特許第6383107号(P6383107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383107
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】関節運動アシストシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20180820BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B25J11/00 Z
   B25J13/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-524298(P2017-524298)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】JP2015067923
(87)【国際公開番号】WO2016207958
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2017年12月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502265286
【氏名又は名称】山本 圭治郎
(73)【特許権者】
【識別番号】508013766
【氏名又は名称】桑原 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭治郎
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−008107(JP,A)
【文献】 特開2004−313409(JP,A)
【文献】 特開2005−001036(JP,A)
【文献】 特開2006−212257(JP,A)
【文献】 特開2007−303642(JP,A)
【文献】 特開2014−021828(JP,A)
【文献】 山本 圭治郎,空気圧による柔らかいパワーアシスト,”ユーザー側とモノ作り側の架け橋のために”,日本,国立障害者リハビリテーションセンター,2013年 9月 4日,p.1-2,URL,http://www.rehab.go.jp/ri/event/assist/top.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 11/00−15/08
F16K 11/07
G05D 23/19
A61B 5/0245
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムであって、
前記第1対象物に装着されるスレーブ装置と;
マスタ装置と;
前記スレーブ装置及び前記マスタ装置に取り付けられる配管と;
前記マスタ装置に接続され、作動流体の強制的供給を行うとともに、前記作動流体の強制的排出を行う給排装置と;を備え、
前記スレーブ装置は、前記第1対象物における関節運動をアシストすべき関節ごとに用意され、前記関節の回動運動の回動軸に対して垂直方向の関節部分に配置された場合に、前記関節運動をアシストする力を発生させる伸縮自在なベローズを備え、
前記マスタ装置は、前記配管を介して、前記ベローズ内への前記作動流体の供給、及び、前記ベローズ内からの前記作動流体の排出の切替を行う流体給排切替装置を備え、
前記流体給排切替装置は、前記流体給排切替装置の本体部に対して往復運動可能なロッド状の操作部を有し、
前記本体部は、
シリンダと;
前記シリンダのシリンダ室内を往復運動するピストンと;
前記ピストンに一方の端部が連結され、前記ピストンとともに往復直線運動する環状溝が形成されたスプールと;を備え、
前記シリンダには、
前記給排装置から前記作動流体を取り入れる第1供給用ポートと;
前記給排装置に前記作動流体を排出する第1排出用ポートと;
前記配管を介して、前記ベローズ内への前記作動流体の供給を行う少なくとも1つの第2供給用ポートと;
前記配管を介して、前記ベローズ内からの前記作動流体の排出を行う少なくとも1つの第2排出用ポートと;が形成され、
前記操作部は、前記スプールの他方の端部に連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通して、前記ピストン及び前記スプールとともに往復直線運動し、
前記操作部の移動に対応した前記スプールの環状溝の位置に応じて、
前記第1供給用ポートと前記第2供給用ポートとが連通した際には、前記ベローズ内への前記作動流体の供給が行われ、
前記第1排出用ポートと前記第2排出用ポートとが連通した際には、前記ベローズ内からの作動流体の排出が行われて、
前記ベローズ内への前記作動流体の供給と前記ベローズ内からの前記作動流体の排出との切替が行われ、
前記ピストンは、前記ピストンにより仕切られ、前記スプールが連結されている一方のシリンダ室とは反対側の他方のシリンダ室側に付勢され、
前記ピストンの周面と前記シリンダ室の内周面との間には、間隙が形成され、
前記第1排出用ポートは、前記一方のシリンダ室及び前記他方のシリンダ室の双方と連通している、
ことを特徴とする関節運動アシストシステム。
【請求項2】
前記シリンダには、前記第1供給用ポートと連通している逃がし弁が形成され、前記第1供給用ポートから取り入れた過剰な作動流体が、前記逃がし弁を通じて、外部へ排出される、ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシストシステム。
【請求項3】
前記マスタ装置は、前記第1対象物と合同対称性、相似対称性及び左右対称性のいずれかの対称性を有する構造の第2対象物に装着される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の関節運動アシストシステム。
【請求項4】
前記第1対象物には、人体の一方の手部における手指の少なくとも1つが含まれ、
前記第2対象物には、前記人体の他方の手部における手指の少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項3に記載の関節運動アシストシステム。
【請求項5】
前記第1対象物には、人体の一方の手部における手指の少なくとも1つが含まれ、
前記第2対象物には、前記人体とは異なる人体の手部における手指の少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項3に記載の関節運動アシストシステム。
【請求項6】
前記マスタ装置は、前記操作部の端部に接続される可撓性の紐状部材を更に備え、
前記流体給排切替装置は、前記手部の手背に装着され、
前記紐状部材の端部は、前記手指の指先に装着され、
前記マスタ装置側の手指の関節が屈曲している状態では、前記関節が伸展している状態に比べて、前記本体部から突出する前記操作部の前記本体部からの距離が長くなる、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の関節運動アシストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節運動アシストシステムに係り、より詳しくは、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リハビリテーションに用いられる様々な装置が提案されている。こうした装置の中には、理学療法士等に代って、患者の基本的動作の機能の回復を図るための治療体操・運動をアシストするものがある。
【0003】
かかる患者の運動をアシストする装置の一つとして、脳梗塞などの中枢神経障害により手指が麻痺して拘縮してしまった場合等に、ベローズの伸縮を利用して、手指の関節運動をアシストする装置がある(特許文献1参照:以下、「従来例1」と呼ぶ)。かかる従来例1のように、ベローズを用いた関節運動アシスト装置は、モータ及びワイヤにより駆動するアクチュエータを用いる方式の装置よりも軽量であるため、実用性が高い。また、ベローズを用いた関節運動アシスト装置は、低圧力での駆動が可能であるため、ダイヤフラム式ポンプやベーン式ポンプなどの低振動、低騒音のポンプを使用することができる。こうした点からも、伸縮可能なベローズを用いた関節運動アシスト装置は、実用性が高いといえる。
【0004】
この従来例1の技術では、伸縮可能なベローズがアシスト対象となる関節に配置される。そして、当該ベローズの一方側端部に接続された一方側伝達部材が、アシスト対象となる関節に接続された一方側部位に装着される。また、当該ベローズの他方側端部に接続された他方側伝達部材が、アシスト対象となる関節に接続された他方側部位に装着される。こうした装着状態のもとで、ベローズからの空気の強制的排出が行われた場合には、ベローズが収縮することにより、関節屈曲状態から関節伸展状態へと変化する関節運動のアシストを行う。また、ベローズへの空気の強制的供給が行われた場合には、ベローズが膨張することにより、関節伸展状態から関節屈曲状態へと変化する関節運動のアシストを行うようになっている。
【0005】
この関節運動アシスト装置を動作させる方法の一つとして、当該関節運動アシスト装置をスレーブ装置とし、マスタ装置がスレーブ装置を遠隔操作するマスタ・スレーブ方式が考えられる。こうしたマスタ・スレーブ方式を採用する場合には、健常な手部にマスタ装置を装着し、マスタ装置を装着した手部の手指の動きを、スレーブ装置である関節運動アシスト装置がトレースする構成が考えられる。
【0006】
ここで、マスタ装置がスレーブ装置を遠隔操作する技術として、様々な技術が提案されている。かかる提案技術の一つとして、関節運動をアシストするためのものではないが、操作者がマスタ装置を操作し、スレーブ装置の動きを電子制御するものがある(特許文献2参照:以下、「従来例2」と呼ぶ)。この従来例2の技術では、マスタ操作入力装置の位置・姿勢を算出するための検出部から送られた検出結果に基づいて、マスタ制御部が、操作者が操作するマスタ操作入力装置の先端部分の位置・姿勢を算出する。そして、マスタ制御部は、算出したマスタ操作入力装置の先端部分の位置・姿勢をスレーブマニピュレータの先端部分の位置・姿勢の指令値としてマニピュレータ制御部に出力する。
【0007】
マニピュレータ制御部は、マスタ制御部から送られた位置・姿勢の指令値を受けると、スレーブマニピュレータの先端部分の位置・姿勢を、当該指令値に一致させるために必要なスレーブマニピュレータの各関節の駆動量を算出する。そして、マニピュレータ制御部は、算出した駆動量に従ってスレーブマニピュレータの各関節を駆動させるようになっている。
【0008】
この従来例2のマスタ・スレーブ方式の電子制御に関する技術を、従来例1の関節運動アシスト装置の技術に適用した場合、適用例の一例として、マスタ装置を装着する手部の手指の動きを検出する検出部を備える構成が採用できる。そして、かかる構成では、当該検出部による検出結果に基づき、マスタ装置側の手指が関節屈曲状態から関節伸展状態へと変化する際には、スレーブ装置側で、ベローズからの空気の強制的排出を行う電子制御を行う。また、かかる構成では、当該検出部による検出結果に基づき、マスタ装置側の手指が関節伸展状態から関節屈曲状態へと変化する際には、スレーブ装置側で、ベローズへの空気の強制的供給を行う電子制御を行う構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2011/043095号
【特許文献2】特開2012−171088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来例2の技術では、電子制御装置が、マスタ装置の姿勢・位置の検出結果に基づき、スレーブ装置の動きを制御している。この結果、従来例2の技術的思想を適用し、従来例1の関節運動アシスト装置をスレーブ装置として動作させる場合には、電子制御装置が必須の構成要素となる。
【0011】
ここで、関節運動アシストシステムにおいて、電子制御で関節運動アシスト装置を動作させる場合には、電子制御を行わない構成の場合と比べて、一般的に、関節運動アシストシステムの製造コストが高価なものとなりやすい。また、関節運動アシストシステムにおけるマスタ装置及びスレーブ装置は、人体等に装着するため、清掃、洗浄、除菌(殺菌)を行い、サニタリ性を向上させておく必要がある。しかしながら、電子部品は、一般に水に弱い。この結果、電子部品を有する関節運動アシストシステムでは、例えば、機械的制御によりスレーブ装置を制御する場合に比べて、メンテナンスに手間が掛かることがある。また、電子部品を有する関節運動アシストシステムでは、機械的制御によりスレーブ装置を制御する場合に比べて、故障が発生しやすい。
【0012】
このため、電子制御を行うことなく、マスタ・スレーブ方式により、スレーブ装置である関節運動アシスト装置を動作させることのできる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0013】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、電子制御を行わずに、関節運動アシスト装置を遠隔動作させ、関節運動を適切にアシストすることができる新たな関節運動アシストシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1対象物の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムであって、前記第1対象物に装着されるスレーブ装置と;マスタ装置と;前記スレーブ装置及び前記マスタ装置に取り付けられる配管と;前記マスタ装置に接続され、作動流体の強制的供給を行うとともに、前記作動流体の強制的排出を行う給排装置と;を備え、前記スレーブ装置は、前記第1対象物における関節運動をアシストすべき関節ごとに用意され、前記関節の回動運動の回動軸に対して垂直方向の関節部分に配置された場合に、前記関節運動をアシストする力を発生させる伸縮自在なベローズを備え、前記マスタ装置は、前記配管を介して、前記ベローズ内への前記作動流体の供給、及び、前記ベローズ内からの前記作動流体の排出の切替を行う流体給排切替装置を備え、前記流体給排切替装置は、前記流体給排切替装置の本体部に対して往復運動可能なロッド状の操作部を有し、前記本体部は、シリンダと;前記シリンダのシリンダ室内を往復運動するピストンと;前記ピストンに一方の端部が連結され、前記ピストンとともに往復直線運動する環状溝が形成されたスプールと;を備え、前記シリンダには、前記給排装置から前記作動流体を取り入れる第1供給用ポートと;前記給排装置に前記作動流体を排出する第1排出用ポートと;前記配管を介して、前記ベローズ内への前記作動流体の供給を行う少なくとも1つの第2供給用ポートと;前記配管を介して、前記ベローズ内からの前記作動流体の排出を行う少なくとも1つの第2排出用ポートと;が形成され、前記操作部は、前記スプールの他方の端部に連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通して、前記ピストン及び前記スプールとともに往復直線運動し、前記操作部の移動に対応した前記スプールの環状溝の位置に応じて、前記第1供給用ポートと前記第2供給用ポートとが連通した際には、前記ベローズ内への前記作動流体の供給が行われ、前記第1排出用ポートと前記第2排出用ポートとが連通した際には、前記ベローズ内からの作動流体の排出が行われて、前記ベローズ内への前記作動流体の供給と前記ベローズ内からの前記作動流体の排出との切替が行われ、前記ピストンは、前記ピストンにより仕切られ、前記スプールが連結されている一方のシリンダ室とは反対側の他方のシリンダ室側に付勢され、前記ピストンの周面と前記シリンダ室の内周面との間には、間隙が形成され、前記第1排出用ポートは、前記一方のシリンダ室及び前記他方のシリンダ室の双方と連通している、ことを特徴とする関節運動アシストシステムである。
【0015】
この関節運動アシストシステムでは、スレーブ装置が、第1対象物に装着される。そして、第1対象物にスレーブ装置が装着された場合に、関節運動をアシストすべき関節ごとに用意されたベローズが、対応する関節の回動運動の回動軸に対して垂直方向の関節部分に配置される。マスタ装置は、本体部と、当該本体部に対して往復運動可能なロッド状の操作部を有する流体給排切替装置を備えている。
当該操作部を移動させると、操作部に連結されたスプールが、シリンダ内を移動する。そして、シリンダ内でのスプールの環状溝の位置に応じて、シリンダに形成された第1供給用ポートと第2供給用ポートとが連通すると、給排装置から取り入れた作動流体が、第1供給用ポート、第2供給用ポート及び配管を介して、ベローズ内に供給される。こうして、ベローズ内へ作動流体が供給されると、ベローズが膨張する。この結果、ベローズの膨張行程により、ベローズが、関節運動をアシストする力を発生する。
また、シリンダ内でのスプールの環状溝の位置に応じて、シリンダに形成された第1排出用ポートと第2排出用ポートとが連通すると、ベローズ内の作動流体が、配管、第2排出用ポート及び第1排出用ポートを介して、給排装置に排出される。こうして、ベローズ内から作動流体が排出されると、ベローズが収縮する。この結果、ベローズの収縮行程により、ベローズが、関節運動をアシストする力を発生する。
このように、当該操作部の移動に応じて、マスタ装置が、配管を介して、スレーブ装置のベローズ内への作動流体の供給と、スレーブ装置のベローズ内からの作動流体の排出との切替を行う。この結果、ベローズの膨張行程及び収縮行程により、ベローズが、関節運動をアシストする力を発生する。このため、操作部を機械的に移動させる機械的制御を行うマスタ・スレーブ方式により、スレーブ装置である関節運動アシスト装置を遠隔動作させることができる。
ここで、本体部は、ピストンを、スプールが連結されている一方のシリンダ室とは反対側の他方のシリンダ室側に付勢させる構成を採用している。こうした構成を採用することにより、操作者が操作部を操作していないときには、ピストンは、当該ピストンにより仕切られたスプールが連結されていない側のシリンダ室側に付勢される。そして、かかる状態のときには、シリンダの一方の端部を貫通し、当該シリンダから突出している操作部を含んだ突出部分の長さが最短となる。このように突出部分の長さが最短となるときの操作部の位置を、操作部の定常位置とする。
マスタ装置の操作者が、定常位置の操作部を引っ張る(突出部分を長くする)操作を行うと、シリンダ内部を、操作部に連結されたロッド状のスプールが移動し、シリンダ内部でのスプールの環状溝の位置が変化する。こうした操作部を引っ張った(突出部分を長くした)状態から、マスタ装置の操作者が、操作部を放すと、操作部は、シリンダからの突出部分の長さが最短となる定常位置に戻る。そして、操作部が定常位置に戻るときに、シリンダ内部を、操作部に連結されたロッド状のスプールが移動し、シリンダ内部でのスプールの環状溝の位置が変化する。このため、操作部を引っ張る、及び、当該引っ張った操作部を放すという簡単な操作で、シリンダ内でのスプールの環状溝の位置を変化させることができる。
そして、ピストンを他方のシリンダ室側に付勢する際に、ピストンの周面とシリンダ室の内周面との間に間隙を形成し、第1排出用ポートを、シリンダ室と連通させている。こうした構成を採用することにより、一方のシリンダ室と他方のシリンダ室とで、作動流体圧が等しくなる。また、一方のシリンダ室内の作動流体及び他方のシリンダ室内の作動流体が、第1排出用ポートから排出される。
ここで、一方のシリンダ室を区画するピストンの一方の面には、スプールが連結されている。これに対して、他方のシリンダ室を区画するピストンの他方の面には、スプールが連結されていない。このため、当該他方の面の面積は、当該一方の面の面積に比べて広くなっている。この結果、ピストンの一方の面及び他方の面における受圧面積の違いから、ピストンが、シリンダの他方の端部の側に移動する。このため、ピストンを他方のシリンダ室側に付勢することができるようになっている。
【0016】
したがって、本発明の関節運動アシストシステムによれば、電子制御を行わずに、スレーブ装置である関節運動アシスト装置を遠隔動作させ、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0017】
なお、軽量の柔らかい樹脂製のベローズを構成要素とすれば、スレーブ装置の重さの軽量化を図ることができ、関節運動アシスト装置を装着する者の身体的負担を軽減させて、関節運動を、適切にアシストすることができる。
【0025】
本発明の関節運動アシストシステムでは、前記シリンダには、前記第1供給用ポートと連通している逃がし弁が形成され、前記第1供給用ポートから取り入れた過剰な作動流体が、前記逃がし弁を通じて、外部へ排出される、ようにすることができる。この場合には、本体部内の作動流体圧が適正に維持される。このため、関節運動をアシストする力を効率良く発生させることができる。
【0027】
また、本発明の関節運動アシストシステムでは、前記マスタ装置は、前記第1対象物と合同対称性、相似対称性及び左右対称性のいずれかの対称性を有する構造の第2対象物に装着される、ようにすることができる。この場合には、マスタ装置を装着した第2対象物の動きを、スレーブ装置を装着した第1対象物にトレースさせることができる。
【0028】
本発明の関節運動アシストシステムでは、マスタ装置を第2対象物に装着する場合に、前記第1対象物には、人体の一方の手部における手指の少なくとも1つが含まれ、前記第2対象物には、前記人体の他方の手部における手指の少なくとも1つが含まれる、ようにすることができる。この場合には、関節運動アシスト装置を装着する者の一方の手部の手指のみが拘縮し、他方の手部の手指が拘縮していない場合に、適用される。すなわち、スレーブ装置を、関節運動をアシストすべき人体の手部に装着する。そして、マスタ装置を、当該人体の手指が拘縮していない手部に装着する。このため、他者の支援を得ることなく、関節運動アシスト装置を装着する者自身で、手指の関節運動をアシストすることができる。
【0029】
また、本発明の関節運動アシストシステムでは、マスタ装置を第2対象物に装着する場合に、前記第1対象物には、人体の一方の手部における手指の少なくとも1つが含まれ、前記第2対象物には、前記人体とは異なる人体の手部における手指の少なくとも1つが含まれる、ようにすることができる。この場合には、スレーブ装置を、関節運動をアシストすべき人体の手部に装着し、マスタ装置を、当該人体とは異なる人体の手指が拘縮していない手部に装着する。このため、理学療法士や家族員等の他者の支援を得て、手指の関節運動をアシストすることができる。
【0030】
本発明の関節運動アシストシステムでは、マスタ装置を手部に装着する場合に、前記マスタ装置は、前記操作部の端部に接続される可撓性の紐状部材を更に備え、前記流体給排切替装置は、前記手部の手背に装着され、前記紐状部材の端部は、前記手指の指先に装着され、前記マスタ装置側の手指の関節が屈曲している状態では、前記関節が伸展している状態に比べて、前記本体部から突出する前記操作部の前記本体部からの距離が長くなる、ようにすることができる。この場合には、マスタ装置を装着した手部の手指が関節屈曲状態であるか、又は、関節伸展状態であるかで、本体部から突出する操作部の当該本体部からの距離が異なってくる。
【0031】
すなわち、マスタ装置を装着した手部の手指を関節伸展状態から関節屈曲状態にすることで、操作部を含む突出部分の長さが長くなる。この結果、シリンダ内でのスプールの環状溝の位置が変化し、流体給排切替装置が、ベローズ内への作動流体の供給、及び、ベローズ内からの作動流体の排出の切替を行う。このため、ベローズが、スレーブ装置を装着した手指を、関節伸展状態から関節屈曲状態へと変化する関節運動をアシストする力を発生することができる。
【0032】
また、マスタ装置を装着した手部の手指を関節屈曲状態から関節伸展状態にすることで、操作部を含む突出部分の長さが短くなる。この結果、シリンダ内でのスプールの環状溝の位置が変化し、流体給排切替装置が、ベローズ内への作動流体の供給、及び、ベローズ内からの作動流体の排出の切替を行う。このため、ベローズが、スレーブ装置を装着した手指を、関節屈曲状態から関節伸展状態へと変化する関節運動をアシストする力を発生することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明の関節運動アシストシステムによれば、電子制御を行わずに、スレーブ装置である関節運動アシスト装置を遠隔動作させ、関節運動を適切にアシストすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る関節運動アシストシステムの構成を説明するための図である。
図2図1の関節運動アシスト装置の外観図である。
図3図2の母指関節運動アシスト部の構成を説明するための図である。
図4図2の示指用の手指関節運動アシスト部の構成を説明するための図である。
図5図1のマスタ装置の外観図である。
図6図5の個別マスタ部の構成を説明するための図である。
図7図6の流体給排切替装置の構成を説明するためのUV断面図である。
図8図7のシリンダの構成を説明するためのUV断面図である。
図9図7のピストン、スプール及び操作部の構成を説明するための図である。
図10図1の関節運動アシスト装置とマスタ装置との間の配管を説明するための図である。
図11図1の給排装置の構成を説明するための図である。
図12】個別マスタ部の状態の例を説明するための図(その1)である。
図13図12の状態のときの流体給排切替装置のUV断面図である。
図14】個別マスタ部が図12の状態のときの手指関節運動アシスト部の状態を説明するための図である。
図15】個別マスタ部の状態の例を説明するための図(その2)である。
図16図15の状態のときの流体給排切替装置のUV断面図である。
図17】個別マスタ部が図15の状態のときの手指関節運動アシスト部の状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0035】
100…関節運動アシストシステム、200…関節運動アシスト装置(スレーブ装置)、210…手部装着部、2301…母指関節運動アシスト部(手指関節運動アシスト部)、2302,2303,2304,2305…手指関節運動アシスト部、321j(j=1,…,5)…伝達部材、322k(k=2,…,5)…伝達部材、323j,324j(j=1,…,5)…伝達部材、331k(k=2,…,5)…配管、341k(k=2,…,5)…ベローズ、342j,343j(j=1,…,5)…ベローズ、3501…母指装着部、350k(k=2,…,5)…手指装着部、500…マスタ装置、510…手部装着部、530j(j=1,…,5)…個別マスタ部、531j…流体給排切替装置、532j…紐状部材、611j…シリンダ、612j…ピストン、613j…スプール、800,811j,815j,821j,825j,831j,832j,835j,836j…配管、900…給排装置、911…加圧ポンプ、912…減圧ポンプ、921,922…配管、AC…操作部、EV…逃がし弁、IH…挿入穴、GR1,GR2…環状溝、SR…シリンダ室、PTFSj…第1供給用ポート、PTFEj…第1排出用ポート、PTSS1j,PTSS2j…第2供給用ポート、PTSE1j,PTSE2j…第2排出用ポート、PP,PPSj,PPEj…配管、HB1,HB2…人体、HDR1…右手(第1対象物),HDR2…右手(第2対象物)
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態を、図1図17を参照して説明する。なお、本実施形態においては、人体の右手に装着される関節運動アシスト装置、及び、当該関節運動アシスト装置を装着する人体とは異なる人体の右手に装着されるマスタ装置を有する関節運動アシストシステムを例示して説明する。また、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0037】
[構成]
図1には、一実施形態に係る関節運動アシストシステム100の構成が示されている。図1に示されるように、関節運動アシストシステム100は、関節運動アシスト装置200と、マスタ装置500と、配管800とを備えている。また、関節運動アシストシステム100は、給排装置900と、配管PPとを備えている。ここで、関節運動アシスト装置200は、スレーブ装置に対応している。
【0038】
<関節運動アシスト装置200の構成>
上記の関節運動アシスト装置200の構成ついて、説明する。
【0039】
図2には、関節運動アシスト装置200の外観図が示されている。図2は、人体HB1の第1対象物としての右手HDR1に装着された関節運動アシスト装置200を、手指の関節が伸展状態にあるときに手背(手の甲)側から眺めた外観図である。図2に示されるように、関節運動アシスト装置200は、手部装着部210と、母指関節運動アシスト部2301と、手指関節運動アシスト部2302,2303,2304,2305とを備えている。
【0040】
なお、以下の説明では、母指関節運動アシスト部2301及び手指関節運動アシスト部2302,2303,2304,2305を総称して、「手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)」とも記す。また、以下の説明では、母指関節運動アシスト部2301を除いた手指関節運動アシスト部2302,2303,2304,2305を総称する場合には、「手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)」とも記す。
【0041】
《手部装着部210》
上記の手部装着部210について、説明する。手部装着部210は、例えば、布製の部材であり、右手HDR1の手背及び手掌に装着される。手部装着部210には、母指関節運動アシスト部2301の一方の部分が取り付けられる。
【0042】
また、手部装着部210には、手指関節運動アシスト部2302,2303,2304,2305の一方の部分が取り付けられる。そして、手部に手部装着部210が装着されている状態では、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)は、手背の爪側に配置されるようになっている。
【0043】
《母指関節運動アシスト部2301の構成》
上記の母指関節運動アシスト部2301の構成について、説明する。
【0044】
母指関節運動アシスト部2301は、母指の関節運動をアシストする。母指関節運動アシスト部2301は、手部装着部210が手部に装着されている状態で、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。
【0045】
母指関節運動アシスト部2301は、図2及び図3(A),(B)により総合的に示されるように、ベローズ3421,3431と、伝達部材3211,3231,3241とを備えている。また、母指関節運動アシスト部2301は、母指装着部3501を備えている。
【0046】
図3(A),(B)における座標系(X1,Y1,Z1)は、母指が伸びている状態で、指先方向を+Y1方向、各関節の屈曲側から伸展側へ向かう方向を+Z1方向、Y1方向及びZ1方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X1方向とする座標系である。ここで、図3(A)は、母指に装着された母指関節運動アシスト部2301を、+Z1方向側から視た図である。また、図3(B)は、図3(A)に示される母指関節運動アシスト部2301を、−X1方向側から視た図である。
【0047】
上記のベローズ3421は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第1関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ3421の一方側(図3における「−Y1方向側」)端部は、伝達部材3231の他方の端部側(図3における「+Y1方向側」)に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ3421の他方側端部は、伝達部材3211の一方の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ3421は、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0048】
上記のベローズ3431は、ベローズ3421と同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第2関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ3431の一方側端部は、伝達部材3241のベローズ3431側の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ3431の他方側端部は、伝達部材3231の一方の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ3431は、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0049】
ここで、ベローズ3421には、可撓性を有する樹脂製の配管8211が取り付けられ、当該ベローズ3421は、配管8211を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ3421内の空気圧が変化すると、当該ベローズ3421が膨縮する。この結果、ベローズ3421が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0050】
また、ベローズ3431には、可撓性を有する樹脂製の配管8251が取り付けられ、当該ベローズ3431は、配管8251を介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ3431内の空気圧が変化すると、当該ベローズ3431が膨縮する。この結果、ベローズ3431が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0051】
上記の伝達部材3211は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、一方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材3211の長板部の一方の端部には、ベローズ3421を介して、伝達部材3231が接続されている。そして、伝達部材3211の一方の端部の接続部は、ベローズ3421の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材3211の長板部の一方の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、母指の第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材3231に接続されるようになっている。この伝達部材3211の長板部は、母指装着部3501を介して、母指の末節部位に装着される。
【0052】
上記の伝達部材3231は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材3231の長板部の一方の端部には、ベローズ3431を介して、伝達部材3241が接続されている。そして、伝達部材3231の一方の端部の接続部は、ベローズ3431の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材3231の長板部の一方の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、母指の第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材3241に接続されるようになっている。
【0053】
また、伝達部材3231の長板部の他方の端部には、ベローズ3421を介して、伝達部材3211が接続されている。そして、伝達部材3231の他方の端部側の接続部は、ベローズ3421の一方側端部に接続されている。この伝達部材3231の長板部は、母指装着部3501を介して、母指の基節部位に装着される。
【0054】
上記の伝達部材3241は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、他方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材3241の長板部の他方の端部には、ベローズ3431を介して、伝達部材3231が接続されている。そして、伝達部材3241の他方の端部の接続部は、ベローズ3431の一方側端部に接続されている。この伝達部材3241の長板部は、母指装着部3501を介して、母指の中手に装着される。
【0055】
上記の母指装着部3501は、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。母指装着部3501は、装着部材と、指サックと、バンド部材とを備えている。
【0056】
上記の装着部材は、例えば、弾力性のある長形状の布製の部材であり、母指が延びる方向に沿って、母指の指及び中手の手背側に配置される。装着部材の+Z1方向側には、伝達部材3211,3231,3241の長板部が固定されている。また、装着部材における伝達部材3241が固定されている部分の反対側(−Z1方向側)には、手部装着部210が取り付けられている。
【0057】
上記の指サックは、例えば、皮製の部材であり、装着部材の指先側に固定される。そして、指サックは、母指関節運動アシスト部2301を母指に装着する際に、母指の指先に固定される。上記のバンド部材は、例えば、長形状の布製の部材であり、基節部位と伝達部材3231の長板部とを固定する。
【0058】
《手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)の構成》
上記の手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)の構成について、説明する。
【0059】
手指関節運動アシスト部2302は、示指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部2303は、中指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部2304は、薬指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部2305は、小指の関節運動をアシストする。手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)のそれぞれは、手部装着部210が手部に装着されている状態で、これらの手指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。
【0060】
図4(A),(B)には、手指関節運動アシスト部230kの代表として、手指関節運動アシスト部2302の構成図が示されている。図4(A),(B)における座標系(X2,Y2,Z2)は、示指が伸びている状態で、指先方向を+Y2方向、各関節の屈曲側から伸展側へ向かう方向を+Z2方向、Y2方向及びZ2方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X2方向とする座標系である。
【0061】
ここで、図4(A)は、示指に装着された手指関節運動アシスト部2302を、+Z2方向側から視た図である。また、図4(B)は、図4(A)に示される手指関節運動アシスト部2302を、−X2方向側から視た図である。本実施形態では、手指関節運動アシスト部2303,2304,2305についても、手指関節運動アシスト部2302と同様に構成されている。
【0062】
手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)のそれぞれは、図2及び図4(A),(B)により総合的に示されるように、ベローズ341k,342k,343kと、配管331kと、伝達部材321k,322k,323k,324kとを備えている。また、手指関節運動アシスト部230kのそれぞれは、手指装着部350kを備えている。
【0063】
上記のベローズ341kは、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第1関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ341kの一方側(図4における「−Yk方向側」)端部は、伝達部材322kの他方の端部側(図4における「+Yk方向側」)に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ341kの他方側端部は、伝達部材321kの一方の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ341kは、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0064】
上記のベローズ342kは、ベローズ341kと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第2関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ342kの一方側端部は、伝達部材323kの他方の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ342kの他方側端部は、伝達部材322kの一方の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ342kは、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0065】
上記のベローズ343kは、ベローズ341k,342kと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第3関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ343kの一方側端部は、伝達部材324kのベローズ343k側の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ343kの他方側端部は、伝達部材323kの一方の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ343kは、第3関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0066】
ここで、ベローズ341kの内部空間とベローズ342kの内部空間は、可撓性を有する樹脂製の配管331kを介して、連通している。また、ベローズ342kには、可撓性を有する樹脂製の配管821kが取り付けられ、当該ベローズ342kは、配管821kを介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ341k,342k内の空気圧が変化すると、当該ベローズ341k,342kが膨縮する。この結果、ベローズ341k,342kが上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0067】
また、ベローズ343kには、可撓性を有する樹脂製の配管825kが取り付けられ、当該ベローズ343kは、配管825kを介してマスタ装置500と連通している。そして、ベローズ343k内の空気圧が変化すると、当該ベローズ343kが膨縮する。この結果、ベローズ343kが上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0068】
上記の伝達部材321kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、一方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材321kの長板部の一方の端部には、ベローズ341kを介して、伝達部材322kが接続されている。そして、伝達部材321kの一方の端部側の接続部は、ベローズ341kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材321kの長板部の一方の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材322kに接続されるようになっている。この伝達部材321kの長板部は、手指装着部350kを介して、手指の末節部位に装着される。
【0069】
上記の伝達部材322kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、両方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材322kの長板部の一方の端部には、ベローズ342kを介して、伝達部材323kが接続されている。そして、伝達部材322kの一方の端部側の接続部は、ベローズ342kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材322kの長板部の一方の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材323kに接続されるようになっている。
【0070】
また、伝達部材322kの長板部の他方の端部には、ベローズ341kを介して、伝達部材321kが接続されている。そして、伝達部材322kの他方の端部側の接続部は、ベローズ341kの一方側端部に接続されている。この伝達部材322kの長板部は、手指装着部350kを介して、手指の中節部位に装着される。
【0071】
上記の伝達部材323kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、両方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材323kの長板部の一方の端部には、ベローズ343kを介して、伝達部材324kが接続されている。そして、伝達部材323kの一方の端部側の接続部は、ベローズ343kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材323kの長板部の一方の端部は、右手に関節運動アシスト装置200が装着されている時において、第3関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材324kに接続されるようになっている。
【0072】
また、伝達部材323kの長板部の他方の端部には、ベローズ342kを介して、伝達部材322kが接続されている。そして、伝達部材323kの他方の端部側の接続部は、ベローズ342kの一方側端部に接続されている。この伝達部材323kの長板部は、手指装着部350kを介して、手指の基節部位に装着される。
【0073】
上記の伝達部材324kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、他方の端部から略直立して手の甲の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材324kの長板部の他方の端部には、ベローズ343kを介して、伝達部材323kが接続されている。そして、伝達部材324kの他方の端部の接続部は、ベローズ343kの一方側端部に接続されている。この伝達部材324kの長板部は、手指装着部350kを介して、手指の中手部位上に装着される。
【0074】
上記の手指装着部350k(k=2,…,5)は、手指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。手指装着部350k(k=2,…,5)のそれぞれは、装着部材と、指サックと、2つのバンド部材とを備えている。
【0075】
上記の装着部材は、例えば、弾力性のある長形状の布製の部材であり、手指が延びる方向に沿って、手指の指及び中手の手背側に配置される。装着部材の+Zk方向側には、伝達部材321k,322k,323k,324kの長板部が固定されている。また、装着部材における伝達部材324kが固定されている部分の反対側(−Zk方向側)には、手部装着部210が取り付けられている。
【0076】
上記の指サックは、例えば、皮製の部材であり、装着部材の指先側に固定される。そして、指サックは、手指関節運動アシスト部230kを手指に装着する際に、手指の指先に固定される。上記の2つのバンド部材は、例えば、長形状の布製の部材である。そして、一のバンド部材は、中節部位と伝達部材322kの長板部とを固定し、他のバンド部材は、基節部位と伝達部材323kの長板部とを固定する。
【0077】
<マスタ装置500の構成>
上記のマスタ装置500の構成ついて、説明する。
【0078】
図5には、マスタ装置500の外観図が示されている。図5は、人体HB1とは異なる人体HB2の第2対象物としての右手HDR2に装着されたマスタ装置500を、手指の関節が伸展状態にあるときに手背側から眺めた外観図である。本実施形態では、右手HDR2は、右手HDR1と合同対称性を有しているものとする。図5に示されるように、マスタ装置500は、手部装着部510と、個別マスタ部530j(j=1,…,5)とを備えている。
【0079】
《手部装着部510》
上記の手部装着部510について、説明する。手部装着部510は、例えば、布製の部材であり、右手HDR2の手背及び手掌に装着される。手部装着部510には、個別マスタ部530j(j=1,…,5)が取り付けられる。そして、手部に手部装着部510が装着されている状態では、個別マスタ部530j(j=1,…,5)は、手背側に配置されるようになっている。
【0080】
《個別マスタ部530j(j=1,…,5)の構成》
上記の個別マスタ部530j(j=1,…,5)の構成について、説明する。
【0081】
個別マスタ部5301は、母指の指及び中手部位上に装着され、人体HB1の右手HDR1の母指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部2301を制御する。また、個別マスタ部5302は、示指の指及び中手部位上に装着され、人体HB1の右手HDR1の示指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部2302を制御する。また、個別マスタ部5303は、中指の指及び中手部位上に装着され、人体HB1の右手HDR1の中指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部2303を制御する。
【0082】
個別マスタ部5304は、薬指の指及び中手部位上に装着され、人体HB1の右手HDR1の薬指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部2304を制御する。また、個別マスタ部5305は、小指の指及び中手部位上に装着され、人体HB1の右手HDR1の小指の関節運動をアシストする手指関節運動アシスト部2305を制御する。
【0083】
図6(A),(B)には、個別マスタ部530jの代表として、個別マスタ部5302の構成図が示されている。図6(A),(B)における座標系(U2,V2,W2)は、示指が伸びている状態で、指先方向を+V2方向、各関節の屈曲側から伸展側へ向かう方向を+W2方向、V2方向及びW2方向に直交し、小指側へと向かう方向を+U2方向とする座標系である。
【0084】
ここで、図6(A)は、示指に装着された個別マスタ部5302を、+W2方向側から視た図である。また、図6(B)は、図6(A)に示される個別マスタ部5302を、−U2方向側から視た図である。本実施形態では、個別マスタ部5301,5303,5304,5305についても、個別マスタ部5302と同様に構成されている。
【0085】
個別マスタ部530j(j=1,…,5)のそれぞれは、図5及び図6(A),(B)により総合的に示されるように、操作部ACを有する流体給排切替装置531jと、紐状部材532jとを備えている。
【0086】
(紐状部材532j(j=1,…,5))
上記の紐状部材532j(j=1,…,5)について、説明する。紐状部材532jは、可撓性を有する非伸縮性の部材である。紐状部材532jの一方の端部は、流体給排切替装置531jの操作部ACの端部に接続されている。また、紐状部材532jの他方の端部は、指サックに取り付けられ、当該指サックが手指の指先に固定されることで、当該指先に装着される。なお、紐状部材532jの長さについては、後述する。
【0087】
(流体給排切替装置531j(j=1,…,5)の構成)
上記の流体給排切替装置531j(j=1,…,5)の構成について、説明する。
【0088】
流体給排切替装置531j(j=1,…,5)のそれぞれは、図6(A),(B)、図7により総合的に示されるように、シリンダ611jと、ピストン612jとを備えている。また、流体給排切替装置531jのそれぞれは、スプール613jと、操作部ACとを備えている。ここで、図7には、図6(A),(B)に示される状態での流体給排切替装置531jのUV断面図が示されている。また、本実施形態では、シリンダ611j、ピストン612j及びスプール613jが、本体部に対応している。
【0089】
上記のシリンダ611jは、例えば、円筒状の部材であり、シリンダ611jの中心軸方向の両端部は閉塞され、+V方向側の一方の端部を操作部ACが貫通している。また、シリンダ611jの内部の−V方向側には、図8に示されるように、シリンダ室SRが形成されている。そして、シリンダ611jの内部のシリンダ室SRが形成されていない+V方向側の部分(以下、「シリンダ室非形成部分」とも記す)には、スプール613j及び操作部ACを挿入する挿入穴IHが形成されている。
【0090】
ここで、図8は、流体給排切替装置531jからスプール613j、操作部AC及びピストン612jを外したときのシリンダ611jのUV断面図である。なお、シリンダ611jの−V方向側の端部は、当該シリンダ611jの蓋部以外の部分に対して着脱可能な蓋部となっている。そして、シリンダ611j内部に、スプール613j、操作部AC及びピストン612jを嵌め込む際には、蓋部を外して、スプール613j、操作部AC及びピストン612jを挿入し、その後、当該蓋部をシリンダ611jの蓋部以外の部分に取り付けるようになっている。
【0091】
また、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、給排装置900から空気を取り入れる第1供給用ポートPTFSjが形成されている。ここで、第1供給用ポートPTFSjは、配管PPSjと接続されている。また、本実施形態では、第1供給用ポートPTFSjは、シリンダ611jの内部で分岐している。そして、シリンダ611jの長さ方向Vの位置を図7のように定義した場合に、第1供給用ポートPTFSjは、位置S1及び位置S2において、上述した挿入穴IHと通じている。さらに、第1供給用ポートPTFSjは、シリンダ611jに形成された逃がし弁EVと連通している。この逃がし弁EVを通じて、第1供給用ポートPTFSjから供給された過剰な空気が、流体給排切替装置531jの外部に排出されるようになっている。
【0092】
また、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、給排装置900に空気を排出する第1排出用ポートPTFEjが形成されている。ここで、第1排出用ポートPTFEjは、配管PPEjと接続されている。また、本実施形態では、第1排出用ポートPTFEjは、シリンダ611jの内部で分岐している。そして、第1排出用ポートPTFEjは、位置E1及び位置E2において、上述した挿入穴IHと通じている。さらに、第1排出用ポートPTFEjは、シリンダ室SRと連通している。
【0093】
また、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、ベローズ343j内への空気の供給を行う第2供給用ポートPTSS1jが形成されている。第2供給用ポートPTSS1jは、配管835jと接続されている。本実施形態では、第2供給用ポートPTSS1jは、位置S1において、上述した挿入穴IHと通じている。
【0094】
また、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、ベローズ342j内への空気の供給を行う第2供給用ポートPTSS2jが形成されている。第2供給用ポートPTSS2jは、配管831jと接続されている。本実施形態では、第2供給用ポートPTSS2jは、位置S2において、上述した挿入穴IHと通じている。
【0095】
さらに、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、ベローズ343j内からの空気の排出を行う第2排出用ポートPTSE1jが形成されている。第2排出用ポートPTSE1jは、配管836jと接続されている。本実施形態では、第2排出用ポートPTSE1jは、位置E1で、上述した挿入穴IHと通じている。
【0096】
また、シリンダ611jのシリンダ室非形成部分には、ベローズ342j内からの空気の排出を行う第2排出用ポートPTSE2jが形成されている。第2排出用ポートPTSE2jは、配管832jと接続されている。本実施形態では、第2排出用ポートPTSE2jは、位置E2で、上述した挿入穴IHと通じている。
【0097】
上記のピストン612jは、例えば、円柱形状の部材であり、ピストン612jの外径は、シリンダ室SRの径よりも、わずかに小さくなっている。このように、本実施形態では、ピストン612jの周面とシリンダ室SRの内周面との間には、間隙が形成されるようになっている。そして、ピストン612jは、シリンダ室SRの内部でV方向の往復運動が可能となるように、シリンダ611j内に嵌め込まれている。
【0098】
本実施形態では、上述したように、ピストン612jの外径は、シリンダ室SRの径よりも、わずかに小さくしている。この結果、第1排出用ポートPTFEjは、ピストン612jにより仕切られる双方のシリンダ室と連通している。
【0099】
ここで、シリンダ室を区画するピストン612jの+V方向側の一方の面には、スプール613jが連結されているが、ピストン612jの−V方向側の他方の面には、スプール613jが連結されていない。このため、当該他方の面の面積は、当該一方の面の面積に比べて広くなっている。この結果、ピストン612jの一方の面及び他方の面における受圧面積の違いから、操作部ACを操作していない通常時には、ピストン612jは、図7に示されるように、シリンダ室SR内で−V方向側に付勢されている。
【0100】
上記のスプール613jは、図7及び図9に示されるように、V方向に延びるロッド状の例えば円柱形状の部材であり、操作部ACと一体成形されている。ここで、図9は、シリンダ611j内部から外したスプール613j、操作部AC及びピストン612jを示した図である。本実施形態では、図7に示される状態で、シリンダ611jから突出している長さ「VS」の部分(以下、「突出部分」とも記す)を、操作部ACと呼ぶことにする。
【0101】
スプール613jにおける−V方向側の一方の端部は、ピストン612jの一方の面に連結されている。また、スプール613jには、ロッドの略中央に2つの環状溝GR1,GR2が形成されている。ここで、スプール613jにおける環状溝GR1,GR2以外の部分の外径及び操作部ACの外径は、シリンダ611jに形成された挿入穴IHの径と略等しくなっている。そして、スプール613j及び操作部ACは、シリンダ611jに形成された挿入穴IHに挿入されるようになっている。
【0102】
上記の操作部ACは、上述したように、スプール613jと一体成形されている。この操作部ACの端部は、紐状部材532jの一方の端部に接続されている。
【0103】
<配管800>
上記の配管800の構成ついて、説明する。
【0104】
配管800は、関節運動アシスト装置200及びマスタ装置500に取り付けられる。配管800は、図10に示されるように、配管811j(j=1,…,5)と、配管815j(j=1,…,5)とを備えている。配管811j及び配管815jは、手指関節運動アシスト部230jと個別マスタ部530jとに接続される。
【0105】
上記の配管811j(j=1,…,5)は、ベローズ342jに一方の端部が取り付けられる配管821j、個別マスタ部530jの第2供給用ポートPTSS2jに一方の端部が取り付けられる配管831j、及び、個別マスタ部530jの第2排出用ポートPTSE2jに一方の端部が取り付けられる配管832jから成る。そして、配管821jの他方の端部は、配管831jの他方の端部及び配管832jの他方の端部と接続されている。
【0106】
上記の配管815j(j=1,…,5)は、ベローズ343jに一方の端部が取り付けられる配管825j、個別マスタ部530jの第2供給用ポートPTSS1jに一方の端部が取り付けられる配管835j、及び、個別マスタ部530jの第2排出用ポートPTSE1jに一方の端部が取り付けられる配管836jから成る。そして、配管825jの他方の端部は、配管835jの他方の端部及び配管836jの他方の端部と接続されている。
【0107】
<給排装置900の構成>
上記の給排装置900の構成について、説明する。
【0108】
給排装置900は、配管PPSj(j=1,…,5)及び配管PPEjを有する配管PPを介してマスタ装置500と連通している。給排装置900は、図11に示されるように、加圧ポンプ911と、減圧ポンプ912とを備えている。また、給排装置900は、配管921,922を備えている。
【0109】
上記の加圧ポンプ911は、配管921を介して、流体給排切替装置531j(j=1,…,5)の第1供給用ポートPTFSjに取り付けられる配管PPSjと接続している。加圧ポンプ911は、マスタ装置500への空気の強制的供給を行う際に利用される。
【0110】
上記の減圧ポンプ912は、配管922を介して、流体給排切替装置531j(j=1,…,5)の第1排出用ポートPTFEjに取り付けられる配管PPEjと接続している。減圧ポンプ912は、マスタ装置500からの空気の強制的排出を行う際に、利用される。
【0111】
[動作]
以上のようにして構成された関節運動アシストシステム100の動作について、マスタ・スレーブ方式による手指の関節運動のアシスト動作を説明する。
【0112】
以下の動作の説明では、マスタ装置500の状態を説明する際に、個別マスタ部530j(j=1,…,5)の代表として、個別マスタ部5302の状態図を参照することがある。また、以下の説明では、関節運動アシスト装置200の状態を説明する際に、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)の代表として、手指関節運動アシスト部2302の状態図を参照することがある。
【0113】
また、前提として、給排装置900によるマスタ装置500への空気の供給、及び、マスタ装置500からの空気の排出が行われているものとする。
【0114】
<関節運動アシスト装置200の関節屈曲状態へのアシスト動作>
まず、マスタ装置500の装着者が、図12に示されるように、マスタ装置500を装着した手指の全ての関節を屈曲状態にしたとする。こうした屈曲状態では、手指の関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が最長になり、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが+V方向側に引っ張られる。ここで、図13には、図12に示される流体給排切替装置531jのUV断面図が示されている。
【0115】
かかる状態のときには、スプール613jの環状溝GR1,GR2の位置が、それぞれV=S1,S2となる。そして、このときには、第1供給用ポートPTFSjと、第2供給用ポートPTSS1j,PTSS2jとが連通する。
【0116】
かかる連通状態では、給排装置900から取り入れられた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS1j及び配管835j,825jを介して、ベローズ343j内に供給される。こうしてベローズ343j内への空気の供給が行われると、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)のベローズ343jが膨張する。
【0117】
また、かかる連通状態では、給排装置900から送られた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS2j及び配管831j,821jを介して、ベローズ342j内に供給される。こうしてベローズ342j内への空気の供給が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が膨張する。また、示指、中指、薬指及び小指(以下、「四指」とも記す)に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが膨張する。
【0118】
この結果、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、図14に示されるように、屈曲状態になる。
【0119】
<中間状態へのアシスト動作>
この後、マスタ装置500の装着者が、母指については、母指の第1関節を屈曲状態に維持するとともに、母指の第2関節を伸展状態にしたとする。また、マスタ装置500の装着者が、四指の第1関節及び第2関節を屈曲状態に維持するとともに、四指の第3関節を伸展状態にしたとする(以下、こうした状態を「中間状態」とも記す)。図15には、マスタ装置500を装着する手部の手指が、中間状態となっているときの様子が示されている。
【0120】
こうして手指の関節を屈曲状態から中間状態にすると、第3関節(母指については、第2関節)が伸展した分だけ、関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が、屈曲状態のときに比べて短くなる。この結果、図15に示されるように、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが−V方向側に移動し、シリンダ611jからの突出部分の長さが短くなる。ここで、図16には、図15に示される流体給排切替装置531jのUV断面図が示されている。
【0121】
かかる状態のときには、スプール613jの環状溝GR1,GR2の位置が、それぞれV=S2,E1となる。そして、このときには、第1供給用ポートPTFSjと第2供給用ポートPTSS2jとが連通し、第1排出用ポートPTFEjと第2排出用ポートPTSE1jとが連通する。
【0122】
かかる連通状態では、給排装置900から送られた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS2j及び配管831j,821jを介して、ベローズ342j内に引き続き供給される。この結果、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が膨張する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが膨張する。
【0123】
また、かかる連通状態では、ベローズ343j内の空気が、配管825j,836j、第2排出用ポートPTSE1j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ343j内から空気が排出されると、ベローズ343jが収縮する。
【0124】
この結果、手指関節運動アシスト部2301を装着した母指の関節は、第1関節が屈曲状態を維持し、第2関節が伸展した中間状態になる。また、手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)を装着した四指の関節は、図17に示されるように、第1関節及び第2関節が屈曲状態を維持し、第3関節が伸展した中間状態になる。
【0125】
<関節運動アシスト装置200の関節伸展状態へのアシスト動作>
引き続き、マスタ装置500の装着者が、手指の全ての関節を、中間状態から伸展状態にしたとする。上述した図6(A),(B)には、マスタ装置500を装着する手部の手指が、関節伸展状態となっているときの様子が示されている。
【0126】
こうして手指の関節を中間状態から伸展状態にすると、第1関節及び第2関節(母指については、第1関節)が伸展した分だけ、関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が、更に短くなる。この結果、上述した図6(A),(B)に示されるように、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが−V方向側に更に移動し、シリンダ611jからの突出部分の長さが更に短くなる。ここで、上述した図7には、図6(A),(B)に示される流体給排切替装置531jのUV断面図が示されている。
【0127】
かかる状態のときには、スプール613jの環状溝GR1,GR2の位置が、それぞれV=E1,E2となる。そして、このときには、第1排出用ポートPTFEjと、第2排出用ポートPTSE1j,PTSE2jとが連通する。
【0128】
かかる連通状態では、ベローズ343j内の空気が、配管825j,836j、第2排出用ポートPTSE1j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ343j内から空気が排出されると、ベローズ343jが収縮する。
【0129】
また、かかる連通状態では、ベローズ342j内の空気が、配管821j,832j、第2排出用ポートPTSE2j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ342j内から空気が排出されると、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が収縮する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが収縮する。
【0130】
この結果、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、上述した図3(A),(B)及び図4(A),(B)に示されるように、伸展状態になる。
【0131】
本実施形態では、関節伸展状態では、シリンダ611jからの突出部分の長さが「VS」となり(図7参照)、中間状態では、シリンダ611jからの突出部分の長さが「VM」となり(図16参照)、かつ、関節屈曲状態では、シリンダ611jからの突出部分の長さが「VL」(VS<VM<VL)となる(図13参照)ように、紐状部材532jの長さが設計されている。
【0132】
以後、マスタ装置500の装着者が、手指の関節を中間状態、屈曲状態、中間状態、伸展状態へと順次変化させると、上述したように、流体給排切替装置531jの操作部ACがシリンダ611jに対して移動する。そして、操作部ACの移動に応じて、関節運動アシスト装置200を装着した手指の関節についても、中間状態、屈曲状態、中間状態、伸展状態へと順次アシストされる。
【0133】
以上説明したように、本実施形態では、関節運動アシスト装置200の手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)を、人体HB1の右手HDR1の手指に装着する。また、マスタ装置500の個別マスタ部530j(j=1,…,5)を、人体HB2の右手HDR2の手指に装着する。そして、マスタ装置500の装着者が、マスタ装置500を装着した手指の全ての関節を屈曲状態にすると、手指の関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が最長となる。こうして当該距離が最長となると、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが+V方向側に引っ張られる。
【0134】
そして、このときには、マスタ装置500の第1供給用ポートPTFSjと、第2供給用ポートPTSS1j,PTSS2jとが連通する。かかる連通状態では、給排装置900から取り入れられた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS1j及び配管835j,825jを介して、ベローズ343j内に供給される。こうしてベローズ343j内への空気の供給が行われると、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)のベローズ343jが膨張する。また、かかる連通状態では、給排装置900から送られた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS2j及び配管831j,821jを介して、ベローズ342j内に供給される。こうしてベローズ342j内への空気の供給が行われると、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が膨張する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが膨張する。この結果、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、屈曲状態になる。
【0135】
このため、電子制御を行うことなく、マスタ・スレーブ方式により、関節運動アシスト装置200を装着した手指を関節屈曲状態にすることができる。
【0136】
この後、マスタ装置500の装着者が、母指については、第1関節を屈曲状態に維持するとともに、第2関節を伸展状態にしたとする。また、マスタ装置500の装着者が、四指については、第1関節及び第2関節を屈曲状態に維持するとともに、第3関節を伸展状態にしたとする。こうした関節状態では、手指の関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が、関節屈曲状態のときに比べて短くなる。こうして当該距離が短くなると、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが−V方向側に移動する。
【0137】
そして、このときには、マスタ装置500の第1供給用ポートPTFSjと第2供給用ポートPTSS2jとが連通し、第1排出用ポートPTFEjと第2排出用ポートPTSE1jとが連通する。かかる連通状態では、給排装置900から送られた空気が、第1供給用ポートPTFSj、第2供給用ポートPTSS2j及び配管831j,821jを介して、ベローズ342j内に、引き続き供給される。この結果、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が膨張する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが膨張する。
【0138】
また、かかる連通状態では、ベローズ343j内の空気が、配管825j,836j、第2排出用ポートPTSE1j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ343j内から空気が排出されると、ベローズ343jが収縮する。この結果、手指関節運動アシスト部2301を装着した母指の関節は、第1関節が屈曲状態を維持し、第2関節が伸展した中間状態になる。また、手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)を装着した四指の関節は、第1関節及び第2関節が屈曲状態を維持し、第3関節が伸展した中間状態になる。
【0139】
このため、電子制御を行うことなく、マスタ・スレーブ方式により、関節運動アシスト装置200を装着した手指を関節伸展状態と関節屈曲状態との中間状態にすることができる。
【0140】
引き続き、マスタ装置500の装着者が、手指の全ての関節を伸展状態にすると、手指の関節構造から、手背側に沿った、流体給排切替装置531jの装着位置から指先までの距離が、更に短くなる。こうして当該距離が更に短くなると、紐状部材532jの一方の端部に接続された操作部ACが−V方向側に更に移動する。
【0141】
そして、このときには、第1排出用ポートPTFEjと、第2排出用ポートPTSE1j,PTSE2jとが連通する。かかる連通状態では、ベローズ343j内の空気が、配管825j,836j、第2排出用ポートPTSE1j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ343j内から空気が排出されると、ベローズ343jが収縮する。また、かかる連通状態では、ベローズ342j内の空気が、配管821j,832j、第2排出用ポートPTSE2j及び第1排出用ポートPTFEjを介して、給排装置900により排出される。こうしてベローズ342j内から空気が排出されると、母指に装着された手指関節運動アシスト部2301では、ベローズ3421が収縮する。また、四指に装着された手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)では、ベローズ342k,341kが収縮する。この結果、手指関節運動アシスト部230j(j=1,…,5)を装着した手指の関節は、伸展状態になる。
【0142】
このため、電子制御を行うことなく、マスタ・スレーブ方式により、関節運動アシスト装置200を装着した手指を関節伸展状態にすることができる。
【0143】
したがって、本実施形態によれば、電子制御を行わずに、関節運動アシスト装置を遠隔動作させ、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0144】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0145】
例えば、上記の実施形態では、母指、示指、中指、薬指及び小指のそれぞれに手指関節運動アシスト部を装着し、母指、示指、中指、薬指及び小指の関節運動をアシストするようにした。これに対して、任意の手指に関節運動アシスト部を装着し、当該任意の手指の関節運動をアシストするようにしてもよい。この場合には、当該任意の手指の数と同数の個別マスタ部を用意すればよい。
【0146】
また、上記の実施形態では、ベローズ342jは、個別マスタ部の第2供給用ポートPTSS2j及び第2排出用ポートPTSE2jと連通し、ベローズ343jは、個別マスタ部の第2供給用ポートPTSS1j及び第2排出用ポートPTSE1jと連通するようにした。これに対して、ベローズ342jを、個別マスタ部の第2供給用ポートPTSS1j及び第2排出用ポートPTSE1jと連通させ、ベローズ343jを、個別マスタ部の第2供給用ポートPTSS2j及び第2排出用ポートPTSE2jと連通させるようにしてもよい。
【0147】
この場合には、関節屈曲状態と関節伸展状態との中間状態として、手指関節運動アシスト部2301を装着した母指については、第1関節が伸展し、第2関節が屈曲した中間状態をアシストすることができる。また、手指関節運動アシスト部230k(k=2,…,5)を装着した四指については、第1関節及び第2関節が伸展し、第3関節が屈曲した中間状態をアシストすることができる。
【0148】
また、上記の実施形態では、ピストンに仕切られた双方のシリンダ室と給排装置の減圧ポンプに接続された第1排出用ポートとを連通させて、ピストンの一方の面(+V方向側の面)及び他方の面(−V方向側の面)における受圧面積の違いを利用し、操作部を操作していない通常時には、ピストンが、図7に示されるように、シリンダ室内で−V方向側に付勢されるようにした。これに対して、シリンダ室と減圧ポンプに接続された第1排出用ポートとを連通させない構成を採用した場合には、押し出しバネ等の弾性部材を用意し、弾性部材の一方の端部をピストンの+V方向側の面に接続し、当該弾性部材の他方の端部をシリンダ室の+V方向側の面に接続し、弾性力により、ピストンをシリンダ室内で−V方向側に付勢するようにしてもよい。
【0149】
また、ピストンに仕切られた双方のシリンダ室と減圧ポンプに接続された第1排出用ポートとを連通させる構成を採用しつつ、押し出しバネ等の弾性部材を用意して、弾性部材の一方の端部をピストンの+V方向側の面に接続し、当該弾性部材の他方の端部をシリンダ室の+V方向側の面に接続するようにしてもよい。この場合には、ピストンを、上述した受圧面積の違い及び押し出しバネ等の弾性部材の弾性力の双方により、シリンダ室の−V方側に付勢させることができる。
【0150】
なお、ピストンをシリンダ室の−V方側に付勢させる場合に、引っ張りバネを用意し、当該引っ張りバネの一方の端部をピストンの−V方向側の面に接続し、当該引っ張りバネの他方の端部をシリンダ室の−V方向側の面に接続するようにしてもよい。
【0151】
また、上記の実施形態では、シリンダに形成された第1排出用ポートとシリンダ室とを連通させるようにした。これに対して、シリンダに形成された第1供給用ポートとシリンダ室とを連通させるようにしてもよい。このときには、ピストンの一方の面(+V方向側の面)及び他方の面(−V方向側の面)における受圧面積の違いから、操作部を操作していない通常時には、ピストンは、シリンダ室内で+V方向側に付勢されている。この結果、シリンダから突出している操作部を含んだ突出部分の長さが最大となるときが、操作部の定常位置になる。
【0152】
また、上記の実施形態では、紐状部材を非伸縮性の部材とした。これに対して、関節伸展状態において、シリンダからの突出部分の長さが「VS」となり(図7参照)、中間状態において、シリンダからの突出部分の長さが「VM」となり(図16参照)、かつ、関節屈曲状態において、シリンダからの突出部分の長さが「VL」(VS<VM<VL)となる(図13参照)のであれば、紐状部材を非伸縮性の部材に限定する必要はない。
【0153】
また、上記の実施形態では、人体の右手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を有する関節運動アシストシステムについて説明したが、左手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を有する関節運動アシストシステムであってもよいことは勿論である。
【0154】
また、上記の実施形態では、関節運動アシスト装置を右手に装着する場合に、マスタ装置を、関節運動アシスト装置を装着する人体とは異なる人体の右手に装着するようにした。これに対して、マスタ装置を、当該異なる人体の左手(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0155】
また、上記の実施形態では、マスタ装置を装着する手部は、関節運動アシスト装置を装着する手部と合同対称性を有することとしたが、マスタ装置を装着する手部は、関節運動アシスト装置を装着する手部と相似対称性及び左右対称性の少なくとも1つを有する場合であってもよい。
【0156】
また、人体の一方の手部が拘縮し、他方の手部が健常な場合には、関節運動アシスト装置を当該人体の拘縮している手部に装着し、マスタ装置を当該人体の健常な手部(左右対称性)に装着するようにしてもよい。
【0157】
また、上記の実施形態では、マスタ装置を手部に装着するようにした。これに対して、マスタ装置を手部に装着せずに、例えば、指先で操作部を引っ張るようにしてもよい。
【0158】
また、本実施形態においては、樹脂製のベローズを採用したが、伸縮自在であり、人体に装着される装置の重さ等の負担をかけることがない素材であれば、他の素材であってもよい。
【0159】
また、給排装置の構成としては、空気の吐出、及び、空気の吸引を行うことのできる手動式ポンプであってもよい。
【0160】
また、本発明の関節運動アシスト装置は、作動流体を空気としたが、他の気体や、水や油等の液体であってもよい。
【0161】
本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野で利用する場合には、リハビリテーション用として装着するだけでなく、力が弱っている者がパワーアシスト用の装置としても利用することができる。また、本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野以外で、物を掴む等のパワーアシスト装置としても利用することができる。
【0162】
また、上記の実施形態においては、人体の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムに本発明を適用したが、関節機構を有する人体以外の内骨格形の哺乳類、内骨格形のロボット等の所定対象物の関節運動アシストシステムにも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
以上説明したように、本発明の関節運動アシストシステムは、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシストシステムに適用することができる。
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