特許第6382959号(P6382959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382959車両の位置を定めるための方法、装置、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382959
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】車両の位置を定めるための方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20180820BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180820BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20180820BHJP
【FI】
   H02J50/90
   B60L11/18 C
   H02J50/10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-516969(P2016-516969)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-537941(P2016-537941A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2014066147
(87)【国際公開番号】WO2015043797
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月24日
【審判番号】不服2017-9365(P2017-9365/J1)
【審判請求日】2017年6月27日
(31)【優先権主張番号】102013219239.8
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(72)【発明者】
【氏名】ビルトシュタイン、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】エッカート、ベルント
【合議体】
【審判長】 國分 直樹
【審判官】 鈴木 圭一郎
【審判官】 関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/121184(WO,A1)
【文献】 特表2013−524761(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0146426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を定める方法であって、以下の処理工程、すなわち、
車両(1)に配置された第1の磁場センサ(11)を用いて、第1の位置(A−i)において、磁場の少なくとも1つの第1の磁場強度を測定する工程(S01)と、
前記第1の磁場センサ(11)から間隔を置いて前記車両(1)に配置された第2の磁場センサ(12)を用いて、第2の位置(B−i)において、前記磁場の少なくとも1つの第2の磁場強度を測定する工程(S02)と、
少なくとも、測定された前記第1の磁場強度および前記第2の磁場強度に基づくデータと、前記磁場の所定の磁場情報との比較によって、前記車両(1)の位置データを定める工程(S03)と、
前記位置データに基づいて信号を出力する工程(S04)と、
前記車両(1)の通信装置へと前記所定の磁場情報を無線により伝達する工程と、
を含み、
前記伝達する工程において伝達される前記所定の磁場情報は、前記車両(1)に対して非接触式の給電を行う充電ステーション個別の磁場強度分布を示す、方法。
【請求項2】
前記第1の磁場強度を測定する工程(S01)と前記第2の磁場強度を測定する工程(S02)とは、定期的または連続的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁場は、コイル内での残留磁気の形成により生成される、請求項1、または2に記載の方法。
【請求項4】
前記磁場は、コイルへの電圧の印加により生成される、請求項1、または2に記載の方法。
【請求項5】
前記磁場は、連続的または断続的に生成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の磁場強度勾配が第3の位置(A−i、B−i)で決定され、および/または、第2の磁場強度勾配が第4の位置(A−i、B−i)で決定され、
前記車両の前記位置データを定める工程(S03)は、さらに、前記第1の磁場強度勾配および/または前記第2の磁場強度勾配と、前記磁場の前記所定の磁場情報との比較に基づき行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記車両に配置された少なくとも1つのさらなる別の磁場センサ(13、14)であって、磁場センサ(11、12、13、14)それぞれは他の磁場センサ(11、12、13、14)それぞれから間隔が置かれている、前記少なくとも1つのさらなる別の磁場センサ(13、14)は、前記第1の磁場強度を測定する工程(S01)と同時に、および、前記第2の磁場強度を測定する工程(S02)と同時に、前記磁場の少なくとも1つの第3の磁場強度を測定するために利用され、
前記車両の前記位置データを定める工程(S03)は、さらに、前記少なくとも1つの第3の磁場強度に基づくデータと、前記磁場の前記所定の磁場情報との比較に基づき行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
車両の位置を定める装置であって、
車両(1)に配置された第1の磁場センサ(11)と、
前記第1の磁場センサ(11)から間隔を置いて前記車両(1)に配置された第2の磁場センサ(12)と、
前記車両(1)に配置された計算装置(20)であって、少なくとも、前記第1の磁場センサおよび前記第2の磁場センサ(11、12)により測定された磁場の磁場強度に基づくデータと、前記磁場の所定の磁場情報とを比較することが可能な前記計算装置(20)と、
第1の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、前記磁場情報を第2の通信装置から無線で受信し、
前記磁場情報は、前記車両(1)に対して非接触式の給電を行う充電ステーション個別の磁場強度分布を示す、装置。
【請求項9】
第1の通信装置をさらに有する請求項8に記載の装置と、
前記第1の通信装置へと、請求項8に記載の装置において測定された磁場の所定の磁場情報を無線により伝達するよう構成された第2の通信装置と、
を備え、
前記所定の磁場情報は、前記車両(1)に対して非接触式の給電を行う充電ステーション個別の磁場強度分布を示す、車両の位置を定めるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の位置を定めるための方法、装置、およびシステムに関する。特に、本発明は、車両の蓄電池の非接触式充電のための環境において、例えば充電ステーションにおいて車両の位置を定めるための方法および装置に関する。さらに、本発明は、好適に充電コイルの所定の充電位置に対して、車両に配置された受信コイルの位置を検出し、当該受信コイルを位置決めするための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気で駆動する車両、例えば電気自動車は、電動機を駆動するためのエネルギーを、通常は蓄電池に蓄える。このような蓄電池は、例えば、非接触式充電により充電されうる。このような非接触式の充電システムは、しばしば地中システムとして構成され、受信コイルを備える電気で駆動する車両は、対応する電子機器と共に地中に埋め込まれた送信コイルの上方で位置決めされる。送信コイルによって受信コイル内で電流が誘起され、この電流によって蓄電池が充電される。このような非接触式充電システムの効率のためには、送信コイルに対して相対的に受信コイルを正確に方向付けることは、基本的に制限を掛ける要因となりうる。送信コイルは、通常、送信コイルに対して所定の充電位置に受信コイルが位置決めされた際に非接触式充電の最大可能な効率が獲得されるように、構成される。
【0003】
国際公開第2011/114208号明細書では、電気自動車を位置決めする方法、および対応する電気自動車が記載されている。ここでは、カメラによって車両の外側の姿が撮影されて、車両内のスクリーンに表示される。表示されたカメラの映像によって、車両の運転者は目視で電気自動車の方向を定めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載の特徴を備えた方法、請求項9に記載の特徴を備えた装置、および、請求項10に記載の特徴を備えたシステムを開示する。本発明に係る装置を備えた車両も、本発明に属する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の根底には、非接触式のエネルギー伝送のために必要なハードウェアを、送信コイルに対して相対的に所定の充電位置に車両の受信コイルを位置決めするために利用するという考えが有る。車両に配置された第1の磁場センサおよび第2の磁場センサによって、少なくとも所定の充電位置の上方を延びる磁場が、1回または複数回測定される。測定された磁場強度は、磁場の所定の磁場情報と直接比較することが可能であり、この比較に応じて、磁場に対する磁場センサの現在の位置を推定することが可能である。測定された第1の磁場強度および第2の磁場強度に基づくデータも、所定の磁場情報と比較することが可能である。例えば、測定された第1の磁場強度および第2の磁場強度に基づいて、場合によってはさらなる別の測定にも基づいて、磁場強度勾配を計算することが可能である。
【0007】
所定の磁場情報は、所定の磁場強度分布、つまり磁場の磁束線についての情報を含み、すなわち、面または空間の機能としての磁場強度および磁場方向を含みうる。磁場強度分布は、固定された発生源に対して相対的に表わすことが可能である。発生源には、例えば磁場生成装置が存在し、例えば非接触式充電のための送信コイルが存在しうる。しかしながら、磁場情報は、磁場生成装置の形態についての情報も含み、例えば、磁場生成装置は環状コイルであり、このようなコイルが生成する磁場はどのような磁場強度勾配分布を有するのかという情報も含みうる。
【0008】
所定の磁場強度分布から、または追加情報から、送信コイルが磁場強度分布に関してどこに存在するのかが分かる。さらに、第1の磁場センサおよび第2の磁場センサ、ならびに、場合によりさらなる別の磁場センサが、これら磁場センサが配置されている車両の受信コイルに対してどのように配置されているのかが分かる。このようにして、測定された磁場強度から、特に送信コイルに対して相対的な、車両の位置データ、特に車両の受信コイルの位置データを定めることが可能である。
【0009】
従来、非接触式充電システムの送信コイルは、磁場の構築のために適している。すなわち送信側では、有利に、追加的な電子素子が必要ではなく、または非常に少数の追加的な電子素子が必要である。したがって、本発明に係る方法または本発明に係るシステムは、特にコストが低く、多方面で使用することが可能である。位置公差を有する(positionstolerant)コイルシステムは必要とならない。本発明に係る装置は原則的に、どの種類の送信コイルとも機能し、すなわち大きな相互運用性が与えられている。
【0010】
有利な実施形態および発展形態は、従属請求項および以下の明細書の記載から、図面を参照して明らかとなろう。
【0011】
本発明に係る方法の好適な発展形態によれば、第1の磁場強度および第2の磁場強度の測定工程は、定期的または連続的に行われる。連続的な測定によって、本発明に係る方法の精度がさらに改善されうる。連続的な測定に代わる定期的な測定によって、必要な計算コストが削減されうる。1の測定と後続の測定との間の測定速度は、動的にも調整されうる。例えば、測定は最初に、第1の時間間隔で定期的に行われうる。磁場センサが、受信コイルがそこで所定の充電位置に配置されている位置の近傍に存在する場合には、測定は例えば、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で行われうる。その都度より短くなる時間間隔によってこのように測定の精度を上げることを、複数回繰り返してもよい。所定の充電位置からの所定の最大距離内に受信コイルが存在する場合には、特に厳密な方向付けが可能となるように、測定は最終的に連続的に行われうる。
【0012】
さらなる別の好適な発展形態によれば、磁場は、コイル内での残留磁気の形成により生成される。例えば、送信コイルによる先行する非接触式充電の際に、コイル内に、非接触式充電過程を過ぎても存続する残留磁気が生じている可能性がある。磁場情報、すなわち例えば、残留磁気に従った磁場強度分布を、特に残留磁場が全ての非接触式充電過程の後にもほぼ同じ状態である場合には、知ることができる。残留磁気の磁場強度分布は、例えば各非接触式充電過程の後に、自動的に測定することも可能である。
【0013】
さらなる別の好適な発展形態によれば、磁場は、コイルへの電圧の印加により生成される。すなわち、磁場は、コイルに印加された電圧によって生成される。例えば、非接触式充電のために決定された送信コイルに、当該非接触式充電の前に所定の電流が印加されうる。この場合に、磁場の所定の磁場強度分布は、送信コイルの既知の特性および印加された電流に基づいて分かる。有利に、一方では、明確に測定される十分に不均一な、磁場の磁場強度分布を発生させ、それと同時に、非接触式充電過程の間に送信コイルに印加される他の電流よりも少ない電力を消費する電流が印加されうる。
【0014】
さらなる別の好適な発展形態によれば、磁場は、連続的または断続的に生成される。ここでも、必要な精度および所望の目標設定に従って、より頻繁なまたは連続的な磁場の生成による測定精度の向上と、磁場をほとんど生成しないことによるエネルギー節約の希望と、の間のバランスが調整されうる。磁場を生成できる磁場生成装置が、例えば、原始的な位置決めシステムと結合されている場合には、断続的な磁場生成の頻度も動的に調整されうる。したがって、磁場生成装置と結合された車両センサ、例えば光バリアによって、受信コイルを備えた車両が、所定の充電位置に受信コイルが配置される位置にだいたい近づいて来ていることが確認された場合には、例えば、磁場の断続的な生成の頻度を上げることができる。
【0015】
さらなる別の好適な発展形態によれば、本発明に係る方法は、以下の処理工程をさらに有し、すなわち、車両の通信装置へと、所定の磁場情報、例えば磁場強度分布を無線により伝達する工程を有する。これにより、車両の非接触式充電のための様々な充電ステーションの磁場は、常に同一の磁場強度分布を有する必要がない。むしろ、例えば、特定の充電ステーションに車両が接近した際には、その充電ステーションの磁場の各個別の磁場強度分布が、所定の磁場情報として、車両の通信装置へと伝送されうる。この伝達は、例えば、車両の要求に応じて行われてもよい。車両の要求は、例えば、車両の磁場センサが所定の最小値を上回る磁場強度を測定し次第、車両の通信装置によって送信されてもよい。これにより、本発明に係る方法の多様性がさらに高められる。というのは、例えば本方法はこのようなやり方で、各任意の充電ステーションと共に機能しうるからである。
【0016】
充電ステーションで利用され様々な磁場情報を各々が有する、所定数の様々な構成による非接触式充電システムが存在する場合には、例えば簡単な識別コードのみ車両の通信装置に伝達することも可能である。その場合通信装置は、伝達されたコードに基づいて、通信装置の事前にプログラミングされたメモリから、当該コードが示す磁場情報を読出して、本発明に係る方法での利用のために転送することが可能である。
【0017】
さらなる別の好適な発展形態によれば、第1の磁場強度勾配が、第3の位置で決定される。第2の磁場強度勾配も、第4の位置で決定されうる。好適に、第1の磁場強度勾配および第2の磁場強度勾配は、基本的に第1の位置または第2の位置において、かつ、基本的に第1の磁場強度の測定および第2の磁場強度の測定と同時に決定される。したがって、第1の磁場強度勾配と第2の磁場強度勾配とは、測定された第1の磁場強度および第2の磁場強度に基づくデータでもありうる。第1の磁場強度勾配または第2の磁場強度勾配は、例えば、第3の位置または第4の位置の環境下で磁場強度が複数回測定されることによって、決定されてもよい。上記測定された磁場強度と、例えば車両の既知の移動とに基づいて、その都度の磁場強度勾配が決定されうる。車両の位置データを定める工程は、さらに、第1の磁場強度勾配および/または第2の磁場強度勾配と、磁場の所定の磁場情報との比較に基づいていてもよい。
【0018】
磁場強度勾配も、磁場の所定の磁場情報の磁場強度勾配と比較することによって、本方法が加速され、および/または、より高い精度で実行されうる。所定の磁場情報によれば車両の現在の位置よりも磁場強度が高い所望の位置へと、例えば前方方向に車両が移動する場合には、正の値として決定された磁場強度勾配から、車両は有利に方向を変更せずにさらに移動するべきであるということが推定されうる。同じ状況で負の値の磁場強度勾配が決定された場合には、すなわち、車両の現在の移動で磁場強度が弱くなる場合には、車両の方向変更が有利であることが推定されうる。
【0019】
所定の充電位置の領域内では、磁場はしばしば、局所的に比較的均一である。車両の移動時に、測定される磁場強度勾配がより平坦になりまたは当該勾配が無くなる場合には、所定の充電位置に達しておりまたは当該位置にもう少しで達することが、推定されうる。
【0020】
2つより多い磁場センサ、例えば3つ、4つ、またはそれより多い磁場センサが車両に設けられる場合には、対応して各磁場センサでは、各磁場センサの現在の位置での磁場強度のみ決定されるのではなく、さらに、対応する位置での磁場強度勾配も決定されうる。この場合、どのような形態のコイル(例えば環状コイル)によって磁場が生成され、このコイルがどのような磁場強度勾配分布を有するのかという情報が磁場情報に含まれる場合には十分でありうる。その際に、磁場強度勾配分布は、絶対値に対する、純粋な相対値も含みうる。この情報は、事前にプログラミングされて一定であってもよく、したがって、信号の伝達が必要ではない。これにより、車両の位置データを定める工程は、最終的に、磁場強度勾配の決定に応じて、すなわち、磁束密度、磁場の変化に応じて行われてもよい。その際に、磁場の磁場強度についての情報は、磁場情報の構成要素として不可欠ではないが、例えば検証のために利用されうる。
【0021】
さらなる別の好適な発展形態によれば、少なくとも1つのさらなる別の磁場センサが、第1の磁場強度の測定工程と同時に、および、第2の磁場強度の測定工程と同時に、磁場の少なくとも1つの第3の磁場強度を測定するために利用される。その際に、少なくとも1つのさらなる別の磁場センサは、各他の磁場センサから間隔を置いて車両に配置されている。したがって、車両の位置データを定める工程は、さらに、少なくとも1つの第3の磁場強度と、磁場の所定の磁場情報と、の比較にも基づきうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下では、本発明が、図面の概略図に示された実施例を用いて詳細に解説される。
図1】本発明の第1の実施形態に係る本発明に係る方法を図示するための概略的なフロー図を示す。
図2】本発明の第2の実施形態に係る車両の位置を定める装置を備えた車両の概略図を示す。
図3】本発明に係る方法を解説するための、磁場強度が測定される第1の位置および第2の位置の概略図を示す。
図4】本発明の第3の実施形態に係る車両の位置を定める装置を備えた車両の概略図を示す。
【0023】
全ての図において、同一または機能的に同一の構成要素および装置には、特に明記しない限り、同一の符号が付される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、第1の実施形態に係る本発明に係る方法を図示するための概略的なフロー図を示す。図1を説明するために、以下では、後続の図2および図3に関連する符号が利用される。
【0025】
第1の処理工程S01において、磁場の少なくとも1つの第1の磁場強度が、第1の位置A−iで、第1の磁場センサ11によって測定される。その際、第1の磁場センサ11は、車両1に配置されている。
【0026】
さらなる別の工程S02において、磁場の少なくとも1つの第2の磁場強度が、第2の位置B−iで、第2の磁場センサ12によって測定される。第2の磁場センサ12は、第1の磁場センサ11から間隔を置いて車両1に配置されている。有利に、測定工程S01、S02は、第1のセンサ11または第2のセンサ12で、それぞれ同時に行われる。測定が同時に行われない場合には、磁場センサ11、12同士の既知の配置に基づいて、ならびに、車両1の既知の移動、および、測定工程S01と測定工程S02との間の既知の時間差に基づいて、第1の位置A−iに対して第2の位置B−iがどこに存在するのかが帰納的に推定されうる。
【0027】
測定工程S02が、測定工程S01と同時に行われる場合には、第2の磁場センサ12に対する第1の磁場センサ11の既知の位置関係によって、第1の位置A−iが第2の位置B−iとどのような位置関係にあるのかが分かる。このやり方は、対応して、全ての第1の位置A−iおよび全ての第2の位置B−iについて可能である。車両1の既知の移動、および、第1の位置A−iでの測定工程S01の既知の時間間隔に基づいて、第1の測定位置A−i同士の位置関係も推定することが可能である。同じやり方が、第2の位置B−iについても可能である。例えば、車両の移動についての情報が車両のナビゲーション装置により決定されて伝達されることにより、車両1の移動が分かる。
【0028】
処理工程S03において、少なくとも、測定された第1の磁場強度および測定された第2の磁場強度と、磁場の所定の磁場強度分布との比較によって、車両1の位置データが定められる。当該定める工程S03は、さらに、車両のナビゲーション装置により提供可能な車両のナビゲーションデータに基づきうる。ナビゲーションデータは、例えば、車両1の車輪軸の回転および車輪5の位置についての情報を含みうる。車輪5の各ヨーポジション(Gierstellung)と関連した、車輪5の積分された回転速度に基づいて、車両1の軌道を再構成することが可能である。これにより、車両の現在の位置と、第1の位置A−1および第2の位置B−iとを空間的に関係付けることが可能である。
【0029】
空間的に互いに関係付けられた第1の位置A−i、第2の位置B−iでの、測定された第1の磁場強度および第2の磁場強度と、磁場の所定の磁場強度分布の既知の磁場強度との比較によって、車両1の現在の位置が、所定の磁場強度分布に対して定められうる。さらに、車両1に設けられた受信コイル3がどこに配置されているのかが分かる。したがって、処理工程S03で定められる車両1の位置データは、車両1の受信コイル3が、磁場の所定の磁場強度分布に対してどこに存在するのかについての情報も含みうる。
【0030】
さらに、所定の充電位置が、磁場の所定の磁場強度分布に関してどこに存在するのかが分かる。所定の充電位置とは、例えば送信コイルから受信コイルへの可能な限り効率の良い非接触式のエネルギー伝送を可能にするために車両1の受信コイル3が存在すべき位置である。したがって、車両1の位置データは、車両1の受信コイル3が所定の充電位置に対して現在どこに存在するのかについての情報も含みうる。
【0031】
処理工程S04において、位置データに基づいて信号が出力される。出力される信号は、例えば制御信号であってもよい。車両1が、例えば、車両1を自動的に制御するための装置を有する場合には、出力される信号は、この制御装置への制御信号であってもよい。このような制御装置は、例えば自動的な駐車補助の枠組みにおいて車両1内に形成されうる。制御信号は、受信コイル3が所定の充電位置にくるように車両1を動かすよう、制御装置に指示することが可能である。
【0032】
しかしながら、出力される信号は、ユーザへの制御アドバイスであってもよい。制御装置は、受信コイル3が所定の充電位置にくるように車両1を位置決めするために、車両1を制御するように、ユーザに指示することが可能である。制御指示は、例えば聴覚的に出されてもよい。第1のピーという音は、例えば、車両をもっと左に向けるという指示を意味し、第2のピーという音は、車両をもっと右に向けるという指示を意味してもよい。代替的に、聴覚的な制御アドバイスは、言語発話として実現されうるであろう。例えば、「前へ」、「後ろへ」、「左へ」、または「右へ」等のコンピュータ音声による指示があるであろう。このような方向指示はさらに、「ほぼ」、「もう少し」等の限量詞によって、または、「1メートル」等の正確な表現により補足されうるであろう。
【0033】
制御指示は、例えば、車両1のスクリーンに方向矢印が表示されることで、または、概略的な図で、車両1の現在の位置と車両1の所望の位置とが比較されることで、光学的にも実現されうる。その際車両1の所望の位置とは、受信コイル3が所定の充電位置にくる車両1の位置である。
【0034】
図2は、車両の位置を定めるための本発明に係る装置を備えた車両の概略図を示している。
【0035】
図2によれば、車両1には、第1の磁場センサ11と第2の磁場センサ12が形成されている。第1の磁場センサ11および第2の磁場センサ12は、間隔d1を取って車両1の横軸Qに沿って配置されている。横軸Qは、車両1の縦軸Lに直交している。前方方向Vに直進する際に、車両1は、縦軸Lに沿って移動する。第1の磁場センサ11と第2の磁場センサ12との間には、受信コイル3が配置されている。受信コイル3は、特に、車両1の蓄電池を非接触式で充電するための受信コイルである。受信コイル3は、縦軸Lおよび/または横軸Qに対して中心に配置されうる。中心から外れた配置も同様に可能である。
【0036】
有利に、第1の磁場センサ11および第2の磁場センサ12は、上からまたは下から見て、車両1の各サイドの外縁よりも、受信コイル3の近くに配置される。磁場センサ11、12は、好適に車両1の外側に配置され、当該外側は、受信コイル3が所定の充電位置に存在する場合には、受信コイル3への電気エネルギーの非接触式伝送のために所定の充電位置に形成され配置された送信コイルの方向に向いている。地中システムとして実現された非接触式充電システムの場合、送信コイルは地中に存在する。この所定の充電位置において、車両1および受信コイル3は、送信コイルの上方に存在する。対応して、磁場センサ11、12は有利に車両1の下側に配置される。
【0037】
図2によれば、磁場センサ11、12はさらに、車両1の計算装置20と結合されている。計算装置20は、少なくとも、車両1の位置データを定める工程S03を実行するよう構成される。計算装置20は、信号を出力する工程S04も実行もしくは促し、または、工程S04のための準備工程を実行することが可能である。例えば、車両1の運転者へのどのような走行指示または制御指示によって、当該走行指示または制御指示に従って指示内容が正確に実現された際に、受信コイル3が所定の位置に来ることが最も迅速および/または最も簡単に実現されるのかを、所定の充電位置に対して相対的な受信コイル3の現在の位置に基づいて、計算装置20を用いて決定することが可能である。
【0038】
図3は、本発明に係る方法を解説するための、磁場強度が測定される第1の位置および第2の位置の概略図を示す。
【0039】
図3には、本発明に係る方法の間の車両1の移動を図示するために、タイヤ5の通った経路の跡R1、R2が概略的に示されている。第1の時点に、第1の磁場センサ11によって、第1の磁場強度が第1の位置A−1で測定される。同時に、第2の位置B−1にある第2の磁場センサ12では、第2の磁場強度が測定される。第1の位置A−1と第2の位置B−1との間には、第2の実施形態に係る装置に従って、間隔d1が存在する。第1の磁場センサ11はさらに、第2の時点に、別の第1の磁場強度を、別の第1の位置A−2で測定し、第3の時点に、さらに別の第1の磁場強度を、さらに別の第1の位置A−3で測定する。第2の磁場センサ12はさらに、第2の時点に、別の第2の磁場強度を、別の第2の位置B−2で測定し、第3の時点に、さらに別の第2の磁場強度を、さらに別の第2の位置B−3で測定する。
【0040】
したがって、3つの測定された第1の磁場強度と、3つの測定された第2の磁場強度とが、合計6つの様々な位置に存在する。これら6つの位置A−i、B−i同士の空間的な位置関係は、例えば、車両1のナビゲーションデータに基づいて分かる。したがって、6つの既知の磁場強度の空間的構造が獲得され、当該空間的構造を、磁場の所定の磁場強度分布と比較することが可能である。実質的に、上記6つの磁場強度が、互いにほぼ同一の空間関係で、磁場の磁場強度分布において一意に決定されうる場合には、車両1の現在の位置が磁場強度分布に対して決定される。
【0041】
より多くまたはより少ない測定が、より多くまたはより少ない様々な時点に行われてもよい。所定数の測定の後には、例えば、図3で示すように6つの測定の後には、磁場の所定の磁場強度分布に対する、車両1の十分に正確な位置決定が成功裏に行われている可能性がある。しかしながら、各個々の測定工程S01、S02の際に、別に、車両1の位置データを定める工程S03が行われてもよく、その際に、信号S04が、位置データに基づいて出力されうる。
【0042】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る車両の位置を決定する装置の概略図を示している。
【0043】
第3の実施形態に係る装置は、ほぼ第2の実施形態の発展形態である。第2の実施形態と比べて、第3の実施形態ではさらに、第3の磁場センサ13および第4の磁場センサ14が存在し、同様に計算装置20と結合されている。第3の実施形態によれば、第3の磁場センサ13および第4の磁場センサ14は、車両1の縦軸Lに沿って配置されている。受信コイル3が縦軸L上の中心に配置されていない場合には、第3の磁場センサ13および第4の磁場センサ14も例えば、縦軸Lに対して平行に伸びる線であって、受信コイル3と交差する上記線上に配置されてもよい。第3の実施形態によって、特に縦軸Lの方向における、より迅速で正確な車両1の位置の決定が可能となる。
【0044】
第4の実施形態によれば、第3の磁場センサ13のみ、または第4の磁場センサ14のみが車両1に配置される。これによりコストが削減されうる。
【0045】
以上、好適な実施例を用いて本発明について記載してきたが、本発明は、好適な実施例に限定されず、多様なやり方で変更されうる。特に、本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく、多様なやり方で変更または修正される。
【0046】
例えば、本発明に係る方法は、移動できる送信コイルの自動的な位置決めのためにも利用することが可能である。非接触式のエネルギー伝送のための車道に送信コイルが敷設される際には、磁場センサは、車両1の自動追跡のためにも使用されうる。
図1
図2
図3
図4