(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の導電性接着剤は、フレーク状の導電粉末(A−1)と、該フレーク状の導電粉末(A−1)の3分の1以下の平均粒径を有する導電粉末(A−2)と、を含む導電粉末と、(B)グリシジルエーテル化合物と、(C)硬化剤と、を含み、溶媒を含まないことを特徴とする。
【0022】
このような本発明の導電性接着剤において、「溶媒を用いない」または「無溶媒」とは、導電性接着剤が実質的に溶媒や希釈剤等を含まず、接着剤の、150℃、30分加熱による質量の減少が、加熱前の質量と比較して、1質量%以下であることをいう。
【0023】
以下に、本発明の導電性接着剤を構成する各成分について説明する。
【0024】
[(A)導電粉末]
本発明の導電粉末は、フレーク状の導電粉末(A−1)と、該フレーク状の導電粉末(A−1)の3分の1以下、好ましくは5分の1〜20分の1、より好ましくは6分の1〜10分の1の平均粒径D50を有する導電粉末(A−2)と、を含む導電粉末である。
【0025】
導電粉末をこのような構成とすることにより、導電性接着剤の更なる低抵抗化の実現を可能とした。これは、このような構成とすることで導電粉末同士の接触がより良好となり、導電性を更に向上させたものと考える。
【0026】
また、導電粉末(A−1)の形状をフレーク状とすることにより、導電粉末同士の接触面積が増え、十分な導電性が得られる。
【0027】
導電粉末(A−2)としては、球状、フレーク状、デントライト状など種々のものを用いることができるが、フレーク状および球状から選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくは球状の導電粉末を用いる。
【0028】
なお、本発明で用いられる導電粉末(A−1)や(A−2)としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、白金、パラジウム、錫、ビスマス、亜鉛、鉄、インジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、ルテニウムなどの低抵抗の金属、およびこれらの合金、または、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、ITO などの導電性酸化物、導電性カーボンなどが挙げられる。なかでも、銀粉が好ましい。
【0029】
以下、導電粉末(A-1)について説明する。
【0030】
導電粉末(A−1)の平均粒径D50は、2.0μm〜20μm、好ましくは5μm〜15μm、より好ましくは7μm〜13μmの範囲より適宜選択される。
【0031】
導電粉末(A−1)の平均粒径D50が2μm以上であれば、導電粉末同士の接点数がより少なくなり、接触抵抗が抑えられて、十分な導電性が得られる。一方、導電粉末の平均粒径D50を20μm以下とすることにより、導電性接着剤を微細な箇所に適用することが可能となり接着強度が十分となる。
【0032】
導電粉末(A−1)のタップ密度は、4.0g/cm
3〜7.0g/cm
3、好ましくは4.5g/cm
3〜6.4g/cm
3、より好ましくは5.0g/cm
3〜6.0g/cm
3の範囲より適宜選択される。
【0033】
導電粉末(A−1)のタップ密度が、4.0g/cm
3以上であれば、導電粉末(A−1)の容量に対する密度が十分となり、比較的密な状態で高充填可能とされ、十分な導電性が得られる。一方、タップ密度7.0g/cm
3 以下の導電粉末(A−1)は工業的に生産がしやすく、導電性も十分となる。
【0034】
導電粉末(A−1)のBET比表面積は、0.1m
2/g〜1.0m
2/g、好ましくは0.2m
2/g〜0.6m
2/g、より好ましくは0.2m
2/g〜0.3m
2/gの範囲より適宜選択される。
【0035】
導電粉末(A−1)のBET比表面積が0.1m
2/g以上であれば、相互の接触面積が増大し、十分な導電性が得られる。一方、BET比表面積が1m
2 /g以下であれば、導電性接着剤における導電粉末の含有量を増大させても、粘度の調整がしやすく、導電性と取扱い性の両面で有意となる。
【0036】
このような導電粉末(A−1)は、湿式還元法、電解法、アトマイズ法などの公知の方法により製造される。
【0037】
特に、導電粉末の形状をフレーク状とするには、振動ミル、攪拌式粉砕機等の粉砕・圧延効果のある機械などに粉砕メディアを用いて物理的な力を加えることによりフレーク状に加工することができる。
【0038】
以下、導電粉末(A−2)について説明する。
【0039】
導電粉末(A−2)の平均粒径D50は、0. 1μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5.0μm、より好ましくは1.0μm〜2.0μmの範囲より適宜選択される。
【0040】
導電粉末(A−2)の平均粒径D50が0. 1μm以上であれば、導電性接着剤の増粘が抑制され、十分な塗布性が得られる。一方、導電粉末(A−2)の平均粒径D50を10μm以下とすることで、導電性接着剤を微細な箇所に適用することが可能となり、かつ接着強度が十分となる。
【0041】
導電粉末(A−2)のタップ密度は、4.0g/cm
3〜7.0g/cm
3、好ましくは4.5g/cm
3〜6.5g/cm
3、より好ましくは5.0〜6.0g/cm
3の範囲より適宜選択される。
【0042】
導電粉末(A−2)のタップ密度が、4.0g/cm
3以上であれば、導電粉末(A−2)が比較的密な状態で高充填可能とされ、十分な導電性が得られる。一方、タップ密度7.0g/cm3 以下の導電粉末(A−2)は工業的に生産がしやすく、導電性も十分となる。
【0043】
導電粉末(A−2)のBET比表面積は0.5m
2/g〜1.5m
2/g、好ましくは、0.7m
2/g〜1.3m
2/g、より好ましくは、0.9m
2/g〜1.1m
2/gの範囲より適宜選択される。
【0044】
導電粉末(A−2)のBET比表面積が0.5m
2/g以上であれば、相互の接触面積が増大し、十分な導電性が得られる。一方、BET比表面積が1.5m
2/g以下とすることで、導電性接着剤における導電粉末の含有量を増大させても、粘度の調整がしやすく、導電性と取扱い性の両面で有意となる。
【0045】
このような導電粉末(A−2)は、例えば、湿式還元法、電解法やアトマイズ法などの公知の方法により製造され、市販の球状銀粉を用いることもできる。
【0046】
なお、本実施の形態において、導電粉末の平均粒径D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置またはレーザードップラー法を利用した粒度分布測定装置により測定された値である。
【0047】
導電粉末のタップ密度は、JIS Z 2512に従って容器内に規定量の粉末を入れ,タッピング装置を用い,粉末の体積がそれ以上減少しないところまでタップし、粉末の質量をタップ後の粉末体積で除した値である。
【0048】
導電粉末のBET比表面積は、BET法(気体吸着法)により、窒素(N2)を導電粉末に吸着させ、その吸着量から求めた値である。
【0049】
本発明の導電性接着剤において、導電粉末(A−1)と導電粉末(A−2)の配合割合(導電粉末(A−1):導電粉末(A−2)(質量割合))は、95:5〜40:60、好ましくは90:10〜50:50、より好ましくは82:18〜58:42の範囲で適宜選択される。
【0050】
また、導電性接着剤中の(A)導電粉末の配合割合は、80質量%〜95質量%、好ましくは85質量%〜:93質量%、より好ましくは89質量%〜91質量%、の範囲で適宜選択される。
【0051】
[(B)グリシジルエーテル化合物]
本発明の導電性接着剤は、(B)グリシジルエーテル化合物を含んでいる。
【0052】
グリシジルエーテル化合物としては、例えば、公知のエポキシ樹脂を使用することができるが、本発明では、導電性接着剤の流動性を維持するために、液状、特に室温における粘度が0.5〜100dPa・s、好ましくは1〜10dPa・sより好ましくは1.5〜5dPa・sの範囲の化合物であって、一分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0054】
上記(B)グリシジルエーテル化合物のうち、本発明では、式(I)
【0055】
【化3】
で表されるグリシジルエーテル化合物が好ましく使用される。
【0056】
この化合物によれば、硬化物の接着強度および硬度のいずれにおいても良好な結果が得られる。また、接着剤の導電性への影響を最小に抑えることができる。
【0057】
式(I)中、R1はアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基を表わし、m+n=0、1または2である。m+n≠0、1、2の場合には、低弾性と低吸水性とのバランスに優れたものが得られないおそれがある。
【0058】
上記一般式(I)で表されるグリシジルエーテル化合物のうち、m+n=1または2の化合物は、例えば、ジシクロペンタジエンジメタノールと、アルキルモノグリシジルエーテル、アリールモノグリシジルエーテル、アルキルアリールモノグリシジルエーテルまたはアリールアルキルモノグリシジルエーテルとをルイス酸触媒を用いて反応させ、触媒をアルカリで失活させた後、水酸基部分にエピクロルヒドリンをアルカリおよび相間移動触媒の存在下に反応させて製造することができる。
【0059】
上記一般式(I)中、R1で表されるアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜18のアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等の直鎖、分岐あるいは環状の基が挙げられ、これらは不飽和基を含んでいてもよい。
【0060】
R1で表されるアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の基が挙げられる。
【0061】
R1で表されるアルキルアリール基としては、上述のアルキル基によって置換されたフェニルあるいはナフチル等の基が挙げられる。
【0062】
R1で表されるアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル等の基が挙げられる。
【0063】
R1としては、これらの中でも、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するものが好ましく、これにより低吸水性と低弾性とのバランスの取れたものが得られる。
【0064】
本発明では、式(I)のグリシジルエーテル化合物のうち、m+n=0の化合物、すなわち式(II)
【0065】
【化4】
で表される化合物が好ましく使用される。
【0066】
式(II)のグリシジルエーテル化合物は、例えば、ジシクロペンタジエンジメタノールの水酸基部分にエピクロルヒドリンをアルカリ触媒および相間移動触媒の存在下に反応させて製造することができる。
【0067】
式(I)のグリシジルエーテル化合物のうち、式(II)の化合物は、粘度が低く、導電性接着剤の取扱い性が向上し、硬化物の表面特性、接着強度および硬度のいずれにおいても良好な結果が得られる。また、式(II)のグリシジルエーテル化合物を用いることにより、導電性接着剤の導電性の低下を最小に抑えることができる。
【0068】
導電性接着剤中の(B)グリシジルエーテル化合物の配合割合は、1質量%以上〜30質量%、好ましくは5質量%〜15質量%、より好ましくは8%〜12%、の範囲で適宜選択される。
【0069】
[(C)硬化剤]
本発明の導電性接着剤には、(C)硬化剤が含まれる。
【0070】
硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等の鎖状脂肪族ポリアミン系硬化剤、
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン系硬化剤、
m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン系硬化剤、
ピペリジン等の二級アミン系硬化剤、
N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−10)等の三級アミン系硬化剤、および2-メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加体(イミダゾールの1位のNにイソシアヌル酸が付加)等のイミダゾール系硬化剤、
メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、
を用いることができる。
【0071】
この他、潜在性硬化剤、例えば、三フッ化ホウ素-アミン錯体、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、光・紫外線硬化剤等を使用することも可能である。
【0072】
このような硬化剤のうち、イミダゾール系硬化剤、三級アミン系硬化剤が好ましく用いられ、イミダゾール系硬化剤が特に好ましく用いられる。これらの硬化剤を用いると、比較的穏やかな反応速度で、確実な硬化状態を得ることができる。
【0073】
本発明で用いられるイミダゾール系硬化剤の市販品の例としては、2MZ、2MZ−P、2PZ、2PZ−PW、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNS、2PZCNS−PW、2MZ−A、2MZA−PW、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2MAOK−PW、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2PHZ−PW、2P4MHZ、2P4MHZ−PW、2E4MZ・BIS、VT,VT−OK、MAVT、MAVT−OK(四国化成工業社製)を挙げることができる。
【0074】
特に、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(2PZ−CN:四国化成工業社製)、および2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(2MA−OK:四国化成工業社製)から選ばれる少なくとも1種を用いると硬化状態および保存安定性の観点から好ましい。硬化剤は、1種類でもよいが、2種類以上を併用することも可能である。
【0075】
このような硬化剤の配合割合は、グリシジルエーテル化合物に対して1質量%〜12質量%、好ましくは3質量%〜9質量%、より好ましくは5質量%〜7質量%である。
【0076】
以上説明したような本発明の導電性接着剤は、必要に応じて、消泡剤やレベリング剤などの添加剤を配合することができる。
【0077】
以上説明したような本発明の導電性接着剤は、150℃、30分加熱による質量の減少が、加熱前の質量と比較して、0.7質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下とする。これにより、気泡を確実に抑えることができる結果、量産時において安定した接着強度を有する導電性接着剤を提供することができる。
【0078】
本発明による導電性接着剤は、上記の各成分を混合することにより主に一液型接着剤として製造可能であるため、取扱い性に優れる。さらに、本発明の導電性接着剤は、保存安定性にも優れる。
【0079】
本発明の導電性接着剤による部材同士の接着は、例えば以下のように行われる。
【0080】
プリント回路基板等の接着部材の接着箇所にスクリーンメッシュやメタルマスクによるパターン印刷、あるいはディスペンサーなどの塗布装置による塗布にて接着剤を塗布する。
【0081】
接着箇所に接着剤が十分に供給されたことを確認した後、被接着部材(部品)を接着部材(基板)の接着箇所に載せ、100℃〜180℃、好ましくは120℃〜160℃の範囲で、15分〜50分、好ましくは20分〜40分の条件で加熱し、硬化する。
【0082】
これにより、接着剤中の、グリシジルエーテル化合物と、硬化剤とが反応して硬化し、接着部材(基板)と、これに載置された被接着部材(部品)とが強固に導電接着する。
【0083】
本発明の導電性接着剤は、電子部品の接着のために好ましく使用され、接着面積にかかわらず、優れた接着性を示す。
【0084】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下において特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準であるものとする。
【実施例】
【0085】
I.導電性接着剤の調製
参考例1、実施例
2、3、
参考例4、比較例1および2
下記表1に示す配合割合(質量比)で各成分を配合し、撹拌混合した後、三本ロールミルにて分散した。これにより、本発明の導電性接着剤および比較用の導電性接着剤を得た。
【0086】
II.比抵抗値の測定
ガラス基板上に2mm幅の間隙を空けてセロハンテープによりマスキングを施し、スクレイパーにより、
参考例1、実施例
2、3、
参考例4、比較例1および2により得られた導電性接着剤を塗布した。
【0087】
塗布後、セロハンテープをはがし、熱風循環式乾燥炉を用いて、150℃にて30分間加熱硬化し、測定用の試験片を得た。
【0088】
得られた試験片について、導電性接着剤のパターン膜厚を、サーフコーダ(小坂研究所製、SE−30H)を用いて測定し、パターン幅を、MEASURING MICROSCOPE(OLYMPUS社製 STM−MJS)を用いて測定した。さらに、パターン長さ5cmの抵抗値Rを、テスター(日置電機社製 ミリオームハイテスター3540)を用いて測定した。
【0089】
上記で測定した膜厚、パターン幅、パターン長さ(5cm)、抵抗値から、下記式により比抵抗値(Ω・cm)を算出した。
【0090】
ρ(Ω・cm)=R(Ω)・A(cm
2)/L(cm)
ρ:比抵抗値
R:抵抗値
A:断面積
L:長さ
【0091】
得られた結果を表1に示す。
【0092】
III.接着強度の測定
ガラスエポキシ銅張基板(基材FR4、銅厚35μm)上に約10mm幅の間隙を空けてセロハンテープによりマスキングを施し、スクレイパーにより、
参考例1、実施例
2、3、
参考例4、比較例1および2により得られた導電性接着剤を塗布した。
【0093】
塗布後、セロハンテープをはがし、金めっきM3ナット(二面幅:5.5mm、対角距離:6.4mm、高さ:2.4mm、1種)の面取りのない穴のある面を接着面として配置し、熱風循環式乾燥炉を用いて、150℃にて30分間加熱し接着した。これにより測定用試験片を得た。
【0094】
得られた試験片の接着された金めっきM3ナットの側面に、せん断速度5mm/minの剪断力を基板面に対し平行となるように印加し、デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ株式会社製FGP−50、電動スタンドFCS−TV)を用いて、金めっきM3ナットと基板の接着面の剪断強度を測定した。測定された剪断強度を金めっきM3ナットの接着面積で除して接着強度を算出した。
【0095】
得られた結果を表1に併せて示す。
【0096】
IV.塗布状態の確認
塗布状態に関して導電性接着剤を塗布した塗膜にかすれやにじみがないか目視により確認し、いずれも問題のないことを確認した。
【0097】
V.鉛筆硬度試験
各サンプルの接着剤硬化部分に対し、鉛筆硬度を(JIS K 5600の試験方法に従って)測定した。いずれのサンプルも8H以上の鉛筆硬度であることを確認した。
【0098】
VI.質量減少
参考例1、実施例
2、3、
参考例4、比較例1および2により得られた導電性接着剤を、それぞれ2g、直径5cmのアルミ皿上に採取し、熱風循環式乾燥炉にて、150℃30分にて加熱して、加
熱後の質量を測定した。加熱前後の各接着剤の質量を比較したところ、いずれも0.3質
量%以下の質量減少であった。
【0099】
【表1】
【0100】
上記表1中の材料は以下の通りである。
【0101】
グリシジルエーテル化合物:ADEKA社製EP−4088L(ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量:165g/eq、粘度:2.3dPa・s、全塩素:0.09質量%)
導電粉末1:フレーク状銀粉(メタロー社製EA−0101、比表面積:0.32m
2/g、タップ密度:5.5g/cm
3、平均粒径5.5μm)
導電粉末2:フレーク状銀粉(DOWAエレクトロニクス社製FA−D−6、比表面積:0.24m
2/g、タップ密度:5.3g/cm
3、平均粒径9.6μm)
導電粉末3:フレーク状銀粉(DOWAエレクトロニクス社製FA−S−12、比表面積:0.96m
2/g、タップ密度:5.2g/cm
3、平均粒径2.1μm)
導電粉末4:フレーク状銀粉(DOWAエレクトロニクス社製AA−4703、比表面積:1.01m
2/g、タップ密度:3.5g/cm
3、平均粒径4μm)
導電粉末5:球状銀粉(メタロー社製K−0082P、比表面積:0.99m
2/g、タップ密度:5.4g/cm
3、平均粒径1.5μm)
硬化剤:2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル-(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(四国化成社製2MAOK−PW)
導電粉末(A−1):各実施例/
参考例/比較例にて混合使用された、大粒径の銀粉
導電粉末(A−2):各実施例/
参考例/比較例にて混合使用された、小粒径の銀粉
測定不能:抵抗値が大きすぎて測定できなかったことを意味する。
【0102】
表1から明らかなように、
特に実施例
2、3の導電性接着剤の硬化物は比抵抗が小さく、優れた接着強度を併せ持つものであった。これに対し、比較例1および2の導電性接着剤は抵抗値が非常に大きいことを確認した。
【0103】
また、本発明の導電性接着剤は、塗布状態、硬度、質量減少においても比較例における組成物に遜色なく、優良な品質を有しているといえる。