(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振分部材は、前記受け部の下方に延設された連結片を備え、前記補助部材は、前記連結片に形成された開口部に係合可能な係合部材を備え、前記振分部材と前記補助部材とは、前記係合部材を前記開口部に係合させて連結され、
前記開口部の内縁と前記係合部材との間には、前記補助部材が前記規制部に当接したときの反動で跳ね返った場合でも、前記係合部材が前記開口部の内縁に接触しない程度の間隙が設けられていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(パチンコ機Pの外部構成)
本実施の形態に係る遊技機は、遊技媒体として遊技球を使用するパチンコ機Pである。特に図示していないが、一般的に、パチンコ機Pが設置される遊技場においては、島と呼ばれる遊技機の設置領域に、複数台のパチンコ機Pが並べて配設されるとともに、遊技球を貸し出すための遊技球貸出装置(特に図示しておらず)が各パチンコ機Pに隣接して設置される。また、各パチンコ機Pは対応する遊技球貸出装置に接続されている。
遊技球貸出装置は、紙幣の投入や遊技球の貸し出しに必要な価値情報が記憶される記憶媒体(カード)の挿入が可能となっている。そして、遊技球貸出装置に紙幣を投入(又は、カードを挿入)した上で、パチンコ機Pに対して所定の操作を行うことにより、遊技球貸出装置から遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。
【0013】
本実施の形態に係るパチンコ機Pは、
図1又は
図2に示すように、島に固定される四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する機枠F1と、この機枠F1にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられる四角形状の枠体であって、中空部(特に図示しておらず)を有する本体枠F2と、この本体枠F2にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられ、正面に開口部(特に図示しておらず)が形成された前扉Dと、を備えている。
【0014】
機枠F1の左下部には、
図2に示すように、スピーカ100が設けられている。また、本体枠F2の中空部には、遊技領域120を形成するための遊技盤110が収容されている。また、
図1に示すように、前扉Dには、開口部を覆う透明板400と、透明板400の下方に位置し遊技球を受容可能な上皿600及び受皿700と、受皿700の右方に取り付けられ遊技球の発射操作を行うための操作ハンドル500と、透明板400の左右上方にそれぞれ1個ずつ取り付けられたスピーカ100と、が設けられている。
また、
図1に示すように、前扉Dの外周には、種々の色や発光パターンで発光することにより演出を行う演出ランプ230が設けられている。なお、この演出ランプ230は、特に図示していないが、複数色の発光が可能なLEDにより構成されている。
【0015】
このパチンコ機Pでは、機枠1に対して本体枠2を閉じ、さらに、前扉3を閉じると、遊技盤11の前方に間隙を挟んで透明板4が位置することとなる。これにより、透明板4を介して、後方に位置する遊技盤11を視認することができるようになっている。
【0016】
また、上皿600には、遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pから払い出される賞球が導かれるようになっている。上皿600は、所定量の遊技球を受容可能となっているが、この上皿600が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり、払い出されたりする遊技球は受皿700に導かれるようになっている。また、受皿700の底面には、特に図示していないが、貯留されている遊技球を排出するための排出孔と、排出孔を開閉可能な開閉板と、が設けられている。常態において、排出孔は開閉板により閉じられているものの、開閉板と一体に取り付けられた開閉レバー800(
図1参照)を横方向に移動させることで、開閉板も同方向に移動し、排出孔が開放される。これにより、遊技球を排出孔から落下させて、受皿700の外に排出することができるようになっている。
【0017】
また、操作ハンドル500は、遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されている。そして、遊技者が操作ハンドル500を回転操作すると、上皿600に受容されている遊技球が発射装置(特に図示しておらず)に送られ、発射装置によって、操作ハンドル500の回転角度に応じた強度で遊技球が発射される。このように発射された遊技球は、遊技盤110に固定された一対のレールR1、R2に案内されて上昇し、遊技盤110の遊技領域120に到達する。
【0018】
ここで、遊技領域120は、機枠F1に対し本体枠F2及び前扉Dを閉じた状態で遊技盤110と透明板400との間に形成される空間のうち、遊技盤110に固定された一対のレールR1、R2により略円形状に仕切られた部分であって、遊技球が流下可能な領域である。
この遊技領域120は、
図3に示すように、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て左側の領域である第1遊技領域121と、パチンコ機Pに対向する遊技者から見て右側の領域である第2遊技領域122とから構成されている。これら2つの遊技領域120は、発射装置の発射強度により、遊技球の進入可能性が異なるようになっている。具体的には、発射装置の発射強度が所定の強度未満(発射装置により発射される遊技球が遊技領域120の最高地点に到達しない程度の強度)の場合には、遊技球は第1遊技領域121に進入する。これに対して、発射装置の発射強度が所定の強度以上(発射装置により発射される遊技球が遊技領域120の最高地点に到達可能な強度)の場合には、遊技球は第2遊技領域121に進入する。
【0019】
また、この遊技領域120内には、
図3に示すように、遊技球の流下方向を不規則にするための風車及び多数の釘と、遊技球が入球可能な一般入賞口140と、始動領域としての第1始動入賞口150及び第2始動入賞口160と、遊技球が通過可能なゲート200と、所定条件を満たすことで作動するアタッカー装置170と、遊技球を遊技領域120外へ導くアウト口190と、遊技の進行等に伴って演出を行う演出表示装置210と、が設けられている。
【0020】
本実施の形態では、第2始動入賞口160として、第1始動入賞口150の右側に並んで配置される第2始動入賞口160Aと、第2始動入賞口160Aの右方であってゲート200の下方に配置される第2始動入賞口160Bとの2つが設けられている。そして、第1始動入賞口150と第2始動入賞口160Aへは、第1遊技領域121を流下する遊技球を受け入れ可能であるとともに、受け入れた遊技球を左右に振り分ける振分装置1によって、交互に遊技球を入球させることができるように形成されている。振分装置1へは、第2遊技領域122を流下する遊技球は受け入れ不能であるため、第1始動入賞口150及び第2始動入賞口160Aへは、第2遊技領域122を流下する遊技球は入球できないようになっている。なお、振分装置1の詳細については後述する。
【0021】
また、第2始動入賞口160Bには、
図3に示すように、左右に開閉可能な可動片161が一対設けられており、可動片161が閉じているときには第2始動入賞口160Bは遊技球を受け入れることができないようになっている。一方、可動片161が開くと、開いた状態の可動片161が第1遊技領域121又は第2遊技領域122を流下する遊技球を第2始動入賞口160Bへ向けて案内するガイド部材として機能することにより、第2始動入賞口160Bへの遊技球の入球が容易となる。
【0022】
なお、可動片161の構成は特に限定されるものではなく、たとえば、遊技盤110に直交する軸を中心に左右方向に回動して第2始動入賞口160を開閉する一対の羽根部材や、水平な軸を中心に前後方向に回動して第2始動入賞口160を開閉する蓋部材により構成してもよいし、また、上下方向にスライドして第2始動入賞口160を開閉するシャッター部材により構成してもよい。
【0023】
第1始動入賞口150又は第2始動入賞口160へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出されるとともに、大入賞口180が開放される特別遊技を実行するか否かの大当たりの抽選が行われる。また、特別遊技には、大入賞口180の開放回数や開放時間、特別遊技終了後に移行する遊技状態の違いなどがそれぞれ異なる複数種類が設けられており、いずれの特別遊技を実行させるかは、各特別遊技に対応付けられた複数種類の特別図柄の中から一の特別図柄を決定する特別図柄の抽選により決定される。
【0024】
ここで、
図3に示すように、遊技盤11の右下部であって、かつ、遊技領域12の外側には、遊技についての種々の状況を表示するための装置として、第1特別図柄表示装置300、第2特別図柄表示装置310、普通図柄表示装置320、第1特図保留表示装置330、第2特図保留表示装置340、及び普通図柄保留表示装置350が設けられている。
そして、第1始動入賞口150へ遊技球が入球すると、第1特別図柄表示装置300において、所定時間にわたり特別図柄の変動表示が行われ、第2始動入賞口160(第2始動入賞口160A及び第2始動入賞口160B)へ遊技球が入球すると、第2特別図柄表示装置310において、所定時間にわたり特別図柄の変動表示が行われる。また、この間、演出表示装置210では変動演出が行われる。そして、所定時間の経過後、第1特別図柄表示装置300又は第2特別図柄表示装置310の変動表示が停止し、大当たり抽選の結果を示す特別図柄が停止表示される。所定の特別遊技が当選している場合には当該特別遊技に対応付けられた特別図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた所定の図柄が停止表示される。演出表示装置210においても図柄変動を停止させて、抽選結果に応じた図柄を停止表示させる。特別遊技に対応付けられた特別図柄が停止表示された場合には、特別遊技が開始される。
【0025】
またここで、第1特別図柄表示装置300又は第2特別図柄表示装置310において特別図柄の変動表示が行われている最中、又は特別遊技の実行中に、第1始動入賞口150又は第2始動入賞口160に遊技球が入球した場合には、その旨が記憶(保留)され、第1始動入賞口150への遊技球の入球に基づく記憶数(保留数)は第1特図保留表示装置330に、第2始動入賞口160への遊技球の入球に基づく保留数は第2特図保留表示装置340に、それぞれ表示される。例えば点灯するランプの数により、保留数が報知される。そして、特別図柄の変動表示が終了し又は特別遊技が終了した場合には、保留に基づいて大当たりの抽選及び特別図柄の抽選が行われる。保留は最大4個まですることができ、保留に基づいて大当たりの抽選及び特別図柄の抽選が行われると保留数が減じられ、それに伴い第1特図保留表示装置330、第2特図保留表示装置340の表示も減じられる。
【0026】
ゲート200は、
図3に示すように、振分装置1の右斜め上方に設けられている。このゲート200を遊技球が通過すると、上述の第2始動入賞口160Bに設けられた可動片161を開状態にさせて第2始動入賞口160Bを開放させるか否かの抽選が行われる。この抽選は、第2始動入賞口160Bの開放(当たり)、非開放(ハズレ)にそれぞれ対応付けられた複数種類の普通図柄の中から一の普通図柄を決定する普通図柄の抽選として行われる。そして、当該抽選の結果が当たりであった場合、可動片161が所定時間、開状態となり、第2始動入賞口160Bが開放されるようになっている。
【0027】
また、ゲート200を遊技球が通過すると、
図3に示す普通図柄表示装置320において、所定時間にわたり、普通図柄の変動表示が行われる。そして、変動時間の経過後、普通図柄表示装置320の変動表示が停止し、普通図柄の抽選の結果を示す普通図柄が停止表示される。すなわち、当たりの場合には当該当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示され、ハズレの場合にはハズレに対応付けられた所定の図柄が停止表示される。当たりに対応付けられた普通図柄が停止表示されると、第2始動入賞口160Bが開放される。第2始動入賞口160Bが開放されている場合には、より多くの遊技球を第2始動入賞口160へ入球させることができ、大当たりの抽選を受ける機会が増え、第2始動入賞口160Bが開放されていない場合よりも有利な状態とすることができる。
【0028】
ここで、普通図柄表示装置320において普通図柄の変動表示が行われている最中に、ゲート200を遊技球が通過した場合には、上記と同様に最大4個まで保留され、普通図柄保留表示装置350に保留数が表示される。そして、普通図柄の変動表示が終了した場合には、保留に基づいて普通図柄の抽選が行われ、保留数が減じられるとともに普通図柄保留表示装置350の表示が減じられる。
【0029】
アタッカー装置170は、
図3に示すように、ゲート200の右斜め上方に設けられている。このアタッカー装置170は、遊技球が入球可能な大入賞口180と、この大入賞口180を開閉する開閉扉181とを備えている。常態においては、開閉扉181が閉じられ大入賞口180は閉鎖されているため、当該大入賞口180への遊技球の入球は不可能となっているものの、上述の特別遊技が実行されると、開閉扉181が開き大入賞口180が開放されるとともに、開閉扉181が遊技球を大入賞口180へ導く受皿部材として機能することにより、大入賞口180への遊技球の入球が可能となる。また、当該大入賞口180へ遊技球が入球すると、所定個数の賞球が払い出される。
【0030】
アウト口190は、
図3に示すように、遊技領域120の最下部に設けられており、一般入賞口140、振分装置1(第1始動入賞口150及び第2始動入賞口160A)、第2始動入賞口160B及び大入賞口180のいずれにも入球しなかった遊技球を受け入れるものである。そして、アウト口190に受け入れられた遊技球は、遊技盤110の背面側に導かれ回収される。
なお、一般入賞口140、第1始動入賞口150及び第2始動入賞口160Aに入球した遊技球も、遊技盤110の背面側に導かれ回収される。
【0031】
演出表示装置210は、
図3に示すように、遊技領域120の略中央に設けられている。本実施の形態に係るパチンコ機Pでは、この演出表示装置210として液晶表示装置が用いられている。また、この演出表示装置210には、動画や静止画等の画像を表示するための表示部211が設けられており、この表示部211には、背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、演出図柄(ダミー図柄)が変動表示されるようになっている。そして、各演出図柄の停止表示態様により、特別図柄の抽選や普通図柄の抽選の結果が遊技者に報知されることとなる。
なお、演出表示装置210は、液晶表示装置に限定されるものではなく、たとえば、外周に図柄が付された複数のドラムを用いて各種表示を行うドラム式の表示装置等を用いてもよい。
【0032】
また、遊技盤110に設けられる演出を行う装置としては、上記した演出表示装置210の他に、種々の色や発光パターンで発光することにより演出を行う遊技盤演出ランプや、種々の色や発光パターンで発光することにより演出を行うとともに、パチンコ機Pの機種名を表示するタイトルランプ等を備えていてもよい。
また、演出を行う装置としては、これらに限定されるものではなく、たとえば、種々のタイミングや態様で可動する演出役物装置等を備えてもよい。
【0033】
(振分装置1)
次に、振分装置1の構造について詳述する。なお、振分装置1及び振分装置1を構成する各構成部品についての、前後(正面背面)、左右(側面)、上下(平面底面)の方向は、振分装置1を遊技盤110に固定した状態でパチンコ機Pを正面視したときの方向を示すものとする。
振分装置1は、
図4に示すように、遊技球を振り分けるための振分回転体10と、振分回転体10に連結されるリンク部材20と、振分回転体10及びリンク部材20を収納するハウジング30とを備えている。また、ハウジング30は、振分回転体10及びリンク部材20の正面側に配置される表カバー40と、振分回転体10及びリンク部材20の背面側に配置される裏カバー50と、表カバー40及び裏カバー50との間に配置されるベース板60とから構成されている。そして、表カバー40、裏カバー50及びベース板60を組み合わせることにより、遊技球を受け入れる導入口31と、受け入れた遊技球を通過させる第1球通路34及び第2球通路35と、受け入れた遊技球を振分装置1の外部に排出する第1球出口36及び第2球出口37が形成されるようになっている。
【0034】
振分回転体10は、
図5(A)(B)に示すように、略円板状の円板部11と、円板部11の正面側に突設された羽根部12と、円板部11の背面底部から垂下して形成された板状の連結片13とを備えている。なお、
図5(A)は振分回転体10の正面図であり、
図5(B)は振分回転体10の右側面図である。羽根部12は、
図5(A)に示すように、上方に突出する板状の振分羽根12Aと、振分羽根12Aを中心として左右対称に形成された2つの板状の受け羽根12B、12Cとから構成されている。また、円板部11の中心には、円板部11の背面から羽根部12の正面に貫通する軸孔14が形成されている。連結片13には、縦方向に長い長孔15が形成されている。そして、振分回転体10は、軸孔14に回動軸70(
図4参照)を貫通させた状態で、表カバー40と裏カバー50との間に、左右方向に回動自在に支持される(
図7参照)。
【0035】
リンク部材20は、
図6(A)(B)に示すように、略方形板状の揺動部21と、揺動部21の底部から垂下して形成された軸止部22とを備えている。なお、
図6(A)はリンク部材20の正面斜視図であり、
図6(B)はリンク部材20の背面斜視図である。
図6(A)に示すように、揺動部21の中央部には、正面側に突出する係合部材24が設けられている。この係合部材24は、例えばピン等であって、前記振分回転体10の連結片13に形成された長孔15に挿通可能に形成されている(
図9参照)。また、
図6(B)に示すように、揺動部21の背面には、軸中心に係合部材24が位置するように配置された円筒形の突起部23が形成されている。この突起部23の両側には、リンク部材20の重さを調節するための重り、例えばビス(図示せず)を取り付け可能な調整部20A(例えばビス孔)が形成されている。リンク部材20は、揺動部21をある程度重くすることにより、振分回転体10の回動を補助し静止状態を保つ重りとしての役割を果たすものとなる。軸止部22には、前後方向に貫通する軸孔25が形成されており、リンク部材20は、軸孔25に揺動軸80(
図4参照)を貫通させ、かつ係合部材24を連結片13の長孔15に挿通させた状態で、ベース板60と裏カバー50との間に、左右方向に揺動自在に支持される(
図7参照)。
【0036】
表カバー40は、
図4に示すように、ハウジング30の最も前面側に位置する薄板状の装飾板41を備え、
図7及び
図8に示すように、装飾板41の背面には、回動軸70の前端を受ける軸孔45が形成されているとともに、後方に突出する側壁部42及び仕切部43及び球受け部44が形成されている。なお、
図7は振分装置1の中央縦断面図であり、
図8は
図7のVIII−VIII線部分の矢視図である。
側壁部42は、
図8に示すように、回動軸70に支持される振分回転体10の側方を覆うように形成された左右対称の2つの壁部であり、2つの側壁部42の上端部の隙間が、振分装置1の導入口31を構成するものとなる。また、仕切部43は、2つの側壁部42の下端部の中間に位置しており、2つの側壁部42により囲まれた空間の出口を、第1流路32及び第2流路33の二股に分けている。球受け部44は、第1流路32及び第2流路33のほぼ真下に設けられたU字型の樋部材であり、第1球通路34及び第2球通路35を構成するものとなる。
【0037】
裏カバー50は、
図4に示すように、正面側が開口する箱形の部材であり、高さ方向の中心よりもやや上側には、正面側が開口する扇形の凹部51が形成されている。また、裏カバー50の下部には、
図9に示すように、略方形の開口部52が2つ、横方向に並んで形成されており、この開口部52が、第1球出口36及び第2球出口37を構成する。なお、
図9は
図7のIX−IX線部分の矢視図である。また、図示していないが、裏カバー50の背面底部には、第1球出口36及び第2球出口37から排出された遊技球を検出するためのセンサが設置される。
また、前記凹部51の上側には、
図7に示すように、回動軸70の後端を受ける軸孔53が形成され、凹部51の下側には、揺動軸80の後端を受ける軸孔54が形成されている。
【0038】
ベース板60は、表カバー40と裏カバー50の間に配置される薄板部材であり、
図4及び
図8に示すように、回動軸70に軸止される振分回転体10の円板部11を内部に配置可能であるとともに、振分回転体10の連結片13の長孔15に挿通されたリンク部材20の係合部材24の移動軌跡と干渉しないための開口部61が形成されている。すなわち、開口部61は、振分回転体10の円板部11を内部に配置するための円形部61aと、係合部材24の移動軌跡と干渉しないための扇形部61bを連続させた形状となっている(
図4参照)。また、開口部61の下方には、円形の開口部62が2つ、横方向に並んで形成されており、ベース板60の背面には、2つの開口部62のそれぞれに連通する2つの樋部63が形成されている。開口部62及び樋部63も、第1球通路34及び第2球通路35を構成するものである。
また、
図7に示すように、ベース板60の背面には、揺動軸80の前端を受ける軸孔64が形成されている。
【0039】
そして、表カバー40及び裏カバー50及びベース板60を組み合わせた状態では、
図7に示すように、軸孔14に回動軸70を貫通させた振分回転体10が表カバー40と裏カバー50の間に軸支され、軸孔25に揺動軸80を貫通させたリンク部材20がベース板60と裏カバー50の間に軸支される。また、振分回転体10の円板部11はベース板60の開口部61内に位置するとともに、羽根部12はベース板60の前面側に位置し、連結片13はベース板60の背面よりも後方に位置している。そして、
図9に示すように、リンク部材20の係合部材24は連結片13の長孔15内に位置し、リンク部材20の突起部23は裏カバー50の扇形の凹部51の内部に位置している。また、
図7に示すように、表カバー40の球受け部44とベース板60の開口部62とが合致し、樋部63は、
図9に示すように、裏カバー50の開口部52内に位置するようになっている。そして、導入口31で受けた遊技球は、振分回転体10によって振り分けられて球受け部44に落下し、球受け部44から転送される遊技球が、開口部62及び樋部63を経て、開口部52に誘導されるものとなっている。なお、凹部51及び突起部23は、遊技球が通過する球通過領域(表カバー40とベース板60との間)ではなく、遊技球が通過しない領域(ベース板60と裏カバー50との間であって第1球通路34及び第2球通路35よりも上方)に設けられているので、リンク部材20の動きに対する遊技球の通過による影響を最小限に抑えることができるものとなっている。
【0040】
振分装置1は、
図7に示すように、遊技盤110に設けられた開口部110Aの内部に裏カバー50を収納した状態で、ベース板60を遊技盤110の正面側に固定することにより、遊技盤110に取り付けられる。そして、遊技盤110を流下する遊技球を、表カバー40の2つの側壁部42の間隙とベース板60により形成される導入口31から受け入れるが、導入口31に受け入れられなかった遊技球は、側壁部42の外面を滑落するので、球受け部44が受け入れることはない。
なお、裏カバー50の前後方向の厚みは、表カバー40の前後方向の厚みよりも薄く形成されており、遊技球の径よりも小さいものとなっている。さらに、裏カバー50の前後方向の厚みは、遊技盤110の厚みと同じ程度に形成されている。これにより、遊技盤110の裏側であって振分装置1の上側となる位置に、演出用の可動役物などを配置する場合に、振分装置1が邪魔にならない。
【0041】
(振分装置1の作用)
次に、振分装置1による遊技球の振り分けについて詳述する。
振分回転体10は、常態において、
図8又は
図9に示すように、正面視したとき振分羽根12Aが右側に傾倒した状態となる回動位置で静止する(停止して動かない)か、もしくは、
図10(B)に示すように、振分羽根12Aが左側に傾倒した状態となる回動位置で静止している。振分羽根12Aが右側に傾倒した静止状態においては、リンク部材20の突起部23が凹部51の左壁部51A(
図11参照)に当接してリンク部材20が最も左側まで回動した状態となっており、振分羽根12Aが左側に傾倒した静止状態においては、リンク部材20の突起部23が凹部51の右壁部51B(
図11参照)に当接してリンク部材20が最も右側まで回動した状態となっている。なお、
図11(A)は、振分回転体10を正面視した図であり、
図11(B)は、
図11(A)を背面視した図である。そして、このような静止状態においては、
図8に示すように、振分羽根12Aの左側と受け羽根12Bの上側との間に形成される空間部、又は振分羽根12Aの右側と受け羽根12Cの上側との間に形成される空間部のいずれかが、導入口31に臨むこととなる。
【0042】
例えば、振分回転体10が
図9に示す回動位置(振分羽根12Aが右側に傾倒し、受け羽根12Bが略水平状態となっている位置)にあるときに、導入口31から遊技球が進入すると、遊技球は振分羽根12Aの左側に誘導される(
図8参照)。そして、落下する遊技球の自重によって受け羽根12B(受け部)が押し下げられ、振分回転体10の円板部11は反時計回りに回転する。これに伴い、連結片13が長孔15の縁部で係合部材24を右方向に押し、
図10(A)に示すように、リンク部材20が右方向に回動する。そして、遊技球が受け羽根12Bから離れて第1流路32に流下するときには、リンク部材20の重心が右側に傾くので、リンク部材20の揺動部22が時計回りに回動する。そうすると係合部材24が連結片13の長孔15の縁部を右方向に押すので、振分回転体10の円板部11がさらに反時計回りに回転する。そして、リンク部材20の突起部23が凹部51の右壁部51B(
図11参照)に当接すると、
図10(B)に示すように、振分羽根12Aが左側に傾倒した状態で振分回転体10が静止する。
【0043】
また、振分回転体10が
図10(B)に示す回動位置(振分羽根12Aが左側に傾倒し、受け羽根12Cが略水平状態となっている位置)にあるときに、導入口31から遊技球が進入すると、遊技球は振分羽根12Aの右側に誘導される。そして、落下する遊技球の自重によって今度は受け羽根12C(受け部)が押し下げられ、振分回転体10の円板部11は時計回りに回転し、遊技球は第2流路33に流下する。そして、リンク部材20の突起部23が凹部51の左壁部51A(
図11参照)に当接すると、
図8及び
図9に示すように、振分羽根12Aが右側に傾倒した状態で振分回転体10が静止する。すなわち、凹部51の右壁部51B及び左壁部51Aは、リンク部材20の左右方向の回動範囲(揺動範囲)を規制する規制部として機能している。
【0044】
以上のように、振分装置1に進入した遊技球は、振分回転体10によって、第1流路32と、第2流路33とに、交互に振り分けられることとなる。第1流路32に流下した遊技球は、第1球通路34を通って第1球出口36に誘導され、第2流路33に流下した遊技球は、第2球通路35を通って第2球出口37に誘導される。そして、第1球出口36に誘導された遊技球がセンサ(図示しない第1始動入賞口検知センサ)によって検出されることにより、第1始動入賞口150に遊技球が入球したものと扱われ、第2球出口37に誘導に誘導された遊技球がセンサ(図示しない第2始動入賞口検知センサ)によって検出されることにより、第2始動入賞口160Aに遊技球が入球したものと扱われるようになっている。すなわち、振分装置1は、結果として、導入口31で受け入れた遊技球を、振分回転体10によって、第1始動入賞口150と、第2始動入賞口160Aとに振り分けていることとなる。
【0045】
ここで、振分回転体10の回転をストッパーで直接停止させる場合、前方に突出している羽根部12をストッパーに当てて停止させるのが最も効果的である。また、振分回転体10の羽根部12の長さを長くしたり、振分回転体10の重量をある程度重くすれば、羽根部12が直接ストッパーに当接しても、振分回転体10がストッパーに当接した反動で回転しないようにすることができる。しかし、振分回転体10を小型化、軽量化すると、ストッパーに当接した反動で回転してしまうおそれがある。さらに、羽根部12は頻繁に遊技球と接触することから、他の部分よりも破損しやすい状況下にあり、その羽根部12をさらにストッパーに接触させるようにすると、破損の危険性が高くなる。特に、振分回転体10を小型化、軽量化すれば、その傾向が顕著になる。
【0046】
この点、本実施の形態では、振分回転体10の回転を直接的に停止させるストッパーを設けずに、振分回転体10に連結されるリンク部材20の揺動範囲を規制するための規制部(凹部51の右壁部51B及び左壁部51A)を設けている。そして、振分回転体10の回転及び停止を補助するリンク部材20を規制部によって停止させることにより、振分回転体10を間接的に停止させるようにしている。これにより、振分回転体10を小型化、軽量化しても、振分回転体10がストッパーに当接した反動で回転してしまうのを防止できるとともに、振分回転体10が破損する危険性を低くすることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、
図11(A)に示すように、リンク部材20の係合部材24と、この係合部材24が係合する振分回転体10の連結片13の長孔15の内縁との間に、ある程度の間隙Cを設けてある。これにより、リンク部材20の突起部23が凹部51の横壁部(左壁部51A及び右壁部51B)に当接したときに、その反動でリンク部材20が中心側(
図11(A)の白矢印方向)にバウンドしたとしても、間隙Cが係合部材24の位置移動を吸収し、振分回転体10に極力影響を与えないようにすることができる。すなわち、リンク部材20のバウンドに伴い係合部材24が長孔15の内縁に接触して連結片13を動かしてしまい、振分回転体10の円板部11が回転してしまうのを防止することができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態では、リンク部材20の突起部23を係止する規制部として、扇形の凹部51の左壁部51A及び右壁部51Bを設けてあったが、凹部51は扇形のものに限られず、例えば長方形状の凹部の左壁部及び右壁部を規制部としてもよい。また、規制部を形成するのは凹部に限られず開口部であってもよい。要は、リンク部材20の一部に当接してリンク部材20の揺動範囲を規制することができるようになっていればよい。例えば規制部として、裏カバー50の正面やベース板60の裏面に、リンク部材20の揺動部21の左右の側端部に当接可能な2つの突片を設けてもよい。あるいは、リンク部材20に凹部を設け、裏カバー50の正面に前記凹部内に突出する規制部としての突起部を設け、リンク部材20の凹部の左右の壁部が裏カバー50の突起部に当接することにより、リンク部材20の揺動範囲が規制されるようにしてもよい。
【0049】
また、上記した実施の形態では、振分装置1は、第1始動入賞口150と第二始動入賞口160Aとに遊技球を振り分けるものであったが、遊技球を振り分けるのはこれらに限られない。例えば、第1始動入賞口150とゲート200とに振り分ける構成としてもよい。
【0050】
なお、上記した実施の形態における振分回転体10は本発明の振分装置に相当し、振分回転体10の羽根部12は本発明の受け部に相当する。また、上記した実施の形態におけるリンク部材20は本発明の補助部材に相当する。また、上記した実施の形態における第1始動入賞口150は本発明の第1の領域に相当し、上記した実施の形態における第2始動入賞口160Aは本発明の第2の領域に相当する。また、
図9に示す振分回転体10の回動位置は本発明の第1の回動位置に相当し、
図10(B)に示す振分回転体10の回動位置は本発明の第2の回動位置に相当する。そして、上記した実施の形態における凹部51の左壁部51A及び右壁部51Bは本発明の規制部に相当する。