特許第6382950号(P6382950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプコス アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6382950電気的に導通した機械的結合部の生成のための固定構造および方法
<>
  • 特許6382950-電気的に導通した機械的結合部の生成のための固定構造および方法 図000002
  • 特許6382950-電気的に導通した機械的結合部の生成のための固定構造および方法 図000003
  • 特許6382950-電気的に導通した機械的結合部の生成のための固定構造および方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382950
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】電気的に導通した機械的結合部の生成のための固定構造および方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/04 20060101AFI20180820BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 21/603 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20180820BHJP
   H01C 17/28 20060101ALI20180820BHJP
   H01C 1/144 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01C7/04
   H01L21/60 301D
   H01L21/603 B
   B23K20/00 310L
   H01C17/28
   H01C1/144
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-509347(P2016-509347)
(86)(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公表番号】特表2016-525787(P2016-525787A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2014055829
(87)【国際公開番号】WO2014173595
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】102013104207.4
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】クロイバー, ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ストラールホファー, ハインツ
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−123614(JP,A)
【文献】 特開平06−268027(JP,A)
【文献】 特開平06−084683(JP,A)
【文献】 特開平05−283294(JP,A)
【文献】 実開昭56−089202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/04
B23K 20/00
H01C 1/144
H01C 17/28
H01L 21/60
H01L 21/603
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの電極(11)を備えた1つの基体(1)と、前記電極(11)と直に機械的にかつ電気的に導通して結合される1つのコンタクト部材(2)と、を備え、
前記コンタクト部材(2)を前記電極(11)に電気的機械的に結合し、前記電極(11)と前記コンタクト部材(2)の間において、互いに分離された複数の結合領域(5)を備える、結合部(3)と、
前記複数の結合領域(5)を含む接続領域(6)と、を有し、
前記接続領域(6)は、前記複数の結合領域(5)が配設されている1つの連続領域を形成し、
前記結合部(3)には、前記結合部(3)に関与する前記電極(11)の材料およびコンタクト部材(2)の材料の溶融領域が無く、
前記結合部(3)は結合材料無しに、たとえばはんだ材料無しに、実現されていることを特徴とする固定機構。
【請求項2】
前記結合部は、前記電極材料と前記コンタクト部材の材料との間の材質接合による拡散接合部によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の固定機構。
【請求項3】
前記電極に向いた前記コンタクト部材(2)の表面、前記結合部(3)が形成されている接続領域(6)に、貴金属表面領域を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の固定機構。
【請求項4】
前記コンタクト部材(2)は、1つのワイヤであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固定機構。
【請求項5】
前記コンタクト部材(2)は、前記結合部(3)が形成されている領域が、たとえば帯状に平坦化(7)されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固定機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定機構を有する電子デバイスであって、
前記基体(1)は、1つのセラミックを含み、たとえば1つのNTCセラミック,または1つの半導体基体を備えることを特徴とする電子デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定機構を有する電子デバイスであって、
前記電子デバイスは、さらに前記結合部(3)を包囲するカバー部(8)を備え、
前記カバー部(8)は、外部の力の作用に対し上記の結合部を保護するように形成されている、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項8】
1つの電極(11)を備えた1つの基体(1)と1つのコンタクト部材(2)との間の電気的に導通した機械的な結合部(3)を生成するための方法であって、
前記電極(11)を有する前記基体(1)を準備し、前記コンタクト部材(2)を準備するステップと、
前記電極(11)と前記コンタクト部材(2)とを1つのコンタクト領域(10)において直に機械的にコンタクトさせるステップと、
前記電極(11)と前記コンタクト部材(10)との間のコンタクト領域(10)に前記電気的に導通した機械的な結合部(3)を形成するように、前記コンタクト領域(10)に機械的力および熱を加えるステップを備え、
前記結合部(3)は、前記コンタクト部材(2)と前記電極(11)の間において、互いに分離れた複数の結合領域(5)を形成し、
前記コンタクト部材(2)、前記電極(11)電気的に導通し機械的に直に結合する接続領域(6)を前記コンタクト領域(10)内に形成し、
前記接続領域(6)は、前記複数の結合領域(5)が配置される1つの連続領域を形成し、
前記熱の印加のための前記温度は、前記電極(11)の材料の融点より低く、および前記結合部(3)用に準備された前記コンタクト部材(2)の材料の融点より低い、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記結合部(3)を形成するための前記コンタクト領域(10)は、前記機械的力および熱のみが印加されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱の印加の温度および前記機械的力は、材料の拡散が起こり、これによって前記コンタクト部材(2)が機械的に強固にかつ電気的に導通して前記電極(11)と結合されるように設定されることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記機械的力は、5N〜10Nであり、前記熱の印加は、350℃〜550℃の温度で行われることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記結合部(3)のカバー部を機械的に直に結合した後、たとえば1つの成形体(11)を用いて前記コンタクト部材(2)を機械的に強固にするステップを備えることを特徴とする、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの基体および1つのコンタクト部材を有する1つの固定構造に関する。
本発明はさらに1つの電子デバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明が解決すべき課題は、改善された結合部、具体的には1つの電極を備える1つの基体と1つのコンタクト部材との間の電気的に導通した機械的結合部を可能とする手法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する固定構造および請求項9に記載の特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態および変形実施例は従属請求項に示されている。
【0004】
本発明が提案する固定構造は、1つの電極および1つのコンタクト部材を備える1つの基体を有し、当該基体と当該コンタクト部材とを電気的に導通して結合しかつ機械的に結合するために、当該コンタクト部材は、この電極と直に機械的に結合され、かつ電気的に導通して結合されている。この電気的に導通した、かつ機械的な結合部は、好ましくは、上記の電極を備えた基体および上記のコンタクト部材を除き、さらなる結合部材または特別な結合手段無しに、形成されている。
【0005】
1つの実施形態においては、上記の電極の材料は、1つの貴金属、たとえば金を含む。さらにこの電極は、1つの貴金属、たとえば金から成っていてよい。さらにこの電極は、1つの半貴金属を含むかまたはこれから成っていてよい。
【0006】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材の材料は、1つの貴金属、たとえば金を含み、または1つの半貴金属を含む。
【0007】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、1つの貴金属、たとえば金から成り、または1つの半貴金属から成っている。
【0008】
1つの実施形態においては、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の上記の結合部は、複数の局所的な、互いに分離された結合領域を備える。上記の電極と上記のコンタクト部材との間の直接的な、機械的かつ電気的に導通した結合部は、この結合部を技術的にとりわけ容易におよび/または安価に形成することを有利に可能とする。
【0009】
1つの実施形態においては、この結合部は、複数の局所的な、互いに分離された結合領域を備える。これらの結合領域は、本発明による固定構造の1つの接続領域に配設されていてよい。この接続領域は、これらの結合領域が配設されている1つの連続領域を形成してよい。これらの結合領域は、空間的に互いに分離されているか、あるいはこれらの結合領域が連続していないように配設されていてよい。この実施形態は、この結合部を技術的にとりわけ容易におよび/または安価に形成することを有利に可能とする。
【0010】
上記の結合部の1つまたは複数の結合領域は、好ましくは本発明による固定構造の、電気的および機械的結合部が形成されている領域(複数)または面部(複数)となっている。
【0011】
1つの実施形態においては、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の上記の結合部は、1つの連続した結合領域を備える。これは1つのとりわけ強固な機械的結合部および/または低抵抗の電気的に導通した結合部の形成を有利に可能とする。
【0012】
1つの連続した結合領域を有する結合部の実施形態の場合においては、上記の接続領域は、好ましくは上記の結合領域を覆っている。
【0013】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、上記の電極材料と上記のコンタクト部材の材料との間の材質接合(stoffschluessige)による拡散接合部(Diffusionsverbindung)によって形成されている。この実施形態は、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の機械的結合を有利に可能とする。
【0014】
この拡散接合は、好ましくは物質拡散、とりわけ好ましくは電極の材料からコンタクト部材の材料への固体拡散またはこの逆の拡散によって形成され、こうして上記の結合部が、この電極材料とコンタクト部材の材料との間の材質接合によって形成される。
【0015】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、この結合部に関与する電極およびコンタクト部材の材料の溶融領域を有しない。この実施形態によって、この結合部は、極めて容易に、特にこの結合部の生成の際に電極材料および/またはコンタクト部材の材料の溶融無しに、好ましく生成することができる。
【0016】
上記のコンタクト部材および上記の電極の材料および/またはその融点については、ここでは単に溶融材料、すなわちこの結合部に関与している、あるいはこれに供与されるコンタクト部材および電極の材料が関係している。このコンタクト部材および電極は、さらにそれぞれ溶融材料に関して異なる材料を含んでよい。
【0017】
電気的な溶接結合では、材質接合および電気的に導通した結合部の生成のための結合材料が通常溶融されるが、ここで局所的に高い温度が必要である。これはたとえばこのようにコンタクトされたデバイスに対する非常に大きな負荷がもたらされ、そしてこのデバイスに損傷をもたらす。これらの欠点は、本発明が提示する結合部によって、この結合部を、溶融領域の関与および/または高い温度の生成無しに形成することによって、回避することができる。
【0018】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部は、結合材料無しに、たとえばはんだ材料無しに実現されている。これはいかなる結合材料、たとえばはんだ材料無しに、上記の結合部の形成または生成することを可能とし、これによってたとえば結合材料を含むはんだ結合部またはその他の結合部と比較して、この結合部の形成または生成を容易とすることができる。
【0019】
本発明が提示する結合部の利点は、たとえば上記のコンタクト部材と電極との間のはんだ結合を用いて結合されたことによるであろう欠点が、本発明が提示する結合部では生じないことである。電気的なコンタクト部では、90%より高い鉛含有率の高温はんだ(300℃以上の融点を有するはんだ)がしばしば用いられる。さらに錫ベースの鉛フリーのはんだを用いた電気的コンタクト部を有するデバイスが用いられる可能性がある。このような結合部の欠点は、上記のようなはんだ材料のマイグレーションに対する耐性に関する。湿った環境において、および/または電圧を印加した際には、しばしば上記のはんだおよび/または電極からの金属イオンのマイグレーションが起こる。特にマイグレーションしやすいのは、具体的には、たとえば電極からの銀であり、はんだからの鉛である。
【0020】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部材の、上記の電極に向いた表面は、上記の結合部が形成されている接続領域において、貴金属の表面領域を備える。この実施形態は、上記のコンタクト部材と電極との間の結合部のとりわけ容易な生成を有利に可能とするが、これはコンタクト部材の1つの表面での貴金属の安定性によって、このコンタクト部材の表面での望ましくない酸化層の形成が妨げられ得るからである。このような酸化層は、電気的結合部の電気的特性に悪い影響を与え得る。代替として、有害な酸化層形成も同様に妨げることができる保護ガス雰囲気においては、上記のような電気的結合部の生成を不要とすることができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、ニッケルから成り、またはニッケルを含んでいる。
【0022】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、1つの接続領域において、1つの貴金属によってコーティングされている。
【0023】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は、この接続領域において、1つの貴金属によって部分的にコーティングされている。この実施形態は、上記の結合部あるいは固定構造のとりわけ安価な生成を有利に可能とする。
【0024】
この接続領域は、数mmのサイズ、たとえば5mmのサイズを有する。
【0025】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部は1つのワイヤである。この実施形態によって、上記の基体は、とりわけ好適にこのコンタクト部材を介してもう1つの部品と機械的または電気的に結合することができる。この実施形態によれば、このコンタクト部材の長さは、好ましくは数cmであり、たとえば5cmである。
【0026】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、平坦部無しに形成されている。
【0027】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト部材は、1つの絶縁部を備える。この絶縁部は、好ましくは上記の接続領域の外側に配設されている。この実施形態によって、上記のコンタクト部材は、有利に外部の影響に対し電気的に絶縁することができる。
【0028】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト部材は、上記の結合部が形成されている領域において、たとえば帯状に平坦化されている。これは有利に上記のコンタクト部材のできる限り大きな接続領域の形成を可能とする。
【0029】
さらに本発明は、上記の固定構造を備える電子デバイスを提示する。この電子デバイスは、さらに上記の固定構造と成っていてよい。好ましくはこの電子デバイスは上記の固定構造である。
【0030】
本発明による電子デバイスの1つの好ましい実施形態においては、上記の基体は、1つのセラミック、たとえばNTCセラミックを含み,または1つの半導体を含む。
【0031】
本発明による電子デバイスの1つの好ましい実施形態においては、この電子デバイスは追加的に上記の結合部を包囲するカバー部を備える。このカバー部は、これが外部の力の作用に対し上記の結合部を保護するように配設かつ形成されている。このカバー部は、好ましくは外部からの機械的力に対し上記の結合部を保護している。このカバー部は、たとえば上記の結合部を機械的に強固にするための成形体を含んでよい。
【0032】
本発明はさらに、1つの電極を備える1つの基体と、1つのコンタクト部材との間の電気的に導通した機械的な結合部を生成する方法を提示する。上述した結合部は、好ましくはここに記載する方法を用いて生成することが可能であり、あるいは生成される。特に、本方法用に開示された特徴の全てが上述の固定構造、すなわち上記の電子デバイスおよび/または上記の結合部に用いられ得る。上記の基体,電極,およびコンタクト部材は、好ましくは上記の部品に用いられる。本発明による方法は、上記の電極を有する基体を準備し、かつ上記のコンタクト部材を準備するステップを備える。本発明による方法は、さらに上記電極および上記コンタクト部材を1つのコンタクト領域において直接機械的にコンタクトさせるステップを備える。本発明による方法は、さらに、この電極とコンタクト部材との間の上記の電気的に導通した機械的な結合部がこのコンタクト領域に形成されるように、このコンタクト領域に機械的力および熱を加えるステップを備える。このコンタクト領域は、好ましくはこの電極とコンタクト部材との間の機械的コンタクト部に用いられる。
【0033】
上記の機械的な力は、好ましくはこのコンタクト部材の変形力よりも小さい。さらにこの変形力は、好ましくはこのコンタクト部材の顕著な変形および/または塑性変形でのものである。
【0034】
1つの好ましい実施形態においては、上記のコンタクト領域には、さらなる結合手段無しに、上記の機械的な力および熱が加えられて、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合部がこのコンタクト領域で生成される。
【0035】
機械的な力および熱を加えることは、主にこのコンタクト領域での機械的な力を使用することおよび熱処理を行うことである。特にこの熱を印加すること、すなわち熱を使用することまたは熱を用いて処理することは、空間温度,周囲温度,または標準温度より高い温度で行うものである。
【0036】
1つの実施形態においては、上記のコンタクト領域において上記の電極に機械的な力が印加されて、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合が生成される。1つの実施形態においては、上記のコンタクト領域において上記のコンタクト部材に機械的な力が印加され、上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合が生成される。
【0037】
1つの好ましい実施形態においては、上記の結合部の形成のために、上記のコンタクト領域には機械的な力および熱のみが印加される。この実施形態は、機械的な力および熱のみを用いて、他の影響無しに、有利に上記の結合部のとりわけ容易な形成を可能とする。
【0038】
1つの好ましい実施形態においては、上記の接続領域は、少なくとも部分的に上記のコンタクト領域と重なっている。好ましくは上記の接続領域と上記のコンタクト領域は、大面積で一致している。
【0039】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度および機械的な力は、材料の拡散が起こり、これによって上記のコンタクト部材が機械的に強固に上記の電極と結合されるように、設定される。この際電極材料がコンタクト部材へ拡散してよく、またはコンタクト部材の材料が拡散してよい。追加的にまたは代替として、コンタクト部材の材料が電極材料へ拡散してよい。この拡散は、好ましくは固相拡散であり、この場合電極材料の液相およびコンタクト部材の材料の液相は全く関与しない。特に上記の結合部の生成または形成の際には、上述の材料の溶融が全く起こらない。
【0040】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度は、上記の電極材料の融点より低い。
【0041】
1つの好ましい実施形態においては、熱の印加のための温度は、上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の融点より低い。この実施形態によって、さらに、上記の結合部の極めて容易な形成または生成を実現することができるが、これはこの結合部の生成ではプロセス技術的に手間のかかる電極材料の溶融および/またはこの結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の溶融を不要とすることができるからである。
【0042】
1つの好ましい実施形態においては、上記の機械的な力は、5ニュートン〜10ニュートンである。
【0043】
1つの好ましい実施形態においては、上記の熱の印加は、350℃〜550℃の温度で行われる。
【0044】
1つの好ましい実施形態においては、本発明による方法は、上記の直接的な機械的結合のステップの後に、上記の結合部をカバーする、たとえば1つの成形体を用いて上記のコンタクト部材を機械的に固定するためのステップを備える。
【0045】
好ましくは上記の結合部は、この結合部のカバー部まで上記の電極と上記のコンタクト部材との間の電気的に導通した結合部となっているように、このコンタクト部材と上記の電極とを、機械的に強固に結合している。
【0046】
この結合部のカバー部は、本発明による固定構造のさらなる加工を可能とし、かつこの結合部の保持力すなわち結合力より大きな、この結合部への機械的な外部の力の遮断を可能とする。
【0047】
この結合力は、上記の結合部の1つの結合領域または複数の結合領域の幾何形状および/または平坦度に依存し得る。
【0048】
この結合力は、0.1N〜10Nの値,たとえば1Nの値となっていると推定してよい。上記の1つの結合領域または複数の結合領域の総面積は、0.1mm2〜10mm2の値,たとえば1mm2の値となっていると推定してよい。
【0049】
1つの好ましい実施形態においては、上記の熱処理のための温度は、上記の電極材料および上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の最も低い融点よりも低い。
【0050】
この最も低い融点は、上記の電極材料および上記の結合部用に準備されたコンタクト部材の材料の融点の最小値であってよい。
【0051】
本発明のさらなる利点,有利な実施形態,および有用性が、以下に説明する、図に関連した実施例で示される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明による固定構造の概略図を示す。
図2】本発明による固定構造の概略上面図を示す。
図3】本発明による固定構造の概略側面図を示す。
【0053】
これらの図中で同じ要素、同様な要素、および同等に機能する要素には、同じ参照符号が付されている。これらの図、およびこれらの図に示された要素相互の大きさの関係は、縮尺通りとはなっていない。むしろ個々の要素は、より見易いように、および/またはより理解しやすいように、誇張して大きく図示されている場合がある。
【0054】
図1は、1つの基体1を有する1つの固定構造100を示す。この基体1は、たとえば、1つのセンサヘッド,具体的には焼結されプレスされた1つの円盤の形状のNTCセラミック,1つの半導体,またはこれらの部材の1つからなる基体であってよい。ここでこの半導体は丸くなっていてよく、または角張っていてよい。この固定構造は、1つの電子デバイス(図には顕わに示されていない)の一部であってよい。好ましくはこの電子デバイスは上記の固定構造である。
【0055】
基体1は1つの電極11を備える。この電極11は、好ましくは電極層として基体1上に取り付けられている。さらに固定構造100は、1つのコンタクト部材2を備え、このコンタクト部材は、基体1とこのコンタクト部材2との間の結合部3を形成するために、電極11と直接機械的にかつ電気的に導通して結合されている。
【0056】
コンタクト部材2は好ましくは1つのワイヤである。さらにこのコンタクト部材2は、その基体1に向いた端部に1つの平坦部7を備える。この平坦部7は、帯状に形成されていてよい。この平坦部7は、コンタクト部材2が電極11と電気的に導通して結合され、あるいは結合部3が形成されるように、好ましくは1つの領域の上に延伸している。
【0057】
代替としてこのコンタクト部材は、平坦部無しに構成されていてよい。さらにこのコンタクト部材には、1つの絶縁部(図には顕わに示されていない)が設けられていてよい。
【0058】
この絶縁部は、上記のコンタクト部材の領域に配設されていてよく、この領域においてはこのコンタクト部材は、全く平坦部を有しない。
【0059】
さらにコンタクト部材2は、1つの接続領域6において、電極11と電気的に導通し、かつ機械的に直に結合されている。好ましくは上述の平坦部7は、この接続領域6に配設されている。この絶縁部は、目的に合わせて上記の接続領域6の外側に配設されている。
【0060】
好ましくは、電極11に向いているコンタクト部材2の表面は、上記の接続領域6に、貴金属の表面領域を備える。このコンタクト部材2は、この接続領域6において、1つの貴金属でコーティングされていてよい。さらにこのコンタクト部材2は、この接続領域6において、1つの半貴金属でコーティングされていてよい。
【0061】
図には顕わに示されていないが、本発明による固定機構は、1つ以上のさらなるコンタクト部材を備えてよい。この際上記の基体は、1つ以上のさらなる電極を備えてよく、これらの電極は、さらなる結合部を形成するために、それぞれ上記のさらなるコンタクト部材の1つと電気的に導通し、かつ機械的に直に結合されている。
【0062】
好ましくは結合部3は、上記の接続領域に形成されている。好ましくはこの結合部3は、電極11の電極材料とコンタクト部材2の材料との間に、1つの材質接合である拡散接合によって形成されている。好ましくはこの結合部3には、この結合部3に関与する電極11およびコンタクト部材2の材料の溶融領域がない。同様に好ましくはこの結合部3には、結合材料が無く、たとえばはんだ材料無しに実現されている。図1にはコンタクト部材2がワイヤとして示されている。さらに図1には、1つのカバー部8が示されており、このカバー部は基体コンタクト部材2の一部を覆い、かつ機械的に強固にしている。
【0063】
図2は、図1に追加して、局所的な、互いに分離された結合領域(複数)5を示し、好ましくは、これらは上記の電極と上記のコンタクト部材との間の結合部を生成する。好ましくはこの局所的な結合領域5は、コンタクト部材と電極11との間の直の機械的な結合部および電気的に導通した結合部を生成する。この際これらの局所的結合領域5は、電極材料とコンタクト部材2の材料との、1つの材質接合である拡散接合によって生成されている。さらにこれらの局所的結合領域5は、空間的に分離されて、あるいは空間的に繋がっていないように配設されている。
【0064】
図2に示すものとは異なり、コンタクト部材と電極11との間の直の機械的な結合部および電気的に導通した結合部を生成する、1つの繋がった結合領域のみが存在してもよい。
【0065】
図3は、固定機構100の側面図を示す。コンタクト領域10が示されており、ここで、結合部3の生成のために、矢印9によって示された機械的力が、このコンタクト領域10に結合部3を生成するために印加される。すなわちこのコンタクト領域はこの力の衝撃を受ける。好ましくはこの結合部3は、上記のコンタクト領域10に形成されている。この機械的力の印加では、上記の力9は、好ましくは電極11を有する基体1とコンタクト部材2との間で相対的に作用する。ここでこの基体は固定または保持されることができ、この状態でコンタクト部材に力9が直に印加されるか、あるいはこの逆の関係となる。この機械的力は、5N〜10Nであってよい。
【0066】
好ましくは、コンタクト領域10は接続領域6によって覆われている。さらにこのコンタクト領域10には熱が印加される。すなわち熱処理される。これは350℃〜550℃の温度で行われてよく、たとえば450℃で行われてよい。
【0067】
好ましくは上記の結合部の形成のために、上記のコンタクト領域10には機械的な力および熱のみが印加される。好ましくはこの熱の印加の温度および機械的な力は、材料(電極材料およびコンタクト部材の材料)の拡散が起こり、これによってコンタクト部材が電極と機械的に強固に結合されるように設定される。
【0068】
以上で説明した方法によって、上記の結合部の生成のための処理温度は、関与する材料または金属の融点より顕著に低く維持することができる。
【0069】
好ましくはこの結合部は、電気的に低抵抗である。この「低抵抗」なる表現は、1マイクロオーム(μΩ)または数マイクロオームから1ミリオーム(mΩ)または数ミリオームの間の電気抵抗を意味する。
【0070】
本発明は上記の実施例を参照した説明によって限定されない。むしろ本発明は、特に請求項中の特徴の組み合わせそれぞれが含むいかなる新規な特徴、並びにいかなる新規な特徴の組み合わせをも、たとえその特徴またはその組み合わせがそれ自体として請求項または実施例に明示されていなくとも、含むものである。
【符号の説明】
【0071】
1 : 基体
2 : コンタクト部材
3 : 結合部
5 : 局所的結合領域
6 : 接続領域
7 : 平坦部
8 : カバー部
9 : 力
10 : コンタクト領域
11 : 電極
100 : 固定機構
図1
図2
図3