特許第6383351号(P6383351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6383351下肢装具用のヒューマンマシンインターフェース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6383351
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】下肢装具用のヒューマンマシンインターフェース
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20180820BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20180820BHJP
   A61F 2/70 20060101ALI20180820BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61H3/00 B
   A61H1/02 R
   A61F2/70
   B25J11/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-501928(P2015-501928)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2015-512287(P2015-512287A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013033472
(87)【国際公開番号】WO2013142777
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/614,255
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/615,584
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514238043
【氏名又は名称】エクソ・バイオニクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ストラウッサー,キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】ゾス,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ストライカー,ジェームズ・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】アムンゾン,カート・リード
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148637(JP,A)
【文献】 特開2010−148759(JP,A)
【文献】 特開2009−297163(JP,A)
【文献】 特開2010−142558(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/084387(WO,A1)
【文献】 特開2004−329520(JP,A)
【文献】 特表2011−525117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクソスケルトンを備える動力下肢装具を制御する方法であって、前記エクソスケルトンは、人の上半身に対して結合されるように構成可能な腰部部分と、前記人の第1の下肢に対して結合されるように構成可能な少なくとも1つの脚部サポートと、前記人の前記第1の下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記少なくとも1つの脚部サポートを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、前記エクソスケルトンをモニタリングするための複数のセンサと、前記複数のセンサから信号を受け取り、前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するように構成されたコントローラと、を備える、方法であって、
前記複数のセンサが前記エクソスケルトンの第1の配向および前記人の第2の下肢の第2の配向をモニタリングするステップと、
前記コントローラが、前記第1の配向および前記第2の配向に基づき、有限な複数の状態から前記エクソスケルトンの現在の状態を確立するステップと、
前記コントローラが、前記現在の状態に基づき前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップと、を含み、
前記脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結された脛部セグメントとを備え、
記方法は、前記コントローラが、重力に対する前記脛部セグメントの角度を推定するステップをさらに含み、前記第1の配向は、前記脛部セグメントの重力に対する前記角度を備え
前記方法は、
(1)前記コントローラが、重力に対する前記脛部セグメントの絶対角を矢状面における前方成分および冠状面における側方成分へと分解するステップと、前記前方成分が少なくとも矢状しきい値を超過し、前記側方成分が少なくとも冠状しきい値を超過する場合に、前記コントローラが、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する遊脚状態におくステップと、をさらに含む、或いは、
(2)重力に対する前記脛部セグメントの前記角度が少なくともしきい値を超過する場合に、前記コントローラが、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する遊脚状態におくステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された前記大腿部セグメントの近位端部と、前記脛部セグメントの遠位端部とを備え、前記方法は、前記コントローラが前記少なくとも1つの脚部サポートの前記近位端部から前記遠位端部までの前方距離および側方距離を推定するステップをさらに含み、前記第1の配向は、更に、前記近位端部から前記遠位端部までの前記前方距離および前記側方距離を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記コントローラが、前記脛部セグメントの地形に対する角度を推定するステップをさらに含み、前記第1の配向は、前記脛部セグメントの前記地形に対する前記角度を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脛部セグメントに対して結合された慣性測定装置重力に対する前記脛部セグメントの絶対角を測定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記動力下肢装具を、ステップを踏むことに相当する遊脚状態におく際に、前記コントローラが、前記人に合図を送るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
合図を送る前記ステップは、聴覚音により達成される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
人に対して結合されるように構成された動力下肢装具であって、
前記人の上半身に対して結合されるように構成可能である腰部部分、前記人の第1の下肢に対して結合されるように構成可能である少なくとも1つの脚部サポート、および前記人の前記第1の下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記少なくとも1つの脚部サポートを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータを備える、エクソスケルトンと、
前記エクソスケルトンの第1の配向をモニタリングするための複数のセンサであって、前記センサの中の少なくとも1つが、前記人の第2の下肢の第2の配向をモニタリングするように構成された脚部配向センサである、複数のセンサと、
前記複数のセンサから信号を受け取り、前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するように構成された、コントローラであって、前記第1の配向および前記第2の配向の両方に基づき有限な複数の状態から前記動力下肢装具の現在の状態を確立し、前記現在の状態に基づき前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御する、コントローラと、を備え、
記脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結された脛部セグメントとを備え、前記脚部配向センサは慣性測定装置を含み、前記慣性測定装置は、脛部セグメントに対して結合され、重力に対する前記脛部セグメントの絶対角を測定するように構成され、前記コントローラは、重力に対する前記脛部セグメントの前記絶対角が少なくともしきい値を超過する場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する遊脚状態におく、動力下肢装具。
【請求項8】
前記脚部配向センサは、
(1)前記脛部セグメントと前記大腿部セグメントとの間における角度変位を測定するように構成された、第1の角度変位センサと、
(2)前記大腿部セグメントと前記腰部部分との間における角度変位を測定するように構成された、第2の角度変位センサと、を備える、請求項に記載の動力下肢装具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2012年3月22日に出願された米国特許仮出願第61/614,255号および2012年3月26日に出願された米国特許仮出願第61/615,584号に基づく利益を主張するものである。
【0002】
[0002]動力下肢装具デバイスは、可動性障害を有する人々が歩行を可能にするために医療分野において開発されている。このデバイスは、ユーザがステップを開始することを欲する時を何らかのインテリジェントな方法によって判定しなければならない。現行においては、多くの動力装具デバイスは、ボタン入力を使用するか、または自身の脚部を動かすことが可能なユーザにより開始される動作に倣う。しかし、麻痺を有する人々のエクソスケルトン(外骨格)の場合には、これらの人々は、自立的に動作を開始することができない。さらに、これらの人々の手は、杖、歩行器、または他の支持デバイスを保持していることによって、ボタンを押すことができない場合がある。したがって、自然なユーザの動作を動力装具が行う動作へと翻訳するヒューマンマシンインターフェース(HMI)に対する必要性が存在する。本明細書において開示されるステップ開始およびステップ開始トレーニングの方法は、ステップを安全に開始させつつ、動力装具デバイスのユーザに自立性を与えるために開発された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]本発明は、特にユーザがシステムに自身の意図を伝達または表現するために自身の上半身の身振りをまたは他の合図を利用することにより、下肢装具制御システムが、ユーザの所望する運動を判定し、動力下肢装具構成要素の連続動作を自動調節するための、システムおよび方法に関する。これは、可動性障害を有する人々が、歩行する、および脚部の運動を伴う他の通常の可動性タスクを実行するのを可能にするために実施される。本発明は、自然な人の動作の再現においてヒト用エクソスケルトンの動作の制御を行うことにより対麻痺を有する人の歩行を可能にするための使用に特定的な適用性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明によれば、ユーザが立脚相にある自身の脚部を操作することにより自身の脚部に関する所望の動作を伝達または入力することが可能となる様々な方法が存在する。これらの入力を監視し、所望の動作を判定し、次いでユーザの下肢に対して結合されたエクソスケルトンの作動を介してユーザの脚部の運動を制御するための、制御システムが提供される。いくつかの実施形態は、下腿、特に脛部の角度をモニタリングして、ユーザの所望する運動を判定することを伴う。例えば、脛部の角度、角速度、および絶対位置の変化など、脛部運動の変化が測定される。これらの実施形態は、直感的なものではなく、ユーザの意図が、自身の脚部がエクソスケルトンに対して結合される場合に自身の脚部の動作から判定され得ることは、明白ではない。しかし、操縦者が例えば自身の杖を用いて押圧することによりデバイスを移動させる場合に、この力が特にデバイスの下肢に関して動作をもたらすことになることは、基本構造から明白である。デバイスが剛直である(機構によりまたは能動制御により)他の実施形態においては、これらの力が、下肢において依然として観察され得ると共に、これらの力は、意図を感知するために使用され得る。さらに他の実施形態においては、足部にわたる力の分布の移動を観察することが十分となり得る。例えば、つま先部の力センサと踵部の別の力センサとの比が、かかる情報を提供し得る。さらなる実施形態は、エクソスケルトンの用途に対して独自の適合性を有する新規のセンサシステムのための設計を備える。
【0005】
[0005]一般的には、本明細書においては、システムの現在および過去の状態の経過を追い、種々のルールを用いて所望される新たな状態に関する判定を行うことによって、所望の運動を判定し、動力下肢装具構成要素の連続動作を自動的に調節するシステムが開示される。しかし、本発明のさらなる目的、特徴、および利点が、図面と組み合わせることにより、様々な好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより容易に明らかになろう。類似の参照数字は、複数の図面中において対応するパーツを指す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]エクソスケルトンに対して結合されたハンディキャップを有する人の概略側面図である。
図2】[0007]2つの状態を有する単純なステートマシンの概略図である。
図3】[0008]より多数の状態を有するステートマシンの概略図である。
図4】[0009]脛部の角度配向コンベンションを示す図である。
図5】[0010]片方の脚部を有する一実施形態を示す図である。
図6】[0011]本発明により収集された実験データを示す図である。
図7】[0012]図7aはエクソスケルトン足部の概要を示す概略図である。[0013]図7bは力の分布を伴うエクソスケルトン足部の概要の概略図である。
図8】[0014]危険な条件における脚部を示す図である。
図9a】[0015]ステップを直接的に制御するデバイスユーザを示す図である。
図9b】[0016]ステップを直接的に制御するデバイスオペレータを示す図である。
図10】[0017]圧力中心の移動を伴うエクソスケルトン足部の概要の概略図である。
図11】[0018]弾性ハウジングと連携する、および電子圧力センサを含む、エクソスケルトン足部を示す図である。
図12a】[0019]圧力および力センサの新規の中心を伴うエクソスケルトン足部の概要を示す概略図である。
図12b】[0020]図12aの2つの電極およびそれらの間の感受領域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0021]本発明は、ユーザに歩行動作をもたらす動力装具デバイスとの組合せにおいて使用される。ヒト用エクソスケルトンは、動力装具デバイスの一例である。図1においては、動力下肢装具が示され、これは、この場合においては杖102との組合せにおいて使用し得る、腰部部分または胴部部分210および下肢脚部サポート212を有するエクソスケルトン100である。下肢205を有するユーザ200が図示される。当技術において公知であるように、胴部部分210は、人200の上半身(個別には符号を付されず)に対して結合されるように構成され、脚部サポート212は、人200の下肢205と、アクチュエータとに対して結合されるように構成される。このアクチュエータは、225にて全体的に示されるが、実際には、胴部部分210に対して脚部サポート212を移動することにより人200の下肢205の運動を可能にするために、当技術において広く知られるような様式で、脚部サポート212の部分間に、および脚部サポート212と胴部部分210との間に配置される。いくつかの実施形態においては、エクソスケルトン100は、脚部サポート212を構成する脛部311および大腿部315を備え得る。簡略化のため、脚部212は、典型的には脚部212が胴部部分210に対して連結する位置である胴に近い近位端部と、胴から遠い遠位端部とを有するものを指すことになる。図1は、垂直軸、前方軸、および横軸を有する座標系をさらに備える。本論の中では、主要な解剖学的平面は、これらの同軸を参照とするおよびこれらの同軸に関連して理解されることとなる。
【0008】
矢状面は、横軸105に対して垂直な平面である。
【0009】
冠状面は、前方軸104に対して垂直な平面である。
【0010】
横断面は、垂直軸106に対して垂直な平面である。
【0011】
[0022]また、図1は、エクソスケルトンの配向(orientation)を確立するために使用され得る複数のセンサを示す。ここでは、配向は、6つの全ての空間軸(3つの線形軸および3つの回転軸)におけるエクススケルトンの位置と、線形空間および角空間におけるエクソスケルトンのパーツの相対位置と、場合によってはデバイスのリンク装置同士の間のおよび環境との間における相互作用力とまでが含まれるように理解される。慣性測定装置(IMU)が、脚部サポート212に対して結合され得る。慣性測定装置は、一般的には、加速度計およびジャイロスコープ、ならびに場合によってはさらに磁力計から構成され、多くの近年のセンサにおいては、これらのデバイスは、1つまたは複数のマイクロチップにおいて3つの全ての直交軸における測定を行うMEMS(微小電気機械システム)である。IMUの挙動は、当技術においては十分に理解されており(IMUは、ミサイル誘導からロボット工学、携帯電話、娯楽用玩具に至るまでの用途に使用されている)、典型的には、3つの全ての軸において、重力に対する角度配向の測定、ならびに地面に対する角速度および線形加速度の測定を行う。
【0012】
[0023]N+1個のIMUが、N自由度のデバイス(帯域幅要件による)の挙動を完全に規定するために十分なものとなるが、2つの回転関節部同士の間の相対動作を測定するセンサを使用することがしばしば好都合となる。かかるセンサは、左右の膝関節部250および股関節部245に示され、限定するものではないが、エンコーダ、電位差計、およびLVDTを備える。これらのセンサは、配向を判定するために使用することが、または幾何モデルを介して関節部同士の間の側方距離および垂直距離を判定するために使用することが可能である。さらに、図1は、足部318と、足部と地面(時として支持表面とも呼ばれる)との間に取り付けられた接地センサとを有する、エクソスケルトンを示す。これらのセンサは、エクソスケルトンが、地面と接触状態になる時(歩行立脚相ともしばしば呼ばれる)を理解するのを助けるが、全ての実施形態において必ず必要とされるわけではない。いくつかの実施形態においては、これらの接地センサは、単にバイナリスイッチであってもよく、他の実施形態においては、これらの接地センサは、足部に対して作用する力を分析することが可能な力センサであってもよく、さらに他の実施形態においては、これらの接地センサは、足部にわたる力の分布および力のレベルを分析し得る。
【0013】
[0024]いくつかの実施形態においては、人、エクソスケルトン、またはエクソスケルトンの何らかのパーツの速度を推定することが所望される場合がある。一般的には、速度計および上述のジャイロスコープなどの、速度読取値を直接的に提示するいくつかのタイプのセンサが存在する。また、位置測定値が十分な分析をもたらすか、または結果的に得られる速度測定値の帯域幅が十分な低速である場合には、位置センサ読取値のまたは複数のセンサから推定された位置の変化を直接的に識別することも可能である。局所回転速度が、確定されると、これらの速度は、運動連鎖における次のリンク装置の角速度を導出するために幾何学的に加算され得るか、または、回転の中心となる位置が判明している場合には、線形速度へと分解され得る(例えば、足部が地面上に置かれることが判明している場合には、膝関節部の線形速度は脛部の角速度から導出され得る)。また、リンク装置の角度配向が、重力に対して判明している場合には、この速度は、垂直成分および水平成分へと分解され得る。これらの技術は、当技術において十分に理解されており、ここでは単に参考までに繰り返して述べられる。
【0014】
[0025]本発明は、3つの主要な態様を有する。第1は、ユーザが自身の下肢角度に基づきステップを自立的に開始することが可能となることである。第2は、ステップのタイミングに関するフィードバックを使用時にユーザおよび/またはオペレータに対して与えることである。これらの2つのオプションは、自動的にステップを行いつつ、ユーザに対してフィードバックを個別にまたは同時に与えるために使用され得る。また、第3の態様は、エクソスケルトンを着用する人またはエクソスケルトンにより支援される人に、ステップを手動的に開始すると共に、ステップを踏むことが安全ではない場合にはステップを開始させない安全制限を設ける能力を与えることである。
下肢配向ベースのステップ開始
[0026]歩行用エクソスケルトンの場合には、動作を開始するための方法が、多数の研究の主題となってきた。他の人々により、胴の動作、舌の動作、またはセンサ/身振りに基づくシステムが提案されてきたが、基本原理は、ユーザがステップを踏むおよびそのステップを開始することを所望する時を判定することである。本発明は、ユーザがステップの開始を欲する時、およびユーザがステップを踏み始めるのに安全な位置にある時を判定するために、立脚する脚部の配向を使用する。
【0015】
[0027]ここで、システムの挙動を判定する有限ステートマシンに関連して、制御実装を論じる。コントローラ220のステートマシンは、エクソスケルトン100が2つの状態間で切り替わる時を制御する。この非常に単純なステートマシンは、図2に示され、301は、第1の状態を表し、302は、第2の状態を表し、パス303および304は、これらの状態間における移行を表す。
【0016】
[0028]ステートマシンのさらなる実施形態は、歩行をより多数の状態へと区分するのを可能にする。1つのかかる構成は、図3に示すような2つの両脚部立脚状態の追加を採用する。これらの状態は、405および406にて示され、両足部が地面上にある場合に生じ、2つの状態は、いずれの脚部が前方に位置するかを識別する。さらに、図4に示すようなステートマシンは、杖配向の形態のユーザ入力を追加する。この実施形態においては、右遊脚状態401および左遊脚状態402は、移行407および408によりそれぞれ表されるように、ユーザがステップを踏みたいことを示唆した場合にのみ開始される。重要な点として、左右の脚部は、安全のために状態間で移行するために、他方の脚部の状態をそれらの条件の一部として確認する独立したステートマシンをそれぞれ使用することが可能である点に、留意されたい。これにより、単一のステートマシンと同一の結果が得られることになる。
【0017】
[0029]明確にしておくと、典型的な歩行周期は、以下のステップを含む。状態405において開始すると、ユーザは右脚部により前方に移動し、以下の方法によって移行408を開始する。その後、状態402が開始され、左脚部が前方に遊脚する。左脚部が接地すると、状態406が開始される。状態406時には、マシンは、地面上の両脚部で何らかの動作を行うことにより、前方推進力を保持し得る。次いで、ユーザは、以下の方法により右ステップ407を踏むために移行を示唆する。次いで、マシンは、状態401を開始し、右脚部を前方に遊脚する。右脚部が接地すると、マシンは、状態405になる。このパターンの継続により、結果として前方移動が生ずる。自明ではあるが、類似のステートマシンにより、杖の動作方向を反転させた場合に遊脚時の脚部の動作方向が反転することによって、後方移動が可能となり得る。
【0018】
[0030]ここで、立脚相は、踵接地および初期立脚を包含する状態ならびに後期立脚および踏切りを包含する状態など、2つ以上の状態へと分割され得る点に留意されたい。さらに、これらの各状態は、遊脚全体の一部として、屈曲および伸展などの準状態を有し得る。
【0019】
[0031]ステートマシンと同様に動作するプログラムの使用は、対麻痺を有する人により使用される場合に、デバイスの安全性に関して重要な効果を有する。なぜならば、デバイスが、状態を変更するためにユーザからの適切な入力を待機し、次いで、マシンが有するまたはユーザが要求を試み得る全ての状態の小サブセットである適切な状態への移行のみを行うことによって、ある安全状態から別の安全状態へと進行することが、このプログラムにより確保されるからである。これは、なされ得る可能な状態移行の個数を大幅に削減し、挙動をより確定的なものにする。例えば、システムが、片方の足部を前方に遊脚させる場合には(図3の状態401におけるように)、システムは、他方の足部を上げるように命じる入力を予期するまたは受ける(状態402へと直接的に移動するなど)のではなく、その足部の前方移動を停止させるべき(および405などの両脚部立脚状態へと移行すべき)時を通知する入力を予期している。
【0020】
[0032]いかなる状態からでも、ユーザまたはオペレータは、静止立脚状態へと戻ろうとする所望を示唆することが可能である。これにより、両脚部が真っ直ぐになされ、胴は直立状態に保持される。この状態は、座位への先行形になり得る、または単に休止もしくは復位のために利用され得る。
脛部の角度配向
[0033]所望のステップを確実に示唆するものの1つは、両脚部立脚時の地面に対する前方の脚部の脛部の角度であることが判明した。図4は、脚部サポート脛部311を有するヒト用エクソスケルトン100の脚部サポート212を示す。重力ベクトルに対する脚部サポート脛部の角度は、312にて示される。
【0021】
[0034]脛部角度は、ユーザがステップを踏むことが可能な状態になった時を示す安定的な指標である。したがって、本発明の一実施形態においては、前方の脚部の脚部サポート脛部311が(両脚部立脚時に)十分に前方に傾けられた場合に、これが、ステップを踏む所望を示唆し、動力装具コントローラが、ステップを開始する。地面に対する脚部サポート脛部角度を測定するための多数の方法が存在することが、当業者には気付かれよう。一例は、慣性測定装置(IMU)が中に設置されたエクソスケルトン脛部311である。この場合には、この脚部サポート脛部IMUは、図1に示すセンサ215となり、コントローラ220に対して信号を供給する。脚部サポート脛部角度312が、所定の角度に達すると、コントローラ220は、後続の脚部サポート(すなわち、他方の脚部サポート)による前方ステップを行わせるようにアクチュエータ225に命じる。
【0022】
[0035]図6は、デバイスの熟練オペレータによる手動ステップ開始に対して脛部の角度を比較したデータの一例を示す。このデータからは、脛部角度が、デバイスがステップを開始すべき時を示唆する反復可能な計量値であることが明らかである。
【0023】
[0036]デバイスの脚部が地面に到達する別の実施形態においては、IMUは、使用されず、代わりに角度測定センサが、デバイスの足関節部に配置される。この実施形態においては、角度センサは、エンコーダ、電位差計、または当技術において周知の任意の個数の角度変位センサであることが可能である。この場合に、コントローラは、局所地形に対する脛部の角度を推定するために足関節部角度を利用する。水平に対する地面の平均局所角度は、地形傾斜または地面傾斜としばしば呼ばれる(車いす用の傾斜路などの多くの場合において、この傾斜は表面全体にわたり一定となり得る)。この傾斜がゼロである(すなわち地面が平坦である)場合には、この実施形態は、結果としてIMUベースの実施形態と同一のステップ開始をもたらす。しかし、傾斜が、ゼロではない場合には、コントローラは、この傾斜による足関節部角度測定値の変化を推定および補正することが必要となり得る。いくつかの実施形態においては、傾斜の推定値は、デバイス挙動の修正のためにも使用され得る。この実施形態の一拡張として、デバイスは、足関節部角度が記録される際に足部が平坦であることを判定するために接地センサが使用される場合には、真の脛部角度をさらに良好に推定することができる。
【0024】
[0037]脚部サポート脛部角度を判定する一方法の別の例は、デバイスの別のリンク装置上に設置されたIMUを有すること、およびリンク装置同士の間の関節部角度を測定するセンサを有することである。この場合に、IMUは、IMUが設置されたリンク装置の重力に対する配向を判定するために使用され得る。次いで、脚部サポート脛部角度312が、脛部リンク装置311とIMUを有するリンク装置との間の判明した関節部角度を利用して算定され得る。重力に対する角度を測定するための複数の他の方法(IMUを除く)が、存在し、また使用することが可能である。
【0025】
[0038]ここまで論じた本発明のこの実施形態は、膝の屈曲角度が小さい場合には、最も確実に機能する。第2の実施形態は、ユーザが前方ステップを所望することを示唆していると判定するために、立脚する脚部(両脚部立脚時の前方の脚部)の大腿部の角度のみを考慮する。同様に、人が前方に移動すること、およびステップを踏むことが可能な状態にあることを判定するしきい値が、大腿部角度に対して設定される。
【0026】
[0039]第3の実施形態は、立脚する脚部の股関節部および足関節部により形成されるラインを考慮する。また、この実施形態は、膝の屈曲角度が小さい場合に有用となる。エクソスケルトンは、このラインの角度がしきい値を超過する場合に、ステップを踏むことに相当する状態(例えば図3の右遊脚状態401など)へと移行することになる。同様に、エクソスケルトンコントローラは、股関節部−足関節部ラインを前方成分および側方成分へと分解し、前方成分および側方成分が各しきい値を超過した場合にのみステップを踏む方に移行し得る。
【0027】
[0040]これらの追加的な実施形態は、関節の全地球位置をさらに利用することによりいずれも実現され得る。股関節部位置は、股関節部の前方位置を判定するために計算され得る。膝部の位置は、膝部が前方に位置するか否かを判定するために算出され得る。
【0028】
[0041]これらの実施形態のいずれにおいても、脚部の角度しきい値は、一定の角度により判定され得るか、または歩行速度により決定され得る。これにより、より高速の歩行におけるステップ動作の予測が可能となり、したがってユーザの推進力を考慮することが可能となる。ユーザは、自身の推進力が立脚する脚部により自身を前方へと推進するのに十分な場合に、自身の重量がさらに後方に位置する場合には、ステップを開始することが可能となる。この速度は、地面歩行速度または立脚する脚部の速度に基づき判断され得る。
【0029】
[0042]これらの実施形態のいずれかとの組合せにおいて、または個別に、ユーザの重量の前方移動は、圧力または反力により測定することが可能である。一実施形態においては、足部の下の足部の圧力または地面の反力を測定するセンサを使用して、ユーザの脚部が荷重をかけられている時を判定することもまた可能である。この測定値は、ステップを開始すべき時を判定するために、個別に使用することが可能であり、または前方移動測定値と組み合わせることが可能である。別の実施形態においては、反力は、脚部が重量を支持していることを示唆する立脚する脚部に対する相互作用力として測定され得る。
【0030】
[0043]さらなる一実施形態においては、地面の反力を測定するセンサは、立脚時の足部の下の全ての反力の幾何学中心を分析する。この点は、圧力中心と呼ばれる。コントローラは、この圧力中心を経時的に追跡することにより、圧力中心軌跡を生成し、圧力中心の進行に基づき一連の状態へと立脚相を区分し得る。図7bは、右のエクソスケルトン足部に概略的に描かれた圧力中心位置320を示す。圧力中心は、足部の前方部分および側方部分において領域322に入り込んでいる。コントローラ220が、これが生じていることを示す信号を受け取ると、コントローラは、図3における遊脚状態402へと他方の(左の)脚部を移行することになる。図7aは、足部の内側(inside)および外側(outside)をそれぞれ示唆するために、解剖学的な用語である内側(medial)325および外側(lateral)324の使用を説明する。
【0031】
[0044]さらに他の一実施形態においては、圧力中心の小さな変化に相当する非常に多数の状態を有することが可能であり、ステップを踏んでいる他方の脚部のさらに微細な動作を実現する。この極限においては、ステップを踏んでいる(すなわち遊脚相の開始)脚部の動作が、圧力中心320の各サンプリングに対して1つの状態が事実上存在するような立脚時の脚部の圧力中心の関数となることが可能となる。この実施形態においては、デバイスを着用している人は、杖を使用して自身の重量を前方または後方に押し、したがって、圧力中心を移動させ、ステップを踏んでいる脚部の動作を継続的に制御することが可能となる。
【0032】
[0045]これらの実施形態のいずれかとの組合せにおいて、ステップを単に踏むことを上回る動作が可能になり得る。例えば、エクソスケルトン100を着用している人が、着座した場合に、この人は、杖でまたは椅子を押すことにより立つことを所望するという合図を送ることにより、脛部311の配向が、変化し、立脚に相当する領域に進むことが可能となる。安全対策として、2つの状態を、すなわち、立とうとする人からの合図に注意を傾けるようにコントローラ220に対して命ずるために外部制御デバイスを介して開始される第1の状態と、コントローラが設定しきい値を超過している脛部角度を受け取った場合の立脚に相当する第2の状態とを有することが必要となり得る。
足部ベース方法
[0046]エクソスケルトンの足部に対してかけられる高いせん断力により、既存の足部圧力分布センサが、エクソスケルトンシステムのニーズに対して理想的には適合しなくなることが判明した。これらの実施形態の任意のものと共に使用するのに特に適した新規の足部圧力センサシステム向けに、設計を開発した。図11は、これらの実施形態の中の1つを示し、足部318は、弾性ハウジング706と連携して、電子圧力センサ705を囲む。エクソスケルトン用途のせん断力および衝撃荷重に対するロバスト性をかかるセンサに与えるためには、足部の上側外周部703および下側の外周部704の両方の周囲の実質的に連続的な相互連結接合が、電子圧力センサ705用の空洞部を残しつつ、維持されなければならないことが判明した。この構成においては、弾性ハウジング706の壁部が、足部318内に直接的にせん断力を分散させると共に、電子圧力センサ705を通して足部318中に法線力を伝達する。この構成は、足部318の頂部側および底部側の両圧力分布センサにより、コントローラ125が、人−エクソスケルトン間の相互作用を(センサが人とエクソスケルトン足部318との間に位置する場合)、またはエクソスケルトン−地形間の相互作用を(センサがエクソスケルトン足部318と地面との間に位置する場合)感知することが可能となるため、良好に機能する。
【0033】
[0047]これらの新規の圧力分布センサは、高いロバスト性を有しつつも、その用途による高い力によって発生する応力により較正喪失を被り得る。また、この用途においては、人の脚部およびエクソスケルトン足部318の質量の動的効果が、人、エクソスケルトン、および地形により足部に対して加えられる力と比較した場合に実質的に無視し得る低さのものとなることが判明した。さらなる一実施形態は、3つのセンサ足部318の頂部側および底部側の圧力中心を測定するように構成された2つのかかる新規の圧力分布センサと、足部318と脛部311との間のトルクセンサとを備える。本用途に適したトルクセンサは、足部318と脛部311との間の連結が、マシン設計において一般的に見受けられるタイプのインターフェースであるため、当技術においては周知のものである。これらのセンサは、ひずみゲージおよび既製のロードセルを備え、容易に入手可能であり、十分に理解される。実質的に無視し得る低さの動的効果が無視または補償される場合に、かかる構成により、コントローラ125は、トルクセンサからの情報を利用して圧力分布センサのバイアスを継続的に除去することが可能となることが判明した。
【0034】
[0048]バイアス調節は、3つのソース、すなわち、足関節部軸に対する足部318の底部側の圧力中心位置の距離により測定される地形と、この関節部軸に対する足部318の頂部側の圧力中心からの距離により説明される人と、足部318と脛部311との間の連結におけるトルクセンサにより説明される、足部318と脛部311との間の連結とから、矢状面内における足部318を中心としたトルクの数値を求めることによって達成される。初等力学の教示するところによれば、地形から足部318に対して印加されるトルクは、人から足部318に対して印加されるトルクに、エクソスケルトンから足部318に対して印加されるトルクを加算したもの、すなわちT=T+T(足部の動的効果は、足部の質量が比較的小さいことによりやはり無視される)に等しくなければならない。この実施形態においては、Tは、足部318の底部側の圧力分布センサを使用して測定され、Tは、足部318の頂部側の圧力分布センサを使用して測定され、Tは、足部318と脛部311との間のトルクを利用して測定される。この方程式は、ここでは過剰定義であり、より正確なセンサTを使用してTおよびTからバイアスを除去するための方法が、当業者には容易に得られる。
【0035】
[0049]この技術のさらなる一実施形態は、T、T、およびT用のセンサシステムの中の2つのみの任意の組合せを使用することにより、複雑さを軽減する、または性能の改善ではなくロバスト性を改善するために利用される。同一の方程式T=T+Tを使用して、欠損したセンサの値が直接的に推定され得る。これは、TおよびTのみを使用する場合にTを推定することにとっては特に興味深いものとなる。自明ではあるが、この実施形態においては、圧力分布センサ同士の間のいかなるバイアスも、除去され得ないが、これは、特に、地形が粗く、足部318の下方に圧力センサ705を設置することによりこの圧力センサ705が損傷にさらされ得るような用途においては、許容し得るものとなり得る。
【0036】
[0050]この実施形態の一拡張として、トルクセンサが、2軸力センサとして構成される場合には、上記に示した同一のトルクバランス方程式が、軸104および軸105について適用され得ることにより、横断面のモーメントが、推定または補正され得ると共に、矢状面のモーメントもまた、推定または補正され得る。さらに、トルクセンサが、軸106に沿った力を測定するようにやはり構成される場合には、これらの力は、FT=FP+FEとして約言され、センサ間で補正を行う方法または2つのセンサを使用して3つの全ての測定を構成する方法が提供される。
【0037】
[0051]さらに他の一実施形態においては、図12aは、圧力中心位置を判定するのに適した電子圧力センサ705用の新規の構成を示す。この新規の電子圧力センサは、圧電抵抗材料または圧電抵抗層の一方の側の全体に配置された3つの電極の2つのセット(電極1A720、電極1B724、電極1C726、電極2A723、電極2B725、および電極2C721)から構成される。圧電抵抗材料の抵抗は、圧力がその材料に印加される場合に、局所的に低下する。2つのセットの電極間に電位差を印加することにより、コントローラ125は、当技術において十分に理解される技術により抵抗の変化を電気的に測定することが可能となる。所与の一対の電極が、それらの電極の感受領域における抵抗を測定することが可能である。感受領域は、大まかなものであり、選択される幾何学形状に大いに左右されるが、実験により特徴付けられ得る点を理解されたい。図12bは、2つの電極720および723ならびにそれらの対応する感受領域718の詳細を示す。感受領域の図心717は、幾何学的に算出され得るものであり、当業者には容易に明らかになる。原点と領域図心719との間の距離を測定し、各感受領域ごとの領域内の平均圧力を測定することにより、法線力および圧力中心位置が共に判定され得る一方で、不要なせん断力が実質的に排斥される。n個の領域を有するシステムについてこの判定を行うために使用される方程式は、以下の通りとなる。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
[0052]力分布センサのこの新規の構成により、せん断の被りやすさを殆ど有さない、高ロバスト性ではあるが低背位のセンサを作製することが可能となる。さらに、全ての電極(720、721、722、723、724、725、726)により、単一の側において圧電抵抗材料との電気接続がなされるため、これにより、構造が大幅に単純化され、単一のプリント回路基板に全ての電極を含めることが可能となる。エクソスケルトン用途において必要な荷重に耐えることが可能であり、2つの0.08cm(0.031インチ)厚の層という小ささの形状因子に合致することが可能であり、前方軸104における圧力中心位置と、横軸105における圧力中心位置と、垂直軸106における法線力とを同時に提示することが可能な、当技術において現行で利用可能な他のセンサ技術は存在しない。圧電抵抗材料において一般的であるバイアスを除去するために以前の実施形態と組み合わされる場合には、高機能性、高精度、高ロバスト性、および低形状因子を有する圧力センサが、構成され得る。この構成のさらなる実施形態は、電極のさらなる形状を使用して実現することが可能であり、対応する感受領域718は、電極同士の間に形成される。これらの実施形態は、同一面積の感受領域718には限定されない。なぜならば、圧力中心位置および力の方程式は、その計算内に感受領域718の面積を含むからである。
冠状面測定
[0053]ステップを踏む意図に関するさらなる指標は、足部の遊脚に向けた、足部から離れる方向へのユーザの身体の移動である。この移動は、他方の足部の圧力中心の移動かまたは身体位置の移動のいずれかにより示唆され得る。後者の一実施形態においては、脛部または冠状面内におけるエクソスケルトンの別のセグメントのいずれかの角度を測定することにより示されるユーザの横方向移動は、次のステップに向いた状態にあることを示す。
安全確認
[0054]ステップの開始前に、コントローラ220は、ステップを踏むことが安全であると判定するために他の変数を確認してもよい。例えば、ユーザが過剰に前方に倒れている場合には、ステップは踏むべきではない。したがって、前方しきい値は、人がそのように過剰に前方に進行している場合には、ステップが踏まれないように設定され得る。原則的には、この前方しきい値は、上述の任意の計量値(脛部角度、足部圧力中心、等々)に基づき設定され得る。その結果、事実上は、ステップは、計量値がしきい値よりも単に大きくなく、許容範囲内となる場合に、開始されることとなる。
【0042】
[0055]ステップが安全ではない恐れのあることを示すさらなる指標は、脛部角度の前方速度である。脚部が、過剰に急速に前方へと倒れつつあり、安定性の欠落を示唆する場合には、ステップは開始されるべきではない。同様に、ユーザが、後方に移動しつつある場合には(ユーザが過剰に前方へと移動してしまったのを補正しつつある場合など)、ユーザの推進力が誤った方向におけるものとなるため、ステップは開始されるべきではない。しかし、いくつかの実施形態においては、低速での後方動作は、後方ステップを開始するために利用される場合がある。
【0043】
[0056]さらに、しきい値は、脛部角度の速度に基づき調節されてもよい。例えば、ユーザが、自身の足部により急速に移動しつつある場合には、コントローラは、前方推進力を利用してステップをより早期に開始して、時間内に安全なステップを完了させることが可能である。同様に、ユーザが、低速で移動している場合には、コントローラは、より遅れてステップを開始することにより、ユーザの重量が自身の足部に確実にかかるようにする。
【0044】
[0057]時として、ユーザは、図8に示すように遊脚中の脚部が完全には伸展されていない場合に、遊脚中の脚部で着地する場合がある。これは、ユーザが、過剰に急速に脚部で着地するかまたは自身のつま先部をぶつけた場合に起こる。この場合には、脛部角度または足関節部−股関節部ラインは、十分に前方に位置するが、ユーザは、膝角度314が依然として曲がっているため、ステップの準備が整ってはいない。したがって、さらなる安全装置が、脚部が十分に伸展されるまでステップを遅延させるために追加され得る。
【0045】
[0058]これらの方法は、追加の入力を供給するために追加のセンサと組み合わせて使用され得る。例えば、杖力センサを使用して、杖が地面に確実に置かれるようにすることが可能である。
【0046】
[0059]また、コントローラは、十分な重量が前方の足部へと移動したことを確認するために、足部に対する圧力または足部の下の地面の反力を測定するセンサを確認してもよい。これは、脚部が、ユーザの重量を受けることが可能な状態にあり、ユーザが後方に転倒する結果をもたらさないことを示唆する。
【0047】
[0060]一実施形態においては、エクソスケルトンは、ステップを開始する2つのさらなる方法を備える。ステップは、デバイスを着用している人により与えられる、ボタンの押圧などの入力によって開始され得る。図9aに示すこの実施形態においては、ボタン120は、ユーザが各ステップごとに押すことが可能な、杖103上などの位置に位置しなければならない。また、ステップは、図9bに示すように、オペレータにより与えられる、ボタンの押圧などの入力により開始されることも可能であり、この実施形態においては、ボタン120は、代わりにオペレータが保持可能となるように、杖に対しては接続されない。この実施形態においては、オペレータは、デバイスを操作する第2の人であるため、デバイスを着用している人は、デバイスの操作時に経験するような状態になる必要がない。
ステップの終了
[0061]いくつかの場合においては、ステップが、危険な構成において開始され得る、またはユーザが、危険な位置に自身を配置するように移動し得る。この場合には、ステップは、脚部を伸展させてバランスおよび安定性を実現することにより、安全のためにステップを終了すべきである。ステップは、立脚する脚部の大腿部角度(または股関節部位置)が、ステップの開始後に後方に移動し始める場合に、終了され得る。これは、ステップが過剰に早期に踏まれており、ユーザが前方へと安全に進行していないことの指標となる。
トレーニング
[0062]また、本発明は、ユーザおよびオペレータの両方をトレーニングするための方法を提供する。上述の実施形態において得られた前方移動しきい値に基づきステップを踏むべき時に関する触覚フィードバック、聴覚フィードバック、または視覚フィードバックを与えることにより、ユーザ/オペレータチームは、安定位置がどのように見えるかおよび感じられるかを学習することが可能となる。この実施形態においては、エクソスケルトンは、所与のパラメータ(位置に基づくステップ開始において説明したものなど)に基づきステップが開始されるべき時に、警告音または光(または他の感覚フィードバック)を発する。ステップしきい値の示唆をいずれも実現する多数のフィードバック方法が可能であることが、当業者には理解されよう。
【0048】
[0063]また、このフィードバックは、ユーザがエクソスケルトンを自立的に制御することが可能な状態にあるか否かを判定するために計量値として使用することが可能である。これは、ユーザ(オペレータと呼ばれる第2者ではない)が自身でボタンを押すことによりステップを踏むことに関する制御を行い得るエクソスケルトンにおいては、有用である。ユーザが、かかるシステムを使用することが可能となる前に、治療専門家が、自身が次のステップが可能な状態にある時を判定することが可能となることに快適性を感じられなければならない。エクソスケルトンは、「理想的な」ステップ開始時間(上述の方法により判定される時間)を利用し、ユーザが「理想的な」開始に関連してボタンを押す時に基づき採点を行うことが可能である。ユーザが、熟達してゆくと、システムにより判定されるステップ開始時間と自身がボタンを押す実時間との間の時間差は、非常に小さくなる。
【0049】
[0064]単純な一実施形態においては、ステップは、4つの計量値、すなわち圧力中心(図10における708、715、713、および714)の水平方向変化および前方変化、ならびに水平方向オフセットおよび前方オフセットによって、特徴付けられ得る。この場合に、これらの2つの計量値は、2つ以上のステップにわたり比較され、これらの計量値の平均値が、算出され得る。初心者ユーザは、熟練ユーザよりも不安定な歩行になるため、平均値は、初心者ユーザについてはより高く、および熟練ユーザについてはより低くなり、これによりコントローラは人の経験値を定量化することが可能となる。別の実施形態においては、コントローラは、立脚周期にわたる足部の圧力中心を追跡し、圧力中心軌跡に対して曲線を整合させることが可能である。さらに、コントローラは、曲線と実際の軌跡とを区別し、このステップにわたり結果的に得られた信号の変化量を測定し得る。例としては信号の分散または標準偏差などを含む、多数の十分に理解されている信号の変化量の測定が存在する。重要な点としては、信号の整合性および平滑性の測定は、当技術においては十分に理解されており、さらに多数の高度な技術が利用可能である点を理解されたい。
【0050】
[0065]さらに他の一実施形態は、任意の既述のユーザ性能計量値生成方法を拡張することにより、エクソスケルトンシステムが、安全な動作のために様々なユーザ熟達レベルが必要となる状態を有効および無効にすることが可能となり得る。この実施形態においては、エクソスケルトンシステムは、より高い熟達度を必要とするより高度な状態の操作を安全に実施することが可能となるための前提条件として、高度ではないより安全な状態におけるユーザのエクソスケルトンの操作から直接的にユーザの熟達度に関する計量値を生成する。この自動調節構成により、エクソスケルトンの設計者は、初心者のエクソスケルトンユーザにとっては危険となる状態が初心者ユーザにより誤って有効にされないことの保証を与える、熟達度の、偏りのない測定への確信が得られる。初心者ユーザでは熟練者レベル状態が無効化されることのこの確信により、エクソスケルトンの設計者は、自動調節式ではないエクソスケルトンデバイスに備えられた場合には過剰な高さの負担をもたらすことになる高度な状態を含めることが可能となる。
【0051】
[0066]また、この計量値は、理学療法士によるエクソスケルトンの操作能力を採点化するためにも使用され得る。トレーニング時にはしばしば、理学療法士のオペレータは、ステップを開始すべき適切な時がいつであるかについての確信がない。オペレータが見るように要求されているパラメータに基づき安定的なフィードバックを与えることにより、トレーニングプロセスは改善される。トレーニングの終了時に、この理想的な開始およびオペレータに基づき採点が決定されて、オペレータが十分にトレーニングされているか否かを判定することが可能となる。
【0052】
[0067]また、このしきい値は、ユーザの熟達度を採点化するためにも使用される。歩行における熟達度を示す次のステップに向けたこの所望の位置を達成する能力に関する多数の測定が存在する。一実施形態は、踵接地から次のステップの開始までの時間の測定であり、移行がより迅速であるほど、歩行はより滑らかなものとなる。第2の実施形態は、踵接地と次のステップの開始との間における脛部角度の速度を測定することにより、動作の滑らかさを判定することを含む。
拡張
[0068]また、この方法は、後方ステップ、座位、および立位などの追加的な状態判定のために使用することも可能である。例えば、脛部角度が後方へと十分に傾けられる場合に、後方ステップが開始される。この後方角度は、質量中心の後方への移動を示唆し、ユーザは、自身を支持するために後方にステップを踏むことが必要となる。座位の場合においては、両脛部角度が十分に後方に測定される場合に、ユニットが着座を開始する。両脛部角度が十分に前方に傾けられる場合に、およびさらに関節角度が安全性およびバランスに対して設定された要件に合致する場合に、デバイスは起立を開始し得る。
【0053】
[0069]好ましい実施形態においては、エクソスケルトンは、2つの脚部サポートを有する。しかし、図5に示すようないくつかの実施形態においては、特に片麻痺歩行の不具を有するユーザの場合には、デバイスが1つのみの脚部サポートを有することが望ましい場合がある。本明細書において開示される方法は、他方の脚部のステップを開始させるために、一方の脚部からの情報を利用する。デバイスが1つのみの脚部サポートを有する場合には、脚部サポートを有さない、人の下肢(罹患度の低い肢)の配向に関する必要な情報を入手することが可能である。例えば、脛部の配向を測定するIMU217を備える罹患度の低い肢の脛部上に小さな弾性バンドを配置することが可能である。この情報は、無線によりまたは小ケーブルによりコントローラへと中継され得る。重要な点としては、脚部を遊脚相へと移行するための上記において開示した全ての技術が、片脚デバイスに対して適用される点を理解されたい。適切なセンサセットを有する、人の下肢から同一の情報を記録することが単に必要となるに過ぎない。例えば、シューズの内側に適合するインソールとして足部力センサを構成することが可能である点が、当技術においては理解される。その結果、デバイスの唯一の脚部が人の他方の脚部に対して結合される場合でも、人の脚部の重量分布および圧力中心に関する情報を中継することが可能となる。さらに、この同技術は、デバイスが地面までは延在しないが代わりに脛部中間部にて終端する装具である場合に使用することが可能である。これらの例は、本発明の範囲を例示することを目的とし、両脚部実施形態が、主に論じられても、これらの同技術は、より単純かつよりミニマルなデバイスへと容易に拡張され得る。
【0054】
[0070]本発明の好ましい実施形態に関連して説明したが、本発明から逸脱することなく様々な変更および/または修正がなされ得る点を理解されたい。例えば、さらなる一実施形態として、エクソスケルトンの足関節部において発生するモーメントを測定することにより、矢状面における圧力中心位置を推定することが可能となる(これは、エクソスケルトンを着用している人が自身の足関節部により矢状面モーメントを発生させる能力を有さないことを前提としている)。したがって、足関節部モーメントの測定を利用することにより、ステップを高い信頼性で開始させることが可能となる。この実施形態は、エクソスケルトンの足関節部が剛直でありまたは堅く、ステップを開始させるのに適したエクソスケルトン脛部の動作が存在し得ないデバイスにおいて、有用である。同様に、股関節部が、立脚時に十分な堅さを有する場合には、股関節部におけるトルクを測定して、ステップを開始させる所望の指標とすることも可能である。一般的には、本発明は、以下の特許請求の範囲のみにより限定されるように意図される。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
エクソスケルトンを備える動力下肢装具を制御する方法であって、前記エクソスケルトンは、人の上半身に対して結合されるように構成可能な腰部部分と、前記人の第1の下肢に対して結合されるように構成可能な少なくとも1つの脚部サポートと、前記人の前記第1の下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記少なくとも1つの脚部サポートを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、前記エクソスケルトンをモニタリングするための複数のセンサとを備える、方法であって、
前記エクソスケルトンの第1の配向および前記人の第2の下肢の第2の配向をモニタリングするステップと、
前記第1の配向および前記第2の配向に基づき前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するステップと、
有限な複数の状態から前記エクソスケルトンの現在の状態を確立し、前記現在の状態に基づき前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含む、方法。
[形態2]
前記少なくとも1つの脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結可能な近位端部と、遠位端部とを備え、前記方法は、前記少なくとも1つの脚部サポートの前記近位端部から前記遠位端部までの前方距離および側方距離を推定するステップをさらに含み、前記第2の配向は、前記近位端部から前記遠位端部までの前記水平方向距離および前記側方距離により構成される、形態1に記載の方法。
[形態3]
前記脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結された脛部セグメントとを備え、前記方法は、垂直に対する前記脛部セグメントの角度を推定するステップをさらに含み、前記第2の配向は、垂直に対する前記脛部セグメントの前記角度である、形態1に記載の方法。
[形態4]
前記脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結された脛部セグメントとを備え、前記方法は、地形に対する前記脛部セグメントの角度を推定するステップをさらに含み、前記第2の配向は、前記地形に対する前記脛部セグメントの前記角度である、形態1に記載の方法。
[形態5]
前記地形の傾斜に基づき人の動作を再現する前記一連の配向を修正するステップをさらに含む、形態4に記載の方法。
[形態6]
前記脛部に対して結合された慣性測定装置により重力に対する前記脛部セグメントの絶対角を測定するステップをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態7]
前記第2の配向は、
(1)角度変位センサにより前記脛部セグメントと前記大腿部セグメントとの間の角度変位量を測定すること、
(2)角度変位センサにより前記大腿部部分と前記腰部部分との間の前記角度変位量を測定すること、および
(3)慣性測定装置により重力に対する前記腰部部分の前記角度を測定することにより構成される、3つの読取値により構成され、
前記方法は、前記3つの読取値から重力に対する前記脛部の前記角度を推定するステップをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態8]
前記脛部の絶対角を矢状面における矢状測定値および冠状面における冠状測定値へと分解するステップと、
前記矢状測定値が少なくとも矢状しきい値を超過し、前記冠状測定値が少なくとも冠状しきい値を超過する場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくステップとをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態9]
重力に対する前記脛部セグメントの前記角度が少なくともしきい値を超過する場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態10]
前記脚部サポートは、前記人の上腿部に対して結合され、前記腰部部分に対して回転自在に連結されるように構成された、大腿部リンク装置を備え、前記方法は、重力に対する前記大腿部リンク装置の角度を測定するステップをさらに含み、前記大腿部リンク装置の前記角度は、前記第2の配向である、形態1に記載の方法。
[形態11]
前記脚部サポートは、立脚相時に支持表面上に載置されるように構成された足部を備え、前記足部の底部にわたり分散された力の圧力中心位置を感知するように構成された少なくとも1つの力分布センサを備え、前記方法は、前記圧力中心が指定領域に入り込む場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含む、形態1に記載の方法。
[形態12]
前記脚部サポートは、前記立脚相時に前記支持表面上に載置されるように構成された足部を備え、前記足部と前記人との間に配置された少なくとも1つの力分布センサを備え、前記方法は、前記足部と前記人との間に分散された相互作用力を測定するステップをさらに含む、形態1に記載の方法。
[形態13]
前記少なくとも1つの領域は、前記足部の側部側である、形態11に記載の方法。
[形態14]
前記少なくとも1つの領域は、前記足部の前方側部側である、形態11に記載の方法。
[形態15]
前記少なくとも1つの力分布センサは、前記足部の踵部に対して印加された力を推定するように構成された踵部エリアセンサと、前記足部のつま先部に対して印加された力を推定するように構成されたつま先部エリアセンサとを含む、2つのセンサにより構成され、前記領域は、実質的に荷重を受けない前記踵部センサと、実質的に荷重を受ける前記つま先部センサとに相当する、形態11に記載の方法。
[形態16]
前記脚部サポートの速度を測定するステップと、前記速度の測定値に基づき前記指定領域を変更するステップとをさらに含む、形態11に記載の方法。
[形態17]
相互作用トルクセンサにより前記脚部サポートと前記足部との間のトルクを測定するステップと、
第2の力分布センサにより前記人と前記足部との間の力分布を測定するステップと、
前記相互作用トルクセンサに基づき前記少なくとも1つの力分布センサおよび前記第2の力分布センサのバイアスを推定および補正するステップとをさらに含む、形態11に記載の方法。
[形態18]
前記脚部サポートは、立脚相時に支持表面上に載置されるように構成された足部を備え、前記方法は、以下の3つの要素、すなわち
(1)第1のセンサにより前記足部の底部にわたり分散された力の圧力中心位置、
(2)第2のセンサにより前記脚部サポートと前記足部との間のトルク、および
(3)第3のセンサにより前記人と前記足部との間の力の圧力中心位置の中の2つを測定するステップをさらに含み、
前記方法は、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、および前記第3のセンサの各組合せから、前記3つの要素のうちの含まれない要素の測定値を推定するステップを含む、形態1に記載の方法。
[形態19]
前記足部の薄い表面と、前記足部の上側および下側の両方の外周部に連結するおよび前記外周部を実質的に囲む弾性ハウジングとの間に形成された、空洞部内に配置された電子圧力センサにより、圧力を測定するステップをさらに含む、形態11に記載の方法。
[形態20]
前記エクソスケルトンは、2つの脚部サポートを備え、前記腰部部分に対して回転自在に連結可能であり前記腰部部分に対して回転自在に連結可能な大腿部セグメントおよび前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結可能な脛部セグメントを備える各前記脚部サポートは、立脚相において支持表面上に載置されるように構成され、前記脚部サポートと前記支持表面との間の相互作用力を測定するための少なくとも1つの力センサを備え、前記第2の配向は、重力に対する前記脛部セグメントの角度であり、前記方法は、
2つの事柄、すなわち、
(1)前記脚部サポートの中の第1の脚部サポートに対する相互作用力が合計相互作用力の所定の割合を超過すること、および
(2)前記第2の配向が、しきい値を超過することの両方が生じる場合に、前記脚部サポートの中の前記第1の脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含む、形態1に記載の方法。
[形態21]
前記複数のセンサから、前記脚部サポートに沿った点の前方速度および前記脚部サポートの角速度よりなる群から選択される速度を推定するステップと、
前記速度に基づき前記しきい値を調節するステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態22]
ステップを踏み始めるには危険な組合せに相当する前記第1の配向の組合せを危険な組合せとして記録するステップと、
前記危険な組合せの中の1つが検出される場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におかないステップとをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態23]
前記エクソスケルトンは、第1の脚部サポートおよび第2の脚部サポートを備え、前記第1の脚部サポートに関する前記危険な組合せの中の少なくとも1つが、前記第2の脚部サポートがステップを踏む過程にあることを含む、形態22に記載の方法。
[形態24]
各前記脚部サポートは、股関節部に対して回転自在に連結可能な大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結可能な脛部セグメントとを備え、前記方法は、前記複数のセンサの中の少なくとも1つにより前記脛部セグメントと前記大腿部セグメントとの間の膝角度を測定するステップをさらに含み、少なくともしきい値を超過する前記膝角度は、前記危険な組合せの中の少なくとも1つを構成する、形態22に記載の方法。
[形態25]
垂直に対する前記脛部セグメントの角度が少なくとも第1のしきい値に合致する場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含み、前記危険な組合せの中の少なくとも1つが、少なくとも第2のしきい値に合致する立脚する脚部の前記第2の配向を含む、形態22に記載の方法。
[形態26]
前記複数のセンサから、前記人の速度を推定するステップをさらに含み、前記危険な組合せの中の少なくとも1つが、前記人の前記速度が許容範囲外にあることを含む、形態22に記載の方法。
[形態27]
前記脚部サポートは、前記立脚相時に支持表面上に載置されるように構成され、前記脚部サポートが前記支持表面と接触状態にある時を示すための少なくとも1つの接触センサを備え、危険な条件の判定において前記エクソスケルトンの前記第1の配向を利用することが、前記少なくとも1つの接触センサからの情報をさらに含む、形態22に記載の方法。
[形態28]
前記接触センサは、前記支持表面と前記脚部サポートとの間の力を表す信号を生成する力センサである、形態27に記載の方法。
[形態29]
重力に対する前記脛部セグメントの前記角度が少なくともしきい値を超過し、前記エクソスケルトンの現在の状態が座位である場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、立位に相当する状態におくステップをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態30]
重力に対する両脛部の角度が少なくともしきい値を超過し、前記エクソスケルトンの前記現在の状態が立位である場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、座位に相当する状態におくステップをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態31]
前記複数のセンサから、前記脚部サポートに沿った点の速度および前記脚部サポートの角速度の一方の速度を推定するステップと、
前記速度が少なくともしきい値を超過する場合に、着座動作を開始しないステップとをさらに含む、形態30に記載の方法。
[形態32]
前記エクソスケルトンをモニタリングするステップと、
前記装具を、ステップを踏むことに相当する状態におく際に、合図を送るステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態33]
前記装具を、ステップを踏むことに相当する状態におく際に、前記人に合図を送るステップをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態34]
合図を送る前記ステップは、聴覚音により達成される、形態33に記載の方法。
[形態35]
合図を送る前記ステップは、触覚振動により達成される、形態33に記載の方法。
[形態36]
合図を送る前記ステップは、視覚的合図により達成される、形態33に記載の方法。
[形態37]
前記装具は、第2の人により手動的に作動されるように構成された入力要素を備え、前記方法は、
ステップ開始の所望を示すために前記入力要素に手動的に関与するステップと、
前記装具がステップを踏むことに相当する状態に入ることと、前記入力要素への関与との間の時間差を測定するステップと、
前記時間差に基づき前記第2の人に関する熟達度の採点を行うステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態38]
前記エクソスケルトンは、前記人の前記第1の下肢および前記対応する脚部サポートが地面に接触する場合に、信号を生成するように構成された接触センサを備え、前記方法は、
前記信号と、前記装具がステップを踏むことに相当する状態に入ることとの間の時間を測定するステップと、
前記時間を理想的な時間と比較するステップと、
時間差を生成し、前記時間差に基づく前記人の熟達度採点を行うステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態39]
前記脚部サポートの速度に基づき前記理想的な時間を調節するステップをさらに含む、形態38に記載の方法。
[形態40]
前記エクソスケルトンと前記地面との間の圧力中心位置を測定するステップと、
前記位置が辿る平均軌跡を複数のサンプルにわたって算出するステップと、
前記複数のサンプルにわたる前記平均軌跡から前記位置の変化量を算出するステップと、
前記変化量の大きさに基づき前記人についての熟達度採点を行うステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態41]
前記変化量の少なくともしきい値に基づき、到達し得るエクソスケルトン状態を制限するステップをさらに含む、形態40に記載の方法。
[形態42]
前記脚部サポートの角速度を測定するステップと、
前記角速度を理想的な測定値と比較するステップと、
速度差を生成し、前記速度差に基づき前記人に関する熟達度採点を行うステップとをさらに含む、形態9に記載の方法。
[形態43]
前記装具をモニタリングするステップと、
入力要素の手動作動により、前記エクソスケルトンがステップを踏むことに相当する状態に進むという所望を示すステップと、
前記第2の配向が少なくともしきい値を超過するまでは、ステップを踏むことに相当する状態には進まないステップとをさらに含む、形態3に記載の方法。
[形態44]
前記人は、前記入力要素を手動的に作動する、形態43に記載の方法。
[形態45]
エクソスケルトンを備える動力下肢装具を制御する方法であって、前記エクソスケルトンは、人の上半身に対して結合されるように構成可能な腰部部分と、前記人の下肢に対して結合されるように構成可能であり、立脚相時に支持表面上に載置され前記支持表面に対してモーメントを伝達するようにさらに構成された、2つの脚部サポートと、前記人の前記下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記脚部サポートを個別に移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、前記エクソスケルトンをモニタリングするための複数のセンサとを備える、方法であって、
前記支持表面に対して伝達される前記モーメントを推定することを含め、前記エクソスケルトンの配向をモニタリングするステップと、
前記脚部サポート用の前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するステップと、
前記配向および前記推定されたモーメントの両方に基づき、有限な複数の状態から前記動力下肢装具の現在の状態を確立するステップと、
前記現在の状態に基づき、前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含む、方法。
[形態46]
矢状面内における前記支持表面に対して伝達された前記モーメントを測定するステップをさらに含む、形態45に記載の方法。
[形態47]
前記モーメントが少なくともしきい値を超過する場合に、前記装具を、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含む、形態45に記載の方法。
[形態48]
エクソスケルトンを備える動力下肢装具を制御する方法であって、前記エクソスケルトンは、人の上半身に対して結合されるように構成可能な腰部部分と、前記人の下肢に対して結合されるように構成可能であり、立脚相時に支持表面上に載置されるようにさらに構成された、2つの脚部サポートと、前記人の前記下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記脚部サポートのそれぞれを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、前記エクソスケルトンをモニタリングするための複数のセンサとを備える、方法であって、
前記腰部部分と前記脚部サポートとの間において伝達されるモーメントを推定することを含め、前記エクソスケルトンの配向をモニタリングするステップと、
前記配向に基づき、各脚部サポート用の前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するステップと、
前記配向および前記推定されたモーメントの両方に基づき有限な複数の状態から前記動力下肢装具の現在の状態を確立し、前記現在の状態に基づき、前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含む、方法。
[形態49]
矢状面内における前記腰部部分と前記脚部サポートとの間において伝達された前記モーメントを測定するステップをさらに含む、形態48に記載の方法。
[形態50]
前記モーメントが少なくともしきい値を超過する場合に、前記装具を、ステップを踏むことに相当する状態におくステップをさらに含む、形態49に記載の方法。
[形態51]
エクソスケルトンを備える動力下肢装具を制御する方法であって、前記エクソスケルトンは、人の上半身に対して結合されるように構成可能な腰部部分と、前記人の下肢に対して結合されるように構成可能な2つの脚部サポートと、それぞれが前記人の前記下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して各脚部サポートを移動させるためのものである2つのアクチュエータと、前記エクソスケルトンをモニタリングするための複数のセンサとを備える、方法であって、
前記エクソスケルトンの第1の配向および前記脚部サポートのそれぞれの第2の配向をモニタリングするステップと、
前記第1の配向および前記第2の配向に基づき前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するステップと、
前記第1の配向および前記第2の配向の両方に基づき有限な複数の状態から前記動力下肢装具の現在の状態を確立し、前記現在の状態に基づき前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するステップとを含む、方法。
[形態52]
人に対して結合されるように構成された動力下肢装具であって、
前記人の上半身に対して結合されるように構成可能である腰部部分、前記人の第1の下肢に対して結合されるように構成可能である少なくとも1つの脚部サポート、および前記人の前記下肢の運動を可能にするために前記腰部部分に対して前記少なくとも1つの脚部サポートを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータを備える、エクソスケルトンと、
前記エクソスケルトンの第1の配向をモニタリングするための複数のセンサであって、前記センサの中の少なくとも1つが、前記人の第2の下肢の第2の配向を推定するように構成された脚部配向センサである、複数のセンサと、
前記複数のセンサから信号を受け取り、前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を調節するように構成された、コントローラであって、前記第1の配向および前記第2の配向の両方に基づき有限な複数の状態から前記動力下肢装具の現在の状態を確立し、前記現在の状態に基づき前記動力下肢装具が自然なヒトの動作を集合的に再現する一連の配向に従うように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御する、コントローラとを備える、動力下肢装具。
[形態53]
前記脚部サポートは、前記腰部部分に対して回転自在に連結された大腿部セグメントと、前記大腿部セグメントに対して回転自在に連結された脛部セグメントとを備え、前記脚部配向センサは慣性測定装置により構成され、前記慣性測定装置は、脛部セグメントに対して結合され、重力に対する前記脛部セグメントの絶対角を測定するように構成される、形態52に記載の動力下肢装具。
[形態54]
前記脚部配向センサは、
(1)前記脛部セグメントと前記大腿部セグメントとの間における角度変位を測定するように構成された、第1の角度変位センサと、
(2)前記大腿部セグメントと前記腰部部分との間における角度変位を測定するように構成された、第2の角度変位センサと、
(3)重力に対する前記腰部部分の角度を測定するように構成された、慣性測定装置とを備える、形態53に記載の動力下肢装具。
[形態55]
前記コントローラは、重力に対する前記脛部の前記絶対角が少なくともしきい値を超過する場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におく、形態53に記載の動力下肢装具。
[形態56]
前記脚部サポートは、立脚相時に支持表面上に載置されるように構成された足部を備え、前記足部の底部にわたり分散された力の圧力中心位置を感知するように構成された少なくとも1つの力分布センサを備え、前記コントローラは、前記圧力中心が指定領域に入り込む場合に、前記第1の下肢に相当する前記脚部サポートを、ステップを踏むことに相当する状態におくように構成される、形態52に記載の動力下肢装具。
[形態57]
前記少なくとも1つの力分布センサは、前記足部の踵部に対して印加された力を感知するように構成された踵部エリアセンサと、前記足部のつま先部に対して印加された力を感知するように構成されたつま先部エリアセンサとを備える、形態56に記載の動力下肢装具。
[形態58]
前記脚部サポートは、立脚相時に支持表面上に載置されるように構成された足部を備え、前記足部は、以下の3つのセンサ、すなわち
(1)前記足部の底部にわたり分散された力の圧力中心位置を感知するように構成された力分布センサ、
(2)前記脚部サポートと前記足部との間におけるトルクを測定するように構成された相互作用トルクセンサ、および
(3)前記人と前記足部との間の力の圧力中心位置を感知するように構成された力分布センサの中の2つを含み、前記コントローラは、前記2つの含まれるセンサから前記3つのセンサのうちの含まれないセンサの測定値を推定する、形態52に記載の動力下肢装具。
[形態59]
前記足部は、上側および下側を備え、前記力分布センサは、弾性ハウジングであって、前記足部に連結することにより前記上側および前記下側の両方の外周部を実質的に囲むことによって、空洞部が前記足部と前記弾性ハウジングとの間に形成される、弾性ハウジングと、前記空洞部内に配置された電子圧力センサアセンブリとを備える、形態56に記載の動力下肢装具。
[形態60]
前記電子圧力センサアセンブリは、
少なくとも3つの電極と、
圧電抵抗層と、
前記弾性ハウジングに対する力および前記弾性ハウジングに対する圧力中心位置を少なくとも表す制御信号を生成するように構成されたアルゴリズムを備える電子回路とを備える、形態59に記載の動力下肢装具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12a
図12b