特許第6383313号(P6383313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383313
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】弁プラグ判別装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20180820BHJP
   F16K 5/06 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   F16K51/00 Z
   !F16K5/06 E
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-55708(P2015-55708)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-176493(P2016-176493A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 善之
(72)【発明者】
【氏名】山田 伸康
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−176492(JP,A)
【文献】 特開2014−049015(JP,A)
【文献】 特開2007−071330(JP,A)
【文献】 特開2002−096225(JP,A)
【文献】 特開2000−118637(JP,A)
【文献】 特開2007−113599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00−99/00
B65G 1/137
G06Q 10/00−10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体内の流路を流れる流体の流量を調節する弁プラグを備えた弁プラグ部品の種別を判別する弁プラグ判別装置であって、
これから組み立てを行うバルブの機種コードを読み取る機種コード読取部と、
これから組み立てを行うバルブのバルブ本体に組み込もうとする弁プラグ部品を判別対象の弁プラグ部品とし、この判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状を撮像する撮像部と、
前記機種コード読取部によって読み取られた機種コードによって特定される前記バルブ本体に組み込まれるべき弁プラグ部品を正当な弁プラグ部品とし、前記撮像部によって撮像された判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状とこの特徴的な形状に対応する前記正当な弁プラグ部品の特徴的な形状とを比較し、その比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別する判別部と、
前記判別部によって判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であると判別された場合、前記機種コード読取部によって読み取られたバルブの機種コードを発行する機種コード発行部と
を備えることを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載された弁プラグ判別装置において、
前記判別部における判別結果を表示する表示部
を備えることを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項3】
請求項1に記載された弁プラグ判別装置において、
前記撮像部によって撮像される前記判別対象の弁プラグ部品を定位置に位置決めする位置決め部
を備えることを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された弁プラグ判別装置において、
前記撮像部は、
前記弁プラグ部品の特徴的な形状として前記弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状を撮像する
ことを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載された弁プラグ判別装置において、
前記撮像部は、
前記弁プラグ部品の特徴的な形状として前記弁プラグの底面の形状を撮像する
ことを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載された弁プラグ判別装置において、
前記弁プラグは、
前記弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部を有し、
前記撮像部は、
前記弁プラグ部品の特徴的な形状として前記弁プラグの流量特性部の全開側の側面の形状を撮像する
ことを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項7】
請求項1に記載された弁プラグ判別装置において、
前記撮像部は、
前記弁プラグ部品の第1の特徴的な形状として前記弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状を撮像する第1のカメラと、
前記弁プラグ部品の第2の特徴的な形状として前記弁プラグの底面の形状を撮像する第2のカメラとを備え、
前記判別部は、
前記第1のカメラが撮像した前記弁プラグ部品の第1の特徴的な形状と前記正当な弁プラグ部品の第1の特徴的な形状とを比較して第1の比較結果を取得し、前記第2のカメラが撮像した前記弁プラグ部品の第2の特徴的な形状と前記正当な弁プラグ部品の第2の特徴的な形状とを比較して第2の比較結果を取得し、この取得した第1および第2の比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別する
ことを特徴とする弁プラグ判別装置。
【請求項8】
請求項1に記載された弁プラグ判別装置において、
前記撮像部は、
前記弁プラグ部品の第1の特徴的な形状として前記弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状を撮像する第1のカメラと、
前記弁プラグ部品の第2の特徴的な形状として前記弁プラグの底面の形状を撮像する第2のカメラと、
前記弁プラグ部品の第3の特徴的な形状として前記弁プラグの流量特性部の全開側の側面の形状を撮像する第3のカメラとを備え、
前記判別部は、
前記第1のカメラが撮像した前記弁プラグ部品の第1の特徴的な形状と前記正当な弁プラグ部品の第1の特徴的な形状とを比較して第1の比較結果を取得し、前記第2のカメラが撮像した前記弁プラグ部品の第2の特徴的な形状と前記正当な弁プラグ部品の第2の特徴的な形状とを比較して第2の比較結果を取得し、前記第3のカメラが撮像した前記弁プラグ部品の第3の特徴的な形状と前記正当な弁プラグ部品の第3の特徴的な形状とを比較して第3の比較結果を取得し、この取得した第1、第2および第3の比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別する
ことを特徴とする弁プラグ判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブ本体内の流路を流れる流体の流量を調節する弁プラグを備えた弁プラグ部品の種別を判別する弁プラグ判別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の流体の流量制御、例えば空調用の冷温水の流量を制御するために使用されるバルブとして、貫通流路を有するボール型の弁プラグを用いたボールバルブが知られている。この弁プラグは弁軸の先端に固定され、この弁軸と弁プラグとを一体化した部品を弁プラグ部品としてバルブ本体に組み込まれる。
【0003】
図13に特許文献1に開示されたボールバルブの要部を示す。このボールバルブ1は、流体2の流路3を形成するバルブ本体4と、このバルブ本体4の内部に配設されたボール型の弁プラグ5と、この弁プラグ5をバルブ本体4の外部から回転させる弁軸6等で構成されている。
【0004】
弁プラグ5は、弁軸6の軸線と直交する方向に貫通流路7を有し、バルブ本体4の内部中央に前後2つのシートリング8−1,8−2を介して弁軸6を中心として回転可能に配設され、外周面がシートリング8−1,8−2に接触する球面着座部を形成している。流体2は図示左(上流側)から右(下流側)へ流れる。
【0005】
弁プラグ5の貫通流路7は、弁軸6の軸線と直交する貫通孔からなり、この貫通孔(貫通流路)7の上流側の開口部7aは円形とされ、下流側の開口部7bは弁プラグ5の動作量と流量との関係を定める形状とされている。
【0006】
図14に弁プラグ5を貫通流路7の下流側から見た斜視図を示す。下流側の開口部7bは、弁プラグ5の動作量と流量との関係を定める形状、この例では弁プラグ5の回転方向(水平方向)に長く延在し、かつ弁プラグ5の回転方向と直交する方向に並設された4本のスリットS1〜S4とされている。
【0007】
この弁プラグ5の動作量と流量との関係を定める形状とされた下流側の開口部7bは流量特性窓(流量特性部)と呼ばれ、この流量特性窓7bにおいてスリットS1〜S4は、低開度側の端部(全閉側の端部)Q1から高開度側の端部(全開側の端部)Q2に向かって、そのスリット幅が漸次幅広に形成されている。また、流量特性窓7bの上流側は、上流側の開口部7aに同径でつながる空洞(円柱状の空洞)とされている。
【0008】
弁プラグ5には、その上面中央に凹部9が形成されており、この凹部9に弁軸6の下端6aが嵌合固定されている。弁軸6は、バルブ本体4の中央の筒部10にOリング11−1,11−2を介して回転可能に挿通されており、その上端6bが筒部10の上方に突出している。この弁軸6が手動または駆動モータ等の駆動装置によって駆動されることにより、弁軸6を中心として弁プラグ5が矢印A方向またはその逆方向にほゞ90゜の角度範囲内で回動される。
【0009】
また、弁プラグ5には、弁軸6と貫通流路7の軸線に対して直交するように、貫通流路7の内部中央に連通する連通路12が形成されている。この連通路12は、連通路12の軸線方向の両側に位置する弁プラグ5の2つの側壁5a,5bのうち、一方の側壁(手前側の側壁)5aにのみ開口している。すなわち、弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aに連通路12の開口部12aが形成されている。この弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aに位置する連通路12の開口部12aは円形とされ、貫通流路7の上流側の開口部7aと同径とされている。
【0010】
図13はボールバルブ1を全開とした状態を示している。この状態から弁プラグ5を90゜時計方向(矢印A方向)へ回転させると(図15参照)、流路3の下流側流路3bが弁プラグ5の側壁5bによって閉じられ、ボールバルブ1が全閉状態となる。全閉と全開との中間開度においては、バルブ本体4内を流れる流体に対する流量特性窓7bの開き量に応じた量の流体が流れる。
【0011】
図16(a)に全開状態とされている時のボールバルブ1の要部の平面断面図を、図16(b)に中間開度状態とされている時のボールバルブ1の要部の平面断面図を、図16(c)に全閉状態とされている時のボールバルブ1の要部の平面断面図を示す。
【0012】
図16(a)に示した全開状態において、貫通流路7の上流側の開口部7aと下流側の開口部(流量特性窓)7bはシートリング8−1,8−2内にそれぞれ位置し、流体2をバルブ本体4の上流側流路3aから下流側流路3bに流している。連通路12の開口部12aはボールキャビティ13内に位置している。
【0013】
図16(b)に示した中間の開度状態において、貫通流路7の上流側の開口部7aは、回転方向側の端部がシートリング8−1の外側に退出してボールキャビティ13内に移動するため、上流側流路3aに連通する開口部分の断面積が減少する。一方、中間開度にすると、連通路12の開口部12aの回転方向側端部がシートリング8−1内に移動して上流側流路3aに連通するので、上流側流路3aから弁プラグ5内に流入する流体2の流量は全開状態から中間開度に切り替えて絞られても大きく減少することはない。
【0014】
また、中間開度にすると、下流側の開口部(流量特性窓)7bは、スリットS1〜S4の高開度側端部Q2 がシートリング8−2の外側に移動してボールキャビティ13内に移動し、低開度側端部Q1がシートリング8−2内に移動する。このため、下流側の開口部(流量特性窓)7bが絞られて、下流側流路3bに連通する開口部分の断面積が減少する。
【0015】
図16(c)に示した全閉状態では、貫通流路7が上流側流路3aおよび下流側流路3bと直交し、上流側の開口部7aと下流側の開口部(流量特性窓)7bがシートリング8−1,8−2の外側に完全に退出し、弁プラグ5の側壁5bがシートリング8−2を塞ぐ。これによって、上流側流路3aから下流側流路3bへの流体2の流れが遮断される。
【0016】
このように構成されたボールバルブ1は工場で生産される。ボールバルブ1の生産に際しては、弁軸6の先端に固定された弁プラグ5を弁プラグ部品14とし、すなわち弁プラグ5の凹部9に弁軸6の下端6aを嵌合固定して一体化した部品を弁プラグ部品14とし、この弁プラグ部品14をバルブ本体4に組み込むことによって、ボールバルブ1が組み立てられる。このボールバルブ1の組み立ては、弁プラグ部品14をバルブ組立ラインに次々に投入することにより、流れ作業で行われる。
【0017】
なお、図13に示したボールバルブ1では、弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aに円形の開口部12aが形成された弁プラグ部品14をバルブ本体4に組み込んでいるが、工場では多品種少量の生産を行うため、バルブ本体4と弁プラグ部品14との組み合わせは他種多様となる。
【0018】
例えば、図17に示すように、弁プラグ5の上流側の開口部7aと連通路12の開口部12aとの仕切壁を切除し、両開口部を連通させるようにしたものもある。本明細書では、このような仕切壁を切除し、両開口部を連通させるようにしたタイプの弁プラグもボールバルブと呼ぶ。また、図18(a)〜(d)に示すように、弁プラグ5の流量特性窓7bの形状を異ならせたものもある。また、図13に示した例では、弁プラグ5は弁軸6側のみが軸支され、弁プラグ5の底面5B側は軸支されてないが、すなわちフローティング型とされているが、弁プラグ5の底面5B側も軸支されているタイプ(トラニオン型)もある。トラニオン型では、弁プラグ5の底面5Bに軸が設けられたり(例えば、特許文献2参照)、弁プラグ5の底面5Bに軸受部が設けられたりする。
【0019】
従来においては、このような弁プラグ部品14のタイプの違いに対し、弁プラグ部品14をバルブ本体4に組み付ける際、弁プラグ5に鋳出しなどによって形成された識別子や弁軸6に塗布された識別色、弁プラグ5の形状などを目視にて確認して、各機種ごとの部品誤組み付けを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−14280号公報
【特許文献2】特開平7−190210号公報
【特許文献3】特公平6−48069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、目視による確認では、確認ミスなどのヒューマンエラーにより、誤組付けを生じる可能性がある。また、弁軸に識別色を塗布しているが、その塗布ミスが発生した場合も、誤組付けの要因となる。
【0022】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ヒューマンエラーの発生要因を排除し、弁プラグ部品の誤組付けを防止することが可能な弁プラグ判別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために本発明は、バルブ本体内の流路を流れる流体の流量を調節する弁プラグを備えた弁プラグ部品の種別を判別する弁プラグ判別装置であって、これから組み立てを行うバルブの機種コードを読み取る機種コード読取部と、これから組み立てを行うバルブのバルブ本体に組み込もうとする弁プラグ部品を判別対象の弁プラグ部品とし、この判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状を撮像する撮像部と、機種コード読取部によって読み取られた機種コードによって特定されるバルブ本体に組み込まれるべき弁プラグ部品を正当な弁プラグ部品とし、撮像部によって撮像された判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状とこの特徴的な形状に対応する正当な弁プラグ部品の特徴的な形状とを比較し、その比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別する判別部と、判別部によって判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であると判別された場合、機種コード読取部によって読み取られたバルブの機種コードを発行する機種コード発行部とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明では、バーコードリーダなどの機種コード読取部によって、これから組み立てを行うバルブの機種コードを読み取る。そして、そのバルブのバルブ本体に組み込もうとする弁プラグ部品を判別対象の弁プラグ部品とし、この判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状を撮像する。そして、機種コード読取部によって読み取られた機種コードによって特定されるバルブ本体に組み込まれるべき弁プラグ部品を正当な弁プラグ部品とし、撮像された判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状とこの特徴的な形状に対応する正当な弁プラグ部品の特徴的な形状とを比較し、その比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別する。
【0025】
ここで、判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であると判別された場合、機種コード読取部によって読み取られたバルブの機種コードが発行される。例えば、本発明において、この発行された機種コードを判別対象の弁プラグ部品に付加するようにすれば、この弁プラグ部品をバルブ本体に組み込む際、その付加された機種コードを読み取ることによって、その弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であることを確認することができ、ヒューマンエラーの発生要因を排除し、弁プラグ部品の誤組付けを防止することが可能となる。
【0026】
本発明において、さらに、判別部における判別結果を表示する表示部を設けたり、撮像部によって撮像される判別対象の弁プラグ部品を定位置に位置決めする位置決め部を設けたりしてもよい。
【0027】
また、本発明において、弁プラグ部品の特徴的な形状としては、弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状、弁プラグの底面の形状(例えば、軸受部品の有無(後述))、弁プラグの流量特性部の全開側の側面の形状(例えば、全開側の壁の形状(後述))などが挙げられる。
【0028】
例えば、本発明において、弁プラグ部品の第1の特徴的な形状として弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状を撮像する第1のカメラと、弁プラグ部品の第2の特徴的な形状として弁プラグの底面の形状を撮像する第2のカメラとを設け、第1のカメラが撮像した弁プラグ部品の第1の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第1の特徴的な形状とを比較して第1の比較結果を取得し、第2のカメラが撮像した弁プラグ部品の第2の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第2の特徴的な形状とを比較して第2の比較結果を取得し、この取得した第1および第2の比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別するようにすることが考えられる。
【0029】
また、本発明において、弁プラグ部品の第1の特徴的な形状として弁プラグの動作量と流量との関係を定める流量特性部の形状を撮像する第1のカメラと、弁プラグ部品の第2の特徴的な形状として弁プラグの底面の形状を撮像する第2のカメラと、弁プラグ部品の第3の特徴的な形状として弁プラグの流量特性部の全開側の側面の形状を撮像する第3のカメラとを設け、第1のカメラが撮像した弁プラグ部品の第1の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第1の特徴的な形状とを比較して第1の比較結果を取得し、第2のカメラが撮像した弁プラグ部品の第2の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第2の特徴的な形状とを比較して第2の比較結果を取得し、第3のカメラが撮像した弁プラグ部品の第3の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第3の特徴的な形状とを比較して第3の比較結果を取得し、この取得した第1、第2および第3の比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別するようにすることが考えられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、これから組み立てを行うバルブの機種コードを読み取る機種コード読取部と、これから組み立てを行うバルブのバルブ本体に組み込もうとする弁プラグ部品を判別対象の弁プラグ部品とし、この判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状を撮像する撮像部とを設け、機種コード読取部によって読み取られた機種コードによって特定されるバルブ本体に組み込まれるべき弁プラグ部品を正当な弁プラグ部品とし、撮像部によって撮像された判別対象の弁プラグ部品の特徴的な形状とこの特徴的な形状に対応する正当な弁プラグ部品の特徴的な形状とを比較し、その比較結果から判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であるか否かを判別するようにし、判別対象の弁プラグ部品が正当な弁プラグ部品であると判別された場合、機種コード読取部によって読み取られたバルブの機種コードを発行するようにしたので、その発行された機種コードを判別対象の弁プラグ部品に付加するなどして、ヒューマンエラーの発生要因を排除し、弁プラグ部品の誤組付けを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係るプラグ判別装置の一実施の形態の全体構成を示す図である。
図2】このプラグ判別装置における位置決め部の構成を示す図である。
図3】位置決め治具への判別対象の弁プラグ部品のセット状態を示す斜視図である。
図4】位置決め部の内部にセットされる判別対象の弁プラグ品に対して設けられる第1〜第3のカメラの配置を示す図である。
図5】判別対象の弁プラグ部品の形状の一例を示す図である。
図6】判別対象の弁プラグ部品の形状の別の例を示す図である。
図7】処理部の内部構成の概略を示す図である。
図8】処理部のCPUが実行する処理動作を説明するためのフローチャートである。
図9】バルブ組み立ての流れ図である。
図10図8に示したフローチャートの変形例を示す図である。
図11図8に示したフローチャートの変形例を示す図である。
図12】直動弁に組み込まれる弁プラグ部品の弁プラグの輪郭を流量特性部の形状として撮像するようにした例を示す図である。
図13】特許文献1に開示されたボールバルブの要部を示す図(全開時の断面図)である。
図14】このボールバルブに用いられている弁プラグを貫通流路の下流側から見た斜視図である。
図15】このボールバルブの全閉時の断面図である。
図16】このボールバルブの全開状態、中間開度状態および全閉状態とされている時の要部の平面断面図である。
図17】特許文献1に開示されている弁プラグの他の例を示す図である。
図18】特許文献1に開示されている弁プラグの流量特性窓の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るプラグ判別装置の一実施の形態の全体構成を示す図である。
【0033】
図1において、101は機種コード読取部、102は位置決め部、103は各種位置決め治具収納部、104は処理部、105は表示部、106は機種コード発行部、107は箱状に骨組みされた筐体である。
【0034】
この弁プラグ判別装置100において、機種コード読取部101はバーコードリーダとされている。処理部104は、コンピュータによって構成された処理装置として、筐体107の下部に設けられた収容室108に設けられている。収容室108の前面には扉109,109が設けられている。
【0035】
表示部105は、複数の液晶のディスプレイ(LCD( Liquid Crystal Display))部D1,D2からなり、筐体107の上部に設けられている。機種コード発行部106は、ラベル印刷用のプリンタとされ、表示部105とともに筐体107の上部に設けられている。
【0036】
位置決め部102は、図2に示すように、位置決め治具110と、スライド機構111と、位置検出センサ112とで構成されている。図2(a)は、位置決め治具110を位置決め部102の内部にセットする前の状態(位置決め前の状態)を示し、図2(b)は、位置決め治具110を位置決め部102の内部にセットした状態(位置決め後の状態)を示していている。
【0037】
位置決め治具110には判別対象の弁プラグ部品14がセットされる。図3に位置決め治具110における判別対象の弁プラグ部品14のセット状態を示す。位置決め治具110には、弁プラグ部品14の弁軸6の上端6bを受ける第1の部品受部110aと、弁プラグ部品14の弁プラグ5の弁軸6との連結部5cを受ける第2の部品受部110bとが設けられており、この部品受部110aおよび110bの切欠溝110a1,110b1に落とし込むようにして、判別対象の弁プラグ部品14をセットしている。
【0038】
この位置決め治具110へのセット状態において、判別対象の弁プラグ部品14の弁軸6を中心とする回転角度位置(弁プラグ部品14の姿勢)は、部品受部110aおよび110bの切欠溝110a1,110b1と弁軸6の上端6bおよび弁プラグ5の弁軸6との連結部5cとの係合によって、所定の回転角度位置に保持さた状態とされる。
【0039】
位置決め部102においては、判別対象の弁プラグ部品14を位置決め治具110にセットした状態で、この位置決め治具110をスライド機構111の入口側に差し込み(図2(a)参照)、この差し込んだ位置決め治具110をスライド機構111に案内させながら、最後まで押し込むようにする(図2(b)参照)。これによって、位置決め治具110が位置決め部102の内部にセットされ、判別対象の弁プラグ部品14が定位置に位置決めされる。この判別対象の弁プラグ部品14が定位置に位置決めされた状態は位置検出センサ112によって検出される。
【0040】
図5に判別対象の弁プラグ部品14の形状を例示する。図5(a)は判別対象の弁プラグ部品14を弁プラグ5の流量特性窓7b側から見た図(正面図)であり、図5(b)は判別対象の弁プラグ部品14を弁プラグ5の連通路12側から見た図(側面図)、図5(c)は判別対象の弁プラグ部品14を弁プラグ5の底面5B側から見た図(底面図)である。
【0041】
この例において、弁プラグ5の流量特性窓7bは、低開度側(全閉側)が細く、高開度側(全開側)に向けて広がる1つの開口とされている。また、この例において、弁プラグ5の底面5Bには貫通孔5gが形成されており、この貫通孔5gにリング状の軸受部品5fが組み付けられている。すなわち、弁プラグ5の底面5Bが軸支されるトラニオン型とされている。また、この例において、弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aには、図5(b)に示されるように、幅広の壁が全開側の壁5dとして形成されている。
【0042】
なお、図5(b)において、5eは弁プラグ5の側壁5bに設けられた円形の窪み部であり、開口ではない。また、この弁プラグ5は、図17に示された弁プラグ5と同様、上流側の開口部7aと連通路12の開口部12aとの仕切壁を切除し、両開口部を連通させたタイプとされている。全開側の壁5dは連通路12の開口部12aに対して張り出すような形で形成されている。この全開側の壁5dは、流体が直接バルブ本体に直撃するのを防止(エロージョン防止)する役割を果たす。
【0043】
また、図5には判別対象の弁プラグ部品14の形状の一例を示したが、判別対象の弁プラグ部品14の形状や大きさは多種多様である。図6に判別対象の弁プラグ部品14の形状の別の例を示す。
【0044】
図6に示した判別対象の弁プラグ部品14(14B)では、図5に示した判別対象の弁プラグ部品14(14A)に対し、流量特性窓7bの形状が異なっており、また全開側の壁5dの幅が狭くされている。また、図5に示した判別対象の弁プラグ部品14(14A)では、弁プラグ5の底面5Bに軸受部品5fが設けられているのに対し、図6に示した判別対象の弁プラグ部品14(14B)では、弁プラグ5の底面5Bには軸受部品5fが設けられておらず、弁プラグ5の底面5Bに設けられた貫通孔5gの内周面が軸受面とされている。すなわち、貫通孔5gが軸受孔とされている。
【0045】
また、判別対象の弁プラグ部品14の形状として、弁プラグ5を図14図17に示したようなタイプとしたもの、流量特性窓7bの形状を図15図18(a)〜(d)に示したタイプとしたものなども挙げられる。このように、判別対象の弁プラグ部品14の形状は、多種多様である。
【0046】
図1に示した弁プラグ判別装置100において、各種位置決め治具収納部103には、このような多種多様の判別対象の弁プラグ部品14に対応することができるように、各種の位置決め治具110が収納されている。
【0047】
また、位置決め部102には、図4に示されるように、位置決め部102の内部にセットされる判別対象の弁プラグ部品14に対して、第1のカメラ113と第2のカメラ114と第3のカメラ115とが撮像部116として設けられている。
【0048】
第1のカメラ113は、判別対象の弁プラグ部品14の第1の特徴的な形状として流量特性窓7bの形状を撮像する。第2のカメラ114は、判別対象の弁プラグ部品14の第2の特徴的な形状として弁プラグ5の底面5Bの形状を撮像する。第3のカメラ115は、判別対象の弁プラグ部品14の第3の特徴的な形状として弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aの形状を撮像する。
【0049】
処理部104は、図7にその内部構成の概略を示すように、CPU(Central Processing Unit)104−1と、RAM(Random Access Memory)104−2と、ROM(Read Only Memory)104−3と、ハードディスクなどの記憶装置104−4などを備えている。CPU104−1は、RAM104−2や記憶装置104−4にアクセスしながら、ROM104−3に格納されたプログラムに従って動作する。
【0050】
この処理部104において、ROM104−3には、本実施の形態特有のプログラムとして、弁プラグ部品の種別を判別する弁プラグ判別プログラムが格納されている。
【0051】
また、記憶装置104−4には、各種のバルブの機種コード(組立機種コード)とそのバルブのバルブ本体に組み込まれるべき正当な弁プラグ部品との対応関係を示す機種コード−弁プラグ部品対応テーブルTB1と、各種の弁プラグ部品とその弁プラグ部品の特徴データとの対応関係を示す弁プラグ部品−特徴データ対応テーブルTB2とが格納されている。
【0052】
なお、この実施の形態において、弁プラグ部品の特徴データとしては、弁プラグの流量特性窓の形状を示すデータが第1の特徴データとして、弁プラグの底面の形状を示すデータが第2の特徴データとして、弁プラグの流量特性窓の全開側の側面の形状を示すデータが第3の特徴データとして、弁プラグ部品−特徴データ対応テーブルTB2に各種の弁プラグ部品に対応づけて書き込まれている。
【0053】
以下、図8に示すフローチャートを参照して、また図9に示すバルブ組み立ての流れ図を参照して、ROM104−3に格納されている弁プラグ判別プログラムに従ってCPU104−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
【0054】
先ず、作業者は、機種コード読取部(バーコードリーダ)101を生産指図書にかざし(図9(a)参照)、これから組み立てを行おうとするボールバルブの機種コード(組立機種コード)を読み取らせる(ステップS101)。この機種コード読取部101によって読み取られたボールバルブの機種コードは処理部104へ送られる(図9(b)参照)。
【0055】
処理部104において、CPU104−1は、機種コード読取部101から送られてくるボールバルブの機種コードを認識し、記憶装置104−4に格納されている機種コード−弁プラグ部品対応テーブルTB1を参照として、これから組み立てを行おうとするボールバルブのバルブ本体に組み込まれるべき正当な弁プラグ部品を特定する(ステップS102)。
【0056】
次に、作業者は、これから組み立てを行うボールバルブのバルブ本体に組み込もうとする弁プラグ部品14を判別対象の弁プラグ部品とし、すなわちバルブ組立ラインに投入しようとする弁プラグ部品14を判別対象の弁プラグ部品とし、この判別対象の弁プラグ部品14を位置決め治具110にセットする(図9(c)参照、図3参照)。
【0057】
この際、判別対象の弁プラグ部品14をセットする位置決め治具110は、各種位置決め治具収納部103に収容されている位置決め治具110の中から適当なものを選ぶ。また、位置決め治具110へのセット状態において、判別対象の弁プラグ部品14の弁軸6を中心とする回転角度位置(弁プラグ部品14の姿勢)は、所定の回転角度位置に保持された状態とされる。
【0058】
作業者は、判別対象の弁プラグ部品14を位置決め治具110にセットした状態で、この位置決め治具110をスライド機構111の入口側に差し込み(図2(a)参照)、この差し込んだ位置決め治具110をスライド機構111に案内させながら、最後まで押し込む(図2(b)参照)。これによって、位置決め治具110が位置決め部102の内部にセットされ、判別対象の弁プラグ部品14が定位置に位置決めされる。
【0059】
CPU104−1は、判別対象の弁プラグ部品14が定位置に位置決めされたことを位置検出センサ112からの検出信号によって確認すると(ステップS103のYES)、撮像部116に撮像指令を送る(ステップS104)。
【0060】
これにより、判別対象の弁プラグ部品14の弁プラグ5の流量特性窓7bの形状が第1の特徴的な形状として第1のカメラ113によって撮像され、判別対象の弁プラグ部品14の弁プラグ5の底面5Bの形状が第2の特徴的な形状として第2のカメラ114によって撮像され、判別対象の弁プラグ部品14の弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aの形状が第3の特徴的な形状としてカメラ115によって撮像される(図9(d)参照、図4参照)。
【0061】
次に、CPU104−1は、記憶装置104−4に格納されている弁プラグ部品−特徴データ対応テーブルTB2から、ステップS102で特定した正当な弁プラグ部品に対応する第1の特徴データ(弁プラグの流量特性窓の形状を示すデータ)を読み出し、この読み出した第1の特徴データと第1のカメラ113によって撮像された第1の特徴的な形状(弁プラグ5の流量特性窓7bの形状)とをパターンマッチングによって判別する(ステップS105)。
【0062】
ここで、第1の特徴データ(弁プラグの流量特性窓の形状を示すデータ)と撮像された第1の特徴的な形状(弁プラグ5の流量特性窓7bの形状)とが一致していれば(ステップS105のYES)、すなわち第1のカメラ113が撮像した弁プラグ部品14の第1の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第1の特徴的な形状とが一致するという比較結果(第1の比較結果)が取得されば、CPU104−1は、記憶装置104−4に格納されている弁プラグ部品−特徴データ対応テーブルTB2から、ステップS102で特定した正当な弁プラグ部品に対応する第2の特徴データ(弁プラグの底面の形状を示すデータ)を読み出し、この読み出した第2の特徴データと第2のカメラ114によって撮像された第2の特徴的な形状(弁プラグ5の底面5Bの形状)とをパターンマッチングによって判別する(ステップS106)。この例では、弁プラグ5の底面5Bに軸受部品(図5に示す軸受部品5f)が有るか無いかを判別する。
【0063】
ここで、第2の特徴データ(弁プラグの底面の形状を示すデータ)と撮像された第2の特徴的な形状(弁プラグ5の底面5Bの形状)とが一致していれば(ステップS106のYES)、すなわち第2のカメラ114が撮像した弁プラグ部品14の第2の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第2の特徴的な形状とが一致するという比較結果(第2の比較結果)が取得されば、CPU104−1は、記憶装置104−4に格納されている弁プラグ部品−特徴データ対応テーブルTB2から、ステップS102で特定した正当な弁プラグ部品に対応する第3の特徴データ(弁プラグの流量特性窓の全開側の側面の形状を示すデータ)を読み出し、この読み出した第3の特徴データと第3のカメラ115によって撮像された第3の特徴的な形状(弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aの形状)とをパターンマッチングによって判別する(ステップS107)。この例では、全開側の壁(図5に示す全開側の壁5d)の形状を判別する。
【0064】
ここで、第3の特徴データ(弁プラグの流量特性窓の全開側の側面の形状を示すデータ)と撮像された第3の特徴的な形状(弁プラグ5の流量特性窓7bの全開側の側面5Aの形状)とが一致していれば(ステップS107のYES)、すなわち第3のカメラ115が撮像した弁プラグ部品14の第3の特徴的な形状と正当な弁プラグ部品の第3の特徴的な形状とが一致するという比較結果(第3の比較結果)が取得されば、CPU104−1は、位置決め治具110にセットされている判別対象の弁プラグ部品14を正当な弁プラグ部品であると判断する(ステップS108、図9(e)参照)。すなわち、これから組み立てを行うボールバルブのバルブ本体に組み込まれるべき正当な弁プラグ部品であると判断する。
【0065】
そして、CPU104−1は、その旨を表示部105に表示するとともに(ステップS109)、機種コード発行部(ラベル印刷用のプリンタ)106に機種コードの出力指令を送る(ステップS110)。
【0066】
この指令を受けて、機種コード発行部106は、図9(f),(g)に示すように、ステップS101で読み取った機種コードが印刷されたコードラベル117を、すなわちこれから組み立てを行おうとするボールバルブの機種コードが印刷されたコードラベル117をプリントアウトする(発行する)。
【0067】
このコードラベル117には、図9(g)に示すように、バルブ単品コード(機種コード)#1、バルブ単品コードと行先コードと製造情報をコード化したデータマトリックス#2、製造日,時刻などの製造情報#3が印刷される。
【0068】
作業者は、コードラベル117が発行されると、位置決め治具110にセットされている判別対象の弁プラグ部品14を取り出し、この取り出した弁プラグ部品14の弁軸6の上面(ステム上面)に、発行されたコードラベル117を貼り付ける(図9(h))。そして、このコードラベル117を貼り付けた弁プラグ部品14をバルブ組立ラインに投入する。
【0069】
これにより、弁プラグ部品14をバルブ本体4に組み込む際(図9(i)参照)、このコードラベル117に印刷された機種コードを読み取ることによって、これから組み立てようとするボールバルブ1のバルブ本体4に組み込むべき正当な弁プラグ部品であるか否かを確認することができ、ヒューマンエラーの発生要因を排除し、弁プラグ部品14の誤組付けを防止することができるようになる。
【0070】
なお、ステップS105,S106,S107の判別は、図7にCPU104−1の機能ブロックとして明示した判別部118で行われる。また、このステップS105,S106,S107での判別において、1つでも不一致と判定されれば、CPU104−1は、表示部105にその旨を表示する(ステップS111)。
【0071】
表示部105に不一致という判定結果が表示された場合、作業者は、位置決め部102からセットされている弁プラグ部品14を取り出し、別の判別対象の弁プラグ部品14をセットする。CPU104−1は、別の判別対象の弁プラグ部品14がセットされたことを確認すると(ステップS103のYES)、上述と同様にして、ステップS104以下の処理動作を繰り返す。
【0072】
なお、正当な弁プラグ部品であるか否かの判別は、弁プラグ部品14の一つひとつに対して行うようにしてもよいが、ロット毎にその先頭の弁プラグ部品14だけに対して行うようにしてもよい。ロット毎に行うようにした場合、その先頭の弁プラグ部品14に対して正当な弁プラグ部品であると判定すれば、そのロット全ての弁プラグ部品14に対して正当な弁プラグ部品であると判断する。この場合、例えば、コードラベル117をまとめてプリントアウトするようにし、そのプリントアウトしたコードラベル117を個々の弁プラグ部品14に貼り付けるようにする。
【0073】
また、上述した実施の形態では、正当な弁プラグ部品であるか否かの判別を3つの特徴的な形状によって行うようにしたが、必ずしも3つの特徴的な形状を全て組み合わせなくてもよく、その何れか2つを組み合わせて行うようにしてもよい。また、その何れか1つのみによって行うようにしてもよい。
【0074】
例えば、図10図8に対応するフローチャートを示すように、ステップS107での第3の特徴的な形状(弁プラグの流量特性窓の全開側の側面の形状)による判別を省略し、ステップS105での第1の特徴的な形状(弁プラグの流量特性窓の形状)とステップS106での第2の特徴的な形状(弁プラグの底面の形状)とによる判別としてもよい。
【0075】
また、図11図8に対応するフローチャートを示すように、ステップS106での第2の特徴的な形状(弁プラグの底面の形状)およびステップS107での第3の特徴的な形状(弁プラグ5の量特性窓7bの全開側の側面の形状)による判別を省略し、ステップS105での第1の特徴的な形状(弁プラグ5の流量特性窓7bの形状)による判別のみとしてもよい。
【0076】
また、判別する順番も、図8に示したフローチャートの順番に限られるものではない。例えば、ステップS105での第1の特徴的な形状による判別を行った後、ステップS107での第3の特徴的な形状による判別を行うようにしてもよく、ステップS105での第1の特徴的な形状による判別を行う前に、ステップS106での第2の特徴的な形状による判別を行うようにするなどしてもよい。
【0077】
また、上述した実施の形態では、ステップS106での第2の特徴的な形状による判別において、トラニオン型の弁プラグを判別対象とすることを前提として、弁プラグの底面に軸受部品が有るか無いかを判別するものとしたが、トラニオン型の弁プラグでは、弁プラグの底面で軸を受けるのではなく、弁プラグの底面に軸を設けてバルブ本体側の軸受で受けるタイプのものもある。また、フローティング型の弁プラグでは、弁プラグの底面には軸受部品も軸受孔も軸も設けられていない。このような形式の弁プラグも含めるものとした場合、弁プラグの底面に軸受部品が有るのか無いのか(軸受部品が有るのか、軸受孔だけであるのか)、軸が設けられているのか、あるいは軸受部品も軸受孔も軸も設けられていないのかを判別するようにする。
【0078】
また、上述した実施の形態では、撮像部116として3つのカメラ113,114,115を設けるようにしたが、例えばカメラ113に自動または手動の位置決めスライド機構を設けて、カメラ113をカメラ114,115の位置に移動させるようにし、カメラ114,115を省略してカメラ113のみで、第1の特徴的な形状だけではなく、第2,第3の特徴的な形状も撮像するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した実施の形態では、判別対象の弁プラグ部品14の特徴的な形状として弁プラグ5の第1,第2,第3の特徴的な形状に着目したが、弁プラグ5の特徴的な形状はこのような形状に限られるものではない。例えば、弁プラグに対して流量特性部を別体として設けるようなタイプもあり、このようなタイプでは弁プラグには流量特性部が設けられておらず、これもその弁プラグの特徴的な形状と言える。
【0080】
また、弁プラグ5の形状のみに着目するのではなく、弁プラグ部品14の全体の形状に着目し、弁プラグ部品14の全体の形状を正当な弁プラグ部品の全体の形状と比較し、類似度によって判別するなどとしてもよい。また、正当な弁プラグ部品であるか否かの判別は、パターンマッチングや類似度による方法に限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態では、ボールバルブを例にとって説明したが、直動弁など他の種類のバルブでも同様にして、そのバルブに組み込まれる弁プラグ部品の種別を判別することが可能である。
【0082】
例えば、図12に示すように、直動弁に組み込まれる弁プラグ部品14(14C)では、弁プラグ5の輪郭によってその弁プラグ5の動作量と流量との関係が定まる。この弁プラグ5の輪郭を流量特性部の形状として、カメラ113で撮像することにより、弁プラグ部品14Cの種別を判別することが可能である。
【0083】
また、直動弁に組み込まれる弁プラグ部品では、縦長タイプの弁プラグや横長タイプの弁プラグなどがあり(例えば、特許文献3参照)、このような弁プラグの形状の違いに着目することによって、その弁プラグ部品の種別を判別することも可能である。
【0084】
このように、直動弁に組み込まれる弁プラグ部品においても、その弁プラグの特徴的な形状は種々考えられる。また、直動弁に組み込まれる弁プラグ部品においても、弁プラグ部品全体の形状を正当な弁プラグ部品の全体の形状と比較し、類似度などによって判別するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0085】
また、本発明において、弁プラグ部品は、ボールバルブ(回転弁)や直動弁に用いられる弁プラグ部品に限られるものではなく、他のタイプの弁(バルブ)に用いられる弁プラグ部品に対しても同様にしてその種別を判別することが可能である。
【0086】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0087】
1…ボールバルブ、2…流体、3…流路、4…バルブ本体、5…弁プラグ、5a,5b…側壁、5d…全開側の壁、5f…軸受部品、5A…側面、5B…底面、6…弁軸、7…貫通流路、7a…上流側の開口部、7b…下流側の開口部(流量特性窓)、Q1…低開度側の端部(全閉側の端部)、Q2…高開度側の端部(全開側の端部)、14…弁プラグ部品、100…弁プラグ判別装置、101…機種コード読取部、102…位置決め部、104…処理部、104−1…CP、104−2…RAM、104−3…RAM、104−4…記憶装置、TB1…機種コード−弁プラグ部品対応テーブル、TB2…弁プラグ部品−特徴データ対応テーブル、105…表示部、106…機種コード発行部、113…第1のカメラ、114…第2のカメラ、115…第3のカメラ、116…撮像部、117…コードラベル、118…判別部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18