(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テープ裏材が、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、請求項1に記載の締結テープ。
前記剥離面が、前記不透明な微多孔性領域及び前記不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む剥離テープである、請求項1に記載の締結テープ。
前記微多孔性フィルムが第1の層及び第2の層を含む多層構造の第1の層であり、前記第2の層の一部が前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載の締結テープ又は機械的ファスナー。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本開示にかかる締結テープ及び/又は機械的ファスナーを組み込んだ個人衛生用品の実施形態の斜視図である。個人衛生用品は、基本的に砂時計形状を有するおむつ60である。おむつは、着用者の皮膚と接触する液体透過性トップシート61と外側に向いた液体非透過性バックシート62との間に吸収コア63を含む。おむつ60は、おむつ60の2つの長手方向縁部64a、64bに配置された2つの締結タブ70を有する後側腰領域65を有する。おむつ60は、レッグカフを提供するために長手方向縁部64a及び64bの少なくとも一部に沿った弾性素材69を含んでもよい。おむつ60を着用者の身体に装着するとき、締結タブ70のユーザ端部70bは、前側腰領域66のバックシート62上に配置される繊維質材料72を含む標的領域68に取り付けられ得る。個人衛生用品(例えば、おむつ60)の長手方向「L」は、物品がユーザの前側から後側に延在する方向を指す。したがって、長手方向は、後側腰領域65と前側腰領域66との間の個人衛生用品の長さを指す。個人衛生用品(例えば、おむつ60)の横方向は、物品がユーザの左側から右側(あるいは逆に)に(すなわち、
図1の実施形態では長手方向縁部64aから長手方向縁部64bまで)延在する方向を指す。
【0019】
図1の線1A−1Aで得られた締結タブ70の例示的な断面を
図1Aに示す。締結タブ70は、おむつ後側腰領域65に固定された製造端70aと、締結部を含むユーザ端70bとを有する。製造端70aは、おむつ60の製造中におむつ60に固着又は固定される締結タブ70の部分に対応する。ユーザ端は、典型的には、おむつ60を着用者に装着するときにユーザによって把持され、典型的には、製造中におむつに固着されない。締結タブ70は、通常、おむつ60の長手方向縁部64a、64bより先に延在している。
【0020】
図1Aに示された実施形態において、締結タブ70は、接着剤76を担持するテープ裏材75を備える。接着剤76は、テープ裏材75にオプションの機械的ファスナー80を結合し、おむつの後側腰領域65にテープ裏材75を結合する。図示された実施形態において、露出した接着剤77は、機械的ファスナー80とおむつの後側腰領域65との間に存在することができる。締結タブ70は、さらに、ユーザ端70bがおむつの後側腰部領域65上に折り畳まれたときに(例えば、長手方向縁部64bにおいて締結タブ70について示されるようにおむつ60の梱包及び輸送中に)、接着剤77の露出部分に接触するように剥離テープ79を備える。
図1Aに示されるように、剥離テープ79は、その縁部の一方のみに沿ってテープ裏材75に取り付けられ(いくつかの実施形態においては示されるように直接取り付けられる)、個人衛生用品の製造中におむつの後側腰部領域65に結合されるように反対側の端部を残す。したがって、剥離テープ79は、一般に、恒久的に締結タブ70に取り付けられて最終的には個人衛生用品に取り付けられるように当該技術分野において理解される。この方法において、剥離テープ79は、露出した接着剤上に一時的に配置されて接着剤が使用されているときに廃棄される剥離ライナーとは異なるように理解される。いくつかの実施形態においては、熱接着、超音波接合又はレーザ接合が有用であり得るが、剥離テープ79は、接着剤76を使用してテープ裏材75及びおむつの後側腰部領域65に結合されることができる。締結タブ70をおむつ60に取り付ける構成に応じて、剥離テープ79の他の構成もまた、可能である。締結タブ70のユーザ端70bのテープ裏材75は、接着剤76及び任意の機械的ファスナー80の範囲を越えてもよく、それにより指を乗せる部分が提供される。
【0021】
いくつかの実施形態において、締結タブを製造する際、剥離テープ79は、それ自体の上に折り返され、場合によってはテープ裏材に一端を取り付けた後に剥離テープ79を折り畳むことが可能であるが、予め折り畳まれた状態でテープ裏材75に適用することができる。剥離テープ79はまた、別個のストリップ又はパッチ(図示しない)を使用してテープ裏材75に取り付けられてもよい。ストリップ又はパッチは、以下に記載されたフィルム及び繊維性材料のいずれかなどの材料から製造することができる。剥離テープ79が剥離面と反対側の面に接着剤層によって被覆されている場合、ストリップ又はパッチは、それらを接続するために剥離テープ79及びテープ裏材75の双方に接着することができる。そうでなければ、他の接合方法(例えば、超音波接合)が使用されてもよい。
【0022】
図1は、同じおむつ60における本開示にかかる締結テープ及び機械的ファスナー80の様々な実施形態を図示している。
図1と
図1Bに示された締結タブ70の拡大図に示されるように、剥離テープ79は、不透明な微多孔性領域12及び不透明な微多孔性領域12内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域14を有する微多孔性フィルムである。また、図示された実施形態において、テープ裏材75は、不透明な微多孔性領域22及び不透明な微多孔性領域22内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域24を有する多孔性フィルムである。さらにまた、機械的ファスナー80は、不透明な微多孔性領域32及び不透明な微多孔性領域32内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域34を有する微多孔性フィルムを含む。最後に、標的領域68は、不透明な微多孔性領域42及び不透明微多孔性領域42内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域44を有する微多孔性フィルムを備えた機械的ファスナーを含む。締結タブ70は剥離テープ79を含むが、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを全て含むテープ裏材75及び機械的ファスナー80は、これらのうちのいずれか一方又はこれらのうちの2つのいかなる組み合わせも存在することができる。双方の標的領域68及び機械的ファスナー80は、不透明な微多孔性領域32、42内の低い多孔率の少なくとも1つシースルー領域34、44を含むことができることから、それは、双方のフック及びループ材が本開示にかかる機械的ファスナーに含まれることが理解されるべきである。
【0023】
図1及び
図1Bにおいて、これは必須ではないが、剥離テープ79、テープ裏材75並びに機械的ファスナー80及び72のそれぞれは、低い多孔率のシースルーの領域のパターンに含まれる低い多孔率のシースルー領域14、24、34及び44を含む。必ずしも繰り返しパターンを形成しない不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の複数のシースルー領域があってもよい。例えば、アルファベット文字の形態の複数のシースルー領域は、単語を形成するためにともに使用することができる。低い多孔率のシースルー領域14、24、34及び44又はいくつかの実施形態においては低い多孔率のシースルー領域のパターンは、数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字、バーコード又はそれらの任意の組み合わせの形態とすることができる。これらの数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字のいずれか又はそれらの組み合わせは、必要に応じて、会社名、ロゴ、ブランド名又は商標画像の一部であってもよい。
【0024】
本開示にかかる締結テープ及び機械的ファスナーにおいて、より低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域及び不透明な微多孔性領域の相対面積は、異なる実施形態において異なっていてもよい。低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域は、テープ裏材、剥離テープ又は機械的ファスナーの可視領域の少なくとも5、10、20、25、50、75又は90パーセントを作り出すことができる。いくつかのパターン(例えば、菱形又は他の幾何学的形状のパターン)について、不透明な微多孔性領域は、シースルー領域を分離するストランドとしてみえることができる。他のパターンについて、シースルー領域は、連続した不透明な微多孔性の背景においてより広く分離されてみえることができる。
【0025】
本開示にかかるテープファスナーにおいて低い多孔率の任意の個々のシースルー領域の大きさは、少なくとも0.3mm
2、0.4mm
2、0.5mm
2又は0.7mm
2とすることができる。一般に、不透明な微多孔性領域と低い多孔率の任意の個々のシースルー領域の下方の任意の下地層との間の色のコントラストが比較的大きい場合には、より小さな個々のシースルー領域(例えば、0.3mm
2から0.6mm
2)は、肉眼で容易に視認可能とすることができる。しかしながら、不透明な微多孔性領域と低い多孔率の任意の個々のシースルー領域の下方の任意の下地層との間の色のコントラストが比較的小さい場合には、より大きな個々のシースルー領域(例えば、0.6mm
2よりも大きい)を有することが望ましい。
【0026】
本開示にかかる締結テープは、任意の所望のサイズ及び形状に変換することができる。締結テープは、
図1、
図1A又は
図1Bに示されるように締結タブの形態であってもよく、又は、テープは、個人衛生用品の耳に取り付けられてもよい。また、本開示にかかる機械的ファスナーは、任意の所望のサイズ及び形状に変換することができる。例えば、耳を有する個人衛生用品は、締結タブの機械的ファスナーパッチに対する雄型締結要素の大きなパッチを含むことができる。また、個人衛生用品は、
図1に示される大きな標的領域68の代わりにバックシートの長手方向縁部に沿ったループ材料の2つの小さな標的領域を有することができる。
【0027】
図1Aに示される開いた構成において、テープ裏材75及び剥離テープ79の幾何学的形状は、大抵の場合にY結合として業界において称される後側腰部領域65においておむつの縁部の周りに形成されるY字型結合をもたらす。しかしながら、締結テープ上の剥離面の他の構成が可能であり、締結テープは、機械的ファスナーを含んでも含まなくてもよい。例えば、締結テープは、剥離コーティング(例えば、シリコン、フルオロケミカル又はカルバメートコーティング)によってその第2の表面上に部分的にコーティングされることができ、接着剤によってその第1の表面上に部分的にコーティングされることができる。締結タブは、そのようなテープから切り取られ、その基端を介して露出したその剥離面によっておむつの縁に取り付けられることができる。タブの先端は、接着剤が剥離コーティングと接触するようにループに折り畳まれることができる。そのような構成は、米国特許第3,930,502号明細書(Tritsch)に記載されている。他の例において、締結テープは、剥離コーティングによって部分的にコーティングされてもよく、同一面上に接着剤によって部分的にコーティングされてもよい。締結タブは、テープから切り取られ、その基端を介してその先端において接着剤によっておむつの縁に取り付けられてもよく、タブの先端は、接着剤が剥離コーティングに接触するようにそれ自体の上に折り返されてもよい。テープ裏材は、
図1Aにおいて75に示されるように連続片であってもよく、又は、伸縮性フィルムが望まれる場合には、例えば、国際公開第2004/075803号(Loescherら)に記載されているように、双方とも弾性フィルムに取り付けられた裏材の2つの片があってもよい。締結タブのさらに他の有用な構成は、米国特許出願公開第2007/0286976号明細書(Selenら)に記載されている。
【0028】
本開示にかかる締結テープの実施形態のいずれかにおける接着剤76は、一般に、吸収性物品の外表面にテープ裏材75を恒久的に取り付けるのに及びいくつかの実施形態においてはテープ裏材75に機械的ファスナー80を恒久的に取り付けるのに十分である剥離強度を有する接着剤から構成される。使用される接着剤は、感圧性接着剤(PSA)及び非感圧性接着剤を含む任意の従来の接着剤とすることができる。PSAは、以下を含む特性を有することが当業者にとって周知である。(1)強度かつ恒久的な粘着性、(2)指による圧力を超えない圧力で接着、(3)被着体上に付着することができる十分な性能、(4)被着体からきれいに除去することができる十分な凝集強度。PSAとして良好に機能することが分かっている材料は、必要な粘弾性特性を呈して、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計及び処方されたポリマーである。適切な感圧性接着剤は、アクリル樹脂及び天然又は合成ゴム系接着剤を含むことができ、ホットメルト感圧性接着剤であってもよい。例示的なゴム系接着剤は、必要に応じてスチレンイソプレン及びスチレンブタジエンなどのブロック成分を含んでいてもよいスチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン及びスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンを含む。接着剤は、ホットメルト、溶媒又はエマルジョン技術を用いて塗布することができる。
【0029】
本開示にかかる及び/又は
図1に示されるような本開示にかかる締結テープ又は機械的ファスナーを組み込んだ個人衛生用品において、トップシート61は、通常、液体に対して透過性であり、着用者の皮膚に接触するように設計されており、外側に面するバックシート62は、通常、液体に対して不透過性である。通常、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収性コア63が存在する。様々な材料は、トップシート61と、バックシート62と、本開示にかかる吸収性物品における吸収性コア63とについて有用であり得る。トップシート61について有用な材料の例は、孔あきプラスチックフィルム、織布、不織布ウェブ、多孔性発泡体及び網状発泡体を含む。いくつかの実施形態において、トップシート61は、不織布材料である。適切な不織布材の例は、ポリマーフィラメントを形成する繊維のスパンボンド若しくはメルトブローンウェブ(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリアミドフィラメント)、並びに天然ポリマー(例えば、レーヨン又は綿繊維)及び/又は合成ポリマー(例えばポリプロピレン若しくはポリエステル繊維に)の結合されたカードウェブが挙げられる。不織布ウェブは、界面活性剤によって処理された又は所望のレベルの湿潤性及び親水性を与えるために処理された表面とすることができる。バックシート62は、外側カバーと呼ばれることもあり、ユーザから最も遠い層である。バックシート62は、吸収性コアに含まれる身体排出物が着用者の衣類、寝具又はおむつに接触する他の素材を濡らす又は汚すのを防ぐように機能する。バックシート62は、熱可塑性フィルム(例えば、ポリ(エチレン)フィルム)とすることができる。より審美的に心地よい外観を提供するために、熱可塑性フィルムはエンボス加工されてもよく、及び/又はマット仕上げにされてもよい。バックシート62はまた、例えば、熱可塑性フィルムに積層された又は熱可塑性フィルムの非存在下でさらに所望のレベルの液体不透過性を与えるように構成若しくは処理された織布又は不織布繊維ウェブを含むことができる。適当なバックシート62はまた、液体に対して実質的に不透過性である蒸気又はガス透過性微多孔「通気性」材料を含む。適切な吸収性コア63は、液体を吸収して保持することができる天然、合成又は修飾された天然ポリマー(例えば、水性液体)を含む。そのようなポリマーは、それらを水不溶性であるが膨潤性の状態にするために(例えば、物理的交絡、結晶性ドメイン、共有結合、イオン錯体及び会合、水素結合などの親水性会合及び疎水性会合又はファンデルワールス力により)架橋されることができる。そのような吸収性材料は、通常、液体を急速に吸収し、通常は開放せずにそれらを保持するように設計されている。本明細書に開示された吸収性物品において有用な好適な吸収性材料の例は、木材パルプ又は他のセルロース材料及び超吸収性ポリマー(SAP)を含む。
【0030】
本開示にかかる及び/又は本明細書に開示されたテープを含む個人衛生用品(例えば、失禁用物品及びおむつ)は、矩形状、文字Iのような形状、文字Tのような形状又は砂時計形状などの任意の所望の形状を有することができる。個人衛生用品はまた、各長手方向縁部に沿って固定タブ70と再締結可能なパンツスタイルのおむつであってもよい。
図1に示した実施形態を含むいくつかの実施形態において、トップシート61及びバックシート62は、互いに取り付けられ、第1及び第2の長手方向の対向する縁部64a及び64bまでの全ての途中において筐体をともに形成する。いくつかの実施形態において、トップシート61又はバックシート62のうちの一方のみが第1及び第2の長手方向の対向する縁部64a及び64bまで延在している。他の実施形態において、筐体は、例えば耳部を形成するために吸収性物品の製造中に少なくともトップシート61、バックシート62及び吸収性コア63を挟むように取り付けられた別個のサイドパネルを含むことができる。サイドパネルは、トップシート61又はバックシート62と同一であるか又は異なる材料(例えば、異なる不織布)から形成することができる材料で製造されることができる。これらの実施形態において、サイドパネルはまた、筐体の一部を形成する。
【0031】
本開示にかかる個人衛生用品はまた、生理用ナプキンを含む。生理用ナプキンは、典型的には、着用者の下着に隣接して配置されることが意図されるバックシートを含む。接着剤又は機械的ファスナーは、着用者の下着に生理用ナプキンを取り付けるためにバックシート上に設けられている。生理用ナプキンは、典型的には、トップシート及び吸収性コアを含む。バックシート、トップシート及び吸収性コアは、おむつ又は失禁用物品におけるこれらの要素のための上述した材料のいずれかから製造することができる。生理用ナプキンは、砂時計、鍵穴又は一般には矩形形状などの任意の所望の形状を有することができる。バックシートはまた、着用者の下着の反対側に折り返すように意図されているフラップを含むことができる。バックシートは、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む。低い多孔率のシースルー領域又はいくつかの実施形態においては低い多孔率のシースルー領域のパターンは、数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字、バーコード又はそれらの任意の組み合わせの形態とすることができる。これらの数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字のいずれか又はそれらの組み合わせは、必要に応じて、会社名、ロゴ、ブランド名又は商標画像の一部であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示にかかる締結テープ又は機械的ファスナーにおける微多孔性フィルムは、第1の層及び第2の層を含む多層構造の第1の層であり、第2の層の一部は、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である。
図2は、微多孔性フィルムが第1の層101である多層構造100の斜視図である。微多孔性フィルムは、不透明な微多孔性領域112及び低い多孔率のシースルー領域114の繰り返しシリーズを有する。多層構造100の第2の層102は、シースルー領域114を介して視認可能である。微多孔性フィルムは、上述したように、テープ裏材、剥離テープ又は機械的ファスナーとすることができ、機械的ファスナーは、雄型又は雌型締結要素を含むことができる。低い多孔率のシースルー領域114の繰り返しシリーズは、多くの有用な方法によって製造することができる。例えば、ロールのいずれかがシースルー領域114の形状の領域を隆起させた2つの加熱ロールから製造されたニップが有用であり得る。ニップにおける熱及び圧力は、シースルー領域を形成するために隆起領域における微多孔構造を崩壊させることができる。多層構造100の第2の層102は、シースルー領域114の間において視認可能である対照的な色を有することができる。
【0033】
図2に示されるような多層構造は、様々な方法で製造されることができ、第2の層102又は他の層は、様々な材料から製造されることができる。いくつかの実施形態において、第2の層又は他の層は、織布ウェブ、不織布ウェブ(例えば、スパンボンドウェブ、スパンレースウェブ、エアレイドウェブ、メルトブローンウェブ及びボンデッドカーデッドウェブ)、織物、プラスチックフィルム(例えば、単層又は多層フィルム、共押出しフィルム、横積層フィルム又は発泡体層を含むフィルム)及びそれらの組み合わせを含むことができる。第2の層102又は他の層は、(例えば、顔料又は染料を含めることにより)着色されていてもよい。第2の層102又は他の層はまた金属化されてもよい。これらの種類の材料のいずれかについて、第1及び第2の層は、押出ラミネーション、接着剤(例えば、感圧性接着剤)、又は他の結合方法(例えば、超音波接合、圧着又は表面結合)によって結合することができる。例えば、プラスチックフィルムの場合には、第1及び第2の層が別個に押出された後、ともに積層されることができる。いくつかの実施形態において、多層構造は、例えば共押出によって形成された多層フィルムである。少なくとも第1及び第2の層の多層フィルムは、任意の適切な種類の共押出ダイ及びインフレーションフィルム押出又はキャストフィルム押出などの任意の適切なフィルム製造方法を使用して共押出されることができる。いくつかの実施形態において、米国特許第4,839,131号明細書(Cloeren)に示されているような多層フィードブロックによって多層溶融流が形成されることができる。共押出における最高の性能を得るために、各層についてのポリマー組成物は、溶融粘度などの同様の性質を有するように選択することができる。共押出の技術は、Progelhof,R.C.及びThrone,J.L.、「Polymer Engineering Principles」、Hanser/Gardner Publications,Inc.、Cincinnati、Ohio、1993を含む多数のポリマー加工文献においてみられる。いくつかの実施形態において、第1のポリマー組成物に以下に記載されるようなβ造核剤、希釈剤又はキャビテーション剤を含む第1の層は、そのような薬剤を欠く第2の異なるポリマー組成物によって共押出することができる。第2のポリマー組成物は、顔料や染料などの着色剤を含んでもよい。共押出フィルムを延伸することは、本明細書に記載されたシースルー領域が第2の層の一部を明らかにするために形成されるまで、第1の層を不透明且つ微多孔性として第2の層における色を効果的に隠すことができる。
【0034】
本開示にかかる多層フィルムは、以下に記載された方法のいずれかによって形成された複数の微多孔層を有することができる。例えば、単一の第2の層は、その表面の双方に微多孔層を有することができる。単一の第2の層は、着色されていてもよい。他の実施形態において、複数の異なる着色層は、他の方法で複数の微多孔層と交互に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、低い多孔率のシースルー領域は、その後、1つ以上のシースルー領域において異なる色を明らかにするために所定の微多孔層で形成される。これらのような多層フィルムは、本明細書に開示されたテープにおける透明なテープ裏材又は剥離テープの片側に取り付けられることができる。これらの実施形態において、テープ裏材及び剥離テープは、多層であってもよい。
【0035】
図2を再び参照すると、微多孔性フィルムは、第1の層101及び第2の層102を含む多層構造100の第1の層101であり、第2の層の一部は、微多孔性フィルムにおける低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域に介して視認可能であり、第2の層102は、並列共押出フィルムとすることができる。並列共押出フィルムは、多数の有用な方法で作製することができる。例えば、米国特許第4,435,141号明細書(Weisnerら)は、フィルムの横断方向において他のセグメントを有する多成分フィルムを作るためのダイバーを有するダイを記載している。米国特許第6,669,887号明細書(Hilstonら)に記載されているように並列共押出フィルムの一方又は双方の外面上に連続外皮層を共押出しすることを同様に含む同様のプロセスもまた有用な場合もある。並列レーンへの異なるポリマー組成物の流れの管理はまた、並列共押出を達成するために複数のダイを必要とするアプローチとは対照的に分配板を有する単一のマニホールドダイを用いて行うことができる。ダイ及び分配板に関するさらなる詳細は、例えば米国特許出願公開第2012/0308755号明細書(Gormanら)にみることができる。並列共押出フィルムはまた、例えば国際公開第2011/119323号(Ausenら)及び米国特許出願公開第2014/0093716号明細書(Hanschenら)に記載されたもののダイなど、複数のシムを含み且つ溶融ポリマーのための2つのキャビティを有する他の押出ダイによって製造することができる。並列共押出用の押出ダイはまた、ウィスコンシン州チペワフォールズのNordson Extrusion Dies Industriesから利用可能である。並列共押出フィルムは、異なる色や異なるレーンにおける同じ色の異なる色合いを有することができ、そのため、複数の色は、低い多孔率のシースルー領域114を介してみることができる。
【0036】
本開示にかかる締結テープ及び機械的ファスナーの実施形態の写真が
図3に示される。本実施形態において、雄型締結要素を含む機械的ファスナーは、微多孔性フィルムである。微多孔性フィルムは、微多孔性フィルムの微多孔性領域32内の低い多孔率のシースルー領域34の繰り返しパターンを有する。図示された実施形態において、機械的ファスナーは、不織布裏材に接着されている。写真には示されていないが、微多孔性フィルムは微多孔領域において白色である一方で、不織布裏材は色を有する。不織布裏材の色は、シースルー領域を介してみることができる。
【0037】
本開示にかかる締結テープ及び機械的ファスナーの実施形態の他の写真が
図4に示される。本実施形態において、雄型締結要素を含む機械的ファスナーは、微多孔性フィルムである。微多孔性フィルムは、レーザを用いてデジタル作製されたミネソタ州セントポールの3M社の商標を有する。レーザ形成された商標は、微多孔性フィルムの微多孔性領域内の低い多孔率のシースルー領域を形成する。
【0038】
幼児用おむつ又は成人用失禁用物品とすることができるパンツ又はショーツスタイル失禁用物品200と関連する本開示にかかる締結テープの他の実施形態が
図5、
図5A及び
図5Bに示されている。そのようなパンツスタイルの失禁用物品の使用後に、それは、典型的には、脚にわたって取り外される必要がないようにロールアップする前にその継ぎ目203の少なくとも1つに沿って引き裂かれる。本開示にかかる締結テープは、図示された実施形態における使い捨てテープ202の形態である。本明細書において使用される用語「締結テープ」は、使い捨てテープを含むことが理解されるべきである。使い捨てテープ202は、
図5Bに示されるように、継ぎ目203に沿って引き裂かれた後にロールアップ構成で使用済み(汚れた)失禁用物品を保持するために使用される。様々な使い捨てテープ構造は、例示の実施形態において有用であり得るが、使い捨てテープ202は、スリット236によって分離された2つの隣接する第1及び第2のテープタブ要素204,206のそれぞれを含む。第1及び第2のテープタブ要素204、206のそれぞれは、
図5Aにおいて視認可能な塑性変形フィルム205に接着で取り付けられる。この使い捨てテープ構造についての詳細は、国際公開第2007/032965号(Dahmら)にみることができる。図示された実施形態において、テープタブ要素204、206は、それぞれ、不透明な微多孔領域222及び不透明な微多孔領域222内の低い多孔率のシースルー領域224を有する微多孔性フィルムを備える。低い多孔率のシースルー領域224は、図示された実施形態においてはアルファベット文字の形態である。しかしながら、上述したように、シースルー領域は、数字、画像、記号、幾何学的形状、アルファベット文字、バーコード又はそれらの任意の組み合わせの形態とすることができる。これらの数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字のいずれか又は必要に応じてそれらの組み合わせは、会社名、ロゴ、ブランド名、商標、画像の一部であってもよい。
【0039】
様々な方法は、本明細書に開示された微多孔性フィルムを製造するのに有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される様々な実施形態におけるテープ裏材、剥離テープ又は機械的ファスナーとすることができる微多孔性フィルムは、β成核から生じる。半結晶性ポリオレフィンは、2種以上の結晶構造を有することができる。例えば、アイソタクチックポリプロピレンは、α(単斜晶)、β(擬似六角晶)及びγ(三斜晶系)形態の少なくとも3つの異なる形態に結晶化することが知られている。溶融結晶化材料において、優勢な形態はα型、すなわち単斜晶型である。β型は一般に、特定の不均質核が存在するか又は結晶化が温度勾配中若しくはせん断力の存在下に生じるのでなければ、ほんの数パーセントの濃度で生じる。不均質核は、β造核剤として一般に知られており、結晶性ポリマー溶融物中で異物として働く。ポリマーがその結晶化温度(例えば、60℃から120℃又は90℃から120℃の範囲の温度)未満に冷却すると、ゆるく巻かれたポリマー鎖がβ造核剤の周囲で配向してβ相領域を形成する。β型のポリプロピレンはメタ安定形であるが、熱処理及び/又は応力を加えることによって更に安定なα型へ転換される可能性がある。ポリプロピレンのβ形態が特定の条件下で延伸されるとき、微多孔が様々な量で形成されることができる。例えば、Chuら著、「Microvoid formation process during the plastic deformation of β−form polypropylene」,Polymer,Vol.35,No.16,pp.3442〜3448,1994、及びChuら著、「Crystal transformation and micropore formation during uniaxial drawing of β−form polypropylene film」,Polymer,Vol.36,No.13,pp.2523〜2530,1995を参照のこと。この方法からの孔サイズは、約0.05マイクロメートルから約1マイクロメートル、いくつかの実施形態においては約0.1マイクロメートルから約0.5マイクロメートルの範囲とすることができる。
【0040】
一般に、微多孔性フィルムにおける多孔率がβ造核剤から生成される場合、フィルムは、半結晶性ポリオレフィンを含む。種々のポリオレフィンが有用であり得る。典型的には、半結晶性ポリオレフィンはポリプロピレンを含む。ポリプロピレンを含む半結晶性ポリオレフィンは、プロピレン繰り返し単位を含有するポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーであってよいと理解すべきである。コポリマーは、プロピレンと少なくとも1種の他のオレフィン(例えば、エチレン又は炭素原子数が4〜12又は4〜8のα−オレフィン)とのコポリマーであってよい。エチレン、プロピレン及び/又はブチレンのコポリマーが有用であり得る。いくつかの実施形態では、コポリマーは、ポリプロピレンを最大90、80、70、60、又は50重量%含有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、ポリプロピレン又はα−オレフィンのうち少なくとも一方を最大50、40、30、20、又は10重量%含有する。半結晶性ポリオレフィンはまた、ポリプロピレンを熱可塑性ポリマーのブレンドの一部であってもよい。好適な熱可塑性ポリマーとしては、典型的に従来のプロセス条件において溶融加工可能な結晶性ポリマーが挙げられる。即ち、加熱すると、ポリマーは典型的に軟化及び/又は融解して、シートを形成するために押出成形機などの従来の機器で加工することができる。結晶性ポリマーは、その溶融物を制御された条件下で冷却すると、幾何学的に規則正しく秩序立って並べられた化学構造を自然に形成する。好適な結晶性熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィンなどの付加重合体が挙げられる。有用なポリオレフィンとしては、エチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、若しくは直鎖低密度ポリエチレン)、α−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、若しくは1−オクテン)のポリマー、スチレンポリマー、並びにかかるオレフィン2種以上のコポリマーが挙げられる。半結晶性ポリオレフィンは、かかるポリマーの立体異性体混合物、例えば、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物、又はアイソタクチックポリスチレンとアタクチックポリスチレンとの混合物を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリオレフィンブレンドは、ポリプロピレンを最大90、80、70、60、又は50重量%含有する。いくつかの実施形態では、ブレンドは、ポリプロピレン又はα−オレフィンのうち少なくとも一方を最大50、40、30、20、又は10重量%含有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、微多孔性フィルムは、半結晶性ポリオレフィンを含み且つ毎分0.1から10デシグラム、例えば毎分0.25から2.5デシグラムの範囲の溶融流速を有するポリマー組成物から製造される。
【0042】
微多孔性フィルムにおける多孔率がβ造核剤から生成されたとき、β造核剤は、ポリオレフィンを含む溶融形成されたシートにβ型球晶を生成することができる任意の無機又は有機の結晶核剤とすることができる。有用なβ造核剤としては、ガンマキナクリドン、キニザリンスルホン酸のアルミニウム塩、ジヒドロキナクリジン−ジオン及びキナクリジン−テトロン、トリフェネオールジトリアジン(triphenenol ditriazine)、ケイ酸カルシウム、ジカルボン酸(例えば、スベリン酸、ピメリン酸、オルト−フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸)、前記ジカルボン酸のナトリウム塩、前記ジカルボン酸の周期表第IIA族金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、又はバリウム)との塩、デルタ−キナクリドン、アジピン酸又はスベリン酸のジアミド、種々のインジゴゾル及びシバンチン有機顔料、キナクリドンキノン、N’,N’−ジシクロヘキシル(dicyclohexil)−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(例えばNew Japan Chemical Co.Ltd.から「NJ−Star NU−100」という商品名で入手可能)、アントラキノンレッド及びビスアゾイエロー顔料が挙げられる。押出成形フィルムの特性は、β造核剤の選択及びβ造核剤の濃度によって決まる。いくつかの実施形態では、β造核剤は、γキナクリドン、スベリン酸カルシウム塩、ピメリン酸カルシウム塩、並びにポリカルボン酸のカルシウム塩及びバリウム塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、β造核剤はキナクリドン系着色剤Permanent Red E3Bであって、これはQ染料とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、β造核剤は、有機ジカルボン酸(例えば、ピメリン酸、アゼライン酸、O−フタル酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸)とII族金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム)の酸化物、水酸化物又は酸性塩とを混合することによって形成される。いわゆる2成分開始剤としては、炭酸カルシウムと前に挙げた任意の有機ジカルボン酸との組み合わせ、及びステアリン酸カルシウムとピメリン酸との組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、β造核剤は、米国特許第7,423,088号明細書(Maderら)に記載されているような芳香族トリカルボキシアミドである。
【0043】
β造核剤は、溶融状態からポリマーの結晶化を誘導し、ポリマーの結晶化を高速化するためにポリマー結晶化部位の開始を促進する重要な機能を果たす。それゆえに、造核剤は、ポリマーの結晶化温度において固体であってもよい。造核剤は、ポリマーの結晶化速度を上げるので、結果として得られるポリマー粒子又は球晶のサイズは小さくなる。
【0044】
β−造核剤を、本明細書において開示する微多孔性フィルムの作製に役立つ半結晶性ポリオレフィンに組み込む便利な方法は、濃縮物を使う方法である。濃縮物は、典型的には、最終的な微多孔性フィルム中で望ましい濃度より高濃度の造核剤を含有する、高濃度のペレット化ポリプロピレン樹脂である。造核剤は濃縮物中に、0.01重量%〜2.0重量%(100〜20,000ppm)の範囲で含まれており、いくつかの実施形態では、0.02重量%〜1重量%(200〜10,000ppm)の範囲で含まれている。典型的な濃縮物は、微多孔性フィルムのポリオレフィン総含量に対して0.5重量%から50重量%の範囲(いくつかの実施形態においては1重量%から10重量%の範囲)の無核ポリオレフィンと混合される。最終的な微多孔性フィルム中におけるβ−核形成剤の濃度範囲は、重量で0.0001%〜1%(1ppm〜10,000ppm)、幾つかの実施形態においては、重量で0.0002%〜0.1%(2ppm〜1000ppm)であってもよい。濃縮物はまた、安定化剤、顔料及び加工材などの他の添加物を含有することも可能である。
【0045】
半結晶性ポリオレフィン中のβ型球晶の濃度は、例えばX線結晶学及び示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定され得る。DSCにより、α相及びβ相の両方の融点及び融解熱が本開示の実施に有用な微多孔性フィルム中で測定され得る。半結晶性ポリプロピレンでは、β相の融点はα相の融点よりも低い(例えば、約10〜15℃の差)。全融解熱に対するβ相の融解熱の割合によって、サンプル中のβ型球晶の割合が与えられる。β型球晶の濃度は、フィルム中のα相とβ相の結晶総量に基づいて少なくとも10、20、25、30、40、又は50%である。これらの濃度のβ型球晶はフィルムが延伸される前のフィルムに含まれていてよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、その実施形態のいずれかにおける本開示の実施に有用な微多孔性フィルムは、熱誘起相分離(TIPS)法を用いて形成される。微多孔性フィルムを製造するこの方法は、典型的には、溶融混合物を形成するための結晶性ポリマー及び希釈剤の溶融混合を含む。そして、溶融混合物は、フィルム状に形成され、ポリマーが結晶化する温度に冷却され、空隙を形成するポリマーと希釈剤との間で相分離が起こる。この方法において、フィルムは、希釈剤化合物中の結晶化ポリマーの凝集体を含んで形成される。空隙化されたフィルムは、ある程度の不透明度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、結晶化したポリマーを形成した後、材料の多孔率は、少なくとも一方向にフィルムを延伸するか又は希釈剤の少なくとも一部を除去することの少なくとも一方によって増加される。このステップは、互いに隣接したポリマーの粒子の分離をもたらし、相互接続された微小孔のネットワークを提供する。このステップはまた、繊維を形成するようにポリマーを恒久的に減衰させ、フィルムに強度と多孔性を付与する。希釈剤は、延伸の前又は後のいずれかにおいて材料から除去することができる。いくつかの実施形態において、希釈剤は除去されない。この方法によって達成される孔サイズは、約0.2ミクロンから約5ミクロンの範囲とすることができる。
【0048】
本開示の実施に有用な微多孔性フィルムが、テープ裏材、剥離テープ又は機械的ファスナーである実施形態を含むTIPSプロセスから形成されたとき、フィルムは、β造核によって製造されたフィルムに関連して上述した半結晶性ポリオレフィンのいずれかを含むことができる。さらに、単独で又は組み合わせて有用であり得る他の結晶性ポリマーは、高及び低密度ポリエチレン、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(メチルペンテン)(例えば、ポリ(4−メチルペンテン))、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(エチレン−クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブチレン、ポリウレタン及びポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン66)を含む。本開示にかかる多孔性フィルムを提供するために有用な希釈剤は、鉱油、ミネラルスピリット、ジオクチルフタレート、流動パラフィン、パラフィンワックス、グリセリン、ワセリン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ソフトカーボワックス及びそれらの組み合わせを含む。希釈剤の量は、典型的には、ポリマー及び希釈剤の総重量に基づいて、約20重量部から70重量部、30重量部から70重量部又は50重量部から65重量部の範囲である。
【0049】
いくつかの実施形態において、その実施形態のいずれかにおける本開示の実施に有用な微多孔性フィルムは、粒子キャビテーション剤を用いて形成される。そのようなキャビテーション剤は、ポリマーマトリックス材料と非相溶性又は非混和性であり、フィルムの押出及び配向の前にポリマーコアマトリックス材料内に分散相を形成する。そのようなポリマー基材が1軸又は2軸延伸を受けた場合、空隙又はキャビティが分散した分散相部分の周りに形成し、マトリックス及びキャビティ内の光の散乱に起因して不透明な外観を提供する多数のキャビティが充填されたマトリックスを有するフィルムを提供する。微多孔性フィルムが、テープ裏材、剥離テープ又は機械的ファスナーである実施形態を含む微多孔性フィルムは、TIPSフィルムに関連して上述したポリマーのいずれかを含むことができる。粒子キャビテーティング剤は、無機又は有機であってもよい。有機キャビテーティング剤は、一般に、フィルムマトリックス材料の融点よりも高い融点を有する。有用な有機キャビテーティング剤は、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート又はナイロン6などのナイロン)、ポリカーボネート、アクリル樹脂及びエチレンノルボルネン共重合体を含む。有用な無機キャビテーティング剤は、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ガラスバブル(すなわち、中空ガラス球)、セラミックビーズ、セラミックバブル及び金属微粒子を含む。キャビテーティング剤の粒径は、粒子の重量の少なくとも大部分が、例えば、約0.1ミクロンから約5ミクロン、いくつかの実施形態においては約0.2ミクロンから約2ミクロンなどの全体の平均粒径を含むようなものである。(用語「全体」は3次元のサイズを意味し、用語「平均」は平均値である。)キャビテーティング剤は、ポリマー及びキャビテーティング剤の総重量に基づいて、約2重量%から約40重量%、約4重量%から約30重量%又は約4重量%から約20重量%の量でポリマーマトリックス中に存在することができる。
【0050】
微多孔性フィルムが本開示にかかる剥離テープ又は締結テープである上述した微多孔性フィルムの実施形態のいずれかにおいて、微多孔性フィルムは、典型的には、剥離コーティング(例えば、シリコン、フルオロケミカル又はカルバメートコーティング)を備える。
【0051】
追加の成分は、所望の用途に応じて、本開示の実施形態のいずれかを実施するのに有用な多孔性フィルムに含まれてもよい。例えば、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機又は無機着色剤、安定剤、難燃剤、芳香剤、β造核剤以外の造核剤及び可塑剤が含まれていてもよい。前記β造核剤の多くには色が付いている。また、着色剤は、例えばカラーコンセントレート又は着色マスターバッチの形態で添加してもよい。
【0052】
上述した方法のいずれかによって作製された微多孔性フィルムの場合、フィルムは、典型的には、微多孔性構造を形成するか又は強化するために延伸される。フィルムを延伸することは、ウェブ2軸又は1軸上で行うことができる。2軸延伸は、裏材の平面内の2つの異なる方向に延伸することを意味する。典型的には、常にではないが、一方の方向は、機械的方向又は長手方向「L」であり、他方の異なる方向は、横断方向又は幅方向「W」である。例えば、最初は長手方向又は幅方向のいずれかに、その後は長手方向又は幅方向の他方に、熱可塑性の裏材を延伸して連続的に行うことができる。2軸延伸は、双方の方向において、実質的に同時に行われてもよい。1軸延伸は、裏材の平面において一方向にのみ延伸することを指す。典型的には、1軸方向の延伸は「L」又は「W」のうちの1つの方向に行われるが、他の方向の延伸も可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の少なくとも一方を少なくとも1.2倍(いくつかの実施形態では、少なくとも1.5、2又は2.5倍)増加させる。いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の双方を、少なくとも1.2倍(いくつかの実施形態では、少なくとも1.5、2又は2.5倍)増加させる。いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の少なくとも一方を最大5倍(いくつかの実施形態では、最大2.5倍)増加させる。いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の双方を最大5倍(いくつかの実施形態では、最大2.5倍)増加させる。(例えば、雄型締結要素の)直立柱を含む上述したようなβ造核剤を含むフィルムにおいて、予想外にも、最大2.5、2.25、2.2又は2の延伸率でさえもさらなる1軸延伸が炭酸カルシウムなどの他のキャビテーティング剤の非存在下でさえも、高い程度の多孔率及び不透明性を提供することができることを見出した。いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の少なくとも一方を最大10倍(いくつかの実施形態では、最大20倍)増加させる。いくつかの実施形態において、延伸は、フィルムの長さ(「L」)又は幅(「W」)の双方を最大10倍(いくつかの実施形態では、最大20倍以上)増加させる。
【0054】
一般に、熱可塑性フィルムは、熱可塑性材料の融点を下回る温度、特にフィルムの線延伸温度を下回る温度で一軸的に又は二軸的に延伸されると、熱可塑性フィルムは不均一に延伸する場合があり、延伸部分と非延伸部分との間に明確な境界が形成される。この減少は、ネッキング又は線延伸と称される。しかしながら、十分に高い程度まで延伸されると、熱可塑性裏材の実質的に全体が均一に延伸される。これが起こる延伸比は、「自然な延伸比」又は「自然な延伸倍率」と称される。自然な延伸比を上回る延伸は、厚さ、引張り強度、及び弾性率等の著しくより均一な特性又は特徴を提供することが理解される。任意の所与の熱可塑性裏材及び伸長条件について、自然な延伸比は、熱可塑性裏材を形成する熱可塑性樹脂の組成物、ツールロール上の急冷条件に起因する形成された熱可塑性裏材の形態学、並びに例えば、延伸の温度及び速度等の要因によって決定される。さらに、2軸的に延伸された熱可塑性裏材について、一方向の自然な延伸比は、最終延伸比を含む、他方向の延伸条件によって影響される。したがって、一方向の自然な延伸比が他方向の固定延伸比を前提とするといえるか、あるいは、自然な延伸比を生じる一対の延伸比(1つは第1の方向及び1つは第2の方向)であるといえる。用語「延伸比」は、延伸前の同一部分の線状寸法に対する延伸後の熱可塑性裏材の所与の部分の線状寸法の比を指す。ポリプロピレンの最も一般的な結晶形態であるα型の自然延伸比は約6:1であると報告されている。
【0055】
本開示の実施に有用なフィルムの延伸は、様々な方法で行うことが可能である。フィルムが不定長のウェブであるとき、例えば、機械的方向の1軸延伸は、フィルムを速度を上げたロール上で進めることによって行うことができる。本明細書で用いられる用語「機械的方向」(MD)は、フィルムの走行する連続ウェブの方向を意味する。フィルムの1軸的連続延伸、及び同時2軸的延伸を可能にする最も汎用的な延伸方法は、フラットフィルムテンター装置を用いることである。そのような装置は、複数のクリップ、グリッパー、又は他のフィルム端把持手段を、フィルムの対向する端部に沿って使用して、分岐レールに沿って異なる速度で把持手段を推進させることによって、所望の方向に1軸的延伸、連続2軸的延伸、又は同時2軸的延伸がなされるように、熱可塑性ウェブを把持する。クリップの速度を機械的方向に増加させることは、一般に、機械的方向の延伸を生じる。分岐するレール等の手段は、一般に、横方向の延伸を生じる。本明細書で使用されるとき、用語「横断方向」(CD)は、本質的に縦方向に垂直である方向を意味する。1軸及び2軸延伸は、例えば、米国特許第7,897,078号明細書(Petersenら)及びそこに引用される引用文献に開示される方法及び装置によって達成することができる。平らなフィルムテンター延伸装置は、例えば、Bruckner Maschinenbau GmbH(ドイツ、Siegsdorf)から市販されている。
【0056】
フィルムを延伸することは、典型的には、例えば最大150℃までの高温で行われる。加熱は、例えば、赤外線照射、熱気処理によって、又は加熱チャンバ内で延伸を行うことによって提供することができる。本開示にかかる機械的ファスナーのいくつかの実施形態において、加熱は、機械的ファスナーが加熱に起因する機械的ファスナーへの損傷を最小限に抑えるために突出する第1の表面と反対側のフィルムの第2の表面に印加される。例えば、この実施形態では、フィルムの第2の表面と接触しているローラのみを加熱する。いくつかの実施形態において、フィルムの延伸は50℃から130℃の温度範囲で実行される。
【0057】
本開示にかかる締結テープ及び機械的ファスナーにおいて、フィルムは様々な厚さを有していてよい。例えば、フィルムの初期厚さ(すなわ、いかなる延伸の前)は、所望の用途に応じて、約750、500、400、250又は150マイクロメートルまでとすることができる。いくつかの実施形態において、フィルムの初期厚さは、所望の用途に応じて、少なくとも約50、75又は100マイクロメートルである。いくつかの実施形態において、フィルムの初期厚さは、50〜約225マイクロメートル、約75〜約200マイクロメートル又は約100〜約150マイクロメートルの範囲内である。フィルムは、本質的に均一な断面を有していてもよく、又は、機械的ファスナーの場合、フィルムは、例えば、以下に記載される成形ロールのうちの少なくとも1つによって付与することができる直立柱によって提供されるものを超えた構造を有していてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、微多孔を形成するか又は増強するために上述したフィルムを延伸することは、少なくとも10、15、20、25又は30%の不透明度の増加を提供する。不透明度の増加は、例えば、最大90、85、80、75、70、65、60、55、又は50%であってよい。初期不透明度は、例えば、フィルムの厚さの影響を受ける。フィルムを延伸することは、典型的には厚さが低下し、そのことが、典型的には不透明度の低下を引き起こす。しかしながら、応力白化及び微小孔の形成は不透明度の増強を引き起こす。本開示の目的のために、不透明度は、「L」値が黒色背景及び白色背景それぞれに対して別個に測定される分光光度計を用いて測定されることができる。不透明度は、(黒色背景に対して測定されたL/白色背景に対して測定されたL)×100として計算される。「L」値は、International Commission on Illuminationによって確立されたCIELAB色空間スケールにおける3種の標準パラメータのうちの1つである。「L」は、0(黒)〜100(最大強度)までの範囲の輝度値である。延伸に起因する不透明度の変化率は、[(延伸後の不透明度−延伸前の不透明度)/延伸前の不透明度]×100によって計算される。
【0059】
いくつかの実施形態において、微多孔を形成するか又は増強するために上述したフィルムを延伸することは、少なくとも20%のフィルムのグレースケール値の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、延伸は、少なくとも25、30、40、50%のグレースケール値の低下をもたらす。グレースケール値の低下は、例えば、最高90、85、80、75、70、65、又は60%であってよい。本開示の目的のために、グレースケール値は、以下の実施例の欄に記載された方法を用いて透過モードで測定される。延伸により、典型的にはフィルムの厚さの低下が生じ、それは、典型的には透過モードで測定されるグレースケール値の増加に導く。しかしながら、応力白化は及び微小孔の形成は、透過モードのグレースケール値の低下を引き起こす。フィルムの延伸によって生じるグレースケール値の変化率は、[(延伸後のグレースケール値−延伸前のグレースケール値)/延伸前のグレースケール値]×100によって計算される。いくつかの実施形態において、微多孔性フィルムは、最大40(いくつかの実施形態では、最大35、30、25、20又は15)のグレースケール値を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示された微多孔性フィルムについてのグレースケール値は、二酸化チタンなどの従来の量のIR遮断剤を組み込んだこと以外は同様の組成のポリオレフィンフィルムで達成される値と同等又はそれ以上である。
【0060】
微多孔性フィルムの不透明度及びグレースケール測定値は、その光透過能力と関係がある。本明細書で使用するとき、用語「光」は、人が裸眼で見える見えないにかかわらず、電磁波を指す。紫外線は、約250ナノメートル(nm)〜380nmまでの範囲の波長を有する光である。可視光は、380ナノメートル(nm)〜700nmまでの範囲の波長を有する光である。赤外線は、約700nm〜300マイクロメートルまでの範囲の波長を有する。本開示の実施に有用な微多孔性フィルムが延伸した後、紫外線、可視光及び赤外線の透過率が低下する。延伸されたフィルムのミクロ孔は、紫外、可視及び赤外範囲の光を散乱させる傾向がある。
【0061】
上述したように、熱、圧力又はそれらの組み合わせは、シースルー領域を提供するために有用であり得る。典型的には、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域は、微多孔性フィルムにおける熱可塑性樹脂の溶融温度まで加熱される。少なくとも1つのシースルー領域における微多孔性フィルムの溶融は、その領域内のあるフィルム収縮をともなうことができるシースルー領域におけるフィルムの構造の恒久的変化をもたらす。加熱は、圧力が微多孔性構造を崩壊させるために加熱をともなうように、少なくとも1つのシースルー領域の隆起画像を有するプレス又は加熱されたニップで行うことができる。圧力単独は、いくつかの場合に微多孔性フィルムの微多孔性構造の一時的な変化を与えることができる。静的プレスを使用する場合、隆起して加熱された画像に露出された側とは反対側のフィルム側のゴム表面を使用することが有用であり得る。ゴム表面は、シースルー領域が形成されている間に、2つの硬質面がフィルムに孔を形成するのを防止することができる。ニップにおいて、圧力及び間隙は、フィルムにおける孔形成を防止するためにライン速度と同様に調整することができる。
【0062】
加熱はまた、熱風又はレーザなどの指向性放射源を用いて行うことができる。様々な異なる種類のレーザが有用であり得る。例えば、炭酸ガスレーザが有用であり得る。紫外線レーザ及びダイオードレーザも有用である。レーザに適した波長は、200nmから11,000nmの範囲とすることができる。レーザ波長及び材料の吸収特性は、材料の加熱を形成するように一致又はほぼ一致するように選択することができる。当業者にとって、レーザに適したパワー、材料上のビームサイズ及び材料を横切るビームの移動速度は、所望の加熱を達成するように調整することができる。レーザ及び材料のこの一致は、例えば、微多孔性フィルムが多層構造を有する層である場合に有利であり得る。レーザによる加熱は、多層構造(例えば、多層フィルム)を有する微多孔性フィルムの位置に調整することができる。加熱は、材料の領域を露出させるために表面を横切って放射を導くことによって所定パターンで行うことができ、又は、放射は、パターン領域が放射に露出されるように、適切なマスクの表面を横切って導くことができる。微多孔性フィルムは、加熱の程度を調整するためにレーザの焦点面の外側に配置することができる。
【0063】
ヒートシールフィルム、記録媒体及び吸油性化粧シートなどのいくつかの用途において、微多孔性フィルムの領域における微多孔性構造を変更することがその領域内の不透明度を変えることができることが示されている。例えば、1998年9月23日に公開された英国特許第2323327号明細書、1992年8月19日に公開された英国特許第2252838号明細書及び米国特許出願公開第2003/091618号明細書(Sethら)を参照のこと。しかしながら、これらの場合のいくつかにおいて、変化は、例えば、所定のパターン又は画像を提供することができないフィルムの使用時の衝撃によってランダムに提供される。衝撃による微多孔構造の変化はまた、永続的ではないかもしれない。他の場合において、変化は、フィルムの縁に沿って提供され、したがって、不透明な微多孔性領域内の少なくとも1つのシースルー領域には提供されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムは、機械的ファスナーである。いくつかの実施形態において、機械的ファスナーの機械的締結要素は、雄型締結要素である。これらの実施形態のいくつかにおいて、雄型締結要素は、微多孔性フィルムに取り付けられた底部を有する直立柱を備える。微多孔性フィルム及び直立柱は、典型的には一体的である(つまり、ユニットと同時に形成される単一構造である)。微多孔性フィルムは、典型的には、微多孔性フィルムに直接付着された直立柱を有する、本質的に均一な厚さを有することができるシート又はウェブの形態である。
【0065】
フィルムの直立柱は、例えば、ダイキャスト成形技術による従来の押出し成形によって製造することができる。いくつかの実施形態において、β造核剤を含有するポリオレフィン組成物、キャビテーティング剤又は希釈剤は、直立柱と逆の形状の空洞部を有する連続移動する金型表面上に供給される。熱可塑性組成物は、空洞を有するロールを少なくとも1つ有する(すなわち、ロールの少なくとも一方は工具ロールである)2つのロール、すなわちダイフェースとロール表面との間のニップによって形成されるニップ間で渡すことができる。ニップにより供給される圧力は、組成物を空洞に押し込む。いくつかの実施形態において、空洞部をより容易に充填するために、真空を使用して空洞部を空にすることができる。ニップは、典型的にコヒーレントなフィルムを空洞上に形成するように十分に大きい間隙を有する。金型表面及び空洞は、一体成形されたフィルムと直立柱をストリッパーロールなどにより金型表面から剥離する前に、任意に空冷又は水冷されてもよい。
【0066】
好適なツールロールは、例えば、金型又はスリーブの円柱表面に入る直立柱の反転形状を有する一連の穴を(例えば、掘削、フォトエッチング、ガルバノ印刷されたスリーブの使用、レーザ掘削、電子ビーム掘削、金属パンチ、ダイレクト機械加工、又はロストワックス加工によるコンピュータ数値制御によって)形成することで、作成され得る。他の好適なツールロールは、例えば、米国特許第4,775,310号明細書(Fischer)に開示されるものなどの複数の柱形成空洞をその周辺部に画定する一連のプレートから形成されるものを含む。空洞は、例えば、穿孔又はフォトレジスト技法によってプレートに形成されてもよい。他の好適なツールロールは、例えば、米国特許第6,190,594明細書(Gormanら)において、それらの製造方法とともに開示される、ワイヤーラップロールを含んでもよい。直立柱を有する熱可塑性裏材を形成するための別の例示的方法は、米国特許第7,214,334号明細書(Jensら)に記載される、直立柱の形状の空洞のアレイを画定する可撓性成形型ベルトを使用することを含む。直立柱を有する熱可塑性裏材を形成するための更に他の有用な方法は、米国特許第6,287,665号明細書(Hammer)、米国特許第7,198,743号明細書(Tuma)及び米国特許第6,627,133号明細書(Tuma)に見出すことができる。
【0067】
直立柱(例えば、上述した方法のいずれかによって作られてもよい)の形状は、例えば、フィルムに付着された基底部から遠位先端部に向けてテーパーになっていてもよい。基底部は遠位先端部よりも大きい幅寸法を有することができ、これは、上述の方法における型表面からの柱の取り外しを容易にすることができる。
【0068】
本明細書において開示される機械的ファスナーの雄型締結要素は、所望の場合には、張出し部を有するループ係合ヘッドを有していてもよく、又は、ループ係合ヘッドに形成され得る遠位端を有する直立柱であってもよい。本明細書において使用される用語「ループ係合」は、ループ状材料に機械的に取り付けられる雄型締結要素の能力に関する。一般に、ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素は、柱の形状と異なるヘッド形状を有する。例えば、雄型締結要素は、形状が、マッシュルーム(例えば、円形又は楕円形頭部が、柄に対して大きくなっている)、フック、パームツリー、くぎ、T又はJであってもよい(例えば、米国特許第5,953,797号明細書(Provostら)に示されて記載されるように)。雄型締結要素のループ係合可能性は、標準的な織布、不織布、又はニット材料を用いて判定及び規定されてもよい。ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素の領域は、一般に、ループ状材料と組み合わされて、ループ係合ヘッドのない柱の領域よりも高い剥離強度、高い動剪断力、又は高い動摩擦のうちの少なくとも1つを提供する。典型的には、ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素は、最大厚さ寸法(高さに垂直であるどちらの寸法も)が、最大で約1(いくつかの実施形態では、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、又は0.45)ミリメートルである。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記方法のいずれかによって形成される直立柱の遠位先端部は、変形することでループ係合突出部を有するキャップを形成する。熱と圧力の組み合わせを連続して又は同時に用いて柱の遠位先端部を変形させることで、キャップを形成してもよい。いくつかの実施形態において、変形する工程は、遠位先端部を加熱表面と接触させることを含む。加熱された表面は、米国特許第6,708,378号明細書(Parelladaら)又は米国特許第5,868,987号明細書(Kampferら)に開示されているような平坦な表面又は非平坦な表面であり得る。いくつかの実施形態において、直立柱を有するフィルムは不定長のウェブであり、変形には、ウェブを、第1の方向に、加熱された表面部材及び対向する表面部材を有するニップを通して移動させて、加熱された表面部材が遠位先端部と接触するようにすることが含まれる。これらの実施形態において、加熱表面は、例えば、キャッピングロールであってもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端部と接触するのに用いられる表面は、加熱されていない。これらの実施形態において、変形は熱をともなわずに圧力によって実行される。いくつかの実施形態において、加熱された表面は、例えば、米国特許第6,368,097号明細書(Millerら)に記載されているような、可変のニップ長を有する可変のニップを形成する湾曲した支持面に対向する加熱されたロールであり得る。湾曲した支持面は、加熱されたロールの方向に湾曲することができ、加熱されたロールは、直立柱を有するフィルムを可変ニップを通じて供給して、加熱されたロールと支持面との間にウェブを圧縮して係合するための供給機構を含むことができる。
【0070】
裏材に付着された直立柱を有するフィルムを形成する別の好適な方法は、例えば米国特許第4,894,060号明細書(Nestegard)に記載されている形状成形法である。この方法において、β造核剤を含有する熱可塑性組成物、キャビテーティング剤又は希釈剤のフローストリームは、パターン化ダイリップ(例えば、放電加工によって切断されたもの)を通過すると、下向きウェブ隆起部を有するウェブを形成する。隆起部は次いで、隆起部の延長線に沿って、離間した位置で横断方向に切断されて、その切断刃によってもたらされる小さい分離とともに直立柱を形成することができる。それらが切断される前は、「直立柱」はそのような隆起部を含んでいないことが理解されるべきである。しかしながら、パターニングされたダイリップは、裏材上に直立柱を有するフィルムをもたらすツールと見なされることもある。直立柱間の分離は、その後、フィルムを隆起部の方向に、上述した延伸法の1つを用いて延伸することによって拡大する。隆起部自体は、それらが切断及び延伸される前はループを係合することができないので、「ループ係合性」とはみなされない。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、(例えば、形状形成法によって作製される)リブを切断することを含まない。
【0071】
上述した連続的な方法に加えて、直立柱を有するフィルムがバッチプロセス(例えば、単一片射出形成)を用いて調製され得ることもまた想定される。フィルムは、任意の好適な寸法を有し得るが、少なくとも10cmの長さ(L)及び幅(W)寸法が有用であり得る。
【0072】
本明細書に開示された雄型締結要素を含む機械的ファスナーの実施形態のいずれかにおいて、例えば、上述した方法のいずれかによって製造され得る直立柱は、様々な断面形状を有し得る。例えば、柱の断面形状は、正多角形であってもそうでなくてもよい多角形(例えば、正方形、長方形、六角形、若しくは五角形)であり得、又は柱の断面形状は湾曲していてもよい(例えば、円形若しくは楕円形)。
【0073】
いくつかの実施形態において、直立柱は、最大3ミリメートル(mm)、1.5mm、1mm又は0.5mmの最大高さ(フィルム上)を、いくつかの実施形態においては少なくとも0.05mm、0.075mm、0.1mm又は0.2mmの最小高さを有する。いくつかの実施形態において、柱は、少なくとも約2:1、3:1又は4:1のアスペクト比(すなわち、幅寸法に対する高さの比)を有する。アスペクト比は、いくつかの実施形態では最高10:1までであり得る。キャップを有する柱では、キャップの面積は、典型的に、柱の断面積よりも大きい。キャップの幅寸法対キャップの真下で測定された柱の比は通常、少なくとも1.5:1又は3:1であり、最大5:1以上であってもよい。キャップされた柱は通常、キャップされる前の柱よりも短い。いくつかの実施形態において、キャップされた柱は、少なくとも0.025mm、0.05mm又は0.1mm、いくつかの実施形態においては最大2mm、1.5mm、1mm又は0.5mmの(フィルム上の)高さを有する。キャップされるか又はされなくてもよい柱は、最大1(いくつかの実施形態においては最大0.75、0.5又は0.45)mmの最大幅寸法を有する断面を有することができる。いくつかの実施形態において、柱は、10μmから250μmの間の幅寸法を有する断面を有する。用語「幅寸法」は、円形断面を有する柱の直径を含むものと理解されるべきである。柱が複数の幅寸法を有するとき(例えば、上述のようにテーパーのついた、矩形又は楕円形の断面形状の柱において)、本明細書に記載されるアスペクト比は高さ対最大幅寸法である。
【0074】
直立柱は、典型的に、裏材上に離間配置されている。用語「離間配置された」は、柱同士の間に距離を有するように形成された柱を指す。「離間配置された」柱の底部は、フィルムに付着されており、フィルムが湾曲していない構造である場合、フィルムを延伸する前又は後では互いに接触していない。本開示にかかる及び/又は本開示にしたがって作製される機械的ファスナーにおいて、離間配置された直立柱は、少なくとも10/平方センチメートル(cm
2)(63/平方インチ(in
2))の初期密度(すなわち、フィルムの任意の延伸前)を有する。例えば、柱の初期密度は、少なくとも100/cm
2(635/in
2)、248/cm
2(1600/in
2)、394/cm
2(2500/in
2)、又は550/cm
2(3500/in
2)であってよい。いくつかの実施形態において、柱の初期密度は、最大1575/cm
2(10000/in
2)、又は最大約1182/cm
2(7500/in
2)、又は最大約787/cm
2(5000/in
2)であってもよい。例えば、10/cm
2(63/in
2)から1575/cm
2(10000/in
2)又は100/cm
2(635/in
2)から1182/cm
2(7500/in
2)の範囲の初期密度が有用であり得る。直立柱の間隙は均一である必要はない。直立柱の延伸後の密度は、直立柱の初期密度よりも低い。いくつかの実施形態において、直立柱は、少なくとも2/平方センチメートル(cm
2)(13/平方インチ(in
2))の延伸後の密度を有する。例えば、柱の密度は、少なくとも62/cm
2(400/in
2)、124/cm
2(800/in
2)、248/cm
2(1600/in
2)、又は394/cm
2(2500/in
2)であってよい。いくつかの実施形態において、柱の延伸後の密度は、最大約1182/cm
2(7500/in
2)又は約787/cm
2(5000/in
2)までであり得る。例えば、2/cm
2(13/in
2)から1182/cm
2(7500/in
2)又は124/cm
2(800/in
2)から787/cm
2(5000/in
2)の範囲の延伸後密度が有用であり得る。この場合も、柱の間隙は均一である必要はない。
【0075】
本開示にかかる機械的ファスナーの製造方法のいくつかの実施形態において、ポリオレフィン及びβ造核剤の溶融物がフィルムを提供するために押し出される。本方法は、β型球晶を形成するのに十分な温度(例えば、60℃から120℃又は90℃から120℃の範囲の温度)まで溶融物の少なくとも一部を冷却してフィルム上に直立柱を形成することを含む。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、直立柱をフィルム上に形成することは、溶融物の少なくとも一部を冷却した後で(例えば、固体フィルムをツールに暴露して加熱することによって)行われる。他の実施形態において、ポリオレフィン及びβ造核剤の溶融物は、フィルムの少なくとも一部において直立柱を有するフィルムを供給するツールの存在下で押出成形される。フィルムは、その後、β型球晶を形成するのに十分な温度まで冷却される。例えば、金型表面は、60℃から120℃又は90℃から120℃の範囲の温度に冷却されることができる。
【0076】
ポリプロピレンと共にβ型球晶を含む非構造化フィルムは、延伸すると微多孔性となって不透明度が増強すると実証されたが、所望の程度の多孔性又は不透明度を達成するには高延伸比が必要であると報告されている。いくつかの場合において、5:1、10:1又は20:1の延伸比が報告されている。例えば、米国特許第6,815,048号明細書(Davidsonら)、米国特許出願公開第2006/0177632号明細書(Jacoby)及び1998年9月23日に公開された英国特許出願公開第2323325号明細書を参照のこと。通常、フィルムは、2軸延伸される。予想外にも、予想外にも、半結晶性ポリオレフィン及びβ造核剤を含む直立柱を含むフィルムは、比較的低い延伸比で、いくつかの場合においては一方向のみに延伸することができ、高い程度の多孔率及び不透明性を達成する。また、直立柱を有する延伸フィルムにおける多孔率及び不透明度の程度は、延伸温度が低下するにつれて増加することが見出されている。いくつかの実施形態において、温度範囲は、50℃から110℃、50℃から90℃又は50℃から80℃である。いくつかの実施形態において、より低い温度で延伸することは、例えば、25℃から50℃の範囲で可能である。直立柱を有するフィルムの延伸は、上述したβ造核剤を含む平坦なフィルムよりも低い温度で行うことができることが予想外に見出されている。例えば、β造核剤を含有する、半結晶性ポリオレフィンからなる構造化フィルムは、最大70℃(例えば、50℃から70℃又は60℃から70℃の範囲)において延伸することができる。さらなる詳細は、米国特許出願公開第2013/0149488(Chandrasekaranら)においてみることができる。
【0077】
同時係属中の特許出願に記載されているように、直立柱は、通常は延伸により影響されず、又はフィルムに比べて非常に小さい程度の影響しか受けず、したがってβ−結晶構造を保持し、より少ない微多孔性である。結果として得られる延伸されたフィルムは、いくつかの特異な性質を有している可能性がある。例えば、応力白化によってフィルムに形成された微小孔は、不透明な白色フィルムをもたらす可能性があるが、直立柱は透明である。フィルムと直立柱との視覚的なコントラストは、着色剤の存在によって増強されることがある。着色剤は、フィルム形成前に、例えばカラーコンセントレートを用いてポリオレフィンに添加されてよい。着色フィルムはまた、延伸すると応力白化して微小空洞を形成し、これらの変化は典型的に、フィルムの色強度の視覚的な低下として現れる。その結果、延伸されたフィルムはパステルカラーの場合があるが、直立柱の色強度は保持される。例えば、十分に低い濃度のカラーコンセントレートを用いると、結果として得られる延伸されたフィルムは、着色された直立柱を有するほぼ白色のフィルムを出現させる可能性がある。直立柱は、少ない微多孔及びより透明であるという事実にもかかわらず、本明細書に開示された機械的ファスナーにおいて、フィルム自体が不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有することが理解されるべきである。微多孔性フィルムは、直立柱を含まない厚さを有し、少なくとも1つのシースルー領域は、微多孔性フィルムの厚さを通って延在している。
【0078】
本明細書に開示された機械的ファスナーのいくつかの実施形態において、機械的締結要素は雌型締結要素であり、例えば、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルム上に配置されたループである。ループは、織り、編み、経編、緯糸挿入編、丸編み又は不織構造体を作製するための方法などのいくつかの方法のいずれかによって形成された繊維構造体の一部であってもよい。いくつかの実施形態において、ループは不織布又は編物に含まれる。「不織布」という用語は、個々の繊維又は糸が間に挟まれているが編布におけるように確認可能ではない方式による構造を有する材料を指す。不織布ウェブの例には、スパンボンドウェブ、スパンレースウェブ、エアレイドウェブ、メルトブローウェブ、及び貼り合わせたカードウェブが挙げられる。有用なループ状材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、熱可塑性繊維)、又は天然繊維と合成繊維の組み合わせから作製されてもよい。熱可塑性繊維を形成するための好適な材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、ブチレンコポリマー、並びにこれらのポリマーのコポリマー及びブレンド)、ポリエステル、及びポリアミドが挙げられる。繊維は、例えば、ある熱可塑性材料のコアと、別の熱可塑性材料のシースと、を有する、多成分繊維であってもよい。
【0079】
図1を再び参照すると、露出した繊維材料72を提供するために標的領域68に適切に適用されることができるループテープの例は、例えば、米国特許第5,389,416号明細書(Modyら)及び米国特許第5,256,231号明細書(Gormanら)及び欧州特許第0,341,993号明細書(Gormanら)に開示されている。米国特許第5,256,231号明細書(Gormanら)に記載されているように、いくつかの実施形態にかかるループ材料における繊維層は、フィルム上の離間したアンカー部から同一方向に突出した円弧状部分を含むことができる。繊維ループ材料のいずれも、微多孔性フィルムに対して、押出結合、接着剤結合及び/又は音波結合されることができる。微多孔性フィルムに対するループ材料の押出結合について、多孔率を提供又は増強するためにフィルムを延伸することは、典型的には、押出結合後に行われる。微多孔性フィルムを延伸することは、微多孔性フィルムに対する繊維ループ材料の接着又は音波結合の前又は後に行われてもよい。
【0080】
本開示にかかる機械的ファスナーのいくつかの実施形態において、微多孔性フィルムは、機械的締結要素を有するストリップ又はパッチが付着される基板(例えば、テープ裏材)である。ストリップ又はパッチは、雄型又は雌型締結要素を含むことができ、基板は、締結テープのテープ裏材とすることができる。いくつかの実施形態において、機械的ファスナーは、繊維層における雌型締結要素を備える。繊維層は、微多孔ではなくシースウーである裏材層に接合されることができ、不透明な微多孔性領域内の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムは、繊維層の反対側の裏材の側に積層することができる。機械的ファスナーは、米国特許第5,256,231号明細書(Gormanら)に記載されているようにすることができる。これらの実施形態において、以下の微細孔層に対して機械的ファスナーを介してみることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、微多孔性フィルムは、第1の層及び第2の層を備える多層構造の第1の層とすることができ、着色又は金属化することができる第2の層の一部は、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である。これらの実施形態のいくつかにおいて、微多孔性フィルムは、2つの微多孔性フィルムとの間において着色されたフィルムのインフレーションフィルムサンドイッチに含めることができ、その少なくとも1つは、不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する。
【0081】
フック及びループ締結具とも呼ばれる機械的締結具は、典型的に、フック部材として有用なループ係合ヘッドを有する、複数の密接に離間配置された直立突起を含み、ループ部材は、典型的に、複数の織布、不織布、又はニットループを含む。機械的ファスナーは、人体の周りにそのような物品を固定するために個人衛生用品(すなわち、着用可能な使い捨て吸収性物品)に広く使用されている。典型的な構成において、おむつ又は失禁用衣類の後側腰部領域に取り付けられた締結タブ上のフックストリップ又はパッチを、例えば、前側腰部領域のループ状材料のランディング領域に締結することができるか、又はフックストリップ又はパッチを、前側腰部領域のおむつ又は失禁用衣類のバックシート(例えば、不織布バックシート)に締結することができる。しかしながら、機械的ファスナーは、多数の用途(例えば、研磨ディスク、自動車部品の組み立て及び個人衛生用品)における取り外し可能な取り付けを提供するのに有用である。
【0082】
本開示にかかる機械的ファスナーを含むその締結テープ又は要素における微多孔性領域は、微多孔性領域と少なくとも1つのシースルー領域との間のコントラスト以外の利点を提供する。微多孔性フィルムの(例えば、散乱によって)光の透過を妨げる能力は、基板に光を当てて基板の照射領域から受ける光の量を検出することに依存する検査システムで検出することが可能である。例えば、個人衛生用品の製造において、物品に組み込まれた本明細書に開示する微多孔性フィルムの又はその一部の、存在又は位置が、その紫外線、可視光及び/又は赤外光をブロックする能力により、検出され得る。紫外線、可視光、又は赤外線のうち少なくとも1つによって照射されたことに対する微多孔性フィルムの反応が評価される。その後、個人衛生用品の製造中に照射することができ、照射された個人衛生用品から受光した紫外線、可視光又は赤外線放射のうちの少なくとも1つが検出され、微多孔性フィルムの予め定義された応答について分析されることができる。微多孔性フィルムの位置は、例えば微多孔性フィルム及び他の構成要素の位置に相当するグレースケール値の所定の変動を検出可能な画像分析器を用いて決定することができる。本明細書に開示される微多孔性フィルムの赤外線散乱能力は、赤外線が複合物品中の他の物質層間にある場合でも検出可能である。複合物品における微多孔性フィルムを検出する方法に関する詳細については、米国特許出願公開第2013/0147076号明細書(Chandrasekaranら)を参照のこと。
【0083】
さらにまた、微多孔性フィルムは、それらの非微多孔性対応物よりも低い密度を有する傾向がある。低密度の微多孔性フィルムの感触は、厚さは同等だが密度が更に高いフィルムよりも柔らかく感じられる。フィルムの密度は、常套法を用いて、例えばピクノメータ中のヘリウムを用いて、測定することができる。いくつかの実施形態において、β型球晶を含有するフィルムを延伸することは、少なくとも3パーセントの濃度低下を与える。いくつかの実施形態では、この延伸により、密度が少なくとも5又は7.5%低下する。例えば、延伸により、密度が3〜15%又は5〜10%の範囲で低下する。フィルムの延伸によって生じる密度の変化率は、[(延伸前の密度−延伸後の密度)/延伸前の密度]×100によって計算される。フィルムの柔軟性は、例えばガーレー剛性を用いて測定することができる。
【0084】
図2に関連して上述したように、微多孔性フィルムは、第1の層及び第2の層を含む積層体の第1の層であり、第2の層の一部は、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である。それは層が着色されているときに特に有用であろう。本開示の実施に有用な微多孔性フィルムは、並列共押出フィルムであることも可能である。並列共押出フィルムは、多数の有用な方法で作製することができる。例えば、米国特許第4,435,141号明細書(Weisnerら)は、フィルムの横断方向において他のセグメントを有する多成分フィルムを作るためのダイバーを有するダイを記載している。米国特許第6,669,887号明細書(Hilstonら)に記載されているように並列共押出フィルムの一方又は双方の外面上に連続外皮層を共押出しすることを同様に含む同様のプロセスもまた有用な場合もある。並列レーンへの異なるポリマー組成物の流れの管理はまた、並列共押出を達成するために複数のダイを必要とするアプローチとは対照的に分配板を有する単一のマニホールドダイを用いて行うことができる。ダイ及び分配板に関するさらなる詳細は、例えば米国特許出願公開第2012/0308755号明細書(Gormanら)にみることができる。並列共押出フィルムはまた、例えば国際公開第2011/119323号(Ausenら)及び米国特許出願公開第2014/0093716号明細書(Hanschenら)に記載されたもののダイなど、複数のシムを含み且つ溶融ポリマーのための2つのキャビティを有する他の押出ダイによって製造することができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、本開示の実施に有用な微多孔性フィルムは、並列の第1及び第2のレーンを有する共押出フィルムであり、第1のレーンは、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を含み、第2のレーンは、微多孔性でなくてもよい異なるポリマー組成物を含む。いくつかの実施形態において、微多孔性フィルムは、第1及び第2の層を有する多層フィルムであり、第1の層は、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を含み、第2の層は、微多孔性でなくてもよい異なるポリマー組成物を含む。異なるポリマー組成物に好適な熱可塑性材料には、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンホモポリマー、エチレン、プロピレン、及び/又はブチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート及びアクリル酸エチレン等のエチレンを含有するコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエチレンブチラート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)等のポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン、ポリフェニレン硫化物、並びにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、(例えば、第2レーン又は第2の層中の)異なるポリマー組成物は、(例えばポリプロピレン中に)α造核剤を包含する。いくつかの実施形態において、異なるポリマー組成物は、顔料や染料などの着色剤を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、(例えば、第2レーン又は第2の層中の)異なるポリマー組成物は、エラストマー材料を包含する。「エラストマー性」という用語は、伸長又は変形からの回復を呈するフィルム(0.002〜0.5mm厚)を作製することができる、ポリマーを指す。本明細書に開示されるセグメント化多成分高分子フィルムで使用され得る例示的なエラストマー性ポリマー組成物としては、ABAブロックコポリマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(例えば、メタロセンポリオレフィンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、エチレンビニルアセテートエラストマー、及びポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。ABAブロックコポリマーエラストマーは、概して、Aブロックがポリスチレン系であり、Bブロックが共役ジエン(例えば、低級アルキレンジエン)であるエラストマーである。Aブロックは、主に置換(例えば、アルキル化)若しくは非置換スチレン系部分(例えば、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、又はポリ(t−ブチルスチレン))から概して形成され、1モル当たり約4,000〜50,000グラムの平均分子量を有する。Bブロックは、主に置換又は非置換であり得る共役ジエン(例えば、イソプレン、1,3−ブタジエン、又はエチレン−ブチレン単量体)から概して形成され、1モル当たり約5,000〜500,000グラムの平均分子量を有する。Aブロック及びBブロックは、例えば、線状、放射状、又は星形構成で構成されてもよい。ABAブロックコポリマーは、複数のA及び/又はBブロックを含んでもよく、ブロックは同一の又は異なるモノマーから作製されてもよい。典型的なブロックコポリマーは、線状ABAブロックコポリマーであり、Aブロックは同一であってもよく、若しくは異なっていてもよく、又はAブロックで主に終端する、3つ以上のブロックを有するブロックコポリマーであってもよい。マルチブロックコポリマーは、例えば、より粘着性のあるエラストマーフィルムセグメントを形成する傾向がある、ある特定の割合のABジブロックコポリマーを含んでいてもよい。エラストマー特性が悪影響を受けないという条件で、他のエラストマーがブロックコポリマーエラストマーとブレンドされ得る。多くのタイプの熱可塑性エラストマーは、商業的に入手可能であり、BASF製の商品名「STYROFLEX」、Shell Chemicals製の商品名「KRATON」、Dow Chemical製の商品名「PELLETHANE]又は「ENGAGE」、DSM製の商品名「ARNITEL」、DuPont製の商品名「HYTREL」等が挙げられる。米国特許第6,669,887号(Hilstonら)に記載される、テトラブロックスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン/エチレン−プロピレンを含む、熱可塑性エラストマーもまた有用であり得る。
【0087】
本開示にかかる及び/又は本開示にしたがって作製される締結テープ及び機械的ファスナーの実施形態のいずれかについて、締結テープ又は機械的ファスナーはロール形態とすることができ、より小さな部分(例えば、機械的ファスナーパッチ及び締結テープタブ)は、所望の用途にふさわしい寸法で切断されることもできる。この用途において、締結テープ及び機械的ファスナーはまた、それぞれ、所望の寸法に切断された締結テープタブ又は機械的ファスナーパッチであってもよく、また、締結テープ又は機械的ファスナーの製造方法は、締結テープ又は機械的ファスナーを所望の寸法に切断することを含むことができる。機械的ファスナーのいくつかの実施形態において、機械的ファスナーの第2の表面(すなわち、機械的締結要素が突出する第1の表面に対向する表面)は、接着剤(例えば、感圧性接着剤)でコーティングされてもよい。そのような実施形態において、機械的ファスナーがロール形態であるとき、剥離ライナーは、露出された接着剤に適用されてもよい。
【0088】
これらの実施形態のいくつかにおいて、上述したような締結テープ又は機械的ファスナーから切断されたファスナータブ又はパッチは、個人衛生用品に組み込むことができる。締結テープタブは、例えば、熱ラミネーション、接着剤(例えば、感圧接着剤)又は他の結合方法(例えば、超音波結合、圧着又は表面結合)により、個人衛生用品に取り付けることができる。
【0089】
本明細書に開示された機械的ファスナーの製造方法のいくつかの実施形態において、本方法は、さらに、機械的ファスナーの第2の表面(すなわち、機械的締結要素が突出する第1の表面とは反対側の表面)を担体に接合することを備える。機械的ファスナーは、積層(例えば、押出積層)、接着剤(例えば、感圧性接着剤)又は他の結合方法(例えば、超音波結合、圧着又は表面結合)によって担体に接合されることができる。いくつかの実施形態において、機械的ファスナーは、直立柱を有するフィルムの形成時に担体に結合されてもよく、微多孔性を誘導又は増強するために延伸することは、機械的ファスナーが担体に接合された後に行うことができる。得られる物品は、締結積層体、例えば、前側腰部領域と後側腰部領域とを接合するために有用な個人衛生用品のバックシートに接合された締結テープタブであってもよい。
【0090】
剥離テープ又は機械的ファスナーが不透明な微多孔質領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを備えるいくつかの実施形態において、機械的ファスナー用の締結テープのテープ裏材又は担体は、微多孔性フィルムを備える必要はないが、様々な適切な材料を含んでもよい。例えば、テープ裏材又は担体は、織布ウェブ、不織布ウェブ(例えば、スパンボンドウェブ、スパンレースウェブ、エアレイドウェブ、メルトブローンウェブ及びボンデッドカーデッドウェブ)、織物、プラスチックフィルム(例えば、単層又は多層フィルム、共押出フィルム、横積層フィルム又は発泡体層を含むフィルム)及びそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、テープ裏材又は担体は、繊維性材料(例えば、織布、不織布、又はニット材料)である。いくつかの実施形態において、テープ裏材又は担体は、例えば、少なくとも1つのメルトブローン不織布の層、及び少なくとも1つのスパンボンド不織布の層、又は不織布材料の任意の他の好適な混合を有する、多層の不織布材料を含む。例えば、テープ裏材又は担体は、スパンボンド−メルトボンド−スパンボンド、スパンボンド−スパンボンド、又はスパンボンド−スパンボンド−スパンボンドの多層材料であってもよい。又は、テープ裏材又は担体は、不織布層及び緻密フィルム層の任意の組み合わせを含む複合ウェブであってもよい。テープ裏材又は担体は、連続的(すなわち、いかなる貫通孔もない)又は断続的(例えば、貫通穿孔又は孔を含む)とすることができ、着色することができる。
【0091】
機械的ファスナーのための有用なテープ裏材又は担体を提供する繊維性材料は、天然繊維(例えば、木材又は綿繊維)、合成繊維(例えば、熱可塑性繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから作製されてもよい。熱可塑性繊維を形成するための例示的な材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、ブチレンコポリマー、並びにこれらのポリマーのコポリマー及びブレンド)、ポリエステル、及びポリアミドが挙げられる。繊維は、例えば、ある熱可塑性材料のコアと、別の熱可塑性材料のシースと、を有する、多成分繊維であってもよい。
【0092】
有用なテープ裏材又は担体は、特定の用途に望ましい任意の好適な坪量又は厚さを有し得る。繊維性テープ裏材又は担体について、坪量は、例えば、1平方メートル当たり少なくとも約20、30、又は40グラム、1平方メートル当たり最大で約400、200、又は100グラムの範囲であってもよい。テープ裏材又は担体は、最大約5mm、約2mm、又は約1mmの厚さ、及び/又は少なくとも約0.1、約0.2、又は約0.5mmの厚さであり得る。
【0093】
テープ裏材又は担体の1つ以上の領域は、力が印加されるとき、少なくとも一方向に延伸し、力が除去された後にほぼ元の寸法に戻る、1つ以上の弾性的延伸性材料を含んでもよい。用語「弾性」は、延伸又は変形からの回復を呈する任意の材料を指す。同様に、延伸又は変形からの回復を呈さない「非弾性」材料もまた、テープ裏材又は担体として有用であり得る。
【0094】
テープ裏材又は担体が繊維ウェブを含むいくつかの実施形態において、テープ裏材又は担体に微多孔性フィルムなどの熱可塑性部品を接合することは、加熱ガス状流体(例えば、周囲空気、脱湿空気、窒素、不活性ガス、又は他のガス混合)を、連続ウェブが移動している間、繊維ウェブの第1の表面の上に衝突させる工程と、加熱流体を、連続ウェブが移動している間、いくつかの実施形態においては機械的締結要素の第1の表面の反対である微多孔性フィルムの第2の表面である微多孔性フィルムの表面の上に衝突させる工程と、繊維ウェブの第1の表面が微多孔性フィルムに融解結合(例えば、表面結合、又はロフト維持結合によって結合)されるように、繊維ウェブの第1の表面を微多孔性フィルムの表面と接触させる工程と、を含む。加熱したガス状流体を繊維ウェブの第1の表面上に衝突させること、及び加熱したガス状流体を微多孔性フィルム上に衝突させることが、連続的又は同時に行われてよい。「表面接合」という用語は、繊維性材料の接合を指すとき、繊維の少なくとも一部分の繊維表面の部分が、微多孔性フィルムの表面の元の(接合前の)形状を実質的に保存し、曝露条件で微多孔性フィルムの表面の少なくともいくつかの部分を実質的に保存するような方法で、表面が接合する領域において、微多孔性フィルムに溶融接合されることを意味する。定量的に、表面結合された繊維は、表面結合された繊維の表面積の少なくとも約65%が、繊維の結合部分の微多孔性フィルムの表面の上に見えるという点で、埋め込まれた繊維と区別され得る。繊維の表面積の全体を可視化するために、2つ以上の角度からの検査が、必要である場合がある。「ロフト保持接合」という用語は、繊維性材料の接合を指すとき、接合された繊維性材料が、接合プロセス前に、又は接合プロセスがない場合、材料によって呈されるロフトの少なくとも80%である、ロフトを含むことを意味する。繊維性材料のロフトは、本明細書で使用される場合、ウェブによって占有される全体積(繊維、並びに、繊維によって占有されない材料の間質腔を含む)と繊維性材料のみによって占有される体積との比である。繊維性ウェブの一部分のみが、そこに接合される微多孔性フィルムの表面を有する場合、保持されたロフトは、接合領域の繊維性ウェブのロフトを、非接合領域のウェブのロフトと比較することによって容易に確認することができる。場合によっては、例えば、繊維性ウェブの全体がそこに接合される微多孔性フィルムの表面を有する場合、接合されたウェブのロフトを、接合される前の同一ウェブのサンプルのロフトと比較することが便宜的な場合がある。望まれない限り、接合領域にシースルー領域を形成しないように、高温空気は制限されるべきである。加熱されたガス状流体を使用して繊維状担体ウェブに連続ウェブを接合するための方法及び装置は、米国特許出願公開第2011−0151171号明細書(Bieglerら)及び米国特許出願公開第2011−0147475号明細書(Bieglerら)にみることができる。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態
第1の実施形態において、本開示は、
締結部を備えたテープ裏材と、
締結部に配置された接着剤と、
接着剤用の剥離面とを備え、剥離面が、テープ裏材又はテープ裏材の表面の少なくとも一部に配置された剥離コーティングにその縁部のうちの1つに沿って取り付けられた剥離テープであり、
テープ裏材又は剥離面の少なくとも一方が、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、締結テープを提供する。
【0096】
第2の実施形態において、本開示は、テープ裏材が、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、第1の実施形態の締結テープを提供する。
【0097】
第3の実施形態において、本開示は、剥離面がテープ裏材の表面の少なくとも一部に配置された剥離コーティングである、第2の実施形態の締結テープを提供する。
【0098】
第4の実施形態において、本開示は、剥離面が不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む剥離テープである、第1の実施形態の締結テープを提供する。剥離テープは、テープ裏材及び剥離テープに取り付けられた別個のストリップによってテープ裏材にその縁部のうちの1つに沿って取り付けられてもよい。
【0099】
第5の実施形態において、本開示は、さらに、締結部上の接着剤に取り付けられた機械的ファスナーを含む、第1から第4の実施形態のいずれかの締結テープを提供する。
【0100】
第6の実施形態において、本開示は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間の吸収性成分と、後側腰部領域から反対側の前側腰部領域まで延在する第1及び第2の対向する長手方向縁部と、後側腰部領域又は前側腰部領域において筐体の第1の長手方向縁部に取り付けられた締結タブとを有する筐体を含み、締結タブが、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む個人衛生用品を提供する。締結タブは、第1から第5の実施形態の特徴の任意の組み合わせを有してもよい。個人衛生用品はまた、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間の吸収性要素と、バックシートの少なくとも一部に取り付けられた締結タブとを有する筐体を含むパンツスタイル個人衛生用品とすることができる。本実施形態における締結テープは、使い捨てテープとすることができる。
【0101】
第7の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが締結タブのテープ裏材の少なくとも一部を形成する、第6の実施形態の個人衛生用品を提供する。
【0102】
第8の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが締結タブ上の剥離テープの少なくとも一部を形成する、第6又は第7の実施形態の個人衛生用品を提供する。
【0103】
第9の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが締結タブ上の機械的ファスナーの少なくとも一部を形成する第6から第8の実施形態のいずれかの個人衛生用品を提供する。
【0104】
第10の実施形態において、本開示は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間の吸収性成分と、バックシートに取り付けられた使い捨てテープとを有する筐体を含み、使い捨てテープが不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む個人衛生用品を提供する。
【0105】
第11の実施形態において、本開示は、
所定厚さの不透明な微多孔質領域及び不透明な微多孔質領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムであり、少なくとも1つのシースルー領域が微多孔性フィルムの厚さを通って延在している微多孔性フィルムと、
機械的ファスナーの少なくとも1つの表面上にある機械的締結要素とを備える、機械的ファスナーを提供する。
【0106】
第12の実施形態において、本開示は、機械的締結要素が微多孔性フィルムに付着された底部を有する直立柱を備える雄型締結要素である、第11の実施形態の機械的ファスナーを提供する。
【0107】
第13の実施形態において、本開示は、雄型締結要素が、さらに、微多孔性フィルムから遠位のキャップを備える、第12の実施形態の機械的ファスナーを提供する。
【0108】
第14の実施形態において、本開示は、微多孔性領域が直立柱よりも大きな不透明度を有する、第12又は第13の実施形態の機械的ファスナーを提供する。
【0109】
第15の実施形態において、本開示は、機械的締結要素が微多孔性フィルム上に配置された繊維ループである、第11の実施形態の機械的ファスナーを提供する。
【0110】
第16の実施形態において、本開示は、繊維ループが編物又は不織布材料から形成される、第15の実施形態の機械的締結具を提供します。
【0111】
第17の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが機械的締結要素を有するストリップが装着された基材である、第11から第16の実施形態のいずれかの機械的ファスナーを提供する。
【0112】
第18の実施形態において、本開示は、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域が不透明な微多孔性領域内の低い多孔率のシースルー領域のパターンに含まれる、第1から第17の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0113】
第19の実施形態において、本開示は、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域が、数字、絵、記号、幾何学的形状、アルファベット文字、バーコード又はそれらの組み合わせの形態である、第1から第18の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0114】
第20の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが第1の層及び第2の層を含む多層構造の第1の層であり、第2の層の一部が低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である、第1から第19の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0115】
第21の実施態様において、本開示は、第1の層及び第2の層が異なる色又は同じ色の異なる色合いを有する、第20の実施形態の締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0116】
第22の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムがβ造核剤を含む、第1から第21の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0117】
第23の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムが充填剤又は希釈剤のうちの少なくとも1つを含む、第1から第22の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0118】
第24の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムが、プロピレンホモポリマー、プロピレンの共重合体及び他のオレフィン又はポリプロピレンホモポリマー及び異なるポリオレフィンの混合のうちの少なくとも1つを含む、第1から第23の実施形態のいずれかの締結テープ、個人衛生用品又は機械的ファスナーを提供する。
【0119】
第25の実施態様において、本開示は、
微多孔性フィルムの少なくとも一方の表面に機械的締結要素を含む機械的ファスナーを提供することと、
微多孔性フィルムの不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を形成するために微多孔性フィルムの一部の孔を崩壊させることとを備える、機械的ファスナーの製造方法を提供する。
【0120】
第26の実施態様において、本開示は、機械的ファスナーを提供することが、
β造核剤、充填剤又は希釈剤のうちの少なくとも1つを含むフィルム上に直立柱を形成することと、
微多孔性フィルムを提供するためにフィルムを延伸することとを備える、第25の実施形態の方法を提供する。
【0121】
第27の実施態様において、本開示は、機械的ファスナーを提供することが、
β造核剤、充填剤又は希釈剤のうちの少なくとも1つを含むフィルムに対して繊維ループウェブを接合することと、
微多孔性フィルムを提供するためにフィルムを延伸することとを備える、第25の実施形態の方法を提供する。
【0122】
第28の実施態様において、本開示は、機械的ファスナーを提供することが、
溶融物を形成するために結晶性ポリマー及び希釈剤を溶融混合することと、
フィルム上に直立柱を形成するために金型に溶融物を押し出すことと、
表面に直立柱を有する微多孔性フィルムを提供するためにポリマーが結晶化して相が希釈剤から分離する温度まで冷却することとを備える、第25の実施形態の方法を提供する。
【0123】
第29の実施態様において、本開示は、機械的ファスナーを提供することが、
溶融物を形成するために結晶性ポリマー及び希釈剤を溶融混合することと、
繊維ループウェブに溶融物を押出積層することと、
少なくとも1つの表面にループを有する微多孔性フィルムを提供するためにポリマーが結晶化して相が希釈剤から分離する温度まで冷却することとを備える、第25の実施形態の方法を提供する。
【0124】
第30の実施態様において、本開示は、
微多孔性フィルムを提供することと、
微多孔性フィルムの不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を形成するように微多孔性フィルムにおける一部の孔を崩壊させることと、
低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域及び不透明な微多孔性領域を含む微多孔性フィルムの少なくとも一部を、締結部及び剥離面を含むテープ裏材を有する締結テープに組み立てることであり、剥離面がテープ裏材又はテープ裏材の表面の少なくとも一部に配置された剥離コーティングに対してその縁部のうちの1つに沿って取り付けられた剥離テープであることと、
締結部に接着剤を塗布することとを備え、
テープ裏材又は剥離面の少なくとも一方が、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、締結テープの製造方法を提供する。
【0125】
第31の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムを提供することが少なくとも1つのβ造核剤、充填剤又は希釈剤を含むフィルムを延伸することを備える、第30の実施形態の方法を提供する。
【0126】
第32の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムを提供することが、結晶性ポリマー及び希釈剤を溶融混合し、結晶化ポリマー及び相が希釈剤から分離する温度まで冷却することを備える、第30の実施形態の方法を提供する。
【0127】
第33の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムの一部の孔を崩壊させることが、低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を形成するために孔を崩壊させるように微多孔性フィルムを加熱することを備える、第25から第32の実施形態のいずれかの方法を提供する。
【0128】
第34の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムを加熱することが、加熱されたパターン化ローラを用いて行われることを備える、第33の実施形態の方法を提供する。
【0129】
第35の実施態様において、本開示は、微多孔性フィルムを加熱することが、高温空気を用いて行われることを備える、第33の実施形態の方法を提供する。
【0130】
第36の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムを加熱することが、レーザを用いて行われる、第33の実施形態の方法を提供する。
【0131】
第37の実施形態において、本開示は、微多孔性フィルムが多層構造における層であり、レーザを用いて加熱することが、多層構造内の微多孔性フィルムの位置に調整される、第36の実施形態の方法を提供する。
【0132】
第38の実施形態において、本開示は、さらに、個人衛生用品に締結テープ又は機械的ファスナーの一部を組み込むことを備える、第25から第37の実施形態のいずれかの方法を提供する。
【0133】
第39の実施形態において、本開示は、
トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に吸収性成分と、後側腰部領域から反対側の前側腰部領域まで延在する第1及び第2の対向する長手方向縁部とを有する筐体を提供することと、
第30から第37の実施形態のいずれかの方法にしたがって製造された締結テープを切断することによって締結タブを得ることと、
後側腰部領域又は前側腰部領域における筐体の第1の長手方向縁部に締結タブを取り付けることとを備える、個人衛生用品の製造方法を提供する。
【0134】
第40の実施形態において、本開示は、
トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に吸収性成分と、後側腰部領域から反対側の前側腰部領域まで延在する第1及び第2の対向する長手方向縁部とを有する筐体を提供することと、
第25から第37の実施形態のいずれかの方法にしたがって製造された微多孔性フィルムを切断することによって機械的ファスナーを得ることと、
後側腰部領域又は前側腰部領域における筐体に機械的ファスナーを取り付けることとを備える、個人衛生用品の製造方法を提供する。
【0135】
本開示をより十分に理解できるように、以下の実施例を記載する。これら実施例は、単に例示を目的とするものであり、いかなる方法でも本開示を限定すると解釈してはならないことを理解すべきである。
【実施例】
【0136】
(実施例1)
直立柱を有するフィルムは、ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から入手した商品名「DOW C700−35Nポリプロピレン樹脂」(98重量%)のポリプロピレンインパクト共重合体と、ジョージア州アルファレッタのMayzo社から入手した商品名「MPM 1114」(2重量%)のβ核マスターバッチとのストリームを、2インチ(5.08cm)の単軸スクリュー押出機を介して供給することによって調製した。ポリマーの密度は、ASTM D972にしたがって測定された0.902g/ccであると製造業者によって報告され、メルトフローインデックス(MFI)は、ASTM D1238にしたがって測定されたときに35(230℃及び2.16kgの負荷の下)であると報告された。β造核剤マスターバッチはペレット化されており、ポリプロピレンホモポリマー樹脂中に分散された高性能β核形成製剤を含有していた。押出機における7つのバレルゾーンは、それぞれ、176℃、170℃、180℃、190℃、200℃、218℃及び218℃に設定された。溶融樹脂を次いで、シートダイを通って回転式円筒形金型へと送り込んだ。ダイの温度は、218℃に設定され、円筒状金型の温度は、90℃に設定された。スクリュー速度は、80rpmに設定された。金型を水冷して急冷することで、ポリマーの配向を維持した。柱の密度は5200/平方インチ(806/平方センチメートル)であり、アレイが交互に配列されており、柱の形状は円錐形であった。底部の柱の断面形状は、350マイクロメートルの直径を有する円形であった。ライン速度は、フィルムの厚さが100マイクロメートルとなるように設定された。ウェブは、装置に適合するような幅にスリットした後、キャップ形成装置に供給された。柱は、米国特許第5,845,375号明細書(Millerら)に記載された手順を用いて、楕円形状のキャップでキャップした。キャップは、その後、「下向きに突出した繊維係合部を有するフックヘッド」を提供するために、米国特許第6,132,660号明細書(Kampfer)に記載の手順を用いて変形された。そして、フィルムは、一方のロールが他方よりも速く回転した2組のロールにウェブを通すことによって機械的方向に延伸された。ロールの各セットについて、下ロールはクロムロールであり、上ロールは、ゴムロールであった。延伸のために、各下クロムロールの温度は71℃(160°F)に設定され、各上ゴムロールは、71℃(160°F)に設定された。延伸比は、機械的方向において2:1であった。
【0137】
6cm×20cmのピースがフィルムから切断され、サンプルは、0.5cmの厚さのシリコンゴムで被覆された機械加工されたアルミニウム板上に配置された。サンプルの縁部は、粘着テープを用いてアルミニウム板に固定された。波パターンが刻まれたアルミニウム板は、圧縮空気を使用することによって移動可能な圧縮機の天板に取り付けられた。天板は、130℃(266°F)の表面温度まで加熱された。サンプルは、固定板であるプレスの底板に固定された。天板は、サンプルにおいて波パターンをエンボス加工するために6秒間底板に押し付けられた。
【0138】
2.5cm×3.7cmのサンプルのパッチは、締結タブに接着で結合された。得られた締結タブの写真を
図3に示す。
図3には示されていないが、サンプルの背後にある不織布が青色に着色され、青色はプレスで形成されたシースルー領域34の背後に明確に視認された。
【0139】
(実施例2)
実施例2は、その後に蓋がされた柱を有するフィルム押出成形から調製され、実施例1の方法にしたがって機械的方向に延伸された。6cm×20cmの延伸フィルムがフィルムから切断された。サンプルは、カリフォルニア州サンタクララのコヒーレント社からの二酸化炭素レーザE−400から10.6ミクロン波長のレーザ放射に露光された。レーザエネルギは、マサチューセッツ州ビレリカのGSIグループからのスキャナモデルHPLK 1330によってサンプル全体に向けられた。サンプルは、(スキャナシステムの焦点面がスキャナハウジングから約560mmに位置していたのに対して)スキャナハウジングから約510mmの距離に配置された。サンプルの面において、レーザビームについてのスポットサイズは、ほぼ円形の幅が約0.9mmであると判定された。パターン化された露光を提供するために、レーザビームは、高さがおよそ1cmのミネソタ州セントポールの3M社の商標ロゴの充填形状を形成するためにラスタモーションで走査された。約25ワットのパワーのレーザビームが約0.5mmで区切られた連続ラインを有するマスクを横切るラスタモーションで約930mm/秒の速度で走査された。レーザ照射は、サンプル材に入射して外観の変化に影響を与えた。
【0140】
(実施例3)
9デニールのポリプロピレン繊維から形成されたシートは、米国特許第5,256,231号明細書(Gormanら)の実施例1の方法にしたがって調製された。ダウケミカル社から入手した商品名「DOW C700−35Nポリプロピレン樹脂」(98重量%)のポリプロピレンと、Mayzo社から入手した商品名「MPM 1114」(2重量%)のベータ核マスターバッチは、熱可塑性裏材層の適切な冷却を確保するために約85℃の温度であった冷却ロールの周囲において約200度、繊維の形成されたシート及び熱可塑性裏材層が第1のコルゲートローラと冷却ローラとの間のニップを通って移動すると、埋め込まれた繊維の形成されたシートのアンカー部分によって熱可塑性裏材層を形成して約0.0381センチメートルの厚さであるようにさせる適切な量で第1のコルゲートローラと冷却ロールとのニップの直前において繊維の形成されたシートのアンカー部分に420°F(216℃)のダイ温度でダイを介して押出された。そして、積層体は、一方のロールが他方よりも速く回転した2組のロールにウェブを通すことによって機械的方向に延伸された。ロールの各セットについて、下ロールはクロムロールであり、上ロールは、ゴムロールであった。延伸のために、各下クロムロールの温度は71℃(160°F)に設定され、各上ゴムロールは、71℃(160°F)に設定された。延伸比は、機械的方向において1.4:1であった。そして、積層体は、底部におけるパターン化ロールと上部における磨かれたクロムロールとからなる加熱ニップを通過した。パターンロールは、
図2に示されるパターンを有していた。パターン化ロールの表面温度は、1000Nのニップ圧で140℃に設定された。ニップ間隙は、0.005cmに設定された。パターン化領域における積層体は、積層体の後方に配置された着色シートを容易にみることができるようにシースルーであった。
【0141】
(実施例4)
ニュージャージー州ソロフェアのソルベイソレクシス社から入手した商品名「SOLEF 1012」のポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)ポリマーペレットが、時間あたり3.6−4.5キログラムのおおよその総押し出し速度及び150RPMのスクリュー速度で25mmの共回転2軸スクリュー押出機のホッパに導入された。粉末状の核剤CHROMOPHTAL Blue A3R(ニューヨーク州ホーソーンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ)は、ミニゼータビーズミルで(ニューヨーク州ロチェスターのイーストマンコダック社)から入手したグリセリルトリアセテート希釈剤と予備混合された後、供給装置によってホッパと押出機出口の押出機の壁中間におけるポートを介して押出機に追加の希釈剤とともに供給された。希釈剤に対するポリマーの比は、使用済み核剤の量に応じて僅かに変化するが、一般に約0.41:1.0であった。押出機は、204℃におけるゾーン1、266℃におけるゾーン2、266℃におけるゾーン3、221℃におけるゾーン4、182℃におけるゾーン5、182℃におけるゾーン6、182℃におけるゾーン7の温度プロファイルを有する8つのゾーンを有していた。溶融物は、その後、ダブルクロムメッキコートハンガースロットフィルムダイを介してポンプで送られ、52℃の範囲であってその後にロール状に巻回されるクロムロール上にキャストした。フィルムサンプルは、ロールから切断され、15cm×28cmの金属フレームに配置された。そして、フレームは、(効果的にフィルムからトリアセチン希釈剤を除去する)20分間脱イオン水の小鍋に配置された後、周囲空気中で乾燥させた。そして、洗浄したフィルムサンプルは、132℃でTMロングフィルムストレッチャー(ニュージャージー州サマービルのTMロング社)において1.75×1.75に2軸延伸された。フィルムは、フィルムをアニールするために延伸が完了した後に132℃で2〜5分間ストレッチャーに保持された。
【0142】
6cm×20cmのピースがフィルムから切断され、サンプルは、0.5cmの厚さのシリコンゴムで被覆された機械加工されたアルミニウム板上に配置された。サンプルの縁部は、粘着テープを用いてアルミニウム板に固定された。波パターンが刻まれたアルミニウム板は、圧縮空気を使用することによって移動可能な圧縮機の天板に取り付けられた。天板は、130℃(266°F)の表面温度まで加熱された。サンプルは、固定板であるプレスの底板に固定された。天板は、サンプルにおいて波パターンをエンボス加工するために6秒間底板に押し付けられた。
【0143】
(実施例5)
滑らかなクロムロールが回転円筒型の代わりに使用されること及びいかなる直立柱もフィルム上に形成されなかったこと以外は、実施例1に記載されたようにフィルムのシートが作製された。実施例1に記載されたようにその後にフィルムは延伸された。
【0144】
サンプルは、カリフォルニア州サンタクララのコヒーレント社からの二酸化炭素レーザE−400から10.6ミクロン波長のレーザ放射に露光された。レーザエネルギは、マサチューセッツ州ビレリカのGSIグループからのスキャナモデルHPLK 1330によってサンプル全体に向けられた。サンプルは、(スキャナシステムの焦点面がスキャナハウジングから約560mmに位置していたのに対して)スキャナハウジングから約510mmの距離に配置された。サンプルの面において、レーザビームについてのスポットサイズは、ほぼ円形の幅が約0.9mmであると判定された。パターン化された露光を提供するために、レーザビームは、寸法2.5cm×2cmの矩形の充填形状を形成するためにラスタモーションで走査された。約25ワットのパワーのレーザビームが約0.5mmで区切られた連続ラインを有するマスクを横切るラスタモーションで約930mm/秒の速度で走査された。レーザ照射は、サンプル材に入射して外観の変化に影響を与えた。そして、正方形のパターン化フィルムが20cm×12cmのシートに切断され、着色されたシートは、両面テープで下方に取り付けられた。着色されたシートは、矩形を通して容易にみることができた。
【0145】
このフィルムは、例えば、締結テープ用のテープ裏材、使い捨てテープ又は剥離テープとして有用であり得る。
【0146】
例示の実施例1:
機械的方向の延伸比が2:1であったことを除き、その後に蓋がされ、実施例1の方法にしたがって機械的方向に延伸された柱を有するフィルム押出成形から調製されたサンプルは、サンプル中のβ結晶及びα結晶の相対レベルを判定するためにX線回折によって分析された。各構造化フィルムの一部を、アルミニウム製の後面開放型試料ホルダーに、両端に両面粘着テープを用いて貼付した。Philips垂直型回折計(PANalytical、Natick、MA)、銅Kα放射線、及び比例検出器の散乱線レジストリーを用いてサーベイスキャンの形で反射配置データを集めた。回折計には、可変の入射ビームスリット、固定回折ビームスリット、及びグラファイト回折ビームモノクロメータが装着された。サーベイスキャンは、0.04度のステップサイズ及び6秒の滞留時間を使用して5〜55度(2θ)で行った。45kV及び35mAのX線発生装置設定を使用した。
【0147】
各ピーク位置の同定は、Turner Jones、J.M.Aizlewood、及びD.R.Beckett著の参考文献(Die Makromolekulare Chemie,Vol 75,Issue 1(1964)p134)に報告された値と比較することによって行った。
【0148】
回折パターンは、解析ソフトウェアJADE version 9.0(Materials Data,Inc.、Livermore、CA)を用いてプロファイルフィッティングを行うことで、α相(110)面、(040)面、及び(130)面の最大値、並びにβ相(300)面の最大値を評価した。β型の存在のレベルは、以下の式を用いて係数(K)として決定した:K=I(300)
β/[I(300)
β+I(110)
α+I(040)
α+I(130)
α]
【0149】
式の個々の用語は、以下のように定義される:I(300)
βは、β型(300)面の最大強度であり、I(110)
αは、α型(110)の最大強度であり、I(040)
αは、α型(040)の最大強度であり、そしてI(130)
αは、α型(130)の最大強度である。算出されたK値は、0(β型結晶を有さないサンプル)〜1.0(全てβ型結晶のサンプル)まで幅がある。サンプルのKは0.54であった。
【0150】
さらにまた、165.5℃の融点を有するインジウム標準物質を用いて温度及びエンタルピーについて較正されたモデルQ−2000示差走査熱量計(DSC)(デラウェア州ニューキャッスルのTAインストルメンツ)を用いて10℃/分の加熱速度でサンプルの熱分析が行われた。走査において約10mgのサンプルを用いた。最初の熱分析スキャン中、サンプルをスキャン速度10℃/分で200℃まで加熱し、この温度を一定温度で1分間保持することで熱履歴を消去した。サンプルをその後、10℃/分で室温まで冷却した。サンプルを10℃/分で200℃まで再加熱して、二回目のスキャン結果を記録して報告した。α相及びβ相の両方に関する融点(T
m(℃))及び融解熱データ(ΔH
f(ジュール/グラム)を記録した。サンプルは、二重の融解温度(164.5℃のT
m(α)及び150.2℃のT
m(β))を呈し、α及びβ結晶相の双方の存在と一致していた。α相及びβ相についての融解熱は、それぞれ、26.2及び46.0であった。
【0151】
サンプルの不透明度は、ASTM E−284にしたがってLabScan XE分光光度計(Hunterlab,Reston,VA)を用いて行った。装置のセンサーを標準化した後、試料ポートの下にサンプルを黒色のバックアップタイルを背にして配置して、色測定の「L」値を記録した。「L」値は、International Commission on Illuminationによって確立されたCIELAB色空間スケールにおける3種の標準パラメータのうちの1つである。「L」は、0(黒)〜100(最大強度)までの範囲の輝度値である。この手順は、白色タイルを背にして配置したサンプルについても繰り返した。各工程において、サンプルを90度回転させて、2つの読み取り値の平均を記録した。(%で報告される)不透明度は、以下の式によって計算された:%不透明度=(L
Black/L
White)
*100サンプルの不透明度は91.4%であった。
【0152】
サンプルのグレースケールの測定値は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ及びIMPACT Software Suiteを装備するIMPACT A20デジタルカメラ(PPT Vision、Bloomington、MN)を用いて収集した。機械方向(MD)の長さが1メートルのサンプルを、2本のロールの間に手で張力を掛け続けた。サンプルには、フィルム側面(すなわち、柱のない面)後方から波長940nmの光源を照射した。検出カメラは、構造化フィルムサンプルの約5フィート上に、柱面がカメラに向くようにして取り付けた。グレースケール強度の測定は、透過モードで、0(高い不透明度)〜255(低い不透明度)の範囲の数字メモリを用いて行った。異なる3つのMDサンプル点においてグレースケール強度を記録した。サンプルの平均値は40であった。
【0153】
例示の実施例2:
サンプルは、その後に蓋がされる柱を有するフィルム押出成形から製造され、機械的方向の延伸比が2:1であったことを除き、実施例1の方法にしたがって機械的方向に延伸され、延伸中に、ロール温度は、60℃に設定された。微多孔性フィルムにおける孔径(μm)は、ASTM F−316−80にしたがって泡立ち点を測定することによって判定された。測定された最大有効孔径は、0.16μmであった。
【0154】
本開示は、その精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が加えられてもよい。したがって、本開示は、上記の実施形態に限定されないが、以下の請求項及びすべてのその等価物に詳述する制限によって規制される。本開示は、本明細書に具体的に開示されていないいずれか要素を欠いても適宜実施され得る。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[項目1]
締結テープにおいて、
締結部を備えたテープ裏材と、
前記締結部に配置された接着剤と、
前記接着剤用の剥離面とを備え、前記剥離面が、前記テープ裏材のその縁部のうちの1つに沿って取り付けられた剥離テープ又は前記テープ裏材の表面の少なくとも一部に配置された剥離コーティングであり、
前記テープ裏材又は前記剥離面の少なくとも一方が、不透明な微多孔性領域及び前記不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、締結テープ。
[項目2]
前記テープ裏材が、不透明な微多孔性領域及び不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む、項目1に記載の締結テープ。
[項目3]
前記剥離面が、前記不透明な微多孔性領域及び前記不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムを含む剥離テープである、項目1に記載の締結テープ。
[項目4]
さらに、前記締結部上の前記接着剤に取り付けられた機械的ファスナーを備える、項目1から3のうちのいずれか1項に記載の締結テープ。
[項目5]
機械的ファスナーにおいて、
所定厚さの不透明な微多孔性領域及び前記不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を有する微多孔性フィルムであり、前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域が前記微多孔性フィルムの厚さを通って延在している微多孔性フィルムと、
前記機械的ファスナーの少なくとも1つの表面上にある機械的締結要素とを備える、機械的ファスナー。
[項目6]
前記機械的締結要素が前記微多孔性フィルムに付着された底部を有する直立柱を備える雄型締結要素である、項目5に記載の機械的ファスナー。
[項目7]
前記機械的締結要素が前記微多孔性フィルム上に配置された繊維ループである、項目5に記載の機械的ファスナー。
[項目8]
前記微多孔性フィルムが前記機械的締結要素を有するストリップが装着された基材である、項目5から7のいずれか1項に記載の機械的ファスナー。
[項目9]
前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域が前記不透明な微多孔性領域内のシースルーの非多孔領域のパターンに含まれる、項目1から8のいずれか1項に記載の締結テープ又は機械的ファスナー。
[項目10]
前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域が、数字、記号、絵、幾何学的形状、バーコード又はアルファベット文字の形態である、項目1から9のいずれか1項に記載の締結テープ又は機械的ファスナー。
[項目11]
前記微多孔性フィルムが第1の層及び第2の層を含む多層構造の第1の層であり、前記第2の層の一部が前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を介して視認可能である、項目1から10のいずれか1項に記載の締結テープ又は機械的ファスナー。
[項目12]
前記微多孔性フィルムがβ造核剤を含む、項目1から11のいずれか1項に記載の締結テープ又は機械的ファスナー。
[項目13]
項目5から8のいずれか1項に記載の機械的ファスナーを製造する方法において、
前記微多孔性フィルムの少なくとも一方の表面に機械的締結要素を含む機械的ファスナーを提供することと、
前記微多孔性フィルムの不透明な微多孔性領域内の低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を形成するように微多孔性フィルムにおける一部の孔を崩壊させることとを備える、方法。
[項目14]
前記微多孔性フィルムの一部の孔を崩壊させることが、前記低い多孔率の少なくとも1つのシースルー領域を形成するために孔を崩壊させるように前記微多孔性フィルムを加熱することを備える、項目13に記載の方法。
[項目15]
さらに、個人衛生用品に機械的ファスナーを組み込むことを備える、項目13又は14に記載の方法。