特許第6383139号(P6383139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

特許6383139トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法
<>
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000002
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000003
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000004
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000005
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000006
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000007
  • 特許6383139-トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383139
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】トイレットペーパーの製造方法及びトイレットロールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20180820BHJP
   D21H 19/10 20060101ALI20180820BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20180820BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A47K10/16 D
   A47K10/16 A
   D21H19/10 A
   D21H27/30 B
   A61L9/01 H
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-74129(P2013-74129)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198094(P2014-198094A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年3月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】興梠 貴久
(72)【発明者】
【氏名】小沼 敦嗣
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−164535(JP,A)
【文献】 特開2012−213508(JP,A)
【文献】 特開2000−135277(JP,A)
【文献】 特開2013−013433(JP,A)
【文献】 特開2009−150032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
A61L 9/01
D21H 19/10、27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭剤が付与されたトイレットペーパーの製造方法であって、
表面に多数のエンボス付与凸部が配されているスチール製のエンボスロールとこのエンボスロールと対をなす表面ラバー製の受けロールとの間に、トイレットペーパー原紙を通して、深さ0.5mm以上、エンボス密度8.0個/cm2〜60個/cm2、一つの凸部頂部の面積の範囲0.4〜3.0mm2のエンボスを付与するに際し、
前記エンボスロールと受けロールとの間を通過したエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙を、連続的にエンボスロールに巻き掛けるようにして、エンボスロール面でそのエンボス付与形状に変形させたまま搬送し、その搬送過程でトイレットペーパー原紙のエンボスロールの凸部頂部に位置する部分のみに、柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を有効成分とし、鉄を酸化させるポリフェノール系消臭剤をアプリケーターロール又は刷版ロールを介して、前記有効成分が0.0001〜1.0g/m2となる量、付与し、
そのポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパー原紙を、前記エンボスロールから離すとともに、そのポリフェノール系消臭剤が付与された面を、エンボスロール及びガイドロールに接触させることなく、エンボスロールに隣接して配されたマリッジロールに導き、そのマリッジロール上で別の原反ロールから繰出された別のトイレットペーパー原紙と対面させて積層して、トイレットペーパー原紙の消臭剤付与面を鉄部材のガイドロールに接触させることなくトイレットペーパーの積層内面に位置させて、ポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパーにする、
ことを特徴とするトイレットペーパーの製造方法。
【請求項2】
前記別のトイレットペーパー原紙にもエンボスの付与と前記ポリフェノール系消臭剤の付与とを同様に行ない、ポリフェノール系消臭剤付与部分同士を対面させて積層する請求項1記載のトイレットペーパーの製造方法。
【請求項3】
トイレットロールの複数倍幅以上の幅の長尺の紙管を形成する紙管形成工程と、
ワインダーにて長尺の紙管にトイレットロールの複数倍幅以上の幅のトイレットペーパーを巻いてログを形成する工程と、
ログを切断して個々のトイレットロールにするログ裁断工程と、を有し、
前記ログ形成工程のワインダーにおいて;
原反ロールからトイレットペーパー原紙を繰り出して、
表面に多数のエンボス付与凸部が配されているスチール製のエンボスロールとこのエンボスロールと対をなす表面ラバー製の受けロールとの間に、トイレットペーパー原紙を通して、深さ0.5mm以上、エンボス密度8.0個/cm2〜60個/cm2、一つの凸部頂部の面積の範囲0.4〜3.0mm2のエンボスを付与するに際し、
前記エンボスロールと受けロールとの間を通過したエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙を、連続的にエンボスロールに巻き掛けるようにして、エンボスロール面でそのエンボス付与形状に変形させたまま搬送し、その搬送過程でトイレットペーパー原紙のエンボスロールの凸部頂部に位置する部分のみに、柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を有効成分とし、鉄を酸化させるポリフェノール系消臭剤をアプリケーターロール又は刷版ロールを介して、前記有効成分が0.0001〜1.0g/m2となる量、付与し、
そのポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパー原紙を、前記エンボスロールから離すとともに、そのポリフェノール系消臭剤が付与された面を、エンボスロール及びガイドロールに接触させることなく、エンボスロールに隣接して配されたマリッジロールに導き、そのマリッジロール上で別の原反ロールから繰出された別のトイレットペーパー原紙と対面させて積層して、トイレットペーパー原紙の消臭剤付与面を鉄部材のガイドロールに接触させることなくトイレットペーパーの積層内面に位置させて、ポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパーにする、
ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
【請求項4】
前記別のトイレットペーパー原紙にもエンボスの付与と前記ポリフェノール系消臭剤の付与とを同様に行ない、ポリフェノール系消臭剤付与部分同士を対面させて積層する請求項3記載のトイレットロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーの製造方法、帯状のトイレットペーパーが紙管に巻かれたトイレットロール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間の消臭を目的としてトイレットロールに消臭剤を付与することが提案されている。例えば、トイレットペーパーの巻終わりを接着するテールシール糊に消臭剤を含ませる方法や、紙管内面に消臭剤を塗布する方法等が提案されている。しかし、前者のものは使用開始と同時に消臭剤付与部分が使用されてしまうため、消臭効果の持続性に問題がある。後者のものは、消臭剤の付与位置が紙管という限られた部位であるため臭気成分との消臭剤との接触機会が十分ではなく、消臭機能のさらなる向上が求められるものであった。
【0003】
一方、トイレットロールを構成するトイレットペーパーに消臭剤を付与することが考えられる。トイレットペーパーに消臭剤を付与することができれば、臭気成分との接触機会は格段に向上する。
【0004】
しかし、トイレットペーパーは、使用時に直接肌に触れるものであるため、使用時に消臭剤が肌に触れてしまうことを嫌う消費者がいる。また、保湿剤等と比較すると消臭剤は付与量が少ないためトイレットペーパーの全面に適量均一に付与することが難しい。さらに、表面全体に塗布するとトイレットペーパーの風合いを低下させるおそれもある。
【0005】
また、消臭剤の中には、有機酸などアンモニア等のトイレ空間の主たる悪臭成分に対して優れた消臭効果を奏するものがあるが、このような酸はトイレットロールの製造装置内の鉄部材を錆びさせる。これについては、製造装置内の鉄部材をステンレスやクロムメッキ性製のものへ変更したり、清掃頻度を高めることによりある程度は防止できることであるが、費用や手間が非常にかかる。
【0006】
このように、十分な消臭効果を発揮する程度に消臭剤をトイレットペーパーに付与することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−242107号公報
【特許文献2】特開2009−242065号公報
【特許文献3】特開2009−242019号公報
【特許文献4】特開2012−213508号公報
【特許文献5】特開2009−178454号公報
【特許文献6】特開2012−170659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、使用時に消臭剤が肌に触れがたく、しかも、製造が容易な消臭剤が付与されたトイレットペーパーの製造方法、係る消臭剤が付与されたトイレットペーパーを有するトイレットロールを生産性よく製造することができるトイレットロールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
消臭剤が付与されたトイレットペーパーの製造方法であって、
表面に多数のエンボス付与凸部が配されているスチール製のエンボスロールとこのエンボスロールと対をなす表面ラバー製の受けロールとの間に、トイレットペーパー原紙を通して、深さ0.5mm以上、エンボス密度8.0個/cm2〜60個/cm2、一つの凸部頂部の面積の範囲0.4〜3.0mm2のエンボスを付与するに際し、
前記エンボスロールと受けロールとの間を通過したエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙を、連続的にエンボスロールに巻き掛けるようにして、エンボスロール面でそのエンボス付与形状に変形させたまま搬送し、その搬送過程でトイレットペーパー原紙のエンボスロールの凸部頂部に位置する部分のみに、柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を有効成分とし、鉄を酸化させるポリフェノール系消臭剤をアプリケーターロール又は刷版ロールを介して、前記有効成分が0.0001〜1.0g/m2となる量、付与し、
そのポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパー原紙を、前記エンボスロールから離すとともに、そのポリフェノール系消臭剤が付与された面を、エンボスロール及びガイドロールに接触させることなく、エンボスロールに隣接して配されたマリッジロールに導き、そのマリッジロール上で別の原反ロールから繰出された別のトイレットペーパー原紙と対面させて積層して、トイレットペーパー原紙の消臭剤付与面を鉄部材のガイドロールに接触させることなくトイレットペーパーの積層内面に位置させて、ポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパーにする、
ことを特徴とするトイレットペーパーの製造方法。
【0010】
〔請求項2記載の発明〕
前記別のトイレットペーパー原紙にもエンボスの付与と前記ポリフェノール系消臭剤の付与とを同様に行ない、ポリフェノール系消臭剤付与部分同士を対面させて積層する請求項1記載のトイレットペーパーの製造方法。
【0011】
【0012】
〔請求項3記載の発明〕
トイレットロールの複数倍幅以上の幅の長尺の紙管を形成する紙管形成工程と、
ワインダーにて長尺の紙管にトイレットロールの複数倍幅以上の幅のトイレットペーパーを巻いてログを形成する工程と、
ログを切断して個々のトイレットロールにするログ裁断工程と、を有し、
前記ログ形成工程のワインダーにおいて;
原反ロールからトイレットペーパー原紙を繰り出して、
表面に多数のエンボス付与凸部が配されているスチール製のエンボスロールとこのエンボスロールと対をなす表面ラバー製の受けロールとの間に、トイレットペーパー原紙を通して、深さ0.5mm以上、エンボス密度8.0個/cm2〜60個/cm2、一つの凸部頂部の面積の範囲0.4〜3.0mm2のエンボスを付与するに際し、
前記エンボスロールと受けロールとの間を通過したエンボスが付与されたトイレットペーパー原紙を、連続的にエンボスロールに巻き掛けるようにして、エンボスロール面でそのエンボス付与形状に変形させたまま搬送し、その搬送過程でトイレットペーパー原紙のエンボスロールの凸部頂部に位置する部分のみに、柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を有効成分とし、鉄を酸化させるポリフェノール系消臭剤をアプリケーターロール又は刷版ロールを介して、前記有効成分が0.0001〜1.0g/m2となる量、付与し、
そのポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパー原紙を、前記エンボスロールから離すとともに、そのポリフェノール系消臭剤が付与された面を、エンボスロール及びガイドロールに接触させることなく、エンボスロールに隣接して配されたマリッジロールに導き、そのマリッジロール上で別の原反ロールから繰出された別のトイレットペーパー原紙と対面させて積層して、トイレットペーパー原紙の消臭剤付与面を鉄部材のガイドロールに接触させることなくトイレットペーパーの積層内面に位置させて、ポリフェノール系消臭剤が付与されたトイレットペーパーにする、
ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
【0013】
〔請求項4記載の発明〕
前記別のトイレットペーパー原紙にもエンボスの付与と前記ポリフェノール系消臭剤の付与とを同様に行ない、ポリフェノール系消臭剤付与部分同士を対面させて積層する請求項3記載のトイレットロールの製造方法。
【0014】
【0015】
【発明の効果】
【0016】
以上の本発明によれば、使用時に消臭剤が肌に触れがたく、しかも、製造が容易な、消臭剤が付与されたトイレットペーパーの製造方法、係る消臭剤が付与されたトイレットペーパーを有するトイレットロールを生産性よく製造することができるトイレットロールの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態のトイレットロールの製造方法を説明するための図である。
図2】実施形態に係る紙管の形成過程を説明するための図である。
図3】他の実施形態に係る消臭剤の付与を説明するための図である。
図4】実施形態に係る消臭剤の付与を説明するための図である。
図5】実施形態に係る消臭剤の付与を説明するための断面図である。
図6】本実施形態に係るトイレットロールの斜視図である。
図7図6に示すトイレットロールに係るトイレットペーパーの断面図である斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図1〜7を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、この実施形態に限られない。
【0019】
[トイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法]
本発明の実施形態に係るトイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法例を特に図1図5を参照しながら説明する。但し、本発明に係るトイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法は、この方法に必ずしも限定されるわけではない。なお、トイレットペーパーの製造方法は、トイレットロールの製造方法を説明するなかで適宜に説明される。
本実施形態のトイレットロールの製造方法は、図1に示すように、長尺の紙管30を製造する紙管形成工程(A)と、その長尺の紙管にトイレットペーパーを巻いてログを製造するログ形成工程(B)と、ログを裁断して個々のトイレットロールにするログ裁断工程(C)を有している。
【0020】
(紙管形成工程(A))
本実施形態の紙管形成工程では、図1中(A)、図2に示すように、原反ロール31A,32Aから繰出された二枚の帯状の紙管原紙31,32のうち一方の紙管原紙31の一方面に糊付けロール51によって接着糊44を付与し、前記一方の紙管原紙31の糊付けされた面に他方の紙管原紙32を幅方向に一部重ね、前記他方の紙管原紙32の糊付け面と接しない面をマンドレルシャフト52に対向する面、すなわち紙管内面となる面にして、各紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52に螺旋状に巻き付けて連続的に筒状部分3を形成し、その筒状部分3をトイレットロールの複数倍幅以上の幅でカッター58によりカットして長尺のスパイラル紙管30(スパイラル式紙管とも称される)を形成している。このスパイラル紙管は、一方の紙管原紙31が紙管外面側、他方の紙管原紙32が紙管内面側となる態様の二層積層構造となる。なお、本実施形態では、2枚の紙管原紙31,32をスパイラル巻きしているが、3枚以上の紙管原紙をスパイラル巻きして長尺の紙管を形成してもよい。また、本発明では、スパイラル紙管ではなく平巻き紙管とすることもできる。
【0021】
紙管原紙31に対する接着糊44の付与量は特に限定されないが、塗布直後で8.0〜80g/m2程度である。また、接着糊44は、既知の紙管用のものを用いることができ、アクリル系接着剤、ホットメルト接着剤、澱粉糊、PVA(ポリビニルアルコール)等が例示できる。
【0022】
図示の形態では、各紙管原紙31,32のマンドレルシャフト52への巻き付けは、一対のプーリー53,53間に巻き掛けられた平ベルト54により、マンドレルシャフト52上の所定部分に位置する筒状部分3に回転力を与え、その回転により紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52の軸心に対して所定角度で引き込んで、螺旋状に巻くようにしている。図示例では、一対のプーリー53,53を二機配置して二つの平ベルト54,54により、筒状部分3に回転力を与えているが、一機の一対のプーリーと平ベルトにより筒状部分に回転力を与えるようにしてもよい。また、図示しないが、筒状部分3に平ベルト54ではなくロールを当接させて回転力を与えるようにしても、各紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52に巻き付けることができる。
【0023】
このようにして長尺紙管30を形成した後には、この長尺紙管30をコンベア55に供給して適宜の搬送経路で連続的又は断続的に次段のログ形成工程(B)におけるワインダーX2に供給していく。
【0024】
(ログ形成工程(B))
上記の長尺の紙管30の製造と平行して又はその後において、ログ形成工程(図1中(B)でワインダーX2によりログ75を製造する。なお、ログ75とは、最終製品であるトイレットロールの直径と同径でありかつ幅が最終製品の複数倍幅以上ある中間製品である。
【0025】
ログ75の形成は、紙管形成工程(A)で製造した長尺の紙管30をワインダーX2の巻き取り部85にセットし、これと実質的に同幅又はそれよりも若干幅狭のトイレットペーパー7を巻き付けるようにして行なう。
【0026】
本実施形態では、長尺紙管30に巻き付けるトイレットペーパー7を、ワインダーX2において、複数のトイレットペーパー原紙71A,71Bを積層して、連続的に形成していく。本実施形態では、図1図3図5に示すように、その過程で消臭剤を付与する。すなわち、トイレットペーパー7を形成しつつ消臭剤を付与するにあたって、本実施形態では、まず、トイレットペーパー原紙71A,71Bを巻き取った複数の原反ロール70A,70Bから、トイレットペーパー原紙71A,71Bを適宜の速度で繰り出し、各トイレットペーパー原紙71A,71Bをそれぞれ別途に、表面にエンボス形状に対応する多数のエンボス付与凸部が形成されたエンボスロール21A,21Bと、このエンボスロール21A,21Bを受ける受けロール22A,22Bとで構成されるエンボス付与装置20A,20Bに導いて、それらエンボスロール21A,21Bと受けロール22A,22Bとの間にトイレットペーパー原紙71A,71Bを通して、各々のトイレットペーパー原紙71A,71Bに別途にエンボスを付与する。
【0027】
このエンボス付与を行なう際には、特に図3に示すように、まずトイレットペーパー原紙71A,71Bを受けロール22A,22Bに巻き掛け、その受けロール22A、22B上を搬送する過程でエンボスロール21A,21Bとの間に通してエンボスを付与するようにし、そのエンボス付与後からトイレットペーパー原紙71A,71Bがエンボスロール21A,21Bに巻き掛けられた状態で下流へ搬送するようにする。
【0028】
そして、トイレットペーパー原紙71A,71Bがエンボスロール21A,21B上を搬送されている際に、このエンボスロール21A,21Bのエンボス付与凸部の頂部のみに接するように配置した転写ロール25A,25Bを有するロール転写設備30A,30Bによってトイレットペーパー原紙71A,71Bの表面に消臭剤を含む消臭剤液を付与する。トイレットペーパー原紙71A,71Bは、エンボス付与時における押圧によってエンボスロール21A,21Bの表面凹凸形状に応じた形状に変形された状態でエンボスロール表面に配されているため、このようにするとトイレットペーパー原紙71A,71Bのエンボス凸部頂部の位置のみに消臭剤が付与される。
【0029】
図3に示す形態は、各エンボスロール21A,21Bで各トイレットペーパー原紙71A,71Bに対して消臭剤を転写しているが、図4に示すように、一方のトイレットペーパー原紙71Aに係るエンボス装置20Aのみロール転写設備25Aを配して、その一方のトイレットペーパー原紙71Aのみに消臭剤を付与するようにしてもよい。
【0030】
このようにして消臭剤を付与したトイレットペーパー原紙71A,71Bは、前記エンボスロール21A,21Bから離すとともに、図5にも示すように、その消臭剤が付与された面を、他の原反ロール70A(70B)から繰り出され他のエンボス付与装置20A(20B)で消臭剤を付与したトイレットペーパー原紙71A(71B)に、消臭剤付与面を対面させて積層し、消臭剤が付与されたトイレットペーパー7とする。
【0031】
図示の形態では、一方のエンボスロール21Bから離れたトイレットペーパー原紙71Bを他方のエンボスロール21Aに隣接して配されたマリッジロール23に導いて、そのマリッジロール23上で積層一体化するようにしている。但し、この図示の形態に限らず、エンボスロール21A,21B同士をその周面が対面するように近接配置し、各エンボスロール21A,21Bの周面が対面する位置において各トイレットペーパー原紙71A,71Bの消臭剤塗布面が付き合わせられて積層一体化されるようにしてもよい。
【0032】
積層一体化については、特に、図5に示すように、各トイレットペーパー原紙71A,71Bのエンボス凸部の頂部26A,26B同士が対面一致するようにして、所謂「Tip To Tip」の形態で積層するようにしてもよいし、図には示さないが、エンボス凸部の頂部同士が対面一致していない所謂「Nested」の形態で積層してもよい。これらは、エンボスのパターンを「Tip To Tip」用、「Nested」用として選択して実施することができる。なお、図5中において消臭剤付与位置は符号27A,27Bで示されている。
【0033】
なお、図示の形態は、2つのロール70A、70Bから一枚のトイレットペーパー原紙71A、71Bを繰り出し、積層して2プライ構造のトイレットペーパー7を形成する過程を示しているが、本発明に係るトイレットペーパー原紙71A,71Bは、一枚に限られるものではない。例えば、予め積層されたシートを巻き取った原反ロールから複数枚重ねられたトイレットペーパー原紙を繰り出すようにしてもよいし、エンボス付与装置の直前で複数枚を重ねて重ね合わせのトイレットペーパー原紙としてもよい。したがって、本発明のトイレットペーパーは、2プライに限定されず、3プライ以上とすることができる。さらには、複数プライ構造とする場合には、各プライの米坪や物性等は同じである必要もない。また、図示の形態では、各トイレットペーパー原紙を各原反ロールから繰出した後に重ね合わせ部78で一度積層した後、エンボス付与装置20A,20Bの直前で再剥離するように構成されているが、必ずしもこのように搬送路を構成する必要もない。但し、このようにすると搬送経路が簡素化されるため望ましい。さらに、本実施形態では、各原反ロールから繰出されたトイレットペーパー原紙のそれぞれにエンボスの付与と消臭剤の付与を行なっているが、エンボス付与装置を一機のみとして、一方のトイレットペーパー原紙のみにエンボスと消臭剤を付与するようにしてもよい。
【0034】
他方、本実施形態に係るトイレットペーパー7は、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2とするのが望ましい。この範囲であれば使用時の柔らかさや吸水性を確保できる。また、本実施形態に係るトイレットペーパー7は、パルプ繊維を90%以上含むものであり、好ましくは98%以上、より好ましくは100%である。パルプ繊維としては、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)が最も好ましく、特にLBKPとNBKPとから構成され、LBKPの配合割合が50%以上、好適には70%以上であるのがよい。
【0035】
ここで、本実施形態に係るエンボス付与装置20A,20Bとしては、エンボスロールが金属性、受けロールが表面がゴムなどからなる弾性のものとするのが望ましい。所謂スチールラバー方式のものである。金属製のエンボスロールと表面弾性の受けロールの組み合わせが好ましいのは、ロールのクリアランス調整の問題や、幅方向でのエンボスの見た目の調整が容易などの不具合が生じ難いためである。なお、本実施形態では、ロール間の線圧は、エンボスパターンや消臭剤の付与量に応じて適宜調整すればよい。
【0036】
また、本実施形態に係るロール転写設備25A,25Bは、消臭剤をアプリケーターロールを介してエンボスロールのエンボス付与凸部の頂部に消臭剤を付与するものである。また、刷版ロールを介してエンボスロールのエンボス付与凸部の頂部に消臭剤を付与することもできる。アプリケーターロールやエンボス消臭剤への付与の方式は、特に限定されない。消臭剤液溜まりからアニロックスロールへ直接に消臭剤をピックアップし、ロールで消臭剤を絞って塗布量を調整する方式、ファウンテンロールやアニロックスロールを介して刷版ロールに消臭剤を付与する方式、アニロックスロールにドクターチャンバー式に消臭剤を付与する方式が採用できる。また、フレキソ方式やグラビア方式の印刷方式としてもよい。図示の形態は、アニロックスロールにドクターチャンバー式に消臭剤を付与し、アニロックスロールからアプリケーターロールに消臭剤を適宜量付与するようにしている。
【0037】
他方、本実施形態に係る具体的なエンボス柄、エンボス密度、エンボスを構成する個々の単位エンボスの形状、エンボス付与面積は限定されるものではない。消臭剤の効力、消臭剤液の性状、その付与量、エンボスによるデザイン性、嵩高性、柔らかさの向上性を考慮して、適宜定めることができる紙面全体に、エンボス密度30〜100個/cm2、エンボス深さ0.5〜2.0mmで付与された所謂マイクロエンボスの形態、エンボス密度で0.1〜25個/cm2、エンボス深さ0.5〜2.5mmで図柄を描くように付与されたマクロエンボス或いはデザインエンボスとも称されるエンボス形態があるが、マクロエンボス或いはデザインエンボスとも称されるエンボスは、頂部が広く消臭剤の付与量を多くでき、デザイン性の向上の効果も得られる。
【0038】
特に、本発明ではエンボス深さは0.5mm以上とする。より、好ましい範囲は0.6mm〜1.8mm、特に好ましい範囲は0.8mm〜1.5mmである。エンボスが深いほうが、消臭剤が設備部材に接触しがたくなるが、過度に深いと、肌触りが悪化する。また、エンボス密度は、8.0個/cm2〜60個/cm2が好ましく、より好ましいのは15個/cm2〜40個/cm2である。さらに、一つの凸部頂部の面積は、好ましい範囲0.4〜3.0mm2 より好ましい範囲0.7〜2.0mm2である。この範囲であれば、潰れ難く消臭剤が設備部材に接触しがたいものとなる。
【0039】
一方、本実施形態においては、消臭剤を付与するにあたっては、適宜の接着剤、溶媒、インク等と混合して、付与に適した液体状やスラリー状の消臭剤液として付与することができる。消臭剤液中の、消臭剤の含有量は、固形成分として0.5〜30重量%であるのが望ましい。この範囲であれば、トイレットペーパー原紙71A,71Bのエンボス付与凸部上部分のみに消臭剤を付与することができる。また、消臭剤液は、接着性を有するものが好ましい。消臭剤の効果を妨げない範囲で、適宜、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉等の接着剤を配合して接着性を付与してもよい。溶媒としては、水やアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプロピルアルコール等が例示できる。
【0040】
本発明に係る消臭剤は、ポリフェノール系消臭剤を含む。両性界面活性剤、クエン酸、グラフト重合体系消臭剤、ベタイン化合物系消臭剤、スギ、ヒノキ等から抽出された精油類、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、天然ゼオライト、合成ゼオライト、活性白土、モレキュラーシーブ、シリカゲル、大谷石、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、麦飯石、活性炭、シクロデキストリン、ジルコニウム化合物、銅化合物、イオン交換樹脂などが一種又は二種以上を混合されて使用することができる。
【0041】
消臭剤のトイレットペーパー原紙71A,71Bへの付与量は、消臭剤の種類により適宜変更することができるが、上記ポリフェノール系消臭剤の有効成分の固形分量を0.0001〜1g/m2、好ましくは0.003〜0.5g/m2とする。
【0042】
なお、ポリフェノール系消臭剤は、茶 柿、ブドウ等の植物及び植物の加工品から抽出されるポリフェノール、及びそのポリフェノールの誘導体を有効成分とするものであり、フェノール系水酸基による反応性により、悪臭成分の一つであるアンモニアに対して高い消臭機能を有するものの、鉄を酸化させるものである。本発明に係るトイレットロールの製造方法は柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を有効成分とし、鉄を酸化させるポリフェノール系消臭剤である。
【0043】
ポリフェノール系消臭剤のなかには、アンモニアに加えて、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミンに対して反応性を有して消臭機能を有するものも存在するが、もちろん本発明に用いるポリフェノール系消臭剤はそのようなものであってもよい。なお、ポリフェノール系消臭剤は、ポリフェノール、ポリフェノール誘導体の何れか一方に限定されるわけではなく、双方が含まれていてもよい。また、数種のポリフェノール、ポリフェノール誘導体の混合物でもよい。
また、本発明のポリフェノール系消臭剤は、特にタンニン及びその誘導体を有効成分として含む。タンニン及びタンニン誘導体は、分子量が大きくフェノール系水酸基を多く有するため消臭機能に優れるが、タンニン酸によって鉄を酸化させやすい。また、タンニンのなかでも、柿由来の柿タンニンは、分子量が非常に大きく、消臭効果に極めて優れるため、ポリフェノール系消臭剤としては、この柿タンニン及び柿タンニン誘導体の少なくとも一方を含む。柿タンニン付与量は、上述のとおり、固形分量で0.0001〜1g/m2、好ましくは0.003〜0.5g/m2である。
【0044】
以上の本実施形態の消臭剤の付与態様は、ワインダーX2におけるログ製造工程の一連の流れのなかで行なわれるためトイレットロールの生産性を低下させることがない。
【0045】
また、各トイレットペーパー原紙71A,71Bに消臭剤が付与されてから積層されてトイレットペーパー7とされるまでの間に、トイレットペーパー原紙71A,71Bの消臭剤付与面を、ワインダーX2を構成するガイドロール等に接触させることなくトイレットペーパー7の積層内面に位置することができる。したがって、消臭剤が鉄などの金属と少なからず反応性を有するものであっても、消臭剤の付与過程で、設備の金属部材を酸化・腐食・変色させたり、傷めたりするおそれがない。もちろん、消臭剤が付着することによる機材の洗浄の手間も低減される。
【0046】
また、エンボス付与凸部を介して消臭剤を付与するようにしているため、例えば、印刷により全面塗布するとトイレットペーパーの風合いを著しく低下させたりすることになる消臭剤であったり、粉末系の消臭剤など、紙面への付着にバインダー成分を要し、紙面全体に印刷等により少量をムラ無く均一に付与することが難しい消臭剤であったりしても、トイレットペーパーの地合を低下させることなく、全面に分散させて均一に付与することができる。
【0047】
また、形成されるトイレットペーパーは、図5(b)から理解されるように、消臭剤が、トイレットペーパー7の実質的な表面から奥まった位置に付与される。図示例では、エンボス凸部26A,26Bに対応する凹部底26a,26bの積層内面側に付与されたものを例示しているが、凹部底に消臭剤が浸透するように配されていてもよい。この位置に消臭剤が位置されることにより、積層後以降の長尺紙管30にトイレットペーパー7を巻き付けるまでの搬送過程において、消臭剤がガイドロール等のワインダーを構成する部材に接触することが最小限に抑えられる。このため、ポリフェノール系消臭剤のように鉄などの金属と少なからず反応性を有するものであっても、その搬送過程で、ガイドロール等の金属部材を酸化・腐食・変色させたり、傷めたりするおそれが格段に小さい。もちろん、消臭剤が付着することによる機材の洗浄の手間も低減される。また、当該消臭剤の付与位置であれば、この後にトイレットペーパー7をトイレットロールにして使用する際においても、使用時に消臭剤が肌に触れ難くなる。
【0048】
以上のようにトイレットペーパー原紙71A,71Bを積層してトイレットペーパー7を形成した後には、本実施形態では、ミシン目線形成装置82にてミシン目線の形成を行ない、その後に、巻き取り部85において長尺紙管30に巻き付けて2プライのログを形成する。但し、本発明では必ずしもミシン目線形成装置及びミシン目線の付与は必須ではない。また、本実施形態において、図示はしないが、ミシン目線付与装置82の前段に既知のコンタクトエンボス付与装置を設けてコンタクトエンボスを付与してもよい。
【0049】
<ログ裁断工程(C)>
以上のように、積層内面に消臭剤が付与されたトイレットペーパー7が長尺紙管30に巻かれたログ75を製造したならば、図1に示すように、このログ75を既知のログアキュームレーターX3で複数本をストックしつつ後段のログカッター設備X4へと移動させる。そして、その後に特に図1中(C)に示すように、既知のログカッター91でログ75を製品幅に裁断し、図5に示すような、個々のトイレットロール10,10…とする。本実施形態に係るログ75は、その表面に消臭剤が露出されていないため、上記のとおり金属を傷めるおそれがある消臭剤を用いても、ログ形成後以降の工程においても消臭剤が製造設備を傷めるおそれがない。
【0050】
かくして形成されたトイレットロール10は、上記ログ形成工程の欄で説明したエンボス付与態様やトイレットペーパーに係る利点の他に、この後にこのトイレットロールからトイレットペーパーを引き出して使用する際においても、使用時に消臭剤が肌に触れ難い。そして、トイレットロール10とした際には、トイレットペーパーを使用する毎に、トイレットロールの周面に新しいトイレットペーパーが露出されることになるため、その毎に新たな消臭剤も周面に位置されるようになるため消臭効果の持続性に優れるものとなる。
【0051】
[トイレットロール]
次いで、本発明に係るトイレットロールの実施形態を図6及び図7を参照しながら説明する。本実施形態に係るトイレットロール10は、長尺のトイレットペーパー12が紙管11に巻かれたものであり、そのトイレットペーパー12に消臭剤が付与されているものである。この本実施形態に係るトイレットロール10は、上記トイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法の欄で説明した製造方法により製造することができる。トイレットペーパー原紙の構成、トイレットペーパーの素材・物性、及び他のトイレットペーパーの構造例は、上記トイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法の欄で説明したものと同様の構成とすることができる。
【0052】
本実施形態のトイレットペーパー12は、複数のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造を有しており、特に、エンボス14が付与されている。そして、プライを構成するトイレットペーパー原紙13のうちエンボスの付与されているものが、そのエンボス凸部頂部14Aの積層内面側に位置するようにして積層されている。また、エンボスが付与されたトイレットペーパー原紙13,13のエンボス凸部頂部14Aのみ、有効成分としてタンニン及びその誘導体の少なくとも一方を含むポリフェノール系消臭剤15が付与されており、特に、そのポリフェノール系消臭剤の有効成分の付与量が固形成分で0.0001〜1.0g/m2となっている。
【0053】
このトイレットロール10は、その大きさ等が、幅L1が100〜115mm、直径L2が100〜120mm、巻き長さ(トイレットペーパーの全長)が18〜70m、紙管内径L3が35〜50mmであるのが望ましい。この大きさであれば一般的なトイレットロール用のペーパーホルダーが利用でき、トイレットペーパー12の長さも十分である。
【0054】
本発明に係るトイレットペーパー12は、紙厚が、100〜350μm、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2であるのが望ましい。この範囲であれば使用時の柔らかさや吸水性を確保できる。なお、本発明に係る米坪とは、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚とは、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。なお、紙厚は、複数プライのものは、その複数プライのまま測定する。
【0055】
また、本実施形態に係るトイレットペーパー12は、パルプ繊維を90%以上含むものであり、好ましくは98%以上、より好ましくは100%である。パルプ繊維としては、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)が最も好ましく、特にLBKPとNBKPとから構成され、LBKPの配合割合が50%以上、好適には70%以上であるのがよい。
【0056】
この本実施形態に係るトイレットロール10では、トイレットペーパー12に消臭剤が付与されていることから、トイレットロール10の露出する部分の広範な範囲を占める周面12Aに消臭剤が位置されているため、紙管11などの狭い範囲にのみに消臭剤が付与されているものと比較してトイレ空間内の悪臭成分との接触機会が多くなるため消臭効果に優れる。なお、本発明に係るトイレットロール10は、紙管に消臭剤が付与されていることを否定しない。
【0057】
また、本実施形態のトイレットロール10は、消臭剤15が、トイレットペーパーの実質的な表面から奥まった位置にある。すなわち、エンボス凸部に対応する凹部底14B或いはその積層内面側に位置にある。このため使用時に消臭剤が肌に触れ難い。さらに、本実施形態のトイレットロール10は、トイレットペーパー12を使用する毎に、トイレットロールの周面12Aに新しいトイレットペーパー12が露出されることになるため、その毎に新たな消臭剤も周面に位置されるようになるため消臭効果の持続性にも優れる。
【0058】
また、本実施形態のトイレットロール10は、上記のトイレットロール及びトイレットペーパーの製造方法の欄で説明した製造方法により製造することができるため、上記説明の製造上の利点をも有する。
【符号の説明】
【0059】
31A,32A…原反ロール、31,32…長尺の紙管原紙、51…糊付けロール、44…接着糊、52…マンドレルシャフト、3…筒状部分、58…カッター、55…コンベア、X2…ワインダー、82…ミシン目線形成装置、85…巻き取り部、53…プーリー、54…平ベルト、91…ログカッター、75…ログ、7…トイレットペーパー、71A,71B…トイレットペーパー原紙、70A,70B…原反ロール、21A,21B…エンボスロール、22A,22B…受けロール、20A,20B…エンボス付与装置、25A,25B…転写ロール、23…マリッジロール、26A,26B…トイレットペーパー原紙の凸部頂部、26a,26b…凹部底、10…トイレットロール、10A…トイレットロールの周面、11…紙管、12…トイレットペーパー、13…トイレットペーパー原紙、14A…エンボス凸部頂部、14B…凹部底、15…消臭剤、L1…ロールペーパーの幅、L2…ロールペーパーの直径、L3…紙管内径。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7