(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、飛しょう体に関して、添付図面を参照して説明する。
【0023】
(重要な用語の定義)
本明細書において、「飛しょう体外殻」とは、飛しょう体本体の外殻を意味する。飛しょう体本体の外殻には、飛しょう体本体の全ての外表面が包含される。なお、飛しょう体から分離されるインレットカバーおよびロケットモータは、飛しょう体本体に包含されない。
(飛しょう体の概要)
図1は、母機1(例えば、飛行機)に搭載された飛しょう体2を示す。飛しょう体2には、電子機器(
図1には、図示されていない。)が搭載されている。飛しょう体2に搭載された電子機器は、飛しょう体2が母機1に搭載されている時に、待機電力を含む電力を消費する。そして、電子機器は、電力の消費によって、発熱する。また、電子機器からの総発熱量は、母機1の飛しょう時間が増加するにつれて、増加する。実施形態では、電子機器の温度上昇を抑制するために、電子機器からの熱を、飛しょう体2の外部に放熱する。
【0024】
図1に記載の例では、飛しょう体2は、放熱部材20を備える。そして、電子機器からの熱を、放熱部材20を介して、飛しょう体2の外部に放熱することが可能である。なお、放熱部材20は、飛しょう体2ではなく、母機1に設けられてもよい。放熱部材20は、当該放熱部材の少なくとも一部が、飛しょう体外殻の外側に配置される部材である。放熱部材20は、飛しょう体2の周囲の空気に接触する位置に配置される。放熱部材20は、熱伝導率の高い材料によって構成される。放熱部材の熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上である。
【0025】
飛しょう体2は、飛しょう時に、空力加熱を受ける。空力加熱によって発生する熱の電子機器への伝達は、抑制されることが望ましい。実施形態では、空力加熱によって発生する熱の熱伝達経路の一部を構成する放熱部材20を、飛しょう体2から分離することが可能である。
【0026】
実施形態における飛しょう体では、空力加熱によって発生する熱量が大きくなる前に、放熱部材20を飛しょう体2から分離することが可能である。このため、空力加熱によって発生する熱の電子機器への伝達が、抑制される。
【0027】
実施形態では、飛しょう体2から放熱部材20が分離される前では、飛しょう体2の内部に配置される電子機器からの熱を、放熱部材20を介して、飛しょう体2の外部に放熱する。すなわち、飛しょう体2は、電子機器に対して、断熱特性の悪い(すなわち、放熱特性の良い)機体構造となっている。飛しょう体2から放熱部材20が分離された後では、飛しょう体2の内部に配置される電子機器と飛しょう体の外部の空気との間での熱伝達が抑制される。すなわち、飛しょう体2から放熱部材20が分離された後では、飛しょう体2は、電子機器に対して、断熱特性の良い機体構造となっている。
【0028】
(飛しょう体のより詳細な説明)
図2Aは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20が分離される前の状態を示す。
図2Bは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20が分離された後の状態を示す。
【0029】
(冷却対象機器10)
飛しょう体2には、冷却対象機器10が搭載されている。冷却対象機器10は、飛しょう体外殻70の内側に配置される。
図2Aに記載の例では、飛しょう体2には、2つの冷却対象機器10A、および、10Bが搭載されている。なお、飛しょう体2に搭載される冷却対象機器10Aは、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。冷却対象機器10Aは、例えば、光学機器であってもよいし、光学機器と電子機器との組み合わせであってもよい。光学機器は、例えば、赤外線カメラであってもよい。冷却対象機器10Bは、例えば、電子機器であってもよい。光学機器および/または電子機器は、電力を消費することにより発熱する。
【0030】
(熱伝達部材30)
冷却対象機器10(冷却対象機器10A、10B)からの熱は、熱伝達部材30を介して、放熱部材20に伝達される。熱伝達部材30は、熱伝導率の高い材料によって構成される。熱伝達部材30の熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上である。熱伝達部材30は、例えば、アルミニウムを含んでいてもよい。
【0031】
熱伝達部材30は、例えば、第1の熱伝達部材要素30Aと、第2の熱伝達部材要素30Bを含む。なお、熱伝達部材要素の数は、任意である。第1の熱伝達部材要素30Aは、冷却対象機器(10A、10B)に接触する。第1の熱伝達部材要素30Aは、冷却対象機器(10A、10B)を支持する支持部材であってもよいし、冷却対象機器(10A、10B)を囲む筐体であってもよい。第1の熱伝達部材要素30Aは、熱伝導率の高い材料によって構成される。
【0032】
第2の熱伝達部材要素30Bは、第1端部(第1接触部32)が放熱部材20と接触し、第2端部が第1の熱伝達部材要素30Aに接触している。第2の熱伝達部材要素30Bは、熱伝導率の高い材料によって構成される。代替的に、あるいは、付加的に、第2の熱伝達部材要素30Bは、ヒートパイプを含んでいてもよい。ヒートパイプの内部には、揮発性の液体が充填されていてもよい。ヒートパイプを採用することにより、熱伝達部材30の熱伝導率が増加する。
【0033】
(放熱部材20)
放熱部材20は、飛しょう体2の周囲の空気と接触可能に配置されている。放熱部材20の少なくとも一部は、飛しょう体外殻70の外側(すなわち、外部)に配置される。放熱部材20の全体が、飛しょう体外殻70の外側に配置されてもよい。
図2Aに記載の例では、放熱部材20は、外殻70の凹部に配置されている(必要であれば、
図2Bに記載された外殻70の凹部26を参照。)。
図2Aに記載の例では、放熱部材20の外表面の少なくとも一部は、飛しょう体2の外表面の一部と面一である。放熱部材20の外表面と、飛しょう体2の外表面とを面一にすることで、放熱部材20が配置されることによる飛しょう体2の空力抵抗の増加を抑制することができる。放熱部材20は、例えば、板状部材である。放熱部材20を板状とすることで、放熱部材20と飛しょう体2の周囲の空気との接触面積が、例えば熱伝達部材要素30Bの断面積に比べて、大きくなる。このため、放熱部材20の放熱効率が向上する。なお、放熱部材20と飛しょう体2の周囲の空気との接触面積を増加させるために、放熱部材20の表面に、フィン等の凸部を設けてもよい。
【0034】
放熱部材20は、熱伝達係数の高い材料によって構成される。放熱部材20は、例えば、アルミニウムを含む。放熱部材20の第2接触部22は、第2の熱伝達部材要素30Bの第1端部(第1接触部32)と接触している。第2接触部22と第1接触部32とは、例えば、面接触している。放熱部材20の第2接触部22が熱伝達部材30の第1接触部32と接触している時、すなわち、放熱部材20が飛しょう体2に接続されている時、放熱部材20は、熱伝達部材30からの熱を、飛しょう体2の周囲の空気に伝達する。
【0035】
なお、放熱部材20の第2接触部22と、熱伝達部材30の第1接触部32との間の熱伝達係数は、例えば、100W/(m
2・K)以上1MW/(m
2・K)以下である。熱伝達係数を、100W/(m
2・K)以上とすることで、熱伝達部材30から放熱部材20への熱伝達が、効果的に行われる。なお、熱伝達係数の上限値を、1MW/(m
2・K)と記載した。しかし、当該上限値を上回る熱伝達係数を実現可能な材料の組み合わせ等が存在する場合には、当該材料の組み合わせ等が選択されてもよい。なお、放熱部材20の第2接触部22と、熱伝達部材30の第1接触部32との間の熱伝達係数についての数値範囲は、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。
【0036】
なお、冷却対象機器10(冷却対象機器10Aまたは10B)と、放熱部材20との間の熱抵抗(冷却対象機器10の単位発熱量あたりの放熱部材20の温度上昇量を表す値、換言すれば、材料の熱伝導率に当該材料の長さを乗じた値と熱伝達係数に接触部の面積を乗じた値の和の逆数として得られる値)が、所定の設定値以下となるように熱伝達部材30および放熱部材20の形状および材質等が選択されてもよい。
【0037】
実施形態においては、冷却対象機器10と放熱部材20との間の熱伝達の大部分が、熱伝達部材30を介して行われる。例えば、冷却対象機器10と放熱部材20との間の熱伝達の50%以上100%以下(より具体的には、80%以上100%以下、あるいは、90%以上100%以下)が、熱伝達部材30を介して行われてもよい。すなわち、冷却対象機器10の単位発熱量あたりの放熱部材20の温度上昇量について、熱伝達部材30と放熱部材20とが直接接触している時の温度上昇量は、熱伝達部材30と放熱部材20とが断熱部材を介して接触している時の温度上昇量の2倍以上(より具体的には5倍以上、あるいは、10倍以上)であってもよい。なお、冷却対象機器10と放熱部材20との間の熱伝達量に占める、熱伝達部材30を介して行われる熱伝達量の割合についての数値範囲(50%以上100%以下、80%以上100%以下、または、90%以上100%以下)は、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。
【0038】
(熱伝達経路)
実施形態では、冷却対象機器10と、熱伝達部材30と、放熱部材とが熱伝達経路を構成する。熱伝達経路の一部は、飛しょう体外殻70の内部に配置され、熱伝達経路の一部は、飛しょう体外殻70の外部に配置される。換言すれば、熱伝達経路は、飛しょう体外殻70を貫通する。熱伝達経路が、飛しょう体外殻70を貫通する構成は、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。
【0039】
(ジェットエンジン50)
飛しょう体2は、ジェットエンジン50を備えていてもよい。ジェットエンジン50は、例えば、ラムジェットエンジン、スクラムジェットエンジンである。ジェットエンジン50は、インレット52と、燃焼部54と、ノズル56とを備える。インレット52から取り込まれた空気は、燃焼部54において燃料と混合される。燃料と空気との混合気体は、燃焼部54において燃焼する。燃焼により生じた燃焼ガスは、ノズル56から排出される。ノズル56から燃焼ガスを排出することにより、ジェットエンジンは、推力を得る。
【0040】
ジェットエンジン50は、インレットカバー40を備えていてもよい。インレットカバー40は、インレット52の入口開口を覆うように配置される。インレットカバー40は、ジェットエンジン50の作動前において、インレット52の入口開口からジェットエンジン50内に異物等が進入することを防止する。また、インレットカバー40の存在により、飛しょう体2の空力抵抗が低減される。インレットカバー40は、ジェットエンジン50の作動時には、飛しょう体2から分離される。
【0041】
(断熱層72)
飛しょう体2の外殻70は、断熱層72(なお、断熱層72は、一点鎖線で示されている。)を含んでいてもよい。外殻70が断熱層72を含む場合には、空力加熱により発生する熱が、飛しょう体2の内部の冷却対象機器10に伝達されることが抑制される。なお、熱伝達部材30と、放熱部材20とが接触する領域には、断熱層72が設けられていない。換言すれば、熱伝達部材30または放熱部材20のうちの少なくとも一方は、断熱層72を貫通するように配置されている。断熱層72は、断熱材料によって構成される。断熱材料の熱伝導率は、熱伝達部材30の熱伝導率よりも小さい。断熱材料の熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)未満である。
【0042】
(放熱部材20の分離)
図2Bは、放熱部材20が分離された後の状態を示す。飛しょう体2の対気速度が上昇するにつれて、空力加熱により発生する熱量が増加する。空力加熱に起因して、放熱部材20から、熱伝達部材30を介して、冷却対象機器10に伝達される熱量が、冷却対象機器10から、熱伝達部材30を介して、放熱部材20に伝達される熱量を超える場合を想定する。この場合、放熱部材20は、冷却対象機器10の冷却に寄与しない。このため、この場合、放熱部材20は、飛しょう体2から分離されることが望ましい。
【0043】
図2Bに記載の例では、放熱部材20の分離後、熱伝達部材30の第1接触部32は、飛しょう体2の周囲の空気に対して、露出されている。しかし、第1接触部32の面積は、放熱部材20の表面積(空気と接触する部分の表面積)よりも小さい。このため、放熱部材20が分離された後において、第1接触部32から飛しょう体2の内部に流入する熱量は、放熱部材が分離される前において、放熱部材20から第1接触部32を介して飛しょう体2の内部に流入する熱量よりも小さい。
【0044】
また、
図2Bに記載の例では、熱伝達部材30の第1接触部32は、外殻70の凹部26内に配置されている。凹部26内では、飛しょう体2に対する空気の流速が小さい。空気の流速が小さい場合、空気の流速が大きい場合と比較して、空気と第1接触部32との間の熱伝達係数は小さくなる。このため、
図2Bに記載の例では、第1接触部32が凹部26の内部に設けられているため、第1接触部32から飛しょう体2の内部に流入する熱量は、比較的小さい。
【0045】
なお、
図2Bに記載の例では、放熱部材20の分離後、熱伝達部材30の第1接触部32は、飛しょう体2の周囲の空気に対して、露出されている。代替的に、放熱部材20の分離後、熱伝達部材30の第1接触部32が、断熱部材(例えば、可撓性の耐熱ゴム)によって、覆われるようにしてもよい。
【0046】
また、
図2Bの例では、インレットカバー40が、飛しょう体2から分離される前に、放熱部材20が、飛しょう体2から分離されている。代替的に、インレットカバー40が、飛しょう体2から分離された後、放熱部材20が、飛しょう体2から分離されてもよい。なお、放熱部材20の分離は、飛しょう体2が母機1から分離された後に行われてもよいし、飛しょう体2が母機1から分離される前に行われてもよい。
【0047】
(放熱部材20の分離機構)
図3Aは、
図2Aの一部拡大断面図であり、分離機構の一例を示す。分離機構は、火薬82と、点火器84と、制御線86とを備える。放熱部材20と、飛しょう体2とは、接合部88において接合されている。火薬82への着火により、接合部88は破断し、放熱部材20が、飛しょう体2から分離される。点火器84は、制御装置から伝達される分離指令信号によって作動する。制御装置は、例えば、冷却対象機器10B(電子機器)である。制御装置は、コンピュータであってもよい。また、分離指令信号は、例えば、制御線86を介して、制御装置(冷却対象機器10B)から、点火器84に伝達される。なお、
図3Aに記載の例では、1つの接合部88と1つの火薬とが記載されている。しかし、接合部の個数、火薬を配置する場所の数は、任意である。
【0048】
制御装置は、分離機構を作動させるタイミングを決定し、分離指令信号を分離機構に伝達する。分離機構を作動させるタイミングは、熱伝達部材30を介して放熱部材20に伝達される熱量(なお、当該熱量の値は、マイナスの値であってもよい。)に基づいて決定されてもよい。熱伝達部材30を介して放熱部材20に伝達される熱量は、例えば、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32と反対側の端部の温度と、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32側の端部の温度との差分に基づいて、求められてもよい。
図3Aに記載の例では、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32と反対側の端部の温度は、温度センサ34によって測定され、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32側の端部の温度は、温度センサ35によって測定される。
【0049】
代替的に、放熱部材20を分離させるタイミングは、ジェットエンジンを作動させるタイミングに基づいて決定されてもよい。例えば、制御装置は、飛しょう体2が母機1から分離されたことを検出する(なお、母機1からの分離の検出は、センサからの信号に基づいて行われてもよいし、母機1から飛しょう体2を分離させる指令信号の検出に基づいて行われてもよい。)。制御装置は、飛しょう体2が母機1から分離されたことを検出した後に、放熱部材20を分離させる分離指令信号を分離機構に伝達してもよい。
【0050】
図3Bは、
図2Aの一部拡大断面図であり、分離機構の変形例を示す。分離機構は、アクチュエータ90と制御線94とを備える。放熱部材20の凹部に、アクチュエータ90のロッド92が挿入されることにより、放熱部材20は、飛しょう体2に保持される。ロッド92を放熱部材20の凹部から退避させることにより、放熱部材20が、飛しょう体2から分離される。アクチュエータ90は、制御装置から伝達される分離指令信号によって作動する(換言すれば、アクチュエータ90のロッド92は、制御装置から伝達される分離指令信号に基づいて退避する。)。制御装置は、例えば、冷却対象機器10B(電子機器)である。また、分離指令信号は、例えば、制御線94を介して、制御装置(冷却対象機器10B)から、アクチュエータ90に伝達される。なお、
図3Bに記載の例では、1つのロッド92と、ロッド92が挿入される1つの凹部とが記載されている。しかし、ロッド92の数(すなわち、アクチュエータの数)、および、ロッドが挿入される凹部の数は、任意である。
【0051】
なお、
図3Bに記載されているように、放熱部材20と外殻70(すなわち、飛しょう体2)との間に、圧縮ばね96を配置してもよい。圧縮ばね96の存在により、放熱部材20が飛しょう体2から分離された後、放熱部材20が、より確実に、外殻70の凹部から押し出される。
【0052】
(外殻70の凹部)
図4Aおよび
図4Bに、外殻70の凹部の形状の変形例を示す。
図4Aは、放熱部材20Aが分離される前の状態を示し、
図4Bは、放熱部材20Aが分離された後の状態を示す。
図4Aに示されるように、放熱部材20Aは、傾斜面201Aを有する前端部200A(飛しょう体の機首側の端部)を備える。また、放熱部材20Bは、傾斜面201Bを有する後端部200B(飛しょう体の機首側と反対側の端部)を備える。また、
図4Bに示されるように、外殻70の凹部26Aは、機首側の傾斜面260Aを備える。傾斜面260Aは、平面状の傾斜面であってもよいし、曲面状の傾斜面であってもよい。傾斜面260Aの存在により、放熱部材20Aが飛しょう体2から分離された後において、飛しょう体2の空力抵抗が低減される。また、外殻70の凹部26Aは、機首側と反対側の傾斜面260Bを備える。傾斜面260Bは、平面状の傾斜面であってもよいし、曲面状の傾斜面であってもよい。傾斜面260Bの存在により、放熱部材20Aが飛しょう体2から分離された後において、飛しょう体2の空力抵抗が低減される。また、傾斜面260Bの存在により、放熱部材20Aの凹部26Aからの離脱が、円滑に行われる。
【0053】
(強制冷却装置60)
飛しょう体2は、冷却対象機器10を強制冷却する強制冷却装置を含んでいてもよい。
図5に強制冷却装置の一例を示す。強制冷却装置60は、例えば、ペルチェ素子である。
図5に記載の例では、強制冷却装置60(ペルチェ素子)の吸熱部62が、冷却対象機器10Bに接続され、強制冷却装置60(ペルチェ素子)の発熱部64が、熱伝達部材30に接続されている。強制冷却装置60の存在により、冷却対象機器10を冷却する能力が向上する。また、強制冷却装置60の作動により発生する熱は、熱伝達部材30を介して、放熱部材20に伝達される。このため、強制冷却装置60の作動により発生する熱が、飛しょう体2の内部に蓄積されることが抑制される。また、強制冷却装置60の冷却性能によっては、冷却対象機器10を飛しょう体2の周囲の空気の温度以下に冷却することができる。
【0054】
(第1変形例)
図6Aおよび
図6Bに、放熱部材の変形例を示す。
図6Aは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Bが分離される前の状態を示す。
図6Bは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Bが分離された後の状態を示す。
【0055】
図6Aおよび
図6Bに記載の実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態における各部材と同じ機能を有する部材については、同じ図番が付されている。
【0056】
図6Aおよび
図6Bに記載の実施形態では、飛しょう体2に放熱部材20Bを収容する凹部が設けられていない。換言すれば、放熱部材20Bが、飛しょう体2の外表面よりも外側に突出するように配置されている。放熱部材20Bが飛しょう体2から分離される前の状態では、放熱部材20Bの第2接触部22は、熱伝達部材30の第1接触部32と接触している。第2接触部22と第1接触部32とは、例えば、面接触している。
図6Aおよび
図6Bに記載の例では、放熱部材20Bが飛しょう体2の外表面よりも外側に突出するように配置されているため、放熱部材20Bと飛しょう体2の周囲の空気との接触面積を広くすることが可能である。このため、放熱部材20Bによる放熱効率が向上する。また、
図6Bに記載の例では、熱伝達部材30の第1接触部32が、飛しょう体2の外表面と面一である。このため、放熱部材20Bが飛しょう体2から分離された後の状態において、飛しょう体2の空力抵抗が低減される。
【0057】
(第2変形例)
図7A乃至
図7Cに、放熱部材の変形例を示す。
図7Aは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Cが分離される前の状態を示す。
図7Bは、
図7Aの一部拡大断面図であり、放熱部材20Cの拡大図である。
図7Cは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Cが分離された後の状態を示す。
【0058】
図7A乃至
図7Cに記載の実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態における各部材と同じ機能を有する部材については、同じ図番が付されている。
【0059】
図7A乃至
図7Cに記載の実施形態では、放熱部材20Cが、空力加熱もしくは空力せん断により、飛しょう体外殻70の外表面から消失する材料を含む。放熱部材20Cは、飛しょう体外殻70の外表面に接触して配置される。放熱部材20Cは、例えば、空力加熱により溶融する材料を含む。放熱部材20Cの全体が、空力加熱により溶融する材料によって構成されてもよい。代替的に、放熱部材20Cの一部(例えば、放熱部材20Cのうち飛しょう体外殻70の外表面に接触する部分)が、空力加熱により溶融する材料によって構成されてもよい。空力加熱により溶融する材料は、母機1に飛しょう体2が携行されて飛しょうしている時に溶融されてもよい。代替的に、空力加熱により溶融する材料は、母機1から分離された飛しょう体2が飛しょうしている時に溶融されてもよい。放熱部材20Cの空力加熱により溶融する材料の融点は、例えば、80℃以上800℃以下である。放熱部材20Cの材料は、例えば、メラミン樹脂、シリコーン樹脂を含む。放熱部材20Cは、メラミン樹脂であってもよいし、シリコーン樹脂であってもよいし、メラミン樹脂またはシリコーン樹脂を含む複合体(すなわち、メラミン樹脂またはシリコーン樹脂と他の材料を含む複合体)であってもよい。
【0060】
放熱部材20Cの第2接触部と、熱伝達部材30の第1接触部32とは、互いに接触している。第2接触部と第1接触部32とは、例えば、面接触している。熱伝達部材30(具体的には、第2の熱伝達部材要素30B)は、断熱層72を貫通している。第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32と反対側の端部は、第1の熱伝達部材要素30Aと接続されている。第1の熱伝達部材要素30Aは、冷却対象機器10A、冷却対象機器10Bのそれぞれと接触している。第1の熱伝達部材要素30Aは、冷却対象機器10からの熱を、第2の熱伝達部材要素30Bに伝達する。第2の熱伝達部材要素30Bは、第1の熱伝達部材要素30Aから伝達された熱を、放熱部材20Cに伝達する。放熱部材20Cは、第2の熱伝達部材要素30Bから伝達された熱を、飛しょう体2の周囲の空気に伝達する。なお、放熱部材20Cは、飛しょう体外殻70の外表面に、接着、溶着あるいは塗布されることによって形成されてもよい。
図7Aおよび
図7Bに記載の例では、放熱部材20Cは、板部27と凸部28とを有する。凸部28の存在により、放熱部材20Cと飛しょう体2の周囲の空気との間の接触面積が増加し、また、放熱部材20Cと飛しょう体2の周囲の空気との間の摩擦抵抗が増加する。このため、放熱部材20Cによる放熱効率を向上させることが可能である。
【0061】
図7Cは、放熱部材20Cが分離された後の状態を示す。飛しょう体2の対気速度が増加するにつれて、飛しょう体外殻70の外表面の温度は、空力加熱によって、上昇する。飛しょう体の外表面の温度が上昇することに伴い、放熱部材20Cは、融解する。放熱部材20Cを構成する材料は、融解により、飛しょう体2の外殻70から離脱(すなわち、分離)して、飛しょう体2の後方に飛散する。または、飛しょう体2の対気速度が増加するにつれて、空力せん断が増加する。空力せん断の上昇にともない、放熱部材20Cは、減耗する。
【0062】
なお、放熱部材20Cは、飛しょう体2の長手方向後方部分(例えば、飛しょう体2の全長をLとした時、飛しょう体の前端から1/3Lよりも後方の部分、より具体的には、飛しょう体の前端から1/2Lよりも後方の部分)に設けられてもよい。放熱部材20Cが、飛しょう体2の長手方向後方部分に設けられることにより、飛しょう体2の外殻70から離脱した放熱部材20Cの材料が、飛しょう体2に衝突または再付着するリスクを低減することができる。
【0063】
図7Dに、放熱部材の形状の変形例を示す。
図7Dは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Dが分離される前の状態を示す。
図7Dに記載の例では、放熱部材20Dが、板部によって構成され、凸部を備えていない点で、
図7Aに記載の例とは異なる。また、
図7Dの記載の例では、放熱部材20Dが設けられている位置に対応する外殻70の部分74に断熱層72が設けられていない点で、
図7Aに記載の例とは異なる。断熱層72が設けられていない位置に対応する外殻の部分74は、熱伝達部材30の一部として機能してもよい。
図7Dに記載の例は、その他の点では、
図7Aに記載の例と同様である。
図7Dに記載の例では、凸部28が設けられていないため、放熱部材20Dの外殻70表面への施工が容易である。
【0064】
図7Eに、放熱部材の形状の変形例を示す。
図7Eは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材20Eが分離される前の状態を示す。
図7Eに記載の例では、放熱部材20Eが、複数の凸部によって構成され、板部を備えていない点で、
図7Aに記載の例とは異なる。また、
図7Eの記載の例では、放熱部材20Eが設けられている位置に対応する外殻70の部分74に断熱層72が設けられていない点で、
図7Aに記載の例とは異なる。断熱層72が設けられていない位置に対応する外殻の部分74は、熱伝達部材30の一部として機能してもよい。
図7Eに記載の例は、その他の点では、
図7Aに記載の例と同様である。
図7Eに記載の例では、板部が設けられていないため、外殻70表面に適用する放熱部材20Eの量を低減することが可能である。その結果、飛しょう体2の重量増加が低減される。
【0065】
図7A乃至
図7Eに記載の実施形態では、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態により奏される効果に加えて、次の効果を奏する。放熱部材(20C、20D、20E)は、空力せん断または融解によって、飛しょう体2から分離される。このため、飛しょう体2に、放熱部材(20C、20D、20E)を分離するための機構を設ける必要がない。このため、新たに追加する部材を必要最小限に留めつつ、飛しょう体2に、分離可能な放熱部材を設けることが可能となる。その結果、分離可能な放熱部材を備えることによる質量増加を最小限とすることができる。
【0066】
(第3変形例)
図8A乃至
図8Cに、放熱部材の変形例を示す。
図8Aは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材が分離される前の状態を示す。
図8Bは、
図8Aの一部拡大断面図である。
図8Cは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材が分離された後の状態を示す。
【0067】
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態における各部材と同じ機能を有する部材については、同じ図番が付されている。
【0068】
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態では、インレットカバーが、放熱部材の機能を兼ね備える点で、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態と異なる。すなわち、
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態では、インレットカバーが、放熱部材40Aである。放熱部材40Aの少なくとも一部(例えば、放熱部材40Aのうち外殻に接触する部分)は、飛しょう体外殻70の外側に配置される。放熱部材40Aの第2接触部42と、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32とは、互いに接触している。第2接触部42と第1接触部とは、例えば、互いに面接触している。また、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32と反対側の端部は、第1の熱伝達部材要素30Aに接続されている。第1の熱伝達部材要素30Aは、冷却対象機器10からの熱を、第2の熱伝達部材要素30Bに伝達する。第2の熱伝達部材要素30Bは、第1の熱伝達部材要素30Aから伝達された熱を、放熱部材40Aに伝達する。放熱部材40Aは、第2の熱伝達部材要素30Bから伝達された熱を、飛しょう体2の周囲の空気に伝達する。なお、放熱部材40Aは、板状の部材であってもよい。
【0069】
図2A乃至
図3B、
図5を参照して説明された技術的事項は、
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態においても採用可能である。例えば、
図3Aおよび
図3Bを用いて説明された放熱部材20の分離機構は、放熱部材40Aの分離機構として採用することが可能である。また、例えば、
図5を用いて説明された強制冷却装置の構成は、
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態においても採用可能である。
【0070】
放熱部材40Aを分離させるタイミングは、
図3Aに記載の実施形態と同様に、熱伝達部材30を介して放熱部材40Aに伝達される熱量に基づいて決定されてもよい。代替的に、放熱部材40Aを分離させるタイミングは、ジェットエンジンを作動させるタイミングに基づいて決定されてもよい。例えば、制御装置は、飛しょう体2が母機1から分離されたことを検出し、当該検出後に、放熱部材40Aを分離させる分離指令信号を分離機構に伝達してもよい。
【0071】
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態では、
図2A乃至
図3B、
図5に記載の実施形態により奏される効果に加えて、次の効果を奏する。インレットカバーは、ジェットエンジンの作動時に、分離されることが要請される部材である。このため、インレットカバーには、分離機構が備えられている。
図8A乃至
図8Cに記載の実施形態では、当該インレットカバーを、放熱部材として用いている。このため、新たに追加する部材を必要最小限に留めつつ、飛しょう体2に、分離可能な放熱部材を設けることが可能となる。その結果、分離可能な放熱部材を備えることによる質量増加を最小限とすることができる。
【0072】
また、インレットカバーは、インレット52の入口開口に配置される部材である。そして、インレット52の入口開口は、空気を効果的に取り込むために、空気の流量が多い位置に設定されている。このため、インレットカバーは、飛しょう体の周囲を流れる空気と、最も効果的に接触する位置のうちの1つに配置される部材であると言うことができる。当該インレットカバーを、放熱部材として用いる場合、最も高い放熱効率が得られる。
【0073】
(第4変形例)
図9A乃至
図9Cに、放熱部材の変形例を示す。
図9Aは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材が分離される前の状態を示す。
図9Bは、
図9Aの一部拡大断面図であり、放熱部材100を拡大した図である。
図9Cは、飛しょう体の概略縦断面図であり、放熱部材が分離された後の状態を示す。
【0074】
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態における各部材と同じ機能を有する部材については、同じ図番が付されている。なお、
図9Aおよび
図9Cにおいて、図面の複雑化を避けるために、断熱層の記載は省略されている。
【0075】
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態では、ロケットモータが、放熱部材の機能を兼ね備える点で、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態と異なる。すなわち、
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態では、ロケットモータが、放熱部材100である。放熱部材100は、飛しょう体外殻70の外側に配置される。放熱部材100の第2接触部102と、熱伝達部材30の第1接触部32とは、互いに接触している。第2接触部102と第1接触部32とは、例えば、互いに面接触している。熱伝達部材30は、冷却対象機器10A、冷却対象機器10Bのそれぞれと接触している。熱伝達部材30は、冷却対象機器10からの熱を、放熱部材100に伝達する。放熱部材100は、熱伝達部材30から伝達された熱を、飛しょう体2の周囲の空気に伝達する。なお、
図9Bにおいて、断熱層72は、一点鎖線で示されている。
【0076】
図2A乃至
図3B、
図5を参照して説明された技術的事項は、
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態においても採用可能である。例えば、
図3Aおよび
図3Bを用いて説明された放熱部材20の分離機構は、放熱部材100の分離機構として採用することが可能である。また、例えば、
図5を用いて説明された強制冷却装置の構成は、
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態においても採用可能である。
【0077】
放熱部材100を分離させるタイミングは、ロケットモータの稼働終了後である。ロケットモータは、固体の推進薬を燃焼させて、飛しょう体2を加速させる。ロケットモータの稼働時間は、例えば、数十秒である。ロケットモータの稼働時に、ロケットモータ(放熱部材100)からの熱が、熱伝達部材30を介して、冷却対象機器10に伝達される可能性がある。しかし、ロケットモータの稼働時間は短いため、冷却対象機器10に伝達される総熱量は、比較的小さい。すなわち、ロケットモータの稼働時に、ロケットモータから飛しょう体2の本体側に伝達される熱量は、飛しょう体自体の熱容量を活用すれば、問題とはならない。
【0078】
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態では、
図2A乃至
図3B、
図5に記載の実施形態により奏される効果に加えて、次の効果を奏する。ロケットモータは、ロケットモータの稼働終了後に、分離されることが要請される部材である。このため、ロケットモータには、分離機構が備えられている。
図9A乃至
図9Cに記載の実施形態では、当該ロケットモータを、放熱部材として用いている。このため、新たに追加する部材を必要最小限に留めつつ、飛しょう体2に、分離可能な放熱部材を設けることが可能となる。その結果、分離可能な放熱部材を備えることによる質量増加を最小限とすることができる。
【0079】
なお、放熱の機能を兼用させる部材は、インレットカバー、または、ロケットモータ以外の部材であってもよい。
【0080】
(第5変形例)
図10A乃至
図10Cに、放熱部材の変形例を示す。
図10Aは、母機1および飛しょう体2の概略側面図であり、飛しょう体2から放熱部材(パイロン3)が分離される前の状態を示す。
図10Bは、飛しょう体2およびパイロン3の概略縦断面図を示す。
図10Cは、母機1および飛しょう体2の概略側面図であり、飛しょう体2から放熱部材(パイロン3)が分離された後の状態を示す。
【0081】
図10A乃至
図10Cに記載の実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに記載の実施形態における各部材と同じ機能を有する部材については、同じ図番が付されている。
図10A乃至
図10Cに記載の実施形態では、パイロン3が、放熱部材として機能する。換言すれば、パイロン3が、放熱部材である。
【0082】
図10Aにおいて、飛しょう体2と母機1とは、パイロン3を介して接続されている。本明細書において、「パイロン」は、母機1に設けられた支持部材であって、飛しょう体2を支持する支持部材と定義される。支持部材は構造部材である。パイロン3は、母機1の翼に設けられてもよいし、母機1の胴体に設けられてもよいし、母機1の増槽に設けられてもよい。
図10Aに記載の例では、パイロン3は、母機1の主翼5に設けられている。飛しょう体2は、パイロン3に着脱自在に接続される。パイロン3は、飛しょう体外殻70の外側に配置される。パイロン3は、板状の部材であってもよい。
【0083】
図10Bは、飛しょう体2およびパイロン3の概略縦断面図である。飛しょう体2がパイロン3によって支持される状態では、パイロン3と第2の熱伝達部材要素30Bとは、互いに接触している。より具体的には、第2の熱伝達部材要素30Bの第1接触部32と、パイロンの第2接触部302とが、互いに接触している。第1接触部32と第2接触部302とは、例えば、互いに面接触する。
【0084】
図10Bに記載の例において、冷却対象機器10(冷却対象機器10Aおよび冷却対象機器10B)からの熱は、冷却対象機器10に接触配置される第1の熱伝達部材要素30Aに伝達される。第1の熱伝達部材要素30Aに伝達された熱は、第1の熱伝達部材要素30Aに接触配置される第2の熱伝達部材要素30Bに伝達される。第2の熱伝達部材要素30Bに伝達された熱は、第1接触部32および第2接触部302を介して、パイロン3に伝達される。パイロン3に伝達された熱は、パイロン3の周囲の空気、すなわち、飛しょう体2の周囲の空気に放熱される。
【0085】
飛しょう体2をパイロン3から分離する分離機構としては、公知の機構を採用することが可能である。代替的に、飛しょう体2をパイロン3から分離する分離機構として、
図3Aおよび
図3Bを用いて説明された分離機構を採用してもよい。また、例えば、
図5を用いて説明された強制冷却装置の構成は、
図10A乃至
図10Cに記載の実施形態においても採用可能である。
【0086】
飛しょう体2をパイロン3から分離させるタイミングは、飛しょう体2を発射させるタイミングと同一である。
図10Cは、飛しょう体2からパイロン3(すなわち、放熱部材が分離された後の状態を示す。
【0087】
図10A乃至
図10Cに記載の実施形態では、
図2A乃至
図3B、
図5に記載の実施形態により奏される効果に加えて、次の効果を奏する。パイロン3は、飛しょう体2の発射時に、飛しょう体2から分離されることが要請される部材である。このため、パイロン3には、本来的に、分離機構が備えられている。
図10A乃至
図10Cに記載の実施形態では、当該パイロンを、放熱部材として用いている。このため、新たに追加する部材を必要最小限に留めつつ、飛しょう体2と接する放熱部材を設けることが可能となる。その結果、分離可能な放熱部材を備えることによる質量増加を最小限とすることができる。
【0088】
また、パイロン3は、典型的には、空気の流れの良い領域に配置される部材である。このため、パイロンは、飛しょう体の周囲を流れる空気と、最も効果的に接触する位置のうちの1つに配置される部材であると言うことができる。当該パイロンを、放熱部材として用いる場合、最も高い放熱効率が得られる。また、飛しょう体2がパイロン3から分離された後、飛しょう体2には、
図2Bに記載された凹部26が存在しない。よって、パイロン3から分離された後の飛しょう体2の空力抵抗の増加が効果的に抑制される。
【0089】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。