(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基地局から送信された無線信号を受信する無線受信機と、前記基地局を介して前記無線受信機に放送を行う親局とを備える無線通信システムにおける前記無線受信機の更新方法であって、
前記親局が送信した更新情報を受信し保持する保持工程と、
前記更新情報を受信した後に、前記親局から更新指示信号を受信し、保持した前記更新情報に基づいて更新処理を行う更新処理工程と、
前記更新指示信号の受信の後に、前記親局から更新確認信号を受信し、前記更新処理が完了したか否かを判断する判断工程と、
前記判断の結果を報知する報知工程とを備え、
前記親局が送信する前記更新情報は複数回送信された情報である
ことを特徴とする更新方法。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器に搭載されるソフトウェアの規模が大きくかつ複雑になってきており、十分な評価を行っていても、想定外の問題が発生する可能性が少なくない。また市場や顧客要求によるソフトウェアの変更も多くなっている。
【0003】
このような場合、従来は電気機器を店舗やサービス店に持って行き、電気機器のソフトウェア等の記録情報の変更を行ったり、サービス員が電気機器を使用している顧客の元を訪問してソフトウェアの変更を行っていた。また、近年、無線や有線といった通信機能が搭載されている電気機器においては、通信網を利用したソフトウェアの更新も行われている。
【0004】
前者のような、店舗、サービス店やサービス員がソフトウェアの更新を行う手段の場合は、人間が更新作業を実施するため、ソフトウェアの更新が実施されたことを容易に確認することができる。しかし、後者のような通信網を利用したソフトウェア更新の場合、双方向の通信が可能でないと、更新が実施されたか確認することができない。さらに、無線通信のような、設置環境等により通信品質が不安定な通信網を使用する場合は、確認が重要となる。また、ソフトウェアが更新されたことを電気機器を使用しているユーザーに伝えることも重要であり、そのための表示部や操作部等のユーザーインターフェースが必要でとなる。
【0005】
例えば、携帯電話のような双方向無線通信が可能なシステムの場合、無線通信を利用したソフトウェア等の記録情報の更新(以下、「エアダウンロード」という)は、システム側/ユーザー側の双方において、エアダウンロードが実施されたことや完了したことを無線通信で確認することが可能であり、またエアダウンロードの実施をユーザーに伝えるためのユーザーインターフェースがあらかじめ備わっているため、一般的な機能として搭載されている。
【0006】
しかし、双方向無線通信が可能なシステムだけでなく、防災行政無線システムのように単方向無線通信システムも広く存在している(例えば特許文献1参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示の技術のような防災行政無線システム(同報無線)である単方向無線通信システムの受信機においても、エアダウンロードを実施することは可能だが、エアダウンロードが実施されたことを無線通信で確認することができない。そのため、システム開発においては、エアダウンロードを行う前提とした技術を念頭におくことが無かった。
【0009】
また、防災行政無線システムの子局は、一般に防災用途(非常時の放送等の同報・拡声機能)に特化しているため、ユーザーの操作や表示部を確認をすることを想定されておらず、ハード的に表示部や操作部等のユーザーインターフェースが簡素化されている。さらに、機器を一旦設置工事した後は定期的な保守時を除いて放置に近い状態となっているため、表示等で更新をユーザーに伝えることも実質困難である。また、上記のような防災行政無線システムの子局のエアダウンロードにおいては、対象の子局を同―時刻に一斉に更新させる課題がある。これらの観点からもエアダウンロードによる更新を想定するものではなかった。
【0010】
しかしながら、上述の様な単方向無線通信システムにおいてもソフトウェア等の記録情報の更新、特にエアダウンロードが求められるようになってきた。特に、この種のシステムにおいても通信方式の高度化等の観点からもそれら通信方式に関連するソフトウェアの更新が必要になるケースもでてきており、対策の技術が求められていた。特に、エアダウンロードの実行や確認のタイミングをシステム管理側がコントロールし、限られたユーザーインターフェースでユーザーにエアダウンロードの確認を行ってもらう必要がある。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基地局から送信された無線信号を受信する無線受信機と、前記基地局を介して前記無線受信機に放送を行う親局とを備える無線通信システムであって、前記親局は、前記無線受信機に更新情報を複数回送信し、前記無線受信機に前記更新情報による更新処理を行わせる更新指示信号を送信した後に、前記無線受信機に更新処理の完了を確認させる更新確認信号を送信する送信部を備え、前記無線受信機は、受信した前記更新情報を保持する保持部と、前記更新指示信号を受信すると保持した前記更新情報に基づいて更新処理を行う更新処理部と、前記更新確認信号を受信すると前記更新処理が完了したか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断結果を報知する報知部とを備える。
また、前記親局の前記送信部は、前記更新情報を複数の更新情報に分割し、分割した複数の前記更新情報に識別番号を付して複数回送信し、前記無線受信機は、受信した前記更新情報の識別番号に基づいて、前記更新情報を前記保持部が保持済みであるか否かを判断し、保持済みであれば当該更新情報を破棄し、保持していなければ前記更新情報を前記保持部に保持させる保持制御部を備えてもよい。
また、前記親局は、外部電話機から前記更新指示信号の送信指示を受ける
第1受付部を備え、前記送信部は、前記第1受付部が前記更新指示信号の送信指示を受けると、前記更新指示信号を送信してもよい。
また、前記親局は、外部電話機から前記更新確認信号の送信指示を受ける第2受付部を備え、前記送信部は、前記第2受付部が前記更新確認信号の送信指示を受けると、前記更新確認信号を送信してもよい。
本発明の方法は、基地局から送信された無線信号を受信する無線受信機と、前記基地局を介して前記無線受信機に放送を行う親局とを備える無線通信システムにおける前記無線受信機の更新方法であって、前記親局が送信した
更新情報を受信し保持する保持工程と、前記更新情報を受信した後に、前記親局から更新指示信号を受信し、保持した前記更新情報に基づいて更新処理を行う更新処理工程と、前記更新指示信号の受信の後に、前記親局から更新確認信号を受信し、前記更新処理が完了したか否かを判断する判断工程と、前記判断の結果を報知する報知工程とを備え、前記親局が送信する前記更新情報は複数回送信された情報である。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によると、無線通信システムにおいて、エアダウンロードの実施を容易に確認できるシステムが実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る防災行政無線システム1の構成を示している。防災行政無線システム1は、複数の地区で構成される自治体において種々の情報を住民に伝達するものであり、自治体内の全域(全ての地区)又は一部地区の全住民に宛てた放送(同報放送)の発信を目的とした同報系放送システムとなっている。
【0017】
防災行政無線システム1は、1台の同報系親局10と地区毎に設けられた複数台の戸別受信機20とを有する。同報系親局10と戸別受信機20との間の無線通信は、所定周波数の信号、例えば、周波数60MHzのデジタル信号を用いて行われる。
【0018】
同報系親局10は、操作者(管理者等のユーザー)からの操作を受け付ける放送卓14と、放送卓14を遠隔的に操作するための遠隔操作装置12と、基地局として機能し戸別受信機20に放送通信を送出する無線装置16とを備える。なお、放送卓14及び遠隔操作装置12を「親局」と称し、無線装置16と区別する場合もある。
【0019】
遠隔操作装置12には公衆網54を介して電話機80を通信可能に接続することができる。電話機80の操作者は、遠隔操作装置12を通じて遠隔的に放送卓14を操作できる。
【0020】
同様に、遠隔操作装置12にはインターネット網52を介してPC70を通信可能に接続することができる。PC70の操作者は、遠隔操作装置12を通じて遠隔的に放送卓14を操作できる。
【0021】
戸別受信機20は、通信部21と、報知部22と、情報更新部30とを備える。報知部22は、スピーカ23とLED24とを備える。
【0022】
通信部21は同報系親局10の無線装置16から送出された放送信号を受信し、受信した放送信号に自局を指定する所定のID(アドレス)が含まれる場合には、内蔵のスピーカ23から音声出力する。また、後述するエアダウンロード処理が行われた場合の処理状態を報知する際に、LED24が所定の表示態様で点灯する。
【0023】
情報更新部30は、エアダウンロードを実行し戸別受信機20に設定されているプログラムを更新する。具体的には、情報更新部30は、更新制御部31と、更新情報保持部32と、保持制御部33とを備える。
【0024】
更新制御部31は、エアダウンロードによる更新データの受信処理を行い、更新情報保持部32に保持し、かつ更新指示信号を受信すると保持した更新情報に基づいて更新処理を行う。また、更新制御部31は、更新処理が完了したか否かを判断し、判断結果を報知部22を用いて報知する。ここでは、LED24を所定の態様で点灯させることで報知がなされる。
【0025】
図2は、単方向無線通信システムである防災行政無線システム1における、エアダウンロードの具体的な制御フロー例を示すフローチャートである。このフローを参照して処理の概要を説明する。
【0026】
システム管理側、つまり、戸別受信機20のソフトウェア等の記録情報の更新を実施したい場合、戸別受信機20のソフトウェア更新用データを遠隔操作装置12に登録する(S10)。その際、遠隔操作装置12には、エアダウンロードでデータを転送する時間と回数も登録する。
【0027】
遠隔操作装置12は、エアダウンロードでデータ転送する時間になったら(S11のY)、戸別受信機20のソフトウェア更新用データを放送卓14と無線装置16を経由して無線で戸別受信機20に転送する(S12)。戸別受信機20は、受信したデータを戸別受信機20内の受信バッファエリアに保存する。エアダウンロードのデータ転送時間になるまでは(S11のN)、遠隔操作装置12はエアダウンロード処理を待機状態とする。エアダウンロードが開始されると遠隔操作装置12は所定の転送回数が終了したか否かを確認する(S13)。
【0028】
遠隔操作装置12は、指定された回数転送が終了するまで(S13のN)、繰り返しデータ転送する。戸別受信機20側は、複数回受信することで、受信エラー等で正常に受信出来なかったデータを補完する。
【0029】
双方向通信では、受信エラー等で正常に受信できなかった場合、受信出来なかったデータを再要求することが可能だが、単方向通信では、これらが出来ないために複数回転送し、データの信頼性を上げる。なお、この時点で戸別受信機20側は、データを受信バッファエリアに保存しているだけで、遠隔操作装置12からの更新指示があるまでは最終的な更新まで実施していない。
【0030】
遠隔操作装置12は、指定された回数転送が完了したら(S13のY)、システム管理者が別途指定した時刻にて、戸別受信機20の受信バッファに保存されていたデータを最終的な更新実行するよう無線で指示する(S14)。更新を実行するよう指示された戸別受信機20は、受信バッファに保存されたデータに誤りや欠落が無く、更新しても問題無いデータであること確認後、データの更新を実行する。逆にデータに誤りや欠落が合った場合は、データの更新は実行しない。
【0031】
この段階でシステム管理側は、戸別受信機20が正常に更新されたか確認することが出来ない。また、戸別受信機20を使用しているユーザー側も、ソフトウェアの更新が実施されたことがわからない。
【0032】
システム管理側は、遠隔操作装置12から戸別受信機20に対して、ソフトウェアの更新(つまりエアダウンロード)が正常に実施されたか確認するため、無線で確認指示する(S15)。確認を指示された戸別受信機20は、戸別受信機20にある既存のユーザーインターフェース(例えば、報知部22のLED24)を使用し、正常に更新されたか否かをユーザーに対して示す。なお、報知方法として、上述のLED24で示す方法や音声メッセージやアラーム音等をスピーカ23から出力する方法がある。また確認指示はシステム管理側が制御するため、戸別受信機20を使用するユーザーは確認するための操作を行わなくて良い。システム管理側は、戸別受信機20を使用するユーザーに対して、確認内容を通知してもらうことでソフトウェアの更新が正常に更新されたか確認することができる。
【0033】
従来では、更新の実施指示や確認の指示をシステム管理側が遠隔操作装置12を直接制御して実施していたが、遠隔操作装置12を含む同報系親局10は、必ずしも屋内や都市部といった環境の良い場所に設置されているとは限らない。遠隔操作装置12は、公衆網54やインターネット網52と接続されており、公衆網54を利用した電話機80やインターネット網52を利用したPC70から更新の実施指示や確認の指示を制御することができる。そのため、悪天候時や山間部に設置された同報系親局10を容易に制御出来る。
【0034】
なお、システム管理側が戸別受信機20を使用するユーザーに確認内容を通知してもらう方法としては、書面で確認する方法、電話で確認する方法や訪問して確認する方法等人間対人間となる。このような場合、戸別受信機20を制御するタイミングとユーザーに確認するタイミングを細かく簡単に制御出来る必要があり、前述の電話機80やPC70で確認指示できる制御は大変有効である。
【0035】
例えば、ソフトウェアの更新を実施したい対象の戸別受信機20を使用するユーザーに、電話機80でソフトウェアの更新について説明する。その後、対象の戸別受信機20に対して電話機80又はPC70を使用して確認指示をし、再度、戸別受信機20を使用するユーザーに電話機80で戸別受信機20の表示もしくは鳴動した音声の内容について確認をとることで、更新が正常に行われたか確認することが可能である。その他、小エリア(コミュニティ等のグループ)ごとに代表者を決めて、代表者が管理する戸別受信機20にてソフトウェアの更新の確認と連絡を代表で行うようにすることも可能である。また、更新する戸別受信機20を小エリア(コミュニティ等のグループ)に分割し、システム管理者が更新するグループを順次設定することも可能である。
【0036】
次に、防災行政無線システム1での具体的な実施例について、
図3を参照して説明する。一般に、防災行政無線システム1では、1つの同報系親局10に対して、数十台から数千台といった多数の戸別受信機20が配置されている。ソフトウェアの更新対象が全台数となった場合、エアダウンロード機能は大変有効な手段である。しかし、前述のような確認作業を実施する場合、一括で全数確認するのは困難な為、対象エリアを絞り込む必要がある。
【0037】
例えば、同報系親局10に対して全台数を対象としたエリアを大規模エリアグループ90とし、その大規模エリア90の中に数十台程度の小規模エリアのグループを割り当てる。ここでは、小規模エリアのグループとして第1〜第3の小規模エリア92A〜92Cが設定されている。また、第1〜第3の小規模エリア92A〜92Cのそれぞれには6台の戸別受信機20a、20b、20cが配置されている。さらに、戸別受信機20a、20b、20cには、それぞれの個別番号が割り当てられている。
【0038】
エアダウンロードのデータ転送については、データ量も多く、対象範囲を最大としたいため大規模エリアのグループで実施する。エアダウンロードデータの更新実行や更新確認については、その指示のためのデータ量が少なく即時に指示することが可能であり、小規模エリアのグループもしくは個別番号を使用して最終的に処理を行う対象範囲も限定して、小規模エリアのグループもしくは個別番号単位で実施する。
【0039】
次に、エアダウンロード実施の全体シーケンスや各処理の詳細について図面を用いて説明する。
図4は、全体シーケンスを示す処理である。
【0040】
<エアダウンロード実施の流れ>
操作者は、戸別受信機20へエアダウンロードを行う対象のファイルを遠隔操作装置12の指定フォルダに格納する(S101)。このファイル格納時にエアダウンロード開始の時刻が同時に指定される。
【0041】
指定された時刻になると、エアダウンロード処理が開始する(S102)。まず、遠隔操作装置12は、上述の指定フォルダを参照し、対象ファイルを読込み、放送卓14にエアダウンロードの開始信号を送信する(S103)。
【0042】
放送卓14は受信したエアダウンロードの開始信号を基地局である無線装置16へ送信し(S104)、送信が完了すると遠隔操作装置12へ送信完了の信号を送信する(S105)。無線装置16は放送卓14から受信したエアダウンロードの開始信号を戸別受信機20へ送信する(S106)。戸別受信機20(戸別受信機)は、無線装置16から受信したエアダウンロードの開始信号により、エアダウンロードの準備を行う。
【0043】
つぎに、遠隔操作装置12は、放送卓14から受信したエアダウンロードの開始信号の送信完了信号により、エアダウンロード処理を複数回実行する(S110a〜S110n)。
【0044】
まず遠隔操作装置12は、放送卓14へエアダウンロード内容の送信を行う(S111)。このとき、データ内容を一度に送らず、例えば250バイト毎に分割し送信を行う。また、放送卓14からのエアダウンロード内容の送信完了受信により、次のエアダウンロード内容の送信を行い、全データ分を繰り返し送信する。
【0045】
放送卓14は受信したエアダウンロード内容信号を無線装置16へ送信し(S112)、送信が完了すると遠隔操作装置12へ送信完了の信号を送信する(S113)。
【0046】
無線装置16は放送卓14から受信したエアダウンロード内容の信号を戸別受信機20へ送信する(S114)。そして、戸別受信機20において、更新制御部31は、無線装置16から受信したエアダウンロード内容の信号により、エアダウンロード内容を更新情報保持部32に格納する。
【0047】
遠隔操作装置12は、全てのエアダウンロード内容の送信を完了すると(S110a〜S110n)、エアダウンロードの終了信号の送信を行う(S121)。
【0048】
放送卓14は受信したエアダウンロードの終了信号を無線装置16へ送信し(S122)、送信が完了すると遠隔操作装置12へ送信完了の信号を送信する(S123)。その後、遠隔操作装置12はエアダウンロードの終了を行う(S130)
無線装置16は放送卓14から受信したエアダウンロードの終了信号を戸別受信機20へ送信する(S124)。戸別受信機20は、無線装置16から受信したエアダウンロードの終了信号により、エアダウンロードの終了を行う(S131)。
【0049】
<繰り返し放送による戸別受信機のデータ補完>
図5は、繰り返し放送による戸別受信機のデータ補完の状態を示すテーブルである。無線装置16と戸別受信機20の間は、無線区間のためダウンロードデータの取りこぼしの可能性がある。そこで、遠隔操作装置12からのダウンロードシーケンスを指定されたダウンロード回数が完了するまで、毎日同じ時間にダウンロードシーケンスを実施する。また、更新データは7つに分割して送信される。
【0050】
戸別受信機20は、同一のダウンロードシーケンスIDで一度受信したデータを再度受信した場合は破棄し、2度目以降で不足しているデータを受信した場合に格納を行う。例えば、
図5(a)は、初日(第1日目)のダウンロード動作とデータ格納状態を示している。受信番号1、2、4、7のデータについては受信され格納されている。受信番号3、5、6のデータについては未受信でありデータは未格納となっている。
【0051】
図5(b)は、第2日目のダウンロード動作とデータ格納状態を示している。受信番号1、2、4、7のデータについては既に受信済みでデータ格納済みですので、あらたに受信したデータは破棄される。受信番号3、6のデータについては新たにデータを受信しデータが格納されている。受信番号5のデータについては依然として未受信の状態である。
【0052】
図5(c)は、第N日目のダウンロード動作とデータ格納状態を示している。受信番号1〜4、6、7のデータについては既に受信済みでデータ格納済みですので、あらたに受信したデータは破棄される。受信番号5のデータは、新たに受信され格納されている。
【0053】
このような繰り返し処理を実行することで、データの取りこぼしが発生した場合もダウンロードシーケンスを繰り返すことで、ダウンロードデータの補完を行い、全データの格納を行う。
【0054】
なお、ダウンロードシーケンスIDが不一致の場合、格納済みのデータをクリアし、最初から格納を実施する。
【0055】
<第1受付機能:電話機によるダウンロードデータの書き込み指示>
つづいて、
図6を参照して電話機80によるダウンロードデータの書き込み指示について説明する。遠隔操作装置12は、電話機80やPC70によるダウンロードデータの書き込み指示を受け付ける第1受付機能を有する。ここでは、電話機80による操作を説明する。
【0056】
まず、公衆網54に接続されている電話機80により公衆網54を介して遠隔操作装置12に接続し、遠隔操作装置12に対してエアダウンロードの書き込み指示の登録がなされる(S201)。
【0057】
遠隔操作装置12は、登録されたエアダウンロードの書き込み指示に従い、エアダウンロード書き込みを開始する(S202)。まず、遠隔操作装置12は、放送卓14にエアダウンロードの書き込み信号を送信する(S203)。
【0058】
放送卓14は受信したエアダウンロードの書き込み信号を無線装置16へ送信し(S204)、送信が完了すると遠隔操作装置12へ送信完了の信号を送信する(S205)。
【0059】
無線装置16は放送卓14から受信したエアダウンロードの書き込み信号を戸別受信機20へ送信する(S207)。戸別受信機20は、無線装置16から受信したエアダウンロードの書き込み信号により、格納済みのエアダウンロード内容に更新を行う。戸別受信機20は、書き込みが完了した場合、戸別受信機20のリセットを行い、更新内容を反映する(S208)。また、遠隔操作装置12では、放送卓14からの送信完了の信号を受信すると当該処理を終了する(S206)。
【0060】
<第2受付機能:電話機によるダウンロードの確認指示>
つぎに、
図7を参照して電話機80によるダウンロードの確認指示について説明する。遠隔操作装置12は、電話機80やPC70によるダウンロードの確認指示を受け付ける第2受付機能を有する。電話機80により公衆網54を介して遠隔操作装置12に対して、エアダウンロードの確認指示の登録を行う(S301)。
【0061】
遠隔操作装置12は、登録されたエアダウンロードの確認指示に従い、エアダウンロード確認指示を開始する(S302)。
【0062】
まず、遠隔操作装置12は、登録されたエアダウンロードの確認指示に従い、放送卓14にエアダウンロードの確認信号を送信する(S303)。
【0063】
放送卓14は受信したエアダウンロードの書き込み信号を無線装置16へ送信し(S304)、送信が完了すると遠隔操作装置12へ送信完了の信号を送信する(S305)。無線装置16は放送卓14から受信したエアダウンロードの確認信号を戸別受信機20へ送信する(S307)。
【0064】
戸別受信機20は、無線装置16から受信したエアダウンロードの確認信号(エアダウンロード対象、対象のバージョン)により、現在稼働中のエアダウンロード確認対象が確認信号のバージョンと一致するかをチェックし、チェック内容により戸別受信機20のLED24を次の通り表示する(S308)。なお、LED表示は例えば24時間表示し、24時間経過で自動消灯する。
バージョン一致 ・・・・青点灯
バージョン不一致 ・・・・ピンク点灯
【0065】
遠隔操作装置12では、放送卓14からの送信完了の信号を受信すると当該処理を終了する(S306)。
【0066】
<エアダウンロードの確認指示による表示内容の確認>
エアダウンロードの確認指示によるLED表示の確認は、以下の方法により確認を行う。確認により、エアダウンロードが失敗している場合は、個別に手動によるダウンロードを実施する。
【0067】
(1)事前の音声放送による確認依頼
エアダウンロードの確認指示を実施する前に、確認指示によるLED表示が行われる旨および表示結果が失敗時は役所等の管理者へ連絡をして頂く旨の音声放送を実施し、住民に通知する。
(2)事前に葉書等による確認依頼
エアダウンロードの確認指示を実施する前に、確認指示によるLED表示が行われる旨および表示結果が失敗時は役所等の管理者へ連絡をして頂く旨の葉書を住民に通知する。
(3)確認指示後の電話による個別確認
エアダウンロードの確認指示を実施後に、個別に住民へ電話連絡を行い、LED表示状態を確認する。
【0068】
以上、本実施形態によると、エアダウンロード機能の実現により、全ての戸別受信機20に対して、個別にダウンロードを行わず、一括操作で複数の戸別受信機20に対するダウンロード・書き込み・確認の実施が可能となる。特に、単方向無線通信を使う防災行政無線システム1のような同報系通信システムにおいて効果的である。
【0069】
<第2の実施形態>
図8は本実施形態に係る防災行政無線システム101の構成を示すブロック図である。本実施形態の防災行政無線システム101は、複数の地区で構成される自治体において種々の情報を住民に伝達するものであり、大別して、自治体内の全域(全ての地区)又は一部地区の全住民に宛てた放送(同報系)の発信を目的とした同報系設備と、地区毎に設けられ、その地区内の住民に宛てた放送(地区放送)の発信を目的とした地区放送(地域振興)設備とで構成される。本例では、複数であるN個の地区(第1〜第N地区放送系102−1〜102−N)で構成された自治体についてN個の地区放送(地域振興)設備が設けられている。
【0070】
同報系親局110は、第1の実施形態の同報系親局10と同様の構成となっており、
本実施形態のエアダウンロードは、第1〜第N地区放送系102−1〜102−Nに同報通信を送信する。第1〜第N地区放送系102−1〜102−Nは、実質的に同じ構成となっており、それぞれの放送系は、地区放送親局111と複数の戸別受信機120(子局)とを備える。
【0071】
地区放送親局111は、放送卓114、遠隔操作装置112及び無線装置116を有する。放送卓114、遠隔操作装置112及び無線装置116は、第1の実施形態の同報系親局10の放送卓14、遠隔操作装置12及び無線装置16と同様の機能を有する。なお、遠隔操作装置112には同報系子局151が接続されており、同報系親局10からの放送を受信する。また、戸別受信機120は、第1の実施形態の戸別受信機20と同様の構成・機能を有し、エアダウンロードによる情報更新が可能となっている。
【0072】
また、遠隔操作装置112は、インターネット網52を介してPC70と、公衆網54を介して電話機80と接続する。したがって、操作者は電話機80やPC70を用いて第1〜第N地区放送系102−1〜102−Nの遠隔操作装置112を操作し放送卓114から無線装置116に対して所望の更新データを送信するように指示することができる。
【0073】
したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、エアダウンロード機能の実現により、全ての戸別受信機120に対して、個別にダウンロードを行わず、一括操作で複数の戸別受信機120に対するダウンロード・書き込み・確認の実施が可能となる。
【0074】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。