特許第6383141号(P6383141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383141表面処理粉体及び該表面処理粉体を配合した皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383141
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】表面処理粉体及び該表面処理粉体を配合した皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20180820BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20180820BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61K8/29
   A61K8/37
   A61K8/41
   A61Q17/04
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-178815(P2013-178815)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48308(P2015-48308A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100168996
【弁理士】
【氏名又は名称】諌山 雅美
(72)【発明者】
【氏名】及川 哲也
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−196946(JP,A)
【文献】 特開2003−212711(JP,A)
【文献】 特開2002−020218(JP,A)
【文献】 特開2004−315467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)及び(b)で被覆された平均一次粒子径が100nm以上の粉体と、紫外線吸収剤とを含有する皮膚外用剤。
(a)重合度が25以上100以下、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値が1以上1.3以下であって、少なくとも一方の分子鎖末端にアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を有する直鎖状の反応性オルガノポリシロキサン
(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサン
【請求項2】
前記(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(3)で表される、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【化1】
上記式(3)中、Rは独立して、水素、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択される。Rは独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する。nは整数である。
【化2】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【請求項3】
前記式(3)において、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択され、Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する、請求項2に記載の皮膚外用剤。
【化3】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【請求項4】
前記式(3)において、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選択され、Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する、請求項2または3に記載の皮膚外用剤。
【化4】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【請求項5】
前記粉体は、金属酸化物、無機有色顔料、体質顔料、及び無機光輝性顔料から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、及びB領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、を含有する請求項1〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
化粧料である、請求項1〜6の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理された粉体に関し、また、該表面処理された粉体を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、特にメークアップ化粧料には、シミ、ソバカス等の肌トラブルをカバーし、肌色を健康的に見せる等のメークアップ効果や塗布時にさっぱり感を感じる等の良好な使用感が求められている。優れたメークアップ効果を得るためには、これら効果を担う、有色顔料がメークアップ化粧料中に均一に分散し、この分散状態が長期にわたって保たれることが必要とされている。また、良好な使用感を得るためにも同様な特性が必要とされている。
【0003】
有色顔料や体質顔料の分散性や、分散安定性を向上させるための試みとして、側鎖にポリシロキサン鎖を有するアクリル重合体で被覆した顔料を乳化剤型化粧料に配合することで、化粧料中の顔料の分散性が向上し、優れた化粧持ちとさっぱりした使用感が得られるという技術が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
また、A領域、及びB領域の紫外線吸収剤を配合した乳化化粧料に、側鎖にポリシロキサン鎖を有するアクリル重合体で被覆した顔料を配合することで、顔料の分散性を向上させ、結果として、化粧持ち及びA領域、B領域の紫外線の防御効果に優れる乳化化粧料が得られるという技術も知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−339125号公報
【特許文献2】特開2003−48814号公報
【特許文献3】特開2013−28556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの技術に於いては、長期間保存した場合に顔料の分散性が低下する場合があるという課題が存在していた。
本発明は、紫外線吸収剤を配合させた皮膚外用剤において、良好な分散性が長期間にわたって維持される、粉体の分散安定性に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討したところ、従来提案されている技術では、含有させた顔料の分散安定性が未だ十分ではないために、メークアップ効果や使用感が更に改善され得ることがわかった。そこで、顔料などの粉体の分散安定性を向上させるべく、粉体の表面処理方法を検討したところ、(a)特定の構造を有する反応性オルガノポリシロキサン、及び(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサンで粉体表面を処理することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明の第一の実施態様は、以下のとおりである。
(1)(a)重合度が25以上100以下、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値が1以上1.3以下であって、少なくとも一方の分子鎖末端にアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択される少なくと
も1種を有する直鎖状の反応性オルガノポリシロキサン、及び(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサンで被覆された、平均一次粒子径が100nm以上の粉体。
(2)前記(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(3)で表される(1)に記載の粉体。
【化1】
上記式(3)中、Rは独立して、水素、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択される。Rは独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する。nは整数である。
【化2】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
(3)前記式(3)において、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択され、Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する、(2)に記載の粉体。
【化3】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
(4)前記式(3)において、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選択され、Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する、(2)または(3)に記載の粉体。
【化4】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
(5)前記粉体は、金属酸化物、無機有色顔料、体質顔料、及び無機光輝性顔料から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の粉体。
【0009】
また、本発明の第二の実施態様は、以下のとおりである。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の粉体、及び紫外線吸収剤を含有する皮膚外用剤。
(7)A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、及びB領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、を含有する(6)に記載の皮膚外用剤。
(8)化粧料である、(6)または(7)に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紫外線吸収剤を配合させた皮膚外用剤において、良好な分散性が長期間にわたって維持される、粉体の分散安定性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。また、本発明の皮膚外用剤中に配合される粉体は、油剤中での分散性が良好であり、経時で粉体が凝集することがなく、離奨が生じにくいため、本発明の皮膚外用剤は経時でメークアップ効果や使用感が低下しない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一の実施態様は、2種類のオルガノポリシロキサンで表面処理された粉体である。
本実施態様に用いる粉体は、電子顕微鏡観察による一次粒子径が通常100nm以上であって、皮膚外用剤に配合し得る粉体であればよい。粉体の例示としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の金属酸化物;ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム等の有色無機顔料;硫酸バリウム、タルク、セリサイト、カオリン、マイカ、無水珪酸、窒素化硼素、アルミナ等の体質顔料;チタンマイカ等の無機光輝性顔料等があげられる。これらの粉体は、その表面がシリカ、アルミナ等の無機化合物、または脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物により被覆されてもよい。
【0012】
本実施態様に用いる粉体は、電子顕微鏡観察による一次粒子径が100nm以上であり、化粧料分野における微粒子とは区別されるものである。本実施態様に用いる粉体の平均一次粒径は、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上、また通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。
本実施態様で用いられる粉体としては、メークアップ効果や良好な使用感を与える役割を担うことから、酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム等の有色無機顔料、タルク、セリサイト、マイカであることが好ましい。
【0013】
本実施態様で用いる粉体の入手には特段困難性はなく、市販されている粉体を適宜用いればよい。
【0014】
本実施態様に係る粉体は、(a)特定の構造を有する反応性オルガノポリシロキサン、及び(b)少なくとも1つのフェニル基を有するオルガノポリシロキサンで被覆される。
本発明者らは、粉体を上記(a)、(b)2種類のオルガノポリシロキサンで被覆することで、紫外線吸収剤を含む分散媒中における分散性が改善され、皮膚外用剤とした際に粉体の分散安定性に優れるため、メークアップ効果が持続し、かつ、使用感も良いことに想到した。
【0015】
(a)オルガノポリシロキサンは、直鎖状の反応性オルガノポリシロキサンであり、重合度が25以上100以下、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値が1以上1.3以下であって、少なくとも一方の分子鎖末端にアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を有する。
アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択される反応基は少なくとも一方の分子鎖末端に存在すればよく、両方の分子鎖末端に存在してもよいが、粉体との反応性等の観点からは、一方のみの分子鎖末端にこれらの反応基のうち少なくとも1種が存在すればよい。
アルコキシ基としては、炭素数が1以上5以下のものが好ましく、炭素数が1以上3以下のもの、すなわちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基がより好ましい。
ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等が好ましい。
【0016】
本実施態様に用いられる(a)反応性オルガノポリシロキサンは、重合度が25以上100以下である。好ましくは30以上である。また、60以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。
重合度をこの範囲とすることで、化粧料に配合した際の使用性、及び粉体との反応性が良好となる。
【0017】
本実施態様に用いられる(a)反応性オルガノポリシロキサンは、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値(以下、分子量分散度ともいう)が1以上1.3以下である。Mw/Mnの値がこの範囲内にあることで、分子量分布がシャープとなり、化粧料に配合した際に良好な使用感が得やすくなる。重量平均分子量と数平均分子量は、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができる。
【0018】
本実施態様に用いられる(a)反応性オルガノポリシロキサンの具体例としては、以下の一般式(1)および(2)で表されるポリオルガノシロキサンがあげられる。
【化5】
【化6】
【0019】
上記式(1)および(2)中、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選択される。炭素数1〜3のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
上記式(1)中、Rは独立して、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択され、Rのうち少なくとも1つは、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基及びイミノ基からなる群から選択される反応基である。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
Rは独立して、単結合、及び二価の炭化水素基から選択され、二価の炭化水素基である場合には、その水素原子が水酸基、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、又はエチル基で置換されていてもよい。二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロペン基等が例示される。
mは通常25以上、好ましくは30以上であり、また、通常100以下、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下である。
【0020】
上記(a)反応性オルガノポリシロキサンの更なる具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキシシラザン、α−モノヒドロキシシロキサン、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジアルコキシジメチルポリシロキサン、α,ω−ヘキサアルコキシポリジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキシクロライド、ジメチルポリシロキシブロミド、及びジメチルポリシロキシイオジド等が挙げられる。
中でも、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン及びα−トリアルコキシポリジメチルシロキサン(例として、α−トリエトキシポリジメチルシロキサン等)が、反応性が非常に良好であり、特に滑らかな感触を付与するので好ましい。
【0021】
上記(b)オルガノポリシロキサンは、フェニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(b)オルガノポリシロキサンはフェニル基を有する限り特段その種類は限定されず、例えば、下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンを例示できる。
【0022】
【化7】
【0023】
上記式(3)中、Rは独立して、水素、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択される。好ましくは、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基から選択され、より好ましくは、Rは独立して、炭素数1〜3のアルキル基から選択される。
は独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、下記一般式(4)で表される基及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する。好ましくは、Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基、及びフェニル基から選択されるとともに、フェニル基を有するユニットを少なくとも1つ有する。
nは整数であり、通常3以上、好ましくは5以上、また通常600以下、好ましくは400以下である。
【化8】
上記式(4)中Rは独立して炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0024】
上記(b)オルガノポリシロキサンに含まれる好ましい具体例としては、モノフェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンなどがあげられる。これらは定法に従い調製することもできるが、市販品を用いてもよい。
市販品としては、「シリコーンKF54」(信越化学株式会社製)、「シリコーンKF56」(信越化学株式会社製)、「BELSEL PDM 1000」(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)等が例示される。
上記(b)オルガノポリシロキサンの数平均分子量は特段限定されないが、通常500以上、好ましくは800以上、また通常100000以下、好ましくは80000以下である。
【0025】
上記(a)及び(b)のオルガノポリシロキサンによる、粉体の表面処理は、定法に従い処理されれば良く、例えば必要により溶媒を用いて、ヘンシェルミキサー等の混合機により粉体とオルガノポリシロキサンを混合し、該混合物を加熱する等の方法があげられる。また、上記(a)及び(b)のオルガノポリシロキサンによる処理の順序についても特段限定されないが、(a)のオルガノポリシロキサンで表面処理を行った後に、(b)のオルガノポリシロキサンで処理することで、本発明の効果がより顕著なものとなり、好ましい。
【0026】
本実施態様に係る粉体において、上記(a)及び(b)のオルガノポリシロキサンの被覆量は、表面処理後の粉体に対し、それぞれ通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。オルガノポリシロキサンによる被覆量をこの範囲とすることで、本実施態様に係る粉体の分散性がより良好となり、皮膚外用剤に配合した際に粉体の分散安定性に優れるため、メークアップ効果が持続し、使用感も良好となる。
【0027】
また、(a)及び(b)のオルガノポリシロキサンの被覆量の比は特段限定されず、通常質量比で(a):(b)=95:5〜5:95であり、好ましくは80:20〜20;80、より好ましくは70:30〜30:70である。
【0028】
本発明の第二の実施態様は、上記第一の実施態様に係る粉体、及び紫外線吸収剤を含有する皮膚外用剤である。
本実施態様に係る皮膚外用剤において、上記第一の実施態様に係る粉体の配合量は特段限定されず、化粧料の種類により適宜設定可能であるが、皮膚外用剤全量に対し、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、また、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
紫外線吸収剤としては、皮膚外用剤に配合し得る紫外線吸収剤であれば特段限定されないが、幅広い波長の紫外線を吸収するために、320〜400nm波長(A領域)の紫外線を吸収するUV−A吸収剤、及び290〜320nm波長(B領域)の紫外線を吸収するUV−B吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤の配合量は特段限定されず、皮膚外用剤全量に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常25質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
【0029】
UV−A吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ビス(レスルシニル)トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン等の化合物
が例示される。この内でも、紫外線吸収能に優れることから、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及びt−ブチルメトキシベンゾイルメタンが特に好ましい。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては「ユビナールAプラス グラニュラー」(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル BASF社製)、「パルソール1789」(t−ブチルメトキシベンゾイルメタン DSM社製)が例示できる。
【0030】
UV−A吸収剤の含有量は、皮膚外用剤全量に対して通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下である。
【0031】
UV−B吸収剤としては、具体的には、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル等の化合物があげられる。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては、「ユビナールMC80」(パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル BASF社製)、「ユビナールT150」(2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン BASF社製)、「ユビナールM40」(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン BASF社製)、「パルソールSLX」(ジメチコジエチルベンザルマロネート DSM社製)、「パルソール340」(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル DSM社製)、「パルソールHMS」(サリチル酸ホモメンチル DSM社製)、「パルソールEMS」(サリチル酸オクチル DSM社製)が例示できる。
【0032】
UV−B吸収剤の含有量は、皮膚外用剤全量に対して通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、また、通常10質量%以下、好ましくは7質量%以下である。上記範囲の含有量により、より良好に紫外線吸収効果を発揮できる。
【0033】
本実施態様に係る皮膚外用剤は、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用雑貨等が好適に例示できる。化粧料として用いられることがより好ましい。
本実施態様に係る皮膚外用剤は、通常知られている、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。化粧料としては、基礎化粧料、毛髪化粧料、メークアップ化粧料などの何れもが適用可能であるが、紫外線吸収効果を有するメークアップ化粧料に適用することが特に好ましい。
【0034】
本実施態様に係る皮膚外用剤に於いては、前記の成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば:マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;
流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;
オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;
セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコ
ール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール類;
イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;
脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;
ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコー
ル脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエ
ーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;
ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;
グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレ
ングリコール、ベントナイト等の増粘剤;
表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;
表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;
表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;
レーキ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;
ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;
パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキ
シ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;
エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;
ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類;
などが好ましく例示できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明が以下の実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0036】
<実施例1>シリコーン被覆顔料級二酸化チタンの製造例1
顔料級二酸化チタン85g(平均一次粒子径0.3μm)、反応性ポリオルガノシロキサンとしてα−トリエトキシポリメチルポリシロキサン(重合度30、分子量分散度1.19、片末端基エトキシ基)8.0g及びフェニル基を有するシリコーン(「シリコーンKF54」 信越化学株式会社製)7.0gをイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液をヘンシェルミキサー中で攪拌混合した。
この混合物を150℃で8時間加熱処理し、本発明のシリコーン被覆顔料級二酸化チタ
ン1を得た。
【0037】
<実施例2〜6>シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例1
実施例1における顔料級二酸化チタンを表1に示す無機有色顔料及び体質顔料に変更した以外は、実施例と同様の操作を行い、表1記載のシリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔
料を得た。それぞれの粉体の平均一次粒子径は、黄色酸化鉄:0.3μm、ベンガラ0.3μm、黒色酸化鉄0.3μm、タルク5μm、セリサイト5μmであった。
【0038】
【表1】
【0039】
<実施例7>シリコーン被覆顔料級二酸化チタンの製造例2
顔料級二酸化チタン85g(平均一次粒子径0.3μm)、反応性ポリオルガノシロキサンとしてα−モノヒドロキシポリシロキサン(重合度35、分子量分散度1.21、片末端基がモノシラノール基)7.5g及びフェニル基を有するシリコーン(「シリコーンKF56」信越化学株式会社製)7.5gをイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液をヘンシェルミキサー中で攪拌混合した。
この混合物を150℃で8時間加熱処理し、本発明のシリコーン被覆顔料級二酸化チタ
ン2を得た。
【0040】
<実施例8〜12>シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例2
実施例における顔料級二酸化チタンを表2に示す無機有色顔料及び体質顔料に変更した以外は、実施例と同様の操作を行い、表2記載のシリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料を得た。なお、それぞれの粉体の平均一次粒子径は、シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例1と同様である。
【0041】
【表2】
【0042】
<比較例1〜6>シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例3
表3の顔料85g、反応性ポリオルガノシロキサンとしてα−トリエトキシポリメチルポリシロキサン(重合度30、分子量分散度1.19、片末端基エトキシ基)15.0gをイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液をヘンシェルミキサー中で攪拌混合した。
この混合物を150℃で8時間加熱処理し、シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料
を得た。なお、それぞれの粉体の平均一次粒子径は、シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例1と同様である。
【0043】
【表3】
【0044】
<比較例7〜12>シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例4
表4の顔料85g、フェニル基を有するシリコーン(「シリコーンKF54」信越化学株式会社製)15.0gをイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液をヘンシェルミキサー中で攪拌混合した。
この混合物を150℃で8時間加熱処理し、シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料
を得た。なお、それぞれの粉体の平均一次粒子径は、シリコーン被覆無機有色顔料及び体質顔料の製造例1と同様である。
【0045】
【表4】
【0046】
<製造例1>顔料ベースの調製
上記で調製したシリコーン被覆粉体を表5の割合で、ヘンシェルミキサー中で混合し、顔料ベース1〜4を調製した。顔料ベース1には上記シリコーン被覆粉体のうち、それぞれ1のみを使用した。以下顔料ベース2〜4も同様に調製した。なお表中の数字は重量部を表す。
【0047】
【表5】
【0048】
<試験例1>シリコーン被覆顔料ベースの分散安定性
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリルとジメチコン(20cs)を質量比7:3で混合した混合油剤26.85g、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル0.15g及び上記で調製したシリコーン被覆顔料ベース1〜4それぞれ3.0gを50mlガラス製スクリュー瓶にとり、10分間超音波処理を行い均一分散させた。この分散系を24時間放置し、シリコーン被覆顔料ベースの分散状態を肉眼にて観察した。結果を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】
<実施例13〜16、比較例13〜14>
表7に示す処方に従って、本発明の乳化形化粧料である、油中水形のサンスクリーン化粧料及び比較例の油中水形のサンスクリーン化粧料を調製した。すなわち、成分(イ)を75℃に加熱し、攪拌混合した。次に、成分(イ)に成分(ロ)を添加し、加熱を続けながら、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分(イ)に成分(ロ)を均一に分散させた。さらに、成分(ハ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)と成分(ロ)の混合物に成分(ハ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、油中水形のサンスクリーン化粧料を得た。なお表7中の数字は質量%を表す。
【0051】
【表7】
【0052】
<試験例2>保存安定性の評価
実施例13〜16、比較例13〜14のサンスクリーン化粧料を50℃で3ヶ月保存した後、状態を肉眼で観察した。結果を表8に示す。
【0053】
<試験例3>分散状態の評価
0.5ミルのドクターブレードを用いて、実施例13〜16、比較例13〜14のサンスクリーン化粧料の薄膜をスライドグラス上に作成した。この薄膜の560nmでの全透過率を積分球付きの分光光度計を用いて測定した。また、50℃で3ヶ月保存後にも同様の測定を行った。結果を表8に示す。透過率が小さいほど粉体の分散状態が良好であることを表す。
【0054】
<試験例4>仕上がりの均一性の評価
熟練評価者5名により実施例13〜16、比較例13〜14のサンスクリーン化粧料を塗布した場合の使用感についての官能評価を行った。仕上がりの均一性を以下の評価基準に基づき評価した。評価では、5名の平均値を求めそのサンスクリーン化粧料の評点とした。また、50℃で3ヶ月保存した後にも同様の評価を行った。結果を表8に示す。
仕上がりの均一性が調製直後の比較例13と比較して:
かなり均一にまさる 5点
やや均一にまさる 4点
同等 3点
やや不均性に劣る 2点
かなり不均性に劣る 1点
【0055】
<試験例5>肌上での使用感の評価
熟練評価者5名により実施例13〜16、比較例13〜14のサンスクリーン化粧料を塗布した場合の使用感についての官能評価を行った。さっぱり感を以下の評価基準に基づき評価した。評価では、5名の平均値を求めそのサンスクリーン化粧料の評点とした。また、50℃で3ヶ月保存した後にも同様の評価を行った。結果を表8に示す。
さっぱり感が調製直後の比較例13と比較して:
かなりある 5点
ややある 4点
同等 3点
ややない 2点
かなりない 1点
【0056】
【表8】
【0057】
表8より明らかなように本発明の皮膚外用剤は粉体の分散安定性が良好であり、その結果として、優れた使用感とメークアップ効果を有する。
【0058】
<実施例17〜20、比較例15〜16>
表9に示す処方に従って、本発明の乳化形化粧料である、水中油形のサンスクリーン化粧料及び比較例の水中油形のサンスクリーン化粧料を調製した。すなわち、成分(イ)を75℃に加熱し、攪拌混合した。次に、成分(イ)に成分(ロ)を添加し、加熱を続けながら、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分(イ)に成分(ロ)を均一に分散させた。さらに、成分(ハ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)と成分(ロ)の混合物に成分(ハ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、水中油形のサンスクリーン化粧料を得た。なお表9中の数字は質量%を表す。また、実施例17〜20及び比較例15〜16のサンスクリーン化粧料について、試験例2〜5と同様に、保存安定性、分散状態、仕上がりの均一性、肌上での使用感を評価した。結果を表10に示す。
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
表10から明らかなように水中油剤形においても本発明の皮膚外用剤が粉体の分散安定
性に優れ、その結果として、優れた使用感とメークアップ効果を有することが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は日焼け止め化粧料やメークアップ化粧料等に活用できる。