【実施例】
【0037】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。まず、本実施例に係る混合処理体の構成及び混合処理法について説明し、続いて、混合処理体を具備する流体混合器の構成について説明し、その次に、流体混合器を装備する流体混合処理装置の構成について説明し、最後に、流体混合処理装置を備えた魚介類養殖システムの構成及び魚介類養殖法について説明する。
【0038】
[第1実施例としての混合処理体の構成についての説明]
図1〜
図3に示すA1は、第1実施例としての混合処理体である。混合処理体A1は、
図1〜
図3に示すように、混合処理対象である複数の異なる流体Fが流動する流体流路R内に配置することで、前記流体Fを混合処理するものである。混合処理体A1は、流体流路R内において上流側から下流側に向けて流動する流体Fを二又状に分流させる分流部Dfと、分流部Dfによって二又状に分流された流体Fを下流側へ案内する案内部Guと、案内部Guに設けて、流体Fの一部を下流側へ誘導しながら混合処理を促進する狭隘流路Rsと、を有している。
【0039】
混合処理体A1は、ボルト状に形成した支持片10と、第1・第2ワッシャ11,12と、第1、第2弾性素材片13,14と、複数(本実施例では、25枚)の凸条部としての狭隘流路形成片15と、複数(本実施例では、24枚)の間隔保持片としてのスペーサ16と、ナット17と、を具備している。
【0040】
支持片10は、断面円形に形成した棒状の本片10aと、本片10aの基端部にその半径方向に膨出させて形成した頭部10bと、本片10aの先端部の周面に形成した雄ネジ部(図示せず)と、を金属製素材又は合成樹脂製素材により一体成形している。
【0041】
第1・第2ワッシャ11,12は、金属製素材又は合成樹脂製素材により薄肉円板状に形成するとともに、中央部に、本片10aを挿通可能な円形の第1・第2挿通孔11a,12aを形成している。第1ワッシャ11は、後述する流体混合器B1の流路形成ケース20に形成した同一円形孔である各配設孔84,85の孔径よりも大径に形成している。第2ワッシャ12は、後述する各配設孔84,85の孔径よりも小径に形成している。
【0042】
第1、第2弾性素材片13,14は、弾性ゴム等の弾性素材により、後述する各配設孔84,85の孔径よりもやや小径の厚肉円板状に形成するとともに、中央部に、本片10aを挿通可能な円形の第1・第2片用挿通孔13a,14aを形成している。そして、第1、第2弾性素材片13,14は、その軸線方向に加圧されると、その半径方向に各配設孔の孔径よりも大径となるまで膨出状に弾性変形するようにしている。
【0043】
狭隘流路形成片15は、金属製素材又は合成樹脂製素材により、後述する各配設孔の孔径よりもやや小径の薄肉円板状に形成するとともに、中央部に、本片10aを挿通可能な円形の形成片用挿通孔15aを形成している。
【0044】
スペーサ16は、金属製素材又は合成樹脂製素材により、狭隘流路形成片15の外径よりも小径の薄肉円板状に形成するとともに、中央部に、本片10aを挿通可能な円形のスペーサ用挿通孔16aを形成している。ここで、スペーサ16の外径は、狭隘流路形成片
15の外径よりも小径に形成して、隣接する狭隘流路形成片15,15同士の対向面と、両狭隘流路形成片15,15の間に介在させたスペーサ16の外周面とにより、本片10aの外周に周方向と外側方が開口する狭隘流路Rsが扁平に形成されるようにしている。
【0045】
換言すると、狭隘流路Rsは、狭隘流路形成片15,15の外径と、スペーサ16の外径と、スペーサ16の肉厚と、により適宜設定・調整することができる。つまり、狭隘流路Rsの幅や深さは、狭隘流路Rsを通して混合される流体Fの粘性や、混合される流体Fの分散相の微細化程度(ナノ化するモード径のレベル)等に応じて設定する。ここでのナノ化とは、ナノレベルに微細化することであり、ナノレベルとは、分散相が1μm以下を含む粒径まで微細化されたレベルをいう。狭隘流路Rsの幅は、後記する狭隘流路形成片15の突出幅W1によって決定される。また、狭隘流路Rsの深さは、後記するスペーサ16の肉厚W2によって決定される。したがって、狭隘流路Rsの幅や深さは、本片10aに所望の狭隘流路形成片15とスペーサ16を適宜付け替えることで、簡単に調整することができる。
【0046】
具体的に説明すると、流体Fの粘性が大きい(小さい)場合には、
図1に示すように、狭隘流路形成片15,15の外径とスペーサ16の外径との相対的な外径の差である狭隘流路形成片15,15の突出幅W1を大きく(小さく)設定する。そして、スペーサ16の肉厚W2を大きく(小さく)設定して、扁平な狭隘流路Rsの流路断面積が大きく(小さく)なるようにする。また、流体Fの分散相を微細化したい場合には、その微細化程度に比例させて、突出幅W1を大きく設定する。そして、スペーサ16の肉厚W2を小さく・薄肉に設定して、狭隘流路Rsがより扁平に狭隘化されるようにする。ここで、突出幅W1は、肉厚W2の2倍以上、好ましくは、2倍〜5倍の範囲で適宜設定・調整することができる。
【0047】
狭隘流路形成片15は、可及的に薄肉化させて形成することができる。また、狭隘流路形成片15は、その先端縁部の両面を両刃状にテーパー面となして先鋭化させることもできる。また、狭隘流路形成片15は、一個おきに突出幅W1を短幅に形成して、流入口と流出口を拡径化させることもできる。このように狭隘流路形成片15を形成することで、テーパー面や拡径化させた流入口を介して、各狭隘流路Rsへの流体Fの流入を円滑化させるとともに、各狭隘流路Rsからの流体Fの流出を円滑化させることができる。特に、このように形成された狭隘流路形成片15では、狭隘化された狭隘流路Rsへの流体流入・流出の円滑化に顕著な効果があり、その結果、相乗的に圧力損失低減化と分散相微細化の効果を向上させることができる。
【0048】
ナット17は、金属製素材又は合成樹脂製素材により厚肉短筒状に形成しており、後述する配設孔よりも小径に形成するとともに、中央部に、支持片10の雄ネジ部に螺着可能な雌ネジ部(図示せず)を形成している。
【0049】
上記のように、混合処理体A1は、支持体10の本片10aに、各挿通孔を介して、第1ワッシャ11と、第1弾性素材片13と、交互に配置した複数の狭隘流路形成片15及びスペーサ16と、第2弾性素材14と、第2ワッシャ12と、を順次挿通するとともに、支持体10の雄ネジ部にナット17の雌ネジ部を螺着して一体的に構成している。
【0050】
交互に配置した各狭隘流路形成片15と各スペーサ16は、ナット17が締め付け方向に螺着されて、本片10aの軸線方向に圧接状態に押圧されることで、分流部Dfと案内部Guとを保形する。すなわち、流体流路R内に、その軸線方向と交差(好ましくは、直交)する方向に軸線を向けて混合処理体A1を配置した際には、流体流路Rの上流側に対面するように配置された部分が分流部Dfとして形成されるとともに、分流部Dfによって分流された流体Fを下流側へ案内する一対の案内部Guが形成される。つまり、一側方
の案内部Guと他側方の案内部Guが分岐状態に形成される。それと同時に、各案内部Guには、狭隘流路Rsが流体流路Rの上流側から下流側に向けて延伸する扁平状に形成されるとともに、本片10aの軸線方向に複数(本実施例では、多数)の狭隘流路Rsが並列的に形成される。また、支持体10の雄ネジ部からナット17の雌ネジ部を螺着解除して取り外すことで、本片10aから各狭隘流路形成片15と各スペーサ16を簡単に取り外して、それらを所望の形状のものと取り替えることができる。つまり、混合処理体A1のメンテナンスや狭隘流路Rsの扁平度等の調整を簡単に行うことができる。
【0051】
上記のように構成した混合処理体A1は、混合処理対象である複数の異なる流体Fが流動する流体流路R内に、その軸線方向と交差(好ましくは、直交)する方向に軸線を向けて配置する。そうすると、流体流路R内を流動する流体Fが、混合処理体A1の分流部Dfに衝突するとともに、混合処理体A1の案内部Guの周面に沿って二又状(二分割状態)に分流されて、混合処理体A1の背後で合流される。この際、案内部Guの周面に沿って分岐された流体Fは、支持片10の軸線方向に並列状態に形成された多数の狭隘流路Rs内に流入して、さらに多分割状態に分流される。各狭隘流路Rs内を流動して通過した流体Fは、混合処理体A1の背後で渦流ないしは乱流を発生させて、渦流ないしは乱流によって流体Fの分散相が微細化される。
【0052】
そして、流体Fは、比較的幅広の流体流路Rから幅狭の(狭隘な)狭隘流路Rs内に分流して流入する際に、また、狭隘流路Rsから流体流路Rに流出して合流する際に、流体F間に速度差が生じてせん断力が生起される。その結果、流体Fの分散相は、せん断力によっても微細化される。また、狭隘流路Rs内を通過する流体Fの通過流速は、狭隘流路Rsが狭隘化されている程、増大されて、上記した微細化の効率が向上される。ここで、混合処理体A1は、流体流路R中に流体Fが線対称に二又状に分岐(二分割状態に分流)されるように配置して、多数の狭隘流路Rsを通して流体Fの一部の分散相を微細化するようにしているため、全体的な流れの損失、つまり、圧力損失を低減させることができる。
【0053】
[第2実施例としての混合処理体の構成についての説明]
図4に示すA2は、第2実施例としての混合処理体である。混合処理体A2は、
図4に示すように、ボルト状に形成した片持ち支持片70と、複数(本実施例では、9枚)の狭隘流路形成片15と、複数(本実施例では、9枚)のスペーサ16と、ナット17と、ナット17を嵌合状態に被覆する嵌合被覆片71と、を具備している。そして、混合処理体A2は、第1実施例の混合処理体A1と同様に、狭隘流路形成片15とスペーサ16とにより分流部Dfと案内部Guとが形成されるとともに、案内部Guに狭隘流路Rsが片持ち支持片70の軸線方向に多数並列状態に形成されるようにしている。
【0054】
片持ち支持片70は、断面円形に形成した棒状の片持ち本片70aの基端部に、その半径方向に膨出させて操作用凹部付頭部70bとOリング嵌合部70cと取付用雄ネジ部70dを軸線方向に隣接させて同軸的に一体成形する一方、片持ち本片70aの先端部の周面にナット17を螺着するための雄ネジ部(図示せず)を形成している。片持ち支持片70は、金属製素材又は合成樹脂製素材により一体成形している。片持ち本片70aは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に基端部を取り付けた際に、流路形成ケース20の軸線位置(中心部)に先端部が位置するように全長を設定している。
【0055】
操作用凹部付頭部70bは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に形成した各配設孔84,85の孔径よりも大径の円板状に形成している。操作用凹部付頭部70bの天井面中央部には、螺着操作具の先端部を嵌入させて螺着・解除操作するための操作用凹部70eを形成している。
【0056】
Oリング嵌合部70cは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に形成した各配設孔84,85の孔径よりも小径の円板状に形成している。操作用凹部付頭部70bと取付用雄ネジ部70dとの間において、凹条に形成されるOリング嵌合部70cの外周面には、シール材としてのOリング72を外嵌可能としている。
【0057】
取付用雄ネジ部70dは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に形成した各配設孔84,85の孔径よりも小径、かつ、Oリング嵌合部70cよりも大径の円板状に形成して、その外周面に雄ネジ部70fを形成している。雄ネジ部70fは、後述する各配設孔84,85の内周面に形成した雌ネジ部(図示せず)に螺着可能としている。
【0058】
嵌合被覆片71は、弾性ゴム等の弾性素材によりナット17を嵌合状態に被覆するキャップ状に形成している。嵌合被覆片71は、その外径をスペーサ16の外径と同径に形成している。嵌合被覆片71の外周面には、2枚の狭隘流路形成片15,15をスペーサ16の肉厚W2の間隔をあけて外方へ張り出し状に取り付けている。そして、嵌合被覆片71の外周には、狭隘流路Rsを形成している。嵌合被覆片71の天井部71aは、扁平に形成している。
【0059】
上記のように、混合処理体A2は、片持ち支持片70の片持ち本片70aに、各挿通孔を介して、交互に配置した複数の狭隘流路形成片15及びスペーサ16と、第2弾性素材14と、第2ワッシャ12と、を順次挿通するとともに、片持ち支持片70の雄ネジ部にナット17の雌ネジ部を螺着し、ナット17には嵌合被覆片71を外嵌して一体的に構成している。
【0060】
上記のように構成した混合処理体A2は、混合処理対象である複数の異なる流体Fが流動する流体流路R内に、その軸線方向と交差(好ましくは、直交)する方向に軸線を向けて配置する。混合処理体A2は、二個一対にして同一直線上に嵌合被覆片71,71同士を対向させて配置、つまり、線対称ないしは点対称に配置することができる。具体的に説明すると、二個の混合処理体A2,A2は、流体流路Rの軸線方向(延伸方向)と交差(本実施例では直交)する方向に軸線を向けて仮想同一平面上に配設している。より具体的に説明すると、二個の混合処理体A2,A2は、それらの各軸線を仮想同一平面上に線接触させて配置している。対向する嵌合被覆片71,71の扁平な天井部71a,71a同士は、押圧状態に突き合わせて面接触させている。
【0061】
流体Fは、直状に配置された二個の混合処理体A2,A2の片持ち本片70a,70aの分流部Df,Dfによって二分割状態に分流されるとともに、各片持ち本片70aの案内部Guに形成した多数の狭隘流路Rs、並びに、各嵌合被覆片71の外周に形成した狭隘流路Rsに流体Fの一部が多数分割状態に流入して、さらに多分割状態に分流される。そうすることで、混合処理体A2でも、前記した混合処理体A1と同様に混合処理機能が生起されるようにすることができる。
【0062】
[第2実施例としての混合処理体の変形例についての説明]
図5は、第2実施例としての混合処理体A2の変形例を示している。混合処理体A2の変形例では、流体流路Rの流路断面内に三個一組の混合処理体A2を配置するとともに、相互に先端部を接触させる一方、三個の接触点を中心に基端部を流路形成ケース20の周方向に相互に120度の角度をあけた離隔状態に配置している。具体的に説明すると、三個の混合処理体A2,A2,A2は、流体流路Rの軸線方向(延伸方向)と交差(本実施例では直交)するように配置した仮想同一平面上に配設している。より具体的に説明すると、三個の混合処理体A2,A2,A2は、それらの各軸線を仮想同一平面上に線接触させて配置している。
【0063】
嵌合被覆片71は、天井部71aを円錐状に形成するとともに、頂部の断面角度を120度に形成している。そして、三個の混合処理体A2の各嵌合被覆片71の天井部71aに形成された円錐面同士は、相互に押圧状態に線接触さらには面接触させて、流体Fが三個の混合処理体A2,A2,A2の分流部Df,Df,Dfにより三分割状態に分流されるとともに、各片持ち本片70aの案内部Guに形成した多数の狭隘流路Rs、並びに、各嵌合被覆片71の外周に形成した狭隘流路Rsに流体Fの一部が流入して、さらに多分割状態に分流される。そうすることで、混合処理体A2の変形例でも、前記した混合処理体A1,A2と同様に混合処理機能が生起されるようにすることができる。
【0064】
混合処理体A2の他の変形例としては、流路形成ケース20内に形成される流体流路Rの流路断面内、つまり、仮想同一平面上に四個の混合処理体A2を十字状に配置して構成することもできる。この変形例では、流体Fが四個の混合処理体A2の分流部Dfにより四分割状態に分流されるとともに、各混合処理体A2の案内部Guに形成した多数の狭隘流路Rs、並びに、各嵌合被覆片71の外周に形成した狭隘流路Rsに流体Fの一部が流入して、さらに多分割状態に分流される。そうすることで、この変形例では、前記した混合処理体A1と同様に、さらには、それ以上に混合処理機能が生起されるようにすることができる。この際、嵌合被覆片71の天井部71aは、円錐状に形成するとともに、頂部の断面角度を90度に形成して、隣接する天井部71a,71a同士が線接触さらには面接触し易いようにする。また、仮想同一平面上には、五個以上の混合処理体A2を配設して、各混合処理体A2の基端部を流路形成ケース20にその周方向に間隔をあけて片持ち状態に取り付けるとともに、各混合処理体A2の先端部を流路形成ケース20の軸線に向けて集中的に配置することもできる。
【0065】
[第3実施例としての混合処理体についての説明]
図6に示すA3は、第3実施例としての混合処理体であり、混合処理体A3は、前記した混合処理体A1と同様に、流体流路R内において上流側から下流側に向けて流動する流体Fを二又状に分流させる分流部Dfと、分流部Dfによって二又状に分流された流体Fを下流側へ案内する案内部Guと、案内部Guに設けて、流体Fの一部を下流側へ誘導しながら混合処理を促進する狭隘流路Rsと、を有している。混合処理体A3は、
図6に示すように、丸棒状に形成した支持片80と、支持片80の基端部と先端部にそれぞれ外嵌したシール材としてのOリング82,83と、を具備している。
【0066】
支持片80は、断面円形に形成した棒状の本片80aの基端部に、その半径方向に膨出させて操作用凹部付頭部80bとOリング嵌合部80cと取付用雄ネジ部80dを軸線方向に隣接させて同軸的に一体成形している。ここでの支持片80は、金属製素材又は合成樹脂製素材により一体成形している。本片80aは、後述する流体混合器B1の流路形成ケース20を横断可能な長さ、つまり、流路形成ケース20の外径よりもやや長幅に設定している。
【0067】
操作用凹部付頭部80bは、後述する流体混合器B1の流路形成ケース20に複数形成した同一円形孔である一方の各配設孔84の孔径よりも大径の円板状に形成している。操作用凹部付頭部80bの天井面中央部には、螺着操作具の先端部を嵌入させて螺着・解除操作するための操作用凹部80eを形成している。
【0068】
Oリング嵌合部80cは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に複数形成した一方の各配設孔84の孔径よりも小径の円板状に形成している。操作用凹部付頭部80bと取付用雄ネジ部80dとの間において、凹条に形成されるOリング嵌合部80cの外周面には、シール材としてのOリング82を外嵌可能としている。
【0069】
取付用雄ネジ部80dは、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に複数形成し
た一方の各配設孔84の孔径よりも小径、かつ、Oリング嵌合部80cよりも大径の円板状に形成して、その外周面に雄ネジ部80fを形成している。雄ネジ部80fは、後述する一方の各配設孔84の内周面に形成した雌ネジ部(図示せず)に螺着可能としている。
【0070】
本片80aの先端部には、段付き小径部80gを形成し、段付き小径部80gの外周面中途部には、Oリング嵌合部80hを凹条に形成している。Oリング嵌合部80hの外周面には、シール材としてのOリング83を外嵌している。後述する流体混合器B2の流路形成ケース20には、流路形成ケース20の軸線と交差(本実施例では直交)する方向に一方の配設孔84と他方の配設孔85を対向させて形成している。一方の配設孔84は、本片80aの外形よりも大径で、かつ、操作用凹部付頭部80bの外形よりも小径に形成している。第3実施例としての混合処理体A3を配備する流路形成ケース20に形成した他方の配設孔85は、第1,2実施例としての混合処理体A1,A2を配備する流路形成ケース20に形成した他方の配設孔85と異なっており、外周側半部を段付き小径に形成している。配設孔85の外周側半部には、一方の配設孔84から挿入した本片80aの段付き小径部80gが、Oリング83を介して密着状態に嵌入するようにしている。両方の配設孔84,85は、複数組を流路形成ケース20に、その軸線方向に間隔をあけて形成している。
【0071】
取付用雄ネジ部80dと段付き小径部80gとの間に位置する本片80aの部分は、雄ネジ部80fの外形よりもやや小径の断面円形棒状に形成した断面円形棒状部80iとなしている。そして、断面円形棒状部80iには、凹条部としてのリング状の溝部86を、断面円形棒状部80iの軸線方向に一定の間隔をあけて多数形成して、各溝部86内に狭隘流路Rsを形成している。すなわち、混合処理体A3は、流体流路R内において上流側から下流側に向けて流動する流体Fと対面する断面円形棒状部80iの部分を分流部Dfとなし、断面円形棒状部80iの両側面部を案内部Guとなして、案内部Guに狭隘流路Rsを形成している。ここで、リング状とは、断面円形棒状部80iをその軸線と直交状態に横断して横断面視した溝部86の形状である。W3は、断面円形棒状部80iの半径方向に形成される溝部86の深さ、W4は、断面円形棒状部80iの軸線方向に形成される溝部86の幅である。ここでの溝部86の深さW3や溝部86の幅W4の大きさは、流体Rの粘性等に適応させて適宜設定することができる。
【0072】
溝部86を形成する対向面同士は、溝部86の開口する外周側から内周側に向けて漸次先鋭化するテーパー面となすこともできる。このように溝部86を形成することで、テーパー面を介して、各狭隘流路Rsへの流体Fの流入を円滑化させるとともに、各狭隘流路Rsからの流体Fの流出を円滑化させることができる。特に、このように形成された溝部86では、狭隘化された狭隘流路Rsへの流体流入・流出の円滑化に顕著な効果があり、その結果、相乗的に圧力損失低減化と分散相微細化の効果を向上させることができる。
【0073】
なお、断面円形棒状部80iの外周面に、凸条部としての狭隘流路形成片(図示せず)を断面円形棒状部80iの軸線方向に一定の間隔をあけて多数を鍔状に一体成形することで、隣接する一対の狭隘流路形成片間に溝部86をリング状に一体成形することもできる。ここで、リング状とは、断面円形棒状部80iをその軸線と直交状態に横断して横断面視した溝部86の形状である。そして、各溝部86内には、それぞれ狭隘流路Rsを形成することができる。ここでの狭隘流路形成片の外径は、取付用雄ネジ部80dの外形よりもやや小径に形成し、断面円形棒状部80iの外径は、溝部86の深さW3を有効に確保可能な径に形成する。
【0074】
上記のように構成した混合処理体A3では、前記した混合処理体A1と同様の効果が生起される。
【0075】
[第4実施例としての混合処理体についての説明]
図7に示すA4は、第4実施例としての混合処理体である。混合処理体A4は、
図7に示すように、前記した混合処理体A3と基本構造を同じく構成して、分流部Dfと案内部Guと狭隘流路Rsとを有しているが、先端部に段付き小径部80gを設けることなく、先端を膨出状円弧面となし、しかも、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20の軸線位置(中心部)の近傍に先端部が位置するように全長を設定している点で異なっている。
【0076】
すなわち、混合処理体A4は、
図7に示すように、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20に取り付けている。流路形成ケース20は、その軸線と交差(本実施例では直交)する方向に同一円形孔である一対の配設孔84,85を対向させて形成して、各配設孔84,85にそれぞれ二個一対の混合処理体A4,A4を取り付けている。このように二個一対の混合処理体A4,A4は、各配設孔84,85に各基端部を片持ち状態に螺着して取り付けるとともに、流路形成ケース20の軸線位置(中心部)にて先端部同士を対向させて配置している。
【0077】
具体的に説明すると、二個一対の混合処理体A4,A4は、流体流路Rの軸線方向(延伸方向)と交差(本実施例では直交)する方向に軸線を向けて仮想同一平面上に配設している。より具体的に説明すると、二個一対の混合処理体A4,A4は、それらの各軸線を仮想同一平面上に線接触させて配置している。二個一対の混合処理体A4,A4は、複数対を流路形成ケース20に、その軸線方向に間隔をあけて配設することができる。
【0078】
上記のように構成した混合処理体A4では、前記した混合処理体A1,A2,A3と同様の効果が生起される。
【0079】
[第4実施例としての混合処理体の変形例についての説明]
図8は、第4実施例としての混合処理体A4の変形例を示している。混合処理体A4の変形例では、流体流路Rの流路断面内に三個一組の混合処理体A4,A4,A4を配置している。すなわち、混合処理体A4は、
図8に示すように、後述する流体混合器B2の流路形成ケース20の軸線を中心に流路形成ケース20の周方向に相互に120度の角度をあけて同一円形孔に形成した配設孔84(85),84(85),84(85)に、それぞれ取り付けている。三個一組の各混合処理体A4は、各配設孔84(85)に各基端部を片持ち状態に螺着して取り付けるとともに、流路形成ケース20の軸線位置(中心部)にて先端部同士を集中的に近接させて配置している。
【0080】
具体的に説明すると、三個一組の混合処理体A4,A4,A4は、流体流路Rの軸線方向(延伸方向)と交差(本実施例では直交)する方向に軸線を向けて仮想同一平面上に配設している。より具体的に説明すると、三個の混合処理体A4,A4,A4は、それらの各軸線を仮想同一平面上に線接触させて配置している。三個一組の混合処理体A4,A4,A4は、複数組を流路形成ケース20に、その軸線方向に間隔をあけて配設することができる。
【0081】
混合処理体A4の他の変形例としては、流体流路Rの流路断面内、つまり、仮想同一平面上に四個の混合処理体A4を十字状に配置することも、また、五個以上の混合処理体A4を流路形成ケース20の軸線を中心とする半径方向に向けて配置することもできる。
【0082】
上記のように構成した混合処理体A4の変形例でも、前記した混合処理体A1,A2,A3と同様の効果が生起される。
【0083】
[第5実施例としての混合処理体についての説明]
図9に示すA5は、第5実施例としての混合処理体である。混合処理体A5は、
図9に示すように、前記した第3実施例としての混合処理体A3と基本構造を同じく構成して、分流部Dfと案内部Guと狭隘流路Rsとを有しているが、断面円形棒状部80iの外周面に、凹条部としての一条の溝部87を螺旋状に一体成形して、溝部87内に狭隘流路Rsを形成している点で異なる。ここでの狭隘流路Rsは、断面円形棒状部80iの軸線の周りにその軸線に沿わせて延伸させた一条の螺旋状に形成している。
【0084】
W5は、断面円形棒状部80iの半径方向に形成される溝部87の深さ、W6は、断面円形棒状部80iの軸線方向に形成される溝部87の幅である。θは、溝部87の螺旋角であり、螺旋角θは、
図9に示す側面視において、断面円形棒状部80iの軸線と溝部87の接線とがなす鋭角である。螺旋角θは、溝部87内に形成される狭隘流路Rs内に流体が流入し易いように90度に近い角度に形成するのが望ましい。第5実施例としての混合処理体A5を配備する流路形成ケース20に形成した他方の配設孔85も、第3実施例としての混合処理体A3を配備する流路形成ケース20に形成した他方の配設孔85と同様に、外周側半部を段付き小径に形成しており、外周側半部には、本片80aの段付き小径部80gが、Oリング83を介して密着状態に嵌入するようにしている。
【0085】
断面円形棒状部80iの外周面には、凸条部としての一対の狭隘流路形成片(図示せず)を断面円形棒状部80iの軸線方向に沿わせて螺旋状に一体成形し、断面円形棒状部80iの軸線方向に隣接する狭隘流路形成片間に一条の溝部87を形成して、溝部87内に狭隘流路Rsを螺旋状に形成することもできる。ここでの狭隘流路Rsは、断面円形棒状部80iの軸線の周りにその軸線に沿わせて延伸する一条の螺旋状に形成している。また、狭隘流路形成片の螺旋角(
図9の符号「θ」参照)は、流体が流入し易い90度に近い角度に形成するのが望ましい。
【0086】
溝部87を形成する対向面同士は、前記した溝部86を形成する対向面同士と同様に、溝部87の開口する外周側から内周側に向けて(断面円形棒状部80iの半径方向に)漸次先鋭化するテーパー面となすこともできる。このようにテーパー面となした溝部87の対向面同士は、テーパー面となした前記溝部86の対向面同士が奏する効果と同様の効果を奏する。
【0087】
混合処理体A5は、第2実施例、第2実施例の変形例、第4実施例、及び、第4実施例の変形例と同様に、複数配設することができる。すなわち、複数の混合処理体A5は、流体流路Rの軸線方向(延伸方向)と交差(本実施例では直交)する方向に軸線を向けて仮想同一平面上に配設することができる。具体的に説明すると、複数の混合処理体A5は、各軸線を仮想同一平面上に線接触させて配置することができる。仮想同一平面上に線接触させて配置した複数の混合処理体A5は、それを一つの組として、複数の組を流路形成ケース20に、その軸線方向に間隔をあけて配設することができる。
【0088】
上記のように構成した混合処理体A5では、前記した混合処理体A1,A3と同様の効果が生起される。
【0089】
[第6実施例としての混合処理体についての説明]
図10に示すA6は、第6実施例としての混合処理体である。混合処理体A6は、
図10に示すように、前記した第1実施例〜第5実施例としての混合処理体A1〜A5と基本構造を同じく構成して、分流部Dfと案内部Guと狭隘流路Rsとを有している。
【0090】
すなわち、混合処理体A6は、帯状に形成した支持片300をその軸線を中心に捻じって螺旋状に形成するとともに、支持片300の両側面部にその延伸方向に延伸する凹条部としての多数の溝部310を短幅方向に並行させて形成している。各溝部310は、前端
部が前方に向けて開口する一方、後端部が後方に向けて開口し、側面部が外側方に開口する開口断面形状を矩形状に形成している。そして、流体流路R内において、その上流側に配置される支持片300の前端部を分流部Dfとなし、支持片300の両側面部を案内部Gu,Guとなして、各案内部Guに多数の溝部310を並列状態に形成するとともに、各溝部310内に狭隘流路Rsを形成している。W7は、溝部310の深さ、W8は、溝部310の開口幅であり、これらの深さW7と開口幅W8は、それぞれ混合処理対象である流体の種類等に応じて適宜設定することができる。また、溝部310は、支持片300の両側面部に、その延伸方向に沿って延伸する多数の凸条部を、支持片300の短幅方向に一定の間隔をあけて並行状態に一体成形することで、隣接する凸条部間に形成することもできる。なお、溝部310の開口断面形状は、前記した矩形状に限らず、V字状や円弧状等に形成することもできる。
【0091】
混合処理体A6は、後述する流体混合器B1若しくはB2の化粧ケース21内に、流路形成ケース20を配設することなく直接配置して、化粧ケース21内に導入された流体Fが分流部Dfに二又状に分流されるとともに、分流された流体Fの一部が両案内部Gu,Guに形成された狭隘流路Rs,Rs内に多分割状態に分流されて、各狭隘流路Rs内で下流側へ誘導されながら混合処理が促進され、各狭隘流路Rsの後端開口部から流出されて合流され、最終的に化粧ケース21から導出される。この際、各狭隘流路Rs内に流入された流体の一部は、螺旋状に形成された長尺の各狭隘流路Rs内にて流動されることで、円滑かつ堅実に混合処理される。つまり、狭隘流路Rsは、螺旋状に形成されることで、混合処理に有効な長さが確保される。なお、分流部Dfは、上流側に凸条の円弧面に形成して、この凸条円弧面の分流部dfによって流体Fが円滑に二又状に分流されるようにすることもできる。
【0092】
支持片300は、両面部の案内部Guに多数の狭隘流路Rsを並列させて形成して、前端部に分流部Dfを有する薄肉板状に形成することもできる。そして、この支持片300は、化粧ケース21内に複数個を相互に一定の間隔をあけて並列状態及び/又は直列状態に配置することで、狭隘流路Rsの混合処理に有効な長さを確保することもできる。
【0093】
[第7実施例としての混合処理体についての説明]
図11及び
図12に示すA7は、第7実施例としての混合処理体である。混合処理体A7は、
図11及び
図12に示すように、前記した第1実施例〜第6実施例としての混合処理体A1〜A6と基本構造を同じく構成して、分流部Dfと案内部Guと狭隘流路Rsとを有している。
【0094】
すなわち、混合処理体A7は、肉厚板状又はブロック状に形成した支持片400の両端面を平端面となすとともに、周面を流線形状面となして、分流部Dfの軸線を含む仮想平面(本実施例では仮想起立状平面)を中心とする面対称の形状に形成している。より具体的に説明すると、支持片400の周面は、その前端部を軸線方向に延伸する円弧条面に形成するとともに、中途部を後方へ向けて漸次縮幅させた一対の平面状に形成し、後端部を軸線方向に延伸する先鋭条面に形成して、全体的に流線形状面となしている。支持片400の周面には、リング状に形成した凹条部としての溝部410を、支持片400の軸線方向に間隔をあけて並行状態に多数形成している。各溝部410は、開口断面形状を、前記した各溝部310の開口断面形状と同様に、矩形状に形成している。そして、流体流路R内において、その上流側に配置される支持片400の前端部を分流部Dfとなし、支持片400の両側面部を案内部Gu,Guとなして、分流部Dfと各案内部Guからなる全周に多数の溝部410を並列状態に形成するとともに、各溝部410内にそれぞれ狭隘流路Rsを形成している。各狭隘流路Rsは、支持片400の軸線を横断する横断面視において、横断面形状をリング状に形成している。
【0095】
W9は、溝部410の深さ、W10は、溝部410の開口幅であり、これらの深さW9と開口幅W10は、それぞれ混合処理対象である流体の種類等に応じて適宜設定することができる。また、溝部410は、支持片400の周面に、鍔状に形成した多数の凸条部を、支持片400の軸線方向に一定の間隔をあけて並行状態に一体成形することで、隣接する凸条部間に形成することもできる。なお、溝部410の開口断面形状は、前記した矩形状に限らず、V字状や円弧状等に形成することもできる。
【0096】
混合処理体A7は、後述する流路形成ケース420内に配設して、流路形成ケース420内に導入された流体Fが分流部Dfに二又状に分流されるとともに、分流された流体Fの一部が両案内部Gu,Guに形成された狭隘流路Rs,Rs内に多分割状態に分流されて、各狭隘流路Rs内で下流側へ誘導されながら混合処理が促進され、各狭隘流路Rsの後端開口部から流出されて合流され、最終的に流路形成ケース420から導出される。この際、各狭隘流路Rsは、流線形状に形成された支持片400の周面に形成された溝部410内に形成されているため、各狭隘流路Rs内に流入された流体の一部は、流線形状の周面に沿って誘導されながら流動されることで、円滑かつ堅実に混合処理される。
【0097】
流路形成ケース420は、
図11に示すように、本体ケース430を六つの平面壁を有する六角形筒状に形成するとともに、各平面壁の前端面部に嵌合凸部440を設ける一方、各平面壁の後端面部に嵌合凸部440が嵌合するように整合させて形成した嵌合凹部450を設けている。本体ケース430の中央部には、混合処理体A7を配設しており、混合処理体A7は、平面となした支持片400の両端面を本体ケース430の平面壁の内面に面接触させて固定している。そして、単数の流路形成ケース420内に単数又は複数の混合処理体A7を配設して、流体混合器形成ユニットBuを形成している。なお、本体ケース430の形状は、六角形筒状に限られるものではなく、正多角形筒状に形成することもできる。
【0098】
流体混合器形成ユニットBuは、複数を直列に接続して、最上流側の流体混合器形成ユニットBuに後述する導入パイプ54の先端部を接続する一方、最下流側の流体混合器形成ユニットBuに後述する導出パイプ56の基端部を接続することで、流体混合器を構成することができる。この際、一方の本体ケース430の各嵌合凹部450に、他方の本体ケース430の各嵌合凸部440を嵌合させることで、複数の流体混合器形成ユニットBuを直列に接続することができる。
【0099】
また、上流側から下流側に向けて配置する各流体混合器形成ユニットBuは、各軸線廻りに順次60度の一定角度ずつ回転させた状態にて嵌合・接続することで、同軸上において各流体混合器形成ユニットBu内に配設している混合処理体A7の配設姿勢に、順次連続的な変化を持たせることができる。ここで、本体ケース430を正多角形筒状に形成している場合の前記した回転させる一定角度は、360度を正多角数で除して算出する。なお、単数の流体混合器形成ユニットBuの前端部に導入パイプ54の先端部を接続する一方、後端部に導出パイプ56の基端部を接続することで、流体混合器を構成することもできる。
【0100】
[本実施例に係る混合処理法についての説明]
本実施例に係る混合処理法は、混合処理対象である複数の異なる流体Fが流動する流体流路R内において、流体Fの一部を分流させるとともに、分流した流体Fを扁平な狭隘流路Rs内で流動させることで、流体Fの混合処理を促進させるようにしている。
【0101】
具体的に説明すると、混合処理法は、流体流路R内に前記した第1実施例〜第5実施例の混合処理体A1〜A5のいずれか一つの形態を、仮想同一平面上に単数又は複数を一組として配設することで、混合処理体A1〜A5のいずれか一つの形態により流体Fの一部
を二分割状態又は三分割以上の複数分割状態に分流させるとともに、分流した流体Fを混合処理体A1〜A5いずれかの形態に形成されている狭隘流路Rs内で流動させることで、流体Fの混合処理を促進させるようにしている。さらに、流体流路R内には、混合処理体A1〜A5のいずれかを流体流路Rの軸線方向に間隔をあけて複数組配置することで、流体Fの混合処理をより一層促進させることができる。
【0102】
この際、流体Fの分散相は、いずれかの混合処理体A1〜A5が備える狭隘流路Rs内における流体間速度差によって生起されるせん断力と、狭隘流路Rs内を流動して通過した後に、流体Fが各支持片10,70,80の背後で発生する渦流ないしは乱流と、によってナノレベル(望ましくは、分散相のモード径が1μm以下、より望ましくは、100nmの近傍)に微細化される。
【0103】
また、本実施例に係る混合処理法は、流体流路R内に前記した第6実施例又は第7実施例の混合処理体A6又はA7の形態を配設することで、流体Fの混合処理を促進させるようにもしている。さらに、流体流路R内には、混合処理体A6又はA7を流体流路Rの軸線方向に間隔をあけて複数配置することで、流体Fの混合処理をより一層促進させることもできる。
【0104】
[本実施例に係る混合生成流体の説明]
本実施例に係る混合生成流体は、流体流路R内において流動される混合処理対象である複数の異なる流体Fが、分流されるとともに、その一部が狭隘流路Rs内で流動されることで混合処理されて生成されたものである。
【0105】
具体的に説明すると、混合生成流体は、前記した本実施例に係る混合処理法によって、例えば、次のように混合処理されて生成されたものである。
【0106】
(1)連続相(分散媒)としての油又は水と、分散相(分散質)としての水又は油と、が混合処理されて生成された混合生成流体としての水−油系エマルションである。ここで、油として燃料油が採用されて生成されたものは、混合生成流体としてのエマルション燃料油である。
【0107】
(2)連続相としての水と、分散相としての酸素ガスと、が混合処理されて生成された混合生成流体としての酸素水である。ここで、酸素ガスが過飽和状態に溶存された酸素水は、混合生成流体としての高濃度酸素水(例えば、DO値(溶存酸素量)が9mg/L以上)である。
【0108】
(3)連続相としての水と、分散相としての窒素ガスと、が混合処理されて生成され、水中に窒素ガスが溶解された混合生成流体としての窒素水である。換言すると、DO値(溶存酸素量)が、例えば、1mg/L以下に生成された混合生成流体としての低濃度酸素水である。
【0109】
(4)連続相としての湯ないしは水と、分散相としての炭酸ガスと、が混合処理されて生成された混合生成流体としての人工的な高濃度炭酸泉である。ここで、高濃度炭酸泉とは、1リットル当たりの湯ないしは水に、1000ppm以上の炭酸ガス(遊離二酸化炭素)が溶解されたものである。
【0110】
(5)連続相としての液体肥料(液肥)と、分散相としての空気又は酸素ガスと、が混合処理されて生成され、液体肥料中に空気又は酸素ガスが溶解された混合生成流体としての空気又は酸素ガス含有液肥である。ここでの液体肥料は、液体状の有機肥料又は化成肥料であり、用途等に応じて適宜、希釈されている。
【0111】
(6)連続相としての液体と、分散相としての粉体と、が混合処理されて生成された混合生成流体である。ここでの液体としては、例えば、水を採用する一方、粉体としては、例えば、フコイダンを含有する海藻類を微細に切断したものを採用することができ、これらが混合処理されて生成されたものが混合生成流体としてのフコイダン含有水である。フコイダンは、モズク、メカブ、昆布などのヌルヌル成分の中に含まれる多糖類であり、癌(がん)の抑制効果等を有するものである。本実施例に係る混合処理法によれば、水中にフコイダンを堅実に抽出することができて、健康補助に有効なフコイダン含有水が生成される。
【0112】
[第1実施例としての流体混合器の構成についての説明]
図13〜
図16に示すB1は、第1実施例としての流体混合器である。流体混合器B1は、
図13〜
図16に示すように、前記した混合処理体A1と、混合処理体A1を取り付けた直円筒状の流路形成ケース20と、流路形成ケース20の外方に二重筒状に配置する直円筒状の化粧ケース21と、両ケース20,21の上流側に連通連結する上流側接続片22と、両ケース20,21の下流側に連通連結する下流側接続片23と、化粧ケース21の上流側端部に螺着して上流側接続片22を固定する上流側固定片24と、化粧ケース21の下流側端部に螺着して下流側接続片23を固定する下流側固定片25と、を具備している。
【0113】
流路形成ケース20は、流体Fが導入される導入口30と、導入口30から導入された流体Fが流動する流体流路Rと、流体流路Rから流体Fが導出される導出口31と、を具備し、流路形成ケース20内に複数(本実施例では、五個)の混合処理体A1を配設して構成している。
【0114】
具体的に説明すると、混合処理体A1は、流路形成ケース20の周壁にその軸線方向に延伸させて描いた二条一対の螺旋状(二重螺旋状)に形成した第1・第2仮想線K1,K2間において、流路形成ケース20の軸線と交差(本実施例では直交)するように、流路形成ケース20に横断貫通状に配置するとともに、第1・第2仮想線K1,K2の延伸方向に沿わせて、かつ、一定の間隔をあけて五個配置している。
【0115】
一対の第1・第2仮想線K1,K2は、
図17の展開説明図に示すように、流路形成ケース20を扁平板状に展開させた状態では、2本の直線を描いており、これらの直線は、流路形成ケース20の軸線を中心として180度対向するように平行させて配置している。第1仮想線K1上の位置には、前記した配設孔84の群である第1配設孔34a〜第5配設孔38aを、上流側から下流側に一定の間隔をあけて形成するとともに、第2仮想線K2上の位置には、前記した配設孔85の群である第1配設孔34b〜第5配設孔38bを、上流側から下流側に一定の間隔をあけて形成している。
【0116】
そして、扁平板状に展開させた流路形成ケース20を本来の円筒状に屈曲させて形成すると、一対の第1・第2仮想線K1,K2は、二重螺旋状に形成されるとともに、相互に流路形成ケース20の軸線を中心とする180度点対称の位置に配置される。また、一対の第1・第2仮想線K1,K2上に配置される一対の第1配設孔34a,34b〜第5配設孔38a,38bは、それぞれ流路形成ケース20の軸線と交差(本実施例では直交)する仮想同一平面上にあって、かつ、流路形成ケース20の軸線を中心とする180度点対称の位置(流路形成ケース20の同一直径上)に配置される。
【0117】
したがって、第1配設孔34a,34b〜第5配設孔38a,38bに、それぞれ混合処理体A1の先端部を一方の配設孔側から挿通するとともに、点対称の位置に対向配置された配設孔から先端部を突出させることで、流路形成ケース20中の同一直径上の位置にお
いて各混合処理体A1を横断貫通状に配置することができる。そして、五個の混合処理体A1は、基端部と先端部とがそれぞれ第1・第2仮想線K1,K2上に配置されるとともに、流路形成ケース20の軸線に沿って間隔をあけて配置されるとともに、相互に捩れの位置に配置される。すなわち、五個の混合処理体A1の軸線は、流体流路Rの軸線方向(流路形成ケース20の上流側ないしは下流側)から視認すると、流路形成ケース20の軸芯と直交し、その軸芯を中心に、流路形成ケース20の円周方向に順次一定角度で偏倚された位置に配置される。
【0118】
一対の第1配設孔34a,34b〜第5配設孔38a,38b中には、それぞれ混合処理体A1を、その支持体10の先端部側から抜き差し自在に挿入して取り付ける。この際、混合処理体A1は、予め、ナット17が弛緩された状態として、第1・第2弾性素材片13,14が半径方向の膨出変形されていない状態で一方の第1配設孔34a〜第5配設孔38a中に挿入する。そうすると、混合処理体A1は、流路形成ケース20内に形成される流体流路Rの円形軸断面の中心を通る位置(直径の位置)にて貫通横断する状態に配置される。第1ワッシャ11は、挿入した側の第1配設孔34a〜第5配設孔38aに外方から係止される。それと同時に、他方の第1配設孔34b〜第5配設孔38bからはナット17が流路形成ケース20から外方へ露出される。露出されたナット17を締め付けると、第1・第2弾性素材片13,14がそれらの軸線方向に押圧されて、各弾性素材片13,14がそれらの半径方向に膨出変形される。その結果、一対の第1配設孔34a,34b〜第5配設孔38a,38bの内周面には、各弾性素材片13,14の外周面が圧接(押圧状態に面接触)して、各弾性素材片13,14によるシール効果が生起される。そして、流路形成ケース20内に混合処理体A1が固定状態に取り付けられる。
【0119】
なお、流路形成ケース20からその半径方向に外方へ突出している頭部10bとナット17の周囲には、シール材としての止水材40をコーキング(充填)して、各配設孔34a〜38bを外方から閉塞している。そして、流体流路Rを流動する流体Fが、各配設孔34a〜38bを通して流路形成ケース20の外部へ漏出ないしは流出するのを止水材40により防止している。
【0120】
流路形成ケース20の内周面には、上流側端部と下流側端部にそれぞれ上・下流側溝部41,42を形成して、各溝部41,42にシール材としてのOリング状のガスケット43,44を嵌入させて配置している。
【0121】
化粧ケース21は、流路形成ケース20からその半径方向に外方へ突出する混合処理体A1の頭部10bとナット17を被覆するとともに、混合処理体A1の軸線方向の摺動を外方から規制(抜け止め)可能な内径に形成している。化粧ケース21は、流路形成ケース20と同一筒長に形成している。
【0122】
上流側接続片22は、
図13〜
図15に示すように、流路形成ケース20の導入口30に嵌入可能に形成した円筒状の嵌入部50と、嵌入部50の外周面端部に張り出し状に形成した鍔部51と、鍔部51の外面に嵌入部50と同軸的に突設した円筒状の接続部52と、を合成樹脂製素材により一体成形している。嵌入部50は、外径を流路形成ケース20の内径とほぼ同一径に形成して、ガスケット43を介して流路形成ケース20の内周面に密着させて抜き差し自在に嵌入可能としている。鍔部51は、内面が流路形成ケース20の端面に当接して、流路形成ケース20内へ嵌入される嵌入部50の嵌入幅を制限している。接続部52は、その内周面を基端側から先端側に漸次拡径するテーパー状に形成するとともに、その内周面に接続用雌ネジ部53を形成している。
【0123】
下流側接続片23は、流路形成ケース20の導出口31に取り付けるものであるが、上流側接続片22と同一形状に形成して、共用化可能としている。したがって、下流側接続
片23を流路形成ケース20の導入口30に取り付けることも、また、上流側接続片22を流路形成ケース20の導出孔31に取り付けることもできる。54は、導入パイプであり、端部に導入側雄ネジ部55を形成している。56は、導出パイプであり、端部に導出側雄ネジ部57を形成している。両雄ネジ部55,57は、接続用雌ネジ部53に着脱自在に螺着可能としている。
【0124】
上流側固定片24と下流側固定片25は、相互に同一形状に形成して、共用化可能としている。そして、上・下流側固定片24,25を介して、流路形成ケース20に上・下流接続片22,23を固定可能としている。これらの固定片24,25は、円筒状の固定部60,60と、各固定部60,60の外側周縁部から内方へ張り出し状に延設したリング板状の係合部61,61と、から形成している。固定部60は、内周面に固定用雌ネジ部62を形成しており、流路形成ケース20の端部に外嵌するとともに、化粧ケース21の外周面の端部に形成した上流側固定用雄ネジ部63(ないしは下流側固定用雄ネジ部64)に固定用雌ネジ部62を螺着することで、化粧ケース21に固定可能としている。係合部61は、接続部52に外嵌して、固定部60を締め付けることで、その内面が鍔部51の外面に当接状態に係合する。
【0125】
そして、係合部61は、鍔部51を流路形成ケース20の端面との間で挟持可能としている。その結果、流路形成ケース20の導入・出孔30,31に各固定片24,25を介して各接続片22,23を接続状態に固定することができる。また、各固定片24,25を反対に螺着解除することで、流路形成ケース20から各接続片22,23を取り外すことができる。
【0126】
上記のように、流路形成ケース20内に形成される流体流路Rは、流路形成ケース20の軸線と直交する断面形状に整合する円形の断面形状となるようにしている。単一の混合処理体A1は、流体流路R内に、その軸断面の直径に沿って配置されている。そのため、混合処理体A1の両側には、幾何学的に等価な形で迂回流路が対称化されて形成されて、迂回流路に沿って流体Fが二分割状態に分流されるとともに、混合流体A1の軸線方向に多数並列状態に形成されている狭隘流路Rsに流体Fの一部が多分割状態に分流されて、混合処理体A1の背後で流体Fが一体に合流される。そして、五個の混合処理体A1は、二重螺旋状に配置された第1・第2仮想線K1,K2に沿って相互に捩れの位置に配置されている。そのため、流体Fは、順次、五個の混合処理体A1に分流されながら螺旋流となって導出される。その結果、流体Fの流れの損失(圧力損失)が生じにくくなり、混合処理体A1の両側を通過する流体Fの通過流速も高められて、分散相の微細化効率が向上される。
【0127】
上記のように構成した第1実施例としての流体混合器B1は、第1実施例としての混合処理体A1を具備しているが、第1実施例としての混合処理体A1に代えて、第2実施例〜第7実施例としての混合処理体A2〜A7のいずれかを配備することもできる。
【0128】
[第2実施例としての流体混合器の構成についての説明]
図18〜
図20に示すB2は、第2実施例としての流体混合器である。流体混合器B2は、
図18〜
図20に示すように、前記した流体混合器B1と基本的構造を同様に構成しており、流路形成ケース20内に、前記した第2実施例としての混合処理体A2と、一対の上・下流側旋回流形成体32,33と、を配設している点で構造が異なっている。
【0129】
上流側旋回流形成体32は、流路形成ケース20内の上流側に配設している。一方、下流側旋回流形成体33は、流路形成ケース20内の下流側に配設している。そして、流路形成ケース20内の両旋回流形成体32,33間には、流体流路Rの延伸方向(流路形成ケース20の軸線方向)に間隔をあけて複数(本実施例では、五個)の混合処理体A2を
配置している。
【0130】
具体的に説明すると、混合処理体A2は、流路形成ケース20の周壁に、その軸線方向に延伸させて二重螺旋状に描いた第1・第2仮想線K1,K2の延伸方向に沿わせて、かつ、一定の間隔をあけて、二個一対ずつ五対配置している。すなわち、第1仮想線K1に沿わせて形成した第1配設孔34a〜第5配設孔38aと、第2仮想線K2に沿わせて形成した第1配設孔34b〜第5配設孔38bに、それぞれ混合処理体A2の基端部を取り付けるとともに、流路形成ケース20の軸線近傍に各先端部を配置している。各配設孔34a〜38bの内周面には、それぞれ前記した取付用雄ネジ部70dを螺着させるための雌ネジ部(図示せず)を形成している。各配設孔34a〜38bには、それぞれ混合処理体A2の先端部を流路形成ケース20の外方から内方へ向けて挿通するとともに、各雌ネジ部に取付用雄ネジ部70dを螺着して、流路形成ケース20に混合処理体A2を二個一対ずつ五対片持ち支持させている。
【0131】
この際、各配設孔34a〜38bには、Oリング嵌合部70cの外周面に外嵌したシール材としてのOリング72が圧接されるとともに、操作用凹部付頭部70bが外方から係止される。流路形成ケース20の半径方向に各軸線が対向する二個一対の混合処理体A2,A2は、嵌合被覆片71の天井部71aが押圧状態に突き合わされて面接触される。つまり、一対の混合処理体A2,A2は、流路形成ケース20中の直径の位置において、直状にかつ横断貫通状に配置される。そして、五対の混合処理体A1は、第1・第2仮想線K1,K2に沿って相互に捩れの位置に配置される。流路形成ケース20からその半径方向に外方へ突出している操作用凹部付頭部70bの周囲には、止水材40をコーキング(充填)して、各配設孔34a〜38bを外方から閉塞することで、流体流路Rを流動する流体Fが、各配設孔34a〜38bを通して流路形成ケース20の外部へ漏出ないしは流出するのを防止している。
【0132】
上流側旋回流形成体32と下流側旋回流形成体33は、合成樹脂により同様に形成しており、直棒状に形成した支軸32a,33aの外周面に、旋回流形成羽根32b,33bを螺旋状に膨出させて一体成形している。そして、両旋回流形成体32,33は、上流側(
図20の左側)からそれらの軸線方向に見て時計廻りに旋回流が形成されるようにしている。
【0133】
上流側旋回流形成体32は、流路形成ケース20内において、上流側接続片22の嵌入部50の先端面と、最上流側に配置された一対の混合処理体A2,A2との間に挟持状態で固定されている。また、下流側旋回流形成体33は、流路形成ケース20内において、下流側接続片23の嵌入部50の先端面と、最下流側に配置された一対の混合処理体A2,A2との間に挟持状態で固定されている。
【0134】
上記のように構成した流体混合器B2では、導入された流体Fが上流側旋回流形成体32により旋回流となって五対の混合処理体A2,A2に作用し、下流側旋回流形成体33により旋回流を確保したまま導出される。この際、各対の混合処理体A2,A2には、中心側よりも外周側の流速が大きい旋回流となって流体Fが作用するため、各混合処理体A2において、狭隘流路Rsへの流体Fの一部の流入が円滑になされる。その結果、流体Fの分散相の微細化と、分散相と連続相との均一混合化が堅実になされる。
【0135】
流体混合器B2は、上記した二個一対の混合処理体A2に代えて、前記した第2実施例の変形例としての三個一組の混合処理体A2を、三重螺旋状の仮想線の延伸方向に沿わせて、かつ、一定の間隔をあけて複数組配置することで、流体混合器B2の変形例を構成することもできる。また、流体混合器B2と同様に、流体混合器B1の流路形成ケース20内に、上・下流側旋回流形成体32,33を配設することで、流体混合器B1の変形例を
構成することもできる。
【0136】
上記のように構成した第2実施例としての流体混合器B2は、第2実施例としての混合処理体A2を具備しているが、第2実施例としての混合処理体A2に代えて、第1実施例、第3実施例〜第7実施例としての混合処理体A1、A3〜A7のいずれかを配備することもできる。
【0137】
[流体混合処理装置としての液液混合処理装置の構成についての説明]
図21に示すM1は、本実施例に係る流体混合処理装置としての液液混合処理装置である。液液混合処理装置M1は、異なる種類の流体を混合処理する流体混合処理装置の一形態であり、
図21に示すように、流体Fとしての液体である分散媒(例えば、燃料油)と、流体Fとしての液体である分散質(例えば、水)を、流体混合器B1又はB2により液・液混合処理して、混合処理液(例えば、エマルション燃料油)が生成されるように構成している。エマルション燃料油は、質量基準で燃料油と水の混合割合を適宜設定することができ、油滴が水に分散する水中油滴(O/W型)、又は、油中水滴(W/O型)となすことができる。
【0138】
液液混合処理装置M1は、
図21に示すように、分散媒を供給する分散媒供給部L1に基端部を接続した分散媒供給パイプ90の先端部と、分散質を供給する分散質供給部L2に基端部を接続した分散質供給パイプ91の先端部と、を導入パイプ54の基端部に接続し、導入パイプ54の先端部に流体混合器B1又はB2の導入口30を接続するとともに、流体混合器B1又はB2の導出口31に導出パイプ56の基端部を接続し、導出パイプ56の先端部に混合処理物を受ける混合処理物受部Reを接続している。混合処理物受部Reは、混合処理物を回収する回収部や、混合処理物としてのエマルション燃料油で燃焼する燃焼部を有する内燃機関等である。
【0139】
導出パイプ56の中途部には、第1還元三方弁V4を介して還元パイプ92の基端部を接続する一方、導入パイプ54の中途部には、第2還元三方弁V5を介して還元パイプ92の先端部を接続して、流体混合器B1又はB2を通過する循環流路を形成している。V6は、分散媒供給パイプ90の中途部に設けて、分散媒の供給流量を調整する分散媒供給量調整弁である。V7は、分散質供給パイプ91の中途部に設けて、分散質の供給流量を調整する分散質供給量調整弁である。V8は、導入パイプ54の中途部に設けて、分散媒と分散質の混合導入量を調整する混合導入量調整弁である。Peは、分散媒と分散質を流体混合器B1又はB2に圧送する加圧式のポンプである。
【0140】
上記のように構成した液液混合処理装置M1では、分散媒供給部L1から供給される適量の分散媒と分散質供給部L2から供給される適量の分散質を、流体混合器B1又はB2内に導入することで、分散媒と分散質は流体混合器B1又はB2内で混合処理され、流体混合器B1又はB2内で混合処理された混合処理物は、混合処理物受部Reに供給されるようにしている。この際、第1還元三方弁V4と第2還元三方弁V5を介して循環流路を形成することで、流体混合器B1又はB2内で混合処理される混合処理物を所望の回数だけ循環流路内にて循環させることができる。そうすることで、分散質の微細化精度と混合処理物の混合精度を所望の精度に向上させることができる。
【0141】
[第1実施例としての気液混合処理装置の構成についての説明]
図24に示すC1は、流体混合処理装置である第1実施例としての気液混合処理装置である。気液混合処理装置C1は、異なる種類の流体を混合処理する流体混合処理装置の一形態であり、
図24に示すように、流体Fとしての液体と、流体Fとしての気体を、循環流路Jを通して加圧式循環用のポンプPaにより循環させながら気液混合処理するように構成している。
【0142】
循環流路Jには、液体を収容する液体収容タンクTと、ポンプPaと、流体混合器B1と、を直列的に順次配設するとともに、ポンプPaと流体混合器B1との間に位置する循環流路Jの部分には、気体供給パイプGpを介して、気体を供給する気体供給部Gfを接続して、気体供給部Gfの下流側に配設した流体混合器B1内で、気体と液体を混合処理するようにしている。気体供給パイプGpの中途部には、気体の供給量を調整するための気体供給量調整弁V1を設けている。なお、本実施例では、流体混合器B1を採択しているが、流体混合器B1に代えて、その変形例、流体混合器B2、又は、その変形例を適宜採択することもできる。
【0143】
より具体的に説明すると、循環流路Jは、ポンプPaの吸引口に基端部を接続した吸引パイプ1と、ポンプPaの吐出口に基端部を接続して、中途部に流体混合器B1を配設した吐出パイプ2と、液体収容タンクTと、から形成している。吸引パイプ1の先端部(自由端部)には、吸引フィルタ3を取り付けて、液体収容タンクT内の液中に吸引フィルタ3を配置している。一方、吐出パイプ2の先端部(自由端部)には、吐出フィルタ4を取り付けて、液体収容タンクT内に配置している。吐出パイプ2は、流体混合器B1に流体Fを導入する導入パイプ54と、流体混合器B1から混合処理した流体Fを導出する導出パイプ56とから形成している。なお、流体混合器B1は、導出パイプ56を取り外した状態で、液体収容タンクT内に収容された液体中に浸漬させて配置することもでき、この場合、配管スペース等を削減することができる。
【0144】
そして、ポンプPaにより、液体収容タンクT内に収容された液体を、吸引パイプ1を通して吸引するとともに、吐出パイプ2を通して液体収容タンクT内に吐出することで、液体収容タンクT内に収容された液体を、循環流路Jを通して循環させることができる。この際、吐出パイプ2の中途部に接続した気体供給部Gfの下流側には、流体混合器B1を配設しており、流体混合器B1には、気体供給部Gfから供給された気体と液体収容タンクT内から吸引された液体が導入(供給)される。流体混合器B1内では、気体と液体が均一に混合処理されるとともに、分散相としての気体が微細化されて、液体収容タンクT内に導出される。このように、気体と液体は、循環流路Jを通して一定回数、ないしは、一定時間だけ循環させることで、気体をナノレベルに微細化するとともに、気体と液体とをより一層均一に混合処理することができる。
【0145】
第1実施例としての気液混合処理装置C1では、流体混合器と、それに導入する液体と気体の組み合わせを変更することで、所望の気液混合処理液を生成することができる。すなわち、気液混合処理装置C1は、流体混合器として、適宜、流体混合器B1、その変形例、流体混合器B2、又は、その変形例のいずれかを採択し、液体収容タンクTに収容する液体として、適宜、水、海水、塩水等のいずれかを採択し、気体供給部Gfから供給される気体として、適宜、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のいずれかを採択することで、所望の気液混合処理液を生成するように構成することができる。
【0146】
例えば、気液混合処理装置C1は、次のように構成することができる。すなわち、液体としての養殖水と気体としての酸素ガスを導入して高濃度酸素水Woを生成するように構成することができる。また、液体としての水と気体としての窒素ガスを導入して窒素水(低濃度酸素水)を生成するように構成することができる。また、液体としての温水(好ましくは40℃以下の温水)と気体としての二酸化炭素ガスを導入して高濃度炭酸泉を人工的に生成するように構成することができる。なお、高濃度炭酸泉を生成する気液混合処理装置C1では、液体収容タンクTとして浴槽や足湯槽を採択する。また、適宜希釈した液体としての液体肥料(液肥)と気体としての空気又は酸素ガスとを混合処理して、液体肥料中に空気又は酸素ガスが溶解された混合生成流体としての空気又は酸素ガス含有液肥を生成するように構成することができる。ここでの空気又は酸素ガス含有液肥を生成する気
液混合処理装置C1は、植物を栽培する栽培部に空気又は酸素ガス含有液肥を供給可能に配備して、植物栽培システムの一部を構築することができる。
【0147】
[第2実施例としての気液混合処理装置の構成についての説明]
図22に示すC2は、流体混合処理装置である第2実施例としての気液混合処理装置であり、気液混合処理装置C2は、小型の漁船Fbに配設された水槽T1内に貯留した海水ないしは冷温海水中に、流体混合器付水中ポンプN1(以下、単に「混合器付ポンプN1」とも称する。)を浸漬して構成している。混合器付ポンプN1は、
図22に示すように、手軽に持ち運び可能な水中ポンプPd(例えば、電力が190Wのもの)に流体混合器B1又はB2を一体的に取り付けている。
【0148】
すなわち、混合器付ポンプN1は、
図23に示すように、水中ポンプPdの吐出口130に導入パイプ54を介して流体混合器B1又はB2の導入口30を接続し、流体混合器B1又はB2の導出口31に導出パイプ56を接続している。水中ポンプPdは、電動式のモーター部100と、モーター部100に連動連設した吸入部110と、吸入部110に連通連設した吐出部120と、を具備している。モーター部100には、電気ケーブル140を介して、漁船Fbに搭載されているバッテリーBa(例えば、直流電圧が24V、電流が8Aのもの)を接続するようにしている。つまり、漁船Fbに搭載されているバッテリーBaにより水中ポンプPdを作動可能としている。
【0149】
導入パイプ54の中途部には、気体供給パイプGpを介して、気体を供給する第1気体供給部Gf1と第2気体供給部Gf2とを並列的に接続している。気体供給パイプGpの中途部には、第1気体供給部Gf1と第2気体供給部Gf2との連通を択一的に切替える三方切替弁V9と、三方切替弁V9の下流側に位置させて気体の供給量を調整するための気体供給量調整弁V10と、を設けている。第1気体供給部Gf1と第2気体供給部Gf2は、それぞれ異なる種類の気体を供給可能としており、本実施例では、第1気体供給部Gf1から窒素ガスボンベに充填した窒素ガスを供給可能とする一方、第2気体供給部Gf2から酸素ガスボンベに充填した酸素ガスを供給可能としている。
【0150】
上記のように構成した気液混合処理装置C2では、小型の漁船Fbの水槽T1内に貯留した海水ないしは冷温海水中に混合器付ポンプN1を浸漬し、水中ポンプPdのモーター部100を作動させることで、モーター部100に連動連設した吸入部110を吸入作動させて海水ないしは冷温海水を吸入し、吸入部110に連通連設した吐出部120→吐出口130→導入パイプ54に導入するとともに、導入パイプ54に第1気体供給部Gf1(第2気体供給部Gf2)から窒素ガス(酸素ガス)を導入して、流体混合器B1又はB2に導入口30を通して導入させる。
【0151】
流体混合器B1又はB2に圧送状態で導入された海水ないしは冷温海水と窒素ガス(酸素ガス)は、流体混合器B1又はB2内で流動することで気液混合処理され、導出口31から導出パイプ56を通して水槽T1内に貯留した海水ないしは冷温海水中に還元さらには流体混合器B1又はB2内を通して循環されて繰り返し気液混合処理がなされる。
【0152】
その結果、水槽T1内に貯留した海水ないしは冷温海水中に窒素ガス(酸素ガス)を溶解させた窒素水(酸素水)、換言すると、DO値(溶存酸素量)を、例えば、1mg/L以下(9mg/L以上)となした低濃度酸素水(高濃度酸素水)となすことができる。
【0153】
したがって、小型の漁船Fbに乗って漁に行く際には、漁場まで移動する間に、水槽T1内に、貯留した海水ないしは冷温海水中に窒素ガス(酸素ガス)を溶解させた低濃度酸素水(高濃度酸素水)を生成しておくことで、漁場において収穫した魚介類を低濃度酸素水(高濃度酸素水)中に投入することができる。
【0154】
この際、低濃度酸素水(高濃度酸素水)は、漁場まで移動する間に短時間で、例えば、500Lの海水ないしは冷温海水を30分以内に生成することができるため、低濃度酸素水(高濃度酸素水)の生成作業が、漁場における魚介類の収穫作業に支障となることがない。しかも、混合器付ポンプN1は、一人の人力により手軽に水槽T1に出し入れすることができて、窒素水である低濃度酸素水ないしは高濃度酸素水の生成作業が楽に行える。
【0155】
収穫した魚を活魚のまま帰港する必要がない場合には、低濃度酸素水中に魚を投入することで、魚の鮮度を収穫時のまま7日間は保持させることができる。また、収穫した魚を活魚のまま帰港する場合には、高濃度酸素水中に魚を投入することで、収穫した魚を活魚のままの状態で帰港することができる。
【0156】
しかも、低濃度酸素水(高濃度酸素水)は、1μm以下を含む粒径まで窒素ガス(酸素ガス)が微細化されるとともに、海水ないしは冷温海水と均一に気液混合処理されて、窒素ガス(酸素ガス)が過飽和状態に溶存されているため、魚介類に対して高浸透性を有し、鮮度保持効果(血流促進、成長促進、適応力向上等の生理活性効果)を奏する。
【0157】
さらには、低濃度酸素水(高濃度酸素水)は、1μm以下を含む粒径まで微細化された窒素ガス(酸素ガス)が海水ないしは冷温海水に過飽和状態に溶存されたものであるため、水槽T1内の生臭さ等を抑制することができて、漁船Fb上の作業環境を良好に保持することができる。
【0158】
なお、河川や湖等で淡水魚を収穫する際には、水槽T1内に、淡水ないしは冷温淡水を貯留しておき、混合器付ポンプN1により低濃度酸素水(高濃度酸素水)を生成する。
【0159】
[流体混合処理装置としての固液混合処理装置の構成についての説明]
流体混合処理装置としての固液混合処理装置M2は、
図21に示す液液混合処理装置M1と同様に構成している。固液混合処理装置M2は、流体としての液体と固体(本実施例では粉体)を混合処理する流体混合処理装置の一形態であり、
図21に示すように、分散媒供給部L1に液体である分散媒(例えば、水)を収容する一方、分散質供給部L2に固体としての粉体である分散質(例えば、フコイダンを含有する海藻類を微細に切断したもの)を収容しており、流体混合器B1又はB2により固・液混合処理して、混合処理液(例えば、フコイダン抽出水)が生成されるように構成している。
【0160】
上記のように構成した固液混合処理装置M2では、分散媒供給部L1から供給される適量の分散媒と分散質供給部L2から供給される適量の分散質を、流体混合器B1又はB2内に導入することで、分散媒と分散質は流体混合器B1又はB2内で混合処理され、流体混合器B1又はB2内で混合処理された混合処理物は、混合処理物受部Reに供給されるようにしている。この際、第1還元三方弁V4と第2還元三方弁V5を介して循環流路を形成することで、流体混合器B1又はB2内で混合処理される混合処理物を所望の回数又は時間だけ循環流路内にて循環させることができる。そうすることで、分散質の微細化(フコイダンの抽出)精度と混合処理物の混合精度を所望の精度に向上させることができる。
【0161】
[第1実施例としての魚介類養殖システムの構成についての説明]
図24に示すSy1は、第1実施例としての魚介類養殖システムであり、魚介類養殖システムSy1は、前記した気液混合処理装置C1と、魚介類を養殖(以下、「飼育」とも称する。)する養殖槽Ftと、を備えている。そして、魚介類養殖システムSy1は、気液混合処理装置C1により、分散相としての酸素ガスを、1μm以下を含む粒径まで微細化するとともに、連続相としての養殖水と均一に混合処理して、養殖水に酸素ガスが過飽
和状態に溶存された高濃度酸素水Woを生成し、生成した高濃度酸素水Woは、養殖槽に供給されるようにしている。
【0162】
ここで、養殖水とは、魚介類を養殖するための水や海水や塩水等である。酸素の溶解度は、水温が高くなると小さくなる(溶けにくい)という相関性を有しており、水中の飽和溶存酸素量と水温の相関性は既知のものである。したがって、溶存酸素飽和度(%)は、所定の水温における高濃度酸素水Woの溶存酸素(DO:Dissolved Oxygen)の濃度(溶存酸素量)を測定し、その溶存酸素量を飽和溶存酸素量で除して、その除した値に100を乗じることで算出することができる。溶存酸素飽和度(%)が100%を超えたときは、過飽和状態という。第1実施例としての魚介類養殖システムSy1では、気液混合処理装置C1により生成される高濃度酸素水Wo、つまり、酸素ガスが過飽和状態に溶存された高濃度酸素水Woの溶存酸素量(DO値)の好適な範囲として、例えば、DO値を9mg/L〜20mg/Lの範囲に調整することができる。
【0163】
第1実施例としての魚介類養殖システムSy1について具体的に説明すると、魚介類養殖システムSy1は、気液混合処理装置C1の液体収容タンクT内に養殖水を収容し、この養殖水中に養殖水を補給する給水流路Wsの先端部と、高濃度酸素水Woを供給する供給流路Wfの基端部を浸漬して、給水流路Wsの上流側部と供給流路Wfの下流側部とを、接続流路Cfを介して接続している。
【0164】
給水流路Wsは、給水パイプ5内に形成されている。給水パイプ5の基端部は、給水源としての給水部Whに接続する一方、給水パイプ5の先端部には、給水フィルタ6を取り付けて、給水フィルタ6を液体収容タンクT内に配置している。給水パイプ5の中途部には、給水用のポンプPbを配設して、ポンプPbにより給水部Whから養殖水を液体収容タンクT内に給水可能としている。そして、液体収容タンクT内の養殖水は、気液混合処理装置C1により酸素ガスと混合処理されて、酸素ガスが過飽和状態に溶存された高濃度酸素水Wo、つまり、所望のDO値を有する高濃度酸素水Woになるようにしている。
【0165】
給水部Whは、取水設備と調温装置とを備えている。取水設備は、井戸等の取水源から地下水を取水する取水ポンプ、取水を濾過する取水濾過器、及び、取水を殺菌する殺菌装置等を備えている。調温装置は、取水源に接続して、取水源から導入した地下水(取水)を調温水として、この調温水により熱交換することで養殖水の水温を適宜調節可能としている。すなわち、調温装置は、養殖水を加温ないしは冷却することで、液体収容タンクT内に貯溜される養殖水の水温を一定の範囲(例えば、15〜25℃、好ましくは、16℃)に維持するようにしている。
【0166】
供給流路Wfは、供給パイプ7内に形成されている。供給パイプ7の基端部には、供給フィルタ8を取り付けて、供給フィルタ8を液体収容タンクT内の高濃度酸素水Wo中に浸漬する一方、供給パイプ7の先端部は、供給水を排出する排水部Wdに接続している。供給パイプ7の中途部には、生物濾過装置Bfと、養殖槽Ftと、沈殿槽Dpと、物理濾過装置Pfと、を上流側から下流側に直列的に連通させて配設している。生物濾過装置Bfの上流側に位置する供給パイプ7の部分には、供給用のポンプPcを配設して、ポンプPcにより液体収容タンクT内に収容された高濃度酸素水Woを養殖槽Ftに供給可能としている。
【0167】
接続流路Cfは、接続パイプ9内に形成されている。接続パイプ9の一側端部は、物理濾過装置の下流側に位置する供給パイプ7の部分に第1三方弁V2を介して接続する一方、接続パイプ9の他側端部は、ポンプPbの上流側に位置する給水パイプ5の部分に第2三方弁V3を介して接続している。そして、第1三方弁V2を介して供給パイプ7と接続パイプ9を遮断する(非連通状態にする)ことで、沈殿槽Dpから排出された排水を排水
部Wdに導出させる非循環式となすことができる。また、第1三方弁V2を介して供給パイプ7と接続パイプ9を連通させるとともに、第2三方弁V3を介して接続パイプ9と給水パイプ5を連通させることで、供給パイプ7内の供給水を、接続パイプ9→給水パイプ5→液体収容タンクT内に所望の量だけ還流可能な循環式(一部循環式又は完全閉塞循環式)となすことができる。つまり、液体収容タンクTの換水量を適宜調節することができる。非循環式となすか、循環式となすかは、養殖する魚介類の種類に適応させて選択する。
【0168】
魚介類養殖システムSy1が装備している気液混合処理装置C1は、前記したように、酸素ガスをナノレベル(外径が1μm以下)の気泡となして養殖水に混合させることで、養殖水に酸素ガスが過飽和状態に溶存された高濃度酸素水Woを生成する。
【0169】
具体的に説明すると、気液混合処理装置C1は、分散相としての酸素ガスの90%以上を、ナノレベルの気泡(外径が1μm以下、好ましくは、100nm以下の気泡;以下「ナノ気泡」とも称する。)に微細化するとともに、養殖水に均一化させて混合可能としている。気液混合処理装置C1により生成される高濃度酸素水Woには、過飽和状態に酸素ガスを溶存させるようにしている。すなわち、高濃度酸素水Woの溶存酸素飽和度が100%以上の過飽和状態(例えば、140%)となるようにしている。気液混合処理装置C1から供給される際の高濃度酸素水Woの溶存酸素飽和度は、適宜調整することが可能であり、この調整は、気液混合処理装置C1への酸素ガスの導入量を、養殖槽Ft内で養殖する魚介類の種類や大きさや個体数等に適応させて行う。また、養殖する魚介類の環境条件である高濃度酸素水Woの水温等も適宜検出して、所定の水温等に確保する。
【0170】
生物濾過装置Bfは、特に、魚介類養殖システムSy1が循環式を採用した場合に必要とされるものである。すなわち、生物濾過装置Bfは、還流された高濃度酸素水Wo中に含まれる毒性の高い魚介類の排泄物のアンモニアを、好気性バクテリアである硝化細菌の働きにより、亜硝酸を経由して毒性の低い硝酸に酸化させる生物濾過処理を行うようにしている。硝化細菌の培地としては浸漬型濾材を用いている。生物濾過処理を行う生物濾過装置Bfの容器の大きさおよび必要濾材量は、養殖槽Ftで養殖される魚介類の大きさと個体数により変化するため、アンモニアなどの窒素排泄量と濾材のアンモニア酸化速度に基づいて適宜設計する。また、生物濾過装置Bfで生物濾過処理された後に養殖槽Ftに供給(還流)される高濃度酸素水Woにも過飽和状態(例えば、120%)に酸素ガスが溶存されているようにしている。養殖槽Ftに還流される高濃度酸素水Woの溶存酸素飽和度の調整は、予め気液混合処理装置C1から生物濾過装置Bfに導入される際の高濃度酸素水Woの溶存酸素飽和度を、養殖槽Ft内で飼育する魚介類の種類や大きさや個体数等に応じて適宜調整することにより行うことができる。
【0171】
養殖槽Ftは、魚介類を養殖するための水槽であり、プラスチックシート等の防水性のシートを上面開口の箱形に張設して形成している。養殖槽Ftには、供給流路Wfの上流側から高濃度酸素水Woが供給されて、一定量の高濃度酸素水Woが養殖槽Ft内に貯溜されるようにしている。そして、供給流路Wfの上流側から常時所定量の高濃度酸素水Woが養殖槽Ftに供給されるとともに、常時所定量の高濃度酸素水Woが養殖槽Ftからオーバーフローされて供給流路Wfの下流側に放出されるようにしている。つまり、養殖槽Ftでは、所定量の高濃度酸素水Woが常時入れ替えられている。D1は第1排水路であり、第1排水路D1を通して、養殖槽Ftの底部を掃除した際の魚介類の糞や残餌や排水等を系外の所定箇所へ排出可能としている。
【0172】
沈澱槽Dpは、養殖槽Ftから流出される高濃度酸素水Woを導入して、高濃度酸素水Woよりも比重の大きい魚類の糞と残餌を沈降させて捕集し、残餌等が捕集・分離された処理水としての高濃度酸素水Woを供給流路Wfの下流側に流出させるようにしている。
【0173】
物理濾過装置Pfは、沈澱槽Dpから流出された処理水としての高濃度酸素水Woを濾過処理するものである。物理濾過装置Pfは、プラスチック製の網または多孔体若しくは金網、ガラスフィルター等のスクリーン状のもので構成されている。D2は第2排水路であり、第2排水路D2を通して、物理濾過処理物を系外の所定箇所へ排出可能としている。
【0174】
上記のように構成した魚介類養殖システムSy1では、各ポンプPa,Pb,Pcや各弁V1,V2,V3を、図示しない制御装置により適宜制御可能として、養殖槽Ft内の魚介類に、その種類に適応した溶存酸素過飽和状態の高濃度酸素水Woを供給することで、魚介類の生育効率の高い養殖を実現可能としている。この際、魚介類の生育効率を向上させる大きな要因である酸素ガスは、高濃度酸素水Woに過飽和状態で溶存されている。しかも、酸素ガスは、1μm以下を含む粒径に微細化されている。
【0175】
具体的には、第1実施例としての気液混合処理装置C1により生成した高濃度酸素水Woの酸素ガス粒径を、Malvern社製(マルバーン社製)のナノ粒子解析装置「NanoSight(ナノサイト):製品名」により測定したところ、モード径(最頻値)が83.4nm、平均径が136.0nmに微細化されていた。測定した高濃度酸素水WoのDO値は、12mg/Lであった。
【0176】
高濃度酸素水Woは、上記のようにナノレベルに微細化された酸素ナノバブルと、過飽和状態に酸素ガスが溶存された高濃度溶存酸素との相乗効果を有している。すなわち、酸素ナノバブルは、魚介類に対して高浸透性を有し、マイナスに帯電しているという特性を持つため、プラスに帯電した知覚神経部位に容易に付着する。その結果、知覚神経の刺激を通して血流促進、成長促進、適応力向上等の生理活性効果を発現する。一方、高濃度溶存酸素も、次のように同様の効果を及ぼすものと推考することができる。すなわち、生きている魚介類は、呼吸を通して好気的解糖系によってアデノシン三リン酸(ATP)を生産する。高濃度溶存酸素中で生息する魚介類は、多量のATPを生成することになる。ATPは、いわばエネルギー貯蔵物質であり、その加水分解によってエネルギーを放出する。したがって、高濃度でATPを含有する魚介類ほど細胞は高活力であり、成長力、適応力、病原菌に対する免疫力は大きい。
【0177】
魚介類養殖システムSy1では、高濃度酸素水Woで満たされた養殖槽Ft内において、成長過程中での初期ステージから所望の成長ステージまで効率良く生育する養殖が可能である。
【0178】
(ヒラメの育成試験)
前記のように構成した魚介類養殖システムSy1によりヒラメを育成(畜養)する試験を行った。前記した気液混合処理装置C1により生成した高濃度酸素水Wo(酸素ガス粒径のモード径(最頻値)が83.4nm、平均径が136.0nm、DO(溶存酸素)値が12mg/L)を、魚介類養殖システムSy1の養殖槽Ftに供給した。そして、養殖槽Ft内で、漁獲した天然のヒラメ90匹を、30匹ずつ三つに小分けして育成(蓄養)する試験を行った。
【0179】
その結果、60日の短期間の間に、残存した83匹のヒラメの平均体重は2.66倍、平均全長は1.37倍に増大成長していた。このことから、本実施例の魚介類養殖システムSy1は、短期間での魚介類の育成にも有効であることが分かった。
【0180】
[第2実施例としての魚介類養殖システムの構成についての説明]
図25に示すSy2は、第2実施例としての魚介類養殖システムであり、魚介類養殖シ
ステムSy2は、
図25に示すように、海面や湖面等の水面を区画して魚介類を養殖する養殖槽Ftを形成し、養殖槽Ft内の養殖水面上に浮体としての船外機付ボートBoを浮遊させて、船外機付ボートBoに第3実施例としての気液混合処理装置C3を搭載している。
【0181】
第3実施例としての気液混合処理装置C3は、流体混合器付エンジンポンプN2(以下、単に「混合器付ポンプN2」とも称する。)を具備しており、混合器付ポンプN2は、エンジンポンプPgに流体混合器B1又はB2を一体的に取り付けている。混合器付ポンプN2は、前記した混合器付ポンプN1の水中ポンプPdに代えてエンジンポンプPgを採択した点で異なるものの、前記した混合器付ポンプN1と基本的構造を同じくしている。
【0182】
すなわち、混合器付ポンプN2は、
図25に示すように、エンジンポンプPgの吐出口230に導入パイプ54を介して流体混合器B1又はB2の導入口30を接続し、流体混合器B1又はB2の導出口31に導出パイプ56を接続している。エンジンポンプPgは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン部200と、エンジン部200に連動連設した吸入パイプ部210と、吸入部210に連通連設した吐出部220と、を具備している。212は吸入フィルタである。エンジン部200上には、燃料タンク240を載置して、燃料タンク240内に収容している液体燃料をエンジン部200に供給してエンジン部200を駆動させ、エンジン部200により吸入部210を吸入作動させて養殖水を吸入し、吸入した養殖水を吐出部220に圧送して吐出口230から吐出させるようにしている。
【0183】
なお、浮体は、気液混合処理装置C3を搭載して養殖水面上で浮遊可能であればよく、本実施例の船外機付ボートBoのように広範囲にわたって形成された養殖槽Ft内の水面上で自由に自走可能なものに限られず、場合によっては浮体として筏を採択することもできる。
【0184】
上記のように構成した魚介類養殖システムSy2では、養殖槽Ft内の養殖水面上に浮体としての船外機付ボートBoを走行させながら気液混合処理装置C3を作動させて、養殖水を高濃度酸素水Woとなすことができる。
【0185】
この際、気液混合処理装置C3は、エンジンポンプPgのエンジン部200を作動させることで、エンジン部200に連動連設した吸入部210を吸入作動させて養殖水を吸入し、吸入部210に連通連設した吐出部220→吐出口230→導入パイプ54に導入するとともに、導入パイプ54に第2気体供給部Gf2から酸素ガスを導入して、流体混合器B1又はB2に導入口30を通して導入させることができる。
【0186】
そして、流体混合器B1又はB2に圧送状態で導入された養殖水と酸素ガスは、流体混合器B1又はB2内で流動することで気液混合処理され、導出口31から導出パイプ56を通して養殖槽Ft内の養殖水中に還元さらには流体混合器B1又はB2内を通して循環されて繰り返し気液混合処理がなされる。
【0187】
その結果、広範囲にわたって海面等に形成された養殖槽Ftであっても、船外機付ボートBoに搭載した気液混合処理装置C3を養殖槽Ft内で迅速に移動させることができて、広範囲にわたって形成された養殖槽Ftの養殖水中に酸素ガスを溶解させた酸素水を満遍なく放出させることができて、養殖水をDO値(溶存酸素量)が、例えば、9mg/L以上となした高濃度酸素水Woとなすことができる。特に、魚介類である牡蠣の養殖槽又は漁場において、船外機付ボートBoを走行させながら酸素水を放出させることで、育苗時期における牡蠣の稚貝の成長率を高めることができる。また、海藻類ではあるが海苔の
養殖槽又は漁場において、船外機付ボートBoを走行させながら酸素水を放出させることで、育苗時期における海苔のタネの成長率を高めることもできる。
【0188】
なお、魚介類養殖システムSy2は、海域や河川や湖沼等の水質の改善を行う際の水質改善システムとしても利用することができる。すなわち、海域等の水質改善に有効な気体(例えば、酸素ガス)を気液混合処理しながら気液混合水となして、気液混合水を海域等に繰り返し供給(循環)させることで、海域の海水等を高濃度酸素水Woとなして、その海域等における水質を改善することができる。つまり、海域等のBOD(Biochemical Oxygen Demand;生物化学的酸素要求量)やCOD(ChemicalOxygen Demand;化学的酸素要求量)を低減させることができる。したがって、この水質改善システムは、特に、赤潮対策に有効なものとして採用することができる。
【0189】
[本実施例に係る魚介類養殖法についての説明]
本実施例に係る魚介類養殖法は、養殖水と酸素ガスとからなる流体Fが流動する流体流路R内において、流体Fを二分割状態に分流させるとともに、分流した流体Fの一部を扁平な狭隘流路Rs内で流動させることで、1μm以下を含む粒径まで酸素ガスを微細化するとともに、養殖水と均一に混合処理して、養殖水に酸素ガスが過飽和状態に溶存された高濃度酸素水Woとなし、高濃度酸素水Wo中にて魚介類を養殖することで、魚介類の成長を促進させるものである。
【0190】
具体的に説明すると、魚介類養殖法は、魚介類養殖システムSy1又はSy2に備えた気液混合処理装置C1又はC3に、流体混合器B1、その変形例、流体混合器B2、ないしは、その変形例を装備させることで、酸素ガスをナノレベルに微細化するとともに、養殖水に過飽和状態に溶存させて高濃度酸素水Woを生成し、高濃度酸素水Woを魚介類養殖システムSy1又はSy2に備えた養殖槽Ftに供給して、養殖槽Ft内で魚介類を養殖するものである。
【0191】
本実施例に係る魚介類養殖法では、酸素ガスをナノレベルに微細化して過飽和状態に養殖水に溶存させた高濃度酸素水Woにより魚介類を養殖するようにしているため、短期間に魚介類を成長させることができる。特に、漁獲した天然の魚介類の体重を、2〜3ヶ月の短期間の間に2.5倍以上に堅実に増大成長させることが可能な育成(蓄養)を実現することができる。