(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非水性媒体がエタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、トルエン、酢酸ブチル、酢酸プロピル及びそれらの混合物より成る群から選ばれる請求項1〜8のいずれかに従う分散系。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な記述
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に可能なすべての変形、例えばこれらに限られないがメチル;エチル;3個の炭素原子に関して:n−プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子に関して:n−ブチル、イソブチル及び第3級ブチル;5個の炭素原子に関して:n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチル−ブチルなどを意味する。
【0012】
「アルコキシ」という用語は、アルコキシ基中の炭素原子のそれぞれの数に可能なすべての変形、例えばこれらに限られないがメトキシ;エトキシ;3個の炭素原子に関して:n−プロポキシ及びイソプロポキシ;4個の炭素原子に関して:n−ブトキシ、イソブトキシ及び第3級ブトキシなどを意味する。
【0013】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換アルキル基は、好ましくはC
1−C
6アルキル基である。
【0014】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換アルケニル基は、好ましくはC
1−C
6アルケニル基である。
【0015】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換アルキニル基は、好ましくはC
1−C
6アルキニル基である。
【0016】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換アラルキル基は、好ましくは1、2、3個又はそれより多いC
1−C
6アルキル基を含むフェニル又はナフチル基である。
【0017】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換アリール基は、好ましくはフェニル基又はナフチル基である。
【0018】
他にことわらなければ、置換もしくは非置換ヘテロアリール基は、好ましくは1、2又は3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子又はそれらの組み合わせにより置換された5−もしくは6員環である。
【0019】
例えば置換されたアルキル基における「置換された」という用語は、アルキル基が通常そのような基中に存在する原子、すなわち炭素及び水素以外の他の原子により置換され得ることを意味する。例えば置換されたアルキル基はハロゲン原子又はチオール基を含むことができる。置換されないアルキル基は炭素原子及び水素原子のみを含有する。
【0020】
他にことわらなければ、置換されたアルキル基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換されたアリール、置換されたヘテロアリール及び置換された複素環式基は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、1−イソブチル、2−イソブチル及び第3級ブチル、酸、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、−Cl、−Br、−I、−OH、−SH、−CN、COOH及び−NO
2より成る群から選ばれる1個もしくはそれより多い置換基により置換されている。
【0021】
本明細書で用いられる「凍結乾燥」という用語は、物質を最初に凍結させ、次いで棚の温度が凍結乾燥器中の大気温度に等しくなるまで、最初に昇華により(=一次乾燥プロセス)及び次いで脱着により(=二次乾燥プロセス)溶媒(一般的に水)の量を減少させる凍結乾燥法を意味する。凍結乾燥法は、氷のような固体材料が適した条件下で昇華する(液相を通過しないで気体に直接変化する)能力により可能になる。
【0022】
本明細書で用いられる「酸感受性官能基」という用語は、酸媒体中で例えば水と反応する官能基を意味する。
【0023】
導電性ポリマー及びポリアニオンの非水性分散系
本発明に従う非水性媒体中の導電性ポリマー及びポリアニオンの分散系は、ケタール、アセタール、アミナール、ヘミケタール、ヘミアセタール、ヘミアミナール、チオアセタール、アミドアセタール、オルトエステル、オルトエーテル、エノールエステル、エノールエーテル及びエノールアミンより成る群から選ばれる酸感受性官能基を有する化合物をさらに含む。
【0024】
分散系はさらに、分散系の安定性を最適化するための成分、例えば界面活性剤及び/又は分散剤あるいは分散系が用いられる用途に応じてその性質を最適化するための成分を含むことができる。
【0025】
分散系は、分散系の合計重量に対して2.0重量%より少ない、好ましくは1.0重量%より少ない、より好ましくは0.1重量%より少ない、最も好ましくは0.01重量%より少ない水を含有する。そのような分散系は実質的に無水の分散系とも呼ばれる。
【0026】
酸感受性官能基を有する化合物
酸感受性官能基を有する化合物は、ケタール、アセタール、アミナール、ヘミケタール、ヘミアセタール、ヘミアミナール、チオアセタール、アミドアセタール、オルトエステル、オルトエーテル、エノールエステル、エノールエーテル及びエノールアミンより成る群から選ばれる。
【0027】
酸感受性官能基を有する化合物は、好ましくはケタール、アセタール及びオルトエステルより成る群から選ばれる。
【0028】
特に好ましい酸感受性官能基を有する化合物はオルトエステルである。
【0031】
[式中、
Ra、Rb、Rcは独立して置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換ヘテロアリール基又は置換もしくは非置換複素環式基を示し;
Rdは水素、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換ヘテロアリール基又は置換もしくは非置換複素環式基を示すか;あるいは
RaはRb又はRcと一緒になって置換もしくは非置換環を形成するのに必要な原子を示すことができるか;あるいは
RbはRcと一緒になって置換もしくは非置換環を形成するのに必要な原子を示すことができるか;あるいは
RdはRa、Rb又はRcと一緒になって置換もしくは非置換環を形成するのに必要な原子を示すことができる]
に従うものである。
【0032】
好ましくは、Ra、Rb、Rc及びRdは置換もしくは非置換C1−C6アルキル基である。
【0033】
非常に好ましい式Iに従うオルトエステルは、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリメチル及びオルトプロピオン酸トリエチルである。
【0034】
本発明において用いられ得るオルトエステルの別の例は、式II
【0036】
[式中、Rdは式Iにおけると同じ意味を有する]
に従うものである。
【0037】
式IIに従う化合物は、「OBO保護基」(4−メチル−2,6,7−トリオキサ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル)を含んでなる化合物と呼ばれ、それはルイス酸の存在下における活性化カルボン酸への(3−メチルオキセタン−3−イル)メタノールの作用により形成され、Elias James Coreyにより開発された。
【0038】
酸感受性官能基を有する化合物の量は、好ましくは分散系中に存在する実質的にすべての水を除去するのに十分である。より好ましくは、分散系中に存在する水に対して過剰な酸感受性官能基を有する化合物を用いる。酸感受性官能基を有する化合物の量は、好ましくは分散系の合計重量に対して0.5〜5重量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%である。
【0039】
好ましくは、水と反応すると穏やかな温度で除去され得る揮発性化合物、例えばアルコール、エステル又はケトンを生成する酸感受性官能基を有する化合物が用いられる。好ましくは、酸感受性官能基を有する化合物及びそれらの反応生成物の両方は、分散系が用いられる装置の劣った性質を生ずる汚染を避けるために、そのような装置の製造の間に穏やかな温度で実質的に除去され得る。
【0040】
酸感受性官能基を有する化合物及びそれらの反応生成物は、好ましくは大気圧において200℃より低い、より好ましくは150℃より低い、最も好ましくは100℃より低い沸点を有する。好ましい反応生成物は、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル又はアセトンである。例えばオルト酢酸トリエチルは、水と反応するとエタノール及び酢酸エチルを生成し;2,2−ジメトキシプロパンは水と反応するとアセトン及びメタノールを生成する。
【0041】
好ましくは、酸感受性官能基を有する化合物及びその反応生成物は、導電性分散系から得られるコーティングの性能に実質的に影響しない。化合物は、好ましくはそのようなコーティングの導電率、曇り度(HAZE)又は可視透過率のような光学的性質又は物理的及び化学的性質に不利に影響しない。
【0042】
ポリアニオン
本発明の凍結乾燥された組成物中における使用に適したポリアニオンの例は、欧州特許第A 440957号明細書に開示されているものである。これらのポリアニオンを、例えばポリ酸から形成するか、あるいは対応するポリ酸の塩、例えばアルカリ塩として加えることができる。
【0043】
本発明の好ましい態様において、ポリアニオンは高分子カルボン酸、例えばポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)及びポリ(マレイン酸)のアニオンあるいは高分子スルホン酸、例えばポリ(スチレンスルホン酸)又はポリ(ビニルスルホン酸)のアニオンで
ある。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸は、ビニルカルボン酸及び/又はビニルスルホン酸と他の重合可能なモノマー、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレンとのコポリマーであることもできる。
【0044】
本発明のより好ましい態様において、ポリアニオンはポリ(スチレンスルホン酸)又はスチレンとのそのコポリマーのアニオンである。本発明の最も好ましい態様において、ポリアニオンはポリ(スチレンスルホネート)である。
【0045】
これらのポリアニオン生成ポリ酸の分子量は、好ましくは1000〜2x10
6g/モルかもしくはそれより高く、より好ましくは2000〜5x10
5g/モルである。
【0046】
これらのポリ酸又はそれらのアルカリ塩は商業的に入手可能であり、既知の方法に従って、例えばHouben−Weyl,Methoden der Organische
Chemie,Bd.E20 Makromolekulare Stoffe,Teil 2,(1987),pp.1141に記載されている通りに製造され得る。
【0047】
置換もしくは非置換チオフェンのポリマー又はコポリマー
用いられ得る導電性ポリマーは、例えばConducting Polymers,Fundamentals and Applications:A Practical
Approach(Prasanna Chandrasekhar)、Conducting Polymers:A New era in Electrochemistry(Gyoergy Inzelt)、Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers:Conductive polymers:synthesis and electrical properties(Hari Singh Nalwa)、Conjugated Polymers:Theory,Synthesis,Properties, and
Characterization(Terje A.Skotheim,John Reynolds)、PEDOT:Principles and Applications of an Intrinsically Conductive Polymer(Andreas Elschner et al.)に開示されている。
【0048】
そのような導電性ポリマーの例はポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレンである。
【0049】
導電性ポリマーは、好ましくは置換もしくは非置換チオフェンのポリマーもしくはコポリマーである。
【0050】
本発明の態様に従うと、チオフェンは3−又は4位の少なくとも1つにおいて、場合により置換されていることができるC
1-10アルコキシ基、場合により置換されていることができるC
1-10アルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から選ばれる置換基で置換されているか、あるいは3−及び4位は場合により置換されていることができるオキシ−C
1-4アルキレン−オキシ基と連結している。
【0051】
前記のアルキル、オキシ−アルキレン−オキシ、シクロアルキレン及びアルキレン基は置換されていないことができるか、あるいは場合によりフェニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ニトロ、シアノ及びヒドロキシより成る群から独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていることができる。
【0052】
前記のアルコキシ基は置換されていないことができるか、あるいは場合によりフェニル
、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、シアノ及びヒドロキシより成る群から独立して選ばれる1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていることができる。
【0053】
本発明の好ましい態様において、置換チオフェンのポリマーは式III
【0055】
[式中、
1<n
<10000であり;
R
1及びR
2は独立して水素、置換もしくは非置換C1−C4アルキル基を示すか、あるいは一緒になって置換もしくは非置換C1−C4アルキレン基又は置換もしくは非置換C3−C10シクロアルキレン基を形成する]
により示される。
【0056】
好ましい態様において、2<n
<5000である。
【0057】
別の好ましい態様において、R1及びR2は独立して非置換エチレン基、非置換メチレン基、場合によりアルキル置換されていることができるメチレン基、場合によりC
1-12アルキル−もしくはフェニル置換されていることができるエチレン基、非置換1,3−プロピレン基又は非置換1,2−シクロヘキシレン基を示す。
【0058】
本発明の別の態様において、置換チオフェンのポリマーもしくはコポリマーは、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン誘導体、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エレチンジオキシチオフェ誘導体、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン誘導体、3,4−ブチレンジオキシチオフェン及び3,4−ブチレンジオキシチオフェン誘導体ならびにそれらとのコポリマーより成る群から選ばれる、2個のアルコキシ基が一緒になって場合により置換されていることができるオキシ−アルキレン−オキシ架橋を形成する3,4−ジアルコキシ−チオフェンのポリマー又はコポリマーである。
【0059】
本発明のさらに別の態様において、置換チオフェンのポリマー又はコポリマーは、2個のアルコキシ基が一緒になって、アルキル、アルコキシ、アルキルオキシアルキル、カルボキシ、アルキルスルホナト及びカルボキシエステル基より成る群から選ばれる置換基で置換されたオキシ−アルキレン−オキシ架橋を形成する3,4−ジアルコキシ−チオフェンのポリマー又はコポリマーである。
【0060】
本発明のさらに別の態様において、置換チオフェンのポリマーは、2個のアルコキシ基が一緒になって場合により置換されていることができるオキシ−アルキレン−オキシ架橋を形成するポリ(3,4−ジアルコキシ−チオフェン)であり、場合により置換されてい
ることができるオキシ−アルキレン−オキシ架橋は非置換1,2−エチレン基、非置換メチレン基、場合によりアルキル置換されていることができるメチレン基、場合によりC1−12アルキル−もしくはフェニル置換されていることができる1,2−エチレン基、非置換1,3−プロピレン基又は非置換1,2−シクロヘキシレン基である。
【0061】
そのようなポリマーは、Handbook of Oligo− and Polythiophenes Edited by D.Fichou,Wiley−VCH,Weinheim(1999)において;L.Groenendaal et al.によりAdvanced Materials,volume 12,pages 481−494(2000)において;L.J.Kloeppner et al.によりPolymer Preprints,volume 40(2),pages 792(1999)において;P.Schottland et al.によりSynthetic Metals,volume 101,pages 7−8(1999)において;ならびにD.M.Welsh et al.によりPolymer Preprints,volume 38(2),pages 320(1997)において開示されている。
【0062】
界面活性剤及び/又は分散剤
界面活性剤は、好ましくはアニオン性又は非イオン性である。
【0063】
好ましい界面活性剤は、例えば国際公開第2002/00759号パンフレットに開示されているもの、特にMARLON(商標) A365、AKYPO(商標)、ARKOPAL(商標) N060、ZONYL(商標)FSO、HOSTAPAL(商標) B、ARKOPON(商標)、MERSOLAT(商標)又はCAPSTONE(登録商標)である。
【0064】
他の好ましい界面活性剤は、Dow Chemicalsから商品名TRITON(登録商標) Xの下に入手可能なもの、Air Productsから商品名DYNOL(商標)の下に入手可能なものならびにChemguardからのフルオロ界面活性剤及びSynperonic(登録商標)である。
【0065】
好ましい分散剤は、例えば日本特許第2012−132026号明細書に開示されているようなポリオキシエチレンアルキルアミンである。特に好ましいのは、Akzo Nobelから商品名Ethomeen(商標)の下に商業的に入手可能なエトキシル化アミン、例えばEthomeen C/12、Ethomeen C/25、Ethomeen T/12、Ethomeen S/12などである。
【0066】
他の好ましい分散剤は、Dow Chemicalsから商品名Dowanol(商標)の下に商業的に入手可能な親水性グリコールエーテル、例えばDowanol EPhである。他の好ましい分散剤は、Dysperbyk(登録商標)、Ethylan(商標)、Solsperse(商標)、Tilosperse(商標)、Servoxyl(商標)、Surfynol(商標)、Hypermer(商標)、Sokolan(商標)又はLupasol(商標)分散剤である。
【0067】
非水性媒体
非水性媒体は、好ましくはアルコール、エステル、ケトン、アルデヒド、エーテル又はそれらの混合物から選ばれる。
【0068】
非水性媒体は、好ましくはエタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、トルエン、酢酸ブチル、酢酸プロピル及びそれらの混合物より成る群から選ばれる。
【0069】
他の成分
分散系は、分散系が用いられるであろう用途に依存して他の成分をさらに含むことができる。
【0070】
例えば基材上に分散系を適用するために用いられる方法、すなわちコーティング及び/又は印刷法に分散系の粘度を適合させることができる。
【0071】
スクリーン印刷インキとして用いられる場合、粘度は好ましくは3000〜400000mPa.s、より好ましくは5000〜100000mPa.s、最も好ましくは10000〜50000mpa.sである。
【0072】
フレキソグラフィー又はグラビアインキとして用いられる場合、粘度は好ましくは50〜3000mPa.s、より好ましくは200〜1000mPa.s、最も好ましくは300〜500mPa.sである。
【0073】
インキジェットインキとして用いられる場合、粘度は好ましくは1〜50mPa.s、より好ましくは5〜30mPa.s、最も好ましくは7〜15mPa.sである。
【0074】
上記で言及した粘度は、20〜25℃の温度において1/秒のせん断速度で測定される(例えばTexas InstrumentsからのAR2000レオメーターを用いて)。
【0075】
結合剤及び/又は増粘剤を加えることにより、粘度を最適化することができる。用いられ得る結合剤はポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、シリコーン、エポキシ樹脂、スチレン/アクリレートコポリマー、酢酸ビニル/アクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール及びセルロースである。
【0076】
特に好ましい結合剤は、Lubrizolからのアクリル酸とエチルアクリレートのコポリマーのラテックスであるCarbopol(登録商標) Aqua 30;HerculesからのヒドロキシプロピルセルロースであるKlucel(登録商標) L又はBayerからのポリエステルウレタンコポリマー分散系であるDispercoll(商標) U VP KA 8481である。
【0077】
分散系は導電率強化剤を含むこともできる。
【0078】
適した導電率強化剤は直鎖状、分枝鎖状もしくは環状脂肪族C
2-20炭化水素又は非置換もしくは置換芳香族C
6-14炭化水素、好ましくは非置換もしくは置換芳香族C
6,10モシクハ
14炭化水素あるいはピラン又はフランであり、該導電率強化剤は少なくとも2個のヒドロキシ基又は少なくとも1個の−C(=O)−X又は−C(=O)−NYZ基を含んでなり、ここでXは−OHを示し、Y及びZは互いに独立してそれぞれH又はアルキルを示すか;あるいは適した導電率強化剤は少なくとも1個のラクタム基を含有する複素環式化合物である。
【0079】
好ましい導電率強化剤は、例えばN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、N,N,N,N’−テトラメチルウレア、ホルムア
ミド、ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドである。好ましい例は糖及び糖誘導体、例えばアラビノース、サッカロース、グルコース、フルクトース及びラクトース又はジ−もしくはポリアルコール、例えばソルビトール、キシリトール、マンニトール、マンノース、ガラクトース、ソルボース、グルコン酸、エチレングリコール、ジ−もしくはトリ(エチレングリコール)、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパン−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールあるいは芳香族ジ−もしくはポリアルコール、例えばレゾルシノールである。
【0080】
本発明に従う凍結乾燥された組成物、インキ又は水性もしくは有機溶媒溶液もしくは分散系中における使用のために特に好ましい導電率強化剤は:N−メチル−ピロリジノン及びジエチレングリコールである。
【0081】
分散系は、分散系を用いて得られるコーティング又はパターンの種々の基材上における接着を最適化するために、接着促進化合物も含むことができる。好ましい接着促進化合物は有機シラン化合物、特にアルコキシシラン化合物、例えばすべてDow Corningから入手可能なメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン又はグリシドキシプロピルトリメチルオキシシランである。
【0082】
置換もしくは非置換チオフェンのポリマーもしくはコポリマーの製造
上記のポリチオフェンを、好ましくは上記のポリアニオンの存在下で製造する。そのような好ましい製造方法は欧州特許第A−440 957号明細書及び対応する米国特許第5300575号明細書に記載されている。
【0083】
基本的にポリチオフェンの製造は、高分子ポリアニオン化合物、例えばポリスチレンスルホン酸の存在下で、式IV:
【0085】
[式中、R1及びR2は式III中のR1及びR2と同じ意味を有する]
に従う3,4−ジアルコキシチオフェン又は3,4−アルキレン−ジオキシチオフェンの酸化重合により進行し得る。
【0086】
導電性ポリマー及びポリアニオンの凍結乾燥された組成物の調製
好ましくは置換もしくは非置換チオフェンのポリマーもしくはコポリマー及びポリアニオンを含んでなる凍結乾燥された組成物から出発して分散系を調製する。
【0087】
好ましい凍結乾燥法は欧州特許第A 1309646号明細書に開示されている。
【0088】
生成物の凍結乾燥における第1段階は、それを凍結状態に転換することである。凍結プ
ロセスの間に溶媒(例えば水)を好ましくは結晶化させる。水の場合、氷結晶の形成は溶質及び溶媒の分離を生ずる。次いで真空条件下における昇華により氷結晶を除去する。昇華又は一次乾燥プロセスは凍結マトリックスからほとんどの水を除去するが、まだ実質的な量、例えば5重量%より多い水が凍結乾燥された組成物中に存在し得る。その残りの水を脱着により除去することができる。室温で凍結乾燥された生成物は、典型的には15〜20重量%の含水率を有する。110℃における真空乾燥棚及び110℃における乾燥棚における凍結乾燥された生成物のさらなる乾燥は、分散させるのがより困難な生成物を生じ得る。
【0089】
凍結乾燥された組成物は乾燥、スポンジ状、羊毛状粉末、濃厚分散系又はペーストの形態で存在し得る。特に好ましい態様において、凍結乾燥された組成物はペレットとして存在する。
【0090】
凍結乾燥された組成物は、導電性ポリマー及びポリアニオンの他に界面活性剤及び/又は分散剤を含有することができる。
【0091】
導電性ポリマー及びポリアニオンの分散系の調製方法
導電性ポリマー及びポリアニオンの実質的に無水の分散系の本発明に従う調製方法は:−導電性ポリマー及びポリアニオンを含んでなる凍結乾燥された組成物を非水性媒体中に再分散させ;
−ケタール、アセタール、アミナール、ヘミケタール、ヘミアセタール、ヘミアミナール、チオアセタール、アミドアセタール、オルトエステル、オルトエーテル、エノールエステル、エノールエーテル及びエノールアミンより成る群から選ばれる酸感受性官能基を有する化合物を加える
段階を含む。
【0092】
好ましくは、上記の界面活性剤及び/又は分散剤も加えて分散系を調製する。界面活性剤及び/又は分散剤の量は、好ましくは分散系の合計重量に対して0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%、最も好ましくは0.5〜2.5重量%である。
【0093】
導電性ポリマー及びポリアニオンを含んでなる凍結乾燥された組成物の量は、分散系の合計重量に対して好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%、最も好ましくは0.5〜2.5重量%である。
【0094】
非水性分散系の調製のために、周知の分散方法及び装置を用いることができる。Disperluxからの溶解機、IKAからのUltra−Turrax(登録商標)系を用いて優れた結果、すなわち均一な分散系が得られた。
【0095】
均一な非水性分散系を得るためにボールミル及びビーズミル装置も用いることができる。Microfluidicsからのmicrofluidizer(登録商標)を用いてやはり優れたが得られた。
【0096】
酸感受性官能基を有する化合物の量を最適化するために、凍結乾燥された組成物中又は再分散された凍結乾燥された組成物中に存在する水の量を決定することができる。好ましくは、分散系中に存在する水に対して過剰の酸感受性官能基を有する化合物を用いる。
【0097】
酸感受性官能基を有する化合物の量は、分散系の合計重量に対して好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%である。
【0098】
導電性層又はパターン
本発明に従う分散系を基材上に適用することにより、導電性層又はパターンを得ることができる。
【0099】
導電性層又はパターンは、上記で定義された分散系を基材上に適用する段階及び続く乾燥段階を含んでなる方法により調製される。
【0100】
インキジェット印刷により、あるいはフレキソグラフィー、オフセット、グラビア又はスクリーン印刷のようないずれかの通常の印刷法により、あるいは噴霧コーティング、ブレードコーティング又はスロットダイコーティングのようないずれかの通常のコーティング法により、導電性層又はパターンを適用することができる。
【0101】
導電性層又はパターンを、例えばOLED、OPV、色素増感太陽電池(Dye Sensitized Solar Cells(DSSC))又はペロブスカイト(Perovskites)に基づく太陽電池のような種々の電子装置又はそのような電子装置の部品において用いることができる。
【実施例】
【0102】
材料
以下の実施例中で用いられるすべての材料は、他にことわらなければALDRICH CHEMICAL Co.(ベルギー)及びACROS(ベルギー)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いられた水は脱イオン水であった。
Ethomeen C25:AKZO NOBELから商業的に入手可能。
Orgacon Dry Pellets:Agfa Gevaert NVから商業的に入手可能。
Hydranal(登録商標) Composite 5:Sigma−Aldrichから商業的に入手可能。
DMP:Sigma−Aldrichから商業的に入手可能な2,2−ジメトキシプロパン。
TEOA:Sigma−Aldrichから商業的に入手可能なオルト酢酸トリエチル。TMOA:Sigma−Aldrichから商業的に入手可能なオルト酢酸トリメチル。
【0103】
測定方法
含水率の決定
分散系の含水率の決定のために、容積測定カールフィッシャー滴定(volumetric Karl Fischer titration)を用いた。カールフィッシャー試薬としてHydranal(登録商標) Composite 5を用いた。
【0104】
SERの決定
2点プローブ法を用いて表面抵抗SERを測定した。
【0105】
曇り度(HAZE)の決定
Byk−GardnerからのHaze−Gardプラスにより、試料の曇り度(haziness)を測定した。
【0106】
可視光透過率(VLT)の決定
Byk−GardnerからのHaze−Gardプラスにより、試料の透過率を測定した。
【0107】
PEDT/PSS分散系DISP−01及びDISP−02の調製
392gのイソプロパノール(Acros,99+エクストラピュア(extra p
ure))をステンレススチールの容器中に入れた。続いて4gの高分子分散剤(ethomeen C25)を加え、完全に溶解するまで撹拌した。最後に混合物を撹拌しながら4gのOrgacon Dryペレットを加えた。得られる混合物を次いでDisperlux高せん断処理に30分間供した。最後に54分間Netzsch磨砕プロセスを介して仕上げ段階を行い、分散系DISP−01を与えた。
【0108】
室温において数分間の撹拌下で1.34gのTEOAを1.3gのDISP−01に加えることにより、DISP−02を調製した。
【0109】
上記の通りに測定されるDISP−01及びDISP−02の含水率を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
表1から、本発明に従う酸感受性官能基を有する化合物、例えばオルト酢酸トリエチルの添加が、非−水性媒体中のPEDOT/PSSの実質的に無水の分散系を生ずることが明らかである。
【0112】
PEDT/PSS分散系DISP−03及びDISP−11の調製
最初に容器中の100gのDISP−01を介してN
2を30分間泡立てることにより、DISP−03〜DISP−11を調製した。次いで表2の化合物を加えた後、容器を密閉し、得られる分散系をさらに60分間撹拌した。
【0113】
次いでバーコーターを用い、分散系を(下塗りされた)PET支持体(厚さ=125μm)上に40μmの湿潤コーティング厚さでコーティングし、130℃で6分間乾燥した。
【0114】
上記の通りに測定されるVLT、HAZE及びSERを表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
表2に示される結果から、PEDOT/PSSの非−水性分散系への本発明に従う酸感受性官能基を有する化合物の添加は、分散系を用いて得られるコーティングの電気的及び光学的性質に有意に負の影響を有していないことが明らかである。