【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する固定構造および請求項9に記載の特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態および変形実施例は従属請求項に示されている。
【0004】
本発明が提案する固定構造は、1つの電極および1つのコンタクト部材を備える1つの基体を有し、当該基体と当該コンタクト部材とを電気的に導通して結合しかつ機械的に結合するために、当該コンタクト部材は、この電極と直に機械的に結合され、かつ電気的に導通して結合されている。この電気的に導通した、かつ機械的な結合部は、好ましくは、上記の電極を備えた基体および上記のコンタクト部材を除き、さらなる結合部材または特別な結合手段無しに、形成されている。
【0005】
1つの実施形態においては、上記の電極の材料は、1つの貴金属、たとえば金を含む。さらにこの電極は、1つの貴金属、たとえば金から成っていてよい。さらにこの電極は、1つの半貴金属を含むかまたはこれから成っていてよい。
【0006】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材の材料は、1つの貴金属、たとえば金を含み、または1つの半貴金属を含む。
【0007】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、1つの貴金属、たとえば金から成り、または1つの半貴金属から成っている。
【0008】
1つの実施形態においては、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の上記の結合部は、複数の局所的な、互いに分離された結合領域を備える。上記の電極と上記のコンタクト部材との間の直接的な、機械的かつ電気的に導通した結合部は、この結合部を技術的にとりわけ容易におよび/または安価に形成することを有利に可能とする。
【0009】
1つの実施形態においては、この結合部は、複数の局所的な、互いに分離された結合領域を備える。これらの結合領域は、本発明による固定構造の1つの接続領域に配設されていてよい。この接続領域は、これらの結合領域が配設されている1つの連続領域を形成してよい。これらの結合領域は、空間的に互いに分離されているか、あるいはこれらの結合領域が連続していないように配設されていてよい。この実施形態は、この結合部を技術的にとりわけ容易におよび/または安価に形成することを有利に可能とする。
【0010】
上記の結合部の1つまたは複数の結合領域は、好ましくは本発明による固定構造の、電気的および機械的結合部が形成されている領域(複数)または面部(複数)となっている。
【0011】
1つの実施形態においては、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の上記の結合部は、1つの連続した結合領域を備える。これは1つのとりわけ強固な機械的結合部および/または低抵抗の電気的に導通した結合部の形成を有利に可能とする。
【0012】
1つの連続した結合領域を有する結合部の実施形態の場合においては、上記の接続領域は、好ましくは上記の結合領域を覆っている。
【0013】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、上記の電極材料と上記のコンタクト部材の材料との間の材質接合(stoffschluessige)による拡散接合部(Diffusionsverbindung)によって形成されている。この実施形態は、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の機械的結合を有利に可能とする。
【0014】
この拡散接合は、好ましくは物質拡散、とりわけ好ましくは電極の材料からコンタクト部材の材料への固体拡散またはこの逆の拡散によって形成され、こうして上記の結合部が、この電極材料とコンタクト部材の材料との間の材質接合によって形成される。
【0015】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、この結合部に関与する電極およびコンタクト部材の材料の溶融領域を有しない。この実施形態によって、この結合部は、極めて容易に、特にこの結合部の生成の際に電極材料および/またはコンタクト部材の材料の溶融無しに、好ましく生成することができる。
【0016】
上記のコンタクト部材および上記の電極の材料および/またはその融点については、ここでは単に溶融材料、すなわちこの結合部に関与している、あるいはこれに供与されるコンタクト部材および電極の材料が関係している。このコンタクト部材および電極は、さらにそれぞれ溶融材料に関して異なる材料を含んでよい。
【0017】
電気的な溶接結合では、材質接合および電気的に導通した結合部の生成のための結合材料が通常溶融されるが、ここで局所的に高い温度が必要である。これはたとえばこのようにコンタクトされたデバイスに対する非常に大きな負荷がもたらされ、そしてこのデバイスに損傷をもたらす。これらの欠点は、本発明が提示する結合部によって、この結合部を、溶融領域の関与および/または高い温度の生成無しに形成することによって、回避することができる。
【0018】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、結合材料無しに、たとえばはんだ材料無しに実現されている。これはいかなる結合材料、たとえばはんだ材料無しに、上記の結合部の形成または生成することを可能とし、これによってたとえば結合材料を含むはんだ結合部またはその他の結合部と比較して、この結合部の形成または生成を容易とすることができる。
【0019】
本発明が提示する結合部の利点は、たとえば上記のコンタクト部材と電極との間のはんだ結合を用いて結合されたことによるであろう欠点が、本発明が提示する結合部では生じないことである。電気的なコンタクト部では、90%より高い鉛含有率の高温はんだ(300℃以上の融点を有するはんだ)がしばしば用いられる。さらに錫ベースの鉛フリーのはんだを用いた電気的コンタクト部を有するデバイスが用いられる可能性がある。このような結合部の欠点は、上記のようなはんだ材料のマイグレーションに対する耐性に関する。湿った環境において、および/または電圧を印加した際には、しばしば上記のはんだおよび/または電極からの金属イオンのマイグレーションが起こる。特にマイグレーションしやすいのは、具体的には、たとえば電極からの銀であり、はんだからの鉛である。
【0020】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部材の、上記の電極に向いた表面は、上記の結合部が形成されている接続領域において、貴金属の表面領域を備える。この実施形態は、上記のコンタクト部材と電極との間の結合部のとりわけ容易な生成を有利に可能とするが、これはコンタクト部材の1つの表面での貴金属の安定性によって、このコンタクト部材の表面での望ましくない酸化層の形成が妨げられ得るからである。このような酸化層は、電気的結合部の電気的特性に悪い影響を与え得る。代替として、有害な酸化層形成も同様に妨げることができる保護ガス雰囲気においては、上記のような電気的結合部の生成を不要とすることができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、ニッケルから成り、またはニッケルを含んでいる。
【0022】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、1つの接続領域において、1つの貴金属によってコーティングされている。
【0023】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、この接続領域において、1つの貴金属によって部分的にコーティングされている。この実施形態は、上記の結合部あるいは固定構造のとりわけ安価な生成を有利に可能とする。
【0024】
この接続領域は、数mmのサイズ、たとえば5mmのサイズを有する。
【0025】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は1つのワイヤである。この実施形態によって、上記の基体は、とりわけ好適にこのコンタクト部材を介してもう1つの部品と機械的または電気的に結合することができる。この実施形態によれば、このコンタクト部材の長さは、好ましくは数cmであり、たとえば5cmである。
【0026】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、平坦部無しに形成されている。
【0027】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、1つの絶縁部を備える。この絶縁部は、好ましくは上記の接続領域の外側に配設されている。この実施形態によって、上記のコンタクト部材は、有利に外部の影響に対し電気的に絶縁することができる。
【0028】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部材は、上記の結合部が形成されている領域において、たとえば帯状に平坦化されている。これは有利に上記のコンタクト部材のできる限り大きな接続領域の形成を可能とする。
【0029】
さらに本発明は、上記の固定構造を備える電子デバイスを提示する。この電子デバイスは、さらに上記の固定構造と成っていてよい。好ましくはこの電子デバイスは上記の固定構造である。
【0030】
本発明による電子デバイスの1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は、1つのセラミック、たとえばNTCセラミックを含み,または1つの半導体を含む。
【0031】
本発明による電子デバイスの1つの好ましい実施形態においては、この電子デバイスは追加的に上記の結合部を包囲するカバー部を備える。このカバー部は、これが外部の力の作用に対し上記の結合部を保護するように配設かつ形成されている。このカバー部は、好ましくは外部からの機械的力に対し上記の結合部を保護している。このカバー部は、たとえば上記の結合部を機械的に強固にするための成形体を含んでよい。
【0032】
本発明はさらに、1つの電極を備える1つの基体と、1つのコンタクト部材との間の電気的に導通した機械的な結合部を生成する方法を提示する。上述した結合部は、好ましくはここに記載する方法を用いて生成することが可能であり、あるいは生成される。特に、本方法用に開示された特徴の全てが上述の固定構造、すなわち上記の電子デバイスおよび/または上記の結合部に用いられ得る。上記の基体,電極,およびコンタクト部材は、好ましくは上記の部品に用いられる。本発明による方法は、上記の電極を有する基体を準備し、かつ上記のコンタクト部材を準備するステップを備える。本発明による方法は、さらに上記電極および上記コンタクト部材を1つのコンタクト領域において直接機械的にコンタクトさせるステップを備える。本発明による方法は、さらに、この電極とコンタクト部材との間の上記の電気的に導通した機械的な結合部がこのコンタクト領域に形成されるように、このコンタクト領域に機械的力および熱を加えるステップを備える。このコンタクト領域は、好ましくはこの電極とコンタクト部材との間の機械的コンタクト部に用いられる。
【0033】
上記の機械的な力は、好ましくはこのコンタクト部材の変形力よりも小さい。さらにこの変形力は、好ましくはこのコンタクト部材の顕著な変形および/または塑性変形でのものである。
【0034】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト領域には、さらなる結合手段無しに、上記の機械的な力および熱が加えられて、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合部がこのコンタクト領域で生成される。
【0035】
機械的な力および熱を加えることは、主にこのコンタクト領域での機械的な力を使用することおよび熱処理を行うことである。特にこの熱を印加すること、すなわち熱を使用することまたは熱を用いて処理することは、空間温度,周囲温度,または標準温度より高い温度で行うものである。
【0036】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト領域において上記の電極に機械的な力が印加されて、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合が生成される。1つの実施形態においては、上記のコンタクト領域において上記のコンタクト部材に機械的な力が印加され、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合が生成される。
【0037】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部の形成のために、上記のコンタクト領域には機械的な力および熱のみが印加される。この実施形態は、機械的な力および熱のみを用いて、他の影響無しに、有利に上記の結合部のとりわけ容易な形成を可能とする。
【0038】
1つの好ましい実施形態においては、上記の接続領域は、少なくとも部分的に上記のコンタクト領域と重なっている。好ましくは上記の接続領域と上記のコンタクト領域は、大面積で一致している。
【0039】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度および機械的な力は、材料の拡散が起こり、これによって上記のコンタクト部材が機械的に強固に上記の電極と結合されるように、設定される。この際電極材料がコンタクト部材へ拡散してよく、またはコンタクト部材の材料が拡散してよい。追加的にまたは代替として、コンタクト部材の材料が電極材料へ拡散してよい。この拡散は、好ましくは固相拡散であり、この場合電極材料の液相およびコンタクト部材の材料の液相は全く関与しない。特に上記の結合部の生成または形成の際には、上述の材料の溶融が全く起こらない。
【0040】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度は、上記の電極材料の融点より低い。
【0041】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度は、上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の融点より低い。この実施形態によって、さらに、上記の結合部の極めて容易な形成または生成を実現することができるが、これはこの結合部の生成ではプロセス技術的に手間のかかる電極材料の溶融および/またはこの結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の溶融を不要とすることができるからである。
【0042】
1つの好ましい実施形態においては、上記の機械的な力は、5ニュートン〜10ニュートンである。
【0043】
1つの好ましい実施形態においては、上記の熱の印加は、350℃〜550℃の温度で行われる。
【0044】
1つの好ましい実施形態においては、本発明による方法は、上記の直接的な機械的結合のステップの後に、上記の結合部をカバーする、たとえば1つの成形体を用いて上記のコンタクト部材を機械的に固定するためのステップを備える。
【0045】
好ましくは上記の結合部は、この結合部のカバー部まで上記の電極と上記のコンタクト部材との間の電気的に導通した結合部となっているように、このコンタクト部材と上記の電極とを、機械的に強固に結合している。
【0046】
この結合部のカバー部は、本発明による固定構造のさらなる加工を可能とし、かつこの結合部の保持力すなわち結合力より大きな、この結合部への機械的な外部の力の遮断を可能とする。
【0047】
この結合力は、上記の結合部の1つの結合領域または複数の結合領域の幾何形状および/または平坦度に依存し得る。
【0048】
この結合力は、0.1N〜10Nの値,たとえば1Nの値となっていると推定してよい。上記の1つの結合領域または複数の結合領域の総面積は、0.1mm2〜10mm2の値,たとえば1mm2の値となっていると推定してよい。
【0049】
1つの好ましい実施形態においては、上記の熱処理のための温度は、上記の電極材料および上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の最も低い融点よりも低い。
【0050】
この最も低い融点は、上記の電極材料および上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の融点の最小値であってよい。
【0051】
本発明のさらなる利点,有利な実施形態,および有用性が、以下に説明する、図に関連した実施例で示される。