特許第6382989号(P6382989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382989耐引き裂き性フレキシブル回路アセンブリを備える医療デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382989
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】耐引き裂き性フレキシブル回路アセンブリを備える医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-542922(P2016-542922)
(86)(22)【出願日】2015年1月6日
(65)【公表番号】特表2017-504401(P2017-504401A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2015010337
(87)【国際公開番号】WO2015103617
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】61/924,113
(32)【優先日】2014年1月6日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、キャス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ズーターマイスター、デレク シー.
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スクワイア、ロバート エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィラード、マーティン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイバーコスト、パトリック エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リンドキスト、ジェフリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ホーン、ダニエル ジェイ.
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/096916(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0239028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交感神経アブレーション用の医療デバイスであって、
長手方向軸を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに配置される拡張可能なバルーンであって、未拡張形態と拡張形態との間でシフト可能である、拡張可能なバルーンと、
複数の層を有するフレキシブル回路として構成される長尺状の電極アセンブリであって、前記バルーンの外面に取り付けられる、長尺状の電極アセンブリと、
を備え、
前記フレキシブル回路の前記複数の層のうちの第1の層は、ASTM規格D−1004−09に従って7.5N超の初期引き裂き強度を有する、医療デバイス。
【請求項2】
前記フレキシブル回路の前記複数の層のうちの前記第1の層は、ASTM規格D−1922−09に従って0.15N超の引き裂き伝播強度を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記フレキシブル回路の前記複数の層のうちの前記第1の層は、ASTM規格D−1922−09に従って0.2N超の引き裂き伝播強度を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記フレキシブル回路の前記複数の層のうちの前記第1の層は、ASTM規格D−1004−09に従って8.0N超の初期引き裂き強度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1の層は、強化ポリマー材料からなる第1の絶縁層であり、前記フレキシブル回路は、前記第1の絶縁層と、ポリマー材料からなる第2の絶縁層との間に介装される複数の導電トレースを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記強化ポリマー材料は、前記カテーテルシャフトの前記長手方向軸に対してほぼ垂直な向きである複数の繊維を有する、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記強化ポリマー材料は、前記カテーテルシャフトの前記長手方向軸に対してほぼ垂直な向きであるポリマー鎖を有する、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記第2の絶縁層の前記ポリマー材料は、前記カテーテルシャフトの前記長手方向軸に対してほぼ平行な向きであるポリマー鎖を有する、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記強化ポリマー材料は複数の繊維を有し、該複数の繊維はテーパ状の外径を有する、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1の層は微細生地層である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記微細生地層は第1の開口および第2の開口を有し、
前記電極アセンブリは、前記フレキシブル回路の第1の導電トレースに電気的に接触して前記第1の開口を通って延びる第1の電極、および、前記フレキシブル回路の第2の導電トレースに電気的に接触して前記第2の開口を通って延びる第2の電極を有する、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記微細生地層は、前記フレキシブル回路の第1の絶縁ポリマー層と第2の絶縁ポリマー層との間に位置決めされる、請求項10または11に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスに関する。より詳細には、本開示は、耐引き裂き性が改善した、アブレーション電極を有するフレキシブル回路に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的用途、例えば血管内用途のために、多種多様な体内医療デバイスが開発されている。1つのそのような医療デバイスは、交感神経アブレーション等の組織のアブレーションのために構成されているアブレーションカテーテルである。医療デバイスは、膨張可能なバルーンに取り付けられるフレキシブル回路として構成される1つまたは複数の電極アセンブリを有する。いくつかの場合、アブレーションカテーテルが内部に位置決めされるガイドカテーテル内にアブレーションカテーテルを近位に後退させるときに、ガイドカテーテルの縁をフレキシブル回路が捕捉する可能性があることが観察されている。
【0003】
したがって、電極アセンブリが例えばガイドカテーテル(または他のデバイス)内に後退されるときにガイドカテーテルの端を捕捉する場合に引き裂く可能性を低下させることができる構造的な特徴部を有するフレキシブル回路として形成される電極アセンブリを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、医療デバイス構造体およびアセンブリのいくつかの代替的な設計、材料および製造方法、ならびに、その使用に関する。
したがって、1つの例示的な実施形態は、交感神経アブレーション用の医療デバイスである。医療デバイスは、長手方向軸を有するカテーテルシャフト、および、カテーテルシャフトに配置される拡張可能なバルーンを有する。バルーンは、未拡張形態と拡張形態との間でシフト可能である。医療デバイスは、複数の層を有するフレキシブル回路として構成される長尺状の電極アセンブリをさらに有する。電極アセンブリは、バルーンの外面に取り付けられる。フレキシブル回路は、ASTM規格D−1004−09に従って7.5N(1.7lbf)超の初期引き裂き強度を有する第1の層を有する。いくつかの場合、第1の層は、ASTM規格D−1922−09に従って0.15N(0.03lbf)超の引き裂き伝播強度を有する。
【0005】
別の例示的な実施形態は、組織アブレーション用の医療デバイスである。医療デバイスは、長手方向軸を有するカテーテルシャフト、および、カテーテルシャフトに結合される拡張可能な部材を備える。拡張可能な部材は、未拡張形態と拡張形態との間でシフト可能である。医療デバイスは、拡張可能な部材の外面に取り付けられるフレキシブル回路として構成される長尺状の電極アセンブリをさらに備える。フレキシブル回路は、強化ポリマー材料からなる第1の絶縁層と、ポリマー材料からなる第2の絶縁層との間に介装される複数の導電トレースを備える。
【0006】
また別の例示的な実施形態は、組織アブレーション用の医療デバイスを形成する方法である。方法は、強化ポリマー材料からなる第1の絶縁層と、ポリマー材料からなる第2の絶縁層との間に介装される複数の導電トレースを有するフレキシブル回路として構成される電極アセンブリを準備する工程を備える。形成されたフレキシブル回路は次に、バルーンカテーテルの膨張可能なバルーンの外面に取り付けられる。
【0007】
いくつかの実施形態の上記概要は、各開示される実施形態または本開示の全ての実施態様を記載する意図はない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0008】
本開示は、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な交感神経アブレーションデバイスの概略図である。
図2】交感神経アブレーションデバイスの例示的な拡張可能な部材の斜視図である。
図3】広げられている、すなわち平坦な形態の、図2の拡張可能な部材の部分上面図である。
図4】例示的な電極アセンブリの一部の底面図である。
図5図4の線6−6に沿った、図4の例示的な電極アセンブリの断面図である。
図6図4の例示的な電極アセンブリの分解図である。
図7】拡張可能な部材に取り付けられた例示的な電極アセンブリの強化層の概略図である。
図8A】拡張可能な部材に取り付けられた例示的な電極アセンブリの別の強化層の概略図である。
図8B】拡張可能な部材に取り付けられた例示的な電極アセンブリの別の強化層の概略図である。
図9】拡張可能な部材に取り付けられた例示的な電極アセンブリの別の強化層の概略図である。
図10】拡張可能な部材に取り付けられた例示的な電極アセンブリの別の強化層の概略図である。
図11】強化層を有する例示的な電極アセンブリの断面図である。
【0010】
本開示は、種々の変更形態および代替的な形態が可能であるが、その詳細が例として図面に示されており、詳細に記載される。しかし、本発明を記載される特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。それどころか、本開示の主旨および範囲内に入る全ての変更形態、均等物および代替形態を包含することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読むべきであり、図面では、いくつかの図を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。詳細な説明および図面は、例示的であることが意図され、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。当業者は、記載されるおよび図示されるか、あるいは記載されるまたは図示される種々の要素を、本開示の範囲から逸脱することなく種々の組み合わせおよび構成で配置することができることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、特許請求の範囲に記載の発明の例示的な実施形態を示す。
【0012】
以下で定義される用語に関して、これらの定義は、異なる定義が特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において与えられない限り、適用されるものとする。
本明細書において、全ての数値は、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されるとみなされる。「約」という用語は、数値との関連では、概して、記載されている値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が考えるある範囲の数字を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含むことができる。「約」という用語の他の使用は(すなわち、数値以外との関連では)、別途明記されない限り、明細書の文脈から、明細書の文脈と一致して理解されるような、それらの通常の常用される定義を有するものとみなされ得る。
【0013】
端点による数字の範囲の列挙は、端点を含め、その範囲内の全ての数字を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
「1つの」および「前記」という単数形は、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、文脈によって別途はっきりと指示されない限り、複数の指示対象を含む。「または」という用語は、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、概して、文脈によって別途はっきりと指示されない限り、「および/または」を含む意味で用いられる。
【0014】
なお、本明細書における、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載される実施形態が、特定の特徴、構造または特性を有し得ることを示すが、全ての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造または特性を有する必要はない。その上、そのような語句は必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造または特性が一実施形態との関連で記載される場合、それとは異なるようにはっきりと記載されない限り、明示的に記載されるか否かにかかわらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態との関連においてもたらすことは当業者の知識内にある。すなわち、以下で記載される種々の個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていない場合であっても、それにもかかわらず、当業者には理解されるように、他の付加的な実施形態を形成するように、または、記載される実施形態を補完および強化、あるいは補完もしくは強化するように、互いに組み合わせ可能または配置可能であるものと意図される。
【0015】
特定の治療は、選択神経機能の一時的もしくは恒久的な遮断または変更を目的とする。いくつかの実施形態では、神経は交感神経であり得る。1つの例示的な治療は、腎神経アブレーションであり、これは、高血圧症、鬱血性心不全、糖尿病、または、高血圧もしくは塩類貯留による影響を受ける他の症状等のまたはこれらに関連する症状を治療するために用いられる場合がある。腎臓は交感神経反応を生じ、これは、水およびナトリウム、あるいは水またはナトリウムの不所望の貯留を増大させる可能性がある。交感神経反応の結果として、例えば、血圧が上昇する可能性がある。腎臓まで延びる(例えば、腎動脈に隣接して並ぶかまたは別様に腎動脈に沿う)神経のいくつかをアブレーションすることは、この交感神経反応を低減するかまたは排除することができ、これは、関連する不所望の症状の対応する低減(例えば血圧の低下)を提供することができる。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態は、多くの場合に、治療効果を達成するために目的組織を治療する、出力発生および制御装置に関する。いくつかの実施形態において、目的組織は、神経を含むかまたは神経に近接する組織である。他の実施形態では、目的組織は、例えば、血管に隣接して並ぶ交感神経を含む交感神経である。更に他の実施形態では、目的組織は管腔組織であり、これは、動脈疾患において見られるような罹患組織を更に含み得る。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、エネルギーを目的の投与量で送達する機能を、有利な生物学的反応を達成するために神経組織に用いることができる。例えば、慢性の疼痛、泌尿器の機能障害、高血圧症および多種多様な他の持続性の疾患が、神経組織の動作を通じて影響を受けることが分かっている。例えば、薬剤に反応しない場合がある慢性高血圧症を、腎動脈に近接する過剰な神経活性を停止させることによって改善または排除することができることが分かっている。神経組織が再生特性を本来有しないことも分かっている。したがって、神経組織の伝導経路を妨害することによって、過剰な神経活性に有利に影響を与えることが可能であり得る。神経伝導経路を妨害するとき、隣り合う神経または臓器組織への損傷を回避することが特に有利である。エネルギー投与量を誘導および制御することができることが、神経組織の治療に良く適している。加熱であろうとアブレーションエネルギー投与量であろうと、本明細書において記載および開示されるようなエネルギー送達の正確な制御を、神経組織に誘導することができる。さらに、エネルギーの方向性のある印加は、典型的なアブレーションプローブを用いる場合には必要とされるような正確な接触の必要なく、神経を狙うのに十分であり得る。例えば、内腔組織をアブレーションすることなく、また内腔組織の穿孔を必要とすることなく、偏心加熱を、神経組織を変性させるほど十分に高い温度で印加することができる。しかし、本開示のエネルギー送達面を、出力制御および発生装置によって制御される正確なエネルギー投与量を用いるアブレーションプローブと同様に、組織を穿孔してアブレーションエネルギーを送達するように構成することも望ましい場合がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、除神経治療の有効性は、治療前、治療中および治療後、あるいは治療前、治療中または治療後に測定によって評価し、治療の1つまたは複数のパラメータを特定の患者に合わせるか、または、更なる治療の必要性を特定することができる。例えば、除神経システムは、治療が目的組織もしくは近接する組織において神経活性の低下を引き起こしたかまたは引き起こしているかを評価する機能を有することができ、この機能は、治療のパラメータを調整するためのフィードバックを提供するか、または、更なる治療の必要性を示すことができる。
【0019】
本明細書において記載されるデバイスおよび方法の多くは、腎神経アブレーションおよび調節、あるいは腎神経アブレーションまたは調節に関して説明される。しかし、デバイスおよび方法は、交感神経調節、および、限定はされないが:血管、泌尿器管、もしくは、トロカールおよびカニューレアクセスによる他の組織におけるような、加熱、活性化、ブロック、遮断もしくはアブレーションを含む他の組織の調節、あるいは交感神経調節、または、限定はされないが:血管、泌尿器管、もしくは、トロカールおよびカニューレアクセスによる他の組織におけるような、加熱、活性化、ブロック、遮断もしくはアブレーションを含む他の組織の調節が望まれる、他の治療位置および用途、あるいは他の治療位置または用途において用いることが意図される。例えば、本明細書において記載されるデバイスおよび方法は、増殖性組織アブレーション、心臓アブレーション、疼痛管理、肺静脈分離、肺静脈アブレーション、腫瘍アブレーション、良性前立腺肥大の治療、神経の励起もしくはブロックもしくはアブレーション、筋活動の調節、組織の温熱療法もしくは他の温め等に適用することができる。開示される方法および装置は、ヒトおよび非ヒト被験体の双方を伴う、任意の関連する医療処置に適用することができる。調節という用語は、アブレーション、ならびに、罹患神経および他の組織の機能を変えることができる他の技法を指す。
【0020】
図1は、例示的な交感神経アブレーションシステム100の概略図である。システム100は、交感神経アブレーションデバイス120を有する。交感神経アブレーションデバイス120を用いて、腎臓Kに隣接して並ぶ神経(例えば腎神経)(例えば腎動脈RAの周りに並ぶ腎神経)をアブレーションすることができる。使用時に、交感神経アブレーションデバイス120を、大動脈A等の血管を通して、腎動脈RA内の位置まで前進させることができる。これは、交感神経アブレーションデバイス120を、ガイドシースまたはカテーテル14を通して前進させることを含む。交感神経アブレーションデバイス120は、所望のように位置決めされると、1つまたは複数の電極(図示せず)を活性化するように作動する。これは、交感神経アブレーションデバイス120を制御ユニット110に動作可能に結合することを含むことができ、交感神経アブレーションデバイス120は、所望の活性化エネルギーを電極に供給するようにRF発生器を有する。例えば、交感神経アブレーションデバイス120は、制御ユニット110の第2コネクタ22および制御ユニット110に結合されるワイヤ24、あるいは制御ユニット110の第2コネクタ22または制御ユニット110に結合されるワイヤ24に接続可能な第1コネクタ20を有するワイヤまたは導電部材18を有する。少なくともいくつかの実施形態では、制御ユニット110は、適切な電気的エネルギーおよび信号、あるいは適切な電気的エネルギーまたは信号を供給し/受け取り、交感神経アブレーションデバイス120の遠位端にまたは遠位端付近に配置される1つまたは複数のセンサを起動するために使用することもできる。1つまたは複数の電極は、好適に活性化されると、後述するように組織(例えば交感神経)をアブレーション可能であるものとすることができ、1つまたは複数のセンサは、所望の物理的および生物学的パラメータ、あるいは所望の物理的または生物学的パラメータを検出するのに用いることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、交感神経アブレーションデバイス120は、図2に示されているように、長尺状の筒状部材またはカテーテルシャフト122を有する。いくつかの実施形態において、長尺状の筒状部材またはカテーテルシャフト122は、ガイドワイヤまたは他の長尺状の医療デバイスにわたって、目的部位まで摺動可能に前進するように構成することができる。いくつかの実施形態では、長尺状の筒状部材またはカテーテルシャフト122は、ガイドシースまたはカテーテル14内で目的部位まで摺動可能に前進されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、長尺状の筒状部材またはカテーテルシャフト122は、ガイドワイヤにわたって、ガイドシースもしくはカテーテル14内で、またはそれらの組み合わせで、目的部位まで前進するように構成することができる。拡張可能な部材130を、長尺状の筒状部材またはカテーテルシャフト122の遠位領域に、遠位領域上に、遠位領域の周りにまたは遠位領域付近に配置することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部材130は、柔軟なまたは柔軟ではないバルーンであるものとすることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部材130は、未拡張形態と拡張形態との間でシフト可能であるものとすることができる。
【0022】
例えば、図2に示されているように、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電極アセンブリは、複数の概ね円筒形の治療ゾーンA〜Dに従って、拡張状態で示されている拡張可能な部材130に配置することができる。他の実施形態では、拡張可能な部材130または治療システムの他の構成要素は、治療ゾーンにないか、または、別様に治療エネルギーを送達するように用いられないかもしくは構成されない付加的な電極アセンブリを有してもよい。
【0023】
治療ゾーンA〜Dおよび関連する電極アセンブリ140a〜dが図3に更に示されており、図3は、図2の拡張可能な部材130の一部の「広がった」描写である。治療ゾーンA〜Dは、長手方向軸L−Lに沿って互いに長手方向に隣接することができ、電極アセンブリが印加するエネルギーによって、重なり得るかまたは重なり得ない治療を生じるように構成することができる。長手方向に隣接する双極電極アセンブリ140a〜dによって印加される治療は、長手方向軸L−Lに沿って周方向に不連続的であるものとすることができる。例えば、図3を参照して、治療ゾーンAにおいて形成される病変は、いくつかの実施形態では、治療ゾーンBにおいて形成される病変と外周の周りで(この図ではL−Lに対して横方向に)最小限に重なる。しかし、他の実施形態では、図3に示されている電極アセンブリ等の電極アセンブリによって印加されるエネルギーは、少なくともある程度まで、長手方向、周方向および他の方法、あるいは長手方向、周方向または他の方法で重なることができる。各電極パッドアセンブリは、遠位電極パッド150a〜d、中間の尾部160a〜d、近位電極パッド170a〜dおよび近位尾部180b、d(電極パッドアセンブリ140aおよび140cについては示されていない)である、4つの要素を有し得る。
【0024】
例示的な電極アセンブリが図4図6に示されている。図4は、例示的な電極アセンブリ200の底面図、すなわち、電極アセンブリ200の、拡張可能な部材130の外面に面することができ、拡張可能な部材130の外面に接触することができたり、拡張可能な部材130の外面に直接的に取り付けられたり、結合することができる底面の図を示している。電極アセンブリ200は、複数の層を有するフレキシブル回路として構成することができる。そのような層は、連続的または非連続的である(すなわち、離散的な部分から構成される)ものとすることができる。図5の断面に示されているように、絶縁ベース層202が、電極アセンブリ200の基礎を提供することができる。ベース層202は、ポリイミド等のポリマーから構成することができるが、他の材料が意図される。いくつかの実施形態では、ベース層202は、約0.010mm〜約0.020mm厚であるものとすることができる。いくつかの実施形態では、ベース層202は約0.015mm厚であるものとすることができる。他の好適な厚さも意図される。参考までに、ベース層202は、電極アセンブリ200の、拡張可能な部材130の外面に面することができ、拡張可能な部材130の外面に接触することができたり、拡張可能な部材130の外面に直接的に取り付けられたり、結合可能な底面を形成することができる。図5は、図4の線6−6に沿った断面図であり、電極アセンブリ200の底面が、拡張可能な部材130の外面に面し、ならびに、拡張可能な部材130の外面に取り付けられたり、結合されたりする。図6は、電極アセンブリ200の層をさらに示す、図4に示されている電極アセンブリ200の分解図である。
【0025】
導電層204が、ベース層202の上部で層状にされる複数の別個の導電トレースを有する。いくつかの実施形態では、複数の別個の導電トレースは、絶縁層206の部分等の非導電性材料によって横方向に隔てることができる。導電層204の複数の別個の導電トレースは、例えば、電着銅または圧延アニール銅の層を有する。グラフェンおよび他のカーボンベースの材料等の他の好適な導電性材料も意図される。いくつかの実施形態では、導電層204および複数の別個の導電トレース、あるいは導電層204または複数の別個の導電トレースは、約0.010mm〜約0.030mm厚であってもよい。いくつかの実施形態では、導電層204および複数の別個の導電トレース、あるいは導電層204または複数の別個の導電トレースは、約0.018mm厚であってもよい。他の好適な厚さも意図される。
【0026】
絶縁層206を、導電層204の上部において離散的にまたは連続的に層状にすることができ、導電層204が、ベース層202と絶縁層206との間で流体密にされるようにすることができる。換言すると、絶縁層206は、拡張可能な部材130の外面には面することができない、電極アセンブリ200の上側または上面を形成することができる。ベース層202と、導電層204と、絶縁層206との間の関係は例示的であり、他の構成が意図される。ベース層202と同様に、絶縁層206は、ポリイミド等のポリマーから構成することができるが、他の材料が意図される。いくつかの実施形態において、絶縁層206は、約0.010mm厚〜約0.020mm厚であるものとすることができる。いくつかの実施形態では、絶縁層206は約0.013mm厚であるものとすることができる。他の好適な厚さも意図される。いくつかの実施形態では、絶縁層206は、PTFEまたはシリコン等の完全なまたは部分的なポリマーコーティングであるものとすることができる。他の材料も意図される。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の層(すなわち、ベース層202、導電層204および絶縁層206)を組み合わせて、フレキシブル回路の厚さを画定することができる。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路の厚さは、フレキシブル回路および電極アセンブリ200、あるいはフレキシブル回路または電極アセンブリ200の長さにわたって実質的に一定であるものとすることができる。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路の厚さは約0.046mmであるものとすることができる。
【0028】
図4に示されている電極アセンブリ200は、遠位電極パッド208を有することができる。この領域では、ベース層202は矩形の形状を形成することができる。これは限定的であることを意図しない。他の形状が意図される。図示のように、電極アセンブリ200は、付加的なフレキシブルを提供するように貫通して延びる複数の開口を有することができ、アセンブリのパッドおよび他の部分は、丸みを帯びたまたは湾曲した角部、遷移部および他の部分を有することができる。いくつかの場合、開口および丸みを帯びた/湾曲した特徴部は、いくつかの場合、処置中に複数の部位が治療されるときに必要であり得るように、拡張可能な部材130が繰り返し拡張され折り畳まれる(保護シースからの展開および保護シース内への引き戻しも伴い得る)ときに生じ得るような、アセンブリの、拡張可能な部材130からの剥離に対する抵抗を高めることができる。
【0029】
上記で説明したように、遠位電極パッド208は、ベース層202の上部において層状にされる複数の別個の導電トレースを有することができる。複数の別個の導電トレースは、接地電極トレース210、活性電極トレース212およびセンサトレース214を有することができる。接地電極トレース210は、センサ接地パッド218から横方向にオフセットされる長尺状の接地電極支持体216を有することができる。センサ接地パッド218は、接地電極トレース210の長尺状の接地電極支持体216に電気的に結合することができ、遠位電極パッド208の中央に位置付けることができる。ブリッジ220が、センサ接地パッド218の最も遠位の部分を、接地電極トレース210の長尺状の接地電極支持体216の遠位部分に接続することができる。ブリッジ220は、センサ接地パッド218まで進むにつれて幅が先細になることができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ220は、所望の量のフレキシブルを可能にするように比較的均一で薄い幅を有することができる。長尺状の接地電極支持体216は、その近位端において幅が先細になることができるが、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、長尺状の接地電極支持体216は、所望の量のフレキシブルを可能にするように、その近位部分においてはるかに薄いトレースまで急激に遷移することができる。活性電極トレース212は、長尺状の接地電極支持体216、センサ接地パッド218およびセンサ出力パッド224、あるいは長尺状の接地電極支持体216、センサ接地パッド218またはセンサ出力パッド224から横方向にオフセットされる長尺状の活性電極支持体217を有することができる。センサ出力パッド224は、センサトレース214に電気的に結合することができ、遠位電極パッド208の中央に位置付けることができる。長尺状の活性電極支持体217は、その近位端において幅が先細になることができるが、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、長尺状の活性電極支持体217は、所望の量の可撓性を可能にするように、その近位部分においてはるかに薄いトレースまで急激に遷移することができる。概して、首部が示されているトレースの湾曲は、バルーン再捕捉力、および、より鋭角な輪郭が存在し得る何らかのたるみの可能性を低減するように最適化することができる。トレースの形状および位置は、展開および使用中の歪みを防止するように、電極アセンブリ200に全体として寸法安定性を提供するように最適化することもできる。
【0030】
図4に示されているように、接地電極トレース210および活性電極トレース212は、複数の電極222をそれぞれ有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極を、各電極トレースに設けることができるが、より多くのまたは少ない電極を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、3つの電極を各電極トレースに設けることができる。複数の電極222は、絶縁層206の上に突出し、および、絶縁層206を通って延びることができるか、あるいは絶縁層206の上に突出するか、または、絶縁層206を通って延びることができる。いくつかの実施形態では、複数の電極222は、長尺状の活性電極支持体217および長尺状の接地電極支持体216にそれぞれ取り付けられ、および、電気的に接続されるか、あるいは取り付けられるか、または、電気的に接続される、少なくとも1つの活性電極および少なくとも1つの接地電極を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の電極222を、長尺状の接地電極支持体216に取り付けたり、電気的に接続することができたり、それによって、複数の接地電極を画定し、長尺状の活性電極支持体217に取り付けたり、電気的に接続したりすることができ、それによって、複数の活性電極を画定する。いくつかの実施形態では、開口またはキャビティを、絶縁層206を通して長尺状の接地電極支持体216および長尺状の活性電極支持体217、あるいは長尺状の接地電極支持体216または長尺状の活性電極支持体217まで形成し(例えばレーザアブレーションし)、接地電極支持体216および長尺状の活性電極支持体217、あるいは接地電極支持体216または長尺状の活性電極支持体217の部分を露出させることができ、次に、金等の導電性物質を、形成した開口またはキャビティに電気めっきし、電極222を形成することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の電極222は、約0.030mm厚〜約0.070mm厚であるものとすることができる。いくつかの実施形態では、複数の電極222は、約0.051mm厚であるものとすることができる。いくつかの実施形態では、複数の電極222は、絶縁層206の上に約0.020mm〜約0.050mm延びることができる。いくつかの実施形態では、複数の電極222は、絶縁層206の上に約0.038mm延びることができる。さらに、各電極は、他のデバイスおよび組織、あるいは他のデバイスまたは組織において引っ掛かって捕捉点を形成する傾向を低下させるようにアールの付いた角部を有することができる。複数の電極および電極に関連するトレースの上記の記載は、双極電極アセンブリの文脈で記載されているが、当業者は、同じ電極アセンブリが単極モードでも機能することができることを認識するであろう。例えば、1つの非限定的な例として、活性電極トレース212および242に関連付けられる複数の電極を単極電極として用いることができ、接地電極トレース210はそれらの電極の励起中に分離される。
【0032】
センサトレース214は、遠位電極パッド208の中央に位置付けることができ、センサ接地パッド218に面するおよび隣接する、あるいは面するかまたは隣接するセンサ出力パッド224を有することができる。これらのパッドは、サーミスタ等の温度センサ226の出力極および接地極に接続することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、センサ出力パッド224の近位に接続することができ、センサ接地パッド218の遠位に接続することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、センサ出力パッド224およびセンサ接地パッド218、あるいはセンサ出力パッド224またはセンサ接地パッド218に直接的に接触することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、はんだ付け、溶接等または他の好適な手段によってセンサ出力パッド224およびセンサ接地パッド218の少なくとも1つに取り付けたり、電気的に接続したりすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、少なくとも1つの活性電極と少なくとも1つの接地電極との間に配置するかまたは位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、複数の活性電極と複数の接地電極との間に配置するかまたは位置決めすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、温度センサ226は、約0.500mm〜約2.000mmの長さ、および、約0.200mm〜約0.800mmの幅を有することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、約1.000mmの長さ、および、約0.500mmの幅を有することができる。全体的な厚さを低減する助けとなるように、温度センサ226を、ベース層202内の開口内に位置決めすることができる。いくつかの実施形態において、温度センサ226は、ベース層202から約0.050mm〜約0.200mmだけ外方に突出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、約0.115mmの厚さを有することができ、ベース層202から約0.100mmだけ外方に突出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226における電極アセンブリ200の全体的な厚さ(すなわち、複数の層および温度センサ226を有する)は、約0.146mmであるものとすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、電極アセンブリ200の温度センサ226における全体的な厚さの65%超を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、電極アセンブリ200の最大厚(複数の層、温度センサ226および複数の電極222を有する)は、約0.150mm〜約0.200mmであるものとすることができる。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ200の最大厚は、約0.184mmであるものとすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ226は、電極アセンブリ200の最大厚の50%超を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、温度センサ226はサーミスタであり得る。図示のように、温度センサ226は、遠位電極パッド208および電極アセンブリ200、あるいは遠位電極パッド208または電極アセンブリ200の組織に接触しない側(すなわち底面)に配置することができる。したがって、温度センサ226は、アブレーションデバイス120に組み込むときに、電極アセンブリ200と拡張可能な部材130との間に捕捉することができる。これは、サーミスタのような表面実装電気部品が、通常は鋭利な縁および角部を有する可能性があり、これが組織に捕捉され、可能性としてはバルーンの展開および後退、あるいはバルーンの展開または後退において問題を引き起こす可能性があるため、有利であり得る。この構成は、はんだが通常は生体適合性ではないため、はんだ付けされた接続部が血液と接触しないようにすることもできる。さらに、長尺状の活性電極支持体217に接触する複数の活性電極と長尺状の接地電極支持体216に接触する複数の接地電極との間の温度センサ226の配置に起因して、温度センサ226は、複数の電極222の温度を測定したり、複数の電極222に隣接する組織の温度を測定したり、複数の電極222に接触する組織の温度を測定したりすることができる。
【0036】
他の実施形態では、温度センサ226は、代理人整理番号1001.3460100の「脱神経フレックス回路における埋め込み熱電対」という発明の名称の2013年10月25日に出願された米国仮特許出願第61/895,788号(参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されているような熱電対であるものとすることができる。例えば、センサトレース214は、遠位電極パッド208の中央に位置付けることができ、センサ接地パッド218に電気的に接続され、熱電対(例えば、T型構成:銅/コンスタンタン)等の温度センサ226を形成することができる。熱電対は、当該技術分野において既知であるように、2つの異種の金属の接合部において、接合部における温度に基づいて、電圧差を生成することができる。そのような実施形態では、等温の接合部を、電極パッドおよび複数の電極、あるいは電極パッドまたは複数の電極から離間し、熱的に隔離される電極アセンブリ200の近位端に形成することができる。センサ接地パッド218は、上記で説明したように、導電層204内の電着銅の別個のトレースとして形成することができる。そのような実施形態では、センサトレース214の遠位端部、またいくつかの場合にセンサトレース214全体を、例えば、コンスタンタン(すなわち銅−ニッケル合金)、ニッケル−クロムまたは他の好適な導電性材料から形成することができる。温度センサ226は、センサ接地パッド218に重なるセンサトレース214の遠位端部によって形成することができ、それによって、センサトレース214およびセンサ接地パッド218は直接的に接触する。いくつかの場合、温度センサ226は、センサ接地パッド218にわたってセンサトレース214の遠位端部をスパッタリングすることによって形成することができ、それによって、スパッタリングされた熱電対または他の好適な手段を形成する。
そのような実施形態では、温度センサ226は、ベース層202と絶縁層206との間に埋め込むことができ、温度センサ226が、フレキシブル回路および電極アセンブリ200、あるいはフレキシブル回路または電極アセンブリ200内で流体密にされるようにする。換言すると、いくつかの実施形態では、温度センサ226は、電極アセンブリ200の外面には位置決めされないものとすることができ、一方で、図4図6に示されている温度センサ226(サーミスタ)は、電極アセンブリ200の外面に位置決めされるかまたは電極アセンブリ200の外面から外方に延びる。いくつかの実施形態では、温度センサ226において電極アセンブリ200の底面に突起は形成されないものとすることができる。例えば、平らになった形態では、拡張可能な部材130の外面に面する電極アセンブリ200の底面は、中断されない表面を形成することができる。いくつかの実施形態では、平らになった形態では、電極アセンブリの底面は、電極アセンブリ200上/内の適所の温度センサ226と本質的に連続的に平面的な表面を有することができる(それに加えて、または、中断されない表面は、電極アセンブリ200上/内の適所の温度センサ226と本質的に連続的に平面的な表面を形成することができる)。換言すると、温度センサ226は、ベース層202を通って突出しないかまたはベース層202から外方に延びないものとすることができる。
【0037】
遠位電極パッド208から近位に移動して、ベース層202、導電層204および絶縁層206の組み合わせは、中間の尾部228まで横幅が低減することができる。ここで、図4に示されているように、導電層204を、中間の接地ライン230、中間の活性電極ライン232および中間のセンサライン234を有するように形成することができ、これらはそれぞれ、遠位電極パッド208の接地電極トレース210、活性電極トレース212およびセンサトレース214と同一の広がりを有するトレースであるものとすることができる。
【0038】
引き続き中間の尾部228から近位に移動して、ベース層202、導電層204および絶縁層206の組み合わせは、近位電極パッド236を形成するように横幅が増大することができる。近位電極パッド236は、遠位電極パッド208と同様に構成することができ、電極の幾何学的形状および温度センサの配置は本質的に同一であるが、種々の差異が存在し得る。しかし、図示のように、近位電極パッド236は、遠位電極パッド208から、中間の接地ライン230に沿って延びる中心の長手方向軸G−Gに対して横方向にオフセットすることができる。中間の活性電極ライン232および中間のセンサライン234は、中心軸G−Gに対して平行なそれぞれの軸上で近位電極パッド236と横方向に同一の広がりを有することができる。
【0039】
近位電極パッド236から、ベース層202、導電層204および絶縁層206の組み合わせは、近位尾部238を形成するように横幅が低減することができる。近位尾部238は、近位接地ライン240、近位活性電極ライン242および近位センサライン244、ならびに、中間の活性電極ライン232および中間のセンサライン234を有することができる。近位尾部238は、ワイヤまたは導電部材18(図1に示されている)等を介して、1つまたは複数のサブ配線ハーネスおよびコネクタ、あるいは1つまたは複数のサブ配線ハーネスまたはコネクタへの、最終的には制御ユニット110への結合を可能にするように、コネクタ(図示せず)を有することができる。これらのラインのそれぞれは、中心軸G−Gに対して平行なそれぞれの軸に沿って延びることができる。
【0040】
図示のように、電極アセンブリ200は、中心軸G−Gを中心とした遠位電極パッド208および近位電極パッド236の非対称な配置を有することができる。さらに、双方の電極パッドの接地電極は、中間の接地ライン230および近位接地ライン240とともに中心軸G−Gに沿って実質的に位置合わせすることができる。この配置は特定の利点を呈することができることが分かっている。例えば、同じ接地トレースを本質的に共有することによって、近位尾部の幅を、各電極パッドが独立した接地ラインを有していた場合におよそ2倍の幅であるよりも、中間の尾部228の幅の約1と2分の1に過ぎないものとすることができる。したがって、近位尾部238は、並んで位置決めされる中間の尾部228の2つ分よりも幅狭であるものとすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、電極アセンブリ200は、実質的に直線的であるものとすることができ、拡張可能な部材130の全長に沿って長手方向軸L−Lに沿ってまたは長手方向軸L−Lに対してある角度で延びる。いくつかの実施形態では、電極アセンブリは、近位領域において長手方向軸に対して平行に延び、次に、遠位領域(図示せず)において角度を付けた向きに曲がることができる。
【0042】
例えば本明細書において記載されるような1つまたは複数の電極アセンブリが結合されているバルーンを有する医療デバイスの使用が望ましいであろう。しかし、いくつかの場合、電極アセンブリは、比較的剛性および嵩張る材料または要素、あるいは比較的剛性もしくは嵩張る材料または要素を有する場合がある。したがって、治療処置後にバルーンが収縮すると、電極アセンブリは、平らになるおよび外側に広がる、あるいは平らになるまたは外側に広がる傾向にあり得る。1つまたは複数の電極アセンブリ、ならびに、その構成要素もしくは縁、あるいは1つまたは複数の電極アセンブリ、または、その構成要素もしくは縁は、そのように構成される場合、(例えば固定された電極アセンブリを有する)医療デバイスをガイドカテーテル内に近位に後退させるときにガイドカテーテルの縁を捕捉する可能性がある。本明細書において開示されるのは、医療デバイスの電極アセンブリまたは他の構造が、電極アセンブリが例えばガイドカテーテル内に後退するときにガイドカテーテル(または他のデバイス)の端を捕捉する場合に引き裂く可能性を低下させることができる構造的な特徴部を有する医療デバイスである。
【0043】
図7は、拡張可能な部材130(例えば膨張可能なバルーン)に取り付けられた、本明細書において記載されるような、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の強化層300の第1の実施形態を示している。強化層300は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の複数の層のうちの1つであるものとすることができる。例えば、強化層300は、絶縁ベース層202、絶縁層206、および、フレキシブル回路の付加的な層、あるいは絶縁ベース層202、絶縁層206、または、フレキシブル回路の付加的な層であるものとすることができる。
【0044】
強化層300は、延伸または二軸延伸ポリマー鎖310を有するポリマー材料から形成することができる。例えば、ポリマー材料は、拡張可能な部材130およびカテーテルシャフト122の長手方向軸Lに対してほぼ垂直な向きのポリマー鎖310を有することができる。ポリマー鎖310のそのような向きは、長手方向軸Lに対して平行な方向への強化層300の耐引き裂き性を高めることができる。強化層300に好適ないくつかの材料としては、一軸もしくは二軸延伸ポリイミド(PI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の材料シートが挙げられるが、所望であれば他のポリマー材料を使用することができる。
【0045】
いくつかの場合、ベース層202および絶縁層206は、延伸ポリマー鎖310を有することができる。そのような場合、ベース層202の延伸ポリマー鎖310は、絶縁層206の延伸ポリマー鎖310に対して垂直に配置することができる。したがって、電極アセンブリ200は、ベース層202の延伸ポリマー鎖310が長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置された状態で拡張可能な部材130に取り付けることができるか、または、電極アセンブリ200は、絶縁層206の延伸ポリマー鎖310が長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置された状態で拡張可能な部材130に取り付けることができる。
【0046】
他の場合では、ベース層202および絶縁層206は、延伸ポリマー鎖310を有することができ、ベース層202の延伸ポリマー鎖310は、絶縁層206の延伸ポリマー鎖310に対して平行に配置される。したがって、電極アセンブリ200は、延伸ポリマー鎖310が長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置された状態で拡張可能な部材130に取り付けることができる。
【0047】
図8Aおよび図8Bは、拡張可能な部材130(例えば膨張可能なバルーン)に取り付けられた、本明細書において記載されるような、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の強化層400のさらなる実施形態を示している。強化層400は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の複数の層のうちの1つであるものとすることができる。例えば、強化層400は、絶縁ベース層202、絶縁層206、および、フレキシブル回路の付加的な層、あるいは絶縁ベース層202、絶縁層206、または、フレキシブル回路の付加的な層であるものとすることができる。
【0048】
強化層400は、1つ以上の、すなわち複数の強化繊維410が埋め込まれたポリマー材料から形成することができる。例えば、いくつかの場合、強化繊維410は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維(例えばDyneema(登録商標))、二層ナノチューブ(DWNT)ポリマー繊維、カーボンナノチューブ繊維等のナノチューブ繊維、ガラス繊維、ポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(例えばKevlar(登録商標))フィラメント等であるものとすることができる。他の好適な材料としては、例えば綿、羊毛またはセルロース等の天然材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、強化繊維410は、例えば約2マイクロメートル〜6マイクロメートルまたは約3マイクロメートル〜4マイクロメートルの長さを有することができる。いくつかの場合、強化繊維410は、エレクトロスピニングプロセス中に形成されるナノファイバー等の長繊維であるものとすることができる。いくつかの場合、強化層400は、長繊維410、または、強化層400に連続的なナノファイバーの束を堆積するようにエレクトロスピニングプロセスを使用して形成される複数の長繊維410を有することができる。
【0049】
強化繊維410は、図8Bに示されているように強化層400のポリマー材料シートにランダムに配置することができるか、または、強化繊維410は、所望の向きで配置することができる。例えば、いくつかの場合、強化繊維410は、図8Aに示されているように、拡張可能な部材130およびカテーテルシャフト122の長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置することができる。
【0050】
いくつかの場合、強化層400は、強化繊維410が埋め込まれているポリイミド(PI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の材料シートから形成することができる。
【0051】
図9は、拡張可能な部材130(例えば膨張可能なバルーン)に取り付けられた、本明細書において記載されるような、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の強化層500の別の実施形態を示している。強化層500は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の複数の層のうちの1つであるものとすることができる。例えば、強化層500は、絶縁ベース層202、絶縁層206、および、フレキシブル回路の付加的な層、あるいは絶縁ベース層202、絶縁層206、または、フレキシブル回路の付加的な層であるものとすることができる。
【0052】
強化層500は、強化繊維510が埋め込まれたポリマー材料から形成することができる。例えば、強化層500は、強化繊維510が埋め込まれているポリイミド(PI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の材料シートから形成することができる。図9の実施形態では、強化繊維510は、強化層500の第1の縁から第2の縁まで強化層500の全幅を横切って連続的に延びるものとして示されている。しかし、他の場合では、強化繊維510は、強化層500の全幅未満を横切って不連続的に配置されることができる。
【0053】
強化繊維510は、所望の向きで配置することができるか、または、強化繊維510は、強化層500のポリマー材料シートにランダムに配置することができる。例えば、強化繊維510は、図9に示されているように、拡張可能な部材130およびカテーテルシャフト122の長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置することができる。
【0054】
図10は、拡張可能な部材130(例えば膨張可能なバルーン)に取り付けられた、本明細書において記載されるような、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の強化層600の別の実施形態を示している。強化層600は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の複数の層のうちの1つであるものとすることができる。例えば、強化層600は、絶縁ベース層202、絶縁層206、および、フレキシブル回路の付加的な層、あるいは絶縁ベース層202、絶縁層206、または、フレキシブル回路の付加的な層であるものとすることができる。
【0055】
強化層600は、強化繊維610が埋め込まれたポリマー材料から形成することができる。例えば、強化層600は、強化繊維610が埋め込まれているポリイミド(PI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の材料シートから形成することができる。強化繊維610は、強化繊維610の第1の端から強化繊維610の第2の端までテーパ状である外径を有することができる。強化繊維610のテーパ状の外径は、ポリマー材料シートとの機械的なロックを形成し、強化繊維610が強化層600のポリマー材料シートから引き出されることを防止することができる。
【0056】
強化繊維610は、所望の向きで配置することができるか、または、強化繊維610は、強化層600のポリマー材料シートにランダムに配置することができる。例えば、強化繊維610は、図10に示されているように、テーパ状の外径を交互にして、拡張可能な部材130およびカテーテルシャフト122の長手方向軸Lに対してほぼ垂直に配置することができる。
【0057】
図11は、拡張可能な部材130(例えば膨張可能なバルーン)に取り付けられた、本明細書において記載されるような、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の強化層700の別の実施形態を示している。強化層700は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の複数の層のうちの1つであるものとすることができる。例えば、強化層700は、図11に示されているように、ベース層202と絶縁層206との間に介装されることができる。しかし、他の場合では、強化層700は、絶縁ベース層202または絶縁層206であるものとすることができる。
【0058】
強化層700は、織られた、編まれた、編組された、または、別様に形成されたフィラメントのメッシュ等の微細生地層であるものとすることができる。いくつかの場合、強化層700は、ポリイミドおよびポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、あるいはポリイミドまたはポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の織られたメッシュとして形成される微細生地層であるものとすることができる。他の好適な材料としては、例えば綿、羊毛またはセルロース等の天然材料が挙げられる。いくつかの場合、強化層700は、例えば、生地またはメッシュに形成される、エレクトロスピニングプロセス中に形成されるナノファイバー等の長繊維を有することができる。いくつかの場合、強化層700は、長繊維410、または、強化層700に連続的なナノファイバーの束を堆積するようにエレクトロスピニングプロセスを使用して形成される複数の長繊維410を有する微細生地メッシュであるものとすることができる。
【0059】
図11に示されているように、いくつかの場合、強化層700(例えば微細生地層)は、第1の開口を有することができ、それによって、第1の電極222が、フレキシブル回路の第1の導電トレース(例えば、接地電極トレース210の電極支持体216)と電気的に接触して第1の開口を通って延びることができ、また、強化層700(例えば微細生地層)は、第2の開口を有することができ、それによって、第2の電極222が、フレキシブル回路の第2の導電トレース(例えば、活性電極トレース212の長尺状の活性電極支持体217)と電気的に接触して第2の開口を通って延びることができる。強化層700は、電極アセンブリ200のフレキシブル回路の各付加的な電極222の付加的な開口を有することができる。
【0060】
他の実施形態では、強化層700は、フレキシブル回路の接地電極トレース210の電極支持体216、活性電極トレース212の長尺状の活性電極支持体217、および、センサ接地パッド218の他方の面に位置決めすることができる。したがって、強化層700は、電極トレースと絶縁層202との間に位置決めすることができる。したがって、強化層700は、温度センサ226が強化層700を通してセンサ接地パッド218と電気的に接触することを可能にするように開口を有することができる。
【0061】
いくつかの場合、強化層700の開口は、フレキシブル回路に適用する前に強化層700に予め形成することができる。他の場合では、開口は、フレキシブル回路の製造中のレーザアブレーションプロセス中等に強化層700を通して切り込むことができる。
【0062】
他の場合では、ベース層202、絶縁層206、および、付加的な層、あるいはベース層202、絶縁層206、または、付加的な層は、Ultramid(登録商標)等の熱可塑性ポリアミドであるものとすることができ、これはいくつかの場合、ガラス強化ポリアミドであるものとすることができる。
【0063】
本開示によると、電極アセンブリ200の層の1つまたは複数とともに強化構造を含めることは、耐引き裂き性が改善した電極アセンブリ200を提供することができる。例えば、フレキシブル回路の強化層は、ASTM規格D−1004−09に従って7.5N(1.7lbf)超の初期引き裂き強度、および、ASTM規格D−1922−09に従って0.15N(0.03lbf)超の引き裂き伝播強度を有することができる。いくつかの場合、強化層の初期引き裂き強度は、ASTM規格D−1004−09に従って8.0N(1.8lbf)超であってもよく、それに加えて、若しくは、引き裂き伝播強度は、ASTM規格D−1922−09に従って0.2N(0.045lbf)超であってもよい。
【0064】
使用時に、アブレーションデバイス120を、いくつかの場合に送達シースまたはカテーテル14を用いて、血管または身体通路を通して、目的組織に隣接する位置(例えば、腎動脈内)まで前進させることができる。いくつかの実施形態において、目的組織は、血管の周りに並ぶ1つまたは複数の交感神経であり得る。いくつかの実施形態では、制御ユニット110は、アブレーションデバイス120に動作可能に結合することができ、アブレーションデバイス120は、(複数の電極アセンブリ200を有する)拡張可能な部材130を、治療が必要な目的組織に隣接して配置することができるように、血管または身体通路に挿入されることができる。治療が必要とされる目的組織に隣接するアブレーションデバイス120の配置は、従来の方法に従って(例えば、透視下でガイドワイヤにわたって)行うことができる。拡張可能な部材130は、好適に位置決めされると、例えば、バルーンの場合に約2atm〜10atmの加圧流体によって、折り畳まれた送達形態から拡張形態に拡張することができる。これによって、複数の電極を、血管の壁に当接して配置する/押しやることができる。複数の活性電極を活性化することができる。アブレーションエネルギーは、複数の活性電極から目的組織(この場合、交感神経をアブレーション、調節または別様に影響を与えることができる)を通して送り、また双極形態では複数の接地電極を通して戻すか、または、単極形態では共通の接地電極を通して戻すことができる。治療後に、拡張可能な部材130を、折り畳まれた送達形態に折り畳み、ガイドシースまたはカテーテル14内に後退させ、その後、血管または身体通路から引き戻すことができる。
【0065】
アブレーションデバイス120(および本明細書において開示される他のデバイス)、あるいはアブレーションデバイス120(または本明細書において開示される他のデバイス)の種々の構成要素に用いることができる材料は、医療デバイスに通常関連付けられる材料を有することができる。簡単にするために、以下の説明はアブレーションデバイス120に言及する。しかし、その説明は、本明細書において開示される他の同様の筒状部材および/もしくは拡張可能な部材、ならびに/または、筒状部材および/もしくは拡張可能な部材の構成要素に適用することができるため、これは、本明細書において記載されるデバイスおよび方法を限定する意図はない。
【0066】
アブレーションデバイス120およびその種々の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を以下で開示する)、金属−ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせ等または他の好適な材料から作ることができる。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社(DuPont)から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスティックス社(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルベースの共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよびデュポン社(DuPont)から入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー、あるいはブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートまたはデュポン社(DuPont)から入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なDURETHAN(登録商標)またはエルフ・アトケム社(Elf Atochem)から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、(例えば、PEBAX(登録商標)という商品名で入手可能な)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、硫化ポリフェニレン(PPS)、酸化ポリフェニレン(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、(EMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)から入手可能なGRILAMID(登録商標)等の)ナイロン−12、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBSおよびSIBS50A、あるいはSIBSまたはSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、または、混合物、組み合わせ、それらの共重合体、ポリマー/金属複合材料等を含んでもよい。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合することができる。例えば、混合物は、最大で約6パーセントのLCPを有することができる。
好適な金属および金属合金のいくつかの例としては、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼等のステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および超弾性ニチノール、あるいは線形弾性または超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金;ニッケル−クロム−モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625等のUNS:N06625、HASTELLOY C−22(登録商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276等のUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金等)、ニッケル−銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)等のUNS:R30035等)、ニッケル−モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2等のUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステンまたはタングステン合金等の他のニッケル合金;コバルト−クロム合金;コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003等);白金富化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ等;または、任意の他の好適な材料が挙げられる。
【0067】
本明細書において示唆されるように、市販のニッケル−チタンすなわちニチノール合金の系統には、化学的には従来の形状記憶および超弾性の種類に類似する可能性があるが、特有かつ有用な機械特性を示すことができる、「線形弾性」または「非超弾性」と呼ばれるカテゴリがある。線形弾性および非超弾性のニチノール、あるいは線形弾性または非超弾性のニチノールは、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別することができる。その代わりに、線形弾性および非超弾性ニチノール、あるいは線形弾性または非超弾性ニチノールでは、回復可能な歪みが増大するにつれて、塑性変形が始まるまで、または、少なくとも超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーおよびフラグ領域、あるいは超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーまたはフラグ領域よりも線形である関係において、応力は、実質的に線形関係、または、幾分線形であるが、必ずしも完全に線形ではない関係において、増大し続ける。したがって、本開示の目的では、線形弾性および非超弾性ニチノール、あるいは線形弾性または非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性および非超弾性ニチノール、あるいは「実質的に」線形弾性または非超弾性ニチノールと呼ぶこともできる。
【0068】
場合によっては、線形弾性および非超弾性ニチノール、あるいは線形弾性または非超弾性ニチノールはまた、実質的に弾性のままである間(例えば、塑性変形前)、最大約2%〜5%の歪みを許容することができ、一方で、超弾性ニチノールは塑性変形前に最大約8%の歪みを許容することができるという点で、超弾性ニチノールから区別可能であり得る。これらの材料はともに、塑性変形前に約0.2パーセント〜0.44パーセントの歪みしか許容することができないステンレス鋼等の他の線形弾性材料から区別することができる(その組成によっても識別することができる)。
【0069】
いくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性ニッケル−チタン合金、あるいは線形弾性または非超弾性ニッケル−チタン合金は、示差走査熱量計(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって広い温度範囲にわたって検出可能ないかなるマルテンサイト相/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性のニッケル−チタン合金、あるいは線形弾性または非超弾性のニッケル−チタン合金において、約−60℃〜約120℃の範囲でDSCおよびDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化がないこともあり得る。したがって、こうした材料の機械的曲げ特性は、この非常に広い温度範囲にわたる温度の効果に対して概ね不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度または室温における線形弾性および非超弾性のニッケル−チタン合金、あるいは線形弾性または非超弾性のニッケル−チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、超弾性プラトーおよびフラグ領域、あるいは超弾性プラトーまたはフラグ領域を示さないという点で、体温における機械特性と実質的に同じである。言い換えれば、線形弾性および非超弾性のニッケル−チタン合金、あるいは線形弾性または非超弾性のニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたって、その線形弾性および/または非超弾性特徴および/または特性を維持する。
【0070】
いくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性のニッケル−チタン合金、あるいは線形弾性または非超弾性のニッケル−チタン合金は、約50重量%〜約60重量%の範囲がニッケルであるものとすることができ、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約54重量%〜約57重量%の範囲がニッケルである。好適なニッケル−チタン合金の一例は、日本国神奈川県の株式会社古河テクノマテリアルから市販されているFHP−NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、米国特許第5,238,004号明細書および米国特許第6,508,803号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に援用される。他の好適な材料としては、ULTANIUM(商標)(ネオメトリックス社(Neo−Metrics)から入手可能)およびGUM METAL(登録商標)(トヨタから入手可能)を挙げることができる。いくつかの他の実施形態では、所望の特性を達成するために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを用いることができる。
【0071】
少なくともいくつかの実施形態では、アブレーションデバイス120の部分に放射線不透過性材料をドープするか、放射線不透過性材料から作製するか、または、別様に放射線不透過性材料を有することもできる。放射線不透過性材料は、医療処置の間にX線透視スクリーンまたは別の撮像技法において比較的明るい画像を生成可能な材料であるものと理解される。この比較的明るい画像は、アブレーションデバイス120の使用者がその位置を特定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が装填されたポリマー材料等を挙げることができる。さらに、同じ結果を達成するように、他の放射線不透過性マーカバンドおよびコイル、あるいは他の放射線不透過性マーカバンドまたはコイルを、アブレーションデバイス120の設計に組み込むこともできる。
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス120に、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性を与えることができる。例えば、デバイスの部分は、画像を実質的に歪めず実質的なアーチファクト(すなわち、画像における空隙)をもたらすことがない材料から作製することができる。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像においてアーチファクトをもたらす可能性があるため、好適ではない場合がある。これらおよび他の実施形態のいくつかでは、アブレーションデバイス120の部分は、MRIマシンが撮像することができる材料から作製することもできる。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)等のUNS:R30035等)、ニチノール等および他のものが挙げられる。
【0072】
現在は米国特許出願公開第20130165926号明細書として公開されている、2013年1月25日に出願された「身体通路の組織又は身体通路に近接する組織を再構築するための方法及び装置(METHODS AND APPARATUSES FOR REMODELING TISSUE OF OR ADJACENT TO A BODY PASSAGE)」という発明の名称の米国特許出願第13/750,879号は、参照により本明細書に援用される。
【0073】
本開示は、多くの点で例示的なものに過ぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に形状、サイズおよびステップの配置に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の特徴のうちのいずれかが他の実施形態で使用されることを含むことができる。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される文言で規定される。
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