA(N-(3-(5-フルオロ-2-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イルアミノ)フェニル)アクリルアミド)の第1B相多施設非盲検研究である。
【0423】
本研究の主要な目的は、2剤(doublet)として及びリツキシマブと組み合わせて経口投与したときの、化合物A、化合物1、及び化合物AAの安全性及び忍容性を決定すること、並びに各々の組合せの非忍容用量(NTD)及び最大忍容用量(MTD)を規定することである。本研究の副次的な目的は、各々の薬物組合せの予備的な有効性に関する情報を提供すること、並びに単剤として経口投与した後の及び組み合わせて処置した後の化合物A、化合物1(及びM1代謝物)、及び化合物AAの薬物動態(PK)を特徴付けて、薬物-薬物相互作用を評価することである。
【0424】
(研究設計)
本研究は、少なくとも1つの系統の標準療法に失敗した再発性/不応性DLBCLを有する対象において、2剤として、及びリツキシマブと組み合わせた3剤(triplet)として経口投与される、化合物A、化合物1、及び化合物AAの第1B相用量漸増臨床研究である。本研究は、標準的な3+3用量漸増設計を、固定用量のリツキシマブの追加を含むより高用量のコホートとともに用いて、各々の新規薬剤の2つの薬物用量を探索する。治療群には:化合物A+リツキシマブ(A群)、化合物A+化合物1+/−リツキシマブ(B群)、化合物A+化合物AA+/−リツキシマブ(C群)、及び化合物AA+化合物1+/−リツキシマブ(D群)が含まれる。
【0425】
治療は全て、28日サイクルで投与される。化合物A、化合物1、及び化合物AAは、連続投与スケジュールで、1日に1回(QD)又は1日に2回(BID)、各々の28日サイクルの1〜28日目に経口投与される。リツキシマブは、レジメンに含まれる場合、各々の28日サイクルの1日目にのみ静脈内(IV)投与される標準的な固定用量(375mg/m2)を利用する。3つの化合物は全て、以下を含む2つの用量レベルで探索される:化合物A(2.0及び3.0mg QD)、化合物1(20及び30mg QD)、並びに化合物AA(375及び500mg BID)。B群、C群、及びD群についての最も高い2つの2剤用量レベルは、リツキシマブあり及びリツキシマブなしの2剤を探索するものである。
【0426】
標準的な「3+3」用量漸増設計を用いて、各々の組合せの初回毒性を特定する。対象は、治療責任医師の選択に基づく研究治療群とオープンスロットとに割り当てられる。3人の対象のコホートは、規定の用量増分で研究薬を服用し、3人の評価可能な対象のうちの1人で用量制限毒性(DLT)が見られた場合、コホートを6人の対象にまで拡大する。
【0427】
DLT用の評価可能な対象は、化合物A、化合物1、又は化合物AAの計画用量の少なくとも80%をサイクル1で受容し;リツキシマブの計画用量の少なくとも80%をサイクル1で受容し(リツキシマブを含むコホートに限る);かつ少なくとも1用量の任意の研究薬を受容した後に研究薬関連DLTを経験した対象として定義される。DLTのせいではない評価不能な対象は、取り替えられる。任意の用量コホート中の追加の対象は、安全性審査委員会(SRC)の裁量で登録することができる。
【0428】
用量は、コホート中の6人の評価可能な対象のうちの2人がサイクル1で薬物関連DLTを経験する場合、非忍容用量(NTD)とみなされる。最大忍容用量(MTD)は、6人の評価可能な対象のうちの0又は1人がサイクル1でDLTを経験するNTD未満の最後の用量レベルと定義される。6例のDLTのうちの2例が、いずれかの組合せによって最初の用量レベルで観察される場合、より低用量の組合せをSRCの裁量で探索することができる。化合物1の中間用量(NTDとNTD前の最後の用量レベルの間の用量)を評価して、組合せのMTDを正確に決定することができる。
【0429】
用量漸増の終了後、選択された組合せ治療群を、1群当たり最大約20人の対象にまで拡大することができる。拡大は、用量漸増フェーズで確定されたMTDで、又は研究データの再検討に基づいて別の忍容可能な組合せ用量レベルで行うことができる。
【0430】
遺伝的異常、遺伝子発現、及び治療活性のバイオマーカーの解析用のペアの腫瘍生検は、用量漸増フェーズでは任意であるが、用量拡大フェーズでは必須である。
【0431】
研究集団は、少なくとも1つの標準的な第一選択治療レジメンの後に疾患が進行した、再発性又は不応性DLBCLを有する18歳以上の男女からなる。事前の自己幹細胞移植(登録から3カ月よりも前)が認められる。
【0432】
登録には、約24カ月(用量漸増に18カ月、拡大に6カ月)かかると予想される。積極的治療及び治療後の経過観察の終了には、さらに6〜12カ月かかると予想される。研究全体は、約3年続くと予想される。
【0433】
この第1b相研究で探索されることになる用量レベルを以下に示す:
【表9】
【0434】
非許容毒性が用量レベル1で生じた場合、化合物A(1mg QD)及び化合物1(15mg QD)の開始用量の1段階の低下が認められる。化合物AAの開始用量の低下は計画されない。
【0435】
A群及びC群については、化合物Aの用量を低下させ; D群については、化合物1の用量を低下させる。B群については、安全性審査委員会(SRC)が、2剤中の2つの薬物のうちのどちらの用量を低下させるべきかを決定する。
【0436】
A群(化合物A+リツキシマブ)では、化合物Aだけが漸増するので、用量漸増は、用量レベル1から3bにまで進む。B群、C群、及びD群では、いったん用量レベル2a(2剤)をクリアすれば、用量レベル2b(2剤+リツキシマブ)及び3a(リツキシマブなしの2剤の用量漸増)を同時に登録することができる。用量レベル3bに移行するためには、用量レベル2bと3aの両方をクリアしなければならない。
【0437】
化合物A、化合物1、及び化合物AAを毎日投与し、リツキシマブを各々の28日サイクルの1日目に投与する。用量漸増フェーズと用量拡大フェーズの両方について、単独及び組合せの各々の薬物のPK及びPD評価を容易にするために、投与スケジュールの若干の変更をサイクル1で行う。サイクル2から始めて、それ以後、全ての経口薬を1日目に開始して28日目まで継続し、リツキシマブを1日目に投与する。
【0438】
サイクル1での研究薬の投与を以下に記載する:
【0439】
B群では:化合物1をサイクル1の1日目に開始し、その後、PK及びPDサンプリングを行い、28日目まで継続する。化合物Aをサイクル1の2日目に開始して28日目まで継続する。リツキシマブをサイクル1の8日目に投与する。
【0440】
C群では:化合物Aをサイクル1の1日目に開始し、その後、PK及びPDサンプリングを行い、28日目まで継続する。化合物AAをサイクル1の2日目に開始して28日目まで継続する。リツキシマブをサイクル1の8日目に投与する。
【0441】
D群では:化合物1をサイクル1の1日目に開始し、その後、PK及びPDサンプリングを行い、28日目まで継続する。化合物AAをサイクル1の2日目に開始して28日目まで継続する。リツキシマブをサイクル1の8日目に投与する。
【0442】
第一の用量を1日目に任意のコホートで投与した後、対象を少なくとも28日間観察し、その後、次のより大きなプロトコル規定用量コホートを開始することができる。研究薬の対象内用量漸増は、サイクル1では許可されないが、SRCによって承認された場合、サイクル1以降のサイクルでは許可され得る。毒性による一方又は両方の薬物の用量低下及び一時的中断は認められるが、サイクル1での用量低下はDLTに相当する。
【0443】
疾患進行の兆候、非許容毒性、又は対象/医師による脱落の決定がある場合、研究治療を中止することができる。対象は、疾患進行以降、治験責任医師の裁量で研究薬を受容し続けることができる。
【0444】
用量漸増時に登録されることになる対象の推定総数は、コホートサイズに応じて、約50〜100人である。約30〜60人の追加の対象(選択されるレジメン当たり10〜20人)を、安全性、PK、PD、及び予備的な抗腫瘍効果について、拡大フェーズで評価する。
【0445】
対象を、毎2サイクル後にサイクル6まで、毎3サイクル後にサイクル12まで、及びその後、6カ月毎に、有効性について評価する。治療を受けた全ての対象が有効性解析に含まれる。主要な有効性変数は、腫瘍応答率である。腫瘍応答は、NHL/DLBCLの国際ワークショップ基準(IWC)に基づいて、治験責任医師によって決定される。
【0446】
本研究の安全性変数には、有害事象(AE)、安全性臨床検査変数、12誘導心電図(ECG)、左室駆出率(LVEF)評価、身体検査、バイタルサイン、研究治療への暴露、併用薬の評価、及び妊娠の可能性がある女性に対する妊娠検査(FCBP)が含まれる。
【0447】
用量漸増時に、より高い用量レベルを評価するか、又はMTDを宣言するかのいずれかの決定が、所与の用量コホートについての全ての入手可能な臨床的及び実験的安全性データの審査に基づいて、SRCによって決定される。
【0448】
SRCは、コホート拡大用の対象となる治療レジメンの用量及びスケジュールも選択する。1以上のレジメンをコホート拡大用に選択することができる。SRCは、研究の全体を通して、定期的に、安全性データを審査し続け、適切な場合、研究継続及び用量変更についての勧告を行う。
【0449】
化合物A、化合物1、及び化合物AAの濃度-時間プロファイルを、単剤としての研究薬の投与後に及び組合せ治療後に回収される連続血液試料から決定する。
【0450】
化合物AのPKに対する化合物AAの効果と同様、化合物1及びM1のPKに対する化合物A及び化合物AAの効果を評価する。化合物A、化合物1、及びM1代謝物、並びに化合物AAの全身暴露を、安全性、PD、及び活性の結果と相互に関連付ける。
【0451】
(代替プロトコル:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における新規の組合せ及びリツキシマブの第1B相多施設非盲検研究)
本研究は、組み合わせて、及びリツキシマブと組み合わせて投与したときの、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する対象における、TORキナーゼ阻害剤の化合物1、化合物A(3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び化合物AA(N-(3-(5-フルオロ-2-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イルアミノ)フェニル)アクリルアミド)の第1B相多施設非盲検研究である。
【0452】
本研究の主要な目的は、2剤として及びリツキシマブと組み合わせて3剤として経口投与したときの、化合物A、化合物1、及び化合物AAの安全性及び忍容性を決定すること、並びに各々の組合せの非忍容用量(NTD)及び最大忍容用量(MTD)を規定することである。本研究の副次的な目的は、各々の薬物組合せの予備的な有効性に関する情報を提供すること、並びに組合せ経口投与後の化合物1、化合物AAの定常状態薬物動態(PK)を特徴付けることである。
【0453】
(研究設計)
本研究は、少なくとも1つの系統の標準療法に失敗した再発性/不応性DLBCLを有する対象において、2剤として、及びリツキシマブと組み合わせた3剤として経口投与される、化合物A、化合物1、及び化合物AAの第1B相用量漸増及び用量拡大臨床研究である。本研究の用量漸増フェーズは、標準的な3+3用量漸増設計を、固定用量のリツキシマブの追加を含むより高用量のコホートとともに用いて、各々の化合物の1つ又は2つの薬物用量を探索し、その後、選択された対象となるコホートを拡大する。治療群には: A群:化合物A+化合物1+/−リツキシマブ; B群:化合物A+化合物AA+/−リツキシマブ; C群:化合物AA+化合物1+/−リツキシマブが含まれる。
【0454】
治療は全て、28日サイクルで投与される。化合物A、化合物1、及び化合物AAは、連続投与スケジュールで、1日に1回(QD)又は1日に2回(BID)、各々の28日サイクルの1〜28日目に経口投与される。リツキシマブは、レジメンに含まれる場合、各々のサイクルで1回だけ、375mg/m2の標準的な固定静脈内(IV)用量として、サイクル1の8日目及び各々の後続のサイクルの1日目に投与される。3つ化合物は全て、以下を含む2つの用量レベルで探索される:化合物A(2.0及び3.0mg QD)、化合物1(20及び30mg QD)、並びに化合物AA(500mg BID)。最も高い2つの2剤用量レベルは、リツキシマブあり及びなしでの2剤を探索するものである。
【0455】
標準的な「3+3」用量漸増設計を用いて、各々の組合せの初回毒性を特定する。対象は、治療責任医師の選択に基づく研究治療群とオープンスロットと割り当てられる。3人の対象のコホートは、規定の用量増分で研究薬を服用し、3人の評価可能な対象のうちの1人で用量制限毒性(DLT)が見られた場合、コホートを6人の対象にまで拡大する。
【0456】
DLT用の評価可能な対象は:化合物A、化合物1、又は化合物AAの計画用量の少なくとも80%をサイクル1で受容し;かつリツキシマブの計画用量の少なくとも80%をサイクル1で受容した(リツキシマブを含むコホートに限る)か;又は少なくとも1用量の任意の研究薬を受容した後に研究薬関連DLTを経験した対象として定義される。DLTのせいではない評価不能な対象は、取り替えられる。任意の用量コホート中の追加の対象は、安全性審査委員会(SRC)の裁量で登録することができる。
【0457】
用量は、コホート中の6人の評価可能な対象のうちの2人がサイクル1で薬物関連DLTを経験する場合、非忍容用量(NTD)とみなされる。最大忍容用量(MTD)は、6人の評価可能な対象のうちの0又は1人がサイクル1でDLTを経験するNTD未満の最後の用量レベルと定義される。6例のDLTのうちの2例が、いずれかの組合せによって最初の用量レベルで観察される場合、より低用量の組合せをSRCの裁量で探索することができる。研究薬の中間用量(NTDとNTD前の最後の用量レベルの間の用量)を評価して、組合せのMTDを正確に決定することができる。
【0458】
用量漸増の終了後、選択された組合せ治療群を、1群当たり最大約20人の対象にまで拡大することができる。拡大は、用量漸増フェーズで確定されたMTDで、又は研究データの再検討に基づいて別の忍容可能な組合せ用量レベルで行うことができる。
【0459】
遺伝的異常、RNA及びタンパク質発現、並びに治療活性のバイオマーカーの解析用のペアの腫瘍生検は、用量漸増フェーズでは任意であるが、用量拡大フェーズでは必須である。
【0460】
(研究集団)
化学療法感受性患者において、少なくとも2つの事前の標準的な治療レジメン及び自己幹細胞移植(ASCT)の後に疾患が進行した、再発性又は不応性DLBCLを有する18歳以上の男女が適格である。登録には、ASCT前の選択された高リスク対象及び別の理由でASCTに適格ではない対象も含まれる。
【0461】
(組み入れ基準:)
本研究に登録されるために、対象は、以下の基準を全て満たさなければならない:(1)研究に関連する評価又は手順を行う前に、インフォームドコンセントの文書を理解し、それに自発的に署名する;(2)解析のための保存用腫瘍組織を回収することに同意する(万一、保存用組織が入手可能でない場合、スポンサーによって特例が認められてもよい);(3)遺伝子解析及びバイオマーカー評価(拡大コホートのみ)用のペアの腫瘍生検(スクリーニング及び治療時)を受けることに同意する(特別な状況下では、この要件の免除が与えられてもよい);(4)化学療法感受性患者における少なくとも2つの事前の標準的な治療レジメン(例えば、R-CHOP又は同様の第一選択レジメン及び少なくとも1つの第二選択救済レジメン)並びにASCTの後に、組織学的に又は細胞学的に確認された、再発性又は不応性DLBCL(形質転換した低悪性度リンパ腫を含む)を有する18歳以上の男女。ただし、以下を除く:(i)原発性不応性疾患、第一選択の治療後12カ月以内の再発、Bcl-2/Myc遺伝子再構成もしくは過剰発現を有する「ダブルヒット」リンパ腫、又は再発時の高いIPIスコア(2,3)と定義される、予後不良のASCT前の状況の対象;(ii)ASCTを拒否しているか、又は治験責任医師の判断により、別の理由でASCTに適切ではない、65歳を超える対象;(5)少なくとも1つの測定可能な疾患の部位(長軸で>1.5cm又は長軸と短軸の両方で>1.0cm);(6)0又は1のECOG PS;(7)対象は、以下の検査値を有していなければならない:(i)7日間、成長因子のサポートなしで、1.5×109個/L以上(DLBCLの骨髄転移なし)又は1.0×109個/L以上(DLBCLの骨髄転移あり)の絶対好中球数(ANC);(ii)8g/dL以上のヘモグロビン(Hgb);(iii)7日間、輸血なしで、50×109個/L以上の血小板(plt);(iv)正常範囲内の又はサプリメントで修正可能なカリウム;(v)正常の上限(ULN)の2.5倍以下、又は肝腫瘍が存在する場合、ULNの5.0倍以下のAST/SGOT及びALT/SGPT;(vi)ULNの1.5倍以下の血清ビリルビン;(vii)コッククロフト・ゴールト式を用いて、50mL/分以上の推定血清クレアチニンクリアランス;(8)妊娠の可能性がある女性(FCBP)(妊娠の可能性がある女性は、1)子宮摘出術(子宮の外科的摘出)も、両側卵巣摘出術(両方の卵巣の外科的摘出)も受けていないか、又は2)少なくとも連続24カ月の間に自然に月経が閉止していない(すなわち、それまでの連続24カ月の間の任意の時点で月経があった)性的に成熟した女性であり:(i)研究の全体を通して、及び研究薬の最後の投与から最大28日間、少なくとも2つの効果的な避妊方法(経口型、注射型、又は埋め込み型ホルモン避妊薬;卵管結紮術;子宮内器具;殺精子剤入りのバリア型避妊具;又は精管切除術を受けたパートナー)(このうちの1つはバリアでなければならない)を使用することに同意し;(ii)スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性(少なくとも25mIU/mLの感度)であり;(iii)研究治療のサイクル1の-1日目に先立つ72時間以内に血清又は尿妊娠検査(治験責任医師の裁量)が陰性であり(スクリーニング血清妊娠検査は、それに先立つ72時間以内に実施される場合、-1日目の研究治療に先立つ検査として使用することができることに留意されたい);(iv)研究薬の最後の投与から28日間妊娠を回避し;(v)研究期間中の妊娠検査の継続に同意しなければならない;(9)男性は完全な禁欲を順守するか、又は妊婦もしくは妊娠の可能性がある女性との性的接触時にコンドーム(ラテックス製コンドームが推奨される)を使用することに同意しなければならず、精管切除に成功している場合でも、本研究への参加中、投与中断時、及び研究薬の中止後、少なくとも28日間、妊娠を避ける;(10)化合物Aを受容する治療群に登録される全ての対象は:(i)(研究薬)IPに催奇形性リスクの可能性があり得ることを理解し;(ii)IPの服用中、及びIPの中止後、血液又は精子の提供を控えることに同意し;(iii)IPを他人と共有しないことに同意し;(iv)妊娠予防及び胎児暴露のリスクについての助言を受け、PPRMPの要求に同意しなければならない;(11)研究診察スケジュール及び他のプロトコル要件を忠実に守ることができる。
【0462】
(除外基準:)
以下のいずれかが存在すると、対象は登録から除外される:(1)症候性の中枢神経系転移;(2)既知の症候性の急性又は慢性膵炎;(3)医学的管理にもかかわらず持続するNCI CTCAEグレード2以上の下痢又は吸収不良;(4)NCI CTCAEグレード2以上の末梢神経障害;(5)以下のいずれかを含む、心臓機能の障害又は臨床的に意義のある心臓疾患:(i)MUGA又はECHOにより決定したとき、45%を上回るLVEF;(ii)完全左脚ブロック又は2束ブロック(iii)先天性QT延長症候群;(iv)持続的な又は臨床的に意義のある心室性不整脈;(v)スクリーニングECGで460ミリ秒を上回るQTcF(3回の記録の平均);(vi)研究薬開始前の3カ月以内の不安定狭心症又は心筋梗塞;(6)積極的治療を受けている糖尿病の対象、又は以下のいずれかを有する対象(化合物1含有群で治療を受ける対象に限る):(i)126mg/dL(7.0mmol/L)以上の空腹時血糖(FBG);(ii)6.5%以上のHbA1c;(7)最初の投与の前3カ月以内の事前のASCT;(8)標準強度又は軽減強度の前処置を伴う事前の同種異系幹細胞移植;(9)研究薬開始前の5半減期以内もしくは4週間以内のどちらかより短い方の、癌に対する事前の全身治療又は治験モダリティ;(10)デュアル型mTORC1/mTORC2阻害剤又はBTK阻害剤(PCI-32765)による前治療(ラパマイシン類似体、PI3K、又はAKT阻害剤、レナリドミド、及びリツキシマブによる前治療が認められる);(11)研究薬開始前の2週間以内に大きい手術を受けた対象(対象は、研究薬の安全性評価を混乱させる可能性がある少し前の手術又は治療の影響から回復していなければならない;放射線療法については、特定のウォッシュアウトは必要ない);(12)妊娠中又は授乳中の女性(2種類の妊娠調節を利用していない、生殖能力のある成人);(13)HIV感染を有することが分かっている対象;(14)慢性活動性B型肝炎又はC型肝炎(HBV/HCV)感染を有することが分かっている対象;(15)治療関連骨髄異形成症候群を有する対象;(16)化合物AA含有群(B及びC)で治療を受ける対象に対するプロトンポンプ阻害剤もしくはH2アンタゴニストの慢性使用又は最初の投与から7日以内のその使用。慢性胃食道逆流症、消化不良、及び消化性潰瘍疾患を有する対象は、この治療に対する適性について、本研究への登録前に慎重に評価されるべきである(これらの薬物は、研究の全体を通して、禁止併用薬である);(17)対象を許容しがたいリスクに曝すか、又は対象が研究に従うのを妨げる、任意の他の重大な身体疾患、検査所見の異常、又は精神疾患;(18)積極的な継続的全身治療を必要とする併存する第二の癌の病歴。
【0463】
登録は、終了するまでに約24カ月(用量漸増に18カ月、拡大に6カ月)かかると予想される。積極的治療及び治療後の経過観察の終了には、さらに6〜12カ月かかると予想される。研究全体は、約3年続くと予想される。
【0464】
治験の最後は、プロトコル及び/又は統計解析計画に予め規定されている、研究を終了すべき最後の対象の最後の診察日、又は一次的、二次的、及び/もしくは探索的解析に必要とされる最後の対象の最後のデータ点の受取日のどちらかより遅い方の日付として定義される。
【0465】
この第1b相研究で探索されることになる用量レベルを以下に示す:
【表10】
BID=1日に2回; QD=1日に1回; q 28=28日毎に1回(サイクル1の8日目;後続のサイクルの1日目); Ritux=リツキシマブ
【0466】
治療サイクルは全て28日の長さである。
【0467】
投与は、A群については用量レベル1、B及びC群については用量レベル2から始める。各々の用量レベルは、次のより高い用量レベルを開始する前にクリアしなければならない。非許容毒性が初回用量レベルで生じた場合、化合物A(1mg QD)及び化合物1(15mg QD)についての1段階の用量低下が認められる。化合物AAの開始用量低下は計画されない。B群については、化合物Aの用量を低下させ; C群については、化合物1の用量を低下させる。A群については、SRCが、2剤中の2つの薬物のうちのどちらの用量を低下させるべきかを決定する。
【0468】
化合物A、化合物1、及び化合物AAを28日サイクルで連続的に毎日投与する。腫瘍溶解症候群のリスクを最小限に抑えるために、リツキシマブは、投与される場合、サイクル1の8日目に投与され、その後、各々の後続のサイクルの1日目に投与される。
【0469】
第一の用量を1日目に任意のコホートで投与した後、対象を少なくとも28日間観察し、その後、次のより大きなプロトコル規定用量コホートを開始することができる。研究薬の対象内用量漸増は、サイクル1では許可されないが、SRCによって承認された場合、後のサイクルでは許可され得る。毒性による一方又は両方の薬物の用量低下及び一時的中断は認められるが、サイクル1での用量低下はDLTに相当する。
【0470】
疾患進行の兆候、非許容毒性、又は対象/医師による脱落の決定がある場合、研究治療を中止することができる。対象は、疾患進行以降、治験責任医師の裁量で研究薬を受容し続けることができる。
【0471】
用量漸増時に登録されることになる対象の推定総数は、コホートサイズに応じて、約30〜60人である。約30〜60人の追加の対象(選択されるレジメン当たり10〜20人)を、安全性、PK、PD、及び予備的な抗腫瘍効果について、拡大フェーズで評価する。
【0472】
疾患進行の兆候、非許容毒性、又は対象/医師による脱落の決定がある場合、研究治療を中止することができる。対象は、疾患進行以降、治験責任医師の裁量で研究薬を受容し続けることができる。
【0473】
用量漸増時に登録されることになる対象の推定総数は、コホートサイズに応じて、約50〜100人である。約30〜60人の追加の対象(選択されるレジメン当たり10〜20人)を、安全性、PK、PD、及び予備的な抗腫瘍効果について、拡大フェーズで評価する。
【0474】
対象を、毎2サイクル後にサイクル6まで、毎3サイクル後にサイクル12まで、及びその後、6カ月毎に、有効性について評価する。治療を受けた全ての対象が有効性解析に含まれる。主要な有効性変数は、腫瘍応答率である。腫瘍応答は、悪性リンパ腫の国際ワークショップ基準(IWC)(Cheson B, Pfistner B, Juweid Mらの文献、悪性リンパ腫の改訂された応答基準(Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma.)、J Clin Oncol, 2007, 25(5): 579-586)に基づいて、治験責任医師によって決定される。
【0475】
二次的及び探索的エンドポイントには、血液中及び/又は腫瘍内の化合物A、化合物1、及び化合物AAの薬力学的及び予測的バイオマーカーの評価、並びにPK、PD、毒性、及び活性の関係の探索が含まれる。
【0476】
本研究の安全性変数には、有害事象(AE)、安全性臨床検査変数、12誘導心電図(ECG)、東部共同腫瘍学グループのパフォーマンスステータス(ECOG-PS)、左室駆出率(LVEF)評価、身体検査、眼科検査、バイタルサイン、研究治療への暴露、併用薬の評価、及び妊娠の可能性がある女性に対する妊娠検査(FCBP)が含まれる。
【0477】
用量漸増時に、より高い用量レベルを評価するか、又はMTDを宣言するかのいずれかの決定が、所与の用量コホートについての全ての入手可能な臨床的及び実験的安全性データの審査に基づいて、SRCによって決定される。
【0478】
SRCは、コホート拡大用の対象となる用量及びスケジュール及び治療レジメンも選択する。1以上のレジメンをコホート拡大用に選択することができる。SRCは、研究の全体を通して、定期的に、安全性データを審査し続け、適切な場合、研究継続及び用量変更についての勧告を行う。
【0479】
化合物1、化合物1のM1代謝物、及び化合物AAの定常状態の血漿薬物動態をC群で決定する。
【0480】
化合物A、化合物1、及び化合物AAの疎な血漿濃度を、A群、B群、及びC群における薬物組合せの単一用量投与後に、並びにA群、B群、及びC群(集中的なPKモニタリングを受けていないコホート)における定常状態で評価する。薬物暴露と、安全性、PD、及び臨床的エンドポイントとの相関を、探索的エンドポイントとして探索することもできる。
【0481】
1)化合物A、B及びT細胞におけるCRBN基質の調節; 2)化合物1、mTORシグナル伝達経路バイオマーカー(p4E-BP1、pAKT、及び場合により、その他のもの); 3)化合物AA、B細胞受容体シグナル伝達経路バイオマーカー(pBTK、pERK、及び場合により、その他のもの)を含む:ベースライン時及び研究治療時の各々の新規薬剤の薬力学的バイオマーカーを探索する。
【0482】
必要な場合又は適用可能な場合、研究フェーズ、治療群、及び用量レベル別に、統計解析を行う。解析は全て、記述的な性質のものとする。
【0483】
主に対象となる有効性変数は、腫瘍応答及び持続期間である。(FDG)-PET結果を含む、他の予備的な有効性変数は、カテゴリー変数に頻度表を又は連続変数に記述統計を用いてまとめる。有効性解析を、登録され、治療を受け、かつ有効性評価可能な集団について繰り返し、治療を受けた集団を用いる結果を主要なものとみなす。
【0484】
安全性データの全てのまとめを、少なくとも1用量の研究薬を受容する対象(安全性集団)を用いて実施する。
【0485】
用量漸増フェーズで、約30〜60人の対象が登録される。その後、用量拡大フェーズで、最大20人の対象を、選択されたコホートの各々で登録することができる。本研究の主な目的は安全性/忍容性及びMTD/RP2Dを決定することであるので、どちらかのフェーズの正確な試料サイズが、前もって明記されることはない。
【0486】
(代替プロトコル2。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における新規の組合せ及びリツキシマブの第1B相多施設非盲検研究)
本研究は、組み合わせて、及びリツキシマブと組み合わせて投与したときの、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する対象における、TORキナーゼ阻害剤の化合物1、化合物A(3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-3(4H)-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び化合物AA(N-(3-(5-フルオロ-2-(4-(2-メトキシエトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イルアミノ)フェニル)アクリルアミド)の第1B相多施設非盲検研究である。
【0487】
本研究の主要な目的は、2剤として及びリツキシマブと組み合わせて3剤として経口投与したときの、化合物A、化合物1、及び化合物AAの安全性及び忍容性を決定すること、リツキシマブと組み合わせて投与したときの、化合物Aの安全性及び忍容性を決定すること、並びに各々の組合せの非忍容用量(NTD)及び最大忍容用量(MTD)並びに/又は推奨される第2相用量(RP2D)を規定することである。本研究の副次的な目的は、各々の薬物組合せの予備的な有効性に関する情報を提供すること、並びに単剤としての組合せ経口投与の後の化合物A、化合物1、及び化合物AAの定常状態薬物動態(PK)を特徴付けることである。
【0488】
(研究設計)
本研究は、少なくとも1つの系統の標準療法に失敗した再発性/不応性DLBCLを有する対象において、2剤として、及びリツキシマブと組み合わせた3剤、並びに化合物A+リツキシマブの2剤として経口投与される、化合物A、化合物1、及び化合物AAの第1b相用量漸増及び用量拡大臨床研究である。本研究の用量漸増フェーズは、標準的な3+3用量漸増設計を、固定用量のリツキシマブの追加を含むより高用量のコホートとともに用いて、各々の新規薬剤の1以上の薬物用量を探索し、その後、選択された対象となるコホートを拡大する。より高い用量レベルに到達しない場合、リツキシマブの追加を2剤 MTDで評価することもできる。治療群には:化合物A+化合物1+/−リツキシマブ(A群)、化合物A+化合物AA+/−リツキシマブ(B群)、化合物AA+化合物1+/−リツキシマブ(C群)、及び化合物A+リツキシマブ(D群)が含まれる。
【0489】
治療は全て、最初、28日サイクルで投与される。化合物A、化合物1、及び化合物AAは、最初、連続投与スケジュールで、1日に1回(QD)又は1日に2回(BID)、各々の28日サイクルの1〜28日目に経口投与される。リツキシマブは、レジメンに含まれる場合、各々のサイクルで1回だけ、375mg/m2の標準的な固定静脈内(IV)用量として、サイクル1の8日目及び各々の後続のサイクルの1日目に投与される。3つの化合物は全て、以下を含む1つ又は2つの用量レベルで探索される:化合物A(2.0及び3.0mg QD)、化合物1(20及び30mg QD)、並びに化合物AA(500mg BID)。最も高い2つの2剤用量レベル(又はより低い用量レベルの場合、MTD)は、リツキシマブとの組合せを探索するものである。
【0490】
標準的な「3+3」用量漸増設計を用いて、各々の組合せの初回毒性を特定する。対象は、治療責任医師の選択に基づく研究治療群とオープンスロットと割り当てられる。3人の対象のコホートは、規定の用量増分で研究薬を服用し、3人の評価可能な対象のうちの1人で用量制限毒性(DLT)が見られた場合、コホートを6人の対象にまで拡大する。
【0491】
DLT用の評価可能な対象は、化合物A、化合物1、もしくは化合物AAの計画用量の少なくとも80%を、DLTを経験することなく、サイクル1で受容し、かつリツキシマブの計画用量の少なくとも80%を; DLTを経験することなく、サイクル1で受容した(リツキシマブを含むコホートに限る)か、又は少なくとも1用量の任意の研究薬を受容した後にDLTを経験した対象として定義される。評価不能な対象は、取り替えられる。任意の用量コホート中の追加の対象は、安全性審査委員会(SRC)の裁量で登録することができる。
【0492】
用量は、コホート中の6人の評価可能な対象のうちの2人がサイクル1で薬物関連DLTを経験する場合、NTDとみなされる。MTDは、6人の評価可能な対象のうちの0又は1人がサイクル1でDLTを経験するNTD未満の最後の用量レベルと定義される。6例のDLTのうちの2例が、いずれかの組合せによって最初の用量レベルで観察される場合、より低用量の組合せをSRCの裁量で探索することができる。研究薬の中間用量(NTDとNTD前の最後の用量レベルの間の用量)を評価して、組合せのMTDを正確に決定することができる。サイクル中の研究薬の全体の暴露を低下させる別のスケジュールも忍容性について評価することができる。
【0493】
用量漸増の終了後、選択された組合せ治療群を、1群当たり最大約20人の対象にまで拡大することができる。拡大は、用量漸増フェーズで確定されたMTDで、又は研究データの再検討に基づいて別の忍容可能な組合せ用量レベルで行うことができる。
【0494】
遺伝的異常、RNA及びタンパク質発現、並びに治療活性のバイオマーカーの解析用のペアの腫瘍生検は、用量漸増フェーズでは任意であるが、用量拡大フェーズでは必須である。
【0495】
研究集団は、18歳以上の男女からなり、化学療法感受性患者において、少なくとも2つの事前の標準的な治療レジメン及び自己幹細胞移植(ASCT)の後に疾患が進行した、再発性又は不応性DLBCLを有する者が適格である。登録には、ASCT前の選択された高リスク対象及び別の理由でASCTに適格ではない対象も含まれる。
【0496】
(組み入れ基準:)
本研究に登録されるために、対象は、以下の基準を全て満たさなければならない:(1)研究に関連する評価又は手順を行う前に、インフォームドコンセントの文書を理解し、それに自発的に署名する;(2)解析のための保存用腫瘍組織を回収することに同意する(万一、保存用組織が入手可能でない場合、スポンサーによって特例が認められてもよい);(3)遺伝子解析及びバイオマーカー評価(拡大コホートのみ)用のペアの腫瘍生検(スクリーニング及び治療時)を受けることに同意する(特別な状況下では、この要件の免除が与えられてもよい);(4)化学療法感受性患者における少なくとも2つの事前の標準的な治療レジメン(例えば、R-CHOP又は同様の第一選択レジメン及び少なくとも1つの第二選択救済レジメン)並びにASCTの後に、組織学的に又は細胞学的に確認された、再発性又は不応性DLBCL(形質転換した低悪性度リンパ腫を含む)を有する18歳以上の男女。ただし、以下を除く:(i)原発性不応性疾患、第一選択の治療後12カ月以内の再発、Bcl-2/Myc遺伝子再構成もしくは過剰発現を有する「ダブルヒット」リンパ腫、又は再発時の高いIPIスコア(2,3)と定義される、予後不良のASCT前の状況の対象;(ii)ASCTを拒否しているか、又は治験責任医師の判断により、別の理由でASCTに適切ではない、65歳を超える対象;(5)少なくとも1つの測定可能な疾患の部位(長軸で>1.5cm又は長軸と短軸の両方で>1.0cm);(6)0又は1のECOG PS;(7)対象は、以下の検査値を有していなければならない:(i)7日間、成長因子のサポートなしで、1.5×109個/L以上の絶対好中球数(ANC);(ii)8g/dL以上のヘモグロビン(Hgb);(iii)7日間(ペグフィルグラスチムを受容した場合、14日間)、輸血なしで、50×109個/L以上の血小板(plt);(iv)正常範囲内の又はサプリメントで修正可能なカリウム;(v)正常の上限(ULN)の2.5倍以下、又は肝腫瘍が存在する場合、ULNの5.0倍以下のAST/SGOT及びALT/SGPT;(vi)ULNの1.5倍以下の血清ビリルビン;(vii)コッククロフト・ゴールト式を用いて、50mL/分以上の推定血清クレアチニンクリアランス;(8)妊娠の可能性がある女性(FCBP)(妊娠の可能性がある女性は、1)子宮摘出術(子宮の外科的摘出)も、両側卵巣摘出術(両方の卵巣の外科的摘出)も受けていないか、又は2)少なくとも連続24カ月の間に自然に月経が閉止していない(すなわち、それまでの連続24カ月の間の任意の時点で月経があった)性的に成熟した女性であり:(i)研究の全体を通して、及び研究薬の最後の投与から最大28日間、少なくとも2つの効果的な避妊方法(経口型、注射型、又は埋め込み型ホルモン避妊薬;卵管結紮術;子宮内器具;殺精子剤入りのバリア型避妊具;又は精管切除術を受けたパートナー)(このうちの1つはバリアでなければならない)を使用することに同意し;(ii)スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性(少なくとも25mIU/mLの感度)であり;(iii)研究治療のサイクル1の-1日目に先立つ72時間以内に血清又は尿妊娠検査(治験責任医師の裁量)が陰性であり(スクリーニング血清妊娠検査は、それに先立つ72時間以内に実施される場合、-1日目の研究治療に先立つ検査として使用することができることに留意されたい);(iv)研究薬の最後の投与から28日間妊娠を回避し;(v)研究期間中の妊娠検査の継続に同意しなければならない;(9)男性は完全な禁欲を順守するか、又は妊婦もしくは妊娠の可能性がある女性との性的接触時にコンドーム(ラテックス製コンドームが推奨される)を使用することに同意しなければならず、精管切除に成功している場合でも、本研究への参加中、投与中断時、及び研究薬の中止後、少なくとも28日間、妊娠を避ける;(10)化合物Aを受容する治療群に登録される全ての対象は:(i)(研究薬)IPに催奇形性リスクの可能性があり得ることを理解し;(ii)IPの服用中、及びIPの中止後、少なくとも28日間、血液又は精子の提供を控えることに同意し;(iii)IPを他人と共有しないことに同意し;(iv)妊娠予防及び胎児暴露のリスクについての助言を受け、PPRMPの要求に同意しなければならない;(11)研究診察スケジュール及び他のプロトコル要件を忠実に守ることができる。
【0497】
(除外基準:)
以下のいずれかが存在すると、対象は登録から除外される:(1)症候性の中枢神経系転移;(2)既知の症候性の急性又は慢性膵炎;(3)医学的管理にもかかわらず持続するNCI CTCAEグレード2以上の下痢又は吸収不良;(4)NCI CTCAEグレード2以上の末梢神経障害;(5)以下のいずれかを含む、心臓機能の障害又は臨床的に意義のある心臓疾患:(i)MUGA又はECHOにより決定したとき、45%を上回るLVEF;(ii)完全左脚ブロック又は2束ブロック(iii)先天性QT延長症候群;(iv)持続的な又は臨床的に意義のある心室性不整脈;(v)スクリーニングECGで460ミリ秒を上回るQTcF(3回の記録の平均);(vi)研究薬開始前の3カ月以内の不安定狭心症又は心筋梗塞;(vii)0.4ng/mlを上回るトロポニン-T値又は300pg/mLを上回るBNP(ULNを上回るベースライントロポニン-T又は100pg/mLを上回るベースラインBNPを有する対象は適格であるが、心臓保護療法のベースライン評価及び最適化のために試験への登録の前に心臓専門医の評価を受けなければならない);(6)積極的治療を受けている糖尿病の対象、又は以下のいずれかを有する対象(化合物1含有群で治療を受ける対象に限る):(i)126mg/dL(7.0mmol/L)以上の空腹時血糖(FBG);(ii)6.5%以上のHbA1c;(7)最初の投与の前3カ月以内の事前のASCT;(8)標準強度又は軽減強度の前処置を伴う事前の同種異系幹細胞移植;(9)研究薬開始前の5半減期以内もしくは4週間以内のどちらかより短い方の、癌に対する事前の全身治療又は治験モダリティ;(10)デュアル型mTORC1/mTORC2阻害剤(化合物1のみ)又はBTK阻害剤(化合物AA群のみ)による前治療(ラパマイシン類似体、PI3K、又はAKT阻害剤、レナリドミド、及びリツキシマブによる前治療が認められる);(11)研究薬開始前の2週間以内に大きい手術を受けた対象(対象は、研究薬の安全性評価を混乱させる可能性がある少し前の手術又は治療の影響から回復していなければならない;放射線療法については、特定のウォッシュアウトは必要ない);(12)妊娠中又は授乳中の女性(2種類の妊娠調節を利用していない、生殖能力のある成人);(13)HIV感染を有することが分かっている対象;(14)慢性活動性B型肝炎又はC型肝炎(HBV/HCV)感染を有することが分かっている対象;(15)治療関連骨髄異形成症候群を有する対象;(16)化合物AA含有群(B及びC)で治療を受ける対象に対するプロトンポンプ阻害剤もしくはH2アンタゴニストの慢性使用又は最初の投与から7日以内のその使用。慢性胃食道逆流症、消化不良、及び消化性潰瘍疾患を有する対象は、この治療に対する適性について、本研究への登録前に慎重に評価されるべきである(これらの薬物は、研究の全体を通して、禁止併用薬である);(17)対象を許容しがたいリスクに曝すか、又は対象が研究に従うのを妨げる、任意の他の重大な身体疾患、検査所見の異常、又は精神疾患;(18)積極的な継続的全身治療を必要とする併存する第二の癌の病歴。
【0498】
登録は、終了するまでに約24カ月(用量漸増に18カ月、拡大に6カ月)かかると予想される。積極的治療及び治療後の経過観察の終了には、さらに6〜12カ月かかると予想される。研究全体は、約3年続くと予想される。
【0499】
治験の最後は、プロトコル及び/又は統計解析計画に予め規定されている、研究を終了すべき最後の対象の最後の診察日、又は一次的、二次的、及び/もしくは探索的解析に必要とされる最後の対象の最後のデータ点の受取日のどちらかより遅い方の日付として定義される。
【0500】
この第1b相研究で探索されることになる用量レベルを以下に示す:
【表11】
【0501】
BID=1日に2回; QD=1日に1回; q 28=28日毎に1回(サイクル1の8日目;後続のサイクルの1日目); Ritux=リツキシマブ
【0502】
治療サイクルは全て28日の長さである。投与は、A群については用量レベル1、B及びC群については用量レベル2、D群については用量レベル3から始める。各々の用量レベルは、次のより高い用量レベルを開始する前にクリアしなければならない。非許容毒性が初回用量レベルで生じた場合、化合物A(1.5mg QD及び1mg QD)並びに化合物1(15mg QD)についての用量低下が認められる。さらに、化合物Aの代替スケジュール(7日間のうちの5日間、毎日)の探索が、SRC審査に基づいて認められる。化合物AAの開始用量低下は計画されない。
【0503】
B群及びD群については、化合物Aの用量を低下させ; C群については、化合物1の用量を低下させる。A群については、SRCが、2剤中の2つの薬物のうちのどちらの用量を低下させるべきかを決定する。
【0504】
化合物A、化合物1、及び化合物AAを28日サイクルで連続的に毎日投与する。化合物A投与は、SRCの審査に基づいて、7日のうちの5日に変更することができる(サイクルの長さは、28日のままである)。腫瘍溶解症候群のリスクを最小限に抑えるために、リツキシマブは、投与される場合、サイクル1の8日目に投与され、その後、各々の後続のサイクルの1日目に投与される。
【0505】
第一の用量を1日目に任意のコホートで投与した後、対象を少なくとも28日間観察し、その後、次のより大きなプロトコル規定用量コホートを開始することができる。研究薬の対象内用量漸増は、サイクル1では許可されないが、SRCによって承認された場合、後のサイクルでは許可され得る。毒性による一方又は両方の薬物の用量低下及び一時的中断は認められるが、サイクル1での用量低下はDLTに相当する。
【0506】
疾患進行の兆候、非許容毒性、又は対象/医師による脱落の決定がある場合、研究治療を中止することができる。対象は、疾患進行以降、治験責任医師の裁量で研究薬を受容し続けることができる。
【0507】
用量漸増時に登録されることになる対象の推定総数は、コホートサイズに応じて、約36〜72人である。約40〜80人の追加の対象(選択されるレジメン当たり10〜20人)を、安全性、PK、PD、及び予備的な抗腫瘍効果について、拡大フェーズで評価する。
【0508】
対象を、毎2サイクル後にサイクル6まで、毎3サイクル後にサイクル12まで、及びその後、6カ月毎に、有効性について評価する。治療を受けた全ての対象が有効性解析に含まれる。主要な有効性変数は、腫瘍応答率である。腫瘍応答は、悪性リンパ腫の国際ワークショップ基準(IWC)(Chesonらの文献、J Clin Oncol, 2007, 25(5): 579-586)に基づいて、治験責任医師によって決定される。
【0509】
二次的及び探索的エンドポイントには、血液中及び/又は腫瘍内の化合物A、化合物1、及び化合物AAの薬力学的及び予測的バイオマーカーの評価、並びにPK、PD、毒性、及び活性の関係の探索が含まれる。
【0510】
本研究の安全性変数には、有害事象(AE)、安全性臨床検査変数、12誘導心電図(ECG)、東部共同腫瘍学グループのパフォーマンスステータス(ECOG-PS)、左室駆出率(LVEF)評価、身体検査、バイタルサイン、研究治療への暴露、併用薬の評価、及び妊娠の可能性がある女性に対する妊娠検査(FCBP)が含まれる。
【0511】
用量漸増時に、より高い用量レベルを評価するか、又はMTDを宣言するかのいずれかの決定が、所与の用量コホートについての全ての入手可能な臨床的及び実験的安全性データの審査に基づいて、SRCによって決定される。
【0512】
SRCは、コホート拡大用の対象となる用量及びスケジュール及び治療レジメンも選択する。1以上のレジメンをコホート拡大用に選択することができる。SRCは、研究の全体を通して、定期的に、安全性データを審査し続け、適切な場合、研究継続及び用量変更についての勧告を行う。
【0513】
化合物A、化合物1、化合物1のM1代謝物、及び化合物AAの定常状態の血漿薬物動態をC群で決定する。化合物A、化合物1、及び化合物AAの疎な血漿濃度を、全ての群(定常状態で集中的なPKモニタリングを受けるC群の用量レベル2を除く)において、薬物組合せの単一用量投与後に及び定常状態で評価する。薬物暴露と、安全性、PD、及び臨床的エンドポイントとの相関を、探索的エンドポイントとして探索することもできる。
【0514】
ベースライン時及び研究治療時の各々の新規薬剤の薬力学的バイオマーカーを探索し、これには、以下のものが含まれる:1)化合物A、B及びT細胞におけるCRBN基質の調節; 2)化合物1、mTORシグナル伝達経路バイオマーカー(p4E-BP1、pAKT、及び場合により、その他のもの); 3)化合物AA、B細胞受容体シグナル伝達経路バイオマーカー(pBTK、pERK、及び場合により、その他のもの)。
【0515】
(統計法の概略)
必要な場合又は適用可能な場合、研究フェーズ、治療群、及び用量レベル別に、統計解析を行う。解析は全て、記述的な性質のものとする。主に対象となる有効性変数は、腫瘍応答及び持続期間である。(FDG)-PET結果を含む、他の予備的な有効性変数は、カテゴリー変数に頻度表を又は連続変数に記述統計を用いてまとめる。有効性解析を、登録され、治療を受け、かつ有効性評価可能な集団について繰り返し、治療を受けた集団を用いる結果を主要なものとみなす。安全性データの全てのまとめを、少なくとも1用量の研究薬を受容する対象(安全性集団)を用いて実施する。
【0516】
別途規定されない限り、バイオマーカー関連データ表示は全て、少なくとも1つのベースライン評価及び少なくとも1つの治療時(on-study)評価を有する治療を受けた対象(バイオマーカー評価可能集団)に基づく。記述統計は、治療群別及び全体の、ベースライン、及び連続的バイオマーカーエンドポイントのベースラインからの変化について提示される。
【0517】
用量漸増フェーズで、約36〜72人の対象が登録される。その後、用量拡大フェーズで、最大20人の対象を、選択されたコホートの各々で登録することができる。本研究の主な目的は安全性/忍容性及びMTD/RP2Dを決定することであるので、どちらかのフェーズの正確な試料サイズが、前もって明記されることはない。
【0518】
(6.5 化合物製剤)
本明細書に提供される方法において有用な化合物1の例示的な製剤を下の表3〜6に示す。
【0519】
表3
【表12】
【0520】
表4
【表13】
【0521】
表5
【表14】
【0522】
表6
【表15】
【0523】
本明細書に提供される方法において有用な化合物2の例示的な製剤を下の表7に示す。
【0524】
表7:例示的な錠剤製剤
【表16】
【0525】
その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる多くの文献が引用されている。本明細書に開示される実施態様は、開示された実施態様のいくつかの態様の例示であることが意図される実施例に開示される具体的な実施態様によってその範囲が限定されるべきではなく、機能的に等価である任意の実施態様が本開示によって包含される。実際、本明細書に示され、記載されているものに追加される、本明細書に開示される実施態様の様々な変更が当業者には明らかであり、かつ添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
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図8A
図8B
図9
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