特許第6383007号(P6383007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383007
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】電子機器および検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20180820BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20180820BHJP
   G01R 11/24 20060101ALI20180820BHJP
   G01R 11/02 20060101ALI20180820BHJP
   H04B 17/00 20150101ALI20180820BHJP
【FI】
   G06K19/07 160
   G01R22/06 130Z
   G01R11/24 Z
   G01R11/02 F
   H04B17/00
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-561137(P2016-561137)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2014081239
(87)【国際公開番号】WO2016084159
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】398058588
【氏名又は名称】東芝クライアントソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 龍平
(72)【発明者】
【氏名】向山 俊和
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−288134(JP,A)
【文献】 特開昭63−166326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G01R 21/00−22/10
G01R 11/00−11/66
H04B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電源装置に取り付けられ、前記電源装置から供給される電圧で動作する電子機器であって、
前記電源装置から供給される電圧が供給されるトランスと、
前記トランスの出力電圧により充電される電気二重層キャパシタと、
前記トランスの出力に接続される変圧器と、
前記変圧器の出力電圧が電源端子に供給される処理部と、
前記電源装置から供給される電圧が供給される第1フォトカプラと、
前記電源装置から供給される電圧が供給される第2フォトカプラと、
前記第2フォトカプラの1次側に接続されるキャパシタと、を具備し、
前記第2フォトカプラの1次側は前記電源装置内でプルダウン抵抗を介して接地され、
前記処理部は、前記第1フォトカプラの出力が供給される第1端子と、前記第2フォトカプラの出力が供給される第2端子と、前記電気二重層キャパシタの充電電圧が供給される第3端子とを具備し、前記第1端子、前記第2端子、及び第3端子の状態の組み合わせに応じて停電発生、または前記電源装置からの前記電子機器の取り外しを検出する電子機器。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1端子のレベル変化に応答して停電発生有無の判定を開始し、前記第2端子のレベル変化に応答して取り外しか否かの判定を開始する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電発生または取り外しを検出する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1端子のレベル変化あるいはパワーオンリセットに応答して停電から復旧したか否かの判定、または再装着か否かの判定を開始する請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記処理部は、前記第1端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電から復旧したことを検出し、
前記処理部は、前記第1端子のレベルと前記第2端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、再装着を検出する請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源装置は電力量計であり、前記処理部は前記電力量計、他のメータあるいはネットワークと通信する通信部であり、停電検出結果または取り外し検出結果をネットワークへ送信するとともに、受信した検針データをネットワークへ送信する請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
外部の電源装置に取り付けられ、前記電源装置から供給される電源電圧で動作する電子機器であって
前記電源電圧が供給されるトランスと、
前記トランスの出力電圧により充電される電気二重層キャパシタと、
前記トランスの出力電圧が供給される変圧器と、
前記変圧器の出力電圧が電源端子に供給される処理部と、
前記電源電圧が供給される第1フォトカプラと、
前記電源電圧が供給される第2フォトカプラと、
前記第2フォトカプラの1次側に接続されるキャパシタと、を具備し、
前記第2フォトカプラの1次側は前記電源装置内でプルダウン抵抗を介して接地され、
前記処理部は、前記第1フォトカプラの出力が供給される第1端子と、前記第2フォトカプラの出力が供給される第2端子と、前記電気二重層キャパシタの充電電圧が供給される第3端子とを具備する電子機器における検出方法であって、
前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子の状態の組み合わせに応じて停電発生、または前記電源装置からの前記電子機器の取り外しを検出する検出方法。
【請求項8】
前記第1端子のレベル変化に応答して停電発生有無の判定を開始し、前記第2端子のレベル変化に応答して取り外しか否かの判定を開始する請求項7記載の検出方法。
【請求項9】
前記第1端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電発生または取り外しを検出する請求項8記載の検出方法。
【請求項10】
前記第1端子のレベル変化あるいはパワーオンリセットに応答して停電から復旧したか否かの判定、または再装着か否かの判定を開始する請求項7記載の検出方法。
【請求項11】
前記第1端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電から復旧したことを検出し、
前記第1端子のレベルと前記第2端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、再装着を検出する請求項10記載の検出方法。
【請求項12】
前記電源装置は電力量計であり、前記処理部は前記電力量計、他のメータあるいはネットワークと通信する通信部であり、
前記処理部は前記電力量計または前記他のメータから検針データを受信し、
受信した検針データをネットワークへ送信し、
停電検出結果または取り外し検出結果をネットワークへ送信する請求項7記載の検出方法。
【請求項13】
電源装置と、
前記電源装置に取り付けられる通信装置と、を具備する電子機器であって、
前記電源装置は、
前記通信装置と通信する第1通信機と、
商用電源から直流電圧を作るコンバータと、
前記商用電源の接地にプルダウン抵抗を介して接続される検出端子と、を具備し、
前記通信装置は、
前記第1通信機と通信する第2通信機と、
前記コンバータの出力が供給されるトランスと、
前記トランスの出力電圧により充電される電気二重層キャパシタと、
前記トランスの出力電圧を変圧して前記第2通信機に供給する変圧器と、
前記変圧器の出力電圧が電源端子に供給される処理部と、
前記コンバータの出力が供給される第1フォトカプラと、
前記コンバータの出力が供給される第2フォトカプラと、
前記第2フォトカプラの1次側に接続されるキャパシタと、を具備し、
前記第2通信機は、
前記第1フォトカプラの出力が供給される第1端子と、
前記第2フォトカプラの出力が供給される第2端子と、
前記電気二重層キャパシタの充電電圧が供給される第3端子とを具備し、
前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子の状態の組み合わせに応じて停電発生、または前記電源装置からの前記電子機器の取り外しを検出する電子機器。
【請求項14】
前記処理部は、前記第1端子のレベル変化に応答して停電発生有無の判定を開始し、前記第2端子のレベル変化に応答して取り外しか否かの判定を開始する請求項13記載の電子機器。
【請求項15】
前記処理部は、前記第1端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電発生または取り外しを検出する請求項14記載の電子機器。
【請求項16】
前記処理部は、前記第1端子のレベル変化あるいはパワーオンリセットに応答して停電から復旧したか否かの判定、または再装着か否かの判定を開始する請求項13記載の電子機器。
【請求項17】
前記処理部は、
前記第1端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、停電から復旧したことを検出し、
記第1端子のレベルと前記第2端子のレベルと前記第3端子のレベルが所定のレベルであることを所定回数検出した場合、再装着を検出する請求項16記載の電子機器。
【請求項18】
前記電源装置は電力量計であり、前記処理部は前記電力量計、他のメータあるいはネットワークと通信する通信部であり、停電検出結果または取り外し検出結果をネットワークへ送信するとともに、受信した検針データをネットワークへ送信する請求項13記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の機器に接続され他の機器から供給される電圧で動作する電子機器および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような機器の一例としてスマートメータシステムで使用される電力量計用の通信ハブがある。スマートメータシステムでは、電力量計の検針データをネットワーク側(例えば電力会社)のサーバへ送信する必要がある。そのため、ネットワークとの通信機能を有する通信ハブを電力量計に取り付けることが検討されている。電力量計は屋外に設置されることもあるので、それに取り付けられる通信ハブは電源を含まず、電力量計の電源により動作することが考えられている。電力量計と通信ハブとのコネクタに電力量計から駆動電圧を通信ハブに供給する端子が設けられる。電力量計に取り付けられる通信ハブは着脱自在であると、いたずらにより通信ハブを電力量計から取り外されるおそれがある。あるいは、電力量計に対して取り外しを考慮せず強固に取り付けたとしても、改ざん等の目的で通信ハブが電力量計から無理やり取り外されるおそれもある。そのため、通信ハブの電力量計からの取り外しを検出することが望まれている。また、通信ハブは常時動作することが要求されているので、停電による電力量計からの電源断の検出も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-160651号公報
【特許文献2】特表2005-507707号公報
【特許文献3】米国特許第6,246,677号明細書
【特許文献4】特開2012-232157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
停電時も通信ハブが電力量計から取り外された時も、通信ハブは電源が断たれるので、両者を区別して検出することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、実施例に係る電子機器は、外部の電源装置に取り付けられ、電源装置から供給される電圧で動作する。この電子機器は、電源装置から供給される電圧が供給されるトランスと、トランスの出力電圧により充電される電気二重層キャパシタと、トランスの出力に接続される変圧器と、変圧器の出力電圧が電源端子に供給される処理部と、電源装置から供給される電圧が供給される第1、第2フォトカプラと、第2フォトカプラの1次側に接続されるキャパシタと、を具備する。第2フォトカプラの1次側は電源装置内でプルダウン抵抗を介して接地される。処理部は、第1、第2フォトカプラの出力が供給される第1、第2端子と、電気二重層キャパシタの充電電圧が供給される第3端子とを具備し、第1、第2、第3端子の状態の組み合わせに応じて停電発生、または電源装置からの電子機器の取り外しを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、電子機器の実施例の回路構成の一例を示す。
図2図2は、スーパーキャパシタの残容量が十分ある場合の停電・復旧検出の一例のタイミングチャートである。
図3図3は、スーパーキャパシタの残容量が少ない場合の停電・復旧検出の一例のタイミングチャートである。
図4図4は、スーパーキャパシタの残容量が十分ある場合のタンパー・復旧検出の一例のタイミングチャートである。
図5図5は、スーパーキャパシタの残容量が少ない場合のタンパー・復旧検出の一例のタイミングチャートである。
図6図6は、停電時、取り外し時の各端子の状態の一例を示す状態マトリクスである。
図7図7は、停電が発生した時の通信ハブの状態遷移図の一例を示す。
図8図8は、停電が発生した時の通信ハブの状態の定義の一例を示す。
図9図9は、電力量計から取り外された時の通信ハブの状態遷移図の一例を示す。
図10図10は、電力量計から取り外された時の通信ハブの状態の定義の一例を示す。
図11図11は、電子機器の他の実施例の回路構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0008】
実施例としては、スマートメータシステムで使用される電力量計用の通信ハブを説明するが、これに限らず、他の機器に接続され、他の機器から供給された電源電圧により動作する機器であれば何でもよく、通信ハブに限定されない。
【0009】
図1は、通信ハブの電源関係の回路構成の一例を示す図である。電源以外の機能、例えば通信機能等の詳細は図示省略する。通信ハブは電力量計10とは別体であり、電力量計10に後付けされるので、コネクタを用いて着脱自在に構成されてもよい。しかし、製造者側で取り外し不能な状態で通信ハブを電力量計10に強固に取り付けてもよい。通信ハブが電力量計に正常に取り付けられると、両者を接続するコネクタの端子を介して電力量計10から通信ハブに電源が供給される。電力量計10は、通常の商用電源(例えば、日本では交流200Vあるいは100V、イギリスでは240V)6が印加されている。商用電源6の電源ラインは、例えば交流240Vのニュートラルラインと、絶縁されていない接地レベルのライブラインとを含む。
【0010】
電力量計10は、AC/DCコンバータ12、タンパー検出用プルダウン抵抗14、ジグビー(ZigBee)デバイス16、アンテナ18、積算部19等を含む。ニュートラルラインからの交流電圧がAC/DCコンバータ12に供給され、交流電圧が直流電圧(例えば、DC12V)に変換され、コネクタを介して通信ハブに電源として供給される。ライブラインが電力量計10を素通りして通信ハブの接地ラインに接続される。電力量計10と通信ハブの間のコネクタには、DC12V端子、ライブライン端子の他にタンパー検出端子MT_PRが設けられる。通信ハブのタンパー検出端子MT_PRは電力量計10内でプルダウン抵抗14(例えば10Ω)を介してライブラインに接続される。
【0011】
図示しない電気機器が接続される家庭内配線が電力量計10に接続され、電気機器の電力消費量の積算値が積算部19で求められる。積算電力はジグビーデバイス16、アンテナ18を用いて通信ハブに送信される。通信ハブは電力量計10に取り付けられ、電力量計10からコネクタを介して電源電圧が供給されるが、電力量計10の検針データ(積算電力)はコネクタを介して通信ハブに送信されず、ジグビー規格の無線通信により電力量計10から通信ハブに送信される。しかし、上記構成に限定されず、電力量計10の検針データをコネクタ経由で通信ハブに送信してもよい。
【0012】
なお、家庭内の電力量計以外の他のメータ、例えばガスメータからのガスの使用量データ、水道メータからの水道の使用量データもそれぞれのメータに含まれるジグビーデバイスから通信ハブに送信される。すなわち、通信ハブは電力量計のみならず各種メータからの検針データを集約し、定期的(例えば30分間隔)にネットワーク側へ送信することができる。しかし、必ずしも、上記構成に限定されず、電力量計10の検針データのみがコネクタ経由で通信ハブに送信され、通信ハブは電力量計10の検針データのみをジグビー規格の無線通信によりネットワーク側へ送信してもよい。
【0013】
電力量計10から通信ハブに供給された例えば12Vの直流電圧はトランス22を介して変圧され、ダイオード24を介して例えば4.2VのVsys電圧として出力される。トランス22の1次巻線の両端は抵抗16、ダイオード18を介して互いに接続される。トランス22の1次側にはDC/DCコンバータ54も接続され、DC12VがDC/DCコンバータ54にも供給される。トランス22の2次巻線の両端は電気二重層キャパシタ(以下スーパーキャパシタと称する)26、28を直列に介して互いに接続され、トランス22の出力電圧Vsysはスーパーキャパシタ26、28に充電される。スーパーキャパシタ26の一端はダイオード24に接続され、スーパーキャパシタ28の一端は接地される。例えば、スーパーキャパシタ26、28はそれぞれ25Fの容量であり、直列接続されたスーパーキャパシタ26、28の容量は12.5Fである。この容量は、DC12Vの通信ハブへの供給が断たれても、トランス22の出力電圧Vsysを一定時間保つことができる値に設定される。
【0014】
通信ハブは複数、例えば3つの無線通信デバイス、例えば2G/3Gデバイス32、ジグビーデバイス38、RFメッシュデバイス(IEEE802.15.4規格の無線マルチホップ方式)48を含む。このうち、ジグビーデバイス38は各種メータから検針データを受信するためのものであり、2G/3Gデバイス32とRFメッシュデバイス48は各種メータから受信した検針データをネットワーク側へ送信するためのものである。2G/3Gデバイス32は携帯電話回線を用いて通信するものであり、郊外や住宅が密集していない地方で主に採用される。RFメッシュデバイス48はメータ(通信ハブ)間をホップして通信するものであり、住宅が密集している都心部で主に採用される。なお、ネットワークとの通信は無線に限らず、電力線を用いた通信でもよい。電力線を用いた通信はマンション、ビル等で主に採用される。ネットワークとの通信に使うデバイスは、環境に応じて選択される。
【0015】
2G/3Gデバイス32の動作電圧は3.4V〜4.2V(Typ:標準は3.8V)であるが、ジグビーデバイス38、RFメッシュデバイス48の動作電圧は3.3V(Typ)である。スーパーキャパシタの電圧はDC12Vが断たれると4.2Vから減少する為、トランス22の出力Vsysはアップコンバータ30を介して例えばDC4.2Vに昇圧され、2G/3Gデバイス32の電源端子Vccに供給される。2G/3Gデバイス32はアンテナ34を介して携帯電話通信の基地局と通信することにより、検針データを例えば電力会社のサーバへ送信する。
【0016】
トランス22の出力VsysはLDO(Low Drop Out)レギュレータ36を介して3.3Vに変圧され、ジグビーデバイス38の電源端子Vccに供給される。ジグビーデバイス38はアンテナ40を介して各種メータと通信することにより、各種メータからの検針データを受信する。
【0017】
トランス22の出力VsysはLDOレギュレータ46を介して3.3Vに変圧され、RFメッシュデバイス48の電源端子Vccに供給される。RFメッシュデバイス48はアンテナ50を介して他の通信ハブ間をホップしてコンセントレータに検針データを送信する。
【0018】
2G/3Gデバイス32、ジグビーデバイス38、RFメッシュデバイス48には、システムコントローラ52が接続され、検針データの送受信が制御される。例えば、ジグビーデバイス38で受信した各種メータからの検針データがシステムコントローラ52の制御の下、2G/3Gデバイス32あるいはRFメッシュデバイス48からネットワーク側へ送信される。
【0019】
なお、通信ハブは停電発生開始から30秒間は動作し、その間にネットワークへ停電の発生を知らせるように設計されている。そのため、電力量計10からDC12Vの供給が断たれても30秒間はVsysを維持できるように、スーパーキャパシタ26、28の容量が決められている。この30秒間に通信ハブはLast Gasp動作を行い、2G/3Gデバイス32あるいはRFメッシュデバイス48を用いてネットワーク側に停電の発生を伝えることができる。ネットワーク側は停電の発生が伝えられると、適宜な処置を取ることができる。ネットワーク側に停電の発生を伝えた後は、通信ハブは動作停止してもよい。停電はエリアで発生するので、停電時は多数の通信ハブがネットワークへ一斉に送信するので、ネットワークが混雑し、リトライが必要になる。リトライは3回までとされており、3回のリトライのために30秒間は必要になる。
【0020】
通信ハブは電力量計10と同様に屋外に設置されることが多いので、停電後30秒の動作を保証するための電源として電池を使うのは、安全性、長期信頼性の点で課題がある。本実施例では電池を使わず、受動部品であるキャパシタの容量が大きいスーパーキャパシタあるいはウルトラキャパシタと呼ばれる電気二重層キャパシタ26、28を使うので、これらの懸念を低減できる。
【0021】
停電検出/タンパー検出は電力量計10から供給される電源電圧の変化を利用するので、これらの検出はいずれかの通信デバイスで行なわれる。ここでは、一例としてジグビーデバイス38で停電検出/タンパー検出が行なわれる例を説明する。他のデバイスも同様に変形することにより、他のデバイスでも検出可能である。ジグビーデバイス38は停電検出/タンパー検出のために、GPI端子、GPI端子、ADC端子を含む。
【0022】
電力量計10からの電圧は非絶縁電圧であるので、通信ハブの上記検出機能を実現する回路を電力量計10から絶縁することが望まれる。そのため、トランス22の出力Vsysはジグビーデバイス38のADC端子に接続されるが、電力量計10から供給されるDC12Vはフォトカプラ56、68を介してジグビーデバイス38のGPI端子、GPI端子に接続される。これにより、ジグビーデバイス38は商用電源から絶縁される。
【0023】
フォトカプラ56のLEDのアノードは抵抗55を介してDC12Vラインに接続され、カソードはライブラインに接続される。フォトカプラ56のフォトトランジスタのコレクタがGPI端子に接続されるとともにキャパシタ58を介して接地される。フォトカプラ56のフォトトランジスタ56のエミッタは抵抗60を介して接地される。GPI端子は抵抗42を介してLDOレギュレータ36の出力電圧3.3Vに接続される。
【0024】
このように、1次側のDC12Cをフォトカプラ56で反転して2次側に伝達し、その変化をGPI端子で検出する。その際、トランス22の2次側にはスーパーキャパシタ26、28が接続されており、電源(DC12V)の供給が途絶えても、トランス22の出力電圧Vsysは一定時間は維持されている為、その間ジグビーデバイス38は動作を続けることができ、GPI端子のLow→Highの変化を検出することが出来る。
【0025】
フォトカプラ68のLEDのアノードはタンパー検出端子MT_PRに接続されるとともに、抵抗66(例えば510Ω)、ダイオード64を介してDC12Vラインに接続される。抵抗66とダイオード64の接続点はキャパシタ62(例えば22μF)を介してライブラインに接続される。タンパー検出端子MT_PRは電力量計10内でプルダウン抵抗14を介してライブラインに接続されているので、フォトカプラ68のLEDのアノードもプルダウン抵抗14を介してライブラインに接続される。フォトカプラ68のLEDのカソードはライブラインに接続される。すなわち、フォトカプラ68のLEDのアノード、カソード間にはプルダウン抵抗14が接続される。フォトカプラ68のフォトトランジスタのコレクタがGPI端子に接続されるとともにキャパシタ70を介して接地される。フォトトランジスタ68のエミッタは抵抗72を介して接地される。GPI端子は抵抗44を介してLDOレギュレータ36の出力電圧3.3Vに接続される。
【0026】
このように、タンパー検出端子MT_PRは電力量計10内で抵抗14を介してプルダウンされているが、通信ハブ内の一次側では抵抗66を介してDC12Vにプルアップされているので、通信ハブが電力量計10から取り外されると、タンパー検出信号MT_PRはLow→Highに切り替わる。電力量計10からの取り外しにより電源(DC12V)の供給が途絶えても、抵抗66、ダイオード64の接続点とライブラインとの間に22μFのキャパシタ62が接続されているので、タンパー検出信号MT_PRを暫くの間highに保つことが出来る。
【0027】
1次側のDC12Cをフォトカプラ68で反転して2次側に伝達し、この変化をGPI端子で検出する。その際、トランス22の2次側にはスーパーキャパシタ26、28が接続されており、電源(DC12V)の供給が途絶えても、トランス22の出力電圧Vsysは一定時間は維持されている為、その間ジグビーデバイス38は動作を続けることができ、GPI端子のHigh→Lowの変化を検出することが出来る。
【0028】
図2図3は、停電及び停電からの復旧を検出する動作を示すタイミングチャートである。停電及び停電からの復旧はトランス22の2次側のスーパーキャパシタ26、28の充電電荷を利用して検出するが、充電容量は停電発生直後から徐々に減少する。そのため、スーパーキャパシタ26、28の充電電荷の残容量が十分ある場合と、少ない場合とで検出動作が異なる。図2は、停電発生直後の充電電荷の残容量が十分ある状態で停電から復旧する場合のタイミングチャートであり、図3は停電発生から時間が経過し、充電電荷の残容量が少ない状態で停電から復旧する場合のタイミングチャートである。
【0029】
図2は、スーパーキャパシタ26、28の残容量が十分あり、GPI端子がHighを保っている状態で停電から復旧する場合の動作を示す。
【0030】
電力量計10では出力端子に容量が接続されているので、停電が発生した場合、通信ハブ内のDC12Vラインの電圧は徐々に低下し、閾値以下に低下すると、フォトカプラ56がオフとなり、LEDが発光停止する。そのため、フォトカプラ56の出力がLow→Highとなり、GPI端子がLow→Highに変化する。ジグビーデバイス38はGPI端子がLow→Highに変化すると、割り込みを検知し、その後、所定時間、例えば1秒毎にGPI端子の状態をモニタし、Highが2回続くと、ネットワーク側へ停電検出を伝えるLast Gasp動作を開始する。具体的には、ジグビーデバイス38はシステムコントローラ52に停電検出を伝える。システムコントローラ52は、2G/3Gデバイス32あるいはRFメッシュデバイス48を用いてネットワーク側の電力会社のサーバに停電検出を伝える。電力会社はこれを受けて復旧作業を開始することができ、停電からの復旧時間を短縮することができる。
【0031】
なお、GPI端子のLow→Highの変化で直ちに停電検出しないのは、不安定な動作に基づく誤検出の可能性を避けるためである。そのため、動作が安定している場合は、割り込み検知で直ぐに停電を検出してもよい。また、割り込み検知で直ぐに停電を検出しない場合、Highの検出回数は2回に限らず、1回でも、3回以上でもよいし、検出間隔も1秒に限らず、任意の(一定ではない場合も含む)間隔でよい。
【0032】
電源が停電から復旧し、DC12Vラインが閾値以上に上昇すると、フォトカプラ56がオンとなり、その出力がLowとなり、GPI端子がHigh→Lowに変化する。ジグビーデバイス38はGPI端子がHigh→Lowに変化すると、割り込みを検知し、その後、所定時間、例えば1.5秒毎にGPI端子の状態と、Vsysが供給されているADC端子の状態をモニタし、GPI=Low、ADC=High(スーパーキャパシタ26、28の充電電荷により停電からの復旧時までVsysがHighを保っている)が2回続くと、停電からの復旧を知らせるパワーオンをネットワーク側へ伝える。この復旧検出も、停電検出と同様に、割り込みで直ちに検出してもよいし、複数回の検出で検出する場合、回数等は適宜変更可能である。
【0033】
図3は、停電からの復旧まで長時間経過し、停電中にスーパーキャパシタ26、28の充電電荷が減ってしまい、VsysがLowに変化してしまった状態で復旧する場合の動作を示す。
【0034】
停電発生時は、図2の場合と同等に、DC12Vラインの電圧が閾値以下に低下し、GPI端子がLow→Highに変化後、1秒毎に端子GPIの状態をモニタし、Highが2回続くと、ネットワーク側へ停電検出を伝えるLast Gasp動作を開始する。図2の場合は、電源が復旧するまでスーパーキャパシタ26、28の充電電荷によりVsysがHighを保っているが、図3の場合は、復旧前にVsysが低下し、ADC端子がLowに変化している。
【0035】
その後、停電から復旧し、DC12Vラインの電圧が上昇し、Vsysも上昇する。Vsysが閾値(例えば、3.8V)以上となると、スーパーキャパシタ26、28の電圧が正常に充電出来ていると判断でき、パワーオンリセット動作がされ、システムが再起動される。
【0036】
フォトカプラ56のフォトトランジスタはVsysにプルアップされているので、DC12Vが復帰してVsysが回復した後に、システムがオンし端子GPIのレベルを調べると、フォトカプラ56のLEDはオンとなるが、その出力はLowのままであり、GPI端子もLowのままである。そのため、図2の場合のように、停電復旧検出のトリガとしてGPI端子のHigh→Lowへの変化を検出することができない。そこで、この場合は、ジグビーデバイス38はパワーオンリセット動作後、所定時間、例えば60秒以上経過後にGPI端子の状態と、Vsysが供給されているADC端子の状態をモニタし、GPI=Low、ADC=Highであると、ネットワーク側へパワーオンを伝える。
【0037】
すなわち、ジグビーデバイス38は、GPI端子がLow→Highへ変化すると、GPI端子の状態のモニタを開始する。GPI端子のHighを所定回数検出すると、停電を検出し、ネットワーク側へ停電検出を伝える。電源が復旧し、GPI端子がHigh→Lowに変化すると、GPI端子と、Vsysが供給されているADC端子の状態のモニタを開始する。GPI=Low、ADC=Highを所定回数検出すると、ネットワーク側へパワーオンを伝える。停電の発生から停電からの復旧までの時間が短く、Vsysに基づいて生成された駆動電圧3.3Vがジグビーデバイス38に供給されている間に電源が復旧した場合は、上記動作をするが、停電の発生から停電からの復旧までの時間が長く、電源復旧前にジグビーデバイス38の駆動電圧が遮断した場合は、GPI端子のHigh→Lowへの変化を検出できない。その場合は、図3に示すように、電源が復旧し、パワーオンリセットしてから、所定時間経過後にGPI端子と、ADC端子の状態をモニタし、GPI=Low、ADC=Highが2回続くと、ネットワーク側へパワーオンを伝える。
【0038】
言い換えると、GPI端子がLow→Highへ変化してから所定時間後、GPI端子がHighであることを2回検出した場合、停電発生を検出することができる。GPI端子のHigh→Lowへの変化から所定時間後あるいはパワーオンリセットしてから所定時間後、GPI端子がLowでADC端子がHighであることを2回検出した場合、停電からの復旧を検出することができる。なお、検出回数は2回に限らず、1回でも3回以上でも良い。
【0039】
図4図5は、電力量計10から通信ハブが取り外された場合のタンパー検出及び再装着検出時のタイミングチャートである。停電検出と同様、スーパーキャパシタ26、28の残電荷容量に応じてGPI端子の状態に変化が生じる。図4は、取り外し直後の残容量が十分ある状態で再装着した場合のタイミングチャートであり、図5は取り外しから時間が経過し、残容量が少ない状態で再装着した場合のタイミングチャートである。
【0040】
図4は、スーパーキャパシタ26、28の残容量が十分あり、GPI端子がHighを保っている状態で再装着した場合を示す。
【0041】
電力量計10から通信ハブが取り外されると、電力量計10からのDC12Vの供給も途絶えるが、フォトカプラ68の1次側のキャパシタ62の充電電荷によりタンパー検出信号MT_PRの状態がLow→Highと変化する。この変化がフォトカプラ68で反転されてGPI端子に伝達され、GPI端子の状態がHigh→Lowに変化する。ジグビーデバイス38はタンパー検出端子GPIがHigh→Lowに変化後、所定時間、例えば1秒毎に端子GPIの状態をモニタし、Highが2回続くと、ネットワーク側へタンパー検出(取り外し検出)を伝える。ネットワーク側はタンパー検出が伝えられると、適宜な処置を取ることができる。
【0042】
なお、タンパー検出信号MT_PRの状態はLow→Highへ変化後、フォトカプラ68の1次側のキャパシタ62の放電に伴い、徐々に減少する。タンパー検出信号MT_PRの低下に伴い、フォトカプラ68のLEDの発光量も低下する。タンパー検出信号MT_PRがHighからLowに低下する期間は、フォトカプラ68に流れる電流を3mAとすると、88ms(=22μF×12V/3mA)である。フォトカプラ68のLEDの発光量が0となると、フォトカプラ68の出力はHighに戻り、GPI端子もHighとなる。しかし、GPI端子の状態は、ハードウェアのバラツキなどにより確実な状態保持期間が担保出来ない可能性があるので、検出判断には使用しない。
【0043】
電力量計10から取り外し後、再び通信ハブが電力量計10に装着されると、DC12Vの供給が再開し、フォトカプラ56がオンとなり、それらの出力がLowとなり、GPI端子がHigh→Lowに変化する。ジグビーデバイス38はGPI端子がHigh→Lowに変化後、所定時間、例えば1.5秒毎にGPI端子の状態と、GPI端子の状態と、Vsysが供給されているADC端子の状態をモニタし、GPI=Low、GPI=High、ADC=High(スーパーキャパシタ26、28の充電電荷により取り外しから再装着時までVsysがHighを保っている)が2回続くと、再装着を知らせるパワーオンをネットワーク側へ伝える。
【0044】
図5は、取り外しから再装着まで長時間経過し、取り外し中にスーパーキャパシタ26、28の充電電荷が減ってしまい、VsysがLowに変化してしまった状態で再装着する場合の動作を示す。
【0045】
取り外されると、図4の場合と同等に、タンパー検出信号MT_PRの状態がLow→Highと変化する。この変化がフォトカプラ68で反転されてGPI端子に伝達され、GPI端子の状態がHigh→Lowに変化する。ジグビーデバイス38はタンパー検出端子GPIがHigh→Lowに変化後、所定時間、例えば1秒毎に端子GPIの状態をモニタし、Highが2回続くと、ネットワーク側へタンパー検出を伝える。
【0046】
電力量計10から取り外し後、長時間経過すると、スーパーキャパシタ26、28の電荷が放電され、Vsysが低下し、ADC端子がLowに変化する。この状態で、通信ハブが電力量計10に再装着されると、DC12Vの供給が再開し、キャパシタ62が充電され、Vsysが徐々に上昇する。Vsysが閾値(例えば、3.8V)以上となると、スーパーキャパシタ26、28の電圧が正常に充電出来ていると判断でき、パワーオンリセット動作がされ、システムが再起動される。
【0047】
システムの再起動により、フォトカプラ56のLEDはオンとなるが、その出力はLowのままであり、GPI端子もLowのままである。そのため、図4の場合のように、再装着検出のトリガとしてGPI端子のHigh→Lowへの変化を検出することができない。そこで、この場合は、ジグビーデバイス38はパワーオンリセット動作後、所定時間、例えば60秒以上経過後にGPI端子の状態と、GPI端子の状態をモニタし、GPI=Low、GPI=High、ADC=Highが2回続くと、ネットワーク側へ再装着を伝える。
【0048】
すなわち、ジグビーデバイス38は、GPI端子がHigh→Lowへ変化すると、GPI端子の状態のモニタを開始する。GPI端子のHighを所定回数検出すると、取り外しを検出し、ネットワーク側へ取り外し検出を伝える。通信ハブが再装着され、GPI端子がHigh→Lowに変化すると、GPI端子と、GPI端子と、Vsysが供給されているADC端子の状態のモニタを開始する。GPI=Low、GPI=High、ADC=Highを所定回数検出すると、ネットワーク側へ再装着を伝える。取り外しから再装着までの時間が短く、Vsysに基づいて生成された駆動電圧3.3Vがジグビーデバイス38に供給されている間に再装着された場合は、上記動作をするが、再装着前にジグビーデバイス38の駆動電圧が遮断した場合は、GPI端子のHigh→Lowへの変化を検出できない。その場合は、図5に示すように、再装着後パワーオンリセットしてから、所定時間経過後にGPI端子と、GPI端子の状態のモニタを開始する。GPI=Low、GPI=Highを所定回数検出すると、ネットワーク側へ再装着を伝える。
【0049】
言い換えると、GPI端子がHigh→Lowへ変化してから所定時間後、GPI端子がHighである場合、タンパー検出が行なわれる。GPI端子のHigh→Lowへの変化から所定時間後あるいはパワーオンリセットしてから所定時間後、GPI端子がLowでGPI端子がHighである場合、再装着を検出することができる。
【0050】
図6は、停電・復旧検出、取り外し(タンパー)・再装着検出時のGPI端子、GPI端子、ADC端子、Vcc端子の状態マトリクスである。CHは通信ハブを示す。GPI端子は電力量計10からDC12Vが供給されている時はLow、供給されていない時はHighである。GPI端子は通信ハブが電力量計10に装着されている時はHigh、取り外されている時はLowである。ADC端子はスーパーキャパシタ26、28が正常に充電出来ているか否かを判定するものであり、3.8Vが閾値である。Vcc端子は0Vか3.3Vかである。
【0051】
図7は停電・復旧検出時の状態遷移図を示す。図8は、図7の各状態の定義を示す。図7では、状態を次の8つの状態に分ける。(1)通常通電時、(2)停電直後、(3)停電直後に電源が復旧した状態、(4)停電から数分経過した状態、(5)停電から数分経過した後電源が復旧した状態、(6)停電から数十分経過した状態、(7)停電から数十分経過した後電源が復旧した状態、(8)停電から数十分経過した後電源が復旧し、それから60秒経過した状態。
【0052】
(2)停電直後と、(4)停電から数分経過した状態の2つの状態はどちらもスーパーキャパシタ26、28の残容量が残っている状態であるが、Vsysの電圧レベルが判定閾値を下回る場合と下回らない場合がある。
【0053】
(1)通常通電時、(3)停電直後に電源が復旧した状態、(5)停電から数分経過した後電源が復旧した状態、(8)停電から数十分経過した後電源が復旧し、それから60秒経過した状態の4つの状態は全て通電時であり同条件であるが、状態遷移図を示す便宜上4つに分けている。
【0054】
通電中はGPI端子がLow、GPI端子がHigh、ADC端子が3.8V以上である。通電中に停電すると、GPI端子がLow→Highに変化し、(1)通常通電時から(2)停電直後に遷移する。(2)停電直後にLast Gasp動作が行なわれるが、その前に停電から復旧すると、GPI端子がHigh→Lowに変化し、(2)停電直後から(3)停電直後に電源が復旧した状態に遷移する。
【0055】
(2)停電直後にLast Gasp動作が行なわれ、数分経過すると、ADC端子が1.0V〜3.8Vとなり、(2)停電直後から(4)停電から数分経過した状態に遷移する。この状態で停電から復旧すると、GPI端子がHigh→Lowに変化し、(4)停電から数分経過した状態から(5)停電から数分経過した後電源が復旧した状態に遷移する。
【0056】
(4)停電から数分経過した状態からさらに数十分経過すると、ADC端子が1.0V以下、GPI端子がHigh→Lowとなり、(4)停電から数分経過した状態から(5)停電から数十分経過した状態に遷移する。この状態で停電から復旧すると、パワーオンリセット(POR)動作が実行され、(5)停電から数十分経過した状態から(7)停電から数十分経過した後電源が復旧した状態(システム起動中)に遷移する。システム起動中はADC端子は1.0V〜3.8Vとなり、GPI端子がLow→Highに変化する。
【0057】
システム起動から60秒経過すると、(8)停電から数十分経過した後電源が復旧し、それから60秒経過した状態に遷移し、ADC端子は3.8V以上となる。
【0058】
図9はタンパー検出・再装着検出時の状態遷移図を示す。図10は、図9の各状態の定義を示す。図9では、状態を次の8つの状態に分ける。(1)通信ハブが電力量計へ装着されている状態、(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態、(3)取り外し直後に通信ハブが電力量計へ再装着された状態、(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態、(5)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態、(6-1)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分経過した状態(スーパーキャパシタ26、28の残容量は十分ある)、(6-2)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態(スーパーキャパシタ26、28の残容量は殆ど無い)、(7)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分もしくは数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態、(8)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着され、さらに60秒過した状態。
【0059】
(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態と、(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態はどちらもスーパーキャパシタ26、28の残容量が残っている状態であるが、Vsysの電圧レベルが判定閾値を下回る場合と下回らない場合がある。
【0060】
(1)通信ハブが電力量計へ装着されている状態、(3)取り外し直後に通信ハブが電力量計へ再装着された状態、(5)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態、(8)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着され、さらに60秒過した状態の4つの状態は全て通信ハブの装着時であり同条件であるが、状態遷移図を示す便宜上4つに分けている。
【0061】
通信ハブが電力量計へ装着されている状態では、GPI端子がLow、GPI端子がHigh、ADC端子が3.8V以上である。通信ハブが電力量計から取り外されると、GPI端子がLow→High、GPI端子がHigh→Lowに変化し、(1)通信ハブが電力量計へ装着されている状態から(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態に遷移する。(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態でLast Gasp動作が行なわれるが、その前に再装着されると、GPI端子がHigh→Low、GPI端子がLow→Highに変化し、(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態から(3)取り外し直後に通信ハブが電力量計へ再装着された状態に遷移する。
【0062】
(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態でLast Gasp動作が行なわれ、数秒経過すると、GPI端子がLow→Highに変化し、(2)通信ハブが電力量計から取り外された状態から(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態に遷移する。この状態で再装着されると、GPI端子がHigh→Lowに変化し、(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態から(5)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態に遷移する。
【0063】
(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態からさらに数分経過すると、ADC端子が1.0V〜3.8Vとなり、(4)通信ハブが電力量計から取り外されてから数秒経過した状態から(6-1)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分経過した状態(シャットダウン)(スーパーキャパシタ26、28の残容量は十分ある)に遷移する。この状態で再装着されると、パワーオンリセット動作が実行され、(6-1)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分経過した状態から(7)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分もしくは数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態(システム起動中)に遷移する。システム起動中はADC端子は1.0V〜3.8Vとなり、GPI端子がLow→Highに変化する。
【0064】
システム起動から60秒経過すると、(8)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着され、さらに60秒過した状態に遷移し、ADC端子は3.8V以上となる。
【0065】
(6-1)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分経過した状態(シャットダウン)からさらに数十分経過すると、ADC端子は1.0V以下、GPI端子はHigh→Lowとなり、(6-2)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態(スーパーキャパシタ26、28の残容量は殆ど無い)に遷移する。この状態で再装着されると、パワーオンリセット動作が実行され、(6-2)通信ハブが電力量計から取り外されてから数十分経過した状態から(7)通信ハブが電力量計から取り外されてから数分もしくは数十分経過した状態から通信ハブが電力量計へ再装着された状態(システム起動中)に遷移する。
【0066】
以上説明したように、実施例によれば、電力量計10から出力される直流電圧がトランス22を介して通信機器の電源電圧とされる。電力量計内で、タンパー検出端子MT_PRはプルダウン抵抗を介して接地ラインに接続される。通信機器は、直流電圧で動作するフォトカプラ56の出力を受けるGPI端子と、タンパー検出端子MT_PRの電圧で動作するフォトカプラ68の出力を受けるGPI端子と、トランスの出力電圧を受けるADC端子とを有する。フォトカプラ68の1次側には電力量計から出力される直流電圧が充電されるキャパシタ62が接続される。トランスの出力にはその出力電圧が充電されるスーパーキャパシタ26、28が接続される。
【0067】
停電発生時も通信ハブの取り外し時も、電力量計10から出力される直流電圧が途絶える。しかし、停電時は直流電圧は徐々に低下し、取り外し時は直流電圧は直ちにLowとなる。
【0068】
GPI端子のLow→Highの変化をトリガとして停電か否かを判定する。具体的には、GPI端子がHighであることを所定回数検出すると、停電の発生を検出する。その後、GPI端子のHigh→Lowの変化あるいはパワーオンリセットから一定時間経過をトリガとして電源が復旧されたか否かを判定する。具体的には、GPI端子がLowであり、ADC端子がHighであることを所定回数検出すると、停電からの復旧を検出する。
【0069】
GPI端子のHigh→Lowの変化をトリガとして取り外されたか否かを判定する。具体的には、GPI端子がHighであることを所定回数検出すると、取り外しを検出する。その後、GPI端子のHigh→Lowの変化あるいはパワーオンリセットから一定時間経過をトリガとして再装着か否かを判定する。具体的には、GPI端子がLowであり、GPI端子がHighであり、ADC端子がHighであることを所定回数検出すると、再装着を検出する。
【0070】
通信ハブにおいて、停電発生時と通信ハブ取り外し時(タンパー時)の両方の状況で電力量計からの電力供給が停止する。停電発生時とタンパー時を識別する為には、タンパー検出端子が取り外しと同時にLow→Highへ変化(GPI端子がHigh→Lowへ変化)しなければならないが、トランスの1次側の電圧は電力量計からの電圧の供給が途絶えると、電源が存在しないので、タンパー検出端子が変化できない。しかし、実施例では、タンパー検出端子MT_PRの電圧で動作するフォトカプラ68の1次側には電力量計から出力される直流電圧が充電されるキャパシタ62が接続されるので、電力量計からの電圧の供給が途絶えてもタンパー検出端子をLow→Highへ変化させることができる。これにより、電力量計から出力される直流電圧が途絶えた場合、原因が停電なのか通信ハブの取り外しなのかを識別することができる。
【0071】
図11は変形例の回路図である。図1では、抵抗66、14を介してDC12Vラインからライブラインへの電流経路が常時存在し、消費電力が問題となる場合がある。この電流を減らすことが出来る変形例を図11に示す。フォトカプラ68に直列にMOSFET94が接続される。MOSFET94の一端は、フォトカプラ68のLEDのカソードに接続され、他端はライブラインに接続される。抵抗66と抵抗14との接続点がMOSFET94のゲートに接続される。フォトカプラ68のLEDのアノードは抵抗92を介して抵抗66とダイオード64との接続点に接続される。抵抗66の抵抗値は図1では500Ωであったが、図11では10kΩとすることができる。抵抗14の抵抗値は図1と同じく10Ωである。図11で追加された抵抗92の抵抗値は1kΩである。このようにMOEFET94をフォトカプラ68に接続することにより、DC12Vラインからライブラインへの電流経路中の抵抗66の抵抗値を高くすることが出来、DC12Vラインからライブラインへ流れる電流値を小さくすることができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、各信号のHigh、Lowのレベルは上記の逆でも良く、その場合は検出する変化も逆にすればよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…電力量計、14…プルダウン抵抗、16…ジグビーデバイス、22…トランス、30…アップコンバータ、32…2G/3Gデバイス、38…ジグビーデバイス、48…RFメッシュデバイス、56,68…フォトカプラ、94…MOSFET。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11